JP2008165041A - ハードコートフィルム、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】厚さ60〜100μmの透明基材上に、第1の光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を含有する中間層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ2〜
4μmの中間層、及び第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ10〜25μmのハードコート層の少なくとも2つの層が、順に積層されてなることを特徴とする、ハードコートフィルム。
【選択図】なし
Description
しかし、ハードコートフィルムの表面硬度を充分高くするため、例えば、鉛筆硬度を5H以上とするために、ハードコートフィルム上のハードコート層を厚くしすぎると、ハードコートフィルムが湾曲した時に、ハードコート層の柔軟性が足りずにハードコート層が割れやすくなる。
特許文献1には、プラスチック基材フィルムの少なくとも一方の面に、厚さ3〜50μmの1層若しくは多層からなる緩衝層を設け、更に該緩衝層上に厚さ3〜15μmのハードコート層を形成してなるハードコートフィルムであって、前記プラスチック基材フィルム、緩衝層、及びハードコート層の各々の鉛筆硬度は、この順序で増大した値を有し、ハードコートフィルム全体として鉛筆硬度4H〜8Hを有するハードコートフィルムが提案されている。
特許文献1に記載された発明によれば、緩衝層が、プラスチック基材フィルムの変形に応じたハードコート層の変形を緩衝する作用を有し、且つ、各形成層の鉛筆硬度を順次増大させることによって、ハードコートフィルム全体の硬度を向上させることができ、更に、耐割れ性及び耐擦傷性に優れたフィルムを得ることができる。
特許文献2に記載された発明によれば、第1のハードコート層に含まれるカチオン重合型樹脂が有する硬化収縮緩和作用により、ハードコートフィルム全体の硬度を向上させることができ、更に、耐割れ性及び耐擦傷性に優れたフィルムを得ることができる。
特許文献3に記載された発明によれば、第1の被膜が有する応力緩和作用により、ハードコートフィルム全体の硬度を向上させることができ、更に、耐割れ性及び耐擦傷性に優れたフィルムを得ることができる)。
上記実情に鑑み、本発明は、高い表面硬度を有し、且つ、耐割れ性及び耐擦傷性に優れたハードコートフィルム、及びその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のハードコートフィルムは、厚さ60〜100μmの透明基材上に、第1の光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を含有する中間層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ2〜4μmの中間層、及び第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ10〜25μmのハードコート層の少なくとも2つの層が、順に積層されてなることを特徴とする。
このような中間層は、光硬化性の重合性単量体を重合させて得られる比較的軟らかい有機ポリマーのネットワーク中に、比較的硬い無機ポリマーのネットワークが混在し、有機ポリマーおよび無機ポリマーが、均一に中間層内に存在する構造を有するものである。したがって、有機および無機ポリマー中の空隙をお互いの分子同士が埋めるように作用するため透明性が高く、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
このように光硬化性の重合性単量体が水素結合形成基を有することにより、比較的軟らかい有機ポリマーのネットワーク中に、比較的硬い無機ポリマーのネットワークが水素結合を介して形成されるので、有機ポリマーおよび無機ポリマーが分離することなく、均一に中間層内に存在する構造を有することができる。したがって、有機および無機ポリマー中の空隙をお互いの分子同士が埋めるように作用するため透明性が高く、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
先に有機ポリマーが形成されると、この有機ポリマー上に通常規則的に存在する水素結合形成可能な部分に、熱硬化性樹脂が水素結合を介して付着した状態となる。したがって、上記熱硬化性樹脂は有機ポリマー上に均一に存在することになる。これを加熱により重合させれば、有機ポリマー上に均一に無機ポリマーが絡みあう状態の有機・無機ハイブリッドポリマーが形成され、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
これに対して、有機ポリマーを光硬化させ、次いで、第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層用樹脂組成物を当該中間層上に塗布し、光硬化させた後、無機ポリマーを熱硬化させることにより、硬化プロセス全体の所要時間が短縮し、且つ、密着性を向上させることができるので好ましい。
化学式(4)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(4)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
このような浸透層を有することにより、透明基材と中間層間において両方の材料を含む領域が存在するため、急激な屈折率の変化がなくなり、屈折率差に起因する干渉縞の発生を防止することができる。更に、中間層形成用樹脂組成物の一部が、前記透明基材に浸透して硬化しているので、透明基材−中間層間の密着性が優れたものになる。
このようなハードコートフィルムは、中間層の剛性と、柔軟性及び弾性とのバランスがよく、当該中間層が厚さ60〜100μmの透明基材単体では不足している剛性を補うため、ハードコート層が大きく変形しにくく、且つ、透明基材の変形に対して中間層が追随することにより、ハードコート層にかかる外部応力を緩和することができる。
中間層形成用樹脂組成物を準備する工程(i)と、
当該中間層形成用樹脂組成物を、透明基材上に塗布する工程(ii)と、
塗布した中間層形成用樹脂組成物に含まれる前記光硬化性樹脂の一部が透明基材に浸透した状態で当該中間層形成用樹脂組成物の光及び/又は熱による硬化を行い、
透明基材上に中間層、及び、透明基材と中間層の間に、透明基材と、中間層を形成する樹脂とが混合した浸透層を形成する工程(iii)と、
第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層用塗工組成物を当該中間層上に塗布し、光硬化を行い、ハードコート層を形成する工程(iv)を含むことを特徴とする。
また、透明基材−中間層間に、両層の材料を含む浸透層を有するため、急激な屈折率の変化がなくなり、屈折率差に起因する干渉縞の発生を防止することができる。更に、当該特定の樹脂が前記透明基材に浸透して硬化しているので、透明基材−中間層間の密着性が優れたものになる。
光硬化を行った中間層と光硬化を行ったハードコート層との積層体を加熱することにより、中間層−ハードコート層間の密着性を向上させ、干渉縞の発生を防ぐことができる。
本発明のハードコートフィルムは、厚さ60〜100μmの透明基材上に、第1の光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を含有する中間層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ2〜4μmの中間層、及び第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ10〜25μmのハードコート層の少なくとも2つの層が、順に積層されてなることを特徴とする。
このような浸透層を有することにより、透明基材と中間層間において両方の材料を含む領域が存在するため、急激な屈折率の変化がなくなり、屈折率差に起因する干渉縞の発生を防止することができる。更に、中間層形成用樹脂組成物の一部が、前記透明基材に浸透して硬化しているので、透明基材−中間層間の密着性が優れたものになる。
1.透明基材
本発明に用いられる透明基材は、透明性(光透過性)の高いプラスチックフィルム又はシートであり、光学積層体の透明基材として用い得る物性を満たすものであれば特に限定されることはなく、適宜選んで用いることができる。
通常、光学積層体に用いられる基材フィルムには、透明、半透明、無色または有色を問わないが、光透過性が要求される。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
本発明においては、ハードコートフィルムの表面が割れにくく、且つ、鉛筆硬度を5H以上に達成するために、厚さ60〜100μmの透明基材を用いる。透明基材の厚さが60μm未満の場合には、カールの発生が顕著となる。
透明なプラスチックフィルム又はシートを形成する材料で好ましいものとしては、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが挙げられる。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
上記トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。基材フィルムの平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
TACは、光学的等方性を有するため、液晶ディスプレイ用途の場合においても好ましく用いることができる。
尚、本発明に於けるトリアセチルセルロースとしては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であっても良い。又、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸收剤等の各種添加剤が添加されていても良い。
本発明に用いられる中間層は、第1の光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を含有する中間層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ2〜4μmの層である。中間層は、主に熱硬化性樹脂の硬化物による剛性と、主に光硬化性樹脂の硬化物による適度な柔軟性、弾性とを併せ持つ層であり、厚さ60〜100μmの透明基材単体では不足している剛性を補うため、ハードコート層が大きく変形しにくく、且つ、透明基材の変形に対して中間層が追随することにより、ハードコート層にかかる外部応力を緩和することができる。
このような中間層は、比較的軟らかい有機ポリマーと、比較的硬い無機ポリマーとが混在し、有機ポリマーおよび無機ポリマーが、均一に中間層内に存在する構造を有するものである。したがって、有機および無機ポリマー中の空隙をお互いの分子同士が埋めるように作用するため透明性が高く、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
また、上記光硬化性の重合性単量体は、水素結合形成基を有することが好ましい。
このように光硬化性の重合性単量体が水素結合形成基を有することにより、比較的軟らかい有機ポリマーのネットワーク中に、比較的硬い無機ポリマーのネットワークが水素結合を介して形成されるので、有機ポリマーおよび無機ポリマーが分離することなく、均一に中間層内に存在する構造を有することができる。したがって、有機および無機ポリマー中の空隙をお互いの分子同士が埋めるように作用するため透明性が高く、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
更に、上記水素結合形成基を有する光硬化性の重合性単量体は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、およびアミド結合からなる群から選択される少なくとも1種類の水素結合形成基を有することが好ましい。
このような水素結合形成基を有することにより、後述するように活性エネルギー線の照射により、上記有機金属化合物を熱重合させて形成された無機ポリマーに存在する−OH基とこの水素結合形成基とが容易に結合することが可能となり、その結果、硬度が高いハードコートフィルムとすることができるからである。
第1の光硬化性樹脂は、光重合性官能基を有する重合性単量体、光重合開始剤を含み、必要に応じて溶剤、帯電防止剤、防眩剤、溶剤、その他添加剤を含有してなる。
光重合性官能基は、可視光又は紫外線や電子線等の電離放射線を含む不可視光により重合反応し、バインダー樹脂の分子間に架橋結合を形成し得る官能基であり、光照射により直接活性化して光重合反応する狭義の光重合性官能基であってもよいし、光重合性官能基と光重合開始剤を共存させて光照射した時に光重合開始剤から発生した活性種の作用により重合反応が開始、促進される広義の光重合性官能基であってもよい。光重合性官能基としては、例えば、エチレン性二重結合のような光ラジカル重合反応性を有するものや、エポキシ基等の環状エーテル基のような光カチオン重合及び光アニオン重合反応性を有するものを例示することができ、その中でもエチレン性二重結合が好ましい。エチレン性二重結合は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のいずれでもよく、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。充分な架橋性を得るためには、バインダー樹脂は一分子中に少なくとも2つの光重合性官能基を有することが好ましい。
なお、本明細書中において(メタ)アクリロイルはアクリロイル及びメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル及びメタクリルを表す。
上記光重合性官能基を有する重合性単量体としては、後述のハードコート層形成用樹脂組成物に含まれる第2の光硬化性樹脂の光重合性官能基を有する重合性単量体で説明するものを使用することができ、第2の光硬化性樹脂の光重合性官能基を有する重合性単量体と同じものを使用することが、中間層とハードコート層の屈折率差を減少させ、干渉縞の発生を抑制することができる点から好ましい。
ここで、本発明において、水素結合形成基とは、中間層形成用樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂との間に、水素結合を形成し得る基である。熱硬化性樹脂が、後述の有機金属化合物又は当該有機金属化合物である場合には、その加水分解により形成される−OH基と容易に水素結合を形成し得る基である。具体例としては水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを示す旨である。本発明においては、中でも水酸基、グリシジル基、およびアミド基が好ましい。
本発明における「オリゴマー」とは、モノマーが2〜100個重合したものを示すものである。
具体的には、多官能の重合性単量体が、1〜90モル%、特に30〜70モル%含まれていることが好ましい。多官能成分を上述した範囲内とすることにより、有機ポリマーが所定の架橋を有することになり、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
熱硬化性樹脂は、低分子単量体の混合物で適当な粘性をもつ液体を原料とし、加熱すると網状構造となって不溶不融の状態に硬化する合成樹脂であればよいが、本発明で用いる熱硬化性樹脂は、加熱により、金属酸化物を骨格とした無機ポリマーを形成するものであること好ましい。このような熱硬化性樹脂を用いれば、上記有機ポリマー上に通常規則的に存在する水素結合形成可能な部分が、上記熱硬化性樹脂上の水素結合形成基と容易に水素結合を形成するため、上記熱硬化性樹脂は有機ポリマー上に均一に存在することになる。これを加熱により重合させれば、有機ポリマー上に均一に無機ポリマーが絡み合う状態の有機・無機ハイブリッドポリマーが形成され、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
上記無機ポリマーは、分子中に2個以上の炭素数1〜6のアルコキシ基を有し、Si、Al、Zr、およびTiから選ばれる少なくとも1種類の金属元素を含む有機金属化合物の重合体であることが特に好ましい。上記有機ポリマーの水素結合形成基と、このような有機金属化合物のアルコキシ基が加水分解して形成される−OH基とが水素結合を形成しやすく、上述したような有機ポリマーおよび無機ポリマーがポリマー中の空隙をお互いに埋めあうような相互介入型の網目構造を容易に形成しうる点からである。
RmSiX(4−m)
ここで、mは1または2である。また、残基Xは、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6のアルコキシ基であり、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルに対応するアルコキシ基が好ましい。
AlR3
上記化学式(2)は、アルミニウム化合物、および/またはそこから誘導されるオリゴマーおよび/または錯体や無機または有機酸のアルミニウム塩の中から選定することができる。ここで、残基Rは、同一でも異なってもよく、ハロゲン、炭素数10以下、好ましくは4以下のアルキル、アルコキシ、もしくはアシルオキシ、またはヒドロキシであり、これらの基は全部または一部がキレート配位子により置き換えられていてもよいものである。
先に有機ポリマーが形成されると、この有機ポリマー上に通常規則的に存在する水素結合形成可能な部分に、熱硬化性樹脂が水素結合を介して付着した状態となる。したがって、上記熱硬化性樹脂は有機ポリマー上に均一に存在することになる。これを加熱により重合させれば、有機ポリマー上に均一に無機ポリマーが絡みあう状態の有機・無機ハイブリッドポリマーが形成され、剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。
また、有機ポリマーを光硬化させた後、無機ポリマーを熱硬化させて中間層を完全に形成し、その後、ハードコート層形成用樹脂組成物を光硬化させてハードコート層を形成すると、中間層とハードコート層の密着性が悪くなり、干渉縞が生じる原因となる。
これに対して、有機ポリマーを光硬化させ、次いで、第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層用樹脂組成物を当該中間層上に塗布し、光硬化させた後、無機ポリマーを熱硬化させることにより、当該中間層と当該ハードコート層の密着性を向上させることができる。
本発明を構成するハードコート層(HC層)は、第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、厚さは10〜25μm、好ましくは12〜20μmである。
第2の光硬化性樹脂は、上記第1の光硬化性樹脂と同様に、光重合性官能基を有する重合性単量体、光重合開始剤を含み、必要に応じて溶剤、帯電防止剤、防眩剤、溶剤、その他添加剤を含有してなる。
第2の光硬化性樹脂は、中間層上に公知の方法で塗布・乾燥され、更に光照射されることにより、耐擦傷性を有するハードコート層が形成される。
以下、第2の光硬化性樹脂の成分について順に説明する。
[光重合性官能基を有する重合性単量体]
光重合性官能基を有する単量体としては、光重合性官能基を有すれば、骨格は特に限定されることはないが、(メタ)アクリル系樹脂、末端や側鎖にエチレン性二重結合基を有する反応性ポリマーであることが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂として、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、及び下記化学式(3)で表される重合体等の一種又は二種以上が重合した重合体が挙げられるが、中でもウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートの一種又は二種以上が重合した重合体が、その他成分との相溶性の点から好適に用いられる。
連結基Lの好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、*−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**等が挙げられる。ここで、*は、ポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は、(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。
化学式(3)においてxは100モル%、すなわち単独の重合体であっても良い。また、xが100モル%であっても、xモル%で表された(メタ)アクリロイル基を含有する重合単位が2種以上混合して用いられた共重合体であってもよい。xとyの比は、特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができる。
類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができる。
ハードコート層が上記他の樹脂を含む場合、(メタ)アクリル系樹脂と他の樹脂の配合比(重量比)は10:0〜1:9、更に9:1〜6:4であることが好ましい。
無機微粒子をハードコート層に含有させることにより、ハードコート性を向上させることが一般になされている。また、架橋反応性を有する無機微粒子と、硬化性バインダーを架橋反応させ、架橋構造を形成することにより、ハードコート性を更に向上させることができる。反応性無機微粒子とは、コアとなる無機微粒子の少なくとも表面の一部に有機成分が被覆し、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する無機微粒子のことである。反応性無機微粒子には、1粒子あたりコアとなる無機微粒子の数が2つ以上のものも含まれる。また、反応性無機微粒子は、粒子径を小さくすることにより含有量のわりに、マトリクス内での架橋点を高めることができる。
無機微粒子の表面には通常、無機微粒子内ではこの形態で存在できない基を有する。これら表面の基は通常、相対的に反応しやすい官能基である。例えば金属酸化物の場合には、例えば水酸基及びオキシ基、例えば金属硫化物の場合には、チオール基及びチオ基、又は例えば窒化物の場合には、アミノ基、アミド基及びイミド基を有する。
当該被覆している有機成分の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることができる。
なお、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めたものである。まず、示差熱重量分析(TGA)により、有機成分重量/無機成分重量を測定する。次に、重量と用いた無機微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前の無機微粒子が真球状であると仮定し、被覆前の無機微粒子の平均粒径から被覆前の無機微粒子1個当りの体積を計算する。無機成分全体の体積と被覆前の無機微粒子1個当たりの体積から、被覆前の無機微粒子の個数を求める。次に、反応性無機微粒子1個当りの有機成分重量を、被覆前の無機微粒子1個当りの表面積で割ることにより、被覆前の無機微粒子の単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
また、透明性を損なうことなく、樹脂のみを用いた場合の復元率を維持しつつ、硬度を著しく向上させる点から、前記反応性無機微粒子は粒径分布が狭く、単分散であることが好ましい。
なお、ここでの平均粒子径は、50%平均粒子径であり、例えば、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計を用いて求めることができる。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性無機微粒子中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m2以上含まれることが可能で、無機微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)(iii)の無機微粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
(ii)粒子径500nm以下の無機微粒子を疎水性ビニルモノマーに分散したモノマーを、親水化された多孔質膜を通して水中に吐出し、無機微粒子が分散したモノマー液滴の水分散体とした後、重合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
(iii)当該無機微粒子に導入したい反応性官能基、下記化学式(4)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
化学式(4)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(4)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
上記(i)の反応性無機微粒子を用いる場合には、有機成分含量が少なくても膜強度を向上できるというメリットがある。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、上記第2の光硬化性樹脂と反応できる反応性官能基が含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基を無機微粒子表面に反応させることによって、上記(i)の反応性無機微粒子の表面に上記第2の光硬化性樹脂と反応できる反応性官能基を導入することが可能である。例えば、第1の官能基のほかに、更に重合性不飽和基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
一方で、上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、第2の反応性官能基を含有させ、当該第2の反応性官能基を足掛かりにして、上記(i)の反応性無機微粒子の表面に上記第2の光硬化性樹脂と反応できる反応性官能基が導入されても良い。例えば、第2の反応性官能基として水酸基及びオキシ基のような水素結合が可能な基(水素結合形成基)を導入し、当該微粒子表面上に導入された水素結合形成基に、更に別の表面修飾化合物の水素結合形成基が反応することにより、上記第2の光硬化性樹脂と反応できる反応性官能基を導入されることが好ましい。すなわち、表面修飾化合物として、水素結合形成基を有する化合物と、重合性不飽和基などの上記第2の光硬化性樹脂と反応できる反応性官能基と水素結合形成基を有する化合物とを併用して用いることが好適な例として挙げられる。水素結合形成基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを示す旨である。本発明の表面修飾化合物に用いられる水素結合形成基としては、中でもカルボキシル基、水酸基、アミド基が好ましい。
上記(i)の反応性無機微粒子に用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中で溶解性又は少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子又は分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH2=CHSi(OOCCH3)3、CH2=CHSiCl3、CH2=CH−Si(OC2H5)3、CH2=CHSi(OC2H5)3、CH2=CH−Si(OC2H4OCH3)3、CH2=CH−CH2−Si(OC2H5)3、CH2=CH−CH2−Si(OC2H5)3、CH2=CH−CH2−Si(OOCCH3)3、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N'−(2'−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
この場合の機械粉砕は一般的にミル、ニーダー(混練機)、シリンダーミル又は例えば高速度分散機で行われる。機械粉砕に適する粉砕機械は、ホモジナイザー、ターボ撹拌機、離れた粉砕工具を有するミル(ボールミル、ロッドミル、ドラムミル、コーンミル、チューブミル、自生粉砕ミル、遊星ミル、振動ミル及び撹拌機ミル)、ヘビーローラーニーダー、コロイドミル及びシリンダーミルである。中でも特に好ましいミルは、運動撹拌機と粉砕手段としての粉砕ボールを有する撹拌ボールミルである。
粉砕及びホモジナイジングを有する粉砕は好ましくは室温で行われる。所要時間は混合の種類と用いられる粉砕機により適宜調製する。
上記(ii)の反応性無機微粒子を用いる場合には、粒度分布の点から単分散性がより高まり、粗大粒子を含む場合のイレギュラーな性能の発現を抑えられるというメリットがある。
化学式(4)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(4)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
上記(iii) の反応性無機微粒子を用いる場合には、有機成分量アップの点から分散性、および膜強度がより高まるというメリットがある。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、当該無機微粒子に導入したい反応性官能基は、上記第2の光硬化性樹脂と反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
[(RaO)mRb 3-mSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
また、Rdは2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記化学式(4)に示す基を含むこともできる。
Y’は反応性官能基を有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基そのものであっても良い。例えば反応性官能基を重合性不飽和基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
また、ポリイソシアネ−ト化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネア−ト)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を好適に用いることができる。
また、活性水素含有重合性不飽和化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルトリ(メタ)アクリレ−ト、ジペンタエリスルト−ルペンタ(メタ)アクリレ−ト等を挙げることができる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレ−ト等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を用いることができる。
反応性無機微粒子の含有量は、前記第2の光硬化性樹脂100重量部に対し、1〜50重量部であることが好ましく、更に2〜30重量部であることが好ましい。1重量部未満の場合、ハードコート層表面の硬度が不十分となる恐れがあり、50重量部超過の場合、充填率が上がりすぎてかえって膜強度が下がってしまう恐れがある。
本発明においてハードコート層には、帯電防止剤及び/又は防眩剤を含んでなるものが、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる点から好ましい。更に、硬度を上昇させる点から、シリカ微粒子、樹脂微粒子、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等を混合しても良い。
帯電防止層を形成する帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
帯電防止剤は、上記樹脂の合計量100重量部に対し、1〜30重量部、好ましくは3〜15重量部含有させることができる。
防眩剤としては、後記する防眩層の項で説明する防眩剤と同様のものを、上記樹脂の合計量100重量部に対し、20〜30重量部、好ましくは10〜25重量部含有させることができる。
本発明においては、透明性を維持し、耐擦傷性を向上させる点からシリカ微粒子を含有しても良い。また、ハードコート層表面の硬度を向上させる観点から、より好ましくは、上記反応性無機微粒子を含有させることが好ましい。
シリカ微粒子としては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子シリカを用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点からシリカ微粒子をコロイド溶液としたコロイダルシリカを用いることが好ましい。シリカの平均粒子径は硬度の点から10〜500nmであるが、特に好ましくは20〜100nmである。
シリカ微粒子は必要に応じてシランカップリング剤による表面処理で(メタ)アクリロイル基やエポキシ基、オキセタニル基を導入するとバインダー成分との反応性が付与され硬化膜の耐擦傷性を更に向上させることが出来る。
シリカ微粒子の含有量は樹脂100重量部に対し、20重量部超、60重量部未満、更に25重量部以上、40重量部以下であることが好ましい。20重量部以下の場合、ハードコート層表面の硬度が不十分となる恐れがあり、60重量部以上の場合、ハードコート層と薄層の界面の密着性が不十分となる恐れがある。
本発明のハードコートフィルムは、前記透明基材と、前記中間層との間に、少なくとも透明基材と、前記中間層形成用樹脂組成物の一部の硬化物とが混合した浸透層を有することが、干渉縞の発生を防止する点で好ましい。
当該領域の存在は、例えば、塗膜の断面から顕微IRによるマッピングやTOF−SIMS法によって、確認することができる。
密着度(%)=(剥がれなかった部分/テープを貼り付けた領域)×100
このようなハードコートフィルムは、中間層の剛性と、柔軟性及び弾性とのバランスがよく、当該中間層が、厚さ60〜100μmの透明基材単体では不足している剛性を補うため、ハードコート層が大きく変形しにくく、且つ透明基材の変形に対して中間層が追随することにより、ハードコート層にかかる外部応力を緩和することができる。
本発明における鉛筆硬度試験は、異なる硬度の鉛筆を用い、500g荷重下でJIS K5600に準拠した試験法で行う。傷は目視で確認する。
本発明によるハードコートフィルムは、上記したように透明基材、中間層、ハードコート層により基本的には構成されてなり、必要に応じて浸透層が含まれる。しかしながら、用途を加味してハードコート層の上に、下記する一又は二以上の層を形成してもよい。また更に、中屈折率層や高屈折率層を含んで形成しても良い。
帯電防止層は、帯電防止剤と樹脂とを含んでなるものである。帯電防止剤はハードコート層で説明したのと同様であって良い。帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
光硬化性組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。
光硬化性組成物中のプレポリマー、オリゴマー、及びモノマーの例としては、前記ハードコート層で挙げたのと同様のものを用いることができる。
防眩層は、透過性基材とハードコート層または低屈折率層との間に形成されてよい。防眩層は樹脂と防眩剤とにより形成されてよく、樹脂としては、ハードコート層の項で説明したのと同様のものを用いることができる。
8R≦Sm≦30R
R<Hmax<3R
1.3≦θa≦2.5
1≦R≦8
全てを同時に満たすものが好ましい。
ズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、透明樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
低屈折率層は、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有する樹脂、低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂から構成され、屈折率が1.46以下の、やはり30nm〜1μm程度の薄膜、または、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムの化学蒸着法もしくは物理蒸着法による薄膜で構成することができる。フッ素樹脂以外の樹脂については、帯電防止層を構成するのに用いる樹脂と同様である。
「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよく、好ましくは低屈折率層が形成された基材フィルムの一方の面と反対の面側に防汚層が設けられてなるものが好ましい。防汚層は、ハードコートフィルム又はシートに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、厚さ60〜100μmの透明基材上に、第1の光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を含有する中間層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ2〜4μmの中間層、及び第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ10〜25μmのハードコート層の少なくとも2つの層が、順に積層されてなるハードコートフィルムの製造方法であって、
中間層形成用樹脂組成物を準備する工程(i)と、
当該中間層形成用樹脂組成物を、透明基材上に塗布する工程(ii)と、
塗布した中間層形成用樹脂組成物に含まれる前記第1の光硬化性樹脂の一部が透明基材に浸透した状態で当該中間層形成用樹脂組成物の硬化を行い、
透明基材上に中間層、及び、透明基材と中間層の間に、透明基材と、中間層を形成する樹脂とが混合した浸透層を形成する工程(iii)と、
第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層用塗工組成物を当該中間層上に塗布し、光硬化を行い、ハードコート層を形成する工程(iv)を含む
ことを特徴とする。
また、透明基材−中間層間に、両層の材料を含む浸透層を有するため、急激な屈折率の変化がなくなり、屈折率差に起因する干渉縞の発生を防止することができる。更に、当該特定の樹脂が前記透明基材に浸透して硬化しているので、透明基材−中間層間の密着性が優れたものになる。
(i)中間層形成用樹脂組成物を準備する工程
本工程においては、上記透明基材上に塗布し、中間層を形成するための樹脂組成物(中間層形成用樹脂組成物)を準備する。本発明において、中間層形成用樹脂組成物の準備とは、既に出来上がっているものを用いてもよいし、後述のように(i−1)、及び(i−2)の工程を経て調製されるものであってもよい。
以下、(i−1)(メタ)アクリル系重合成単量体、その他の重合性単量体、重合開始剤、その他の添加剤を、所定の溶剤に溶解する工程、及び(i−2)熱硬化性樹脂を添加し、加水分解を行う工程からなる、中間層形成用樹脂組成物の準備方法について説明する。
尚、上記透明基材は、「I.ハードコートフィルム」において説明したものを用いることができる。
以下、(メタ)アクリル系重合成単量体から順に、各成分を説明する。
(A)(メタ)アクリル系重合性単量体
本発明で用いる中間層形成用樹脂組成物は、数平均分子量が1000以上のアクリル系及び/又はメタクリル系重合性単量体を含有する。
(メタ)アクリル系重合性単量体は、骨格構造は特に限定されるものではなく、(メタ)アクリル基を有する重合性単量体であり、上記特定の数平均分子量を有するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、及び上記化学式(3)で表される重合体等が挙げられるが、中でもウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートが、その他成分との相溶性の点から好適に用いられ、本発明に用いられる中間層として、必要なハードセグメントとソフトセ
グメントをバランスよく持っている点から、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好適に用いられる。
スリトールが挙げられる。また、上記多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸が挙げられる。
メチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキ
シド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールモノエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリ
レート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールモノラウリレートテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジメタアクリレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノメタアクリレートテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタアクリレートモノアクリレートが挙げられる。
中間層形成用樹脂組成物には、上記(メタ)アクリル系重合性単量体に加えて、他のラジカル重合性単量体を含んでいてもよい。ラジカル重合性単量体とは、ラジカルを発生させる重合開始剤の存在下において、光照射又は熱により、重合する官能基を有する重合性単量体である。ここで光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
他のラジカル重合性官能基としては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する官能基が挙げられ、具体的には、ビニル基、ビニルシクロアルキル基、アリル基等が挙げられ、中でも反応性の点から、ビニル基(CH2=CH−)、CH2=CR−(ここでRは炭化水素基)等が好ましい。
カチオン重合性単量体とは、必要に応じてカチオンを発生させる重合開始剤の存在下において、光照射及び/又は加熱により、重合する官能基を有する重合性単量体である。
カチオン重合性官能基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、チオエーテル基、ビニルエーテル基が挙げられる。これらの中でも、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合成分との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高い、低毒性であり、得られたハードコート層をエポキシ基を有する化合物と組み合わせた際に塗膜中でのカチオン重合性モノマーから得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合系モノマーと混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
中間層形成用樹脂組成物中の(メタ)アクリル系重合性単量体と、その他の重合性単量体又は非架橋型重合性高分子との配合比(重量比)は1:9〜9:1、更に、4:6〜8:2程度とすることが好ましい。
本発明においては、上記重合性官能基の反応を開始又は促進させるために、必要に応じてラジカル重合開始剤を適宜選択して用いても良い。
本発明に用いられる中間層形成用樹脂組成物には、必要に応じて他の添加剤が添加される。例えば、帯電防止剤及び/又は防眩剤を含んでなるものが、得られる光学積層体に対して、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる点から好ましい。更に、硬度を上昇させる点から、シリカ微粒子、樹脂微粒子、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等を混合しても良い。これらは、「I.ハードコートフィルム」において説明したのと同様のものを使用することができる。
中間層形成用樹脂組成物に用いられる溶剤は特に限定されるものではないが、透明基材に対して浸透性を有する溶剤(浸透性溶剤)であることが好ましい。
浸透性溶剤の「浸透性」とは、透明基材に対して浸透性、膨潤性、湿潤性等のすべての概念を包含する意である。透明基材を十分に膨潤等させることが可能であり、かつ上記重合性単量体を溶解もしくは分散させることができる溶媒であれば特に限定されるものではない。
具体的には、ケトン類、特にメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好適に用いられる。
(i−1)で得た溶液中に、前記熱硬化性樹脂の含有物として、重合反応し得る有機金属化合物を投入する。本発明においては、この際、上記有機金属化合物が予め加水分解もしくは部分加水分解処理がなされたものであることが好ましい。
このような有機金属化合物であれば、上記有機ポリマーの水素結合形成基と、アルコキシ基が加水分解して形成される−OH基とが水素結合を形成しやすく、上述したような有機ポリマーおよび無機ポリマーがポリマー中の空隙をお互いに埋めあうような相互介入型の網目構造を形成することができるからである。
なお、ここで用いられる有機金属化合物に関しては、上述したものと同様であるので、ここでの詳述は省略する。
本工程における塗布方法は、透明基材表面に中間層形成用樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
透明基材上への塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が2g/m2〜4g/m2の範囲内、特に2g/m2〜3g/m2の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、上記塗布工程(ii)の後、上記塗布工程により塗布された上記中間層用塗工組成物中の上記重合性単量体を上記透明基材に浸透させる浸透工程、および上記塗布工程により塗布された上記中間層形成用樹脂組成物中の上記浸透性溶剤を乾燥させる乾燥工程が行われる。
先に有機ポリマーが形成されると、この有機ポリマー上に通常規則的に存在する水素結合可能な部分(水素結合形成基)に、上記有機金属化合物が水素結合を介して付着した状態となる。したがって、上記有機金属化合物は有機ポリマー上に均一に存在することになる。これを加熱して重合を行えば、有機ポリマー上に均一に無機ポリマーが絡み合う状態の、有機・無機ハイブリッドポリマー層が形成される。この有機・無機ハイブリッドポリマーは、有機ポリマーと無機ポリマーとが均一に存在する状態で相互侵入網目構造(IPN構造)を構築するため、このように均一に混ざり合うことにより、互いのポリマーの空隙を埋め合い、結果として剛性と柔軟性、弾性とを併せ持つ中間層を得ることができる。このような有機・無機ハイブリッドポリマー層は、極めてバリア性に優れたものとなるので、ガスバリア性に優れた積層体とすることが可能となる。したがって、有機ポリマーが形成されており、この有機ポリマーに規則的に存在する水素結合形成基に、上記有機金属化合物が水素結合を介して付着している状態を作り出し、この状態で加熱工程が行なわれ、無機ポリマーの重合が行なわれることが好ましいのである。
また、有機ポリマーを光硬化させた後、無機ポリマーを熱硬化させて中間層を完全に形成し、その後、ハードコート層形成用樹脂組成物を光硬化させてハードコート層を形成すると、中間層とハードコート層の密着性が悪くなり、干渉縞が生じる原因となる。
これに対して、有機ポリマーを光硬化させ、次いで、第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層用樹脂組成物を当該中間層上に塗布し、光硬化させた後、無機ポリマーを熱硬化させることにより、当該中間層と当該ハードコート層の密着性を向上させることができる。
本工程においては、第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層用塗工組成物を当該浸透層上に塗布、乾燥し、硬化させて、ハードコート層を形成する。
第2の光硬化性樹脂については、「I.ハードコートフィルム」において説明したものを用いることができる。
塗布、乾燥方法は、上記中間層と同様に行うことができる。また、硬化方法は、(iii)の光照射工程と同様に行うことができる。
また、加熱工程における加熱温度としては、用いる基材の種類にもよるが、一般的には、5℃〜100℃、好ましくは35℃〜70℃の範囲内で行われる。また、加熱時間としては、1〜10日間、好ましくは2日〜6日間で行われる。
ここで添加することができる触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸、蟻酸、クエン酸、フタル酸等の有機酸等のほかに、pHに影響を与えない程度のアルカリ、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ、トリメチルアミン等の有機アルカリ、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム等の緩衝剤等を挙げることができる。
(1)鉛筆硬度試験
異なる硬度の鉛筆を用い、500g荷重下でJIS K5600に準拠した試験法で行った。傷は目視で確認した。
(2)干渉縞
光学積層体のハードコート層と逆の面に、サンドペーパーで擦り、裏面反射を防止するための黒色テープを貼り、ハードコート層の面から光学積層体を目視により観察して評価した。
(3)クラック
ハードコートフィルムを直径0.5cmの金属ロールに巻きつけたときのクラック発生の有無を目視により確認した。
(4)ヘイズ
JIS K 7105:1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて、フィルムのヘイズ値を測定した。
(1)表面吸着イオン除去
粒子径90nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスZL、商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B、三菱化学(株)製)400gを用いて3時間イオン交換を行い、次いで、陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA20A、三菱化学(株)製)200gを用いて3時間イオン交換を行った後、洗浄し固形分濃度20重量%のシリカ微粒子の水分散液を得た。
この時、シリカ微粒子の水分散液のNa2O含有量は、シリカ微粒子当たり各7ppmであった。
(2)表面処理(単官能モノマーの導入)
上記(1)の処理を行ったシリカ微粒子の水分散液10gに150mlのイソプロパノール、4.0gの3,6,9−トリオキサデカン酸、及び4.0gのメタクリル酸を加え、30分間撹拌し混合した。
得られた混合液を、60℃で5時間加熱しながら撹拌する事で、シリカ微粒子表面にメタクリロイル基が導入されたシリカ微粒子分散液を得た。得られたシリカ微粒子分散液を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸留水、及びイソプロパノールを留去させ、乾固させないようにメチルエチルケトンを加えながら、最終的に残留する水やイソプロパノールを0.1重量%とし、固形分50重量%のシリカ分散メチルエチルケトン溶液を得た。
このようにして得られたシリカ微粒子(反応性無機微粒子(1−1))は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=54nmの平均粒子径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果4.0×10−3g/m2であった。
(1)表面吸着イオン除去
製造例1−1と同様に、表面吸着イオンを除去したシリカ微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1−1において、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR399、商品名、サートマー(株)製)に変更した以外は、製造例1−1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子(1−2)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=74nmの平均粒子径を有していた。また、シリカ微粒子表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果5.5×10-3g/m2であった。
フェライト磁性体の油性分散体(タイホー工業(株)製フェリコロイド、粒径20nm)40g、スチレン94g、ビニルベンゼン1g、グリシジルメタクリレート5g、およびアゾビスイソブチロニトリル3gを混合し、冷却しながら10分間分散し、無機微粒子を分散した疎水性ビニルモノマーを得た。多孔質膜として、SiO2−Al2O3−B2O3−CaO系ガラスを熱処理でミクロ相分離させ、ホウ酸に富む相を酸で溶解除去して多孔化した管(伊勢化学(株)製SPG、細孔径0.3μm)を2規定硫酸に70℃で2時間浸漬し、水で十分洗浄して親水化処理をした。続いて、ラウリル硫酸ナトリウム10gと1−ヘキサデカノール25.3gに水2リットルに添加した溶液に超音波照射を10分行ってゲル構造を破壊した水溶液に浸し、超音波を照射しながら減圧脱気を行い多孔質ガラス内部の気泡を除いた。次にこの多孔質ガラス管の内側に上記水溶液を200ml/分の流速で流し、外側に1.3Kg/cm2の圧力で無機微粒子を分散した疎水性ビニルモノマーを流した。多孔質ガラスの内側から流出する水相には疎水性ビニルモノマー相が乳化された微小液滴が存在し白濁した。得られた無機微粒子を分散した疎水性ビニルモノマー液滴の水分散体のうち1リットルを70℃8時間撹拌し重合反応を行い、磁性体含有ポリマー粒子(反応性無機微粒子(2))を得た。このようにして得られた反応性無機微粒子(2)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=63nmの平均粒子径を有していた。また、表面を被覆する有機成分量は熱重量分析法により測定した結果5.35×10−3g/m2であった。
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部、ジブチルスズジラウレート0.2部からなる溶液に対し、イソフォロンジイソシアネート20.6部を撹拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱撹拌することで化合物(1)を得た。
基材として80μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製)を用い、その上に中間層としてウレタンアクリレート(紫光UV1700−B:商品名、日本合成(株)製)90部、シリカハイブリッド樹脂(コンポセランE201:商品名、荒川化学工業製)5部、アルミキレート(ALCH:商品名、川研ファインケミカル製)5部の混合物を溶剤で固形分35%に調製した中間層形成用樹脂組成物を、ドライ厚みで約3μm塗工し、光量10mJで硬化させた。
前記実施例1の中間層のドライ厚み4μm、ハードコート層のドライ厚み20μmとなるように塗工し、他は前記実施例1と同様にして総厚約104μmのハードコートフィルムを得た。
前記実施例1の金属酸化物としてSiを用いた以外は前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
基材として60μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用い、他は前記実施例1と同様にして総厚約78μmのハードコートフィルムを得た。
基材として100μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを用い、他は前記実施例1と同様にして総厚約118μmのハードコートフィルムを得た。
基材として80μm厚のシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを用い、他は前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
基材として80μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、他は前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
基材として80μm厚のポリカーボネート(PC)フィルムを用い、他は前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
基材として80μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製)を用い、その上に中間層としてウレタンアクリレート(紫光UV1700−B:商品名、日本合成(株)製)90部、シリカハイブリッド樹脂(コンポセランE201:商品名、荒川化学工業製)5部、アルミキレート(ALCH:商品名、川研ファインケミカル製)5部の混合物を溶剤で固形分35%に調製した中間層形成用樹脂組成物を、ドライ厚みで約3μm塗工し、光量10mJで硬化させ、次いで加熱し、約3μmの中間層を得た。
基材として40μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製)を用いた以外は前記実施例1と同様にして、総厚約58μmのハードコートフィルムを得た。
TAC基材を108μm厚とした以外は前記実施例1と同様にして総厚約126μmのハードコートフィルムを得た。
基材として80μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製)を用い、前記のハードコート剤をドライ厚みを20μmとなるように塗工し、光量200mJで硬化させ、総厚約100μmのハードコートフィルムを得た。
前記実施例1の中間層のドライ厚みを6μmとなるように塗工し、他は前記実施例1と同様にして総厚約101μmのハードコートフィルムを得た。
前記実施例1のハードコート層のドライ厚みを3μmとなるように塗工し、他は前記実施例1と同様にして総厚約86μmのハードコートフィルムを得た。
前記実施例1の中間層のドライ厚みを1μm、ハードコート層のドライ厚みを10μmとなるように塗工し、他は前記実施例1と同様にして総厚約91μmのハードコートフィルムを得た。
また、得られたハードコートフィルムの干渉縞の評価、クラックの有無及びヘイズの有無も合わせて表1に示す。但し、干渉縞の程度の評価結果は、○印(干渉縞の発生なし)、△印(干渉縞の発生があったが、製品として許容される)、×印(干渉縞の発生あり)とする。またクラックの有無の評価結果は、○印(クラック無し)、×印(クラック発生)とする。更に、ヘイズの有無の評価結果は、○印(ヘイズ無し)、×印(ヘイズ発生)とする。
実施例1〜9で得られた本発明のハードコートフィルムは、鉛筆硬度5Hであり、また、干渉縞、クラック及びヘイズが発生しないという、ハードコートフィルムの性能として必要な性能も満たしている。
Claims (21)
- 厚さ60〜100μmの透明基材上に、第1の光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を含有する中間層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ2〜4μmの中間層、及び第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ10〜25μmのハードコート層の少なくとも2つの層が、順に積層されてなることを特徴とする、ハードコートフィルム。
- 前記透明基材が、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 前記中間層が、光硬化性の重合性単量体を含有する前記第1の光硬化性樹脂を光重合させて形成された有機ポリマーと、有機金属化合物を熱重合させて形成された無機ポリマーを含む、請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 前記光硬化性の重合性単量体が、水素結合形成基を有することを特徴とする、請求項3に記載のハードコートフィルム。
- 前記水素結合形成基を有する光硬化性の重合性単量体が、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、およびアミド結合からなる群から選択される少なくとも1種類の水素結合形成基を有する請求項3又は4に記載のハードコートフィルム。
- 前記無機ポリマーが、前記有機ポリマーが形成された後に重合されて形成されたものである、請求項3乃至5のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記金属酸化物を骨格とする無機ポリマーが、分子中に2個以上の炭素数1〜6のアルコキシ基を有し、Si、Al、Zr、及びTiから選ばれる少なくとも1種類の金属元素を含む有機金属化合物の重合体である、請求項3に記載のハードコートフィルム。
- 前記ハードコート層形成用樹脂組成物が、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する反応性無機微粒子を、更に含有していることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記反応性無機微粒子の平均粒子径が20〜500nmである、請求項8に記載のハードコートフィルム。
- 前記反応性無機微粒子を被覆している前記有機成分が、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m2以上含まれる、請求項8又は9に記載のハードコートフィルム。
- 前記反応性無機微粒子が、飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β−ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、請求項8乃至10のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記表面修飾化合物が、少なくとも1種の水素結合形成基を有する化合物である、請求項11に記載のハードコートフィルム。
- 前記表面修飾化合物の少なくとも1種が、重合性不飽和基を有する、請求項12に記載のハードコートフィルム。
- 前記反応性無機微粒子が、粒子径500nm以下の無機微粒子を疎水性ビニルモノマーに分散したモノマーを、親水化された多孔質膜を通して水中に吐出し、無機微粒子が分散したモノマー液滴の水分散体とした後、重合することにより得られる、請求項8乃至10のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記反応性無機微粒子が、当該反応性無機微粒子表面に導入される反応性官能基、下記化学式(4)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、請求項8乃至10のいずれかに記載のハードコートフィルム。
化学式(4)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(4)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。) - 前記ハードコート層が、前記第2の光硬化性樹脂と前記反応性無機微粒子の間に形成された架橋結合を有することを特徴とする、請求項8乃至15のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記透明基材と、前記中間層との間に、少なくとも透明基材と、前記中間層形成用樹脂組成物の一部の硬化物とが混合した浸透層を有する、請求項1乃至16のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記中間層が、前記有機ポリマー100重量部に対し、前記無機ポリマーを1〜200重量部含む、請求項2乃至17のいずれかに記載のハードコートフィルム。
- 前記中間層の鉛筆硬度がH〜3Hであり、前記ハードコート層の鉛筆硬度が3H〜4Hである、請求項1乃至18のいずれかに記載のハードコートフィルム。
(但し、鉛筆硬度は100μm以上のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、評価対象の層と同じ厚さの層が形成されてなる評価用積層体の鉛筆硬度とする。) - 厚さ60〜100μmの透明基材上に、第1の光硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を含有する中間層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ2〜4μmの中間層、及び第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層形成用樹脂組成物の硬化物からなる、厚さ10〜25μmのハードコート層の少なくとも2つの層が、順に積層されてなるハードコートフィルムの製造方法であって、
中間層形成用樹脂組成物を準備する工程(i)と、
当該中間層形成用樹脂組成物を、透明基材上に塗布する工程(ii)と、
塗布した中間層形成用樹脂組成物に含まれる前記光硬化性樹脂の一部が透明基材に浸透した状態で当該中間層形成用樹脂組成物の光及び/又は熱による硬化を行い、
透明基材上に中間層、及び、透明基材と中間層の間に、透明基材と、中間層を形成する樹脂とが混合した浸透層を形成する工程(iii)と、
第2の光硬化性樹脂を含有するハードコート層用塗工組成物を当該中間層上に塗布し、光硬化を行い、ハードコート層を形成する工程(iv)を含む
ことを特徴とする、ハードコートフィルムの製造方法。 - 前記工程(iii)における硬化が光硬化であり、前記工程(iv)において、光硬化を行った後で、更に透明基材、浸透層、中間層、ハードコート層が順に積層された積層体を加熱し、浸透層及び中間層の熱硬化を行い、ハードコート層を形成する請求項20に記載のハードコートフィルムの製造方法。
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