JP2023048594A - めっき用の下地塗料および塗膜層付き基材、並びにこれらを用いためっき物の製造方法 - Google Patents

めっき用の下地塗料および塗膜層付き基材、並びにこれらを用いためっき物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、線幅50μm以下での細線印刷を可能にすると共に、線幅50μm以下の細線印刷後に、塗膜層付き基材を延伸しても、めっき下地塗膜層が断線することのないめっき用の下地塗料を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、基材上に無電解めっき法により金属めっき膜を形成するためのめっき用の下地塗料であって、前記めっき用の下地塗料は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機フィラーを含み、前記導電性又は還元性の高分子微粒子の含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して5質量部以上19質量部以下であり、前記無機フィラーの含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して11質量部以上45質量部以下にすることを特徴とするめっき用の下地塗料である。【選択図】 なし

Description

本発明は、めっき用の下地塗料および塗膜層付き基材、並びにこれらを用いためっき物の製造方法に関する。
近年、高集積化や視認性低減を目的として、プリント基板やタッチセンサー等の電極用部材の細線印刷が進んでいる。また、タッチセンサーも平面のみならず立体形状とすることも増えている。複雑な立体形状の基材に電極部材を設ける方法として、基材上に電極部材を形成後に、真空成形などによって立体成形することが知られている。プリント基板やタッチセンサーに用いられる電極用部材には、一般的に銅、銀、金などの金属材料や酸化インジウムスズなどの金属酸化物の非可撓性材料が使用されている。
しかしながら、このような非可撓性材料の電極用部材を有する基材を立体成形すると非可撓性材料が基材の変形に追従できず、断線してしまう問題があった。
一方、電極用部材として導電ペーストなどの可撓性材料を用いることが知られている。しかしながら、導電ペーストなどの可撓性材料でも延伸性が不足しており、基材上に細線印刷後に立体成形しようとすると断線してしまう、若しくは抵抗値が増大することが問題となっていた。
こうした課題を解決する手段として、特許文献1には特定の塗膜層を用いてなる立体成形(三次元成形)されためっき物が記載されている。具体的には、基材上に形成された還元性又は導電性の高分子微粒子、バインダー(合成樹脂)、無機系フィラーからなる塗膜層(めっき下地塗膜層)において、バインダー(合成樹脂)の含有量は固形分比で還元性又は導電性の高分子微粒子1質量部に対して0.1質量部ないし60質量部の範囲、無機系フィラーの含有量は固形分比で合成樹脂1質量部に対して0.05ないし1.5質量部の範囲であるものが記載されている。そして、当該塗膜層によってスクリーン印刷にて線幅1.0mmのストレートラインを形成し、当該塗膜層が設けられた基材を二軸延伸比率が原寸に対して延伸率200~800%に延伸した後にめっき処理することで、当該塗膜層上にめっき膜を有する立体形状のめっき物が得られることが提案されている。
また、特許文献2には、クラックが生じないめっき析出性及び密着性に優れためっき下地塗膜層が記載されている。具体的には、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機系フィラーからなるめっき下地塗膜層において、合成樹脂の含有量が固形分比で該高分子微粒子1質量部に対して、0.1ないし60質量部であり、無機系フィラーの含有量が固形分比で合成樹脂1質量部に対して0.1ないし0.7質量部であり、該合成樹脂は、Tgが30℃以下の合成樹脂を該めっき下地塗膜層の合成樹脂中に、固形分比率で15質量%以上含むことが記載されている。当該めっき下地塗膜層によってスクリーン印刷にて線幅1.0mmのストレートラインを形成し、塗膜層付き基材を延伸した後に、めっき処理することで、当該塗膜にはクラックが生じない上に、当該めっき下地塗膜層上にめっき析出性と密着性に優れるめっき物が得られることが提案されている。
特開2011- 74407号公報 特開2012-241208号公報
ところで、時代の変化に伴い、電極用部材においては、更なる細線化、具体的には線幅50μm以下が求められている。しかしながら、特許文献1及び2に記載のめっき下地塗膜層を用いれば、線幅1.0mmの細線であれば印刷及び延伸することができることが示されているが、50μm以下の線幅には対応できておらず、また、線幅50μm以下で細線印刷ができ、且つ延伸ができるめっき用の下地塗料については未だ知られていない。
また、更なる細線化に伴い、塗膜層付き基材と金属めっき膜が互いに当接する面積が減少することとなり、従来の特許文献1及び2に記載されている塗膜層付き基材と金属めっき膜との密着性では、50μm以下の細線での延伸には対応できておらず、更なる密着性の向上が求められている。
本発明は、線幅50μm以下での細線印刷を可能にすると共に、線幅50μm以下の細線印刷後に、塗膜層付き基材を延伸しても、めっき下地塗膜層が断線することのないめっき用の下地塗料を提供することを目的とする。
また、本発明のめっき用の下地塗料を用いることで、線幅50μm以下であっても金属めっき膜との密着性やめっき析出性に優れる塗膜層付き基材を提供することを目的とする。
さらに、本発明のめっき用の下地塗料を用いためっき物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載のめっき用の下地塗料は、立体形状のめっき物を形成するためのめっき用の下地塗料であり、前記めっき用の下地塗料は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機フィラーを含み、前記導電性又は還元性の高分子微粒子の含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して5質量部以上19質量部以下であり、前記無機フィラーの含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して11質量部以上45質量部以下にすることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の塗膜層付き基材は、前記請求項1記載のめっき用の下地塗料からなるめっき下地塗膜層が基材上に形成されてなることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載のめっき物の製造方法は、前記請求項2記載の塗膜層付き基材を立体成形した後に、無電解めっきを施すことを特徴とする。
本発明は、線幅50μm以下での細線印刷を可能にすると共に、線幅50μm以下の細線印刷後に、塗膜層付き基材を延伸しても、めっき下地塗膜層が断線することのないめっき用の下地塗料を提供することができる。また、本発明のめっき用の下地塗料を用いることで線幅50μm以下であっても、金属めっき膜との密着性やめっき析出性に優れ、加えて、立体成形しても断線しない塗膜層付き基材を提供することができる。
また、当該めっき用の下地塗料を用いためっき物の製造方法を提供することができる。
本発明は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機フィラーを含むめっき用の下地塗料において、前記導電性又は還元性の高分子微粒子の含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して5質量部以上19質量部以下であり、前記無機フィラーの含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して11質量部以上45質量部以下にすることを特徴とするめっき用の下地塗料である。
<めっき用の下地塗料>
(導電性又は還元性高分子微粒子)
本発明で使用する導電性又は還元性高分子微粒子としては、導電性又は還元性を有するπ-共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ピロール、N-メチルピロール、N-エチルピロール、N-フェニルピロール、N-ナフチルピロール、N-メチル-3-メチルピロール、N-メチル-3-エチルピロール、N-フェニル-3-メチルピロール、N-フェニル-3-エチルピロール、3-メチルピロール、3-エチルピロール、3-n-ブチルピロール、3-メトキシピロール、3-エトキシピロール、3-n-プロポキシピロール、3-n-ブトキシピロール、3-フェニルピロール、3-トルイルピロール、3-ナフチルピロール、3-フェノキシピロール、3-メチルフェノキシピロール、3-アミノピロール、3-ジメチルアミノピロール、3-ジエチルアミノピロール、3-ジフェニルアミノピロール、3-メチルフェニルアミノピロール及び3-フェニルナフチルアミノピロール等のピロール誘導体;アニリン、o-クロロアニリン、m-クロロアニリン、p-クロロアニリン、o-メトキシアニリン、m-メトキシアニリン、p-メトキシアニリン、o-エトキシアニリン、m-エトキシアニリン、p-エトキシアニリン、o-メチルアニリン、m-メチルアニリン及びp-メチルアニリン等のアニリン誘導体;チオフェン、3-メチルチオフェン、3-n-ブチルチオフェン、3-n-ペンチルチオフェン、3-n-ヘキシルチオフェン、3-n-ヘプチルチオフェン、3-n-オクチルチオフェン、3-n-ノニルチオフェン、3-n-デシルチオフェン、3-n-ウンデシルチオフェン、3-n-ドデシルチオフェン、3-メトキシチオフェン、3-ナフトキシチオフェン及び3,4-エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられ、好ましくはピロール、アニリン、チオフェン及び3,4-エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
本発明のめっき用の下地塗料に含まれる導電性又は還元性高分子微粒子は、無電解めっき法により金属めっき膜を形成するに際し、導電性又は還元性高分子微粒子上にパラジウムなどの触媒金属を還元・吸着させ、その後、パラジウムなどの触媒金属が吸着された導電性又は還元性高分子微粒子を起点として金属めっき膜を形成することができるものである。
また、基材上に、めっき用の下地塗料を塗布することによりめっき下地塗膜層を形成する際、導電性又は還元性高分子微粒子としては、例えば導電性高分子微粒子であっても、還元性高分子微粒子であっても使用することができる。そして、導電性高分子微粒子と合成樹脂を含むめっき用の下地塗料を基材上に塗布してめっき下地塗膜層を形成させた場合、その後、後述する脱ドープ処理を行ってから、触媒金属を還元・吸着させるのがよい。
尚、無電解めっき法により金属めっき膜が形成されためっき物の時点では、導電性又は還元性高分子微粒子上にパラジウムなどの触媒金属が還元・吸着されるため、導電性高分子微粒子となる。
(導電性高分子微粒子)
上記の導電性高分子微粒子とは、導電性を有する粒子であって、具体的には、0.01S/cm以上の導電率を有する微粒子である。
また、導電性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10~100nmとするのが好ましい。
導電性高分子微粒子としては、例えば、導電性を有するπ-共役二重結合を有するポリピロールやポリピロールの誘導体も使用できる。また、π-共役二重結合を有するピロールモノマーから合成して使用することができるが、市販で入手できる導電性ポリピロール微粒子を使用することもできる。
(還元性高分子微粒子)
上記の還元性高分子微粒子としては、例えば、0.01S/cm未満の導電率を有するπ-共役二重結合を有するポリピロールやポリピロールの誘導体も使用できる。
還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有するポリピロール微粒子が好ましい。
還元性高分子微粒子は、π-共役二重結合を有するモノマーから合成して使用することができるが、市販で入手できる還元性ポリピロール微粒子を使用することもできる。
また、還元性高分子微粒子としては、球形の微粒子であるものが挙げられ、その平均粒径(レーザー回析/散乱法により求められる値)は、10~100nmとするのが好ましい。
<合成樹脂>
本発明に使用する合成樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ(N-ビニルカルバゾール) 樹脂、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
また、合成樹脂はガラス転移温度(Tg)が30℃以下の合成樹脂を後述するめっき下地塗膜層の合成樹脂中に、15質量%以上含むことが好ましい。15質量%未満であると、めっき下地塗膜層を形成後に該めっき下地塗膜層にクラックが生じる虞がある。また、塗膜層付き基材と金属めっき膜との密着性が低下すると共に、塗膜層付き基材の延伸性が低下する虞がある。
(無機フィラー)
本発明に使用する無機フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
(溶媒)
本発明のめっき用の下地塗料には、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機フィラーに加えて、溶媒を含み得る。
前記下地塗料に含み得る溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエンやキシレン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトンやシクロヘキサノン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n-オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n-オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。尚、導電性又は還元性高分子微粒子として、あらかじめ有機溶媒に分散された分散液を使用する場合は、分散液に使用されている有機溶媒をめっきの用の下地塗料の溶媒の一部又は全部として使用することができる。
更に、前記下地塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、顔料、染料、無機物等の充填剤を加えることも可能である。
(各種含有量)
導電性又は還元性高分子微粒子の含有量は、固形分比で合成樹脂100質量部に対して導電性又は還元性高分子微粒子が5質量部以上19質量部以下であり、7質量部以上11質量部以下であることが好ましい。当該含有量が19質量部を超えると、後述する塗膜層付き基材と金属めっき膜との間で剥離が極めて起こり易くなり、良好な密着性が得られない。加えて、塗膜層付き基材を延伸した際に断線する虞がある。5質量部未満であるとめっき析出性が著しく低下する虞がある。導電性又は還元性高分子微粒子の含有量が7質量部以上11質量部以下であると、塗膜層付き基材と金属めっき膜との密着性や塗膜層付き基材のめっき析出性により優れる。加えて、塗膜層付き基材を高い倍率で延伸した際においても断線せずに延伸することができる。
無機フィラーの含有量は、固形分比で合成樹脂100質量部に対し11質量部以上45質量部以下であり、16質量部以上27質量部以下が好ましい。当該含有量が45質量部を超えると、後述する塗膜層付き基材と金属めっき膜との間で剥離が極めて起こり易くなり、良好な密着性が得られない。加えて、塗膜層付き基材を延伸した際に断線する虞がある。11質量部未満であるとめっき析出性が著しく低下する虞がある。16質量部以上27質量部以下であると、塗膜層付き基材と金属めっき膜との密着性や塗膜層付き基材のめっき析出性により優れる。加えて、塗膜層付き基材を高い倍率で延伸した際においても断線せずに延伸することができる。
<めっき下地塗膜層>
本発明のめっき下地塗膜層は、導電性又は還元性高分子微粒子と合成樹脂と無機フィラーを含むめっき用の下地塗料を基材上に印刷することで得られる。
印刷の方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、パッド印刷、インクジェット印刷などが挙げられるが、50μm以下の細線印刷においては、グラビアオフセット印刷とスクリーン印刷であることが好ましく、スクリーン印刷であることがより好ましい。
また、当該めっき用の下地塗料を基材上に印刷する際は、線幅50μm以下のパターン状であることが好ましい。
<基材>
基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスが挙げられ、立体成形する際は適宜選択すればよい。
めっき下地塗膜層の厚みは、特に限定されないが、0.1μm以上100μm以下の範囲であることが好ましい。めっき下地塗膜層の厚みが0.1μm未満であると、めっき下地塗膜層(塗膜層付き基材)を設けた基材と金属めっき膜との密着性が低下すると共にめっき析出性が低下する恐れがあり、めっき下地塗膜層の厚みが100μmを超えると塗膜層付き基材と金属めっき膜との密着性が低下する虞がある。
<塗膜層付き基材の延伸>
本発明の塗膜層付き基材は、延伸して立体成形することが可能である。尚、本発明における塗膜層付き基材とは、本発明のめっき用の下地塗料からなるめっき下地塗膜層が基材上に形成されてなるものである。また、本発明における延伸とは、塗膜層付き基材を所定倍率に引き延ばすことである。
本発明における延伸率は、(延伸前の塗膜層付き基材の厚み/真空成型によって延伸された後の塗膜層付き基材の厚み)×100[%]で示したものである。
具体的には、塗膜層付き基材を、金型を用いた真空成型にて延伸し、延伸後の塗膜層付き基材の厚みを測定し、該延伸率を算出することができる。
尚、本発明における立体成形とは、真空成型、プレス成型、圧空成形等を施すことにより、塗膜層付き基材を立体成形(三次元化)するものである。
また、本発明のめっき用の下地塗料を用いれば、延伸率が100%以上1000%未満においても塗膜層付き基材が断線せずに延伸することができる。
<めっき物の製造方法>
本発明は、上記めっき下地塗膜層上に無電解めっき法にて金属めっき膜が形成されてなるめっき物である。めっき物が立体形状の場合、塗膜層付き基材を立体成形した後、めっきを施せばよい。
めっき物の製造方法としては、まず、塗膜層付き基材を必要に応じてアルカリ性の脱ドープ処理液で処理する。また、脱ドープ処理された基材を、塩化パラジウム等の触媒金属を付与させるための触媒液に浸す。そして、塩化パラジウム等の触媒金属付与された基材に、金属を析出させるためのめっき液に浸すことでめっき物が得られる。
(脱ドープ)
導電性高分子微粒子を用いた際のめっき物の製造方法について以下に説明する。尚、還元性高分子微粒子を用いる際は、当該脱ドープは不要である。
まず、塗膜層付き基材をアルカリ性の脱ドープ処理液で処理する。尚、アルカリ性とはパーソナルpHメーター計(横河電気(株)製)で測定した値が10のものを示す。具体的には、基材上に、導電性ポリピロール微粒子と合成樹脂を含むめっき用の下地塗料を塗布して形成されためっき下地塗膜層を還元性から導電性に脱ドープ処理するものである。脱ドープ処理としては、脱ドープ処理液に塗膜層付き基材を浸漬け処理する方法が挙げられる。例えば、pHが10のアルカリ性である脱ドープ処理液中で、20℃以上70℃以下、好ましくは30℃以上40℃以下の温度で、1分間以上30分間以下、好ましくは3分間以上10分間未満で処理される。
(触媒付与)
また、脱ドープ処理された塗膜層付き基材を、塩化パラジウム等の触媒金属を付与させるための触媒液に浸す。触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。具体的な触媒液としては、0.05wt%塩化パラジウム-0.005wt%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。上記の操作により、めっき下地塗膜層中の還元性ポリピロール微粒子は、触媒金属を吸着されることにより、導電性ポリピロール微粒子となる。
(金属析出)
そして、塩化パラジウム等の触媒金属付与された塗膜層付き基材を、金属を析出させるためのめっき液に浸すことで金属めっき膜を形成してなるめっき物が得られる。めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。無電解銅めっき液の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)等が挙げられる。処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし60分、好ましくは、10ないし30分である。得られためっき物は、使用した基材のTgより低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
(抵抗値)
本発明のめっき物の細線が断線していないか確認するために、抵抗値を測定した。該金属めっき膜の抵抗値が1.0×103Ω/cm未満であることが好ましく、5.0×101Ω/cm未満であることがより好ましい。抵抗値が1.0×103Ω/cm未満であることでセンサー等の電極部材として駆動でき、抵抗値が5.0×101Ω/cm未満であることでセンサー等の電極部材としての感度が良好となる。
(剥離強度)
本発明におけるめっき物において、塗膜層付き基材と金属めっき膜との剥離強度としては、0.3N/mm以上であることが好ましく、0.6N/mm以上であることがより好ましい。剥離強度が0.3N/mm以上であると、線幅50μm以下の細線印刷をおこなった際に、塗膜層付き基材と金属めっき膜との密着性が優れるため、塗膜層付き基材を延伸した際に断線せずに延伸することができる。
また、剥離強度が0.6N/mm以上であると、線幅50μm以下の細線印刷をおこなった際に、塗膜層付き基材と金属めっき膜との密着性がより優れるため、塗膜層付き基材を延伸した際に断線せずにより延伸することができる。
実施例に基づき、本発明について説明する。表1中におけるめっき用の下地塗料の成分である、還元性高分子微粒子、合成樹脂、無機フィラーについては、以下の実施例に示すとおりである。尚、表1中の材料の配合を示す数値の単位は、質量部である。
製造例1:めっき用の下地塗料Aの調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT-P(花王株式会社)0.42mmol、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系ノニオン界面活性剤エマルゲン409P(花王株式会社)2.1mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6.0mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリピロール微粒子を得た。尚、得られたトルエン分散液中の還元性ポリピロール微粒子の固形分は、5.0%であった。
別途、合成樹脂:[VYLON23CS:ポリエステル系(東洋紡績株式会社製)]と無機フィラー:[ブラック#5500:カーボンブラック(東海カーボン株式会社製)]との固形分比が、合成樹脂100質量部に対して無機フィラーが45質量部となるように配合し、プレ攪拌後、3本ロールミルにて分散させておいた。
次に、先に調製した還元性ポリピロール微粒子分散液に、あらかじめ調製した合成樹脂及び無機フィラーを含む分散液を、固形分比で合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:19:45になるように配合し、攪拌、脱泡をおこない、めっき用の下地塗料Aを調製した。
製造例2:めっき用の下地塗料Bの調製
固形分比で、合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:14:34になるように配合した以外は、製造例1と同様の方法にてめっき用の下地塗料Bを調製した。
製造例3:めっき用の下地塗料Cの調製
固形分比で、合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:11:27になるように配合した以外は、製造例1と同様の方法にてめっき用の下地塗料Cを調製した。
製造例4:めっき用の下地塗料Dの調製
固形分比で、合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:9:22になるように配合した以外は、製造例1と同様の方法にてめっき用の下地塗料Dを調製した。
製造例5:めっき用の下地塗料Eの調製
固形分比で、合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:7:16になるように配合した以外は、製造例1と同様の方法にてめっき用の下地塗料Eを調製した。
製造例6:めっき用の下地塗料Fの調製
固形分比で、合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:5:11になるように配合した以外は、製造例1と同様の方法にてめっき用の下地塗料Fを調製した。
製造例7:めっき用の下地塗料Gの調製
固形分比で、合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:33:80になるように配合した以外は、製造例1と同様の方法にてめっき用の下地塗料Gを調製した。
製造例8:めっき用の下地塗料Hの調製
固形分比で、合成樹脂:導電性又は還元性高分子微粒子:無機フィラー=100:4:10になるように配合した以外は、製造例1と同様の方法にてめっき用の下地塗料Hを調製した。
製造例で得られた塗料A~Hについて、めっき析出性と密着性の評価を、後述する方法にて評価した。尚、評価結果を表1に示す。また、塗料Hはめっき析出性の評価が「×」であったため、密着性の評価はおこなわなかった。
(めっき析出性)
厚み0.5mmのPCフィルム(帝人化成株式会社のパンライトPC1151:ポリカーボネートフィルム)を用い、上記調製しためっき用の下地塗料A~Hをスクリーン印刷機にて、厚み3.0μm、L/S=50μm/50μmの細線パターンにて印刷し、次いで得られた塗膜層付き基材を無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴に35℃で20分間の条件で浸し、線幅50μmの金属めっき膜(銅めっき膜)が形成されためっき物を得た。得られためっき物のめっき下地塗膜層に対して、金属めっき膜が形成されている割合を目視にて確認し、めっき析出性を評価した。
・めっき下地塗膜層全表面にめっきが析出した …〇
・めっき下地塗膜層の一部分にめっきが析出しない箇所があった …△
・めっき下地塗膜層の大半にめっきが析出しない箇所があった …×
(密着性)
厚み0.5mmのPCフィルム(帝人化成株式会社のパンライトPC1151:ポリカーボネートフィルム)を用い、上記調製しためっき用の下地塗料A~Hを、厚み0.30μmに塗工して、次いで得られた塗膜層付き基材を無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴に35℃で20分間の条件で浸し、その後電気めっきをおこない、厚み30μmの金属めっき膜(銅めっき膜)が形成されためっき物を得た。得られためっき物の金属めっき膜を5.0×12.0cmの長方形状に切り取ったものを試験片とし、該試験片に5.0mm幅の切れ目をカッターナイフで入れ込み、引張試験機(今田製作所製:SV-52NA-5HH)を用いて引張速度50mm/minの条件で、180°方向に剥がした際の応力(N/mm)を、JIS C 6471-1995に準拠して剥離強度を測定した。
尚、本発明では0.3N/mm以上の剥離強度を有するものを、密着性が優れるめっき用の下地塗料として採用した。
(実施例1)
基材として、厚み0.5mmのPCフィルム(帝人化成株式会社のパンライトPC1151:ポリカーボネートフィルム)を用い、上記調製しためっき用の下地塗料Aをスクリーン印刷機にて、L/S=50μm/50μmの細線パターンを印刷し、100℃の熱風オーブンで10分間加熱乾燥させて、めっき下地塗膜層の厚みが3.0μmの塗膜層付き基材を得た。
続いて、塗膜層付き基材を、延伸率が140%、250%、330%、530%となるよう設計された各種金型を用いて真空成型した。
そして、成形後の塗膜層付き基材を、0.05%塩化パラジウム-0.005%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、洗浄水で水洗した。次に、該フィルムを無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)製)に35℃で20分間浸漬し、洗浄水で水洗いした後、水分を乾燥させて、金属めっき膜が形成されためっき物が得られた。
(実施例2)
めっき用の下地塗料Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金属めっき膜が形成されためっき物が得られた。
(実施例3)
めっき用の下地塗料Cを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金属めっき膜が形成されためっき物が得られた。
(実施例4)
めっき用の下地塗料Dを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金属めっき膜が形成されためっき物が得られた。
(実施例5)
めっき用の下地塗料Eを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金属めっき膜が形成されためっき物が得られた。
(実施例6)
めっき用の下地塗料Fを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金属めっき膜が形成されためっき物が得られた。
(比較例1)
めっき用の下地塗料Gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、金属めっき膜が形成されためっき物が得られた。
(比較例2)
めっき用の下地塗料Hを用いた以外は、実施例1と同様の方法にておこなったが、めっきが析出されず、めっき物が得られなかった。
実施例1~6、比較例1で得られためっき物について、抵抗値を測定して、その結果を表2に示す。
尚、比較例1は塗膜層付き基材に分断が生じてしまったため、抵抗値が1.0×10以上となり、抵抗値の評価を「×」とした。また、比較例2はめっき物が得られなかったため、延伸後の抵抗値も測定できないため「延伸後の抵抗値」には「-」と示した。
(抵抗値)
実施例1~6、比較例1で得られためっき物を、デジタルマルチメーター(株式会社カスタム、CDM-2000D)を用いて該金属めっき膜1.0cm間の抵抗値を測定した。
・抵抗値が5.0×10Ω/cm未満 …〇
・抵抗値が5.0×10Ω/cm以上1.0×10Ω/cm未満 …△
・抵抗値が1.0×10Ω/cm以上 …×
Figure 2023048594000001
Figure 2023048594000002
実施例より、本発明のめっき用の下地塗料は、線幅50μm以下の細線印刷を可能にすると共に、線幅50μm以下の細線印刷後のめっき析出性や密着性に優れることが確認された。
また、本発明のめっき用下地塗料は、塗膜層付き基材を立体成形後、無電解めっき法により得られためっき物の抵抗値が「5.0×101Ω/cm未満」または「5.0×101Ω/cm以上1.0×10Ω/cm未満」であったことから、塗膜層付き基材を延伸しても、めっき下地塗膜層が断線することのないめっき用の下地塗料を提供することが確認された。
加えて、立体成形しても断線しない塗膜層付き基材およびめっき物の製造方法を提供することができた。
本発明のめっき用の下地塗料は、平面タッチセンサー、メタルメッシュ、微細回路、アンテナ、コイルなどに用いることができる。また、立体成形と組み合わせることで曲面タッチセンサーや立体回路等として使用することができる。
























Claims (3)

  1. 立体形状のめっき物を形成するためのめっき用の下地塗料であり、
    前記めっき用の下地塗料は、導電性又は還元性の高分子微粒子、合成樹脂、無機フィラーを含み、
    前記導電性又は還元性の高分子微粒子の含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して5質量部以上19質量部以下であり、
    前記無機フィラーの含有量は固形分比で、合成樹脂100質量部に対して11質量部以上45質量部以下にすることを特徴とするめっき用の下地塗料。
  2. 前記請求項1記載のめっき用の下地塗料からなるめっき下地塗膜層が基材上に形成されてなることを特徴とする塗膜層付き基材。
  3. 前記請求項2記載の塗膜層付き基材を立体成形した後に、無電解めっきを施すことを特徴とするめっき物の製造方法。




















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