JP2004011709A - 真空断熱材及び真空断熱材の製造方法 - Google Patents

真空断熱材及び真空断熱材の製造方法 Download PDF

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小林 俊夫
Takayuki Satouchi
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Abstract

【課題】無機繊維材料をバインダーを使用せず成形して芯材とし、芯材を乾燥させる時間と手間を抑制しするとともに、水分吸着剤の使用を可能な限り省き、低価格で、しかも総合的に環境負荷が少ない真空断熱材を提供する。
【解決手段】芯材を脱水試験という指標で評価することで、水分の吸湿量が少ないまたは乾燥が早い芯材を使用でき、乾燥工程の負荷を低減し、水分吸着剤の使用量も減らすことができる。また、無機繊維同士を水を利用して結着成形させることにより、高い断熱性能で環境に優しいクリーンな真空断熱材を製造できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は真空断熱材及び真空断熱材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、真空断熱材の芯材に繊維材料を使用する場合には、バインダー等によって繊維材を成形して用いるのが一般的である。
【0003】
たとえば、特開昭63−187084号公報に開示されたものでは、バインダーを使用して成形体に平滑な表面を与えるとともに、個々の繊維を然るべく合着状態に保持することにより、繊維が包囲体を穿孔して飛び出す、或いは包囲体の縁辺シールに浸入する可能性を減じ、真空断熱材の保全性を向上させている。
【0004】
また、特開平7−167376号公報により開示されたものは、平均繊維径が2μm以下の無機繊維にpH値が5以下の酸性水溶液を付着させ、繊維材料からの溶出成分により繊維同士を結着させて、長時間に渡って真空劣化がない真空断熱材を提供している。
【0005】
これらの他にも、断熱性能を高くするために平均繊維径を細くし、繊維を保持して芯材に成形性を持たせるためにバインダーを使用する真空断熱材は数多く示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、繊維材料を芯材とする真空断熱材には、一般にバインダーが使用されているが、従来から使用されているバインダーは水分を吸湿しやすいものである。ところが、こうして芯材に含まれる水分は、真空断熱材の断熱性能維持に悪影響を与え、製造時の真空排気においては排気効率を低下させる原因となる。そのため、保管には湿度管理をする必要があるとともに、芯材を外被材に挿入する前には芯材を乾燥炉により水分を充分蒸発させる時間と手間が掛かる上、その後芯材が吸湿しないうちに短時間で外被材に挿入するなど、細心の注意を払う必要がある。
【0007】
また、真空断熱材作製後も、芯材から少しずつ発生してくるガス中の水分を吸着させるため、水分吸着剤を所定量使用しなければならない。
【0008】
本発明は従来の課題を解決するもので、芯材中の水分特性における指標を見出すことで、芯材を乾燥させる時間と手間を削減するとともに、水分吸着剤の使用を可能な限り省き、更にはバインダーを使用せず芯材に成形性を持たせるようにした真空断熱材を提供することを目的とする。
【0009】
また、平均繊維径が2μm以下の細い無機繊維を製造するには、太い無機繊維の製造に比較して大量のエネルギーを必要とし、エネルギーコストがかかるために真空断熱材の価格が高くなるという問題があった。
【0010】
また、繊維を製造する際に大量のエネルギーを消費することとともに、繊維材を成形するためのバインダーの使用及び酸性水溶液の使用についても、環境に負荷をかけることになり、総合的な環境問題や省エネルギー化に貢献できないという欠点があった。
【0011】
本発明の他の目的は、無機繊維を製造する際のエネルギーコストを抑制し、真空断熱材の製造工程での環境改善に貢献することにより、低価格で、しかも総合的に環境に負荷をかけることが少ない真空断熱材を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芯材と、外被材とを備え、前記芯材は無機繊維を成形したもので脱水試験において1000分後の重量変化率が2%以下、望ましくは1%以下であるものであり、水分の吸湿量が少ない、または乾燥が早い芯材を使用することにより、乾燥工程の負荷を低減し、水分吸着剤の使用量も減らすという作用を有する。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、芯材は無機繊維に水を付着させて成形したものであり、加熱圧縮により水が付着した無機繊維同士を接触させたまま水を蒸発させて結着成形させることで、芯材にバインダーが含まれないため成形後の水分の吸湿量が少なく、乾燥が早いという作用を有する。更に、芯材のガラス繊維をリサイクルする場合には、バインダーを除去する必要がない。
【0014】
更に、芯材を平均繊維径が2μmを超える無機繊維を伝熱方向に対して略垂直に配向するように積層し、密度を100kg/m以上400kg/m以下としたものであり、安価に製造できる無機繊維材料を使用し、芯材内の繊維の接触熱抵抗を増大して熱伝導率を低くするとともに、繊維間の空隙径を減少させ、芯材の剛性を増すという作用を有する。
【0015】
更に、芯材は遠心法により製造した無機繊維からなることから、製造時のエネルギー使用量が少なく、コストも低い無機繊維を使用した真空断熱材を製造することができる。
【0016】
また、本発明は、平均繊維径が2μmを超える無機繊維を集綿積層した集綿積層体の表面に水をほぼ均一に噴霧する水塗布工程と、前記集綿積層体を圧縮して水を集綿積層体内に浸透させる浸透工程と、前記集綿積層体を加熱圧縮する圧縮工程とを有したもので、前記集綿積層体を圧縮することにより集綿積層体内部まで水を浸透させることで芯材を成形しやすくし、更には成形した芯材の無機繊維が伝熱方向に対して略垂直に配向するようにするという作用を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による真空断熱材及びその製造方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による真空断熱材の断面図である。図1において、1は真空断熱材であり、2の芯材と3の外被材及び4の吸着剤とから構成されている。芯材2は、所定量のグラスウールを集綿積層し、その表面に水を噴霧して浸透させたのち加熱圧縮成形したものである。以下、芯材2の成形方法について詳細に説明する。
【0019】
遠心法にて製造した平均繊維径が約4μm〜6μmのグラスウールの原綿を、所定の大きさに切断して所定量集綿積層する。集綿積層した集綿積層体に、pH値が6以上8以下の中性付近のイオン交換水を前記集綿積層体の表面にほぼ均一に付着するよう噴霧した。噴霧量は前記集綿積層体の重量に対して1.5倍〜2.0倍とした。
【0020】
イオン交換水を噴霧した集綿積層体を常温下で圧縮して集綿積層体内部に水を拡散浸透させ、380℃に加熱した金属製の冶具内にこの拡散浸透させた積層体を戴置して金属製の押さえ板を上から置き、加熱プレスにて高温圧縮して10分間以上保持して乾燥させ、厚さ10mmの成形体を作製した。
【0021】
得られた芯材2は、圧縮を繰り返すことでガラス繊維が伝熱方向に対して垂直に配向され、積層方向に対して裂けにくくなり、信頼性が高いものとなる。
【0022】
なお、水は完全に集綿積層体内部に拡散浸透していなくとも、加熱時の蒸気で結着させることが可能であり、この場合は表面層より内側層の結着が少なくなることで、固体熱伝導の低減や真空引き時間の短縮というメリットも得られる。
【0023】
次に、外被材3の構成について説明する。
【0024】
外被材3は2枚のラミネートフィルムからなり、芯材を挿入する直前は三方シールにて製袋した状態である。その内の1枚はガスバリア層としてアルミ箔を有し、最外層に設けているナイロン樹脂の厚みを増加させたラミネートフィルムで、構成は特に限定されるものではないが、これは最外層の耐突き刺し性や耐ピンホール性に優れた樹脂を適用した結果で、更に最内層には熱溶着性のよい樹脂を適用している。
【0025】
上記特性を満足すれば特に材料を限定するものではないが、本発明の実施の形態1では、最外層に厚さ15μmのナイロン樹脂、その内層に更に厚さ25μmのナイロン樹脂、中間層には厚さ6μmのアルミ箔、最内層には厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いている。
【0026】
もう1枚はガスバリア層として蒸着層を有するラミネートフィルムである。最外層にフィルムの可とう性や滑り性を備えた樹脂を適用し、その内層には耐突き刺し性や耐ピンホール性に優れた樹脂を適用し、中間層にはガスバリア性の優れた樹脂の上に金属薄膜を蒸着したものを使用し、最内層に熱溶着性のよい樹脂を適用している。
【0027】
上記特性を満足すれば特に材料を限定するものではないが、本発明の実施の形態1では、最外層に厚さ25μmのナイロン樹脂、その内層に厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂、中間層には厚さ12μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂の表面に厚さ500Åのアルミ蒸着を施したものを適用し、最内層には厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いている。
【0028】
なお、吸着剤4には、HO,CO,N,Oを吸着除去することができる、サエスゲッターズ社製のCOMBO3を用いた。吸着剤4としては使用環境等に応じて吸着除去すべき気体物質が異なるため、それぞれの状況に応じた選定をすればよい。
【0029】
以上のような構成からなる真空断熱材1の製造方法について説明する。
【0030】
まず、前述の方法で作製した厚さ10mmの成形体を、縦180mm×横180mmに切断して芯材2とする。切断した芯材2は、150℃の乾燥炉で約60分乾燥して成形後も残留していた水分を除去する。
【0031】
乾燥炉から乾燥した芯材2を取り出して、あらかじめ芯材2に形成した凹部に吸着剤4をすばやく収納し、吸着剤4を収納した芯材2を外被材3内に挿入して真空チャンバ内に載置する。真空チャンバ内を1.33Pa以下の真空度となるように減圧排気したのち、そのまま真空チャンバ内で外被材3の開口を熱溶着により密閉する。できあがったものを真空チャンバから取り出し、真空断熱材1を得た。
【0032】
このようにして得た真空断熱材1の熱伝導率は、栄弘精機(株)製Auto−Λ073を用い、平均温度24℃で測定した結果、0.0020W/mKであった。また、10年間に相当する経時信頼性試験においても、熱伝導率の値は0.0025W/mKとなり、劣化はわずかであった。
【0033】
また、芯材2の密度は、真空断熱材1の状態で重量及び体積を測定し、その後、真空断熱材1の外被材3を開封して外被材3と吸着剤4の重量及び体積を測定し、真空断熱材1の値から差し引くことにより求めた。
【0034】
以上より求めた本実施の形態1による芯材2の密度は250kg/mであった。
【0035】
上記同様に作製し、熱伝導率の値も同じ真空断熱材1の外被材3を開封し、中の吸着剤4を取り除いた芯材2を取り出し、以下の脱水試験を行った。
【0036】
まず、芯材2を、温度40℃、相対湿度90%の雰囲気下に7500分間以上曝し、水分を吸湿させた上で重量Wを測る。吸湿した芯材2を、温度20℃、相対湿度50%、風速0.1m/s以下の雰囲気下に静置して所定時間毎に重量Wを測り、重量変化率を(数1)により算出して脱水特性を導き出した。
【0037】
【数1】
Figure 2004011709
【0038】
本実施の形態1における芯材2の脱水特性は、1000時間後の重量変化率が1%であった。これより、水を付着させて成形した芯材2は、水分をほとんど吸湿してないといえる。
【0039】
理由としては、芯材2の成形に水を使用たため、吸湿しやすいバインダーがないためと考えられる。
【0040】
これにより、真空断熱材1を製造する上での芯材2を乾燥炉で乾燥する時間も短くでき、直後の外被材3への挿入時も水分を吸湿せずに済む。更に、真空断熱材作製後にバインダーから発生する水分もほとんどなく、わずかな吸着剤4の使用量で芯材2中に残った微量の水分を除去できる。よって、熱伝導率の値も低くなったと考えられる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態1は、バインダーを使用せず芯材に成形性を持たせることができ、更には脱水試験という芯材中の水分特性における指標を見出すことで、芯材を乾燥させる時間と手間を抑制し、また水分吸着剤の使用を可能な限り省けるようにした真空断熱材を提供することができる。
【0042】
以上が本発明の実施の形態1であるが、真空断熱材1に挿入した芯材2が本発明の範囲であれば、材料としては他に特に限定されるものでない。
【0043】
芯材2に使用するガラス繊維は、本発明の実施の形態1では平均繊維径が4μm〜6μmのものを使用したが、4μmよりも細い平均繊維径を用いても性能面では何ら問題なく、同等の熱伝導率を有する真空断熱材1を得ることができる。
【0044】
ただし、ガラス繊維の平均繊維径が細くなるほど遠心法では製造することができなくなり、火炎法での製造によればエネルギー消費量が増えて省エネルギーに貢献することができなくなると同時に、生産コストも上昇する。
【0045】
すなわち、工業的に安価で環境によいものを提供することを考慮すると、ガラス繊維材料は、遠心法で製造できる汎用的な平均繊維径である2μmを超えるものが好ましい。
【0046】
また、6μmよりも太い平均繊維径を用いても性能面では何ら問題なく、同様の熱伝導率を有する真空断熱材1を得ることができる。ただし、ガラス繊維の平均繊維径が太くなるほど外被材3に突き刺しやピンホール等の問題が発生しやすくなるため、10μm以下が好ましい。
【0047】
無機繊維材料については、シリカ等水に溶出する成分を含むものならば特に限定されるものではない。実施の形態1ではグラスウールを用いたが、他には、グラスファイバー、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等が使用可能であるが、取り扱い性やコストを考慮するとやはりグラスウールが適している。
【0048】
集綿積層体に噴霧する水については、本発明の実施の形態1ではイオン交換水を用いているが、特に限定するものではなく、蒸留水、アルカリイオン水、ミネラルウォーター、ろ過浄水、又は水道水でも差し支えない。
【0049】
また、水の特性値として、硬度、総アルカリ度、残留塩素濃度、亜硝酸性、硝酸性、アンモニ性といった塩基性窒素、リン酸、銅、鉄といったイオン濃度等も特に限定するものではない。ただ、断熱性能面では本発明の実施の形態1でのイオン交換水が好ましい。
【0050】
なお、言い換えれば吸水性がなければバインダーを使用しても良く、バインダーの種類や濃度により本条件が達成できれば問題ない。
【0051】
本発明の実施の形態1における芯材2の密度について、本発明ではバインダーを使用せず、水を使用しているため、機械的強度が低下することが考えられることから、密度の値を変えて本発明の実施の形態1と同様の検討を行ったところ、芯材2の密度が100kg/mよりも低くなると、芯材2の形状や吸着剤4を収納するための凹部の形状保持性が悪くなってしまう。
【0052】
また、芯材2の密度が400kg/mよりも高くなると、芯材2の剛性が増すことで真空断熱材1の機械的強度が向上するが、密度の増大によって固体熱伝導が高くなり、真空断熱材1の熱伝導率が悪化してしまい、また製造コストも高くなってしまう。
【0053】
以上のことから、芯材2の密度は100kg/m以上400kg/m以下が良く、好ましくは150kg/m以上280kg/m以下であり、180kg/m以上250kg/m以下が最も好ましい。これにより、熱伝導率がより低く、剛性がある真空断熱材1を得ることができる。
【0054】
また、脱水試験についても、繊維材料、繊維の平均繊維径、バインダー等、特に限定するものではない。
【0055】
また、本発明の実施の形態1では、芯材2を成形する際に水を拡散浸透させる手段として、無機繊維を集綿積層した集綿積層体の表面に水をほぼ均一に噴霧する水塗布工程と、前記集綿積層体を圧縮して水を集綿積層体内に浸透させる浸透工程を設けたが、これらの工程の代わりに、水を張った容器内に集綿積層体を浸して水を浸透させる工程と、水が浸透した集綿積層体を圧縮して集綿積層体内の余分な水を除去する工程としてもよい。
【0056】
更には、繊維材料を集綿する別の方法として、抄造方法を用いて芯材2を成形してもよい。
【0057】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態1と同様の真空断熱材1の仕様及びその製造方法で、乾燥時間のみを約40分としたところ、熱伝導率は0.0021W/mKであり、10年間に相当する経時信頼性試験においても、熱伝導率は0.0026W/mKとなり、劣化はわずかであった。
【0058】
また、上記脱水試験を行ったところ、1000時間後の重量変化率は1%であった。
【0059】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態1と同様の真空断熱材1の仕様及びその製造方法で、密度のみを400kg/mとしたところ、熱伝導率は0.0025W/mKであり、10年間に相当する経時信頼性試験においても、熱伝導率は0.0026W/mKとなり、劣化はわずかであった。
【0060】
また、上記脱水試験を行ったところ、1000時間後の重量変化率は2%であった。
【0061】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態1と同様の真空断熱材1の仕様及びその製造方法で、密度を400kg/m、乾燥時間を約40分としたところ、熱伝導率は0.0025W/mKであり、10年間に相当する経時信頼性試験においても、熱伝導率は0.0031W/mKとなり、劣化はわずかであった。
【0062】
また、上記脱水試験を行ったところ、1000時間後の重量変化率は2%であった。
【0063】
(比較例1)
本発明の実施の形態1と同様の真空断熱材1の仕様及びその製造方法で、平均繊維径が0.7μmのガラス繊維、バインダーとして添加量10%のヘキサメタリン酸ナトリウムを使用し真空断熱材1を製造したところ、熱伝導率は0.0040W/mKであり、10年間に相当する経時信頼性試験においては、熱伝導率は0.0060W/mKとなり、比較的大きな経年劣化が発生した。
【0064】
また、上記脱水試験を同様に行ったところ、1000時間後の重量変化率は5%と大きなものであった。
【0065】
(比較例2)
本発明の実施の形態1と同様の真空断熱材1の仕様及びその製造方法で、平均繊維径が0.7μmのガラス繊維、バインダーとして添加量10%のヘキサメタリン酸ナトリウムを使用し、更に乾燥時間を約40分としたところ、熱伝導率は0.0050W/mKであり、10年間に相当する経時信頼性試験においては、熱伝導率は0.0072W/mKとなり、比較的大きな経年劣化が発生した。
【0066】
また、上記脱水試験を同様に行ったところ、1000時間後の重量変化率は6%と大きなものであった。
【0067】
以上、本発明の実施の形態1〜4及び比較例1〜2で得た結果を(表1)に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004011709
【0069】
表より、重量変化率に着目することで、乾燥条件を改善することができ、初期及び経時熱伝導率が低い真空断熱材1を得ることができる。また、重量変化率は2%でも十分な断熱性能が得られるが、1%ならなお初期及び経時熱伝導率が低いものが得られ、水分吸着剤の使用も削減できる。
【0070】
また、比較例が実施の形態に比べて重量変化率が高いのは、バインダーとして使用した添加量10%のヘキサメタリン酸ナトリウムの化合物が水分を吸湿したために、芯材2の水分量が多くなり、重量変化率が高くなったと考えられる。
【0071】
つまり、本発明の実施の形態と比較して熱伝導率が高いのは、バインダーにより芯材2が水分を多く吸湿したため、本発明の実施の形態と同じ乾燥条件で、同じ水分吸着剤4を使用した場合、芯材2に水分が残ってしまい、その水分の気化による影響が大きいと考えられる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、芯材と、外被材とを備え、前記芯材は無機繊維を成形したもので脱水試験における1000分後の重量変化率が2%以下としたので、水分の吸湿量が少ない、または乾燥が早い芯材を使用することにより、乾燥工程の負荷を低減し、水分吸着剤の使用量も減らし、断熱性能及び生産性の高い真空断熱材を提供することができる。
【0073】
また、本発明は、芯材が無機繊維に水を付着させて成形したものであり、加熱圧縮により水が付着した無機繊維同士を接触させたまま水を蒸発させて結着成形させることで、芯材にバインダーが含まれないため成形後の水分の吸湿量が少なく、乾燥が早く、製造工程とリサイクルのいずれにおいても環境に優しい真空断熱材を提供することができる。
【0074】
更に、芯材を平均繊維径が2μmを超える無機繊維を伝熱方向に対して略垂直に配向するように積層し、密度を100kg/m以上400kg/m以下としたものであり、安価に製造できる無機繊維材料を使用し、芯材内の繊維の接触熱抵抗を増大して熱伝導率を低くするとともに、機械的強度が増した形状安定性のよい真空断熱材を提供することができる。
【0075】
更に、芯材は遠心法により製造した無機繊維からなるもので、製造時のエネルギー使用量が少なく、コストも低い無機繊維を使用した真空断熱材を提供することができる。
【0076】
また、本発明は、平均繊維径が2μmを超える無機繊維を集綿積層した集綿積層体の表面に水をほぼ均一に噴霧する水塗布工程と、前記集綿積層体を圧縮して水を集綿積層体内に浸透させる浸透工程と、前記集綿積層体を加熱圧縮する圧縮工程とを有したもので、前記集綿積層体を圧縮することにより集綿積層体内部まで水を浸透させることで芯材を成形しやすくし、更には成形した芯材の無機繊維が伝熱方向に対して略垂直に配向させる真空断熱材の製造方法により、無機繊維を製造する際のエネルギーコストを抑制し、真空断熱材の製造工程での環境改善に貢献することにより、低価格で、しかも総合的に環境に負荷をかけることが少ない真空断熱材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による真空断熱材の断面図
【符号の説明】
1 真空断熱材
2 芯材
3 外被材

Claims (5)

  1. 芯材と、外被材とを備え、前記芯材は無機繊維を成形したもので脱水試験における1000分後の重量変化率が2%以下、望ましくは1%以下であることを特徴とする真空断熱材。
  2. 芯材は無機繊維に水を付着させて成形したことを特徴とする請求項1記載の真空断熱材。
  3. 芯材は、平均繊維径が2μmを超える無機繊維が伝熱方向に対して略垂直に配向するように積層され、密度が100kg/m以上400kg/m以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の真空断熱材。
  4. 芯材は遠心法により製造した無機繊維からなることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項記載の真空断熱材。
  5. 平均繊維径が2μmを超える無機繊維を集綿積層した集綿積層体の表面に水をほぼ均一に噴霧する水塗布工程と、前記集綿積層体を圧縮して水を集綿積層体内に浸透させる浸透工程と、前記集綿積層体を加熱圧縮する圧縮工程とを有することを特徴とする真空断熱材の製造方法。
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