JP2018059537A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材等を提供する。
【解決手段】熱溶着可能なフィルム1と、第1ガスバリアフィルム2と、第2ガスバリアフィルム3とを、この順で有する真空断熱材用外包材10であって、第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材4と、第1ガスバリア層5とを有し、第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材6と、第2ガスバリア層7とを有し、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、第1ガスバリア層よりも第2ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和と、第2ガスバリア層よりも第1ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下である。
【選択図】図1
【解決手段】熱溶着可能なフィルム1と、第1ガスバリアフィルム2と、第2ガスバリアフィルム3とを、この順で有する真空断熱材用外包材10であって、第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材4と、第1ガスバリア層5とを有し、第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材6と、第2ガスバリア層7とを有し、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、第1ガスバリア層よりも第2ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和と、第2ガスバリア層よりも第1ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下である。
【選択図】図1
Description
本開示は、真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品に関するものである。
真空断熱材とは、芯材と、その芯材が封入された外包材とを有するものである。外包材により構成された袋体の内部は、芯材が配置されるとともに、大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている。袋体の内部の熱対流が抑制されるため、真空断熱材は、良好な断熱性能を発揮することができる。このような真空断熱材の内部を真空状態に保持するために、真空断熱材を構成する外包材には、ガスが通過することを抑制するためのガスバリア性や、袋体とするための熱溶着性が要求される。そのため、真空断熱材用の外包材は、一般に、ガスバリアフィルムと、熱溶着可能なフィルムとを有する(例えば、特許文献1〜3)。
例えば、特許文献1〜3には、真空断熱材の製造時や使用時に外包材が折り曲げられる場合があることが開示されている。真空断熱材用の外包材は、折り曲げられた場合であっても、微小なクラックなどの欠陥が発生しにくいことが望ましい。外包材に微小な欠陥が存在する真空断熱材は、初期状態ではそれが存在しないものと同等程度の断熱性能を示した場合であっても、使用している間に断熱性能の低下がより大きくなるためである。
本開示は、良好な断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材等を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを、この順で有する真空断熱材用外包材であって、上記第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、上記第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有し、上記第1ガスバリアフィルムおよび上記第2ガスバリアフィルムは、上記第1ガスバリア層および上記第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、上記真空断熱材用外包材を構成する各フィルムについて、上記各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、上記各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、上記第1ガスバリア層よりも上記第2ガスバリア層側に位置する上記各フィルムについての押込み弾性指数の和と、上記第2ガスバリア層よりも上記第1ガスバリア層側に位置する上記各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下である真空断熱材用外包材を提供する。
また、本開示は、芯材と、上記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材が、上述の真空断熱材用外包材である真空断熱材を提供する。
さらに、本開示は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、上述の真空断熱材である真空断熱材付き物品を提供する。
本開示においては、良好な断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材を提供できる。
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等についても模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本開示は、真空断熱材用外包材、ならびにそれを用いた真空断熱材および真空断熱材付き物品に関するものである。
以下、本開示の真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品について説明する。
なお、本開示において、「真空断熱材用外包材」を「外包材」と略する場合がある。また、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムを総じて「ガスバリアフィルム」と、第1樹脂基材および第2樹脂基材を総じて「樹脂基材」と、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層を総じて「ガスバリア層」とする場合がある。さらに、外包材を用いて真空断熱材を形成した際に、真空断熱材の内側となる熱溶着可能なフィルム側を「外包材の内側」、真空断熱材の外側となる、熱溶着可能なフィルムから遠い方側を「外包材の外側」と記載する場合がある。
以下、本開示の真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品について説明する。
なお、本開示において、「真空断熱材用外包材」を「外包材」と略する場合がある。また、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムを総じて「ガスバリアフィルム」と、第1樹脂基材および第2樹脂基材を総じて「樹脂基材」と、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層を総じて「ガスバリア層」とする場合がある。さらに、外包材を用いて真空断熱材を形成した際に、真空断熱材の内側となる熱溶着可能なフィルム側を「外包材の内側」、真空断熱材の外側となる、熱溶着可能なフィルムから遠い方側を「外包材の外側」と記載する場合がある。
A.真空断熱材用外包材
まず、本開示の真空断熱材用外包材について説明する。
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを、この順で有する真空断熱材用外包材であって、第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有し、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムは、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、真空断熱材用外包材を構成する各フィルムについて、各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、第1ガスバリア層よりも第2ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和と、第2ガスバリア層よりも第1ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下であるものである。
まず、本開示の真空断熱材用外包材について説明する。
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを、この順で有する真空断熱材用外包材であって、第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有し、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムは、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、真空断熱材用外包材を構成する各フィルムについて、各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、第1ガスバリア層よりも第2ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和と、第2ガスバリア層よりも第1ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下であるものである。
本開示の外包材について、図を参照して説明する。図1は、本開示の外包材の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本開示の外包材10は、熱溶着可能なフィルム1と、第1ガスバリアフィルム2と、第2ガスバリアフィルム3とを、この順で有する。第1ガスバリアフィルム2は、第1樹脂基材4と、第1ガスバリア層5とを有し、第2ガスバリアフィルム3は、第2樹脂基材6と、第2ガスバリア層7とを有する。また、第1ガスバリアフィルム2および第2ガスバリアフィルム3は、第1ガスバリア層5と、第2ガスバリア層7とが向き合うように配置されている。
また、図2は、本開示の外包材を用いた真空断熱材の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、真空断熱材20は、芯材11と、芯材11が封入された外包材10とを有するものである。外包材10は、端部12で外包材10の内側どうしが接合されて、袋体となっている。外包材10により構成された袋体の内部は、芯材11が配置され、大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている。
また、図3は、真空断熱材の使用状態の一例を示す説明図であり、2個の真空断熱材を並べて使用する例を示す断面図である。図3において、2個の真空断熱材20では、端部12が折り曲げられて屈曲部13が形成されている。端部12を折り曲げないで並べられた場合と比較して、2個の真空断熱材20を平面視した際の、断熱性能が低い端部12の占める面積割合が少ない。しかし、屈曲部13には、引張・圧縮応力がかかる。また、端部12の芯材11側の付け根部分である折り曲げ部14や、芯材11の角の部分を覆う外包材10の角部15などにも引張・圧縮応力がかかる。そのため、屈曲部13、折り曲げ部14、角部15では、外包材10に微小なクラックや微小なピンホールなどの微小な欠陥が生じやすい。
本開示の外包材は、外包材を構成する各フィルムについて、各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、第1ガスバリアフィルムよりも第2ガスバリアフィルム側に位置する各フィルム(以下、「外側のフィルム」とする場合がある。)についての押込み弾性指数の和と、第2ガスバリアフィルムよりも第1ガスバリアフィルム側に位置する各フィルム(以下、「内側のフィルム」とする場合がある。)についての押込み弾性指数の和との差(以下、「押込み弾性指数の差分」とする場合がある。)が、特定の範囲内である。そのため、外包材が折り曲げられた場合でも微小な欠陥が生じにくく、そのような外包材を用いることにより、良好な断熱性能を長期間にわたって維持することができる真空断熱材を得ることができる。
外包材に用いられる金属等によるヒートブリッジを低減することを目的として、例えば金属蒸着膜など、極めて薄い膜から構成されるガスバリア層と樹脂基材との積層体であるガスバリアフィルムが用いられることがある。上述したような積層体のガスバリア層の厚さは、従来用いられていたアルミニウム箔などよりも大幅に薄いため、小さな応力によっても微小な欠陥が生じやすい。そのため、本発明者等は、ガスバリア層への微小な欠陥の発生を抑制すべく、外包材におけるガスバリア層の配置や、外包材に共に用いられる各フィルムとの関係について、鋭意研究を行った。その結果、外包材におけるガスバリア層の内側のフィルムの押込み弾性指数と外側のフィルムの押込み弾性指数との差分と、当該外包材の屈曲試験後の酸素透過度とには、一定の相関関係があることを見出した。そのような相関関係の理由については明らかではないが、以下のように推測される。
すなわち、外包材における内側のフィルムと、外側のフィルムとで押込み弾性指数に大きな差があると、外包材に応力が付与された際に、内側のフィルムと外側のフィルムとに異なる量の歪が発生することとなる。その際、ガスバリア層に剪断応力が発生することに起因してガスバリア層に微小な欠陥が発生し、酸素透過度が上昇することが考えられる。一般に、単一材料から構成された部材に対し、部材の上側から曲げモーメントを付与した場合、部材の下側の面は縮み、上側の面は伸びるが、上下面の間に、伸び縮みしない(応力がゼロの)面(中立面)が存在する。外包材において、上述した中立面の近傍の位置にガスバリア層を配置することにより、ガスバリア層に付与される応力を低減することができ、その結果、微小な欠陥の発生を抑制することができると推測される。
また、外包材としてのガスバリア性を向上させるため、1つの外包材に複数のガスバリアフィルムを用いる場合がある。例えば、1つの外包材に2つのガスバリアフィルムを用いる場合、上述した考えに基づくと、2つのガスバリアフィルムのガスバリア層が互いに同じ方向を向く配置や、互いに外側を向く(互いの樹脂基材が向かい合う)配置とするよりも、互いのガスバリア層が向き合うように2つのガスバリアフィルムを配置した上で、2つのガスバリア層が上述した中立面の近傍に位置するように各フィルムの厚さや押込み弾性率を調整することで、より効果的かつ効率的に微小な欠陥の発生を抑制することができると推測される。
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを有するものである。以下、本開示における外包材の特性や、外包材の各構成について、説明する。
1.真空断熱材用外包材の特性
(1)押込み弾性指数の差分
本開示の外包材は、外包材を構成する各フィルムについて、各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、第1ガスバリア層よりも第2ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和と、第2ガスバリア層よりも第1ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和との差(押込み弾性指数の差分)が50GPa・μm以下であるものであり、中でも40GPa・μm以下であることが好ましく、特には20GPa・μm以下であることが好ましい。押込み弾性指数の差分が上記範囲を超えると、外包材において微小な欠陥が発生しやすくなる可能性がある。本開示においては、押込み弾性指数の差分は、できるだけ小さいことが好ましい。このような「押込み弾性指数の差分」について、以下詳細に説明する。
(1)押込み弾性指数の差分
本開示の外包材は、外包材を構成する各フィルムについて、各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、第1ガスバリア層よりも第2ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和と、第2ガスバリア層よりも第1ガスバリア層側に位置する各フィルムについての押込み弾性指数の和との差(押込み弾性指数の差分)が50GPa・μm以下であるものであり、中でも40GPa・μm以下であることが好ましく、特には20GPa・μm以下であることが好ましい。押込み弾性指数の差分が上記範囲を超えると、外包材において微小な欠陥が発生しやすくなる可能性がある。本開示においては、押込み弾性指数の差分は、できるだけ小さいことが好ましい。このような「押込み弾性指数の差分」について、以下詳細に説明する。
外包材を構成する任意の1つのフィルムについて、押込み弾性率および厚さを測定し、それらの値を乗じたものが当該フィルムについての「押込み弾性指数」である。押込み弾性指数は、外包材を構成する各フィルムについて算出される。例えば、図1に例示されているような、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとが積層されている外包材の場合、これらの熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとについて、それぞれ押込み弾性指数を算出する。各ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、ガスバリア層とを有するものであるが、ガスバリア層は薄く、積層体の押込み弾性指数に与える影響が小さく、無視できる程度のものである。そのため、樹脂基材の押込み弾性指数をガスバリアフィルムの押込み弾性指数とみなす。
「押込み弾性指数の差分」は、「第1ガスバリア層よりも第2ガスバリア層側に位置する各フィルム(外側のフィルム)についての押込み弾性指数の和」と、「第2ガスバリア層よりも第1ガスバリア層側に位置する各フィルム(内側のフィルム)についての押込み弾性指数の和」との差を算出することにより求めることができる。この際、外包材において、各フィルムが接着剤等を介して積層されている場合でも、接着剤の層についての押込み弾性指数は、上述した内側または外側のフィルムの「押込み弾性指数の和」には加算されない。このような接着剤の層は薄く、積層体の押込み弾性指数に与える影響が小さく、無視できる程度のものであるからである。なお、このような接着剤としては、一般に真空断熱材用の外包材に使用される接着剤を用いることができる。
例えば、図4に例示されているように、外包材10が、熱溶着可能なフィルム1と、第1ガスバリアフィルム2と、第2ガスバリアフィルム3と、保護フィルム8とを、この順で有する場合、第1ガスバリア層5よりも第2ガスバリア層7側に位置する、第2ガスバリアフィルム3の押込み弾性指数と、保護フィルム8の押込み弾性指数との和が外側のフィルムの押込み弾性指数であり、第2ガスバリア層7よりも第1ガスバリア層5側に位置する、第1ガスバリアフィルム2の押込み弾性指数と、熱溶着可能なフィルム1の押込み弾性指数との和が内側のフィルムの押込み弾性指数となる。したがって、熱溶着可能なフィルム、第1ガスバリアフィルム、第2ガスバリアフィルム、保護フィルムの押込み弾性率をE1、E2、E3、E8とし、それらのフィルムの厚さをT1、T2、T3、T8とした場合、図4に例示されている外包材10の押込み弾性指数の差分は、(E1×T1+E2×T2)と、(E3×T3+E8×T8)との差分となる。なお、図4は、本開示の外包材の他の例を示す概略断面図であり、図4において説明しない符号は、図1と同様である。
押込み弾性率の測定は、ISO 14577に準拠し、サンプルの断面または表面に対して、約23℃約60%RHの環境で、ビッカース圧子(対面角136°の正四角錐のダイヤモンド圧子)を装着させた超微小負荷硬さ試験機を用いて、押込み弾性率を測定する方法を用いる。測定は、押込み速度0.1μm/秒、押込み深さ2μm、保持時間5秒間、引き抜き速度0.1μm/秒でおこなう。微小硬さ試験機は、ピコデンターHM500(フィッシャー・インストルメンツ社製)が好ましい。1つの条件では、少なくとも5つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の押込み弾性率の値とする。サンプルの断面を測定する場合は、サンプルの外周を硬化樹脂系接着剤で固めて固定し、固定したサンプルをダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断し、サンプルの露出した断面を測定する。また、サンプルの表面を測定する場合は、サンプルの測定しない側の面を硬化樹脂系接着剤で厚さ1.1mmの平坦なガラス板に固定し、サンプルの表面を測定する。
また、押込み弾性指数を算出する際の各フィルムの厚さは、切削断面の光学顕微鏡観察の計測により測定することができる。以下、の説明における、厚さについても同様である。
(2)真空断熱材用外包材の引張弾性率
外包材の引張弾性率は、外包材の押込み弾性率の差分を上述した範囲とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、2.0GPa以上であることが好ましく、中でも2.5GPa以上であることが好ましく、特には2.8GPa以上であることが好ましい。外包材の引張弾性率が上記範囲内とすることにより、微小な欠陥の発生を抑制することができるからである。なお、外包材の引張弾性率の上限は特に限定されるものではなく、例えば、5.0GPa以下とすることができる。外包材の引張弾性率が高すぎると、外包材を折り曲げる等する際に、強い応力を付与する必要があり、外包材に強度が弱い箇所があると、その箇所に応力が集中して微小な欠陥が生じやすくなる可能性があるからである。
外包材の引張弾性率は、外包材の押込み弾性率の差分を上述した範囲とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、2.0GPa以上であることが好ましく、中でも2.5GPa以上であることが好ましく、特には2.8GPa以上であることが好ましい。外包材の引張弾性率が上記範囲内とすることにより、微小な欠陥の発生を抑制することができるからである。なお、外包材の引張弾性率の上限は特に限定されるものではなく、例えば、5.0GPa以下とすることができる。外包材の引張弾性率が高すぎると、外包材を折り曲げる等する際に、強い応力を付与する必要があり、外包材に強度が弱い箇所があると、その箇所に応力が集中して微小な欠陥が生じやすくなる可能性があるからである。
引張弾性率の測定方法は、JIS K7161−1:2014(プラスチック−引張特性の求め方−第1部:通則)に準拠し、外包材を幅15mmの長方形にカットしてサンプルを採取した後、引張試験機を用いて、チャック間距離100mm、引張速度100mm/min、予備力の使用有り、の条件で、引張弾性率を測定する方法を用いる。測定環境は23℃、湿度55%の環境とする。サンプルの長さは、試験機の軸にサンプルの長さが一致するようにつかみ具を取り付けられかつ測定中につかみ部分がずれない範囲で決定し、例えば120mm程度である。引張試験機は、インストロン5565(インストロン・ジャパン社製)が好ましい。予備力は、例えば、応力をσ0、弾性率をEtとして(予備力のための適切な弾性率や応力が不明なときは事前に試験をして弾性率や応力の予測値を求めておく)、(Et/10000)≦σ0≦(Et/3000)の範囲である。1つの条件では少なくとも5つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の引張弾性率の値とする。なお、引張弾性率の値は外包材面内の方向によって異なる場合があるので、面内平均値の使用が好ましい。外包材の面内方向の条件を概ね22.5度ずつ変えて採取した8つの条件の値の平均を面内平均値とみなすことができる。
外包材の引張弾性率は、1枚の外包材の全体について測定されたものである。したがって、外包材が、熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルム以外のフィルム等を含むものである場合は、それらのフィルムも含む状態で測定されたものである。例えば、各フィルムが接着剤を介して積層されている場合は、当該接着剤も含む状態で測定されたものである。すなわち、引張弾性率は、外包材として積層された全ての部材を含む状態で測定されたものである。通常、真空断熱材は、このような外包材を2枚用いて形成される。
2.ガスバリアフィルム
本開示の外包材は、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを有するものである。また、第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有する。本開示の外包材において、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムは、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層が向き合うように配置されている。このような第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムは、それぞれに同じ構成のガスバリアフィルムが用いられてもよく、異なるガスバリア層や樹脂基材が用いられるなど、それぞれに異なる構成のガスバリアフィルムが用いられてもよい。
本開示における第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとは、それぞれ以下のような構成を有し得る。
本開示の外包材は、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを有するものである。また、第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有する。本開示の外包材において、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムは、第1ガスバリア層および第2ガスバリア層が向き合うように配置されている。このような第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムは、それぞれに同じ構成のガスバリアフィルムが用いられてもよく、異なるガスバリア層や樹脂基材が用いられるなど、それぞれに異なる構成のガスバリアフィルムが用いられてもよい。
本開示における第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとは、それぞれ以下のような構成を有し得る。
(1)ガスバリア層
ガスバリア層は、樹脂基材の片方または両方の面側に配置され、ガスバリアフィルムのガスバリア性に主に寄与するものである。第1ガスバリアフィルムまたは第2ガスバリアフィルムにおいて、樹脂基材の片方の面側のみにガスバリア層が配置されている場合は、当該ガスバリア層が第2ガスバリアフィルムまたは第1ガスバリアフィルム側を向くように配置される。また、第1ガスバリアフィルムまたは第2ガスバリアフィルムにおいて、樹脂基材の両方の面側にガスバリア層が配置されている場合は、当該ガスバリア層のうち、第2ガスバリアフィルムまたは第1ガスバリアフィルム側に配置されたガスバリア層が、第1ガスバリア層または第2ガスバリア層である。
ガスバリア層は、樹脂基材の片方または両方の面側に配置され、ガスバリアフィルムのガスバリア性に主に寄与するものである。第1ガスバリアフィルムまたは第2ガスバリアフィルムにおいて、樹脂基材の片方の面側のみにガスバリア層が配置されている場合は、当該ガスバリア層が第2ガスバリアフィルムまたは第1ガスバリアフィルム側を向くように配置される。また、第1ガスバリアフィルムまたは第2ガスバリアフィルムにおいて、樹脂基材の両方の面側にガスバリア層が配置されている場合は、当該ガスバリア層のうち、第2ガスバリアフィルムまたは第1ガスバリアフィルム側に配置されたガスバリア層が、第1ガスバリア層または第2ガスバリア層である。
このようなガスバリア層は、所望のガスバリア性を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、金属蒸着膜等の金属薄膜、無機化合物の蒸着膜である無機化合物膜が挙げられる。金属薄膜を形成する金属は、所望のバリア性能を発揮できる金属であればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等が挙げられる。
一方、無機化合物膜を形成する無機化合物は、所望のガスバリア性を発揮できる材料であればよく、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物および酸化珪素亜鉛等から選ばれる1または2以上の無機化合物等が挙げられる。具体的には、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウ、ムセリウム、および亜鉛から選ばれる1種または2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができる。より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物、インジウム合金酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、チタン窒化物、酸化窒化珪素等を挙げることができる。上記無機化合物は、単独で用いてもよいし、上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
なかでも、本開示においては、ガスバリア層は、金属薄膜であることが好ましく、特には、アルミニウム薄膜であることが好ましい。クラックの発生を抑制できるとの本開示の効果をより効果的に発揮できるからである。
ガスバリア層の厚さは、所望のガスバリア性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、ガスバリア層の種類にもよるが、例えば、5nm以上、500nm以下の範囲内であることが好ましく、中でも10nm以上、300nm以下の範囲内であることが好ましく、特には20nm以上、100nm以下の範囲内であることが好ましい。ガスバリア層の厚さが上記範囲に満たないと、製膜が不十分となり所望のガスバリア性を示すことができない場合があり、上記範囲を超えると、クラックが発生しやすくなり可撓性が低下するおそれや、ガスバリア層が金属薄膜である場合、本開示の外包材を用いて形成された真空断熱材において、ヒートブリッジが生じるおそれがあるからである。
ガスバリア層は、単層であってもよく、合計の厚さが上記範囲内となるように2層以上を積層してもよい。2層以上のガスバリア層を用いる場合は、同一組成のガスバリア層を組み合わせてもよく、異なる組成のガスバリア層を組み合わせてもよい。また、ガスバリア層は、ガスバリア性および他のフィルムとの密着性の向上を図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
樹脂基材上にガスバリア層を形成する方法としては、ガスバリア層の種類に応じて従来公知の方法を用いることができる。ガスバリア層が金属薄膜であれば、例えば、物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法等の乾式製膜法を用いて樹脂基材上に製膜する方法、具体的には、真空蒸着法等を用いることができる。また、既製の金属薄膜を用い、樹脂基材と予め加熱した金属薄膜とを熱圧着させる方法、樹脂基材およびガスバリア層を接着剤層を介して貼合する方法等が挙げられる。一方、ガスバリア層が無機化合物膜であれば、例えば、PVD法やCVD法等の乾式製膜法を用いて、樹脂基材上に無機化合物膜を形成することができる。PVD法およびCVD法による具体的なガスバリア層の製膜方法については、例えば、特開2011−5835号公報に開示される方法を用いることができる。
(2)樹脂基材
樹脂基材は、ガスバリア層を支持可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、樹脂フィルムや樹脂シートが好適に用いられる。樹脂基材が樹脂フィルムである場合、樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。
樹脂基材は、ガスバリア層を支持可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、樹脂フィルムや樹脂シートが好適に用いられる。樹脂基材が樹脂フィルムである場合、樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。
樹脂基材に用いられる樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、セルロース樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。
上記樹脂基材には、種々のプラスチック配合剤や添加剤等が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
樹脂基材は、表面処理が施されていてもよい。ガスバリア層との密着性を向上させることができるからである。表面処理としては、例えば、特開2014−180837号公報に開示される酸化処理、凹凸化処理(粗面化処理)、易接着コート処理等を挙げることができる。
樹脂基材の厚さは、上述した外包材における押込み弾性指数の差分を所望の値とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば6μm以上、200μm以下の範囲内とすることができ、中でも9μm以上、100μm以下の範囲内とすることができる。
樹脂基材の押込み弾性率は、外包材における押込み弾性指数の差分を所望の値とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、1.0GPa以上であることが好ましく、中でも、1.5GPa以上、4.0GPa以下の範囲内であることが好ましく、特に、2.0GPa以上、3.0GPa以下の範囲内であることが好ましい。樹脂基材の押込み弾性率が上述の範囲内であることにより、近接して配置されるガスバリア層を、樹脂基材がより効果的に保護することができ、微小な欠陥の発生をより抑制することができるからである。
(3)ガスバリアフィルム
上記ガスバリアフィルムのガスバリア性としては、酸素透過度が0.5cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が0.2g/(m2・day)以下であることが好ましく、中でも0.1g/(m2・day)以下であることが好ましい。上記ガスバリアフィルムの酸素および水蒸気透過度が上述の範囲内であることにより、外部より浸透した水分やガス等を真空断熱材の内部の芯材まで浸透しにくくすることができる。
上記ガスバリアフィルムのガスバリア性としては、酸素透過度が0.5cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が0.2g/(m2・day)以下であることが好ましく、中でも0.1g/(m2・day)以下であることが好ましい。上記ガスバリアフィルムの酸素および水蒸気透過度が上述の範囲内であることにより、外部より浸透した水分やガス等を真空断熱材の内部の芯材まで浸透しにくくすることができる。
本開示では、酸素透過度の測定は、JIS K7126−2A:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)に準拠して、温度23℃、湿度60%RHの条件で、酸素透過度測定装置を用いて、外包材の外側(熱溶着可能なフィルムのガスバリアフィルムが配置された側)が酸素ガスに接するようにして、透過面積50cm2の条件で、測定する方法を用いる。酸素透過度測定装置は、オクストラン(OXTRAN2/21 10X、米国企業のモコン(MOCON)社製)が好ましい。試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いて、キャリアーガス流量10cc/分で60分以上パージした後、試験ガスを流す。試験ガスを流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後、測定を開始した。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の酸素透過度の値とする。
本開示では、水蒸気透過度の測定は、JIS K7129−B:2008(プラスチック−フィルム及びシート−水蒸気透過度の求め方(機器測定法)、付属書B:赤外線センサ法)に準拠して、温度40℃、湿度90%RHの条件(条件3)で、水蒸気透過度測定装置を用いて、外包材の外側(熱溶着可能なフィルムのガスバリアフィルムが配置された側)が高湿度側(水蒸気供給側)になるようにして、透過面積50cm2の条件で、測定する方法を用いる。水蒸気透過度測定装置は、パ−マトラン(PERMATRAN−3/33G+、米国企業のモコン(MOCON)社製)が好ましい。標準試験片としてNISTフィルム#3を用いる。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の水蒸気透過度の値とする。
3.熱溶着可能なフィルム
本開示における熱溶着可能なフィルムは、上記外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接する部位である。また、対向する外包材同士の端部を熱溶着する熱溶着面を形成する部位である。
本開示における熱溶着可能なフィルムは、上記外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接する部位である。また、対向する外包材同士の端部を熱溶着する熱溶着面を形成する部位である。
熱溶着可能なフィルムの材料としては、加熱によって溶融し、融着することが可能であることから熱可塑性樹脂が好ましく、例えば直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。本開示においては、中でも、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン、未延伸ポリプロピレンまたはポリブチレンテレフタレートであることが好ましく、特に、ポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。真空断熱材を形成した際に、外包材同士を貼り合わせた端部において微小な欠陥の発生をより抑制することができるからである。
また、熱溶着可能なフィルムは、上述した樹脂の他に、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
熱溶着可能なフィルムの融解温度としては、例えば80℃以上、300℃以下の範囲内であることが好ましく、中でも100℃以上、250℃以下の範囲内であることが好ましい。熱溶着可能なフィルムの融解温度を上記範囲内とすることにより、本開示の外包材を用いて形成された真空断熱材の使用環境下において、外包材の封止面の剥離を抑制することができる。
融解温度(Tm)の測定は、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、DSC曲線を測定し、融解温度を求める方法を用いる。約10mgのサンプルを採取し、アルミニウム製の容器に入れ、装置に装着した。DSC曲線の測定は、開始温度20℃から加熱速度10℃/分で250℃まで昇温し、250℃で10分間保持し、250°から冷却速度10℃/分で20℃まで降温することによっておこなう。融解温度は、昇温時のDSC曲線より求める。DSC装置は、DSC204(NETZSCH社製)が好ましい。
熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率は、上述した外包材における押込み弾性指数の差分を所望の値とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、0.5GPa以上であることが好ましく、中でも、0.8GPa以上、3.0GPa以下の範囲内であることが好ましく、特に、1.0GPa以上、2.5GPa以下の範囲内であることが好ましい。熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が上述の範囲内であることにより、真空断熱材を形成した際に、外包材同士を貼り合わせた端部において微小な欠陥の発生をより抑制することができるからである。また、真空断熱材に用いられる芯材からの突き刺しによるピンホールの発生を抑制できるからである。
熱溶着可能なフィルムの厚さは、上述した外包材における押込み弾性指数の差分を所望の値とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば20μm以上、100μm以下の範囲内が好ましく、中でも25μm以上、90μm以下の範囲内が好ましく、特には30μm以上、80μm以下の範囲内が好ましい。熱溶着可能なフィルムの厚さが上記範囲よりも大きいと、外包材のガスバリア性が低下する場合等があり、厚さが上記範囲よりも小さいと、所望の接着力が得られない場合がある。
4.任意の構成
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを少なくとも有するものであるが、その他の任意の構成を有していてもよい。
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを少なくとも有するものであるが、その他の任意の構成を有していてもよい。
(1)保護フィルム
本開示の外包材は、上述した熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルムの他に、保護フィルムを有していてもよい。外包材が保護フィルムを有することにより、熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルムなど、外包材として共に用いられる各フィルムを、損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にもガスバリア性を有する層が配置されていない点で、上述したガスバリアフィルムと区別することが可能である。保護フィルムの外包材における配置位置は特に限定されるものではないが、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムの熱溶着可能なフィルムとは反対の面側に配置されていることが好ましく、真空断熱材を形成する際に最外層(最表層)となる位置に、保護フィルムが配置されていることがより好ましい。
本開示の外包材は、上述した熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルムの他に、保護フィルムを有していてもよい。外包材が保護フィルムを有することにより、熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルムなど、外包材として共に用いられる各フィルムを、損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にもガスバリア性を有する層が配置されていない点で、上述したガスバリアフィルムと区別することが可能である。保護フィルムの外包材における配置位置は特に限定されるものではないが、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムの熱溶着可能なフィルムとは反対の面側に配置されていることが好ましく、真空断熱材を形成する際に最外層(最表層)となる位置に、保護フィルムが配置されていることがより好ましい。
保護フィルムとしては、熱溶着可能なフィルムよりも高融点の樹脂を用いたものであればよく、シート状でもフィルム状でもよい。このような保護フィルムとして、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のシートまたはフィルム等が挙げられる。
保護フィルムは、単層であってもよく、同一材料から成る層または異なる材料から成る層を積層させて多層としたものであってもよい。また保護フィルムは、他の層との密着性の向上が図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
保護フィルムの厚さは、上述した外包材における押込み弾性指数の差分を所望の値とすることができ、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを保護することができる厚さであれば特に限定されるものではないが、一般的に5μm以上、80μm以下の範囲内とすることができる。
保護フィルムの押込み弾性率は、上述した外包材における押込み弾性指数の差分を所望の値とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、1.0GPa以上であることが好ましく、中でも、1.5GPa以上、4.0GPa以下の範囲内であることが好ましく、特に、2.0GPa以上、3.0GPa以下の範囲内であることが好ましい。保護フィルムの押込み弾性率が上記範囲に満たないと、外包材として共に用いられる各フィルムを、損傷や劣化から十分に保護することができない可能性がある。一方、保護フィルムの押込み弾性率が上記範囲を超えると、外包材としての押込み弾性指数の差分を所望の範囲内に調整することが困難になる可能性がある。
(2)さらなるガスバリアフィルム
本開示の外包材は、上述した第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムの他に、さらなるガスバリアフィルムを有していてもよい。外包材が3つ以上のガスバリアフィルムを有する場合、互いにガスバリア層が向き合っている2つのガスバリアフィルムのうち、熱溶着可能なフィルム側に位置するガスバリアフィルムが第1ガスバリアフィルムであり、熱溶着可能なフィルムから離れた方側に位置するガスバリアフィルムが第2ガスバリアフィルムであり、互いに向き合うガスバリア層の内側と外側の各フィルムについて、押込み弾性指数の差分が上記範囲内となるように、層構成を設計することができる。また、互いにガスバリア層が向き合っているガスバリアフィルムが2組以上ある場合は、いずれか1組のガスバリアフィルムについて、その内側のフィルムと外側のフィルムとの押込み弾性指数の差分が所望の範囲内となるように、層構成を設計することができる。
本開示の外包材は、上述した第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムの他に、さらなるガスバリアフィルムを有していてもよい。外包材が3つ以上のガスバリアフィルムを有する場合、互いにガスバリア層が向き合っている2つのガスバリアフィルムのうち、熱溶着可能なフィルム側に位置するガスバリアフィルムが第1ガスバリアフィルムであり、熱溶着可能なフィルムから離れた方側に位置するガスバリアフィルムが第2ガスバリアフィルムであり、互いに向き合うガスバリア層の内側と外側の各フィルムについて、押込み弾性指数の差分が上記範囲内となるように、層構成を設計することができる。また、互いにガスバリア層が向き合っているガスバリアフィルムが2組以上ある場合は、いずれか1組のガスバリアフィルムについて、その内側のフィルムと外側のフィルムとの押込み弾性指数の差分が所望の範囲内となるように、層構成を設計することができる。
さらなるガスバリアフィルムは、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムの内側に配置されていてもよく、外側に配置されていてもよく、内側および外側の両方に配置されていてもよい。このようなさらなるガスバリアフィルムは、上述した「2.ガスバリアフィルム」において説明されているものと同様のものとすることができるため、ここでの説明は省略する。
5.真空断熱材用外包材
本開示の外包材のガスバリア性としては、屈曲試験後の酸素透過度が1.2cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.8cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。外包材のガスバリア性が上述した範囲内であることにより、外包材を用いて真空断熱材を形成する際に外包材を折り曲げた場合でも、真空断熱材の内部の真空度を高く維持することができ、良好な断熱性能を長期間維持することができるからである。
本開示の外包材のガスバリア性としては、屈曲試験後の酸素透過度が1.2cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.8cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。外包材のガスバリア性が上述した範囲内であることにより、外包材を用いて真空断熱材を形成する際に外包材を折り曲げた場合でも、真空断熱材の内部の真空度を高く維持することができ、良好な断熱性能を長期間維持することができるからである。
本開示では、屈曲試験は、ASTM F 392に準拠して、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形のサンプルをゲルボフレックステスターで、3回の屈折処理をおこなう試験である。ゲルボフレックステスターは、機種名BE1006(テスター産業社製)が好ましい。
外包材の厚さとしては、上述した外包材おける押込み弾性指数の差分を所望の値とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、30μm以上、200μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも50μm以上、150μm以下の範囲内であることが好ましい。
外包材の積層方法としては、所望の構成の外包材を得ることができるものであれば特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、予め成膜した各フィルムを接着剤を使用して貼り合せるドライラミネーション法や、熱溶融させたガスバリアフィルムの各材料をTダイ等を用いて押出しして貼り合せ、得られた積層体に接着剤を介して熱溶着可能なフィルムを貼り合せる方法等が挙げられる。
B.真空断熱材
次に、本開示の真空断熱材について説明する。本開示の真空断熱材は、芯材と、芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材が、上述の真空断熱材用外包材であるものである。
次に、本開示の真空断熱材について説明する。本開示の真空断熱材は、芯材と、芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材が、上述の真空断熱材用外包材であるものである。
本開示の真空断熱材については、既に説明した図2に例示するものと同様とすることができる。本開示によれば、真空断熱材用外包材が上述の真空断熱材用外包材であることにより、長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材とすることができる。
本開示の真空断熱材は、真空断熱材用外包材および芯材を有するものである。
以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、芯材を封入するものである。また、外包材は、上述の外包材である。このような外包材については、「A.真空断熱材用外包材」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
本開示の真空断熱材用外包材は、芯材を封入するものである。また、外包材は、上述の外包材である。このような外包材については、「A.真空断熱材用外包材」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
2.芯材
本開示における芯材は、外包材により封入されるものである。
芯材としては、熱伝導度の低いものであることが好ましい。芯材は、その空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
本開示における芯材は、外包材により封入されるものである。
芯材としては、熱伝導度の低いものであることが好ましい。芯材は、その空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
芯材を構成する材料としては、粉体、発泡体、繊維体等を用いることができる。
粉体としては、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。中でも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
粉体としては、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。中でも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
また、発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等があり、これらのなかでも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
また、繊維体としては、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。
芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
3.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、外包材で封入された内部が減圧密封され、真空状態とされたものである。真空断熱材内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の真空度を上述の範囲内とすることにより、内部に残存する空気の対流による熱伝導を小さいものとすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となる。
本開示の真空断熱材は、外包材で封入された内部が減圧密封され、真空状態とされたものである。真空断熱材内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の真空度を上述の範囲内とすることにより、内部に残存する空気の対流による熱伝導を小さいものとすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となる。
また、真空断熱材の熱伝導率は低いことが好ましく、例えば、真空断熱材の25℃における熱伝導率(初期熱伝導率)は、15mW/(m・K)以下であることが好ましく、中でも10mW/(m・K)以下であることが好ましく、特に5mW/(m・K)以下であることが好ましい。真空断熱材の熱伝導率を上述の範囲内とすることにより、真空断熱材は熱を外部に伝導しにくくなることから、高い断熱効果を奏することができるからである。
熱伝導率の測定は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠し、熱伝導率測定装置を用いて、試験の定常に要する時間15分以上、標準板の種類EPS、高温面の温度30℃、低温面の温度10℃、サンプル平均温度20℃、の条件で、サンプルの両方の主面が上下方向を向くように配置し、熱流計法により測定する方法を用いる。熱伝導率測定装置は、オートラムダHC−074(英弘精機社製)が好ましい。サンプルの大きさは、例えば、幅29±0.5cm、長さ30±0.5cmである。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
真空断熱材はガスバリア性が高いことが好ましい。外部からの水分や酸素等の侵入による真空度の低下を防止することができるからである。真空断熱材のガスバリア性については、上述した「A.真空断熱材用外包材、2.ガスバリアフィルム、(3)ガスバリアフィルム」の項で説明した酸素透過度および水蒸気透過度と同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.製造方法
本開示の真空断熱材の製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、上述の外包材を形成可能な積層体で、四辺形に切断されたものを2枚準備する。それぞれの熱溶着可能なフィルムどうしを向き合わせて、2枚の積層体の三辺の外縁部を熱溶着させることによって、一辺が開口している袋体を得る。袋体の開口部から芯材を入れた後、袋体の開口部から空気を吸引する。袋体の内部が減圧された状態で、残る一辺の外縁部を加熱する。これによって、芯材が外包材により封入された真空断熱材が得られる。
本開示の真空断熱材の製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、上述の外包材を形成可能な積層体で、四辺形に切断されたものを2枚準備する。それぞれの熱溶着可能なフィルムどうしを向き合わせて、2枚の積層体の三辺の外縁部を熱溶着させることによって、一辺が開口している袋体を得る。袋体の開口部から芯材を入れた後、袋体の開口部から空気を吸引する。袋体の内部が減圧された状態で、残る一辺の外縁部を加熱する。これによって、芯材が外包材により封入された真空断熱材が得られる。
5.用途
本開示の真空断熱材は、熱伝導率が低く、高温下においても断熱性および耐久性に優れるものである。従って、真空断熱材は、熱源を有し発熱する部位や、外部から加熱されることにより高温となる部位に用いることができる。
本開示の真空断熱材は、熱伝導率が低く、高温下においても断熱性および耐久性に優れるものである。従って、真空断熱材は、熱源を有し発熱する部位や、外部から加熱されることにより高温となる部位に用いることができる。
C.真空断熱材付き物品
次に、本開示の真空断熱材付き物品について説明する。
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、真空断熱材が、上述の真空断熱材であるものである。
次に、本開示の真空断熱材付き物品について説明する。
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、真空断熱材が、上述の真空断熱材であるものである。
熱絶縁領域は、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。
物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、等が挙げられる。
本開示における真空断熱材については、上述した「B.真空断熱材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本開示の真空断熱材付き物品の具体例として、本体又は内部に熱源部または被保温部を有する機器、および真空断熱材を備える真空断熱材付き機器が挙げられる。
ここで、「熱源部」とは、機器自体が駆動することにより、当該機器本体または機器内部において発熱する部位をいうものであり、例えば電源やモーター等をいう。また、「被保温部」とは、機器本体または内部に熱源部を有さないが、機器が外部の熱源から熱を受けて、高温になる部位をいうものである。
本開示によれば、真空断熱材が上述の真空断熱材であり、長期間断熱性能を維持することができるため、熱源部を有する機器においては、真空断熱材により熱源部からの熱を断熱し、機器全体の温度が高温となることを防止し、一方、被保温部を有する機器においては、真空断熱材により被保温部の温度状態を保つことができる。これにより、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有する機器とすることができる。
本開示における機器とは、本体又は本体の内部に熱源部または被保温部を有するものである。本開示における機器としては、例えば、自然冷媒ヒートポンプ給湯機、冷蔵庫、自動販売機、炊飯ジャー、ポット、電子レンジ、業務用オーブン、IHクッキングヒーター、OA機器等の電化機器、自動車、住宅壁、輸送用コンテナ等が挙げられる。中でも本開示においては、機器が、自然冷媒ヒートポンプ給湯機、業務用オーブン、電子レンジ、自動車に上述の本開示の真空断熱材を用いることが好ましい。
真空断熱材を機器に装着する態様としては、当該機器の熱源部または被保温部に直接真空断熱材を貼り付けてもよく、被保温部と熱源部または外部熱源との間に真空断熱材を挟みこむようにして装着してもよい。
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して、本開示をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
真空断熱材を形成した際に内側(芯材側)となる方から、第1フィルム/第2フィルム/第3フィルム/第4フィルムの構成を有する外包材を作製した。第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ15μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON15)を用いた。第2フィルムおよび第3フィルムとして、それぞれ、厚さ12μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに厚さ約40nmの蒸着されたアルミニウムのガスバリア層を有する、ガスバリアフィルム(VM−PET12)を用いた。第2フィルムおよび第3フィルムは、それぞれのガスバリア層が互いに向き合うように配置した。
真空断熱材を形成した際に内側(芯材側)となる方から、第1フィルム/第2フィルム/第3フィルム/第4フィルムの構成を有する外包材を作製した。第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ15μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON15)を用いた。第2フィルムおよび第3フィルムとして、それぞれ、厚さ12μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに厚さ約40nmの蒸着されたアルミニウムのガスバリア層を有する、ガスバリアフィルム(VM−PET12)を用いた。第2フィルムおよび第3フィルムは、それぞれのガスバリア層が互いに向き合うように配置した。
各フィルムは、厚さ約4μm(外包材における単位面積当たりの重量が3.5g/m2)の接着剤により接合した。接着剤は、ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:アドロック RU−77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:ロックボンドJ H−7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された熱硬化性組成物(A)を熱硬化して用いた。主剤、硬化剤、および溶剤は、使用前はそれぞれ別々に保管し、使用直前に混合した。
外包材の作製では、まず、保護フィルムに熱硬化性組成物(A)を塗布した後、乾燥して溶剤を蒸発させることによって、保護フィルムの一方の面に接着剤の層を形成した。次に、保護フィルムの接着剤の層とガスバリアフィルムとを両側から加圧することによって、保護フィルムとガスバリアフィルムとを接着剤により接合した。同様の手順で、ガスバリアフィルムに接着剤の層を形成した後にガスバリアフィルムと中間フィルムと接合し、また、中間フィルムに接着剤の層を形成した後に中間フィルムと熱溶着可能なフィルムを接合した。最後に、接着剤により接合された各フィルムの積層体を温度約40度に設定した部屋(湿度は無管理)で3日間のエージング処理をおこなうことによって、外包材を完成させた。
なお、いずれの実施例および比較例においても、熱溶着な可能なフィルムは最後に接合した。例えば、金属箔を有するガスバリアフィルムを用いた場合、上述のように、順次、真空断熱材で外側に位置するフィルムに接着剤の層を形成後、外側に位置するフィルムの接着剤の層と内側に位置するフィルムとを貼り合わせた。一方、ガスバリア層および樹脂基材を有するガスバリアフィルムを2枚以上用いた場合は、ガスバリアフィルムのガスバリア層どうしを接合した後、外側に位置するフィルム、内側に位置するフィルムの順番で接合した。
[実施例2]
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ25μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例2]
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ25μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例3]
第1フィルムとして、厚さ25μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
第1フィルムとして、厚さ25μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例4]
第1フィルムとして、厚さ35μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON35)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
第1フィルムとして、厚さ35μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON35)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例5]
第1フィルムとして、厚さ25μmの延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT25)を用い、第4フィルムとして、厚さ25μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
第1フィルムとして、厚さ25μmの延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT25)を用い、第4フィルムとして、厚さ25μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例6]
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ35μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON35)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ35μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON35)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例7]
第4フィルムとして、厚さ25μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON25)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして外包材を得た。
第4フィルムとして、厚さ25μmのニ軸延伸ナイロンフィルム(ON25)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして外包材を得た。
[実施例8]
第1フィルムとして、厚さ25μmの延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT25)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして外包材を得た。
第1フィルムとして、厚さ25μmの延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT25)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして外包材を得た。
[実施例9]
第1フィルムとして、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP30)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして外包材を得た。
第1フィルムとして、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP30)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして外包材を得た。
[実施例10]
第1フィルムとして、厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP50)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして外包材を得た。
第1フィルムとして、厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP50)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして外包材を得た。
[実施例11]
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP30)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP30)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例12]
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP50)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
第1フィルムおよび第4フィルムとして、それぞれ、厚さ50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP50)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[比較例1]
第4フィルムとして、厚さ50μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET50)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして外包材を得た。
第4フィルムとして、厚さ50μmのニ軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET50)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして外包材を得た。
実施例および比較例で得られた各外包材について、下記の測定をおこなった。
(1)外包材を構成する各フィルムの厚さおよび押込み弾性率の測定
実施例および比較例で得られた外包材について、厚さおよび押込み弾性率を上述の方法で測定した。結果を下記表1に示す。
実施例および比較例で得られた外包材について、厚さおよび押込み弾性率を上述の方法で測定した。結果を下記表1に示す。
(2)外包材の押込み弾性指数の差分の算出
表1に示された各フィルムの押込み弾性率および厚さをもとに、実施例および比較例で得られた各外包材について、各フィルムの押込み弾性指数を計算した。上述した全ての実施例および比較例においては、第2フィルムおよび第3フィルムのそれぞれのガスバリア層が、互いに向き合うように配置されており、これらのガスバリア層がそれぞれ第1ガスバリア層および第2ガスバリア層に該当する。そのため、各外包材について、第1フィルムの押込み弾性指数および第2フィルムの樹脂基材の押込み弾性指数の和と、第3フィルムの樹脂基材の押込み弾性指数および第4フィルムの押込み弾性指数の和との差分を算出した。押込み弾性指数の差分の算出結果を下記表2に示す。
表1に示された各フィルムの押込み弾性率および厚さをもとに、実施例および比較例で得られた各外包材について、各フィルムの押込み弾性指数を計算した。上述した全ての実施例および比較例においては、第2フィルムおよび第3フィルムのそれぞれのガスバリア層が、互いに向き合うように配置されており、これらのガスバリア層がそれぞれ第1ガスバリア層および第2ガスバリア層に該当する。そのため、各外包材について、第1フィルムの押込み弾性指数および第2フィルムの樹脂基材の押込み弾性指数の和と、第3フィルムの樹脂基材の押込み弾性指数および第4フィルムの押込み弾性指数の和との差分を算出した。押込み弾性指数の差分の算出結果を下記表2に示す。
(3)外包材の引張弾性率の測定
実施例および比較例で得られた各外包材について、引張弾性率を上述の方法で測定した。なお、引張弾性率は、上述の方法で測定し、面内平均値(外包材の面内方向の条件を概ね22.5度ずつ変えて採取した8つの条件の値の平均)を採用した。
実施例および比較例で得られた各外包材について、引張弾性率を上述の方法で測定した。なお、引張弾性率は、上述の方法で測定し、面内平均値(外包材の面内方向の条件を概ね22.5度ずつ変えて採取した8つの条件の値の平均)を採用した。
(4)外包材の屈曲試験後の酸素透過度の測定
実施例および比較例で得られた各外包材について、屈曲試験を上述の方法で行なった後、酸素透過度を上述の方法で測定した。測定結果を下記表2に示す。
[評価結果]
実施例および比較例で得られた各外包材について、屈曲試験を上述の方法で行なった後、酸素透過度を上述の方法で測定した。測定結果を下記表2に示す。
[評価結果]
表2より、外包材の押込み弾性指数の差分が50GPa・μm以下である実施例1〜実施例12では、屈曲試験後の酸素透過度が低く、ガスバリア性の耐久性が高かった。これに対して、外包材の押込み弾性指数の差分が50GPa・μmを超えている比較例1では、屈曲試験後の酸素透過度が高く、ガスバリア性の耐久性が低かった。そのため、外包材の押込み弾性指数の差分が50GPa・μm以下の外包材は、屈曲試験後の酸素透過度が低くなると考えられる。屈曲試験後の酸素透過度が低い外包材は、良好な断熱性能を維持できる真空断熱材が製造可能である。
さらに、表2より、外包材の引張弾性率が2.0GPa以上である実施例1〜10の方が、外包材の引張弾性率が2.0GPa未満である実施例11〜12よりも、屈曲試験後の酸素透過度が低く、ガスバリア性の耐久性が高かった。外包材の押込み弾性指数の差分が50GPa・μm以下でかつ外包材の引張弾性率が2.0GPa以上である外包材は、より良好な断熱性能を維持できる真空断熱材が製造可能である。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2 … 第1ガスバリアフィルム
3 … 第2ガスバリアフィルム
4 … 第1樹脂基材
5 … 第1ガスバリア層
6 … 第2樹脂基材
7 … 第2ガスバリア層
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 …真空断熱材
2 … 第1ガスバリアフィルム
3 … 第2ガスバリアフィルム
4 … 第1樹脂基材
5 … 第1ガスバリア層
6 … 第2樹脂基材
7 … 第2ガスバリア層
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 …真空断熱材
Claims (4)
- 熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを、この順で有する真空断熱材用外包材であって、
前記第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、
前記第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有し、
前記第1ガスバリアフィルムおよび前記第2ガスバリアフィルムは、前記第1ガスバリア層および前記第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、
前記真空断熱材用外包材を構成する各フィルムについて、前記各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、前記各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、前記第1ガスバリア層よりも前記第2ガスバリア層側に位置する前記各フィルムについての押込み弾性指数の和と、前記第2ガスバリア層よりも前記第1ガスバリア層側に位置する前記各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下である真空断熱材用外包材。 - 前記真空断熱材用外包材の引張弾性率が2.0GPa以上である請求項1に記載の真空断熱用外包材。
- 芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
前記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを、この順で有し、
前記第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、
前記第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有し、
前記第1ガスバリアフィルムおよび前記第2ガスバリアフィルムは、前記第1ガスバリア層および前記第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、
前記真空断熱材用外包材を構成する各フィルムについて、前記各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、前記各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、前記第1ガスバリア層よりも前記第2ガスバリア層側に位置する前記各フィルムについての押込み弾性指数の和と、前記第2ガスバリア層よりも前記第1ガスバリア層側に位置する前記各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下である真空断熱材。 - 熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有し、
前記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、第2ガスバリアフィルムとを、この順で有し、
前記第1ガスバリアフィルムは、第1樹脂基材と、第1ガスバリア層とを有し、
前記第2ガスバリアフィルムは、第2樹脂基材と、第2ガスバリア層とを有し、
前記第1ガスバリアフィルムおよび前記第2ガスバリアフィルムは、前記第1ガスバリア層および前記第2ガスバリア層が向き合うように配置されており、
前記真空断熱材用外包材を構成する各フィルムについて、前記各フィルムの押込み弾性率と厚さとの積を、前記各フィルムの押込み弾性指数とした場合に、前記第1ガスバリア層よりも前記第2ガスバリア層側に位置する前記各フィルムについての押込み弾性指数の和と、前記第2ガスバリア層よりも前記第1ガスバリア層側に位置する前記各フィルムについての押込み弾性指数の和との差が、50GPa・μm以下である真空断熱材付き物品。
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