JP4478223B2 - 酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法 - Google Patents

酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法に関し、更に詳しくは、透明性、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性等に優れ、更に、その表面の濡れ性が向上して印刷適性あるいはラミネ−ト適性等に優れ、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品の包装材料として有用な酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用素材が開発され、提案されている。
それらの中で、近年、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性素材として、プラスチック基材の表面に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、その他等の無機酸化物を使用し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、その無機酸化物の蒸着膜を形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目されている。
而して、その酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性を向上させるために、例えば、プラスチック基材の表面に、予め、コロナ放電処理、グロ−放電処理等の前処理を施すことにより表面を粗面化したり、あるいは、予め、ウレタン系、エステル系等の蒸着用アンカ−コ−ト剤をコ−ティングしてアンカ−コ−ト剤層を形成して、プラスチック基材と蒸着膜との密着性を改善することによりバリア性を向上させる方法、あるいは、酸化ケイ素の蒸着膜面に過酸化水素をコ−ティングしてバリア性を向上させる方法等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような透明ガスバリア性フィルムにおいて、無機酸化物の蒸着膜だけで酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性を、2cc、あるいは、2g以下等の高度のハイバリア性に保持することは技術的に極めて困難なことである。
また、上記のような透明ガスバリア性フィルムにおいて、酸化ケイ素の蒸着膜の場合、フィルムの色が褐色を帯びており、透明性が不十分であるという問題点がある。
更に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜からなる透明ガスバリア性フィルムの場合、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成するには、原料であるアルミニウムを電子ビ−ム等を用いて加熱蒸発させ、かつ、酸素ガスを供給して酸化させながら、プラスチック基材の上に蒸着を行う反応性蒸着で形成するものであることから、透明性とガスバリア性等に優れた透明ガスバリア性フィルムを製造するための蒸着条件を見つけることが極めて困難なことである。
例えば、原料であるアルミニウムを加熱蒸発させながら、酸素ガスを供給して酸化させる際に、酸素ガスの供給量が多くなると、アルミニウムと反応しない酸素ガスが、蒸着膜中に存在し、該蒸着膜中に、酸素ガスの空間を形成し、その結果、高度のハイバリア性を有する透明ガスバリア性フィルムを製造することは極めて困難である。
また、上記において、例えば、透明性を向上させるために、蒸着時のアルミニウムの酸化度を上げると、ガスバリア性、特に、水蒸気バリア性が著しく低下してしまうという問題点がある。
また、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜からなる透明ガスバリア性フィルムにおいては、伸びに対して弱いために、例えば、印刷、ラミネ−ト加工、製袋等の後加工において、蒸着膜にクラック等が発生してガスバリア性が著しく劣化し、もはや、その用に適さず、いわゆる、後加工適正に劣るという問題点もある。
次に、上記のプラスチック基材の表面に、予め、前処理を行う方法、あるいは、上記のプラスチック基材の表面に、予め、アンカ−コ−ト剤層を形成する方法、更に、上記の酸化ケイ素の蒸着膜面に過酸化水素をコ−ティングしてバリア性を向上させる方法等においては、それによる効果は、それなりに期待し得るものであるが、未だ、十分に満足し得るハイバリア性を有する透明ガスバリア性フィルムを製造することは困難であるというのが実状であり、更に、付言すれば、そのような操作を行うこと自体、その製造工程が増えることからその製造コストが高くなるという問題点がある。
そこで本発明は、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、更に、その表面の濡れ性が向上して印刷、ラミネ−ト加工、製袋等の後加工適性に優れ、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品の包装用材料として有用な透明ガスバリア性フィルムを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、透明なプラスチックフィルムの上に、物理気相成長法(PVD法)を用いて、アルミニウムの酸化度を抑えて、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表される低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、次に、該蒸着膜形成直後の低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に、インラインで、酸素ガス、あるいは、酸素/アルゴンの混合ガスを使用してプラズマ処理を施して、該低酸化アルミニウムの蒸着膜に活性酸素原子を供給し、該低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて該低酸化アルミニウムの蒸着膜を高酸化アルミニウムの蒸着膜に変質させ、これにより、緻密な高酸化アルミニウムの蒸着膜からなる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造し、而して、該酸化アルミニウム蒸着フィルムをガスバリア−性素材として使用して包装材料を構成し、更に、これを使用して包装用容器を構成して種々の内容物を充填包装したところ、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、更に、その表面の濡れ性が向上して印刷、ラミネ−ト加工、製袋等の後加工適性に優れ、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品の包装用材料として有用な透明ガスバリア性フィルムを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、透明なプラスチックフィルムの上に、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表されるアルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜を設け、更に、該低酸化アルミニウムの蒸着膜面に、酸素ガス、または、酸素とアルゴンとの混合ガスを使用したプラズマ処理を施して酸素原子を供給し、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて高酸化アルミニウムの蒸着膜を設けることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルムに関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの構成、および、その製造法について、その一例を例示して図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図であり、図3、図4および図5は、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法についてその各製造工程の構成を示す概略的断面図であり、図6は、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法におけるプラズマ処理法についてその概略を示す巻き取り式真空蒸着機の構成を示す概略的構成図であり、図7は、本発明において、好ましくないプラズマ処理法についてその概略を示す巻き取り式真空蒸着機の構成を示す概略的構成図である。
【0007】
まず、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルム1は、図1および図2に示すように、透明なプラスチックフィルム2の上に、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表されるアルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜3を設け、更に、矢印Pで示すように、該低酸化アルミニウムの蒸着膜3面に、酸素ガス、または、酸素とアルゴンとの混合ガスを使用したプラズマ処理を施して、該低酸化アルミニウムの蒸着膜に活性な酸素原子を供給し、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜3を構成するアルミニウムの酸化度を高めて高酸化アルミニウムの蒸着膜4を設けた構成からなるものである。
更に、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムとしては、図2に示すように、上記で高酸化アルミニウムの蒸着膜4を設けた後、更に、該高酸化アルミニウムの蒸着膜4を、高湿度下で加熱処理することにより、該高酸化アルミニウムの蒸着膜4面に水酸化アルミニウム5を形成し、該水酸化アルミニウム5含む高酸化アルミニウムの蒸着膜6を設けた構成からなる酸化アルミニウム蒸着フィルム1aを挙げることができる。
【0008】
次に、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法について、その一例を例示して説明すると、本発明においては、図3に示すように、まず、透明なプラスチックフィルム2の上に、物理気相成長法(PVD法)を用いて、原料であるアルミニウム(金属)、あるいは、酸化アルミニウムを加熱蒸発させつつ、酸素ガスを、その供給量を少なくして供給しながら真空蒸着して、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表されるアルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜3を形成する。
上記で形成される低酸化アルミニウムの蒸着膜3は、その膜中には、余分な酸素原子はなく、アルミニウム(金属)が多い状態で蒸着膜が構成され、その膜の色は、やや黒味を帯びた状態のものである。
【0009】
次に、本発明においては、図4に示すように、上記で低酸化アルミニウムの蒸着膜3を形成した後、該蒸着膜形成直後で、未だ活性な状態にある低酸化アルミニウムの蒸着膜3の表面に、インラインで、酸素ガス、または、酸素とアルゴンとの混合ガスを使用してプラズマ処理を施して、該低酸化アルミニウムの蒸着膜3に、活性な、反応性に富む酸素原子を供給し、而して、活性な、反応性に富む酸素原子は、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜3中に吸収ないし吸着されて、該低酸化アルミニウムの蒸着膜3を構成するアルミニウムと反応して酸化アルミニウムを構成し、その結果、低酸化アルミニウムの蒸着膜3を構成するアルミニウムの酸化度を高めて該低酸化アルミニウムの蒸着膜3を高酸化アルミニウムの蒸着膜4に変質させ、これにより、緻密な高酸化アルミニウムの蒸着膜4からなる本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルム1を製造する。
上記において、プラズマ処理により発生する酸素ガスは、活性化されて、極めて反応性の高いものであり、これが、低酸化アルミニウムの蒸着膜に作用し、該低酸化アルミニウムの蒸着膜中のアルミニウムと反応して酸化アルミニウムに変質し、結果的に、低酸化アルミニウムの蒸着膜が高酸化アルミニウムの蒸着膜に変質し、緻密な、透明な本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造可能とするものである。
なお、本発明においては、図示しないが、上記のようにプラズマ処理により発生する酸素ガスが、低酸化アルミニウムの蒸着膜に作用し、該低酸化アルミニウムの蒸着膜中のアルミニウムと反応して酸化アルミニウムを形成するだけではなく、更に、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に存在するアルミニウム以外の他の物質とも反応して、上記の高酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に、更に、薄い他の酸化被膜を形成し、而して、該酸化被膜が、高酸化アルミニウムの蒸着膜の保護層としての役割をはたすものである。
【0010】
次に、本発明においては、図5に示すように、上記で高酸化アルミニウムの蒸着膜4を形成した後、該高酸化アルミニウムの蒸着膜4を、更に、高湿度下で加熱処理して、水酸化アルミニウム5を含む高酸化アルミニウムの蒸着膜6を形成して、別の形態からなる本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルム1aを製造することができる。
上記において、高湿度下で加熱処理することにより、高酸化アルミニウムの蒸着膜4中に、更に、余分に存在するアルミニウムが水分等と反応して水酸化アルミニウム5を形成し、更にその透明性等を高めるものであると推定される。
以上の説明で明らかなように、本発明は、まず、アルミニウムの酸化度を抑えて、余分な酸素が存在しない低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、しかる後、該低酸化アルミニウムの蒸着膜にプラズマ処理、および、高湿度下での加熱処理という2段階処理により、低酸化アルミニウムの蒸着膜中に存在するアルミニウムを酸化、あるいは、水酸化等の処理を経て、透明な、緻密な膜からなる透明ガスバリア−性フィルムを製造するものである。
上記の例示は、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムについて、あるいは、その製造法について、その一例を例示したものであり、本発明は、これによって限定されるものでないことは言うまでもないことである。
【0011】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルム、あるいは、その製造法において使用する材料、その製造法等について説明すると、まず、本発明において、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを構成する透明なプラスチックフィルムとしては、無色透明な各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トあるいはポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
この樹脂のフィルムないしシ−トは、単層、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したもの、または、二軸方向に延伸されているもの等を使用することができ、更に、その厚さとしては、バリア−性フィルムの製造時の安定性等から、約10〜100μm位、好ましくは、20〜50μm位が望ましい。
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、必要ならば、その表面に、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、その他等の表面活性処理を任意に施すことができる。
また、本発明においては、蒸着膜との強固を密着強度を達成するために、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アミン系、その他等のアンカ−コ−ト剤層を透明なプラスチックフィルムの上に、インライン、あるいは、オフラインで形成することもできる。
更に、本発明においては、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含有する樹脂のフィルムないしシ−ト等も使用することができる。
【0012】
次に、本発明において、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを構成する低酸化アルミニウムの蒸着膜としては、一般式AlOX (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数を表す。)で表されるアルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜が好ましいものである。
上記において、Xの値としては、Xが、0.3、更に、0.7未満であると、透明性が不十分であり、また、Xの値が、1.3、更に、1.5を越えると、透明性は良好であるが、ガスバリア−性、特に、水蒸気バリア−性が不十分であり、かつ、膜自体が固くなり、耐屈曲性にも劣ることから、本発明において、Xの値としては、好ましいのは、0.8〜1.2の範囲であることが望ましいものである。
また、本発明において、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚としては、50〜500Å位、より好ましくは、100〜400Å位が望ましく、而して、上記において、500Å、更には、400Åより厚くなると、その膜の可撓性が低下し、耐屈曲性に劣り、膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、50Å未満、更には、100Å未満であると、そのバリア性等の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
而して、本発明において、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜は、具体的には、例えば、アルミニウム等の金属、あるいは、酸化アルミニウム等の金属酸化物等を使用し、酸素ガス等を供給しながらもその供給量を少なくして、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(物理気相成長法、Physical Vapor Deposition法、PVD法)によって、アルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成することができる。
また、上記において、蒸着原料の加熱方式としては、例えば、エレクトロンビ−ム(EB)方式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等を用いられる。
【0013】
次に、本発明において、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを構成するプラズマ処理について説明すると、かかるプラズマ処理は、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行なうプラズマ表面処理法等を利用してプラズマ処理を行うことができる。
すなわは、本発明においては、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスをプラズマガスとして使用する方法でプラズマ処理を行うことができるものである。
而して、本発明において、低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に、プラズマ処理を行うに際しては、プラズマ放電処理の際に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用してプラズマ処理を行なうことが好ましく、このようなプラズマ処理により、より低い電圧でプラズマ処理を行なうことが可能であり、これにより、低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面の変色等もなく、良好にプラズマ処理を行うことができる。
【0014】
ところで、本発明において、上記のプラズマ処理としては、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用してプラズマ処理を行うことが最も望ましく、また、そのプラズマ処理は、透明なプラスチックフィルムの表面に低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に行うことが望ましいものである。
すなわち、本発明においては、透明なプラスチックフィルムの表面に低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、その直後にプラズマ処理を行うことにより、蒸着直後の化学的に活性な低酸化アルミニウムの蒸着膜とプラズマ中で活性化された酸素分子が化学反応を起こすことによって、該低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムと活性な酸素原子とが反応して酸化アルミニウムを構成し、その結果、低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて該低酸化アルミニウムの蒸着膜を高酸化アルミニウムの蒸着膜に変質させ、これにより、緻密な高酸化アルミニウムの蒸着膜からなる本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造することが可能なものである。
【0015】
ちなみに、本発明において、上記のプラズマ処理法について図面を用いて説明すると、図6は、巻き取り式真空蒸着機を使用してプラズマ処理を行う構成を示す概略的構成図であり、本発明においては、図6に示すように、巻き取り式真空蒸着装置21の真空チャンバ−22の中で、巻き出しロ−ル23から繰り出す透明なプラスチックフィルム24は、ガイドロ−ル25、26を介して、冷却したコ−ティングドラム27に案内され、ここで、るつぼ28で蒸着源29として熱せられたアルミニウム(金属)、あるいは、酸化アルミニウムを蒸発させ、その際に、酸素吹き出し口30より酸素ガス等を、その供給量を少なくして噴出させながら、冷却したコ−ティングドラム27上の透明なプラスチックフィルム24の表面に、マスク31、31を介して低酸化アルミニウムの蒸着膜を成膜化し、次いで、該低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した透明なプラスチックフィルム24を、ガイドロ−ル25´、26´を介して、巻き取りロ−ル32に巻き取る際に、ガイドロ−ル26´の直前に、プラズマ発生口33を配置し、而して、低酸化アルミニウムの蒸着膜形成直後の低酸化アルミニウムの蒸着膜面に、上記のプラズマ発生口33から酸素ガスプラズマ、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスプラズマを発生させてプラズマ処理を行い、該低酸化アルミニウムの蒸着膜に活性な、反応性に富む酸素原子を供給し、而して、活性な、反応性に富む酸素原子は、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜中に吸収ないし吸着されて、該低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムと反応して酸化アルミニウムを構成し、その結果、低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて該低酸化アルミニウムの蒸着膜を高酸化アルミニウムの蒸着膜に変質させ、これにより、緻密な高酸化アルミニウムの蒸着膜からなる本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造することができるものである。
【0016】
なお、本発明においては、図7の巻き取り式真空蒸着機を使用してプラズマ処理を行う構成を示す概略的構成図であるが、図7に示すように、、前述の低酸化アルミニウムの蒸着膜にプラズマ処理を行う際に、ガイドロ−ル26´の直前に、プラズマ発生口33を配置する代わりに、ガイドロ−ル26´とガイドロ−ル25´との間にプラズマ発生口33を配置し、ガイドロ−ル26´を通った低酸化アルミニウムの蒸着膜面に、上記のプラズマ発生口33から酸素ガスプラズマ、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスプラズマを発生させてプラズマ処理を行っても、上記のガイドロ−ル26´を通った低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面の反応性は、乏しくなり、良好なプラズマ処理を行うことができないものである。
なお、図7において、符号、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32は、前述の図6に示す符号と同じ意味である。
【0017】
ところで、本発明において、上記のプラズマ処理において、プラズマを発生させる方法としては、例えば、直流グロ−放電、高周波(Audio Frequency:AF、Radio Frequency:RF)放電、マイクロ波放電等の3通りの装置を利用して行うことができる。
而して、本発明においては、13.56MHzの高周波(AF)放電装置を利用して行うことができる。
【0018】
次にまた、本発明において、上記のプラズマ処理としては、プラズマ処理条件が極めて重要であり、その条件によって得られる効果は、全く異なる。
而して、本発明において、プラズマ処理と化学反応に影響する要因としては、プラズマ出力、ガスの種類、ガスの供給量、および、処理時間等を挙げることができる。
本発明において、プラズマ処理としては、具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましく、そして、その酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスのガス圧としては、1×10-1〜10-10 Torr位、より好ましくは、1×10-4〜1×10-8Torr位が望ましく、また、酸素ガスとアルゴンガスとの比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が望ましく、更に、そのプラズマ出力としては、100〜2500W位、より好ましくは、500〜1500W位が望ましく、更にまた、その処理速度としては、100〜600m/min位、より好ましくは、250〜500m/min位が望ましい。
上記の酸素ガスとアルゴンガスとの分圧比において、アルゴンガス分圧が高くなると、プラズマで活性化される酸素原子が少なくなり、アルゴンガスが還元性ガスとして酸化アルミニウムと反応し、低酸化アルミニウムの蒸着膜中のアルミニウムとの反応が阻害されることから好ましくないものである。
また、上記のプラズマ出力が、100W未満、更には、500W未満の場合には、酸素ガスの活性化が低下し、高活性の酸素原子が生成しにくいことから好ましくなく、また、1500Wを越えると、更には、2500Wを越えると、プラズマ出力が高すぎるので、プラスチック基材の劣化によりそのものの物性が低下するという問題を引き起こすことから好ましくないものである。
更に、上記の処理速度が、100m/min未満、更には、250m/min未満であると、低酸化アルミニウムの蒸着膜に対する酸素プラズマ量が少なく、また、600m/minを越えると、更には、500m/minを越えると、低酸化アルミニウムの蒸着膜の酸化が急速に進み、透明性は高くなるが、酸化アルミニウム膜が多孔質状になり、バリア性が低下して好ましくないものである。
【0019】
次に、本発明において、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを構成する高湿度下における加熱処理について説明すると、かかる高湿度下における加熱処理としては、湿度が、60〜100%の範囲位、好ましくは、70〜90%の範囲位で、温度が、30〜80℃の範囲位、好ましくは、40〜60℃の範囲位で、所望の処理時間、高湿度下で加熱処理するものである。
上記において、処理時間としては、透明なプラスチックフィルムの種類、その耐熱性等の物性、更には、要求するガスバリア−性等の条件によって決められるものであるが、通常、12〜72時間の範囲位、好ましくは、24〜48時間の範囲位が望ましい。
【0020】
上記のように、本発明は、透明なプラスチックフィルムの上に、物理気相成長法(PVD法)を用いて、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表されるアルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、次に、該蒸着膜形成直後の低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に、インラインで、酸素ガス、または、酸素とアルゴンとの混合ガスを使用してプラズマ処理を施して酸素原子を供給し、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて高酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造するものであり、更には、上記のように、高酸化アルミニウムの蒸着膜を、更に、高湿度下で加熱処理して、水酸化アルミニウムを含む高酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して、酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造するものである。
而して、本発明において、高酸化アルミニウムの蒸着膜の形成、あるいは、水酸化アルミニウムを含む高酸化アルミニウムの蒸着膜の形成等は、プラズマ処理、あるいは、高湿度下における加熱処理後の酸化アルミニウムの蒸着膜を、英国、VGサイエンティフィック社製のX線光電子分光分析測定機(機種名、XPS)を使用し、蒸着面の元素分析を行うこと等により確認することができたものである。
具体的には、X線源として、MgKα1.2、X線出力として15Kv、20mAの測定条件で表面〜100ÅのXPS分析を行い、而して、酸素原子の結合状態は、酸素ピ−クの波形分離を行い、アルミニウム原子に直結した酸素原子と水酸基を分離して存在比を測定して確認することができるものである。
【0021】
以上の説明で明らかなように、本発明は、アルミニウムの酸化度を抑えて、低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、その蒸着膜形成直後の低酸化アルミニウムの蒸着膜面に酸素ガスを含むプラズマガスでプラズマ処理を行うことにより、蒸着直後の化学的に活性状態にある低酸化アルミニウムの蒸着膜とグロ−放電により活性化された酸素原子とが反応し、該低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムを酸化し、これにより、低酸化アルミニウムの蒸着膜を高酸化アルミニウムの蒸着膜に変質させるものであり、結果的に、緻密な膜を構成し、透明性に優れ、かつ、酸素ガス等に対するバリア性、特に、水蒸気に対するバリア性に優れたハイバリア性の酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造することができるものである。
而して、本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムは、蒸着時にアルミニウムの酸化度を抑えることにより、膜厚が薄くても良好なガスバリア−性を得ることができ、しかも、得られるフィルムの膜厚が薄いことから、耐屈曲性にも優れているものである。
また、本発明においては、プラズマ処理後、高酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に、薄い酸化被膜が形成され、これが該高酸化アルミニウムの蒸着膜の保護層としての役割を果たすことから、酸化アルミニウム蒸着フィルムが、ガイドロ−ル等に接触することにより、マイクロクラック等の発生を抑制することができるものである。
また、本発明においては、不活性なアルゴンガスを含むプラズマガスでプラズマ処理を行うことにより、蒸着プロセスにおいて、透明なプラスチックフィルムの帯電によるコ−ティングドラムやガイドロ−ルへの巻き付けが抑制され、ひいては、透明なプラスチックフィルムの皺の発生が抑制され、これにより、酸化アルミニウムの蒸着膜にクラック等の発生がなくなり、ガスバリア性の劣化防止につながるものである。
更に、本発明においては、プラズマ処理、および、高湿度下での加熱処理等により、酸化アルミニウムの蒸着膜表面に、水酸基(−OH基)が形成されることから、例えば、その表面に樹脂のフィルム等をラミネ−トするときに、その濡れ性が向上することが認められ、ラミネ−ト適性(強度)、更には,印刷適性等に優れ、後加工適性に富む酸化アルミニウム蒸着複合フィルムを製造可能とするものである。
また、本発明においては、高湿度下での加熱処理等により、高酸化アルミニウムの蒸着膜表面の酸化アルミニウムが水分子と反応することにより透明性が向上するものである。
更に、本発明においては、蒸着膜形成のインラインでプラズマ処理を行うことができることから、酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造コストを著しく低減することが可能であり、他の方法とコスト面において極めてすぐれているものである。
【0022】
上記のようにして製造した本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、例えば、ラミネ−トして種々の積層体を製造し、種々の物品を充填包装する適した包装材料を製造可能とするものである。
上記の樹脂のフィルムとしては、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
また、上記において、紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
また、上記にといて、金属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用することができる。
【0023】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0024】
次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層体を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層体を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0025】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0026】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア−性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているものである。
【0027】
【実施例】
実施例1
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを基材とし、その片面に、アルミニウム(金属)を蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム加熱方式による真空蒸着法により、式AlOX で表される酸化アルミニウムの蒸着膜を、膜厚200Åで、Xの値が1.0〜1.2の範囲で形成し、次いで、その蒸着直後の酸化アルミニウムの蒸着膜に、グロ−放電プラズマ発生装置を用いて、プラズマ出力1500W、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=19:1、混合ガス圧6×10-5Torr、処理速度420m/minで酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスプラズマ処理を行った。
更に、上記で得たフィルムを40℃、90%RHで24時間保存して、高湿度下で加熱処理した本発明にかかる透明ガスバリア−性フィルムを製造した。
【0028】
実施例2
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを基材とし、その片面に、アルミニウム(金属)を蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム加熱方式による真空蒸着法により、式AlOX で表される酸化アルミニウムの蒸着膜を、膜厚200Åで、Xの値が1.0〜1.2の範囲で形成し、次いで、その蒸着直後の酸化アルミニウムの蒸着膜に、グロ−放電プラズマ発生装置を用いて、プラズマ出力1500W、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=19:1、混合ガス圧6×10-5Torr、処理速度420m/minで酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスプラズマ処理を行った。
更に、上記で得たフィルムを40℃、90%RHで72時間保存して、高湿度下で加熱処理した本発明にかかる透明ガスバリア−性フィルムを製造した。
【0029】
比較例1
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを基材とし、その片面に、アルミニウム(金属)を蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム加熱方式による真空蒸着法により、式AlOX で表される酸化アルミニウムの蒸着膜を、膜厚200Åで、Xの値が1.0〜1.2の範囲で形成して、ガスバリア−性フィルムを製造した。
【0030】
比較例2
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを基材とし、その片面に、アルミニウム(金属)を蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム加熱方式による真空蒸着法により、式AlOX で表される酸化アルミニウムの蒸着膜を、膜厚200Åで、Xの値が1.0〜1.2の範囲で形成し、次いで、その蒸着直後の酸化アルミニウムの蒸着膜に、グロ−放電プラズマ発生装置を用いて、プラズマ出力1500W、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=19:1、混合ガス圧6×10-5Torr、処理速度420m/minで酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスプラズマ処理を行って、ガスバリア−性フィルムを製造した。
【0031】
比較例3
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを基材とし、その片面に、アルミニウム(金属)を蒸着源に用いてエレクトロンビ−ム加熱方式による真空蒸着法により、式AlOX で表される酸化アルミニウムの蒸着膜を、膜厚200Åで、Xの値が1.0〜1.2の範囲で形成し、次いで、40℃、90%RHで24時間保存して、高湿度下で加熱処理したガスバリア−性フィルムを製造した。
【0032】
実験例
上記の実施例1〜2、および、比較例1〜3で製造した各ガスバリア−性フィルムを使用し、次に示す評価項目について試験を行い、そのデ−タを測定した。
(1).酸素透過度の測定
温度25℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕を使用して測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
温度37.8℃、湿度100%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕を使用して測定した。
(3).透明性の測定
全光線透過率をJIS K−7613の方法を用いて測定した。
(4).ラミネ−ト強度の測定
上記で製造した各ガスバリア−性フィルムを使用し、まず、その蒸着膜面に、厚さ25μmのポリプロピレンフィルムを重ね合わせ、その両者を2液硬化型のポリウレタン系接着剤を用いて、塗工量4g/m2 (dry)でドライラミネ−トし、しかる後、24時間エ−ジング処理して、積層体を製造し、その積層体についてラミネ−ト強度を測定した。
その測定法は、上記の積層体を15mm幅短冊状に切ったサンプルを低速引張試験機により、引張速度300mm/min、180度剥離にてラミネート強度測定を行った。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004478223
【0034】
上記の結果より明らかなように、実施例1〜2のものは、比較例1〜3のものと比較して、ガスバリア−性フィルムとして、実用に耐えるものであり、優れているものであった。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、透明なプラスチックフィルムの上に、物理気相成長法(PVD法)を用いて、アルミニウムの酸化度を抑えて、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表される低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、次に、該蒸着膜形成直後の低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に、インラインで、酸素ガス、あるいは、酸素/アルゴンの混合ガスを使用してプラズマ処理を施して、該低酸化アルミニウムの蒸着膜に活性酸素原子を供給し、該低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて該低酸化アルミニウムの蒸着膜を高酸化アルミニウムの蒸着膜に変質させ、これにより、緻密な高酸化アルミニウムの蒸着膜からなる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造し得ることができ、而して、該酸化アルミニウム蒸着フィルムをガスバリア−性素材として使用して包装材料を構成し、更に、これを使用して包装用容器を構成して種々の内容物を充填包装して、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性を有し、かつ、透明性に優れ、更に、その表面の濡れ性が向上して印刷、ラミネ−ト加工、製袋等の後加工適性に優れ、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、その他等の種々の物品の包装用材料として有用な透明ガスバリア性フィルムを製造し得るものであるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムについてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法についてその各製造工程の構成を示す概略的断面図である。
【図4】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法についてその各製造工程の構成を示す概略的断面図である。
【図5】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法についてその各製造工程の構成を示す概略的断面図である。
【図6】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法におけるプラズマ処理法についてその概略を示す巻き取り式真空蒸着機の構成を示す概略的構成図である。
【図7】本発明において、好ましくないプラズマ処理法についてその概略を示す巻き取り式真空蒸着機の構成を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
1 酸化アルミニウム蒸着フィルム
1a 酸化アルミニウム蒸着フィルム
2 透明なプラスチックフィルム
3 低酸化アルミニウムの蒸着膜
P 矢印
4 高酸化アルミニウムの蒸着膜
5 水酸化アルミニウム
6 水酸化アルミニウム5含む高酸化アルミニウムの蒸着膜
21 巻き取り式真空蒸着装置
22 真空チャンバ−
23 巻き出しロ−ル
24 プラスチック基材
25 ガイドロ−ル
25´ ガイドロ−ル
26 ガイドロ−ル
26´ ガイドロ−ル
27 コ−ティングドラム
28 るつぼ
29 蒸着源
30 酸素吹き出し口
31 マスク
32 巻き取りロ−ル
33 プラズマ発生口

Claims (4)

  1. 透明なプラスチックフィルムの上に、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表されるアルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜を設け、更に、該低酸化アルミニウムの蒸着膜面に、酸素ガス、または、酸素とアルゴンとの混合ガスを使用したプラズマ処理を施して酸素原子を供給し、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて高酸化アルミニウムの蒸着膜を設け、更に、該高酸化アルミニウムの蒸着膜を、高湿度下で加熱処理して、水酸化アルミニウムを含む高酸化アルミニウムの蒸着膜を設けてなることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルム。
  2. 低酸化アルミニウムの蒸着膜が、厚さ50〜500Åであることを特徴とする上記の請求項1に記載する酸化アルミニウム蒸着フィルム。
  3. 透明なプラスチックフィルムの上に、物理気相成長法(PVD法)を用いて、一般式AlOx (ただし、式中、Xは、0.3〜1.5の数である。)で表されるアルミニウムの酸化度を抑えた低酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、次に、該蒸着膜形成直後の低酸化アルミニウムの蒸着膜の表面に、インラインで、酸素ガス、または、酸素とアルゴンとの混合ガスを使用してプラズマ処理を施して酸素原子を供給し、上記の低酸化アルミニウムの蒸着膜を構成するアルミニウムの酸化度を高めて高酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、しかる後、該高酸化アルミニウムの蒸着膜を、高湿度下で加熱処理して、水酸化アルミニウムを含む高酸化アルミニウムの蒸着膜を形成することを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法。
  4. 低酸化アルミニウムの蒸着膜が、厚さ50〜500Åであることを特徴とする上記の請求項に記載する酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法。
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