JP2010107823A - ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】硬度に優れ、カールも低減できるハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】透明基材フィルムの一面側に、当該透明基材フィルムに近い側から第一のハードコート層及び当該第一のハードコート層に隣接して第二のハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記第一のハードコート層は、特定の組成を有する第一の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記第二のハードコート層は、特定の組成を有する第二の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、且つ、前記2つのハードコート層は、それぞれ、膜厚が20μm以下であり、ビッカース硬度が押し込み荷重100mNにおいて、53〜69Hv且つ、2層のビッカース硬度の差の絶対値が13以内であることを特徴とする、ハードコートフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ等の表面を保護する目的等で使用される、透明基材フィルム上にハードコート層を設けたハードコートフィルムに関する。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。これに対して、基材フィルムにハードコート(HC)層を設けたハードコートフィルムや、更に反射防止性や防眩性等光学機能を付与したハードコートフィルム(光学積層体)を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。
ハードコート層の硬度を向上させる方法として、無機微粒子を添加する方法があり、一般に、基材フィルム上に無機微粒子を添加したハードコート層を設けたハードコートフィルムが製造されている。
特許文献1では、透明基材上に、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含む組成物を硬化させた中間層を設け、当該中間層上に更にハードコート層を設け、硬度の向上を図っている。
上記光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂のような硬化性樹脂等の成分は、硬化収縮するため、透明基材フィルムを含めたハードコートフィルムや光学積層体全体のハードコート層側への反り(いわゆる、カール)を引き起こし、当該ハードコートフィルムや光学積層体を偏光子やディスプレイに貼りつける際に作業性を著しく損なうという問題があった。
特開2008−107762号公報
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、硬度に優れ、カールも低減できるハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討を重ねた結果、透明基材フィルム上に設ける2層のハードコート層の膜厚とビッカース硬度をそれぞれ、一定の範囲とし、且つ、2層のハードコート層のビッカース硬度の差を一定の範囲内とすることで硬度に優れ、カールも低減できること見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記問題点を解決する本発明の特徴は、以下の点である。
本発明に係るハードコートフィルムは、透明基材フィルムの一面側に、当該透明基材フィルムに近い側から第一のハードコート層及び当該第一のハードコート層に隣接して第二のハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
前記第一のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基aを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(A)、
反応性官能基bを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(B)、及び、
分子側鎖に反応性官能基cを30個以上有し且つ重量平均分子量が10000〜50000であるポリマー(C)を含む第一の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記反応性シリカ微粒子(A)は、前記第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜65重量%含まれ、
前記第二のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基dを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(D)、及び、
反応性官能基eを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(E)を含む第二の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記反応性シリカ微粒子(D)は、前記第二の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0重量%以上30重量%未満含まれ、
前記反応性官能基a、b、c、d及びeは、それぞれ、同種及び異種の反応性官能基間での架橋反応性を有し、且つ、
前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は、それぞれ、膜厚が20μm以下であり、ビッカース硬度が押し込み荷重100mNにおいて、53〜69Hv且つ、第一のハードコート層及び第二のハードコート層のビッカース硬度の差の絶対値が13以内であることを特徴とする。
前記反応性シリカ微粒子(A)及び反応性シリカ微粒子(D)は、それぞれ、平均粒径が10〜100nmであることにより、第一のハードコート層、及び第二のハードコート層に光透過性を維持しながら硬度を付与する。
反応性シリカ微粒子(A)が第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜65重量%含まれることにより、下地となる第一のハードコート層に十分な硬さが付与される。また、反応性シリカ微粒子(D)が前記第二の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0重量%以上30重量%未満含まれることにより、表面側の第二のハードコート層に適度な柔軟性が付与される。さらに、第一のハードコート層及び第二のハードコート層のビッカース硬度をそれぞれ、53〜69Hv、且つ、当該2層のビッカース硬度の差の絶対値を13以内とすることが、ハードコートフィルムの硬度向上及びカール低減に寄与する。
なお、本発明において、ビッカース硬度とはJIS Z 2244(2003)に規定されるビッカース硬さである。ただし、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルム上に形成した厚さ10μmの第一又は第二のハードコート層を試験用サンプルフィルムとして、当該サンプルフィルムに対して、押し込み荷重100mN、荷重時間8秒、保持時間5秒、減重時間8秒の条件でJIS Z 2244(2003)に規定されるビッカース硬さ試験を3回行い、そこから算出された硬さの平均値を第一又は第二のハードコート層のビッカース硬度とする。
反応性官能基bを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(B)、及び分子側鎖に反応性官能基cを30個以上有し且つ重量平均分子量が10000〜50000であるポリマー(C)を組み合わせることにより、第一のハードコート層の硬度向上に寄与する。
第二の硬化性樹脂組成物は、反応性官能基eを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(E)を含むことにより、第二のハードコート層に適度な柔軟性を付与する。
前記反応性官能基a、b、c、d及びeは、それぞれ、同種及び異種の反応性官能基間での架橋反応性を有する。これにより、第一及び第二の硬化性樹脂組成物を硬化させた際に、前記反応性官能基間で架橋し、網目構造を形成することが可能となり、ハードコートフィルムの硬度向上に寄与する。
なお、本発明において、微粒子の平均粒径とは、溶液中の当該微粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
上記微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。
本発明に係るハードコートフィルムの好適な実施形態においては、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の硬度を、4H以上、且つ、当該ハードコートフィルムを10×10cmの大きさに切り取ったフィルムを透明基材フィルムを下にして平らなところに置いて、浮き上がった曲面を構成している辺の端点間の距離の平均値を、1〜85mmとすることも可能である。
本発明に係るハードコートフィルムは、上記第一及び第二の硬化性樹脂組成物の硬化物からなる2層のハードコート層を、透明基材フィルムの一面側に第一のハードコート層を、当該第一のハードコート層の透明基材フィルムとは反対側に隣接して第二のハードコート層を設け、さらに、当該2層のハードコート層をそれぞれ、膜厚20μm以下、ビッカース硬度を、53〜69Hv且つ、当該2層のビッカース硬度の差の絶対値を13以内とすることにより、優れた硬度を有しながら、カールも低減される。
以下、まず本発明に係るハードコートフィルムについて説明し、次いで当該ハードコートフィルムの必須構成要素である透明基材フィルム、第一のハードコート層、第二のハードコート層並びに必要に応じて任意に設けることができる帯電防止層、防眩層、防汚層、低屈折率層及び前記第一及び第二のハードコート層と同じか又は異なる第三のハードコート層について順に説明する。
なお、本発明において、ビッカース硬度とはJIS Z 2244(2003)に規定されるビッカース硬さである。ただし、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルム上に形成した厚さ10μmの第一又は第二のハードコート層を試験用サンプルフィルムとして、当該サンプルフィルムに対して、押し込み荷重100mN、荷重時間8秒、保持時間5秒、減重時間8秒の条件でJIS Z 2244(2003)に規定されるビッカース硬さ試験を3回行い、そこから算出された硬さの平均値を第一又は第二のハードコート層のビッカース硬度とする。
なお、本発明において、微粒子の平均粒径とは、溶液中の当該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計又はNanotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
上記微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。
本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において、「ハードコート層」とは、一般にJISK5600−5−4(1999)で規定される4.9N荷重の鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものである。
また、本発明の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
また、本発明において膜厚とは乾燥時の膜厚(乾燥膜厚)を意味する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
I.ハードコートフィルム
本発明に係るハードコートフィルムは、透明基材フィルムの一面側に、当該透明基材フィルムに近い側から第一のハードコート層及び当該第一のハードコート層に隣接して第二のハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
前記第一のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基aを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(A)、
反応性官能基bを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(B)、及び、
分子側鎖に反応性官能基cを30個以上有し且つ重量平均分子量が10000〜50000であるポリマー(C)を含む第一の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記反応性シリカ微粒子(A)は、前記第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜65重量%含まれ、
前記第二のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基dを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(D)、及び、
反応性官能基eを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(E)を含む第二の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記反応性シリカ微粒子(D)は、前記第二の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0重量%以上30重量%未満含まれ、
前記反応性官能基a、b、c、d及びeは、それぞれ、同種及び異種の反応性官能基間での架橋反応性を有し、且つ、
前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は、それぞれ、膜厚が20μm以下であり、ビッカース硬度が押し込み荷重100mNにおいて、53〜69Hv且つ、第一のハードコート層及び第二のハードコート層のビッカース硬度の差の絶対値が13以内であることを特徴とする。
前記反応性シリカ微粒子(A)及び反応性シリカ微粒子(D)は、それぞれ、平均粒径が10〜100nmであることにより、第一のハードコート層、及び第二のハードコート層に光透過性を維持しながら硬度を付与する。
反応性シリカ微粒子(A)が第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜65重量%含まれることにより、下地となる第一のハードコート層に十分な硬さが付与される。また、反応性シリカ微粒子(D)が第二の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0重量%以上30重量%未満含まれることにより、表面側の第二のハードコート層に適度な柔軟性が付与される。さらに、第一のハードコート層及び第二のハードコート層のビッカース硬度をそれぞれ、53〜69Hv、且つ、当該2層のビッカース硬度の差の絶対値を13以内とすることが、ハードコートフィルムの硬度向上及びカール低減に寄与する。
なお、ビッカース硬度試験用サンプルフィルムは、平坦であることが望ましいが、サンプルフィルムによってはカールが大きいため、ビッカース硬度の測定が困難な場合がある。その場合には、サンプルフィルムを平坦化してから測定を行う。平坦化の方法としては例えば、厚さ1mm以上のガラスの上に、2cm角サイズとしたサンプルフィルムを、最小限の量の瞬間接着剤で接着させ、サンプルフィルムをガラスに軽く張り合わせた後、第二のハードコート層表面に平坦な別のガラスを載せてサンプルフィルムを挟み込み、第二のハードコート層上のガラス上に500gのおもりをのせた状態で24時間放置し、その後、第二のハードコート層上に載せたガラスを取り除き、平坦な、ガラス/接着剤層/TAC/ハードコート樹脂層の層構成を有するサンプルフィルムを得る。
図1は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の一例を模式的に示した断面図である。
透明基材フィルム10の一面側に、第一のハードコート層20が設けられ、第一のハードコート層20の透明基材フィルム10とは反対側の面に第二のハードコート層30が設けられている。この第一のハードコート層20及び第二のハードコート層30のビッカース硬度はそれぞれ、53〜69Hv、且つ、当該2層のビッカース硬度の差の絶対値は13以内である。
図2aは、カールしていない状態のハードコートフィルム1の断面の一例を、図3aは、カールしている状態のハードコートフィルム1の断面の一例を示す模式図である。
また、図2bは、カールしていない状態のハードコートフィルム1の一例を模式的に示した斜視図であり、図3bは、カールしている状態のハードコートフィルム1の一例を模式的に示した斜視図である。
本発明に係るハードコートフィルムの好適な実施形態においては、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の硬度を、4H以上、且つ、当該ハードコートフィルムを10×10cmの大きさに切り取ったフィルムを透明基材フィルムを下にして平らなところに置いて、浮き上がった曲面を構成している辺の端点間の距離の平均値を、1〜85mmとすることも可能である。
本発明において、カールの度合い(カール幅)は、ハードコートフィルムを10cm×10cmの大きさに切り取ったハードコートフィルムを透明基材フィルムを下にして平面に置いて、両端の浮き上がり状態を観察し、浮き上がった曲面を構成している辺の端点間の距離の平均値(mm)で示す。
具体的には、例えば、図3bにおいて、ハードコート層の4端点(2、3、4及び5)のうち、端点3−4、及び5−2間の距離6の平均値(mm)で示す。
図4において、カールしたハードコートフィルムを円板としてみたとき、円の中心に対する辺2−3及び辺4−5のなす角を中心角40とする。カールの度合い(カール幅)が大きくなると中心角40が360度以上となることがある。当該中心角が360度以上の状態をロール状物体とする。ロール状物体の場合、カール幅は、形成されるロール状物体の円部分の直径を用いてφxの様に表す。例えば、ロール状物体の円部分の直径が15mmである場合、φ15と表す。
以下、本発明に係るハードコートフィルムの必須構成要件である透明基材フィルム、第一のハードコート層、及び第二のハードコート層並びに必要に応じて適宜設けることができる帯電防止層、防眩層、防汚層、低屈折率層及び前記第一及び第二のハードコート層と同じか又は異なる第三のハードコート層のその他の層について、詳細に説明する。
1.透明基材フィルム
本発明に用いられる透明基材フィルムは、透明性(光透過性)の高いプラスチックフィルム又はシートであり、光学積層体の透明基材として用い得る物性を満たすものであれば特に限定されることはなく、適宜選んで用いることができる。
通常、光学積層体に用いられる基材フィルムには、透明、半透明、無色又は有色を問わないが、光透過性が要求される。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
本発明においては、透明基材フィルムの厚さは適宜選択して用いることができるが、ハードコートフィルムの表面を割れにくく、且つ、硬度を付与する点から、10〜200μmの透明基材を用いることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。
透明基材フィルムの材料として好ましいものとしては、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが挙げられる。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
セルロースアシレートの具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられ、より具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS−1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の Topas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
ポリカーボネートの具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。
アクリレート系ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
本発明に用いられる透明基材フィルムとして、最も透明性に優れた材料は、セルロースアシレートであり、中でもトリアセチルセルロースを用いることが好ましい。
トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。基材フィルムの平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
TACフィルムは、光学的等方性を有するため、液晶ディスプレイ用途の場合においても好ましく用いることができる。
尚、本発明におけるトリアセチルセルロースとしては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であっても良い。又、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸收剤等の各種添加剤が添加されていても良い。
また、本発明においては、TACフィルムに表面処理(例、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。本発明における透明基材フィルムは、これらの表面処理も含めたものをいう。
2.第一のハードコート層
第一のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基aを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(A)、反応性官能基bを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(B)、及び、分子側鎖に反応性官能基cを30個以上有し且つ重量平均分子量が10000〜50000であるポリマー(C)を含む第一の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、反応性シリカ微粒子(A)は、第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜65重量%含まれる。
上記反応性シリカ微粒子(A)、多官能モノマー(B)、及びポリマー(C)を含み、且つ反応性シリカ微粒子(A)が組成物の全固形分に対して30〜65重量%含まれる第一の硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、第一のハードコート層は下地層として機能する。
また、第一のハードコート層は、膜厚が20μm以下であり、ビッカース硬度が53〜69Hv且つ、後述する第二のハードコート層のビッカース硬度との差の絶対値が13以内である。
なお、本発明において、ビッカース硬度とはJIS Z 2244(2003)に規定されるビッカース硬さであり、測定方法の具体例を以下に記載する。
まず、厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ(株)製、製品名KC4UYW)上に、第一の硬化性樹脂組成物をマイヤーバーを用いて塗工し、必要に応じて溶剤を乾燥させ、120mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、厚さ10μmのハードコート層を形成し、トリアセチルセルロースフィルム/第一のハードコート層という2層構成のビッカース硬度試験用サンプルフィルムを準備する。
次いで、このサンプルフィルムに対して、JIS Z 2244(2003)に規定するビッカース硬さ試験(押し込み荷重100mN、荷重時間8秒、保持時間5秒、減重時間8秒)を3回行い、3回の算出された硬さの平均値を第一のハードコート層のビッカース硬度とする。
なお、第二のハードコート層のビッカース硬度を求める場合、上記具体例において、第一の硬化性樹脂組成物の代わりに、第二の硬化性樹脂組成物を用いて第二のハードコート層を形成して、同様にビッカース硬度試験を3回行い、その平均値を求めればよい。
なお、ビッカース硬度試験用サンプルフィルムは、平坦であることが望ましいが、サンプルフィルムによってはカールが大きいため、ビッカース硬度の測定が困難な場合がある。その場合には、サンプルフィルムを平坦化してから測定を行う。平坦化の方法としては例えば、厚さ1mm以上のガラスの上に、2cm角サイズとしたサンプルフィルムを、最小限の量の瞬間接着剤で接着させ、サンプルフィルムをガラスに軽く張り合わせた後、ハードコート層表面に平坦な別のガラスを載せてサンプルフィルムを挟み込み、第一又は第二のハードコート層上のガラス上に500gのおもりをのせた状態で24時間放置し、その後、第一又は第二のハードコート層上に載せたガラスを取り除き、平坦な、ガラス/接着剤層/TAC/第一又は第二のハードコート層の層構成を有するサンプルフィルムを得る方法が挙げられる。
第一のハードコート層の膜厚は、20μm以下であるが、2〜18μmであることが好ましく、更に5〜15μmであることが好ましい。2μmより薄い場合、硬度が不十分となる恐れがある。20μm超過の場合、カールやクラックが発生する恐れがある。
また20μm超過の場合、特に透明基材フィルムとしてトリアセチルセルロース(TAC)を用いて、本発明のハードコートフィルムを偏光板とする際、偏光板の基材となるポリビニルアルコール(PVA)とTACとの接着を行う際、接着剤に含有している溶剤又は水の乾燥が不十分となり、TACとPVAとの間に溶剤や水が残存する恐れがある。
以下、第一の硬化性樹脂組成物に含まれる反応性シリカ微粒子(A)、多官能モノマー(B)、及びポリマー(C)並びに必要に応じて適宜用いられる溶剤、及び重合開始剤等のその他の成分について説明する。
(反応性シリカ微粒子(A))
第一の硬化性樹脂組成物に平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(A)を当該第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜65重量%含有させることにより、当該第一の硬化性樹脂組成物の硬化物からなる第一のハードコート層に硬度を付与することができる。
反応性シリカ微粒子(A)は平均粒径が10〜100nmであれば、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内で且つ凝集粒子の表面に反応性官能基aを有すれば良い。反応性シリカ微粒子(A)の平均粒径が10nm未満では第一のハードコート層に十分な硬度を付与することが難しく、また、透明基材フィルムや第二のハードコート層との粒子の接触面積が増えるため密着性が低下する恐れがあり、好ましくない。平均粒径が100nmを超えると、第一のハードコート層の透明性が低下する恐れがある。
なお、反応性シリカ微粒子(A)は第一の硬化性樹脂組成物が硬化した第一のハードコート層においては、反応性官能基aの一部又は全部が後述する多官能モノマー(B)やポリマー(C)との架橋反応に使用されているため、第一の硬化性樹脂組成物に含まれる反応性シリカ微粒子(A)とハードコート層に含まれるシリカ微粒子は厳密には異なる。
また、反応性シリカ微粒子(A)は、透明性を損なうことなく、後述する多官能モノマー(B)及びポリマー(C)を組み合わせて用いた場合の復元率を維持しつつ、硬度を向上させる点から、粒径分布が狭く、単分散であることが好ましい。
反応性シリカ微粒子(A)の第一の硬化性樹脂組成物における含有量は、当該第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、30〜65重量%であるが、40〜60重量%であることがより好ましい。30重量%未満の場合、ハードコートフィルム表面の硬度が不十分となる。65重量%超過の場合、反応性シリカ微粒子(A)と後述する多官能モノマー(B)及びポリマー(C)との密着性が悪化し、かえって第一のハードコート層の硬度を低下させてしまう。
反応性シリカ微粒子(A)は単一の平均粒径のものだけでなく、平均粒径の異なるものを2種類以上組み合わせて用いても良い。2種類以上組み合わせて用いる場合は、各粒子の平均粒径が10〜100nm以内で且つ各粒子の合計重量%が30〜65重量%となれば良い。
シリカ(SiO)微粒子は、粒子自体の硬度が高いことに加え、屈折率が1.46程度と後述する多官能モノマー(B)(屈折率1.50程度)、及びポリマー(C)(屈折率1.50程度)に比べて低く、第一のハードコート層の屈折率を下げる効果もある。
反応性シリカ微粒子(A)は、ハードコート層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
本発明の反応性シリカ微粒子(A)のコアとなるシリカ微粒子(以下、単に「シリカ微粒子」と表した際は反応性官能基を有していないシリカ微粒子を意味する)は、中空粒子のような粒子内部に空孔や多孔質組織を有する粒子よりも、粒子内部に空孔や多孔質組織を有しない中実粒子を用いることが硬度向上の点から好ましい。
反応性シリカ微粒子(A)は、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する。ここで、有機成分とは、炭素を含有する成分である。また、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆されている態様としては、例えば、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基にシランカップリング剤等の有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、または、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基にイソシアネート基を有する有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、のほか、例えば、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基に水素結合等の相互作用により有機成分を付着させた態様や、ポリマー粒子中に1個又は2個以上の無機微粒子を含有する態様、などが含まれる。
反応性官能基aは、反応性官能基a同士に加え、後述する多官能モノマー(B)の反応性官能基b、ポリマー(C)の反応性官能基c、反応性シリカ微粒子(D)の反応性官能基d、及び多官能モノマー(E)の反応性官能基eとの架橋反応性も有する。これらの架橋により網目構造が形成され、本発明に係るハードコートフィルムの硬度向上に寄与する。
反応性官能基aは、前記多官能モノマー(B)及びポリマー(C)に応じて、適宜選択される。反応性官能基aとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
前記被覆している有機成分は、シリカ微粒子同士の凝集を抑制し、且つシリカ微粒子表面へ反応性官能基を多く導入して膜(ハードコート層)の硬度を向上させる点から、粒子表面のほぼ全体を被覆していることが好ましい。このような観点から、シリカ微粒子を被覆している前記有機成分は、反応性シリカ微粒子(A)中に1.00×10−3g/m以上含まれることが好ましい。シリカ微粒子表面に有機成分を付着乃至結合させた態様においては、シリカ微粒子を被覆している前記有機成分が、反応性シリカ微粒子(A)中に2.00×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、反応性シリカ微粒子(A)中に3.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。ポリマー粒子中にシリカ微粒子を含有する態様においては、シリカ微粒子を被覆している前記有機成分が、反応性シリカ微粒子(A)中に3.50×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、反応性シリカ微粒子(A)中に5.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。
当該被覆している有機成分の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少の恒量値として、例えば、空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることができる。
なお、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めることができる。まず、示差熱重量分析(DTG)により、有機成分重量を無機成分重量で割った値(有機成分重量/無機成分重量)を測定する。次に、無機成分重量と用いたシリカ微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前のシリカ微粒子が真球状であると仮定し、被覆前のシリカ微粒子の平均粒径から被覆前のシリカ微粒子1個当りの体積、及び表面積を計算する。次に、無機成分全体の体積を被覆前のシリカ微粒子1個当たりの体積で割ることにより、反応性シリカ微粒子(A)の個数を求める。更に、有機成分重量を反応性シリカ微粒子(A)の個数で割ることにより、反応性シリカ微粒子(A)1個当たりの有機成分量を求める。最後に、反応性シリカ微粒子(A)1個当りの有機成分重量を、被覆前のシリカ微粒子1個当りの表面積で割ることにより、単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性シリカ微粒子(A)を調製する方法としては、当該シリカ微粒子に導入したい反応性官能基aにより、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性シリカ微粒子(A)中に、被覆前のシリカ微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれることが可能で、シリカ微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)の反応性シリカ微粒子(A)のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中にシリカ微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子(A)。
(ii)被覆前のシリカ微粒子に導入する反応性官能基a、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、シリカ微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子(A)。
化学式(1)
−Q−C(=Q)−Q
化学式(1)中、Qは、NH、O(酸素原子)、又はS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示し、Qは、NH又は2価以上の有機基を示す。
以下、本発明において好適に用いられる反応性シリカ微粒子(A)を順に説明する。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中にシリカ微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子(A)。
上記(i)の反応性シリカ微粒子(A)を用いる場合には、有機成分含量が少なくても膜強度を向上できるというメリットがある。
上記(i)の反応性シリカ微粒子(A)に用いられる上記表面修飾化合物は、カルボキシル基、酸無水物基、酸塩化物基、酸アミド基、エステル基、イミノ基、ニトリル基、イソニトリル基、水酸基、チオール基、エポキシ基、第一級、第二級及び第三級アミノ基、Si−OH基、シランの加水分解性残基、又はβ−ジカルボニル化合物のようなC−H酸基等の、分散条件下においてシリカ微粒子の表面に存在する基と化学結合可能な官能基を有する。ここでの化学結合は、好ましくは、共有結合、イオン結合又は配位結合が含まれるが、水素結合も含まれる。配位結合は錯体形成であると考えられる。例えば、ブレンステッド又はルイスに従う酸性/塩基反応、錯体形成又はエステル化が、上記表面修飾化合物の官能基とシリカ微粒子表面の基の間で生じる。上記(i)の反応性シリカ微粒子(A)に用いられる上記表面修飾化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記表面修飾化合物は通常、シリカ微粒子の表面の基との化学結合に関与できる少なくとも1つの官能基(以下、第1の官能基という)に加えて、当該官能基を介して上記表面修飾化合物に結びついた後に、シリカ微粒子に新たな特性を付与する分子残基を有する。分子残基又はその一部は疎水性又は親水性であり、例えば、シリカ微粒子を安定化、融和化、又は活性化させる。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、後述する多官能モノマー(B)及びポリマー(C)と反応できる反応性官能基aが含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基をシリカ微粒子表面に反応させることによって、上記(i)のシリカ微粒子の表面に多官能モノマー(B)及びポリマー(C)と反応できる反応性官能基aを導入することが可能である。例えば、第1の官能基のほかに、更に重合性不飽和基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
一方で、上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、第2の反応性官能基を含有させ、当該第2の反応性官能基を足掛かりにして、上記(i)のシリカ微粒子の表面に多官能モノマー(B)及びポリマー(C)と反応できる反応性官能基aが導入されても良い。例えば、第2の反応性官能基として水酸基及びオキシ基のような水素結合が可能な基(水素結合形成基)を導入し、シリカ微粒子表面上に導入された水素結合形成基に、更に別の表面修飾化合物の水素結合形成基が反応することにより、多官能モノマー(B)及びポリマー(C)と反応できる反応性官能基aを導入することが好ましい。すなわち、表面修飾化合物として、水素結合形成基を有する化合物と、重合性不飽和基などの多官能モノマー(B)及びポリマー(C)と反応できる反応性官能基aと水素結合形成基を有する化合物とを併用して用いることが好適な例として挙げられる。水素結合形成基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを示す旨である。本発明の表面修飾化合物に用いられる水素結合形成基としては、中でもカルボキシル基、水酸基、アミド基が好ましい。
上記(i)の反応性シリカ微粒子(A)に用いられる上記表面修飾化合物は500以下、より好ましくは400、特に200を超えない分子量を有する。このような低分子量を有するため、無機微粒子表面を急速に占有し、無機微粒子同士の凝集を妨げることが可能であると推定される。
上記(i)の反応性シリカ微粒子(A)に用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中で溶解性又は少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子又は分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
飽和又は不飽和カルボン酸としては、1〜24の炭素原子を有しており、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、琥珀酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びステアリン酸、並びに対応する酸無水物、塩化物、エステル及びアミド、例えばカプロラクタム等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸を用いると、重合性不飽和基を導入することができる。
好ましいアミンの例は、化学式Q3−nNH(n=0,1又は2)を有するものであり、残基Qは独立して、1〜12、特に1〜6、特別好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びブチル)、並びに6〜24の炭素原子を有するアリール、アルカリル又はアラルキル(例えば、フェニル、ナフチル、トリル及びベンジル)を表す。また、好ましいアミンの例としては、ポリアルキレンアミンが挙げられ、具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トルイジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンである。
好ましいβ−ジカルボニル化合物は4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するものであり、例えば、ジケトン(アセチルアセトンなど)、2,3−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸、アセト酢酸−C−C−アルキルエステル(アセト酢酸エチルエステルなど)、ジアセチル及びアセトニルアセトンが挙げられる。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
好ましいシランは、少なくとも1つの加水分解性基又はヒドロキシ基と、少なくとも1つの非加水分解性残基を有する加水分解性オルガノシランである。ここで加水分解性基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基及びアシルオキシ基が挙げられる。非加水分解性残基としては、反応性官能基aを有する及び/又は反応性官能基aを有しない非加水分解性残基が用いられる。また、フッ素で置換されている有機残基を少なくとも部分的に有するシランを使用しても良い。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH=CHSi(OOCCH、CH=CHSiCl、CH=CHSi(OC、CH=CH−Si(OCOCH、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OOCCH、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N’−(2’−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
このようなシランカップリング剤としては、特に限定されず、公知のものを挙げることができ、例えば、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503(商品名、いずれも、信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
官能基を有する金属化合物としては、元素周期表の第1群III〜V及び/又は第2群II〜IVからの金属Mの金属化合物が挙げられる。ジルコニウム及びチタニウムのアルコキシド、M(OR)(M=Ti、Zr)、(式中、OR基の一部はβ−ジカルボニル化合物又はモノカルボン酸などの錯生成剤により置換される。)が挙げられる。重合性不飽和基を有する化合物(メタクリル酸など)が錯生成剤として使用される場合には、重合性不飽和基を導入することができる。
分散媒として、水及び/又は有機溶媒が好適に使用される。特に好ましい分散媒は、蒸留された(純粋な)水である。有機溶媒として、極性及び非極性及び非プロトン性溶媒が好ましい。それらの例として、炭素数1〜6の脂肪族アルコール(特にメタノール、エタノール、n(ノルマル)−及びi(イソ)−プロパノール及びブタノール)等のアルコール、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン及びブタノン等のケトン類、酢酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピランなどのエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;スルホラン及びジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類及びスルホン類;及びペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族(任意にハロゲン化された)炭化水素類が挙げられる。これらの分散媒は混合物として使用することができる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
(i)の反応性シリカ微粒子(A)の調製に際し、分散媒の濃度は、特に制限がなく、通常40〜90、好ましくは50〜80、特に55〜75重量%である。分散液の残りは、未処理の無機微粒子及び上記表面修飾化合物から構成される。ここで、無機微粒子/表面修飾化合物の重量比は、100:1〜4:1とすることが好ましく、更に50:1〜8:1、より更に25:1〜10:1とすることが好ましい。
(i)の反応性シリカ微粒子(A)の調製は、好ましくは室温(約20℃)〜分散媒の沸点で行われる。特に好ましくは、分散温度は50〜100℃である。分散時間は、特に使用される材料のタイプに依存するが、一般に数分から数時間、例えば、1〜24時間である。
(ii)被覆前のシリカ微粒子に導入する反応性官能基a、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、コアとなるシリカ微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基aを有する反応性シリカ微粒子(A)。
化学式(1)
−Q−C(=Q)−Q
化学式(1)中、Qは、NH、O(酸素原子)、又はS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示し、Qは、NH又は2価以上の有機基を示す。
上記(ii)の反応性シリカ微粒子(A)を用いる場合には、有機成分量が高まり、分散性、及び膜強度がより高まるという利点がある。
まず、被覆前のシリカ微粒子に導入したい反応性官能基a、上記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物(以下、反応性官能基修飾加水分解性シランという場合がある。)について説明する。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、シリカ微粒子に導入したい反応性官能基aは、後述する多官能モノマー(B)及びポリマー(C)と反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、上記化学式(1)に示す基の[−Q−C(=Q)−]部分は、具体的には、[−O−C(=O)−]、[−O−C(=S)−]、[−S−C(=O)−]、[−NH−C(=O)−]、[−NH−C(=S)−]、及び[−S−C(=S)−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−]基と、[−O−C(=S)−]基及び[−S−C(=O)−]基の少なくとも1種を併用することが好ましい。前記化学式(1)に示す基[−Q−C(=Q)−Q−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与することが可能になると考えられる。
また、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する基を挙げることができ、アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基が好ましい。シラノール基又は、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、金属酸化物微粒子と結合することができる。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランの好ましい具体例としては、例えば、下記化学式(2)及び(3)に示す化合物を挙げることができる。化学式(3)に示す化合物を用いることが硬度に優れる点から好ましい。
Figure 2010107823
Figure 2010107823
化学式(2)及び(3)中、R、Rは同一でも異なっていてもよいが、水素原子又はCからCのアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここでmは1、2又は3である。
[(RO) 3ーmSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
化学式(2)及び(3)中、RはCからC12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
化学式(2)中、Rは2価の有機基であり、通常、分子量14から10,000、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記化学式(1)に示す基を含むこともできる。
化学式(2)及び(3)中、Rは(n+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
化学式(2)及び(3)中、Y’は反応性官能基aを有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基aそのものであっても良い。例えば、反応性官能基aを重合性不飽和基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
本発明で用いられる反応性官能基修飾加水分解性シランの合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、例えば、重合性不飽和基を導入したい場合、(イ)メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応可能な活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(ロ)分子中にアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物と、活性水素基含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(ハ)分子中に重合性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応により直接合成することもできる。
(ii)の反応性シリカ微粒子(A)の製造においては、反応性官能基修飾加水分解性シランを別途加水分解操作を行った後、これとシリカ微粒子を混合し、加熱、攪拌操作を行う方法、もしくは反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解をシリカ微粒子の存在下に行う方法、また、他の成分、例えば、多価不飽和有機化合物、単価不飽和有機化合物、放射線重合開始剤等の存在下、シリカ微粒子の表面処理を行う方法を選ぶことができるが、反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解をシリカ微粒子の存在下行う方法が好ましい。(ii)の反応性シリカ微粒子(A)を製造する際、その温度は、通常20℃以上150℃以下であり、また処理時間は5分〜24時間の範囲である。
加水分解反応を促進するため、触媒として酸、塩もしくは塩基を添加してもよい。酸としては有機酸及び不飽和有機酸;塩基としては3級アミン又は4級アンモニウムヒドロキシドが好適な物として挙げられる。これら酸もしくは塩基触媒の添加量は反応性官能基修飾加水分解性シランに対して0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。
反応性シリカ微粒子(A)としては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子を用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点から微粒子を溶剤分散ゾルとしたものを用いることが好ましい。
(多官能モノマー(B))
第一の硬化性樹脂組成物に用いられる多官能モノマー(B)は、硬化して第一のハードコート層のマトリクスとなる成分の一つであり、前記反応性シリカ微粒子(A)の反応性官能基a、後述するポリマー(C)の反応性官能基c、反応性シリカ微粒子(D)の反応性官能基d、及び多官能モノマー(E)の反応性官能基eと架橋反応性を有する反応性官能基bを3個以上有し、分子量が1000以下である。また、反応性官能基bは他の反応性官能基bとも架橋反応性を有する。硬化する際に反応性官能基b同士や異種の反応性官能基間で架橋結合し、網目構造が形成され、ハードコートフィルムの硬度を更に高める。また、多官能モノマー(B)は、1000以下と小さな分子量で、反応性官能基bを3個以上有するため、ハードコート層において架橋密度を高め、ハードコート層に硬度を付与する働きがある。その他、硬化速度が速いため、製造のライン速度を向上させることも可能となる。また、隣接する層との密着性向上にも効果がある。透明基材フィルムがトリアセチルセルロース(TAC)の場合、当該TAC基材との密着性も向上できる。
反応性官能基bとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
反応性官能基bは、前記反応性官能基aと同じであっても異なっていても良い。多官能モノマー(B)の反応性官能基bは3個以上であるが、6個以上有することが好ましい。2個以下の場合、ハードコートフィルムの硬度が不十分となるほか、隣接する第二ハードコート層との密着性が悪く、また、例え密着しても耐熱試験、耐湿熱試験、対光試験等の環境試験で密着性が悪化するため好ましくない。
多官能モノマー(B)の分子量は、1000以下である。分子量が1000を超えると、ハードコート層の硬度が低下し好ましくない。
多官能モノマー(B)として、1種又は2種以上のバインダー成分を用いることができる。
多官能モノマー(B)としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの変性体が挙げられる。
尚、変性体としては、EO(エチレンオキサイド)変性体、PO(プロピレンオキサイド)変性体、CL(カプロラクトン)変性体、及びイソシアヌル酸変性体等が挙げられる。
上記多官能モノマー(B)において、硬化反応性の点から、メタクリレートよりもアクリレートが好ましい。
多官能モノマー(B)としては、特にペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)が好ましく用いられる。
多官能モノマー(B)及び後述するポリマー(C)の含有量は、第一の硬化性樹脂組成物において多官能モノマー(B):ポリマー(C)の含有量の比(重量比)が、20:80〜80:20であることが好ましい。この範囲であれば、第一のハードコート層に高い硬度、良好なカール低減効果、適度な柔軟性、及び復元性を付与できる。
(ポリマー(C))
ポリマー(C)は、硬化した際に上記多官能モノマー(B)と共に第一のハードコート層のマトリクスとなる成分であり、前記反応性シリカ微粒子(A)の反応性官能基a、多官能モノマー(B)の反応性官能基b、後述する反応性シリカ微粒子(D)の反応性官能基d、及び多官能モノマー(E)の反応性官能基eと架橋反応性を有する反応性官能基cを分子側鎖に30個以上有し、重量平均分子量が10000〜50000である。また、反応性官能基cは他の反応性官能基cとも架橋反応性を有する。多官能モノマー(B)と同様に、硬化する際に反応性官能基c同士や異種の反応性官能基間で架橋結合し、網目構造が形成され、ハードコートフィルムの硬度を更に高める。また、ポリマー(C)は、本発明に係るハードコートフィルムのカールを低減する効果及びハードコート層のクラックを抑制する効果を有する。
反応性官能基cとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
ポリマー(C)としては、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましく、紫外線又は電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。
ポリマー(C)としては、分子量が10000〜50000である下記化学式(4)で表される重合体を挙げることができる。
Figure 2010107823
化学式(4)中、Xは直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖が単独又は組み合わされてなり、当該炭化水素鎖は置換基を有していても良く、また当該炭化水素鎖間には異種原子が含まれていても良い、前記置換基を除いた価数が3価の有機基である。Yは反応性官能基c又は1つ以上の反応性官能基cを有する化合物残基を表す。Dは炭素数1〜10の連結基を表し、qは0又は1を表す。Eは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、単一成分であっても複数の成分で構成されていてもよい。o、pは各重合単位のモル%である。pは0であっても良い。
化学式(4)において、Xは直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖が単独又は組み合わされてなり、当該炭化水素鎖は置換基を有していても良く、また当該炭化水素鎖間には異種原子が含まれていても良く、前記置換基を除いた価数が3価の有機基である。
上記炭化水素鎖は、−CH−のような飽和炭化水素又は−CH=CH−のような不飽和炭化水素を含むものである。環状の炭化水素鎖は、脂環式化合物からなるものであっても良いし、芳香族化合物からなるものであっても良い。また、炭化水素鎖間にはO、S等の異種原子が含まれていても良く、炭化水素鎖間にエーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合等を含んでいても良い。なお、直鎖や環状の炭化水素鎖に対して異種原子を介して分岐している炭化水素鎖は、後述する置換基の炭素数として数えられる。
上記炭化水素鎖に有していても良い置換基としては、具体的にはハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、シアノ基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、アセチル基、アセトキシ基、スルホン基等が挙げられるが特に限定されない。上記炭化水素鎖に有していても良い置換基には、上述のように直鎖や環状の炭化水素鎖に対して異種原子を介して分岐している炭化水素鎖も含まれ、例えば、アルコキシ基(RO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)、アルキルチオエーテル基(RS−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)、アルキルエステル基(RCOO−、ここでRは飽和又は不飽和の直鎖、分枝、又は環状の炭化水素鎖である。)等が挙げられる。
Yはそれぞれ独立に、反応性官能基c、又は、1つ以上の反応性官能基cを有する化合物残基を示す。
Yが反応性官能基cそのものである場合、Yとしては例えば、ビニル基(CH=CH−)及び(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和基が挙げられる。
また、Yが1つ以上の反応性官能基cを有する化合物残基の場合の反応性官能基cとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、CH=CR−(ここでRは炭化水素基)等の重合性不飽和基が挙げられる。前記反応性シリカ微粒子(A)、多官能モノマー(B)、第二の硬化性樹脂組成物に含まれる反応性シリカ微粒子(D)、及び多官能モノマー(E)と反応可能なように、適宜反応性官能基cを選択すれば、化合物残基としては特に限定されない。Yが化合物残基の場合、当該Yが有する反応性官能基cの数は、1つでも良いが、2つ以上であることが更に架橋密度を上げることができ、第一の硬化性樹脂組成物を硬化させ第一のハードコート層とした際の硬度の点から好ましい。
Yが1つ以上の反応性官能基cを有する化合物残基である場合、当該化合物残基は、少なくとも1つ以上の反応性官能基cと当該反応性官能基cとは別に更に反応性置換基を有する化合物から、当該反応性置換基又は当該反応性置換基の一部(水素等)を除いた残基である。
例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物残基としては、具体的には例えば、以下の化合物のエチレン性不飽和基以外の反応性置換基又は反応性置換基の一部(水素等)を除いた残基が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
反応性官能基cとしては、硬化反応性の点から、メタクリレート基よりもアクリレート基が好ましい。
化学式(4)中のDは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していても良い。
化学式(4)中の連結基Dの好ましい例としては、*−(CH−O−**,*−(CH−NH−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−(CH)−O−**、*−CONH−(CH−O−**、*−CHCH(OH)CH−O−**、*−CHCHOCONH(CH−O−**等が挙げられる。ここで、*は、ポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は、(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。
この他、連結基Dは、エステル結合を含むものであっても良い。
化学式(4)中、Eは任意のビニルモノマーの重合単位を表し、ポリマー(C)が重量平均分子量10000〜50000を満たすようにすれば特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていても良い。
重合単位Eとしては例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導体等を挙げることができる。
化学式(4)においてoは100モル%、すなわち単独の重合体であっても良い。また、oが100モル%であっても、oモル%で表された(メタ)アクリロイル基を含有する重合単位が2種以上混合して用いられた共重合体であってもよい。oとpの比は、反応性官能基cが30個以上となれば特に制限はなく、硬度や、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができる。
ポリマー(C)としては、市販品を用いても良く、当該市販品としては、例えば、荒川化学工業(株)製、ビームセット371、ビームセット371MLV、ビームセットDK1、ビームセットDK2、ビームセットDK3、日立化成工業(株)製、ヒタロイド7975D5、7975D12等を挙げることができる。
前記多官能モノマー(B)及びポリマー(C)の含有量は、第一の硬化性樹脂組成物において多官能モノマー(B):ポリマー(C)の含有量の比(重量比)が、20:80〜80:20であることが好ましい。この範囲であれば、第一のハードコート層に高い硬度、良好なカール低減効果、適度な柔軟性、及び復元性を付与できる。
(その他の成分)
第一の硬化性樹脂組成物には、上記成分のほかに、更に溶剤、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤を適宜添加することもできる。更に、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等の各種添加剤が混合されていても良い。帯電防止剤及び/又は防眩剤を含む場合には、本発明の第一のハードコート層に、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる。
(溶剤)
溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール(IPA)、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、メチルグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;又はこれらの混合物が挙げられる。
ハードコートフィルムの硬度を向上できる点から、MIBK、PGME、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、及びtert−ブタノールよりなる群から選ばれる1種以上の非浸透性溶剤であることが好ましい。非浸透性溶剤を用いることにより、上記多官能モノマー(B)及びポリマー(C)が透明基材フィルムに浸透しなくなるため、第一のハードコート層の硬度を高めることができる。
なお、本発明において、浸透とは、透明基材フィルムを溶解又は膨潤させることをいう。
(重合開始剤)
本発明においては、上記ラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基の開始又は促進させるために、必要に応じてラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いても良い。これらの重合開始剤は、光照射及び/又は加熱により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・ジャパン(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・ジャパン(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・ジャパン(株)製)、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)(商品名イルガキュア784、チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、カチオン重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示され、さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ラジカル重合開始剤としても、カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示され、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(帯電防止剤)
帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有する且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
また、前記帯電防止剤の他の例としては、導電性微粒子が挙げられる。当該導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。前記導電性微粒子の平均粒子径は、0.1nm〜0.1μmであることが好ましい。かかる範囲内であることにより、前記導電性微粒子をバインダーに分散した際、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成可能な組成物が得られる。
(防眩剤)
防眩剤としては微粒子が挙げられ、微粒子の形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
屈折率の測定は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、分光光度計で測定した反射率曲線からシミュレーションを用いて算出する方法、エリプソメータを用いて測定する方法及びアッベ法を挙げることができる。
3.第二のハードコート層
本発明の第二のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基dを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(D)、及び、反応性官能基eを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(E)を含む第二の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、反応性シリカ微粒子(D)は、第二の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0重量%以上30重量%未満含まれる。これにより、第二のハードコート層は適度な柔軟性を有する。
また、第二のハードコート層は、膜厚が20μm以下であり、ビッカース硬度が53〜69Hv且つ、前記第一のハードコート層のビッカース硬度との差の絶対値が13以内である。
なお、第二のハードコート層のビッカース硬度を求める方法は、上記第一のハードコート層のビッカース硬度の測定方法において、第一の硬化性樹脂組成物の代わりに、第二の硬化性樹脂組成物を用いて第二のハードコート層を形成して、同様にビッカース硬度試験を3回行い、その平均値を求めればよい。
第二のハードコート層の膜厚は、20μm以下であるが、0.5〜18μmであることが好ましく、更に1〜18μmであることが、耐擦傷性の観点から好ましい。
第二の硬化性樹脂組成物に含まれる、反応性シリカ微粒子(D)及び多官能モノマー(E)並びに必要に応じて適宜用いられる溶剤、及び重合開始剤等のその他の成分は、前記第一の硬化性樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
反応性シリカ微粒子(D)は、反応性シリカ微粒子(A)と同様に単一の平均粒径のものだけでなく、平均粒径の異なるものを2種類以上組み合わせて用いても良い。2種類以上組み合わせて用いる場合は、各反応性シリカ微粒子(D)の平均粒径が10〜100nm以内で且つ各反応性シリカ微粒子(D)の合計重量%が第二の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0重量%以上30重量%未満となれば良い。
反応性シリカ微粒子(A)及び反応性シリカ微粒子(D)は同一であっても異なっていても良い。
多官能モノマー(E)も、多官能モノマー(B)と同様に1種又は2種以上のモノマーを用いることができる。
第二のバインダー成分としては、特にペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく用いられる。
多官能モノマー(B)及び多官能モノマー(E)は同一であっても異なっていても良い。
第二の硬化性樹脂組成物のその他の成分である溶剤は、非浸透性及び浸透性のどちらでもよく、両方を組み合わせて用いても良い。
第二の硬化性樹脂組成物の重合開始剤等のその他の成分も第一の硬化性樹脂組成物と同一であっても異なっていても良い。
4.その他の層
本発明に係るハードコートフィルムは、上記したように透明基材フィルム、第一のハードコート層及び第二のハードコート層により基本的には構成されてなる。しかしながら、ハードコートフィルムとしての機能又は用途を加味して、上記第一及び第二のハードコート層の他に、更に下記のような一又は二以上の層を第二のハードコート層の第一のハードコート層とは反対側の面に設けてもよい。
4−1.帯電防止層
帯電防止層は、帯電防止剤と硬化性樹脂とを含む帯電防止層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
帯電防止剤としては、上記第一のハードコート層の帯電防止剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
帯電防止層用硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
4−2.防眩層
防眩層は、防眩剤と硬化性樹脂とを含む防眩層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該硬化性樹脂は、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
(防眩剤)
防眩剤としては、上記第一のハードコート層の防眩剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
4−3.防汚層
本発明の好ましい態様によれば、ハードコートフィルム最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよい。防汚層は、ハードコートフィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。防汚層は、防汚剤と硬化性樹脂組成物を含む防汚層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
防汚層用硬化性樹脂組成物に含まれる防汚剤や硬化性樹脂は、公知の防汚剤及び硬化性樹脂から適宜選択して1種又は2種以上を用いることができる。
4−4.低屈折率層
低屈折率層は、当該層の透明基材フィルム側に隣接する層よりも屈折率が低い層であり、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該低屈折率層用硬化性樹脂組成物には、前記隣接する層よりも屈折率が低くなるように、適宜公知の低屈折率硬化性樹脂や微粒子を用いることができる。
図5は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。
透明基材フィルム10の一面側に、透明基材フィルムに近い側から順に、第一のハードコート層20、第二のハードコート層30、及び帯電防止層50が設けられている。この第一のハードコート層20及び第二のハードコート層30のビッカース硬度はそれぞれ、53〜69Hv、且つ、当該2層のビッカース硬度の差の絶対値は13以内である。
図6は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。
透明基材フィルム10の一面側に、透明基材フィルムに近い側から順に、第一のハードコート層20、第二のハードコート層30、帯電防止層50及び低屈折率層60が設けられている。この第一のハードコート層20及び第二のハードコート層30のビッカース硬度はそれぞれ、53〜69Hv、且つ、当該2層のビッカース硬度の差の絶対値は13以内である。
II.ハードコートフィルムの製造方法
(第一及び第二の硬化性樹脂組成物の調製)
本発明の第一及び第二の硬化性樹脂組成物は、通常、溶剤に上記各成分を一般的な調製法に従って、混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。
(ハードコート層の形成)
上記の第一の硬化性樹脂組成物を透明基材フィルム上に塗布、乾燥する。
塗布方法は、透明基材フィルム表面に当該第一の硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
また、透明基材フィルム上への塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が1g/m〜30g/mの範囲内、特に5g/m〜25g/mの範囲内であることが好ましい。
乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、更にはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。例えば、溶剤としてケトン系溶剤を用いる場合は、通常室温〜80℃、好ましくは40℃〜60℃の範囲内の温度で、20秒〜3分、好ましくは30秒〜1分程度の時間で乾燥工程が行われる。
次に、上記第一の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させた塗膜に対し、当該第一の硬化性樹脂組成物に含まれる反応性官能基に応じて、光照射及び/又は加熱して塗膜を硬化させることにより、当該第一の硬化性樹脂組成物の構成成分中に含まれる、反応性シリカ微粒子(A)の反応性官能基a、多官能モノマー(B)の反応性官能基b、及びポリマー(C)の反応性官能基cが架橋結合し、当該第一の硬化性樹脂組成物の硬化物からなる第一のハードコート層が形成される。
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm程度である。
加熱する場合は、通常40℃〜120℃の温度にて処理する。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行っても良い。
第一のハードコート層を形成した後、当該第一のハードコート層上に第一の硬化性樹脂組成物と同様に第二の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥、光照射及び/又は加熱して塗膜を乾燥させることにより第二のハードコート層を形成し、本発明のハードコートフィルムを得る。
第一の硬化性樹脂組成物を塗布し、第一のハードコート層を完全に形成する前に、すなわち第一のハードコート層をハーフキュア(半硬化)して、当該ハーフキュア状態の第一のハードコート層上に前記第二の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥し、第一のハードコート層及び第二のハードコート層を同時に光照射及び/又は加熱してフルキュア(完全硬化)し、本発明のハードコートフィルムを得ても良い。ハーフキュアする際の積算露光量としては、5〜50mJ/cm程度である。
(その他の層の形成)
前記第二のハードコート層の第一のハードコート層とは反対側の面に帯電防止層等の上記その他の機能層を設ける場合も前記ハードコート層と同様に、硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥させ、光照射及び/又は加熱して機能層を設ければよい。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
シリカ微粒子(1)として、日産化学工業(株)製、IPA−ST、平均粒径44nm、コロイダルシリカ、固形分30%液を用いた。
シリカ微粒子(2)として、日産化学工業(株)製、IPA−ST(L)、平均粒径12nm、コロイダルシリカ、固形分30%液を用いた。
シリカ微粒子(3)として、日産化学工業(株)製、IPA−STZL、平均粒径80nm、コロイダルシリカ、固形分30%液を用いた。
シリカ粒子(4)として、平均粒径1000nmのシリカ微粒子を用いた。
多官能モノマー(B)として、日本化薬(株)製、ペンタエリスリトールトリアクリレート、製品名PET30を用いた。
多官能モノマー(B)として、日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、製品名DPHAを用いた。
多官能モノマー(B)として、東亞合成(株)製、製品名M215(分子量333、反応性官能基数2)を用いた。
多官能モノマー(B)として、日本化薬(株)製、製品名DPCA120(分子量1947、反応性官能基数6)を用いた。
ポリマー(C)として、荒川化学工業(株)製、製品名BS371(重量平均分子量40000、反応性官能基数30以上)を用いた。
ポリマー(C)として、荒川化学工業(株)製、製品名BS371MLV(重量平均分子量20000、反応性官能基数30以上)を用いた。
ポリマー(C)として、荒川化学工業(株)製、製品名BS371改(重量平均分子量80000、反応性官能基数30以上)を用いた。
ポリマー(C)として、根上工業(株)製、製品名UN5507(重量平均分子量17000、反応性官能基数30未満)を用いた。
重合開始剤として、チバ・ジャパン(株)製、イルガキュア184を用いた。
シランカップリング剤として、信越化学工業(株)製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−503を用いた。
透明基材フィルムとして、TACフィルム(厚み40μm、トリアセチルセルロース樹脂フィルム、商品名:KC4UY、コニカ(株)製)を用いた。
各化合物の略語はそれぞれ、以下の通りである。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
MIBK:メチルイソブチルケトン
IPA:イソプロパノール
TAC:トリアセチルセルロース
(反応性シリカ微粒子(1)の調製)
シリカ微粒子(1)をロータリーエバポレーターを用いてIPAからMIBKに溶剤置換を行い、シリカ粒子30重量%のMIBK分散液を得た。このMIBK分散液100重量部に3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを5重量部添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された平均粒径44nmの反応性シリカ微粒子の固形分30重量%MIBK分散液を得た。
(反応性シリカ微粒子(2)の調製)
反応性シリカ微粒子(1)の調製において、シリカ微粒子(1)をシリカ微粒子(2)に代えた以外は同様にして、表面処理された平均粒径12nmの反応性シリカ微粒子(2)の固形分30重量%MIBK分散液を得た。
(反応性シリカ微粒子(3)の調製)
反応性シリカ微粒子(1)の調製において、シリカ微粒子(1)をシリカ微粒子(3)に代えた以外は同様にして、表面処理された平均粒径80nmの反応性シリカ微粒子(3)の固形分30重量%MIBK分散液を得た。
(反応性シリカ微粒子(4)の調製)
反応性シリカ微粒子(1)の調製において、シリカ微粒子(1)をシリカ微粒子(4)に代えた以外は同様にして、表面処理された平均粒径1000nmの反応性シリカ微粒子(4)の固形分30重量%MIBK分散液を得た。
(硬化性樹脂組成物の調製)
表1に示す組成の成分を配合して硬化性樹脂組成物1−1〜1−10、2−1〜2−4、及び3−1〜3−12をそれぞれ、調製した。
Figure 2010107823
実施例1:ハードコートフィルムの作製
TACフィルムの片面に、第一の硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物1−1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚10μmの第一のハードコート層(下層)を形成した。さらに、当該第一のハードコート層上に、第二の硬化性樹脂組成物として、前記硬化性樹脂組成物2−1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚5μmの第二のハードコート層(上層)を形成し、実施例1のハードコートフィルムを作製した。
なお、厚さ40μmのTACフィルムに第一の硬化性樹脂組成物を塗布し、ハードコート層を形成し、TACフィルム/第一のハードコート層の2層構成のビッカース硬度を測定した結果を表2に合わせて示す。
同様に、厚さ40μmのTACフィルムに第二の硬化性樹脂組成物を塗布し、ハードコート層を形成し、TACフィルム/第二のハードコート層の2層構成のビッカース硬度を測定した結果を表2に合わせて示す。
また、上記第一のハードコート層と第二のハードコート層のビッカース硬度の差の絶対値を表2に合わせて示す。
第一及び第二の硬化性樹脂組成物として、硬化性樹脂組成物をそれぞれ、表2に示すものとし、第一及び第二のハードコート層の膜厚を表2に示すように代えた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜17及び比較例1〜34のハードコートフィルムを作製した。
(ハードコートフィルムの評価)
作製した実施例1〜17及び比較例1〜34のハードコートフィルムについて、以下の様に鉛筆硬度、全光線透過率、ヘイズ、カール性及びクラック性を評価した。その結果を表2に示す。
(評価:鉛筆硬度)
鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製したハードコートフィルム(上記光学積層体)を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)を行い、傷がつかない最も高い硬度を測定した。
(評価:全光線透過率)
作製したハードコートフィルムの全光線透過率(%)を、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7361に従って測定した。
○:90%以上
×:90%未満
(評価:ヘイズ)
作製したハードコートフィルムのヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に従って測定した。
○:1.0%以下
×:1.0%より大きい
(評価:カール性)
ハードコートフィルムのカールの度合い(カール幅)は、ハードコートフィルムをTACフィルムを下にして10cm×10cmにカットしたサンプル片を水平な台(平面)の上に置き、浮き上がったハードコート層の端点間の距離の平均値(mm)で評価した。
評価基準
評価○:1〜85mmであった。
評価×:1mm未満、又はロール状物体であった。
(評価:クラック性)
10×2cmの大きさに切り取ったハードコートフィルムを、ハードコート層面を外側にして曲率のある円柱に巻きつけ、ひび割れ(クラック)が発生し始める曲率直径を測定することで評価した。
評価基準
評価○:14mm以内であった。
評価×:15mm以上であった。
Figure 2010107823
表2より、実施例1〜17は、第一及び第二のハードコート層のビッカース硬度がそれぞれ、53〜69Hvになり、且つその差の絶対値が13以内となり、鉛筆硬度、全光線透過率、ヘイズ、カール性、及びクラック性において優れた評価が得られた。
しかし、第一の硬化性樹脂組成物3−1が多官能モノマー(B)を含まない比較例1では、鉛筆硬度が3Hと低くなった。
第一の硬化性樹脂組成物3−2がポリマー(C)を含まない比較例2では、カールとクラックの評価が悪かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−3の反応性シリカ微粒子(A)の平均粒径が大きい比較例3では、透過率とヘイズの評価が悪かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−4が反応性シリカ微粒子(A)を含まない比較例4では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−5が反応性シリカ微粒子(A)及び多官能モノマー(B)を含まない比較例5では、鉛筆硬度が2Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−6に含まれる反応性シリカ微粒子(A)の含有量が30重量%に満たない比較例6では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−7に含まれる反応性シリカ微粒子(A)の含有量が65重量%を超える比較例7では、鉛筆硬度が3Hと低く、クラックの評価も悪かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−8に含まれる多官能モノマー(B)のM215が2官能の比較例8では、鉛筆硬度が2Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−9に含まれる多官能モノマー(B)のDPCA120の分子量が1000を超える比較例9では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−10に含まれるポリマー(C)のUN5507の官能基数が30未満の比較例10では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−11に含まれるポリマー(C)のBS371改の分子量が50000を超える比較例11では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−12に含まれるシリカ微粒子が反応性基を持たない比較例12では、鉛筆硬度が3Hと低く、クラックの評価も悪かった。
第一の硬化性樹脂組成物2−1〜2−4を用いた比較例13〜16では、反応性シリカ微粒子(A)の含有量が少ないため、鉛筆硬度が3Hと低く、カールの評価も悪かった。
反応性シリカ微粒子(A)の含有量が30重量%以上の硬化性樹脂組成物1−1〜1−10を第二の硬化性樹脂組成物として用いた比較例17〜26では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第二の硬化性樹脂組成物3−1が多官能モノマー(B)を含まない比較例27では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第二の硬化性樹脂組成物3−2がポリマー(C)を含まない比較例28では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第二の硬化性樹脂組成物3−5が反応性シリカ微粒子(A)及び多官能モノマー(B)を含まない比較例29では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第一の硬化性樹脂組成物3−7に含まれる反応性シリカ微粒子(A)の含有量が65重量%を超え、且つ第二の硬化性樹脂組成物3−2がポリマー(C)を含まない比較例30では、鉛筆硬度が3Hと低く、クラックの評価も悪かった。
第一のハードコート層のみで、第二のハードコート層を形成していない比較例31では、鉛筆硬度が3Hと低かった。
第二のハードコート層のみで、第一のハードコート層を形成していない比較例32では、鉛筆硬度が2Hと低かった。
第一のハードコート層の膜厚が25μmと厚い比較例33では、カールとクラックの評価が悪かった。
第二のハードコート層の膜厚が25μmと厚い比較例34では、カールとクラックの評価が悪かった。
図1は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の一例を模式的に示した断面図である。 図2aは、カールしていない状態のハードコートフィルムの一例を模式的に示した断面図である。 図2bは、カールしていない状態のハードコートフィルムの一例を模式的に示した斜視図である。 図3aは、カールしている状態のハードコートフィルムの一例を模式的に示した断面図である。 図3bは、カールしていない状態のハードコートフィルムの一例を模式的に示した斜視図である。 図4は、カールしている状態のハードコートフィルムの他の一例を模式的に示した断面図である。 図5は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図6は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。
符号の説明
1 ハードコートフィルム
2、3、4、5 端点
6 端点間の距離
10 透明基材フィルム
20 第一のハードコート層
30 第二のハードコート層
40 中心角
50 帯電防止層
60 低屈折率層

Claims (2)

  1. 透明基材フィルムの一面側に、当該透明基材フィルムに近い側から第一のハードコート層及び当該第一のハードコート層に隣接して第二のハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
    前記第一のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基aを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(A)、
    反応性官能基bを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(B)、及び、
    分子側鎖に反応性官能基cを30個以上有し且つ重量平均分子量が10000〜50000であるポリマー(C)を含む第一の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記反応性シリカ微粒子(A)は、前記第一の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して30〜65重量%含まれ、
    前記第二のハードコート層は、粒子表面に反応性官能基dを有する平均粒径10〜100nmの反応性シリカ微粒子(D)、及び、
    反応性官能基eを1分子中に3個以上有し且つ分子量が1000以下である多官能モノマー(E)を含む第二の硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、前記反応性シリカ微粒子(D)は、前記第二の硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0重量%以上30重量%未満含まれ、
    前記反応性官能基a、b、c、d及びeは、それぞれ、同種及び異種の反応性官能基間での架橋反応性を有し、且つ、
    前記第一のハードコート層及び第二のハードコート層は、それぞれ、膜厚が20μm以下であり、ビッカース硬度が押し込み荷重100mNにおいて、53〜69Hv且つ、第一のハードコート層及び第二のハードコート層のビッカース硬度の差の絶対値が13以内であることを特徴とする、ハードコートフィルム。
  2. JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の硬度が、4H以上、且つ、請求項1記載のハードコートフィルムを10×10cmの大きさに切り取ったフィルムを透明基材フィルムを下にして平らなところに置いて、浮き上がった曲面を構成している辺の端点間の距離の平均値が、1〜85mmであることを特徴とする、請求項1に記載のハードコートフィルム。
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