JP5310993B2 - スチレン系樹脂基材へのめっき下地塗料及びこれを用いて製造されるスチレン系樹脂基材のめっき物 - Google Patents
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Description
この方法では、無電解めっき処理により上記基材上にめっき皮膜を形成させる前に、数工程の処理を必要とする。
即ち、前処理方法として、(1)エッチング処理において適度な粗化を得るため、及び親水性を向上(めっき皮膜の良好な密着性、外観が得られる)するための膨潤工程、樹脂成形体の表面の適度な粗化及び親水性の向上を達成するための(2)過マンガン酸塩を含有する水溶液で処理する第一エッチング処理、及び(3)無機酸、過塩素酸類及びペルオキソ酸類からなる群から選ばれた少なくとも一種の成分を含有する水溶液で処理する第二エッチング処理を必要とする。
そして、特許文献1の実施例において、上述の煩雑なエッチング処理等を行わない場合には、優れた密着性を有するめっき皮膜は形成されないことが明示されている。
ング処理等を行わなくても、前記塗膜層上に高い密着性を有し、表面の平滑性に優れ且つめっきムラのない(めっき析出性に優れる)金属めっき膜が形成されることを見出した。
(1)スチレン系樹脂基材上に、無電解めっき法により金属めっき膜を形成するための下地塗料であって、
該下地塗料は、導電性又は還元性の高分子微粒子とカルボン酸基を有する有機ポリマーとを含み、前記高分子微粒子と前記有機ポリマーの質量比は、3:1ないし3:100の範囲であり、前記下地塗料における固形分中のカルボン酸基の存在量は、0.01ないし4.0mmol/gの範囲である下地塗料、
(2)前記高分子微粒子が還元性高分子微粒子である前記(1)記載の下地塗料、
(3)前記高分子微粒子が導電性高分子微粒子である前記(1)記載の下地塗料。
(4)スチレン系樹脂基材上に、前記(2)に記載の下地塗料を塗布し、これにより形成された塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることにより製造されるめっき物、
(5)スチレン系樹脂基材上に、前記(3)に記載の下地塗料を塗布し、これにより形成された塗膜層中の導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした後、該塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることにより製造されるめっき物、
に関するものである。
これにより、基材に、通常、100℃以上の温度がかけられない、ポリスチレン系の樹
脂、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、HIPS樹脂、PS樹脂、MS樹脂等においても、容易にスチレン系樹脂基材上に高い剥離強度及び耐久性を有し、表面の平滑性に優れ且つめっきムラのない(めっき析出性に優れる)金属めっき膜を形成することができる。
また、塗膜層の表面近くにおいては還元性高分子微粒子の存在比が高くなるため、表面上における触媒金属の吸着量が増加することになるが、これにより、形成する金属めっき膜は、薄い塗膜層においても露出部(ムラ)がない均一なものとすることができる。
そして導電性高分子微粒子層を薄くできることから短時間のアルカリ処理でも前記脱ドープを達成して塗膜層とすることができ、長時間のアルカリ処理による密着性低下の問題を回避することができる。
また、塗膜層の上側半分中に高分子微粒子の存在比が高くなる、例えば、60%以上の粒子が上側半分中に存在する構造は、還元性高分子微粒子又は導電性高分子微粒子と有機ポリマー(バインダー)を含む塗料を基材上に塗布した後の乾燥温度と時間を工夫するだけで容易に達成することができる。
高分子微粒子(ポリピロール)はイオン化される、即ち、パラジウムによりドーピングされた状態となり、結果として導電性を発現する。
本発明の、スチレン系樹脂基材上に、無電解めっき法により金属めっき膜を形成するための下地塗料は、導電性又は還元性の高分子微粒子とカルボン酸基を有する有機ポリマーとを含み、前記高分子微粒子と前記有機ポリマーの質量比は、3:1ないし3:100の範囲であり、前記下地塗料における固形分中のカルボン酸基の存在量は、0.01ないし4.0mmol/gの範囲であることを特徴とする。
上記成形品としては、例えば、自動車向けの装飾めっき品等の屋外使用の装飾めっき及び屋内装飾めっき等が挙げられる。
導電性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる導電性高分子微粒子を使用することもできる。
また、還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。
還元性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる還元性高分子微粒子を使用することもできる。
前記樹脂のTgは、通常60℃以上であり、好ましくは70℃以上である。
尚、樹脂の混合物を使用する場合は、前記樹脂の中の少なくとも1種類がカルボン酸基を有していればよく、すべての樹脂がカルボン酸基を有する必要はない。
上記の存在量が0.01mmol/g未満であると、下地塗料により形成される塗膜層と金属めっき膜の密着性が低下し、その結果、剥離強度及び耐久性が低下し、存在量が4.0mmol/gを超えると下地塗料により形成される塗膜層と基材との密着性が低下し、その結果、剥離強度及び耐久性が低下する。
上記の存在量は、好ましくは、0.1ないし2.4mmol/gの範囲である。
尚、有機ポリマー中におけるカルボン酸基の存在量の範囲は、下地塗料における固形分中のカルボン酸基の存在量が上記の範囲となる限りにおいて、特に限定されるものではない。
る。
前記質量比において、3:1よりも有機ポリマーの比率が低くなる場合には、基材への密着性が弱くなり、結果として、剥離強度及び耐久性が低下し、3:100よりも有機ポリマーの比率が高くなる場合には、金属めっきの析出が悪くなり、結果として、めっき析出性及び表面の平滑性が低下する。
上記の質量比は、好ましくは、3:5ないし3:50の範囲である。
下地塗料に含み得る溶媒としては、前記有機ポリマーを溶解することができるものであれば特に限定されないが、ポリスチレン系基材を大きく溶解するものは好ましくない。但し、ポリスチレン系基材を大きく溶解する溶媒であっても、他の低溶解性の溶媒と混合することにより、溶解性を低下させて使用することが可能である。
下地塗料に含み得る溶媒としては、低い温度において容易に乾燥し得る高揮発性の溶媒が好ましく、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
尚、導電性又は還元性の高分子微粒子として、予め有機溶媒に分散された分散液を使用する場合は、分散液に使用されている有機溶媒を下地塗料の溶媒の一部又は全部として使用することができる。
即ち、上記で規定した下地塗料をスチレン系樹脂基材上に塗布し、必要に応じて加熱等を行って乾燥させることにより、塗膜層を形成する。
乾燥条件も特に限定されず、室温、又は加熱条件下で行うことができる。
加熱を行う場合の温度は、スチレン系樹脂基材のTgより5ないし15℃低い温度で行うことが好ましい。
ことができる。
具体的な方法としては、例えば、30ないし60℃の低い温度で長時間かけて乾燥したり、30ないし60℃の低い温度から徐々に温度を上げて乾燥することにより達成することができる。
2段階以上の異なった温度で乾燥する場合は、例えば、有機溶媒としてトルエンを使用した場合、40℃で10分間乾燥後、60℃で10分間乾燥し、その後80℃で10分間乾燥することにより塗膜層の上側半分の中に微粒子のうち60%以上の粒子が存在する構成とすることができる。
厚さが0.5μm未満であると金属が析出せずめっき膜が形成されず、厚さが50μmを超えると塗膜強度が低下する。
また、導電性高分子微粒子を用いて形成された塗膜層の場合は、微粒子を還元性とするためにアルカリ処理等の脱ドープ処理を行うが、この際、層の厚さが50μmを超えると前記の処理が長時間となり、それにより膜強度が低下し、結果として得られた金属めっき膜は、基材との密着性が低下することになる。
上記に記載の方法により、還元性の高分子微粒子を含む塗膜層及び導電性の高分子微粒子を含む塗膜層を形成することができる。
脱ドープ処理としては、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
特に、導電性高分子微粒子を用いて形成された層は、非常に薄いため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
即ち、前記基材を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することによりめっき物を得ることができる。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、塗膜中の還元性高分子微粒子は、結果的に、導電性高分子微粒子となる。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき物は、使用したスチレン系樹脂基材のTgより5ないし15℃低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
上記の方法により、煩雑なエッチング処理等を行うことなく、高い剥離強度及び耐久性を有し、表面の平滑性に優れ且つめっきムラのない(めっき析出性に優れる)スチレン系樹脂基材のめっき物を製造することができる。
還元性高分子微粒子は、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
することにより、安定したミセルを形成させることができ、重合後において水相と有機溶媒相との分離がスムーズであり、有機溶媒相に分散した還元性高分子微粒子が入手し易い。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
(a)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合させる工程、
(d)有機相を分液しポリマー微粒子を回収する工程。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
得られたポリマー微粒子の導電率は0.01S/cm未満であり、好ましくは、0.005S/cm以下である。
使用する導電性高分子微粒子は、例えば、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、導電性高分子微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集して導電性高分子微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
(a)アニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合しアニオン系界面活性剤にポリマー微粒子を接触吸着させる工程、
(d)有機相を分液し導電性高分子微粒子を回収する工程。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、脱ドープ処理して還元性とした際に、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
製造例1:導電性ポリピロール微粒子(分散液)の調製
スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム1.5mmolをトルエン50mLに溶解し、さらにイオン交換水100mLを加え20℃に保持しつつ乳化するまで攪拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、30分攪拌し、次いで0.2M過硫酸アンモニウム水溶液50mL(0.4mol相当)を少量ずつ滴下し、4時間反応を行った。反応終了後、有機層を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエン中に分散した導電性粒子分散液を得て、トルエンにて固形分濃度2%に調整した。
製造例1で調製した導電性ポリピロール微粒子(分散液)の量、バインダー(バインダー1ないし6(それぞれA1ないしA6に対応する))の量及び種類並びに溶媒の量及び種類を表3の記載の通りに添加混合することにより、実施例1ないし8及び比較例1ないし6の下地塗料を調製した。
尚、表3に記載のバインダーA1ないしA6の詳細を表1に纏めた。
<塗膜層の形成>
上記で調製した実施例1ないし8及び比較例1ないし6の下地塗料中に、基材:ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)樹脂成形物をディッピングし、80℃の熱風で3分間乾燥させることにより、膜厚が1.0μmの塗膜層を形成した。
<無電解めっき法によるめっき物の製造>
上記で製造した塗膜層が形成された基材(実施例1ないし8及び比較例1ないし6)を、1M水酸化ナトリウム水溶液中に、35℃で5分間浸漬後、洗浄水で洗浄することにより、導電性高分子微粒子を還元性とした。
次に、上記処理がなされた基材を、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶
液中に35℃で5分間浸漬後、洗浄水で水洗した。次に、該基材を無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施した。
尚、各基材に形成された胴めっきの膜厚は、表3に記載した通りである。
基材:ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)樹脂成形物を以下の(1)ないし(6)の工程に付すことにより比較例7のめっき物を製造した。
(1)脱脂工程:ホウ酸ナトリウム30g/L、リン酸ナトリウム20g/L、ノニオン系界面活性剤2g/Lからなる水溶液中(50℃)に、基材を5分間浸漬した後、洗浄水で洗浄した。
(2)エッチング工程:クロム酸420g/L、濃硫酸390g/Lからなる水溶液中(75℃)に基材を7分間浸漬後、洗浄水で洗浄した。
(3)中和工程:濃硫酸50cc/Lの水溶液中(室温)に基材を1分間浸漬後、洗浄水で洗浄した。
(4)キャタリスト:塩化パラジウム0.3g/L、塩化第一錫10g/L、濃硫酸200cc/Lからなる水溶液中(室温)に基材を3分間浸漬後、洗浄水で洗浄した。
(5)アクセレーター:濃硫酸75cc/Lの水溶液(40℃)に、基材を3分間浸漬後、洗浄水で洗浄した。
(6)無電解めっき:硫酸銅10g/L、ロシェル塩40g/L、ホルムアルデヒド10g/L、水酸化ナトリウム9g/L、チオ尿素5g/Lからなる水溶液(25℃)に基材を10分間浸漬後、洗浄水で洗浄した。
基材:ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)樹脂成形物を比較例7に記載の(1)ないし(6)の工程に付した後、更に、以下の(7)の工程に付すことにより参考例のめっき物を製造した。
(7)電解めっき:硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、35%塩化水素0.125cc/L、トップルチナメークアップ(奥野製薬工業(株)製)10mL/L、トップルチナ81−HL 2.5mL/Lからなる水溶液中に、基材の無電解めっきによりめっき膜が形成された面を(−)極として、対抗銅電極((+)電極)を設け、0.02A/cm2の電流値で20分間、めっき膜上に銅を析出させた。その後、洗浄水で洗浄し、水分を
乾燥させた。
上記で製造した実施例1ないし8、比較例1ないし7及び参考例のめっき物において、各種の評価試験を行いその結果を表3に纏めた。
尚、評価項目及びその評価方法・評価基準は表2に記載した通りである。
実施例1ないし4のめっき物は、塗料固形分中のカルボン酸量(濃度)が、それぞれ0.277、0.139、0.115及び2.377mmol/g(0.1ないし2.4mmol/g)であり、ポリピロール微粒子とバインダーとの質量比が3:20であったが、何れも、表面の平滑性、めっき析出性、剥離強度及び耐久性試験の全ての評価項目において優れていた。
特に、剥離強度は、エッチング処理、無電解めっき及び電解めっきを行った参考例のめっき物よりも優れていた。
実施例5のめっき物は、塗料固形分中のカルボン酸量(濃度)が、0.038mmol/gであり、ポリピロール微粒子とバインダーとの質量比が3:1であったが、剥離強度において、セロテープ(登録商標)にて剥がれないという□の評価であった。
実施例6のめっき物は、塗料固形分中のカルボン酸量(濃度)が、0.378mmol/gであり、ポリピロール微粒子とバインダーとの質量比が3:100であったが、めっき析出性において、全面にめっきが析出したものの、厚みが若干不均一であったため、□の評価であった。
実施例7のめっき物は、塗料固形分中のカルボン酸量(濃度)が、3.9mmol/gであり、ポリピロール微粒子とバインダーとの質量比が3:100であったが、めっき析出性において、全面にめっきが析出したものの、厚みが若干不均一であったため、□の評価であり、剥離強度において、セロテープ(登録商標)にて剥がれないという□の評価であった。
実施例8のめっき物は、バインダーの樹脂Tgが50℃であったため、めっき析出性において、全面にめっきが析出したものの、厚みが若干不均一であったため、□の評価であり、剥離強度において、剥離強度において、セロテープ(登録商標)にて剥がれないという□の評価となり、また、耐久性試験において、若干めっきの浮きが見られるという△の評価となった。
比較例1のめっき物は、塗料固形分中のカルボン酸量(濃度)が、0.01ないし4.0mmol/gの範囲より少ない0.0069mmol/gであったため、剥離強度において、セロテープ(登録商標)で若干剥がれるという△の評価となり、また、耐久性試験において、若干めっきの浮きが見られるという△の評価となった。
比較例2のめっき物は、塗料固形分中のカルボン酸量(濃度)が、0.01ないし4.0mmol/gの範囲より少ない0mmol/gであったため、剥離強度において、セロテープ(登録商標)で簡単に剥がれるという×の評価となり、また、耐久性試験において、全体的にめっきが浮き上がっているという×の評価となった。
比較例3のめっき物は、ポリピロール微粒子とバインダーとの質量比が、3:1ないし3:100の範囲よりもバインダーの比率が高い3:120であったため、めっき析出性において、部分的にめっきが析出していないという△の評価となった。
比較例4のめっき物は、ポリピロール微粒子固形分を含んでいなかったため、めっきが析出せず、×の評価となった。
比較例5のめっき物は、塗料固形分中のカルボン酸量(濃度)が、0.01ないし4.0mmol/gの範囲より多い4.410mmol/gであったため、めっき析出性において、全面にめっきが析出したものの、厚みが若干不均一であったため、□の評価であり、剥離強度において、セロテープ(登録商標)で簡単に剥がれるという×の評価となり、また、耐久性試験において、全体的にめっきが浮き上がっているという×の評価となった。
比較例6のめっき物は、ポリピロール微粒子とバインダーとの質量比が、3:1ないし3:100の範囲よりもバインダーの比率が低い3:0.3であったため、剥離強度において、セロテープ(登録商標)で簡単に剥がれるという×の評価となり、また、耐久性試験において、全体的にめっきが浮き上がっているという×の評価となった。
また、エッチング処理を行うことにより製造された比較例7のめっき物は、表面粗化により形成された細かな凹凸により、0.3μm程度のめっき厚では、表面の平滑性が得られなかったことを示す。
Claims (5)
- スチレン系樹脂基材上に、無電解めっき法により金属めっき膜を形成するための下地塗料であって、
該下地塗料は、導電性又は還元性の高分子微粒子とカルボン酸基を有する有機ポリマーとを含み、前記高分子微粒子と前記有機ポリマーの質量比は、3:1ないし3:100の範囲であり、前記下地塗料における固形分中のカルボン酸基の存在量は、0.01ないし4.0mmol/gの範囲である下地塗料。 - 前記高分子微粒子が還元性高分子微粒子である請求項1記載の下地塗料。
- 前記高分子微粒子が導電性高分子微粒子である請求項1記載の下地塗料。
- スチレン系樹脂基材上に、請求項2に記載の下地塗料を塗布し、これにより形成された塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることにより製造されるめっき物。
- スチレン系樹脂基材上に、請求項3に記載の下地塗料を塗布し、これにより形成された塗膜層中の導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした後、該塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることにより製造されるめっき物。
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