JP5327429B2 - めっき物の製造方法及びそれにより製造されるめっき物 - Google Patents

めっき物の製造方法及びそれにより製造されるめっき物 Download PDF

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本発明は、無電解めっき法を用いる、基材との密着性に優れる金属めっき膜を有し、該膜の表面には露出部(ムラ)がなく均一であるめっき物の製造方法及びそれにより製造されるめっき物に関するものである。
基材上に導電性高分子層を形成し該導電性高分子層上にめっきを施すことにより電気回路を作製する無電解めっき法が幾つか提案されている。
特許第3208735号公報(特許文献1)は、金属化される物質がポリアニリンを含有する被覆を施され、ポリアニリンが還元により活性化され、及び、被覆を施された物質を金属のイオン含有溶液と接触せしめることにより、非電気化学的方法で金属が物質に付着されることを特徴とする金属化物質の製造方法を開示している。
上記プロセスの具体例としては、
1)ポリアニリン含有ポリアミド系混合物(オーメコン 900187/34)をポリアミドフィルムに層の厚みが100μmのドクターブレードを用いて被覆する、
2)13g/Lの硫酸ヒドラジニウムを含んだ1N水酸化ナトリウム溶液に浸漬され、還元のために24時間室温で窒素雰囲気下に維持される、
3)0.1N銅トシレート/0.01Nドデシルベンゼンスルホン酸(pH4)の溶液に移され、銅の付着のために5時間窒素雰囲気下で放置する、
ことによるブロンズ色のフィルムを得る方法が開示されている。
特開2007−270180号公報(特許文献1)は、基材フィルム上にパターン化された金属膜が形成されためっきフィルムの製造方法であって、
1)有機溶媒と、水と、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、ピロール及び/又はピロール誘導体のモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより、有機溶媒に分散した導電率が0.01S/cm未満である微粒子を得る工程、
2)前記微粒子が分散された塗料を基材フィルム上に印刷してパターン化されたポリマー層を形成する工程、
3)前記ポリマー層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきする工程、
よりなる製造方法を開示する。
上記プロセスの具体例としては、
1)アニオン性界面活性剤とノニオン界面活性剤、トルエン、イオン交換水を加えて乳化するまで攪拌し、得られた乳化剤にピロールモノマーを加え、過硫酸アンモニウムを加えて酸化重合を行い、反応終了後に有機相を回収してトルエンに分散した還元性能を有するポリピロール微粒子(0.001S/cm)を得る、
2)バインダーとしてスーパーベッカミンJ−820を加え、ポリピロール:バインダー樹脂=1:3(固形分5%)になる還元性を有したポリピロール塗料を調整し、これを厚み:100μmのポリエステルフィルムにインクジェット印刷機を用いて印刷してパターン化されたポリマー層を形成する、
3)ポリマー層が形成されたフィルムを塩化パラジウム溶液中に浸漬−水洗した後、無電解めっき浴に浸漬する、
ことによる、印刷膜(ポリマー層)が形成された部分にのみ銅めっきが施されたポリエステルフィルムの製造方法を開示する。
特許第3208735号公報 特開2007−270180号公報
特許文献1は、ポリアニリン等の既に重合された導電性高分子を用いる金属化物質の製造方法を開示する。特許文献1に記載の製造方法においては、非電気化学的方法(=無電解)で導電性高分子層上にめっきを行って金属を付着させる前に、該導電性高分子をヒドラジン等の化学的還元剤で還元(=脱ドープ)して活性化する必要があり、しかも、脱ドープ後、Pd等の触媒を用いずにめっきを行って金属を付着させるため、導電性高分子層を厚く塗布する必要があった。その結果、該導電性高分子の化学的還元(=脱ドープ)は、水酸化ナトリウム等の強アルカリ中において24時間という長時間の間、室温で浸漬して還元(=脱ドープ)状態にしなければならなかった。そのため、このアルカリ処理液に長時間耐えられる基材フィルムしか使用できず、使用できる基材が特定のものに限定されてしまうこと、また、該処理によりポリアニリン自身の塗膜の強度が低下し、基材フィルムとの密着性が低下する問題があった。
特許文献2は、基材上に還元性を有したポリピロールとバインダーを含むポリマー層を形成し、該層上にPd等の触媒の吸着を介して無電解めっき液から金属膜を化学めっきするめっきフィルムの製造方法を開示するが、該方法は、還元性を有したポリピロールを使用するため、化学的還元(=脱ドープ)処理を必要とせず、そのため、特許文献1において生じる密着性の低下の問題が起こり得ないという点で優れた方法といえる。
特許文献2に記載のめっきフィルムにおいて、塗膜層中のバインダーの比率を上げてゆくと、相対的に塗膜層に存在する還元性を有したポリピロールが少なくなり、そうすると、塗膜層上に吸着したPd等の触媒の還元能力が減少してゆき、めっきの析出にむらが見られたり、完全にめっきが析出しなくなるという問題があった。
本発明は、無電解めっき法を用いる、基材との密着性に優れる金属めっき膜を有し、該膜の表面には露出部(ムラ)がなく均一であるめっき物の製造方法及びそれにより製造されるめっき物の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基材上に形成した還元性高分子微粒子及びバインダーを含む塗膜層上に、触媒金属の吸着を介して無電解めっき法により金属めっき膜を形成する工程において、触媒金属を吸着させた後に、還元処理を行うと、塗膜層上に吸着した触媒金属の還元能力が向上し、これにより、還元性高分子微粒子の僅かな量の存在下においても効率よく表面に露出部(ムラ)がなく均一である金属めっき膜が形成されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(1)めっき物の製造方法であって、
A)基材上に還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層を形成する工程、
B)前記塗膜層上に触媒金属を吸着させる工程
C)吸着された前記触媒金属を還元処理する工程
D)前記還元処理がなされた基材をめっき浴に浸漬して無電解めっきを行う工程
からなる方法、
(2)前記還元性高分子微粒子として、導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いる前記(1)記載の方法、
(3)前記(1)又は(2)記載のめっき物の製造方法により製造されるめっき物、
(4)前記還元性高分子微粒子の平均粒径が10ないし100nmである前記(3)記載のめっき物、
に関するものである。
本発明により、還元性高分子微粒子の僅かな量の存在下においても、基材との密着性に優れる金属めっき膜を有し、該膜の表面には露出部(ムラ)がなく均一であるめっき物を製造することができる。
また、本発明においては、高価な還元性高分子微粒子の僅かな量の存在下においても効率よくめっきできることから、経済的な面からも優れた方法といえる。
例えば、還元性高分子微粒子1質量部に対するバインダーの使用量は、通常0.1ないし10質量部程度であって、該使用量が10質量部を超える場合には、必ずしも露出部(ムラ)がなく均一である金属めっき膜が形成できない場合があったのに対し、本発明のめっき物の製造方法においては、前記使用量が10質量部を超える場合でも安定して露出部(ムラ)がなく均一である金属めっき膜が形成でき、且つ該金属めっき膜は、基材との密着性に優れる(テープ試験において1.0kgf/cm以上の剥離強度を有する。)ものである。
本発明のめっき物は、還元性高分子微粒子だけでなく、導電性高分子微粒子を用いても同様に製造することができる。この場合、無電解めっきを行う前に、導電性高分子微粒子を脱ドープして還元性にしておく必要があるが、本発明のめっき物においては、比較的薄い層(導電性高分子微粒子層)においても優れた密着性及び均一性を維持できる。
そして導電性高分子微粒子層を比較的薄くできることから短時間のアルカリ処理でも前記脱ドープを達成して塗膜層とすることができ、これにより特許文献1に記載の長時間のアルカリ処理による密着性低下の問題を回避することができる。
また、本発明のめっき物は、例えば、基材上に形成された還元性高分子微粒子を含む塗膜層上に、パラジウム等の触媒金属を還元・吸着させ、該パラジウム等の触媒金属が吸着された塗膜層上に金属めっき膜を形成することにより製造されるものであるが、塗膜層上に吸着されたパラジウム等の触媒金属は、XPSの分析結果から、還元されて吸着されるもの(例えば、0価のパラジウム)と還元されずに吸着されるもの(例えば、2価のパラジウム)が混在して存在することが判った。
パラジウム等の触媒金属が還元されて高分子微粒子へ吸着される場合は、例えば、ポリピロールの場合、下図で示される状態になると考えられる。
Figure 0005327429
即ち、還元性の高分子微粒子(ポリピロール)がパラジウムイオンを還元することにより、高分子微粒子上にパラジウム(金属)が吸着されるが、これにより、高分子微粒子(ポリピロール)はイオン化される、即ち、パラジウムによりドーピングされた状態となり、結果として導電性を発現する。
本発明においては、特に、無電解めっきにおいてパラジウム等の触媒金属を吸着させた
後に、還元処理を行って、パラジウム等の触媒金属の還元能力を向上させることが大きな特徴であるが、還元処理を行うことによる、パラジウム等の触媒金属の還元能力が向上する機構は、以下のように考えられる。
Pdが無電解めっきの触媒としての作用を発現するためには、0価(金属状態)で存在することが重要であり、還元性高分子微粒子の量が多い場合は、還元されるPd(0価)も多くなり、これにより無電解めっきの触媒としての作用を発現し易く、その結果、金属めっき膜が形成され易い。
一方、還元性高分子微粒子の量が少なくなると、塗膜層上に吸着されるPd(0価)及びPd(2価)の総量が減少し、その結果、相対的にPd(0価)の存在量が少なくなるため、触媒作用が弱くなり、めっきが析出しにくくなる。
還元処理は、上記のように、Pd(0価)及びPd(2価)の総量が減少した場合であっても、Pd(2価)をPd(0価)に還元して、相対的なPd(0価)の存在量を多くし、これにより、触媒活性を増強して、めっきの析出を向上させたものと考えられる。
上記機構は、例えば、図1に示すように、XPSの分析結果から確認することができる。
図1から判るように、還元処理した塗膜(実線)は、還元処理してない塗膜(点線)よりもPd(2価)(表中、Pd2+と記載される)が減少し、Pd(0価)(表中、Pdと記載される)が増加していることが判る。
更に詳細に本発明を説明する。
本発明は、めっき物の製造方法であって、
A)基材上に還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層を形成する工程、
B)前記塗膜層上に触媒金属を吸着させる工程
C)吸着された前記触媒金属を還元処理する工程
D)前記還元処理がなされた基材をめっき浴に浸漬して無電解めっきを行う工程
からなる方法に関する。
本発明に使用する還元性高分子微粒子は、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造される。
π−共役二重結合を有するモノマーとしては、導電性高分子を製造するために使用されるモノマーであれば特に限定されないが、例えば、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール及び3−フェニルナフチルアミノピロール等のピロール誘導体、アニリン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン及びp−メチルアニリン等のアニリン誘導体、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−n−ブチルチオフェン、3−n−ペンチルチオフェン、3−n−ヘキシルチオフェン、3−n−ヘプチルチオフェン、3−n−オクチルチオフェン、3−n−ノニルチオフェン、3−n−デシルチオフェン、3−n−ウンデシルチオフェン、3−n−ドデシルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−ナフトキシチオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられ、好ましく
は、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
また前記製造に用いるアニオン系界面活性剤としては、種々のものが使用できるが、疎水性末端を複数有するもの(例えば、疎水基に分岐構造を有するものや、疎水基を複数有するもの)が好ましい。このような疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤を使用することにより、安定したミセルを形成させることができ、重合後において水相と有機溶媒相との分離がスムーズであり、有機溶媒相に分散した還元性高分子微粒子が入手し易い。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.05mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.005mol〜0.03molである。0.05mol以上では添加したアニオン性界面活性剤がドーパントとして作用し、得られる微粒子は導電性を発現するため、これを用いて無電解めっきを行うためには脱ドープの工程が必要となる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル類、アルキルグルコシド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビダン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類が挙げられる。これらを一種類または複数混ぜて使用してもよい。特に安定的にO/W型エマルションを形成するものが好ましい。
反応系中でのノニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し、アニオン系界面活性剤と足して0.2mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では合後において、水相と有機溶媒相との分離が困難になり、有機溶媒相にある還元性高分子微粒子を得る事ができなくなる事から好ましくない。
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびπ−共役二重結合を有するモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した還元性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
前記製造で使用する酸化剤としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸およびクロロスルホン酸のような無機酸、アルキルベンゼンスルホン酸およびアルキルナフタレンスルホン酸のような有機酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過酸化水素のような過酸化物が使用できる。これらは単独で使用しても、二種類以上を併用してもよい。塩化第二鉄等のルイス酸でもπ−共役二重結合を有するモノマーを重合できるが、生成した粒子が凝集し、微分散できない場合がある。特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸
塩である。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、ポリマー微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集してポリマー微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
前記ポリマー微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合させる工程、
(d)有機相を分液しポリマー微粒子を回収する工程。
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子を入手することができる。
上記の製造法により得られるポリマー微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体のポリマーよりなり、そしてアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径を有し、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
得られたポリマー微粒子の導電率は0.01S/cm未満であり、好ましくは、0.005S/cm以下である。
こうして得られた有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子は、そのままで、濃縮して、又は乾燥させて塗料の還元性高分子微粒子成分として使用することができる。
また、上記のようにして製造された還元性高分子微粒子でなくとも、例えば、市販で入手できる還元性高分子微粒子を塗料の成分として使用することもできる。
本発明に使用する塗料は、還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗料である。
バインダーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミ
ン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
使用するバインダー量は、還元性高分子微粒子1質量部に対して5質量部ないし50質量部とするのが好ましい。バインダーが50質量部を超えると金属めっきが析出しにくくなる場合があり、バインダーが5質量部未満であると、優れた密着性が得られにくくなる場合がある。
塗料に含み得る溶媒としては、バインダーを溶解することができるものであれば特に限定されないが、基材を大きく溶解するものは好ましくない。但し、基材を大きく溶解する溶媒であっても、他の低溶解性の溶媒と混合することにより、溶解性を低下させて使用することが可能である。
前記溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
更に、本発明に使用する塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ガラス等が挙げられる。
また、基材の形状は特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状が挙げられる。
他にも、基材として、例えば、射出成形などにより樹脂を成形した樹脂成形品が挙げられる。そして、この樹脂成形品に本発明のめっき物を設けることにより、例えば、自動車向けの装飾めっき品を作成することもできる。
基材への塗布方法も特に限定されず、例えば、スプレー、スクリーン印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、オフセット印刷機、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター等を用いて、印刷またはコーティングすることができる。
塗膜層の厚さは、20nmないし100μmとするのが好ましい。
厚さが20nm未満であると金属めっきが析出しにくくなる場合があり、厚さが100μmを超えると優れた密着性が得られにくくなる場合がある。
本発明のめっき物は、前記還元性高分子微粒子として導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いることによっても同様に製造することができる。
使用する導電性高分子微粒子は、例えば、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
π−共役二重結合を有するモノマー及びアニオン系界面活性剤としては還元性微粒子の製造の際に例示したものと同様のものが挙げられるが、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.2mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.05mol〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2
mol以上では得られた導電性高分子微粒子に導電性の湿度依存性が生じてしまう場合がある。
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した導電性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
前記製造で使用する酸化剤としては、還元性微粒子の製造の際に例示したものと同様のものが挙げられるが、特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、導電性高分子微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集して導電性高分子微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
前記導電性高分子微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合しアニオン系界面活性剤にポリマー微粒子を接触吸着させる工程、
(d)有機相を分液し導電性高分子微粒子を回収する工程。
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子を入手することができる。
上記の製造法により得られる導電性高分子微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体よりなり、そしてアニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径と、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、脱ドープ処理して還元性とした際に、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
こうして得られた有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子は、そのままで、濃縮して、又は乾燥させて塗料の導電性高分子微粒子成分として使用することができる。
また、上記のようにして製造された導電性高分子微粒子でなくとも、例えば、市販で入手できる導電性高分子微粒子を塗料の成分として使用することもできる。
上記の導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗料を基材上に塗布して塗膜層を
形成した後に、微粒子を還元性とするための脱ドープ処理を行うことにより、還元性高分子微粒子が存在する塗膜層を形成する。
バインダーとしては、前記で例示したものと同様のものが挙げられ、使用するバインダー量は、還元性高分子微粒子1質量部に対して5質量部ないし50質量部とするのが好ましい。バインダーが50質量部を超えると金属めっきが析出しにくくなる場合があり、バインダーが5質量部未満であると、優れた密着性が得られにくくなる場合がある。
塗料に含み得る溶媒としては、バインダーを溶解することができるものであれば特に限定されないが、基材を大きく溶解するものは好ましくない。但し、基材を大きく溶解する溶媒であっても、他の低溶解性の溶媒と混合することにより、溶解性を低下させて使用することが可能である。
前記溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
更に、本発明に使用する塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
基材としては、前記で例示したものと同様のものが挙げられ、その形状は特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状が挙げられる。
他にも、基材として、例えば、射出成形などにより樹脂を成形した樹脂成形品が挙げられる。そして、この樹脂成形品に本発明のめっき物を設けることにより、例えば、自動車向けの装飾めっき品を作成することもできる。
基材への塗布方法も特に限定されず、例えば、スプレー、スクリーン印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、オフセット印刷機、ディッピング、スピンコーター、ロールコーター等を用いて、印刷またはコーティングすることができる。
塗膜層の厚さは、20nmないし100μmとするのが好ましい。
厚さが20nm未満であると金属めっきが析出しにくくなる場合があり、厚さが100μmを超えると優れた密着性が得られにくくなる場合がある。
前記の導電性高分子微粒子を用いて形成された層は、微粒子を還元性とするために脱ドープ処理が行われる。
脱ドープ処理としては、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液で処理するのが好ましい。
特に、導電性高分子微粒子を用いて形成された層は、比較的薄いため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ない
し40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
上記のようにして製造された、塗膜層が形成された基材を、触媒金属の吸着を介して無電解めっき法によりめっき物とするが、本発明においては以下の工程を含む。
B)前記塗膜層上に触媒金属を吸着させる工程
C)還元処理する工程
D)めっき浴に浸漬して無電解めっきを行う工程
即ち、前記基材を塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、還元処理を行った後に無電解めっき浴に浸漬することによりめっき物を得ることができる。
B)工程
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、塗膜中の還元性高分子微粒子は、結果的に、導電性高分子微粒子となる。
C)工程
次に、塩化パラジウム等の触媒金属が付着された基材に対して還元処理を行う。
還元処理は、還元剤を含有する水溶液に上記基材を接触させることにより行われる。還元剤としては、還元作用を有する水溶性化合物を用いることができ、具体例としては、ジメチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボラン(TMAB)等のアミンボラン類;水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素化合物;次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸塩;ホルマリン等のアルデヒド類;ヒドラジン等を挙げることができる。
還元剤は、一種単独又は二種以上を混合して用いることができる。還元剤の濃度は、0.001〜0.5mol/L程度とするのが好ましく、0.01〜0.2mol/L程度とすることがより好ましい。この水溶液のpHは、特に、限定的ではなく、使用する還元剤の種類に応じて、還元性能が良好で還元剤の安定性が阻害されない範囲に適宜設定すればよい。通常は、pH3程度以上とすることが好ましい。
D)工程
上記で処理された基材は、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これにより無電解めっき膜が形成される。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル、クロム等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
上記した通り、塗膜中の還元性高分子微粒子は、結果的に、導電性高分子微粒子となる
ため、以上の操作により、基材の表面上に導電性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層が形成され、該塗膜層上に金属めっき膜が無電解めっき法により形成されためっき物であって、基材との密着性に優れる金属めっき膜を有し、該膜の表面には露出部(ムラ)がなく均一であるめっき物が製造されることとなる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:めっき物の製造
<還元性ポリピロール微粒子を含む塗料の調製>
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社製)0.42mmol、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系ノニオン界面活性剤エマルゲン409P(花王株式会社製)2.12mmol、トルエン50mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム4mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機層を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリピロール微粒子を得た。
上記で得られたトルエン分散液中の還元性ポリピロール微粒子の固形分は、約1.2%であったが、ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ-820(大日本インキ化学
工業(株)社製、ブチル化メラミン樹脂)を還元性ポリピロール微粒子1質量部に対して
30質量部の配合比で加えて還元性ポリピロール塗料を調製した。
<塗膜層の形成>
得られた塗料を厚み100μmのPETフィルムにバーコーター(No.8)で薄くコーティングし、120℃で5分乾燥し塗膜を形成した。
<めっき処理>
上記で製造した塗膜層が形成されたフィルムを、100ppm塩化パラジウム−0.01M塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。次に、0.5Mホスフィン酸ナトリウム水溶液に40℃で1分間浸漬後、イオン交換水で水洗した。次に、該フィルムを無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施した。その後、硫酸銅めっき(電気めっき)で銅膜厚40μmまで厚付けを施した。
実施例2
還元剤である0.5M ホスフィン酸ナトリウム水溶液を0.1M ホルマリン水溶液に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、めっき物を得た。
実施例3
還元剤である0.5M ホスフィン酸ナトリウム水溶液を0.1M ジメチルアミンボラン水溶液に変えた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、めっき物を得た。
実施例4
バインダーであるスーパーベッカミンJ-820:メラミン系(大日本インキ化学工業(
株)社製)をバイロン240:ポリエステル系(東洋紡績(株)社製)に変えた以外は、
実施例1と同様の操作を行うことにより、めっき物を得た。
実施例5:還元性ポリアニリン微粒子使用するめっき物の製造
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社製)0.42mmol、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤レオドールSP−O30V(花王株式会社製)0.424mmolとポリオキシエチレンソルビダン脂肪酸エステル(商品名:レオドール TW−O320V)2.12mmol(花王株式会社製)、トルエン50mL、イ
オン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にアニリンモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム4mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機層を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリアニリン微粒子を得た。ここで得られたトルエン分散液中の還元性ポリアニリン微粒子の固形分は、約1.4%であったが、ここに、バインダーとしてスーパーベッカミンJ-820(大日本インキ
化学工業(株)社製)を還元性ポリアニリン微粒子1質量部に対して30質量部の配合比
で加えて還元性ポリアニリン塗料を得た。
得られた塗料を実施例1と同様の操作で、コーティング及びめっき処理を施した。
比較例1
還元処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った結果、基材露出部があり、完全には被覆されなかった。
試験例1
上記で製造した実施例1ないし5及び比較例1のめっき物において、各種の評価試験を行いその結果を表1に纏めた。
尚、評価試験項目及びその評価方法・評価基準は以下の通りである。
・めっき外観
めっき皮膜の状態を目視で観察し、基材露出面積を測定した。
尚、評価基準は以下の通りとした。
○:完全に被覆され、ムラ無く析出。
△:完全に被覆されるが、一部ムラが発生。
×:基材露出部があり、完全には被覆されない。
・テープ試験
JIS H8504テープ試験方法に準じて、カッターで2mm角の条こんを100個した後にテープによる引き剥がし試験を実施した。
尚、評価基準は以下の通りとした。
○:剥離なし
×:剥離有り
・ピール強度
JIS C6471に準じて測定を実施した。
また、表1中のAないしGは以下のものを意味し、また、バインダーの量は、還元性高分子微粒子1質量部に対する使用したバインダーの質量部数を示す。
A:スーパーベッカミンJ−820:メラミン系(大日本インキ化学工業(株)社製)
B:バイロン240:ポリエステル系(東洋紡績(株)社製)
C:還元性ポリピロール
D:還元性ポリアニリン
E:0.5M ホスフィン酸ナトリウム水溶液
F:0.1M ホルマリン水溶液
G:0.1M ジメチルアミンボラン水溶液
Figure 0005327429
Pdが吸着された塗膜層を還元処理した場合としない場合のPd(0価)及びPd(2価)の存在状況を表すXPSの分析結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. めっき物の製造方法であって、
    A)基材上に還元性高分子微粒子とバインダーを含む塗膜層を形成し、この際、該還元性高分子微粒子として、該塗膜層内の導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした微粒子を用いる工程
    B)前記塗膜層上に触媒金属を吸着させる工程
    C)吸着された前記触媒金属を還元処理する工程
    D)前記還元処理がなされた基材をめっき浴に浸漬して無電解めっきを行う工程
    からなる方法。
  2. 請求項1記載のめっき物の製造方法により製造されるめっき物。
  3. 前記還元性高分子微粒子の平均粒径が10ないし100nmである請求項記載のめっき物。
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