JP2018189189A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents
真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高温高湿環境において、真空断熱材の断熱性能を長期間維持することが可能な真空断熱材用外包材等を提供することを主目的とする。【解決手段】熱溶着可能なフィルム1と、第1ガスバリアフィルム2aと、を少なくとも有し、上記第1ガスバリアフィルム2aが、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層を少なくとも含む真空断熱材用外包材10であって、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.55%以下であり、かつ温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が0.4g/(m2・day)以下である、真空断熱材用外包材。【選択図】図1
Description
本開示は、真空断熱材に用いられる外包材等に関する。
近年、物品の省エネルギー化を目的として、真空断熱材が用いられている。真空断熱材は、外包材の袋体内に芯材が配置され、上記袋体内が大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている部材であり、内部の熱対流が抑制されるため、良好な断熱性能を発揮することができる。なお、真空断熱材に用いられる外包材のことを、真空断熱材用外包材、または単に外包材と称して説明する。
真空断熱材用外包材は、真空断熱材内部の真空状態を長期間保持するために、酸素や水蒸気等のガスの透過を抑制するためのガスバリア性、端部を接合して袋体とし、芯材を封止密閉するための熱溶着性等の物性が要求される。また、真空断熱材が高温高湿環境において用いられる場合、上記外包材は上記環境に晒されても長期間良好なガスバリア性を発揮することが求められる。特許文献1には、M−O−P結合を有する層を構成に含む真空断熱材の外被材が開示されている。特許文献3によれば、M−O−P結合を有する層が、高温高湿環境に曝されてもガスバリア性能の低下が少ないことが開示されている。
しかし、真空断熱材においてこの様な耐熱性および耐湿性に優れた外包材を用いる場合であっても、高温高湿環境の条件によっては、上記真空断熱材が断熱性能を長期間維持できない場合がある。
そこで本開示は、高温高湿環境において、真空断熱材の断熱性能を長期間維持することが可能な真空断熱材用外包材等を提供することを主目的とする。
本開示は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、を少なくとも有し、上記第1ガスバリアフィルムが、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層を少なくとも含む真空断熱材用外包材であって、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.55%以下であり、かつ温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が0.4g/(m2・day)以下である、真空断熱材用外包材を提供する。
また、本開示は、芯材と、上記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材を提供する。
また、本開示は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材が、上述した真空断熱用外包材である、真空断熱材付き物品を提供する。
本開示によれば、高温高湿環境において、真空断熱材の断熱性能を長期間維持することが可能な真空断熱材用外包材を提供することができるという効果を奏する。
本開示は、真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を実施態様に含む。以下、本開示の実施態様を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
I.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、を少なくとも有し、上記第1ガスバリアフィルムが、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層を少なくとも含む真空断熱材用外包材であって、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.55%以下であり、かつ温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が0.4g/(m2・day)以下である。
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、を少なくとも有し、上記第1ガスバリアフィルムが、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層を少なくとも含む真空断熱材用外包材であって、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.55%以下であり、かつ温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が0.4g/(m2・day)以下である。
なお、本開示において「ガスバリア性」、「ガスバリア性能」とは、特に断りが無い場合は、酸素等の気体および/または水蒸気の透過を阻止する機能を意味する。
また、本開示の外包材の、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率のことを、高温高湿保持後の寸法変化率と称し、本開示の外包材の、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度のことを、高温高湿保持後の水蒸気透過度と称する場合がある。
また、本開示の外包材の、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率のことを、高温高湿保持後の寸法変化率と称し、本開示の外包材の、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度のことを、高温高湿保持後の水蒸気透過度と称する場合がある。
図1は、本開示の外包材の一例を示す概略断面図である。本開示の外包材10は、熱溶着可能なフィルム1と、第1ガスバリアフィルム2aと、を少なくとも有し、第1ガスバリアフィルム2aが、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層21を少なくとも含む。図1に示す例では、第1ガスバリアフィルム2aがM−O−P結合を有する層21の単層である例を示している。本開示の外包材10は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内であり、かつ温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が所定の範囲内である。
図2(a)および(b)は、本開示の外包材を用いた真空断熱材の一例を示す概略斜視図およびX−X線断面図である。真空断熱材20は、芯材11と、芯材11が封入された外包材10とを有する。真空断熱材20において外包材10は、端部12で外包材10の熱溶着可能なフィルム側同士が接合された袋体であり、上記袋体内には芯材11が配置され、大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている。なお、図2中の説明しない符号については、図1と同一の部材を示すため、ここでの説明は省略する。
本開示の外包材によれば、M−O−P結合を有する層を含む第1ガスバリアフィルムを有し、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率、および同じ雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が、それぞれ所定の範囲内であることで、初期の水蒸気バリア性能を長期間維持することが可能となり、また、湿熱による寸法変化に起因したM−O−P結合を有する層での欠陥の発生を抑制することができる。これにより、本開示の外包材は、高温高湿環境にて長期間、良好なガスバリア性能を発揮することができ、高温高湿環境にて長期間断熱性能を維持することが可能な真空断熱材を形成することができる。その理由として、以下のことが推量される。
まず、M−O−P結合を有する層は、金属箔および金属または無機化合物の薄膜(以下、無機層とする場合がある。)と比較して初期のガスバリア性能に劣り、中でも初期の水蒸気バリア性能が低い傾向にあると推量される。そのため、高温高湿環境において、M−O−P結合を有する層が初期の水蒸気バリア性能を長期間維持することが出来たとしても、元々の水蒸気バリア性能の低さから、ある程度の量水蒸気が上記M−O−P結合を有する層を透過可能となると推量される。M−O−P結合を有する層を含む外包材を真空断熱材に用いた場合、高温高湿環境の特に湿度が高い環境においては、水蒸気が上記外包材を透過して真空断熱材の内部に入りやすくなると推量される。ここで、酸素や窒素等のガスは、常温において気体が安定状態であるのに対し、水蒸気は、常温において液体状態(水)で安定する物質である。真空断熱材において、内部の湿度が高まれば、水蒸気は容易に液体化し、当該液体化した水が芯材の細孔を塞ぎ、伝熱することになる。また、液体の水(10℃)の熱伝導率(約0.561W/mK)は、空気(0℃)の熱伝導率(約0.0241W/mK)等と比べても極めて高く、高温高湿環境においては、気化した水が水蒸気として外包材を透過して真空断熱材内部に浸入し、真空断熱材内部で液化し、当該液体化した水が芯材の細孔を塞ぎ、伝熱するという現象が特に生じやすい環境にあると言える。
このように、M−O−P結合を有する層を含む外包材を用いた真空断熱材は、高温高湿環境において、水蒸気の浸入により断熱性能が低下しやすいと推量される。そこで、本開示の外包材によれば、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が、所定の範囲内であることで、初期の水蒸気バリア性能を長期間維持することが可能となり、本開示の外包材は、高温高湿環境にて長期間、良好なガスバリア性能を発揮することができ、高温高湿環境にて長期間断熱性能を維持することが可能な真空断熱材を形成することができると推量される。
このように、M−O−P結合を有する層を含む外包材を用いた真空断熱材は、高温高湿環境において、水蒸気の浸入により断熱性能が低下しやすいと推量される。そこで、本開示の外包材によれば、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が、所定の範囲内であることで、初期の水蒸気バリア性能を長期間維持することが可能となり、本開示の外包材は、高温高湿環境にて長期間、良好なガスバリア性能を発揮することができ、高温高湿環境にて長期間断熱性能を維持することが可能な真空断熱材を形成することができると推量される。
また、高温高湿環境で使用される真空断熱材において、上記外包材は、端部が接合された状態で熱および湿気に晒されることで、膨張または収縮が生じて寸法が変化する。外包材の膨張または収縮の程度は、主に、上記外包材を構成する各部材の膨張または収縮の程度に因る。ここで、M−O−P結合を有する層と、それに接する他の層とは、通常、熱や湿気による膨張または収縮の程度が大きく異なり、M−O−P結合を有する層は一般に寸法変化が生じにくいものであるのに対し、例えば樹脂基材は、その樹脂の種類によって湿熱により膨潤しやすく、寸法が大きく変化しやすい。
M−O−P結合を有する層に接する他の層が、湿熱により膨潤して収縮すると、上記M−O−P結合を有する層が上記他の層から圧縮応力を受けやすくなり、一方、上記他の層が湿熱により膨潤して膨張すると、上記M−O−P結合を有する層が上記他の層から引張応力を受けやすくなることが推量される。そして、M−O−P結合を有する層は、これらのせん断応力を受けることで、微小なクラック等の欠陥が生じ易くなると推量される。
すなわち、M−O−P結合を有する層が、単体で高いガスバリア性能を発揮可能な部材であっても、他の部材との併用により高温高湿環境において欠陥が生じてしまうと、外包材全体での、ガスバリア性能の低下を招くことになる。そしてこの様な外包材を用いた真空断熱材においては、上記欠陥から浸入したガスにより内部の真空状態が損なわれ、その結果、真空断熱材の断熱性能が低下すると推量される。そこで、本開示の外包材によれば、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が、所定の範囲内であることで、湿熱による寸法変化に起因したM−O−P結合を有する層での欠陥の発生を抑制することができる。その結果、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度を所定の範囲内とすることと相乗して、本開示の外包材は、高温高湿環境にて長期間、良好なガスバリア性能を発揮することができ、高温高湿環境にて長期間断熱性能を維持することが可能な真空断熱材を形成することができると推量される。
M−O−P結合を有する層に接する他の層が、湿熱により膨潤して収縮すると、上記M−O−P結合を有する層が上記他の層から圧縮応力を受けやすくなり、一方、上記他の層が湿熱により膨潤して膨張すると、上記M−O−P結合を有する層が上記他の層から引張応力を受けやすくなることが推量される。そして、M−O−P結合を有する層は、これらのせん断応力を受けることで、微小なクラック等の欠陥が生じ易くなると推量される。
すなわち、M−O−P結合を有する層が、単体で高いガスバリア性能を発揮可能な部材であっても、他の部材との併用により高温高湿環境において欠陥が生じてしまうと、外包材全体での、ガスバリア性能の低下を招くことになる。そしてこの様な外包材を用いた真空断熱材においては、上記欠陥から浸入したガスにより内部の真空状態が損なわれ、その結果、真空断熱材の断熱性能が低下すると推量される。そこで、本開示の外包材によれば、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が、所定の範囲内であることで、湿熱による寸法変化に起因したM−O−P結合を有する層での欠陥の発生を抑制することができる。その結果、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度を所定の範囲内とすることと相乗して、本開示の外包材は、高温高湿環境にて長期間、良好なガスバリア性能を発揮することができ、高温高湿環境にて長期間断熱性能を維持することが可能な真空断熱材を形成することができると推量される。
以下、本開示の外包材の特性および構成について、説明する。
A.真空断熱材用外包材の特性
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内にあるという第1の特性と、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が所定の範囲内にあるという第2の特性と、を具備する。
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内にあるという第1の特性と、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が所定の範囲内にあるという第2の特性と、を具備する。
1.第1の特性
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.55%以下であればよく、中でも0.5%以下であることが好ましく、特に0.45%以下であることが好ましい。高温高湿保持後の寸法変化率が上記の範囲内にあることで、本開示の外包材は、真空断熱材が高温高湿環境で長期間使用される場合であっても、湿熱による寸法変化を抑えることができる。また、M−O−P結合を有する層が、他の部材の湿熱による寸法変化から受ける応力も小さくすることでき、M−O−P結合を有する層への欠陥の発生を抑制することができる。これにより、本開示の外包材は、高温高湿環境においても長期間、高ガスバリア性能を発揮することが可能となる。
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.55%以下であればよく、中でも0.5%以下であることが好ましく、特に0.45%以下であることが好ましい。高温高湿保持後の寸法変化率が上記の範囲内にあることで、本開示の外包材は、真空断熱材が高温高湿環境で長期間使用される場合であっても、湿熱による寸法変化を抑えることができる。また、M−O−P結合を有する層が、他の部材の湿熱による寸法変化から受ける応力も小さくすることでき、M−O−P結合を有する層への欠陥の発生を抑制することができる。これにより、本開示の外包材は、高温高湿環境においても長期間、高ガスバリア性能を発揮することが可能となる。
外包材の高温高湿保持後の寸法変化率は、熱機械分析装置(TMA:Thermomechanical Analyzer)を用いて、以下の方法により規定することが出来る。まず、外包材から所望のサイズの試験片を切り出し、上記試験片から後述する方法により8点の測定試料を採取する。採取した8点の測定試料の各々について、TMAを用いて、荷重400mN/mm2の引張モードで、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから、湿度一定で昇温終了温度70℃までの昇温過程と、それに続く温度一定で昇湿終了湿度90%RHまでの昇湿過程と、それに続く温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持する恒温恒湿過程との一連の過程に置き、一連の過程における測定試料の寸法を経時で測定する。一連の過程における寸法測定は、下記のTMAによる寸法測定条件に基づき実施する。また、測定試料の寸法とは、測定試料の長手方向の寸法とし、測定試料の長手方向をTMAによる測定の際の引張方向とする。
TMAを用いた寸法測定の一連の過程において、昇温開始温度且つ昇湿開始湿度での寸法、すなわち温度25℃、湿度0%RHの雰囲気中での測定試料の寸法を、測定試料の初期寸法とする。なお、初期寸法を測定する際の雰囲気において、温度25℃は±1℃を、湿度0%RHは±2%RHをそれぞれ許容とする。また、上記恒温恒湿過程後の上記測定試料の寸法を、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法、すなわち高温高湿保持後の寸法とする。各過程での外包材の寸法は、8点の測定試料の寸法の平均値とすることができる。
TMAを用いた寸法測定の一連の過程において、昇温開始温度且つ昇湿開始湿度での寸法、すなわち温度25℃、湿度0%RHの雰囲気中での測定試料の寸法を、測定試料の初期寸法とする。なお、初期寸法を測定する際の雰囲気において、温度25℃は±1℃を、湿度0%RHは±2%RHをそれぞれ許容とする。また、上記恒温恒湿過程後の上記測定試料の寸法を、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法、すなわち高温高湿保持後の寸法とする。各過程での外包材の寸法は、8点の測定試料の寸法の平均値とすることができる。
<TMAによる寸法測定条件>
熱機械的分析装置:日立ハイテクサイエンス社製 TMA/SS7100
測定モード:引張モード、荷重400mN/mm2
測定試料幅:5mm
チャック間測定試料長さ:10mm
測定雰囲気:窒素パージ下
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:70℃
昇湿終了湿度:90%RH
昇温速度:10℃/min
昇湿速度:20%RH/min
恒温恒湿過程での保持時間:2時間(温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中)
寸法測定頻度:0.16分刻み
熱機械的分析装置:日立ハイテクサイエンス社製 TMA/SS7100
測定モード:引張モード、荷重400mN/mm2
測定試料幅:5mm
チャック間測定試料長さ:10mm
測定雰囲気:窒素パージ下
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:70℃
昇湿終了湿度:90%RH
昇温速度:10℃/min
昇湿速度:20%RH/min
恒温恒湿過程での保持時間:2時間(温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中)
寸法測定頻度:0.16分刻み
測定試料の高温高湿保持後の寸法変化率は、初期寸法および高温高湿保持後の寸法から、下記数式(1)より算出することが出来る。
高温高湿保持後の寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (1)
(上記数式(1)中、Lは高温高湿保持後の寸法、L0は初期寸法である。)
外包材の高温高湿保持後の寸法変化率は、測定試料の高温高湿保持後の寸法変化率の8点平均とすることができる。
高温高湿保持後の寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (1)
(上記数式(1)中、Lは高温高湿保持後の寸法、L0は初期寸法である。)
外包材の高温高湿保持後の寸法変化率は、測定試料の高温高湿保持後の寸法変化率の8点平均とすることができる。
外包材の寸法測定に用いる測定試料は、図3に示す方法により採取することができる。測定試料Sは、図3で示すように、外包材10から所望のサイズの試験片Qを切り出し、上記試験片Qの面内において、基準点Pと上記基準点Pを始点として面内の任意の一方向Xに延びる基準軸Lとを設定し、上記基準点Pを回転中心として上記基準軸Lを22.5°ずつ回転させ、各位置での基準軸L上において、基準軸Lの上記一方向Xが長手方向となるように採取する。これにより、1つの試験片につき、基準点Pを中心に放射線状に8点の測定試料Sを採取することができる。測定試料は、上記チャック間測定試料長さ(10mm)に両端チャック掴み分の長さを加算した長さとし、幅を5mmとする矩形とすることが出来る。また、8点の測定試料はいずれも上記の矩形とする。基準軸上での測定試料の採取位置としては、例えば、矩形の中心が基準軸を通る位置とすることができる。
外包材から切り出す試験片は、少なくとも1以上であることが好ましく、中でも、3以上であることが好ましい。試験片が2以上の場合、外包材の高温高湿保持後の寸法変化率は、測定試料の高温高湿保持後の寸法変化率の8点平均を、試験片1つあたりの高温高湿保持後の寸法変化率とし、それを試験片数で平均化した値とすることが出来る。
外包材から切り出す試験片は、少なくとも1以上であることが好ましく、中でも、3以上であることが好ましい。試験片が2以上の場合、外包材の高温高湿保持後の寸法変化率は、測定試料の高温高湿保持後の寸法変化率の8点平均を、試験片1つあたりの高温高湿保持後の寸法変化率とし、それを試験片数で平均化した値とすることが出来る。
2.第2の特性
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が0.4g/(m2・day)以下であればよく、好ましくは0.3g/(m2・day)以下、より好ましくは0.2g/(m2・day)以下、特に好ましくは0.1g/(m2・day)以下であることが好ましい。本開示の外包材の高温高湿保持後の水蒸気透過度が上記範囲内であることで、上記外包材を用いた真空断熱材において、真空断熱材内部への水蒸気の透過が長期的に抑制され、断熱性能を維持することができるからである。
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が0.4g/(m2・day)以下であればよく、好ましくは0.3g/(m2・day)以下、より好ましくは0.2g/(m2・day)以下、特に好ましくは0.1g/(m2・day)以下であることが好ましい。本開示の外包材の高温高湿保持後の水蒸気透過度が上記範囲内であることで、上記外包材を用いた真空断熱材において、真空断熱材内部への水蒸気の透過が長期的に抑制され、断熱性能を維持することができるからである。
ここで、本発明者等は、後述する実施例および比較例で説明するように、外包材の構成や各層の組成によっては、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持した後の水蒸気透過度が同程度である場合であっても、同じ雰囲気中で保持時間が500時間以上になると、水蒸気透過度の増大傾向に顕著な違いが生じることを知得した。
このように、外包材によっては、同一の高温高湿環境における水蒸気バリア性能の経時変化の傾向は、ある一定時間までは同様の傾向を示していても、上記一定時間経過後に顕著に相違する場合があることが示唆された。外包材の高温高湿環境下での長期ガスバリア性能をより正確に規定するためには、上記の特性を考慮した保持時間を設定する必要がある。本開示では、このような知見に基づき、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度を規定することで、長期間安定的にバリア性能を維持することができる外包材を実現するに至ったのである。
このように、外包材によっては、同一の高温高湿環境における水蒸気バリア性能の経時変化の傾向は、ある一定時間までは同様の傾向を示していても、上記一定時間経過後に顕著に相違する場合があることが示唆された。外包材の高温高湿環境下での長期ガスバリア性能をより正確に規定するためには、上記の特性を考慮した保持時間を設定する必要がある。本開示では、このような知見に基づき、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度を規定することで、長期間安定的にバリア性能を維持することができる外包材を実現するに至ったのである。
本開示の外包材は、初期水蒸気透過度が低いことが好ましく、例えば0.1g/(m2・day)以下、中でも0.05g/(m2・day)以下、特には0.01g/(m2・day)以下であることが好ましい。
外包材の初期水蒸気透過度は、ISO 15106−5:2015(差圧法)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。初期水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、所望のサイズに切り取った外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対向する最表面のうち、一方の最表面層である熱溶着可能なフィルムと反対側に位置する最表面層が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm2(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、英国Technolox社製の「DELTAPERM」を用いることができる。
また、外包材の高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定は、JIS K7129:2008(付属書B:赤外線センサ法、以下同様とする。)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、幅21.0cm×長さ29.7cmの矩形状の外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うようにして重ねて、全周に亘って端部(外包材の外縁から1cmの位置における幅10mmの領域)を大気圧中で170℃の加熱温度で熱溶着して接合し、試験片とする。上記試験片は、内部に何も内包されず、また、減圧されていない状態とする。上記試験片を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持し、保持後の上記試験片の熱溶着されていない領域から幅9cm×長さ9cmの大きさでサンプルを切り取り、切り取った外包材の水蒸気透過度を、初期水蒸気透過度と同じ測定方法および条件で測定する。水蒸気透過度測定装置は、例えば、米国MOCON社製の「PERMATRAN」を用いることができる。
初期、および高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。以下、本明細書における水蒸気透過度は、上述の方法と同様の方法により測定することができる。
3.その他の特性
本開示の外包材は、初期酸素透過度が0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.05cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。また、本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の酸素透過度が0.2cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。本開示の外包材の高温高湿保持後の酸素透過度が上記範囲内であることで、上記外包材を用いた真空断熱材において、真空断熱材内部への酸素の透過が長期的に抑制され、断熱性能を維持することができるからである。
なお、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の酸素透過度のことを、高温高湿保持後の酸素透過度と称する場合がある。
本開示の外包材は、初期酸素透過度が0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.05cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。また、本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の酸素透過度が0.2cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。本開示の外包材の高温高湿保持後の酸素透過度が上記範囲内であることで、上記外包材を用いた真空断熱材において、真空断熱材内部への酸素の透過が長期的に抑制され、断熱性能を維持することができるからである。
なお、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の酸素透過度のことを、高温高湿保持後の酸素透過度と称する場合がある。
本開示の外包材の初期および高温高湿保持後の酸素透過度は、それぞれJIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を用いて、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件に調整し測定することが出来る。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることが出来る。
初期酸素透過度の測定は、所望のサイズに切り取った外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対向する最表面のうち、一方の最表面層である熱溶着可能なフィルムとは反対側に位置する最表面層が酸素ガスに接するようにして上記装置内に装着し、透過面積約50cm2(透過領域:直径8cmの円形)として、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件で測定を行う。上記測定の際、上記装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージする。上記キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることができる。パージ後、上記装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に測定する。上記試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いる。
また、高温高湿保持後の酸素透過度は、以下の手順で行うことができる。まず、幅21.0cm×長さ29.7cmの矩形状の外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うようにして重ねて、全周に亘って端部(外包材の外縁から1cmの位置における幅10mmの領域)を大気圧中で170℃の加熱温度で熱溶着して接合し、試験片とする。上記試験片は、内部に何も内包されず、また、減圧されていない状態とした。上記試験片を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持し、保持後の上記試験片の熱溶着されていない領域から幅9cm×長さ9cmの大きさでサンプルを切り取り、切り取った外包材の酸素透過度を、初期酸素透過度と同じ測定方法および条件で測定する。
初期、および高温高湿保持後の酸素透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とすることができる。以下、本明細書における酸素透過度は、上述の方法と同様の方法により測定することができる。
B.外包材の構成
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、を少なくとも有する。以下、本開示の外包材を構成する部材について説明する。
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、を少なくとも有する。以下、本開示の外包材を構成する部材について説明する。
1.第1ガスバリアフィルム
本開示における第1ガスバリアフィルムは、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層を少なくとも含む。
本開示における第1ガスバリアフィルムは、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層を少なくとも含む。
(1)M−O−P結合を有する層
上記M−O−P結合を有する層としては、例えば金属酸化物およびリン化合物の反応生成物を含む層を用いることができる。金属酸化物およびリン化合物の反応生成物を含むM−O−P結合を有する層において、Mは金属原子である。
上記M−O−P結合を有する層としては、例えば金属酸化物およびリン化合物の反応生成物を含む層を用いることができる。金属酸化物およびリン化合物の反応生成物を含むM−O−P結合を有する層において、Mは金属原子である。
(a)反応生成物
上記M−O−P結合を有する層に含まれる反応生成物は、金属酸化物の粒子同士が、後述するリン化合物に由来するリン原子を介して結合された特定の構造を有する。このような反応生成物や構造は、金属酸化物とリン化合物とを混合し反応させることにより形成することができる。
上記M−O−P結合を有する層に含まれる反応生成物は、金属酸化物の粒子同士が、後述するリン化合物に由来するリン原子を介して結合された特定の構造を有する。このような反応生成物や構造は、金属酸化物とリン化合物とを混合し反応させることにより形成することができる。
(i)金属酸化物
金属酸化物を構成する金属原子(M)は、金属酸化物を製造するための取り扱いの容易さや、得られる反応生成物のガスバリア性がより優れることから、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アルミニウムであることが特に好ましい。金属酸化物を構成する金属原子(M)は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。なお、珪素は半金属に分類される場合があるが、本明細書では珪素を金属に含めるものとする。
金属酸化物を構成する金属原子(M)は、金属酸化物を製造するための取り扱いの容易さや、得られる反応生成物のガスバリア性がより優れることから、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アルミニウムであることが特に好ましい。金属酸化物を構成する金属原子(M)は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。なお、珪素は半金属に分類される場合があるが、本明細書では珪素を金属に含めるものとする。
金属酸化物は、得られる金属酸化物の形状や大きさの制御性や製造効率などを考慮すると、液相合成法により製造されたものが好ましい。液相合成法においては、加水分解可能な特性基が金属原子(M)に結合した化合物(L)を原料として用いてこれを加水分解縮合させることで、化合物(L)の加水分解縮合物として金属酸化物を合成することができる。また化合物(L)の加水分解縮合物を液相合成法で製造するにあたっては、原料として化合物(L)そのものを用いる方法以外にも、化合物(L)が部分的に加水分解してなる化合物(L)の部分加水分解物、化合物(L)が完全に加水分解してなる化合物(L)の完全加水分解物、化合物(L)が部分的に加水分解縮合してなる化合物(L)の部分加水分解縮合物、化合物(L)の完全加水分解物の一部が縮合したもの、あるいはこれらのうちの2種以上の混合物を原料として用いてこれを縮合または加水分解縮合させることによっても金属酸化物を製造することができる。このようにして得られる金属酸化物も、本開示においては「化合物(L)の加水分解縮合物」ということとする。上記の加水分解可能な特性基(官能基)の種類に特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、アルコキシ基、アシロキシ基、ジアシルメチル基、ニトロ基等が挙げられるが、反応の制御性に優れることから、ハロゲン原子またはアルコキシ基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
化合物(L)は、反応の制御が容易で、得られるM−O−P結合を有する層のガスバリア性が優れることから、下記式(2)で示される少なくとも1種の化合物(L1)を含むことが好ましい。
M1X1 mR1 (n−m) …式(2)
[式(2)中、M1は、Al、TiおよびZrからなる群より選ばれる。X1は、F、Cl、Br、I、R2O−、R3C(=O)O−、(R4C(=O))2CH−およびNO3からなる群より選ばれる。R1、R2、R3およびR4はそれぞれ、アルキル基、アラルキル基、アリール基およびアルケニル基からなる群より選ばれる。式(2)において、複数のX1が存在する場合には、それらのX1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR1が存在する場合には、それらのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR2が存在する場合には、それらのR2は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR3が存在する場合には、それらのR3は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR4が存在する場合には、それらのR4は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。nはM1の原子価に等しい。mは1以上、n以下の整数を表す。]
M1X1 mR1 (n−m) …式(2)
[式(2)中、M1は、Al、TiおよびZrからなる群より選ばれる。X1は、F、Cl、Br、I、R2O−、R3C(=O)O−、(R4C(=O))2CH−およびNO3からなる群より選ばれる。R1、R2、R3およびR4はそれぞれ、アルキル基、アラルキル基、アリール基およびアルケニル基からなる群より選ばれる。式(2)において、複数のX1が存在する場合には、それらのX1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR1が存在する場合には、それらのR1は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR2が存在する場合には、それらのR2は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR3が存在する場合には、それらのR3は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(2)において、複数のR4が存在する場合には、それらのR4は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。nはM1の原子価に等しい。mは1以上、n以下の整数を表す。]
R1、R2、R3およびR4が表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。R1、R2、R3およびR4が表すアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基等が挙げられる。R1、R2、R3およびR4が表すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等が挙げられる。R1、R2、R3およびR4が表すアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリール基等が挙げられる。R1は、例えば、炭素数が1以上、4以下のアルキル基であることが好ましい。X1は、F、Cl、Br、I、R2O−であることが好ましい。化合物(L1)の好ましい一例では、X1がハロゲン原子(F、Cl、Br、I)または炭素数が1以上、4以下のアルコキシ基(R2O−)であり、mはn(M1の原子価)と等しい。金属酸化物を製造するための取り扱いの容易さや、得られる反応生成物のガスバリア性がより優れることから、M1はAlであることが好ましい。
化合物(L1)としては、アルミニウムトリイソプロポキシドおよびアルミニウムトリs−ブトキシドから選ばれる少なくとも1つの化合物が好ましい。化合物(L1)は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。化合物(L1)以外の化合物が化合物(L)に占める割合は、例えば、5モル%以下であってもよく、0モル%であってもよい。一例では、化合物(L)は、化合物(L1)のみからなる。また、化合物(L1)以外の化合物(L)としては、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、珪素等の金属原子に、上述の加水分解可能な特性基が結合した化合物などが挙げられる。
化合物(L)が加水分解されることによって、化合物(L)が有する加水分解可能な特性基の少なくとも一部が水酸基に置換される。さらに、その加水分解物が縮合することによって、金属原子(M)が酸素原子(O)を介して結合された化合物が形成される。この縮合が繰り返されると、実質的に金属酸化物とみなしうる化合物が形成される。なお、このようにして形成された金属酸化物の表面には、通常、水酸基が存在する。
リン化合物との混合に供される(混合される直前の)金属酸化物は、金属酸化物そのものであってもよいし、金属酸化物を含む組成物の形態であってもよい。好ましい一例では、金属酸化物を溶媒に溶解または分散することによって得られた液体(溶液または分散液)の形態で、金属酸化物がリン化合物と混合される。
(ii)リン化合物
リン化合物は、金属酸化物と反応可能な部位を含有し、典型的には、金属酸化物と反応可能な部位を複数含有する。好ましい一例では、リン化合物は、金属酸化物と反応可能な部位となる原子団または官能基を2個以上、20個以下含有する。金属酸化物と反応可能な部位の例には、金属酸化物の表面に存在する官能基(たとえば水酸基)と反応可能な部位が含まれ、例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子が含まれる。それらのハロゲン原子や酸素原子は、金属酸化物の表面に存在する水酸基と縮合反応(加水分解縮合反応)を起こすことができる。例えば水酸基等の金属酸化物の表面に存在する官能基は、通常、金属酸化物を構成する金属原子(M)に結合している。
リン化合物は、金属酸化物と反応可能な部位を含有し、典型的には、金属酸化物と反応可能な部位を複数含有する。好ましい一例では、リン化合物は、金属酸化物と反応可能な部位となる原子団または官能基を2個以上、20個以下含有する。金属酸化物と反応可能な部位の例には、金属酸化物の表面に存在する官能基(たとえば水酸基)と反応可能な部位が含まれ、例えば、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子が含まれる。それらのハロゲン原子や酸素原子は、金属酸化物の表面に存在する水酸基と縮合反応(加水分解縮合反応)を起こすことができる。例えば水酸基等の金属酸化物の表面に存在する官能基は、通常、金属酸化物を構成する金属原子(M)に結合している。
リン化合物としては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体が挙げられる。ポリリン酸の具体例としては、ピロリン酸、三リン酸、4つ以上のリン酸が縮合したポリリン酸などが挙げられる。上記の誘導体の例としては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸の、塩、(部分)エステル化合物、ハロゲン化物(塩化物等)、脱水物(五酸化ニリン等)などが挙げられる。また、ホスホン酸の誘導体の例には、ホスホン酸(H−P(=O)(OH)2)のリン原子に直接結合した水素原子が種々の官能基を有していてもよいアルキル基に置換されている化合物(例えば、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)等)や、その塩、(部分)エステル化合物、ハロゲン化物および脱水物も含まれる。さらに、リン酸化でんぷんなど、リン原子を有する有機高分子も、上記リン化合物として使用することができる。これらのリン化合物は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらのリン化合物の中でも、コーティング液を用いてM−O−P結合を有する層を形成する場合におけるコーティング液の安定性が優れること、得られるM−O−P結合を有する層のガスバリア性がより優れることから、リン酸を単独で使用するか、または、リン酸とそれ以外のリン化合物とを併用することが好ましい。
本開示においては、リン化合物を溶媒に溶解することによって得られる溶液の形態で、リン化合物が上述した金属酸化物と混合されることが好ましい。その際の溶媒は任意のものが使用できるが、水または水を含む混合溶媒が好ましい溶媒として挙げられる。また、金属酸化物との混合に供されるリン化合物またはリン化合物を含む組成物では、金属原子の含有率が低減されていることが、ガスバリア性により優れるM−O−P結合を有する層が得られることから好ましい。金属酸化物との混合に供されるリン化合物またはリン化合物を含む組成物に含まれる金属原子の含有率は、当該リン化合物またはリン化合物を含む組成物に含まれる全てのリン原子のモル数を基準(100モル%)として、5モル%以下であることが好ましく、1モル%以下であることがより好ましく、0モル%であってもよい。
(iii)その他
金属酸化物を構成する金属原子のモル数(NM)と、リン化合物に由来するリン原子のモル数(NP)との比率は、0.8≦モル数(NM)/モル数(NP)≦4.5の関係を満たすことが好ましく、1.1≦モル数(NM)/モル数(NP)≦3.0の関係を満たすことがさらに好ましい。モル数(NM)/モル数(NP)の値が4.5を超えると、金属酸化物がリン化合物に対して過剰となり、金属酸化物の粒子同士の結合が不充分となり、また、金属酸化物の表面に存在する水酸基の量が多くなるため、ガスバリア性が低下する傾向がある。一方、モル数(NM)/モル数(NP)の値が0.8未満であると、リン化合物が金属酸化物に対して過剰となり、金属酸化物との結合に関与しない余剰なリン化合物が多くなり、また、リン化合物由来の水酸基の量が多くなりやすく、やはりガスバリア性が低下する傾向がある。
金属酸化物を構成する金属原子のモル数(NM)と、リン化合物に由来するリン原子のモル数(NP)との比率は、0.8≦モル数(NM)/モル数(NP)≦4.5の関係を満たすことが好ましく、1.1≦モル数(NM)/モル数(NP)≦3.0の関係を満たすことがさらに好ましい。モル数(NM)/モル数(NP)の値が4.5を超えると、金属酸化物がリン化合物に対して過剰となり、金属酸化物の粒子同士の結合が不充分となり、また、金属酸化物の表面に存在する水酸基の量が多くなるため、ガスバリア性が低下する傾向がある。一方、モル数(NM)/モル数(NP)の値が0.8未満であると、リン化合物が金属酸化物に対して過剰となり、金属酸化物との結合に関与しない余剰なリン化合物が多くなり、また、リン化合物由来の水酸基の量が多くなりやすく、やはりガスバリア性が低下する傾向がある。
(2)重合体
上記M−O−P結合を有する層は、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、およびカルボキシル基の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(f)を有する重合体(C)を更に含んでいても良い。なお、本開示において、リン化合物としての要件を満たす重合体であって、上記官能基を含む重合体は、上記重合体(C)には含めずにリン化合物として扱う。
上記M−O−P結合を有する層は、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、およびカルボキシル基の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(f)を有する重合体(C)を更に含んでいても良い。なお、本開示において、リン化合物としての要件を満たす重合体であって、上記官能基を含む重合体は、上記重合体(C)には含めずにリン化合物として扱う。
重合体(C)としては、上記官能基(f)を有する構成単位を含む重合体を用いることができる。このような構成単位の具体例としては、ビニルアルコール単位、アクリル酸単位、メタクリル酸単位、マレイン酸単位、イタコン酸単位、無水マレイン酸単位、無水フタル酸単位などの、官能基(f)を1個以上有する構成単位が挙げられる。重合体(C)は、上記官能基(f)を有する構成単位を1種類のみ含んでいてもよいし、上記官能基(f)を有する構成単位を2種類以上含んでいてもよい。より優れたガスバリア性を有するM−O−P結合を有する層を得るために、重合体(C)の全構成単位に占める、上記官能基(f)を有する構成単位の割合は、40モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、100モル%であってもよい。
より優れたガスバリア性を有する反応生成物を得るために、重合体(C)は、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の塩、ポリメタクリル酸、およびポリメタクリル酸の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体であることが好ましい。
重合体(C)の数平均分子量は、得られるM−O−P結合を有する層のガスバリア性や力学的物性(落下衝撃強さ等)の観点から、8,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましい。重合体(C)の数平均分子量の上限は特に限定されず、例えば1,500,000以下である。
M−O−P結合を有する層における重合体(C)の含有率は、M−O−P結合を有する層の質量を基準(100質量%)として、30質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以下であってもよい。
重合体(C)は、M−O−P結合を有する層中の他の成分と反応していてもよいし、反応していなくてもよい。なお、本開示では、重合体(C)が他の成分と反応している場合も、重合体(C)と表現する。例えば、重合体(C)が、金属酸化物、および/または、リン化合物に由来するリン原子と結合している場合も、重合体(C)と表現する。この場合、上記の重合体の含有率は、金属酸化物および/またはリン原子と結合する前の重合体の質量をM−O−P結合を有する層の質量で除して算出する。
(3)他の成分
上記M−O−P結合を有する層は、更に他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、アルミン酸塩等の無機酸金属塩;シュウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩等の有機酸金属塩;アセチルアセトナート金属錯体(アルミニウムアセチルアセトナート等)、シクロペンタジエニル金属錯体(チタノセン等)、シアノ金属錯体等の金属錯体;層状粘土化合物;架橋剤;「(2)重合体」の項で説明した重合体(C)以外の高分子化合物;可塑剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;難燃剤等が挙げられる。
上記M−O−P結合を有する層における上記他の成分の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、他の成分を含まない0質量%であってもよい。
上記M−O−P結合を有する層は、更に他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、アルミン酸塩等の無機酸金属塩;シュウ酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、ステアリン酸塩等の有機酸金属塩;アセチルアセトナート金属錯体(アルミニウムアセチルアセトナート等)、シクロペンタジエニル金属錯体(チタノセン等)、シアノ金属錯体等の金属錯体;層状粘土化合物;架橋剤;「(2)重合体」の項で説明した重合体(C)以外の高分子化合物;可塑剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;難燃剤等が挙げられる。
上記M−O−P結合を有する層における上記他の成分の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、他の成分を含まない0質量%であってもよい。
(4)その他
上記M−O−P結合を有する層は、少なくとも金属酸化物とリン化合物とが反応してなる反応生成物(ただし、重合体部分を有するものを含む)のみで構成されていてもよく、当該反応生成物および反応していない重合体から構成されていてもよい。さらに、上記他の成分を含んでいても良い。
上記M−O−P結合を有する層は、少なくとも金属酸化物とリン化合物とが反応してなる反応生成物(ただし、重合体部分を有するものを含む)のみで構成されていてもよく、当該反応生成物および反応していない重合体から構成されていてもよい。さらに、上記他の成分を含んでいても良い。
上記M−O−P結合を有する層におけるM−O−P結合の有無は、赤外線吸収スペクトルにおける、1080cm−1以上、1130cm−1以下の範囲内の赤外線吸収ピークの有無により判別することができる。
M−O−P結合を有する層の赤外線吸収スペクトルの一例を図4に示す。上記赤外線吸収スペクトルは、測定装置としてフーリエ変換型赤外分光光度計(Varian社製、FTS7000)を用い、全反射測定法(ATR法)により、800cm−1以上、1400cm−1以下の範囲内を測定したものである。800cm−1以上、1400cm−1以下の範囲内におけるM−O−P結合を有する層の赤外線吸収スペクトルにおいては、金属酸化物を構成する結合、リン化合物を構成する結合、並びに、金属酸化物とリン化合物とがそれ自身でおよび/または互いに反応して形成された結合に由来する全ての赤外線吸収ピークの中で、上記金属酸化物を構成する金属原子とリン化合物に由来するリン原子とが、酸素原子を介して結合したM−O−P結合に由来する赤外線吸収ピークが最大となる、すなわち、上記最大となる赤外線吸収ピークの波数(n1)が1080cm−1以上、1130cm−1以下の範囲内にあることが好ましい。ガスバリア性に優れたM−O−P結合を有する層とすることができるからである。
M−O−P結合を有する層の赤外線吸収スペクトルにおいて、上記最大吸収波数(n1)に極大を有する吸収ピークの半値幅は、ガスバリア性の観点から200cm−1以下であることが好ましく、100cm−1以下であることがより好ましく、50cm−1以下であることが特に好ましい。
上記M−O−P結合を有する層の赤外線吸収スペクトルの測定方法は特に限定されるものではなく、例えば、全反射測定法(ATR法)による測定方法を用いることが出来る。また、外包材に含まれるM−O−P結合を有する層からサンプルをかきとり、その赤外線吸収スペクトルをKBr法で測定する方法、採取したサンプルを顕微赤外分光法により測定方法を用いることができる。
なお、M−O−P結合を有する層の片面または両面に後述する樹脂基材を有する場合、赤外線吸収スペクトル上には上記樹脂基材に由来する吸収ピークも観測され、M−O−P結合を有する層単体の正確な吸収スペクトルが得られないことがある。その場合は、別途測定した上記樹脂基材の赤外線吸収スペクトルを差し引くことで、M−O−P結合を有する層の赤外線吸収スペクトルを得ることができる。
なお、M−O−P結合を有する層の片面または両面に後述する樹脂基材を有する場合、赤外線吸収スペクトル上には上記樹脂基材に由来する吸収ピークも観測され、M−O−P結合を有する層単体の正確な吸収スペクトルが得られないことがある。その場合は、別途測定した上記樹脂基材の赤外線吸収スペクトルを差し引くことで、M−O−P結合を有する層の赤外線吸収スペクトルを得ることができる。
M−O−P結合を有する層の厚み(外包材が2つ以上のM−O−P結合を有する層を有する場合には各層の厚みの合計)は、所望の特性を発揮出来れば特に限定されないが、例えば1.0μm以下であることが好ましく、0.9μm以下であってもよい。また、上記厚みの下限は、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましい。
上記M−O−P結合を有する層の形成方法等、M−O−P結合を有する層のその他の点については、特開2011−226644号公報に開示される内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(5)第1ガスバリアフィルム
第1ガスバリアフィルムは、M−O−P結合を有する層単層である第1態様であってもよく、M−O−P結合を有する層の少なくとも片面に樹脂基材が配置されている第2態様であってもよい。以下、第2態様の第1ガスバリアフィルムについて説明する。
第1ガスバリアフィルムは、M−O−P結合を有する層単層である第1態様であってもよく、M−O−P結合を有する層の少なくとも片面に樹脂基材が配置されている第2態様であってもよい。以下、第2態様の第1ガスバリアフィルムについて説明する。
図5は、本開示の外包材の他の例を示す概略断面図であり、第1ガスバリアフィルム2aが、M−O−P結合を有する層21と、M−O−P結合を有する層21の両面にそれぞれ配置された樹脂基材22と、を有する第2態様である例を示す。
上記第2態様の第1ガスバリアフィルムにおいて、上記樹脂基材は、湿熱による寸法変化が小さいことが好ましい。具体的には、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.7%以下であることが好ましく、中でも0.5%以下、特には0.4%以下であることが好ましい。樹脂基材はM−O−P結合を有する層と接するため、高温高湿環境における樹脂基材の寸法変化率が大きいと、上記M−O−P結合を有する層は、湿熱による樹脂基材の寸法変化に伴い生じたせん断応力を受けて、クラック等の欠陥が生じ易くなるからである。樹脂基材の高温高湿保持後の寸法変化率は、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気中での寸法を初期寸法とし、上述した外包材の高温高湿保持後の寸法変化率の規定方法と同様の方法により規定することが出来る。
上記樹脂基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、各種のナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アセタール樹脂、セルロース樹脂等の各種の樹脂を、1以上用いることができる。
中でも、上記樹脂基材は、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。
中でも、上記樹脂基材は、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。
上記樹脂基材は、上述した樹脂群から選択される少なくとも1種を主成分とする樹脂フィルムとすることができる。上記樹脂フィルムは、未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸がされていてもよい。また、上記樹脂基材は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。
ここで、主成分とは、上述の高温高湿保持後の特性を満たす程度に、所定の樹脂を含有することをいう。具体的には、樹脂フィルム中の上記所定の樹脂の含有量が、50質量%以上であり、中でも90質量%以上であることが好ましく、特に樹脂フィルムが所定の樹脂のみで構成されていることが好ましい。なお、同一種類の樹脂を2以上含む場合、主成分とは、同一種類の2以上の樹脂の総和が上記範囲内にあることを言う。具体的には、上記樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂の2種類のポリエステル樹脂を含む場合、樹脂フィルムがポリエステル樹脂を主成分とするとは、樹脂フィルム中の上記ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量の総和が、上述した範囲内にあることをいう。ポリエステル樹脂以外の他の樹脂についても同様である。
すなわち、上記樹脂基材は、ポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、環状ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリメチルメタクリレート樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリロニトリル−スチレン共重合体フィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体フィルムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記の樹脂フィルム群から選択される樹脂基材は、高温高湿環境において湿熱による寸法変化率が小さく、中でも温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が、上述した所定の範囲内となり易いからである。
上記樹脂フィルム群の中でも、上記樹脂基材は、ポリエステル樹脂フィルムであることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂フィルムの主成分であるポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体の中から、所望の特性を満たす樹脂を1種または2種以上を適宜選択することが出来る。具体的には、上記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の群から選択される1または2以上の樹脂とすることが出来る。
第2態様の第1ガスバリアフィルムが、本開示の外包材の厚み方向において、上記外包材の一方の最外層となる場合、上記樹脂基材には、親水基含有樹脂が用いられないことが好ましい。親水基含有樹脂は、低湿度環境では酸素透過度が低く酸素バリア性能に優れるが、高湿度環境では酸素バリア性能が低下しやすいからである。また、親水基含有樹脂は、水蒸気に晒されることで上記性能が低下しやすいからである。一方、第2態様の第1ガスバリアフィルムが、本開示の外包材の厚み方向において、上記外包材の一方の最外層とならない場合は、上記樹脂基材には、親水基含有樹脂が用いられてもよく、親水基含有樹脂が用いられなくてもよいが、親水基含有樹脂が用いられることが好ましい。第1ガスバリアフィルムの両面に他の層が配置されることで、水蒸気に晒されにくくなり、酸素バリア性能の低下が抑制されるため、高温高湿環境において酸素バリア性能を維持することができるからである。
ここで「親水基」とは、静電的相互作用や水素結合などによって水分子と弱い結合をつくり、水に対して親和性示す原子団をいい、例えばヒドロキシ基(−OH)、カルボキシ基(−COOH)、アミノ基(−NH2)、カルボニル基(>CO)、スルホ基(−SO3H)などの極性基、解離基を含む原子団がその性質を示す。親水基含有樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。中でも、第2態様の第1ガスバリアフィルムが、本開示の外包材の厚み方向において、上記外包材の一方の最外層となる場合、上記樹脂基材には、EVOH樹脂が用いられないことが好ましく、上記外包材の一方の最外層とならない場合は、上記樹脂基材には、EVOH樹脂が用いられることが好ましい。
また、高温高湿環境においても外包材全体の寸法変化率を低く抑えられるという観点から、上記樹脂基材には、ナイロン等のポリアミド樹脂が用いられないことが好ましい。
上記樹脂基材は、添加剤を含んでいても良い。上記添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。また、上記樹脂基材は、表面処理が施されていてもよい。M−O−P結合を有する層との密着性を向上させることができるからである。
上記樹脂基材の厚みは、特に限定されないが、例えば6μm以上200μm以下の範囲内、より好ましくは9μm以上100μm以下の範囲内である。
上記第2態様の第1ガスバリアフィルムは、上記M−O−P結合を有する層と、上記M−O−P結合を有する層の片面に配置された樹脂基材と、を有する仕様であってもよく、上記M−O−P結合を有する層と、上記M−O−P結合を有する層の両面にそれぞれ配置された樹脂基材と、を有する仕様であってもよい。中でも、上記第1ガスバリアフィルムは、上記M−O−P結合を有する層と、上記M−O−P結合を有する層の両面にそれぞれ配置された樹脂基材と、を有することが好ましい。M−O−P結合を有する層の両面に樹脂基材が配置されていることで、突刺し等の外力からM−O−P結合を有する層を守ることができるからである。また、M−O−P結合を有する層の上記樹脂基材が配置されない面に、湿熱による寸法変化率が大きい他の層が配置された場合、上記他の層の寸法変化により生じるせん断応力の影響を強く受け、M−O−P結合を有する層がクラックなどのダメージを受けやすくなる。これに対し、M−O−P結合を有する層の両面に、湿熱による寸法変化率が小さい上記樹脂基材を選択して配置することで、高温高湿環境に晒されることによる第1ガスバリアフィルムにおけるM−O−P結合を有する層のダメージを抑えることが出来るからである。
第1ガスバリアフィルムが、M−O−P結合を有する層および上記M−O−P結合を有する層の一方の面に配置された樹脂基材を有する場合、上記第1ガスバリアフィルムは、図6(a)に示すように、本開示の外包材10の厚み方向において、M−O−P結合を有する層21が熱溶着可能なフィルム1側となるように配置されてもよく、図6(b)に示すように、樹脂基材22が熱溶着可能なフィルム1側となるように配置されてもよい。中でも、M−O−P結合を有する層21が熱溶着可能なフィルム1側となるように配置されることが好ましい。外包材の外部から浸入した水蒸気の透過が、樹脂基材により阻止されることで、M−O−P結合を有する層の水蒸気暴露を抑制することができるからである。また、物理的な応力からM−O−P結合を有する層を保護することが出来るからである。
2.熱溶着可能なフィルム
本開示における熱溶着可能なフィルムは、加熱により溶着可能なフィルムである。上記熱溶着可能なフィルムは、本開示の外包材を用いて真空断熱材を作製する際に、芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する外包材同士の端部を接合する部材である。
本開示における熱溶着可能なフィルムは、加熱により溶着可能なフィルムである。上記熱溶着可能なフィルムは、本開示の外包材を用いて真空断熱材を作製する際に、芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する外包材同士の端部を接合する部材である。
上記熱溶着可能なフィルムは、加熱によって溶融し、融着することが可能であることから熱可塑性樹脂を主成分とすることが好ましい。このような熱溶着可能なフィルムとしては、例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)ポリエチレンフィルムや未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリ酢酸ビニル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が挙げられる。熱溶着可能なフィルムが熱可塑性樹脂を主成分とするとは、熱溶着可能なフィルム中の熱可塑性樹脂の含有量が50質量%以上であることをいう。
中でも、熱溶着可能なフィルムは、ポリオレフィン系樹脂フィルム、またはポリエステル系樹脂フィルムが好ましく、具体的には、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)フィルム、未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムが好ましい。真空断熱材を形成した際に上記外包材同士の接合部分において、M−O−P結合を有する層などの他の部材へのクラックの発生を抑制することができる点で好ましい。
上記熱溶着可能なフィルムは、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記熱溶着可能なフィルムは、高温高湿環境における寸法変化率が小さいことが好ましい。具体的には、上記熱溶着可能なフィルムは、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率(高温高湿保持後の寸法変化率)が2.0%以下であることが好ましく、中でも1.5%以下であることが好ましく、特には1.0%以下であることが好ましい。上記熱溶着可能なフィルムの高温高湿保持後の寸法変化率が上記の範囲内にあることで、高温高湿環境において、熱溶着可能なフィルムの寸法変化により上記M−O−P結合を有する層が受ける応力を小さくすることができ、M−O−P結合を有する層での欠陥発生を抑制することが出来るからである。熱溶着可能なフィルムの高温高湿保持後の寸法変化率は、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気中での寸法を初期寸法とし、上述した外包材の高温高湿保持後の寸法変化率の測定方法と同様の方法で測定することが出来る。
上記熱溶着可能なフィルムの融点は、使用する樹脂にも因るが、例えば80℃以上300℃以下の範囲内であることが好ましく、中でも100℃以上250℃以下の範囲内であることが好ましい。本開示の外包材を用いた真空断熱材の使用環境下において、外包材の接合面が剥離するのを抑制することができるからである。また、外包材同士を熱溶着する際の、M−O−P結合を有する層の熱劣化を抑制出来るからである。
上記熱溶着可能なフィルムの融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて下記の方法により測定することができる。まず、外包材から熱溶着可能なフィルムを剥離して約10mgの測定試料を得る。この測定試料をアルミニウム製のセルに入れ、示差走査熱量計(NETZSCH社製 DSC204)を用いて、窒素雰囲気中で20℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/分で20℃まで冷却し、その温度で10分間保持した後、昇温速度10℃/分で300℃まで再度昇温する(2度目の昇温)。2度目の昇温の際に観測される融点での接線と、上記融点より低温側のDSC曲線の基線との交点を、熱溶着可能なフィルムの融点とすることができる。
上記熱溶着可能なフィルムの厚みは、外包材同士を接合したときに所望の接着力を得ることが出来る厚みであればよく、例えば15μm以上100μm以下の範囲内、好ましくは、20μm以上90μm以下の範囲内、より好ましくは25μm以上80μm以下の範囲内とすることが出来る。
3.第2ガスバリアフィルム
本開示の外包材は、無機層を含む第2ガスバリアフィルムをさらに有することができる。第2ガスバリアフィルムは、無機層がM−O−P結合を有さない点で、上述した第1ガスバリアフィルムとは区別される。
本開示の外包材は、無機層を含む第2ガスバリアフィルムをさらに有することができる。第2ガスバリアフィルムは、無機層がM−O−P結合を有さない点で、上述した第1ガスバリアフィルムとは区別される。
(1)無機層
第2ガスバリアフィルムに含まれる無機層は、無機物で形成された層であり、酸素、水蒸気等のガスに対して上記ガスの透過を阻止するガスバリア性能を発揮する層である。上記無機層は、M−O−P結合を有さない層である。無機層のM−O−P結合の有無は、上述したM−O−P結合を有する層におけるM−O−P結合の有無と同様の方法で確認することが出来る。
第2ガスバリアフィルムに含まれる無機層は、無機物で形成された層であり、酸素、水蒸気等のガスに対して上記ガスの透過を阻止するガスバリア性能を発揮する層である。上記無機層は、M−O−P結合を有さない層である。無機層のM−O−P結合の有無は、上述したM−O−P結合を有する層におけるM−O−P結合の有無と同様の方法で確認することが出来る。
上記無機層を構成する無機物としては、金属、無機化合物が挙げられる。よって、上記無機層としては、金属箔、金属膜、および無機化合物膜のいずれかとすることが出来る。以下、金属膜および無機化合物膜のことを、総じて無機薄膜類とする場合がある。中でも、上記無機層は、金属箔または金属膜であることが好ましく、特に金属膜であることが好ましい。金属膜は無機化合物膜と比較して安価であり、耐屈曲性に優れるからである。
(a)金属箔
上記金属箔としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属箔を挙げることができ、中でもアルミニウム箔が好適に用いられる。
上記金属箔としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属箔を挙げることができ、中でもアルミニウム箔が好適に用いられる。
無機層が金属箔である場合、上記無機層は、単層の金属箔であってもよく、同一組成または異組成の箔で形成された金属箔の多層体であってもよい。
金属箔の厚みは、例えば9μm以下とすることができ、7μm以下でもよく、6.5μm以下でもよい。また、上記厚みは、例えば5μm以上とすることができる。上記無機層が金属箔の多層体である場合は、上記金属箔の厚みとは、金属箔の多層体全体での厚みをいう。
(b)無機薄膜類
上記金属膜としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属膜、上記金属を1以上含む合金膜等、一般にガスバリアフィルムとして公知の金属膜を用いることができる。
上記金属膜としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属膜、上記金属を1以上含む合金膜等、一般にガスバリアフィルムとして公知の金属膜を用いることができる。
上記無機化合物膜としては、例えば、珪素(シリカ)、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅、マグネシウム、カルシウム、カリウム、錫、ナトリウム、ホウ素、鉛、亜鉛、ジルコニウム、イットリウム等の金属元素または非金属元素の酸化物、窒化物等の薄膜が挙げられ、一般にガスバリアフィルムとして公知の無機化合物膜を用いることができる。
無機層が無機薄膜類である場合、上記無機層は、1回蒸着等により形成された単膜の無機薄膜類であってもよく、複数回蒸着等により形成された無機薄膜類の多層体であってもよい。無機層が無機薄膜類の多層体である場合、上記多層体は、同一組成膜で構成されていてもよく、異組成の無機薄膜類で構成されていてもよい。
上記無機薄膜類の厚みは、例えば5nm以上200nm以下の範囲内とすることができ、中でも10nm以上150nm以下の範囲内であることが好ましい。無機層が無機薄膜類の多層体である場合、上記無機薄膜類の厚みとは、無機薄膜類の多層体全体での厚みをいう。
上記無機薄膜類は、コーティングによる塗布膜であっても良く、蒸着膜であってもよいが、中でも後述する第2ガスバリアフィルムの第2態様において、樹脂基材との密着性が高くなり高ガスバリア性能をより発揮しやすくなる観点から、蒸着膜であることが好ましい。上記蒸着膜は、1回蒸着により形成された単膜であってもよく、複数回蒸着により形成された多層膜であってもよい。上記無機薄膜類が多層膜である場合、同一組成の膜を組み合わせてもよく、異なる組成の膜を組み合わせてもよい。
無機薄膜類は、材料や種類に応じて塗布法、蒸着法、圧着法等の従来公知の方法を用いて成膜することができる。
(2)その他
第2ガスバリアフィルムは、無機層の種類に応じた態様とすることができ、無機層単層である第1態様であってもよく、樹脂基材および上記樹脂基材の少なくとも一方の面に配置された無機層を有する積層体である第2態様であってもよい。第1態様においては、上記無機層が金属箔であることが好ましい。一方、第2態様においては、上記無機層が金属膜または無機化合物膜であることが好ましく、中でも上記無機層が金属膜であることが好ましい。また、第2態様においては、無機薄膜類は、少なくとも樹脂基材の片面に配置されていればよく、樹脂基材の両面に配置されていてもよい。
第2ガスバリアフィルムは、無機層の種類に応じた態様とすることができ、無機層単層である第1態様であってもよく、樹脂基材および上記樹脂基材の少なくとも一方の面に配置された無機層を有する積層体である第2態様であってもよい。第1態様においては、上記無機層が金属箔であることが好ましい。一方、第2態様においては、上記無機層が金属膜または無機化合物膜であることが好ましく、中でも上記無機層が金属膜であることが好ましい。また、第2態様においては、無機薄膜類は、少なくとも樹脂基材の片面に配置されていればよく、樹脂基材の両面に配置されていてもよい。
第2態様における樹脂基材は、上述の第1ガスバリアフィルムにおける樹脂基材と同様とすることができる。第2態様における樹脂基材には、親水基含有樹脂が用いられていてもよく、親水基含有樹脂が用いられていなくてもよく、第1ガスバリアフィルムとの位置関係や配置態様に応じて選択することができる。
第2態様においては、無機層の樹脂基材とは反対の面にオーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層を有することで、ガスバリア性をさらに向上させることができるからである。
オーバーコート層の材料は、特に限定されず、一般にオーバーコート剤として用いられている材料を用いることができる。例えば、オーバーコート層の主成分として、有機部分及び無機部分を含む混合化合物を用いることができる。上記混合化合物としては、例えば、アクリル酸亜鉛系混合化合物、ゾルゲル化合物等が挙げられる。アクリル酸亜鉛系混合化合物については、特許第4373797号に開示されているものと同様とすることができる。ゾルゲル化合物等は、一般式R1 nM2(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1以上、8以下の有機基を表し、M2は、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、M2の原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上の金属アルコキシドと、親水基含有樹脂とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られる。金属アルコキシドとしては、例えばテトラエトキシシランSi(OC2H5)4、等の珪素を含むアルコキシシランが挙げられる。親水基含有樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸系樹脂、天然高分子系のメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー、多糖類などが挙げられる。なお、ゾルゲル化合物およびゾルゲル化合物を含むオーバーコート層の形成方法についての詳細は、特許第5568897号公報に開示される詳細と同様とすることができる。
オーバーコート層の厚みは、特に限定されないが、例えば、50nm以上500nm以下の範囲内とすることができ、好ましくは100nm以上400nm以下の範囲内である。
図7で示すように、第2ガスバリアフィルム2bは、熱溶着可能なフィルム1と第1ガスバリアフィルム2aとの間に配置されることが好ましい。本開示の外包材の厚み方向において、第2ガスバリアフィルムが第1ガスバリアフィルムよりも熱溶着可能なフィルム側に配置されることで、外部から浸入した水蒸気と無機層との接触を第1ガスバリアフィルムで阻害することができる。これにより、無機層の湿熱劣化を抑制することができ、高温高湿環境における第2ガスバリアフィルムのガスバリア性能の低下を抑制することができるからである。
中でも、上記熱溶着可能なフィルムと上記第1ガスバリアフィルムとの間に配置される上記第2ガスバリアフィルムが第2態様であることが好ましく、無機層が金属膜であることがより好ましい。金属膜は水蒸気との接触による成分劣化が生じやすく、上記の配置態様とすることに因る効果がより発揮されやすいからである。なお、図7は、熱溶着可能なフィルム1と第1ガスバリアフィルム2aとの間に配置される第2ガスバリアフィルム2bが、樹脂基材32および上記樹脂基材の一方の面に配置された無機層31を有する積層体である例を示している。
本開示の外包材が上述した第2態様の第2ガスバリアフィルムを有する場合、本開示の外包材の厚み方向において、上記第2ガスバリアフィルムは、図7で示すように、無機層31が熱溶着可能なフィルム1側となるように配置されていてもよく、図示しないが樹脂基材が熱溶着可能なフィルム側となるように配置されていてもよく、樹脂基材に含まれる樹脂の種類に応じて適宜選択することが出来る。
中でも、第2態様の第2ガスバリアフィルムにおける上記樹脂基板が、親水基含有樹脂を含む場合、第2態様の第2ガスバリアフィルムは、本開示の外包材の厚み方向において、上記樹脂基板が熱溶着可能なフィルム側となるように配置されることが好ましい。無機層により樹脂基板を水蒸気曝露から保護することができ、親水基含有樹脂による酸素バリア性能の低下を抑制することが出来るからである。一方、第2態様の第2ガスバリアフィルムにおける上記樹脂基板が、親水基含有樹脂を含まない場合、第2態様の第2ガスバリアフィルムは、本開示の外包材の厚み方向において、上記無機層が熱溶着可能なフィルム側となるように配置されることが好ましい。樹脂基板により無機層を水蒸気曝露から保護することができ、無機層の成分劣化および酸素バリア性能の低下を抑制することが出来るからである。
中でも、第2態様の第2ガスバリアフィルムにおける上記樹脂基板が、親水基含有樹脂を含む場合、第2態様の第2ガスバリアフィルムは、本開示の外包材の厚み方向において、上記樹脂基板が熱溶着可能なフィルム側となるように配置されることが好ましい。無機層により樹脂基板を水蒸気曝露から保護することができ、親水基含有樹脂による酸素バリア性能の低下を抑制することが出来るからである。一方、第2態様の第2ガスバリアフィルムにおける上記樹脂基板が、親水基含有樹脂を含まない場合、第2態様の第2ガスバリアフィルムは、本開示の外包材の厚み方向において、上記無機層が熱溶着可能なフィルム側となるように配置されることが好ましい。樹脂基板により無機層を水蒸気曝露から保護することができ、無機層の成分劣化および酸素バリア性能の低下を抑制することが出来るからである。
4.保護フィルム
本開示の外包材は、保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムを有することにより、保護フィルム以外の外包材の構成部材を損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にもM−O−P結合を有する層および無機層が配置されていない点で、上述した第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムと区別することが可能である。
本開示の外包材は、保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムを有することにより、保護フィルム以外の外包材の構成部材を損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にもM−O−P結合を有する層および無機層が配置されていない点で、上述した第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムと区別することが可能である。
上記保護フィルムの材料としては、樹脂が挙げられる。中でも、熱溶着可能なフィルムよりも高融点の樹脂が好ましい。このような樹脂を用いた保護フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)等の熱硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロースナノファイバー(CNF)等の樹脂フィルムが挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂フィルムが好適に用いられる。
上記保護フィルムには、ナイロン等のポリアミド樹脂が用いられないことが好ましい。また、上記保護フィルムには、親水基含有樹脂が用いられないことが好ましい。その理由および親水基含有樹脂の例については、上述の「1.第1ガスバリアフィルム」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
上記保護フィルムは、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上80μm以下の範囲内とすることができる。
上記保護フィルムが、上記第1ガスバリアフィルムのM−O−P結合を有する層と接する場合、上記保護フィルムは、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率(高温高湿保持後の寸法変化率)が0.7%以下であることが好ましく、中でも0.5%以下、特には0.4%以下であることが好ましい。高温高湿環境における保護フィルムの寸法変化率が大きいと、上記M−O−P結合を有する層が、上記保護フィルムの寸法変化により生じた圧縮応力または引張応力を受けてクラック等の欠陥が生じ易くなるからである。保護フィルムの高温高湿保持後の寸法変化率の算出方法は、上述した外包材の高温高湿保持後の寸法変化率の測定方法と同様の方法で測定することが出来る。
本開示の外包材の厚み方向において、保護フィルムは、上記第1ガスバリアフィルムの上記熱溶着可能なフィルムとは反対側に配置されていることが好ましい。本開示の外包材において、通常厚み方向の一方の最外層(最表層)に熱溶着可能なフィルムが配置されることから、保護フィルムは、本開示の外包材の他方の最外層(最表層)となることが好ましい。
上記保護フィルムは、片面に無機物を含むオーバーコート層を有していてもよい。上記保護フィルムは、樹脂の種類に応じて単体で高ガスバリア性能を発揮することが可能であり、オーバーコート層を有することで保護フィルム単体でのガスバリア性能を向上させることが出来るからである。上記オーバーコート層は、上述した第2ガスバリアフィルムの項で説明したオーバーコート層と同様とすることが出来る。上記保護フィルムが片面にオーバーコート層を有する場合、本開示の外包材の厚み方向において、上記保護フィルムのオーバーコート層側の面が熱溶着可能なフィルム側となるように配置されることが好ましい。
5.任意の構成
本開示の外包材は、外包材を構成する各部材が公知の接着剤を用いて接合されていてもよい。接着剤には、接着力を向上させるために、シランカップリング剤、金属キレート剤等を含有させることができる。
本開示の外包材は、外包材を構成する各部材が公知の接着剤を用いて接合されていてもよい。接着剤には、接着力を向上させるために、シランカップリング剤、金属キレート剤等を含有させることができる。
6.真空断熱材用外包材
本開示の外包材において、上記M−O−P結合を有する層の少なくとも一方の面には、樹脂基材が配置されていることが好ましく、中でも、上記M−O−P結合を有する層の両面には、樹脂基材がそれぞれ配置されていることが好ましい。その理由については、上述の「1.第1ガスバリアフィルム」の項で説明した理由と同様である。
本開示の外包材において、上記M−O−P結合を有する層の少なくとも一方の面には、樹脂基材が配置されていることが好ましく、中でも、上記M−O−P結合を有する層の両面には、樹脂基材がそれぞれ配置されていることが好ましい。その理由については、上述の「1.第1ガスバリアフィルム」の項で説明した理由と同様である。
ここで、「上記M−O−P結合を有する層の両面には、樹脂基材がそれぞれ配置されている」とは、M−O−P結合を有する層が2つの樹脂基材間に挟持されており、上記M−O−P結合を有する層と樹脂基材との間に接着剤層以外の他の層が存在しないことをいう。すなわち、M−O−P結合を有する層が2つの樹脂基材と直接的に、またはM−O−P結合を有する層と樹脂基材と層間に配置される接着剤層を介して間接的に接していることを言う。
また、M−O−P結合を有する層の両面に配置されている「樹脂基材」とは、上記M−O−P結合を有する層を含む第1ガスバリアフィルムに含まれる樹脂基材であってもよく、上記M−O−P結合を有する層を含む第1ガスバリアフィルムに隣接する他のガスバリアフィルムに含まれる樹脂基材であってもよく、上述した保護フィルムであってもよい。
上記M−O−P結合を有する層の両面に、樹脂基材がそれぞれ配置されている仕様としては、例えば、以下の仕様が挙げられる。
第1の仕様は、上述した「1.第1ガスバリアフィルム」の項および図5で説明したように、第1ガスバリアフィルム2aが、M−O−P結合を有する層21と、上記M−O−P結合を有する層21の両面上に樹脂基材22がそれぞれ配置された仕様とすることができる。
第2の仕様は、第1ガスバリアフィルムが、M−O−P結合を有する層と、上記M−O−P結合を有する層の一方の面に樹脂基材が配置されたものであり、上記第1ガスバリアフィルムの上記金属酸化物リン酸の上記一方の面と対向する他方の面に、外包材を構成する他の部材に含まれる樹脂基材が配置された仕様とすることが出来る。
具体的には、図7で示すように、第1ガスバリアフィルム2aが、M−O−P結合を有する層21とM−O−P結合を有する層21の一方の面に配置された樹脂基材22とを有し、本開示の外包材10の厚み方向において、第1ガスバリアフィルム2aのM−O−P結合を有する層21側に、樹脂基材を含む他のガスバリアフィルムとして、樹脂基材32を含む第2ガスバリアフィルム2bが配置されており、M−O−P結合を有する層21の樹脂基材22とは反対側の面と第2ガスバリアフィルム2bに含まれる樹脂基材32とが接する仕様とすることができる。この場合、M−O−P結合を有する層は、第1ガスバリアフィルムの樹脂基材と、第1ガスバリアフィルムに隣接する、樹脂基材を含む他のガスバリアフィルムの樹脂基材とで挟持される。ここでいう「樹脂基材を含む他のガスバリアフィルム」とは、樹脂基材を含んでいればよく、上述した第2態様の第1ガスバリアフィルムであってもよく、第2態様の第2ガスバリアフィルムであってもよい。
具体的には、図7で示すように、第1ガスバリアフィルム2aが、M−O−P結合を有する層21とM−O−P結合を有する層21の一方の面に配置された樹脂基材22とを有し、本開示の外包材10の厚み方向において、第1ガスバリアフィルム2aのM−O−P結合を有する層21側に、樹脂基材を含む他のガスバリアフィルムとして、樹脂基材32を含む第2ガスバリアフィルム2bが配置されており、M−O−P結合を有する層21の樹脂基材22とは反対側の面と第2ガスバリアフィルム2bに含まれる樹脂基材32とが接する仕様とすることができる。この場合、M−O−P結合を有する層は、第1ガスバリアフィルムの樹脂基材と、第1ガスバリアフィルムに隣接する、樹脂基材を含む他のガスバリアフィルムの樹脂基材とで挟持される。ここでいう「樹脂基材を含む他のガスバリアフィルム」とは、樹脂基材を含んでいればよく、上述した第2態様の第1ガスバリアフィルムであってもよく、第2態様の第2ガスバリアフィルムであってもよい。
図示しないが、上記第2の仕様には、第1ガスバリアフィルムが、M−O−P結合を有する層と上記M−O−P結合を有する層の一方の面に配置された樹脂基材とを有し、外包材の厚み方向において、第1ガスバリアフィルムが、熱溶着可能なフィルム側から樹脂基材、M−O−P結合を有する層の順となる様に配置されており、上記M−O−P結合を有する層の他方の面には、更に保護フィルムが配置されている仕様も含むことができる。このような仕様では、M−O−P結合を有する層の両面には、保護フィルムおよび第1ガスバリアフィルムに含まれる樹脂基材がそれぞれ配置されている。
第3の仕様は、第1ガスバリアフィルムが、M−O−P結合を有する層の単層であり、上記M−O−P結合を有する層の両面に、外包材を構成する他の部材に含まれる樹脂基材がそれぞれ配置された仕様とすることが出来る。
具体的には、第1ガスバリアフィルムが、M−O−P結合を有する層の単層であり、上記M−O−P結合を有する層の両面に、それぞれ樹脂基材を含む他のガスバリアフィルムが配置されており、上記他のガスバリアフィルムに含まれる上記樹脂基材と上記M−O−P結合を有する層とが接する仕様とすることができる。この場合、M−O−P結合を有する層は、両面にそれぞれ配置された他のガスバリアフィルムに含まれる樹脂基材により挟持される。また、ここでいう「樹脂基材を含む他のガスバリアフィルム」とは、樹脂基材を含んでいればよく、上述した第2態様の第1ガスバリアフィルムであってもよく、第2態様の第2ガスバリアフィルムであってもよい。
具体的には、第1ガスバリアフィルムが、M−O−P結合を有する層の単層であり、上記M−O−P結合を有する層の両面に、それぞれ樹脂基材を含む他のガスバリアフィルムが配置されており、上記他のガスバリアフィルムに含まれる上記樹脂基材と上記M−O−P結合を有する層とが接する仕様とすることができる。この場合、M−O−P結合を有する層は、両面にそれぞれ配置された他のガスバリアフィルムに含まれる樹脂基材により挟持される。また、ここでいう「樹脂基材を含む他のガスバリアフィルム」とは、樹脂基材を含んでいればよく、上述した第2態様の第1ガスバリアフィルムであってもよく、第2態様の第2ガスバリアフィルムであってもよい。
また、上記第3の仕様には、第1ガスバリアフィルムが、M−O−P結合を有する層の単層であり、上記M−O−P結合を有する層の熱溶着可能なフィルム側の一方の面に、他のガスバリアフィルムが配置されており、上記他のガスバリアフィルムに含まれる上記樹脂基材と上記M−O−P結合を有する層の上記一方の面とが接しており、上記M−O−P結合を有する層の上記一方の面と対向する他方の面に、保護フィルムが配置されている仕様も含まれる。このような仕様では、M−O−P結合を有する層の両面は、保護フィルムおよび他のガスバリアフィルムに含まれる樹脂基材がそれぞれ配置されている。
M−O−P結合を有する層の両面に配置される上記樹脂基材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.5%以下であることが好ましく、中でも0.5%以下、特には0.4%以下であることが好ましい。その理由等については、「B.外包材の構成 1.第1ガスバリアフィルム」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
また、M−O−P結合を有する層の両面に配置される上記樹脂基材は、ポリエステル樹脂フィルム、延伸ポリプロピレン樹脂フィルム、環状ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリメチルメタクリレート樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリロニトリル−スチレン共重合体フィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体フィルムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。その理由等については、「B.外包材の構成 1.第1ガスバリアフィルム」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。
M−O−P結合を有する層の一方の面に配置される上記樹脂基材と、上記一方の面に対向する他の面に配置される上記樹脂基材とは、上記の樹脂フィルムの群から選択される同一種の樹脂フィルムであってもよく、異なる種類の樹脂フィルムであってもよい。
M−O−P結合を有する層の一方の面に配置される上記樹脂基材と、上記一方の面に対向する他の面に配置される上記樹脂基材とは、上記の樹脂フィルムの群から選択される同一種の樹脂フィルムであってもよく、異なる種類の樹脂フィルムであってもよい。
本開示の外包材は、少なくとも1つ以上の第1ガスバリアフィルムを含む、1つ以上のガスバリアフィルムを構成部材として有する。本開示の外包材におけるガスバリアフィルムの数は、1つ以上であればよく、外包材が所望の特性を発揮可能であれば特に限定されないが、中でも3つ以上であることが好ましい。また、上記ガスバリアフィルムの数の上限は、外包材が所望の特性を発揮可能であれば特に限定されないが、6つ以下であることが好ましい。ここで、「外包材におけるガスバリアフィルムの数」とは、外包材における第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムの総数をいう。
また、外包材におけるガスバリアフィルムは、少なくとも1つ以上の第1ガスバリアフィルムを含むが、中でも2つ以上含むことが好ましい。第1ガスバリアフィルムの数は、M−O−P結合を有する層の数に相当する。
外包材におけるガスバリアフィルムの数は、例えば、第1ガスバリアフィルムまたは第2ガスバリアフィルムと、それに隣接する他の層と、を接着する接着剤層の存在を元に確認することが出来る。
また、外包材におけるガスバリアフィルムは、少なくとも1つ以上の第1ガスバリアフィルムを含むが、中でも2つ以上含むことが好ましい。第1ガスバリアフィルムの数は、M−O−P結合を有する層の数に相当する。
外包材におけるガスバリアフィルムの数は、例えば、第1ガスバリアフィルムまたは第2ガスバリアフィルムと、それに隣接する他の層と、を接着する接着剤層の存在を元に確認することが出来る。
中でも本開示の外包材においては、上記熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムを3つ以上と、を有し、3つ以上の上記ガスバリアフィルムのうち少なくとも1つが、上記第1ガスバリアフィルムであることが好ましい。ガスバリアフィルムを複数有することで、外包材のガスバリア性を向上することができるからである。
ここで「3つ以上の上記ガスバリアフィルムのうち少なくとも1つが、上記第1ガスバリアフィルムである」とは、3つ以上の上記ガスバリアフィルムが、1つ以上の上記第1ガスバリアフィルムおよび1つ以上の上記第2ガスバリアフィルムを含んでいてもよく、図8で示すように3つ以上の上記ガスバリアフィルムが全て第1ガスバリアフィルム2aであってもよい。
ここで「3つ以上の上記ガスバリアフィルムのうち少なくとも1つが、上記第1ガスバリアフィルムである」とは、3つ以上の上記ガスバリアフィルムが、1つ以上の上記第1ガスバリアフィルムおよび1つ以上の上記第2ガスバリアフィルムを含んでいてもよく、図8で示すように3つ以上の上記ガスバリアフィルムが全て第1ガスバリアフィルム2aであってもよい。
本開示の外包材の厚みは、上述した特性を有することが可能であれば特に限定されず、例えば30μm以上200μm以下の範囲内、好ましくは50μm以上150μm以下の範囲内とすることが出来る。
本開示の外包材の製造方法は、特に限定されず、例えば、予め製造した各フィルムを接着剤で貼り合せる方法、熱溶融させた各フィルムの原材料をTダイ等で順次押出しして積層体を得る方法等、公知の方法を用いることができる。
本開示の外包材は、真空断熱材に用いられる。本開示の外包材は、積層方向において対向する2つの表面のうち、一方が熱溶着可能なフィルムとなる。真空断熱材においては、通常、一対の外包材が、それぞれ熱溶着可能なフィルム側の表面が芯材側となるようにして、芯材を介して対向して配置される。
II.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材が上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものであることを特徴とするものである。
本開示の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材が上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものであることを特徴とするものである。
既に説明した図2は、本開示の真空断熱材の一例を示すものである。本開示によれば、真空断熱材の外包材が、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材で構成されているため、高温高湿環境下において長期間、良好な断熱性能を維持することができる。
以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.真空断熱材用外包材
本開示における外包材は、芯材を封入する部材であり、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した外包材と同じであるため、ここでの説明は省略する。なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
本開示における外包材は、芯材を封入する部材であり、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した外包材と同じであるため、ここでの説明は省略する。なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
2.芯材
本開示における芯材は、真空断熱材用外包材により封入される部材である。芯材は、熱伝導率が低いことが好ましい。また、芯材は、空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
本開示における芯材は、真空断熱材用外包材により封入される部材である。芯材は、熱伝導率が低いことが好ましい。また、芯材は、空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
芯材を構成する材料としては、粉体、発泡体、繊維体等を用いることができる。
上記粉体は、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の低下が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
上記粉体は、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の低下が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
上記発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等を用いることができる。中でも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
上記繊維体は、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。
芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
3.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、外包材の内部に芯材が封入され、上記内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
本開示の真空断熱材は、外包材の内部に芯材が封入され、上記内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
真空断熱材の熱伝導率は低い程好ましく、例えば熱伝導率(初期熱伝導率)が5mW/(m・K)以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなり、高い断熱効果を奏することができるからである。中でも上記初期熱伝導率は、4mW/(m・K)以下であることがより好ましく、3mW/(m・K)以下であることがさらに好ましい。
熱伝導率は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠し、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とすることができる。上記熱伝導率測定装置は、例えば、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名:HC−074、英弘精機製)を用いることが出来る。測定は、以下の条件で、測定試料(真空断熱材)の両方の主面が上下方向を向くように配置して行う。熱伝導率測定前に、測定試料の温度が測定環境温度と等しくなっているかを、熱流計などを使用して予め測定しておくことが好ましい。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
4.その他
本開示の真空断熱材の製造方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を封止することで、真空断熱材を得ることが出来る。
本開示の真空断熱材の製造方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を封止することで、真空断熱材を得ることが出来る。
本開示の真空断熱材は、例えば、熱絶縁を要する物品に用いることができる。上記物品については後述する。
III.真空断熱材付き物品
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、芯材と、芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材が、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものである。
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、芯材と、芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材が、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものである。
本開示によれば、物品に用いられる真空断熱材が「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した外包材により構成されており、上記真空断熱材が高温高湿環境下で長期間、良好な断熱性能を発揮可能であるため、高温高湿環境となる上記物品や上記物品が用いられる対象物の省エネルギー化を達成することができる。
本開示における真空断熱材、およびそれに用いられる外包材については、上述した「II.真空断熱材」および「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示における物品は、熱絶縁領域を有する。ここで上記熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに具体的に説明する。
[材料]
真空断熱材用外包材の作製において用いた各フィルムを、以下および表1に示す。
なお、第2ガスバリアフィルムFのPVA−TEOS系バリアコート層の形成方法については後述する。
・第1ガスバリアフィルム:一方の面側にM−O−P結合を有する層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(クラリスタCF、M=アルミニウム、株式会社クラレ製)
・第2ガスバリアフィルムA:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、厚み15μm、株式会社クラレ製)
・第2ガスバリアフィルムB:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するEVOHフィルム(VMXL、厚み12μm、株式会社クラレ製)
・第2ガスバリアフィルムC:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するPETフィルム(VM−PET1519、厚み12μm、東レフィルム加工株式会社製)
・第2ガスバリアフィルムD:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するPETフィルム(VM−PET1510、厚み12μm、東レフィルム加工株式会社製)
・第2ガスバリアフィルムE:片面に酸化珪素蒸着膜を含む透明バリア層(無機層)を有するPETフィルム(IB−PET−UB、厚み12μm、大日本印刷株式会社製)
・第2ガスバリアフィルムF:片面に酸化珪素蒸着膜(無機層)を有するPETフィルム(テックバリアLX、厚み12μm、三菱樹脂株式会社製)の蒸着面に、PVA−TEOS系バリアコート層(厚み200nm)を有するフィルム
・熱溶着可能なフィルムA:厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(SC、三井化学東セロ株式会社製)
・熱溶着可能なフィルムB:厚み50μmの直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(TUX−HC−E、三井化学東セロ株式会社製)
・保護フィルムA:厚み25μmのナイロンフィルム(ON25、ユニチカ株式会社製)
・保護フィルムB:片面に酸化珪素蒸着膜を含む透明バリア層(無機層)を有するナイロンフィルム(IB−ON−UB、厚み15μm、大日本印刷株式会社製)
真空断熱材用外包材の作製において用いた各フィルムを、以下および表1に示す。
なお、第2ガスバリアフィルムFのPVA−TEOS系バリアコート層の形成方法については後述する。
・第1ガスバリアフィルム:一方の面側にM−O−P結合を有する層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(クラリスタCF、M=アルミニウム、株式会社クラレ製)
・第2ガスバリアフィルムA:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、厚み15μm、株式会社クラレ製)
・第2ガスバリアフィルムB:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するEVOHフィルム(VMXL、厚み12μm、株式会社クラレ製)
・第2ガスバリアフィルムC:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するPETフィルム(VM−PET1519、厚み12μm、東レフィルム加工株式会社製)
・第2ガスバリアフィルムD:片面にアルミニウム蒸着膜(無機層)を有するPETフィルム(VM−PET1510、厚み12μm、東レフィルム加工株式会社製)
・第2ガスバリアフィルムE:片面に酸化珪素蒸着膜を含む透明バリア層(無機層)を有するPETフィルム(IB−PET−UB、厚み12μm、大日本印刷株式会社製)
・第2ガスバリアフィルムF:片面に酸化珪素蒸着膜(無機層)を有するPETフィルム(テックバリアLX、厚み12μm、三菱樹脂株式会社製)の蒸着面に、PVA−TEOS系バリアコート層(厚み200nm)を有するフィルム
・熱溶着可能なフィルムA:厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(SC、三井化学東セロ株式会社製)
・熱溶着可能なフィルムB:厚み50μmの直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(TUX−HC−E、三井化学東セロ株式会社製)
・保護フィルムA:厚み25μmのナイロンフィルム(ON25、ユニチカ株式会社製)
・保護フィルムB:片面に酸化珪素蒸着膜を含む透明バリア層(無機層)を有するナイロンフィルム(IB−ON−UB、厚み15μm、大日本印刷株式会社製)
(第2ガスバリアフィルムFにおけるPVA−TEOS系バリアコート層の形成方法)
第2ガスバリアフィルムFのPVA−TEOS系バリアコート層は、下記の方法により形成した。
まず、表2に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(テトラエトキシシラン(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。次に、酸化珪素蒸着膜上に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物をグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜(厚み200nm)を形成し、55℃で1週間エージングして、PVA−TEOS系バリアコート層を形成した。
第2ガスバリアフィルムFのPVA−TEOS系バリアコート層は、下記の方法により形成した。
まず、表2に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(テトラエトキシシラン(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。次に、酸化珪素蒸着膜上に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物をグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜(厚み200nm)を形成し、55℃で1週間エージングして、PVA−TEOS系バリアコート層を形成した。
(第1ガスバリアフィルムにおけるM−O−P結合を有する層の有無の確認)
第1ガスバリアフィルムについて、フーリエ変換型赤外分光光度計(Varian社製、FTS7000)を用い、全反射測定法(ATR法)により、800cm−1以上、1400cm−1以下の測定波数領域で赤外線吸収スペクトルを測定した。測定は、「I.真空断熱材用外包材 B.外包材の構成 1.第1ガスバリアフィルム (1)M−O−P結合を有する層」の項で説明した詳細に従い行った。スペクトルデータを図4に示す。図4から、最大となる赤外線吸収ピークの波数(n1)が1080cm−1以上、1130cm−1以下の範囲内にあることが確認された。これにより、第1ガスバリアフィルムにおいて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面側に有する層は、M−O−P結合を有することが確認された。
第1ガスバリアフィルムについて、フーリエ変換型赤外分光光度計(Varian社製、FTS7000)を用い、全反射測定法(ATR法)により、800cm−1以上、1400cm−1以下の測定波数領域で赤外線吸収スペクトルを測定した。測定は、「I.真空断熱材用外包材 B.外包材の構成 1.第1ガスバリアフィルム (1)M−O−P結合を有する層」の項で説明した詳細に従い行った。スペクトルデータを図4に示す。図4から、最大となる赤外線吸収ピークの波数(n1)が1080cm−1以上、1130cm−1以下の範囲内にあることが確認された。これにより、第1ガスバリアフィルムにおいて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面側に有する層は、M−O−P結合を有することが確認された。
[実施例1]
(真空断熱材用外包材の作製)
積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。実施例1の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
第1層〜第4層の各層は、接着剤層で接合した。接着剤層を形成するための接着剤は、ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU−77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H−7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された、2液硬化型の接着剤を用いた。上述した接着剤を外側となる側のフィルムの一方の面に塗布量3.5g/m2となるように塗布して接着剤層を形成し、接着剤層が形成された外側となる側のフィルムと内側となる側のフィルムとを接着剤層を間に挟んで加圧した。
(真空断熱材用外包材の作製)
積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。実施例1の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
第1層〜第4層の各層は、接着剤層で接合した。接着剤層を形成するための接着剤は、ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU−77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H−7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された、2液硬化型の接着剤を用いた。上述した接着剤を外側となる側のフィルムの一方の面に塗布量3.5g/m2となるように塗布して接着剤層を形成し、接着剤層が形成された外側となる側のフィルムと内側となる側のフィルムとを接着剤層を間に挟んで加圧した。
(真空断熱材の作製)
実施例1で得られた外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作成した。芯材として290mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封して真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
実施例1で得られた外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作成した。芯材として290mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封して真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
[実施例2]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムC、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。実施例2の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層の第2ガスバリアフィルムC側をとなるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムC、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。実施例2の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層の第2ガスバリアフィルムC側をとなるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例3]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムF、第3層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。実施例3の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるように配置した。また、第2層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の熱融着可能なフィルムA側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムF、第3層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。実施例3の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるように配置した。また、第2層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の熱融着可能なフィルムA側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例4]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。実施例4の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。実施例4の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例5]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムC、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。実施例5の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第1層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムC、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。実施例5の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第1層目の第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例6]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムE、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。実施例6の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムE側となるよう配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムEは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムB側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第1層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第1ガスバリアフィルム、第2層目を第2ガスバリアフィルムE、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。実施例6の外包材において、第1層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第2ガスバリアフィルムE側となるよう配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムEは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムB側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第1層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例1]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムB、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第1ガスバリアフィルム、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例1の外包材において、第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。第3層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムB、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第1ガスバリアフィルム、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例1の外包材において、第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。第3層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例2]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムA、第2層目を第2ガスバリアフィルムD、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。比較例2の外包材において、第2層目の第2ガスバリアフィルムDは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムB側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムD側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムA、第2層目を第2ガスバリアフィルムD、第3層目を第2ガスバリアフィルムB、第4層目を熱溶着可能なフィルムBとする外包材を得た。比較例2の外包材において、第2層目の第2ガスバリアフィルムDは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムB側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムBは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムD側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例3]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムB、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例3の外包材において、第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムB、第2層目を第1ガスバリアフィルム、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例3の外包材において、第2層目の第1ガスバリアフィルムは、PETフィルムよりもM−O−P結合を有する層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第1ガスバリアフィルム側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例4]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第2ガスバリアフィルムC、第2層目を第2ガスバリアフィルムC、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例4の外包材において、第1層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるよう配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第2ガスバリアフィルムC、第2層目を第2ガスバリアフィルムC、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例4の外包材において、第1層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるよう配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムCは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムC側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例5]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第2ガスバリアフィルムF、第2層目を第2ガスバリアフィルムF、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例5の外包材において、第1層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を第2ガスバリアフィルムF、第2層目を第2ガスバリアフィルムF、第3層目を第2ガスバリアフィルムA、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例5の外包材において、第1層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。第2層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムA側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムAは、EVOHフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例6]
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムB、第2層目を第2ガスバリアフィルムF、第3層目を第2ガスバリアフィルムF、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例6の外包材において、第2層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
実施例1と同様にして、積層方向の一方から順に、第1層目を保護フィルムB、第2層目を第2ガスバリアフィルムF、第3層目を第2ガスバリアフィルムF、第4層目を熱溶着可能なフィルムAとする外包材を得た。比較例6の外包材において、第2層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第3層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。第3層目の第2ガスバリアフィルムFは、PETフィルムよりも無機層が第2層目の第2ガスバリアフィルムF側となるよう配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[評価1:真空断熱材用外包材の寸法変化率]
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率を測定した。初期寸法および温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法は、熱機械分析装置(TMA)を用いて「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 1.第1の特性」の項で説明した方法により測定した。また、寸法変化率は、「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 1.第1の特性」の項で説明した式(1)から求めた。各外包材から切り出した試験片は1つとし、上記の項で説明した方法により、8点の測定試料を採取した。結果を表4に示す。
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率を測定した。初期寸法および温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法は、熱機械分析装置(TMA)を用いて「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 1.第1の特性」の項で説明した方法により測定した。また、寸法変化率は、「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 1.第1の特性」の項で説明した式(1)から求めた。各外包材から切り出した試験片は1つとし、上記の項で説明した方法により、8点の測定試料を採取した。結果を表4に示す。
[評価2:真空断熱材用外包材の水蒸気透過度]
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度を測定した。初期水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置として英国Technolox社製のDELTAPERMを使用して、ISO 15106−5:2015(差圧法)に準拠して温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した。また、高温高湿保持後の水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置として米国MOCON社製のPARMATRANを使用して、JIS K7129:2008に従い温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した。初期水蒸気透過度、および高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定方法および測定条件の詳細については、それぞれ上記「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 2.第2の特性」の項で説明した詳細に従った。結果を表4に示す。
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度を測定した。初期水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置として英国Technolox社製のDELTAPERMを使用して、ISO 15106−5:2015(差圧法)に準拠して温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した。また、高温高湿保持後の水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置として米国MOCON社製のPARMATRANを使用して、JIS K7129:2008に従い温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した。初期水蒸気透過度、および高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定方法および測定条件の詳細については、それぞれ上記「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 2.第2の特性」の項で説明した詳細に従った。結果を表4に示す。
また、実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持した後の水蒸気透過度を測定した。測定は、保持時間を500時間としたこと以外は、高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定と同様にして行った。結果を表4に示す。
[評価3:真空断熱材の熱伝導率]
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各真空断熱材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持した後の熱伝導率を測定した。上記熱伝導率は、上記「II.真空断熱材」の項で説明した方法および条件に従い測定した。結果を表4に示す。
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各真空断熱材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持した後の熱伝導率を測定した。上記熱伝導率は、上記「II.真空断熱材」の項で説明した方法および条件に従い測定した。結果を表4に示す。
[評価4:屈曲処理後の外包材の水蒸気透過度]
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各真空断熱材について、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形する試験片を採取し、ASTM F392に準拠して、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名:BE1006)により、上記試験片に対し屈折処理を行った。上記屈曲処理は、試験片の両短辺をゲルボフレックステスターのつかみ具に取り付け、試験片を最大ねじれ角が440°となるようにねじりながら、3.5インチだけ縮め、次いで試験片をねじらずに2.5インチだけさらに縮め、その後、試験片を逆の行程で、最初の状態に戻すことを1サイクルとし、各試験片について3サイクル実施した。
屈曲処理後の各外包材について、水蒸気透過度測定装置として米国MOCON社製のPARMATRANを使用して、JIS K7129:2008に従い、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で水蒸気透過度をそれぞれ測定した。測定の方法および手順の詳細は、上記「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 2.第2の特性」の項で説明した方法および条件に従い測定した。結果を表4に示す。
実施例1〜6および比較例1〜6で得られた各真空断熱材について、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形する試験片を採取し、ASTM F392に準拠して、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名:BE1006)により、上記試験片に対し屈折処理を行った。上記屈曲処理は、試験片の両短辺をゲルボフレックステスターのつかみ具に取り付け、試験片を最大ねじれ角が440°となるようにねじりながら、3.5インチだけ縮め、次いで試験片をねじらずに2.5インチだけさらに縮め、その後、試験片を逆の行程で、最初の状態に戻すことを1サイクルとし、各試験片について3サイクル実施した。
屈曲処理後の各外包材について、水蒸気透過度測定装置として米国MOCON社製のPARMATRANを使用して、JIS K7129:2008に従い、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で水蒸気透過度をそれぞれ測定した。測定の方法および手順の詳細は、上記「I.真空断熱材用外包材 A.真空断熱材用外包材の特性 2.第2の特性」の項で説明した方法および条件に従い測定した。結果を表4に示す。
[考察]
M−O−P結合を有する層を含む第1ガスバリアフィルムを有し、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持後の寸法変化率、および同雰囲気中で1000時間保持後の水蒸気透過度がそれぞれ所定値以下である外包材を用いた真空断熱材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率が低いことが示された。
また、外包材がM−O−P結合を有する層を含む第1ガスバリアフィルムを含む場合であっても、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持後の寸法変化率、および同雰囲気中で1000時間保持後の水蒸気透過度がそれぞれ所定値以下に無い場合は、上記外包材を用いた真空断熱材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率が高くなることが示された。
M−O−P結合を有する層を含む第1ガスバリアフィルムを有し、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持後の寸法変化率、および同雰囲気中で1000時間保持後の水蒸気透過度がそれぞれ所定値以下である外包材を用いた真空断熱材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率が低いことが示された。
また、外包材がM−O−P結合を有する層を含む第1ガスバリアフィルムを含む場合であっても、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持後の寸法変化率、および同雰囲気中で1000時間保持後の水蒸気透過度がそれぞれ所定値以下に無い場合は、上記外包材を用いた真空断熱材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率が高くなることが示された。
実施例1〜6および比較例1、3、5および6の外包材は、初期水蒸気透過度は同じであった。しかしながら、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度は、実施例1〜6の外包材では、低い水蒸気透過度を維持しているのに対し、比較例1、3、5および6の外包材では、いずれも水蒸気透過度が上昇し、高い値を示した。
また、比較例1〜6の外包材の水蒸気透過度を見ると、同じ高温高湿雰囲気中で保持する場合であっても、保持時間による水蒸気透過度の上昇傾向が相違することが示唆された。図9は、実施例1、実施例2、比較例4、比較例6の各外包材の、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中での水蒸気透過度の経時変化を示すグラフであり、表4中の初期、500時間保持後、1000時間保持後のそれぞれの水蒸気透過度をプロットし、初期水蒸気透過度と500時間保持後の水蒸気透過度との2点間の傾斜勾配(傾斜勾配A)、500時間保持後の水蒸気透過度と1000時間保持後の水蒸気透過度との2点間の傾斜勾配(傾斜勾配B)をそれぞれ示している。図9から、比較例4の外包材は、傾斜勾配Aの方が傾斜勾配Bよりも急であり、保持開始から500時間までの間で水蒸気透過度の急激な上昇が生じていることが示唆された。一方、比較例6の外包材は、傾斜勾配Bの方が傾斜勾配Aよりも急であり、500時間保持後から1000時間までの間で水蒸気透過度の急激な上昇が生じていることが示唆された。
以上より、保持時間が一定時間経過後においては、本開示の外包材と、それ以外の外包材とでは、水蒸気透過度の増大傾向に顕著な差が確認され、また、一定時間経過後に水蒸気透過度が急激に劣化する外包材が存在するという知見を得た。これらの知見から、高温高湿環境下において外包材のガスバリア性能の長期間安定性を保証するためには、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度」を規定することの意義が示された。
さらに、表4で示すように、高温高湿環境保管後の外包材の水蒸気透過度の値と、ゲルボフレックステスターによる屈曲処理後の外包材の水蒸気透過度の値との間には、相関関係がみられなかった。上記の結果から、湿熱による外包材のガスバリア性能の劣化と、外部応力を受けることによる外包材のガスバリア性能の劣化とは、劣化機構は異なることが示された。
上記の様な相違がみられた理由について、以下のことが推量される。屈曲などの機械的応力負荷では、一定変位もしくは一定応力だけ引張もしくは圧縮され、このときにバリアフィルムが直接的な引張もしくは圧縮応力を受けることで欠陥が生じ、ガスバリア性能が低下する。一方で高温高湿環境では、外包材を構成する各部材が、その性質に応じて熱膨張および膨潤するため、各部材の種類によって変位および応力が異なる。またM−O−P結合を有する層および無機層は一般的な樹脂基材と比較して膨潤しにくいため、高温高湿雰囲気中では、外包材内においてこれらの層にはせん断応力がはたらく点で異なる。従って、外包材内において、膨潤しやすい樹脂基材がM−O−P結合を有する層および無機層の特に近くにある場合は、M−O−P結合を有する層および無機層には強い応力がはたらき、欠陥が生じることで、外包材全体でのガスバリア性能が低下すると推量される。
M−O−P結合を有する層自体は、高温高湿環境でのガスバリア性能の維持特性に優れているが、比較例1および比較例6の外包材の屈曲処理後の水蒸気透過度の比較からも、M−O−P結合を有する層は、一定外力に対するガスバリア性能の維持特性に劣ることが推量される。
上述の実施例および比較例の結果から、外包材においては、M−O−P結合を有する層の周囲に配置される他の部材の寸法変化を抑制することで、外包材全体のガスバリア性能の低下を防ぐことができると考えられる。
上述の実施例および比較例の結果から、外包材においては、M−O−P結合を有する層の周囲に配置される他の部材の寸法変化を抑制することで、外包材全体のガスバリア性能の低下を防ぐことができると考えられる。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2a … 第1ガスバリアフィルム
2b … 第2ガスバリアフィルム
21 … M−O−P結合を有する層
31 … 無機層
22、32 … 樹脂基材
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 …真空断熱材
2a … 第1ガスバリアフィルム
2b … 第2ガスバリアフィルム
21 … M−O−P結合を有する層
31 … 無機層
22、32 … 樹脂基材
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 …真空断熱材
Claims (8)
- 熱溶着可能なフィルムと、第1ガスバリアフィルムと、を少なくとも有し、
前記第1ガスバリアフィルムが、少なくともM−O−P結合(ここで、Mは無機原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する層を少なくとも含む真空断熱材用外包材であって、
温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.55%以下であり、かつ温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で1000時間保持した後の水蒸気透過度が0.4g/(m2・day)以下である、真空断熱材用外包材。 - 前記M−O−P結合を有する層の両面には、樹脂基材が配置されている、請求項1に記載の真空断熱材用外包材。
- 前記樹脂基材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気中で2時間保持した後の寸法変化率が0.5%以下である、請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
- 前記樹脂基材は、ポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、環状ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、ポリメチルメタクリレート樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリロニトリル−スチレン共重合体フィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体フィルムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2または請求項3に記載の真空断熱材用外包材。
- 無機層を含む第2ガスバリアフィルムをさらに有し、
前記第2ガスバリアフィルムが、前記熱溶着可能なフィルムと前記第1ガスバリアフィルムとの間に配置される、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材。 - 前記熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムを3つ以上と、を有し、
3つ以上の前記ガスバリアフィルムのうち少なくとも1つが、前記第1ガスバリアフィルムである、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材。 - 芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
前記真空断熱材用外包材が、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の真空断熱用外包材である、真空断熱材。 - 熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された真空断熱材用外包材とを有し、
前記真空断熱材用外包材が、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の真空断熱用外包材である、真空断熱材付き物品。
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