JP2020008084A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents

真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 Download PDF

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Abstract

【課題】真空断熱材の断熱性能を向上させることが可能な真空断熱材用外包材およびそれを用いた真空断熱材ならびに真空断熱材付き物品の提供。【解決手段】熱溶着可能なフィルム1、および樹脂基材3および上記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜2a、2b、2cを有する2つ以上のガスバリア層、を有し、上記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して上記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材10であって、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、他のガスバリア層と比較して、高いガスバリア性を有する、真空断熱材用外包材。【選択図】図1

Description

本開示は、真空断熱材に用いられる外包材に関する。
近年、物品の省エネルギー化を目的として、真空断熱材が用いられている。真空断熱材は、外包材の袋体内に芯材が配置され、上記袋体内が大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されたものであり、内部の熱対流が抑制されるため、良好な断熱性能を発揮することができる。なお、真空断熱材に用いられる外包材のことを、真空断熱材用外包材、または単に外包材と称して説明する。
真空断熱材用外包材は、真空断熱材内部の真空状態を長期間保持するために、酸素や水蒸気等のガスの透過を抑制するためのガスバリア性、端部を接合して袋体とし、芯材を封入密閉するための熱溶着性等の物性が要求される。外包材は、これらの物性を満たすため、一般に、部材としてガスバリア層および熱溶着可能なフィルムを含む構成が採用されている(特許文献1〜4)。
ガスバリア層としては、数μm〜数10μmレベルの厚みを有する金属箔や、樹脂基材の片面に数nm〜数100nmレベルの厚みを有するガスバリア膜を有し、上記ガスバリア膜が無機物を含むものが用いられる。中でも、上記樹脂基材とガスバリア膜からなるガスバリア層は、薄厚でも高いガスバリア性能を発揮することが可能であり、また、金属箔よりもヒートブリッジが生じにくく、さらに金属箔よりも屈曲性が良好であるため真空断熱材を形成する際に屈曲等の外部応力を受けることに因る欠陥の発生、およびそれに伴うガスバリア性能の低下が生じにくいことから、真空断熱材用外包材のガスバリア層として採用が進められている。
特開2003−262296号公報 特開2013−103343号公報 特開2006−70923号公報 特開2014−62562号公報
上述したような樹脂基材とガスバリア膜とからなるガスバリア層を用いる場合、外包材としてのガスバリア性をより向上させるため、ガスバリア層を2層以上積層して用いる場合がある。このようなガスバリア層を2層以上積層して用いた場合に、外包材としてのガスバリア性は良好であるにもかかわらず、このような外包材を用いて形成した真空断熱材が、外包材の性能から期待される断熱性を発揮できない場合があり、特に上記2層のガスバリア層のガスバリア膜が接着剤を介して対向して配置された外包材を用いた場合にそのような問題が生じる場合があるといった課題を、本発明者等は見出した。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、樹脂基材と上記樹脂基材の主面に配置されたガスバリア膜で構成されるガスバリア層が2層以上配置された真空断熱材用外包材において、上記複数のガスバリア層の中の2層のガスバリア層が、ガスバリア膜が接着層を介して対向して配置されている構造を有する場合に、このような真空断熱材用外包材を用いた真空断熱材の断熱性能を向上させることが可能な真空断熱材用外包材、およびそれを用いた真空断熱材ならびに真空断熱材付き物品を提供することを主目的とする。
本開示は、熱溶着可能なフィルム、および樹脂基材および上記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層、を有し、上記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して上記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層と比較して、高いガスバリア性を有するものである、真空断熱材用外包材を提供する。
本開示は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、上記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して上記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、厚い膜厚を有するものである、真空断熱材用外包材を提供する。
本開示は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、上記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して上記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を有し、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜が、上記オーバーコート層を有さないものであり、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層の上記ガスバリア膜の膜厚が、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、同じもしくは厚い膜厚を有するものである、真空断熱材用外包材を提供する。
本開示は、熱溶着可能なフィルム、および樹脂基材および上記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層、を有し、上記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して上記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を有し、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜が、上記オーバーコート層を有さないものであり、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層の上記ガスバリア膜の膜厚が、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、20nm以下の範囲内で薄い膜厚を有するものである、真空断熱材用外包材を提供する。
本開示は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材を提供する。
本開示は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材付き物品を提供する。
本開示によれば、真空断熱材とした場合に、真空断熱材用外包材が本来有するガスバリア性から期待される断熱性を発現することが可能であり、高い断熱性を有する真空断熱材とすることができる真空断熱材用外包材、およびこれを用いた真空断熱材、および上記真空断熱材を備える物品を提供することができるという効果を奏する。
本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 本開示の真空断熱材の一例を示す概略斜視図および断面図である。
本開示は、真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を実施態様に含む。以下、本開示の実施態様を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
I.真空断熱材用外包材
以下、本開示の真空断熱材用外包材について、実施態様に分けて説明する。
A.第1実施態様
本実施態様の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、上記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して上記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層と比較して、高いガスバリア性を有するものである。
図1は、本実施態様の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図であり、熱溶着可能なフィルム1と、3つのガスバリア層2a、2b、および2cとを有する。ガスバリア層2a、2b、および2cはそれぞれ、樹脂基材3および樹脂基材3の一方の面側に配置されたガスバリア膜4を有する。ガスバリア層2aおよび2bは、それぞれのガスバリア膜4が接着層5を介して対向するように積層され、これら二つのガスバリア層2aおよび2bと、上記接着層5とで、ガスバリア層積層部6を構成する。図1の例では、上記ガスバリア層2bの熱溶着可能な層1とは反対側の主面に、ガスバリア膜4が上記ガスバリア層2b側となるように、ガスバリア層2cが配置されている。
そして、ガスバリア層積層部6を構成する2つのガスバリア層2aおよび2bのうち、熱溶着可能な層1側のガスバリア層2aは、他のガスバリア層であるガスバリア層2bと比較して、高いガスバリア性を有するものとなっている。
このような本実施態様の外包材は、真空断熱材とした場合に、真空断熱材用外包材が本来有するガスバリア性から期待される断熱性を発現することが可能であり、高い断熱性を有する真空断熱材とすることができるといった効果を奏するものである。この点について、以下に説明する。
通常、2層以上のガスバリア層を有する外包材の場合、熱溶着可能な層側の2つのガスバリア層は、それぞれのガスバリア膜が対向するように接着層を介して配置されることが多い。これは、一般に積層体の場合、上記積層体が折り曲げられた場合の歪は、積層体の厚み方向の中心部ほど小さくなることが知られている。このため、歪によるガスバリア性の低下が予想されるガスバリア膜をなるべく外包材の厚み方向の中心部に近いところに配置したいとの要望からである。
このような2つのガスバリア層のそれぞれのガスバリア膜が接着層を介して対向して配置されたガスバリア層積層部を有する外包材を用いて真空断熱材を形成したものであって、外包材としては高いガスバリア性を有し、これを用いて真空断熱材とした場合には、極めて良好な断熱性が予想される外包材であっても、実際に真空断熱材とした場合、使用するにしたがって劣化し、結果的に一定以上の断熱性を有することができないといった問題を生じる場合があった。
本発明者等は、この点について鋭意検討した結果、上記ガスバリア層積層部における上記接着層からの脱ガスが、時間と共に真空断熱材の芯材側に移行することにより、真空度が低下し、その結果、真空断熱材の耐熱性が低下しているとの推論に達した。
すなわち、上記ガスバリア層積層部における接着層においては、例えば接着層内の残留溶媒や、接着層内での反応により生じるガス等の脱ガスが生じることが知られている。上記ガスバリア層積層部における接着層は、いずれの主面側もガスバリア膜により覆われていることから、上記脱ガスが生じた場合、上記脱ガスの上記接着層内部での濃度が高くなることが予想される。このため、上記接着層内部の脱ガスが所定の濃度を超えた場合は、いずれかの主面側のガスバリア層を透過して外部に漏れ出てしまうと考えられる。この際、いずれの主面側に浸出するかは、上記ガスバリア層のガスの透過性によるものであり、例えば、熱溶着可能な層側のガスバリア層のガスバリア性が低く、こちら側にガスが透過しやすい状態であれば、上記脱ガスは上記熱溶着可能な層側のガスバリア層を透過し、熱溶着可能な層を経て芯材側に流入することになり、結果として真空断熱材の断熱性を低下させることになると考えられる。
また、真空断熱材は、芯材が配置された内部を真空として用いるものであることから、通常は外部側から内部側に大気圧が加わった状態で用いられる。このような状態であるので、上記ガスバリア層積層部における2つのガスバリア層のガスバリア性が同等であった場合であっても、上記大気圧の関係から、上記脱ガスは内部側、すなわち熱溶着可能な層側に浸出し、芯材側に流入することになり、この場合も結果として真空断熱材の断熱性を低下させることになると予想される。
一方、上記熱溶着可能な層側のガスバリア層のガスバリア性が高く、上記熱溶着可能な層側と反対側のガスバリア層のガスバリア性が低い場合は、上記接着層内部の上記脱ガスは、真空断熱材とした場合に上記熱溶着可能な層側と反対側、すなわち外気側に排出することが可能となり、真空断熱材とした場合の断熱性を低下させることがないと想定される。
以上の推論から、発明者等は、上記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層と比較して、高いガスバリア性を有するものとすることにより、上記課題を解決することができ、高いガスバリア性を有する外包材を用いて真空断熱材を形成した場合に、その外包材の性能に見合った高い断熱性を有する真空断熱材とすることができることを新たに見出した。そして、上記推論は、後述する実施例において、裏付けられるものである。
以下、本実施態様における外包材の特性および構成について、説明する。
a.特性
1.ガスバリア層積層部としての特性
本実施態様の外包材に含まれる上記ガスバリア層積層部において、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層(以下、内側ガスバリア層とする場合がある。)は、上記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層(以下、外側ガスバリア層とする場合がある。)と比較して、高いガスバリア性を有する。ここで、「高いガスバリア性を有する」とは、ガス遮断性が高いことを意味するものである。
本実施態様においては、上記特性を有することにより、上述したように、真空断熱材とした場合に、上記接着層内部からの脱ガスが外側ガスバリア層を透過して、外部に排出するものとなるので、真空断熱材の内部の真空度を低下させることがなく、良好な断熱性を有するものとすることができる。
本実施態様において、内側ガスバリア層が、外側ガスバリア層と比較して、高いガスバリア性を有するとは、上記ガスバリア層積層部を構成する二つのガスバリア層のそれぞれのガスバリア膜および樹脂基材の膜厚、層構成、および材料等を上記内側ガスバリア層と外側ガスバリア層とで変更することにより、内側ガスバリア層のガスバリア性を外側ガスバリア層のガスバリア性より高いガスバリア性を持たせることを含むものである。
具体的には、内側ガスバリア層のガスバリア膜を外側ガスバリア層のガスバリア膜より厚く形成する方法、内側ガスバリア層には、そのガスバリア膜の樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を設け、外側ガスバリア層には設けない方法、内側ガスバリア層のガスバリア膜の材料が、外側ガスバリア層のガスバリア膜の材料より、ガスバリア性に優れた材料を用いる方法等の方法を挙げることができる。
また、それぞれのガスバリア層の酸素透過度および水蒸気透過度のいずれかを測定し、その測定結果が内側ガスバリア層のガスバリア性を外側ガスバリア層のガスバリア性より高いガスバリア性を有する場合も含まれる。
この場合の測定方法としては、以下の方法を用いることができる。
(水蒸気透過度)
JIS K7129:2008(付属書B:赤外線センサ法、以下同様とする。)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。まず、所望のサイズに切り取ったガスバリア層の一方の面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、米国MOCON社製の「PERMATRAN」を用いることができる。
(酸素透過度)
酸素透過度は、それぞれJIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を用いて、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHに調整し測定することができる。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。測定は、所望のサイズに切り取ったガスバリア層の一方の面が酸素ガスに接するようにして上記装置内に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件に調整して行う。上記測定の際、上記装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージする。上記キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることができる。パージ後、上記装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に測定する。上記試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いる。
2.外包材としての特性
(1)透明性
本実施態様の外包材は、透明性を有するものであることが好ましい。
真空断熱材は、例えば、真空断熱材内部のインジケーターを確認する目的や、真空断熱材で断熱された容器の内部状態を確認する目的等により、透明性を有するものが求められる場合がある。このような透明性を有する真空断熱材においても、上記ガスバリア層積層部を有する外包材により形成されたものは、上述した通り、ガスバリア層積層部を構成する接着層の内部の脱ガス濃度が高まる場合があり、この脱ガスが気泡として存在してしまう場合がある。このように気泡が存在する場合は、透明性に悪影響を与え、上述した内部を確認する等の目的を達成できないことになる。
本実施態様の外包材においては、上述した通り、ガスバリア層積層部を構成する接着層内部の脱ガスを、外側ガスバリア層を透過して外部に逃がすことが可能であるので、このような気泡の発生を低下させることが可能となる。よって、本発明の作用効果をより有効に発揮する点で、本実施態様の外包材は、透明性を有するものであることが好ましい。
ここで、透明性を有するとは、上述したような目的が達成できる程度の透明度があれば特に限定されるものではないが、例えば、全光線透過率およびヘイズ値が以下に示す数値の範囲内であることが好ましい。
全光線透過率としては、70%以上であることが好ましく、中でも80%以上であることが好ましく、特に85%以上であることが好ましい。
また、ヘイズ値としては、15%以下であることが好ましく、中でも12%以下であることが好ましく、特に10%以下であることが好ましい。
ここで、全光線透過率は、JIS K7361−1:1997(付属書A:補償開口の採用による積分球の効率の向上、以下同様とする。)(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)に準拠して測定することができる。
また、ヘイズ値は、JIS K7136:2000(プラスチック−透明材料のヘーズの求め方)に準拠して測定することができる。
(2)外包材の電波透過性
本実施態様の外包材は、電波透過性を有するものであることが好ましい。
例えば、真空断熱材で断熱された容器内の状態を電波で外部に送信する機器が容器内に配置されている場合や、内部で携帯電話等を用いる必要のある住宅や自動車、船舶等が真空断熱材により断熱されている場合等において、このような真空断熱材を構成する外包材には、電波透過性が要求される。
上述したような電波透過性を有する外包材とするためには、上記外包材を構成するガスバリア層に含まれるガスバリア膜が、金属ではなく無機酸化物で形成されていることが必要となる。このような無機酸化物で形成されたガスバリア膜は、一般に金属で形成されたガスバリア膜よりガスバリア性が良好となる。このため、上述したようなガスバリア層積層部の接着層内の脱ガスによる問題が顕在化しやすい外包材となる。
このように、本実施態様においては、本実施態様の作用効果をより効果的に発揮できる点で電波透過性を有する外包材が好ましいといえる。
ここで、電波透過性を有するとは、真空断熱材で覆われた区画内の機器が、外部との電波による接触が可能な程度の電波透過性を有すれば特に限定されるものではないが、例えば、300MHz〜30GHzの範囲における電磁波シールド性が10dB以下であることが好ましい。電波透過性の測定方法としては、遠方界測定により測定することができる。具体的には、一方の電波暗室に送信アンテナ、他方の電波暗室に受信アンテナを配置し、これら二つを仕切る壁窓にシールド材を配置して評価することができる。
b.構成
本実施態様の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、上記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して上記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成するものである。
1.ガスバリア層積層部
本実施態様に用いられるガスバリア層積層部は、上述したように、内側ガスバリア層および外側ガスバリア層が、接着層を介してそれぞれのガスバリア膜が対向するように配置されて構成されるものである。
(1)内側ガスバリア層
内側ガスバリア層は、上記樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面側に配置されたガスバリア膜を有するものである。
(a)ガスバリア膜
ガスバリア膜は、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置される。詳しくは、上記ガスバリア膜は、樹脂基材の一方の面に形成され、ガスバリア層のガスバリア性能に主に寄与するものである。ガスバリア膜は、所望のガスバリア性能を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、金属または無機化合物を含む層が挙げられる。金属または無機化合物を含む層として、具体的には、金属薄膜、無機化合物膜が挙げられる。ガスバリア膜は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよいが、上述したように外包材として透明性が必要とされる場合は、透明性を有するものであることが好ましい。この場合、ガスバリア膜は無機化合物膜で形成されることが好ましい。
上記金属薄膜を形成する金属としては、所望のガスバリア性能を発揮できる金属であればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等が挙げられる。
一方、上記無機化合物膜を形成する無機化合物としては、所望のガスバリア性能を発揮できる材料であればよく、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物および酸化珪素亜鉛等から選ばれる1または2以上の無機化合物等が挙げられる。具体的には、珪素(シリカ)、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウ、ムセリウム、および亜鉛から選ばれる1種または2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができる。より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物、インジウム合金酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、チタン窒化物、酸化窒化珪素等を挙げることができる。上記無機化合物は、単独で用いてもよいし、上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
本実施態様においては、後述する外側ガスバリア層のガスバリア膜を構成する材料より、ガスバリア性が高い材料を用いることが好ましい。例えば、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜が、無機化合物膜で構成され、後述する外側ガスバリア層のガスバリア膜が、金属薄膜で構成されている等を挙げることができる。
上記ガスバリア膜として用いられる金属薄膜および無機化合物膜は、所望の厚みを有することが出来ればよく、例えば塗布(コーティング)膜であってもよく、蒸着膜であってもよい。中でも、本実施態様においては、上記ガスバリア膜が蒸着膜であることが好ましい。
ガスバリア膜の厚みは、所望のガスバリア性能を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、上述した通り、後述する外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚より厚く形成されていることが好ましい。
具体的には、ガスバリア膜の種類にもよるが、例えば、5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。ガスバリア膜の厚みが上記範囲に満たないと、製膜が不十分となり所望のガスバリア性能を示すことができない場合があり、上記範囲を超えると、クラックが発生しやすくなり可撓性が低下するおそれや、ガスバリア膜が金属薄膜である場合、本実施態様の外包材を用いて形成された真空断熱材において、ヒートブリッジが生じるおそれがあるからである。
上記ガスバリア膜の膜厚の測定方法としては、以下の方法を挙げることができる。
<膜厚測定方法>
対象とするガスバリアフィルムやそれらが積層された外包材の外周を硬化樹脂(丸本ストルアス製 冷間埋め込み樹脂エポフィックス)で固めたサンプルを作製し、固定した外包材をダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断し、断面を露出させる。次に、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク製 SU−8000)を用いて露出させた断面の倍率5万倍の画像を取得し、画像中で最外金属アルミニウム膜の5点の厚みを、少なくとも幅方向に200nm以上の間隔を置いて計測する。上記操作を5サンプルで行い、計25個の計測値の平均を、ガスバリア膜の厚みとする。ガスバリア膜の厚みが50nm以下の場合は、上記と同様にダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断したときに得られる切片を倍率10万倍で、ほかの条件は同様の方法で測定する。
ガスバリア膜は、単層であってもよく、合計の厚みが上記範囲内となるように2つ以上を積層してもよい。2つ以上のガスバリア膜を用いる場合は、同一組成のガスバリア膜を組み合わせてもよく、異なる組成のガスバリア膜を組み合わせてもよい。また、上記ガスバリア膜は、ガスバリア性能および他の層との密着性の向上を図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
樹脂基材上にガスバリア膜を形成する方法としては、ガスバリア膜の種類に応じて従来公知の方法を用いることができる。ガスバリア膜が金属薄膜であれば、例えば、物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法等の乾式製膜法を用いて樹脂基材上に製膜する方法、具体的には、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法等を用いることができる。また、既製の金属薄膜を用い、樹脂基材と予め加熱した金属薄膜とを熱圧着させる方法、樹脂基材または金属薄膜上に接着剤層を介して貼合する方法等が挙げられる。一方、ガスバリア膜が無機化合物膜であれば、例えば、PVD法やCVD法等の乾式製膜法を用いて、樹脂基材上に無機化合物膜を形成することができる。PVD法およびCVD法による具体的なガスバリア膜の製膜方法については、例えば、特開2011−5835号公報に開示される方法を用いることができる。
(b)樹脂基材
樹脂基材は、上記ガスバリア膜を支持可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、樹脂フィルムや樹脂シートが好適に用いられる。樹脂基材が樹脂フィルムである場合、上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。上記樹脂基材は透明性を有していてもよく有さなくてもよい。
樹脂基材に用いられる樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体およびそのケン化物、各種のナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アセタール樹脂、セルロース樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。本実施態様においては、上記の樹脂の中でもPET、PBT、ナイロン等がより好適に用いられる。
上記樹脂基材には、種々のプラスチック配合剤や添加剤等が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
上記樹脂基材は、表面処理が施されていてもよい。ガスバリア膜との密着性を向上させることができるからである。上記表面処理としては、例えば、特開2014−180837号公報に開示される酸化処理、凹凸化処理(粗面化処理)、易接着コート処理等を挙げることができる。
樹脂基材の厚みは、特に限定されないが、例えば6μm〜200μmの範囲内、より好ましくは9μm〜100μmである。また、樹脂基材は、単層であってもよく、複数の樹脂層が積層されて成る多層体であってもよい。上記多層体において各樹脂層は、異なる樹脂で構成されていてもよく、同一の樹脂で構成されていてもよい。
(c)オーバーコート層
上記内側ガスバリア層は、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材が形成された主面と反対側の主面にオーバーコート層が形成されていてもよい。上述した通り、内側ガスバリア層は、外側ガスバリア層よりガスバリア性が高いことが好ましことから、オーバーコート層を形成することにより、より良好なガスバリア性を付与することができるからである。
上記オーバーコート層の材料としては、特に限定されないが、例えば、M−O−P結合(ここで、Mは金属原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する金属酸化物リン酸、アクリル酸亜鉛、樹脂および無機層状化合物からなるガスバリア性樹脂組成物、一般式RnM(OR)m(ただし、式中、R、Rは、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと水溶性高分子とのゾルゲル重縮合物等が挙げられる。
(2)接着層
本実施態様における接着層は、上記内側ガスバリア層と上記外側ガスバリア層とを層間接着させるものであり、それぞれのガスバリア膜を接着させるものである。本実施態様においては、上述した通り、この接着層内部の脱ガスを外側ガスバリア層側に排出する点に特徴を有するものである。
上記接着層を構成する接着剤は、通常、主剤および硬化剤を含む2液硬化型の接着剤であるが、これに限定されない。例えば、主剤および主剤と混合しても反応しないように公知の方法でブロック化した潜在性硬化剤を混ぜ合せた1液硬化型接着剤や、硬化剤および混合しても反応しないように公知の方法でブロック化した潜在性主剤と硬化剤を混ぜ合わせた1液硬化型接着剤であってもよい。
上記接着層を構成する接着剤としては、内側ガスバリア層と外側ガスバリア層とを安定して接着することが可能な接着剤であればよく、適宜選択することができる。具体的には、エポキシ系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、無機ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を用いることができる。
本実施態様においては、上述した通り、接着層内部の脱ガス量の多いものが本実施態様の作用効果を効果的に発揮することができることから、接着剤としては、ポリアクリル酸エステル系接着剤、およびポリウレタン系接着剤等が好ましく、特に上記接着剤が官能基としてイソシアネート基を有する化合物であることが好ましく、具体的には、ポリウレタン系接着剤であることが好ましい。
上記接着層を構成する接着剤は、硬化促進剤、触媒、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の任意の材料を含有していてもよい。
接着層の接着力としては、内側ガスバリア層のガスバリア膜と外側ガスバリア層のガスバリア膜とを安定して接着することが可能な大きさであればよく、例えば、1N/15mm以上、中でも1.5N/15mm以上、特に2N/15mm以上であることが好ましい。接着層の接着力を上記範囲内とすることにより、低温環境下において長期間曝されることで接着層の接着力が低下する場合であっても、層間剥離の発生を抑制することができるからである。なお、上記接着力はJIS Z1707に準拠して測定された値である。
接着層の厚さとしては、所望の接着力を示すことが可能な厚さであればよく、接着層の組成等に応じて適宜設定することができる。通常、乾燥状態で0.1g/m〜10g/m程度となる厚さであることが好ましい。
接着層は、透明性を有していてもよく有さなくてもよいが、上述したように外包材として透明性が必要とされる場合は、透明性を有するものであることが好ましい。
接着層は、上述した接着剤により形成されたシートやフィルムを用いてもよく、上述した接着剤を所望の溶媒に混ぜた塗布液を準備し、熱溶着層またはガスバリア層の一方の面に直接塗布し、乾燥および硬化させて形成してもよい。
(3)外側ガスバリア層
本実施態様に用いられる外側ガスバリア層は、上記「(1)内側ガスバリア層」で説明したものと同様であるが、上述した通り、上記内側ガスバリア層より、低いガスバリア性を有するもの、すなわちガス遮断性が内側ガスバリア層より低い層である必要がある。
したがって、例えば上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚を、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚より薄く形成されたもの、ガスバリア膜を構成する材料が、内側ガスバリア層よりガスバリア性の低い材料で形成されたもの、オーバーコート層が形成されていないもの等が好ましい態様として挙げることができる。
2.熱溶着可能な層
本実施態様の外包材は、上記ガスバリア層積層部の一方の主面側に熱溶着可能な層が配置されている。通常は、上記ガスバリア層積層部と熱溶着可能な層の間には、他のガスバリア層や保護フィルムは配置されていないことが好ましい。
このような熱溶着可能なフィルムは、加熱により溶着可能なフィルムである。上記熱溶着可能なフィルムは、外包材の厚み方向の一方の表面を担う部材であり、本実施態様の外包材を用いて真空断熱材を作製する際に芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する外包材同士の端部を接合する部材である。
上記熱溶着可能なフィルムとしては、加熱によって溶融し、融着することが可能な樹脂フィルムを用いることができ、例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリ酢酸ビニル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が挙げられる。
上記熱溶着可能なフィルムには、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料が含まれていてもよい。
上記熱溶着可能なフィルムの厚みは、外包材同士を接合したときに所望の接着力を得ることが出来る厚みであればよく、例えば15μm以上100μm以下の範囲内、好ましくは、25μm以上90μm以下の範囲内、より好ましくは30μm以上80μm以下の範囲内とすることが出来る。
3.その他
本実施態様の外包材は、上記ガスバリア層積層部、および上記熱溶着可能なフィルム以外に、保護フィルム、ガスバリア層積層部以外のガスバリア層、上記ガスバリア層積層部以外の接着層等を有していてもよい。
(1)保護フィルム
本実施態様の外包材は、保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムは、そのいずれの面にもガスバリア膜またはオーバーコート層が配置されていない点で、上述したガスバリア層と区別することができる。
保護フィルムは、本実施態様の外包材の厚み方向(積層方向)において、熱溶着可能なフィルムとは反対側の最表面を担う層とすることができ、保護フィルム以外の外包材の構成部材を損傷や劣化から保護することができる。
上記保護フィルムとしては、樹脂フィルムを用いることができ、中でも、熱溶着可能なフィルムよりも高融点の樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)等の熱硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロースナノファイバー(CNF)等の樹脂フィルムが挙げられる。上記保護フィルムは延伸されていてもよく、無延伸であってもよい。
上記保護フィルムは、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上80μm以下の範囲内とすることができる。
(2)ガスバリア層積層部以外のガスバリア層
本実施態様の外包材は、上記ガスバリア層積層部で説明した上記内側ガスバリア層および上記外側ガスバリア層以外にもガスバリア層を有していてもよい。このようなガスバリア層の数は特に限定されず、ガスバリア層の仕様等に応じて適宜設定することができ、通常1つであるが、1つ以上であってもよい。
また、配置位置としては、特に限定されないが、通常、上記ガスバリア層積層部の熱溶着可能なフィルムとは反対側の主面側に配置される。
このようなガスバリア層の詳細は、上記「1.ガスバリア層積層部」「(1)内側ガスバリア層」の記載と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)ガスバリア層積層部以外の接着層
本実施態様の外包材は、上記ガスバリア層積層部内の接着層以外にも接着層を有していてもよく、例えば、熱溶着可能なフィルムとガスバリア層積層部との間、ガスバリア層積層部とガスバリア層積層部を構成するものではないガスバリア層との間、ガスバリア層積層部と保護フィルムとの間等が挙げられる。
上記接着層は、上述した「1.ガスバリア層積層部」「(2)接着層」の記載と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(4)その他
本実施態様の外包材の厚みは、上述した特性を有することが可能であれば特に限定されず、例えば30μm以上200μm以下の範囲内、好ましくは50μm以上150μm以下の範囲内とすることができる。
本実施態様の外包材の製造方法としては、例えば、予め製造した各フィルムを上述した接着層を介して貼り合せる方法が挙げられる。また、熱溶融させた各フィルムの原材料をTダイ等で順次押出しして積層することで、本実施態様の外包材を製造してもよい。
本実施態様の外包材は、真空断熱材に用いることができる。真空断熱材において、本実施態様の外包材は、熱溶着可能なフィルムが芯材側となるようにして、芯材を介して対向して配置して用いることができる。
B.第2実施態様
本実施態様の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および前記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、前記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して前記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、厚い膜厚を有するものである。
本実施態様においては、上記ガスバリア層積層部における上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚より厚い膜厚であるので、内側ガスバリア層のガスバリア性は、外側ガスバリア層のガスバリア性より、高いガスバリア性を有するものである。
したがって、上述した第1実施態様で説明した推論より、本実施態様の外包材は、真空断熱材とした場合に、真空断熱材用外包材が本来有するガスバリア性から期待される断熱性を発現することが可能であり、高い断熱性を有する真空断熱材とすることができるといった作用効果を奏するものである。
1.ガスバリア層積層部
本実施実施態様に用いられるガスバリア層積層部は、上述したように、前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、厚い膜厚を有するものである。
(1)内側ガスバリア層および外側ガスバリア層
本態様においては、上述した通り、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、厚い膜厚を有するものであれば、その膜厚差は特に限定されるものではない。具体的な内側ガスバリア層のガスバリア膜と、外側ガスバリア層のガスバリア膜との膜厚差としては、20nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、特に30nm以上であることが特に好ましい。なお、上限は通常150nm以下である。
上記範囲内であれば、上記内側ガスバリア層のガスバリア性が上記外側ガスバリア層のガスバリア性よりも、確実に高いガスバリア性を有することとなるからである。
上記内側ガスバリア層のガスバリア膜、および外側ガスバリア層のガスバリア膜を構成する材料としては、金属または無機化合物を含む層が挙げられる。金属または無機化合物を含む層として、具体的には、金属薄膜、無機化合物膜が挙げられ、これらは、上記第1実施態様において記載したものと同様である。本実施態様においては、中でも、高いガスバリア性を有することから、アルミニウム金属膜、アルミニウム酸化物膜、および珪素酸化物膜が好ましい。
本実施態様においては、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜、および上記外側ガスバリア層のガスバリア膜を構成する材料が、それぞれ異なっていてもよく、同一であってもよいが、同一であることが好ましい。
上記内側ガスバリア層のガスバリア膜、および外側ガスバリア層のガスバリア膜のそれぞれの膜厚は、両者に膜厚差があることが必須である点を除いて、上記第1実施態様の記載と同様である。
また、本実施態様において、上記内側ガスバリア層の樹脂基材、および上記外側ガスバリア層の樹脂基材は、上記第1実施態様に記載したものと同様であるが、中でも好ましいものとしては、延伸ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、各種のナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂を用いた樹脂基材を挙げることができる。本実施態様においては、上記内側ガスバリア層に用いられる樹脂基材、および上記外側ガスバリア層に用いられる樹脂基材は、同一の樹脂で形成されたものであってもよく、また異なる樹脂で形成されたものであってもよい。本実施態様においては、同一の樹脂で形成されたものが好ましい。また、それぞれの樹脂基材の膜厚も、同一の膜厚であってもよく、異なる膜厚であってもよい。
(2)オーバーコート層
本実施態様においては、上記内側ガスバリア層および外側ガスバリア層の両方にオーバーコート層が形成されていてもよい。上記オーバーコート層の形成位置、および材料については、上記第1実施態様で説明したものと同様である。また、本実施態様においては、上記内側ガスバリア層のみにオーバーコート層が形成されたものであってもよい。いずれにおいても、内側ガスバリア層のガスバリア性が、外側ガスバリア層のガスバリア性より高いバリア性を維持しつつ、全体のガスバリア性が向上するからである。なお、上記オーバーコート層の形成位置、および材料については、上記第1実施態様で説明したものと同様である。
(3)その他
ガスバリア層積層部における他の点については、上記第1実施態様で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.その他
上記第1実施態様の「a.特性」「2.外包材としての特性」については、本実施態様においても同様である。また、上記第1実施態様の「「b.構成」における「1.ガスバリア層積層部」以外の点についても、本実施態様においても同様である。
C.第3実施態様
本開示の第3実施態様の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および前記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、前記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して前記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、前記ガスバリア膜の前記樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を有し、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜が、上記オーバーコート層を有さないものであり、前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層の前記ガスバリア膜の膜厚が、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、同じもしくは厚い膜厚を有するものである。
本実施態様においては、上記ガスバリア層積層部における上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して同等、もしくは厚い膜厚を有し、かつ内側ガスバリア層のみにオーバーコート層が形成されている態様であるので、内側ガスバリア層のガスバリア性は、外側ガスバリア層のガスバリア性より、高いガスバリア性を有するものである。
したがって、上述した第1実施態様で説明した推論より、本実施態様の外包材は、真空断熱材とした場合に、真空断熱材用外包材が本来有するガスバリア性から期待される断熱性を発現することが可能であり、高い断熱性を有する真空断熱材とすることができるといった作用効果を奏するものである。
1.ガスバリア層積層部
本実施態様に用いられるガスバリア層積層部は、上述したように、前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して同等もしくは厚い膜厚を有するものであり、かつ内側ガスバリア層にのみ、オーバーコート層が形成されている。
(1)内側ガスバリア層および外側ガスバリア層
本態様において、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と同じ場合とは、ガスバリア性に大きな影響を与えない程度の誤差を含むものである。具体的には、両者の厚み差が、±9nm以下であり、好ましくは±5nm以下の範囲内である。
また、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が厚い膜厚を有する場合とは、ガスバリア性に影響を与えるであろう程度の膜厚差を有するものであれば特に限定されるものではない。具体的な内側ガスバリア層のガスバリア膜と、外側ガスバリア層のガスバリア膜との膜厚差としては、20nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましく、特に30nm以上であることが特に好ましい。なお、上限は通常150nm以下である。
上記範囲内であれば、上記内側ガスバリア層のガスバリア性が上記外側ガスバリア層のガスバリア性よりも、確実に高いガスバリア性を有することとなるからである。
上記内側ガスバリア層のガスバリア膜、および外側ガスバリア層のガスバリア膜を構成する材料、両者の樹脂基材に関しては、上記第2実施態様での説明と同様である。
(2)オーバーコート層
本実施態様においては、上記内側ガスバリア層にのみオーバーコート層が形成されている。
上記オーバーコート層の形成位置、および材料については、上記第1実施態様で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)その他
ガスバリア層積層部における他の点については、上記第1実施態様で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.その他
上記第1実施態様の「a.特性」「2.外包材としての特性」については、本実施態様においても同様であるのでここでの説明は省略する。また、上記第1実施態様の「b.構成」における「1.ガスバリア層積層部」以外の点についても、本実施態様においても同様であるので、ここでの説明は省略する。
D.第4実施態様
本開示の第4実施態様の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、および樹脂基材および前記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、前記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して前記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、前記ガスバリア膜の前記樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を有し、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜が、上記オーバーコート層を有さないものであり、前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、上記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層の前記ガスバリア膜の膜厚が、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、20nm以下の範囲内で薄い膜厚を有するものである。
本実施態様においては、上記ガスバリア層積層部における上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、20nm以下の範囲内で薄い膜厚を有するものであるが、内側ガスバリア層のみにオーバーコート層が形成されている態様であるので、内側ガスバリア層のガスバリア性は、外側ガスバリア層のガスバリア性より、高いガスバリア性を有するものである。
したがって、上述した第1実施態様で説明した推論より、本実施態様の外包材は、真空断熱材とした場合に、真空断熱材用外包材が本来有するガスバリア性から期待される断熱性を発現することが可能であり、高い断熱性を有する真空断熱材とすることができるといった作用効果を奏するものである。
1.ガスバリア層積層部
本実施態様に用いられるガスバリア層積層部は、上述したように、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、20nm以下の範囲内で薄い膜厚を有するものであり、かつ内側ガスバリア層のみにオーバーコート層が形成されているものである。
(1)内側ガスバリア層および外側ガスバリア層
本実施態様においては、上記内側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、上記外側ガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、20nm以下の範囲内で薄い膜厚を有するものであるが、好ましくは15nm以下の範囲内であり、特に10nmの範囲内で薄い膜厚を有することが好ましい。
上記内側ガスバリア層にのみオーバーコート層を形成することにより、より確実に内側ガスバリア層のガスバリア性を外側ガスバリア層のガスバリア性より高いものとすることができるからである。
上記内側ガスバリア層のガスバリア膜、および外側ガスバリア層のガスバリア膜を構成する材料、および両者の樹脂基材に関しては、上記第2実施態様での説明と同様である。
(2)オーバーコート層
本実施態様においては、上記内側ガスバリア層にのみオーバーコート層が形成されている。
上記オーバーコート層の形成位置、および材料については、上記第1実施態様で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)その他
ガスバリア層積層部における他の点については、上記第1実施態様で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.その他
上記第1実施態様の「a.特性」「2.外包材としての特性」については、本実施態様においても同様であるのでここでの説明は省略する。また、上記第1実施態様の「「b.構成」における「1.ガスバリア層積層部」以外の点についても、本実施態様においても同様であるので、ここでの説明は省略する。
II.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものであることを特徴とするものである。
図2は、本開示の真空断熱材の一例を示す概略断面図である。図2に例示する真空断熱材20は、芯材11と、芯材11を封入する外包材10とを有し、外包材10が、図1で説明した真空断熱材用外包材である。真空断熱材20は、2枚の外包材10が、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うように対向し、端部12が熱溶着により接合された袋体となっており、袋体の中に芯材11が封入され、袋体内部が減圧されている。
本開示によれば、芯材を封入する外包材が、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材であることで、真空断熱材用外包材が本来有するガスバリア性から期待される断熱性を発現することが可能であり、高い断熱性を有することができる。
以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.外包材
本開示における外包材は、芯材を封入する部材であり、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材と同じであるため、ここでの説明は省略する。
2.芯材
本開示における芯材は、外包材により封入される部材である。なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
芯材は、熱伝導率が低いことが好ましい。また、芯材は、空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材とすることができる。
芯材を構成する材料としては、粉体、発泡体、繊維体、およびエアロゲル等を用いることができる。上記粉体は、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の低下が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
上記発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等を用いることができる。中でも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
上記繊維体は、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。また、上記エアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル等を用いることができる。これらのエアロゲルは軽量であり、透明性を有する点で好ましい。
芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
また、上述した理由から、真空断熱材全体が透明性を有するものであることが好ましい用途がある。この場合に用いられる芯材としては、上記エアロゲルを挙げることができる。
3.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、外包材の内部に芯材が封入され、上記内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
真空断熱材の熱伝導率は低い程好ましく、例えば熱伝導率(初期熱伝導率)が5mW/(mK)以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなり、高い断熱効果を奏することができるからである。中でも上記初期熱伝導率は、4mW/(mK)以下であることがより好ましく、3mW/(mK)以下であることがさらに好ましい。
熱伝導率は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠し、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とすることができる。上記熱伝導率測定装置は、例えば、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名:HC−074、英弘精機製)を用いることができる。測定は、以下の条件で、測定試料(真空断熱材)の両方の主面が上下方向を向くように配置して行う。熱伝導率測定前に、測定試料の温度が測定環境温度と等しくなっているかを、熱流計などを使用して予め測定しておくことが好ましい。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
4.その他
本開示の真空断熱材の製造方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を封止することで、真空断熱材を得ることができる。
本開示の真空断熱材は、例えば、熱絶縁を要する物品に用いることができる。上記物品については後述する。
III.真空断熱材付き物品
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、芯材と、芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。
本開示によれば、物品に用いられる真空断熱材が「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した外包材により構成されており、上記真空断熱材が高温高湿環境下で長期間、良好な断熱性能を発揮可能であるため、高温高湿環境となる物品や上記物品が用いられる対象物の省エネルギー化を達成することができる。
本開示における真空断熱材、およびそれに用いられる外包材については、上述した「II.真空断熱材」および「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示における物品は、熱絶縁領域を有する。ここで上記熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに具体的に説明する。
実施例、比較例、および参考例に用いられる真空断熱材用外包材を構成する部材を、以下に示す。また、実施例および比較例で用いた接着剤を下記に示す。
(部材:ガスバリア層)
・ガスバリアフィルムA:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に金属アルミニウム膜(膜厚:35nm)を蒸着したフィルム(東レフィルム加工社製(商品名:1510))
・ガスバリアフィルムB:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に金属アルミニウム膜(膜厚:70nm)を蒸着したフィルム(東レフィルム加工社製(商品名:1519))
・ガスバリアフィルムC:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に酸化珪素膜(膜厚:15nm)を蒸着したフィルム(大日本印刷社製(商品名:IB−PET−UB))
・ガスバリアフィルムD:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に酸化珪素膜(膜厚:30nm)を蒸着したフィルム(三菱樹脂社製(商品名:テックバリアLX)に下記方法によりオーバーコート層A(膜厚:200nm)を設けたフィルム
・ガスバリアフィルムE:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に金属アルミニウム膜(膜厚:55nm)を蒸着したフィルム(東レフィルム加工社製(商品名:1517))
・ガスバリアフィルムF:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に金属アルミニウム膜(膜厚:55nm)を蒸着したフィルム(東レフィルム加工社製(商品名:1517))に下記方法によりオーバーコート層A(膜厚:200nm)を設けたフィルム
・ガスバリアフィルムG:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に酸化珪素膜(膜厚:30nm)を蒸着したフィルム(三菱樹脂社製(商品名:テックバリアLX)
・ガスバリアフィルムH:PETフィルム(膜厚:12μm)の片面に金属アルミニウム膜(膜厚:55nm)を蒸着したフィルム(東レフィルム加工社製(商品名:1517))に下記方法によりオーバーコート層A(膜厚:300nm)を設けたフィルム
・ガスバリアフィルムI:ナイロンフィルム(膜厚:15μm)の片面に酸化珪素膜(膜厚:15nm)を蒸着したフィルムにオーバーコート層A(膜厚:200nm)を設けたフィルム(大日本印刷社製(商品名:IB−ON−UB))
(部材:オーバーコート層)
・オーバーコート層A
下記に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールおよび水からなる混合液)に、下記に示す組成に従い予め調製したB液(テトラエトキシシラン(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のオーバーコート層用組成物を得た。
被塗布対象であるガスバリア膜上に、上記オーバーコート層用組成物をグラビアコート法によりコーティングし、次いで、120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理して、必要とされる厚みのオーバーコート層を形成し、55℃で1週間エージングして、珪素元素と酸素元素とポリビニルアルコール樹脂とを含有する混合化合物層であるオーバーコート層Aを得た。
<オーバーコート層用組成物の組成>
(A液)
・ポリビニルアルコール: 1.81質量%
・イソプロピルアルコール: 39.80質量%
・水: 2.09質量%
(B液)
・テトラエトキシシラン: 21.49質量%
・イソプロピルアルコール: 5.03質量%
・0.5N塩酸水溶液: 0.69質量%
・イオン交換水: 29.10質量%
(*A液とB液とを合わせて100質量%とした)
(部材:保護フィルム)
・保護フィルムA:ナイロンフィルム(ユニチカ社製(商品名:ONBC) 膜厚:25μm)
・保護フィルムB:PETフィルム(ユニチカ社製(商品名:PTMB) 膜厚:12μm)
(部材:熱溶着可能なフィルム)
・熱溶着可能なフィルムA:未延伸直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(三井化学東セロ社製(商品名:TUX−HCE) 膜厚:50μm)
・熱溶着可能なフィルムB:未延伸直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(東洋紡社製(商品名:L3105) 膜厚:40μm)
(接着剤)
・接着剤A:ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU−77T)、脂肪族系イソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H−7)、および酢酸エチルの溶剤を、重量配合比で主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合した2液硬化型接着剤
1.第2実施態様に対応する例
[実施例1−1]
(真空断熱材用外包材の作製)
1層目としてガスバリアフィルムA、2層目としてガスバリアフィルムA、3層目としてガスバリアフィルムB、4層目としてとして熱溶着可能なフィルムAをこの順に有する外包材を得た。2層目のガスバリアフィルムAと3層目のガスバリアフィルムBとは、それぞれの蒸着膜(ガスバリア膜)が対向するように配置され、1層目は蒸着膜が熱溶着可能なフィルムA側となるように配置した。各層間は、接着剤Aを一方の部材の被着面に塗布量3.5g/mとなるように塗布して接着層を形成し、接着層上に他方の部材を配置して加圧して接着した。
(真空断熱材の作製)
得られた外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作成した。芯材として290mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封して真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
[比較例1−1]
2層目をガスバリアフィルムA、3層目をガスバリアフィルムBとした以外は、実施例1−1と同様にして真空断熱材用外包材を調製し、実施例1−1と同様にして真空断熱材を調製した。
[評価]
表1に、それぞれの真空断熱材の熱伝導率、および真空断熱材用外包材としてのガスバリア性を示す。
なお、評価方法は以下の通りである。
(真空断熱材の熱伝道率)
真空断熱材の熱伝導率は、上記「II.真空断熱材」の項で説明した方法および条件に従い測定した。測定は、初期のものと、70℃90%RHの状態で1週間の劣化試験後のものとを測定した。
(真空断熱材用外包材の水蒸気透過度)
真空断熱材用外包材の水蒸気透過度は、JIS K7129:2008(付属書B:赤外線センサ法、以下同様とする。)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。初期水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、所望のサイズに切り取った真空断熱材用外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対向する最表面のうち、熱溶着可能なフィルムとは反対側の最表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、米国MOCON社製の「PERMATRAN」を用いることができる。
(真空断熱材用外包材の酸素透過度)
真空断熱材用外包材の酸素透過度は、JIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を用いて、温度23℃、湿度60%RHの条件で測定することができる。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。酸素透過度の測定は、1つの真空断熱材用外包材につき、少なくとも3つのサンプルに対して行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とする。
Figure 2020008084
[考察]
真空断熱材用外包材のガスバリア性(水蒸気透過度(WVTR)および酸素透過度(OTR))は、実施例1−1および比較例1−1では、ほぼ同じであったのに、真空断熱材の熱伝導率では、1週間後の真空断熱材は実施例1−1の方の値が低かった。これは、2層目(外側ガスバリア層)および3層目(内側ガスバリア層)から構成されるガスバリア層積層部の熱溶着可能な層側、すなわち3層目側のガスバリア膜を厚くすることにより、劣化後の真空断熱材の熱伝導率を良好なものとすることができることを示すものである。
[実施例1−2]
1層目として保護フィルムA、2層目としてガスバリアフィルムC、3層目としてガスバリアフィルムD、4層目としてとして熱溶着可能なフィルムAとした以外は、実施例1−1と同様にして外包材を得た。
得られた外包材を用い、実施例1−1と同様にして真空断熱材を調製した。
[参考例]
2層目としてバリアフィルムCの代わりに保護フィルムBを用いた以外は、実施例1−2と同様にして、外包材および真空断熱材を調製した。
[比較例1−2]
2層目としてバリアフィルムCの代わりにバリアフィルムDを用いた以外は、実施例1−2と同様にして、外包材および真空断熱材を調製した。
[評価]
表2に、それぞれの真空断熱材の熱伝導率、真空断熱材の透明性、および真空断熱材用外包材としてのガスバリア性を示す。
真空断熱材の熱伝道率、真空断熱材用外包材の水蒸気透過度、および真空断熱材用外包材の酸素透過度については、上記実施例1−1で用いたものと同様の方法で評価した。なお、真空断熱材の熱伝導率についての劣化試験は、90℃の環境下で行った(湿度調整無し)。
真空断熱材の透明性の評価としては、全光線透過率、およびヘイズを測定した。測定方法は以下の通りである。
(全光線透過率)
JIS K 7361−1:1997に準拠して、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製 HM−150)を用いて測定した。全光線透過率の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、所望のサイズに切り取った真空断熱材用外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対抗する最表面のうち、熱溶着可能なフィルムとは反対側の最表面が光源側となるように装着し測定を行った。
(ヘイズ値)
JIS K 7136:2000に準拠して、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製 HM−150)を用いて測定した。ヘイズの測定は、以下の手順で行うことができる。まず、所望のサイズに切り取った真空断熱材用外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対抗する最表面のうち、熱溶着可能なフィルムとは反対側の最表面が光源側となるように装着し測定をおこなった。
Figure 2020008084
[考察]
実施例1−2および比較例1−2から、3層目(内側ガスバリア層)および2層目(外側ガスバリア層)のいずれにもオーバーコート層を形成した場合でも、3層目に対して2層目のガスバリア膜の膜厚を薄くした実施例1−2は、両者の膜厚が同等である比較例1−2よりも、1週間劣化後の熱伝導率が良好であることが示された。また、視認性においても、実施例1−2の方が良好であることが示された。これは、比較例1−2の真空断熱材においては、2層目と3層目のガスバリア性が同等のため、接着層からの脱ガスが抜けにくく、接着層内で気泡化したものと考えられる。
なお、参考例に示される通り、2層目にガスバリア層を配置しない場合、外包材自体のガスバリア性は劣るが、真空断熱材とした場合の熱伝導性は比較例1−2より低いものとなる。これは、上述した通り、芯材とは反対側に接着層の脱ガスを逃すことが重要である点を立証するものであると考える。
2.第3実施態様に対応する例
[実施例2−1]
1層目としてガスバリアフィルムI、2層目としてガスバリアフィルムE、3層目としてガスバリアフィルムF、4層目としてとして熱溶着可能なフィルムBとした以外は、実施例1−1と同様にして外包材を得た。
得られた外包材を用い、実施例1−1と同様にして真空断熱材を調製した。
[比較例2−1]
2層目としてガスバリアフィルムFを用いた以外は、実施例2−1と同様にして、外包材および真空断熱材を得た。
[実施例2−2]
1層目として保護フィルムA、2層目としてガスバリアフィルムG、3層目としてガスバリアフィルムD、4層目として熱溶着可能な層Aとした以外は、実施例1−1と同様にして外包材を得た。
得られた外包材を用い、実施例1−1と同様にして真空断熱材を調製した。
[比較例2−2]
2層目として、ガスバリアフィルムDを用いた以外は、実施例2−2と同様にして、外包材および真空断熱材を得た。
[評価]
表3に、それぞれの真空断熱材の熱伝導率、真空断熱材の透明性、および真空断熱材用外包材としてのガスバリア性を示す。
真空断熱材の熱伝道率、真空断熱材用外包材の水蒸気透過度、真空断熱材用外包材の酸素透過度、全光線透過度、およびヘイズ値については、上記実施例1−2で用いたものと同様の方法で評価した。
Figure 2020008084
[考察]
実施例2−1と比較例2−1との対比、および実施例2−2と比較例2−2との対比から明らかなように、2層目と3層目とのガスバリア膜の膜厚が同等であり、3層目のみにオーバーコート層が形成されている実施例に示す真空断熱材は、同様にガスバリア膜の膜厚が同等であり、2層目および3層目にオーバーコート層が形成されている比較例に示す真空断熱材より、1週間劣化後の熱伝導率が良好であることが示されている。また、実施例2−2および比較例2−2の対比から、透明な真空断熱材の視認性も、実施例2−2の方が良好である点が示されている。
このように、2層目(外側ガスバリア層)のガスバリア性を3層目(内側ガスバリア層)のガスバリア性より低下させることにより、劣化後の真空断熱材の熱導電性が優れるものとなることが示唆されている。
3.第4実施態様に対応する例
[実施例3−1]
1層目としてガスバリアフィルムI、2層目としてガスバリアフィルムB、3層目としてガスバリアフィルムH、4層目としてとして熱溶着可能なフィルムAとした以外は、実施例1−1と同様にして外包材を得た。
得られた外包材と、下記のアルミ箔をガスバリア層とした外包材とを用い、実施例1−1と同様にして真空断熱材を調製した。
・アルミ箔をガスバリア層とした外包材
1層目として膜厚25μmのナイロンフィルム(ユニチカ社製(商品名:エンブレムONBC))、2層目として膜厚12μmのPET(ユニチカ社製(商品名:エンブレットPTMB))、3層目として膜厚6μmのアルミ箔(UACJ社製(商品名:BESPA8021))、4層目として膜厚50μmのLLDPE(三井化学東セロ社製(商品名:T.U.X HC−E))を用い、実施例1−1と同様にして外包材を調製した。
[比較例3−1]
2層目としてガスバリアフィルムHを用いた以外は、実施例3−1と同様にして、外包材および真空断熱材を得た。
[評価]
表4に、それぞれの真空断熱材の熱伝導率、および真空断熱材用外包材としてのガスバリア性を示す。
真空断熱材の熱伝道率、真空断熱材用外包材の水蒸気透過度、および真空断熱材用外包材の酸素透過度については、上記実施例1−2で用いたものと同様の方法で評価した。
Figure 2020008084
[考察]
実施例3−1の一方の外包材の2層目(外側ガスバリア層)のガスバリア膜の膜厚は、3層目のものより厚く、比較例3−1の一方の外包材の2層目および3層目のガスバリア膜の膜厚は同じである。一方、実施例3−1は3層目のみにオーバーコート層が形成されており、比較例3−1は、2層目および3層目にオーバーコート層が形成されている。この場合、実施例3−1の真空断熱材の劣化後の熱伝導性は、比較例3−1のものよりよい。
これは、3層目のみにオーバーコート層を形成した場合には、3層目のガスバリア膜の膜厚が所定の範囲であれば2層目のガスバリア膜の膜厚より薄い場合でも、作用効果を奏することを示すものである。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2a、2b、2c … ガスバリア層
3 … 樹脂基材
4 … ガスバリア膜
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 …真空断熱材

Claims (11)

  1. 熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および前記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、
    前記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して前記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、
    前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層と比較して、高いガスバリア性を有するものである、真空断熱材用外包材。
  2. 熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および前記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、
    前記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して前記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、
    前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層のガスバリア膜の膜厚が、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、厚い膜厚を有するものである、真空断熱材用外包材。
  3. 前記ガスバリア層積層部が有する2つのガスバリア層は、いずれのガスバリア層も前記ガスバリア膜の前記樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を有する、請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
  4. 熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および前記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、
    前記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して前記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、
    前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、前記ガスバリア膜の前記樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を有し、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜が、前記オーバーコート層を有さないものであり、
    前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層の前記ガスバリア膜の膜厚が、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、同等もしくは厚い膜厚を有するものである、真空断熱材用外包材。
  5. 熱溶着可能なフィルムと、および樹脂基材および前記樹脂基材の一方の主面側に配置されたガスバリア膜を有する2つ以上のガスバリア層と、を有し、
    前記2つ以上のガスバリア層の中の2つのガスバリア層が、接着層を介して前記ガスバリア膜が対向するように配置されたガスバリア層積層部を構成する、真空断熱材用外包材であって、
    前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層が、前記ガスバリア膜の前記樹脂基材とは反対側の主面にオーバーコート層を有し、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜が、前記オーバーコート層を有さないものであり、
    前記ガスバリア層積層部の2つのガスバリア層は、前記熱溶着可能なフィルム側に配置されたガスバリア層の前記ガスバリア膜の膜厚が、前記ガスバリア層積層部の他のガスバリア層のガスバリア膜の膜厚と比較して、20nm以下の範囲内で薄い膜厚を有するものである、真空断熱材用外包材。
  6. 前記ガスバリア層積層部に用いられる前記接着層は、官能基としてイソシアネート基を有する化合物を有する、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材。
  7. 前記真空断熱材用外包材に含まれる全ての前記ガスバリア層が、前記ガスバリア膜として無期酸化物膜を有する、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材。
  8. 前記真空断熱材用外包材が透明性を有する、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材。
  9. 前記真空断熱材用外包材が電波透過性を有する、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材。
  10. 芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、
    前記外包材が、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の真空断熱用外包材である、真空断熱材。
  11. 熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有し、
    前記外包材が、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の真空断熱用外包材である、真空断熱材付き物品。
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