JP2018135995A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材等を提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有する真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とする真空断熱材用外包材を提供することにより、上記目的を達成する。【選択図】図1
Description
本発明は、真空断熱材用外包材等に関するものである。
近年、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が推進されており、電気製品や車両、設備機器ならびに建物等の省エネルギー化が求められている。中でも、消費電力量低減の観点から、電気製品等への真空断熱材の採用が進められている。電気製品等のように本体内部に発熱部を有する機器や、外部からの熱を利用した保温機能を有する機器においては、真空断熱材を備えることにより機器全体としての断熱性能を向上させることが可能となる。このため、真空断熱材の使用により、電気製品等の機器の消費エネルギー削減の取り組みがなされている。
真空断熱材とは、外包材により形成された袋体に芯材を配置し、上記芯材が配置された袋体の内部を減圧して真空状態とし、上記袋体の端部を熱溶着して密封することで形成されたものである。断熱材内部を真空状態とすることにより、気体の対流が遮断されるため、真空断熱材は高い断熱性能を発揮することができる。また、真空断熱材の断熱性能を長期間維持するためには、外包材を用いて形成された袋体の内部を長期にわたり高い真空状態に保持する必要がある。そのため、外包材には、外部からガスが透過することを防止するためのガスバリア性能、芯材を覆って密着封止するための熱接着性等の種々の機能が要求される。
したがって、上記外包材は、これらの各機能特性を有する複数のフィルムを有する積層体として構成されるものとなる。一般的な外包材の態様としては、熱溶着可能なフィルム、ガスバリアフィルムおよび保護フィルムが積層されてなるものであり、各フィルム同士は接着剤等を介して貼り合されている(特許文献1および2参照)。特許文献1では、串刺し等によるガスバリアフィルムへのピンホールの発生による真空状態の低下防止を目的として、上記外包材として、2つのナイロンフィルムを用いることが記載されている。また、特許文献2では、上記外包材を用いて真空断熱材を形成した際の、上記外包材同士を貼り合わせた端部においてガスバリアフィルムに屈曲の影響が直接及ばないものとすることを目的として、ガスバリアフィルムの両面に引張弾性率の高い保護フィルムを配置することが記載されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2の外包材では、上記外包材単体では十分なガスバリア性能を発揮することが確認できている場合であっても、上記外包材を用いて真空断熱材を形成した場合に、十分に真空状態を保てず、長期間断熱性能を維持することができないといった問題がある。特に、真空断熱材が高温高湿な環境に曝される場合、初期熱伝導率が低い真空断熱材であっても、断熱性能が経時的に低下するという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材等を提供することを主目的とする。
本発明は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有する真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とする真空断熱材用外包材を提供する。
本発明によれば、高温高湿な環境において一定期間保持された後の上記外包材の寸法変化率が特定の範囲内であることにより、高温高湿な環境においても高いガスバリア性能を維持することができる外包材とすることができる。したがって、上記外包材を、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能なものとすることができる。
本発明においては、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度が0.2g/(m2・day)以下であることが好ましい。本発明の外包材は、高温高湿な環境で長時間保持後の水蒸気透過度が、所定の範囲内にあることから、上記環境での水蒸気透過度の経時上昇を抑えることが出来る。このため、本発明の外包材は、高温高湿環境において、初期のみならず長期間良好なバリア性能を安定して維持することが可能である。そして、本発明の外包材は、上記特性を有することで、高温高湿環境において長期間、高い断熱性能を発揮することが可能な真空断熱材を形成することができる。
本発明においては、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水率が10000ppm以下であることが好ましい。含水率が上記の範囲にあることで、高温高湿な環境において、ガスバリアフィルムにおける樹脂基材や外包材を構成する他の樹脂層の吸湿による膨張を抑えることができ、外包材全体での寸法変化率を低くすることができるからである。
本発明においては、上記バリア層が、無機化合物、または有機化合物と無機化合物との混合物のいずれかであることが好ましい。
また、本発明においては、上記外包材が、上記ガスバリアフィルムを2つ以上有することが好ましい。外包材が、2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合は、真空断熱材とした際に、外側のバリア層が、内側のバリア層に到達する水蒸気の量を大幅に抑制し、さらに、内側のバリア層を損傷や劣化から保護することができるため、内側のバリア層がより高いガスバリア性能を発揮することができるからである。
本発明においては、上記ガスバリアフィルムの上記熱溶着可能なフィルムとは反対側の面側に保護フィルムを有することが好ましい。熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルム等、外包材として共に用いられる各フィルムを、損傷や劣化から保護することができるからである。
本発明は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とする真空断熱材を提供する。
本発明によれば、上記真空断熱材用外包材が上述の本発明の真空断熱材用外包材であることにより、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材とすることができる。
本発明は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とする真空断熱材付き物品を提供する。
本発明によれば、物品に備わる上記真空断熱材には、上述の真空断熱材用外包材が用いられており、上記真空断熱材は、高温高湿環境にて長期間断熱性能を維持することができるため、良好な断熱性能を有する物品とすることができる。例えば、上記物品を機器とした場合、熱源部を有する機器においては、上記真空断熱材により熱源部からの熱を断熱し、機器全体の温度が高温となることを防止し、一方、被保温部を有する機器においては、上記真空断熱材により上記被保温部の温度状態を保つことができる。これにより、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有する機器とすることができる。
本発明においては、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な真空断熱材用外包材等を提供できるといった作用効果を奏する。
以下、本発明の真空断熱材用外包材、真空断熱材、真空断熱材付き物品、真空断熱材用外包材の設計方法、および真空断熱材用外包材の製造方法について、詳細に説明する。
なお、本明細書において、「真空断熱材用外包材」を「外包材」と略する場合がある。
なお、本明細書において、「真空断熱材用外包材」を「外包材」と略する場合がある。
A.真空断熱材用外包材
まず、本発明の真空断熱材用外包材について説明する。
本発明の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有する真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とするものである。
まず、本発明の真空断熱材用外包材について説明する。
本発明の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有する真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とするものである。
本発明の外包材について、図を参照して説明する。図1は、本発明の外包材の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように、本発明の外包材10は熱溶着可能なフィルム1およびガスバリアフィルム2を有するものであり、上記ガスバリアフィルム2は樹脂基材3と、上記樹脂基材3の一方の面側に配置されたバリア層4とを有する。上記外包材10は、高温高湿な環境において一定期間保持された後の寸法変化率が特定の範囲内のものである。
また、図2は、本発明の外包材を用いた真空断熱材の一例を示す概略断面図である。図2に例示するように、上記真空断熱材20は、芯材11と、上記芯材11を封入する外包材10とを有するものである。上記真空断熱材20は、2枚の上記外包材10を、それぞれの熱溶着可能なフィルム1が向き合うように対向させ、その間に上記芯材11を配置し、その後、上記芯材11の外周の一方を開口部とし、残り三方の上記外包材10同士の端部12を熱溶着することで、2枚の上記外包材10により形成され、内部に上記芯材11が配置された袋体を準備し、次いで、上記袋体の内部圧力を減圧した状態で上記開口部を密封することにより、上記芯材11が上記外包材10により封入されているものである。なお、図2中の符号については、図1と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明によれば、高温高湿な環境において一定期間保持された後の上記外包材の寸法変化率が特定の範囲内であることにより、高温高湿な環境においても高いガスバリア性能を維持することができる外包材とすることができる。したがって、上記外包材を、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能なものとすることができる。
初期熱伝導率が低い真空断熱材であっても、高温高湿な環境に曝されると、経時的に断熱性能が低下するのが一般的である。その原因としては様々なものが考えられるが、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、高温高湿な環境に曝された際に寸法の変化が大きい外包材は、高温高湿な環境における経時的なガスバリア性能の劣化が大きいことを見出し、本発明に至ったのである。
なお、「温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での真空断熱材用外包材の寸法」を、真空断熱材用外包材の「初期寸法」と称し、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の真空断熱材用外包材の寸法」を、外包材の「湿熱雰囲気内寸法」と称する場合がある。また、「温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記外包材の寸法を基準とした場合に、上記外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記外包材の寸法変化率」のことを、外包材の「高温高湿な環境における寸法変化率」とする場合がある。さらに、「ガスバリア性」および「ガスバリア性能」とは、特に断りが無い場合は、酸素等の気体および/または水蒸気の透過を阻止する機能を意味する。
本発明の外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを少なくとも有するものである。以下、本発明の外包材の各構成について説明する。
1.真空断熱材用外包材の特性
(1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度
(1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度
本発明の外包材は、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下での上記外包材の水蒸気透過度が低いことが好ましく、具体的には0.5g/(m2・day)以下、中でも0.1g/(m2・day)以下、特には0.05g/(m2・day)以下であることが好ましい。上記外包材が上記範囲内の水蒸気透過度を有することにより、高い断熱性能を有する真空断熱材を形成できるからである。
なお、外包材の水蒸気透過度について、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下での水蒸気透過度を、「初期水蒸気透過度」と称する場合がある。
また、本発明の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度が低いほど好ましく、中でも0.2g/(m2・day)以下であることが好ましく、0.1g/(m2・day)以下であることがより好ましく、0.05g/(m2・day)以下であることが特に好ましい。なお、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度を「高温高湿保持後の水蒸気透過度」と称する場合がある。
以下、本開示の外包材について、高温高湿保持後の水蒸気透過度を上述した所定の範囲内とすることの理由について説明する。
従来の真空断熱材は、使用環境の温度および湿度の変動が比較的少ない環境で使用される場合が多く、このような真空断熱材に使用される外包材のガスバリア性能は、「温度40℃、湿度90%RHの環境における水蒸気透過度(初期水蒸気透過度)」で規定することが一般的である。しかし、後述する実施例等において図5を参照して説明するように、外包材を温度40℃、湿度90%RHの環境で保持した場合と、温度70℃、湿度90%RHの環境で保持した場合とでは、保持時間が同じであっても、外包材の水蒸気透過度の経時変化の傾向が相違する。これは、外包材が高温高湿環境に晒される場合、その構成やバリア層の種類等によって、熱伸縮による応力を受けてバリア層にクラック等の欠陥が発生する、湿度の影響によりバリア層が劣化する等の不具合が生じやすく、その結果、ガスバリア性能が低下する場合があるためと推量される。このため、従来の温度および湿度条件をもって、高温高湿環境にて長期間保持したときの外包材のガスバリア性能を正確に把握することは困難である。
また、酸素や窒素等のガスは、常温において気体が安定状態であるのに対し、水蒸気は、常温において液体状態で安定する物質である。真空断熱材において、内部の湿度が高まれば、水蒸気は容易に液体化し、当該液体化した水が芯材の細孔を塞ぎ、伝熱することになる。また、液体の水(10℃)の熱伝導率(約0.561W/mK)は、空気(0℃)の熱伝導率(約0.0241W/mK)等と比べても極めて高く、「温度70℃、湿度90%RH」という高温高湿環境においては、気化した水が水蒸気として外包材を透過して真空断熱材内部に浸入し、真空断熱材内部で液化し、当該液体化した水が芯材の細孔を塞ぎ、伝熱するという現象が特に生じやすい環境にあると言える。
さらに、同じ高温高湿環境であっても、外包材のガスバリア性能の経時変化の傾向は、外包材の層構成等によって相違する。後述する実施例等において図6を参照して説明するように、同じ高温高湿環境であっても、外包材の水蒸気透過度は、その層構成によっては、漸次上昇する傾向を示す場合だけでなく、一定時間経過後に急激に上昇する傾向を示す場合がある。ここで、真空断熱材においては、外包材の水蒸気透過度が急激に上昇し、ガスバリア性能が急激に低下すると、内部の真空状態が急激に損なわれるため、断熱性能が一気に低下して、その後断熱材として機能することが困難となる。このため、高温高湿環境における外包材のガスバリア性能を規定するためには、急激な性能低下が生じ得る場合を考慮して、保持時間を規定する必要がある。
本発明者等は、図6の結果から、外包材の水蒸気透過度が、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下において保持時間が500時間までの間で急激に上昇して、ガスバリア性能を十分に発揮できないレベルに達する場合があることを知得した。すなわち、本発明者等は、外包材のガスバリア性能を、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度」の数値で規定することにより、高温高湿環境における外包材の経時での水蒸気透過度の上昇傾向が異なる場合であっても、長期ガスバリア性能の保持の可否を判断することが可能であることを見出したのである。
本発明者等は、図6の結果から、外包材の水蒸気透過度が、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下において保持時間が500時間までの間で急激に上昇して、ガスバリア性能を十分に発揮できないレベルに達する場合があることを知得した。すなわち、本発明者等は、外包材のガスバリア性能を、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度」の数値で規定することにより、高温高湿環境における外包材の経時での水蒸気透過度の上昇傾向が異なる場合であっても、長期ガスバリア性能の保持の可否を判断することが可能であることを見出したのである。
そして、本発明の外包材は、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度」が所定の範囲内にあり、高温高湿保持前後で水蒸気透過度が同等であることから、上記雰囲気内での水蒸気透過度の経時上昇が抑えられ、高温高湿環境において初期のみならず長期間良好なバリア性能を安定して維持することが可能である。本発明の外包材は、この様な特性を有することから、高温高湿環境において長期間、高い断熱性能を発揮することが可能な真空断熱材を形成することが出来る。
上記外包材の水蒸気透過度を上記の範囲内とすることは、真空断熱材の形成に用いられる前の外包材であっても、あるいは、真空断熱材の形成に用いられた後の外包材、すなわち真空断熱材の外包材の状態であっても、同様に好ましい。なお、上記水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置を用いてJIS K7129:2008(付属書B:赤外線センサ法、以下同様とする。)に従い測定することができる。上記水蒸気透過度測定装置としては、米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN)を用いることができる。
以下、外包材の初期および高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定方法について、更に詳細に説明する。
初期の水蒸気透過度の測定は、所望のサイズに切り取った外包材の表面のうち、外包材の厚み方向(積層方向)において、熱溶着可能なフィルムに対してガスバリアフィルム側に位置する外包材の最表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm2(透過領域:直径8cmの円形)として、JIS K7129:2008に準拠して、温度40℃、湿度90%RHの条件で行う。切り取るサイズは、例えば幅9cm×長さ9cmの矩形とすることができる。
また、高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、幅21.0cm×長さ29.7cmの矩形状の外包材を2枚準備し、それぞれ熱溶着可能なフィルムを内向きにして重ねて、全周に亘って端部(外包材の外縁から1cmの位置における幅10mmの領域)を大気圧下で200℃の加熱温度で熱溶着して接合し、試験片とする。上記試験片は、内部に何も内包されていない状態とし、また、内部は減圧されていない。上記試験片を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持し、保管後の上記試験片の熱溶着されていない領域を幅9cm×長さ9cmの大きさで切り取り、切り取った外包材の水蒸気透過度を、初期の水蒸気透過度と同じ測定方法および条件(温度40℃、湿度90%RHの条件)で測定する。
初期の水蒸気透過度の測定は、所望のサイズに切り取った外包材の表面のうち、外包材の厚み方向(積層方向)において、熱溶着可能なフィルムに対してガスバリアフィルム側に位置する外包材の最表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm2(透過領域:直径8cmの円形)として、JIS K7129:2008に準拠して、温度40℃、湿度90%RHの条件で行う。切り取るサイズは、例えば幅9cm×長さ9cmの矩形とすることができる。
また、高温高湿保持後の水蒸気透過度の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、幅21.0cm×長さ29.7cmの矩形状の外包材を2枚準備し、それぞれ熱溶着可能なフィルムを内向きにして重ねて、全周に亘って端部(外包材の外縁から1cmの位置における幅10mmの領域)を大気圧下で200℃の加熱温度で熱溶着して接合し、試験片とする。上記試験片は、内部に何も内包されていない状態とし、また、内部は減圧されていない。上記試験片を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持し、保管後の上記試験片の熱溶着されていない領域を幅9cm×長さ9cmの大きさで切り取り、切り取った外包材の水蒸気透過度を、初期の水蒸気透過度と同じ測定方法および条件(温度40℃、湿度90%RHの条件)で測定する。
(2)真空断熱材用外包材の寸法変化率
本発明の外包材は、高温高湿な環境における寸法変化率が特定の範囲内のものである。すなわち、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記外包材の寸法を基準とした場合に、上記外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記外包材の寸法変化率が0.8%以下、好ましくは0.7%以下、より好ましくは0.6%以下である。外包材の寸法変化率が上記範囲内であれば、外包材が高温高湿な環境に曝された場合でも、ガスバリアフィルムにかかる応力を抑制することができるため、ガスバリアフィルムへのクラックの発生を抑制することができ、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な外包材とすることができるからである。
本発明の外包材は、高温高湿な環境における寸法変化率が特定の範囲内のものである。すなわち、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記外包材の寸法を基準とした場合に、上記外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記外包材の寸法変化率が0.8%以下、好ましくは0.7%以下、より好ましくは0.6%以下である。外包材の寸法変化率が上記範囲内であれば、外包材が高温高湿な環境に曝された場合でも、ガスバリアフィルムにかかる応力を抑制することができるため、ガスバリアフィルムへのクラックの発生を抑制することができ、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な外包材とすることができるからである。
ここで、外包材の高温高湿な環境における寸法変化率を上記の範囲内とすることの理由について、更に詳細に説明する。
真空断熱材が、高温高湿な環境に曝されることで経時的に断熱性能が低下する主な理由としては、温度の影響による外包材の熱膨張、湿度の影響によるバリア層の劣化等が想定される。
これに対し、本発明者等は、高温な湿度による膨潤に起因する外包材の寸法変化が、外包材のガスバリア性能の経時変化に大きな影響を及ぼしていることを見出した。一般に、外包材を構成するガスバリアフィルムに用いられるバリア層は、ガスバリアフィルムに用いられる樹脂基材、熱溶着可能なフィルム等の、外包材を構成する他の部材よりも湿熱の影響による寸法変化が小さい傾向にある。このため、外包材の高温高湿な環境における寸法変化率が大きい場合、外包材内では、他の部材とバリア層との界面に剪断応力が生じ、当該剪断応力を受けたバリア層が破損する結果、外包材全体のバリア性能が低下すると推量される。このような、剪断応力によるバリア層の破損機構は、外包材の屈曲等による外部応力によるバリア層の破損機構とは相違する。
真空断熱材が、高温高湿な環境に曝されることで経時的に断熱性能が低下する主な理由としては、温度の影響による外包材の熱膨張、湿度の影響によるバリア層の劣化等が想定される。
これに対し、本発明者等は、高温な湿度による膨潤に起因する外包材の寸法変化が、外包材のガスバリア性能の経時変化に大きな影響を及ぼしていることを見出した。一般に、外包材を構成するガスバリアフィルムに用いられるバリア層は、ガスバリアフィルムに用いられる樹脂基材、熱溶着可能なフィルム等の、外包材を構成する他の部材よりも湿熱の影響による寸法変化が小さい傾向にある。このため、外包材の高温高湿な環境における寸法変化率が大きい場合、外包材内では、他の部材とバリア層との界面に剪断応力が生じ、当該剪断応力を受けたバリア層が破損する結果、外包材全体のバリア性能が低下すると推量される。このような、剪断応力によるバリア層の破損機構は、外包材の屈曲等による外部応力によるバリア層の破損機構とは相違する。
ここで、温度および湿度の異なる環境で長時間保持することによる外包材への影響について、後述する実験例等において図8を参照して説明すると、外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で保持すると、温度のみを高くした雰囲気下や、湿度のみを高くした雰囲気下で保持した場合と比較して、寸法変化率が大きくなる傾向が示されている。また、図8の結果から、外包材の寸法変化率は、雰囲気の温度よりも雰囲気の湿度の影響を大きく受けることが示唆されている。上記の示唆から、外包材の寸法変化率を規定するに際しては、単なる外包材の熱膨張ではなく、高温における水蒸気の影響を考慮する必要があることが推量される。
また後述する実施例等において図5を参照して説明するように、外包材の構成や各層の材料に因らず、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度は、各外包材の初期水蒸気透過度の値と近似しており、この結果から、雰囲気の温度が外包材の水蒸気透過度の劣化に与える影響は、極めて限定的であることが示唆される。また、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後では、外包材間で水蒸気透過度の値に大差ないことが示されている。一方、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後では、外包材の構成等によって水蒸気透過度が大きく相違することが示唆されている。これらの結果から、外包材の寸法変化率を規定するに際しては、単なる外包材の熱膨張ではなく、高温における水蒸気の影響を考慮する必要があることが推量される。
すなわち、本発明の外包材によれば、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気」という高温高湿な環境における寸法変化率が、上述した所定の範囲内にあることから、高温高湿な環境に曝された場合でも、バリア層に他の層の膨潤等による剪断応力がかかりにくくなり、バリア層へのクラックの発生を抑制することができる。そして、本発明の外包材は、この様な特性を有することから、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成することができる。
外包材の寸法および寸法変化率は、熱機械分析装置(TMA:Thermomechanical Analyzer)を用いて、以下に説明する正規方法により測定および算出することができる。
上記正規方法は、まず、外包材から所望のサイズの試験片を切り出し、上記試験片から後述する方法により8点の測定試料を採取する。採取した8点の測定試料の各々について、TMAを用いて荷重400mN/mm2の引張モード、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから湿度一定で昇温終了温度70℃まで昇温する昇温過程と、それに続く温度一定で昇湿終了湿度90%RHまで昇湿する昇湿過程と、それに続く温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持する恒温恒湿過程と、それに続く温度25℃、湿度0%RHへ降温および降湿する降温降湿過程と、の一連の過程に置き、一連の過程での測定試料の寸法を経時で測定する。一連の過程における寸法測定は、下記に示す条件で実施する。また、測定試料の寸法とは長手方向の寸法とし、測定試料の長手方向をTMAによる測定の際の引張方向とする。外包材の寸法は、8点の測定試料の寸法の平均値とすることができる。
上記正規方法は、まず、外包材から所望のサイズの試験片を切り出し、上記試験片から後述する方法により8点の測定試料を採取する。採取した8点の測定試料の各々について、TMAを用いて荷重400mN/mm2の引張モード、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから湿度一定で昇温終了温度70℃まで昇温する昇温過程と、それに続く温度一定で昇湿終了湿度90%RHまで昇湿する昇湿過程と、それに続く温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持する恒温恒湿過程と、それに続く温度25℃、湿度0%RHへ降温および降湿する降温降湿過程と、の一連の過程に置き、一連の過程での測定試料の寸法を経時で測定する。一連の過程における寸法測定は、下記に示す条件で実施する。また、測定試料の寸法とは長手方向の寸法とし、測定試料の長手方向をTMAによる測定の際の引張方向とする。外包材の寸法は、8点の測定試料の寸法の平均値とすることができる。
(TMAによる寸法測定条件)
熱機械的分析装置:日立ハイテクサイエンス社製 TMA/SS7100
測定試料幅:5mm
チャック間測定試料長さ:10mm
測定雰囲気:窒素
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:70℃
昇湿終了湿度:90%RH
昇温速度:10℃/min
昇湿速度:20%RH/min
恒温恒湿過程での保持時間:2時間(温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下)
寸法測定頻度:0.16分刻み
熱機械的分析装置:日立ハイテクサイエンス社製 TMA/SS7100
測定試料幅:5mm
チャック間測定試料長さ:10mm
測定雰囲気:窒素
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:70℃
昇湿終了湿度:90%RH
昇温速度:10℃/min
昇湿速度:20%RH/min
恒温恒湿過程での保持時間:2時間(温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下)
寸法測定頻度:0.16分刻み
また、高温高湿な環境における寸法変化率は、一連の過程で経時で測定した測定試料の寸法のうち、昇温および昇湿前の温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での測定試料の寸法と、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の測定試料の寸法とから、下記数式(1)により算出することが出来る。
高温高湿な環境における寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (1)
(上記式(1)中、Lは温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の測定試料の寸法、L0は温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での測定試料の寸法を示す。)
外包材の高温高湿な環境における寸法変化率は、上記数式(1)で算出した8点の測定試料の高温高湿な環境における寸法変化率の平均値とすることができる。
高温高湿な環境における寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (1)
(上記式(1)中、Lは温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の測定試料の寸法、L0は温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での測定試料の寸法を示す。)
外包材の高温高湿な環境における寸法変化率は、上記数式(1)で算出した8点の測定試料の高温高湿な環境における寸法変化率の平均値とすることができる。
正規方法による寸法測定に用いる外包材の測定試料は、図3に示す方法により採取することができる。測定試料Sは、図3で示すように、外包材から所望のサイズの試験片Qを切り出し、上記試験片Qの面内において、基準点Pと上記基準点Pを始点として面内の任意の一方向Xに延びる基準軸Lとを設定し、上記基準点Pを回転中心として上記基準軸Lを22.5°ずつ回転させ、各位置での基準軸L上において、基準軸Lの上記一方向Xが長手方向となるように採取する。これにより、1つの試験片につき、基準点Pを中心に放射線状に8点の測定試料Sを採取することができる。測定試料は、上記チャック間測定試料長さ(10mm)に両端チャック掴み分の長さを加算した長さとし、幅を5mmとする矩形とすることが出来る。また、8点の測定試料はいずれも同じ寸法とする。基準軸上での測定試料の採取位置としては、例えば、矩形の中心が基準軸を通る位置とすることができる。
外包材から切り出す試験片数は、少なくとも1以上であることが好ましく、中でも、3以上であることが好ましい。試験片数が2以上の場合、外包材の高温高湿な環境における寸法変化率は、試験片ごとに測定試料の高温高湿な環境における寸法変化率を平均化し、その値をさらに試験片数で平均化した値とすることが出来る。
外包材から切り出す試験片数は、少なくとも1以上であることが好ましく、中でも、3以上であることが好ましい。試験片数が2以上の場合、外包材の高温高湿な環境における寸法変化率は、試験片ごとに測定試料の高温高湿な環境における寸法変化率を平均化し、その値をさらに試験片数で平均化した値とすることが出来る。
なお、本発明における外包材の寸法および寸法変化率は、上述した8点の測定試料を用いる正規方法により規定されるが、以下に説明する、測定試料の採取方法が異なる任意方法により規定することも可能である。以下、任意方法による外包材の寸法変化率の規定方法について説明する。
<任意方法による外包材の寸法変化率の規定>
任意方法による外包材の寸法変化率の規定においては、以下の方法で測定試料の採取を行う。まず、外包材から、所望のサイズの試験片を切り出す。上記試験片は、例えば一辺の幅が10cm(ただし、一辺が10cmに満たない外包材では、例えば5cmなどの値を適宜選択できる。)である正方形とすることができる。次に、上記試験片の任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とし、上記第1方向を長さ方向とする測定試料、上記第2方向を長さ方向とする測定試料をそれぞれ採取する。測定試料は、長さ方向を、上記チャック間の試料長さ(10mm)に両端チャック掴み分の長さを加算した長さとし、試料幅を5mmとする矩形とすることが出来る。
任意方法による外包材の寸法変化率の規定においては、以下の方法で測定試料の採取を行う。まず、外包材から、所望のサイズの試験片を切り出す。上記試験片は、例えば一辺の幅が10cm(ただし、一辺が10cmに満たない外包材では、例えば5cmなどの値を適宜選択できる。)である正方形とすることができる。次に、上記試験片の任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とし、上記第1方向を長さ方向とする測定試料、上記第2方向を長さ方向とする測定試料をそれぞれ採取する。測定試料は、長さ方向を、上記チャック間の試料長さ(10mm)に両端チャック掴み分の長さを加算した長さとし、試料幅を5mmとする矩形とすることが出来る。
任意方法による外包材の寸法変化率の規定では、上述の方法で採取した測定試料を熱機械分析装置(TMA:Thermomechanical Analyzer)により、下記の条件で、温度25℃、湿度0%RHから温度70℃、湿度0%RHへの昇温過程と、それに続く温度70℃、湿度90%RHへの昇湿過程と、それに続く温度70℃、湿度90%RHでの2時間における恒温恒湿過程と、それに続く温度25℃、湿度0%RHへの降温降湿過程と、の各温度・湿度において、外包材の初期寸法(昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの寸法)に対する寸法変化率を測定したものである。上記熱機械分析装置としては、例えば日立ハイテクサイエンス社製のTMA/SS7100を用いることができる。
測定モード:引張モード、荷重400mN/mm2、
試料長さ:10mm、
試料幅:5mm、
昇温開始温度:25℃、
昇湿開始湿度:0%RH、
昇温終了温度:70℃、
昇湿終了湿度:90%RH(温度70℃、湿度90%RHでの保持時間:2時間)、
降温終了温度:25℃、
降湿終了湿度:0%RH、
昇温および降温速度:10℃/min、
昇湿および降湿速度:20%RH/min、
試料長さ:10mm、
試料幅:5mm、
昇温開始温度:25℃、
昇湿開始湿度:0%RH、
昇温終了温度:70℃、
昇湿終了湿度:90%RH(温度70℃、湿度90%RHでの保持時間:2時間)、
降温終了温度:25℃、
降湿終了湿度:0%RH、
昇温および降温速度:10℃/min、
昇湿および降湿速度:20%RH/min、
なお、寸法変化率は、下記数式(2)で定義されるものである。
寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (2)
(ただし、Lは温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の長さ、L0は昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの長さである。)
寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (2)
(ただし、Lは温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の長さ、L0は昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの長さである。)
(3)真空断熱材用外包材の含水率
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水率が少ないほど望ましく、具体的には、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水率が10000ppm以下であることが好ましく、中でも9000ppm以下であることが好ましい。外包材の含水率が上記範囲にあることで、高温高湿な環境において、ガスバリアフィルムにおける樹脂基材や外包材を構成する他の樹脂層の吸湿による膨張を抑えることができ、外包材全体での寸法変化率を低くすることができるからである。
本開示の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水率が少ないほど望ましく、具体的には、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水率が10000ppm以下であることが好ましく、中でも9000ppm以下であることが好ましい。外包材の含水率が上記範囲にあることで、高温高湿な環境において、ガスバリアフィルムにおける樹脂基材や外包材を構成する他の樹脂層の吸湿による膨張を抑えることができ、外包材全体での寸法変化率を低くすることができるからである。
外包材の含水率は、下記の方法により外包材の含水量を測定し、得られた値から算出することができる。
外包材の含水量は、JIS K0113:2005に準拠して、カールフィッシャー法の電量滴定法により測定することが出来る。測定装置としては、例えば、一体型カールフィッシャー水分計(カールフィッシャー水分計 MKC−510および水分気化装置 ADP−611の一体連動型、共に京都電子工業株式会社製)を用いることが出来る。
含水量の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、外包材を温度70℃、湿度90%RH雰囲気中で2時間保持する前処理を行う。上記前処理後の上記外包材は、測定までの間、アルミニウムパウチ内で保管する。次に、前処理後の外包材から10mm×50mmのサイズに複数枚切出し、サンプル重量がおよそ0.5gになるように、切り出した外包材を石英製サンプルボートに乗せ、上記石英製サンプルボートを加熱管(準備室)にセットする。キャリアガス(窒素)を250mL/minで流しながら、加熱管(準備室)を180秒間エージング(バックパージ)し、次いで設定温度150℃とした加熱部を120秒間エージングする。その後にサンプルボートを加熱部に移して600秒間滴定し、温度20℃、露点−50℃の周囲環境にて含水量を測定する。測定は、前処理を行った雰囲気から取出し後、少なくとも1時間以内に行う。
外包材の含水量は、JIS K0113:2005に準拠して、カールフィッシャー法の電量滴定法により測定することが出来る。測定装置としては、例えば、一体型カールフィッシャー水分計(カールフィッシャー水分計 MKC−510および水分気化装置 ADP−611の一体連動型、共に京都電子工業株式会社製)を用いることが出来る。
含水量の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、外包材を温度70℃、湿度90%RH雰囲気中で2時間保持する前処理を行う。上記前処理後の上記外包材は、測定までの間、アルミニウムパウチ内で保管する。次に、前処理後の外包材から10mm×50mmのサイズに複数枚切出し、サンプル重量がおよそ0.5gになるように、切り出した外包材を石英製サンプルボートに乗せ、上記石英製サンプルボートを加熱管(準備室)にセットする。キャリアガス(窒素)を250mL/minで流しながら、加熱管(準備室)を180秒間エージング(バックパージ)し、次いで設定温度150℃とした加熱部を120秒間エージングする。その後にサンプルボートを加熱部に移して600秒間滴定し、温度20℃、露点−50℃の周囲環境にて含水量を測定する。測定は、前処理を行った雰囲気から取出し後、少なくとも1時間以内に行う。
外包材の含水率は、上述の方法により得られた含水量の値を元に、下記数式(3)で定義することが出来る。
含水率(ppm)=(G/MS)×106 … (3)
(上記式(3)中、Gは上記方法で検出された含水量(g)、Msはサンプルボートに乗せたサンプル重量(g)である。)
含水率は、1つの外包材から採取した少なくとも3つに対し測定し、それらの測定値の平均をその条件での含水率の値とすることができる。
含水率(ppm)=(G/MS)×106 … (3)
(上記式(3)中、Gは上記方法で検出された含水量(g)、Msはサンプルボートに乗せたサンプル重量(g)である。)
含水率は、1つの外包材から採取した少なくとも3つに対し測定し、それらの測定値の平均をその条件での含水率の値とすることができる。
2.ガスバリアフィルム
上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有するものである。外包材のガスバリアフィルムとして、金属箔等が単独で用いられる場合があり、このような金属箔等は、ガスバリア性能が高いため、真空断熱材内部の真空度を長期間にわたり高く維持することができる。しかしながら、上記金属などの無機物は熱伝導性が高いため、このようなガスバリアフィルムを有する真空断熱材の熱伝導率を低くすることは困難である。本発明においては、上記問題点に鑑み、ガスバリアフィルムを樹脂基材およびバリア層を用いて構成することにより、ガスバリアフィルムに用いられる無機物の量を低減し、上記無機物による熱伝導を抑制することができる。
上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有するものである。外包材のガスバリアフィルムとして、金属箔等が単独で用いられる場合があり、このような金属箔等は、ガスバリア性能が高いため、真空断熱材内部の真空度を長期間にわたり高く維持することができる。しかしながら、上記金属などの無機物は熱伝導性が高いため、このようなガスバリアフィルムを有する真空断熱材の熱伝導率を低くすることは困難である。本発明においては、上記問題点に鑑み、ガスバリアフィルムを樹脂基材およびバリア層を用いて構成することにより、ガスバリアフィルムに用いられる無機物の量を低減し、上記無機物による熱伝導を抑制することができる。
(1)バリア層
バリア層は、樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置され、ガスバリアフィルムのガスバリア性能に主に寄与するものである。バリア層は、所望のガスバリア性能を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、無機化合物を主成分とする層、有機化合物を主成分とする層、有機部分及び無機部分の混合化合物を主成分とする層などを用いることができ、上記バリア層は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。
バリア層は、樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置され、ガスバリアフィルムのガスバリア性能に主に寄与するものである。バリア層は、所望のガスバリア性能を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、無機化合物を主成分とする層、有機化合物を主成分とする層、有機部分及び無機部分の混合化合物を主成分とする層などを用いることができ、上記バリア層は、透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。
上記有機化合物を主成分とする層の有機化合物としては、例えば、樹脂が挙げられる。また、上記有機部分及び無機部分の混合化合物を主成分とする層の有機部分及び無機部分の混合化合物としては、例えば、樹脂部分と無機部分との混合化合物が挙げられ、具体的には、株式会社クラレ社製のクラリスタCFなどを用いることができる。無機部分としては、無機化合物を主成分とする層の無機化合物として後述するものを用いることができる。
上記無機化合物を主成分とする層の無機化合物としては、所望のガスバリア性能を発揮できる材料であればよく、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物および酸化珪素亜鉛等から選ばれる1または2以上の無機化合物等が挙げられる。具体的には、珪素(シリカ)、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウ、ムセリウム、および亜鉛から選ばれる1種または2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができる。より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物、インジウム合金酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、チタン窒化物、酸化窒化珪素等を挙げることができる。上記無機化合物は、単独で用いてもよいし、上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
あるいは、上記無機化合物を主成分とする層の無機化合物としては、例えば、金属や合金も挙げられる。具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属またはこれらを含む合金を挙げることができる。
あるいは、上記無機化合物を主成分とする層の無機化合物としては、例えば、金属や合金も挙げられる。具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属またはこれらを含む合金を挙げることができる。
上記の無機化合物の中でも、本発明においては無機酸化物であることが好ましく、特には、アルミニウム酸化物、または、珪素酸化物であることが好ましい。これらは、酸化されにくく、かつ、後述する樹脂基材との密着性が高いため、バリア層として用いた際に高いガスバリア性能を発揮することができるからである。
上述したバリア層の中でも、本発明においては上記バリア層が、無機化合物を主成分とする層、または、有機部分及び無機部分の混合化合物を主成分とする層のいずれかであることが好ましい。高温高湿な環境においても高いガスバリア性能を維持することができるからである。
バリア層の厚みは、所望のガスバリア性能を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、バリア層の種類にもよるが、例えば、5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。バリア層の厚みが上記範囲に満たないと、製膜が不十分となり所望のガスバリア性能を示すことができない場合があり、上記範囲を超えると、クラックが発生しやすくなり可撓性が低下するおそれや、バリア層が金属や合金を含む場合、本発明の外包材を用いて形成された真空断熱材において、ヒートブリッジが生じるおそれがあるからである。
バリア層は、単層であってもよく、合計の厚みが上記範囲内となるように2層以上を積層したものであってもよい。2層以上のバリア層を用いる場合は、同一組成のバリア層を組み合わせてもよく、異なる組成のバリア層を組み合わせてもよい。また、上記バリア層は、ガスバリア性能および他の層との密着性の向上を図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
樹脂基材の一方の面側にバリア層を形成する方法としては、バリア層の種類に応じて従来公知の方法を用いることができる。例えば、物理気相成長(PVD)法や化学気相成長(CVD)法等の乾式製膜法を用いて樹脂基材にバリア層を製膜する方法、具体的には、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法等を用いることができる。また、既製のバリア性の薄膜を用い、樹脂基材と予め加熱した薄膜とを熱圧着させる方法、樹脂基材または薄膜に接着剤層を介して貼合する方法等が挙げられる。PVD法およびCVD法による具体的なバリア層の製膜方法については、例えば、特開2011−5835号公報に開示される方法を用いることができる。
(2)樹脂基材
樹脂基材は、上記バリア層を支持可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、樹脂フィルムが好適に用いられる。樹脂基材が樹脂フィルムである場合、上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。上記樹脂基材は透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。
樹脂基材は、上記バリア層を支持可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、樹脂フィルムが好適に用いられる。樹脂基材が樹脂フィルムである場合、上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。上記樹脂基材は透明性を有していてもよく、有さなくてもよい。
樹脂基材に用いられる樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、各種のナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アセタール樹脂、セルロース樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。本発明においては、上記の樹脂の中でも、PET、ポリプロピレン、EVOH、PVA等が好適に用いられ、強靭性能、耐油性能、耐薬品性能、入手容易性等の各観点から、PETがより好適に用いられる。
高温高湿な環境における外包材の寸法変化の要因としては、上記外包材を構成する各部材の寸法変化を挙げることができる。ガスバリアフィルムに用いられる樹脂基材は、外包材のガスバリア性能を主に担うバリア層がその上に形成される基材であるため、上記樹脂基材の寸法変化率が大きいと、上記バリア層に応力がかかり、上記バリア層にクラックが発生する可能性がある。したがって、外包材を構成する各部材の中でも特に、上記樹脂基材は、高温高湿な環境における寸法変化率が小さいものであることが好ましく、上述した外包材の寸法変化率と同様の寸法変化率である、すなわち、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記樹脂基材の寸法を基準とした場合に、上記樹脂基材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記樹脂基材の寸法変化率が0.8%以下、中でも0.7%以下、特には0.6%以下であることが好ましい。樹脂基材の上記寸法変化率が上記範囲内であれば、外包材が高温高湿な環境に曝された場合でも、バリア層にかかる応力を抑制することができるため、バリア層へのクラックの発生を抑制することができ、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な外包材とすることができるからである。
高温高湿な環境における部材の寸法変化の主な要因としては、当該部材の膨潤を挙げることができる。そのため、本発明において外包材を構成する各部材には、極性基を多く含有しないもの等、吸水性が低いものが用いられることが好ましい。また、複数の層が積層されて構成されることが一般的な外包材においては、真空断熱材とした際に外側となる層(熱溶着可能なフィルムと反対側の層)ほど、湿度による影響を受けやすいため、真空断熱材とした際に外側となる層は特に吸水性が低いものであることが好ましい。したがって本発明においては、上述した樹脂の中でも、吸水性が低い樹脂が樹脂基材に用いられることが好ましく、外包材が複数のガスバリアフィルムを有する場合、真空断熱材とした際に外側となるガスバリアフィルムの樹脂基材には、より吸水性が低い樹脂が用いられることが好ましい。
上記樹脂基材には、種々のプラスチック配合剤や添加剤等が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。
上記樹脂基材は、表面処理が施されていてもよい。バリア層との密着性を向上させることができるからである。上記表面処理としては、例えば、特開2014−180837号公報に開示される酸化処理、凹凸化処理(粗面化処理)、易接着コート処理等を挙げることができる。
樹脂基材の厚みは、特に限定されないが、例えば6μm〜200μmの範囲内、より好ましくは、9μm〜100μmである。
(3)オーバーコート層
本発明においては、少なくとも1層の上記ガスバリアフィルムが、上記バリア層の上記樹脂基材と反対側の面側を覆うように、オーバーコート層を有していてもよい。上記オーバーコート層を有することにより、上記ガスバリアフィルムのガスバリア性能を向上させることができるからである。このようなオーバーコート層は、特に限定されるものではなく、一般にオーバーコート剤として用いられているものを用いることができる。例えば、上記オーバーコート層の主成分として、有機部分及び無機部分を含む混合化合物を用いることができる。
本発明においては、少なくとも1層の上記ガスバリアフィルムが、上記バリア層の上記樹脂基材と反対側の面側を覆うように、オーバーコート層を有していてもよい。上記オーバーコート層を有することにより、上記ガスバリアフィルムのガスバリア性能を向上させることができるからである。このようなオーバーコート層は、特に限定されるものではなく、一般にオーバーコート剤として用いられているものを用いることができる。例えば、上記オーバーコート層の主成分として、有機部分及び無機部分を含む混合化合物を用いることができる。
上記オーバーコート層の厚みは、用いられるオーバーコート剤の種類に応じて適宜設定することができ、所望のガスバリア性能が得られるものであれば特に限定されるものではない。例えば、50nm〜500nmの範囲内、中でも100nm〜400nmの範囲内の厚みにおいて用いることができる。
上記混合化合物としては、種々のものがあるが、例えば、凸版印刷株式会社製のベーセーラ(登録商標)などのアクリル酸亜鉛系の混合膜や、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、水溶性高分子とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるゾルゲル化合物などを用いることができる。上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸系樹脂、天然高分子系のメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー、多糖類などが挙げられる。なお、上記アクリル酸亜鉛系の混合膜については、特許第4373797号に開示されているものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明においては、上記混合化合物の中でも、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、例えば、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合して得られる化合物(以下、「ゾルゲル化合物」とする場合がある。)をオーバーコート層として用いることが好ましい。上記ゾルゲル化合物は、界面における接着強度が高く、また、製膜時の処理を比較的低温において行なうことができるため、上記樹脂基材等の熱による劣化を抑制することができるからである。
上記混合化合物は、例えば上記ガスバリアフィルムの上記バリア層の上に塗布して、20℃〜180℃の範囲内、かつ上記樹脂基材の融点以下の温度で30秒〜10分間加熱処理することによって、バリア層の上記樹脂基材と反対側の面側を覆うようにオーバーコート層を形成することができる。
また、上記混合化合物を上記ガスバリアフィルムの上記バリア層の上に2回以上塗布して、20℃〜180℃の範囲内、かつ、上記樹脂基材の融点以下の温度で30秒〜10分間加熱処理することによって、オーバーコート層を2層以上形成してもよい。
以下、上記ゾルゲル化合物を主成分とするオーバーコート層について、詳細に説明する。
以下、上記ゾルゲル化合物を主成分とするオーバーコート層について、詳細に説明する。
(a)ゾルゲル化合物の金属酸化物成分
上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1種以上を使用することができ、また、上記アルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されるものに限定されず、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく、更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2量体〜6量体の範囲内のものを使用してもよい。
上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1種以上を使用することができ、また、上記アルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されるものに限定されず、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく、更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2量体〜6量体の範囲内のものを使用してもよい。
上記一般式R1 nM(OR2)m中、R1としては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などを挙げることができる。
上記一般式R1 nM(OR2)m中、R2としては、分岐を有していてもよい炭素数1〜8、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜4のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他等を挙げることができる。なお、同一分子中に複数の(OR2)が存在する場合には、(OR2)は同一であっても、異なってもよい。
上記一般式R1 nM(OR2)m中、Mで表される金属原子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を例示することができる。本発明において上記金属原子は珪素であることが好ましい。この場合、本発明で好ましく使用できるアルコキシドとしては、上記一般式R1 nM(OR2)mにおいてn=0の場合には、一般式Si(ORa)4(ただし、式中、Raは、炭素数1〜5のアルキル基を表す。)で表されるものである。上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。このようなアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシランSi(OCH3)4、テトラエトキシシランSi(OC2H5)4、テトラプロポキシシランSi(OC3H7)4、テトラブトキシシランSi(OC4H9)4等を例示することができる。なお、珪素は半金属に分類される場合があるが、本明細書では珪素を金属に含めるものとする。
また、nが1以上の場合には、一般式RbnSi(ORc)4-m(ただし、式中、mは、1、2、3の整数を表し、Rb、Rcは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他を表わす。)で表されるアルキルアルコキシシランを使用することができる。このようなアルキルアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシランCH3Si(OCH3)3、メチルトリエトキシシランCH3Si(OC2H5)3、ジメチルジメトキシシラン(CH3)2Si(OCH3)2、ジメチルジエトキシシラン(CH3)2Si(OC2H5)2、その他等を使用することができる。本発明では、上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエトキシシラン、その他等を使用することができる。
本発明では、上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとして、MがZrであるジルコニウムアルコキシドも好適に使用することができる。例えば、テトラメトキシジルコニウムZr(OCH3)4、テトラエトキシジルコニウムZr(OC2H5)4、テトライソプロポキシジルコニウムZr(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシジルコニウムZr(OC4H9)4、その他等を例示することができる。
また、上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとして、MがTiであるチタニウムアルコキシドを好適に使用することができ、例えば、テトラメトキシチタニウムTi(OCH3)4、テトラエトキシチタニウムTi(OC2H5)4、テトライソプロポキシチタニウムTi(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシチタニウムTi(OC4H9)4、その他等を例示することができる。
また、上記一般式R1 nM(OR2)mで表されるアルコキシドとして、MがAlであるアルミニウムアルコキシドを使用することができ、例えば、テトラメトキシアルミニウムAl(OCH3)4、テトラエトキシアルミニウムAl(OC2H5)4、テトライソプロポキシアルミニウムAl(iso−OC3H7)4、テトラnブトキシアルミニウムAl(OC4H9)4、その他等を使用することができる。
本発明では、上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい。例えばアルコキシシランとジルコニウムアルコキシドとを混合して用いると、得られるオーバーコート層の靭性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性などの低下が回避される。この際、ジルコニウムアルコキシドの使用量は、上記アルコキシシラン100質量部に対して10質量部以下の範囲内であることが好ましい。10質量部を超えると、形成されるオーバーコート層が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、バリア層を被覆した際にオーバーコート層が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
また、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドとを混合して用いると、得られるオーバーコート層の熱伝導率が低くなり、耐熱性が著しく向上する。この際、チタニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して5質量部以下の範囲内であることが好ましい。5質量部を超えると、形成されるオーバーコート層の脆性が大きくなり、バリア層を被覆した際に、オーバーコート層が剥離し易くなる場合がある。
(b)ゾルゲル化合物の有機ポリマー成分
本発明で使用するポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することができる。ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでもよく、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、ガスバリア性能、耐水性能、耐候性能、その他等の物性を著しく向上させることができる。
本発明で使用するポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することができる。ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを用いることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでもよく、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、ガスバリア性能、耐水性能、耐候性能、その他等の物性を著しく向上させることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合、それぞれの配合割合としては、質量比で、ポリビニルアルコ一ル系樹脂:エチレン・ビニルアルコール共重合体=10:0.05〜10:6位であることが好ましい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5質量部〜500質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは20質量部〜200質量部の範囲内の配合割合である。500質量部を超えると、オーバーコート層の脆性が大きくなり、得られるオーバーコート層の耐水性能および耐候性能等が低下する場合がある。一方、5質量部を下回るとガスバリア性能が低下する場合がある。
上記ポリビニルアルコ一ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体において、ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでもよく、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRSポリマーである「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、同社製の「クラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を例示することができる。
また、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。ただし、ガスバリア性能の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが好ましい。なお、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0モル%〜50モル%の範囲内、中でも20モル%〜45モル%の範囲内であることが好ましい。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、株式会社クラレ製、「エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)」、日本合成化学工業株式会社製、「ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)」等を例示することができる。
(c)その他
上記ゾルゲル化合物を主成分とする上記オーバーコート層を形成するための原料液を調製するに際し、シランカップリング剤等を添加してもよい。
上記ゾルゲル化合物を主成分とする上記オーバーコート層を形成するための原料液を調製するに際し、シランカップリング剤等を添加してもよい。
本発明で好適に使用できるシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを広く使用することができる。例えば、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。このようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。なお、シランカップリング剤の使用量は、上記アルコキシシラン100質量部に対して1質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましい。20質量部以上を使用すると、形成されるオーバーコート層の剛性と脆性とが大きくなり、また、オーバーコート層の絶縁性および加工性が低下する場合がある。
また、ゾル−ゲル法触媒とは、主として、重縮合触媒として使用される触媒であり、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミンなどの塩基性物質が用いられる。例えば、N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、その他等を使用することができる。本発明においては、特に、N、N−ジメチルべンジルアミンが好適である。その使用量は、アルコキシド、および、シランカップリング剤の合計量100質量部当り、0.01質量部〜1.0質量部の範囲内であることが好ましい。
また、上記ゾルゲル化合物の作成において用いられる「酸」としては、上記ゾル−ゲル法において、主として、アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸などの有機酸、その他等を使用することができる。上記酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001モル〜0.05モルの範囲内を使用することが好ましい。
更に、上記のゾルゲル化合物の作成においては、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1モル〜100モルの範囲内、好ましくは、0.8モル〜2モルの範囲内の割合の水をもちいることができる。水の量が2モルを超えると、上記アルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなり、そのような多孔性のポリマーは、オーバーコート層のガスバリア性能を改善することができなくなる。また、上記の水の量が0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる場合がある。
更に、上記のゾルゲル化合物の作成において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、その他等を用いることができる。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記アルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗布液中で溶解した状態で取り扱われることが好ましく、上記有機溶媒の中から適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体を組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。なお、溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することもでき、例えば、日本合成化学工業株式会社製、商品名「ソアノール」などを好適に使用することができる。上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記アルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸およびゾル−ゲル法触媒の合計量100質量部に対して30質量部〜500質量部の範囲内であることが好ましい。
(d)ゾルゲル化合物を主成分とするオーバーコート層の形成方法
本発明において、上記ゾルゲル化合物を主成分とする上記オーバーコート層は、以下の方法で製造することができる。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合し、原料液を調製する。混合により、原料液は、重縮合反応が開始および進行する。
本発明において、上記ゾルゲル化合物を主成分とする上記オーバーコート層は、以下の方法で製造することができる。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合し、原料液を調製する。混合により、原料液は、重縮合反応が開始および進行する。
次いで、上記ガスバリアフィルムの上記バリア層の上に、常法により、上記の原料液を塗布し、乾燥する。この乾燥工程によって、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が更に進行し、塗布膜が形成される。第一の塗布膜の上に、更に上記塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗布膜を形成してもよい。
次いで、上記原料液を塗布した樹脂基材を50℃〜300℃の範囲内、かつ樹脂基材の融点以下の温度、好ましくは、70℃〜200℃の範囲内の温度で、0.05分〜60分間加熱処理する。これによって、上記バリア層の上に、上記原料液によるオーバーコート層を1層ないし2層以上形成したガスバリアフィルムを製造することができる。
なお、エチレン・ビニルアルコール共重合体単独、またはポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体との混合組成物を用いて得られたオーバーコート層は、熱水処理後のガスバリア性能に優れる。一方、ポリビニルアルコール系樹脂単独を主成分とするオーバーコート層を設ける場合にはそのオーバーコート層の上に、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するオーバーコート層を積層すると、熱水処理後のガスバリア性能を向上させることができる。
更に、エチレン・ビニルアルコール共重合体単独を主成分とするオーバーコート層、および、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体との混合組成物を主成分とするオーバーコート層の両方またはいずれか一方を複数積層しても、ガスバリア性能の向上に有効な手段となる。
(4)ガスバリアフィルム
上記ガスバリアフィルム単独(1層)のバリア性能としては、酸素透過度の初期値が0.5cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度の初期値が0.5g/(m2・day)以下であることが好ましく、中でも0.1g/(m2・day)以下であることが好ましい。上記ガスバリアフィルムの酸素および水蒸気透過度が上述の範囲内であることにより、外部より浸透した水分やガス等を真空断熱材の内部の芯材まで浸透しにくくすることができる。
上記ガスバリアフィルム単独(1層)のバリア性能としては、酸素透過度の初期値が0.5cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度の初期値が0.5g/(m2・day)以下であることが好ましく、中でも0.1g/(m2・day)以下であることが好ましい。上記ガスバリアフィルムの酸素および水蒸気透過度が上述の範囲内であることにより、外部より浸透した水分やガス等を真空断熱材の内部の芯材まで浸透しにくくすることができる。
酸素透過度は、JIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、温度23℃、湿度60%RHの条件で、酸素ガス透過度測定装置(米国MOCON社製、OXTRAN)を使用して測定することが出来る。測定は、所望のサイズに切り取ったガスバリアフィルムを上記装置内に装着し、透過面積約50cm2、温度23℃、湿度60%RHの条件で行う。上記測定の際、上記装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージする。上記キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることが出来る。パージ後、上記装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に測定する。上記試験ガスとしては、少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いる。酸素透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とすることができる。
また、上記水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、水蒸気透過度測定装置を用いてJIS K7129:2008に従い測定することができる。上記水蒸気透過度測定装置としては、米国モコン(MOCON)社製、パ−マトラン(PERMATRAN)を用いることができる。なお、上記規格に準拠した水蒸気透過度の測定方法の詳細については、「1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した方法と同様とすることが出来る。
本発明においては、上記外包材が上述したようなガスバリアフィルムを2つ以上有することが好ましい。外包材のバリア性能をより向上させることができるからである。外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有する場合、ガスバリアフィルムのバリア層の材質、樹脂基材の材質、オーバーコート層の有無等、それぞれのガスバリアフィルムの構成は同じでもよく、異なっていてもよい。同じ機能や特性を有するガスバリアフィルムを複数使用してもよく、また、異なる機能や特性を有するガスバリアフィルムを、それぞれの機能や特性に応じた配置において使用することにより、各ガスバリアフィルムの機能や特性を発揮させることができる。
さらに、例えば、上記外包材が2つ以上のガスバリアフィルムを有し、かつ、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)の樹脂基材が用いられる場合、上記EVOHを樹脂基材として用いるガスバリアフィルムは、真空断熱材とした際に、他のガスバリアフィルムよりも内側に配置されることが好ましい。EVOHは、低湿度環境では酸素透過度は極めて低いが、上記EVOHの酸素バリア性能は高湿度環境では低下しやすい。そのため、他のガスバリアフィルムを真空断熱材の外側に配置してEVOHに到達する水蒸気の量が制限された配置とすることにより、EVOHの酸素バリア性能をより発揮させることができるからである。
上記の場合、上記他のガスバリアフィルムは、EVOHで構成された樹脂基材を含まないことが好ましい。すなわち、本発明の外包材が、EVOHで構成された樹脂基材を含む第1ガスバリアフィルムと、EVOHで構成された樹脂基材を含まない第2ガスバリアフィルムと、を少なくとも有する場合、上記第1ガスバリアフィルムが、上記第2ガスバリアフィルムに対して熱溶着可能なフィルム側に配置されていることが好ましい。この様な配置にすることで、高湿度環境において、外包材内への水蒸気の透過が第2ガスバリアフィルムにより抑えられ、外包材内の湿度を低く保つことができる。これにより、高湿度環境においても、第1ガスバリアフィルムのEVOHで構成された樹脂基材の酸素バリア性能を維持することが出来るからである。
上記樹脂基材およびバリア層の積層順序は特に限定されるものではなく、外包材に共に用いられる、ガスバリアフィルム以外の各フィルムや各層の層構成、あるいは、ガスバリアフィルムの数などに応じて適宜設定することができる。例えば、図1および図2に例示されているように、外包材10を用いて真空断熱材を形成した際に、バリア層4が樹脂基材3の内側(熱溶着可能なフィルム1側)になるように配置されてもよく、また、図4(a)に例示されているように、外包材10が保護フィルム5を有する場合などは、バリア層4が樹脂基材3の外側(保護フィルム5側)になるように配置されてもよい。さらに、上記外包材10が2つのガスバリアフィルム2を有する場合は、図4(b)に例示されているように、それぞれのバリア層4が向き合うように配置されてもよく、図4(c)に例示されているように、両方のバリア層4が樹脂基材3の内側になるように配置されてもよく、図4(d)に例示されているように、両方のバリア層4が樹脂基材3の外側になるように配置されてもよい。さらに、図4(e)および図4(f)に例示されているように、真空断熱材の最外層にガスバリアフィルム2が配置される場合は、バリア層4を保護する観点から、最外層のガスバリアフィルム2のバリア層4は樹脂基材3の内側になるように配置されることが好ましい。なお、図4は、本発明の外包材の他の例を示す概略断面図である。真空断熱材を形成する際は、通常、それぞれの熱溶着可能なフィルム1が向き合うように、2枚の外包材が配置される。上述した図1や図4に例示されている外包材10は、熱溶着可能なフィルム1が最下層に配置されているため、真空断熱材を形成した際は、これらの図面における下側の層が真空断熱材の内側となり、上側の層が真空断熱材の外側に配置されることとなる。
3.熱溶着可能なフィルム
本発明における熱溶着可能なフィルムは、熱溶着が可能な層であり、上記外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接する部位である。また、対向する外包材同士の端部を熱溶着する熱溶着面を形成する部位である。
本発明における熱溶着可能なフィルムは、熱溶着が可能な層であり、上記外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接する部位である。また、対向する外包材同士の端部を熱溶着する熱溶着面を形成する部位である。
上記熱溶着可能なフィルムの材料としては、加熱によって溶融し、融着することが可能であることから熱可塑性樹脂が好ましく、例えば直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
本発明においては、上記樹脂の中でも、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が熱溶着可能なフィルムの材料として用いられることが好ましい。上記材料が上述の樹脂であることにより、上記真空断熱材を形成した際に、上記外包材同士を貼り合わせた端部において上記ガスバリアフィルムへのクラックの発生をより抑制することができるからである。
熱溶着可能なフィルムなど、外包材においてガスバリアフィルムと共に用いられる層が伸縮した場合、近接する上記ガスバリアフィルムのバリア層にも圧縮・引張応力がかかり、上記バリア層にクラックが生じ易くなる。そのため、本発明において上記熱溶着可能なフィルムは、高温高湿な環境における寸法変化率が小さいものであることが好ましく、上述した外包材の寸法変化率と同様の寸法変化率である、すなわち、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記熱溶着可能なフィルムの寸法を基準とした場合に、上記熱溶着可能なフィルムを温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記熱溶着可能なフィルムの寸法変化率が0.8%以下、中でも0.7%以下、特には0.6%以下であることが好ましい。寸法変化率が小さい熱溶着可能なフィルムとするため、上記熱溶着可能なフィルムには上記樹脂の中でも、吸水性が低く、膨潤し難い樹脂が用いられることが好ましい。
上記熱溶着可能なフィルムの融点としては、例えば80℃〜300℃の範囲内であることが好ましく、中でも100℃〜250℃の範囲内であることが好ましい。熱溶着可能なフィルムの融点が上記範囲に満たないと、本発明の外包材を用いて形成された真空断熱材の使用環境下において、外包材の封止面が剥離する可能性がある。また、熱溶着可能なフィルムの融点が上記範囲を超えると、外包材を高温で熱溶着する必要があるため、外包材として共に用いられるガスバリアフィルムや保護フィルム等が熱に因り劣化される可能性がある。
また、上記熱溶着可能なフィルムは、上述した樹脂の他に、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記熱溶着可能なフィルムの厚みは、例えば15μm〜100μmの範囲内が好ましく、中でも25μm〜90μmの範囲内が好ましく、特に30μm〜80μmの範囲内が好ましい。熱溶着可能なフィルムの厚みが上記範囲よりも大きいと、外包材のバリア性能が低下する場合等があり、厚みが上記範囲よりも小さいと、所望の接着力が得られない場合がある。
4.保護フィルム
本発明の外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムの他に、保護フィルムを有することが好ましい。熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルム等、外包材として共に用いられる各層を、損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にも上述したバリア層が配置されていない点で、ガスバリアフィルムと区別することが可能である。上記保護フィルムの外包材における配置位置は特に限定されるものではないが、上記ガスバリアフィルムの上記熱溶着可能なフィルムとは反対の面側など、真空断熱材を形成する際に最外層(最表層)となる位置に、保護フィルムが配置されていることが好ましい。
本発明の外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムの他に、保護フィルムを有することが好ましい。熱溶着可能なフィルムやガスバリアフィルム等、外包材として共に用いられる各層を、損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にも上述したバリア層が配置されていない点で、ガスバリアフィルムと区別することが可能である。上記保護フィルムの外包材における配置位置は特に限定されるものではないが、上記ガスバリアフィルムの上記熱溶着可能なフィルムとは反対の面側など、真空断熱材を形成する際に最外層(最表層)となる位置に、保護フィルムが配置されていることが好ましい。
上記保護フィルムとしては、熱溶着可能なフィルムよりも高融点の樹脂を用いたものであればよく、シート状でもフィルム状でもよい。このような保護フィルムとして、例えば、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノ系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド(PI)等の熱硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロースナノファイバー(CNF)等のシートまたはフィルム等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が好適に用いられる。
保護フィルムなど、外包材においてガスバリアフィルムと共に用いられる層が伸縮した場合、近接する上記ガスバリアフィルムのバリア層にも圧縮・引張応力がかかり、上記バリア層にクラックが生じ易くなる。そのため、本発明において上記保護フィルムは、高温高湿な環境における寸法変化率が小さいものであることが好ましく、上述した外包材の寸法変化率と同様の寸法変化率である、すなわち、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記保護フィルムの寸法を基準とした場合に、上記保護フィルムを温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記保護フィルムの寸法変化率が0.8%以下、中でも0.7%以下、特には0.6%以下であることが好ましい。寸法変化率が小さい保護フィルムとするため、上記保護フィルムには上記樹脂の中でも、吸水性が低く、膨潤し難い樹脂が用いられることが好ましい。
上記保護フィルムは、本発明の外包材を用いて真空断熱材を形成した際に、真空断熱材の内部を保護するのに十分な強度を有し、耐熱性能、耐ピンホ−ル性能、耐突き刺し性能等に優れたものであることが好ましい。また、上記保護フィルムは、酸素バリア性能や水蒸気バリア性能などの、ガスバリア性能を有していることが好ましい。
上記保護フィルムは、単層であってもよく、同一材料から成る層または異なる材料から成る層を積層させて多層としたものであってもよい。また上記保護フィルムは、他の層との密着性の向上が図れるという点から、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記保護フィルムの厚みは、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを保護することができる厚さであれば特に限定されるものではないが、一般的に5μm〜80μmの範囲内程度である。
5.真空断熱材用外包材
上記外包材の厚みとしては、所望のバリア性能や強度を得ることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。また、上記外包材の引張強度としては、50N/15mm以上であることが好ましく、なかでも80N/15mm以上であることが好ましい。本発明の外包材を用いて形成された真空断熱材を屈曲させる際に破断等が生じにくくなるためである。なお、上記引張強度は、JIS Z1707に基づいて測定した値である。
上記外包材の厚みとしては、所望のバリア性能や強度を得ることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。また、上記外包材の引張強度としては、50N/15mm以上であることが好ましく、なかでも80N/15mm以上であることが好ましい。本発明の外包材を用いて形成された真空断熱材を屈曲させる際に破断等が生じにくくなるためである。なお、上記引張強度は、JIS Z1707に基づいて測定した値である。
上記外包材の積層方法としては、所望の構成の外包材を得ることができるものであれば特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、予め成膜した各フィルムを接着剤を使用して貼り合せるドライラミネーション法や、熱溶融させたガスバリアフィルムの各材料をTダイ等を用いて押出しして貼り合せ、得られた積層体に接着剤を介して熱溶着可能なフィルムを貼り合せる方法等が挙げられる。
上記外包材は、初期の酸素透過度が0.1cc/(m2・day・atm)以下、中でも0.05cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。上記外包材が上記範囲内の初期ガスバリア性能を有し、かつ、劣化されにくいガスバリアフィルムを有するものとすることにより、高温高湿な環境に長時間曝された場合でも、高い断熱性能を有する真空断熱材を形成することができるからである。上述したような範囲のガスバリア性能は、上述したようなガスバリアフィルムを複数用いること等により達成することができる。なお、上記外包材の初期の酸素透過度の測定方法は、上記「2.ガスバリアフィルム、(4)ガスバリアフィルム」において説明した、ガスバリアフィルムの各透過度の測定方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。測定の際は、所望のサイズに切り取った外包材の表面のうち、上記外包材の厚み方向(積層方向ともいう。以下同じ。)において、熱溶着可能なフィルム側と反対側の外包材の最表面が酸素ガスに接するようにして装置に装着して行う。
B.真空断熱材
次に、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とするものである。
次に、本発明の真空断熱材について説明する。本発明の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とするものである。
本発明の真空断熱材については、既に説明した図2に例示するものと同様とすることができる。本発明によれば、上記真空断熱材用外包材が上述の真空断熱材用外包材であることにより、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材とすることができる。
本発明の真空断熱材は、真空断熱材用外包材および芯材を少なくとも有するものである。
以下、本発明の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
以下、本発明の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.真空断熱材用外包材
本発明の真空断熱材用外包材は、上記芯材を封入するものである。また、上記真空断熱材用外包材は、上述の本発明の真空断熱材用外包材である。このような真空断熱材用外包材については、「A.真空断熱材用外包材」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、封入するとは、上記外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
本発明の真空断熱材用外包材は、上記芯材を封入するものである。また、上記真空断熱材用外包材は、上述の本発明の真空断熱材用外包材である。このような真空断熱材用外包材については、「A.真空断熱材用外包材」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、封入するとは、上記外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
2.芯材
本発明における芯材は、上記真空断熱材用外包材により封入されるものである。
上記芯材としては、熱伝導率の低いものであることが好ましい。上記芯材は、その空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
本発明における芯材は、上記真空断熱材用外包材により封入されるものである。
上記芯材としては、熱伝導率の低いものであることが好ましい。上記芯材は、その空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材であることが好ましい。
上記芯材を構成する材料としては、粉体、発泡体、繊維体等を用いることができる。
上記粉体としては、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
上記粉体としては、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の劣化が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
また、上記発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等があり、これらのなかでも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
また、上記繊維体としては、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。
上記芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
3.真空断熱材
本発明の真空断熱材は、上記真空断熱材用外包材で封入された内部を減圧密封し、真空状態としたものである。上記真空断熱材内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の真空度を上記範囲内とすることにより、内部に残存する空気の対流による熱伝導を小さいものとすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となる。
本発明の真空断熱材は、上記真空断熱材用外包材で封入された内部を減圧密封し、真空状態としたものである。上記真空断熱材内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の真空度を上記範囲内とすることにより、内部に残存する空気の対流による熱伝導を小さいものとすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となる。
また、上記真空断熱材の熱伝導率は低いことが好ましく、例えば、上記真空断熱材の25℃における熱伝導率(初期熱伝導率)は、15mW/m・K以下であることが好ましく、なかでも10mW/m・K以下であることが好ましく、特に5mW/m・K以下であることが好ましい。真空断熱材の熱伝導率を上記範囲とすることにより、上記真空断熱材は熱を外部に伝導しにくくなることから、高い断熱効果を奏することができるからである。なお、上記熱伝導率は、JIS A1412−2に従い、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とすることができる。上記熱伝導率測定装置としては、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名 HC−074、英弘精機製)を挙げることができる。
詳しくは、熱伝導率の測定は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠した熱流計法により、以下の条件で、測定試料である真空断熱材の両方の主面が上下方向を向くように熱伝導率測定装置内に配置して行う。熱伝導率測定前に、測定試料の温度が測定環境温度と等しくなっているかを、熱流計などを使用して予め測定しておくことが好ましい。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
上記真空断熱材はガスバリア性能が高いことが好ましい。外部からの水分や酸素等の侵入による真空度の低下を防止することができるからである。上記真空断熱材のガスバリア性能については、上述した「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した水蒸気透過度、および、上述した「A.真空断熱材用外包材 5.真空断熱材用外包材」の項で説明した酸素透過度と同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.製造方法
本発明の真空断熱材の製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、予め上述の外包材を準備し、2枚の上記外包材をそれぞれの熱溶着可能なフィルムが内側に向き合う様に対向させ、その間に上記芯材を配置し、製袋機等によって上記芯材の外周の一方を開口部とし、残り三方の外包材同士の端部を熱溶着することで、2枚の上記外包材により形成され、内部に上記芯材が配置された袋体を準備し、次いで、上記袋体を真空封止機に装着し、上記袋体の内部圧力を減圧した状態で上記開口部を密封することにより、上記芯材が上記外包材により封入された真空断熱材が得られる。
本発明の真空断熱材の製造方法としては、一般的な方法を用いることができる。例えば、予め上述の外包材を準備し、2枚の上記外包材をそれぞれの熱溶着可能なフィルムが内側に向き合う様に対向させ、その間に上記芯材を配置し、製袋機等によって上記芯材の外周の一方を開口部とし、残り三方の外包材同士の端部を熱溶着することで、2枚の上記外包材により形成され、内部に上記芯材が配置された袋体を準備し、次いで、上記袋体を真空封止機に装着し、上記袋体の内部圧力を減圧した状態で上記開口部を密封することにより、上記芯材が上記外包材により封入された真空断熱材が得られる。
また、上記製造方法は、1枚の上記外包材を熱溶着可能なフィルムが内側に向き合う様に対向させ、その間に上記芯材を配置し、製袋機等によって上記芯材の外周の一方を開口部とし、残り二方の上記外包材同士の端部を熱溶着することで、1枚の上記外包材により形成され、内部に上記芯材が配置された袋体を準備し、次いで、上記袋体を真空封止機に装着し、上記袋体の内部圧力を減圧した状態で上記開口部を密封することにより、上記芯材が上記外包材により封入された真空断熱材を得る方法であっても良い。
5.用途
本発明の真空断熱材は、熱伝導率が低く、高温高湿な環境においても断熱性能および耐久性能に優れるものである。従って、上記真空断熱材は、熱源を有し発熱する部位や、外部から加熱されることにより高温となる部位に用いることができる。本発明の用途としては、例えば、「C.真空断熱材付き物品」で説明する機器、クーラーボックス、輸送用コンテナ、水素等の燃料タンク、システムバス、温水タンク、保温庫、住宅壁、自動車、飛行機、船舶、列車等が挙げられる。
本発明の真空断熱材は、熱伝導率が低く、高温高湿な環境においても断熱性能および耐久性能に優れるものである。従って、上記真空断熱材は、熱源を有し発熱する部位や、外部から加熱されることにより高温となる部位に用いることができる。本発明の用途としては、例えば、「C.真空断熱材付き物品」で説明する機器、クーラーボックス、輸送用コンテナ、水素等の燃料タンク、システムバス、温水タンク、保温庫、住宅壁、自動車、飛行機、船舶、列車等が挙げられる。
C.真空断熱材付き物品
次に、本発明の真空断熱材付き物品について説明する。本発明の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とするものである。
次に、本発明の真空断熱材付き物品について説明する。本発明の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、上記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、上記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、物品に備わる上記真空断熱材が、「A.真空断熱材用外包材」の項で説明した外包材を用いた真空断熱材であり、高温環境下にて長期間断熱性能を維持することができるため、良好な断熱性能を有する物品とすることができる。
ここで、本発明における熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。
また、本発明における物品としては、熱絶縁を要する物品であれば特に限定されず、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
本発明の真空断熱材付き物品の具体例としては、本体又は内部に熱源部または被保温部を有する機器、および真空断熱材を備える真空断熱材付き機器が挙げられる。
ここで、「熱源部」とは、機器自体が駆動することにより、当該機器本体または機器内部において発熱する部位をいうものであり、例えば電源やモーター等をいう。また、「被保温部」とは、機器本体または内部に熱源部を有さないが、上記機器が外部の熱源から熱を受けて、高温になる部位をいうものである。
本発明によれば、上記真空断熱材が上述の真空断熱材であり、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができるため、熱源部を有する機器においては、上記真空断熱材により熱源部からの熱を断熱し、機器全体の温度が高温となることを防止し、一方、被保温部を有する機器においては、上記真空断熱材により上記被保温部の温度状態を保つことができる。これにより、消費電力を抑えた高い省エネルギー特性を有する機器とすることができる。
本発明における真空断熱材については、上述した「B.真空断熱材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における機器とは、本体又は本体の内部に熱源部もしくは被保温部を有するものである。本発明における機器としては、例えば、自然冷媒ヒートポンプ給湯機(登録商標「エコキュート」)、冷蔵庫、自動販売機、炊飯ジャー、ポット、電子レンジ、業務用オーブン、IHクッキングヒーター、OA機器等の電化機器、自動車、住宅壁等が挙げられる。中でも本発明においては、上記機器が、自然冷媒ヒートポンプ給湯機、業務用オーブン、電子レンジ、自動車、住宅壁であり、これらの機器に上述の本発明の真空断熱材を用いることが好ましい。
上記真空断熱材を機器に装着する態様としては、当該機器の熱源部もしくは被保温部に直接真空断熱材を貼り付けてもよく、被保温部と熱源部または外部熱源との間に真空断熱材を挟みこむようにして装着してもよい。
D.真空断熱材用外包材の設計方法
次に、本発明の真空断熱材用外包材の設計方法について説明する。本発明の真空断熱材用外包材の設計方法は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたガスバリア層を有するガスガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材の設計方法であって、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下となるように、上記真空断熱材用外包材の層構成を設計することを特徴とするものである。
次に、本発明の真空断熱材用外包材の設計方法について説明する。本発明の真空断熱材用外包材の設計方法は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたガスバリア層を有するガスガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材の設計方法であって、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下となるように、上記真空断熱材用外包材の層構成を設計することを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した寸法変化率を有する外包材となるように、外包材の層構成を設計することにより、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な外包材を設計することができる。
本発明の真空断熱材用外包材の設計方法においては、上述した「A.真空断熱材用外包材」の項において説明したように、高温高湿な環境における寸法変化率が、特定の範囲内となるように外包材の層構成を設計することにより、上記外包材を、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能なものとするものである。このような外包材を設計する方法は、上述した「A.真空断熱材用外包材」の項の記載と同様であるため、ここでの説明は省略する。
E.真空断熱材用外包材の製造方法
次に、本発明の真空断熱材用外包材の製造方法について説明する。本発明の真空断熱材用外包材の製造方法は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたガスバリア層を有するガスガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材の製造方法であって、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下となるように、上記真空断熱材用外包材の層構成を設計する設計工程を有することを特徴とするものである。
次に、本発明の真空断熱材用外包材の製造方法について説明する。本発明の真空断熱材用外包材の製造方法は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材および上記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたガスバリア層を有するガスガスバリアフィルムとを有する真空断熱材用外包材の製造方法であって、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での上記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、上記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、上記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下となるように、上記真空断熱材用外包材の層構成を設計する設計工程を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記設計工程を有することにより、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能な外包材を製造することができる。
本発明の真空断熱材用外包材の製造方法は、設計工程において、上述した「A.真空断熱材用外包材」の項において説明したように、高温高湿な環境における寸法変化率が特定の範囲内となるように外包材の層構成を設計することにより、上記外包材を、高温高湿な環境においても長期間断熱性能を維持することができる真空断熱材を形成可能なものとするものである。このような設計工程は、上述した「A.真空断熱材用外包材」の項の記載と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明においては、上記設計工程において設計された外包材を得ることができるものであれば、上述した設計工程以外の各工程については特に限定されるものではなく、外包材の一般的な製造方法における各工程と同様のものとすることができる。例えば、予め成膜した各層を接着剤を使用して貼り合せるドライラミネーション工程や、熱溶融させたガスガスバリアフィルムの各材料をTダイ等を用いて押出しして貼り合せ、得られた積層体に接着剤を介して熱溶着可能なフィルムを貼り合せる、貼り合わせ工程等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(接着剤の調製)
ポリエステルを主成分とする主剤、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤、および酢酸エチルを、重量配合比が主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:14となるように混合し、2液硬化型の接着剤を調製した。
(接着剤の調製)
ポリエステルを主成分とする主剤、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤、および酢酸エチルを、重量配合比が主剤:硬化剤:酢酸エチル=10:1:14となるように混合し、2液硬化型の接着剤を調製した。
(真空断熱材用外包材の作製)
熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(TUX−HCE、三井化学東セロ社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み12μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(VMXL、株式会社クラレ製)を用いた。第2ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(VM−PET1510、東レ株式会社製)を用いた。保護フィルムとして、厚み25μmのPETフィルム(ルミラー25QGG2、東レ株式会社製)を用いた。上記各層は、下層となる層の面上に上述の配合比で調製した接着剤を、塗布量3.5g/m2となるようにドライラミネート法により積層した。
熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(TUX−HCE、三井化学東セロ社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み12μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(VMXL、株式会社クラレ製)を用いた。第2ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(VM−PET1510、東レ株式会社製)を用いた。保護フィルムとして、厚み25μmのPETフィルム(ルミラー25QGG2、東レ株式会社製)を用いた。上記各層は、下層となる層の面上に上述の配合比で調製した接着剤を、塗布量3.5g/m2となるようにドライラミネート法により積層した。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着層がエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着層がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。なお、外包材の層構成中、「/」は積層界面を示す。以下、同様とする。
[実施例2]
熱溶着可能なフィルムとして、厚み25μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム(CTG−25、ユニチカ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
熱溶着可能なフィルムとして、厚み25μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム(CTG−25、ユニチカ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例3]
保護フィルムとして、厚み15μmのナイロンフィルム(エンブレム NX−15、ユニチカ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして外包材を得た。
保護フィルムとして、厚み15μmのナイロンフィルム(エンブレム NX−15、ユニチカ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして外包材を得た。
[実施例4]
熱溶着可能なフィルムとして、厚み30μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(Coxec、倉敷紡績株式会社製)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして外包材を得た。
熱溶着可能なフィルムとして、厚み30μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(Coxec、倉敷紡績株式会社製)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして外包材を得た。
[比較例1]
保護フィルムとして、厚み25μmのナイロンフィルム(エンブレムONBC、ユニチカ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
保護フィルムとして、厚み25μmのナイロンフィルム(エンブレムONBC、ユニチカ株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外包材を得た。
[実施例5]
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/第3ガスバリアフィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルム、および第3ガスバリアフィルムとして、片面に金属酸化物リン酸層を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(クラリスタCF、株式会社クラレ社製)をそれぞれ用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、金属酸化物リン酸層がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、金属酸化物リン酸層がPETフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/第3ガスバリアフィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルム、および第3ガスバリアフィルムとして、片面に金属酸化物リン酸層を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(クラリスタCF、株式会社クラレ社製)をそれぞれ用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、金属酸化物リン酸層がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、金属酸化物リン酸層がPETフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。
[実施例6]
(バリア性塗布膜用組成物の調製)
表1に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(テトラエトキシシラン(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。
(バリア性塗布膜用組成物の調製)
表1に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(テトラエトキシシラン(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。
(真空断熱材用外包材の作製)
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムとして、厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(PET−F、ユニチカ株式会社製)の片面上に、酸化珪素(SiO2)膜(厚み20nm)を有し、さらにSiO2膜上にバリアコート膜(厚み300nm)を有するガスバリアフィルムをそれぞれ用いた。SiO2膜は、PETフィルムの片面上に蒸着法により形成した。バリアコート膜は、SiO2膜上に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物をグラビアコート法によりコーティングし、次いで、120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理して形成した。保護フィルムとして、厚み15μmのバリアナイロンフィルム(IB−ON−UB、大日本印刷株式会社製)を用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、SiO2膜がPETフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、SiO2膜がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムとして、厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(PET−F、ユニチカ株式会社製)の片面上に、酸化珪素(SiO2)膜(厚み20nm)を有し、さらにSiO2膜上にバリアコート膜(厚み300nm)を有するガスバリアフィルムをそれぞれ用いた。SiO2膜は、PETフィルムの片面上に蒸着法により形成した。バリアコート膜は、SiO2膜上に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物をグラビアコート法によりコーティングし、次いで、120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理して形成した。保護フィルムとして、厚み15μmのバリアナイロンフィルム(IB−ON−UB、大日本印刷株式会社製)を用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、SiO2膜がPETフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、SiO2膜がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
[実施例7]
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/第3ガスバリアフィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレン(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルムおよび第3ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(VM−PET1519、東レフィルム加工株式会社製)をそれぞれ用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がPETフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/第3ガスバリアフィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレン(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルムおよび第3ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(VM−PET1519、東レフィルム加工株式会社製)をそれぞれ用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がPETフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。
[実施例8]
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレン(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルムとして、片面に金属酸化物リン酸層を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(クラリスタCF、株式会社クラレ社製)を用いた。保護フィルムとして、厚み15μmのバリアナイロンフィルム(IB−ON−UB、大日本印刷株式会社製)を用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、金属酸化物リン酸層がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレン(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルムとして、片面に金属酸化物リン酸層を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(クラリスタCF、株式会社クラレ社製)を用いた。保護フィルムとして、厚み15μmのバリアナイロンフィルム(IB−ON−UB、大日本印刷株式会社製)を用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、金属酸化物リン酸層がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
[実施例9]
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレン(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルムとして、片面上に酸化珪素(SiO2)を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(テックバリアLX、三菱樹脂株式会社製)のSiO2膜上にバリアコート膜(厚み:300nm)を有するガスバリアフィルムを用いた。バリアコート層は、実施例6で調製したバリア性塗布膜用組成物を用いて、実施例6と同様の方法で成膜した。保護フィルムとして、厚み15μmのバリアナイロンフィルム(IB−ON−UB、大日本印刷株式会社製)を用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、SiO2膜がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
実施例1と同様の方法で、熱溶着可能なフィルム/第1ガスバリアフィルム/第2ガスバリアフィルム/保護フィルムの層構成を有する外包材を作製した。熱溶着可能なフィルムとして、厚み50μmの未延伸ポリプロピレン(SC、三井化学東セロ株式会社製)を用いた。第1ガスバリアフィルムとして、片面にアルミニウム蒸着膜を有する厚み15μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(TMXL、株式会社クラレ社製)を用いた。第2ガスバリアフィルムとして、片面上に酸化珪素(SiO2)を有する厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(テックバリアLX、三菱樹脂株式会社製)のSiO2膜上にバリアコート膜(厚み:300nm)を有するガスバリアフィルムを用いた。バリアコート層は、実施例6で調製したバリア性塗布膜用組成物を用いて、実施例6と同様の方法で成膜した。保護フィルムとして、厚み15μmのバリアナイロンフィルム(IB−ON−UB、大日本印刷株式会社製)を用いた。
上記外包材においては、第1ガスバリアフィルムは、アルミニウム蒸着膜がEVOHフィルムに対して第2ガスバリアフィルム側となるように配置した。第2ガスバリアフィルムは、SiO2膜がPETフィルムに対して第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
[評価1:外包材の寸法変化率(正規方法による)]
正規方法により外包材の寸法および寸法変化率を求めた。まず、「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の寸法変化率 (2)真空断熱材用外包材の寸法変化率」の項で説明した正規方法における測定試料の採取方法に従い、実施例1の外包材から所望のサイズの試験片(試験片数N=1)を切り出し、上記試験片から8点の測定試料を採取した。
正規方法により外包材の寸法および寸法変化率を求めた。まず、「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の寸法変化率 (2)真空断熱材用外包材の寸法変化率」の項で説明した正規方法における測定試料の採取方法に従い、実施例1の外包材から所望のサイズの試験片(試験片数N=1)を切り出し、上記試験片から8点の測定試料を採取した。
次に、各測定試料について、「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の寸法変化率 (2)真空断熱材用外包材の寸法変化率」の項で説明した正規方法により、初期寸法として昇温および昇湿前の温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での測定試料の寸法L0、ならびに、湿熱雰囲気内寸法として、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の測定試料の寸法L、を測定した。寸法測定は、熱機械分析装置(TMA/SS7100、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから湿度一定で昇温終了温度70℃まで昇温する昇温過程と、それに続く温度一定で昇湿終了湿度90%RHまで昇湿する昇湿過程と、それに続く温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持する恒温恒湿過程と、それに続く温度25℃、湿度0%RHへ降温および降湿する降温降湿過程と、の一連の過程での測定試料の寸法を経時で測定した。測定は、荷重400mN/mm2の引張モードで行い、測定条件の詳細は、上記項において説明した「TMAによる寸法測定条件」に従った。
得られた測定試料の寸法L0および寸法Lから、下記数式(4)により測定試料の寸法変化(%)を算出し、その8点平均を、外包材の高温高湿な環境における寸法変化とした。
高温高湿な環境における寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (4)
得られた測定試料の寸法L0および寸法Lから、下記数式(4)により測定試料の寸法変化(%)を算出し、その8点平均を、外包材の高温高湿な環境における寸法変化とした。
高温高湿な環境における寸法変化率(%)=(L−L0)/L0×100 … (4)
また、降温降湿過程後の温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での測定試料の寸法L1を測定し、測定試料の寸法L0および寸法L1から下記数式(5)により測定試料の寸法変化率(%)を算出し、その8点平均を、外包材の降温降湿過程後の寸法変化率とした。
降温降湿過程後の寸法変化率(%)=(L1−L0)/L0×100 … (5)
降温降湿過程後の寸法変化率(%)=(L1−L0)/L0×100 … (5)
実施例2〜9および比較例1の各外包材についても、同様の方法で寸法測定を行い、高温高湿な環境における寸法変化、および降温降湿過程後の寸法変化率の算出を行った。
実施例1〜9および比較例1の各外包材の、高温高湿な環境における寸法変化、および降温降湿過程後の寸法変化率の結果を表2に示す。
実施例1〜9および比較例1の各外包材の、高温高湿な環境における寸法変化、および降温降湿過程後の寸法変化率の結果を表2に示す。
[評価2:温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持した後の外包材の水蒸気透過度]
上記各実施例および比較例で得られた各外包材について、初期の水蒸気透過度の測定と、各外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持した後の水蒸気透過度の測定とを、以下の手順で行った。まず、2枚の外包材を準備し、上記2枚の外包材を、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うように対向させ、外包材の内側には何も内包されていない状態で、上記外包材の外周の全周を熱溶着し、密封された袋体を形成した。上記熱溶着は大気圧下で行い、上記袋体の内部も減圧しなかった。
上記各実施例および比較例で得られた各外包材について、初期の水蒸気透過度の測定と、各外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持した後の水蒸気透過度の測定とを、以下の手順で行った。まず、2枚の外包材を準備し、上記2枚の外包材を、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うように対向させ、外包材の内側には何も内包されていない状態で、上記外包材の外周の全周を熱溶着し、密封された袋体を形成した。上記熱溶着は大気圧下で行い、上記袋体の内部も減圧しなかった。
上記袋体は、上述した上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した試験片と同様の方法で形成されたものである。
上記方法により形成され、上記密封された各袋体の、熱溶着されていない部分の外包材を切り取り、上記切り取った部分の外包材の水蒸気透過度を測定した。測定結果を表2に示す(表2の「0時間」)。また、上記方法により形成され、密封された各袋体を、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持した後に、上記保持された各袋体の、熱溶着されていない部分の外包材を切り取り、上記切り取った部分の外包材の水蒸気透過度を測定した。測定結果を表2に示す(表2の「100時間」)。なお、上記各外包材の水蒸気透過度は、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を使用して、JIS K7129:2008に従い測定した。
袋体から切り取った部分のサイズ、および水蒸気透過度測定装置による測定方法の詳細は、保持時間を100時間にしたこと以外、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した詳細に従った。
[評価3:温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下、または温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の外包材の水蒸気透過度]
実施例1〜2、比較例1の外包材について、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度、および、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を用いて、JIS K7129:2008に従い、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でそれぞれ測定した。測定の方法および手順の詳細は、外包材を各雰囲気下で100時間保持後、測定用に外包材を所望のサイズに切り取ったこと以外、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した方法および手順の詳細と同様とした。
実施例1〜2、比較例1の外包材について、初期、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で100時間保持後、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後、の各水蒸気透過度を図5に示す。また、評価3で測定した温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度も図5に示す。
実施例1〜2、比較例1の外包材について、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度、および、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を用いて、JIS K7129:2008に従い、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でそれぞれ測定した。測定の方法および手順の詳細は、外包材を各雰囲気下で100時間保持後、測定用に外包材を所望のサイズに切り取ったこと以外、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した方法および手順の詳細と同様とした。
実施例1〜2、比較例1の外包材について、初期、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で100時間保持後、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後、の各水蒸気透過度を図5に示す。また、評価3で測定した温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度も図5に示す。
[評価4:温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間ごとの外包材の水蒸気透過度]
実施例5〜9の外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で0時間、100時間、200時間、300時間、400時間、500時間の各時間で保持した後の水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を用いて、JIS K7129:2008に従い温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でそれぞれ測定した。測定の方法および詳細は、外包材を上述した各保持時間で保持した後、測定用に外包材を所望のサイズに切り取ったこと以外は、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した方法および手順の詳細と同様とした。
結果を表2に示す。また、実施例5〜9の外包材の温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下における100時間ごとの水蒸気透過度の経時変化のグラフを図6に示す。
結果を表2に示す。また、実施例5〜9の外包材の温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下における100時間ごとの水蒸気透過度の経時変化のグラフを図6に示す。
[評価5:屈曲処理後の外包材の水蒸気透過度]
実施例1〜2、比較例1の外包材について、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形する試験片を採取し、ASTM F392に準拠して、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名:BE1006)により、上記試験片に対し屈折処理を行った。上記屈曲処理は、試験片の両短辺をゲルボフレックステスターのつかみ具に取り付け、試験片を最大ねじれ角が440°となるようにねじりながら、3.5インチだけ縮め、次いで試験片をねじらずに2.5インチだけさらに縮め、その後、試験片を逆の行程で、最初の状態に戻すことを1サイクルとし、各試験片について3サイクル実施した。
各外包材について、屈曲処理後の水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を用いて、JIS K7129:2008に従い温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でそれぞれ測定した。測定の方法および手順の詳細は、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した方法および手順の詳細と同様にした。
実施例1〜2、比較例1の外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度と、屈曲処理後の水蒸気透過度を図7に示す。
実施例1〜2、比較例1の外包材について、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形する試験片を採取し、ASTM F392に準拠して、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名:BE1006)により、上記試験片に対し屈折処理を行った。上記屈曲処理は、試験片の両短辺をゲルボフレックステスターのつかみ具に取り付け、試験片を最大ねじれ角が440°となるようにねじりながら、3.5インチだけ縮め、次いで試験片をねじらずに2.5インチだけさらに縮め、その後、試験片を逆の行程で、最初の状態に戻すことを1サイクルとし、各試験片について3サイクル実施した。
各外包材について、屈曲処理後の水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定装置(米国MOCON社製、PARMATRAN)を用いて、JIS K7129:2008に従い温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でそれぞれ測定した。測定の方法および手順の詳細は、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (1)真空断熱材用外包材の水蒸気透過度」の項で説明した方法および手順の詳細と同様にした。
実施例1〜2、比較例1の外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度と、屈曲処理後の水蒸気透過度を図7に示す。
[評価6:外包材の含水率]
実施例1〜4および比較例1で得られた外包材について、JIS K0113:2005に準拠して、カールフィッシャー法の電量滴定法により温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水量を測定した。測定は、一体型カールフィッシャー水分計(カールフィッシャー水分計 MKC−510と水分気化装置 ADP−611の一体型、共に京都電子工業株式会社製)を用い、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (3)真空断熱材用外包材の含水率」の項で説明した方法および手順で行った。得られた含水量および下記数式(6)から、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の外包材の含水率を算出した。
含水率(ppm)=(G/MS)×106 … (6)
(上記数式(6)中、Gは上記方法で検出された含水量(g)、Msはサンプルボートに乗せたサンプル重量(g)である。)
結果を表2に示す
実施例1〜4および比較例1で得られた外包材について、JIS K0113:2005に準拠して、カールフィッシャー法の電量滴定法により温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水量を測定した。測定は、一体型カールフィッシャー水分計(カールフィッシャー水分計 MKC−510と水分気化装置 ADP−611の一体型、共に京都電子工業株式会社製)を用い、上述の「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の特性 (3)真空断熱材用外包材の含水率」の項で説明した方法および手順で行った。得られた含水量および下記数式(6)から、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の外包材の含水率を算出した。
含水率(ppm)=(G/MS)×106 … (6)
(上記数式(6)中、Gは上記方法で検出された含水量(g)、Msはサンプルボートに乗せたサンプル重量(g)である。)
結果を表2に示す
[考察1]
実施例1〜9および比較例1の結果から、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内にある実施例1〜9の外包材は、高温高湿な環境において長時間保持した後の水蒸気透過度が低いことが示唆された。一方、比較例1の外包材は、実施例1〜4の外包材と初期水蒸気透過度が同程度であるが、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持した段階で、水蒸気透過度が実施例1〜4の外包材と比較して大幅に上昇しており、高温高湿環境において長期間良好なガスバリア性能を維持することができないことが示唆された。
実施例1〜9および比較例1の結果から、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内にある実施例1〜9の外包材は、高温高湿な環境において長時間保持した後の水蒸気透過度が低いことが示唆された。一方、比較例1の外包材は、実施例1〜4の外包材と初期水蒸気透過度が同程度であるが、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持した段階で、水蒸気透過度が実施例1〜4の外包材と比較して大幅に上昇しており、高温高湿環境において長期間良好なガスバリア性能を維持することができないことが示唆された。
実施例3〜4の外包材は、最外層にPETフィルムよりも吸湿性の高いナイロンフィルムを有している点で実施例2の外包材と相違するが、実施例3〜4と実施例2を比較しても、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度について、顕著な上昇は確認されなかった。上記の結果から、外包材を構成する層の一部に吸湿性の材料層を含む場合であっても、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の外包材全体での寸法変化率が所定の範囲内にあれば、高温高湿環境において長期間良好なガスバリア性能を維持することが可能であることが示唆された。
実施例1〜4および比較例1の外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水率を比較すると、寸法変化率の大きい比較例1の外包材は上記含水率が10000ppm以上となっており、膨潤による寸法変化が生じていることが示唆された。
高温高湿環境において、外包材の寸法変化率が大きくなる要因として、「(1)湿度による膨張」と「(2)温度による膨張」とがあり、「(1)湿度による膨張」に関しては、外包材を構成する層の種類により、吸湿による膨張が抑制可能となることが推量される。
ここで、実施例3は保護フィルムとして、PETフィルムに代えてナイロンフィルムを用いる点で実施例2と相違する。ナイロンは通常PETよりも吸湿しやすいが、実施例2と実施例3とでは、外包材全体での含水率が同等であるため、高温高湿保持後の寸法変化率、および温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度が、それぞれ同程度の値を示した。
また、実施例2および3では、熱溶着可能なフィルムとして、PETフィルムに代えてPBTフィルムを用いる点で実施例4と相違する。PBTは特に湿熱環境での膨張が小さく、かつ、ヤング率が小さい等の硬い材料である。このため、実施例2および3と実施例4とを比較すると、実施例2および3の方が湿熱による寸法変化率が小さいことが示された。
これらの結果から、外包材は、高温高湿環境下で所定時間保持後の含水率が所定値以下であることで、特に「(1)湿度による膨張」に起因した外包材全体での寸法変化率を小さくすることが可能であると想定される。
高温高湿環境において、外包材の寸法変化率が大きくなる要因として、「(1)湿度による膨張」と「(2)温度による膨張」とがあり、「(1)湿度による膨張」に関しては、外包材を構成する層の種類により、吸湿による膨張が抑制可能となることが推量される。
ここで、実施例3は保護フィルムとして、PETフィルムに代えてナイロンフィルムを用いる点で実施例2と相違する。ナイロンは通常PETよりも吸湿しやすいが、実施例2と実施例3とでは、外包材全体での含水率が同等であるため、高温高湿保持後の寸法変化率、および温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度が、それぞれ同程度の値を示した。
また、実施例2および3では、熱溶着可能なフィルムとして、PETフィルムに代えてPBTフィルムを用いる点で実施例4と相違する。PBTは特に湿熱環境での膨張が小さく、かつ、ヤング率が小さい等の硬い材料である。このため、実施例2および3と実施例4とを比較すると、実施例2および3の方が湿熱による寸法変化率が小さいことが示された。
これらの結果から、外包材は、高温高湿環境下で所定時間保持後の含水率が所定値以下であることで、特に「(1)湿度による膨張」に起因した外包材全体での寸法変化率を小さくすることが可能であると想定される。
図5で示すように、実施例1〜2、比較例1の各外包材について、初期、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で100時間保持後、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の、各条件での水蒸気透過度を比較した。いずれの外包材についても、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度が際立って高かった。また、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で100時間保持後の外包材の水蒸気透過度は、各外包材の初期水蒸気透過度と極めて近い値であった。
これらの結果から、雰囲気の温度が外包材の水蒸気透過度の劣化に与える影響は、極めて限定的であることが示唆された。また、実施例1〜2、比較例1の各外包材について、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度の値には、あまり差が見られなかったが、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度の値を見ると、実施例1〜2と比較例1とで大きな差が生じていることが確認された。これらの結果から、外包材の寸法変化率および水蒸気透過度を規定するに際し、単なる外包材の熱膨張ではなく、高温における水蒸気の影響を考慮した「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気」における値を規定することで、外包材が、高温高湿環境において良好なバリア性能を安定して維持可能であるか否かを確認することができると推量される。
これらの結果から、雰囲気の温度が外包材の水蒸気透過度の劣化に与える影響は、極めて限定的であることが示唆された。また、実施例1〜2、比較例1の各外包材について、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度の値には、あまり差が見られなかったが、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の水蒸気透過度の値を見ると、実施例1〜2と比較例1とで大きな差が生じていることが確認された。これらの結果から、外包材の寸法変化率および水蒸気透過度を規定するに際し、単なる外包材の熱膨張ではなく、高温における水蒸気の影響を考慮した「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気」における値を規定することで、外包材が、高温高湿環境において良好なバリア性能を安定して維持可能であるか否かを確認することができると推量される。
また、0時間から500時間まで、100時間ごとに経時で水蒸気透過度を測定した実施例5〜9の外包材のうち、特に実施例5〜6の外包材は、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内にあり、且つ、70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持後の水蒸気透過度が0.2g/(m2・day)以下を示しており、初期からの水蒸気透過度の上昇が他の実施例7〜9よりも低い傾向を示した。このことから、実施例5〜6の外包材は、高温高湿環境での水蒸気透過度の経時上昇が抑えられ、初期のみならず長期間良好なバリア性能を安定して維持する特性に優れていることが示唆された。
表2および図6で示すように、実施例5〜9の外包材は、初期水蒸気透過度が同じ値を示しているが、層構成によって100時間ごとの経時での水蒸気透過度の上昇傾向が異なり、実施例7、8の外包材は、保持時間が400時間から500時間の間で水蒸気透過度が急激に上昇する傾向にあることが確認された。この結果から、外包材のガスバリア性能を、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度」の数値で規定することにより、高温高湿環境における外包材の経時での水蒸気透過度の上昇傾向が異なる場合であっても、長期ガスバリア性能の保持の可否を判断することが可能であることが示唆された。
表2および図6で示すように、実施例5〜9の外包材は、初期水蒸気透過度が同じ値を示しているが、層構成によって100時間ごとの経時での水蒸気透過度の上昇傾向が異なり、実施例7、8の外包材は、保持時間が400時間から500時間の間で水蒸気透過度が急激に上昇する傾向にあることが確認された。この結果から、外包材のガスバリア性能を、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度」の数値で規定することにより、高温高湿環境における外包材の経時での水蒸気透過度の上昇傾向が異なる場合であっても、長期ガスバリア性能の保持の可否を判断することが可能であることが示唆された。
さらに、表2に示すように、実施例1〜2、比較例1の各外包材の初期水蒸気透過度は、全て0.30g/(m2・day)で一律であった。一方、図7に示すように、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で100時間保持後の各外包材の水蒸気透過度の値は、実施例2、実施例1、比較例1の順で値が大きい傾向にあった。また、屈曲処理後の外包材の水蒸気透過度の値は、実施例2、比較例1、実施例1の順で値が大きい傾向にあった。上記の結果から、湿熱による水蒸気透過度の変化と外力負荷による水蒸気透過度の変化とは、異なる傾向を示し、環境の影響による外包材の破損と、外力による外包材の破損との間に相関関係がないことが示唆された。
(実験例1〜2および比較実験例1)
実施例1〜2および比較例1の各外包材から採取した、一辺の幅が10cmの正方形の外包材を実験例1〜2および比較実験例1とした。正方形の外包材のうち、任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とした。
実験例1〜2および比較実験例1の外包材について、上記「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の寸法変化率 (2)真空断熱材用外包材の寸法変化率」の項で説明した、任意方法による外包材の寸法変化率の規定に従い、実験例1〜2および比較実験例1の外包材の寸法および寸法変化率を測定し、下記評価7〜9を行った。
実施例1〜2および比較例1の各外包材から採取した、一辺の幅が10cmの正方形の外包材を実験例1〜2および比較実験例1とした。正方形の外包材のうち、任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とした。
実験例1〜2および比較実験例1の外包材について、上記「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の寸法変化率 (2)真空断熱材用外包材の寸法変化率」の項で説明した、任意方法による外包材の寸法変化率の規定に従い、実験例1〜2および比較実験例1の外包材の寸法および寸法変化率を測定し、下記評価7〜9を行った。
[評価7:真空断熱材用外包材の寸法変化率の測定(任意方法による)]
実験例1〜2および比較実験例1の外包材について、高温高湿な環境における寸法変化率を測定した。寸法変化率は、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での外包材の寸法を基準とし、上記「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の寸法変化率 (2)真空断熱材用外包材の寸法変化率」において説明した任意方法により各温度・湿度における外包材の寸法を測定し、寸法変化率を求めた。測定結果を下記表3に示す。なお、下記表3の「寸法変化率(%)」における「温度70℃、湿度90%RH」の欄は、恒温恒湿過程終了後の各外包材の寸法変化率を、「温度25℃、湿度0%RH」の欄は、降温降湿過程終了後の各外包材の寸法変化率を示すものである。
実験例1〜2および比較実験例1の外包材について、高温高湿な環境における寸法変化率を測定した。寸法変化率は、温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での外包材の寸法を基準とし、上記「A.真空断熱材用外包材 1.真空断熱材用外包材の寸法変化率 (2)真空断熱材用外包材の寸法変化率」において説明した任意方法により各温度・湿度における外包材の寸法を測定し、寸法変化率を求めた。測定結果を下記表3に示す。なお、下記表3の「寸法変化率(%)」における「温度70℃、湿度90%RH」の欄は、恒温恒湿過程終了後の各外包材の寸法変化率を、「温度25℃、湿度0%RH」の欄は、降温降湿過程終了後の各外包材の寸法変化率を示すものである。
[評価8:温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率(任意方法による)]
実験例1〜2および比較実験例1の各外包材について、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率を、熱機械分析装置(TMA/SS7100、日立ハイテクサイエンス社製)により、荷重400mN/mm2の引張モードで測定した。測定は、下記昇温・昇湿条件に従い、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから湿度一定で昇温終了温度40℃まで昇温する昇温過程と、それに続く温度一定で昇湿終了湿度90%RHまで昇湿する昇湿過程と、それに続く温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持する恒温恒湿過程と、の一連の過程での寸法を経時で測定し、初期寸法(昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの寸法)に対する寸法変化率を測定した。
温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持後の寸法変化率は、下記数式(7)で定義され、外包材の任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とし、それぞれの方向における寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)=(L2−L0)/L0×100 … (7)
(上記数式(7)中、L2は温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持後の長さ、L0は昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの長さである。)
実験例1〜2および比較実験例1の各外包材について、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率を、熱機械分析装置(TMA/SS7100、日立ハイテクサイエンス社製)により、荷重400mN/mm2の引張モードで測定した。測定は、下記昇温・昇湿条件に従い、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから湿度一定で昇温終了温度40℃まで昇温する昇温過程と、それに続く温度一定で昇湿終了湿度90%RHまで昇湿する昇湿過程と、それに続く温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持する恒温恒湿過程と、の一連の過程での寸法を経時で測定し、初期寸法(昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの寸法)に対する寸法変化率を測定した。
温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持後の寸法変化率は、下記数式(7)で定義され、外包材の任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とし、それぞれの方向における寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)=(L2−L0)/L0×100 … (7)
(上記数式(7)中、L2は温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持後の長さ、L0は昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの長さである。)
(温度40℃、湿度90%RHまでの昇温・昇湿条件)
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:40℃
昇湿終了湿度:90%RH(温度40℃、湿度90%RHで2時間保持)
昇温速度:10℃/min
昇湿速度:20%RH/mi
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:40℃
昇湿終了湿度:90%RH(温度40℃、湿度90%RHで2時間保持)
昇温速度:10℃/min
昇湿速度:20%RH/mi
[評価9:温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率(任意方法による)]
実験例1〜2および比較実験例1の外包材について、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率を、熱機械分析装置(TMA/SS7100、日立ハイテクサイエンス社製)により、荷重400mN/mm2の引張モードで測定した。測定は、下記昇温条件に従い、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから湿度一定で昇温終了温度70℃まで昇温する昇温過程と、それに続く温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持する恒温恒湿過程と、の一連の過程での寸法を経時で測定し、初期寸法(昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの寸法)に対する寸法変化率を測定した。
温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持後の寸法変化率は、下記数式(8)で定義され、外包材の任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とし、それぞれの方向における寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)=(L3−L0)/L0×100 … (8)
(上記数式(8)中、L3は温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持後の長さ、L0は昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの長さである。)
実験例1〜2および比較実験例1の外包材について、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率を、熱機械分析装置(TMA/SS7100、日立ハイテクサイエンス社製)により、荷重400mN/mm2の引張モードで測定した。測定は、下記昇温条件に従い、昇温開始温度25℃、昇湿開始湿度0%RHから湿度一定で昇温終了温度70℃まで昇温する昇温過程と、それに続く温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持する恒温恒湿過程と、の一連の過程での寸法を経時で測定し、初期寸法(昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの寸法)に対する寸法変化率を測定した。
温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持後の寸法変化率は、下記数式(8)で定義され、外包材の任意の一辺に平行な方向を第1方向、上記任意の一辺に垂直な辺に平行な方向を第2方向とし、それぞれの方向における寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)=(L3−L0)/L0×100 … (8)
(上記数式(8)中、L3は温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で2時間保持後の長さ、L0は昇温・昇湿前の温度25℃、湿度0%RHでの長さである。)
(温度70℃、湿度0%RHまでの昇温条件)
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:70℃
昇湿終了湿度:0%RH(温度70℃、湿度0%RHで2時間保持)
昇温速度:10℃/min
昇温開始温度:25℃
昇湿開始湿度:0%RH
昇温終了温度:70℃
昇湿終了湿度:0%RH(温度70℃、湿度0%RHで2時間保持)
昇温速度:10℃/min
実験例1〜2および比較実験例1の各外包材について、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下、および温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で、それぞれ2時間保持した後の寸法変化率を、図8(a)、(b)に示す。図8(a)は第1方向の寸法変化率を示し、図8(b)は第2方向の寸法変化率を示す。
(まとめ)
温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率が小さい実験例1〜2の外包材は、高温高湿な環境において長時間保持した後の水蒸気透過度が低いことが分かる。一方、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率が大きい比較実験例1は、外包材の水蒸気透過度の初期値は実験例1〜2と同程度であり、極めて低いが、高温高湿な環境において長時間保持した後の水蒸気透過度は実験例1〜2よりも大幅に高いことが分かる。
温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率が小さい実験例1〜2の外包材は、高温高湿な環境において長時間保持した後の水蒸気透過度が低いことが分かる。一方、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の寸法変化率が大きい比較実験例1は、外包材の水蒸気透過度の初期値は実験例1〜2と同程度であり、極めて低いが、高温高湿な環境において長時間保持した後の水蒸気透過度は実験例1〜2よりも大幅に高いことが分かる。
また、図8(a)、(b)の結果から、実験例1〜2および比較実験例1の各外包材のいずれにおいても、方向を問わず、同じ保持時間であれば、温度70℃、湿度0%RHの雰囲気下で保持したときの寸法変化率が最も小さく、次いで、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下、温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下の順で、寸法変化率が大きくなることが示めされた。この結果より、雰囲気の温度が外包材の寸法変化率へ与える影響よりも、雰囲気の湿度が外包材の寸法変化率へ与える影響の方が大きいこと推量される。
すなわち、図8の結果から、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下」で所望の時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内にある外包材は、高温高湿環境においても水蒸気透過度の急激な上昇が生じにくく、良好なバリア性能を安定して維持することが可能であることが示唆された。
すなわち、図8の結果から、「温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下」で所望の時間保持した後の寸法変化率が所定の範囲内にある外包材は、高温高湿環境においても水蒸気透過度の急激な上昇が生じにくく、良好なバリア性能を安定して維持することが可能であることが示唆された。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2 … ガスバリアフィルム
3 … 樹脂基材
4 … バリア層
5 … 保護フィルム
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
12 … 端部
20 … 真空断熱材
2 … ガスバリアフィルム
3 … 樹脂基材
4 … バリア層
5 … 保護フィルム
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
12 … 端部
20 … 真空断熱材
Claims (8)
- 熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有する真空断熱材用外包材であって、
前記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、
温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での前記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、前記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、前記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とする真空断熱材用外包材。 - 温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で500時間保持した後の水蒸気透過度が0.2g/(m2・day)以下であることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材用外包材。
- 温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の含水率が10000ppm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
- 前記バリア層が、無機化合物、または有機化合物と無機化合物との混合物のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材。
- 前記真空断熱材用外包材が、前記ガスバリアフィルムを2つ以上有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の真空断熱用外包材。
- 前記ガスバリアフィルムの前記熱溶着可能なフィルムとは反対側の面側に保護フィルムを有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の真空断熱用外包材。
- 芯材と、前記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有する真空断熱材であって、
前記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、
前記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、
温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での前記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、前記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、前記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とする真空断熱材。 - 熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材を封入する真空断熱材用外包材とを有し、
前記真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリアフィルムを有し、
前記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面側に配置されたバリア層とを有し、
温度25℃、湿度0%RHの雰囲気下での前記真空断熱材用外包材の寸法を基準とした場合に、前記真空断熱材用外包材を温度70℃、湿度90%RHの雰囲気下で2時間保持した後の、前記真空断熱材用外包材の寸法変化率が0.8%以下であることを特徴とする真空断熱材付き物品。
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JP2017032367A JP2018135995A (ja) | 2017-02-23 | 2017-02-23 | 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 |
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WO2020175503A1 (ja) * | 2019-02-26 | 2020-09-03 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 真空断熱材 |
WO2023157762A1 (ja) * | 2022-02-15 | 2023-08-24 | 大日本印刷株式会社 | 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 |
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2017
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