JP7271919B2 - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents

真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 Download PDF

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Description

本開示は、真空断熱材の形成に用いる真空断熱材用外包材に関する。
近年、物品の省エネルギー化を目的として、真空断熱材が用いられている。真空断熱材は、外包材の袋体内に芯材が配置され、上記袋体内が大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている部材であり、内部の熱対流が抑制されるため、良好な断熱性能を発揮することができる。なお、真空断熱材に用いられる外包材のことを、真空断熱材用外包材、または単に外包材と称して説明する。
真空断熱材用外包材は、真空断熱材内部の真空状態を長期間保持するために、酸素や水蒸気等のガスの透過を抑制するためのガスバリア性、端部を接合して袋体を形成し、芯材を封入密閉するための熱溶着性等の物性が要求される。これらの物性を満たすため、外包材としては、一般に、ガスバリア層および熱溶着可能なフィルムを構成部材として含む積層体が採用されている(特許文献1~4)。
外包材の熱溶着可能なフィルムとしては、熱溶着が容易である等の理由から、ポリエチレン(PE)フィルムが主に用いられている。しかし、PEフィルムは耐熱性が低く熱劣化し易いため、熱溶着可能なフィルムがPEフィルムである外包材は、高温環境での長期使用を想定した真空断熱材の形成には不向きである。
この点、ポリプロピレン(PP)フィルムは、ポリエチレンよりも高耐熱性を有し、熱溶着が比較的容易である。このため、熱溶着可能なフィルムがPPフィルムである外包材は、高温環境での長期使用を想定した真空断熱材の形成に好適に用いることができる。
一方、熱溶着可能なフィルムとしては、フィルムに含まれる揮発ガス量が小さいものが好ましい。これは、熱溶着可能なフィルム等のガスバリア層の内側に配置された層として、揮発ガス量が多い層を用いた場合は、真空断熱材とした場合の内部の真空度の維持が難しくなり、経時的に断熱性能が低下してしまうためである。
このような観点から、本発明者等は、上記PPフィルムの中でも、ホモポリマーを主成分とする無延伸ポリプロピレン(以下、CPPとする場合がある。)を熱溶着可能なフィルムとして用いることが好ましい点を新たに見出した。
特開2003-262296号公報 特開2013-103343号公報 特開2006-70923号公報 特開2014-62562号公報
上述した通り、真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムを最内層に配置し、ヒートシールを行うことで内部に芯材を真空状態で密封することができる。ここで、ヒートシールの際に上記ガスバリア層に対する影響を極力排除するために、ヒートシール温度はなるべく低いことが好ましい。しかしながら、上述したホモポリマーを主成分とするCPPは、ヒートシールを行う際に比較的高い温度が必要であった。
本開示は、ヒートシールを行う際にヒートシール温度がより低い温度で、かつフィルムに含まれる揮発ガス量が小さい熱溶着可能なフィルムを有する真空断熱材用外包材、およびこれを用いた真空断熱材、ならびに真空断熱材付き物品を提供することを主目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、熱溶着可能な層に用いるポリプロピレンに対し、ポリプロピレン以外の構成単位を導入することにより、結晶性を低下させ、ヒートシール温度を低下することができる材料について検討した。この検討により本発明者等は、導入する構成単位の量や種類によって、熱溶着可能なフィルムに含有される揮発性ガスが大きく異なることを新たに見出した。また、ポリプロピレンに対し、ポリプロピレン以外の構成単位を導入した場合、結晶性の低下により弾性率が低下するが、この際、弾性率によっては、真空断熱材とした場合のシール部が折畳まれた部位において、厚み方向の弾性率のバランスが悪くなる場合があり、ガスバリア層に加わる剪断力が増加することによるガスバリア性の低下が生じる場合があることも見出した。このため、上述した課題を解決するためには、ポリプロピレンに導入する構成単位の量や種類を特定し、これに加えて熱溶着可能なフィルムの弾性率を特定することが必要であることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本開示は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリア層を少なくとも有する真空断熱材用外包材であって、上記熱溶着可能なフィルムを構成するポリマーの構成単位が、プロピレンおよびエチレンであり、かつブテンを含まないものであり、上記ポリマー中の前記エチレンの含有比率が10mol%以下であり、上記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が、0.5GPa以上である、真空断熱材用外包材を提供する。
また、本開示は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が上述した真空断熱材用外包材である、真空断熱材を提供する。
また、本開示は、熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材と、上記芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が上述した真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品を提供する。
本開示によれば、ヒートシールを比較的低温で行うことが可能であり、かつ揮発性ガスの含有率が少ない真空断熱材用外包材を提供することができる。
本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 真空断熱材のシール端部を説明する概略断面図である。
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本開示は、真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を実施形態に含むものである。以下、それぞれについて説明する。
I.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムおよびガスバリア層を少なくとも有する真空断熱材用外包材であって、上記熱溶着可能なフィルムを構成するポリマーの構成単位が、プロピレンおよびエチレンであり、かつブテンを含まないものであり、上記ポリマー中の前記エチレンの含有比率が10mol%以下であり、上記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が、0.5GPa以上である。
図1は、本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。この例の真空断熱材用外包材10は、熱溶着可能なフィルム1、上記熱溶着可能なフィルム1の一方の面に配置されたガスバリア層2、および上記ガスバリア層2の上記熱溶着可能なフィルム1が形成されていない側の面に配置された保護フィルム3と、を有するものであり、この例におけるガスバリア層2は、樹脂基材11の主面に形成されたガスバリア膜12を有するものである。
本開示の真空断熱材用外包材においては、上記熱溶着可能なフィルムとして用いるポリマーの構成単位が、プロピレンおよびエチレンであり、かつブテンを含まないものであり、上記ポリマー中の前記エチレンの含有比率が10mol%以下であり、上記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が、0.5GPa以上である点に特徴を有するものである。
本開示において、熱溶着可能なフィルムに用いるポリマーの構成単位の組成が上記の通りであった場合は、上記熱溶着可能なフィルムに含有される揮発性ガスの含有率を低いものとすることが可能であり、本開示の真空断熱材用外包材を真空断熱材として用いた際に、使用中の真空断熱材内部の真空度の低下を防止し、真空断熱材の断熱性の低下を抑えることができる。しかしながら、この場合でも上記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が所定の値以上のものでないのであれば、真空断熱材用外包材として、芯材側および外気側の弾性率のバランスが悪くなり、例えば折畳み部におけるガス透過性の劣化を生じてしまうといった課題を有することになる。
一方、上記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が所定の値より大きいものであれば、上述した折畳み部におけるガス透過性の劣化といった問題は生じないが、この場合でも熱溶着可能なフィルムに用いるポリマーの構成単位の組成が、例えばエチレンの割合が所定の値より多い場合や、ブテンが含まれている場合は、揮発性ガスが原因となり、真空断熱材内部の真空度の低下を招くことになる。
本開示における真空断熱材用外包材は、このように熱溶着可能なフィルムに用いるポリマーの構成単位の組成が上記の通りであり、かつ上記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が所定の値以上であることにより、上述した課題を解決することを可能としたものである。
以下、本開示の真空断熱材用外包材の構成、特性について詳細に説明する。
A.熱溶着可能なフィルム
本開示の外包材における熱溶着可能なフィルムは、構成するポリマーの構成単位が、プロピレンおよびエチレンであり、かつブテンを含まないものであり、さらに上記ポリマー中の前記エチレンの含有比率が10mol%以下である。また、上記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が、0.5GPa以上である。
1.ポリマーの構成単位
上述したように、上記ポリマーをプロピレンのホモポリマーとしなかったのは、プロピレンのホモポリマーは、ヒートシール温度が多少高めであることから、ヒートシール時に真空断熱材用外包材中のガスバリア層が劣化するおそれがあったためである。したがって、ヒートシール温度を低下させるべく、上記ポリマーの構成単位として、他のモノマーを含ませることを検討した。しかしながら、ブテンを添加した場合は著しく内部に含有される揮発性ガスが増加することが見出された。またエチレンに関しても、含有量によっては、含有される揮発性のガスが増加することを見出した。
そこで、本開示に用いられる上記ポリマーの構成単位の組成としては、ブテンを含まないプロピレンおよびエチレンとし、構成単位中のエチレンの含有比率を10mol%以下としたのである。
ここで、構成単位が「プロピレンおよびエチレンである」とは、ポリマーの構成単位において、プロピレンおよびエチレンが主たる成分であることを意味するものであり、ポリマーの構成単位全てを100mol%とした際に、プロピレンおよびエチレンが、90mol%以上であることが好ましく、中でも95mol%であることが好ましく、特に100mol%であることが好ましい。
また、本開示においては、上記ポリマーの構成単位としてブテンを含まないものである。ここで、ブテンを含まないとは、後述する核磁気共鳴(以下、NMRとする場合がある。)を用いた分析において、ブテンの位置にピークを有さないことを意味する。
さらに、本開示において、上記ポリマーの構成単位中のエチレンの含有比率は、10mol%以下とされ、中でも8mol%以下であることが好ましい。なお、上記エチレンの含有比率の下限としては、後述するNMRによる分析において、エチレンの位置にピークを有するものであればよいが、通常、3mol%以上とすることができる。
本開示においては、上記ポリマーの組成をこのような組成とすることにより、揮発性のガスの含有率を最小限のものとすることが可能となり、本開示の真空断熱材用外包材を真空断熱材として用いた際に、使用中の真空断熱材内部の真空度の低下を防止し、真空断熱材の断熱性の低下を抑えることができる。
これは、以下の理由によるものであると推定される。すなわち、上記熱溶着可能なフィルムを構成するポリマーが、プロピレンを構成単位とするホモポリマーの場合は、ポリマーを合成するに際して、モノマーが均一な反応性を有するものとなり、未反応のモノマーの存在を最低限のものとすることが可能となり、内部に含有する揮発性ガスを最小限とすることが可能となる。しかしながら、所定量より多量のエチレンを加えた場合や、ブテンを加えた場合においては、上記重合反応のバランスが崩れてしまい、未反応のモノマーが生じてしまう可能性が高くなる。このため、内部に揮発性のガスが存在するポリマーとなってしまい、上述した問題が生じてしまう。このような理由から、モノマーとしてブテンを加えず、かつエチレンの添加の範囲を10mol%以下とすることにより、ポリマー内部における未反応モノマーの残留を抑え、含有される揮発性ガスを最小限のものとすることができるのである。
このようなポリマーの構成単位の組成の分析は、以下に示すNMRによる分析により行うことができる。
<測定条件>
装置:ブルカーバイオスピン社製AVANCEIIIHD 400MHz型核磁気共鳴装置
測定核:13
測定モード:インバースゲートデカップリング
パルス幅:30°(10μ秒)
ポイント数:64K
測定範囲:238ppm(-19~219ppm)
繰り返し時間:20秒
積算回数:5K
測定溶媒:o-ジクロロベンゼン/o-ジクロロベンゼン-d4(1:1)
試料濃度:100mg/1ml
測定温度:120℃
ウィンドウ関数:exponential(BF:1.0Hz)
<前処理>
・5mlのサンプル管瓶に試料100mgを秤量する。
・マイクロピペッターを用い、o-ジクロロベンゼン 0.5mlと、o-ジクロロベンゼン-d4 0.5mlとを採取し、試料を秤量したサンプル管瓶に添加する。
・130℃に加温した攪拌機能付高温ろ過装置(SSC-9300 センシュー科学製)にサンプル管瓶を入れ、十分に溶解させる。
・溶解させた試料をNMR試料管に移し、測定を行った。
<真空断熱材からの試料の採取方法>
真空断熱材から真空断熱材用外包材を切り出し、上記真空断熱材用外包材から熱溶着可能なフィルムを100mg採取し、上述した前処理を行う。この際、上記採取した熱溶着可能なフィルムに接着剤等の付着物がある場合は、酢酸エチル等の溶剤を含ませた綿棒等でふき取り、その後十分に乾燥させた後、上述した前処理を行う。
2.押し込み弾性率
本開示の外包材における熱溶着可能なフィルムは、押し込み弾性率が0.5GPa以上であり、0.6GPa以上であることが好ましい。なお、通常、上記押し込み弾性率は10.0GPa以下とすることができ、中でも5.0GPa以下とすることができる。
熱溶着可能なフィルムの押し込み弾性率を0.5GPa以上とすることにより、折畳み部分におけるガスバリア性の低下を防止することができる。これは、以下の理由によるものであると推定される。
図2は、本開示の真空断熱材用外包材を用いた真空断熱材の一例を示す断面図ある。なお、ここでは、外包材の各構成部材については図示を省略する。図2に例示する真空断熱材20は、芯材21と、芯材21を封入する外包材10と、を有し、芯材21を介して対向する一対の外包材10の周縁が接合されてなるシール端部22を有する。シール端部22は、通常真空断熱材20を緻密に配置するため、図2に示すように折畳まれて使用される。この際、折畳み部の頂部4の近傍では、真空断熱材用外包材の各層に大きな剪断応力が生じる。しかしながら、真空断熱材用外包材の熱溶着可能なフィルム側の弾性と、厚み方向で反対側に存在する層の弾性とがバランスされた内部領域では、剪断応力が抑制された領域が存在することになる。本開示においては、熱溶着可能なフィルムの押し込み弾性率を上述したようなある程度高い弾性率とすることにより、ガスバリア層を上述した剪断応力が低減された領域に位置させることにより、ガスバリア層に加わる剪断応力を低減させ、これによりガスバリア層の損傷を抑え、ガスバリア性を維持できることが可能となったものと推定される。
押し込み弾性率は、ISO 14577:2015に準拠する方法により、超微小負荷硬さ試験機を用いて測定することができる。測定は、外包材から所望のサイズのサンプルを切り出し、上記サンプルの外周を硬化樹脂で固めて固定し、固定したサンプルをダイヤモンドナイフで厚み方向に切断して、露出した厚み方向の断面に対して、ビッカース圧子(対面角136°の正四角錐のダイヤモンド圧子)を装着させた超微小負荷硬さ試験機を用いて、押し込み速度0.1μm/秒、押し込み深さ2μm、保持時間5秒間、引き抜き速度0.1μm/秒の条件で行う。上記測定は、温度25℃±10℃の条件で行う。超微小負荷硬さ試験機は、例えばピコデンターHM500(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いることができる。押し込み弾性指数を算出する際の層の厚みは、切削断面の光学顕微鏡観察の計測により測定することができる。1つの条件では、外包材から切り出した1つのサンプルにおいて、少なくとも異なる5箇所で測定し、それらの測定値の平均を、熱溶着可能なフィルムのその条件での押し込み弾性率の値とする。
3.その他
本開示における熱融着可能な層の膜厚は、所望の特性や機能を発揮可能であれば特に限定されないが、例えば20μm以上100μm以下とすることができ、中でも25μm以上90μm以下とすることができ、特に30μm以上80μm以下とすることができる。上記厚みが上記範囲よりも大きいと、本開示の外包材を用いた真空断熱材において、接合端部の側面からガスが侵入しやすくなり、真空断熱材内部の真空度が損なわれる場合がある。一方、上記厚みが上記範囲よりも小さいと、接合部分において所望の接着力が得られない場合がある。
上記熱溶着可能なフィルムを構成するポリマー中のプロピレンとエチレンとは、ランダム共重合体であるランダムポリプロピレン樹脂(ランダムPP)であってもよく、ブロック共重合体であるブロックポリプロピレン樹脂(ブロックPP)であってもよい。
また、上記ポリマーは単一のポリマーを単層で用いてもよく、また異なるポリマーを積層させて用いてもよい。異なる種類のポリマーを用いる場合の上記ポリマーの構成単位の組成は、全体を平均化した組成とすることとする。
上記熱溶着可能なフィルムを構成するポリマーは、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤の含有量は例えば上記ポリマーの全質量100質量%に対して3質量%以下とすることができる。
上記熱溶着可能なフィルムは、延伸されていてもよく、無延伸であってもよい。中でもヒートシール性に優れている観点から、無延伸であることが好ましい。
B.ガスバリア層
本開示におけるガスバリア層は、熱溶着可能なフィルムの一方の面側に配置される。ガスバリア層としては、酸素や水蒸気等のガスに対するガスバリア性能を発揮可能な層であれば特に限定されず、例えば、金属箔、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面上に配置されたガスバリア膜を有するもの等が挙げられる。
上記金属箔としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等が挙げられる。
上記ガスバリア膜としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属または合金で形成された金属薄膜;ケイ素(シリカ)、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅、マグネシウム、カルシウム、カリウム、錫、ナトリウム、ホウ素、鉛、亜鉛、ジルコニウム、イットリウム等の化合物で形成された無機化合物膜等が挙げられる。上記ガスバリア膜は、通常、樹脂基材の少なくとも一方の面と直接接するように形成される。また、上記ガスバリア膜は、コーティング等による塗布膜であっても良く、蒸着膜であってもよい。
上記樹脂基材としては、ガスバリア膜を支持することができれば特に限定されず、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン等の公知の樹脂フィルムが挙げられる。本開示においては、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本開示においては、特に上述したようにヒートシールする際にガスバリア性に影響が生じるものであることが、本発明の効果を発揮するうえで好ましく、この点からは、ガスバリア層が樹脂基材上にガスバリア膜が形成されたものであることが好ましい。
本開示の真空断熱材用外包材は、ガスバリア層を少なくとも1つ有するが、2つ以上有していることが好ましい。また、真空断熱材用外包材が有する複数のガスバリア層は、同じであってもよく、種類や層構成、材質等が異なってもよい。
C.保護フィルム
本開示の外包材は、上述した熱溶着可能なフィルムおよびガスバリア層の他に、保護フィルムを有することができる。上記保護フィルムは、上記熱溶着可能なフィルムから最も離れた位置にあるガスバリア層の、熱溶着可能なフィルムとは反対側に有することができ、本開示の外包材の厚み方向(積層方向)において、熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外面を担う層とすることができる。これにより、保護フィルム以外の外包材の構成部材を損傷や劣化から保護することができる。保護フィルムとしては、汎用の樹脂フィルムを用いることができ、中でも、熱溶着可能なフィルムよりも高融点の樹脂フィルムを用いることができる。
D.接着層
本開示の外包材は、外包材を構成する部材間に接着層を有することができる。外包材を構成する部材間としては、例えば、熱溶着可能なフィルムとガスバリア層との間、ガスバリア層と、それに隣接する他のガスバリア層との間、ガスバリア層と保護フィルムとの間等が挙げられる。上記接着層は、ラミネートに用いられる公知の接着剤を用いて形成することができる。上記接着剤としては、特に限定されないが、例えば感圧性接着剤、熱可塑性接着剤、硬化性接着剤等が挙げられる。
E.その他
本開示の外包材の厚みは、上述した特性を有することが可能であれば特に限定されず、例えば30μm以上200μm以下、好ましくは50μm以上150μm以下とすることができる。
本開示の外包材は、水蒸気透過度が低いほど好ましく、例えば水蒸気透過度が0.1g/(m・day)以下であることが好ましく、中でも0.05g/(m・day)以下、特に0.01g/(m・day)以下とすることができる。
水蒸気透過度は、ISO 15106-5:2015に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定することができる。測定は、所望のサイズに切り取った外包材の、厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層の表面が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、英国Technolox社製の「DELTAPERM」を用いることができる。水蒸気透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。
本開示の外包材は、酸素透過度が低いほど好ましく、例えば酸素透過度が0.1cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.05cc/(m・day・atm)以下とすることができる。
酸素透過度は、JIS K7126-2:2006(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を用いて、温度23℃、湿度60%RHの条件で測定することができる。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。測定は、所望のサイズに切り取った外包材の、厚み方向に対向する2つの最外面を担う層のうち、一方の最外層である熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層の表面が酸素ガスに接するようにして上記装置内に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件として測定を行う。上記測定の際、上記装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージする。上記キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることができる。パージ後、上記装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に測定する。試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いる。酸素透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とする。
本開示の外包材の製造方法としては、例えば、予め製造した各フィルムを上述した接着層を介して貼り合せる方法が挙げられる。また、熱溶融させた各フィルムの原材料をTダイ等で順次押出しして積層して外包材を製造してもよい。
本開示の外包材は、真空断熱材に用いることができる。真空断熱材において、本開示の外包材は、熱溶着可能なフィルムが芯材側となるようにして、芯材を介して対向して配置して用いることができる。
II.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、芯材と、上記芯材を封入する外包材とを有する真空断熱材であって、上記外包材が上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものであることを特徴とする。
図2は、本開示の真空断熱材用外包材を用いた真空断熱材の一例を示す断面図ある。なお、ここでは、外包材の各構成部材については図示を省略する。図2に例示する真空断熱材20は、芯材21と、芯材21を封入する外包材10と、を有し、芯材21を介して対向する一対の外包材10の周縁が接合されてなるシール端部22を有する。
本開示の真空断熱材によれば、芯材を封入する外包材が、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材であることから、断熱性を長時間維持することができる。
以下、本開示の真空断熱材について、構成ごとに説明する。
1.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材における外包材は、芯材を封入する部材であり、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材と同じであるため、ここでの説明は省略する。
2.芯材
本開示の真空断熱材における芯材は、外包材により封入される部材である。なお、封入されるとは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封されることをいう。
上記芯材は、熱伝導率が低い材料であればよく、例えば、粉粒体、発泡樹脂、繊維等が挙げられる。上記芯材は、上述した材料のうち1つの材料で形成されていてもよく、2以上の材料を混合して形成された複合材であってもよい。また、上記芯材は、無機材料からなるものであってもよく、有機材料からなるものであってもよく、有機材料からなるものと無機材料からなるものとの混合物であってもよい。
上記芯材は、粉粒体、発泡樹脂、繊維等の材料が外包材の袋体内に直接封入された非成形体であってもよく、粉粒体、発泡樹脂、繊維等の材料を所望の形状に成形した成形体であってもよい。中でも上記芯材は成形体であることが好ましく、成形体の中でも特にシート状であることが好ましい。
シート状の芯材とは、上述した材料をシート状に成形した成形体をいい、例えば、繊維を絡み合わせた繊維シート、発泡樹脂を発泡して形成した発泡シート、粉粒体を熱圧成形して形成した粉粒体シート等が挙げられる。中でも繊維シートが好ましい。真空断熱材の熱伝導率が低くできるからである。シート状の芯材の1つあたりの厚みについて、真空断熱材の断熱性能やシート状の芯材の積層数に応じて適宜設定することができる。
本開示の真空断熱材は、シート状の芯材が1以上封入されていればよく、真空断熱材におけるシート状の芯材は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。シート状の芯材が2つ以上の場合は、本開示の真空断熱材は、上記2つ以上のシート状の芯材を積層した積層体を封入することができ、2つ以上のシート状の芯材からなる積層体の積層数は、真空断熱材に要求される断熱性能や、シート状の芯材の1つあたりの厚みに応じて適宜設定することができる。
3.その他
本開示の真空断熱材は、外包材の内部に芯材が封入され、上記内部が減圧されて真空状態となっている。真空断熱材内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
真空断熱材の熱伝導率は、低い程好ましく、例えば、熱伝導率が5mW/(m・K)以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなり、高い断熱効果を奏することができるからである。中でも上記熱伝導率は、4mW/(m・K)以下であることがより好ましく、3mW/(m・K)以下であることがさらに好ましい。
熱伝導率は、JIS A1412-2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第2部:熱流計法(HFM法))に準拠し、熱伝導率測定装置を用いて熱流計法により測定された値とすることができる。上記熱伝導率測定装置は、例えば、熱伝導率測定装置オートラムダ(製品名:HC-074、英弘精機製)を用いることができる。測定は、以下の条件で、測定試料(真空断熱材)の両方の主面が上下方向を向くように配置して行う。熱伝導率測定前に、測定試料の温度が測定環境温度と等しくなっているかを、熱流計などを使用して予め測定しておくことが好ましい。1つの条件では少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の熱伝導率の値とする。
(熱伝導率の測定条件)
・測定試料:幅29cm±0.5cm、長さ30cm±0.5cm
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板の種類:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
本開示の真空断熱材の製造方法は、一般的な真空断熱材の製造方法を用いることができる。例えば、上述した「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を封止することで、真空断熱材を得ることができる。
III.真空断熱材付き物品
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材が、芯材と、芯材が封入された外包材とを有し、上記外包材が、上述の「I.真空断熱材用外包材」の項で説明したものである。
本開示の真空断熱材付き物品によれば、物品に用いられる真空断熱材を構成する外包材が、「I.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材であるので、断熱性を長時間維持することができる。
本開示における真空断熱材、およびそれに用いられる外包材については、上述した「II.真空断熱材」および「I.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示における物品は、熱絶縁領域を有する。ここで上記熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[材料]
実施例および比較例の真空断熱材用外包材を構成する部材を下記に示す。
・保護フィルムA:膜厚25μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製 製品名:ON)
・ガスバリア層A:膜厚12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)にAlを蒸着したフィルム(大日本印刷株式会製社 製品名:IB-PET PXB)
・ガスバリア層B:膜厚12μmのエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)にAlを蒸着したフィルム(株式会社クラレ製 製品名:VM-XL)
・熱溶着可能なフィルムA:膜厚30μm(出光ユニテック株式会社製 製品名:RS510C)
・熱溶着可能なフィルムB:膜厚30μm(出光ユニテック株式会社製 製品名:RS503C)
・熱溶着可能なフィルムC:膜厚30μm(三井化学東セロ株式会社製 製品名:GLC)
・熱溶着可能なフィルムD:膜厚30μm(東レフィルム加工株式会社製 製品名:3951)
・熱溶着可能なフィルムE:膜厚30μm(サン-トックス株式会社製 製品名:LU02)
・熱溶着可能なフィルムF:膜厚30μm(オカモト株式会社製 製品名:ET20)
・熱溶着可能なフィルムG:膜厚30μm(三井化学東セロ株式会社製 製品名:SC)
[実施例1]
(真空断熱材用外包材の作製)
保護フィルムA、ガスバリア層A、ガスバリア層B、および熱溶着可能なフィルムAをこの順に積層して、真空断熱材用外包材を得た。ガスバリア層Aおよびガスバリア層Bは、それぞれのAl膜およびAl膜が向き合うように配置した。
各フィルムは、接着剤層で接合した。接着剤層を形成するための接着剤は、ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU-77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H-7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された、2液硬化型の接着剤を用いた。上述した接着剤を真空断熱材とした場合に外側となる側のフィルムの一方の面に塗布量3.5g/mとなるように塗布して接着剤層を形成し、接着剤層が形成された外側となる側のフィルムと内側となる側のフィルムとを接着剤層を間に挟んで加圧した。
(真空断熱材の作製)
得られた真空断熱材用外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作製した。芯材として290mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封し、ヒートシール部を図2に示すような折り曲げ加工を行い、真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
なお、上記ヒートシールは、シール温度を150℃とし、インパルス方式で行った。装置および条件は以下の通りである。
・装置:富士インパルス株式会社製 FA-600-10W
・条件:加熱時間0.9秒、冷却時間4秒
[実施例2]
熱溶着可能なフィルムAに替えて熱溶着可能なフィルムBを用いた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用外包材および真空断熱材を調製した。
[比較例1]
熱溶着可能なフィルムAに替えて熱溶着可能なフィルムCを用いた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用外包材および真空断熱材を調製した。
[比較例2]
熱溶着可能なフィルムAに替えて熱溶着可能なフィルムDを用いた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用外包材および真空断熱材を調製した。
[比較例3]
熱溶着可能なフィルムAに替えて熱溶着可能なフィルムEを用いた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用外包材および真空断熱材を調製した。
[比較例4]
熱溶着可能なフィルムAに替えて熱溶着可能なフィルムFを用いた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用外包材および真空断熱材を調製した。
[参考例1]
熱溶着可能なフィルムAに替えて熱溶着可能なフィルムGを用いた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用外包材および真空断熱材を調製した。
[評価1]
上記実施例1~2、比較例1~3、および参考例1について、それぞれの熱溶着可能なフィルムの組成比、揮発性ガス量、押込み弾性率、ゲルボ後の水蒸気透過度、および真空断熱材とした場合の劣化試験後の断熱性の低下量について評価した。結果を表1に示す。
なお、熱溶着可能なフィルムの組成比は、「I.真空断熱材用外包材 A.熱溶着可能なフィルム 1.ポリマーの構成単位」の項で説明した方法により得た値である。また、揮発性ガス量は、下記方法により得られた値であり、表1中では「P&I C16換算値」として示す。さらに、押込み弾性率は、「I.真空断熱材用外包材 A.熱溶着可能なフィルム 2.押し込み弾性率」の項で説明した方法により得た値である。さらに、ゲルボ後の水蒸気透過度としては、下記の方法により得た値を用い、「ゲルボ3回後の水蒸気透過度」として表1に示す。参考として、150℃でのシール強度を下記の方法により測定し、表1に示す。
また、真空断熱材とした場合の劣化試験後の断熱性の低下量としては、「II.真空断熱材 3.その他」の項で説明した方法および条件に従い、初期(温度40℃、湿度90%RHの雰囲気中で保持する前)の熱伝導率(A)、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気中で500時間保持後の熱伝導率(B)をそれぞれ測定し、(B)-(A)の値を算出し、「VIP40℃90%500H後の△λ」として、表1中に示す。
(1)揮発性ガス量の測定
<測定方法>
各熱溶着可能なフィルムについて、1cm×5cmのサイズに切り出した試験片2枚を試料管に入れ、その試料管を下記条件にてパージ&トラップGC/MS法にかけて分析した。定量はC16標準により作製した検量線を用い、フィルムから揮発する有機ガス量の合計をC16換算値(mg/10cm)として算出した。
<パージ&トラップ条件>
・装置名:日本分析工業製JTD505
・加熱温度:90℃
・冷却温度:-60℃
・吸着材:グラスウール
・パージ時間:60min
・総スプリット比(導入量:排気量)=1:10
・カラム流量:1ml/min
<GC/MS条件>
・装置名:Agilent製 Agilent6890/5973
・キャピラリーカラム
・名称:DB-5MS相当
・固定相:5% diphenyl dimethyl polysiloxane(微極性)
・長さ×膜厚×内径:30m×0.25μm×0.25mm
・カラム流量:1ml/min
・オーブン条件:50℃(5min)→(10℃/min)→320℃(3min)
(2)屈曲処理後(ゲルボ後)の水蒸気透過度
真空断熱材用外包材から、それぞれ幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形のサンプルを切り出し、幅方向の両端を貼り合わせて円筒状に丸め、筒状にした試験片を作製した。この試験片の両端をゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名BE1006)の固定ヘッドと駆動ヘッドとで保持し、ASTM F392に準拠して、440度の角度でひねりを加えながら固定ヘッドと駆動ヘッドの間隔を7インチから3.5インチに狭めて、さらにひねりを加えた状態を維持したままヘッドの間隔を1インチまで狭め、その後、ヘッドの間隔を3.5インチまで広げて、さらにひねりを戻しながらヘッドの間隔を7インチまで広げるという往復運動を40回/minの速さで、温度25℃で3回行った。
上記試験後のサンプルを、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、PERMATRAN-W Model 3/33G)を用いて、JIS K7129-B:2008(プラスチック-フィルム及びシート-水蒸気透過度の求め方(機器測定法)、付属書B:赤外線センサ法)に準拠して、透過面積を約50cmとして、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した。各フィルムにつき、少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をそのフィルムの水蒸気透過度の値とした。
(3)150℃でのヒートシール強度の測定
シール強度の測定方法は、JIS Z0238:1998(ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法)に準拠して行った。まず、得られた真空断熱材に対しヒートシール部を含むように幅15mmの長方形にカットしてサンプルを採取した。次いで、得られたサンプルのヒートシール部を中央にして180°に開き、引張試験機を用いて、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minの条件でシール強度を測定する方法を用いた。測定環境は23℃±2℃、湿度50%±5%の環境とした。サンプルの長さは、試験機の軸にサンプルの長さが一致するようにつかみ具を取り付けられ、かつ測定中につかみ部分がずれない範囲で決定し、例えば70mm程度とした。引張試験機は、インストロン5565(インストロン・ジャパン社製)を用い、ピークトップとなる強度をシール強度として採用した。
Figure 0007271919000001
表1に示す通り、熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が0.5GPa以上であったとしても、エチレンの組成比が10mol%を超えるもの(比較例2)、およびブテンを含むもの(比較例1および3)は、揮発性ガス量が多く、真空断熱材とした場合の劣化後の断熱性の低下量も大きいとの結果を得た。なお、150℃でのシール強度は、参考例1を除き、問題なかった。
[評価2]
上記実施例1~2、比較例4、および参考例1について、それぞれの熱溶着可能なフィルムの組成比、押込み弾性率、ゲルボ後の水蒸気透過度、および、真空断熱材とした場合の劣化試験後の断熱性の低下量について評価した。結果を表2に示す。
上記熱溶着可能なフィルムの組成比、押込み弾性率、ゲルボ後の水蒸気透過度、および真空断熱材とした場合の劣化試験後の断熱性の低下量は、上記[評価1]と同様の方法により得た値を用いた。参考として、150℃でのシール強度を上記の方法により測定し、表2に示す。
Figure 0007271919000002
表2に示す通り、組成比がブテンを含まず、かつポリマー中のエチレンの含有比率が10mol%以下であったとしても、熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が0.5GPaに満たないもの(比較例4)は、押込み弾性率が0.5GPa以上のもの(実施例1および2)と比較してゲルボ後の水蒸気透過度が悪く、真空断熱材とした場合の劣化試験後の断熱性の低下量も大きいとの結果を得た。なお、150℃でのシール強度は、参考例1を除き、問題なかった。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2 … ガスバリア層
3 … 保護フィルム
4 … 頂部
11 … 基材
12 … ガスバリア膜
10 … 真空断熱材用外包材
20 … 真空断熱材
21 … 芯材
22 … シール端部

Claims (3)

  1. 熱溶着可能なフィルムおよびガスバリア層を少なくとも有する真空断熱材用外包材であって、
    前記熱溶着可能なフィルムを構成するポリマーの構成単位が、プロピレンおよびエチレンであり、かつブテンを含まないものであり、
    前記ポリマー中の前記エチレンの含有比率が3mol%以上10mol%以下であり、
    前記熱溶着可能なフィルムの押込み弾性率が、0.5GPa以上である、真空断熱材用外包材。
  2. 芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有する真空断熱材であって、
    前記外包材が請求項1に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材。
  3. 熱絶縁領域を有する物品、および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材と、前記芯材が封入された外包材とを有し、
    前記外包材が請求項1に記載の真空断熱材用外包材である、真空断熱材付き物品。
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