JP2019002442A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境において酸素バリア性能を長期間維持することが可能な真空断熱材用外包材、およびそれを用いた真空断熱材、ならびに真空断熱材付き物品を提供する。【解決手段】熱溶着可能なフィルム1と、樹脂基材3、および、樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜4を有するガスバリアフィルム2を1つ以上と、を少なくとも有する真空断熱材用外包材10であって、ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含む膜厚が50nm以上500nm以下の範囲内であるオーバーコート層5をさらに有し、真空断熱材用外包材の灰分が1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内である、真空断熱材用外包材。【選択図】図1
Description
本開示は、真空断熱材に用いられる外包材に関する。
近年、物品の省エネルギー化を目的として、真空断熱材が用いられている。真空断熱材は、外包材の袋体内に芯材が密封封入されており、上記袋体内が大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている部材であり、内部の熱対流が抑制されるため、良好な断熱性能を発揮することができる。なお、真空断熱材に用いられる外包材のことを、真空断熱材用外包材、または単に外包材と称して説明する。
真空断熱材用外包材は、真空断熱材内部の真空状態を長期間保持するために、酸素や水蒸気等のガスの透過を抑制するためのガスバリア性能、端部を接合して袋体とし、芯材を密閉するための熱溶着性等の特性が要求される。外包材は、これらの特性を満たすため、一般に、ガスバリア層および熱溶着可能なフィルムを部材として含む構成が採用されている(特許文献1〜4)。ガスバリア層としては、数μm〜数10μmレベルの厚みを有する金属箔や、樹脂基材の片面に数nm〜数100nmレベルの厚みを有するガスバリア膜を有し、上記ガスバリア膜が無機物を含むガスバリアフィルムが用いられる。
特に、ガスバリアフィルムは、薄厚でも高いガスバリア性能を発揮することが可能であり、ヒートブリッジが生じにくい。また、ガスバリアフィルムは、金属箔よりも屈曲性が良好であるため、真空断熱材を形成する際に欠陥が生じにくく、欠陥発生によるガスバリア性能の低下が生じにくい。
しかし、ガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを用いた真空断熱材用外包材は、23℃の常温環境において、酸素透過度が低く良好な酸素バリア性能を示す場合であっても、100℃の高温環境に一定時間晒すと、酸素透過度が上昇し、酸素バリア性能が低下するという場合がある。そして、このような真空断熱材用外包材を用いて製造された真空断熱材は、熱による外包材の酸素バリア性能の低下により、内部の真空状態が損なわれ、その結果、断熱性能が低下してしまうため、高温環境での長期使用が困難であるという問題がある。
本開示は、高温環境において酸素バリア性能を長期間維持することが可能な真空断熱材用外包材、およびそれを用いた真空断熱材、ならびに真空断熱材付き物品を提供することを主目的とする。
本開示は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材、および、上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を少なくとも有する真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含む膜厚が50nm以上500nm以下の範囲内であるオーバーコート層をさらに有し、上記真空断熱材用外包材の灰分が1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内である、真空断熱材用外包材を提供する。
また、本開示は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が上述した真空断熱材用外包材である、真空断熱材を提供する。
また、本開示は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が上述した真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品を提供する。
本開示によれば、高温環境において酸素バリア性能を長期間維持することが可能な真空断熱材用外包材を提供することができる。また、本開示によれば、高温環境でも長期間良好な断熱性能を維持できる真空断熱材、それを用いた真空断熱材付き物品を提供することができる。
本開示は、真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を実施形態に含む。以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
I.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材、および、上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を少なくとも有する真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含む膜厚が50nm以上500nm以下の範囲内であるオーバーコート層をさらに有し、上記真空断熱材用外包材の灰分が1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内である。
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材、および、上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を少なくとも有する真空断熱材用外包材であって、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含む膜厚が50nm以上500nm以下の範囲内であるオーバーコート層をさらに有し、上記真空断熱材用外包材の灰分が1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内である。
本開示において「ガスバリア性能」とは、特に断りが無い場合は、酸素等の気体および/または水蒸気の透過を阻止する機能を意味するものとする。
図1は、本開示の外包材の一例を示す概略断面図である。図1に例示する本開示の外包材10は、熱溶着可能なフィルム1と、ガスバリアフィルム2を2つ(2A、2B)と、を有する。ガスバリアフィルム2A、2Bは、樹脂基材3と、樹脂基材3の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜4と、を有する。2つのガスバリアフィルム2A、2Bのうち、ガスバリアフィルム2Aは、無機フィラーを含む膜厚が所定範囲内にあるオーバーコート層5を、ガスバリア膜4の樹脂基材3とは反対側の面上にさらに有する。また、本開示の外包材10は、灰分が所定の範囲内である。
図2(a)および(b)は、本開示の外包材を用いた真空断熱材の一例を示す概略斜視図およびX−X線断面図である。真空断熱材20は、芯材11と、芯材11が封入された外包材10とを有する。外包材10は、端部12で外包材10の熱溶着可能なフィルム側同士が接合されて袋体となっている。外包材10により構成された袋体内には芯材11が配置され、大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている。なお、図2における外包材10の層構成については、詳細の説明を省略する。
本開示の外包材によれば、灰分が所定の範囲内にあることで、例えば23℃の常温環境および100℃の高温環境において、長期間、所望の酸素バリア性能を発揮するのに十分な量の無機物を含むことができる。このため、本開示の外包材を用いた真空断熱材は、長期間、内部の高真空状態を維持することができ、高温環境においても良好な断熱性能を長期間発揮することができる。また、本開示の外包材を用いた真空断熱材において、ヒートブリッジ等の、外包材に含まれる無機物による熱伝導性の上昇を抑えることができる。
また、本開示の外包材によれば、ガスバリアフィルムの少なくとも1つが、無機フィラーを含む所定の膜厚を有するオーバーコート層がガスバリア膜と接して設けられていることで、熱応力によりガスバリア膜に生じるクラック等の欠陥を無機フィラーで塞ぐことができるため、酸素透過度の上昇を抑制することができる。このため、高温環境において長期間、良好な酸素バリア性能を維持することができる。
すなわち、外包材は、高温に長期間晒されると、ガスバリアフィルムを構成する樹脂基材が熱伸縮するが、このとき、樹脂基材と接するガスバリア膜は、樹脂基材の熱伸縮に伴うせん断応力を受けることで、クラック等の欠陥が発生してしまう。ガスバリア膜に欠陥が生じると、上記欠陥からガスの透過が可能となるため、酸素透過度が上昇してしまい、酸素バリア性能が低下してしまう。水蒸気透過度および水蒸気バリア性能についても同様である。また、欠陥発生によるガスバリア膜の酸素バリア性能の低下を補うために、例えば、ガスバリア性能を有するオーバーコート層をガスバリア膜上に設ける場合がある。しかし、公知のオーバーコート層は、樹脂やゾルゲル反応物等の有機物を主成分とするため、高温に長期間晒されると、樹脂基材と同様に熱伸縮する。このため、ガスバリア膜は、オーバーコート層の熱収縮によるせん断応力も受けることになり、欠陥がより発生し易くなる。また、オーバーコート層は、一般に、塗布法によりガスバリア膜上に形成され、塗布の際にガスバリア膜に存する欠陥部分にオーバーコート層の材料が充填されることで、欠陥部分を塞ぐことが出来る。しかし、欠陥部分を塞いだオーバーコート層の材料が熱収縮することで、欠陥を拡張して酸素バリア性能がさらに低下してしまう場合がある。
これに対し、本開示によれば、オーバーコート層が無機フィラーを含んでおり、樹脂基材からのせん断応力を受けてガスバリア膜に欠陥が発生する場合であっても、上記オーバーコート層に含まれる無機フィラーにより上記欠陥部分が埋まることで、酸素透過度の上昇を抑え、良好な酸素バリア性能を維持することができる。また、上記オーバーコート層は、無機物の比率を高くすることで、高温に長期間晒される場合であっても、オーバーコート層自体の熱伸縮が生じにくい。さらに、ガスバリア膜の一方の面において樹脂基材が熱収縮しても、他方の面で無機フィラーを含むオーバーコート層を有することで、ガスバリア膜が受けるせん断応力を軽減することができ、欠陥の発生を抑制することができる。これにより、本開示の外包材は、高温環境において長期間、良好な酸素バリア性能を維持することができる。
このように、本開示の外包材は、高温環境において長期間、良好な酸素バリア性能を維持することができる。また、本開示の外包材を用いた真空断熱材は、高温環境において長期間、良好な断熱性能を維持することができる。
以下、本開示の外包材の特性および構成について説明する。
A.特性
本開示の外包材は、以下の特性を有することができる。
本開示の外包材は、以下の特性を有することができる。
1.灰分
本開示の外包材は、灰分が1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内である。詳しくは、本開示の外包材は、灰分が1.0質量%以上であればよく、1.1質量%以上であることが好ましく、1.2質量%以上であることがより好ましい。また、本開示の外包材は、灰分は5.0質量%以下であることが好ましく、中でも4.9質量%以下とすることができ、特に4.8質量%以下であることがより好ましい。
本開示の外包材は、灰分が1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内である。詳しくは、本開示の外包材は、灰分が1.0質量%以上であればよく、1.1質量%以上であることが好ましく、1.2質量%以上であることがより好ましい。また、本開示の外包材は、灰分は5.0質量%以下であることが好ましく、中でも4.9質量%以下とすることができ、特に4.8質量%以下であることがより好ましい。
ここで、外包材の灰分とは、外包材全体の質量における、外包材が燃え尽きたあとに残る不燃性成分の割合をいい、上記割合は、外包材全体に占める無機物の含有率に近似する。ここで、無機物とは、例えば、金属(合金を含む)、金属元素および非金属元素の化合物等の無機化合物をいう。
外包材のガスバリア性能は、主に無機物を含む層(無機物層)により発揮される。このため、外包材のガスバリア性能は、外包材全体に占める無機物の含有率により規定することができる。ここで、無機物の含有率を調整する方法として、例えば無機物層の厚みを特定する等の方法が考えられる。しかし、例えばガスバリア膜は、その形成条件によって得られる膜の密度が異なり、また、上記無機物層には有機化合物が含まれることがあるため、外包材全体に占める無機物の含有率を単純に無機物層の厚みのみで規定することは困難である。
本発明者らは、総合的な指標として外包材の灰分に着目し、灰分の値と高温試験における熱伝導率の変動を検証した結果、これらについて、良好な相関関係があることを見出した。外包材の灰分は、無機物の使用態様が複雑な場合に、総合的な指標としての利点が大きい。すなわち、本開示の外包材は、灰分が所定の範囲内にあることで、所望のガスバリア性能を長期間発揮するのに十分な量の無機物を含むことができる。その結果、本開示の外包材を用いた真空断熱材は、長期間、低熱伝導性を維持することができ、上記真空断熱材において、上記外包材が過剰量の無機物を含むことによるヒートブリッジの発生を抑制することができる。
上記灰分が上述した範囲内よりも少ない場合、外包材全体に占める無機物の含有率が小さすぎるため、良好な初期ガスバリア性能が得られない場合や、初期バリア性能は良好であっても、長期間維持できない場合がある。また、外包材全体に対するガスバリア膜の占有率も低くなるため、上記ガスバリア膜がガスバリア性能を発揮するのに十分な厚みを有さないことが示唆される。上記外包材が複数のガスバリアフィルムを用いる場合、ガスバリア膜1層当たりの厚みは更に小さくなることが予想される。このため、上記ガスバリア膜は、ガスを透過しやすくなり、また、クラック等の欠陥が発生しやすくなると予想される。その結果、本開示の外包材を真空断熱材に用いた場合に、短時間で内部の真空状態が損なわれ、熱伝導性の上昇により長期間断熱性能を維持できない虞がある。一方、上記灰分が上述した範囲内よりも多い場合、外包材全体に占める無機物の含有率が大きくなるため、上記外包材を用いた真空断熱材においてヒートブリッジが発生して熱伝導性が高くなる場合がある。
上記灰分は、外包材の構成、外包材における各層の比重、厚み、ガスバリア膜やオーバーコート層等の無機物を主成分とする層の数等から理論値を算出することができる。具体的には、外包材における各層の単位面積当たりの重量を比重および厚みから算出し、無機物を主成分とする層の重量の総和を、外包材全体の重量の総和で割ることで算出することができる。ここで外包材における各層とは、例えば、樹脂基材およびガスバリア膜を有するガスバリアフィルムのように、外包材を構成する1つの部材が2以上の層から構成される場合は、それぞれの層をいう。また、無機物を主成分とする層としては、ガスバリア膜、オーバーコート層が挙げられる。
上述した灰分の上限は、例えば、下記のガスバリアフィルムAを3つと、下記のガスバリアフィルムBを1つと、ガスバリアフィルムB側の面にガスバリア膜およびオーバーコート層を有する下記の熱溶着可能なフィルムと、をこの順に有し、各ガスバリアフィルムAの層間、最も熱溶着可能なフィルム側に位置するガスバリアフィルムAおよびガスバリアフィルムBの層間、ならびにガスバリアフィルムBおよび熱溶着可能なフィルムの層間を、それぞれ接着層(厚み3μm、比重約1.0g/cm3)で貼り合せた構成を有する外包材から規定することができる。上記ガスバリアフィルムAは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm、比重1.38g/cm3)の片面に、Al−O−P結合(ここで、Alはアルミニウム原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有するガスバリア膜A(厚み500nm、比重2.566g/cm3)を有するものとする。上記ガスバリアフィルムBは、PETフィルム(厚み12μm、比重1.38g/cm3)の片面に、アルミニウム蒸着膜であるガスバリア膜B(厚み65nm、比重2.7g/cm3)を有し、さらに上記ガスバリア膜B上に無機フィラーを含み膜厚が所定の範囲内にあるオーバーコート層A(膜厚200nm、比重2.60g/cm3)を有するものとする。上記熱溶着可能なフィルムは、CPPフィルム(厚み25μm、比重0.9g/cm3)とし、上記熱溶着可能なフィルムは、ガスバリアフィルムB側の面にアルミニウム蒸着膜であるガスバリア膜C(厚み40nm、比重2.7g/cm3)を有し、さらに上記ガスバリア膜C上に無機フィラーを含み膜厚が所定の範囲内にあるオーバーコート層B(膜厚200nm、比重2.60g/cm3)を有するものとする。上述の構成を有する外包材の灰分は、下記数式(1)から約4.88質量%となる理論値を得ることができる。
上記数式(1)中、W1はガスバリアフィルムAの質量、W2はガスバリアフィルムBの質量、W3はガスバリア膜Cの質量、W4はオーバーコート層Bの質量、W5は熱溶着可能なフィルムの質量、W6は接着層の質量、W7はガスバリアフィルムAのガスバリア膜Aの質量、W8はガスバリアフィルムBのガスバリア膜Bの質量、W9はガスバリアフィルムBのオーバーコート層Aの質量とする。各層の単位面積(1cm2)あたりの質量は、厚み(膜厚)(cm)と比重(g/cm3)との積で算出する。
本開示において灰分は、熱重量/示差熱同時分析装置(TG−DTA)を用いて、測定試料の質量を測定した後、アルミパン中、かつ、大気雰囲気下で、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温後、そのまま600℃で30分間加熱して測定試料を灰化し、加熱前の質量に対する加熱後の質量を百分率で表した値とする。上記熱重量/示差熱同時分析装置としては、例えば株式会社リガク製のTG8120を用いることができる。
2.酸素透過度
本開示の外包材は、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度が、0.1cc/(m2・day・atm)以下とすることができ、中でも0.05cc/(m2・day・atm)以下とすることができる。なお、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度とは、温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管する前の外包材の、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度であり、初期酸素透過度と称する場合がある。本開示の外包材の初期酸素透過度が上記の範囲内にあることで、初期の酸素バリア性能が良好となる。
本開示の外包材は、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度が、0.1cc/(m2・day・atm)以下とすることができ、中でも0.05cc/(m2・day・atm)以下とすることができる。なお、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度とは、温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管する前の外包材の、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度であり、初期酸素透過度と称する場合がある。本開示の外包材の初期酸素透過度が上記の範囲内にあることで、初期の酸素バリア性能が良好となる。
温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度は、JIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を使用して、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHに調整し測定することができる。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば米国MOCON社製OXTRANを用いることができる。測定は、外包材の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層の表面が、酸素ガスに接するようにして上記装置内に装着し、透過面積約50cm2(透過領域:直径8cmの円形)として、キャリアガスおよび試験ガスの状態を上記の温度および湿度の条件に調整して行う。上記測定の際、上記装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージする。上記キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることができる。パージ後、上記装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に測定を開始する。上記試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いる。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の酸素透過度の値とする。以下に説明する他の温度および湿度条件での酸素透過度の測定においても同様とする。
また、本開示の外包材は、温度100℃での酸素透過度が、0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.08cc/(m2・day・atm)以下、特に0.05cc/(m2・day・atm)以下とすることができる。ここでいう「温度100℃での酸素透過度」とは、後述する、温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管する前の外包材の、温度100℃、湿度0%RHの条件での酸素透過度であり、高温保管前酸素透過度と称する場合がある。
本開示の外包材は、温度100℃、湿度0%RHの条件での酸素透過度を上記の範囲内とすることで高温環境下でも良好な熱伝導率を示す真空断熱材を実現することができる。
温度100℃での酸素透過度は、JIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を使用して、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度100℃、湿度0%RHに調整して測定することができる。測定方法の詳細は、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度100℃、湿度0%RHに調整したこと以外は、上述した温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度の測定方法と同様とすることができる。
さらに、本開示の外包材は、温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管後の、温度100℃での酸素透過度が、0.1cc/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.08cc/(m2・day・atm)以下、特に0.05cc/(m2・day・atm)以下とすることができる。なお、温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管後の、温度100℃の条件での酸素透過度とは、温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管後の、温度100℃、湿度0%RHの条件での酸素透過度であり、高温保管後酸素透過度と称する場合がある。
本開示の外包材は、温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管後の、温度100℃での酸素透過度を上記の範囲内とすることで、高温環境下でも長期間良好な熱伝導率を維持できる真空断熱材を実現することができる。
温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管後の、温度100℃での酸素透過度は、以下の手順で測定することができる。まず、幅21.0cm×長さ29.7cmの矩形状の外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルムが向き合うようにして重ねて、全周に亘って端部(外包材の外縁から1cmの位置における幅10mmの領域)を大気圧中で190℃の加熱温度で熱溶着して接合し、試験片とする。上記試験片は、減圧されていない状態とし、内部には何も内包しなくても良いし、PETフィルム等のフィルムを内包しても良い。上記試験片を温度100℃、湿度無管理の雰囲気中で500時間保管後、上記試験片の熱溶着されていない領域から幅9cm×長さ9cmの大きさでサンプルを切り取り、切り取った外包材の酸素透過度を、JIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を使用して、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度100℃、湿度0%RHに調整して測定する。測定方法の詳細は、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度100℃、湿度0%RHに調整したこと以外は、上述した温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度の測定方法と同様とすることができる。
3.水蒸気透過度
本開示の外包材は、水蒸気透過度が0.5g/(m2・day)以下であることが好ましく、中でも0.1g/(m2・day)以下、特には0.05g/(m2・day)以下であることが好ましい。本開示の外包材は、水蒸気透過度が上記の範囲内にあることで、水蒸気バリア性能が高く、高断熱性能を有する真空断熱材を形成することができるからである。
本開示の外包材は、水蒸気透過度が0.5g/(m2・day)以下であることが好ましく、中でも0.1g/(m2・day)以下、特には0.05g/(m2・day)以下であることが好ましい。本開示の外包材は、水蒸気透過度が上記の範囲内にあることで、水蒸気バリア性能が高く、高断熱性能を有する真空断熱材を形成することができるからである。
水蒸気透過度の測定は、ISO 15106−5:2015(差圧法)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。水蒸気透過度測定装置としては、例えば、英国Technolox社製DELTAPERMを用いることができる。測定は、所望のサンプルサイズに切り取った外包材の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層の表面が、高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm2(透過領域:直径8cmの円形)として上記の条件で行う。1つの条件で少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。
B.構成
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムを1つ以上と、を少なくとも有する。
本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムと、ガスバリアフィルムを1つ以上と、を少なくとも有する。
1.ガスバリアフィルム
ガスバリアフィルムは、樹脂基材、および上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有する。本開示の外包材は、ガスバリアフィルムを1つ以上有し、そのうち少なくとも1つが、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含む所定膜厚のオーバーコート層をさらに有する。以下、無機フィラーを含む所定膜厚のオーバーコート層のことを、フィラー含有オーバーコート層と称する場合がある。また、フィラー含有オーバーコート層を有するガスバリアフィルムのことを第1ガスバリアフィルムとし、フィラー含有オーバーコート層を有さないガスバリアフィルムのことを第2ガスバリアフィルムとして説明する。
する場合がある。
ガスバリアフィルムは、樹脂基材、および上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有する。本開示の外包材は、ガスバリアフィルムを1つ以上有し、そのうち少なくとも1つが、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含む所定膜厚のオーバーコート層をさらに有する。以下、無機フィラーを含む所定膜厚のオーバーコート層のことを、フィラー含有オーバーコート層と称する場合がある。また、フィラー含有オーバーコート層を有するガスバリアフィルムのことを第1ガスバリアフィルムとし、フィラー含有オーバーコート層を有さないガスバリアフィルムのことを第2ガスバリアフィルムとして説明する。
する場合がある。
(1)第1ガスバリアフィルム
第1ガスバリアフィルムは、樹脂基材、および上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有し、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側に、フィラー含有オーバーコート層をさらに有する。
第1ガスバリアフィルムは、樹脂基材、および上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有し、上記ガスバリア膜の上記樹脂基材とは反対側に、フィラー含有オーバーコート層をさらに有する。
(a)フィラー含有オーバーコート層
フィラー含有オーバーコート層は、無機フィラーを含み、膜厚が50nm以上500nm以下の範囲内である。フィラー含有オーバーコート層は、ガスバリア膜の樹脂基材とは反対側の面と直に接して設けられている。ガスバリア膜が樹脂基材の両面にそれぞれ配置されている場合、フィラー含有オーバーコート層は、少なくとも一方のガスバリア膜上に配置されていれば良く、両方のガスバリア膜上にそれぞれ配置されていても良い。
フィラー含有オーバーコート層は、無機フィラーを含み、膜厚が50nm以上500nm以下の範囲内である。フィラー含有オーバーコート層は、ガスバリア膜の樹脂基材とは反対側の面と直に接して設けられている。ガスバリア膜が樹脂基材の両面にそれぞれ配置されている場合、フィラー含有オーバーコート層は、少なくとも一方のガスバリア膜上に配置されていれば良く、両方のガスバリア膜上にそれぞれ配置されていても良い。
(i)性状
フィラー含有オーバーコート層の膜厚は、50nm以上500nm以下の範囲内である。詳しくは、上記フィラー含有オーバーコート層の膜厚は、50nm以上、中でも100nm以上、さらに130nm以上、特に150nm以上とすることができる。また、上記フィラー含有オーバーコート層の膜厚は、500nm以下、中でも480nm以下、特に450nm以下とすることができる。フィラー含有オーバーコート層の膜厚を上記の範囲内とすることで、高いバリア性能を維持しつつ、フィラー含有オーバーコート層にクラック等の欠陥が発生するのを防止できるからである。
フィラー含有オーバーコート層の膜厚は、50nm以上500nm以下の範囲内である。詳しくは、上記フィラー含有オーバーコート層の膜厚は、50nm以上、中でも100nm以上、さらに130nm以上、特に150nm以上とすることができる。また、上記フィラー含有オーバーコート層の膜厚は、500nm以下、中でも480nm以下、特に450nm以下とすることができる。フィラー含有オーバーコート層の膜厚を上記の範囲内とすることで、高いバリア性能を維持しつつ、フィラー含有オーバーコート層にクラック等の欠陥が発生するのを防止できるからである。
フィラー含有オーバーコート層の膜厚は、断面SEM観察により測定することができ、フィラー含有オーバーコート層1つにつき、SEM画像中の凹凸部(最厚部・最薄部)を含む5箇所を測定した平均値とすることができる。
(ii)材料
無機フィラーは、ガスバリア膜に生じるクラック等の欠陥を埋めることが可能な形状を有することができる。上記無機フィラーの形状としては、層状または板状、鱗片状、多面体、針状、柱状、球状、紡錘状、塊状等が挙げられる。上記形状を有する無機フィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、層状または板状、針状であることが好ましい。
無機フィラーは、ガスバリア膜に生じるクラック等の欠陥を埋めることが可能な形状を有することができる。上記無機フィラーの形状としては、層状または板状、鱗片状、多面体、針状、柱状、球状、紡錘状、塊状等が挙げられる。上記形状を有する無機フィラーを複数種組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、層状または板状、針状であることが好ましい。
無機フィラーの平均粒径としては、ガスバリア膜に生じるクラック等の欠陥を埋めることが可能な大きさを有することができ、例えば5nm以上、好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上とすることができる。また、無機フィラーの平均粒径は、例えば500nm以下、好ましくは450nm以下、更に好ましくは400nm以下とすることができる。無機フィラーの平均粒径を上記の範囲内とすることで、ガスバリア膜に生じた欠陥を埋めることができ、迷路効果が発揮できるからである。なお迷路効果とは、無機フィラーが分散していることで、水蒸気や酸素が無機フィラーに阻害されて通過しにくい状態となることをいう。
無機フィラーの平均粒径は、表面SEM観察により測定した値であり、無作為に選んだ5個の粒子の粒径の平均値とすることができる。後述する無機層状化合物のように、無機フィラーの形状が層状または板状の場合は、無作為に選んだ5個の無機フィラーの最大長の長さを無機フィラーの粒径とする。
上記無機フィラーとしては、例えば、シリカ、タルク、アルミナ、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機層状化合物等が挙げられる。中でも、無機フィラーは無機層状化合物とすることができる。
無機層状化合物は、単位結晶層が重なって1つの層状粒子を形成している無機化合物をいう。無機層状化合物としては、例えば粘土鉱物が挙げられ、具体的には、含水ケイ酸塩等のフィロケイ酸塩鉱物;ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライトなどのカオリナイト族粘土鉱物;アンチゴライト、クリソタイルなどのアンチゴライト族粘土鉱物;モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなどのスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライトなどのバーミキュライト族粘土鉱物;白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等雲母又はマイカ族粘土鉱物;クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等の緑泥石族;の粘土鉱物、またはこれらの置換体や誘導体が挙げられる。これらの粘土鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。無機層状化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
無機層状化合物は、上述した粘土鉱物の中でも、Na、Mg、Fe、及びCaからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む粘土鉱物とすることができる。
フィラー含有オーバーコート層は、無機フィラーの他に樹脂を含む。上記樹脂としては、一般的にオーバーコート層に用いられる樹脂を挙げることができ、例えば、水溶性樹脂が挙げられる。中でもガスバリア性能の高い水溶性樹脂を用いることができる。上記樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フィラー含有オーバーコート層は、無機フィラーおよび樹脂以外に、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
フィラー含有オーバーコート層中の、樹脂の固体質量に対する無機フィラーの固体質量の割合としては、50質量%以下とすることができ、中でも45質量%以下、特に40質量%以下が好ましく、また、上記割合は、5質量%以上とすることができ、10質量%以上であることが好ましい。フィラー含有オーバーコート層における無機フィラーの固体質量の割合を上記の範囲内とすることで、十分なガスバリア性能を発揮することができ、また、フィラー含有オーバーコートの表面を均一にできるからである。
フィラー含有オーバーコート層は、例えば、無機フィラーおよび樹脂を溶媒に溶解・分散させた組成物の水溶液を、ガスバリアフィルムのガスバリア膜の面に塗布し、乾燥させて形成することができる。無機フィラーとして無機層状化合物を用いる場合は、必要により予め水等の分散媒体中に膨潤・へき開させてもよい。
(b)ガスバリア膜
上記ガスバリア膜は、樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含む。上記ガスバリア膜は、ガスバリアフィルムのガスバリア性能に主に寄与する。
上記ガスバリア膜は、樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含む。上記ガスバリア膜は、ガスバリアフィルムのガスバリア性能に主に寄与する。
無機物としては、例えば、金属(合金を含む)、無機化合物等が挙げられる。無機物を含むガスバリア膜としては、例えば、金属膜、無機化合物を主成分とする膜(以下、無機化合物膜と称する場合がある。)、有機無機複合膜、M−O−P結合(ここで、Mは金属原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する膜、ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜等が挙げられる。
(i)金属膜
金属膜を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属またはこれらを含む合金を挙げることができる。
金属膜を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅等の金属またはこれらを含む合金を挙げることができる。
(ii)無機化合物膜
無機化合物膜を構成する無機化合物としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウ、ムセリウム、亜鉛等の金属元素または非金属元素の酸化物、酸化窒化物、窒化物、酸化炭化物、酸化炭化窒化物等が挙げられる。具体的には、SiO2等の珪素酸化物、Al2O3等のアルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物、インジウム合金酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、チタン窒化物、酸化窒化珪素、酸化珪素亜鉛等を挙げることができる。無機化合物は、単独で用いてもよいし、上述の材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
無機化合物膜を構成する無機化合物としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウ、ムセリウム、亜鉛等の金属元素または非金属元素の酸化物、酸化窒化物、窒化物、酸化炭化物、酸化炭化窒化物等が挙げられる。具体的には、SiO2等の珪素酸化物、Al2O3等のアルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物、インジウム合金酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、チタン窒化物、酸化窒化珪素、酸化珪素亜鉛等を挙げることができる。無機化合物は、単独で用いてもよいし、上述の材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
(iii)有機無機複合膜
有機無機複合膜を構成する有機部分及び無機部分の混合化合物としては、例えば、樹脂部分と無機部分との混合化合物が挙げられる。有機部分を構成する樹脂としては、例えば、後述する樹脂基材の構成材料として例示した樹脂を用いることができる。無機部分を構成する無機物としては、例えば、無機化合物膜の材料として例示した無機化合物を用いることができる。
有機無機複合膜を構成する有機部分及び無機部分の混合化合物としては、例えば、樹脂部分と無機部分との混合化合物が挙げられる。有機部分を構成する樹脂としては、例えば、後述する樹脂基材の構成材料として例示した樹脂を用いることができる。無機部分を構成する無機物としては、例えば、無機化合物膜の材料として例示した無機化合物を用いることができる。
(iv)M−O−P結合を有する膜
M−O−P結合(ここで、Mは金属原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する膜としては、例えば金属酸化物およびリン化合物の反応生成物を含む膜とすることができる。上記金属酸化物としては、原子価が2価以上の金属の酸化物を挙げることができ、具体的には、マグネシウム、カルシウム等の周期表第2族の金属;亜鉛等の周期表第12族の金属;アルミニウム等の周期表第13族の金属;ケイ素等の周期表第14族の金属;チタン、ジルコニウム等の遷移金属等の金属の酸化物を挙げることができる。中でも、酸化アルミニウム(アルミナ)が好ましい。すなわち、Al−O−P結合を有する膜であることが好ましい。また、上記リン化合物としては、例えばリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体が挙げられる。中でもリン酸が好ましい。金属酸化物およびリン化合物の反応生成物については、例えば、特開2011−226644号公報に開示される反応生成物と同様とすることができる。
M−O−P結合(ここで、Mは金属原子を示し、Oは酸素原子を示し、Pはリン原子を示す。)を有する膜としては、例えば金属酸化物およびリン化合物の反応生成物を含む膜とすることができる。上記金属酸化物としては、原子価が2価以上の金属の酸化物を挙げることができ、具体的には、マグネシウム、カルシウム等の周期表第2族の金属;亜鉛等の周期表第12族の金属;アルミニウム等の周期表第13族の金属;ケイ素等の周期表第14族の金属;チタン、ジルコニウム等の遷移金属等の金属の酸化物を挙げることができる。中でも、酸化アルミニウム(アルミナ)が好ましい。すなわち、Al−O−P結合を有する膜であることが好ましい。また、上記リン化合物としては、例えばリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体が挙げられる。中でもリン酸が好ましい。金属酸化物およびリン化合物の反応生成物については、例えば、特開2011−226644号公報に開示される反応生成物と同様とすることができる。
ガスバリア膜におけるM−O−P結合の存在は、赤外線吸収スペクトル(測定波数域;800cm−1以上1400cm−1以下の範囲内)において、最大赤外線吸収ピークが1080cm−1以上1130cm−1以下の範囲内に出現することで確認することができる。赤外線吸収スペクトルの測定方法としては、特に限定されず、例えば、全反射測定法(ATR法)による測定方法、外包材のガスバリア膜からサンプルをかきとり、その赤外線吸収スペクトルをKBr法で測定する方法、採取したサンプルを顕微赤外分光法により測定方法等を用いることができる。
なお、M−O−P結合を有するガスバリア膜を有するガスバリアフィルムとしては、株式会社クラレ製のクラリスタCF等が挙げられる。
(v)ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜は、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基間に多価金属イオンによる架橋結合を有する。ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩は、ポリカルボン酸系ポリマーおよび多価金属化合物の反応生成物である。ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩、すなわち上記反応生成物の存在は、赤外線吸収スペクトルの1490cm−1〜1659cm−1の範囲内において、1560cm−1付近に吸収極大を有する吸収ピークの出現により確認することができる。上記ピークは、多価金属と塩を形成しているカルボキシル基に帰属するC=O伸縮振動のピークである。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜は、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基間に多価金属イオンによる架橋結合を有する。ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩は、ポリカルボン酸系ポリマーおよび多価金属化合物の反応生成物である。ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩、すなわち上記反応生成物の存在は、赤外線吸収スペクトルの1490cm−1〜1659cm−1の範囲内において、1560cm−1付近に吸収極大を有する吸収ピークの出現により確認することができる。上記ピークは、多価金属と塩を形成しているカルボキシル基に帰属するC=O伸縮振動のピークである。
ポリカルボン酸系ポリマーとしては、分子内に2個以上のカルボキシル基を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー等のカルボキシル基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。
また、多価金属化合物としては、ポリカルボン酸系ポリマーのカルボキシル基を架橋可能である限り特に制限されず、例えば、アルカリ土類金属、周期表8族金属、周期表11族金属、周期表12族金属、周期表13族金属等の金属の、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の二価以上の金属、これら金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硫酸塩若しくは亜硫酸塩等が挙げられる。これらは、少なくとも1種が使用され、1種のみの使用であっても、2種以上を併用してもよい。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩としては、例えば、アクリル酸亜鉛、メタアクリル酸亜鉛、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム等が挙げられる。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜は、他に、バインダー樹脂を含むことができる。上記バインダー樹脂としては、親水性バインダー、疎水性バインダーを用いることができる。親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソース、アルギン酸ナトリウム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、デンプン、デキストラン、ゼラチン、およびそれらの変性物が挙げられ、これらの群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩(反応生成物)は、例えば、溶媒にカルボン酸系樹脂、多価金属化合物およびバインダー樹脂を溶解したバリア層形成用溶液を塗布し、電子線を照射して形成することが出来る。また、ポリカルボン酸系重合体層と多価金属化合物含有層とを隣接させて積層し、層間反応によりポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を含む膜を形成することが出来る。
なお、ポリカルボン酸系ポリマーおよび多価金属化合物の反応生成物を含むガスバリア膜を有するガスバリアフィルムとしては、例えば凸版印刷株式会社製のベセーラ(登録商標)等が挙げられる。
(vi)その他
上記ガスバリア膜は、その種類に応じてコート膜であっても良く、蒸着膜であってもよい。中でも樹脂基材との密着性が高く、高ガスバリア性能を発揮することができる観点から蒸着膜であることが好ましい。1つのガスバリア膜は、1回蒸着により形成された単膜であってもよく、複数回蒸着により形成され積層構造を有していてもよい。ガスバリア膜が積層構造を有する場合、同一組成の膜を組み合わせてもよく、異なる組成の膜を組み合わせてもよい。ガスバリア膜が積層構造を有する場合、積層構造を構成する多層膜全体でガスバリア膜1つ分とする。
上記ガスバリア膜は、その種類に応じてコート膜であっても良く、蒸着膜であってもよい。中でも樹脂基材との密着性が高く、高ガスバリア性能を発揮することができる観点から蒸着膜であることが好ましい。1つのガスバリア膜は、1回蒸着により形成された単膜であってもよく、複数回蒸着により形成され積層構造を有していてもよい。ガスバリア膜が積層構造を有する場合、同一組成の膜を組み合わせてもよく、異なる組成の膜を組み合わせてもよい。ガスバリア膜が積層構造を有する場合、積層構造を構成する多層膜全体でガスバリア膜1つ分とする。
1つのガスバリア膜の厚みは、所望のガスバリア性能を発揮することが可能であれば特に限定されず、ガスバリア膜の種類や構成に応じて適宜設定することができ、例えば5nm以上200nm以下の範囲内とすることができ、中でも10nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましい。なお、1つのガスバリア膜が積層構造を有する場合、上記ガスバリア膜の厚みとは、1つのガスバリア膜の積層構造全体での厚みをいう。上記ガスバリア膜の厚みが上述の範囲に満たないと、製膜が不十分となり所望のガスバリア性能を発揮することができない場合がある。また、強度を確保できず経時劣化する場合がある。一方、上記ガスバリア膜の厚みが上述の範囲を超えると、折り曲げ等の機械的な応力を受けたときに欠陥が発生しやすくなる場合や、可撓性が低下する場合がある。また、外包材全体に占める無機物の含有率が過剰となり、真空断熱材においてヒートブリッジが生じやすくなる場合がある。
ガスバリア膜は、少なくとも樹脂基材の片面に配置されていればよく、樹脂基材の両面にそれぞれ配置されていてもよい。
ガスバリア膜の形成方法は、樹脂基材の片面または両面に所望の厚みで成膜可能な方法であればよく、塗布法、蒸着法、圧着法等、ガスバリア膜の種類に応じて従来公知の方法を用いることができる。
(c)樹脂基材
樹脂基材としては、ガスバリア膜を支持可能であれば特に限定されず、例えば、樹脂フィルムが好適に用いられる。上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。
樹脂基材としては、ガスバリア膜を支持可能であれば特に限定されず、例えば、樹脂フィルムが好適に用いられる。上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。
樹脂基材を構成する樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂;環状ポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂);ポリ(メタ)アクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂等のポリビニルアルコール系樹脂;各種のナイロン等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;アセタール樹脂;セルロース樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。
上記樹脂基材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH樹脂)を含むことができるが、EVOH樹脂を含まない樹脂基材とすることができる。EVOH樹脂は酸素バリア性能が高いが熱収縮が大きいため、高温環境においてガスバリア膜が樹脂基材の熱伸縮によるせん断応力を受けてクラック等の欠陥が発生しやすくなる。また、熱収縮によりEVOH樹脂が本来発揮可能なガスバリア性能、特に酸素バリア性能を発揮できず、その結果、高温環境下において外包材全体のガスバリア性能が低下する虞がある。
ここで、上記樹脂基材が「EVOH樹脂を含まない」とは、樹脂基材がEVOH樹脂を全く含まない場合だけでなく、上記樹脂基材のEVOH樹脂の含有量が、本開示の外包材が上述した特性を損なわない程度の量である場合も含む。具体的には、樹脂基材中のEVOH樹脂の含有量が50質量%以下であることをいい、中でも25質量%以下であることが好ましく、特に0質量%であることが好ましい。樹脂基材が複数の層で構成された積層体である場合、樹脂基材中のEVOH樹脂の含有量とは、樹脂基材としての上記積層体の全体量に対するEVOH樹脂の含有量とすることができる。樹脂基材中のEVOH樹脂の存在やその含有量は、例えば、赤外線吸収(FT−IR)分析、X線光電子分析装置(XPS)等を用いて特定することができる。なお、樹脂基材以外の層および部材が「EVOH樹脂を含まない」ことについても、上記同様に規定することができる。
上記樹脂基材には、種々のプラスチック配合剤や添加剤等が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等が挙げられる。また、上記樹脂基材は、表面処理が施されていてもよい。ガスバリア膜との密着性を向上させることができるからである。
樹脂基材の厚みは、特に限定されないが、例えば6μm以上200μm以下の範囲内とすることができ、好ましくは9μm以上100μm以下の範囲内である。
(2)第2ガスバリアフィルム
第2ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜と、を有し、フィラー含有オーバーコート層を有さない。第2ガスバリアフィルムにおける樹脂基材およびガスバリア膜については、「(1)第1ガスバリアフィルム」の項で説明した樹脂基材およびガスバリア膜と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第2ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜と、を有し、フィラー含有オーバーコート層を有さない。第2ガスバリアフィルムにおける樹脂基材およびガスバリア膜については、「(1)第1ガスバリアフィルム」の項で説明した樹脂基材およびガスバリア膜と同様であるため、ここでの説明は省略する。
第2ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜の樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含まないオーバーコート層を有することができる。無機フィラーを含まないオーバーコート層のことを、フィラー非含有オーバーコート層と称する場合がある。フィラー非含有オーバーコート層を有することにより、第2ガスバリアフィルムのガスバリア性能をさらに向上させることができる。
フィラー非含有オーバーコート層を構成する材料は、無機フィラーを含まなければ特に限定されず、一般にバリアコート剤やオーバーコート剤として用いられている材料を用いることができる。上記材料としては、例えば、ゾルゲル化合物等が挙げられる。上記ゾルゲル化合物は、界面における接着強度が高く、製膜時の処理を比較的低温において行なうことができるため、樹脂基材等の熱劣化を抑制することができる。また、上述した「(1)第1ガスバリアフィルム (b)ガスバリア膜」の項で説明した、M−O−P結合を有する層、ポリカルボン酸系重合体の多価金属塩を、それぞれフィラー非含有オーバーコート層として、例えば金属膜や無機化合物膜等のガスバリア膜上に配置してもよい。
ゾルゲル化合物を含むオーバーコート層は、例えば、一般式R1 nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1以上、8以下の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される1種以上のアルコキシドと、水溶性高分子とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られる原料液により形成することができる。上記一般式で表わされるアルコキシドの金属原子Mとしては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等が挙げられる。中でもケイ素であることが好ましい。ケイ素のアルコキシドとしては、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)が好ましい。また、上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸系樹脂、天然高分子系のメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースナノファイバー、多糖類などが挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
中でも、上記ゾルゲル化合物が、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)およびポリビニルアルコール系樹脂の重縮合物であることが好ましい。オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)およびポリビニルアルコール系樹脂の重縮合物については、例えば特許第5568897号公報に開示されているものと同様とすることができる。
フィラー非含有オーバーコート層の膜厚は、特に限定されないが、例えば50nm以上、500nm以下の範囲内とすることができる。
第2ガスバリアフィルムは、少なくとも樹脂基材の片面にガスバリア膜が配置されていればよく、樹脂基材の両面にガスバリア膜が配置されていてもよい。樹脂基材の両面にガスバリア膜が配置されている場合、フィラー非含有オーバーコート層は少なくとも一方のガスバリア膜上に配置されていれば良く、両方のガスバリア膜上にそれぞれ配置されていても良い。
2.熱溶着可能なフィルム
本開示における熱溶着可能なフィルムは、加熱により溶着可能なフィルムである。上記熱溶着可能なフィルムは、本開示の外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する外包材同士の端部を接合する部材である。
本開示における熱溶着可能なフィルムは、加熱により溶着可能なフィルムである。上記熱溶着可能なフィルムは、本開示の外包材を用いて真空断熱材を形成する際に、芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する外包材同士の端部を接合する部材である。
上記熱溶着可能なフィルムには、加熱によって溶融し、融着可能な材料が用いられる。このような材料としては、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、テトラフルオロエチレン(C2F4)・エチレン(C2H4)共重合体(ETFE)樹脂等を主成分とするフィルム等が挙げられる。
上記熱溶着可能なフィルムは、上述した熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムが好ましい。具体的には、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリ酢酸ビニル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂フィルム、テトラフルオロエチレン(C2F4)・エチレン(C2H4)共重合体(ETFE)樹脂フィルム等が挙げられる。主成分とは、熱溶着可能なフィルム中50質量%以上を占める成分をいう。
上記熱溶着可能なフィルムは、設定する融点に応じて上記の樹脂フィルムから適宜選択することができる。例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等の低融点樹脂を主成分とする樹脂フィルムは、汎用性が高く、また、熱溶着可能なフィルムの融点を低く設定することができ比較的低温において熱溶着可能である観点から、好適に用いることができる。また、PP樹脂、EVOH樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、ETFE樹脂、PPS樹脂等の融点が145℃以上の樹脂を主成分とする樹脂フィルムは、熱溶着可能なフィルムの融点を145℃以上に設定することが可能であり、熱溶着可能なフィルムの熱劣化を防ぐことができ、より高温環境下での使用に耐え得る真空断熱材を得ることができる観点から、好適に用いることができる。
なお、上記熱溶着可能なフィルムは、EVOH樹脂を含むことができるが、EVOH樹脂を含まない熱溶着可能なフィルムとすることができる。EVOH樹脂は熱による収縮が大きいため、外包材の寸法安定性が損なわれる、ガスバリアフィルムのガスバリア膜に欠陥が発生しやすくなる、外包材全体のガスバリア性能が低下する、等の虞があるからである。「EVOH樹脂を含まない」ことの詳細は、先に説明した通りである。
上記熱溶着可能なフィルムは、上述した樹脂の他に、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記熱溶着可能なフィルムの融点は、材料にもよるが、50℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは145℃以上である。また、上記融点は、300℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは290℃以下、より好ましくは280℃以下である。熱溶着可能なフィルムの融点を上記範囲内で設定することで、本開示の外包材を用いて製造された真空断熱材の使用環境下において、外包材の封止面の剥離を抑制することができ、高温環境下での使用に耐え得る。また、本開示の外包材を用いて真空断熱材を製造する際に、封止のための加熱によりガスバリアフィルムや熱溶着可能なフィルムの熱劣化を抑制することができる。さらに、熱溶着可能なフィルムは、融点を高くすることで、長期間高温環境において使用される場合であっても膨張または収縮しにくくすることができる。
本開示の外包材における上記熱溶着可能なフィルムの融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて下記の方法により測定することができる。まず、外包材から熱溶着可能なフィルムを剥離して約10mgの測定試料を得る。この測定試料をアルミニウム製のセルに入れ、示差走査熱量計(NETZSCH社製 DSC204)を用いて、窒素雰囲気下で20℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その温度で10分間保持した。さらに降温速度10℃/分で20℃まで冷却し、その温度で10分間保持した後、昇温速度10℃/分で300℃まで再度昇温する(2度目の昇温)。2度目の昇温の際に観測される融点での接線と、上記融点より低温側のDSC曲線の基線との交点を、熱溶着可能なフィルムの融点とすることができる。
上記熱溶着可能なフィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば15μm以上、100μm以下の範囲内、好ましくは、25μm以上、90μm以下の範囲内、より好ましくは30μm以上、80μm以下の範囲内とすることができる。熱溶着可能なフィルムの厚みを上記の範囲内とすることで、外包材のガスバリア性能の低下を抑制し、また、真空断熱材の製造に際し、2枚の外包材を接合する際に、所望の接着力を得ることができる。
3.保護フィルム
本開示の外包材は、保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムを有することにより、保護フィルム以外の本開示の外包材の構成部材を損傷や劣化から保護することができるからである。本開示の外包材における保護フィルムの配置位置は特に限定されないが、本開示の外包材の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層となることが好ましい。真空断熱材を形成する際に芯材から最も離れて位置する最外層(最表層)とすることができるからである。
本開示の外包材は、保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムを有することにより、保護フィルム以外の本開示の外包材の構成部材を損傷や劣化から保護することができるからである。本開示の外包材における保護フィルムの配置位置は特に限定されないが、本開示の外包材の厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層となることが好ましい。真空断熱材を形成する際に芯材から最も離れて位置する最外層(最表層)とすることができるからである。
上記保護フィルムを構成する材料、熱溶着可能なフィルムよりも高融点の樹脂が好ましく、例えば、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVAL)、ポリアクリロニトリル(PAN)樹脂、セルロースナノファイバー(CNF)等が挙げられる。上記保護フィルムは、上述した樹脂群から選択される少なくとも1種を主成分とする樹脂フィルムとすることができる。主成分とは、保護フィルム中50質量%以上を占める成分をいう。
中でも、上記保護フィルムとしては、延伸ナイロン(ONY)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム等が好適に用いられる。
上記保護フィルムはEVOH樹脂を含まないものとすることができる。EVOH樹脂は熱による収縮が大きいため、外包材の寸法安定性が損なわれる、保護フィルムの熱収縮によりガスバリア膜に欠陥が発生しやすくなる、外包材全体のガスバリア性能が低下する、等の虞があるからである。詳しい理由および「EVOH樹脂を含まない」ことの詳細は、先に説明した通りである。
上記保護フィルムは、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料を含んでいてもよい。
上記保護フィルムは、単層であってもよく、同一材料から成る層または異なる材料から成る層が複数積層されて成る積層体であってもよい。保護フィルムの厚みは、特に限定されないが、一般的に5μm以上、80μm以下の範囲内とすることができる。
上記保護フィルムは、その構成材料に応じて単体で高ガスバリア性能を発揮することが可能であるが、熱溶着可能なフィルム側の面にガスバリア膜を有することで、保護フィルム兼ガスバリアフィルムとすることができる。ガスバリア膜については、上述したガスバリアフィルムの項で説明したものと同様とすることが出来る。また、上記保護フィルムは、熱溶着可能なフィルム側の面にオーバーコート層を有することができる。オーバーコート層の存在により保護フィルム単体でのガスバリア性能を向上させることができるからである。上記オーバーコート層としては、上述した第1ガスバリアフィルムにおけるフィラー含有オーバーコート層、第2ガスバリアフィルムにおけるフィラー非含有オーバーコート層として例示した層が挙げられる。
4.任意の構成
本開示の外包材は、外包材を構成する各部材の層間、具体的には、隣接する2つのガスバリアフィルム間、ガスバリアフィルムと熱溶着可能なフィルムとの間、保護フィルムとガスバリアフィルムとの間等に、接着層を有していても良い。上記接着層は、公知の接着剤の組成を含むことができる。
本開示の外包材は、外包材を構成する各部材の層間、具体的には、隣接する2つのガスバリアフィルム間、ガスバリアフィルムと熱溶着可能なフィルムとの間、保護フィルムとガスバリアフィルムとの間等に、接着層を有していても良い。上記接着層は、公知の接着剤の組成を含むことができる。
本開示の外包材は、第1ガスバリアフィルムを1つ以上有すればよく、第1ガスバリアフィルムのみを有していてもよく、第1ガスバリアフィルムを1つ以上と第2ガスバリアフィルムを1つ以上とを有していても良い。また、本開示の外包材は、ガスバリア層として金属箔を含まないことができるが、第1ガスバリアフィルムを1つ以上有し、かつ上述した特性を具備することが可能であれば、さらに金属箔を含むことが出来る。金属箔としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属箔を挙げることが出来、中でもアルミニウム箔が好適に用いられる。金属箔は、例えば9μm以下とすることができ、7μm以下、6.5μm以下とすることができる。また、上記厚みは、例えば5μm以上とすることが出来る。
5.真空断熱材用外包材
本開示の外包材が第1ガスバリアフィルムを1つ有する場合、第1ガスバリアフィルムは、フィラー含有オーバーコート層がガスバリア膜よりも熱溶着可能なフィルム側となるように配置されていてもよく、ガスバリア膜よりも熱溶着可能なフィルムとは反対側となるように配置されていてもよい。
本開示の外包材が第1ガスバリアフィルムを1つ有する場合、第1ガスバリアフィルムは、フィラー含有オーバーコート層がガスバリア膜よりも熱溶着可能なフィルム側となるように配置されていてもよく、ガスバリア膜よりも熱溶着可能なフィルムとは反対側となるように配置されていてもよい。
また、本開示の外包材がガスバリアフィルムを2つ以上有する場合、図1で例示するように、隣接する2つのガスバリアフィルムは、一方のガスバリアフィルムのガスバリア膜と、他方のガスバリアフィルムのガスバリア膜とが、フィラー含有オーバーコート層を介して接するように配置されていてもよく、図示しないが、フィラー含有オーバーコート層を介さずに接するように配置されていてもよい。また、図3で例示するように、隣接する2つのガスバリアフィルムは、一方のガスバリアフィルムのガスバリア膜と他方のガスバリアフィルムの樹脂基材とが、フィラー含有オーバーコート層を介して接するように配置されていてもよく、フィラー含有オーバーコート層を介さずに接するように配置されていてもよい。さらに、図示しないが、隣接する2つのガスバリアフィルムは、一方のガスバリアフィルムの樹脂基材と他方のガスバリアフィルムの樹脂基材とが接するように配置されていてもよい。
本開示の外包材は、ガスバリアフィルムを1つ以上有すればよく、外包材に含まれるガスバリアフィルムの総数としては、2つ以上、中でも3つ以上、特に4つ以上とすることができる。また、外包材におけるガスバリアフィルムの総数の上限は、特に限定されないが、例えば5つ以下とすることができる。
本開示の外包材は、上記ガスバリアフィルムの少なくとも1つが第1ガスバリアフィルムであればよく、ガスバリアフィルムの総数のうち、第1ガスバリアフィルムの数は1つ以上であればよく、中でも2つ以上、特に3つ以上とすることができる。また、ガスバリアフィルムの総数のうち、第1ガスバリアフィルムの数の上限は特に限定されないが、例えば5つ以下とすることができる。
本開示の外包材において、ガスバリア膜の数は、2つ以上、中でも3つ以上、特に4つ以上とすることができる。また、ガスバリア膜の数の上限は、特に限定されないが、例えば10つ以下とすることができる。
本開示の外包材において、フィラー含有オーバーコート層の数は、第1ガスバリアフィルムの数、ガスバリア膜の数等に応じて適宜設定することが出来るが、1つ以上、中でも2つ以上、特に3つ以上とすることができる。
本開示の外包材の層構成としては、特に限定されず、第1ガスバリアフィルムおよび第2ガスバリアフィルムの数に応じて適宜設計することが出来る。中でも、ガスバリアフィルムのガスバリア膜を、外包材の厚み方向において外包材の中心部分に近い位置に配置することで、外包材を屈曲させたときに曲げ応力を受けることによる劣化を抑制することができる。第1ガスバリアフィルムを2つと、第2ガスバリアフィルムを1つと、を有する本開示の外包材の層構成としては、例えば、第2ガスバリアフィルム(樹脂基材/ガスバリア膜/フィラー非含有オーバーコート層)//第1ガスバリアフィルム(樹脂基材/ガスバリア膜/フィラー含有オーバーコート層)//第1ガスバリアフィルム(フィラー含有オーバーコート層/ガスバリア膜/樹脂基材)//熱溶着可能なフィルムの順で積層された層構成が挙げられる。なお、上述した層構成中、カッコ内はガスバリアフィルムの層構成、「/」は直接積層界面、「//」は接着層を介した積層界面を示す。また、上述した層構成は例示であり、上記の積層順に限定されない。
本開示の外包材の厚みは、上述した特性を有することが可能であれば特に限定されず、例えば30μm以上200μm以下の範囲内、好ましくは50μm以上150μm以下の範囲内とすることができる。
本開示の外包材の製造方法は、特に限定されず、例えば、予め製造した各フィルムを接着剤で貼り合せる方法、熱溶融させた各フィルムの原材料をTダイ等で順次押出しして積層体を得る方法等、公知の方法を用いることができる。
本開示の外包材は、真空断熱材に用いられる。本開示の外包材は、積層方向において対向する2つの最表面を担う層のうち、一方が熱溶着可能なフィルムとなる。真空断熱材においては、通常、一対の外包材が、それぞれ熱溶着可能なフィルム側の表面が芯材側となるようにして、芯材を介して対向して配置される。
II.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。
本開示の真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。
既に説明した図2は、本開示の真空断熱材の一例を示す。本開示によれば、芯材を封入する外包材が、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材であるため、高温環境下において長期間、断熱性能を維持することができる。以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.外包材
本開示における外包材は、芯材を封入する部材であり、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。本開示における外包材については、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
本開示における外包材は、芯材を封入する部材であり、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。本開示における外包材については、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいうものである。
2.芯材
本開示における芯材は、真空断熱材用外包材により封入される部材である。芯材は、熱伝導率が低いことが好ましい。また、芯材は、例えば空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材とすることができる。
本開示における芯材は、真空断熱材用外包材により封入される部材である。芯材は、熱伝導率が低いことが好ましい。また、芯材は、例えば空隙率が50%以上、特に90%以上の多孔質材とすることができる。
芯材を構成する材料としては、粉体、発泡体、繊維体等を用いることができる。上記粉体は、無機系、有機系のいずれでもよく、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、凝集シリカ粉末、導電性粉体、炭酸カルシウム粉末、パーライト、クレー、タルク等を用いることができる。なかでも乾式シリカと導電性粉体との混合物は、真空断熱材の内圧上昇に伴う断熱性能の低下が小さいため、内圧上昇が生じる温度範囲で使用する際に有利である。さらに、上述の材料に酸化チタンや酸化アルミニウムやインジウムドープ酸化錫等の赤外線吸収率が小さい物質を輻射抑制材として添加すると、芯材の赤外線吸収率を小さくすることができる。
上記発泡体としては、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム等を用いることができる。中でも連続気泡を形成する発泡体が好ましい。
上記繊維体は、無機繊維でもよく有機繊維でもよいが、断熱性能の観点から無機繊維を用いることが好ましい。このような無機繊維としては、グラスウールやグラスファイバー等のガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、ロックウール等を挙げることができる。これらの無機繊維は、熱伝導率が低く、粉体よりも取り扱いが容易である点で好ましい。
芯材は、上述した材料を単独で使用してもよく、2種以上の材料を混合した複合材であってもよい。
3.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、外包材の内部に芯材が封入され、上記内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
本開示の真空断熱材は、外包材の内部に芯材が封入され、上記内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
真空断熱材の熱伝導率は低い程好ましく、例えば5mW/(m・K)以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなり、高い断熱効果を奏することができるからである。中でも上記熱伝導率は、4mW/(m・K)以下であることがより好ましく、3mW/(m・K)以下であることがさらに好ましい。
熱伝導率は、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠し、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とすることができる。上記熱伝導率測定装置は、例えば、オートラムダHC−074(英弘精機製)を用いることができる。測定は、以下の条件で、測定試料の両方の主面が上下方向を向くように配置して行う。熱伝導率測定前に、測定試料の温度が測定環境温度と等しくなっているかを、熱流計などを使用して予め測定しておくことが好ましい。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
<熱伝導率の測定条件>
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
<熱伝導率の測定条件>
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
4.その他
本開示の真空断熱材の製造方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を封止することで、真空断熱材を得ることができる。
本開示の真空断熱材の製造方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を封止することで、真空断熱材を得ることができる。
本開示の真空断熱材は、熱絶縁を要する物品に用いることができる。
III.真空断熱材付き物品
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、芯材と、芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、芯材と、芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材である。
本開示によれば、物品に用いられる真空断熱材が「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材により構成されており、高温環境下でも長期にわたり高断熱性能を発揮可能であることから、上記物品が長期間省エネルギー性を発揮することができる。
本開示における真空断熱材およびそれに用いられる外包材については、上述した「II.真空断熱材」および「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示における物品は、熱絶縁領域を有する。ここで上記熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。
上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示し、本開示をさらに具体的に説明する。
各フィルムの略称は以下の通りである。各オーバーコート(OC)層(A)〜(D)は、後述する方法により形成した。オーバーコート層の厚みは、「I.真空断熱材用外包材 A.特性」の項で説明した方法で測定した5点平均値である。また、使用した各フィルムの詳細を表3に示す。
・Al蒸着PET12:アルミニウム(Al)膜(厚み55nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・厚膜Al蒸着PET12:アルミニウム(Al)膜(厚み65nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・Al蒸着EVOH12:アルミニウム(Al)膜(厚み40nm)が片面に蒸着されたエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(厚み12μm)
・SiO2蒸着ON15:二酸化ケイ素(SiO2)膜(厚み10nm)が片面に蒸着されたナイロン(ON)フィルム(厚み15μm)
・Al蒸着EVOH15:アルミニウム(Al)膜(厚み55nm)が片面に蒸着されたエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(厚み15μm)
・Al−O−P結合含有層付PET12:一方の面に、酸化アルミニウムおよびリン酸の反応生成物を含むガスバリア膜(Al−O−P結合含有層とする。)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・LLDPE50:直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(厚み50μm)
・LLDPE30:直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(厚み30μm)
・CPP50:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み50μm)
・PBT25:ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム(厚み25μm)
・ON25:ナイロンフィルム(厚み25μm)
・OC層(A)付ON15:片面に膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するナイロン(ON)フィルム(厚み15μm)
・OC層(A)付PET:片面に膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するPETフィルム(厚み12μm)
・OC層(A)付Al蒸着PET12:Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するPETフィルム
・OC層(A)付厚膜Al蒸着PET12:厚膜Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するフィルム
・OC層(B)付SiO2蒸着PET12:二酸化ケイ素(SiO2)膜(厚み10nm)が片面に蒸着され、さらにSiO2膜上に膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(B)を有するPETフィルム(厚み12μm)
・OC層(C)付Al蒸着PET12:Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(C)を有するフィルム
・OC層(D)付Al蒸着PET12:Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(D)を有するフィルム
・Al蒸着PET12:アルミニウム(Al)膜(厚み55nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・厚膜Al蒸着PET12:アルミニウム(Al)膜(厚み65nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・Al蒸着EVOH12:アルミニウム(Al)膜(厚み40nm)が片面に蒸着されたエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(厚み12μm)
・SiO2蒸着ON15:二酸化ケイ素(SiO2)膜(厚み10nm)が片面に蒸着されたナイロン(ON)フィルム(厚み15μm)
・Al蒸着EVOH15:アルミニウム(Al)膜(厚み55nm)が片面に蒸着されたエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(厚み15μm)
・Al−O−P結合含有層付PET12:一方の面に、酸化アルミニウムおよびリン酸の反応生成物を含むガスバリア膜(Al−O−P結合含有層とする。)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・LLDPE50:直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(厚み50μm)
・LLDPE30:直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(厚み30μm)
・CPP50:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み50μm)
・PBT25:ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム(厚み25μm)
・ON25:ナイロンフィルム(厚み25μm)
・OC層(A)付ON15:片面に膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するナイロン(ON)フィルム(厚み15μm)
・OC層(A)付PET:片面に膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するPETフィルム(厚み12μm)
・OC層(A)付Al蒸着PET12:Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するPETフィルム
・OC層(A)付厚膜Al蒸着PET12:厚膜Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を有するフィルム
・OC層(B)付SiO2蒸着PET12:二酸化ケイ素(SiO2)膜(厚み10nm)が片面に蒸着され、さらにSiO2膜上に膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(B)を有するPETフィルム(厚み12μm)
・OC層(C)付Al蒸着PET12:Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(C)を有するフィルム
・OC層(D)付Al蒸着PET12:Al蒸着PET12のAl膜上に、膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(D)を有するフィルム
(オーバーコート層(A)の形成方法)
オーバーコート層(A)は、下記の方法により形成した。まず、PVAの顆粒(日本酢ビ・ポバール(株)製:JF−04、ケン化度98〜99%、平均重合度400)をイオン交換水に溶解し、20%のポリビニルアルコール水溶液を得た。この水溶液にモンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製:クニピアF)を固形質量比10wt%になるように添加し、攪拌して無機層状化合物含有コート溶液を調製した。次に、無機層状化合物含有コート溶液を、グラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、無機フィラーを含有する膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を形成した。
オーバーコート層(A)は、下記の方法により形成した。まず、PVAの顆粒(日本酢ビ・ポバール(株)製:JF−04、ケン化度98〜99%、平均重合度400)をイオン交換水に溶解し、20%のポリビニルアルコール水溶液を得た。この水溶液にモンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製:クニピアF)を固形質量比10wt%になるように添加し、攪拌して無機層状化合物含有コート溶液を調製した。次に、無機層状化合物含有コート溶液を、グラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、無機フィラーを含有する膜厚230nmのオーバーコート(OC)層(A)を形成した。
(オーバーコート層(B)の形成方法)
オーバーコート層(B)は、下記の方法により形成した。まず、表1に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール(PVA)、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。次に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物を、対象層の表面にグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜を形成し、55℃で1週間エージングして、膜厚230nmのPVA−TEOS系のオーバーコート(OC)層(B)を形成した。
オーバーコート層(B)は、下記の方法により形成した。まず、表1に示す組成に従い調製したA液(ポリビニルアルコール(PVA)、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表1に示す組成に従い予め調製したB液(オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、イソプロピルアルコール、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。次に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物を、対象層の表面にグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜を形成し、55℃で1週間エージングして、膜厚230nmのPVA−TEOS系のオーバーコート(OC)層(B)を形成した。
(オーバーコート層(C)の形成方法)
オーバーコート層(C)は、下記の方法により形成した。まず、表2に示す組成に従い調製したC液(ポリビニルアルコール(PVA)、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表2に示す組成に従い予め調製したD液(オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、イソプロピルアルコール、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。次に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物を、対象層の表面にグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜を形成し、55℃で1週間エージングして、膜厚230nmのPVA−TEOS系のオーバーコート(OC)層(C)を形成した。
オーバーコート層(C)は、下記の方法により形成した。まず、表2に示す組成に従い調製したC液(ポリビニルアルコール(PVA)、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液)に、表2に示す組成に従い予め調製したD液(オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、イソプロピルアルコール、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、塩酸およびイオン交換水からなる加水分解液)を加えて撹拌し、ゾルゲル法により無色透明のバリア性塗布膜用組成物を得た。次に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物を、対象層の表面にグラビアコート法によりコーティングし、次いで120℃、140℃および150℃で各20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜を形成し、55℃で1週間エージングして、膜厚230nmのPVA−TEOS系のオーバーコート(OC)層(C)を形成した。
(オーバーコート層(D)の形成方法)
オーバーコート層(D)は、下記の方法により形成した。まず、アクリル酸亜鉛30%水溶液(浅田化学(株)製)と、シラン変性PVA10%水溶液(クラレ(株)製:R−1130)と、低ケン化度変性PVA(日本酢ビ・ポバール(株)製:CR−08)とを固形分比2:1:1で混合して、固形分濃度15質量%およびPVA濃度5質量%となるように、バリア層形成用水溶液を調製し、バリア性塗布膜用組成物を得た。次に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物を、対象層の表面にグラビアコート法によりコーティングし、100℃で20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜を形成した。続いて、被膜の表面に下記の条件で電子線を照射することにより膜厚230nmのアクリル酸亜鉛含有のオーバーコート(OC)層(D)を形成した。
オーバーコート層(D)は、下記の方法により形成した。まず、アクリル酸亜鉛30%水溶液(浅田化学(株)製)と、シラン変性PVA10%水溶液(クラレ(株)製:R−1130)と、低ケン化度変性PVA(日本酢ビ・ポバール(株)製:CR−08)とを固形分比2:1:1で混合して、固形分濃度15質量%およびPVA濃度5質量%となるように、バリア層形成用水溶液を調製し、バリア性塗布膜用組成物を得た。次に、上述の方法で調製したバリア性塗布膜用組成物を、対象層の表面にグラビアコート法によりコーティングし、100℃で20秒間加熱処理し、バリア性塗布膜を形成した。続いて、被膜の表面に下記の条件で電子線を照射することにより膜厚230nmのアクリル酸亜鉛含有のオーバーコート(OC)層(D)を形成した。
<電子線照射条件>
・加速電圧:100kV
・照射線量:300kGy
・フィルムの搬送速度:5m/min
・加速電圧:100kV
・照射線量:300kGy
・フィルムの搬送速度:5m/min
[実施例1]
(真空断熱材用外包材の作製)
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
(真空断熱材用外包材の作製)
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。
なお、各フィルムは、接着層で接合した。接着剤は、ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU−77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H−7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された、2液硬化型の接着剤を用いた。この接着剤を、外包材を構成する一方のフィルムの一方の面に塗布量3.5g/m2となるように塗布して接着層を形成し、接着層が形成された一方のフィルムと他方のフィルムとを接着層を間に挟んで加圧した。
(真空断熱材の作製)
実施例1で得られた外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作成した。芯材として300mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封して真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
実施例1で得られた外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作成した。芯材として300mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封して真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
[実施例2]
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE50と、第1ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH15と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE50と、第1ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH15と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例3]
熱溶着可能なフィルムとしてPBT25と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてPBT25と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例4]
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE30と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付厚膜Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第4ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第4ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE30と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付厚膜Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第4ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第4ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[実施例5]
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE30と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第4ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第4ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE30と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、第4ガスバリアフィルムとしてAl−O−P結合含有層付PET12と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第4ガスバリアフィルムは、Al−O−P結合含有層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例1]
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE50と、第1ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH12と、第2ガスバリアフィルムとしてAl蒸着PET12と、保護フィルムとしてON25と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE50と、第1ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH12と、第2ガスバリアフィルムとしてAl蒸着PET12と、保護フィルムとしてON25と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例2]
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてOC(B)層付SiO2蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC(B)層付SiO2蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてOC(B)層付SiO2蒸着PET12と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC(B)層側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC(B)層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、OC(B)層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてOC(B)層付SiO2蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC(B)層付SiO2蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてOC(B)層付SiO2蒸着PET12と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC(B)層側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC(B)層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、OC(B)層側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例3]
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(C)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(C)付Al蒸着PET12、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(C)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(C)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてOC層(C)付Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(C)付Al蒸着PET12、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、OC層(C)側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(C)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例4]
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE50と、第1ガスバリアフィルムとして厚膜Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付PETと、第3ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてLLDPE50と、第1ガスバリアフィルムとして厚膜Al蒸着PET12と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付PETと、第3ガスバリアフィルムとしてOC層(A)付ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、OC層(A)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[比較例5]
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH15と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(D)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(D)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
熱溶着可能なフィルムとしてCPP50と、第1ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH15と、第2ガスバリアフィルムとしてOC層(D)付Al蒸着PET12と、第3ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15と、をこの順で積層して、実施例1と同様に外包材を得た。第1ガスバリアフィルムは、Al膜側の面が第2ガスバリアフィルム側となるように配置し、第2ガスバリアフィルムは、OC層(D)側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置し、第3ガスバリアフィルムは、SiO2膜側の面が第1ガスバリアフィルム側となるように配置した。また、実施例1と同様の方法で真空断熱材を得た。
[評価]
1.灰分の測定
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各外包材について、上記「I.真空断熱材用外包材 A.特性」の項で説明した方法で灰分を測定した。結果を表4に示す。
1.灰分の測定
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各外包材について、上記「I.真空断熱材用外包材 A.特性」の項で説明した方法で灰分を測定した。結果を表4に示す。
2.熱伝導率の測定
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各真空断熱材について、上記「II.真空断熱材」の項で説明した方法および条件により熱伝導率を測定し、初期値(λ1)とした。また、各真空断熱材を、温度100℃、湿度無管理の恒温室内で500時間保管し、保管後の真空断熱材の熱伝導率を、初期値と同様の方法および条件で測定し、100℃500時間保管後値(λ2)とした。さらに、500時間保管後値と初期値との差Δ(λ2−λ1)を劣化量とした。結果を表4に示す。
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各真空断熱材について、上記「II.真空断熱材」の項で説明した方法および条件により熱伝導率を測定し、初期値(λ1)とした。また、各真空断熱材を、温度100℃、湿度無管理の恒温室内で500時間保管し、保管後の真空断熱材の熱伝導率を、初期値と同様の方法および条件で測定し、100℃500時間保管後値(λ2)とした。さらに、500時間保管後値と初期値との差Δ(λ2−λ1)を劣化量とした。結果を表4に示す。
3.酸素透過度
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各外包材について、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度(初期酸素透過度T1)、温度100℃、湿度0%RHの条件での酸素透過度(高温保管前酸素透過度T2)を測定した。また、各外包材を、温度100℃、湿度無管理の恒温室内で500時間保管し、保管後の外包材の温度100℃、湿度0%RHの条件での酸素透過度(高温保管後酸素透過度T3)を測定し、高温保管前後での酸素透過度の劣化量Δ(T3−T2)を算出した。各条件での酸素透過度は、上記「I.真空断熱材用外包材 A.特性」の項で説明した条件および方法により測定した。結果を表4に示す。
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各外包材について、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度(初期酸素透過度T1)、温度100℃、湿度0%RHの条件での酸素透過度(高温保管前酸素透過度T2)を測定した。また、各外包材を、温度100℃、湿度無管理の恒温室内で500時間保管し、保管後の外包材の温度100℃、湿度0%RHの条件での酸素透過度(高温保管後酸素透過度T3)を測定し、高温保管前後での酸素透過度の劣化量Δ(T3−T2)を算出した。各条件での酸素透過度は、上記「I.真空断熱材用外包材 A.特性」の項で説明した条件および方法により測定した。結果を表4に示す。
4.屈曲処理後の水蒸気透過度および酸素透過度
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各外包材について、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形の試験片(試験片数N=1)をそれぞれ採取した。ASTM F392に準拠して、各試験片に対してゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名:BE1006)を用いて3回屈曲処理を行った。3回屈曲処理後の各試験片について、上記「I.真空断熱材用外包材 A.特性」の項で説明した方法および条件により、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度(屈曲処理後の酸素透過度T4)を測定した。また、初期酸素透過度に対する屈曲処理後の劣化量Δ(T4−T1)を算出した。結果を表4に示す。
実施例1〜5、比較例1〜5で得た各外包材について、幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形の試験片(試験片数N=1)をそれぞれ採取した。ASTM F392に準拠して、各試験片に対してゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名:BE1006)を用いて3回屈曲処理を行った。3回屈曲処理後の各試験片について、上記「I.真空断熱材用外包材 A.特性」の項で説明した方法および条件により、温度23℃、湿度60%RHの条件での酸素透過度(屈曲処理後の酸素透過度T4)を測定した。また、初期酸素透過度に対する屈曲処理後の劣化量Δ(T4−T1)を算出した。結果を表4に示す。
[考察]
実施例1〜5の外包材も、比較例1〜5の外包材も、温度23℃、湿度60%RHでの酸素透過度は同程度であった。しかし、無機フィラーを含むオーバーコート層(A)がガスバリア膜上に設けられている実施例1〜5の外包材は、温度100℃での酸素透過度が、0.01cc/(m2・day・atm)であったのに対し、オーバーコート層(A)を有さない比較例1〜3および5、並びに、オーバーコート層(A)を有するがガスバリア膜上に設けられていない比較例4の外包材は、温度100℃での酸素透過度が、0.11cc/(m2・day・atm)以上と実施例よりも高い値を示した。また、温度100℃、湿度無管理の恒温室内で500時間保管後の、温度100℃での酸素透過度についても、実施例1〜5の外包材は、比較例1〜5の外包材よりも、高温保管前の酸素透過度からの劣化量が小さかった。更に、真空断熱材の熱伝導率の結果から、実施例1〜5の真空断熱材は、比較例1〜5の真空断熱材よりも熱伝導率の劣化量が小さかった。以上の結果から、ガスバリア膜上に無機フィラーを含むオーバーコート層(A)を設けたガスバリアフィルムを有する外包材は、高温環境において長期間、良好な酸素バリア性能を発揮可能であることが確認された。
実施例1〜5の外包材も、比較例1〜5の外包材も、温度23℃、湿度60%RHでの酸素透過度は同程度であった。しかし、無機フィラーを含むオーバーコート層(A)がガスバリア膜上に設けられている実施例1〜5の外包材は、温度100℃での酸素透過度が、0.01cc/(m2・day・atm)であったのに対し、オーバーコート層(A)を有さない比較例1〜3および5、並びに、オーバーコート層(A)を有するがガスバリア膜上に設けられていない比較例4の外包材は、温度100℃での酸素透過度が、0.11cc/(m2・day・atm)以上と実施例よりも高い値を示した。また、温度100℃、湿度無管理の恒温室内で500時間保管後の、温度100℃での酸素透過度についても、実施例1〜5の外包材は、比較例1〜5の外包材よりも、高温保管前の酸素透過度からの劣化量が小さかった。更に、真空断熱材の熱伝導率の結果から、実施例1〜5の真空断熱材は、比較例1〜5の真空断熱材よりも熱伝導率の劣化量が小さかった。以上の結果から、ガスバリア膜上に無機フィラーを含むオーバーコート層(A)を設けたガスバリアフィルムを有する外包材は、高温環境において長期間、良好な酸素バリア性能を発揮可能であることが確認された。
なお、表4より、高温保管後の酸素透過度の劣化量と、屈曲処理試験後の酸素透過度の劣化量との間には相関が無いことから、外包材の熱伸縮によるせん断応力に起因するガスバリア性能の低下と、外部からの機械的な応力を受けることに起因するガスバリア性能の低下との間には、相関がないことが示唆された。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2 … ガスバリアフィルム
2A … 第1ガスバリアフィルム
2B … 第2ガスバリアフィルム
3 … 樹脂基材
4 … ガスバリア膜
5 … 無機フィラーを含むオーバーコート層
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 … 真空断熱材
2 … ガスバリアフィルム
2A … 第1ガスバリアフィルム
2B … 第2ガスバリアフィルム
3 … 樹脂基材
4 … ガスバリア膜
5 … 無機フィラーを含むオーバーコート層
10 … 真空断熱材用外包材
11 … 芯材
20 … 真空断熱材
Claims (5)
- 熱溶着可能なフィルムと、樹脂基材、および、前記樹脂基材の一方の面側に配置され、無機物を含むガスバリア膜を有するガスバリアフィルムを1つ以上と、を少なくとも有する真空断熱材用外包材であって、
前記ガスバリアフィルムの少なくとも1つは、前記ガスバリア膜の前記樹脂基材とは反対側の面上に、無機フィラーを含む膜厚が50nm以上500nm以下の範囲内であるオーバーコート層をさらに有し、
前記真空断熱材用外包材の灰分が1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内である、真空断熱材用外包材。 - 温度100℃での酸素透過度が0.1cc/(m2・day・atm)以下である、請求項1に記載の真空断熱材用外包材。
- 前記無機フィラーが無機層状化合物である、請求項1または請求項2に記載の真空断熱材用外包材。
- 芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、
前記外包材が、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材。 - 熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有し、
前記外包材が、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品。
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