JP7247495B2 - 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス - Google Patents
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Description
外装材としては、例えば、樹脂フィルム、金属箔層および熱融着性樹脂層を有し、各フィルムの間に接着層が配置された積層体である蓄電デバイス用外装材が用いられる(例えば、特許文献1)。蓄電デバイス用外装材は、例えば、蓄電デバイス用外装材の間に蓄電デバイスを挟み込み、蓄電デバイス用外装材の外周部を熱融着させることで蓄電デバイスの外装材として用いられている。また、蓄電デバイス用外装材は必要に応じて蓄電デバイスの厚さ、形状等に合わせてプレス成形がされて用いられる。
一方、例えば、特許文献1に示すような金属箔層を有する蓄電デバイス用外装材は、通常成形性は有するものの、フレキシブル性は低い。そのため、金属箔層を有する蓄電デバイス用外装材はフレキシブル性を有する蓄電デバイスへの適用が困難である。
また、蓄電デバイス用外装材には、耐電解液性も求められる。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、良好なフレキシブル性を有し、耐電解液性を備えた蓄電デバイス用外装材を提供することを主目的とする。
前記ガスバリアフィルム層は、熱融着性樹脂層側から順に、少なくとも第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層を有し、前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層とは、互いに向き合っており、前記蓄電デバイス用外装材が有する各層の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積を、それぞれ、前記各層の押し込み弾性指数(GPa・μm)とした場合に、前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和P(GPa・μm)と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側とは反対側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和Q(GPa・μm)との差の絶対値が、50GPa・μm以下であり、
上記複数の接着層のうち、少なくとも上記熱融着性樹脂層と上記ガスバリアフィルム層との間に配置される接着層が、耐電解液性を有する、蓄電デバイス用外装材を提供する。
上述したように、近年、蓄電デバイスはあらゆる機器に使用されており、形状が多様化している。
例えば、近年、新しいタイプの電子機器として、使用者の身に着けたまま操作をするウェアラブル端末の開発が急速に進められている。ウェアラブル端末においては、使用者の体の動きに対する追従性が高いことが求められる。これに伴い、フレキシブル性を有する蓄電デバイスが求められている。
一方、例えば、特許文献1に示すような金属箔層を有する蓄電デバイス用外装材は、通常成形性は有するものの、フレキシブル性は低い。
さらに、本開示の発明者らは、複数のガスバリアフィルム層を用いる場合に、複数のガスバリアフィルム層のガスバリア膜層の配置と、外装材を構成している各層の押し込み弾性率と厚みの積とが、所定の条件を充足するように設定することにより、特に優れたフレキシブル性が発現されることを知見した。
一方、複数のガスバリアフィルム層を用いた外装材は、耐電解液性が低いことを知見した。この点について、本開示の発明者らは更なる研究を重ねた結果、外装材を構成するフィルムの間に配置される接着層の耐電解液性が、外装材の耐電解液性に大きく影響することを知見した。本開示は上記知見に基づきなされた発明である。
なお、本開示において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
本開示において「外装材がフレキシブル性を有する」とは、外装材を折り曲げた場合に、ガスバリア性を維持できる程度に、外装材を構成するフィルムおよび接着層に破損が生じないことをいう。具体的に、「外装材がフレキシブル性を有する」とは、例えば下記の特性1,2のうち少なくとも一方を充足することをいう。本開示の外装材は、特性1および特性2の両者を充足していることが特に好ましい。
特性2:外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足していること。
なお、外装材10は、通常、蓄電デバイスに用いられる際、熱融着性樹脂層1が、蓄電デバイス側に配置される。
また、本開示の外装材は、良好なフレキシブル性を有することから、加工性を高くすることができる。よって、例えば、種々の形状の蓄電デバイス、小型の蓄電デバイス、薄膜の蓄電デバイスの外装材に適用することが可能である。
以下、本開示の外装材の詳細を説明する。
本開示の外装材は、複数のフィルムが積層された構造を有する。外装材は、熱融着性樹脂層と、複数のガスバリアフィルム層と、接着層とを備える。
本開示における接着層は、複数のフィルムの間に配置される層である。すなわち、接着層は外装材を構成する全てのフィルムの間に配置される。
本開示においては、上記複数の接着層のうち、少なくとも上記熱融着性樹脂層と上記ガスバリアフィルム層との間に配置される接着層が、耐電解液性を有する。
本開示においては、複数の接着層の全てが、耐電解液性を有することが好ましい。具体的には、図1および図2に示す外装材10においては接着層3aおよび3bの全てが、耐電解液性を有することが好ましく、図3に示す外装材10においては、接着層3a、3bおよび3cの全てが、耐電解液性を有することが好ましい。
接着層の耐電解液性は、例えば、下記の電解液耐性試験前における接着層の剥離強度(N/15mm)に対する、電解液耐性試験後の接着層の剥離強度(N/15mm)の比率(剥離強度の維持率)が、50%以上であることをいい、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
まず、外装材を60mm(縦方向、MD)×150mm(横方向、TD)に裁断する。次に、裁断した蓄電デバイス用外装材を横方向において熱融着性樹脂層同士が対向するようにして2つ折りにし、横方向の対向する1辺と縦方向の1辺を面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着し、横方向の1辺が開口する袋状の外装材を作製する。次に、開口部から3gの電解液(1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液、溶媒はエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(容積比))を注入し、開口部を7mm幅で、面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着する。次に、外装材の開口部を熱融着した部分を上向きにして、85℃の恒温層内に24時間静置する。
前記の<電解液耐性試験>を行った外装材の上側(外装材の開口部を熱融着した部分)の1辺と、その両側の2辺を切断して、電解液を排出する。次に、電解液をよく拭き取り、TDの方向が試験片の長さ方向になるようにして、幅15mmの短冊状に切りとって試験片を得る。なお、試験片は、熱融着されていない部分から3つ取得する。次に、試験片の長さ方向の端部から、熱融着性樹脂層とガスバリアフィルムとの間を長さ方向に部分的に剥離させる。この時の剥離は、手で行う。次に、熱融着性樹脂層が上側になるようにして、熱融着性樹脂層と、ガスバリアフィルム等(熱融着性樹脂層の上に積層されていた積層体全体)とを、それぞれ固定(チャック)し、引張試験機(例えば、エー・アンド・デイ製の商品名テンシロン万能材料試験機RTG-12180)を用いて、引張速度50mm/分、剥離角度180°、剥離距離25mmの条件で剥離試験を行い、剥離距離が10~20mmの間の剥離強度(N/15mm)の平均値を、接着層の剥離強度とする。なお、剥離強度は、それぞれ3つの試験片について測定した平均値である。
本開示の発明者らは、研究を重ねる中で、融解温度(融点)が50℃以上120℃以下の酸変性ポリオレフィンを主剤とし、重量平均分子量が50以上2000以下のエポキシ樹脂を硬化剤とする接着剤を用いた接着層が、良好な耐電解液性を示すことを知見した。
なお、接着層に含まれる硬化物の構造、性質は、例えば、酸性ポリオレフィンの種類、エポキシ樹脂の種類、添加剤の有無、硬化条件等により変化するため、直接特定することは、通常、困難である。そこで、以下、接着層に含まれる硬化物について、硬化前の接着剤の成分を挙げて説明する。
本開示におけるガスバリアフィルム層は、樹脂基材層と、上記樹脂基材層の片面または両面に配置されたガスバリア膜層と、を有する。上記ガスバリアフィルム層は、熱融着性樹脂層の一方の面側に配置された外装材のガスバリア性に主に寄与する。
上記ガスバリア膜層は、樹脂基材層の片面または両面に配置されたガスバリア性を有する膜である。上記ガスバリア膜層は、ガスバリアフィルム層のガスバリア性に主に寄与する。
ガスバリア膜層は、無機物であってもよいし、有機物であってもよく、ガスバリア性が高いことから無機物が好ましい。
有機物としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、プロピレン-ビニルアルコール共重合体(PVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等が挙げられる。
無機物としては、例えば、金属(合金を含む)、無機化合物等が挙げられる。また、無機物を含むガスバリア膜層としては、例えば、金属膜(例えば金属蒸着膜)、無機化合物を主成分とする膜(以下、無機化合物膜と称する場合がある。)、有機部分および無機部分の混合化合物を主成分とする膜(有機無機複合膜と称する場合がある。)等が挙げられる。
ガスバリア膜層が多層膜である場合、同一組成の膜を組み合わせてもよく、異なる組成の膜を組み合わせてもよい。ガスバリア膜層が多層膜である場合、多層膜全体でガスバリア膜層1層分とする。
上記ガスバリア膜層の厚みが上述の範囲に満たないと、製膜が不十分となり所望のガスバリア性を示すことができない場合がある。また、強度を確保できず経時劣化する場合がある。一方、上記ガスバリア膜層の厚みが上述の範囲を超えると、折り曲げ等の機械的な応力を受けたときに欠陥が発生しやすくなる場合や、フレキシブル性が低下する場合がある。
樹脂基材層としては、上記ガスバリア膜層を支持可能であれば特に限定されず、例えば、樹脂フィルム、樹脂シートが好適に用いられる。上記樹脂基材層が樹脂フィルムである場合、上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。なお、本開示において「フィルム」と「シート」とは同義である。
ガスバリアフィルム層は、ガスバリア膜層の樹脂基材層とは反対の面側に、オーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層を有することで、ガスバリアフィルム層のガスバリア性をさらに向上させることができるからである。
本開示の外装材は、少なくとも2つ以上のガスバリアフィルム層を有する。ガスバリアフィルム層の数は、特に限定されないが、2つ以上、4つ以下の範囲内であることが好ましく、中でも2つ以上、3つ以下の範囲内であることが好ましく、特に3枚であることが好ましい。すなわち、本開示においては、図2に示すように、3つのガスバリアフィルム層2a、2bおよび2cを有することが好ましい。各ガスバリアフィルム層の構成は同じでもよく、異なっていてもよい。
本開示における熱融着性樹脂層は、熱融着が可能なものであり、外装材を用いて蓄電デバイスを形成する際に、蓄電デバイスと接する部位である。また、対向する外装材同士の端部を熱融着する熱融着面を形成する部位である。
熱融着性樹脂層の押し込み弾性率が低すぎると、外装材を曲げたときに、ガスバリアフィルム層へ応力集中が生じやすくガスバリアフィルム層が割れやすくなる可能性があるからである。一方、上記押し込み弾性率が高すぎると、外装材を曲げたときに、応力集中により熱融着性樹脂層が割れやすくなる可能性があるからである。また、外装材のフレキシブル性が低下する可能性があるからである。
本開示においては、熱融着性樹脂層の押し込み弾性率を上述した範囲とすることにより、耐ピンホール性が良好な外装材とすることができる。
本開示の外装材は、上述した熱融着性樹脂層やガスバリアフィルム層の他に、保護フィルムを有していてもよい。外装材が保護フィルムを有することにより、熱融着性樹脂層やガスバリアフィルム層など、外装材として共に用いられる各フィルムを、損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にもガスバリア性を有する層が配置されていない点で、上述した各フィルムと区別することが可能である。保護フィルムの外装材における配置位置は特に限定されるものではないが、ガスバリアフィルム層の熱融着性樹脂層とは反対の面側に配置されていることが好ましく、蓄電デバイスを形成する際に最外層(最表層)となる位置に、保護フィルムが配置されていることがより好ましい。
本開示の外装材は、外装材が有する各層の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積を、それぞれ、各層の押し込み弾性指数(GPa・μm)とした場合に、前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和P(GPa・μm)と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側とは反対側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和Q(GPa・μm)との差の絶対値が、50GPa・μm以下である。
本開示の外装材は、第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層とが前記所定の位置に配置された(第一ガスバリア膜層22aと第二ガスバリア膜層22bが外装材の厚み方向Xの中心側に配置された)上で、さらに、前記押し込み弾性指数の和P,Qの差の絶対値が50GPa・μm以下に設定されていることにより、特に優れたフレキシブル性が発揮される。なお、弾性指数の和P,Qの測定対象とする層が、厚さ5μm以上の層に限定されている理由は、厚さ5μm未満の層については、外装材に外力が加えられて折り曲げられる際、外装材の形状変化に与える寄与が非常に小さいためである。
押込み弾性率は、ISO 14577:2015に準拠し、サンプルの断面に対して、約23℃約60%RHの環境で、ビッカース圧子(対面角136°の正四角錐のダイヤモンド圧子)を装着させた超微小負荷硬さ試験機を用いて、押し込み弾性率を測定する方法を用いる。測定は、押し込み速度0.1μm/秒、押し込み深さ2μm、保持時間5秒間、引き抜き速度0.1μm/秒で行う。超微小負荷硬さ試験機は、ピコデンターHM500(フィッシャー・インストルメンツ社製)が好ましい。1つの条件では、少なくとも5つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をその条件の押し込み弾性率の値とする。サンプルの断面は、サンプルの外周を硬化樹脂系接着剤で固めて固定し、固定したサンプルをダイヤモンドナイフで厚さ方向に切断し、サンプルの露出した断面である。
また、押し込み弾性指数を算出する際の各層の厚さは、切削断面の光学顕微鏡観察の計測により測定することができる。
各層の押し込み弾性率の値(GPa)と厚みの値(μm)から、押し込み弾性指数(GPa・μm)を算出する。例えば、図2の模式図の外装材であれば、第一ガスバリアフィルム層2aの第一ガスバリア膜層22aよりも熱融着性樹脂層1側(x1方向側)に位置する厚みが5μm以上の層は、第一樹脂基材層21aと熱融着性樹脂層1であるから、押し込み弾性指数の和Pは、第一樹脂基材層21aの押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積と、熱融着性樹脂層1の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積の和である。一方、第二ガスバリアフィルム層2bの第二ガスバリア膜層22bよりも熱融着性樹脂層1側とは反対側(x2方向側)に位置する厚みが5μm以上の層は、第二樹脂基材層21bと保護フィルム4であるから、押し込み弾性指数の和Qは、第二樹脂基材層21bの押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積と、保護フィルム4の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積の和である。
本開示の外装材の製造方法としては、例えば、予め成膜した各フィルムを、接着剤を使用して貼り合せるドライラミネーション工程や、熱溶融させたガスバリアフィルム層の各材料を、Tダイ等を用いて押出しして貼り合せ、得られた積層体に接着剤を介して熱融着性樹脂層を貼り合せる、貼り合わせ工程等を挙げることができる。
・Al蒸着PET12:アルミニウム(Al)膜(厚み65nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・Al2O3蒸着PET12:酸化アルミニウム(Al2O3)膜(厚み20nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・CPP30:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)
・CPP50:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み50μm)
・PBT25:二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム(厚み25μm)
・ON25:二軸延伸ナイロンフィルム(厚み25μm)
・PET25:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み25μm)
・PET50:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μm)
(接着剤の準備)
主剤として固形分が20質量%であり、融解温度(融点)50℃の酸変性ポリプロピレンを準備した。また、硬化剤として固形分が10質量%であり、重量平均分子量500のエポキシ樹脂を準備した。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定として「Waters製、Alliance 2695」を用い、カラムとして「Shodex GPC LF-804(昭和電工製、8.0mmI.D.×300mm)」を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速1.0ml/min、サンプル注入量50μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystyrene標準試料TSK standard」から作製した。
酸変性ポリプロピレンを10重量部、エポキシ樹脂を0.5重量部混合し、接着剤を得た。
熱融着性樹脂層としてPBT25と、第一ガスバリアフィルム層としてAl2O3蒸着PET12と、第二ガスバリアフィルム層としてAl2O3蒸着PET12と、保護フィルムとしてPET25とをこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層とは、第一ガスバリアフィルム層のAl2O3蒸着膜側と、第二ガスバリアフィルム層のAl2O3蒸着膜側とが向かい合うように配置した。
上述した接着剤を用いて、各フィルム層の間に接着層を配置し、各フィルムを接着層で接合した。
具体的な各フィルムの接合方法は以下の通りである。外装材において隣接して配置される二つのフィルムのうち、一方のフィルムに上述した接着剤を塗布量1.5g/m2(硬化後の接着層の厚みが1.5μm)となるように塗布して接着層を形成した。次に、接着層が配置されたフィルムと、他方のフィルムとを接着層を間に挟んで加圧することにより、フィルムを接合した。
以上の手順により外装材を得た。
なお、実施例1~4の外装材は、いずれも図2の模式図に示される積層構成を備えている。一方、比較例1~2の外装材は、いずれも図2の模式図において、第二ガスバリアフィルム層2bの樹脂基材層21bとガスバリア膜層22bの積層順が逆向き(ガスバリア膜層22が樹脂基材層21よりもx2方向側に位置しており、第一ガスバリアフィルム層2aのガスバリア膜層22aと第2ガスバリアフィルム層2bのガスバリア膜層22bとが互いに向き合っていない)の積層構成を備えている。
保護フィルムとしてPET25の代わりにON25を用いたこと以外は、実施例1と同様にして外装材を得た。
実施例2において、熱融着性樹脂層としてPBT25の代わりにCPP30を用いたこと以外は、実施例2と同様にして外装材を得た。
実施例2において、熱融着性樹脂層としてPBT25の代わりにCPP50を用いたこと以外は、実施例2と同様にして外装材を得た。
熱融着性樹脂層としてPBT25と、第一ガスバリアフィルム層としてAl2O3蒸着PET12と、第二ガスバリアフィルム層としてAl2O3蒸着PET12と、保護フィルムとしてPET50とをこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層とは、第一ガスバリアフィルム層のPETフィルム側と、第二ガスバリアフィルム層のAl2O3蒸着膜側とが向かい合うように配置した。
接着剤として、実施例1に記載の2液硬化型の接着剤を塗布量1.5g/m2(硬化後の接着層の厚みが1.5μm)となるように塗布して接着層を配置し、各フィルムを接合した。以上の手順により外装材を得た。
(接着剤の準備)
ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU-77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H-7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された、2液硬化型の接着剤を準備した。
熱融着性樹脂層としてCPP50を用い、第一ガスバリアフィルム層としてAl2O3蒸着PET12と、第二ガスバリアフィルム層としてAl2O3蒸着PET12、保護フィルムとしてON25とをこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層とは、第一ガスバリアフィルム層のAl2O3蒸着膜側と、第二ガスバリアフィルム層のAl2O3蒸着膜側とが向かい合うように配置した。接着剤として、準備した2液硬化型の接着剤を塗布量3.5g/m2(硬化後の接着層の厚みが3.5μm)となるように塗布して接着層を配置した。
(押し込み弾性率の測定と押し込み弾性指数の算出)
実施例1~4および比較例1~2で使用した各フィルムの押し込み弾性率の測定方法は、「2.外装材の特性」の項で説明した通りであり、測定結果を表1に併記した。なお、各蒸着膜及び各接着層については、それぞれ、厚みが5μm未満であり、押し込み弾性率の測定対象外とした。
次に、得られた押し込み弾性率の値(GPa)と、各フィルムの厚みの値(μm)から、押し込み弾性指数(GPa・μm)を算出した。
例えば、実施例1の外装材については、第一ガスバリアフィルム層(Al2O3蒸着PET12)の第一ガスバリア膜層よりも熱融着性樹脂層(PBT25)側に位置する厚みが5μm以上の層は、第一ガスバリアフィルム層のPETフィルム(厚み12μm、押し込み弾性率2.5GPa)と、熱融着性樹脂層であるPBT25(厚み25μm、押し込み弾性率2.1GPa)であるから、押し込み弾性指数の和Pは(2.5GPa×12μm)+(2.1GPa×25μm)=82.5GPa・μmと算出される。一方、第二ガスバリアフィルム層(Al2O3蒸着PET12)の第二ガスバリア膜層よりも、熱融着性樹脂層(PBT25)とは反対側に位置する厚みが5μm以上の層は、第二ガスバリアフィルム層のPETフィルム(厚み12μm、押し込み弾性率2.5GPa)と、保護フィルムであるPET25(厚み25μm、押し込み弾性率2.5GPa)であり、押し込み弾性指数の和Qは、(2.5GPa×12μm)+(2.5GPa×25μm)=92.5GPa・μmと算出される。従って、実施例1において、押し込み弾性指数の和Pと、押し込み弾性指数の和Qとの差は、92.5GPa・μm-82.5GPa・μm=10GPa・μmと算出される。
実施例2~4および比較例1~2についても、同様にして、押し込み弾性指数の和Pと、押し込み弾性指数の和Qとの差の絶対値を算出した。結果を表2に示す。
各外装材に対し、電解液耐性試験を実施し、試験前後の熱融着性樹脂層とバリアフィルムとの剥離強度を測定した。
袋状の外装材の作製時における、熱融着の条件は、温度190℃、面圧1.0MPa、加熱・加圧時間3秒とした。また、電解液は、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液に6フッ化リン酸リチウムを混合して得られたものとした。電解液耐性試験および剥離強度の測定条件については、上述した「1.外装材の構成 (1)接着層」の項で説明した通りである。耐電解液性の評価基準は、電解液耐性試験を行っていない各外装材について、同様に引張強度を測定して得られた剥離強度(初期剥離強度)を基準(100%)として、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
A:初期剥離強度の80%以上の剥離強度である。
B:初期剥離強度の70%以上80%未満の剥離強度である。
C:初期剥離強度の50%未満の剥離強度である。
実施例1~4および比較例1~2の外装材における40℃、90%RHの水蒸気透過度を測定した。測定方法の詳細は、「2.外装材の特性」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1~4および比較例1~2の外装材における23℃、60%RHの酸素透過度を測定した。測定方法の詳細は、「2.外装材の特性」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1~4および比較例1~2の外装材のフレキシブル性を評価した。評価方法の詳細は、上述した「外装材がフレキシブル性を有する」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1~4および比較例1~2の外装材の灰分を評価した。評価方法の詳細は、「2.外装材の特性」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1~4、および比較例1~2の外装材の熱溶着可能なフィルムの押し込み弾性率を測定した。測定方法の詳細は、上述した「1.外装材の構成 (3)熱融着性樹脂層」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
項1. 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材であって、
熱融着性樹脂層と、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層されて配置された複数のガスバリアフィルム層と、複数の接着層とを有し、
前記ガスバリアフィルム層は、樹脂基材層と、前記樹脂基材層の片方または両方の面側に配置された、ガスバリア膜層とを有し、
前記ガスバリアフィルム層は、熱融着性樹脂層側から順に、少なくとも第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層を有し、
前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層とは、互いに向き合っており、
前記蓄電デバイス用外装材が有する各層の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積を、それぞれ、前記各層の押し込み弾性指数(GPa・μm)とした場合に、前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和P(GPa・μm)と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側とは反対側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和Q(GPa・μm)との差の絶対値が、50GPa・μm以下であり、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルム層との間に配置される接着層が、耐電解液性を有する、蓄電デバイス用外装材。
項2. 前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足している、項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
項3. 前記複数の接着層の全てが、耐電解液性を有する、項1または項2に記載の蓄電デバイス用外装材。
項4. 耐電解液性を有する前記接着層が、オキサゾリン基を有する化合物、およびエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂組成物の硬化物である、項1から項3までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項5. 耐電解液性を有する前記接着層が、酸素原子、複素環、C=N結合、およびC-O-C結合からなる群より選択される少なくとも1種を有する硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である、項1から項3までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項6. 耐電解液性を有する前記接着層が、エステル樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1から項3までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項7. 温度40℃、湿度90%RH雰囲気下における水蒸気透過度が0.1g/(m2・24h)以下である、項1から項6までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項8. 前記熱融着性樹脂層における押し込み弾性率が0.5GPa以上である、項1から項7までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項9. 以下の方法で測定される灰分が1.0質量%以上20.0質量%以下である、項1から項8までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
(灰分の測定方法)
熱重量/示差熱同時分析装置を用いて、測定試料の質量を測定した後、アルミパン中、かつ、大気雰囲気下で、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温後、そのまま600℃で30分間加熱して測定試料を灰化し、加熱前の質量に対する加熱後の質量を百分率で表した値を灰分とする。
項10. 少なくとも正極、負極、および電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1から項9までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
項11. 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材の製造方法であって、
熱融着性樹脂層と、複数のガスバリアフィルム層と、複数の接着層とを積層する工程を含んでおり、
前記複数のガスバリアフィルム層は、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層することで配置し、
前記ガスバリアフィルム層は、樹脂基材層と、前記樹脂基材層の片方または両方の面側に配置され、ガスバリア膜層とを有し、
前記ガスバリアフィルム層は、熱融着性樹脂層側から順に、少なくとも第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層を有し、
前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層とは、互いに向き合っており、
前記蓄電デバイス用外装材が有する各層の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積を、それぞれ、前記各層の押し込み弾性指数(GPa・μm)とした場合に、前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和P(GPa・μm)と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側とは反対側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和Q(GPa・μm)との差の絶対値が、50GPa・μm以下であり、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルム層との間に配置される接着層が、耐電解液性を有する、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
項12. 前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足している、項11に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
2、2a、2b、2c … ガスバリアフィルム層
3、3a、3b、3c … 接着層
4 … 保護フィルム
10 … 蓄電デバイス用外装材
21 … 樹脂基材層
22 … ガスバリア膜層
Claims (12)
- 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材であって、
熱融着性樹脂層と、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層されて配置された複数のガスバリアフィルム層と、複数の接着層とを有し、
前記ガスバリアフィルム層は、樹脂基材層と、前記樹脂基材層の片方または両方の面側に配置された、ガスバリア膜層とを有し、
前記ガスバリアフィルム層は、熱融着性樹脂層側から順に、少なくとも第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層を有し、
前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層とは、互いに向き合っており、
前記複数の接着層は、それぞれ、前記第一ガスバリアフィルム層と前記第二ガスバリアフィルム層との間、及び、前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルムとの間に配置されており、
前記蓄電デバイス用外装材が有する各層の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積を、それぞれ、前記各層の押し込み弾性指数(GPa・μm)とした場合に、前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和P(GPa・μm)と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側とは反対側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和Q(GPa・μm)との差の絶対値が、50GPa・μm以下であり、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルム層との間に配置される接着層が、電解液耐性試験前における前記接着層の剥離強度(N/15mm)に対する、下記の電解液耐性試験後の前記接着層の剥離強度(N/15mm)の比率(剥離強度の維持率)が、50%以上である耐電解液性を有する、蓄電デバイス用外装材。
<電解液耐性試験>
蓄電デバイス用外装材を60mm(縦方向、MD)×150mm(横方向、TD)に裁断する。次に、裁断した蓄電デバイス用外装材を横方向において熱融着性樹脂層同士が対向するようにして2つ折りにし、横方向の対向する1辺と縦方向の1辺を面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着し、横方向の1辺が開口する袋状の外装材を作製する。次に、開口部から3gの電解液(1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液、溶媒はエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(容積比))を注入し、開口部を7mm幅で、面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着する。次に、蓄電デバイス用外装材の開口部を熱融着した部分を上向きにして、85℃の恒温層内に24時間静置する。
前記の<電解液耐性試験>を行った蓄電デバイス用外装材の上側(開口部を熱融着した部分)の1辺と、その両側の2辺を切断して、電解液を排出する。次に、電解液をよく拭き取り、TDの方向が試験片の長さ方向になるようにして、幅15mmの短冊状に切りとって試験片を得る。なお、試験片は、熱融着されていない部分から3つ取得する。次に、試験片の長さ方向の端部から、熱融着性樹脂層とガスバリアフィルムとの間を長さ方向に部分的に剥離させる。この時の剥離は、手で行う。次に、熱融着性樹脂層が上側になるようにして、熱融着性樹脂層と、ガスバリアフィルム等(熱融着性樹脂層の上に積層されていた積層体全体)とを、それぞれ固定(チャック)し、引張試験機を用いて、引張速度50mm/分、剥離角度180°、剥離距離25mmの条件で剥離試験を行い、剥離距離が10~20mmの間の剥離強度(N/15mm)の平均値を、接着層の剥離強度とする。剥離強度は、それぞれ3つの試験片について測定した平均値である。 - 前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足している、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記複数の接着層の全てが、前記耐電解液性を有する、請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記耐電解液性を有する前記接着層が、オキサゾリン基を有する化合物、およびエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂組成物の硬化物である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記耐電解液性を有する前記接着層が、酸素原子、複素環、C=N結合、およびC-O-C結合からなる群より選択される少なくとも1種を有する硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記耐電解液性を有する前記接着層が、エステル樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 温度40℃、湿度90%RH雰囲気下における水蒸気透過度が0.1g/(m2・24h)以下である、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記熱融着性樹脂層における押し込み弾性率が0.5GPa以上である、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 以下の方法で測定される灰分が1.0質量%以上20.0質量%以下である、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
(灰分の測定方法)
熱重量/示差熱同時分析装置を用いて、測定試料の質量を測定した後、アルミパン中、かつ、大気雰囲気下で、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温後、そのまま600℃で30分間加熱して測定試料を灰化し、加熱前の質量に対する加熱後の質量を百分率で表した値を灰分とする。 - 少なくとも正極、負極、および電解質を備えた蓄電デバイス素子が、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
- 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材の製造方法であって、
熱融着性樹脂層と、複数のガスバリアフィルム層と、複数の接着層とを積層する工程を含んでおり、
前記工程は、前記熱融着性樹脂層と、前記複数のガスバリアフィルムのうちの前記熱融着性樹脂層側の前記ガスバリアフィルムとを前記接着層を介して貼り合わせる工程と、前記第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層との間を前記接着層を介して貼り合わせる工程と、を含んでおり、
前記複数のガスバリアフィルム層は、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層することで配置し、
前記ガスバリアフィルム層は、樹脂基材層と、前記樹脂基材層の片方または両方の面側に配置され、ガスバリア膜層とを有し、
前記ガスバリアフィルム層は、熱融着性樹脂層側から順に、少なくとも第一ガスバリアフィルム層と第二ガスバリアフィルム層を有し、
前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層とは、互いに向き合っており、
前記蓄電デバイス用外装材が有する各層の押し込み弾性率(GPa)と厚み(μm)の積を、それぞれ、前記各層の押し込み弾性指数(GPa・μm)とした場合に、前記第一ガスバリアフィルム層の第一ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和P(GPa・μm)と、前記第二ガスバリアフィルム層の第二ガスバリア膜層よりも前記熱融着性樹脂層側とは反対側に位置する厚みが5μm以上の層の押し込み弾性指数の和Q(GPa・μm)との差の絶対値が、50GPa・μm以下であり、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルム層との間に配置される接着層が、電解液耐性試験前における前記接着層の剥離強度(N/15mm)に対する、下記の電解液耐性試験後の前記接着層の剥離強度(N/15mm)の比率(剥離強度の維持率)が、50%以上である耐電解液性を有する、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
<電解液耐性試験>
蓄電デバイス用外装材を60mm(縦方向、MD)×150mm(横方向、TD)に裁断する。次に、裁断した蓄電デバイス用外装材を横方向において熱融着性樹脂層同士が対向するようにして2つ折りにし、横方向の対向する1辺と縦方向の1辺を面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着し、横方向の1辺が開口する袋状の外装材を作製する。次に、開口部から3gの電解液(1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液、溶媒はエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(容積比))を注入し、開口部を7mm幅で、面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着する。次に、蓄電デバイス用外装材の開口部を熱融着した部分を上向きにして、85℃の恒温層内に24時間静置する。
前記の<電解液耐性試験>を行った蓄電デバイス用外装材の上側(開口部を熱融着した部分)の1辺と、その両側の2辺を切断して、電解液を排出する。次に、電解液をよく拭き取り、TDの方向が試験片の長さ方向になるようにして、幅15mmの短冊状に切りとって試験片を得る。なお、試験片は、熱融着されていない部分から3つ取得する。次に、試験片の長さ方向の端部から、熱融着性樹脂層とガスバリアフィルムとの間を長さ方向に部分的に剥離させる。この時の剥離は、手で行う。次に、熱融着性樹脂層が上側になるようにして、熱融着性樹脂層と、ガスバリアフィルム等(熱融着性樹脂層の上に積層されていた積層体全体)とを、それぞれ固定(チャック)し、引張試験機を用いて、引張速度50mm/分、剥離角度180°、剥離距離25mmの条件で剥離試験を行い、剥離距離が10~20mmの間の剥離強度(N/15mm)の平均値を、接着層の剥離強度とする。剥離強度は、それぞれ3つの試験片について測定した平均値である。 - 前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足している、請求項11に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
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