JP5493706B2 - 気体吸着デバイスおよび気体吸着デバイスの使用方法 - Google Patents

気体吸着デバイスおよび気体吸着デバイスの使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、水蒸気を含む空気のうち空気のみを選択的に吸着する気体吸着デバイスに関するものである。
近年、真空断熱材、真空断熱容器、プラズマディスプレイパネル等、高度な真空環境により性能を発揮することができる機器(以下、真空機器と記述)の開発が盛んになってきている。
これらの真空機器にとって、製造時における残留気体や経時的に侵入する気体による内部の圧力上昇は性能を劣化する原因になる。そこで、これらの気体を吸着するための吸着材の適用が試みられている。
一般に、水蒸気の吸着は空気の吸着に比較して容易であるため、水蒸気を吸着する吸着材(以下、水分吸着材と記述)は、ゼオライト、シリカゲルのような物理吸着材、酸化カルシウム等の化学吸着材ともに安価なものが数多く商品化されている。
一方、空気に含まれる気体のうち、窒素のような不活性気体の吸着は特に困難であるため、不活性気体を吸着する吸着材(以下、気体吸着材と記述)は水分吸着材に比較して高価である。
一方、真空断熱材の内部等、気体吸着材を設置する空間は、空気と水蒸気の混合雰囲気で満たされていることが一般的である。
一般に、空気を吸着可能な気体吸着材は、高活性であり、空気に加え水蒸気をも吸着することができるため、空気と水蒸気の混合気体であっても、気体吸着材のみでいずれをも吸着することが可能である。
しかし、気体吸着材は水蒸気を吸着することにより、空気に対する吸着容量が低減してしまう。従って、所定量の空気を吸着するためには、水蒸気を吸着して低減した分を補うため、より多くの気体吸着材が必要になる。
ここで、上述のように、気体吸着材は水分吸着材に比較して高価であるため、気体吸着材に水蒸気を吸着させることは得策ではなく、気体吸着材には選択的に空気を吸着させることが得策である。従って、気体吸着材に優先的に空気を吸着させる機構が必要である。
そこで、気体吸着材を水分吸着材で被い、水分吸着材で水蒸気を吸着して空気のみを気体吸着材で吸着する試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
特表平9−512088号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、水分吸着材よる気体の遮断性が必ずしも十分とはいえないため、水蒸気の割合が多い気体内に設置した場合、気体吸着材の空気に対する吸着容量が低減するという課題があった。
そこで本発明では、十分な水蒸気遮断性を付与することにより、気体吸着材が空気を選択的に吸着することを可能にする気体吸着デバイスとその使用方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の気体吸着デバイスは、気体吸着材と、前記気体吸着材を被うバリア容器と、前記バリア容器を被う水分難透過空気透過フィルムとを備えたのである。
これによって、吸着対象の気体中に水蒸気が含まれていても、気体吸着材には含まれる水蒸気が少ない気体が到達する。この結果、気体吸着材は水蒸気吸着による空気の吸着容量の低下が抑制され、気体吸着能力を確保することができる。
また、本発明の気体吸着デバイスの使用方法は、外被材内に気体吸着デバイスと芯材と水分吸着材とを共に設置して外被材内を真空引きして真空断熱材を作製するのである。
これにより、水分難透過空気透過フィルムにより透過を妨げられた水蒸気が、閉空間である外被材内に滞留することを防ぐことができる。
本発明の気体吸着デバイスによると、空気の吸着容量の低下が抑制され、空気に対して十分な気体吸着容量を確保することができる。これにより、吸着対象気体に対して必要量の気体を吸着するために気体吸着材適用量を少なくして、気体吸着デバイスを安価に得る事ができる。
本発明の実施の形態1の気体吸着デバイスの概略図 同実施の形態の気体吸着デバイスを用いた真空断熱材の概略図 本発明の実施の形態3の気体吸着デバイスの概略図
第1の発明は、気体吸着材と、前記気体吸着材を被うバリア容器と、前記バリア容器を被う水分難透過空気透過フィルムとを備え、前記水分難透過空気透過フィルムに貫通孔が形成されておらず、前記バリア容器に貫通孔が形成可能であることを特徴とする気体吸着デバイスである。
気体吸着材、例えば銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライトの水蒸気に対する活性は、空気に対する活性より強い。このため、空気と水蒸気が混在する空間、すなわち、湿り空気中に気体吸着材を設置すると、水蒸気を優先的に吸着することで、空気吸着量が低減してしまう。
そこで、気体吸着材を、空気に対しては高透過性であり、水蒸気に対しては難透過性であるフィルムで被うことにより水蒸気の到達量を少なくし、気体吸着材に空気を選択的に吸着させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、水分難透過空気透過フィルムが透明であることを特徴とする気体吸着デバイスである。
気体吸着デバイスの気体吸着材はバリア容器に被われているため、空気中においても気体吸着材には空気が到達せず、長期間保存することができる。
一方、気体吸着材により対象となる空間の気体を吸着する際、バリア容器に貫通孔を形成して、吸着対象となる空間に存在する気体を透過させる必要がある。この際、水分難透過空気透過フィルムには貫通孔を形成せずに、バリア容器のみに貫通孔を形成しなければならない。従って、バリア容器の貫通孔の形成の有無は、水分難透過空気透過フィルムの外から確認する必要がある。
ここで、水分難透過空気透過フィルムが透明であるため、外部からバリア容器の貫通孔形成の有無を容易に確認することができる。
第3の発明は、第1または第2に記載の発明において、水分難透過空気透過フィルムがポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれか一方を含むことを特徴とする気体吸着デバイスである。
ポリエチレンフィルム及び、ポリプロピレンフィルムは空気に対して高透過性を有し、水蒸気に対しては難透過性を有している。また、一般にこれらのフィルムは安価であるという特徴がある。
第4の発明は、第1から第3の発明において、水分難透過空気透過フィルムの空気透過度が10cc/day・atm以上であることを特徴とする気体吸着デバイスである。
気体吸着デバイスにより真空機器の特性を保持するためには、真空機器内への空気の侵入速度を上回る速度で空気を吸着する必要がある。
例えば、真空機器が真空断熱材の場合は、以下に示す埋由により。空気透過度が10cc/day・atm以上であることにより、真空機器の性能を保持することができる。
真空断熱材の外被材内部は、概ね10Pa以下に保つことにより、優れた断熱性能を保持することができる。外被材内部が10Paであれば、気体吸着デバイスの水分難透過空気透過フィルム内外の圧力差は概ね10Paである。従って、水分難透過空気透過フィルムを透過する空気の量は10cc/day・atm×(10/101300)atm≒0.001cc/dayとなる。一方、シール層が厚さ100μm、周囲長さ1000mmの真空断熱材にシール層から侵入する空気の量は、概ね0.0003cc/dayである。従って、真空断熱材の外被材の内部の圧力が10Paであれば、侵入する空気より気体吸着デバイスが吸着する空気の量の方が多くなる。これは、真空断熱材内部の圧力は10Pa以下で平衡状態になることを意味する。従って、水分難透過空気透過フィルムの空気透過度が10cc/day・atm以上であることにより、真空機器の性能を発揮する気体吸着デバイスを得る事ができる。
第5の発明は、外被材内に、第1から第4のいずれかの発明の気体吸着デバイスと芯材と水分吸着材とを共に設置して外被材内を真空引きして真空断熱材を作製する気体吸着デバイスの使用方法である。
空気と水蒸気が存在する閉空間に水分吸着材と水分を吸着できる気体吸着材が共存する場合、一般に、高活性な気体吸着材の吸着平衡水蒸気圧は、水分吸着材の吸着平衡水蒸気圧より低いため、次に示す過程により平衡状態に達する。
初期の水蒸気圧が、水分吸着材と水分を吸着できる気体吸着材のいずれの平衡水蒸気圧より高い場合、水分吸着材と水分を吸着できる気体吸着材を閉空間に設置後経過時間が短い時点では、それぞれの吸着材が水蒸気を吸着する。
閉空間内の水蒸気圧が低下し、水分吸着材の平衡蒸気圧より低くなると、水分吸着材は水分を吸着できなくなり、これ以降は気体吸着材のみにより水蒸気が吸着される。
一方、初期の水蒸気圧が、水分吸着材の平衡水蒸気圧より低い場合、水分吸着材は水分を吸着できず、気体吸着材のみが水蒸気を吸収する。
以上の様に、水分吸着材を併用して気体吸着材の水蒸気による劣化を抑制することは困難である。
そこで、気体吸着材を空気に対しては高透過性であり、水蒸気に対しては難透過性である水分難透過空気透過フィルムで被った気体吸着デバイスが有効になる。
気体吸着デバイスと水分吸着材を、空気と水蒸気が混在する閉空間内に設置すると、湿り空気に含まれる水分は、気体吸着材を被う水分難透過空気透過フィルムの透過が困難であるため、その水蒸気の大部分は水分吸着材に吸着され、閉空間内の蒸気圧は水分吸着材の平衡蒸気圧になる。
その後、水分難透過空気透過フィルムを通して内部に侵入する水蒸気量は、水分難透過空気透過フィルム内外の水蒸気圧差に比例するが、気体吸着材に到達する水蒸気量は少なく、水蒸気による気体吸着材の劣化は抑えられ、優れた空気吸着量を有する気体吸着デバイスを得る事ができる。
第6の発明は、第5の発明において、バリア容器に貫通孔を形成した後に真空断熱材の外被材内に設置する気体吸着デバイスの使用方法である。
気体吸着デバイスのバリア容器の貫通孔は真空断熱材に適用する前に外部空間で形成する方がより簡単で確実である。この結果、真断熱材に設置する気体吸着デバイスのバリア容器に確実に貫通孔を形成できる。
従って、貫通不良を低減し適用した真空断熱材の歩留まりを向上させる気体吸着デバイスを得る事ができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の気体吸着デバイスの概略図である。
図1において、気体吸着デバイス1は、気体吸着材2を、バリア容器3で被ったものに突起物4を隣接させ、ポリエチレンフィルムを二枚重ね合わせて3方シールしてなる水分難透過空気透過フィルム5で被ってなるものである。
以上のように構成された気体吸着デバイス1について、真空機器に適用するまでの保存時における動作、作用と真空機器に適用後の動作、作用を説明する。
先ず、大気中に気体吸着デバイス1が保存されている時は、バリア容器3により気体吸着材2には空気や水蒸気が到達せず、気体吸着材2の劣化が抑制される。
次に、気体吸着デバイス1を真空機器に設置後、水分の吸着を抑制し、空気を吸着する動作、作用を示す。
真空機器内部は気体吸着デバイス1を設置後に減圧され、空気の侵入を防ぐ部材により封止される。
ここで、空気の侵入を防ぐ部材は、連続性を保ったまま変形することができるものであり、一例としてアルミニウム箔をラミネートしたプラスチックフィルムがある。
気体吸着デバイス1が空気を吸着するためにバリア容器3に貫通孔を形成する必要があるが、以下に一例を説明する。
外部からの空気の侵入を防ぐ部材として、アルミニウム箔をラミネートしたプラスチックフィルムを用いた真空機器を、大気中に取り出すと、プラスチックフィルムに大気圧が加わり、内部と外部の圧力差によりもたらされる力が加わり、外部からの空気の侵入を防ぐ部材は内部方向へ変形する(以下、真空機器の変形と記述)。真空機器の変形により、突起物4がバリア容器3に押し付けられ、バリア容器3に貫通孔が形成される。この貫通孔を空気が通過して気体吸着材2へ空気が到達することができる。
以下、気体吸着デバイス1が空気を吸着する動作、作用を示す。
先ず、水分難透過空気透過フィルムは3方向のみシールされているため、一方が開口部になっている。ここで、単位時間当たりに開口部から気体吸着材2へ到達する気体の量は開口部の面積に比例するが、次に示す機構により、この量は極めて僅かであり、考慮する必要が無い。
気体吸着デバイス1の水分難透過空気透過フィルム5をなすポリエチレンフィルムには、真空機器の変形により、互いに密着する力が働く。従って、水分難透過空気透過フィルム5をなすポリエチレンフィルムのシールが施されていない部分からの気体の侵入は僅かになり、気体吸着材2へ到達する気体は、水分難透過空気透過フィルム5を透過して侵入する気体が支配的になる。
更に、真空機器の外部から加熱して、水分難透過空気透過フィルム5をポリエチレンフィルムの溶着温度以上にして開口部を溶着することにより、水分難透過空気透過フィルム5をなすポリエチレンフィルムの開口部からの気体の侵入をさらに低減することも可能である。
水分難透過空気透過フィルムとは、単位面積当たり、単位時間当たりの水蒸気透過量が小さく、空気透過量が大きいフィルムを指し、ポリエチレンや、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルムがこれに相当するが、これに限定するものではない。
空気透過度は1000cc/m・dy・atm以上、望ましくは3000cc/m・day・atm以上、さらに望ましくは10000cc/m・day・atm以上を満たすものである。
水蒸気透過度は、20g/m・day以下、望ましくは10g/m・day以下、さらに望ましくは5g/m・day以下満たすものである。
例えば、気体吸着デバイス1に適用する水分難透過空気透過フィルム5の面積が100cm2の場合、水蒸気透過度が3g/m2・day、酸素透過度が30000cc/m2・day・atmのフィルムを用いると、面積あたりの水蒸気透過度は0.03g/m2・dayとなる。すなわち、気体吸着デバイス1に到達する面積あたりの水蒸気透過量は1日当たり約37ccとなる。
ここで、上記フィルムの酸素透過度は30000cc/m2・day・atmであるため、気体吸着デバイス1に適用する面積あたりの一日あたりの酸素透過量は300ccである。従って、水蒸気透過量に対する酸素透過量の割合は300/37である。これは、気体吸着材2の吸着容量を337とすると、この内300が酸素吸着に用いられ、37が水蒸気の吸着に用いられることを意味する。気体吸着材2の吸着量に対する100分率で記述すると、89%が酸素の吸着に用いられることになる。
このように、水蒸気透過度に対する酸素透過度が大きいフィルムを用いることにより、気体吸着材2の酸素吸着量に対する水蒸気の吸着量を低減することが可能である。
ここでは酸素透過度を例にあげたが、窒素等の気体の透過度も酸素透過度と大幅に異なることは無いと考える。
以上のように構成した気体吸着デバイス1は空気の吸着容量の低下が抑制され、空気に対して十分な気体吸着容量を確保することができる。これにより、吸着対象気体に対して必要量の気体を吸着するために少ない気体吸着材適用量で真空機器の性能を発揮することができる。
ここで、気体吸着材とは、気体中に含まれる酸素、窒素などの低分子量気体を吸着できるものであり、ZSM−5型ゼオライトを銅でイオン交換したCuZSM−5や、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物や、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物等が利用でき、特に、酸化リチウム、水酸化リチウム、酸化バジウム、水酸化バリウム等がある。
バリア容器とは、容器の気体透過度が、104[cm3/m2・day・atm]以下となるものであり、より望ましくは103[cm3/m2・day・atm]以下のものであり、特に材料を指定するものではないが、金属箔をラミネートしたプラスチックフィルムのように、気体吸着材を充填でき、真空機器内で容易に貫通孔を形成できるものであれば良い。
突起物とは、針のように小さい面積に応力を集中させて単位面積あたりに加わる応力を大きくして、接触している物質に対する貫通力が大きくなる形状をしたものである。例えば、プラスチックフィルムに容易に貫通孔を形成するため、面積が0.1mm2以下の部分に応力を集中させることができる構造であれば良い。材質は特に指定するものではないが、金属、繊維強化プラスチック等の構造材料を用いることができる。
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2の気体吸着デバイスを用いた真空断熱材の概略図である。
図2において、真空断熱材6は、気体吸着デバイス1、水分吸着材7、ガラス繊維の集合体からなる芯材8を、金属箔を含むラミネートフィルムからなる外被材9で被ってなるものである。
以上のように構成された真空断熱材6についてその動作、作用を説明する。
真空断熱材6は、3方シールした外被材9内に気体吸着デバイス1、水分吸着材7、芯材8を設置後、減圧空間で外被材9を封止して作製する。外被材9を封止後は真空断熱材6を80℃で2時間保持(以下、エージングと記述)することで、水分吸着材7が、外被材9内の水分吸着作用を加速する。
エージングにより水分吸着材7の水分吸着を加速するため、短時間で外被材9内の水分量は水分吸着材7の平衡蒸気圧まで低下する。水蒸気が水分難透過空気透過フィルム5を透過する速度は、水分難透過空気透過フィルム5内外の水蒸気圧の差に比例する。
水分吸着材7の平衡蒸気圧に到達後は、水分難透過空気透過フィルム5内外の水蒸気圧の差が小さくなるため、長期間経過しても気体吸着材2への水蒸気の到達は少なく、気体吸着材の劣化を抑えることができる。
一方、真空断熱材6内には外被材9のシール層を通して外部より空気が侵入するが、この空気侵入速度より、水分難透過空気透過フィルム5を通して気体吸着材2に吸着される速度が大きくなるように設計することにより、外被材9内部を低圧に保ち、優れた断熱性能を保持することができる。
水分難透過空気透過フィルムは、二軸延伸ポリエチレンフィルムに限らず、無延伸低密度ポリエテレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどを用いることにより、水蒸気による劣化を抑えた気体吸着デバイス1を安価に得る事ができる。
真空断熱材とは、外被材内部を真空にすることにより、気体による熱伝導を低減した断熱材である。
外被材とは、真空の空間への単位時間当たりの気体の侵入量を少なくすることができるフィルムであり、金属箔をラミネートしたプラスチックフィルム、金属や無機物を蒸着したプラスチックフィルムのように優れた気体遮断性を有するものである。
芯材とは、減圧された外被材が大気圧による圧縮に対して厚さを保持させるためのスペーサであり、ガラス繊維集合体を板状に成形したもの、無機粉末を板状に形成したもの等を用いることができるが、これらに限定するものではなく、熱伝導率が小さく、ガス発生が少ないものであれば良い。
水分吸着材とは、気体中に含まれる水分を吸着できるものであり、活性炭、シリカゲル、酸化カルシウム等がある。
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3に記載の気体吸着デバイスの概略図である。
図3において、気体吸着デバイス1は、気体吸着材2を、バリア容器3で被ったものに突起物4を隣接させ、ポリエチレンフィルムを二枚重ね合わせて3方シールしてなる水分難透過空気透過フィルム5で真空封止したものである
本実施の形態では、実施の形態1において、バリア容器3と突起物4が、真空機器へ適用以前に真空封止されたものであり、その他の構成、動作、作用は実施の形態1と同等である。
バリア容器3と突起物4が、水分難透過空気透過フィルム5で真空封止されるため、水分難透過空気透過フィルム5の外部から突起物4が、バリア容器3に押しつけられように応力を加えると、バリア容器3には貫通孔が生じる。水分難透過空気透過フィルム5は透明であるため、バリア容器3の貫通孔形成が外部から容易に確認できる。従って、バリア容器3の貫通孔形成が確実になされる。この結果、真空機器の性能を確実に発揮して歩留まりを向上させることができる。
気体吸着デバイス1を真空機器に設置後の動作、作用は、実施の形態1と同等である。
以下、気体吸着デバイスとその使用方法について実施例を示す。
(実施例1)
実施の形態1において、気体吸着材を銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライト1.2g(10Paでの1gあたりの気体吸着量は5ccであるため、デバイスの気体吸着量は6cc)、バリア容器を厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム、厚さ6μmのアルミ箔、厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートしたもの、水分難透過空気透過フィルムを無延伸ポリプロピレンフィルム(酸素透過度:30000cc/m2・day・atm、水蒸気透過度3.3g/m2・day、面積:0.01m2)として気体吸着デバイスを作製した。
気体吸着デバイスの作製は、アルゴンで満たしたグローブボックスの中でバリア容器内に気体吸着材を真空封止した後、3方シールされたポリエチレンフィルム内に入れることにより作製した。
真空断熱材の芯材はガラス繊維集合体を板状に成形して、300mm×400mmの長方形とした。水分吸着材は酸化カルシウムを用いた。酸化カルシウムを用いることで、露点温度−40℃が得られることを事前に確認した。
外被材は、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム、厚さ6μmのアルミ箔、厚さ25μmのナイロンフィルム、厚さ15μmのナイロンフィルムをラミネートしたものであり、350mm×500mmの長方形とした。
外被材に芯材と気体吸着デバイスを封止後、80℃で2時間エージングを行い外被材内の水蒸気を水分吸着材に吸着させることで、外被材内の露点温度を−40℃とした。エージング後に英弘精機株式会社製の熱伝導率測定装置オートλ073により熱伝導率を測定すると0.0020W/mKであった。
真空断熱材内には外被材を通して僅かであるが空気が侵入する。一般に、プラスチックの気体透過度は温度が上昇するに従って大きくなる。
この現象を利用して、短時間で長期間経過時に相当する気体を真空断熱材の外被材に侵入させて物性を評価することができる。
真空断熱材6を500日間100℃で保持することにより、30年経過相当の空気(4.7cc)と水蒸気を外被材内に侵入させた後、熱伝導率を測定すると0.0020W/mKであった。
熱伝導率の上昇が無い、すなわち内圧増大が生じていないため、気体吸着デバイスと気体吸着材により、外部から侵入する空気と水蒸気を吸着していることが判る。さらに、真空断熱材を解体して気体吸着デバイスを取り出し、オートソープにより平衡圧10Paでの窒素の吸着量を測定した。この結果、0.8ccであった。
従って、解体までに気体吸着材は吸着容量の内5.2cc分を消費したことになる。一方、外被材内への空気の侵入量は4.7ccであることから、水蒸気により低下した気体吸着材の吸着量は0.5cc、であり、空気を吸着した量の約12%に抑えられたことが判る。
以上のように、本発明の気体吸着デバイスによると、空気の吸着容量の低下が抑制され、空気に対して十分な気体吸着容量を確保することができる。これにより、吸着対象気体に対して必要量の気体を吸着するために気体吸着材適計量を少なくすることができる。
(比較例1)
気体吸着デバイスとして、気体吸着材を水分吸着材で被った構造の特許文献1にかかる吸着材を真空断熱材に適用した。その他の条件は実施例1と同様とした。
外被材を封止後、80℃で2時間エージングを行い外被材内の水蒸気を水分吸着材に吸着させることで、露点温度を−40℃とした。
実施例1と同じく真空断熱材を作製してエージング後の熱伝導率を測定すると0.0020W/mKであった。
この後、100℃でエージングすることにより、30年経過相当の空気(4.7cc)と水蒸気を外被材内に侵入させた。この後、熱伝導率を測定すると0.0250W/mKであった。さらに、真空断熱材を解体して内部の気体の量を測定した。この結果、3.9ccであった。これにより、真空断熱材内で0.8ccの空気を吸着したことが判る。
一方、真空断熱材への適用以前の10Paでの気体吸着量を測定した結果、2.0ccであった。
この結果、真空断熱材へ適用後に水蒸気により低下した気体吸着材の吸着量は1.2ccであり、空気吸着材が有する空気吸着量で、空気の吸着に用いられた量は40%であり、水分によって劣化した量の60%より小さく、水分による空気吸着量の低減が大きいことが判る。
(比較例2)
気体吸着材を銅イオン交換されたZSM−5型ゼオライト(10Paでの気体吸着量は5cc)として水分難透過空気透過フィルムを用いず、グローブボックス中でバリア容器で気体吸着材を被い、取り出した後、真空断熱材に適用した。その他の条件は実施例1と同様とした。
ここで、バリア容器には突起物を隣接させ、真空断熱材に適用した際に加わる大気圧で貫通孔が形成するようにしておいた。
実施例1と同じく真空断熱材を作製してエージング後の熱伝導率を測定すると0.0020W/mKであった。
この後、100℃でエージングすることにより、30年経過相当の空気(4.7cc)と水蒸気を外被材内に侵入させた。この後、熱伝導率を測定すると0.0290W/mKであった。この結果、気体吸着デバイスは侵入してくる空気を吸着できないことが判る。この要因は次のように考えられる。
真空断熱材を作製した後、外被材内の水蒸気は、気体吸着材の平衡水蒸気圧まで低下する。気体吸着材の平衡水蒸気圧は水分吸着材の平衡水蒸気圧より低いため、水分吸着材は水分を吸着できない。外被材外部から侵入する水蒸気も同様に気体吸着材に吸着されるため、気体吸着材の吸着力は低減してしまう。この結果、外部より侵入した空気を吸着できず、内圧が上昇することにより真空断熱材の熱伝導率を維持することができなくなる。
本発明にかかる気体吸着デバイスは、水蒸気を含む気体中で、気体を優先的に吸着することにより、真空断熱材等、水蒸気を含む空間の気体を吸着する用途に用いることができる。
1 気体吸着デバイス
2 気体吸着材
3 バリア容器
5 水分難透過空気透過フィルム
6 真空断熱材
7 水分吸着材
8 芯材
9 外被材

Claims (6)

  1. 気体吸着材と、前記気体吸着材を被うバリア容器と、前記バリア容器を被う水分難透過空気透過フィルムとを備え、前記水分難透過空気透過フィルムに貫通孔が形成されておらず、前記バリア容器に貫通孔が形成可能であることを特徴とする気体吸着デバイス。
  2. 水分難透過空気透過フィルムが、透明であることを特徴とする請求項1に記載の気体吸着デバイス。
  3. 水分難透過空気透過フィルムが、ポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の気体吸着デバイス。
  4. 水分難透過空気透過フィルムの吸着対象気体の気体透過度が、10cc/day・atm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の気体吸着デバイス。
  5. 外被材内に、請求項1から4のいずれか1項に記載の気体吸着デバイスと芯材と水分吸着材とを共に設置して前記外被材内を真空引きして真空断熱材を作製する気体吸着デバイスの使用方法。
  6. バリア容器に貫通孔を形成した後に真空断熱材の外被材内に設置する請求項5に記載の気体吸着デバイスの使用方法。
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