JP2002225170A - 気体遮蔽性フィルム、その製造方法およびそれを用いた真空断熱体 - Google Patents

気体遮蔽性フィルム、その製造方法およびそれを用いた真空断熱体

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JP2002225170A
JP2002225170A JP2001021144A JP2001021144A JP2002225170A JP 2002225170 A JP2002225170 A JP 2002225170A JP 2001021144 A JP2001021144 A JP 2001021144A JP 2001021144 A JP2001021144 A JP 2001021144A JP 2002225170 A JP2002225170 A JP 2002225170A
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film
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thin film
shielding
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Masaaki Suzuki
正明 鈴木
Hideo Kurokawa
英雄 黒川
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品の長期保存や真空断熱パネルの真空保持
などの用途に十分な高い気体遮蔽性を有するフィルムを
提供する。 【解決手段】 樹脂フィルムの少なくとも一方の面に無
機酸化物薄膜層または金属薄膜層が形成し、さらにその
無機酸化物薄膜層または金属薄膜層の上に非晶質炭素膜
層を形成して気体遮蔽性フィルムを構成する。気体遮蔽
層を二重にしたこの構成によって、単独の気体遮蔽層で
十分ではなかった気体遮蔽性を向上させることができ
る。さらに、この気体遮蔽性フィルムを用いることによ
って、長期の断熱性能を保持することができる真空断熱
体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品包装、医薬品
包装、電池など電子デバイスの耐湿保護、真空断熱体の
外被材などに用いられる気体遮蔽性に優れた気体遮蔽性
フィルムおよびその製造方法に関するものである。さら
に、気体遮蔽性フィルムを用いた真空断熱体やそれを利
用した断熱箱体などに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品包装用や真空断熱パネルなどの気体
遮蔽性フィルムのうち、特に高性能なものとしてアルミ
ニウム箔(アルミ箔)等の金属箔をラミネートしたフィ
ルムが広く用いられている。気体遮蔽性としては金属箔
の厚みにもよるが、酸素透過度0.1ml/m2・24hr、
水蒸気透過度0.1g/m2・24hr程度以下の優れた性
能を有している。
【0003】しかし、気体遮蔽性フィルムについては用
途によって気体遮蔽性以外に求められる性能が異なって
おり、それら性能に関しては必ずしも十分なものである
とは言えず、代替できる気体遮蔽性フィルムが求められ
ている。例えば、食品包装用途では、内容物の視認性や
美観性などのために透明性が要求される場合がある。ま
た、真空断熱パネルの用途では、アルミ箔の厚みが数μ
m以上あるために真空断熱パネルの縁部を熱が回り込む
ヒートリークを生じやすく、断熱体としての性能が低下
しやすいものである。
【0004】さらに、これらのアルミ箔ラミネートした
気体遮蔽性フィルムを廃棄するときには、フィルム中の
アルミ量が多いために複合素材としてリサイクルがし難
く、焼却処理する際には大量の残渣が生成するという問
題がある。
【0005】金属箔ラミネートフィルムに代わる気体遮
蔽性フィルムとしては、酸化ケイ素(SiOx)や酸化
アルミニウム(Al23)などの無機酸化物を蒸着した
透明な気体遮蔽性フィルムや、アルミニウムなどの金属
を蒸着した半透明な気体遮蔽性フィルムが用いられてい
る。これらの気体遮蔽性フィルムは透明性という観点で
は優れているが、気体遮蔽性に関しては、金属箔ラミネ
ート気体遮蔽性フィルムに比較して十分ではない。この
理由として、無機酸化物や金属材料を蒸着で付けた薄膜
は決して均一ではなく、粒子が不規則に並んだ表面構造
であったり、蒸着密度のばらつきなどがあって、気体遮
蔽性が十分に得られていないことである。また、この蒸
着フィルムでは、水蒸気や酸素などに対して高い気体遮
蔽性を得るために無機酸化物や金属材料の膜厚を厚くす
ると、透明性が低下するとともに、可撓性が低下し、亀
裂や剥離が生じやすくなってしまう。
【0006】さらにこのような無機酸化物や金属材料が
蒸着された気体遮蔽性フィルムでは、無機酸化物や金属
材料などの蒸着による成膜時に基材フィルムに加わる延
伸による張力や、製袋して内容物を充填する加工時の応
力によって気体遮蔽層の膜質が劣化するために十分な性
能が得られていない。
【0007】これらを防ぐのに気体遮蔽層の上に保護フ
ィルムをラミネートするなどの方法も取られているが決
して十分ではなく、酸素透過度1ml/m2・24hr、水蒸
気透過度1g/m2・24hr程度に過ぎず、食品の長期保
存や真空断熱パネルの真空保持が必要な場合には、気体
遮蔽性が未だ十分でない。
【0008】そのため、さらに気体遮蔽性を向上させる
方法として、特開平7−80986号公報や特開平7−
285191号公報では、基材フィルム上に酸化ケイ素
などの無機質の気体遮蔽性薄膜層を形成し、さらに塩化
ビニリデン系共重合体又はエチレン−ビニルアルコール
共重合体の気体遮蔽性の高い樹脂をコーティングするフ
ィルム構成が開示されている。この構成によって、被覆
層が薄くても、透明性を有する優れた気体遮蔽性フィル
ムが得られ、さらに、可撓性に優れ、折曲や揉みなどの
機械的外力が作用しても、気体遮蔽性の低下を抑制でき
る効果が得られることが開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基材フ
ィルム上に形成した気体遮蔽性の薄膜層の上に気体遮蔽
性の高い樹脂をコーティングしたフィルム構成において
も、コーティングの厚さが薄い場合には、ピンポールな
どができやすく気体遮蔽性が十分でない場合がある。ま
た、コーティングが厚い場合には、コーティングによる
応力によって基材フィルムのゆがみや反りなどが発生
し、この気体遮蔽性フィルムを袋形状にして利用する際
に加工が行いにくくなったりするという課題がある。
【0010】さらに、コーティングする樹脂について
は、塩化ビニリデン系共重合樹脂では廃棄の焼却処理時
に関して焼却時に塩酸やダイオキシン発生の恐れがあ
り、エチレン−ビニルアルコール共重合体では湿度の高
い状態での気体透過が高くなるという課題がある上に、
下地である気体遮蔽性薄膜に金属材料を使用した場合に
はその腐食を生じやすいという課題がある。
【0011】上記の従来技術の問題点を鑑み、本発明の
目的は、食品の長期保存や真空断熱パネルの真空保持な
どの用途に十分な高い気体遮蔽性を有するフィルムを提
供するものである。また、可撓性に優れ、かつ折曲や揉
みなどの機械的外力が作用しても亀裂や剥離が生じにく
くて気体遮蔽性の低下を抑制できるなどの信頼性の高い
気体遮蔽性フィルムを提供するものである。さらに、使
用したのちの焼却処理において多くの残渣や塩酸などの
発生のない廃棄時の影響のない気体遮蔽性フィルムを提
供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するため、本発明は樹脂フィルムの少なくとも一方の面
に無機酸化物薄膜層または金属薄膜層が形成されてな
り、さらに前記無機酸化物薄膜層または前記金属薄膜層
の上に非晶質炭素膜層が形成されてなることを特徴とす
る気体遮蔽性フィルムである。
【0013】また、本発明は前記無機酸化物薄膜層また
は前記金属薄膜層の膜厚が10nm以上、500nm以
下の範囲であることを特徴とするものである。
【0014】また、本発明は前記非晶質炭素膜層の膜厚
が1nm以上、1μm以下の範囲であることを特徴とす
るものである。
【0015】また、本発明は前記無機酸化物薄膜層また
は前記金属薄膜層の膜厚に対して、前記非晶質炭素膜層
の膜厚が10分の1から2倍の範囲であることを特徴と
するものである。
【0016】また、本発明は少なくとも一方の面にヒー
トシール層を設けたことを特徴とするものである。
【0017】また、本発明は前記気体遮蔽性フィルムを
複数枚接着して構成したことを特徴とするものである。
【0018】また、本発明は少なくとも一方の面に無機
酸化物薄膜層または金属薄膜層が形成されてなる樹脂フ
ィルムを一方向に走行させながら非晶質炭素膜を真空中
で気相成膜させてなることを特徴とする気体遮蔽性フィ
ルムの製造方法である。
【0019】また、本発明は少なくとも一方の面に導電
性無機酸化物薄膜層または金属薄膜層が形成されてなる
樹脂フィルムを一方向に走行させながら非晶質炭素膜を
化学気相成長させる気体遮蔽性フィルムの製造方法であ
って、原料ガスの導入管に高周波印加してプラズマ形成
し、前記導電性無機酸化物薄膜層または前記金属薄膜層
に負電圧印加することによって前記非晶質炭素膜を形成
させてなることを特徴とするものである。
【0020】また、本発明は少なくとも一方の面に無機
酸化物薄膜層または金属薄膜層が形成されてなる樹脂フ
ィルムを一方向に走行させながら非晶質炭素膜を化学気
相成長させる気体遮蔽性フィルムの製造方法であって、
前記樹脂フィルムを走行させるロールのうち前記非晶質
炭素膜を形成させる主ロールと、前記主ロールと対向し
た電極との間に高周波印加することによってプラズマ形
成させることによって前記非晶質炭素膜を形成させてな
ることを特徴とするものである。
【0021】また、本発明は前記気体遮蔽性フィルムを
真空封止用容器として用い、前記真空封止用容器中に平
均密度1kg/m3以上、600kg/m3以下である低密度芯
材を真空封止してなることを特徴とする真空断熱体であ
る。
【0022】また、本発明は低密度芯材が平均空隙距離
1nm以上、100μm以下の範囲である発泡体、繊維
体、多孔体、または粉粒体の少なくともいずれかを含む
ことを特徴とするものである。
【0023】また、本発明は前記真空断熱体を断熱壁の
壁材内部に備えてなることを特徴とする断熱箱体であ
る。
【0024】また、本発明は前記断熱箱体を用いて構成
されることを特徴とする冷凍冷蔵庫である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0026】本発明の気体遮蔽性フィルムは、樹脂フィ
ルムの少なくとも一方の面に無機酸化物薄膜層または金
属薄膜層が形成されてなり、さらに前記無機酸化物薄膜
層または前記金属薄膜層の上に非晶質炭素膜層が形成し
た構成である。このように、気体遮蔽層を二重にするこ
とによって単独の気体遮蔽層で十分ではなかった気体遮
蔽性を向上させることができる。
【0027】この効果は、無機酸化物や金属材料の薄膜
が緻密な構造でなく、薄膜自体は粒子が不規則に並んだ
表面構造であったり、蒸着密度のばらつきがあるなどの
ように薄膜の面内が均一ではないために、その表面をさ
らに緻密な非晶質炭素膜で覆うことによって十分な気体
遮蔽性を得ることができるものである。
【0028】非晶質炭素膜を気体遮蔽層として用いるこ
とによる代表的な特長を以下にまとめる。
【0029】(1)薄膜においても膜質が緻密でありピ
ンホールが極めて少ないために、気体が透過しにくい。
また非晶質であるので、結晶質のように結晶粒界を通じ
ての気体透過がない。
【0030】(2)空気成分である気体(窒素、酸素、
アルゴン、二酸化炭素、水蒸気)に対する親和性が低い
ため遮蔽性が高い。
【0031】(3)曲げとか折れとかの応力に対する耐
クラック性が高く、気体遮蔽性が劣化しにくく、信頼性
が高い。
【0032】(4)炭素間の化学結合についてsp3性
結合が多い非晶質炭素膜の場合は、硬質であり、表面層
が傷つきにくい。
【0033】(5)酸やアルカリ、有機溶剤に対する耐
薬品性が高い。
【0034】(6)透明性があり、気体遮蔽性の包装に
おいて中味を確認できる。
【0035】(7)非晶質炭素膜は電気的に絶縁性であ
り、熱も伝えにくい。そのため真空断熱体の容器材とし
て使用した際に、容器を熱伝達するヒートリークによる
損失が低減される。
【0036】無機酸化物薄膜層または金属薄膜層は気体
遮蔽性を有し、透明または半透明の気体遮蔽層である
が、材質によっては耐薬品性、耐湿性などが低い場合が
ある。これに、非晶質炭素膜層で被覆することによっ
て、上述の非晶質炭素膜の特長から透明性を保持したま
ま気体遮蔽性を高め、かつ耐久性の高い優れた気体遮蔽
性フィルムを得ることができる。
【0037】また、非晶質炭素膜は薄くても緻密で均一
な膜質の薄膜であることから、樹脂コーティングの気体
遮蔽層に対して非常に薄い厚さにおいても、無機酸化物
薄膜層または金属薄膜層を単独で用いた場合に対して向
上させる効果がある。
【0038】また、可撓性が付与して、折曲や揉みなど
の機械的外力による亀裂や剥離が発生しにくくする効果
もある。
【0039】次に、本発明の具体的な実施の形態につい
て図を用いて説明する。
【0040】(実施の形態1)図1に本発明の実施の形
態1における気体遮蔽性フィルムの断面図を示す。基材
の樹脂フィルム1の上に真空蒸着法、スパッタリング法
などの真空成膜法で薄膜化された無機酸化物薄膜層また
は金属薄膜層2が形成されてなる複合樹脂フィルムの上
に、さらに非晶質炭素膜層3が成膜された構成の気体遮
蔽性フィルムである。
【0041】図2は従来の気体遮蔽性フィルムの断面図
であり、基材の樹脂フィルム1の上に無機酸化物薄膜層
または金属薄膜層2が薄膜化されてなる複合樹脂フィル
ムである。これに対して、図1の本発明の気体遮蔽性フ
ィルムを用いると、従来の構成のフィルムよりも、非晶
質炭素膜層3の効果によって気体遮蔽性を向上すること
ができる。
【0042】また、図3は従来の他の気体遮蔽性フィル
ムの断面図であり、基材の樹脂フィルム1の上に無機酸
化物薄膜層または金属薄膜層2が薄膜化されてなる複合
樹脂フィルムの上に、樹脂コーティング4を形成して気
体遮蔽性を高めている。これに対して、図1の本発明の
気体遮蔽性フィルムを用いると、従来の構成のフィルム
よりも、非晶質炭素膜層3の効果によって用いる雰囲気
環境によらずにより以上に気体遮蔽性を向上することが
できる。
【0043】なお、本実施の形態においては、基材の樹
脂フィルム1の片面のみに気体遮蔽層を形成したが、両
面に形成すればより優れた効果が得られる。
【0044】また、以下に述べる複合化した気体遮蔽性
フィルムのように、本発明の実施の形態1の気体遮蔽性
フィルムを複数枚接合して気体遮蔽性を高めることもで
きる。そして、他の一般的な気体遮蔽性フィルムと接合
して気体遮蔽性を高めることもできるなど、様々な使用
形態が可能である。
【0045】さらに、本発明では気体遮蔽性を高めるた
めに、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層2上に非晶質
炭素膜層3を成膜した後に、その上に無機酸化物薄膜層
または金属薄膜層2を成膜し、そして非晶質炭素膜層3
を続いて成膜した、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層
2と非晶質炭素膜層3とを交互に積層した構成をとるの
も効果がある。当然のことながら、交互積層数を増やせ
ば増やすほど効果が高くなる。
【0046】(実施の形態2)図4に本発明の実施の形
態2における気体遮蔽性フィルムの断面図を示す。本発
明の実施の形態1の構成に接着層10を介してヒートシ
ール層5を形成してなる。
【0047】この構成によって、本発明の気体遮蔽性フ
ィルムを用いた袋形状の包装容器を形成することができ
たり、他の素材との融着による複合材を形成することが
できるという効果が得られる。
【0048】本実施の形態においては、基材の樹脂フィ
ルム1の気体遮蔽層の形成されていない面に複合化して
なるが、これに限らず気体遮蔽層である非晶質炭素膜層
3の面に形成しても効果が得られる。この際には基材の
樹脂フィルム1の面が表面に出ることになり、基材自体
を保護層として機能させることもできる。
【0049】なお、本発明においてヒートシール層と
は、ヒートシーラーによる熱接合に限らず、インパルス
シール、高周波接合、超音波接合などの方法により熱接
合可能な層を意味する。本発明の気体遮蔽性フィルム
は、上記の接合方法によってヒートシール層を融着させ
て容器形状に加工するなどの加工方法を取ることができ
る。
【0050】さらに、この構成にさらに保護層としてフ
ィルムを接着したり、樹脂をコーティングすることや、
紫外線防止、帯電防止、表面滑性付与などの表面処理を
施すことなどによって複合化して使いやすくすることも
できる。
【0051】(実施の形態3)図5に本発明の実施の形
態3における気体遮蔽性フィルムの断面図を示す。本発
明の実施の形態1の構成の気体遮蔽性フィルム11を2
枚用いて接着層10を介して接合してなる構成に、さら
に接着層10を介してヒートシール層5を形成した複合
化した気体遮蔽性フィルムである。
【0052】この構成によって、気体遮蔽性を高めた上
に、本発明の気体遮蔽性フィルムを用いた袋形状の包装
容器の形成ができたり、他の素材との融着による複合材
を形成することができるという効果が得られる。
【0053】本実施の形態においては、本発明の実施の
形態1の構成の気体遮蔽性フィルム11を2枚用いて複
合化しているが、さらに枚数を増やすと気体遮蔽性が高
まり好ましい。また、図5においては、非晶質炭素膜層
の面を向かい合わせて接着してなるが、複合化の向きに
関してはこの構成に限られるものではない。
【0054】(実施の形態4)図6に本発明の実施の形
態4における真空断熱体の断面図を示す。本発明の実施
の形態3や実施の形態4などの気体遮蔽性フィルムを製
袋したフィルム21に低密度芯材22を封入してから真
空封止して真空断熱パネルを作製する。
【0055】この構成によって、極めて低い熱伝導率を
達成して高い断熱性能の断熱材を提供できる。すなわ
ち、断熱体の熱伝導の成分は、主に固体熱伝導と気体熱
伝導と輻射熱伝導で構成される。真空断熱体は真空にす
ることによってこれら熱伝導成分のうち気体熱伝導を極
めて小さくすることで熱伝導率を低くすることができ
る。この際、固体熱伝導成分を小さくするために低密度
芯材にて構成することが効果的である。
【0056】本発明の気体遮蔽性フィルムを用いること
によって、高い気体遮蔽性を有するので真空断熱パネル
内への気体の進入を防ぐ効果が高まり、長期にわたって
優れた断熱性能を確保することができるという効果が得
られる。
【0057】また、金属箔を気体遮蔽層として用いてい
ないため、製袋されたフィルムのヒートシール部を回り
込んで伝熱するヒートリーク成分が低減するために、真
空断熱パネル面全体にわたって低い熱伝導率を得ること
ができる。
【0058】本発明の実施の形態の真空断熱パネルにお
いては、さらに長期にわたる断熱性能を確保するために
製袋された気体遮蔽性フィルム21で低密度芯材22を
真空封止する際に、気体成分の吸着剤を封入しておくこ
とことができ、この構成によって信頼性を向上させるこ
とができる。
【0059】(実施の形態5)図7に本発明の実施の形
態5における断熱箱体の壁材の断面図を示す。本発明の
実施の形態4で示した真空断熱体23を断熱箱体の断熱
壁の内部に挿入してなる構成であり、本実施の形態では
壁材の一側面24の内面に真空断熱体23を張り付けて
構成し、さらに壁材の他の一側面25との間に断熱性を
有する発泡樹脂26を充填して構成している。
【0060】この構成によって真空断熱体23の高い断
熱性能を活かし、断熱箱体としての機械強度等を確保す
ることができるなど実用上優れた効果が得られる。ま
た、断熱箱体の壁材の内部に真空断熱体23を挿入する
ことによって真空断熱体23が機械的な損傷を受けるこ
とを防ぐことができるため、長期の信頼性を確保できる
という好ましい効果も得られる。
【0061】本発明の実施の形態の断熱箱体に冷凍サイ
クル装置を組み合わせることによって、冷凍冷蔵庫等の
機器を構成した際には、機器の省エネルギーについて優
れた効果が得られる。冷凍冷蔵庫等の機器では、その消
費エネルギーの要因として断熱箱体からの熱の逃散成分
が大きな割合を占める。また、断熱箱体が冷凍冷蔵庫等
の機器の構造的な強度を保持している。したがって、本
実施の形態の断熱箱体を用いることで、製品としての構
造強度を保持したまま、高い断熱性能による省エネルギ
ーを達成することができる。
【0062】本発明の実施の形態の断熱箱体を冷凍冷蔵
庫等の機器に利用する場合には、一般的には断熱箱体の
壁材の外箱としては鋼板、ステンレス板などの金属板が
用いられ、内箱としてはアクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパ
クトスチレン樹脂などの樹脂シートが用いられる。ま
た、発泡樹脂としてはポリウレタンフォーム、ポリスチ
レンフォームなどが充填されて用いられる。
【0063】なお、本発明の実施の形態では、断熱箱体
の断熱壁内部に発泡樹脂を充填しているが、他には繊維
材、粉体、無機多孔体などの断熱性能を有する低密度材
を用いることにより同様の効果が得られる。
【0064】(実施の形態6)図8に本発明の実施の形
態6における気体遮蔽性フィルムの製造方法に関する装
置概略図を示す。真空容器40内にて、無機酸化物薄膜
層または金属薄膜層が形成された樹脂フィルムを押出し
ロール31から走行して、主ロール33の非晶質炭素膜
の成膜部35にて非晶質炭素膜層を作製した気体遮蔽性
フィルム34を巻取りロール32にて回収する。このよ
うに、フィルムを一方向に走行させながら非晶質炭素膜
を真空中で気相成膜させることで工業的に生産性高く製
造することができる。
【0065】非晶質炭素膜の成膜部35において、本実
施の形態では、メタンなどの原料ガスの導入管39に励
磁コイル36にて高周波印加してプラズマ形成して、基
材の樹脂フィルムに非晶質炭素膜層を化学気相成長させ
る。
【0066】このとき、樹脂フィルム上に導電性無機酸
化物薄膜層または金属薄膜層が形成されている場合に
は、導電性無機酸化物薄膜層または金属薄膜層に直流バ
イアス電圧印加、好ましくは負電圧印加することによっ
てプラズマ中のラジカル種やイオン種を引きつけて成膜
を加速するとともに非晶質炭素膜の膜質を向上させるこ
とができる。
【0067】すなわち、緻密性、硬質さ、可撓性などが
高まるとともに、気体遮蔽性が向上する効果が得られ
る。
【0068】また、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層
が形成された樹脂フィルムは無機酸化物薄膜層または金
属薄膜層の形成時に一方向に走行されたため一軸延伸さ
れている。このときの応力によって樹脂フィルム状に形
成されている無機酸化物薄膜層または金属薄膜層に亀裂
や剥離等のクラック欠陥が発生して気体遮蔽性が低下し
ていることがあり得る。したがって、その上に可撓性が
あり、耐クラック性のある非晶質炭素膜を形成すること
によって欠陥部を修復するとともに気体遮蔽性を向上さ
せることができるという効果がある。
【0069】なお、本実施の形態では、真空容器内で非
晶質炭素膜層のみを形成しているが、1つの真空容器内
で無機酸化物薄膜層または金属薄膜層と非晶質炭素膜層
を連続的に行っても良い。また、直流バイアス電圧とし
ては、−500Vから100Vの範囲で印加することが
でき、負バイアスが好ましい。フィルムの走行速度とし
ては、1m/分から500m/分の範囲で行うことがで
き、一軸延伸が強くなりすぎず、かつ生産性を考慮する
と10m/分から200m/分が好ましい。
【0070】(実施の形態7)図9に本発明の実施の形
態7における気体遮蔽性フィルムの製造方法に関する装
置概略図を示す。実施の形態6と同じフィルムの走行機
構を持った装置において、基材の樹脂フィルムを走行さ
せる主ロール33と、それに対向させた電極42との間
に高周波印加し、導入されたメタンなどの原料ガスから
プラズマ形成して、非晶質炭素膜の成膜部35にてフィ
ルム上に非晶質炭素膜層を化学気相成長させる。
【0071】このとき、無機酸化物薄膜層または金属薄
膜層が形成された樹脂フィルムが成膜部35のプラズマ
中を通過し、その上に非晶質炭素膜層が形成される。高
いエネルギーを持つプラズマ中での気相成長によって、
緻密性、硬質さ、可撓性、気体遮蔽性などの非晶質炭素
膜の膜質を向上させる効果が得られる。
【0072】次に、本発明の実施の形態について詳しく
説明する。
【0073】本発明で気体遮蔽層として用いる非晶質炭
素膜は、化学結合としてダイヤモンド状のsp3混成軌
道とグラファイト状のsp2混成軌道とを含むが結晶性
ではない炭素膜である。この炭素膜は、非晶質で高分子
的な性質も有するために、緻密性、可撓性等を有してお
り、耐クラック性が高い薄膜である。特に、非晶質炭素
膜の膜質としてダイヤモンド状のsp3混成軌道成分が
多い非晶質硬質炭素膜(ダイヤモンドライクカーボン
膜)の場合に緻密性の高さから気体遮蔽性に優れてお
り、好ましい。
【0074】非晶質炭素膜の気体遮蔽性はその膜質に影
響する。非晶質炭素膜は、膜中に含有する水素原子濃度
が高くなると高分子的な性質が強くなり、逆に水素原子
濃度が低くなるとダイヤモンド的な性質が強くなり薄膜
の硬度が高くなるという特徴を有する。
【0075】特に、気体遮蔽性については、炭素同士の
結合が多いほど高くなると考えられるために水素原子濃
度が低い非晶質炭素膜である方が比較して優れた特性で
ある。水素原子濃度が低くなりすぎると膜が堅くなり過
ぎて可撓性や耐クラック性が低下してしまうため、適し
た水素原子濃度としては5原子%以上、50原子%以下
の範囲が好ましい。しかし、ピンホールが無く緻密であ
り、曲げなどの応力に対して亀裂などの欠陥が生じなけ
れば、これらの範囲に限られない。
【0076】本発明で用いる非晶質炭素膜の製造方法と
しては、真空中で気相成膜させる方法が用いられる。カ
ーボンやグラファイトをソースやターゲットとした真空
蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法な
どの物理蒸着法や、メタンなどの原料ガスを用いた熱分
解重合、プラズマ重合などによる化学気相成長法を用い
ることができる。
【0077】特に、基材として樹脂フィルムを用いる場
合には、樹脂フィルムの耐熱性が低いために低温で成膜
する必要があり、かつ大面積に均一に高速で薄膜形成す
る必要があるためにプラズマを利用し気相成長が好まし
い。また、樹脂フィルムが絶縁性であるためにプラズマ
を発生させるために高周波を利用する成膜法が好まし
い。したがって、本発明の実施の形態6および7に記載
したようにプラズマ中のイオン化成分のエネルギーを成
膜に利用する高周波プラズマ法による化学気相成長が特
に好ましい。
【0078】非晶質炭素膜の成膜に利用する原料ガスと
しては、炭素と水素を含有する化合物が用いられる。例
えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、
ヘキサンなどのアルカン類;エチレン、プロピレン、ブ
テン、ペンテンなどのアルケン類;ペンタジエン、ブタ
ジエンなどのアルカジエン類;アセチレン、メチルアセ
チレンなどのアルキン類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族炭化水素類;シクロプロパン、シクロヘ
キサンなどのシクロアルケン類;メタノール、エタノー
ルなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン
などのケトン類;アセトアルデヒドなどのアルデヒド類
が挙げられる。これらのガスを単独、または2種以上併
用して用いても良い。
【0079】また、原料ガスの濃度調整と搬送するため
のキャリアガスとしては、原料ガスと反応しないで非晶
質炭素膜中に取り込まれないものが好ましく、ヘリウ
ム、アルゴン、ネオン、キセノンなどの希ガスが用いら
れる。
【0080】また、これらに原料ガスと反応して膜質を
制御するガス成分を加えることができ、水素、酸素、窒
素、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気などを用いること
ができる。原料ガス、希ガスおよびこれらのガスを組み
合わせて膜質を制御する。例えば、上記原料ガスと窒素
から成膜した非晶質炭素膜は窒化された成分を含み、膜
の緻密さを向上して気体遮蔽性を高めることができる。
また、酸素を含む場合には、非晶質炭素膜の透明性が向
上するなどの効果がある。
【0081】次に、本発明の気体遮蔽性フィルムの基材
としての樹脂フィルムは、例えば、ポリエチレン、エチ
レン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマー、ポリ
プロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ−4
−メチルペンテン−1などのポリオレフィン;ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステ
ル;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン66、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン
66/610などのポリアミド;芳香族ポリアミド;ポ
リ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−
塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリ
ル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エス
テル共重合体などの塩化ビニリデン系樹脂;ポリスチレ
ン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などのスチレン
系ポリマー;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体などのビニルアルコール系ポリマ
ー;ポリアミドイミド;ポリイミド;ポリエーテルイミ
ド;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルス
ルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリアリレー
ト;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシ
ド;ポリパラキシレン;ポリアクリロニトリル;ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレ
ン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体などのフッ素
樹脂;セロハンなどのセルロース系ポリマー;塩酸ゴ
ム;前記種々のポリマーの構成成分を含む共重合体など
を用いることができる。
【0082】これらのポリマーは、単独または二種以上
を混合して用いることができる。また、基材は、単層フ
ィルムであってもよく、二種以上のポリマー層が積層さ
れた積層フィルムであってもよい。基材フィルム層の厚
みは特に制限されず、包装適性、機械的強度、可撓性な
どを考慮して適宜選択される。厚みは、通常、3〜20
0μm、好ましくは5〜100μm程度である。
【0083】本発明の無機酸化物薄膜層を構成する無機
酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、バリウ
ム、チタン、ジルコニウム、タンタル、ルテニウム、亜
鉛、アルミニウム、インジウム、タリウム、ケイ素、錫
などの単体の酸化物、または複合酸化物が用いられる。
【0084】特に、透明性と気体遮蔽性に優れた酸化ケ
イ素や酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウ
ムなどが好ましく用いられる。これらは真空蒸着やスパ
ッタリング、化学気相成長法などで成膜される。
【0085】また、導電性があり、透明性と気体遮蔽性
に優れた酸化錫、酸化インジウムとその複合酸化物など
が好ましく用いられる。また、酸化チタンや酸化ジルコ
ニウムなどは輻射低減効果があるために、真空断熱体の
気体遮蔽性容器に本発明の気体遮蔽性フィルムを用いる
場合に輻射伝熱による熱伝導率の低減効果があるために
好ましい。
【0086】本発明の金属薄膜層を構成する金属材料と
してはアルミニウム、金、銀、銅、コバルト、コバルト
ニッケル合金などの一般的な金属蒸着材料が用いられ
る。気体遮蔽性フィルムの用途としては、一般的には蒸
着によるアルミニウム薄膜が好ましく用いられている。
【0087】本発明の気体遮蔽性フィルムに用いる無機
酸化物薄膜層または金属薄膜層の膜厚としては、透明性
と気体遮蔽性を有するには10nm以上、500nm以
下の範囲であるのが好ましい。
【0088】無機酸化物薄膜層または金属薄膜層の膜厚
が10nmより薄い場合には、透明性は十分に確保でき
るが、気体遮蔽性が低下することになる。そのため、上
部に形成する非晶質炭素膜層の厚みを厚くする必要があ
る。すなわち、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層の膜
厚が10nm未満であり気体遮蔽性が多少劣っても、非
晶質炭素膜層が10nm以上の厚みであれば気体遮蔽性
フィルムとしては良好な性能を持たせることができるた
め、1nm以上の膜厚範囲までは適用することができ
る。
【0089】また、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層
の膜厚が500nmより厚い場合には、気体遮蔽性は十
分であっても、透明性が低下したり、成膜時間がかかる
などの生産効率の面からも最適とはいえない。特に、金
属蒸着薄膜では厚みが500nm程度までは半透明性が
あるが、それ以上になると遮光性が高くなりすぎる。し
かし、透明性よりも気体遮蔽性を優先する場合には、成
膜速度など条件の検討によって生産効率を上げることが
できれば、1μm以下の膜厚範囲までは適用することが
できる。
【0090】また、これらの薄膜層の上に形成する非晶
質炭素膜層の膜厚としては、無機酸化物薄膜層または金
属薄膜層の欠陥部を覆って気体遮蔽性を向上させるのに
十分な1nm以上、1μm以下の範囲であるのが好まし
い。非晶質炭素膜層の膜厚は検討の結果、無機酸化物薄
膜層または金属薄膜層の上に形成する場合には、1nm
以上になると膜面内の均一性が高くなり、欠陥のない緻
密な薄膜形成が可能であった。非晶質炭素膜層の成膜時
間を考慮すると、1μm以下の厚さであれば生産効率を
考慮して好ましく適用することができる。
【0091】上述の説明において、気体遮蔽層の厚みの
範囲としては、厚い方では主に生産効率の観点で決定し
ており、薄い方では気体遮蔽性の向上で決定している。
一例として、図10に実施の形態1の構成と従来例の構
成について、無機酸化物薄膜の気体遮蔽層とその上に非
晶質炭素膜層を形成した気体遮蔽層の効果を比較した。
【0092】無機酸化物薄膜層だけでは酸素透過度は厚
み10nmでほぼ飽和している。これは、無機酸化物薄
膜層の均質性が低く欠陥等が存在するためであり、厚み
を増しても10nm以上では大きな改善が見られない。
それに対して、本発明の構成として、無機酸化物薄膜層
の上に非晶質炭素膜層を形成すると無機酸化物薄膜層が
薄い場合でも大きな改善が見られる。
【0093】これは、非晶質炭素膜層の均質性と緻密性
によって、非晶質炭素膜層の気体遮蔽性と共に、非晶質
炭素膜層が下部の無機酸化物薄膜層の欠陥を補修する効
果が合わさっているためと考えられる。なお、本発明の
構成では、無機酸化物薄膜層が10nmより厚くなる
と、気体透過率計の測定範囲以下の0.1ml/m2・24
hr以下となっている。おそらく、さらに酸素透過度は低
減して気体遮蔽性は向上しているものと考えられる。
【0094】さらに、非晶質炭素膜を化学気相成長させ
る場合には下地層に対する被覆性が高いため、無機酸化
物薄膜層または金属薄膜層の膜厚に対して非晶質炭素膜
層の膜厚が10分の1から2倍の範囲であるのが十分な
効果が得られる。
【0095】特に、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層
の膜厚が100nm以下の時にこの非晶質炭素膜層の膜
厚範囲が有効である。すなわち、非晶質炭素膜層は10
0nm以下の膜厚においても欠陥のない均質で緻密な膜
を形成することができるために、薄い膜であっても下地
の薄膜層のクラック、ピンホールなどの欠陥を覆って気
体遮蔽性を向上させることができる性質を有する。
【0096】無機酸化物薄膜層または金属薄膜層の膜厚
が10nmの時に非晶質炭素膜層の膜厚が1nmであれ
ば、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層だけの気体遮蔽
性より向上したことと、無機酸化物薄膜層または金属薄
膜層の膜厚が100nmの時に非晶質炭素膜層が200
nmであれば無機酸化物薄膜層または金属薄膜層の成膜
効率と変わることない効率で成膜できたことより、上記
の非晶質炭素膜層の好ましい膜厚範囲を得た。なお、無
機酸化物薄膜層または金属薄膜層の膜厚が100nmよ
り厚い場合には、上記の範囲で好ましい効果が得られる
が、この範囲に限らず作業性と気体遮蔽性を考えて非晶
質炭素膜層の厚さを決定することができた。
【0097】また、本発明の実施の形態1に述べた無機
酸化物薄膜層または金属薄膜層と非晶質炭素膜層とを交
互に積層する構成の場合には、無機酸化物薄膜層または
金属薄膜層の折れ曲げなどに対する機械的な耐性を高め
るために非晶質炭素膜層の可撓性を活かすことができ
る。構成の例を図11に示す。
【0098】すなわち、可撓性のある非晶質炭素膜層で
サンドイッチ状に構成することによって層間の材料も含
めて可撓性を付与することができる。このとき、非晶質
炭素膜の間に配置される層は膜厚が厚すぎると改善効果
が低い。そのため、無機酸化物薄膜層または金属薄膜層
の厚みが10nm以上100nm以下の範囲であり、非
晶質炭素膜層の厚みも10nm以上100nm以下の範
囲であるときに、機械的強度を改善して可撓性を付与で
きると共に、生産効率の高い成膜条件で作製することが
できるという効果が得られる。
【0099】本発明の気体遮蔽性フィルムに用いるヒー
トシール層を構成する樹脂としては、熱接合性樹脂フィ
ルムが使用できる。例えば、低密度ポリエチレン、高密
度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン
系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化
ビニル共重合体、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン
11、ナイロン12などのポリアミドなどのシートを好
ましく用いることができる。
【0100】本発明の気体遮蔽性フィルムに用いる接着
層としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等を主成分とするホットメルト系
接着剤や、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ
系のドライラミネート接着剤などの一般的な接着剤を用
いてフィルム同士を接合することができる。
【0101】次に、本発明の真空断熱体について説明す
る。
【0102】本発明の気体遮蔽性フィルムを用いて作製
する真空断熱体は、製袋した気体遮蔽性フィルムを真空
封止容器として用いて、その中に低密度芯材を真空封止
したものである。
【0103】この低密度芯材としては、平均密度1kg/
m3以上、600kg/m3以下の範囲であるものを好ましく
用いることができる。この密度範囲は、真空断熱体の熱
伝導率の成分のうち芯材の固体熱伝導成分を低くするた
めに適した範囲である。すなわち、平均密度が1kg/m3
未満では固体熱伝導成分は非常に小さくなるが、真空封
止した際に芯材の機械強度が低いためつぶれてしまって
真空断熱体を形成できなくなってしまう。平均密度が6
00kg/m3より大きい場合では、固体熱伝導成分が大き
くなり真空排気して気体熱伝導成分を低減する効果がな
くなってしまう。
【0104】さらに、低密度芯材が、平均空隙距離1n
m以上、500μm以下、好ましくは100μm以下の
範囲である発泡体、繊維体、多孔体、または粉粒体の少
なくとも何れかであるのが好ましい。真空断熱体は、真
空排気によって内部の圧力が低減し、気体分子の平均自
由行程が長くなることによって、その圧力において気体
分子の障壁である低密度芯材が形成する空隙内で気体分
子の衝突を生じさせないことで気体熱伝導成分を低減す
るものである。したがって、低密度芯材が形成する空隙
距離が小さければ小さいほど、真空断熱体を減圧にする
真空度を低く、すなわちあまり真空にしなくても低い熱
伝導率を達成することができる。実質的には比較的真空
排気が容易にできる0.001Torrから10Tor
rの真空度で高いに熱伝導率を得るには平均空隙距離1
nm以上、500μm以下、好ましくは油回転真空ポン
プで容易に到達できる0.01Torrでは100μm
以下の平均空隙距離の低密度芯材を選ぶのが効果があ
る。
【0105】例えば、発泡体としては気泡が連続につな
がった連通構造であるポリウレタンフォーム、ポリスチ
レンフォーム、ポリプロピレンフォームなどの樹脂フォ
ームを用いることができる。これらの密度は1kg/m3
ら100kg/m3程度の範囲、平均気泡径は1μmから5
00μm程度の範囲が一般的である。繊維体としては平
均繊維径が10μm以下のグラスファイバー、セラミッ
クファイバー、ポリエステル繊維、フェノール樹脂繊維
などの無機化合物、有機化合物の各種繊維を用いること
ができる。これらの密度は1kg/m3から600kg/m3
度の範囲、平均繊維径は0.1μmから10μm程度の
範囲が一般的である。多孔体としてはシリカゲル、ゼオ
ライト、シラスバルーンなどの天然、人工の無機多孔体
や、各種素材の樹脂に多孔形成した樹脂多孔体などを用
いることができる。これらの多孔体は、一般には粉粒体
の形状で用いるのが行い易い。また、粉粒体としては、
酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機
粉末や、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂などの樹脂粉末や、炭素粉末などを用いるこ
とができる。これらで粉体形状の芯材を構成する場合に
は、粒径としては1nmから数mmまでの粉粒体を利用
して、粉体形状の芯材の密度は50kg/m3から600kg
/m3程度の範囲、平均空隙距離は0.1μmから300
μm程度の範囲が一般的である。これら芯材を単独また
は2種以上を併用して用いても良い。
【0106】なお、低密度芯材の取扱上、低密度芯材が
成形体でなく、粉や粒状の場合には、これらを製袋した
不織布などの内部の真空排気が可能なものの中に入れた
後に気体遮蔽性フィルムからなる容器に真空封止するの
が適している。
【0107】本発明における真空断熱体の真空封止容器
内の真空度としては、上述の低密度芯材を用いることに
よって0.001Torrから10Torrの低い真空
度においても十分な真空断熱性能を発揮することができ
る。
【0108】このことは前述のように低密度芯材による
平均空隙距離が小さいために、低い真空度においても減
圧時の気体の平均自由工程がこの平均空隙距離よりも長
くなるために得られる効果である。
【0109】これによって真空断熱体の形成時に高真空
度までの排気が不要であるという生産上の効果があると
ともに、長期にわたる真空保持が容易になるという効果
が得られる。
【0110】さらに、本発明の真空断熱体を長期に真空
保持するために、真空封止容器内に外部から漏洩してく
る空気成分を捕捉するための一般的な吸着剤やゲッタ剤
を加えて低密度芯材を真空封止するのも効果がある。
【0111】本発明で得られる真空断熱体は、室温での
熱伝導率が0.001W/mKから0.010W/mK
の低い値を示し、断熱箱体を形成することによって優れ
た断熱性能が得られるという効果が得られた。
【0112】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例に基づいて
本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これらの実
施例に限定されるものではない。
【0113】(実施例1)表面に100nm厚のアルミ
ニウム蒸着された厚さ25μmのポリエチレンテレフタ
レートフィルムの原反を実施の形態6の装置に取り付け
て、走行速度60m/分で非晶質炭素膜を形成した。周
波数13.56MHz、電力200Wの高周波によって
メタンガスをプラズマ形成した。さらに、フィルム上の
アルミニウム蒸着薄膜層に−150Vの負電圧印加して
フィルム上に50nmの非晶質炭素膜を形成して気体遮
蔽性フィルムを作製した。
【0114】作製した非晶質炭素膜はX線回折法にて非
晶質であることを確認した。また、ラマン分光法による
評価によってダイヤモンド状の結合が多い硬質炭素膜で
あることを確認した。
【0115】(実施例2)表面に100nm厚の酸化ケ
イ素薄膜層が形成された厚さ25μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムの原反を実施の形態7の装置に取
り付けて、走行速度60m/分で非晶質炭素膜を形成し
た。周波数13.56MHz、電力200Wの高周波に
よってメタンガスをプラズマ形成してフィルム上に50
nmの非晶質炭素膜を形成して気体遮蔽性フィルムを作
製した。
【0116】(実施例3)表面に200nm厚の酸化錫
・酸化インジウム複合薄膜層が形成された厚さ25μm
のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた他は実
施例1と同様に非晶質炭素膜を形成した気体遮蔽性フィ
ルムを作製した。
【0117】(比較例1)表面に100nm厚のアルミ
ニウム蒸着された厚さ25μmのポリエチレンテレフタ
レートフィルムを気体遮蔽性フィルムとした。
【0118】(比較例2)表面に100nm厚の酸化ケ
イ素薄膜層が形成された厚さ25μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムを気体遮蔽性フィルムとした。
【0119】(比較例3)表面に100nm厚の酸化ケ
イ素薄膜層が形成された厚さ25μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルムに、エチレン−ビニルアルコール
共重合体を3μmコーティングして気体遮蔽性フィルム
を作製した。
【0120】
【表1】
【0121】(表1)に、実施例1から3の気体遮蔽性フ
ィルム、および比較例1から3の気体遮蔽性フィルムの
酸素透過度、および水蒸気透過度の測定結果を示す。な
お、酸素透過度は23℃の値、水蒸気透過度は40℃、
相対湿度90%の値である。
【0122】表1に示すように、比較例に対して、本発
明の実施例の構成によって気体遮蔽性フィルムの気体遮
蔽性が向上している。
【0123】(実施例4)実施例1で作製した気体遮蔽
性フィルム2枚をポリウレタン接着剤を用いて張り合わ
せて、さらに高密度ポリエチレンフィルムのヒートシー
ル層を接着して複合化した気体遮蔽性フィルムを作製し
た。この気体遮蔽性フィルムの気体透過度の測定結果
は、酸素透過度および水蒸気透過度ともに、それぞれ気
体透過測定装置の測定限界である0.1ml/m2・24hr
以下および0.1g/m2・24hr以下であり、優れた気
体遮蔽性を示した。
【0124】(実施例5)実施の形態7の装置中にフィ
ルム上にプラズマCVD(プラズマ化学気相成長)によ
る酸化ケイ素成膜部をプラズマCVD非晶質炭素膜成膜
部より手前に配置した装置を用いた。この装置に厚さ2
5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの原反を
取り付けて、走行速度60m/分で酸化ケイ素膜層と非
晶質炭素膜層を形成した。一回の走行によって酸化ケイ
素膜が20nm厚さ形成し、その上に非晶質炭素膜が1
0nm厚さ形成した気体遮蔽性フィルムを形成すること
ができた。このフィルムをさらに装置に取り付けて合計
3回の成膜を行い、交互積層の気体遮蔽層を有する気体
遮蔽性フィルムを作製した。この気体遮蔽性フィルムの
気体透過度の測定結果は、酸素透過度および水蒸気透過
度ともに、それぞれ気体透過測定装置の測定限界である
0.1ml/m2・24hr以下および0.1g/m2・24hr
以下であり、優れた気体遮蔽性を示した。
【0125】(実施例6)実施例1で作製した気体遮蔽
性フィルムにポリプロピレンフィルムのヒートシール層
を接着して作製した気体遮蔽性フィルムを製袋して、か
さ密度50kg/m3、平均繊維径5μmの酸化ケイ素系繊
維体を入れて、真空度0.01Torrで真空封止して
真空断熱パネルを作製した。
【0126】この真空断熱パネルの平均温度24℃にお
ける熱伝導率は作製直後に0.004W/mKであり、
作製6ヶ月後では0.0045W/mKであって熱伝導
率の変化は少なかった。
【0127】比較として比較例3で作製した気体遮蔽性
フィルムを用いて同様に真空断熱パネルを作製した。こ
の真空断熱パネルの場合には、熱伝導率は作製直後に
0.004W/mKであり同じ値を示したが、作製6ヶ
月後では0.006W/mKであって熱伝導率が高くな
り性能が低下していた。
【0128】(実施例7)実施例4で作製した気体遮蔽
性フィルムを製袋して、不織布袋に入れて形を保持した
かさ密度150kg/m3、平均粒径約10μmの酸化ケイ
素粉体を入れて、真空度0.01Torrで真空封止し
て真空断熱パネルを作製した。
【0129】この真空断熱パネルの平均温度24℃にお
ける熱伝導率は作製直後に0.006W/mKであり、
作製6ヶ月後では0.006W/mKであって熱伝導率
の変化がなく、優れた断熱性能とその長期保持性能が確
認された。
【0130】(実施例8)実施例6で作製した真空断熱
パネルを用いて、化粧鋼板とアクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合樹脂シートで構成された断熱壁の
中に、真空断熱パネルを被覆面積率50%で断熱壁の化
粧鋼板に張り付け、シクロペンタン発泡ウレタンフォー
ムを充填して、この真空断熱パネルとウレタンフォーム
の厚み比率を1対2で断熱箱体を形成した。
【0131】この断熱箱体の断熱性能は、真空断熱パネ
ルを挿入しないウレタンフォームだけの場合に対して約
1.6倍の断熱性能を示し、優れた特性が得られた。こ
の断熱箱体に冷凍システムを装備した冷凍冷蔵庫を作製
したところ、省エネルギー効果として約8%が得られ
た。
【0132】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、食品の
長期保存や真空断熱パネルの真空保持などの用途に十分
な高い気体遮蔽性を有するフィルムを提供することがで
きる。
【0133】また、可撓性に優れ、かつ折曲や揉みなど
の機械的外力が作用しても亀裂や剥離が生じにくくて気
体遮蔽性の低下を抑制できるなどの信頼性の高い気体遮
蔽性フィルムを提供することができる。
【0134】さらに、使用したのちの焼却処理において
多くの残渣や塩酸などの発生のない廃棄時の影響のない
気体遮蔽性フィルムを提供することができる。
【0135】また、本発明の気体遮蔽性フィルムを用い
ることによって、長期の断熱性能を保持することができ
る真空断熱体を提供することができる。
【0136】さらに、この真空断熱パネルを使用して断
熱箱体を構成することによって、省エネルギーに効果の
ある冷凍冷蔵庫などの機器を提供できる。
【0137】以上のように、本発明の気体遮蔽性フィル
ムおよびそれを用いた真空断熱体、断熱箱体は工業的に
価値が大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における気体遮蔽性フィ
ルムの断面図
【図2】本発明に関わる従来例の気体遮蔽性フィルムの
断面図
【図3】本発明に関わる他の従来例の気体遮蔽性フィル
ムの断面図
【図4】本発明の実施の形態2における気体遮蔽性フィ
ルムの断面図
【図5】本発明の実施の形態3における気体遮蔽性フィ
ルムの断面図
【図6】本発明の実施の形態4における真空断熱体の断
面図
【図7】本発明の実施の形態5における断熱箱体の壁材
の断面図
【図8】本発明の実施の形態6における気体遮蔽性フィ
ルムの製造方法に関する装置概略図
【図9】本発明の実施の形態7における気体遮蔽性フィ
ルムの製造方法に関する装置概略図
【図10】本発明の実施の形態1の気体遮蔽性フィルム
構成および図2に記載の従来例の構成における酸素透過
度の無機酸化物薄膜層の厚み依存の測定図
【図11】本発明の実施の形態1における気体遮蔽性フ
ィルムの他の構成の断面図
【符号の説明】
1 樹脂フィルム 2 無機酸化物薄膜層または金属薄膜層 3 非晶質炭素膜層 4 樹脂コーティング 5 ヒートシール層 10 接着層 11 気体遮蔽性フィルム 21 製袋された気体遮蔽性フィルム 22 低密度芯材 23 真空断熱体 24 断熱箱体の壁材の一側面 25 断熱箱体の壁材の他の一側面 26 壁材内に充填された発泡樹脂 31 押出しロール 32 巻取りロール 33 主ロール 34 気体遮蔽性フィルム 35 非晶質炭素膜の成膜部 39 導入管 40 真空容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F25D 23/06 F25D 23/06 X Fターム(参考) 3E067 AA11 AB01 BB11A BB14A BB17A BB21A BB25A CA18 EA32 FC01 GA13 GA14 3H036 AA08 AB23 AB24 AB25 AB26 AB33 AC06 3L102 JA01 MB15 MB30 4F100 AA17B AB01B AB10 AD11C AK01A AK01D AK42 AR00E BA03 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10C BA10D BA13 DD32 DE01E DG06E DJ01E EH662 EJ592 EJ612 GB07 GB48 GB66 GB90 JA12C JA15E JD02 JG01B JJ02 JK06 JK14 JK17 JL00 JL12D JM02B YY00B YY00C YY00E 4K030 AA10 BA27 BB05 CA07 CA12 FA04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂フィルムの少なくとも一方の面に無
    機酸化物薄膜層または金属薄膜層が形成されてなり、さ
    らに記前無機酸化物薄膜層または前記金属薄膜層の上に
    非晶質炭素膜層が形成されてなることを特徴とする気体
    遮蔽性フィルム。
  2. 【請求項2】 前記無機酸化物薄膜層または前記金属薄
    膜層の膜厚が10nm以上、500nm以下の範囲であ
    ることを特徴とする請求項1記載の気体遮蔽性フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 前記非晶質炭素膜層の膜厚が1nm以
    上、1μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1
    または2記載の気体遮蔽性フィルム。
  4. 【請求項4】 前記無機酸化物薄膜層または前記金属薄
    膜層の膜厚に対して、前記非晶質炭素膜層の膜厚が10
    分の1から2倍の範囲であることを特徴とする請求項1
    から3いずれかに記載の気体遮蔽性フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1から4いずれかに記載の気体遮
    蔽性フィルムを複数枚接着して複合化したことを特徴と
    する気体遮蔽性フィルム。
  6. 【請求項6】 少なくとも一方の面にヒートシール層を
    設けたことを特徴とする請求項1から5いずれかに記載
    の気体遮蔽性フィルム。
  7. 【請求項7】 少なくとも一方の面に無機酸化物薄膜層
    または金属薄膜層が形成されてなる樹脂フィルムを一方
    向に走行させながら非晶質炭素膜を真空中で気相成膜さ
    せてなることを特徴とする気体遮蔽性フィルムの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 少なくとも一方の面に導電性無機酸化物
    薄膜層または金属薄膜層が形成されてなる樹脂フィルム
    を一方向に走行させながら非晶質炭素膜を化学気相成長
    させる気体遮蔽性フィルムの製造方法であって、原料ガ
    スの導入管に高周波印加してプラズマ形成し、前記導電
    性無機酸化物薄膜層または前記金属薄膜層に負電圧印加
    することによって前記非晶質炭素膜を形成させてなるこ
    とを特徴とする気体遮蔽性フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも一方の面に無機酸化物薄膜層
    または金属薄膜層が形成されてなる樹脂フィルムを一方
    向に走行させながら非晶質炭素膜を化学気相成長させる
    気体遮蔽性フィルムの製造方法であって、前記樹脂フィ
    ルムを走行させるロールのうち前記非晶質炭素膜を形成
    させる主ロールと、前記主ロールと対向した電極との間
    に高周波印加することによってプラズマ形成させること
    によって前記非晶質炭素膜を形成させてなることを特徴
    とする気体遮蔽性フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から6いずれかに記載の気体
    遮蔽性フィルムを真空封止用容器として用い、前記真空
    封止用容器中に平均密度1kg/m3以上、600kg/m3
    下である低密度芯材を真空封止してなることを特徴とす
    る真空断熱体。
  11. 【請求項11】 低密度芯材が平均空隙距離1nm以
    上、100μm以下の範囲である発泡体、繊維体、多孔
    体、または粉粒体の少なくともいずれかを含むことを特
    徴とする請求項10記載の真空断熱体。
  12. 【請求項12】 請求項10あるいは11記載の真空断
    熱体を断熱壁の壁材内部に備えてなることを特徴とする
    断熱箱体。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の断熱箱体を用いて構
    成されることを特徴とする冷凍冷蔵庫。
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