JP2010060045A - 真空断熱材及びこれを用いた冷蔵庫、並びに真空断熱材の製造方法 - Google Patents

真空断熱材及びこれを用いた冷蔵庫、並びに真空断熱材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】真空断熱材において、断熱性能の高性能化を図り、さらに、断熱性能の経時劣化の抑制を図ること。
【解決手段】無機繊維又は有機繊維の繊維系材料からなり柔軟性をもつ芯材4と、水分又はガス成分を吸収する吸着剤5と、芯材4及び吸着剤5を収納する外被材2と、を有し、外被材2中を真空排気した真空断熱材1において、吸着剤5はガスバリア性をもつ包材6で包まれ、包材6にはその内外間を連通可能とし得る貫通していない切込み7が設けられ、切込み7への外力による破断によって切込み7に開口が形成され、包材6の内部空間が外被材2の内部空間と連通した構造である真空断熱材。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空断熱材及びそれを用いた冷蔵庫、並びに真空断熱材の製造方法に係わり、特に、断熱性能を改善した真空断熱材に関するものである。
近年、冷蔵庫などの家電製品や業務用冷凍庫などの業務用電気製品において、消費電力量の低減のため、発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレンといった従来の断熱材に加え、断熱性能が極めて高い真空断熱材が適用される傾向にある。真空断熱材は冷蔵庫の省エネを推進するためには欠かせないアイテムの一つとなっているが、最近では製品の省エネ競争が激化していることから、断熱材の断熱性能を向上させることが急務となっており、外被材のガスバリア性強化や吸着剤の吸着能力向上等により真空断熱材の性能を向上させた例がいくつか報告されている。
しかしながら、高い吸着性能を持った吸着剤は真空断熱材への適用前の工程でいくらかのガスを吸着してしまい、本来備えている初期性能が劣化してしまうという課題が生じていた。
ここで、吸着剤における吸着性能の低下を抑制するための従来技術として、例えば特許文献1には、外殻容器中に吸着剤を非吸着性ガスと共に収納して密封したものを真空断熱材に配設し、真空排気時に差圧を利用して外殻容器を開口させるものが開示されている。
また、特許文献2においても吸着性能の低下を抑制する技術が開示されていて、特許文献1と同様に差圧を利用して充填容器を開口させ、吸着剤の吸着性能を損なわないようにしている。
特開2007−85510号公報 特開2007−155088号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の真空断熱材では、真空排気時に差圧で外殻容器が開口するようにするため、外殻容器のヒートシール強度を小さくしなければならない。その場合、ヒートシール部からの空気・ガス進入が影響し、吸着剤の初期性能を劣化させてしまうという課題があった。また、ヒートシール強度を大きくしてしまった場合、差圧では外殻容器が開口しない虞があり、断熱性能悪化や不良の原因になることが懸念される。つまり、ヒートシール強度の調整を厳格にしなければならないという課題がある。
また、上記の特許文献2に記載の真空断熱材では、断熱材使用時等において、充填容器に塗布された潤滑材に熱が掛かる等するとガスが発生し、真空度が悪化することによる断熱性能劣化の懸念があった。
本発明は、真空断熱材において、断熱性能の高性能化を図り、さらに、断熱性能の経時劣化の抑制を図ることを目的とするものである。
前記課題を解決するために,本発明は主として次のような構成を採用する。
無機繊維又は有機繊維の繊維系材料からなり柔軟性をもつ芯材と、水分又はガス成分を吸収する吸着剤と、前記芯材及び前記吸着剤を収納する外被材と、を有し、前記外被材中を真空排気した真空断熱材において、前記吸着剤はガスバリア性をもつ包材で包まれ、前記包材にはその内外間を連通可能とし得る切込みが設けられ、外力による前記切込みの破断によって、前記包材の内部空間が前記外被材の内部空間と連通した構造である真空断熱材。
また、無機繊維又は有機繊維の繊維系材料からなり柔軟性をもつ芯材と、水分又はガス成分を吸収する吸着剤と、前記芯材及び前記吸着剤を収納する外被材と、を有し、前記外被材中を真空排気した真空断熱材において、前記吸着剤はガスバリア性をもつ包材で包まれ、前記包材にはその内外間を外力の印加で連通可能とし得る切込みが設けられ、前記切込みのある包材に包まれた吸着材に加えて、他の吸着材が前記外被材に収納されており、前記切込みは、前記外力の印加による前記切込みの破断以前には前記包材の内外間を連通させない非貫通の構造である真空断熱材。
また、無機繊維又は有機繊維の繊維系材料からなり柔軟性をもつ芯材と、水分又はガス成分を吸収する吸着剤と、前記吸着剤を包むガスバリア性の包材と、前記芯材及び前記包材を収納する外被材と、を有する真空断熱材の製造方法において、前記包材にその内外間を貫通しない深さの切込みを設け、前記吸着剤を密閉封止した前記包材を芯材と共に前記外被材中に収納し、前記外被材の内部を真空排気した後に前記外被材の開口部を封止し、前記切込みの位置で前記外被材を曲げ又は絞りによる加工を行うことで前記切込みを破断し前記包材と前記外被材のそれぞれの内部空間を連通させる真空断熱材の製造方法。
本発明によれば、断熱性能に優れた真空断熱材を得ることができる。また、真空断熱材を冷蔵庫等の製品に適用することによって、製品の断熱効果が上がり、消費電力量の低減等による省エネ効果を得ることができる。
本発明の実施形態に係る真空断熱材について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る真空断熱材がL字形状に形成された構造の断面図である。図2は本発明の実施形態に係る真空断熱材が平板形状に形成された構造の断面図である。図3は本実施形態に係る真空断熱材における吸着剤の吸着特性を示す図である。
図1と図2において、1は真空断熱材、2は外被材、2aは外被材の余剰部分、3は内包材、4は芯材、5は吸着剤、6は包材、7は切込み又は破断部(以下、切込みと記す)、をそれぞれ表す。
まず、本実施形態に係る真空断熱材の構造についてその概要を述べると、本実施形態の真空断熱材1は、繊維系材料からなる芯材4と、吸着剤5を収納したガスバリア性をもつ包材6と、芯材4及び包材6を内包する内包材3と、この内包材3を覆う外被材2と、を備えている。ここで、包材6には予め包材6を貫通しない深さの切込み7が設けられており、真空断熱材を製造完了後にはこの切込み7が包材6を貫通しているものである。この切込み7の貫通(包材6の開口)によって、真空断熱材1に残存していたガス成分を吸着剤5で吸着して真空断熱材1の断熱性能を向上させるものである。
次に、本実施形態に係る真空断熱材の製造(形成)手順についてその概要を説明する。図1に示す真空断熱材の構造(L字形状)を形成する場合、まず、芯材4となるガラス繊維材等の無機繊維又は有機樹脂繊維等の繊維系材料を、切込み7を持つガスバリア性の包材6に収納された吸着剤5とともに、内包材3に収納する。そして、芯材4を圧縮しながら、内包材3の周縁部を熱溶着や接着等により封止することで芯材4を圧縮保持する。この処理により、芯材4を外被材2にスムーズに挿入することができ、作業性が向上する。ここで、内包材3を用いなくとも芯材4を外被材2にスムーズに挿入することができる場合には、内包材3を用いる必要は特にない。
続いて、例えば、外被材2の余剰部分2aで矩形形状の芯材4がその4辺を覆われている構成例の場合に、その3辺が熱溶着等で接合された袋状の外被材2へ芯材4を収納する。その後、減圧を効率良く行えるように内包材3の封止部をカットして、外被材2の内部を真空排気し、外被材2の開口部を熱溶着等によって封止することにより、真空断熱材1を得ることができる。
次に、外被材2の封止後において、切込み7の位置にて曲げ、絞り等の加工を行うことで、切込み7の位置を基点に包材6を開口させて、包材6の内部と外被材2の内部が連続した空間になるようにし、真空断熱材1に残ったガス成分を吸着可能にすることで真空断熱材1の断熱性能を向上することができる(図1に示す実施形態2を参照)。
また、図2に示す実施形態1に係る真空断熱材の構造(平板形状)を形成する場合、前述した外被材2の開口部の熱溶着による封止直前において、切込み7の位置にて曲げ、絞り等の加工を行い、包材6を切込み7の位置で破断させ、包材6の内部と外被材2の内部が連続した空間になるようにした後に、真空断熱材1を元の平板形状に戻してから外被材2を封止し、大気圧に開放すれば図2で示す真空断熱材を形成することができる。
さらに、切込み7を破断させて包材6の内外空間を連通させる切込み手法として、真空断熱材を曲げ加工して切込み7を破断させ貫通させる際に、曲げ加工する折り目(図1の例では、直角に曲げられた90度を形成する原点の紙面垂直方向の線)に対して、切込み7における包材の表面方向の切込み方向(切込みにおける吸着剤方向への切込み方向ではなくて)が垂直方向となるように構成してもよい。換言すると、切込み7における包材の表面方向の切込み方向が曲げ加工の折り目の線に対して垂直方向となるように包材6を外被材に挿入して設置する。なお、図1の例では、折り目線と包材表面方向の切込み方向とは平行している。
外被材2における芯材4を含まない部分である外被材の余剰部分2aは、芯材4を含む部分と含まない部分とを境に折り曲げ、テープ、両面テープ、接着剤などで固定してもよい。また、外被材の余剰部分2aは4辺すべてを折り曲げてもよいが(例えば、芯材4が矩形形状であってその4辺に余剰部分2aが形成されている場合)、必要に応じて4辺すべてを折り曲げなくてもよい。例えば、最終封止部のみを折り曲げて固定することも可能である。以上説明した真空断熱材1の形状は特に限定されず、適用される箇所と作業性に応じて各種形状及び厚さのものが適用可能である。
次に、本実施形態に係る真空断熱材における各基材の構成、加工条件等について、以下詳細に説明する。まず、外被材2とは、真空断熱材1の内部を真空状態に保つために芯材を覆うものである。外被材2は外層より、表面保護層、ガスバリア層、熱溶着層により構成される。表面保護層は耐傷付き性、耐衝撃性に対応するためのものであり、ガスバリア層はガスバリア性を確保するためのものであり、熱溶着層は熱溶着によって真空断熱材1の内部を密閉するためのものである。したがって、これらの目的に適うものであれば、全ての公知材料が使用可能である。
外被材2の具体的構成としては、表面保護層としてポリアミド樹脂、ガスバリア層としてアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレート樹脂及びアルミニウムを蒸着したエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、熱溶着層として高密度ポリエチレン樹脂を用いたラミネートフィルムが例として挙げられる。このとき、表面保護層とガスバリア層における互いのアルミニウム蒸着面を貼り合わせると、ガスバリア性がより高くなる。
また、各層を接着するための接着剤としては2液硬化型ウレタン系接着剤が用いられるが、特にこれに限定されるわけではない。例えば、代わりにアクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコン系接着剤等を用いてもよい。そして、この外被材2は熱溶着層同士を貼り合わせた袋として使用される。
また、外被材2をさらに改善・改良する手法として、例えば、表面保護層に金属または無機酸化物を蒸着することで耐衝撃性の他にガスバリア性を付加したり、ガスバリア層に金属蒸着または無機酸化物蒸着を有するフィルムを設けたり、あるいは金属箔を用いてもよい。用いる金属としては、アルミニウムやステンレス等が挙げられ、無機酸化物としては、シリカ蒸着等が挙げられる。
熱溶着層としては、シール性や耐ケミカルアタック性などから高密度ポリエチレン樹脂が好ましいが、この他に、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂などを用いてもよい。
外被材2の残存有機溶剤等の脱ガスを目的として、芯材4の挿入前に外被材2のエージングを施すことは有効である。このときの条件は、各種有機溶剤の除去が可能であるということから、例えば70℃以上で3時間以上の真空乾燥を行うことが望ましい。
次いで、内包材3としては、熱溶着や接着剤等による接着が可能であり、アウトガスが発生しない袋状または容器状のものであればよい。材質は特に限定されるわけではないが、例えば、シール性や耐ケミカルアタック性に優れたポリエチレン樹脂(高密度、中密度、低密度)や、ポリプロピレン樹脂が代表的である。内包材3の厚さは芯材4を圧縮保持できる厚みとすればよく、特に限定されないが、取り扱い性やコストを考えると、20〜50μmとするのが望ましい。内包材3は芯材4の内部を減圧するため、真空排気する直前にカットする。
次いで、芯材4は、ガラス短繊維材等の無機繊維やポリスチレン繊維等の有機繊維といった柔軟性を持つ繊維系材料を適当なサイズ、形状にカットして用いる。ガラス短繊維材としては、平均繊維径が3〜5μmであることが好ましい。ガラス短繊維材は平均繊維径により熱伝導率特性及びコストに大きく影響する。コストが安価である平均繊維径が5μmを超えるグラスウール等は、繊維が同一方向に配列して繊維の接触が線に近くなるために接触熱抵抗が小さくなるので、熱伝導率及び経時劣化が大きく劣る。
一方、平均繊維径が2μm未満では、繊維の接触が小さくなることで接触熱抵抗は大きくなるが、1枚当たりの厚みが薄く断熱性能が劣るため、シート状の無機繊維集合体を重ねて厚みを稼ぐことで熱伝導率と経時劣化を低減しなければならず、生産性が劣ると共にコストも高騰する。
このように、繊維径が5μmを超えると熱伝導率が高くなってしまうため、伝熱方向に不連続で素材間の接触抵抗を有効に活用する繊維材を選定した。また、接触熱抵抗の他に熱流路がジグザグとなり、熱抵抗が増大して熱伝導率が低くなる多くの繊維材の中から、平均繊維径が3〜5μmのガラス短繊維材を選定することにより、熱伝導率や経時劣化の低減、厚み減少率の低減及び低コスト化を両立することが可能である。
ガラス短繊維材及び有機繊維の繊維方向については、真空断熱材の厚み方向に対し水平方向に並んで配列するものが断熱性能の点で好ましい。これは垂直方向の熱伝導を低減するのに有効なためである。
有機繊維としては、ポリスチレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維等の断熱性と加工性を両立できるものであれば何でもよく、特に限定されるものではない。
有機樹脂繊維の繊維径は1〜50μmであることが好ましく、さらには1〜10μmであることが好ましい。これは平均繊維径が50μmより大きくなったとき、繊維の接触面積が大きくなって接触熱抵抗が小さくなるので、熱伝導率が大きく劣ってしまうからである。一方、平均繊維径を1μm未満とすると、繊維の接触が小さくなることで接触熱抵抗は大きくなるが、1枚当たりの厚みが薄くなってしまうため、シート状の有機繊維集合体を重ねて厚みを稼ぐことで熱伝導率を低減しなければならず、生産性が劣ると共にコストも高騰するからである。
芯材4の脱水、脱ガスを目的として、外被材2への挿入前に芯材4を乾燥処理することは有効である。このときの加熱温度は最低限表面に付着した水分の除去が可能であるということから、100℃以上であることが望ましく、特にガラス短繊維材の場合は芯材の含水率を極力減少させるために180℃以上で乾燥するのがより好ましい。このとき、真空乾燥を併用してもよい。
次いで、吸着剤5は、アルミノ・シリケートの含水金属塩を主成分とした親水性合成ゼオライト、揮発性または疎水性の有機系ガスの吸着能力を高めた疎水性合成ゼオライト、ドーソナイト、ハイドロサルタイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、グラファイトナノファイバー等の炭素繊維体等といった、被吸着分子と吸着剤とが物理化学的な親和力で吸着を実現する物理吸着剤や、生石灰をはじめとしたアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の酸化物、金属酸化物等のガス吸着剤やバリウム−リチウム合金等の合金といった吸着性能に優れた化学反応型吸着剤を用いる。公知の吸着剤を単独あるいは併用して適用しても良く、包材6に包まれていない他の吸着剤を併用しても良い。また、形状はペレット、ビーズ、パウダー等、特に限定されるものではない。
化学反応型吸着剤とは、主に化学反応によって被吸着分子と吸着剤とが化学結合することにより吸着を実現する吸着剤を指す。ここで言う化学結合とは、共有結合、イオン結合、金属結合、水素結合等の簡単には解離しない強い結合のことである。化学反応型吸着剤の例として、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等が挙げられる。
これらの吸着剤を用いることで、真空断熱材1において真空排気し切れなかった水蒸気をはじめとするガスを吸着し、さらに真空断熱材1内部の真空度を高めることができ、真空断熱材1を高性能化する。また、芯材4から放出される水蒸気や、外被材2を通して外部より進入するガス及び外被材2自身から発生するガスを吸着し、真空断熱材1の経時劣化を低く抑えることができる。
また、吸着剤5の平均粒度は0.01mm以上1mm以下とするのが好ましい。これは、平均粒度を0.01mm以上とすることで、吸着剤5の取り扱い性を損なわないようにし、さらに1mm以下とすることで、吸着剤が包材や外被材を傷つけることを防止するものであり、真空断熱材の信頼性を向上する。
次いで、包材6は、ガスバリア性の容器状のものを用いる。包材6は吸着剤5を密封できる構造になっていれば形状は特に問わない。また、前記目的に適うものであれば、材質は単独の材料でも複数の材料を層状に結合したものでも良い。好ましくは熱伝導性及び吸湿性の低い材料を用いる。望ましいガスバリア能力の範囲としては、40℃95%RHにおける水蒸気透過度が0.01〜100g/m・dである(JISK7126−1または2)。
上記数値よりも水蒸気透過度が大きいと真空断熱材1を真空排気するまでに包材6内部の吸着剤5が吸湿してしまい吸着性能が劣化してしまう虞がある。また、水蒸気透過度が上記数値より小さくても、吸着剤5の防湿効果に大きな差異は無く、真空断熱材1の高性能化効果への影響は薄いばかりか、ガスバリア能力を付与するためのコスト増大に繋がってしまうため、適切ではない。
包材6の材料構成としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリスチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂等と高密度ポリエチレン樹脂、無延伸ポリプロピレン樹脂等をドライラミネート接着等して積層させた容器が例として挙げられる。または押し出しラミネート等で積層しても良く、接着剤レスになるので、発ガス等の心配がなくなる。各層を接着するための接着剤としては2液硬化型ウレタン系接着剤が用いられるが、特にこれに限定されるわけではない。例えば、代わりにアクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコン系接着剤等を用いてもよい。
包材6にはあらかじめ包材6を貫通しない深さの切込み7を設けておく。切込み7は包材6の両面に設けても良い。切込み7は包材6を貫通していないので、包材6のガスバリア性が失われることが無く、真空パックするまでに吸着剤5の吸着能力が劣化したり失われたりすることがない。そして、真空パック時における外被材2の封止の前または後で切込み7を基点に包材6に外力を加えて包材6を確実に開口させれば、吸着剤5は吸着能力を最大に発揮することが可能である。ここで、包材6に切込み7を設けるとこの部分で包材の肉厚が薄くなるので、包材のガスバリア性を高めるために切込み7を設けた位置に切込みの厚さ分だけ肉厚を増加するように構成してもよい。
吸着剤5を含む包材6の中は真空断熱材1の真空度より減圧されていることが望ましい。具体的な範囲としては、1Pa以下が好ましい。これにより、真空断熱材1の封止後に包材6を開口させた際、差圧によって真空断熱材1の内部から包材6の内部に残存ガスが流入し、吸着効率が増す。包材6の開口部はガスの流入で包材6内部に引き込まれるような形状(テーパー形状)となり、ガス流入時の抵抗が小さくなるため、ガスが包材6内部に流入し易くなる。
包材6の残存有機溶剤等の脱ガス、脱水を目的として、吸着剤5の挿入前に包材6のエージングを施すことは有効である。このときの条件は、各種有機溶剤の除去が可能であるということから、例えば70℃以上で3時間以上の真空乾燥を行うことが望ましい。
図3は本実施形態に係る真空断熱材における吸着剤の吸湿特性図である。25℃、50%RHの温度及び湿度条件において、酸化ストロンチウムの吸湿量は、最初の15分で1.1%、1時間で2.5%であり、合成ゼオライトの場合では、最初の15分で2.9%、1時間で4.8%とかなり大きいことが分かる。このため、通常の雰囲気下での作業工程では、吸着剤の初期吸着の影響で真空断熱材1の断熱性能に大きなばらつきを生じてしまう。
しかし、本実施形態における吸着剤5が初期吸着しないようにガスバリア性の包材6で覆われており、真空パック後に包材6を開口するようにしたために、ばらつきの少ない高性能な真空断熱材1を提供することができる。
吸着剤5を含む包材6は、芯材4と外被材2の間に挿入される。この挿入により、包材6が真空断熱材1の表面に少し浮き出るため(平坦な面を形成している芯材4と外被材2の間に包材6を挿入すると、芯材4が柔軟性をもつ繊維系材料でできているために、包材6の設置位置で芯材4が圧縮されて多少凹むことで、包材6が浮き出る)、外力を加えるべき位置を真空断熱材1の外側から確認することが可能であり、確実に切込み7の位置で曲げ、絞り等の加工を行うことが出来る。
また、吸着剤5は包材6に覆われているので外被材2の表面に突出しないため、吸着剤5の粒によって外被材2を傷つけたり破断したりすることがなく、真空断熱材1の断熱性能に対する信頼性を損なうことがない。また、吸着剤5を含む包材6を芯材4の積層の間に挿入しても平滑性を損なわない程度に真空断熱材1の外側から確認することが可能であるため、差し支えない。また、包材6が設置される部位において、芯材4を包材6の厚さ分(吸着剤5の厚さも含める)薄くすることで真空断熱材1の平滑性を向上してもよい。以上説明したようにして作製される本実施形態の真空断熱材1では、真空断熱材1の断熱性能を大きく向上させることができる。
次に、本発明の実施形態に係る、真空断熱材を適用した冷蔵庫について、その構成と機能乃至作用とを図4を参照しながら概説する。図4は本実施形態に係る、真空断熱材を適用した冷蔵庫の断面図である。
図4において、冷蔵庫21は、内箱22と外箱23の間に真空断熱材1が配設されるとともに発泡断熱材25も充填されており、また、扉24にも発泡断熱材25と真空断熱材1が設けられている(図4の例では5つの真空断熱材1が配設)。ここで、扉24の内部に真空断熱材1を配設し、その周りに発泡断熱材25を充填してもよい。このようにして、本実施形態に係る、真空断熱材1の適用された冷蔵庫21は、真空断熱材1の断熱性能が従来に比べ向上しているため、冷蔵庫21の箱体熱漏洩量が低減するので、省エネ性能が向上する。
また、本発明の実施形態に係る、真空断熱材を適用した断熱容器について概説する。本実施形態に適用された真空断熱材1は、吸着剤5を含有する包材6の一部に包材6を貫通しない深さの切込み7が少なくとも1箇所設けられている。このとき、包材6に含有されない他の吸着剤5aを併用しても良い(図5に示す他の吸着剤5aを参照)。この真空断熱材1を断熱容器の内部に収納して用いることで、高い断熱性能を持った断熱容器を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る断熱容器において真空断熱材1を着脱可能とする構造にすれば、真空断熱材1が劣化してしまっても、断熱容器から真空断熱材1を取り外して、切込み7の位置にて外力を加えて包材6を破断させ、包材6を開口させることで、包材6中の吸着剤5が吸着効果を発揮して真空断熱材1の断熱性能を回復することが可能となる。
次に、本発明の実施形態1に係る真空断熱材について、図2を参照しながら以下説明する。
「実施形態1」
本実施形態1に係る真空断熱材1は、芯材4と、芯材4を覆う内包材3と、吸着剤5と、吸着剤5を覆う包材6と、内包材3を覆い且つガスバリア性フィルムをもつ外被材2と、を備えている。
本実施形態に係る真空断熱材1を作製する手順を説明すると、まず、グローブボックス等の内部をアルゴン等の希ガスで満たして除湿、除活性ガス環境を作り、その場所で吸着剤5を切込み7の設けられた包材6に挿入し、0.01Pa以下に減圧して溶着によって包材6を封止する。次に、包材6を芯材4の表面に置き、これらを内包材3に収納して上下からプレスすることによって圧縮を行い、その状態で内包材3の開口部を熱溶着して封止することで芯材4を圧縮保持する。
続いて、例えば、外被材2の余剰部分2aで矩形形状の芯材4がその4辺を覆われている場合に、その3辺が熱溶着で溶着された袋状の外被材2へ圧縮成形された芯材4を収納した後、内包材3の開口部をカットし、これを真空チャンバ内にセットして1Paまで真空排気による減圧を行い、外被材2の開口部を熱溶着によって封止する。この封止の直前において、包材6における切込み7の位置で真空断熱材1に曲げ等の外力を加えて包材6を開口させ、元の平板形状に戻して外被材を封止し真空断熱材1を作製する。図2に実施形態1で得られる真空断熱材1の構成例を示す。なお、真空断熱材1作製時の温度及び湿度はそれぞれ約25℃、50%RHであり、真空断熱材1の作製に要した作業時間(大気中暴露時間)は約15分であった。
外被材2は表面保護層、ガスバリア層、及び熱溶着層で構成され、それぞれ表面保護層としてポリアミドフィルム(15μm)、ガスバリア層としてアルミニウムを蒸着(厚さ50nm)したポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)及びアルミニウムを蒸着(厚さ50nm)したエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(12μm)、熱溶着層として高密度ポリエチレンフィルム(30μm)とし、各層間が2液硬化型ウレタン系接着剤で接着されたラミネートフィルムを用いた。
内包材3は高密度ポリエチレン樹脂フィルム(厚さ20μm)を、芯材4はガラス短繊維(グラスウール、平均繊維径約4μm)を、吸着剤5は酸化ストロンチウム(純度98.5%、平均粒度約0.45mm、使用量約1g)を用いている。包材6はポリスチレン樹脂(100μm)とポリエチレン樹脂(50μm)を2液硬化型ウレタン系接着剤で積層し、ポリエチレン側同士の周縁部を溶着等して容器状にしたものを用いた。真空断熱材1のサイズは幅400mm、長さ800mm、厚さ10mmである。
次に、本発明の実施形態1を基にした具体的な構成、手順及び実験結果を示す複数の実施例、及び実施例と比較すべき複数の比較例について以下説明する。図7は、本発明の実施形態を基にした実施例、比較例における諸条件と実験結果を取り纏めた図である。
「実施例1」
実施形態1で述べた材料構成、作製方法による真空断熱材1において、外被材2の封止前において、包材6における切込み7の位置で真空断熱材1に曲げ等の外力を加えて包材6を開口させ、元の形状に戻して真空断熱材1を得た。
真空断熱材1の熱伝導率は0.0010W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果は0.0039W/m・Kであった。
「実施例2」
実施例1の真空断熱材1に対し、芯材4としてグラスウール(平均繊維径約4μm)の代わりにGPPS−679(日本ポリスチレン製)をメルトブローン紡糸法で繊維化したポリスチレン繊維(平均繊維径約10μm)を用いた。
真空断熱材1の熱伝導率は0.0020W/m・Kであった。これを55℃で50日間加速試験した結果、0.0041W/m・Kであった。
「実施例3」
実施例1の真空断熱材1に対し、吸着剤5として酸化ストロンチウム(純度98.5%、平均粒度約0.45mm、使用量約1g)の代わりに合成ゼオライト(商品名モレキュラーシーブ、親水性、細孔径約1.3nm、平均粒度1mm、使用量約10g)を用いた。
真空断熱材1の熱伝導率は0.0011W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.0041W/m・Kであった。
「実施例4」
実施例1の真空断熱材1に対し、吸着剤5を包材6に挿入した後に減圧せずに包材6を封止した。
真空断熱材1の熱伝導率は0.0011W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.0040W/m・Kであった。
「実施例5」
実施例1の真空断熱材1に対し、包材6に挿入された吸着剤5に加え、さらに他の吸着剤として包材6で覆われていない吸着剤5aを併用した。吸着剤5aは合成ゼオライト(親水性、細孔径約1.3nm、平均粒度1mm、使用量約10g)を用いた。図5に実施例5の一例を示す。この実施例5では外被材の封止前に切り込み7を破断して包材6を開口し、真空断熱材を元の平坦形状に戻している。
真空断熱材1の熱伝導率は0.0010W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.0038W/m・Kであった。
「実施例6」
実施例1の真空断熱材1に対し、包材6に挿入された吸着剤5に加え、さらに他の吸着剤として包材6で覆われていない吸着剤5aを併用した。吸着剤5aは合成ゼオライト(親水性、細孔径約1.3nm、平均粒度1mm、使用量約10g)を用いた。また、真空断熱材1には外力を加えず、包材6を開口させなかった。ここで、実施例6では、実施例5と異なり、外被材2の封止前に包材6を開口させず、他の吸着材5aでガス又は水蒸気を吸収させている。この真空断熱材1の熱伝導率は0.0013W/m・Kであった。
この後、真空断熱材1において包材6に設けられた切込み7の位置で外力を加え、包材6を開口させた。この開口のタイミングは、任意の時間経過後で良く、他の吸着材5aの吸着機能が劣化した段階でよい。この真空断熱材1の熱伝導率は0.0010W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.0039W/m・Kであった。
「比較例1」
実施形態1で述べた材料構成、作製方法に対し、吸着剤5を包材6で覆わずにそのまま用いて真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の熱伝導率は0.0017W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.0050W/m・Kであった。
「比較例2」
実施形態1で述べた材料構成、作製方法に対し、芯材4としてグラスウール(平均繊維径約4μm)の代わりにGPPS−679(日本ポリスチレン製)をメルトブローン紡糸法で繊維化したポリスチレン繊維(平均繊維径約10μm)を用い、吸着剤5は包材6で覆わずにそのまま用いて真空断熱材1を作製した。
この真空断熱材1の熱伝導率は0.0027W/m・Kであった。これを55℃で50日間加速試験した結果、0.0051W/m・Kであった。
「比較例3」
実施形態1で述べた材料構成、作製方法に対し、真空断熱材1には外力を加えず、包材6を開口させなかった。
この真空断熱材1の熱伝導率は0.0018W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.012W/m・Kであった。
「比較例4」
実施形態1で述べた材料構成、作製方法に対し、吸着剤5として酸化ストロンチウム(純度98.5%、平均粒度約0.45mm、使用量約1g)の代わりに合成ゼオライト(親水性、細孔径約1.3nm、平均粒度2mm、使用量約10g)を用いた。
この真空断熱材1の熱伝導率は0.018W/m・Kであった。真空断熱材1において吸着剤5のある位置を拡大鏡で観察すると、極微小の穴が発見された。
次に、本発明の実施形態2に係る真空断熱材について、図1を参照しながら以下説明する。
「実施形態2」
実施形態1で述べた材料構成、作製方法による真空断熱材1において、外被材2の封止後において、包材6における切込み7の位置で真空断熱材1に曲げによる外力を加えて包材6を開口させ、そのまま立体形状を形成した真空断熱材1を得た。
図1には本発明の実施形態1で得られる真空断熱材1の構成例を示す。なお、真空断熱材1作製時の温度及び湿度はそれぞれ約25℃、50%RHであり、真空断熱材1の作製に要した作業時間(大気中暴露時間)は約15分であった。
材料構成とサイズは実施形態1と同じである。次に、本発明の実施形態2を基にした具体的な構成、手順及び実験結果を示す複数の実施例、及び実施例と比較すべき複数の比較例について以下説明する。
「実施例7」
実施形態2で述べた材料構成、作製方法による真空断熱材1において、外被材2の封止後において、包材6における切込み7の位置で真空断熱材1に曲げによる外力を加えて包材6を開口させ、図1で示すようなL字形状の真空断熱材1を得た。
真空断熱材1の熱伝導率は0.0010W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果は0.0039W/m・Kであった。
「実施例8」
実施例7の真空断熱材1に対し、吸着剤5として酸化ストロンチウム(純度98.5%、平均粒度約0.45mm、使用量約1g)の代わりに合成ゼオライト(親水性、細孔径約1.3nm、平均粒度1mm、使用量約10g)を用いた。真空断熱材1の熱伝導率は0.0011W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.0042W/m・Kであった。
「実施例9」
実施形態2で述べた材料構成、作製方法による真空断熱材1において、外被材2の封止前において、包材6における切込み7の位置で真空断熱材1に曲げ等の外力を加えて包材6を開口させ、元の形状(平板形状)に戻した後、外被材2の封止後において、包材6のない位置で真空断熱材1に曲げによる外力を加えて、図6で示すようなL字形状の真空断熱材1を得た。
真空断熱材1の熱伝導率は0.0010W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果は0.0039W/m・Kであった。
「比較例5」
実施形態2で述べた材料構成、作製方法に対し、吸着剤5を包材6で覆わずにそのまま用いて真空断熱材1を作製した。この真空断熱材1の熱伝導率は0.0018W/m・Kであった。これを70℃で50日間加速試験した結果、0.0052W/m・Kであった。
以上のように、図7に実施例1〜9及び比較例1〜5の結果を取り纏めたものを示すが、本実施形態の種々の実施例によれば、それぞれの比較例に対して高性能な真空断熱材1を得られることが分かる。但し、本実施形態の実施例は真空断熱材の一例であり、上述の製法、形態に限ることはない。このように、本実施形態を採用することによって、断熱性能に優れた真空断熱材を得ることが可能となる。また、これを適用した冷蔵庫等の製品の省エネ性能を向上することができるのである。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る真空断熱材は、次のような構成、並びに機能乃至作用を奏することを特徴とするものである。すなわち、本実施形態に係る真空断熱材は、柔軟性を持つ芯材と、吸着剤と、前記芯材及び前記吸着剤を収納する外被材とで構成され、前記外被材中を真空排気してなる真空断熱材において、前記吸着剤がガスバリア性の包材で覆われており、前記包材には切込み(破断部)が存在し、前記切込みの開口を介して前記包材の内部空間が前記外被材の内部空間と連続した空間になっているものである。そして、吸着剤をガスバリア性の包材で覆っておくことにより真空パックまでの間におけるガス吸着を防止し、吸着剤における吸着性能を劣化させることが無い。また、真空断熱材に外力を加える等により包材の溶着部ではない場所で包材が破断し、破断部を介して包材の内部空間と外被材の内部空間とが連続した構造となることで、真空断熱材作製後において破断部から吸着剤が真空断熱材内部のガス吸着を可能となるため、真空断熱材の断熱性能を向上できる。
また、柔軟性を持つ芯材と、吸着剤と、前記芯材及び前記吸着剤を収納する外被材とで構成され、前記外被材中を真空排気してなる真空断熱材において、前記吸着剤がガスバリア性の包材で覆われており、前記包材の一部に前記包材を貫通しない深さの切込みが少なくとも1箇所設けられていて、さらに、他の吸着剤が外被材に収納されていることを特徴とするものである。この特徴によって、吸着剤をガスバリア性の包材で覆っておくことにより真空パックまでの間におけるガス吸着を防止するためのものであり、包材中の吸着剤における吸着性能を劣化させることが無い。また、真空パック後に任意のタイミングで包材の切込みを基点として外力を加え、包材を開口させることができ、真空断熱材作製後において切り込んである部分から吸着剤が真空断熱材内部のガス吸着を可能とするため、真空断熱材の断熱性能を向上できる。また、真空断熱材が他の吸着剤による吸着性能低下で断熱性能が劣化したときに包材の切込みを基点として外力を加え、包材を開口させて包材中の活性が失われていない吸着剤が吸着効果を発揮できるようにすれば、真空断熱材の断熱性能を回復することが可能である。
また、前記包材の内部の圧力は前記真空断熱材の内部の圧力より低いことを特徴とするものである。これによって、包材内部の圧力が真空断熱材のそれより低いため、差圧によって真空断熱材から包材へのガス進入が促進されるので、ガスバリア性の包材に吸着剤が覆われていても高い吸着性能を維持できる。さらに、前記包材の切込みを設ける場所の肉厚を前記切込みの深さ分増加することを特徴とするものである。これによって、包材の切込みを設ける場所の肉厚を切込みの深さ分増加しているので、真空パックするまでの間に雰囲気中のガスが包材内部に侵入することを抑制する。さらに、前記吸着剤は平均粒度が0.01mm以上で1mm以下であることを特徴とするものである。これによって、吸着剤が包材や外被材を傷つけることを防止でき、真空断熱材の信頼性を向上する。
また、前記吸着剤を含む包材は、前記真空断熱材が曲げ、絞り等の成形加工される位置、且つ、前記外被材と前記芯材の間に設置されることで、前記真空断熱材の外側から前記包材が設置された位置を確認可能にしたことを特徴とするものである。さらに、前記吸着剤を含む包材は前記外被材と前記芯材の間に設置され、曲げ、絞り等の成形加工により形成される折り目に対して、前記包材表面方向における前記切込みの方向が垂直になるように前記吸着剤を含む包材を設置することを特徴とするものである。これらの特徴によって、前記真空断熱材において外力を加えるべき位置を外側から目視で確認可能とし、また、前記切込みの方向が成形加工により形成される折り目に対して垂直になっているので、外力の加わる位置が多少ずれても、包材の切込み部が確実に開口するようになり、真空パック後に吸着剤におけるガス吸着を可能とするものである。
また、ガスバリア性の包材の一部に前記包材を貫通しない深さの切込みを設け、吸着剤を密閉封止した前記包材を芯材と共に外被材中に収納し、真空排気後に封止してなる真空断熱材を前記吸着剤における前記切込みの位置にて曲げ、絞り等の成形加工を行うことを特徴とするものである。これによって、真空パック後に外力でもって包材を確実に破断することによって、製造過程において吸着剤の吸着性能を劣化させること無く、吸着剤が真空パック後に真空断熱材内部のガス吸着を可能とするため、真空断熱材の断熱性能を向上できる。
また、内箱と外箱からなり、少なくとも内箱と外箱の間に真空断熱材が設けられた冷蔵庫において、前記真空断熱材は、柔軟性を持つ芯材と、吸着剤と、前記芯材及び前記吸着剤を収納する外被材とで構成され、前記外被材中を真空排気してなり、前記吸着剤がガスバリア性の包材で覆われており、前記包材には切込みが存在し、前記切込みの開口を介して前記包材の内部空間が前記外被材の内部空間と連続した空間になっていることを特徴とするものである。これによって、断熱性能を向上した真空断熱材を冷蔵庫に適用するものであり、冷蔵庫の省エネ性能を向上できる。
本発明の実施形態に係る真空断熱材がL字形状に形成された構造の断面図である。 本発明の実施形態に係る真空断熱材が平板形状に形成された構造の断面図である。 本実施形態に係る真空断熱材における吸着剤の吸着特性を示す図である。 本実施形態に係る、真空断熱材を適用した冷蔵庫の断面図である。 本実施形態に係る平板形状の真空断熱材に包材の有無を問わない他の吸着剤を用いた構造の断面図である。 本実施形態に係るL字形状の真空断熱材に曲げ部位以外の部位に吸着剤をもつ包材を配設した構造の断面図である。 本発明の実施形態を基にした実施例、比較例における諸条件と実験結果を取り纏めた図である。
符号の説明
1 真空断熱材
2 外被材
2a 外被材の余剰部分
3 内包材
4 芯材
5 吸着剤
5a 他の吸着剤(包材の有無は問わない)
6 包材
7 切込み又は破断部
21 冷蔵庫
22 内箱
23 外箱
24 扉
25 発泡断熱材

Claims (9)

  1. 無機繊維又は有機繊維の繊維系材料からなり柔軟性をもつ芯材と、水分又はガス成分を吸収する吸着剤と、前記芯材及び前記吸着剤を収納する外被材と、を有し、前記外被材中を真空排気した真空断熱材において、
    前記吸着剤はガスバリア性をもつ包材で包まれ、前記包材にはその内外間を連通可能とし得る切込みが設けられ、
    外力による前記切込みの破断によって、前記包材の内部空間が前記外被材の内部空間と連通した構造である
    ことを特徴とする真空断熱材。
  2. 無機繊維又は有機繊維の繊維系材料からなり柔軟性をもつ芯材と、水分又はガス成分を吸収する吸着剤と、前記芯材及び前記吸着剤を収納する外被材と、を有し、前記外被材中を真空排気した真空断熱材において、
    前記吸着剤はガスバリア性をもつ包材で包まれ、前記包材にはその内外間を外力の印加で連通可能とし得る切込みが設けられ、
    前記切込みのある包材に包まれた吸着材に加えて、他の吸着材が前記外被材に収納されており、
    前記切込みは、前記外力の印加による前記切込みの破断以前には前記包材の内外間を連通させない非貫通の構造である
    ことを特徴とする真空断熱材。
  3. 請求項2において、
    前記包材の内部の圧力は、前記真空断熱材の内部の圧力より低くしておくことを特徴とする真空断熱材。
  4. 請求項2または3において、
    前記包材は、前記切込みを設けた部位の肉厚を前記切込みの深さ分増加させることを特徴とする真空断熱材。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つの請求項において、
    前記吸着剤は、平均粒度が0.01mm以上で1mm以下であることを特徴とする真空断熱材。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つの請求項において、
    前記包材は、前記外被材と前記芯材の間に設置され、且つ前記真空断熱材の表面から突出した形状が形成され、
    前記突出した形状の位置で前記真空断熱材の曲げ又は絞りの成形加工を行う構造である
    ことを特徴とする真空断熱材。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つの請求項において、
    前記切込みにおける包材表面方向の切込み方向が、前記外力によって前記真空断熱材へ曲げ加工する折り目の線に対して、垂直になるように前記包材が前記外被材に設置される
    ことを特徴とする真空断熱材。
  8. 無機繊維又は有機繊維の繊維系材料からなり柔軟性をもつ芯材と、水分又はガス成分を吸収する吸着剤と、前記吸着剤を包むガスバリア性の包材と、前記芯材及び前記包材を収納する外被材と、を有する真空断熱材の製造方法において、
    前記包材にその内外間を貫通しない深さの切込みを設け、
    前記吸着剤を密閉封止した前記包材を芯材と共に前記外被材中に収納し、
    前記外被材の内部を真空排気した後に前記外被材の開口部を封止し、
    前記切込みの位置で前記外被材を曲げ又は絞りによる加工を行うことで前記切込みを破断し前記包材と前記外被材のそれぞれの内部空間を連通させる
    ことを特徴とする真空断熱材の製造方法。
  9. 請求項1に記載の真空断熱材が、内箱と外箱の間で発泡断熱材とともに配設されたことを特徴とする冷蔵庫。
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