JP2007155087A - 真空断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空断熱材の外被材として金属箔を含まず、分子構造内に親水基を有する樹脂フィルムを有するラミネートフィルムを使用した場合において、真空断熱材の外環境における水分の影響を抑制し、ガスバリア性を確保することで、長期に渡って断熱性能を維持する。
【解決手段】水分吸着剤13として平衡水蒸気圧が10Pa以下の水分吸着剤を使用することで、真空断熱材10内部の水蒸気圧を低い状態に保つ。これによって、良好な初期断熱性能を得るだけでなく、ガス透過度の湿度依存性が高いフィルムを外被材11に使用した場合においても、フィルムの乾燥状態を維持し、ガスバリア性を確保する。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空断熱材に関するものである。
真空断熱材の断熱性能を長期に渡って維持するためには、外被材にガスバリア性に優れたフィルムを使用することによって外部からのガス侵入を防ぎ、真空断熱材内部の真空度を維持する必要がある。
従来、真空断熱材において、ガスバリア性確保とヒートリーク抑制という両方の観点から、外被材として、蒸着層を有するガスバリア性の高いフィルムを含むラミネートフィルムを使用することがある。中でも、蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムは特にガスバリア性に優れているために、真空断熱材の外被材のラミネート構成に使用されることがある(例えば、特許文献1参照)。
図3は、特許文献1に記載された従来の真空断熱材の断面図である。図3に示すように、真空断熱材1の外被材2のラミネート構成中には、蒸着層3を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂4が使用されており、蒸着層3を有するポリエチレンテレフタレート5と、蒸着層3同士が向き合うように貼り合わせられている。
一般に、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、樹脂の中でも分子の鎖の結び付きが強いために特に優れたガスバリア性を有する一方で、水分によって分子の鎖の結び付きが破壊されやすく高湿下ではガスバリア性が低下するという性質があることが知られている。そこで、特許文献1の外被材の構成は、ポリエチレンテレフタレートと蒸着層によりエチレン−ビニルアルコール樹脂を保護することによって、エチレン−ビニルアルコール樹脂が水分の影響を受けにくくなり、非常に優れたガスバリア性を発現するものである。
その優れたガスバリア性により、長期に渡って断熱性能を維持することが可能であった。
また、真空断熱材中への経時的な水分やガス侵入による断熱性能の悪化を抑制することを目的として、吸着剤を適用することが提案されている。
従来、吸着剤を適用した真空断熱材としては、水分吸着物質として、シリカゲル、塩化カルシウム、生石灰、五酸化リン、ゼオライト、硫酸カルシウムを適用した真空断熱材がある(例えば、特許文献2参照)。
図4は、特許文献2に記載された従来の真空断熱材を示すものである。図4に示すように、プラスチックラミネートフィルム容器6中に断熱材7が充填され、プラスチックラミネートフィルム容器6内が真空に保持された真空断熱材8において、断熱材7に水分吸着物質9が添加含有されている。水分吸着物質9によって、ラミネートフィルム容器6内に徐々に透過侵入した水分が吸着されるために、長期間、初期の優れた断熱性能を維持することができる。
実開昭62−102093号公報 特開昭59−225275号公報
しかしながら、上記特許文献1では、湿度が高くなる環境下においては、ポリエチレンテレフタレート5と蒸着層3による水蒸気バリア性のみでは不十分であり、水分吸着剤を使用しないとガスバリア性が低下してしまうという課題があった。
また、上記特許文献2では、水分吸着剤9を使用することによる真空断熱材8の長期断熱性能の維持については述べられているが、その物性値については規定されておらず、その物性値によっては所望の初期断熱性能や経時断熱性能が得られないことがあった。
本発明は、上記課題を解決するもので、水分吸着剤を使用することによって、初期断熱性能を確保しつつ、フィルムの透過水分を吸着することで断熱性能を維持するだけでなく、水分吸着剤の物性値を規定することによって、外被材に、ガス透過度の湿度依存性が高い樹脂を使用した場合においても、ガスバリア性を確保し、真空断熱材の断熱性能を長期に渡って維持することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、真空断熱材の少なくとも一面の前記外被材を、金属箔を含まず、かつ、分子構造内に親水基を有する樹脂層と、蒸着層を有する構成とすると共に、吸着剤として、平衡水蒸気圧が13Pa以下の水分吸着剤を用いたのである。
一般に、分子構造内に親水基を有する樹脂は、その親水基により緻密な分子構造を形成するため、ガスバリア性が高い。しかし、その一方で水分による構造破壊が生じやすく、使用環境の湿度が高くなるほどガスバリア性が悪化してしまうという特性がある。通常、真空断熱材を使用する環境は絶乾状態ではないため、湿度の影響を受け、所望のガスバリア性が得られなくなる。
そこで、使用環境における湿度の影響を抑制するためには、2つの手段がある。1つは真空断熱材内部の水蒸気圧を下げることであり、もう1つは外部から親水基を有する樹脂層にまで到達する水分量を下げることである。そこで、水分吸着剤の物性値を規定することで、真空断熱材内部の水蒸気圧を下げ、また、外被材においては構成を規定することで、親水基を有する樹脂層にまで到達する水分量を抑制することで、ガスバリア性を確保する。これによって、長期に渡って断熱性能を維持する。
本発明の真空断熱材は、水分吸着剤により高いガスバリア性を有するフィルムの湿度依存性を抑制することと外被材の構成により到達水分量を抑制することで、そのガスバリア性を確保できるために、長期に渡って断熱性能を維持できる。また、水分吸着剤によって、平衡水蒸気圧が下がるため、良好な初期性能を得ることができる。
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、芯材と吸着剤とをラミネートフィルムからなる外被材で被覆し、前記外被材の内部を減圧密封した真空断熱材であって、前記真空断熱材の少なくとも一面の前記外被材を、金属箔を含まず、かつ、分子構造内に親水基を有する樹脂層と、蒸着層を有する構成にすると共に、前記吸着剤として、平衡水蒸気圧が13Pa以下の水分吸着剤を用いたのである。
ここで、平衡水蒸気圧は、500ccの密閉容器に100gの水分吸着剤を封入したときの平衡露点(評価環境温度25℃)を、飽和水蒸気圧に換算し、求める。
また、分子構造内に親水基を有する樹脂とは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基を有する樹脂を差し、例としてはポリビニルアルコール(以下PVAと略す)、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(以下EVOHと略す)、ポリアクリル酸系樹脂、ナイロンなどである。
これらの樹脂は、分子構造が緻密であり、結晶化度が高いことから乾燥状態でのガスバリア性は非常に高い。しかし、親水基を有するために、水分によって構造が破壊されやすい性質があり、高湿になるほどガスバリア性が悪化する。通常、真空断熱材の使用環境は絶乾ではないため、絶乾状態での使用に比べ、ガスバリア性は悪化する。
そこで、水分吸着剤を使用することで、分子構造内に親水基を有する樹脂をより乾燥した状態に保ち、ガスバリア性を向上させる。中でも、水分吸着剤の平衡水蒸気圧が13Pa以下であると、良好な初期熱伝導率が得られ、また、乾燥効果が高いために経時断熱性能を維持できる。
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明における水分吸着剤の比表面積を10m2/g以下とするものである。
比表面積が高いほど、水分吸着剤への水の吸着頻度が増大するため、真空断熱材内部の平衡水蒸気圧がより低くなり、これによってより良好な初期熱伝導率が得られるとともにフィルムの乾燥効果もより高くなる。
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1または2に記載の発明における水分吸着剤に、水酸化カルシウムを焼成して得た酸化カルシウムを用いるのである。
化学吸着剤は、賦活処理が必要ないため、製造コストを抑えることができる。また、一度吸着した水分を再放出することがなく真空断熱材内部の水蒸気圧を維持するのに適している。中でも、酸化カルシウムは他の吸着剤に比べ、コストが安い。通常、酸化カルシウムは炭酸カルシウムを焼成することで得られるが、水酸化カルシウムを焼成することで得た酸化カルシウムは、比表面積が10倍に向上し、活性度、水分との反応速度、平衡水蒸気圧が向上する。水酸化カルシウムを焼成して得た酸化カルシウムを使用することで、フィルムの乾燥効果が向上するためにガスバリア性を確保できる。
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、外被材における蒸着層が分子構造内に親水基を有する樹脂層の外側にあるものである。
蒸着層が分子構造内に親水基を有する樹脂層の外側にある構成は、使用環境が高湿になった場合においても、蒸着層によって親水基を有する樹脂へ到達する水分を減らし、水分の影響をより小さくすることができる。また、これによって吸着剤による乾燥効果を維持しやすくなる。
なお、分子構造内に親水基を有する樹脂層の外側にある蒸着層の数は、その効果を高めるために、複数であってもよい。
請求項5に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、外被材が、分子構造内に親水基を有する樹脂層が熱溶着層に隣接するものである。
親水基を有する樹脂層がより内部に位置することで、使用環境における水分の影響を受けにくくなるだけでなく、水分吸着剤からの距離が近くなるために、乾燥効果がより高くなり、バリア性が維持しやすくなる。
請求項6に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、分子構造内に親水基を有する樹脂層が、EVOHである。
EVOHは、樹脂の中でも非常にガスバリア性に優れた樹脂であるが、分子構造内にヒドロキシル基を有するために、ガスバリア性の湿度依存性が大きい。しかし、水分吸着剤がフィルムを乾燥状態に保つために、高いバリア性を維持することができる。
ここで、EVOHにおけるエチレンの含有量は、エチレン量が少ないと、高いバリア性が得られるが、PVAが水との親和性が高いために、吸湿しやすく、水分によりガスバリア性が悪化しやすくなる。また、エチレン量が多いと、水分の影響は小さくなるが、樹脂の結晶化度が下がるためにバリア性が悪化する。ゆえに、高いガスバリア性を確保しつつ、水分による影響を受けにくい構成するために、PVAに対するエチレンの含有比率は、20モル%から50モル%の範囲にあることが望ましい。
請求項7に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、分子構造内に親水基を有する樹脂層が、ポリアクリル酸系樹脂である。
ポリアクリル酸系樹脂は非常にガスバリア性に優れた樹脂であるが、分子構造内にヒドロキシル基およびカルボキシル基を有するために、水分により構造が破壊されやすく、ガスバリア性の湿度依存性が大きい。しかし、水分吸着剤がフィルムを乾燥状態に保つために高いバリア性を維持することができる。
ここで、ポリアクリル酸系樹脂とは、ポリアクリル酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーの混合物からなる樹脂であり、混合物を熱処理することによって、両ポリマーの間を部分的に架橋し、耐水性を改善するとともに緻密な架橋構造を形成し、高いガスバリア性を発現するものである。
ポリアクリル酸系ポリマーとは、アクリル酸重合体またはその部分中和物、メタクリル酸重合体またはその部分中和物、アクリル酸とメタクリル酸共重合体またはその部分中和物、あるいはこれらの混合物などであり、ポリアルコール系ポリマーとは、分子内に2個以上の水酸機を有するアルコール系重合体であり、具体的には、PVAや糖類を含むものである。
また、その混合比はポリアクリル酸系ポリマーとポリアルコール系ポリマーの混合比は重量比で、高湿度条件下でも優れたガスバリア性を有するという観点から、ポリアルコール系ポリマーとしてPVAを使用する場合には、90:10〜10:90の範囲が、ポリアルコール系ポリマーとして糖類を使用する場合には、80:20〜10:90の範囲が望ましい。よって、架橋されないポリアクリル酸系ポリマーやポリアルコール系ポリマーも残存する。
以下に、さらに本発明の詳細を説明する。
本発明の外被材のラミネート構成は特に指定するものではない。
例えば、最内層の熱溶着層には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLと略す)、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、無延伸ナイロン、無延伸エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂などが使用可能であり、特に指定するものではない。また、熱溶着層に吸着剤を含有させてもよい。
また、外部からのガス侵入を抑制するために、金属箔や、蒸着フィルム、コーティングフィルム、蒸着コーティングフィルムなどが使用可能である。本発明において、少なくとも一面は金属箔を使用しない構成であるが、2枚のラミネートフィルムから外被材を構成する場合は、1枚には金属箔を使用することが可能である。
金属箔は、アルミニウム、ステンレス、鉄やその混合物など、特に指定するものではない。また、蒸着やコーティングの基材となるプラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)、EVOH、ポリエチレンナフタレート(以下PENと略す)、ナイロン、延伸ポリプロピレン(以下OPPと略す)、ポリアミド、ポリイミドなど特に指定するものではない。
また、蒸着の材料としては、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、シリカ、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボンやそれらの混合物など、特に指定するものではない。また、コーティングの材料としては、PVA、ポリアクリル酸系樹脂やその混合物など特に指定するものではない。また、蒸着コーティングフィルムにおける蒸着とコーティングの積層順序は特に指定するものではない。
また、耐ピンホール性や耐摩耗性の向上、難燃性の付与、さらなるバリア性の向上などを目的としてさらに外層や中間層にフィルムを設けることも可能である。
ここで、外層や中間層に設けるフィルムは、ナイロン、エチレン・4フッ化エチレン共重合体樹脂、PET、PEN、OPP、EVOHなど、その種類や積層数は、特に指定するものではない。また、蒸着フィルムやコーティングフィルムであってもよい。
また、外被材の袋形状は、四方シール袋、ガゼット袋、三方シール袋、ピロー袋、センターテープシール袋など、特に指定するものではない。
また、芯材は、繊維、粉末、発泡樹脂、多孔質体、薄膜積層体など、高い空隙率を有するものであれば特に指定するものではない。例えば繊維系では、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール、炭化ケイ素繊維などが使用可能であり、粉末系ではシリカ、パーライト、カーボンブラック、発泡樹脂ではウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォームなどが使用可能である。また、これらの混合体や成形体を使用することも可能である。初期断熱性能を要求する場合は、繊維を伝熱方向に対して垂直に積層した繊維またはその成形体を、経時断熱性能を要求する場合は粉末や粉末の成形体を使用するとよい。
また、平衡水蒸気圧が13Pa以下であれば、水分吸着剤の種類は特に指定するものではなく、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、ゼオライト、シリカゲル、ハイドロタルサイトなどが使用可能であり、これらを単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、取り扱い性を向上するために、これらの吸着剤は通気性を有する袋に入れて使用してもよい。
真空断熱材の作製方法も、特に指定するものではなく、ラミネートフィルムから外被材を製袋してから、外被材中に芯材を挿入し、内部を減圧し封止して得てもよく、また、真空チャンバー内に芯材と外被材を設置し、外被材を芯材に沿わした状態で、芯材を含有する部分ごと熱溶着して得てもよい。ここで、後者の作製方法の場合は、外被材全面に熱がかかることによるフィルムの劣化が考えられるため、熱溶着層に使用する樹脂の融点に対して、熱溶着層以外に使用する樹脂の融点を40℃以上高いものに設定することが望ましい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図1において、真空断熱材10は、外被材11と芯材12と水分吸着剤13とからなり、芯材12と水分吸着剤13とをラミネートフィルムからなる外被材11で被覆し、外被材11の内部を減圧密封した構成である。
まず、真空断熱材10の製造方法を説明する。
まず、同じ大きさの長方形に切った2枚のラミネートフィルムの熱溶着同士を向かい合わせて三辺をヒートシールし、袋状の外被材11を作製する。
次に、外被材11の開口部から140℃の乾燥炉にて1時間程度乾燥させた芯材12と水分吸着剤13を挿入する。これをチャンバー内に設置し、内部を13Pa以下まで減圧した後、開口部をヒートシールすることで真空断熱材10を得る。
次に、真空断熱材10の構成を説明する。
外被材11は、二枚の異なる構成のラミネートフィルムにより作製した。
外被材11は、1枚が、熱溶着層14がLL、その外側にアルミ箔、その外側にPET、最外層にナイロンを設けた構成である。また、もう1枚は熱溶着層14がLLその外側に蒸着層15を有するEVOH、その外側に蒸着層を有するPET、最外層にナイロンを設けた構成であり、蒸着層同士が向き合うようにラミネートされている。
なお、本外被材の構成において、分子構造内に親水基を有する樹脂16とはEVOHを指し、EVOHの外側に蒸着層15を有し、またEVOHは熱溶着層14に隣接している。
また、芯材12は、ガラス繊維から構成される成形体であり、水分吸着剤13は炭酸カルシウムを焼成して得た酸化カルシウムであり平衡水蒸気圧は6Pa、比表面積は3m2/gである。
水分吸着剤の適用によって、フィルムの乾燥状態が保たれることから、吸着剤を適用しない場合に比べて、ガス侵入を抑制し、真空断熱材の断熱性能を維持できた。このため、芯材が圧力依存性に優れない繊維系芯材でも断熱性能を維持することができる。
(実施例1)
実施の形態1の真空断熱材の初期熱伝導率と温度加速による経時熱伝導率を評価した。経時熱伝導率は80℃の温度加速試験を行った後、測定した。
初期熱伝導率は、0.0020W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0080W/mKであった。
(実施例2)
実施の形態1において、吸着剤の仕様を変更した。吸着剤は水酸化カルシウムを焼成して得た酸化カルシウムであり、平衡水蒸気圧は3Pa、比表面積は18m2/gである。
初期熱伝導率は、0.0020W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0075W/mKであった。
(実施例3)
実施の形態1において、外被材の仕様を変更した。二枚の異なる構成のラミネートフィルムにより作製した。
外被材17は、1枚が、熱溶着層18がLL、その外側にアルミ箔、その外側にPET、最外層にナイロンを設けた構成である。また、もう1枚は熱溶着層18がLLその外側にポリアクリル酸系樹脂層と蒸着層19を有するPET、その外側に蒸着層を有するPET、最外層にナイロンを設けた構成である。なお、本外被材の構成において、親水基を有する樹脂20とはポリアクリル酸系樹脂を差し、ポリアクリル酸系樹脂の外側には蒸着層19を有し、またポリアクリル酸系樹脂は熱溶着層18に隣接している。
初期熱伝導率は、0.0020W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0065W/mKであった。
(実施例4)
実施の形態1において、外被材の仕様を変更した。二枚の異なる構成のラミネートフィルムにより作製した。
外被材は、1枚が、熱溶着層がLL、その外側にアルミ箔、その外側にPET、最外層にナイロンを設けた構成である。また、もう1枚は熱溶着層がLLその外側に蒸着層を有するPET、ポリアクリル酸系樹脂層と蒸着層を有するPET、最外層にナイロンを設けた構成である。なお、本外被材の構成において、親水基を有する樹脂とはポリアクリル酸系樹脂を指すが、ポリアクリル酸系樹脂の外側には蒸着層がなく、シール層とも隣接していない。
初期熱伝導率は、0.0020W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0070W/mKであった。
(比較例1)
実施の形態1において、吸着剤を使用しなかった。
初期熱伝導率は、0.0040W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0110W/mKであった。
(比較例2)
実施の形態1において、水分吸着剤として平衡水蒸気圧が15Paの酸化カルシウムを使用した。
初期熱伝導率は、0.0024W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0085W/mKであった。
(比較例3)
実施例3において、水分吸着剤を使用しなかった。
初期熱伝導率は、0.0040W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0080W/mKであった。
(比較例4)
実施例3において、水分吸着剤として平衡水蒸気圧が15Paの酸化カルシウムを使用した。
初期熱伝導率は、0.0024W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0085W/mKであった。
(比較例5)
実施の形態1において、外被材の仕様を変更した。外被材は二枚の同じ構成のラミネートフィルムにより作製し、熱溶着層がLL、その外側にアルミ箔、その外側にPET、最外層にナイロンを設けた構成である。
初期熱伝導率は、0.0022W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0067W/mKであった。
(比較例6)
比較例5において、吸着剤を使用しなかった。
初期熱伝導率は、0.0042W/mKであり、経時熱伝導率は、0.0067W/mKであった。
実施例1、実施例3、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4より、吸着剤を使用しない場合、初期熱伝導率が大幅に悪化する。また、平衡水蒸気圧が13Paを超える吸着剤を適用すると、芯材や外被材からのアウトガスにより真空排気時の13Paの圧力を維持することができなくなるため、初期断熱性能が悪化する。
また、吸着剤をしない場合に比べて、吸着剤を適用する場合は経時断熱性能が向上した。また、吸着剤の平衡水蒸気圧が低いほど経時断熱性能は向上した。これは、外被材を透過する水分の吸着と、吸着剤の適用によるフィルムの乾燥状態の維持によるガスバリア性の向上により、経時断熱性能が向上したためである。
また、実施例3、実施例4より、ポリアクリル酸系樹脂が熱溶着層に隣接し、ポリアクリル酸系樹脂の外側に蒸着層を有する構成のほうが経時断熱性能が向上した。これはポリアクリル酸系樹脂がより吸着剤に近いほうが、より乾燥効果が高いことと、外側にある蒸着層が外から侵入する水分の影響を蒸着が抑制することでガスバリア性が向上した。
また、比較例5、比較例6より、外被材に金属箔を使用した場合は、面からの侵入ガスがほとんどないため、吸着剤によりフィルムの乾燥状態が保たれても、経時断熱性能への影響がほとんど見られなかった。また、両面に金属箔を使用することでヒートリークにより初期熱伝導率が悪化した。
すなわち、外被材に親水基を有する樹脂を使用していることと、平衡水蒸気圧が13Pa以下の吸着剤の組み合わせが良好な初期断熱性能を得ることができ、かつその断熱性能の維持に効果的なのである。
なお、本発明では水分吸着剤として酸化カルシウムを例に挙げたが平衡水蒸気圧が13Pa以下の水分吸着剤であれば同様の効果が得られる。
以上のように、本発明にかかる真空断熱材は、外被材のガスバリア性が確保できるため、長期に渡って断熱性能を維持できる。このため、冷蔵庫のような保冷機器や電気湯沸かし器、炊飯器、保温調理器、給湯器などの保温機器に使用すれば長期に渡り優れた省エネ効果を示す。また、保温保冷機器に限らず、ノート型コンピューターやコピー機、プリンター、プロジェクターのような事務機器への適用や、コンテナボックスやクーラーボックスなどの保冷が必要な用途への適用も可能である。また、さらに、建築材料としての使用や、防寒具や寝具など用途への適用も可能である。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態1の実施例3における真空断熱材の断面図 特許文献1に記載された従来の真空断熱材の断面図 特許文献2に記載された従来の真空断熱材の断面図
符号の説明
10 真空断熱材
11 外被材
12 芯材
13 水分吸着剤
14 熱溶着層
15 蒸着層
16 分子構造内に親水基を有する樹脂
17 外被材
18 熱溶着層
19 蒸着層
20 親水基を有する樹脂

Claims (7)

  1. 芯材と吸着剤とをラミネートフィルムからなる外被材で被覆し、前記外被材の内部を減圧密封した真空断熱材であって、前記真空断熱材の少なくとも一面の前記外被材が、金属箔を含まず、かつ、分子構造内に親水基を有する樹脂層と、蒸着層を有する構成であり、前記吸着剤が、平衡水蒸気圧が13Pa以下の水分吸着剤である真空断熱材。
  2. 水分吸着剤の比表面積が、10m2/g以上である請求項1に記載の真空断熱材。
  3. 水分吸着剤が、水酸化カルシウムの焼成により得た酸化カルシウムである請求項1または2に記載の真空断熱材。
  4. 外被材が、親水基を有する樹脂層の外側に蒸着層を有する構成である請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  5. 分子構造内に親水基を有する樹脂層が、熱溶着層に隣接する請求項1から4のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  6. 分子構造内に親水基を有する樹脂層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂である請求項1から5のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  7. 分子構造内に親水基を有する樹脂層が、ポリアクリル酸系樹脂である請求項1から5のいずれか一項に記載の真空断熱材。
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