JP2008169536A - ポリウレタン弾性糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリウレタン弾性糸およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伸度、回復性、耐熱性、及び耐薬品性に優れ、ストレッチ布帛や衣服用などに好適なポリウレタン弾性糸を提供する。併せてその製造方法を提供する。
【解決手段】主構成成分がポリマージオール、及びジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸であって、スルホン酸基を有する化合物の重合体を含有するポリウレタン弾性糸である。また、そのポリウレタンの溶液に、スルホン酸基を有する化合物の重合体を添加して、紡糸することによってポリウレタン弾性糸を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強伸度、高回復性、耐アルカリ性、各種薬剤への耐性、高耐熱性などを有するポリウレタン弾性糸およびその製造方法に関する。
弾性繊維は、その優れた伸縮特性からレッグウエア、インナーウエア、スポーツウエアなどの伸縮性衣料用途や産業資材用途に幅広く使用されている。
かかる弾性繊維として、特にポリウレタン弾性糸には高強伸度、高回復性、高耐薬品性、高耐熱性を有するものが求められている。特に耐薬品性は、近年、ポリエステル糸と組み合わせて混合布帛で用いる場合において強く要望されており、ポリエステルの減量加工や抜喰加工に耐え得る耐薬品性、すなわち、アルカリ、第四級アンモニウム塩、不飽和脂肪酸などへの耐性が求められている。
このような耐薬品性の付与のための従来技術としては、例えば、ポリウレタン紡糸溶液中にポリフッ化ビニリデンを含有させて紡糸する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このようにポリフッ化ビニリデンを含有させたポリウレタン弾性糸の場合、回復性や耐熱性が十分ではなく、特に減量加工や抜喰加工を要するポリエステル糸との混合布帛の用途では耐薬品性も依然不満足な水準であり、使用が制限される場合もある。
また、ポリウレタン紡糸溶液中にポリビニルアルコールスルホン酸変性物やスルホン系化合物の合成タンニン類を含有させて紡糸する技術が知られている(例えば、特許文献2および3参照)。しかし、スルホン酸基を有する化合物が含有されているとしても、その含有量が低く、特に抜喰加工を要するポリエステル糸との混合布帛の用途ではやはり耐薬品性も依然不満足な水準である。また、後者の場合は化合物自体が濃褐色を呈しており、得られる糸も著しく着色し、使用が制限される場合もある。
特開2000−73233号公報 特許第3826377号公報 特開2001−140167号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、耐アルカリ性、各種薬剤への耐性、高回復性、高強伸度、及び高耐熱性を有するポリウレタン弾性糸およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のポリウレタン弾性糸は、前記の目的を達成するため、以下の手段を採用する。
すなわち、主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸であって、スルホン酸基を含む重合体を含有し、かつスルホン酸基を有するモノマーのモル濃度が5モル%以上であるポリウレタン弾性糸である。
また、本発明のポリウレタン弾性糸の製造方法は、主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンの溶液に、スルホン酸基を含む重合体を添加して、紡糸するものである。
本発明のポリウレタン弾性糸は、耐アルカリ性、各種薬剤への耐性、高回復性、高強伸度、及び高耐熱性を有するものであるので、この弾性糸を使用した衣服などは、脱着性、フィット性、着用感、染色性、耐変色性、外観品位などに優れたものとなる。
本発明に使用されるポリウレタンは、主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンであれば任意のものであってよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。
すなわち、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジアミンからなるポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと低分子量ジオールからなるポリウレタンであってもよい。また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。なお、本発明の効果を妨げない範囲で3官能性以上の多官能性のグリコールやイソシアネート等が使用されることも好ましい。
なお、本発明において「主構成成分」とは、ポリウレタンを重合する際に用いる構成成分の内50重量%以上を占める成分のことをいい、本発明においては、ポリマージオールおよびジイソシアネートが合計で50重量%以上を占めることを意味する。
ここで、本発明で使用されるポリウレタンを構成する代表的な構造単位について述べる。
ポリウレタンを構成する構造単位のポリマージオールとしては、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そして、特に柔軟性、伸度を糸に付与する観点からポリエーテル系グリコールが使用されることが好ましい。
ポリエーテル系グリコールは、次の一般式(I)で表される単位を含む共重合ジオール化合物を含むことが好ましい。
Figure 2008169536
(但し、a、cは1〜3の整数、bは0〜3の整数、R1、R2はH又は炭素数1〜3のアルキル基)
ポリエーテル系ジオール化合物としては、具体的には、ポリエチレングリコール、変性ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略す)、テトラヒドロフラン(以下、THFと略す)および3−メチル−THFの共重合体である変性PTMG、THFおよび2,3−ジメチル−THFの共重合体である変性PTMG、THF及びネオペンチルグリコールの共重合体である変性PTMG、THFとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドが不規則に配列したランダム共重合体等が挙げられる。これらポリエーテル系グリコール類の1種を使用してもよいし、また2種以上混合もしくは共重合して使用してもよい。その中でもPTMGまたは変性PTMGが好ましい。
また、ポリウレタン糸における耐摩耗性や耐光性を高める観点からは、ブチレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとポリプロピレンポリオールの混合物をアジピン酸等と縮重合することにより得られる側鎖を有するポリエステルジオールなどのポリエステル系グリコールや、3,8−ジメチルデカン二酸及び/又は3,7−ジメチルデカン二酸からなるジカルボン酸成分とジオール成分とから誘導されるジカルボン酸エステル単位を含有するポリカーボネートジオール等が好ましく使用される。
また、こうしたポリマージオールは単独で使用されてもよいし、2種以上混合もしくは共重合して使用されてもよい。
本発明に使用されるポリマージオールの分子量は、弾性糸にした際の伸度、強度、耐熱性などを所望水準とするために、数平均分子量で1000〜8000が好ましく、1800〜6000がより好ましい。この範囲の分子量のポリマージオールが使用されることにより、伸度、強度、弾性回復力、耐熱性に優れた弾性糸を得ることができる。
次に、ポリウレタンを構成する構造単位のジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが、特に耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。さらに脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ−1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタン糸の黄変を抑制する際に有効に使用できる。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
次に、ポリウレタンを構成する構造単位の鎖伸長剤としては、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうち少なくとも1種以上を使用するのが好ましい。なお、エタノールアミンのような水酸基とアミノ基を分子中に有するものであってもよい。好ましい低分子量ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン(以下、EDAと略す)、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p,p’−メチレンジアニリン、1,3−シクロヘキシルジアミン、ヘキサヒドロメタフェニレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらの中から1種または2種以上が使用されることも好ましい。特に好ましくはエチレンジアミンである。エチレンジアミンを用いることにより伸度および弾性回復性、さらに耐熱性に優れた糸を得ることができる。これらの鎖伸長剤に架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を効果を失わない程度に加えてもよい。
また、低分子量ジオールとしては、エチレングリコール(以下、EGと略す)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1−メチル−1,2−エタンジオールなどは代表的なものである。これらの中から1種または2種以上が使用されることも好ましい。特に好ましくはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性が高く、また、強度の高い糸を得ることができるのである。
また、本発明のポリウレタン弾性糸の分子量は、耐久性や強度の高い繊維を得る観点から、数平均分子量として40000以上150000以下の範囲であることが好ましい。なお、数平均分子量はGPCで測定し、ポリスチレンにより換算した値である。
そして、本発明の弾性糸を構成するポリウレタンとして特に好ましいものは、工程通過性も含め、実用上の問題がなく、かつ、高耐熱性に優れたものを得る観点から、ジオールとジイソシアネートからなり、かつ高温側の融点が150℃以上300℃以下の範囲となるものである。ここで、高温側の融点とは、DSCで測定した際のポリウレタンまたはポリウレタンウレアのいわゆるハードセグメント結晶の融点が該当する。
即ち、ポリマージオールとして数平均分子量が1000以上8000以下の範囲にあるPTMG、ジイソシアネートとしてMDI、鎖伸長剤としてエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種が使用されて合成され、かつ、高温側の融点が150℃以上300℃以下の範囲であるポリウレタンから製造された弾性糸は、特に伸度が高くなり、さらに上記のように、工程通過性も含め、実用上の問題はなく、かつ、高耐熱性に優れるので好ましい。
本発明のポリウレタン弾性糸は、スルホン酸基を含む重合体を含有するものである。スルホン酸基を含む重合体は、アニオン性を帯び、紡糸液中において、ポリウレタン中のウレア基やウレタン基と良好な相互作用をもつので、紡糸液中におけるハードセグメントの凝集を防ぐことができ、粘度変化やゲル化を減じることができる。また、かかるスルホン酸基を含む重合体は、ポリウレタン弾性糸と成ったのちには、ハードセグメントを主体とする結晶を被覆保護し、ソフトセグメントを主体とする非晶部では酸化防止能を発揮することで、耐薬品性、高回復性、高耐熱性など、本発明の効果を発揮することができる。これに対し、ポリウレタン弾性糸中に、スルホン酸基を含む重合体が含有されない場合には、耐アルカリ性、各種薬剤への耐性、回復性、強伸度、耐熱性を高めることが困難である。
本発明で用いるスルホン酸基を含む重合体とは、スルホン酸基を有する化合物をモノマーとして重合した化合物であれば特に制限はなく、モノマーとしてスルホン酸基を有する化合物のみを用いてもよく、その他のモノマーを含む共重合体でもよい。高耐薬品性、高強伸度のポリウレタン糸を得る観点から、スルホン酸基を有するモノマーの含有モル濃度は5モル%以上が必要である。ポリウレタン弾性糸においてスルホン酸基を有するモノマーの含有モル濃度が5モル%以上の場合、フェノール系酸化防止剤に類似した酸化防止能が発現し、高い耐熱老化性が得られる。好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上である。なお、ポリウレタン弾性糸の紡糸性やポリウレタン弾性糸の伸度を阻害しない限り、100モル%であってもよい。
また、高い紡糸速度と紡糸中の揮発減量を抑制する観点から、スルホン酸基を含む重合体は、数平均分子量で2000以上500000以下であることが好ましい。
本発明のポリウレタン弾性糸中に含まれるスルホン酸基を含む重合体の量は、良好な紡糸性、バランスの良い機械物性、耐熱性を得る観点から、0.5重量%以上50重量%未満の範囲が好ましく、ポリウレタン糸の回復性の降下を少なくする観点から、1重量%以上30重量%以下がより好ましい。さらに詳しくは、SO3H濃度が糸中で0.12重量%〜3.6重量%を構成することが好ましい。
スルホン酸基を有する化合物としては、高強伸度のポリウレタン糸を得る観点から、芳香族スルホン酸が好ましい。中でも、高回復性、高耐熱性を効率よく発揮するためには、ベンゼンスルホン酸またはフェノールスルホン酸がより好ましい。
スルホン酸基を含む重合体が共重合体の場合は、スルホン酸基を有するモノマーとその他の構成モノマーとのモル比に制限はなく、その他の構成モノマーは化合物の安定性やポリウレタンへの相溶性などの観点から、適宜選択することができる。安定性を高める観点からは、スルホニル基を有する化合物が好適である。なお、ここでいうスルホニル基を有する化合物に、スルホン酸は含まれない。かかるスルホニル基を有する化合物(スルホン酸を除く)としては、ポリウレタンへの相溶性を高め、なおかつポリウレタンのハードセグメントの結晶化を阻害せず、高強伸度のポリウレタン糸にするためにはバルキーな化合物が好ましく、芳香族スルホンなどの芳香族環を有する化合物が好適である。中でもジヒドロキシジフェニルスルホンなどのビスフェノール類が特に好ましく挙げられる。ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのビスフェノール類を用いる場合は、さらに顕著な酸化防止能を発現するため高耐熱性に寄与するのである。
スルホン酸基を含む重合体としては、例えば、ベンゼンスルホン酸のホルムアルデヒド縮重合体、フェノールスルホン酸のホルムアルデヒド縮重合体、フェノールスルホン酸とクレゾールのホルムアルデヒド縮重合体、エチレンスルホン酸とスチレンの付加重合体、プロピレンスルホン酸とスチレンの付加重合体、スチレンスルホン酸とスチレンの付加重合体、ベンゼンスルホン酸とジビニルベンゼンの付加重合体、フェノールスルホン酸とジビニルベンゼンの付加重合体、ベンゼンスルホン酸とジビニルベンゼンスルホン酸の付加重合体、フェノールスルホン酸とジビニルベンゼンスルホン酸の付加重合体、ベンゼンスルホン酸とジビニルスルホンの付加重合体、フェノールスルホン酸とジビニルスルホンの付加重合体、ベンゼンスルホン酸と4,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体、フェノールスルホン酸と4,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体、ベンゼンスルホン酸と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体、フェノールスルホン酸と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体なども挙げられる。中でも、高回復性および紡糸後の糸の透明感や色の観点から、ホルムアルデヒド縮重合体であることが好ましい。
スルホン酸基を含む重合体の重合法に制限はなく、(a)スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するスチレン誘導体、(b)エチレンスルホン酸、プロピレンスルホン酸、ブチレンスルホン酸などのオレフィンスルホン酸類、(c)ブタジエンスルホン酸などのジエンスルホン酸類、などのビニル系スルホン酸を用いた付加重合、ホルムアルデヒド架橋などの縮合重合などを用いることができる。重合体のアニオン性を発現するスルホン酸基を保護するために、出発モノマーも適宜スルホン酸塩やスルホアミドなどの前駆体を選び、かかる出発物質を重合し、後に、酸によるイオン交換などにより、一部または全てをスルホン酸基へ誘導することも好ましい。また、ホルムアルデヒド架橋の縮合重合の場合にはホルムアルデヒドを酸触媒下で縮合重合させたノボラック型でも、アルカリ触媒下で合成したレゾール型でも好ましい。スルホン酸基を含む重合体の安定性、すなわち、粘性変化や変色を抑制する手法として、後述のポリウレタン末端封鎖剤でもあるジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、ブチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミンをSO3H当量程度添加、反応させておくことも好ましい。
中でも、ポリウレタン糸の原料紡糸液の粘度を安定化し、良好な紡糸性を得て、高い耐薬品性の糸を得る観点から、スルホン酸基を含む重合体が、スルホン酸基を有する化合物およびスルホニル基を有する化合物(スルホン酸を除く)のランダムもしくは交互共重合体であることが好ましい。そして、ポリウレタン糸としてより良好な機械物性を得る観点から、スルホン酸基を有する化合物およびスルホニル基を有する化合物(スルホン酸を除く)をモノマーとする共重合体が好ましく、その例としてベンゼンスルホン酸と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体、フェノールスルホン酸と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体が挙げられる。
さらに、本発明で使用されるスルホン酸基を含む重合体は、ポリウレタンへの分散および溶解を速くし、製造されるポリウレタン糸の特性を目標の特性とせしめ、さらに適度な透明度のポリウレタン糸を得ることができ、さらに紡糸工程で熱などを受けた時でもスルホン酸基を含む重合体の含有量が低下せず糸の変色も生じないという観点から、20℃でのN,N’−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略す)またはN,N’−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)の20重量%溶液の粘度が10cP以上10000P以下となる液体状で、重合体自体には着色のないものまたは少ないものが好ましい。
さらに、本発明で使用されるポリウレタンには、末端封鎖剤が1種または2種以上混合使用されることも好ましい。末端封鎖剤として、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどが好ましい。
また、本発明において、ポリウレタン弾性糸やポリウレタン紡糸液中に、各種安定剤や顔料などが含有されていてもよい。例えば、耐光剤、酸化防止剤などに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)や住友化学工業株式会社製の“スミライザーGA−80”(製品名)などのヒンダードフェノール系薬剤、各種のチバガイギー社製“チヌビン”(登録商標)などのベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系薬剤、住友化学工業株式会社製の“スミライザーP−16”(製品名)などのリン系薬剤、各種のヒンダードアミン系薬剤、酸化鉄、酸化チタンなどの各種顔料、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、カーボンブラックなどの無機物、フッ素系またはシリコーン系樹脂粉体、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、また、銀や亜鉛やこれらの化合物などを含む殺菌剤、消臭剤、またシリコーン、鉱物油などの滑剤、硫酸バリウム、酸化セリウム、ベタインやリン酸系などの各種の帯電防止剤などが含まれることも好ましく、またこれらとポリマーとを反応させることも好ましい。そして、特に光や各種の酸化窒素などへの耐久性をさらに高めるには、例えば、日本ヒドラジン株式会社製のHN−150などの酸化窒素補足剤が使用されることも好ましい。
また、乾式紡糸工程における紡糸速度を上げ易いという観点から、二酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物の微粒子を添加してもよい。また、耐熱性向上や機能性向上の観点から、無機物や無機多孔質(例えば、竹炭、木炭、カーボンブラック、多孔質泥、粘土、ケイソウ土、ヤシガラ活性炭、石炭系活性炭、ゼオライト、パーライト等)を、本発明の効果を阻害しない範囲内で添加してもよい。
これらのその他の添加剤は、ポリウレタン溶液と前記した改質剤との混合により紡糸原液を調製する際に添加してもよいし、また、混合前のポリウレタン溶液中や分散液中に予め含有させておいてもよい。これら添加剤の含有量は目的等に応じて適宜決定される。
次に本発明のポリウレタン弾性糸の製造方法について詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸を製造するに際して、上述のスルホン酸基を含む重合体を含有させる。かかる、スルホン酸基を含む重合体は、ポリウレタンの重合段階で合わせて添加してもよいが、本発明においては最初にポリウレタン溶液を作製し、その後で添加するのが好ましい。ポリウレタン溶液、また、その溶液中の溶質であるポリウレタンを製造する方法は、溶融重合法、溶液重合法のいずれであってもよく、他の方法であってもよい。しかし、より好ましいのは溶液重合法である。溶液重合法の場合には、ポリウレタンにゲルなどの異物の発生が少ないので、紡糸しやすく、低繊度のポリウレタン糸を製造しやすい。また、溶液重合の場合、溶液にする操作が省けるという利点がある。
そして本発明に特に好適なポリウレタンとしては、ポリマージオールとして数平均分子量が1000以上8000以下のPTMGを用い、ジイソシアネートとしてMDIを用い、さらに、鎖伸長剤としてエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミンのうちの少なくとも1種を使用して合成され、かつ、高温側の融点が200℃以上300℃以下の範囲のものが挙げられる。
かかるポリウレタンは、例えば、DMAc、DMF、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどやこれらを主成分とする溶剤の中で、上記の原料を用い合成することにより得られる。例えば、こうした溶剤中に、各原料を投入、溶解させ、適度な温度に加熱し反応させてポリウレタンとする、いわゆるワンショット法、また、ポリマージオールとジイソシアネートを、まず溶融反応させ、しかる後に、反応物を溶剤に溶解し、前述のジオールと反応させてポリウレタンとする方法などが、特に好適な方法として採用され得る。
鎖伸長剤にジオールを用いる場合、ポリウレタンの高温側の融点を150℃以上300℃以下の範囲内とするための代表的な方法としては、ポリマージオール、MDI、ジオールの種類と比率をコントロールすることが挙げられる。例えば、ポリマージオールの分子量が低い場合には、MDIの割合を相対的に多くすることにより、高温側の融点が高いポリウレタンを得ることができる。また、同様にジオールの分子量が低いときはポリマージオールの割合を相対的に少なくすることにより、高温側の融点が高いポリウレタンを得ることができる。ポリマージオールの数平均分子量が1000以上の場合、高温側の融点を150℃以上にするには、(MDIのモル数)/(ポリマージオールのモル数)=1.5以上の割合で、重合を進めることが好ましい。
なお、かかるポリウレタンの合成に際し、アミン系触媒や有機金属触媒等の触媒が1種もしくは2種以上混合して使用されることも好ましい。
アミン系触媒としては、例えば、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス−2−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N,N’,N’,N’−ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルグアニジン、トリエチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)モルホリン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、トリエタノールアミン等が挙げられる。
また、有機金属触媒としては、オクタン酸スズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸鉛ジブチル等が挙げられる。
こうして得られるポリウレタン溶液の濃度は、通常、30重量%以上80重量%以下の範囲が好ましい。
本発明においては、かかるポリウレタン溶液に、上述のスルホン酸基を含む重合体を添加するのが好ましい。スルホン酸基を含む重合体のポリウレタン溶液への添加方法としては、任意の方法が採用できる。その代表的な方法としては、スタティックミキサーによる方法、攪拌による方法、ホモミキサーによる方法、2軸押し出し機を用いる方法など各種の手段が採用できる。ここで、添加されるスルホン酸基を含む重合体は、ポリウレタン溶液への均一な添加を行う観点から、溶液にして添加することが好ましい。
なお、スルホン酸基を含む重合体のポリウレタン溶液への添加により、添加後の混合溶液の溶液粘度が添加前のポリウレタンの溶液粘度に比べ予想以上に高くなる現象が発生する場合があるが、この現象を防止する観点から、ジメチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、イソプロピルメチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルメチルアミン、イソブチルメチルアミン、イソペンチルメチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどのモノアミン、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、シクロペンタノールなどのモノオール、フェニルイソシアネートなどのモノイソシアネートなどの末端封鎖剤が1種または2種以上混合して使用されることも好ましい。
スルホン酸基を含む重合体のポリウレタン溶液への添加の際に、前記した、例えば、耐光剤、耐酸化防止剤などの薬剤や顔料などを同時に添加してもよい。
以上のように構成した紡糸原液を、たとえば乾式紡糸、湿式紡糸、もしくは溶融紡糸し、巻き取ることで、本発明のポリウレタン弾性糸を得ることができる。中でも、細物から太物まであらゆる繊度において安定に紡糸できるという観点から、乾式紡糸が好ましい。
本発明のポリウレタン弾性糸の繊度、単糸数、断面形状などは特に限定されるものではない。例えば、糸は1単糸で構成されるモノフィラメントでもよく、また複数単糸で構成されるマルチフィラメントでもよい。糸の断面形状は円形であってもよく、また扁平であってもよい。
そして、乾式紡糸方式についても特に限定されるものではなく、任意の方法で、すなわち所望する特性や紡糸設備に見合った紡糸条件等を適宜選択して紡糸すればよい。
たとえば、本発明のポリウレタン弾性糸のセット性と応力緩和の特性は、特にゴデローラーと巻取機の速度比の影響を受けやすいので、糸の使用目的に応じて適宜決定されるのが好ましい。
すなわち、所望のセット性と応力緩和を有するポリウレタン弾性糸を得る観点から、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.15以上1.65以下の範囲として巻き取ることが好ましい。そして、特に低いセット性(永久歪率)と、低い応力緩和を有するポリウレタン弾性糸を得る際には、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.15以上1.40以下の範囲がより好ましく、1.15以上1.35以下の範囲がさらに好ましい。
一方、高いセット性と、高い応力緩和を有するポリウレタン弾性糸を得る際には、ゴデローラーと巻取機の速度比は1.25以上1.65以下の範囲として巻き取ることが好ましく、1.35以上1.65以下の範囲がより好ましい。
また、紡糸速度を高くすることによってポリウレタン弾性糸の強度を向上させることができるので、450m/分以上の紡糸速度をとることが、実用上好適な強度水準とするために好ましい。さらに工業生産の点を考慮すると、450〜1000m/分程度が好ましい。
さらに、スルホン酸基を含む重合体は、使用するモノマー種やその純度、さらには重合法によって、場合により褐色系の着色がある場合がある。あらかじめ着色したスルホン酸基を含む重合体を使用すると、ポリウレタン糸となった場合にも着色が大きく、使用が制限される場合がある。したがって、本発明においては、使用するスルホン酸モノマーの純度を高くし、着色が少ない構成モノマーを使用することが好ましく、そのためには、重合時間や温度を事前に検討することで、スルホン酸基を含む重合体を無色または無色に近いものとすることが好ましい。具体的には、着色する場合の多くは褐色系の着色のため、ハンター形色差計により求められるポリウレタン弾性糸のb値が、15未満となるようにすることが好ましく、更に好ましくは3未満である。なお、b値の測定は、紡糸後24時間の糸を試料板の色の影響が現れない程度に緻密に最小の荷重で巻き取り、ハンター形色差計を用いて測定する。
上述のようにして得られる本発明のポリウレタン系弾性糸は、その他の繊維と混用して伸縮性布帛を構成することができる。伸縮性布帛の形態については、何ら制限されるものではなく、その混用率、組み合わせる素材繊維、混用方法は適宜選択されて公知の手段によって布帛化されればよい。ポリウレタン系弾性糸は、そのまま裸糸として用いてもよいし、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維ならびにアクリル繊維などの合成繊維や綿、羊毛などの天然繊維等の従来から知られている繊維の1種以上と自由に組み合わせたり被覆されたりしたものを用いてもよい。
また、布帛を構成するにあたり本発明のポリウレタン系弾性糸と組み合わせる繊維としては、ナイロン等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエステル系繊維に代表されるポリエステル系合成繊維、アクリル系合成繊維、ポリプロピレン系合成繊維、アセテート繊維に代表される半合成繊維、綿や麻や羊毛に代表される天然繊維の単独品または2種以上を混合したものが好ましく使用される。
本発明を実施例によってさらに詳しく説明する。
本発明におけるポリウレタン弾性糸の強度、伸度、セット性(永久歪率)、応力緩和、耐薬品性、耐アルカリ性、耐熱性(熱軟化点、融点)、色の測定法を説明する。
[セット性(永久歪率)、応力緩和、強度、伸度]
セット性、応力緩和、強度、伸度は、ポリウレタン弾性糸をインストロン4502型引張試験機を用い、引張テストすることにより測定した。
試長5cm(L1)の試料を50cm/分の引張速度で300%伸長を5回繰返した。このとき、300%伸長時の応力を(G1)とした。次に試料の長さを300%伸長のまま30秒間保持した。30秒間保持後の応力を(G2)とした。次に試料の伸長を回復せしめ応力が0になった際の試料の長さを(L2)とした。さらに6回目に試料が切断するまで伸長した。この破断時の応力を(G3)、破断時の試料長さを(L3)とした。以下、上記特性は下記式により算出される。
強度(cN)=(G3)
応力緩和(%)=100×((G1)−(G2))/(G1)
セット性(%)=100×((L2)−(L1))/(L1)
伸度(%)=100×((L3)−(L1))/(L1)
[耐薬品性]
糸を100%伸長状態で固定し、次の3種の暴露処理を実施した。まず、オレイン酸のヘキサン溶液(5重量%)に1時間浸積処理し、次に調整した次亜塩素酸溶液(塩素濃度500ppm)に2時間浸積処理し、次に2時間UV暴露を行う。UV暴露処理は、機器としてスガ試験機社製のカーボンアーク型フェードメーターを用い、63℃、60%RHの温湿度で実施した。この暴露処理を合計2回実施した後、糸をフリーで24時間、室温で放置し、前記と同じ方法で破断強度(G4)を測定した。未処理糸の破断強度(G3)に対する、処理後の破断強度(G4)の割合(保持率)を耐薬品性とした。
耐薬品性(%)=100×(G4)/(G3)
[耐アルカリ性1]
ポリウレタン糸の耐アルカリ性の指標として、ポリエステル繊維の減量加工時を想定した処理を行い、糸の破断強度保持率を評価する。
糸を100%伸長状態で固定し、圧力容器に封入し、カチオン系減量促進剤(第四級アンモニウム塩、一方社製DXN−10)と水酸化ナトリウムとを含む水溶液(各8.0重量%含有)で満たし、100℃で、120分間処理した後、糸をフリーで24時間、室温で放置し、前記と同じ方法で破断強度(G5)を測定した。未処理糸の破断強度(G3)に対する、処理後の破断強度(G5)の割合(保持率)を耐アルカリ性とした。
耐アルカリ性(%)=100×(G5)/(G3)
[耐アルカリ性2]
ポリウレタン糸の耐アルカリ性の指標として、ポリエステル繊維の抜喰加工時を想定した処理を行い、糸の破断強度保持率を評価する。
糸を100%伸長状態で固定し、カチオン系減量促進剤(第四級アンモニウム塩、一方社製DXN−10)の40重量%水溶液に5分間浸積した後、圧力容器に封入し、水酸化ナトリウムとを含む水溶液(8.0重量%含有)で満たし、100℃で、120分間処理した後、糸をフリーで24時間、室温で放置し、前記と同じ方法で破断強度(G6)を測定した。未処理糸の破断強度(G3)に対する、処理後の破断強度(G6)の割合(保持率)を耐アルカリ性とした。
耐アルカリ性(%)=100×(G6)/(G3)
[熱軟化点]
ポリウレタン糸の耐熱性の指標の一つとして熱軟化点を測定した。ポリウレタン糸について、レオメトリック社製動的弾性率測定機RSAIIを用い、昇温速度10℃/分で、動的貯蔵弾性率E’の温度分散を測定した。熱軟化点は、E’曲線が80℃以上130℃以下のプラト領域での接線と、160℃以上にてE’が熱軟化により降下するE’曲線の接線との交点から求めた。なお、E’は対数軸、温度は線形軸を用いた。
[ポリウレタン弾性糸の色調]
多くは褐色系の着色のため、b値を基準に判定する。紡糸後24時間の糸を5×5cmの試料板に、試料板の色の影響が現れない程度に緻密に最小の荷重(ドラフト率で言えば1.05)で巻き取り、試料とした。試料及び常用標準白色面(JIS Z 8722:2005の4.3.4)の前面を均質平たんで透明な約1mmのガラス板で密着させて覆った。
b値の測定は、JIS L 1013:2005のC法(ハンターの方法)に準じ、ハンター形色差計を用い、下記式に基づき算出した。測定回数は、5回とし、その平均値を採用した。
b=7.0(Y−0.847Z)/Y1/2
(但し、X、Y、ZはJIS Z 8701:2005により算出した)
判定はbが3未満を◎、3以上15未満を○、15以上25未満を△、25以上を×と表記する。
[実施例1]
数平均分子量2900のPTMG、MDIおよびエチレングリコールからなるポリウレタン重合体(a1)のDMAc溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液A1とした。
次に、スルホン酸基を有する化合物の共重合体として、化学式(II)に示すフェノールスルホン酸と4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのモル比52対48(含有モル濃度52%)のホルムアルデヒド縮重合体(b1)を用い、そのDMAc溶液を調整した。
Figure 2008169536
DMAc溶液の調整には、水平ミルWILLY A.BACHOFEN社製DYNO−MIL KDLを用い、85%ジルコニアビーズを充填、50g/分の流速の条件で均一に微分散させて、スルホン酸基を有する化合物の共重合体のDMAc溶液B1(35重量%)とした。
さらに、酸化防止剤として、t−ブチルジエタノールアミンとメチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネ−ト)の反応によって生成せしめたポリウレタン溶液(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2462、c1)と、p−クレゾ−ル及びジビニルベンゼンの縮合重合体(デュポン社製“メタクロール”(登録商標)2390、c2)とを2対1(重量比)で混合し、酸化防止剤DMAc溶液(濃度35重量%)を調整し、これをその他添加剤溶液C1(35重量%)とした。
ポリマ溶液A1、スルホン酸基を有する化合物の共重合体の溶液B1、その他添加剤溶液C1を、それぞれ94重量%、3重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液D1とした。
この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.4として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメント、スルホン酸基を有する化合物の共重合体(スルホン酸基を有するモノマーのモル濃度が52モル%)の含有量が3重量%であるポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、スルホン酸基を有する化合物の共重合体b1は数平均分子量が約8万であった。
このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性、熱軟化点、色調を表2に示す。破断強度は、スルホン酸基を有する化合物の共重合体b1未配合の比較例1(後述)に比べ増大した。破断伸度は同等を維持した。セット性は比較例1に比べ減少し、回復性が向上した。また、色調も良好であった。耐アルカリ性1、耐アルカリ性2および耐薬品性は比較例1に比べ、大幅に増加し、それぞれ、2倍、3.7倍、2倍を示した。耐熱性の指標である熱軟化点も比較例1より向上した。
さらに次の方法でストレッチ織物を製作し、アルカリ減量や染色加工を施し、外観品位を評価した。
まず、得られたポリウレタン弾性糸をカバーリング加工した。カバーリング用糸としてレギュラーポリエステル繊維168デシテックス−48フィラメントを使用し、カバーリング機を用いてヨリ数=450T/m、ドラフト=3.0の条件で加工してヨコ糸用カバーリング糸を作製した。また、同様に、カバーリング用糸としてレギュラーポリエステル繊維168デシテックス−48フィラメントを使用し、カバーリング機を用いてヨリ数700T/M、ドラフト=3.5の条件で加工してタテ糸用カバーリング糸を作製した。
次に、整経・製織を行った。タテ糸の5100本(荒巻き整経1100本)を糊付け整経し、レピアー織機を用いて2/1綾組織で製織した。
次に、染色加工を行った。製織で得た生機を、常法に従い精練加工、中間セット(185℃)、アルカリ減量加工(N処理)、エンボス加工(190℃)、染色加工(130℃)、乾燥、仕上げ剤処理、仕上げセット(180℃、布速20m/min、セットゾーン24m)を順次行った。
得られたストレッチ織物を目視で評価したところ、欠点がなく、外観品位に優れたものであった。
[実施例2]
スルホン酸基を有する化合物の重合体として、化学式(III)に示すフェノールスルホン酸のホルムアルデヒド縮重合体(b2)を用い、そのDMAc微分散液を調整した。
Figure 2008169536
DMAc微分散液の調整は実施例1と同一の方法で行い、スルホン酸基を有する化合物の重合体のDMAc分散液B2(35重量%)とした。実施例1で調整したポリマ溶液A1、上記によるスルホン酸基を有する化合物の重合体溶液B2、及び、実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ92重量%、5重量%、3重量%で均一に混合し、紡糸溶液D2とした。
この紡糸溶液をゴデローラーと巻取機の速度比1.40として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメント、スルホン酸基を有する化合物の重合体(スルホン酸基を有するモノマーのモル濃度が100モル%)の含有量が5重量%であるポリウレタン弾性糸(200g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、化合物b2は数平均分子量が約4万であった。
このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性、熱軟化点、色調を表2に示す。破断強度は比較例1(後述)に比べ増大し、伸度は同等を維持した。セット性は比較例1に比べ減少し、回復性が向上した。また、色調も良好であった。耐アルカリ性1、耐アルカリ性2および耐薬品性は比較例1に比べ、大幅に増加し、それぞれ、2.2倍、4.3倍、2.8倍を示した。熱軟化点は耐熱性の指標である熱軟化点も比較例1より4℃向上した。
また、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作し、外観品位を目視で評価したところ、得られたストレッチ織物は欠点がなく、外観品位に優れたものであった。
[実施例3]
数平均分子量1800のPTMG、MDI、エチレンジアミン、および末端封鎖剤としてジエチルアミンからなるポリウレタンウレア重合体(a2)のDMAc溶液(35重量%)を常法により重合し、ポリマ溶液A2とした。次に、このDMAc溶液A2、実施例1で調整したスルホン酸基を有する化合物の共重合体溶液B1、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ、92重量%、5.0重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液D3とした。この紡糸溶液D3をゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメント、スルホン酸基を有する化合物の共重合体(スルホン酸基を有するモノマーのモル濃度が50モル%)の含有量が5重量%であるポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、化合物b1は数平均分子量が約8万であった。
このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性、熱軟化点、色調を表2に示す。破断伸度、破断強度はともに、スルホン酸基を有する化合物の共重合体b1未配合の比較例2(後述)に比べ増大した。セット性は比較例2に比べ減少し、回復性が向上した。また、色調も良好であった。
耐アルカリ性1、耐アルカリ性2および耐薬品性は比較例2に比べ、大幅に増加し、それぞれ、2.7倍、4.0倍、3.2倍を示した。耐熱性の指標である熱軟化点も比較例2より10℃向上した。
また、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作し、外観品位を目視で評価したところ、得られたストレッチ織物は欠点がなく、外観品位に優れたものであった。
[実施例4]
スルホン酸基を有する化合物の共重合体として、化学式(IV)に示すフェノールスルホン酸とジビニルベンゼンの付加重合体(スルホン酸基を有するモノマーの含有モル濃度50%、b3)を用い、そのDMAc溶液を調整した。
Figure 2008169536
DMAc溶液の調整は実施例1と同一の方法で行い、スルホン酸基を有する化合物の共重合体溶液B3(35重量%)とした。実施例3で調整したポリマ溶液A2、上記のスルホン酸基を有する化合物の共重合体溶液B3、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ82重量%、15重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液D4とした。この紡糸溶液D4をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメント、スルホン酸基を有する化合物の共重合体(スルホン酸基を有するモノマーのモル濃度が50モル%)の含有量が15重量%であるポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン弾性糸の組成(重量%)は表1に示すとおりであった。また、化合物b3は数平均分子量が12万であった。
このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性、熱軟化点、色調を表2に示す。破断強度は、スルホン酸基を有する化合物の共重合体b3未配合の比較例2(後述)に比べ増大し、特に高強度となった。破断伸度は同等を維持した。セット性は比較例2に比べ減少し、回復性が向上した。また、色調も良好であった。耐アルカリ性1、耐アルカリ性2および耐薬品性は比較例2に比べ、大幅に向上し、それぞれ、3.0倍、4.4倍、3.1倍を示した。耐熱性の指標である熱軟化点も比較例2より13℃向上した。
また、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作し、外観品位を目視で評価したところ、得られたストレッチ織物は欠点がなく、外観品位に優れたものであった。
[比較例1]
実施例1で調整したポリマ溶液A1、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液添加剤溶液C1を、それぞれ、97重量%、3重量%の割合で均一混合し、紡糸溶液E1とした。この紡糸溶液E1をゴデローラーと巻取機の速度比を1.40として540m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、モノフィラメントのポリウレタン弾性糸を作製した。
得られたポリウレタン系弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐薬品性、耐アルカリ性、熱軟化点、色調を表1に示す。耐アルカリ性1、耐アルカリ性2および耐薬品性は、スルホン酸基を有する化合物の重合体を含有する実施例1〜2に比べ、大幅に劣るものであった。
さらに、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作し、外観品位を目視で評価したところ、これの外観は各種加工履歴によるポリウレタン糸のへたりに起因する部分波打ちの発生が認められ、不満足なものであった。
[比較例2]
実施例3で調整したポリマ溶液A2、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液添加剤溶液C1を、それぞれ、97重量%、3重量%の割合で均一混合し、紡糸溶液E2とした。この紡糸溶液E2をゴデローラーと巻取機の速度比を1.20として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン系弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐薬品性、耐アルカリ性、熱軟化点、色調を表1に示す。耐アルカリ性1、耐アルカリ性2および耐薬品性は、スルホン酸基を有する化合物の重合体を含有する実施例3〜4に比べ、大幅に劣るものであった。
さらに、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作し、外観品位を目視で評価したところ、これの外観は各種加工履歴によるポリウレタン糸のへたりに起因する部分波打ちの発生が認められ、不満足なものであった。
[比較例3]
クレハ化学工業(株)製ポリフッ化ビニリデン(数平均分子量48,000、f1)のDMAc溶液F1(35重量%)を調整した。DMAc溶液の調整は、実施例1に記載された方法と同一の方法で行った。実施例3で調整したポリマ溶液A2、上記のポリフッ化ビニリデン溶液F1、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ92重量%、5重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液E3とした。この紡糸溶液E3をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン系弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性、熱軟化点、色調を表2に示す。耐薬品性は、ポリフッ化ビニリデンを添加しなかった比較例2の場合の1.5倍に向上したもの、実施例3、4等に比べ、劣るものであった。さらに、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2も実施例3、4等に比べ、劣るものであった。
さらに、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作し、外観品位を目視で評価したところ、これの外観はポリウレタン糸のセット性増大によると思われるへたりによる波打ちが全体に発生していて、不満足なものであった。
[比較例4]
日本合成化学社製ポリビニルアルコールスルホン酸変性物(ゴーセラン(R)、スルホン酸基を有するモノマーの含有モル濃度が1.5%、f2)のDMAc溶液F2(35重量%)を調整した。DMAc溶液の調整は、実施例1に記載された方法と同一の方法で行った。実施例3で調整したポリマ溶液A2、上記のポリビニルアルコールスルホン酸変性物溶液F2、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ82重量%、15重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液E4とした。この紡糸溶液E4をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン系弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性、熱軟化点、色調を表2に示す。熱軟化点は比較例2に比べ、9℃の低下が見られ、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性は、ポリビニルアルコールスルホン酸変性物を添加しなかった比較例2の場合の1.1倍〜1.7倍程度に向上したもの、実施例3、4等に比べ、大幅に劣るものであった。
さらに、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作し、外観品位を目視で評価したところ、これの外観は各種加工履歴によるポリウレタン糸のへたりに起因する部分波打ちの発生が認められ、不満足なものであった。
[比較例5]
合成タンニン類であるハイフィックスGM(旧大日本製薬(株)、現オー・ジー(株)製 ジヒドロキシジフェニールスルホン系化合物、30%水溶液、濃褐色)の水分を除去した固形物のDMAc分散液F3(35重量%)を調整した。DMAc分散液の調整は、実施例1に記載されたDMAc溶液の調整と同一の方法で行った。F3は濁りのあるコーヒー様の濃褐色を呈していた。実施例3で調整したポリマ溶液A2、上記のジヒドロキシジフェニールスルホン系化合物分散液F2、及び実施例1で調整したその他添加剤溶液C1を、それぞれ96重量%、1.0重量%、3.0重量%で均一に混合し、紡糸溶液E5とした。この紡糸溶液E5をゴデローラーと巻取機の速度比を1.30として600m/分の紡糸速度で乾式紡糸して巻取り、20デシテックス、2フィラメントのマルチフィラメントのポリウレタン弾性糸(500g巻糸体)を作製した。
得られたポリウレタン系弾性糸の組成(重量%)は表1のとおりであった。また、このポリウレタン弾性糸の破断伸度、破断強度、セット性、応力緩和、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性、熱軟化点、色調を表2に示す。熱軟化点は比較例2と同等であり、耐アルカリ性1、耐アルカリ性2、耐薬品性は、ジヒドロキシジフェニールスルホン系化合物を添加しなかった比較例2の場合と同等もしくは1.2倍に向上したもの、実施例3、4等に比べ、大幅に劣るものであった。
そして、得られたポリウレタン弾性糸の色調は赤みの強い褐色を呈しており、実施例1と同様の方法でストレッチ織物を製作したが、その生編みはストレッチ布帛を供するに大変不満足なものであった。また、目視で評価したところ、これの外観は、各種加工履歴によるポリウレタン糸のへたりに起因する部分波打ちの発生が認められ、不満足なものであった。
Figure 2008169536
Figure 2008169536
本発明のポリウレタン弾性糸は、高強伸度、高回復性、耐アルカリ性、各種薬剤への耐性、高耐熱性を有するものであるので、この弾性糸を使用した衣服などは、脱着性、フィット性、着用感、染色性、耐変色性、外観品位などに優れたものとなる。
これらの優れた特性を有することから、本発明のポリウレタン糸は単独での使用はもとより、各種繊維との組み合わせにより、優れたストレッチ布帛を得ることが可能で、編成、織成、紐加工に好適である。その使用可能な具体的用途としては、ソックス、ストッキング、丸編、トリコット、水着、スキーズボン、作業服、煙火服、ゴルフズボン、ウエットスーツ、ブラジャー、ガードル、手袋等の各種繊維製品、締め付け材料、さらには、紙おしめなどサニタニー品の漏れ防止用締め付け材料、防水資材の締め付け材料、似せ餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなどが挙げられる。

Claims (14)

  1. 主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸であって、スルホン酸基を含む重合体を含有し、かつスルホン酸基を有するモノマーのモル濃度が5モル%以上であることを特徴とするポリウレタン弾性糸。
  2. スルホン酸基を含む重合体の含有量が、0.5重量%以上50重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン弾性糸。
  3. スルホン酸基を含む重合体が、数平均分子量で2000以上500000以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリウレタン弾性糸。
  4. スルホン酸基を有するモノマーが芳香族スルホン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン弾性糸。
  5. スルホン酸基を有するモノマーがベンゼンスルホン酸またはフェノールスルホン酸であることを特徴とする請求項4に記載のポリウレタン弾性糸。
  6. スルホン酸基を含む重合体がホルムアルデヒド縮重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン弾性糸。
  7. スルホン酸基を含む重合体が、スルホン酸基を有するモノマーおよびスルホニル基を有するモノマー(スルホン酸を除く)の共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン弾性糸。
  8. スルホニル基を有するモノマー(スルホン酸を除く)が芳香族スルホンであることを特徴とする請求項7に記載のポリウレタン弾性糸。
  9. スルホニル基を有するモノマー(スルホン酸を除く)がジヒドロキシジフェニルスルホンであることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン弾性糸。
  10. スルホン酸基を有するモノマーおよびスルホニル基を有するモノマー(スルホン酸を除く)の共重合体が、ベンゼンスルホン酸またはフェノールスルホン酸と、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのホルムアルデヒド縮重合体であることを特徴とする請求項7に記載のポリウレタン弾性糸。
  11. ハンター形色差計により求めたb値が15未満であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリウレタン弾性糸。
  12. 主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンからなる弾性糸を製造する際に、スルホン酸基を含む重合体を含有させるポリウレタン弾性糸の製造方法。
  13. 主構成成分がポリマージオールおよびジイソシアネートであるポリウレタンの溶液に、スルホン酸基を含む重合体を添加して、紡糸することを特徴とする請求項12に記載のポリウレタン弾性糸の製造方法。
  14. スルホン酸基を含む重合体がスルホン酸塩を有するモノマーを用いてなることを特徴とする請求項12または13に記載のポリウレタン弾性糸の製造方法。
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