JP5438570B2 - 遮光性フィルム及びこれを用いる遮光性粘着シート - Google Patents

遮光性フィルム及びこれを用いる遮光性粘着シート Download PDF

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本発明は、製造が容易で且つ薄膜化及び軽量化が可能な1層の金属薄膜層で高い遮光性能を実現し得る遮光性フィルムに関するものであり、詳細には、基材フィルムの片面側に導電性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む塗膜層が設けられ、該塗膜層上に無電解めっき膜が設けられた遮光性フィルムに関する。
本発明はまた、前記遮光性フィルムを用いる遮光性粘着シートにも関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のディスプレイ用電子機器においては、不要な画面外周部を通常、遮光性フィルム(遮光性粘着シート)を用いて縁取り(トリミング)を行っている(例えば、図3に記載のディスプレイ用電子機器模式図(液晶)参照。)。
上記の遮光性フィルムを用いる縁取りは、例えば、液晶装置の発光源から出た光が部品の隙間から漏洩することにより生じる、不要な光を遮断する為に行うものであるが、これは、光が外部に漏洩した場合、液晶点灯時に液晶表示が見にくくなったり、液晶表示面に輝点や雑多な模様が生じるといった問題を引き起こす為である。
上記問題を解消するために、現在、遮光性フィルムとして、プラスチックフィルム表面に金属箔を積層させたフィルム、金属薄膜層を有するフィルム(例えば、特許文献1参照。)及び黒色又は暗色インクを塗布したフィルム(例えば、特許文献2参照。)等が使用されている。
特許第3952668号公報 特許第3879417号公報
現在使用されている遮光性フィルムには、以下のような問題点が存在する。
1.金属箔を積層させたフィルム
金属箔を使用したフィルムは、光線透過率(遮光性能)の点では問題ないものの、金属箔の厚さが数十μmと厚膜となるという問題が存在する。
現在、ディスプレイ用電子機器の小型化が進み、遮光性フィルムも薄膜化及び軽量化が求められているため、上記問題は無視できないものとなっている。
2.金属薄膜層を有するフィルム
金属薄膜層を有するフィルムにおいては、金属薄膜層の形成方法として、蒸着法やスパッタリング法などが採用されている。
しかし、蒸着法で形成された金属薄膜層を有するフィルムにはピンホールが生じやすいという問題があり、そのため、1層の金属薄膜層で全光線透過率を低く抑えること(即ち、高い遮光性を示すこと)が困難となる。そのため、少なくとも2層以上の金属薄膜層を互いに離隔してフィルムに積層させて、ピンホールの数を限りなく0にすることにより、上記問題を解消している(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、この金属薄膜層を有するフィルムは、上記のように少なくとも2層以上の金属薄膜層を必要とするため、薄膜化及び軽量化を行う上で、少なからず悪影響を及ぼすものであり、また、これにより製造工程が多段階となり操作が煩雑になることも懸念される。
3.黒色又は暗色インクを塗布したフィルム(例えば、特許文献2参照。)
この遮光性フィルムは、フィルムにスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷技術を利用して、フィルムに黒色又は暗色インクを印刷することにより製造できる。
しかし、光線透過率を低く抑える(即ち、高い遮光性を示す)ためには、黒色又は暗色インクを厚塗りする必要がり、通常、これは該インクによる複数層の重ね塗りにより達成されるが、これにより、フィルムが厚くなるという問題が生じる。
上記に対し、黒色又は暗色インクに使用されるカーボン量を多くし、遮蔽率を上げることで、単層においても光線透過率を低く抑える(即ち、高い遮光性を示す)ことは可能であるが、カーボン量が多くなることでインクの粘度が高まり、精度良く印刷することができなくなるという問題が新たに生じることとなる。
従って、本発明は、上記課題を解決し得る、即ち、製造が容易で且つ薄膜化及び軽量化が可能な1層の金属薄膜層で高い遮光性能を実現し得る遮光性フィルム、これを用いる遮光性粘着シート及び表示パネル並びに遮光性フィルムの製造方法の提供を課題とする。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基材フィルムの片面のみに導電性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む塗膜層が形成され、該塗膜層上に無電解めっき膜が設けられた、1層の金属薄膜層のみを有するフィルムが、380ないし800nmの波長領域において、平均光線透過率が0.03%以下で且つ最大光線透過率が0.05%以下となる高い遮光性を示す遮光性フィルムとなることを見出し、本発明を完成させた。
また、これにより、この遮光性フィルムを用いる遮光性粘着シートが容易に提供できる。
尚、本発明の遮光性フィルムは、基材フィルム上に、下地塗料をパターン印刷し、これにより形成された塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることにより、容易に製造できるものである。
即ち、本発明は、
(1)基材フィルムの片面側に導電性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む塗膜層が設けられ、該塗膜層上に無電解めっき膜が設けられた遮光性フィルム、
(2)380ないし800nmの波長領域において、平均光線透過率が0.03%以下で且つ最大光線透過率が0.05%以下となる前記(1)記載の遮光性フィルム、
(3)前記塗膜層における前記導電性高分子微粒子と前記バインダーの固形分比(質量比)が、1:0.1ないし1:60であり、前記バインダーと前記無機フィラーの固形分比(質量比)が、1:0.1ないし1:1.5である前記(1)又は(2)記載の遮光性フィルム、
(4)前記無機フィラーの平均1次粒子径が1ないし100nmである前記(1)ないし(3)の何れか1つに記載の遮光性フィルム、
(5)前記塗膜層が、黒色又は暗色インクを含む前記(1)ないし(4)の何れか1つに記載の遮光性フィルム、
(6)前記無電解めっき膜が、100ないし2000nmの厚さを有する前記(1)ないし(5)の何れか1つに記載の遮光性フィルム、
(7)前記(1)ないし(6)の何れか1つに記載の遮光性フィルムの片面又は両面に粘着剤層を有する遮光性粘着シート、
(8)前記(1)ないし(6)の何れか1つに記載の遮光性フィルムの無電解めっき膜上に保護層が積層され、該積層されたフィルムの片面又は両面に粘着剤層を有する遮光性粘着シート、
に関する。
本発明の遮光性フィルムは、1層の金属薄膜層(無電解めっき膜)を有するだけで、380ないし800nmの波長領域において、平均光線透過率が0.03%以下で且つ最大光線透過率が0.05%以下となる高い遮光性を示す。
また、本発明の遮光性フィルムは、基材フィルム上に、下地塗料を、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、パッド印刷等の工業的に有利な印刷方法でパターン印刷し、該印刷により形成された塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきするという簡単な操作で容易に製造することができる。
また、本発明の遮光性フィルムは、基材フィルム、塗膜層及び無電解めっき膜間の密着性においても優れている。
また、本発明の遮光性フィルムは、該フィルムの片面又は両面に接着剤層を設けるか又は該フィルムの無電解めっき膜上に保護層を積層し、該積層されたフィルムの片面又は両面に接着剤層を設けることにより、ディスプレイ用電子機器の表示パネルにおいて、遮光性粘着シートとして使用することができる。
また、前記遮光性粘着シートを用いることにより、容易にディスプレイ用電子機器の表示パネルを構成することができる。
本発明の遮光性フィルムの1態様を示す模式的な断面図である。 本発明の遮光性フィルムの別の態様を示す模式的な断面図である。 ディスプレイ用電子機器の一般的な構成を示す模式的な断面図である。
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の遮光性フィルムは、例えば、基材フィルム上に、還元性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む下地塗料をパターン印刷し、これにより形成された塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることにより製造することができる。
上記基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム等のアクリル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。
コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等が好ましい。
基材フィルムの厚さは、5ないし200μmの範囲となるものが好ましく、12ないし50μmの範囲となるものがより好ましい。
基材フィルム上に存在する塗膜層は、還元性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む下地塗料を基材フィルムにパターン印刷することにより形成することができる。
下地塗料に含まれる還元性高分子微粒子としては、0.01S/cm未満の導電率を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
また、還元性高分子微粒子としては、0.005S/cm以下の導電率を有する高分子微粒子が好ましい。
還元性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる還元性高分子微粒子を使用することもできる。
還元性高分子微粒子は、有機溶媒に分散された分散液として使用されるが、該還元性高
分子微粒子は、分散液中における分散安定性を維持するために、固形分として該分散液の質量の15質量%以下(固形分比)となるようにするのが好ましい。
還元性高分子微粒子を分散する有機溶媒としては、例えば、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
下地塗料に含まれるバインダーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
使用するバインダー量は、還元性高分子微粒子1質量部に対して0.1質量部ないし60質量部の範囲である。バインダーが60質量部を超えると金属めっきが析出しにくくなる場合があり、バインダーが0.01質量部未満であると、優れた密着性(基材フィルム−塗膜層、塗膜層−無電解めっき膜)が得られにくくなる場合がある。
下地塗料に含まれる無機フィラーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン及びシリカ粒子等が挙げられる。
無機フィラーとしては、平均1次粒子径が1ないし100nmの範囲となるものが好ましい。
無機フィラーの使用量は、特に、限定されるものではないが、バインダー1質量部に対して0.1ないし1.5質量部の範囲とするのが好ましい。
無機フィラーの使用量が、バインダー1質量部に対して1.5質量部を超える場合、基材フィルムと塗膜層間での剥離が起こり易くなり、良好な密着性が得られ難くなることがあり、また、0.1質量部未満となる場合、金属めっきが析出しにくくなることがある。
下地塗料は、上記成分に加えて溶媒を含み得る。
溶媒としては、特に限定されるものではないが、具体的には、酢酸ブチル等の脂肪族エステル類、トルエン等の芳香族溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素類、n−オクタン等の鎖状飽和炭化水素類、メタノール、エタノール、n−オクタノール等の鎖状飽和アルコール類、安息香酸メチル等の芳香族エステル類、ジエチルエーテル等の脂肪族エーテル類及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、メチルセルソルブ等の多価アルコール誘導体溶媒、ミネラルスピリット等の炭化水素溶媒、ジヒドロターピネオール、D−リモネン等のテルペン類に分類される溶媒を用いることもできる。
下地塗料は、遮光性能を高めるために、黒色インク又は暗色インク(カーボン等の微粒子)を加えることも可能である。
更に、下地塗料は用途や塗布対象物等の必要に応じて、分散安定剤、増粘剤、インキバインダ等の樹脂を加えることも可能である。
下地塗料は、上述の成分を含むことにより、その溶液の粘度を50cps以上とすることが好ましい。
上記粘度が50cps未満となる場合、汎用の印刷機、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、パッド印刷等による印刷パターンの印刷精度が低下することがあるためである。
下地塗料を用いるパターン印刷としては、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、パッド印刷等が挙げられる。
印刷方法は、各印刷機を用いる通常の印刷法によって行うことができる。
上記の印刷を行うことにより、パターン化された塗膜層を形成することができる。
上記のようにして製造された、パターン化された塗膜層が形成された基材フィルムを無電解めっき法により無電解めっき膜を設けることにより、本発明の遮光性フィルムを製造することができるが、該無電解めっき法は、通常知られた方法に従って行うことができる。
即ち、前記基材フィルムを塩化パラジウム等の触媒金属を付着させるための触媒液に浸漬した後、水洗等を行い、無電解めっき浴に浸漬することにより無電解めっき膜を設けることができる。
触媒液は、無電解めっきに対する触媒活性を有する貴金属(触媒金属)を含む溶液であり、触媒金属としては、パラジウム、金、白金、ロジウム等が挙げられ、これら金属は単体でも化合物でもよく、触媒金属を含む安定性の点からパラジウム化合物が好ましく、その中でも塩化パラジウムが特に好ましい。
好ましい、具体的な触媒液としては、0.05%塩化パラジウム−0.005%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、0.1ないし20分、好ましくは、1ないし10分である。
上記の操作により、塗膜中の還元性高分子微粒子は、結果的に、導電性高分子微粒子となる。
上記で処理された基材フィルムは、金属を析出させるためのめっき液に浸され、これにより無電解めっき膜が形成される。
めっき液としては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。
即ち、無電解めっきに使用できる金属、銅、金、銀、ニッケル等、全て適用することができるが、銅が好ましい。
無電解銅めっき浴の具体例としては、例えば、ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)等が挙げられる。
処理温度は、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃であり、処理時間は、1ないし30分、好ましくは、5ないし15分である。
得られためっき物は、使用した基材のTgより低い温度範囲において、数時間以上、例えば、2時間以上養生するのが好ましい。
形成される無電解めっき膜の厚さは、100ないし2000nmの範囲とするのが好ましく、200ないし500nmの範囲とするのがより好ましい。
上記の製造方法により、本発明の遮光性フィルムを製造することができるが、本発明の遮光性フィルムはまた、基材フィルム上に、導電性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む下地塗料をパターン印刷し、これにより形成された塗膜層中の導電性高分子微粒子を脱ドープ処理して還元性とした後、該塗膜層に無電解めっき液から金属膜を化学めっきすることによっても製造することができる。
上記下地塗料は、前述の還元性高分子微粒子を含む下地塗料における還元性高分子微粒子を、導電性高分子微粒子に置き換えることにより容易に調製することができる。
この導電性高分子微粒子としては、導電性を有するπ−共役二重結合を有する高分子であれば特に限定されないが、例えば、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン
、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン及びそれらの各種誘導体が挙げられ、好ましくは、ポリピロールが挙げられる。
導電性高分子微粒子は、π−共役二重結合を有するモノマーから合成して使用する事ができるが、市販で入手できる導電性高分子微粒子を使用することもできる。
導電性高分子微粒子は、有機溶媒に分散された分散液として使用されるが、該導電性高分子微粒子は、分散液中における分散安定性を維持するために、固形分として該分散液の質量の15質量%以下(固形分比)となるようにするのが好ましい。
導電性高分子微粒子を分散する有機溶媒としては、前述の還元性高分子微粒子を分散する有機溶媒と同様のものを用いることができる。
上記下地塗料における導電性高分子微粒子以外の成分(バインダー、無機フィラー等)の種類、添加量等は、前述の還元性高分子微粒子を含む下地塗料と同様である。
上記の製造方法において、パターン印刷による塗膜層の形成工程及び無電解めっき法による無電解めっき膜の形成工程は、上述の還元性高分子微粒子を用いる遮光性フィルムの製造方法と同様に行うことができる。
上記製造方法における脱ドープ処理としては、還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等の水素化ホウ素化合物、ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、トリエチルアミンボラン等のアルキルアミンボラン、及び、ヒドラジン等を含む溶液で処理して還元する方法、又は、アルカリ性溶液で処理する方法が挙げられる。
操作性及び経済性の観点からアルカリ性溶液で処理するのが好ましい。
特に、導電性高分子微粒子を含む塗膜層は薄くできるため、緩和な条件下で短時間のアルカリ処理により脱ドープを達成することが可能である。
例えば、1M 水酸化ナトリウム水溶液中で、20ないし50℃、好ましくは30ないし40℃の温度で、1ないし30分間、好ましくは3ないし10分間処理される。
上記の製造方法により、結果として、基材フィルムの片面側に導電性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む塗膜層が設けられ、該塗膜層上に無電解めっき膜が設けられた遮光性フィルムが製造されることになる(図1参照)。
そして、上記遮光性フィルムは、380ないし800nmの波長領域において、平均光線透過率が0.03%以下で且つ最大光線透過率が0.05%以下となるものである。
尚、上記の製造方法により製造された遮光性フィルムは、基材フィルムと塗膜層間及び塗膜層と無電解めっき膜間において、優れた密着性を有する。
本発明の遮光性フィルムは、別の態様として、更に遮光性能を高めるために、基材フィルムとして、塗膜層を設ける表面上に黒色又は暗色インクの層が設けられているフィルムを採用して、黒色又は暗色インク(カーボン等の微粒子)の層を有する積層フィルムとすることもできる(図2参照)。
上記積層フィルムは、あらかじめ黒色又は暗色インク(カーボン等の微粒子)の層を片面に有する基材フィルムに、上述の遮光性フィルムの製造方法と同様の操作を行うことにより容易に製造することができる。
また、黒色又は暗色インク(カーボン等の微粒子)の層は、黒色又は暗色インク(カーボン等の微粒子)を塗布又は印刷することにより製造することができる。
本発明はまた、遮光性フィルムの片面又は両面に粘着剤層を有する遮光性粘着シートにも関する。
遮光性粘着シートは、上記の遮光性フィルムの片面又は両面に粘着剤層を形成することにより製造することができる。
粘着剤層としては、通常のアクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着剤の層を採用することができるが、ずれの生じない僅かに架橋または加硫したものが好ましく、また、電気絶縁性、耐寒性等に優れるものが好ましい。
電気絶縁性、耐寒性等の点では、シリコーン系の粘着剤層が好ましく、価格や耐久性等の点では、アクリル系の粘着剤層が特に好ましい。
液晶表示パネル等のように小電力消費光源を採用する表示装置に用いる場合は、アクリル系の粘着剤層でも電気絶縁性は充分である。
尚、粘着剤層の形成は、通常この分野で採用されている形成方法に従って行うことができる。
本発明の遮光性粘着シートは、別の態様として、遮光性フィルムの無電解めっき膜上に、該膜のクラック防止を目的とする保護層が積層され、該積層されたフィルムの片面又は両面に粘着剤層を形成した遮光性粘着シートを採用することもできる。
保護層の材料としては、例えば、有機溶剤可溶のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等の各種樹脂類を挙げることができる。
上記の中では、有機溶剤可溶のポリエステル系樹脂が好ましく、その例としては、線状飽和ポリエステル樹脂、これを内部可塑化したポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらの具体例としては、東洋紡績株式会社製の「バイロン(商品名)」シリーズの各種樹脂類を挙げることができる。
上記ポリエステル系樹脂は、複数の種類の樹脂の混合系として用いることもできる。
尚、保護層の形成は、通常この分野で採用されている形成方法に従って行うことができる。
また、保護層が形成されたフィルムの片面又は両面に形成される粘着剤層の種類及び形成方法は、上記と同様のものを採用することができる。
本発明の遮光性粘着シートを用いることにより、容易に表示パネルを構成することができる。
本発明の遮光性粘着シートを用いて構成される表示パネルの1態様の具体例として、図3に記載のディスプレイ用電子機器(液晶)を例に挙げて説明する。
この態様において、本発明の遮光性粘着シート10は、液晶表示パネル8の上面に粘着され、遮光性粘着シート10の上面に、透明樹脂パネル7が粘着されることにより、液晶表示装置が形成される。
尚、本発明の遮光性粘着シートは、液晶表示装置中へ装着する遮光性粘着シートの用途に限られるものではなく、液晶以外の他の表示装置へ適用することも可能であり、また、上記とは全く異なる分野における遮光性粘着シートとしての適用も期待されるものである。
以下に、塗膜層を形成するために使用され得る導電性又は還元性の高分子微粒子を製造するための具体的な方法を記載する。
(1)還元性高分子微粒子の製造方法
還元性高分子微粒子は、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
π−共役二重結合を有するモノマーとしては、還元性高分子を製造するために使用されるモノマーであれば特に限定されないが、例えば、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N
−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール及び3−フェニルナフチルアミノピロール等のピロール誘導体、アニリン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−メトキシアニリン、m−メトキシアニリン、p−メトキシアニリン、o−エトキシアニリン、m−エトキシアニリン、p−エトキシアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン及びp−メチルアニリン等のアニリン誘導体、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−n−ブチルチオフェン、3−n−ペンチルチオフェン、3−n−ヘキシルチオフェン、3−n−ヘプチルチオフェン、3−n−オクチルチオフェン、3−n−ノニルチオフェン、3−n−デシルチオフェン、3−n−ウンデシルチオフェン、3−n−ドデシルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−ナフトキシチオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられ、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
また前記製造に用いるアニオン系界面活性剤としては、種々のものが使用できるが、疎水性末端を複数有するもの(例えば、疎水基に分岐構造を有するものや、疎水基を複数有するもの)が好ましい。このような疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤を使用することにより、安定したミセルを形成させることができ、重合後において水相と有機溶媒相との分離がスムーズであり、有機溶媒相に分散した還元性高分子微粒子が入手し易い。
疎水性末端を複数有するアニオン系界面活性剤の中でも、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端4つ)、スルホコハク酸ジ−2−エチルオクチルナトリウム(疎水性末端4つ)および分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端2つ)が好適に使用できる。
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.05mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.005mol〜0.03molである。0.05mol以上では添加したアニオン性界面活性剤がドーパントとして作用し、得られる微粒子は導電性を発現するため、これを用いて無電解めっきを行うためには脱ドープの工程が必要となる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル類、アルキルグルコシド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビダン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類が挙げられる。これらを一種類または複数混ぜて使用してもよい。特に安定的にO/W型エマルションを形成するものが好ましい。
反応系中でのノニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し、アニオン系界面活性剤と足して0.2mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では重合後において、水相と有機溶媒相との分離が困難になり、有機溶媒相にある還元性高分子微粒子を得る事ができなくなる事から好ましくない。
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。
なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびπ−共役二重結合を有するモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した還元性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
前記製造で使用する酸化剤としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸およびクロロスルホン酸のような無機酸、アルキルベンゼンスルホン酸およびアルキルナフタレンスルホン酸のような有機酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過酸化水素のような過酸化物が使用できる。これらは単独で使用しても、二種類以上を併用してもよい。塩化第二鉄等のルイス酸でもπ−共役二重結合を有するモノマーを重合できるが、生成した粒子が凝集し、微分散できない場合がある。特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、ポリマー微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集してポリマー微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
前記ポリマー微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合させる工程、
(d)有機相を分液しポリマー微粒子を回収する工程。
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子を入手することができる。
上記の製造法により得られるポリマー微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体のポリマーよりなり、そしてアニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径を有し、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
得られたポリマー微粒子の導電率は0.01S/cm未満であり、好ましくは、0.005S/cm以下である。
こうして得られた有機溶媒に分散した還元性高分子微粒子は、そのままで、下地塗料の還元性高分子微粒子成分として使用することができる。
(2)導電性高分子微粒子の製造方法
使用する導電性高分子微粒子は、例えば、有機溶媒と水とアニオン系界面活性剤とを混合撹拌してなるO/W型の乳化液中に、π−共役二重結合を有するモノマーを添加し、該モノマーを酸化重合することにより製造することができる。
π−共役二重結合を有するモノマー及びアニオン系界面活性剤としては還元性微粒子の製造の際に例示したものと同様のものが挙げられるが、好ましくは、ピロール、アニリン、チオフェン及び3,4−エチレンジオキシチオフェン等が挙げられ、より好ましくはピロールが挙げられる。
反応系中でのアニオン系界面活性剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対し0.2mol未満であることが好ましく、さらに好ましくは0.05mol〜0.15molである。0.05mol未満では収率や分散安定性が低下し、一方、0.2mol以上では得られた導電性高分子微粒子に導電性の湿度依存性が生じてしまう場合がある。
前記製造において乳化液の有機相を形成する有機溶媒は疎水性であることが好ましい。なかでも、芳香族系の有機溶媒であるトルエンやキシレンは、O/W型エマルションの安定性およびモノマーとの親和性の観点から好ましい。両性溶媒でもπ−共役二重結合を有するモノマーの重合を行うことはできるが、生成した導電性高分子微粒子を回収する際の有機相と水相との分離が困難になる。
乳化液における有機相と水相との割合は、水相が75体積%以上であることが好ましい。水相が20体積%以下ではπ−共役二重結合を有するモノマーの溶解量が少なくなり、生産効率が悪くなる。
前記製造で使用する酸化剤としては、還元性微粒子の製造の際に例示したものと同様のものが挙げられるが、特に好ましい酸化剤は、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
反応系中での酸化剤の量は、π−共役二重結合を有するモノマー1molに対して0.1mol以上、0.8mol以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6molである。0.1mol未満ではモノマーの重合度が低下し、導電性高分子微粒子を分液回収することが困難になり、一方、0.8mol以上では凝集して導電性高分子微粒子の粒径が大きくなり、分散安定性が悪化する。
前記導電性高分子微粒子の製造方法は、例えば以下のような工程で行われる:
(a)アニオン系界面活性剤、有機溶媒および水を混合攪拌し乳化液を調製する工程、
(b)π−共役二重結合を有するモノマーを乳化液中に分散させる工程、
(c)モノマーを酸化重合しアニオン系界面活性剤にポリマー微粒子を接触吸着させる工程、
(d)有機相を分液し導電性高分子微粒子を回収する工程。
前記各工程は、当業者に既知である手段を利用して行うことができる。例えば、乳化液の調製時に行う混合攪拌は、特に限定されないが、例えばマグネットスターラー、攪拌機、ホモジナイザー等を適宜選択して行うことができる。また重合温度は0〜25℃で、好
ましくは20℃以下である。重合温度が25℃を越えると副反応が起こるので好ましくない。
酸化重合反応が停止されると、反応系は有機相と水相の二相に分かれるが、この際に未反応のモノマー、酸化剤および塩は水相中に溶解して残存する。ここで有機相を分液回収し、イオン交換水で数回洗浄すると、有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子を入手することができる。
上記の製造法により得られる導電性高分子微粒子は、主としてπ−共役二重結合を有するモノマー誘導体よりなり、そしてアニオン系界面活性剤を含む微粒子である。そしてその特徴は、微細な粒径と、有機溶媒中で分散可能であることである。
ポリマー微粒子は球形の微粒子となるが、その平均粒径は、10〜100nmとするのが好ましい。
上記のように平均粒径の小さな微粒子にすることで、微粒子の表面積が極めて大きくなり、同一質量の微粒子でも、脱ドープ処理して還元性とした際に、より多くの触媒金属を吸着できるようになり、それにより塗膜層の薄膜化が可能となる。
こうして得られた有機溶媒に分散した導電性高分子微粒子は、そのままで、下地塗料の導電性高分子微粒子成分として使用することができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:遮光性フィルムの製造
(1)還元性ポリピロール微粒子分散液の調製
アニオン性界面活性剤ペレックスOT−P(花王株式会社)0.42mmol、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系ノニオン界面活性剤エマルゲン409P(花王株式会社)2.1mmol、トルエン10mL、イオン交換水100mLを加えて20℃に保持しつつ乳化するまで撹拌した。得られた乳化液にピロールモノマー21.2mmolを加え、1時間撹拌し、次いで過硫酸アンモニウム6mmolを加えて2時間重合反応を行った。反応終了後、有機相を回収し、イオン交換水で数回洗浄して、トルエンに分散した還元性能を有する還元性ポリピロール微粒子を得た。尚、得られたトルエン分散液中の還元性ポリピロール微粒子の固形分は、5.0%であった。
(2)下地塗料の調製
バインダー樹脂溶液:バイロン(VYLON)23CS(非晶質ポリエステル樹脂:東洋紡績株式会社製)と無機フィラー:粉末シリカ アエロジル200(平均1次粒子径:12nm 日本アエロジル株式会社製)とを固形分比(質量比)がバインダー:無機フィラー=4:1.15となるように配合し、プレ攪拌後、3本ロールミルにて粉末シリカを分散させた。
次に上記(1)で調製した還元性ポリピロール微粒子分散液(固形分5%)に、前記で調製したバインダー及び無機フィラーを含む分散液を、固形分比(質量比)が還元性高分子微粒子:バインダー:シリカ=1:4:1.15となるように配合し、攪拌、脱泡を行うことにより下地塗料を得た。
(3)基材フィルムへの下地塗料の印刷
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4100:東洋紡績株式会社製)に、上記(2)で調製した下地塗料を、スクリーン印刷により膜厚2μmとなるように印刷した。
印刷後、100℃の乾燥条件で10分間乾燥することにより、塗膜層が形成されたフィ
ルムを得た。
(4)金属めっき膜の形成
上記(3)で製造した塗膜層が形成されたフィルムを、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液中に35℃で5分間浸漬後、水道水で水洗した。次に、該フィルムを無電解銅めっき浴 ATSアドカッパーIW浴(奥野製薬工業(株)社製)に浸漬して、35℃で10分間浸漬し銅めっきを施すことにより遮光性フィルム(金属めっき膜厚:300nm)を製造した。
実施例2
粉末シリカをアエロジルR972(平均1次粒子径:16nm 日本アエロジル株式会社製)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
実施例3
粉末シリカをアエロジルR202(平均1次粒子径:14nm 日本アエロジル株式会社製)に変え、固形分比(質量比)を還元性高分子微粒子:バインダー:シリカ=1:10:3.5とし且つ金属めっき膜厚を1000nmとした以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
実施例4
実施例1の(2)の操作において、バインダーにシリカを分散させた後、還元性ポリピロール微粒子分散液(固形分5%)に、前記で調製したバインダー及び無機フィラーを含む分散液及び黒色インク:SSPET OPT コンク墨(東洋インキ製造株式会社製)を、固形分比(質量比)が還元性高分子微粒子:バインダー:シリカ:黒色インク=1:4:1.15:1となるように配合し、攪拌、脱泡を行うことにより下地塗料を得た以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
実施例5
粉末シリカをアエロジル300(平均1次粒子径:7nm 日本アエロジル株式会社製)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
実施例6
粉末シリカをアエロジル50(平均1次粒子径:30nm 日本アエロジル株式会社製)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
実施例7
粉末シリカを粉末カーボン:トーカブラック8300F(平均1次粒子径:16nm 東海カーボン株式会社製)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
実施例8
粉末シリカを粉末炭酸カルシウム:ホモカルD(平均1次粒子径:80nm 白石カルシウム株式会社製)に変えた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
比較例1
無機フィラーを添加せず、固形分比(質量比)が還元性高分子微粒子:バインダー=1:4となるように配合した以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、遮光性フィルムを製造した。
比較例2
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4100:東洋紡績株式会社製)の片面に銅を蒸着させ、厚み150nmの金属薄膜層を有する遮光性フィルムを製造した。
比較例3
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(コスモシャインA4100:東洋紡績株式会社製)の片面に25μmの銅箔をラミネートして、金属箔を積層させた遮光性フィルムを製造した。
試験例1
実施例1〜8及び比較例1〜3で製造した遮光性フィルムの密着性、ピンホールの数、平均光線透過率、最大光線透過率及び遮光性能を評価して表1に示した。
尚、評価方法は以下に示した通りである。
また、表1中、粒子径は、無機フィラーの平均1次粒子径を意味し、Aは粉末シリカを意味し、Bは粉末カーボンを意味し、Cは粉末炭酸カルシウムを意味する。
評価方法
<密着性>
テープ剥離試験及びピール試験にて評価
(Cu厚25μm 180度剥離 剥離速度:50mm/分)
評価
・ピール強度0.6N/mm以上 ◎
・テープ剥離試験合格、ピール強度0.6N/mm未満 ○
・テープ剥離試験不合格 ×
<ピンホール測定方法>
暗室中で、富士フィルム(FUJIFILM)株式会社製「ライトボックスNEW500」上に5cm×10cmの遮光性フィルムを置き、目視により測定。
<光線透過率測定方法>
自記分光光度計(V−570 日本分光株式会社製)にて、300〜800nmにおける平均光線透過率及び最大光線透過率を測定。
<遮光性能>
平均光線透過率が0.03%以下で且つ最大光線透過率が0.05%以下の性能を満足するものの評価を○とし、上記性能の何れか一方又は両方を満たさないものの評価を×とした。
Figure 0005438570
1:遮光性フィルム
2:基材フィルム
3:塗膜層
4:無電解めっき膜
5:黒色又は暗色インク層
6:筐体
7:透明樹脂パネル
8:液晶表示パネル
9:照明装置
10:遮光性粘着シート

Claims (8)

  1. 基材フィルムの片面側に導電性高分子微粒子、バインダー及び無機フィラーを含む塗膜層が設けられ、該塗膜層上に無電解めっき膜が設けられた遮光性フィルム。
  2. 380ないし800nmの波長領域において、平均光線透過率が0.03%以下で且つ最大光線透過率が0.05%以下となる請求項1記載の遮光性フィルム。
  3. 前記塗膜層における前記導電性高分子微粒子と前記バインダーの固形分比(質量比)が、1:0.1ないし1:60であり、前記バインダーと前記無機フィラーの固形分比(質量比)が、1:0.1ないし1:1.5である請求項1又は2記載の遮光性フィルム。
  4. 前記無機フィラーの平均1次粒子径が1ないし100nmである請求項1ないし3の何れか1項に記載の遮光性フィルム。
  5. 前記塗膜層が、黒色又は暗色インクを含む請求項1ないし4の何れか1項に記載の遮光性フィルム。
  6. 前記無電解めっき膜が、100ないし2000nmの厚さを有する請求項1ないし5の何れか1項に記載の遮光性フィルム。
  7. 請求項1ないし6の何れか1項に記載の遮光性フィルムの片面又は両面に粘着剤層を有する遮光性粘着シート。
  8. 請求項1ないし6の何れか1項に記載の遮光性フィルムの無電解めっき膜上に保護層が積層され、該積層されたフィルムの片面又は両面に粘着剤層を有する遮光性粘着シート。
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