JP2008190026A - めっき物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】めっき物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層が形成され、該塗膜層上に金属めっき膜が無電解めっき法により形成されためっき物であって、
前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在し、前記塗膜層の厚さは20ないし500nmであり、該塗膜層はその表面上に0.1μg/cm2以上の触媒金属を吸着でき、該塗膜層の上側半分の中に前記導電性高分子
微粒子のうち60%以上の粒子が存在する、
めっき物及びめっき物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材との密着性に優れる金属めっき膜を有し、該膜の表面には露出部(ムラ)がなく均一である、無電解めっき法により製造されるめっき物及びその製造方法に関するものである。
基材上に導電性高分子層を形成し該導電性高分子層上にめっきを施すことにより電気回路を作製する無電解めっき法が幾つか提案されている。
特許文献1は、基板フィルム上に光照射によりモノマーの酸化重合性が消失または減少する性質を持つ酸化剤を含む触媒層を形成し、該触媒層上で導電性高分子を重合した後に、該導電性高分子上に無電解めっき液から金属膜を化学めっきする方法を開示している。
特許文献2は、金属化される物質がポリアニリンを含有する被覆を施され、ポリアニリンが還元により活性化され、及び、被覆を施された物質を金属のイオン含有溶液と接触せしめることにより、非電気化学的方法で金属が物質に付着されることを特徴とする金属化物質の製造方法を開示している。
特許第3069942号明細書 特許第3208735号明細書
しかし特許文献1に開示されている方法では、導電性高分子を重合するのに使用した酸化剤を取り除くことができないため、導電性高分子を酸化重合し、さらに無電解めっきを施してからもこの酸化剤は導電性高分子層の下に残留していることになる。そしてこの残留した酸化剤は、無電解めっき法により形成された金属めっき膜(銅、ニッケル等)を酸化するため、その結果、該金属めっき膜は激しく腐食することになり、これにより金属めっき膜と基材フィルムとの密着性は非常に弱くなり、中〜長期の実用には耐え難いものであった。
特許文献1に記載の方法により得られた金属めっき膜は、金属めっき膜の重要な評価項目の一つである基材フィルムとの密着性において、非常に弱いものであった。密着性の低下の主な原因としては、上記の通り、金属めっき膜が酸化剤により腐食したためと考えられるが、それ以外にも、基材フィルム−酸化剤層−導電性高分子層−金属めっき膜といった多層構造となることから、各層間での剥離が生じ易くなることが考えられる。
特許文献2は、特許文献1のように基材上でモノマーを重合して導電性高分子層を形成するのではなく、ポリアニリン等の既に重合された導電性高分子を用いる金属化物質の製造方法を開示する。該製造方法は、既に重合された導電性高分子を用いるため酸化触媒を使用せず、従って、特許文献1での問題、即ち、残留した酸化剤による金属めっき膜の腐食の問題、多層構造による金属めっき膜の密着性不足による易剥離性の問題は生じない。
しかし、特許文献2に記載の製造方法においては、非電気化学的方法(=無電解)で導電性高分子層上にめっきを行って金属を付着させる前に、該導電性高分子をヒドラジン等の化学的還元剤で還元(=脱ドープ)して活性化する必要があり、しかも、脱ドープ後、Pd等の触媒を用いずにめっきを行って金属を付着させるため、導電性高分子層を厚く塗布する必要があった。その結果、該導電性高分子の化学的還元(=脱ドープ)は、水酸化ナトリウム等の強アルカリ中において24時間という長時間の間、室温で浸漬して還元(=脱ドープ)状態にしなければならなかった。そのため、このアルカリ処理液に長時間耐
えられる基材フィルムしか使用できず、使用できる基材が特定のものに限定されてしまうこと、また、該処理によりポリアニリン自身の塗膜の強度が低下し、基材フィルムとの密着性が低下する問題があった。
本発明は、上記の無電解めっき法における、金属めっき膜の密着性が低下するという問題がない、即ち、金属めっき膜と基材との密着性に優れ、加えて、金属めっき膜の表面には露出部(ムラ)がなく均一であり、更に、該膜を厚くすることを可能とする、無電解めっき法により製造されるめっき物及びその製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、金属めっき膜を形成するための塗膜層に還元性高分子微粒子と特定量のバインダーを用いると、無電解めっきにより形成させた金属めっき膜の密着性を高くできること、及び該塗膜層を形成する際に、塗膜層の上側半分の中に前記還元性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在するようにすると、金属めっき膜の密着性を更に高くでき、加えて、該塗膜表面上における触媒金属の吸着量が増加し、これにより、薄い塗膜層においても塗膜上に形成される金属めっき膜を露出部(ムラ)がない均一な膜表面とすることができること、更に、前記無電解めっきを行う際、前記還元性高分子微粒子上にパラジウム等の触媒金属が還元・吸着されるが、これにより前記還元性高分子微粒子は、導電性の高分子微粒子となることをも見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
1.基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層が形成され、該塗膜層上に金属めっき膜が無電解めっき法により形成されためっき物であって、
前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在し、前記塗膜層の厚さは20ないし500nmであり、該塗膜層の上側半分の中に前記導電性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する、
めっき物、
2.前記導電性高分子微粒子の平均粒径が10ないし100nmである前記1.記載のめっき物、
3.無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることによるめっき物の製造方法であって、
A)基材上に還元性高分子微粒子と該還元性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部のバインダーを含む塗料を塗布して厚さが20ないし500nmであり、表面上に吸着できる触媒金属の量が0.1μg/cm2以上であり且つ層の上側半分の中に前
記還元性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する塗膜層を形成する工程、
B)前記塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきする工程
からなる方法、
4.前記還元性高分子微粒子として、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いる前記3.記載の方法、
に関するものである。
本発明のめっき物は、基材の表面上に還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層を形成し、該塗膜層上に金属めっき膜を無電解めっき法により形成するものであるが、前記塗膜層には、既に重合した微粒子を用いるため、重合触媒である酸化剤等を用いないため、特許文献1で示された腐食の問題がない。
尚、以下でも説明するが、前記塗膜層中の還元性高分子微粒子は、無電解めっき法により最終的に導電性高分子微粒子となる。
また、バインダーを使用することにより金属めっき膜と基材との密着性を向上させるこ
とができる。
本発明のめっき物における塗膜層は、その上側半分の中に還元性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在するよう形成されるが、それにより塗膜層の下側半分にはバインダーの存在比が高くなって基材と塗膜層の密着性が向上するため、結果として、金属めっき膜と基材との密着性が向上することになる。
また、塗膜層の表面近くにおいては還元性高分子微粒子の存在比が高くなるため、表面上における触媒金属の吸着量が増加することになるが、これにより、形成する金属めっき膜は、薄い塗膜層においても露出部(ムラ)がない均一なものとすることができる。
本発明のめっき物は、還元性高分子微粒子だけでなく、導電性高分子微粒子を用いても同様に製造することができる。この場合、無電解めっきを行う前に、導電性高分子微粒子を脱ドープして還元性にしておく必要があるが、本発明のめっき物においては、上記と同様に、薄い層(導電性高分子微粒子層)においても優れた密着性及び均一性を維持できる。
そして導電性高分子微粒子層を薄くできることから短時間のアルカリ処理でも前記脱ドープを達成して塗膜層とすることができ、これにより特許文献2に記載の長時間のアルカリ処理による密着性低下の問題を回避することができる。
また、塗膜層の上側半分中に高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する構造は、還元性高分子微粒子又は導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を基材上に塗布した後の乾燥温度と時間を工夫するだけで容易に達成することができる。
また、本発明のめっき物は、例えば、基材上に形成された還元性高分子微粒子を含む塗膜層上に、パラジウム等の触媒金属を還元・吸着させ、該パラジウム等の触媒金属が吸着された塗膜層上に金属めっき膜を形成することにより製造されるが、この際の、パラジウム等の触媒金属の還元及び高分子微粒子への吸着は、例えば、ポリピロールの場合、下図で示される状態になると考えられる。
Figure 2008190026
即ち、還元性の高分子微粒子(ポリピロール)がパラジウムイオンを還元することにより、高分子微粒子上にパラジウム(金属)が吸着されるが、これにより、
高分子微粒子(ポリピロール)はイオン化される、即ち、パラジウムによりドーピングされた状態となり、結果として導電性を発現する。
更に詳細に本発明を説明する。
本発明のめっき物は、
A)基材上に還元性高分子微粒子と該還元性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし
10質量部のバインダーを含む塗料を塗布して厚さが20ないし500nmであり、表面上に吸着できる触媒金属の量が0.1μg/cm2以上であり且つ層の上側半分の中に前
記還元性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する塗膜層を形成し、
B)前記塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることにより製造される。
本発明に使用する還元性高分子微粒子は、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造される。
π−共役二重結合を有するモノマーとしては、導電性高分子を製造するために使用されるモノマーであれば特に限定されないが、例えば、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール及び3−フェニルナフチルアミノピロール等のピロール誘導体、アニリン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン及びp−メチルアニリン等のアニリン誘導体、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−n−ブチルチオフェン、3−n−ペンチルチオフェン、3−n−ヘキシルチオフェン、3−n−ヘプチルチオフェン、3−n−オクチルチオフェン、3−n−ノニルチオフェン、3−n−デシルチオフェン、3−n−ウンデシルチオフェン、3−n−ドデシルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−ナフトキシチオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられ、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
また前記製造に用いるアニオン系界面活性剤としては、種々のものが使用できるが、疎水性末端を複数有するもの(例えば、疎水基に分岐構造を有するものや、疎水基を複数有するもの)が好ましい。このような疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤を使用することにより、安定したミセルを形成させることができ、重合後において水相と有機溶媒相との分離がスムーズであり、有機溶媒相に分散した還元性高分子微粒子が入手し易い。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.05mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.005mol〜0.03molである。0.05mol以上では添加したアニオン性界面活性剤がドーパントとして作用し、得られる微粒子は導電性を発現するため、これを用いて無電解めっきを行うためには脱ドープの工程が必要となる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル類、アルキルグルコシド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオ
キシエチレンソルビダン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類が挙げられる。これらを一種類または複数混ぜて使用してもよい。特に安定的にO/W型エマルションを形成するものが好ましい。
反応系中でのノニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し、アニオン系界面活性剤と足して0.2mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では合後において、水相と有機溶媒相との分離が困難になり、有機溶媒相にある還元性高分子微粒子を得る事ができなくなる事から好ましくない。
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびπ−共役二重結合を有するモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した還元性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
前記製造で使用する酸化剤としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸およびクロロスルホン酸のような無機酸、アルキルベンゼンスルホン酸およびアルキルナフタレンスルホン酸のような有機酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過酸化水素のような過酸化物が使用できる。これらは単独で使用しても、二種類以上を併用してもよい。塩化第二鉄等のルイス酸でもπ−共役二重結合を有するモノマーを重合できるが、生成した粒子が凝集し、微分散できない場合がある。特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、ポリマー微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集してポリマー微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
前記ポリマー微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合させる工程、
(d)有機相を分液しポリマー微粒子を回収する工程。
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未
反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子を入手することができる。
上記の製造法により得られるポリマー微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体のポリマーよりなり、そしてアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径を有し、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
得られたポリマー微粒子の導電率は0.01S/cm未満であり、好ましくは、0.005S/cm以下である。
こうして得られた有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子は、そのままで、濃縮して、又は乾燥させて塗料の還元性高分子微粒子成分として使用することができる。
また、上記のようにして製造された還元性高分子微粒子でなくとも、例えば、市販で入手できる還元性高分子微粒子を塗料の成分として使用することもできる。
本発明に使用する塗料は、還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料である。
バインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミ
ン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
使用するバインダー量は、還元性高分子微粒子1質量部に対して0.1質量部ないし10質量部である。バインダーが10質量部を超えると金属めっきが析出せず、バインダーが0.1質量部未満であると、基材への密着性が弱くなる。
また、本発明に使用する塗料は有機溶媒を含有する。使用する有機溶媒は、微粒子に損傷を与えず、微粒子を分散させうるものであれば特に限定はしないが、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
更に、本発明に使用する塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
上記で調製した塗料を基材上に塗布し、層の上側半分の中に還元性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する塗膜層を形成する。
基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス等が挙げられる。
また、基材の形状は特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状が挙げられる。
他にも、基材として、例えば、射出成形などにより樹脂を成形した樹脂成形品が挙げられる。そして、この樹脂成形品に本発明のめっき物を設けることにより、例えば、自動車向けの装飾めっき品を作成することができたり、或いは、ポリイミド樹脂からなるフィルム上に本発明のめっき物をパターン状で設けることにより、例えば、電気回路品を作成することができる。
基材への塗布方法も特に限定されず、例えばグラビア印刷機、インクジェット印刷機、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター、スクリーン印刷機等を用いて、印刷またはコーティングすることができる。
塗膜層の上側半分の中に還元性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する構成は、塗料の塗布後、緩和な条件で時間をかけて乾燥することにより達成される。
具体的な方法としては、例えば、30ないし60℃の低い温度で長時間かけて乾燥したり、30ないし60℃の低い温度から徐々に温度を上げて乾燥したり、30ないし60℃の低い温度とこれより高い温度(例えば、100ないし130℃)の2段階、又はそれ以上の異なった温度(例えば、30ないし60℃→65ないし90℃→100ないし130℃)で乾燥することにより達成することができる。
2段階以上の異なった温度で乾燥する場合は、例えば、有機溶媒としてトルエンを使用した場合、40℃で10分間乾燥後、80℃で10分間乾燥し、その後120℃で10分間乾燥することにより塗膜層の上側半分の中に微粒子のうち60%以上の粒子が存在する構成とすることができる。
塗膜層の厚さは、20ないし500nmとなるようにする。
厚さが20nm未満であると金属が析出せずめっき膜が形成されず、厚さが500nmを超えると塗膜強度が低下する。
塗膜層の表面上に吸着できる触媒金属の量は0.1μg/cm2以上となるようにする

上記吸着量が0.1μg/cm2未満であると、均一な金属めっき膜を得ることができ
ないか又は金属が析出せずめっき膜が形成されない。
本発明のめっき物は、前記還元性高分子微粒子として導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いることによっても同様に製造することができる。
使用する導電性高分子微粒子は、例えば、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
π−共役二重結合を有するモノマー及びアニオン系界面活性剤としては還元性微粒子の製造の際に例示したものと同様のものが挙げられるが、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.2mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.05mol〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では得られた導電性高分子微粒子に導電性の湿度依存性が生じてしまう場合がある。
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した導電性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい
。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
前記製造で使用する酸化剤としては、還元性微粒子の製造の際に例示したものと同様のものが挙げられるが、特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、導電性高分子微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集して導電性高分子微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
前記導電性高分子微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合しアニオン系界面活性剤にポリマー微粒子を接触吸着させる工程、
(d)有機相を分液し導電性高分子微粒子を回収する工程。
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子を入手することができる。
上記の製造法により得られる導電性高分子微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体よりなり、そしてアニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径と、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、脱ドープ処理して還元性とした際に、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
こうして得られた有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子は、そのままで、濃縮して、又は乾燥させて塗料の導電性高分子微粒子成分として使用することができる。
また、上記のようにして製造された導電性高分子微粒子でなくとも、例えば、市販で入手できる導電性高分子微粒子を塗料の成分として使用することもできる。
上記の導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を基材上に塗布し、層の上側半分の中に導電性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する層を形成した後に、微粒子を還元性とするための脱ドープ処理を行うことにより、層の上側半分の中に60%以上の還元性高分子微粒子が存在する塗膜層を形成する。
バインダーとしては、前記で例示したものと同様のものが挙げられ、その使用量は、導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1質量部ないし10質量部である。バインダーが
10質量部を超えると金属めっきが析出せず、バインダーが0.1質量部未満であると、基材への密着性が弱くなる。
また、上記塗料は有機溶媒を含有する。使用する有機溶媒は、微粒子に損傷を与えず、微粒子を分散させうるものであれば特に限定はしないが、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
更に、上記塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
上記で調製した塗料を基材上に塗布し、層の上側半分の中に導電性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する層を形成する。
基材としては、前記で例示したものと同様のものが挙げられ、その形状は特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状が挙げられる。
基材への塗布方法も特に限定されず、例えばグラビア印刷機、インクジェット印刷機、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター等を用いて、印刷またはコーティングすることができる。
層の上側半分の中に導電性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する構成は、塗料の塗布後、緩和な条件で時間をかけて乾燥することにより達成される。
具体的な方法としては、例えば、30ないし60℃の低い温度で長時間かけて乾燥したり、30ないし60℃の低い温度から徐々に温度を上げて乾燥したり、30ないし60℃の低い温度とこれより高い温度(例えば、100ないし130℃)の2段階、又はそれ以上の異なった温度(例えば、30ないし60℃→65ないし90℃→100ないし130℃)で乾燥することにより達成することができる。
2段階以上の異なった温度で乾燥する場合は、例えば、有機溶媒としてトルエンを使用した場合、40℃で10分間乾燥後、80℃で10分間乾燥し、その後120℃で10分間乾燥することにより層の上側半分の中に微粒子のうち60%以上の粒子が存在する構成とすることができる。
層の厚さは、20ないし500nmとなるようにする。
厚さが20nm未満であると金属が析出せずめっき膜が形成されず、厚さが500nmを超えると塗膜強度が低下する。
特に、導電性高分子微粒子を用いて形成された層は、微粒子を還元性とするためにアルカリ処理等の脱ドープ処理を行って塗膜層とするが、層の厚さが500nmを超えると前記の処理が長時間となり、それにより膜強度が低下し、結果として得られた金属めっき膜は、基材との密着性が低下することになる。
前記の導電性高分子微粒子を用いて形成された層は、微粒子を還元性とするために脱ドープ処理が行われる。
脱ドープ処理としては、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液で処理するのが好ましい。
特に、導電性高分子微粒子を用いて形成された層は、厚さが20ないし500nmと非常に薄いため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
上記の脱ドープ処理により微粒子が還元性とされた塗膜層の表面上に吸着できる触媒金属の量は0.1μg/cm2以上となるようにする。
上記吸着量が0.1μg/cm2未満であると、均一な金属めっき膜を得ることができ
ないか又は金属が析出せずめっき膜が形成されない。
上記のようにして製造された、塗膜層が形成された基材を無電解めっき法によりめっき物とするが、該無電解めっき法は、通常知られた方法に従って行うことができる。
即ち、前記基材を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することによりめっき物を得ることができる。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、塗膜中の還元性高分子微粒子は、結果的に、導電性高分子微粒子となる。
上記で処理された基材は、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これにより無電解めっき膜が形成される。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル、クロム等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
上記した通り、塗膜中の還元性高分子微粒子は、結果的に、導電性高分子微粒子となるため、以上の操作により、基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層が形成され、該塗膜層上に金属めっき膜が無電解めっき法により形成されためっき物であって、
前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在し、前記塗膜層の厚さは20ないし500nmであり、該塗膜層の上側半分の中に前記導電性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する、
めっき物が製造されることとなる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
製造例1:還元性ポリピロール微粒子を含む塗料(塗料1〜6)の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社製)0.42mmol、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系ノニオン界面活性剤エマルゲン409P(花王株式会社製)2.1mmol、トルエン50mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを
加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリピロール微粒子を得た。
上記で得られたトルエン分散液中の還元性ポリピロール微粒子の固形分は、約1.3%であったが、ここに、バインダーA、Bを種々の質量部で加えて表1に示す還元性ポリピロール微粒子を含む塗料を調製した。
ここで、表1中のバインダーA、Bは以下のものを意味し、また、バインダーの使用量は、還元性ポリピロール微粒子1質量部に対する使用したバインダーの質量部数を示す。A:スーパーベッカミンJ-820:メラミン系(大日本インキ化学工業(株)社製)
B:バイロン240:ポリエステル系(東洋紡績(株)社製)
Figure 2008190026
製造例2:導電性ポリピロール微粒子を含む塗料(塗料7)の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社製)1.5mmol、トルエン50mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性高分子微粒子を得た。ここで得られたトルエン分散液中の導電性ポリピロール微粒子の固形分は、約1.2%であったが、ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ-820(大日
本インキ化学工業(株)社製)を導電性ポリピロール微粒子1質量部に対して1質量部加
えて塗料7とした。
製造例3:還元性ポリアニリン微粒子を含む塗料(塗料8)の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社製)0.42mmol、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤レオドールSP−O30V(花王株式会社製)0.424mmolとポリオキシエチレンソルビダン脂肪酸エステル2.12mmol(花王株式会社製)、トルエン50mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にアニリンモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム4mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還
元性能を有する還元性ポリアニリン微粒子を得た。ここで得られたトルエン分散液中の還元性ポリアニリン微粒子の固形分は、約1.4%であったが、ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ-820(大日本インキ化学工業(株)社製)を還元性ポリアニリン微粒子1質量部に対して1質量部加えて塗料8とした。
製造例4:塗膜層の形成
基材として軟質フィルムC,Dを用い、該基材上に上記で調製した塗料1ないし8をコーティングして表2に示す、種々の膜厚を有する塗膜層が形成された軟質フィルムを製造した。
尚、表2中の塗膜1ないし7及び9ないし13においては、塗料のコーティング後、40℃で10分間乾燥した後に80℃で10分間乾燥し、その後120℃で10分間乾燥して、塗膜層の上側半分の中に存在する微粒子を60%以上とし、塗膜8にも同様の操作を行い、導電性高分子微粒子層の上側半分の中に存在する微粒子を60%以上とした。
また、表2中の塗膜14及び15においては、塗料のコーティング後、120℃で5分間乾燥して、微粒子が均一に分散した塗膜層とした。
表中の軟質フィルムC,Dは以下のものを意味する。
C:樹脂 PET、商品名 コスモシャインA4100、東洋紡績(株)社製
D:樹脂 PP、商品名 OP U−0、東セロ(株)社製
Figure 2008190026
製造例5:非電解めっき法によるめっき物の製造
上記で製造した塗膜層が形成されたフィルム(塗膜1ないし7及び9ないし15)を、
0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、水道水で水洗した。次に、該フィルムを無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施した。尚、塗膜8は、1M 水酸化ナトリウム水溶液中に35℃で5分間浸漬して、表面処理を行って塗膜層とした後に同様の操作を行った。塗膜1ないし9から製造しためっき物をそれぞれ実施例1ないし9とし、塗膜10ないし15から製造しためっき物をそれぞれ比較例1ないし6とした。
尚、実施例1ないし9のめっき物の断面図を透過型電子顕微鏡(日本電子(株)社製:JEM−1200 EXM)で撮影した写真を模式化したものを図1に示し、比較例5,6のめっき物の断面図を透過型電子顕微鏡(日本電子(株)社製:JEM−1200 EXM)で撮影した写真を模式化したものを図2に示した。
試験例1
上記で製造した実施例1ないし9及び比較例1ないし6のめっき物において、各種の評価試験を行いその結果を表3に纏めた。
尚、評価試験項目及びその評価方法・評価基準は以下の通りである。
・Pd量
試料を約3cm×4cmにカットし、硝酸(1+9)でパラジウムを抽出した後、フレームレス原子吸光光度法にて定量した。
・めっき外観
めっき皮膜の状態を目視で観察し、基材露出面積を測定した。
尚、評価基準は以下の通りとした。
○:完全に被覆され、基材露出なし
△:50%程度基材の露出あり
×:100%基材露出
・めっき膜厚
めっき面の3点を、電解式膜厚計CT−1((株)電測社製)で測定し、平均値を膜厚とした。
・テープ試験
JIS H8504テープ試験方法に準じて、カッターで2mm角の条こんを100個した後にテープによる引き剥がし試験を実施した。
尚、評価基準は以下の通りとした。
○:剥離なし
△:50%程度剥離有り
×:90%以上剥離
・ピール強度
JIS C6741に準じて測定を実施した。
・還元性微粒子存在比
塗膜をウルトラミクロトーム(ライカ(株)社製:ウルトラカットS)を用いて60nmの幅に切断し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)社製:JEM−1200 EXM)で断面部を撮影した画像から粒子部とバインダー部の面積比率から求めた。なお、10個のサンプルを作成し、同様に測定した後に平均値を算出した値を用いた。
Figure 2008190026
実施例1ないし9のめっき物の断面図の透過型電子顕微鏡写真を模式化した図である。 比較例5,6のめっき物の断面図の透過型電子顕微鏡写真を模式化した図である。
符号の説明
1:基材フィルム
2:塗膜層
3:金属めっき膜
4:還元性高分子微粒子

Claims (4)

  1. 基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層が形成され、該塗膜層上に金属めっき膜が無電解めっき法により形成されためっき物であって、
    前記バインダーは、前記導電性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部で存在し、前記塗膜層の厚さは20ないし500nmであり、該塗膜層の上側半分の中に前記導電性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する、
    めっき物。
  2. 前記導電性高分子微粒子の平均粒径が10ないし100nmである請求項1記載のめっき物。
  3. 無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることによるめっき物の製造方法であって、
    A)基材上に還元性高分子微粒子と該還元性高分子微粒子1質量部に対して0.1ないし10質量部のバインダーを含む塗料を塗布して厚さが20ないし500nmであり、表面上に吸着できる触媒金属の量が0.1μg/cm2以上であり且つ層の上側半分の中に前
    記還元性高分子微粒子のうち60%以上の粒子が存在する塗膜層を形成する工程、
    B)前記塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきする工程
    からなる方法。
  4. 前記還元性高分子微粒子として、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いる請求項3記載の方法。
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