JP2011190483A - 金属積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】精度の高い回路が要求される電子回路に好適に用いることのできる、金属めっき膜厚みが均一である金属積層板を提供する。
【解決手段】ポリエステルなどの樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に、カチオン性のポリチオフェンとポリアニリンを含む導電性高分子(A)とアルキレン基を有する水溶性化合物(B)とを構成成分として含む透明導電塗膜層が積層された導電性フィルムの該透明導電塗膜層上に、無電解めっき法により形成された金属めっき膜を設けた金属積層板。
【選択図】なし

Description

本発明は金属積層板に関する。特には、電子回路に好適に用いることができる金属積層板に関する。
基材上に導電性高分子層を形成し、該導電性高分子層上にめっきを施すことにより電気回路を作製する無電解めっき法が幾つか提案されている。
特許文献1は、基板上に光照射によりモノマーの酸化重合性が消失または減少する性質を持つ酸化剤を含む触媒層を形成し、該触媒層上で導電性高分子を重合した後に、該導電性高分子上に無電解めっき液から金属膜を化学めっきする方法を開示している。
特許文献2は、金属化される物質がポリアニリンを含有する被覆を施され、ポリアニリンが還元により活性化され、及び、被覆を施された物質を金属のイオン含有溶液と接触せしめることにより、非電気化学的方法で金属が物質に付着されることを特徴とする金属化物質の製造方法を開示している。
特許文献3は、非導電性基板表面をエッチングし、過マンガン酸塩を含む処理溶液で処理し、過酸化物を含む活性化溶液で処理し、次いでチオフェン誘導体を含む触媒溶液で処理し、その上に電気めっきを施して非導電性基板表面に直接金属層を形成する方法を開示している。
しかしながら、いずれも基材と金属めっき膜との密着性が低く、問題となっている。
そこで、特許文献4は、基材と金属めっき膜との密着性を向上すべく、基材の表面に導電性高分子粒子とバインダーとを含む塗膜層を形成し、該塗膜層上に無電解めっき法により金属めっき膜を形成する方法を提唱している。
特開平7−336022号公報 特表平10−511433号公報 特開2008−1972号公報 特開2008−190026号公報
一方、近年の電子回路においては、高周波が用いられるようになり、取り扱う情報量が多くなってきており、情報の伝送損失の問題がより重要視されてきている。そのため、回路の精度がより高まっており、新たに金属めっき膜厚みの均一性が要求さるようになってきた。例えば、特許文献4に開示されているめっき物は、金属めっき膜の表面に露出部(ムラ)がないという意味での均一性は比較的高いものであるが、近年の電子回路における要求に対しては未だ不十分である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属めっき膜厚みが均一である金属積層板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、カチオン性のポリチオフェンおよびポリアニオンを含む導電性高分子とともに、特定の構造を有する水溶性化合物を構成成分として含む透明導電塗膜層を形成し、その上に無電解めっき法により金属めっき膜を設けることによって、密着性に優れかつ均一な金属めっき膜が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)基材フィルムの少なくとも片面に、
(i)下記式(I)で表される繰り返し単位を主成分として含有するカチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、および
(ii)導電性高分子100質量部に対して0.1質量部以上1000質量部以下の、下記式(II)で表される水溶性化合物(B)
を構成成分として含む透明導電塗膜層が積層された導電性フィルムの該透明導電塗膜層上に、無電解めっき法により形成された金属めっき膜を有する金属積層板。
Figure 2011190483
(式(I)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基を表す。)
Figure 2011190483
(式(II)中、Aは炭素数2〜20のアルキレン基を表す。nは1〜1500の整数を表す。RおよびRは水素原子か炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
である。
さらに本発明は、
(2)透明導電塗膜層が、導電性高分子100質量部に対して40〜1500質量部の、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ポリエステル樹脂およびウレタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂成分(C)を含むこと、
(3)前記無電解めっき法により形成された金属めっき膜の上に、さらに電気めっき法により形成された金属めっき膜を有すること、
のうち少なくともいずれか1つの態様を具備することによってさらに優れた金属積層板を得ることができる。
本発明によれは、金属めっき膜厚みが均一である金属積層板を提供することができる。また、本発明の金属積層板を電子回路用途に用いた場合は、伝送損失が小さくなるため、高周波対応の電子回路用途であっても好適に用いることができ、より多くの情報量を取り扱うことができる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、基材フィルムと金属めっき膜との密着性に優れた金属積層板を提供することができ、電子回路用途においてさらに優れた特性を示す。
<金属積層板>
本発明の金属積層板は、基材フィルムの少なくとも片面に、導電性高分子(A)、および水溶性化合物(B)を構成成分として含む透明導電塗膜層が積層され、さらにその上に、金属めっき膜が形成されたものである。
<透明導電塗膜層>
本発明における透明導電塗膜層は、カチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、および水溶性化合物(B)を必須構成成分として含有する。以下、透明導電塗膜層の各構成成分について説明する。
(導電性高分子(A))
本発明における透明導電塗膜層は、必須構成成分として導電性高分子(A)を含有する。これにより、透明導電塗膜層の上にめっきを析出させることが可能となる。導電性高分子(A)は、カチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを必須構成成分として含むものである。本発明に用いられる導電性高分子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアニオンの水溶液中において、カチオン性のポリチオフェンのモノマーとなる物質を酸化重合することにより得ることができる。
本発明におけるカチオン性のポリチオフェンは、下記式(I)で表される3,4−ジ置換チオフェンを繰り返し単位の主成分として含有する。
Figure 2011190483
ここで、上記式(I)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。あるいは、RおよびRは、一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基を表す。RおよびRが、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基である場合には、RおよびRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。RおよびRが、一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基である場合には、かかる炭素数1以上12以下のアルキレン基としては、例えばメチレン基、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、2,3−ブチレン基、1,2−シクロヘキシレン基等のアルキレン基が挙げられる。中でも特に、メチレン基、1,2−エチレン基、1,2−プロピレン基、2,3−ブチレン基等のα,β−アルキレン基が好ましい。このようなα,β−アルキレン基としては、例えばエテン、プロペン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、およびスチレン等のα−オレフィン類を臭素化して得られる1,2−ジブロモアルカン類から誘導することができる。また、上記アルキレン基における置換基としては、炭素数1以上12以下のアルキル基およびフェニル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
本発明におけるカチオン性のポリチオフェンは、上記式(I)で表される3,4−ジ置換チオフェンのみを繰り返し単位としていてもよいし、あるいは、3,4−ジ置換チオフェンを繰り返し単位の主成分として含有し、これと重合可能な他のモノマーを従成分として含有するものであってもよい。ここで「主成分」とは、カチオン性のポリチオフェンを構成する繰返し単位全体に対して、上記式(I)で表される3,4−ジ置換チオフェンを繰り返し単位とする部分が50モル%より大きく100モル%の範囲であることを意味する。
以上のようなポリチオフェンは、カチオン性を示すものである。このようなカチオン性を示すポリチオフェンは、例えば、特開平1−313521号公報に記載の方法により、モノマーである3,4−ジ置換チオフェンを酸化重合することにより得ることができる。
本発明におけるポリアニオンは、特に限定されるものではない。例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等の高分子状カルボン酸類、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等の高分子状スルホン酸類等が挙げられる。
かかる高分子状カルボン酸類および高分子状スルホン酸類等のポリアニオンは、1種類のアニオン性モノマーのみからなる単独重合体であってもよいし、あるいは、複数種のアニオン性モノマーからなる共重合体であってもよいし、さらには、アニオン性モノマーと当該モノマーと共重合可能な他のモノマー類との共重合体であってもよい。アニオン性モノマーと共重合可能な他のモノマー類としては、例えば、アクリレート類、スチレン類等を挙げることができる。ポリアニオンが共重合体である場合には、少なくとも1種類のアニオン性モノマーが共重合成分として含まれていればよい。
本発明におけるポリアニオンとしては、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、および少なくとも一部が金属塩となっているポリスチレンスルホン酸が特に好ましく、導電性の向上効果に優れる。
なお、ポリアニオンの数平均分子量Mnは、1×10以上2×10以下の範囲が好ましく、2×10以上5×10以下の範囲がより好ましい。
(水溶性化合物(B))
本発明における透明導電塗膜層は、下記式(II)で表される水溶性化合物(B)を含有する。
Figure 2011190483
ここで、上記式(II)中、Aは炭素数2〜20のアルキレン基を表す。かかる炭素数は、好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3である。かかるアルキレン基としては、エチレン基、n−またはi−プロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。上記式(II)中、Aで表わされるアルキレン基は、水溶性化合物(B)が水溶性を示す範囲であれば、複数種類の組み合わせでもよく、上記アルキレン基によるランダム共重合体でもよいし、ブロック共重合体でもよいし、グラフト共重合体であってもよい。なお、ここで水溶性とは、アルコールを30質量%以下、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下含んでいても良い水に完全に溶解できることを示す。また、nは1〜1500の整数を表す。かかるnの値は、1〜1000が好ましく、1〜500がさらに好ましく、1〜100が特に好ましい。また、RおよびRは水素原子か、炭素数1〜10のアルキル基を表す。かかる炭素数は、好ましくは1〜6である。かかるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましい。特に、RおよびRは、水素原子であることが好ましい。
水溶性化合物(B)が上記のごとく態様であると、金属めっき膜の均一性に優れる。
本発明における水溶性化合物(B)の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる、また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。また、これらにおいて、ジエチレングリコール構造の部分をトリエチレングリコール等のオリゴエチレングリコールや、ポリエチレングリコールとしたものを挙げることができる。
本発明における水溶性化合物(B)の含有量は、導電性高分子(A)100質量部に対して0.1質量部以上1000質量部以下である。含有量が上記数値範囲であると、基材フィルムと金属めっき膜との密着性および均一性に優れる。また、透明導電塗膜層表面における中心面平均表面粗さRaを、後述する範囲とすることができる。このような観点から、含有量は、好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは100〜300質量部、特に好ましくは140〜210質量部である。
(樹脂成分(C))
本発明における透明導電塗膜層は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ポリエステル樹脂、およびウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂成分(C)を含有することが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分として、例えばテレルタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸等、また、グリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA・アルキレンオキシド付加物等を用いたポリエステルを挙げることができる。なかでもこれらの成分を含有する共重合ポリエステルが好ましい。とりわけ、5−Naスルホイソフタル酸および/または5−Kスルホイソフタル酸が共重合されているものが好ましい。かかる成分の共重合量は、合計で、ポリエステルにおけるジカルボン酸成分100モル%に対して、好ましくは1〜10モル%であり、さらに好ましくは2〜8モル%である。また、ヘキサメチレングリコールが共重合されているものが好ましい。かかる成分の共重合量は、ポリエステルにおけるジカルボン酸成分100モル%に対して、好ましくは10〜30モル%であり、さらに好ましくは15〜25モル%である。ポリエステル樹脂がこれらの成分を含有することによって、基材フィルムと金属めっき膜との密着性の向上効果を大きくすることができる。なお、ポリエステル樹脂の二次転移温度は20〜150℃が好ましい。このようなポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を主成分として用い、グリコール成分を二次転移温度が上記範囲となるように適宜選択組み合わせることにより容易に得ることができる。
かかるポリエステル樹脂は常法により製造することができ、透明導電塗膜層の耐削れ性および耐ブロッキング性の点から、その重量平均分子量は10,000〜50,000の範囲であることが好ましい。
アクリル樹脂としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、クロトン酸エチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル系単量体を含む共重合体を挙げることができる。
このアクリル樹脂は、上記のアクリル酸エステル系単量体の少なくとも1種の他に、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ソーダ、メタクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニウム、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド等の他のアクリル系単量体を共重合成分として含んでいてもよく、また、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルエーテル、ブタジエン、イソプレン、ビニルスルホン酸ソーダ等のアクリル系以外の単量体を共重合成分として含んでいてもよい。
なお、このアクリル樹脂には、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−メチロールアクリルアミド等の親水性単量体を共重合成分として含んでいることが好ましく、透明導電塗膜層を形成するためのコーティング組成物を水性塗液とする場合において、分散性や溶解性が良好となる。また、アクリル樹脂の分子側鎖に種々の官能基を導入した共重合体であってもよい。
アクリル−ポリエステル樹脂としては、枝成分がアクリル系共重合体であり幹成分がポリエステル系共重合体であるグラフト共重合体のごとくアクリル変性ポリエステル樹脂、枝成分がポリエステル系共重合体であり幹成分がアクリル系共重合体であるグラフト共重合体のごとくポリエステル変性アクリル樹脂、あるいはそれらの混合物からなる樹脂を挙げることができる。アクリル変性ポリエステル樹脂としては、例えば特開昭63−37937、特開平11−198327等に記載されているものを使用することができる。また、ポリエステル変性アクリル樹脂としては、例えば特開昭63−34139、特開平11−198326等に記載されているものを使用することができる。これらのアクリル−ポリエステル樹脂のうち、アクリル変性ポリエステル樹脂が好ましく、中でもアクリル系共重合体成分100モル%に対して、グリシジル基を有する(メタ)アクリレートを3モル%以上15モル%以下、さらに好ましくは5モル%以上10モル%以下含有するアクリル系共重合体を側鎖として有し、ポリエステル系共重合体成分における酸成分100モル%に対して、イソフタル酸を30モル%以上50モル%以下、さらに好ましくは35モル%以上45モル%以下と、ジエチレングリコールを15モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上30モル%以下とが共重合されたポリエステル系共重合体を主鎖として有するアクリル変性ポリエステル樹脂が、基材フィルムと金属めっき膜との密着性の向上効果を大きくすることができるという観点から特に好ましい。
ウレタン樹脂としては、例えば脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステル、ジイソシアネート、ジアミン、グリコール、ジメチロールプロピオン酸塩等から製造される、二次転移温度が20〜150℃のポリウレタン樹脂を挙げることができる。かかるポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、基材フィルムと金属めっき膜との密着性の向上効果を大きくする、また透明導電塗膜層の耐削れ性および耐ブロッキング性の点から5,000〜50,000の範囲であることが好ましい。
なお、二次転移温度が20〜150℃のポリウレタン樹脂は、前記ポリエーテルまたはポリエステルに適宜芳香族成分を含有させるか、芳香族ジイソシアネートを用いるか、ジイソシアネート、アルキレンジアミン、アルキレングリコール、ジメチロールプロピオン酸塩等の使用量を制御することにより容易に得ることができる。
以上に説明した樹脂成分(C)は、それぞれ単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても構わない。なお、かかる樹脂成分(C)は、水または水を主成分とする溶液に分散した水分散液または水溶化した水溶液の状態で使用するのが取扱い性の点から好ましい。また、得られる透明導電塗膜層の耐水性と耐ブロッキング性を改善するため、メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、ポリイソシアネートから選ばれた少なくとも1種類の架橋剤を含有させても構わない。
かかる樹脂成分(C)の、透明導電塗膜層における含有量は、導電性高分子100質量%に対して、好ましくは40〜1500質量部である。透明導電塗膜層が上記含有量の樹脂成分(C)を含有することによって、基材フィルムと金属めっき膜との密着性の向上効果を大きくすることができる。また、透明導電塗膜層の耐溶剤性により優れる。このような観点から、樹脂成分(C)の含有量は、導電性高分子100質量%に対して、よりに好ましくは50〜1000質量部、さらに好ましくは50〜200質量部、特に好ましくは50〜160質量部である。
(アルコキシシラン化合物(D))
本発明における透明導電塗膜層は、透明導電塗膜層の強度や基材フィルムとの密着性を向上させる目的で、アルコキシシラン化合物を任意成分として含有することができる。なお、アルコキシシラン化合物は、加水分解され、その後縮合反応により形成された反応生成物の形態で透明導電塗膜層中に存在する。
透明導電塗膜層に含有されるアルコキシシラン化合物としては、アルコキシル基以外の反応性官能基を有しないものを用いてもよく、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルコキシル基以外の反応性官能基を有するトリアルコキシシランを用いてもよい。これらの中では、透明導電塗膜層の強度をより高くすることができるという観点から、エポキシ基を有するアルコキシシランが特に好ましく、このようなアルコキシシラン化合物としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
このようなアルコキシシラン化合物の含有量は、導電性高分子の固形分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上500質量部以下、さらに好ましくは25質量部以上100質量部以下、特に好ましくは30質量部以上50質量部以下である。含有量が上記数値範囲にあると、透明導電塗膜層の強度および導電性の向上効果を大きくすることができる。また、基材フィルムと金属めっき膜との密着性および均一性の向上効果を大きくすることができる。含有量が少なすぎる場合は、強度の向上効果が低くなる傾向にある。他方、多すぎる場合は、表面抵抗値が高くなる傾向にあり、導電性に劣る傾向にある。
また、このようなアルコキシシラン化合物の加水分解および縮合を効率よく進行させる目的で、アルコキシシラン化合物には触媒を併用することが好ましい。触媒は、酸性触媒または塩基性触媒のいずれであってもよい。
(透明導電塗膜層に含まれるその他の成分)
本発明における透明導電塗膜層には、本発明の効果が損なわれない範囲内で、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、透明導電剤、核剤等を配合してもよい。
<基材フィルム>
本発明における基材フィルムは、特に制限されるものではないが、例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ならびにこれらのブレンド体および共重合体、ならびにフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂等からなるシート、フィルム、あるいは不織布を挙げることができる。
中でも、二軸配向したポリエステルフィルムは、機械的特性、寸法安定性、耐熱性、電気的特性等に優れている観点から好ましく用いることができ、とりわけ、機械的特性、耐熱性、寸法安定性に優れていることから、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが特に好ましい。
なお、基材フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、500μm以下であることが好ましい。500μmより厚い場合には、基材フィルムの剛性が高すぎて、導電性フィルムをディスプレイ等に貼付ける際等の取扱い性に劣る傾向にある。
(表面処理)
基材フィルムは、塗剤を塗布する前に、密着性や塗工性等を向上させることを目的として、必要に応じて基材フィルムに表面処理を施すことが好ましい。かかる表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の物理的表面処理、あるいは、製膜中または製膜後に有機樹脂系または無機樹脂系の塗料を塗布して、塗膜密着層を形成する化学的表面処理を挙げることができる。
塗料を塗布して塗膜密着層を形成する場合、かかる塗膜密着層は、ポリエステル樹脂、およびオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂の両方を構成成分として含むものが好ましい。これら成分の好ましい混合比率は、ポリエステル樹脂が5〜95質量%、オキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂が5〜90質量%であり、密着性により優れる。かかる塗膜密着層には、滑性を付与するために、さらに脂肪族ワックスやフィラーを含有させることが好ましい。これら成分の好ましい混合比率は、脂肪族ワックスが0.5〜30質量%、フィラーが0.1〜20質量である。
塗膜密着層の厚みは、0.01〜0.3μmであることが好ましく、密着性と耐ブロッキング性とのバランスにより優れる。
塗膜密着層は、公知の塗布方法により形成することができるが、未延伸フィルム、または一軸延伸フィルムに塗布した後に、縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施す、所謂インラインコーティング法により形成することが好ましい。
<導電性フィルムの製造方法>
(透明導電塗膜層を形成するためのコーティング組成物(塗剤))
本発明における透明導電塗膜層は、透明導電塗膜層を形成するためのコーティング組成物(以下、塗剤と呼称する場合がある。)を、透明導電塗膜層を形成したい層の上に塗布し、乾燥することにより形成される。ここで、塗剤としては、上記のカチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、水溶性化合物(B)、任意成分としての樹脂成分(C)、任意成分としてのアルコキシシラン化合物(D)、任意成分としての透明導電塗膜層に含まれるその他の成分、および後述する塗剤の性能を向上させるための任意成分を、水に分散させた水分散液を用いる。
かかる塗剤の性能を向上させるための任意成分としては、溶剤や界面活性剤を挙げることができる。以下、塗剤の性能を向上させるための任意成分について説明する。
本発明における塗剤には、上記の透明導電塗膜層を構成する各成分を溶解させることを目的として、もしくは、基材フィルムへの濡れ性を向上させることを目的として、あるいは、塗剤の固形分濃度を調整すること等を目的として、分散媒である水と相溶性のある適当な溶媒を、乾燥工程が許容する範囲で添加することができる。このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、およびジオキサン、ならびにこれらの混合溶媒等を挙げることができる。さらに、沸点が150℃以上であり、かつ分散媒である水に対して可溶である(水溶性である)または混和性を有する(水混和性である)溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒としては、グリセリン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、1−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができる。
かかる溶媒の含有量は、塗剤中に0.2質量%以上であることが好ましい。このような態様とすることによって、無電解めっき法により形成する金属めっき膜をより均一にすることができる。かかる溶媒の含有量は、3.0質量%を超えてもその効果は増大せず、またコストが高くなる傾向にある、溶媒の蒸発速度が遅くなって塗工速度を高くすることができず、生産性が高くなる傾向になる等の観点から、3.0質量%以下が好ましい。
また、本発明における塗剤には、基材フィルムに対する濡れ性を向上させることを目的として、少量の界面活性剤を添加することができる。好ましい界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、フルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
塗剤の製造方法としては、透明導電塗膜層を構成する成分が水に分散されるならば特に限定されるものではない。例えば、塗剤を構成する各成分を攪拌下で混合する方法を挙げることができる。特に、超音波処理をしつつ分散させれば、各成分をより均等に分散させることが可能となる。
(塗剤の塗布方法)
透明導電塗膜層の塗布方法は、従来公知の任意の塗布方法を採用することができる。例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組み合わせて適用すればよい。ハジキなど塗布外観の安定性を助ける目的で若干量の有機溶剤や界面活性剤を含有させてもよい。
透明導電塗膜層を得るための乾燥条件は、特に限定されるものではないが、80℃以上160℃以下の温度範囲で10秒以上300秒以下の間乾燥することが好ましく、100℃以上150℃以下の温度範囲で20秒以上120秒以下の間乾燥することが特に好ましい。
<透明導電塗膜層の膜厚、配置>
本発明における透明導電塗膜層の膜厚は、20nm以上300nm以下が好ましい。膜厚を上記数値範囲とすることによって、導電性、透明性、塗膜強度の向上効果を高くすることができる。透明導電塗膜層の膜厚が厚すぎる場合は、透明導電塗膜層の透明性および塗膜強度が低下する傾向にあり、得られる導電性フィルムにおいては透明性の向上効果が低くなる。他方、薄すぎる場合は、めっき膜が形成されにくくなる傾向にあり、また、めっき膜の均一性が低くなる傾向にある。このような観点から、膜厚は、好ましくは30nm以上200nm以下である。
なお、透明導電塗膜層の膜厚を制御する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、塗剤の固形分濃度および塗布量を、実施する塗布方法によって適宜制御することにより、膜厚を制御することができる。
本発明の導電性フィルムは、後述する基材フィルムの少なくとも片面に透明導電塗膜層が形成されてなるが、前述の透明導電塗膜層1層のみが形成されている態様であってもよいし、前述の透明導電塗膜層が複数層形成されている態様であってもよいし、あるいは前述の透明導電塗膜層とは異なる他の導電層が形成されている態様であってもよい。かかる他の導電層としては、前述の透明導電塗膜層とは異なる他の導電性塗膜や、ITO等のドライプロセスにより得られる導電膜等を挙げることができる。
ここで、透明導電塗膜層が複数層形成されている場合、あるいは透明導電塗膜層とは異なる他の導電層が形成されている場合においては、その全体の厚みは20nm以上300nm以下とすることが好ましく、30nm以上200nm以下とすることがさらに好ましく、50nm以上200nm以下とすることが特に好ましい。全体の厚みが薄すぎる場合は、めっき膜が不均一になる傾向にあり、他方、厚すぎる場合は、透明性、耐ブロッキング性、塗膜強度に劣る傾向にある。
また、透明導電塗膜層は、導電性フィルムにおいて基材フィルムに対して最外層であることが好ましい。このような態様とすることによって、めっき膜を形成することができる。
<導電性フィルムの特性>
(中心面平均表面粗さRa)
本発明における導電性フィルムは、透明導電塗膜層の表面における中心面平均表面粗さRaが0.5nm以上3nm以下であることが好ましい。ここで中心面平均表面粗さRaは、次の測定方法により求められる。すなわち、ZYGO社製非接触三次元表面構造解析顕微鏡(NewView5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトにより中心面平均表面粗さRaを以下の式より求める。
Figure 2011190483
ここで、Zjkは測定方向(283μm)、それと直行する方向(213μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
中心面平均表面粗さRaが上記数値範囲にあると、透明導電塗膜層上の金属めっき膜表面の伝送損失をより小さくすることができ、高周波、高情報用回路により好適に用いることができる。このような観点から、中心面平均表面粗さRaは、さらに好ましくは0.5nm以上2.5nm以下、特に好ましくは0.5nm以上2.0nm以下である。
上記のような透明導電塗膜層の表面における中心面平均表面粗さRaを達成するためには、水溶性化合物(B)の含有量を上述した数値範囲とすればよい。
(全光線透過率)
また、本発明における導電性フィルムは、全光線透過率が60%以上であることが好ましい。全光線透過率が上記数値範囲にあると、本発明の金属積層板の透明性が良好となり、LCDや透明タッチパネルの透明電極や、PDPの電磁波シールド材として用いた場合に、視認性に優れる。導電性フィルムの全光線透過率が低すぎる場合は、金属積層板の視認性に劣る傾向にある。このような観点から、全光線透過率は、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは85%以上である。かかる全光線透過率は、基材フィルムの透明性を高くしたり、透明導電塗膜層の厚みを薄くしたり、導電性高分子の配合量を少なくしたりすると高くなる傾向にあり、これらによって適宜調整することができる。
(ヘイズ)
さらに、本発明における導電性フィルムは、ヘイズが10%未満であることが好ましい。ヘイズが上記数値範囲にあると、本発明の金属積層板の透明性が良好であり、LCDや透明タッチパネルの透明電極や、PDPの電磁波シールド材として用いた場合に、視認性に優れる。導電性フィルムのヘイズが高すぎる場合は、金属積層板の視認性に劣る傾向にある。他方、導電性フィルムのヘイズは低いほど好ましい。
<金属めっき膜>
本発明の金属積層板は、導電性フィルムの透明導電塗膜層上に、無電解めっき法により形成された金属めっき膜を有する。
かかる金属めっき膜としては、通常、無電解めっきに使用できる金属であれば、特に限定されない。即ち、銅、金、銀、ニッケル、クロム等、全て適用することができるが、銅が好ましい。金属めっき膜の形成は常法により行なうことができるが、かかる処理温度は、20ないし70℃、好ましくは40ないし60℃であり、処理時間は、1分間以上30分間以下、好ましくは、5分間以上15分間以下である。処理温度は20℃より低くなると反応が進まず、金属が析出せず、70℃より高くなるとめっき膜が均一に析出しない、密着性が低いなどの問題がある。時間は必要とする膜厚にするため適宜調整することができるが、1分間より短いと全面にめっき膜が析出できず、30分間より長いとめっき膜が剥がれ落ちるなどの問題が生じる。
本発明における金属めっき膜の膜厚は、ピンホール欠陥が出にくいという観点から、0.2μm以上であることが好ましく、1μm以上がさらに好ましく、2μm以上が特に好ましい。また、その上限は特に限定されないが、現実的には5μm以下であることが好ましく、4μm以下がさらに好ましい。
本発明においては、本発明が規定する透明導電塗膜層の構成を採用することにより、金属めっき膜厚みが均一となる。ここで「金属めっき膜厚みが均一」とは、後述する測定方法によって求められる金属めっき膜の厚み斑が、5%以下であることを言う。かかる厚み斑は、好ましくは3%以下、さらに好ましくは2.5%以下、特に好ましくは2%以下である。金属めっき膜厚みが均一であると、電子回路に用いた際に、伝送損失が小さくなるため、より多くの情報量を取り扱うことができ、高周波対応の電子回路用途に好適に用いることができる。
さらに、本発明においては、上記無電解めっき法により形成された金属めっき膜の上に、さらに電気めっき法により形成された金属めっき膜を有する態様が好ましい。このような態様とすることによって、金属めっき膜の厚みをより厚くする場合においては、電気めっき法は析出速度が速いため生産性に優れる。かかる電気めっき法としては、常法で良い。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における各評価は下記の方法に従った。
1.密着性評価
(1−1)ピール強度
導電性フィルムの透明導電塗膜層の表面に、無電解めっき法により金属めっき膜を2μmに積層し、次いでその上に電気めっき法により金属めっき膜を20μmに積層した後、160℃の熱風オーブンで10分間の熱処理を実施した。JIS C 6481に準じて、得られた金属積/導電性フィルム積層体から、中央部分に幅10mm長さ100mmの金属層を残し、両端の金属層をナイフで除去する。中央部分に残した金属層の一端を、適切な長さ一部剥離して掴み代を作り、引張方向が金属層表面に垂直になる方向に毎分50mmの速さで剥離し、その際の荷重の最低値をピール強度(単位:kN/m)とした。
本発明においては、かかるピール強度が0.5kN/m以上を密着性合格と判断した。ピール強度が上記数値範囲であると、電子回路用途として用いた際にも十分な密着性を有する。ピール強度は、好ましくは0.6kN/m以上、さらに好ましくは0.8kN/m以上である。なお、無電解めっき法により得られた金属層と電気めっき法により得られた金属層とは、金属の種類が同じであり密着力が強い。そのため、本評価においては、導電性フィルムと無電解めっき法により形成された金属めっき膜との間のピール強度を求めることができる。
(1−2)クロスカット試験
JIS K 5600に準じて、得られた金属積層板において、ナイフにより2mm間隔で金属めっき膜にのみ切込みを入れた100個の升目を作成し、100±1N/25mmの付着強さを持つテープを升目上に貼りつけ、引き剥がした後、基材フィルム上に残った升目を数えた。
2.表面粗さ
導電性フィルムにおける透明導電塗膜層表面において、ZYGO社製非接触三次元表面構造解析顕微鏡(NewView5022)を用いて、測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトにより中心面平均表面粗さRa(単位:nm)を以下の式より求めた。
Figure 2011190483
Zjkは測定方向(283μm)、それと直行する方向(213μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
3.めっき析出時間
めっき浴中にフィルムを完全に浸漬させた後、金属めっき膜が、フィルムの表面全体に完全に析出するまでの時間を測定し、下記の通りA〜Dで評価した。析出の完了は目視にて判定した。
A:60秒未満
B:60秒を超え〜120秒未満
C:120秒以上
D:フィルムの表面全体に完全に析出しなかった。
4.金属めっき膜厚みの均一性(厚み斑の測定)
無電解めっき膜を形成したサンプルについて、蛍光X線膜厚計を用いて、任意の20箇所の金属めっき膜厚みを測定し、下記式で厚み斑(単位:%)を算出した。
金属めっき膜の厚み斑=(金属めっき膜厚の最大値−金属めっき膜厚の最小値)/金属めっき膜厚の平均値×100
5.全光線透過率、ヘイズ
JIS K7150に従い、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHCM−2Bにて測定した。測定は、導電性フィルムの任意の5箇所について実施し、それらの平均値を全光線透過率(単位:%)およびヘイズ(単位:%)とした。
[実施例1〜7および比較例1、2]
基材フィルムとして、厚みが75μmの二軸配向ポリエステルフィルム(Q51:帝人デュポンフィルム株式会社製)の片方の表面にコロナ処理を行い、かかる表面のぬれ張力試験用混合液で測定したぬれ張力が54mN/m以上である2軸配向ポリエステルフィルムを用意した。
次いで、表1に記載の組成物を、表1に記載の比率で含有する塗剤1〜9(それぞれ固形分濃度2質量%)を調製した。
上記で得られた二軸配向ポリエステルフィルムのコロナ処理を施した表面に、上記で得られた塗剤を、バーコーターを用いてウェット塗布量が4g/mとなるように塗布し、140℃下で1分間の乾燥を行い、導電性フィルムを得た。得られた導電性フィルムの物性を表2にまとめた。
なお、表1における各組成物は以下のとおりである。
CLEVIOS P(導電性高分子(A)、カチオン性のポリチオフェンとして、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)0.5質量%と、ポリアニオンとして数平均分子量Mn=1.5×10のポリスチレンスルホン酸0.8質量%とを含んでなる導電性高分子の水分散体、H.C.スタルク社製)
ジエチレングリコール(水溶性化合物(B)、沸点245℃、和光特級、和光純薬工業製)
PEG−1000(水溶性化合物(B)、数平均分子量Mn=1000のポリエチレングリコール)
プラスコートRZ570(樹脂成分(C)、Tg=60℃の水溶性ポリエステル樹脂の水溶液、固形分濃度25質量%、重量平均分子量Mwは23000、酸成分が、テレフタル酸(80モル%)、イソフタル酸(14モル%)、5−Naスルホイソフタル酸(6モル%)からなり、グリコール成分が、エチレングリコール(74モル%)、ジエチレングリコール(8モル%)、ヘキサメチレングリコール(18モル%)からなる水溶性ポリエステル樹脂である。互応化学工業製)
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(アルコキシシラン化合物(D)、KBM−403、信越化学工業製)
エマルゲン420(界面活性剤、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、花王株式会社製)
[無電解めっき法]
得られた導電性フィルムに、以下の無電解めっき法によって金属めっき膜を形成し、金属積層板を得た。得られた金属積層板の物性を表2にまとめた。
無電解めっきは、下記(1)〜(5)の順で処理を行った。
(1)CLEANER-CONDITIONER231(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)10質量%の水溶液を45℃に温め、浴中に基材フィルムを1分間浸漬した後、イオン交換水で充分に洗い流した。
(2)CATAPREP404(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社)を275質量部にイオン交換水725質量部を加え溶解させ、さらにCATAPOSIT44を30ml加えて攪拌して作成したキャタリストを45℃に温め、浴中に(1)処理後の基材フィルムを2分間浸漬した後、イオン交換水で充分に洗い流した。
(3)10体積%の硫酸水溶液を45℃に温め、浴中に(2)処理後の基材フィルムを1分間浸漬した後、イオン交換水で充分に洗い流した。
(4)エチレンジアミン四酢酸11.8gを600mlイオン交換水中で攪拌しながら、完全に溶解するまで30質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加える。ここに5質量%の硫酸銅五水和物水溶液を80g加え、さらにポリエチレングリコール1000(和光純薬工業株式会社製)を0.1質量部、2,2’−ビピリジル(和光純薬工業株式会社製)を0.01g添加する。最後にホルムアルデヒド6gを加え、pHを12±0.05となるよう調整し、総体積が1Lとなるようイオン交換水を追加して調整したホルマリン銅めっき浴を60℃に温め、浴中に(3)処理後の基材フィルムを15分間浸漬した後、イオン交換水で充分に洗い流した。
(5)(4)で得られた銅めっき積層フィルムは水分をよく拭き取った後、熱風オーブン中150℃で10分間の熱処理を行った。
Figure 2011190483
Figure 2011190483
[電気めっき法]
次いで、上記で無電解めっきを施したサンプルに、以下の電気めっき法によりさらに金属めっき膜を形成した。
電気めっきは、下記(1)〜(3)の順で処理を行なった。
(1)硫酸銅五水和物210gを2400mLのイオン交換水に完全に溶かし、硫酸300mLを加える。さらに2.4重量%の塩化ナトリウム水溶液30mLを加え浴温度が20〜30℃の範囲となる調整したものを電気めっき浴として用いた。
(2)(1)のめっき浴をめっき槽に入れ、アノードバックに入れた陽極板(含燐銅)((株)山本鍍金試験器製)を陽極、無電解めっきで金属を積層したサンプルを陰極として互いに直流電源につないだ。このとき、攪拌のため、エアーを適量に調整し浴中に導入した。
(3)電流密度2A/dmで約50分間電流を流し、20μmの銅を積層した。
本発明の金属積層板は、金属めっき膜厚みが均一であり、例えば電子回路用途に好適に用いることができ、その工業的価値は極めて高い。

Claims (3)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に、
    (i)下記式(I)で表される繰り返し単位を主成分として含有するカチオン性のポリチオフェンとポリアニオンとを含む導電性高分子(A)、および
    (ii)導電性高分子100質量部に対して0.1質量部以上1000質量部以下の、下記式(II)で表される水溶性化合物(B)
    を構成成分として含む透明導電塗膜層が積層された導電性フィルムの該透明導電塗膜層上に、無電解めっき法により形成された金属めっき膜を有する金属積層板。
    Figure 2011190483
    (式(I)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって、任意に置換されていてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基を表す。)
    Figure 2011190483
    (式(II)中、Aは炭素数2〜20のアルキレン基を表す。nは1〜1500の整数を表す。RおよびRは水素原子か炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
  2. 透明導電塗膜層が、導電性高分子100質量部に対して40〜1500質量部の、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂成分(C)を含む請求項1に記載の金属積層板。
  3. 前記無電解めっき法により形成された金属めっき膜の上に、さらに電気めっき法により形成された金属めっき膜を有する請求項1または2に記載の金属積層板。
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