JP7247494B2 - 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス - Google Patents
蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス Download PDFInfo
- Publication number
- JP7247494B2 JP7247494B2 JP2018170916A JP2018170916A JP7247494B2 JP 7247494 B2 JP7247494 B2 JP 7247494B2 JP 2018170916 A JP2018170916 A JP 2018170916A JP 2018170916 A JP2018170916 A JP 2018170916A JP 7247494 B2 JP7247494 B2 JP 7247494B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- exterior material
- storage device
- heat
- gas barrier
- barrier film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
- Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
外装材としては、例えば、樹脂フィルム、金属箔層および熱融着性樹脂層を有し、各フィルムの間に接着層が配置された積層体である蓄電デバイス用外装材が用いられる(例えば、特許文献1)。蓄電デバイス用外装材は、例えば、蓄電デバイス用外装材の間に蓄電デバイス素子を挟み込み、蓄電デバイス用外装材の外周部を熱融着させることで蓄電デバイスの外装材として用いられている。また、蓄電デバイス用外装材は必要に応じて蓄電デバイス素子の厚さ、形状等に合わせてプレス成形がされて用いられる。
一方、例えば、特許文献1に示すような金属箔層を有する蓄電デバイス用外装材は、通常成形性は有するものの、フレキシブル性は低い。そのため、金属箔層を有する蓄電デバイス用外装材はフレキシブル性を有する蓄電デバイスへの適用が困難である。
また、蓄電デバイス用外装材には、耐電解液性も求められる。
さらに、車載用や定置用の蓄電デバイスなどは、高温下の苛酷な環境で使用されることがあり、蓄電デバイス外装材には、高温耐久性も求められる。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、良好なフレキシブル性を有し、耐電解液性および高温耐久性を備えた蓄電デバイス用外装材を提供することを主目的とする。
上述したように、近年、蓄電デバイスはあらゆる機器に使用されており、形状が多様化している。
例えば、近年、新しいタイプの電子機器として、使用者の身に着けたまま操作をするウェアラブル端末の開発が急速に進められている。ウェアラブル端末においては、使用者の体の動きに対する追従性が高いことが求められる。これに伴い、フレキシブル性を有する蓄電デバイスが求められている。
一方、例えば、特許文献1に示すような金属箔層を有する蓄電デバイス用外装材は、通常成形性は有するものの、フレキシブル性は低い。
一方、複数のガスバリアフィルムを用いた外装材は、耐電解液性が低いことを知見した。この点について、本開示の発明者らは更なる研究を重ねた結果、外装材を構成するフィルムの間に配置される接着層の耐電解液性が、外装材の耐電解液性に大きく影響することを知見した。さらに、本開示の発明者らは、外装材の低温時の引張貯蔵弾性率に対する高温時の比率を所定値以下に設定することにより、高温耐久性が向上することを知見した。本開示は上記知見に基づきなされた発明である。
また、本開示において「ガスバリア性」、「ガスバリア性能」とは、特に断りが無い場合は、酸素等の気体および/または水蒸気の透過を阻止する機能を意味するものとする。
なお、本開示において、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
本開示において「外装材がフレキシブル性を有する」とは、外装材を折り曲げた場合に、ガスバリア性を維持できる程度に、外装材を構成するフィルムおよび接着層に破損が生じないことをいう。具体的に、「外装材がフレキシブル性を有する」とは、例えば下記の特性1,2のうち少なくとも一方を充足することをいう。本開示の外装材は、特性1および特性2の両者を充足していることが特に好ましい。
特性2:外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足していること。
なお、外装材10は、通常、蓄電デバイスに用いられる際、熱融着性樹脂層1が、蓄電デバイス素子側に配置される。
また、本開示の外装材は、良好なフレキシブル性を有することから、加工性を高くすることができる。よって、例えば、種々の形状の蓄電デバイス、小型の蓄電デバイス、薄膜の蓄電デバイスの外装材に適用することが可能である。
以下、本開示の外装材の詳細を説明する。
本開示の外装材は、複数のフィルムが積層された構造を有する。外装材は、熱融着性樹脂層と、複数のガスバリアフィルムと、接着層とを備える。
本開示における接着層は、複数のフィルムの間に配置される層である。すなわち、接着層は外装材を構成する全てのフィルムの間に配置される。
本開示においては、上記複数の接着層のうち、少なくとも上記熱融着性樹脂層と上記ガスバリアフィルムとの間に配置される接着層が、耐電解液性を有する。
本開示においては、複数の接着層の全てが、耐電解液性を有することが好ましい。具体的には、図1に示す外装材10においては接着層3aおよび3bの全てが、耐電解液性を有することが好ましく、図2に示す外装材10においては、接着層3a、3bおよび3cの全てが、耐電解液性を有することが好ましい。
接着層の耐電解液性は、例えば、下記の電解液耐性試験前における接着層の剥離強度(N/15mm)に対する、電解液耐性試験後の接着層の剥離強度(N/15mm)の比率(剥離強度の維持率)が、50%以上であることをいい、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
まず、外装材を60mm(縦方向、MD)×150mm(横方向、TD)に裁断する。次に、裁断した蓄電デバイス用外装材を横方向において熱融着性樹脂層同士が対向するようにして2つ折りにし、横方向の対向する1辺と縦方向の1辺を面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着し、横方向の1辺が開口する袋状の外装材を作製する。次に、開口部から3gの電解液(1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液、溶媒はエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(容積比))を注入し、開口部を7mm幅で、面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着する。次に、外装材の開口部を熱融着した部分を上向きにして、85℃の恒温層内に24時間静置する。
前記の<電解液耐性試験>を行った外装材の上側(外装材の開口部を熱融着した部分)の1辺と、その両側の2辺を切断して、電解液を排出する。次に、電解液をよく拭き取り、TDの方向が試験片の長さ方向になるようにして、幅15mmの短冊状に切りとって試験片を得る。なお、試験片は、熱融着されていない部分から3つ取得する。次に、試験片の長さ方向の端部から、熱融着性樹脂層とガスバリアフィルムとの間を長さ方向に部分的に剥離させる。この時の剥離は、手で行う。次に、熱融着性樹脂層が上側になるようにして、熱融着性樹脂層と、ガスバリアフィルム等(熱融着性樹脂層の上に積層されていた積層体全体)とを、それぞれ固定(チャック)し、引張試験機(例えば、エー・アンド・デイ製の商品名テンシロン万能材料試験機RTG-12180)を用いて、引張速度50mm/分、剥離角度180°、剥離距離25mmの条件で剥離試験を行い、剥離距離が10~20mmの間の剥離強度(N/15mm)の平均値を、接着層の剥離強度とする。なお、剥離強度は、それぞれ3つの試験片について測定した平均値である。
本開示の発明者らは、研究を重ねる中で、融解温度(融点)が50℃以上120℃以下の酸変性ポリオレフィンを主剤とし、重量平均分子量が50以上2000以下のエポキシ樹脂を硬化剤とする接着剤を用いた接着層が、良好な耐電解液性を示すことを知見した。
なお、接着層に含まれる硬化物の構造、性質は、例えば、酸性ポリオレフィンの種類、エポキシ樹脂の種類、添加剤の有無、硬化条件等により変化するため、直接特定することは、通常、困難である。そこで、以下、接着層に含まれる硬化物について、硬化前の接着剤の成分を挙げて説明する。
本開示におけるガスバリアフィルムは、樹脂基材と、上記樹脂基材の片面または両面に配置された、ガスバリア膜と、を有する。上記ガスバリアフィルムは、熱融着性樹脂層の一方の面側に配置され、外装材のガスバリア性に主に寄与する。
上記ガスバリア膜は、樹脂基材の片面または両面に配置され、ガスバリア性を有する膜である。上記ガスバリア膜は、ガスバリアフィルムのガスバリア性に主に寄与する。
ガスバリア膜は、無機物であってもよいし、有機物であってもよく、ガスバリア性が高いことから無機物が好ましい。
有機物としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、プロピレン-ビニルアルコール共重合体(PVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等が挙げられる。
無機物としては、例えば、金属(合金を含む)、無機化合物等が挙げられる。また、無機物を含むガスバリア膜としては、例えば、金属膜(例えば金属蒸着膜)、無機化合物を主成分とする膜(以下、無機化合物膜と称する場合がある。)、有機部分および無機部分の混合化合物を主成分とする膜(有機無機複合膜と称する場合がある。)等が挙げられる。
ガスバリア膜が多層膜である場合、同一組成の膜を組み合わせてもよく、異なる組成の膜を組み合わせてもよい。ガスバリア膜が多層膜である場合、多層膜全体でガスバリア膜1層分とする。
上記ガスバリア膜の厚みが上述の範囲に満たないと、製膜が不十分となり所望のガスバリア性を示すことができない場合がある。また、強度を確保できず経時劣化する場合がある。一方、上記ガスバリア膜の厚みが上述の範囲を超えると、折り曲げ等の機械的な応力を受けたときに欠陥が発生しやすくなる場合や、フレキシブル性が低下する場合がある。
樹脂基材としては、上記ガスバリア膜を支持可能であれば特に限定されず、例えば、樹脂フィルム、樹脂シートが好適に用いられる。上記樹脂基材が樹脂フィルムである場合、上記樹脂フィルムは未延伸であってもよく、一軸または二軸延伸されたものであってもよい。なお、本開示において「フィルム」と「シート」とは同義である。
ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜の樹脂基材とは反対の面側に、オーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層を有することで、ガスバリアフィルムのガスバリア性をさらに向上させることができるからである。
本開示の外装材は、少なくとも2つ以上のガスバリアフィルムを有する。ガスバリアフィルムの数は、特に限定されないが、2つ以上、4つ以下の範囲内であることが好ましく、中でも2つ以上、3つ以下の範囲内であることが好ましく、特に3枚であることが好ましい。すなわち、本開示においては、図2に示すように、3つのガスバリアフィルム2a、2bおよび2cを有することが好ましい。各ガスバリアフィルムの構成は同じでもよく、異なっていてもよい。
本開示における熱融着性樹脂層は、熱融着が可能なものであり、外装材を用いて蓄電デバイスを形成する際に、蓄電デバイス素子と接する部位である。また、対向する外装材同士の端部を熱融着する熱融着面を形成する部位である。
熱融着性樹脂層の押し込み弾性率が低すぎると、外装材を曲げたときに、ガスバリアフィルムへ応力集中が生じやすくガスバリアフィルムが割れやすくなる可能性があるからである。一方、上記押し込み弾性率が高すぎると、外装材を曲げたときに、応力集中により熱融着性樹脂層が割れやすくなる可能性があるからである。また、外装材のフレキシブル性が低下する可能性があるからである。
本開示においては、熱融着性樹脂層の押し込み弾性率を上述した範囲とすることにより、耐ピンホール性が良好な外装材とすることができる。
また、押し込み弾性指数を算出する際の各フィルムの厚さは、切削断面の光学顕微鏡観察の計測により測定することができる。
本開示の外装材は、上述した熱融着性樹脂層やガスバリアフィルムの他に、保護フィルムを有していてもよい。外装材が保護フィルムを有することにより、熱融着性樹脂層やガスバリアフィルムなど、外装材として共に用いられる各フィルムを、損傷や劣化から保護することができるからである。保護フィルムは、そのいずれの面にもガスバリア性を有する層が配置されていない点で、上述した各フィルムと区別することが可能である。保護フィルムの外装材における配置位置は特に限定されるものではないが、ガスバリアフィルムの熱融着性樹脂層とは反対の面側に配置されていることが好ましく、蓄電デバイスを形成する際に最外層(最表層)となる位置に、保護フィルムが配置されていることがより好ましい。
本開示の外装材は、動的粘弾性測定装置を用いて引張法により周波数10Hzで引張貯蔵弾性率を測定したときの、0℃での上記引張貯蔵弾性率の値に対する100℃での上記引張貯蔵弾性率の値の割合が20%以上である。上記割合として好ましくは25%以上である。また、上記割合は大きい程好ましいが、50%以下であることが好ましい。寸法変化が起きにくい部材を採用すると外装材が高コストになるからである。また、ガスバリアフィルムを有する本開示の外装材においては、外装材に広く採用されている樹脂基材を用いて上記割合を50%以上にすることは困難である。例え上記割合を50%以上に設定することが可能であったとしても、上記割合を満たすためには温度による引張貯蔵弾性率の変化が小さい無機物の量を多く含む必要があり、灰分が過剰となる場合がある。上記割合の好ましい範囲としては、好ましくは20%以上50%以下、より好ましくは25%以上50%以下が挙げられる。
いこと、すなわち、外装材の0℃での引張貯蔵弾性率値(E’0)に対する100℃での
引張貯蔵弾性率値(E’100)の割合が大きいことを意味する。外装材の酸素バリア性能
は、主に0℃から100℃の温度域で確認することができ、上記温度域において引張貯蔵弾性率の値の変化量が大きい場合、外装材の酸素バリア性能が低下しやすくなる。また、上記の場合、上記温度域において樹脂基材の片面または両面に形成されたガスバリア層(例えば無機物)に欠陥が生じやすくなることから、外装材は、酸素バリア性能だけでなく、水蒸気バリア性能も低下する。
000MP以下の範囲内であることが好ましく、中でも1500MP以上4500MP以下の範囲内であることが好ましい。
・測定試料:40mm×5mmの矩形
・チャック間距離(チャック間測定試料長さ):20mm
・測定モード:引張法(正弦波歪み引張モード)
・昇温速度:5℃/min
・周波数:10Hz
・測定温度範囲:0℃~200℃
・静荷重:150mg
・歪み量:自動歪み
0)の割合は、下記式から求める値とすることができる。
0℃での引張貯蔵弾性率値(E’0)に対する100℃での引張貯蔵弾性率値(E’100
)の割合=(E’100/E’0)×100(%)
本開示においては、外装材の各温度での引張貯蔵弾性率値は、試験片数N=1のときの計16点の測定試料の値としてもよいが、試験片数N=3のときの計48点の測定試料の平均値とすることが好ましい。外装材の0℃での引張貯蔵弾性率値(E’0)に対する10
0℃での引張貯蔵弾性率値(E’100)の割合についても同様である。
まず、高温保持前の外装材10の面内において、基準点Pと、上記基準点Pを始点として面内の任意の一方向Xに延びる基準軸Lとを設定し、上記基準軸L上で、上記基準軸Lの上記一方向X(軸方向)を長手方向とする矩形の測定試料Sを採取する。上記測定試料は、短手方向の長さが5mm、長手方向の長さが20mmの矩形とする。上記基準軸L上での上記測定試料Sの採取位置としては、例えば、矩形の中心が上記基準軸Lを通る位置とすることができる。次に、上記基準点Pを回転中心として、上記基準軸Lを22.5°ずつ回転させ、各回転位置において同様に測定試料Sを採取する。これにより、外装材10の面内において、基準点Pを中心に放射線状に16点の測定試料Sを採取する。16点の測定試料はいずれも上記寸法とする。
測定モード:引張モード、荷重100mN
測定試料:20mm(長手方向)×5mm(短手方向)の矩形
昇温開始温度:20℃
昇温終了温度:145℃(145℃での保持時間:1時間)
降温終了温度:20℃
昇温および降温速度:10℃/min
測定雰囲気:窒素パージ下
寸法測定頻度:0.16分刻み
測定試料の高温保持前後の寸法変化率(%)=|L0-L1|/L0×100 … 式(1)
(ここで、式(1)中のL0は基準寸法であり、L1は、昇温、恒温および降温の一連の過程を経た後の測定試料の寸法である。)
各工程における測定試料の寸法変化率(%)=(Lmax-Lmin)/L0×100 … 式(2)
なお、Lmin、Lmaxは、後述する予備方法において式(4)中のL2、L3に対応する。
また、恒温過程であれば、測定試料の寸法変化率は、145℃保持の開始から終了までの間で、測定試料の長手方向の最小寸法Lmin、および最大寸法Lmaxを特定し、式(2)から算出することができる。そして、昇温過程の場合と同様の方法により、恒温過程における外装材の寸法変化率を算出することが出来る。
降温過程の場合も同様に、測定試料の寸法変化率は、降温開始の145℃から終了の20℃までの間で最小寸法Lmin、最大寸法Lmaxを特定し、式(2)から算出することができる。そして、昇温過程の場合と同様の方法により、降温過程における外装材の寸法変化率を算出することが出来る。上記寸法変化率は、少なくとも3個の試験片について、各々22.5°ずつ異なる16点の平均値を用いることができ、合計で48個の寸法変化率の平均値を用いることができる。
試料長さ:20mm
試料幅:5mm
昇温開始温度:20℃
昇温終了温度:145℃(145℃での保持時間:1時間)
降温終了温度:20℃
昇温および降温速度:10℃/min
測定雰囲気:窒素パージ下
高温保持前後の寸法変化率(%)=|L0-L1|/L0×100 … 式(3)
また、上記予備方法による昇温過程、恒温過程、降温過程の各過程における寸法変化率は、下記式(4)で定義されるものである。ただし、昇温前の20℃での外装材の寸法を式(4)のL0とし、測定する過程において得られる外装材の最小寸法を式(4)のL2とし、当該過程において得られる外装材の最大寸法を式(4)のL3とする。
各過程における寸法変化率(%)=(L3-L2)/L0×100 … 式(4)
本開示の外装材の製造方法としては、例えば、予め成膜した各フィルムを、接着剤を使用して貼り合せるドライラミネーション工程や、熱溶融させたガスバリアフィルムの各材料を、Tダイ等を用いて押出しして貼り合せ、得られた積層体に接着剤を介して熱融着性樹脂層を貼り合せる、貼り合わせ工程等を挙げることができる。
・Al蒸着PET12:アルミニウム(Al)膜(厚み55nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・Al蒸着PET12-2:アルミニウム(Al)膜(厚み35nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・Al蒸着EVOH12:アルミニウム(Al)膜(厚み55nm)が片面に蒸着されたエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(厚み12μm)
・Al蒸着EVOH15:アルミニウム(Al)膜(厚み55nm)が片面に蒸着されたエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム(厚み15μm)
・SiO2蒸着ON15:二酸化ケイ素(SiO2)膜(厚み10nm)が片面に蒸着されたナイロンフィルム(厚み15μm)
・SiO2蒸着PET12:二酸化ケイ素(SiO2)膜(厚み10nm)が片面に蒸着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・バリアPET12:一方の面に、酸化アルミニウム-リン酸の混合組成からなるバリアコート層(以下、Al2O3+P系コート層とする。)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み12μm)
・CPP30:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)
・CPP40:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み40μm)
・CPP50:未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み50μm)
・LLDPE50:直鎖状短鎖分岐ポリエチレンフィルム(厚み50μm)
・PET12:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)
・ON15:二軸延伸ナイロンフィルム(厚み15μm)
・ON25:二軸延伸ナイロンフィルム(厚み25μm)
(接着剤の準備)
主剤として固形分が20質量%であり、融解温度(融点)50℃の酸変性ポリプロピレンを準備した。また、硬化剤として固形分が10質量%であり、重量平均分子量500のエポキシ樹脂を準備した。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定として「Waters製、Alliance 2695」を用い、カラムとして「Shodex GPC LF-804(昭和電工製、8.0mmI.D.×300mm)」を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定した。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速1.0ml/min、サンプル注入量50μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystyrene標準試料TSK standard」から作製した。
酸変性ポリプロピレンを10重量部、エポキシ樹脂を0.5重量部混合し、接着剤を得た。
熱融着性樹脂層としてCPP40と、第一ガスバリアフィルムとしてAl蒸着PET12と、第二ガスバリアフィルムとしてAl蒸着PET12と、第三ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15とをこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルムと第二ガスバリアフィルムとは、第一ガスバリアフィルムのPETフィルム側と、第二ガスバリアフィルムのAl蒸着膜側とが向かい合うように配置し、第三ガスバリアフィルムは、SiO2蒸着膜が熱融着性樹脂層側を向くように配置した。
上述した接着剤を用いて、各フィルム層の間に接着層を配置し、各フィルムを接着層で接合した。
具体的な各フィルムの接合方法は以下の通りである。外装材において隣接して配置される二つのフィルムのうち、一方のフィルムに上述した接着剤を塗布量1.5g/m2となるように塗布して接着層を形成した。次に、接着層が配置されたフィルムと、他方のフィルムとを接着層を間に挟んで加圧することにより、フィルムを接合した。
以上の手順により外装材を得た。
熱融着性樹脂層としてCPP40と、第一ガスバリアフィルムとしてAl蒸着PET12と、第二ガスバリアフィルムとしてバリアPET12と、第三ガスバリアフィルムとしてバリアPET12とをこの順に積層して外装材を得た。各ガスバリアフィルムの樹脂基材とガスバリア膜の向きについては、実施例1と同様である。ガスバリアフィルムは、バリアコート層が熱融着性樹脂層側を向くように配置した。
接着剤として、実施例1に記載の接着剤を塗布量1.5g/m2となるように塗布して接着層を配置し、各フィルムを接合した。以上の手順により外装材を得た。
(接着剤の準備)
ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU-77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H-7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された、2液硬化型の接着剤を準備した。
熱融着性樹脂層としてLLDPE50と、第一ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH12と、第二ガスバリアフィルムとしてAl蒸着PET12-2と、第一保護フィルムとしてON25をこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルムと第二ガスバリアフィルムとは、第一ガスバリアフィルムのAl蒸着膜側と、第二ガスバリアフィルムのAl蒸着膜側とが向かい合うように配置した。
接着剤として、上述した2液硬化型の接着剤を塗布量3.5g/m2となるように塗布して接着層を配置し、実施例1と同様に各フィルムを接合した。以上の手順により外装材を得た。
熱融着性樹脂層としてCPP50と、第一ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着PET12と、第二ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着PET12と、第三ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着PET12とをこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルムと第二ガスバリアフィルムとは、第一ガスバリアフィルムのSiO2蒸着膜側と、第二ガスバリアフィルムのSiO2蒸着膜側とが向かい合うように配置し、第三ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜が熱融着性樹脂層側を向くように配置した。
接着剤として、比較例1に記載の2液硬化型の接着剤を塗布量3.5g/m2となるように塗布して接着層を配置し、実施例1と同様に各フィルムを接合した。以上の手順により外装材を得た。
熱融着性樹脂層としてCPP50と、第一ガスバリアフィルムとしてAl蒸着EVOH15と、第二ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着PET12と、第三ガスバリアフィルムとしてSiO2蒸着ON15とをこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルムと第二ガスバリアフィルムとは、第一ガスバリアフィルムのAl蒸着膜側と、第二ガスバリアフィルムのSiO2蒸着膜側とが向かい合うように配置し、第三ガスバリアフィルムは、ガスバリア膜が熱融着性樹脂層側を向くように配置した。
接着剤として、比較例1に記載の2液硬化型の接着剤を塗布量3.5g/m2となるように塗布して接着層を配置し、実施例1と同様に各フィルムを接合した。以上の手順により外装材を得た。
熱融着性樹脂層としてCPP30と、第一ガスバリアフィルムとしてAl蒸着PET12と、第二ガスバリアフィルムとしてバリアPET12と、第三ガスバリアフィルムとしてバリアPET12と、第四ガスバリアフィルムとしてバリアPET12とをこの順に積層して外装材を得た。第一ガスバリアフィルムと第二ガスバリアフィルムとは、第一ガスバリアフィルムのAl蒸着膜側と、第二ガスバリアフィルムのバリアコート層が向かい合うように配置し、第三ガスバリアフィルムおよび第四ガスバリアフィルムは、それぞれ、バリアコート層が熱融着性樹脂層側を向くように配置した。
接着剤として、比較例1に記載の2液硬化型の接着剤を塗布量3.5g/m2となるように塗布して接着層を配置し、実施例1と同様に各フィルムを接合した。以上の手順により外装材を得た。
(外装材の0℃での引張貯蔵弾性率値に対する100℃での引張貯蔵弾性率値の割合)
実施例1~2、比較例1~4で得られた各外装材の、0℃での引張貯蔵弾性率値に対する100℃での引張貯蔵弾性率値の割合を、上記「2.外装材の特性」の項で説明した条件および方法により算出した。各外装材からサンプリングした試験片数NはN=3とし、上記「2.外装材の特性」の項で説明した方法により各試験片から16点測定試料を採取した。外装材の0℃、100℃の各温度での引張貯蔵弾性率値は、試験片ごとに0℃、100℃の各温度での引張貯蔵弾性率値の16点平均を算出しそれを試験片数(N=3)で平均化した値とした。測定試料の0℃、100℃の各温度での引張貯蔵弾性率の測定方法の詳細は、上記「2.外装材の特性」の項で説明した通りである。
結果を表3に示す。
実施例1~2および比較例1~4で得られた各外装材の酸素透過度を、上記「2.外装材の特性」の項で説明した条件および方法により測定し、「初期値」とした。また、実施例1~2および比較例1~4で得られた各外装材を、恒温室内(温度100℃、湿度無管理の雰囲気)で500時間保管後、各外装材の熱融着されていない部分の外装材を切り取り、切り取った部分の外装材の酸素透過度を、上記「2.外装材の特性」の項で説明した条件および方法により測定した。各外装材について、高温保管前後での酸素透過度の差分を算出し、経時劣化量とした。結果を表3に示す。
実施例1~2および比較例1~4で得られた各外装材について、雰囲気温度20℃で測定した寸法を基準とし、前記雰囲気20℃から雰囲気145℃までの昇温過程と、前記雰囲気145℃で1時間保持する恒温過程と、前記雰囲気145℃から雰囲気20℃までの降温過程を順次行った後の寸法の変化率を、上記「2.外装材の特性」の項で説明した条件および方法により測定した。結果を表3に示す。
各外装材に対し、電解液耐性試験を実施し、試験前後の熱融着性樹脂層とバリアフィルムとの剥離強度を測定した。
袋状の外装材の作製時における、熱融着の条件は、温度190℃、面圧1.0MPa、加熱・加圧時間3秒とした。また、電解液は、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液に6フッ化リン酸リチウムを混合して得られたものとした。電解液耐性試験および剥離強度の測定条件については、上述した「1.外装材の構成 (1)接着層」の項で説明した通りである。耐電解液性の評価基準は、電解液耐性試験を行っていない各外装材について、同様に引張強度を測定して得られた剥離強度(初期剥離強度)を基準(100%)として、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
A:初期剥離強度の80%以上の剥離強度である。
B:初期剥離強度の70%以上80%未満の剥離強度である。
C:初期剥離強度の50%未満の剥離強度である。
実施例1,2および比較例1~4の外装材における40℃、90%RHの水蒸気透過度を測定した。測定方法の詳細は、「2.外装材の特性」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1,2および比較例1~4の外装材における23℃、60%RHの酸素透過度を測定した。測定方法の詳細は、「2.外装材の特性」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1,2および比較例1~4の外装材のフレキシブル性(3回屈曲後の水蒸気透過度、3回屈曲後の酸素透過度、及び引張弾性率×(外装材の厚さ)3)を評価した。評価方法の詳細は、上述した「外装材がフレキシブル性を有する」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1,2および比較例1~4の外装材の灰分を評価した。評価方法の詳細は、「2.外装材の特性」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
実施例1,2および比較例1~4の外装材の熱融着性樹脂層の押し込み弾性率を測定した。測定方法の詳細は、上述した「1.外装材の構成 (3)熱融着性樹脂層」の項で説明した通りである。結果を表4に示す。
項1. 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材であって、
熱融着性樹脂層と、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層されて配置された複数のガスバリアフィルムと、複数の接着層とを有し、
前記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、ガスバリア膜とを有し、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルムとの間に配置される接着層が、耐電解液性を有しており、
前記蓄電デバイス用外装材は、動的粘弾性測定装置を用いて引張法により周波数10Hzで引張貯蔵弾性率を測定したときの、0℃での前記引張貯蔵弾性率の値に対する100℃での前記引張貯蔵弾性率の値の割合が20%以上である、蓄電デバイス用外装材。
項2. 前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足している、項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
項3. 前記蓄電デバイス用外装材は、雰囲気温度20℃で測定した寸法を基準とし、前記雰囲気温度20℃から雰囲気温度145℃までの昇温過程と、前記雰囲気温度145℃で1時間保持する恒温過程と、前記雰囲気温度145℃から雰囲気温度20℃までの降温過程を順次行った後の前記寸法の変化率が、1%以下である、項1又は項2に記載の蓄電デバイス用外装材。
項4. 前記複数の接着層の全てが、耐電解液性を有する、項1から項3までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項5. 耐電解液性を有する前記接着層が、オキサゾリン基を有する化合物、およびエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂組成物の硬化物である、項1から項4までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項6. 耐電解液性を有する前記接着層が、酸素原子、複素環、C=N結合、およびC-O-C結合からなる群より選択される少なくとも1種を有する硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である、項1から項4までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項7. 耐電解液性を有する前記接着層が、ポリエステル、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1から項4までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項8. 温度40℃、湿度90%RH雰囲気下における水蒸気透過度が0.1g/(m2・24h)以下である、項1から項7までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項9. 前記熱融着性樹脂層における押し込み弾性率が0.5GPa以上である、項1から項8までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
項10. 以下の方法で測定される灰分が1.0質量%以上20.0質量%以下である、項1から項9までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材。
(灰分の測定方法)
熱重量/示差熱同時分析装置を用いて、測定試料の質量を測定した後、アルミパン中、かつ、大気雰囲気下で、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温後、そのまま600℃で30分間加熱して測定試料を灰化し、加熱前の質量に対する加熱後の質量を百分率で表した値を灰分とする。
項11. 少なくとも正極、負極、および電解質を備えた蓄電デバイス素子が、項1から項10までのいずれかの項に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
項12. 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材の製造方法であって、
熱融着性樹脂層と、複数のガスバリアフィルムと、複数の接着層とを積層する工程を含んでおり、
前記複数のガスバリアフィルムは、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層することで配置し、
前記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、ガスバリア膜とを有し、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルムとの間に配置される接着層が、耐電解液性を有しており、
前記蓄電デバイス用外装材は、動的粘弾性測定装置を用いて引張法により周波数10Hzで引張貯蔵弾性率を測定したときの、0℃での前記引張貯蔵弾性率の値に対する100℃での前記引張貯蔵弾性率の値の割合が20%以上である、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
項13. 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材の製造方法であって、
前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足しておいる、項12に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
2、2a、2b、2c … ガスバリアフィルム
3、3a、3b、3c … 接着層
10 … 蓄電デバイス用外装材
21 … 樹脂基材
22 … ガスバリア膜
Claims (13)
- 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材であって、
熱融着性樹脂層と、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層されて配置された複数のガスバリアフィルムと、複数の接着層とを有し、
前記複数の接着層は、それぞれ、前記複数のガスバリアフィルムの間、及び、前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルムとの間に配置されており、
前記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、ガスバリア膜とを有し、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルムとの間に配置される接着層が、電解液耐性試験前における前記接着層の剥離強度(N/15mm)に対する、下記の電解液耐性試験後の前記接着層の剥離強度(N/15mm)の比率(剥離強度の維持率)が、50%以上である耐電解液性を有しており、
前記蓄電デバイス用外装材は、動的粘弾性測定装置を用いて引張法により周波数10Hzで引張貯蔵弾性率を測定したときの、0℃での前記引張貯蔵弾性率の値に対する100℃での前記引張貯蔵弾性率の値の割合が20%以上である、蓄電デバイス用外装材。
<電解液耐性試験>
蓄電デバイス用外装材を60mm(縦方向、MD)×150mm(横方向、TD)に裁断する。次に、裁断した蓄電デバイス用外装材を横方向において熱融着性樹脂層同士が対向するようにして2つ折りにし、横方向の対向する1辺と縦方向の1辺を面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着し、横方向の1辺が開口する袋状の外装材を作製する。次に、開口部から3gの電解液(1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液、溶媒はエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(容積比))を注入し、開口部を7mm幅で、面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着する。次に、蓄電デバイス用外装材の開口部を熱融着した部分を上向きにして、85℃の恒温層内に24時間静置する。
前記の<電解液耐性試験>を行った蓄電デバイス用外装材の上側(開口部を熱融着した部分)の1辺と、その両側の2辺を切断して、電解液を排出する。次に、電解液をよく拭き取り、TDの方向が試験片の長さ方向になるようにして、幅15mmの短冊状に切りとって試験片を得る。なお、試験片は、熱融着されていない部分から3つ取得する。次に、試験片の長さ方向の端部から、熱融着性樹脂層とガスバリアフィルムとの間を長さ方向に部分的に剥離させる。この時の剥離は、手で行う。次に、熱融着性樹脂層が上側になるようにして、熱融着性樹脂層と、ガスバリアフィルム等(熱融着性樹脂層の上に積層されていた積層体全体)とを、それぞれ固定(チャック)し、引張試験機を用いて、引張速度50mm/分、剥離角度180°、剥離距離25mmの条件で剥離試験を行い、剥離距離が10~20mmの間の剥離強度(N/15mm)の平均値を、接着層の剥離強度とする。剥離強度は、それぞれ3つの試験片について測定した平均値である。 - 前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足している、請求項1に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記蓄電デバイス用外装材は、雰囲気温度20℃で測定した寸法を基準とし、前記雰囲気温度20℃から雰囲気温度145℃までの昇温過程と、前記雰囲気温度145℃で1時間保持する恒温過程と、前記雰囲気温度145℃から雰囲気温度20℃までの降温過程を順次行った後の前記寸法の変化率が、1%以下である、請求項1又は請求項2に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記複数の接着層の全てが、前記耐電解液性を有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記耐電解液性を有する前記接着層が、オキサゾリン基を有する化合物、およびエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む樹脂組成物の硬化物である、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記耐電解液性を有する前記接着層が、酸素原子、複素環、C=N結合、およびC-O-C結合からなる群より選択される少なくとも1種を有する硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記耐電解液性を有する前記接着層が、ポリエステル、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 温度40℃、湿度90%RH雰囲気下における水蒸気透過度が0.1g/(m2・24h)以下である、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 前記熱融着性樹脂層における押し込み弾性率が0.5GPa以上である、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
- 以下の方法で測定される灰分が1.0質量%以上20.0質量%以下である、請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材。
(灰分の測定方法)
熱重量/示差熱同時分析装置を用いて、測定試料の質量を測定した後、アルミパン中、かつ、大気雰囲気下で、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温後、そのまま600℃で30分間加熱して測定試料を灰化し、加熱前の質量に対する加熱後の質量を百分率で表した値を灰分とする。 - 少なくとも正極、負極、および電解質を備えた蓄電デバイス素子が、請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載の蓄電デバイス用外装材により形成された包装体中に収容されている、蓄電デバイス。
- 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材の製造方法であって、
熱融着性樹脂層と、複数のガスバリアフィルムと、複数の接着層とを積層する工程を含んでおり、
前記工程は、前記熱融着性樹脂層と、前記複数のガスバリアフィルムのうちの前記熱融着性樹脂層側の前記ガスバリアフィルムとを前記接着層を介して貼り合わせる工程と、前記複数のガスバリアフィルムの間を前記接着層を介して貼り合わせる工程と、を含んでおり、
前記複数のガスバリアフィルムは、前記熱融着性樹脂層の一方の面側に積層することで配置し、
前記ガスバリアフィルムは、樹脂基材と、前記樹脂基材の片方または両方の面側に配置された、ガスバリア膜とを有し、
前記複数の接着層のうち、少なくとも前記熱融着性樹脂層と前記ガスバリアフィルムとの間に配置される接着層が、電解液耐性試験前における前記接着層の剥離強度(N/15mm)に対する、下記の電解液耐性試験後の前記接着層の剥離強度(N/15mm)の比率(剥離強度の維持率)が、50%以上である耐電解液性を有しており、
前記蓄電デバイス用外装材は、動的粘弾性測定装置を用いて引張法により周波数10Hzで引張貯蔵弾性率を測定したときの、0℃での前記引張貯蔵弾性率の値に対する100℃での前記引張貯蔵弾性率の値の割合が20%以上である、蓄電デバイス用外装材の製造方法。
<電解液耐性試験>
蓄電デバイス用外装材を60mm(縦方向、MD)×150mm(横方向、TD)に裁断する。次に、裁断した蓄電デバイス用外装材を横方向において熱融着性樹脂層同士が対向するようにして2つ折りにし、横方向の対向する1辺と縦方向の1辺を面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着し、横方向の1辺が開口する袋状の外装材を作製する。次に、開口部から3gの電解液(1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液、溶媒はエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1(容積比))を注入し、開口部を7mm幅で、面圧1MPa、温度190℃、3秒間の条件で熱融着する。次に、蓄電デバイス用外装材の開口部を熱融着した部分を上向きにして、85℃の恒温層内に24時間静置する。
前記の<電解液耐性試験>を行った蓄電デバイス用外装材の上側(開口部を熱融着した部分)の1辺と、その両側の2辺を切断して、電解液を排出する。次に、電解液をよく拭き取り、TDの方向が試験片の長さ方向になるようにして、幅15mmの短冊状に切りとって試験片を得る。なお、試験片は、熱融着されていない部分から3つ取得する。次に、試験片の長さ方向の端部から、熱融着性樹脂層とガスバリアフィルムとの間を長さ方向に部分的に剥離させる。この時の剥離は、手で行う。次に、熱融着性樹脂層が上側になるようにして、熱融着性樹脂層と、ガスバリアフィルム等(熱融着性樹脂層の上に積層されていた積層体全体)とを、それぞれ固定(チャック)し、引張試験機を用いて、引張速度50mm/分、剥離角度180°、剥離距離25mmの条件で剥離試験を行い、剥離距離が10~20mmの間の剥離強度(N/15mm)の平均値を、接着層の剥離強度とする。剥離強度は、それぞれ3つの試験片について測定した平均値である。 - 複数のフィルムが積層された蓄電デバイス用外装材の製造方法であって、
前記蓄電デバイス用外装材は、引張弾性率(MPa)×(厚み(mm))3<2.5(MPa・mm3)の関係を充足しておいる、請求項12に記載の蓄電デバイス用外装材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018170916A JP7247494B2 (ja) | 2018-09-12 | 2018-09-12 | 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018170916A JP7247494B2 (ja) | 2018-09-12 | 2018-09-12 | 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020043014A JP2020043014A (ja) | 2020-03-19 |
JP7247494B2 true JP7247494B2 (ja) | 2023-03-29 |
Family
ID=69798546
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018170916A Active JP7247494B2 (ja) | 2018-09-12 | 2018-09-12 | 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7247494B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018025300A (ja) | 2015-12-28 | 2018-02-15 | 大日本印刷株式会社 | 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 |
-
2018
- 2018-09-12 JP JP2018170916A patent/JP7247494B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018025300A (ja) | 2015-12-28 | 2018-02-15 | 大日本印刷株式会社 | 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020043014A (ja) | 2020-03-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6766985B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス | |
JP7103343B2 (ja) | 電池用包装材料、その製造方法、電池用包装材料用ポリブチレンテレフタレートフィルム、及び電池 | |
JPWO2007119791A1 (ja) | ガスバリア性フィルム | |
JP7104136B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JP7104137B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JPWO2020085462A1 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JP5990945B2 (ja) | ガスバリア積層フィルム | |
JP7247495B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス | |
WO2021201293A1 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JP7247494B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、蓄電デバイス用外装材の製造方法、および蓄電デバイス | |
JPWO2021090952A1 (ja) | 金属端子用接着性フィルム、金属端子用接着性フィルムの製造方法、金属端子用接着性フィルム付き金属端子、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び蓄電デバイスの製造方法 | |
JP7196480B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
CN110383523B (zh) | 电池用外包装材料、电池用外包装材料的制造方法和电池 | |
JPWO2020071254A1 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JP7311073B1 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、フィルム、及び蓄電デバイス | |
JP7355275B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、フィルム、及び蓄電デバイス | |
JP7355274B2 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、フィルム、及び蓄電デバイス | |
JP7163743B2 (ja) | 蓄電デバイス用包装材料、蓄電デバイス用包装材料の製造方法、及び蓄電デバイス | |
WO2023136360A1 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、樹脂組成物、及び蓄電デバイス | |
WO2022210548A1 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JP2012045934A (ja) | ガスバリア性フィルム | |
WO2023195472A1 (ja) | 蓄電デバイス用外装材、その製造方法、及び蓄電デバイス | |
JP2007069456A (ja) | 加熱処理耐性を有するガスバリア性フィルム積層体 | |
CN115000593A (zh) | 具有高耐腐蚀性的锂电池复合包装材料与锂电池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210727 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220615 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220628 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220822 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221115 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230116 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230227 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7247494 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |