JPH06337094A

JPH06337094A - 真空断熱材パック

Info

Publication number: JPH06337094A
Application number: JP5125722A
Authority: JP
Inventors: Yasuaki Tanimoto; 康明谷本; Kazuto Uekado; 一登上門; Noriyuki Miyaji; 法幸宮地
Original assignee: Matsushita Refrigeration Co
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1993-05-27
Filing date: 1993-05-27
Publication date: 1994-12-06

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、冷蔵庫などの断熱材として使用可
能な真空断熱材パックに関するもので、安定した性能を
有する真空断熱パックを得ることを目的としたものであ
る。【構成】ブロ−成形によって得られた中空成形体容器
２と芯材３とによって構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷蔵庫などの断熱材と
して使用可能な真空断熱材パックに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、冷蔵庫の断熱箱体に用いられる断
熱材には、発泡断熱材と共に更に断熱性能が良い真空断
熱材パックが併用され、高断熱性を有するようになって
いる。

【０００３】しかしながら、真空断熱材パックを断熱箱
体に取り付ける場合、真空断熱材パックの周縁部と断熱
箱体の壁面との間に空間が生じてしまう。

【０００４】その結果、断熱箱体に発泡断熱材を充填し
た時に空洞が形成され、これが原因で収縮が生じ外観品
質上の問題があった。

【０００５】このような問題点を解決する手段として特
開昭６３−２０３０８９号公報に記載されているものが
ある。

【０００６】特開昭６３−２０３０８９号公報記載の内
容を図３及び図４を用いて説明する。図において１５は
真空断熱材パックでガスバリヤ−性を有するラミネ−ト
フィルム製の容器１６と連続気泡構造を有する芯材１７
とガスバリヤ−性を有するラミネ−トフィルムからなる
蓋材１８から構成されており、前記容器１６と前記蓋材
１８を重ね合わせ双方の平面部でヒ−トシ−ルされてい
る。

【０００７】このような構成からなる前記真空断熱材パ
ック１５を、前記蓋材１８側を接着面として外箱１９の
内面側に取り付けた断熱箱体２１であるので、真空断熱
材パック１５と外箱１９との間に空間が無い。

【０００８】その結果、断熱箱体２１に発泡断熱材２０
を充填した時における空洞形成が無く、収縮の無い安定
した製品品質の断熱箱体２１が得られるというものであ
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
の真空断熱材パックの場合、成形により容器形状にする
ため、使用される材料の要求特性として優れた成形性と
高いガスバリヤ性が必要になる。

【００１０】成形性を向上させるためには無延伸フィル
ムを適用すればよいが、一般の無延伸フィルムの場合ガ
スバリヤ性が低く、真空断熱材の容器材料として適用し
た場合に所望のガスバリヤ性を得ることができない。

【００１１】このため、経時的な外部からのガス侵入に
よる内圧上昇に起因して断熱性能が悪化する問題があっ
た。

【００１２】一方、ガスバリヤ性に重点を置き二軸延伸
フィルムを適用すれば所望のガスバリヤ性は満足するこ
とができるが、成形加工性が著しく悪化し容器形状がで
きない。

【００１３】この結果、断熱箱体に適用した場合、箱体
内壁面に貼り付ける時に壁面との間に空間が生じる。

【００１４】このため、断熱箱体に発泡断熱材を充填し
た時に空洞が形成され、これが原因で収縮が生じ外観品
質上の問題があった。

【００１５】これらの課題を解決する手段として、容器
に使用される材料の一つとしてエチレンビニルアルコ−
ル共重合体樹脂を適用することが試みられた。

【００１６】エチレンビニルアルコ−ル共重合体樹脂は
結晶化度が非常に高く、また分子の振動エネルギ−が高
いことから優れたガスバリヤ性を示すことが知られてい
る。

【００１７】しかし、材料特性がポリエチレン含有量に
より大きく異なるため、所望の成形性とガスバリヤ性を
満足することができない問題があった。

【００１８】例えば、成形性に重点を置きポリエチレン
含有量を著しく増加させると、材料の展延性は向上する
がポリビニルアルコ−ルの割合が低下することによりガ
スバリヤ性が悪化し、真空断熱材パックに適用すること
ができない。

【００１９】一方、ポリエチレン含有量を低減すれば、
ポリビニルアルコ−ルの割合が増加することにより高い
ガスバリヤ性が得られるが、ポリエチレン含有量が低下
することにより材料の展延性が悪化し、容器形状を得る
ことが困難となり真空断熱材パックに適用することがで
きない問題があった。

【００２０】また、ポリビニルアルコ−ルはＯＨ基を有
しているため水との親和性が強く、吸水しやすい。

【００２１】ポリビニルアルコ−ルが水を吸水すると、
全体の結晶化度が低下することによりガスバリヤ性が悪
化してしまう。

【００２２】このような特性を持つポリビニルアルコ−
ルの含有量を増加させると湿度因子によるガスバリヤ性
の劣化が大きくなり、結果として真空断熱材パックに適
用できない問題があった。

【００２３】本発明は、ポリエチレン含有量の最適化を
図ることにより、所望のガスバリヤ性と優れた成形性を
有する真空断熱材パックを得るとともに、真空断熱材パ
ックを適用した場合に外観変形がない断熱箱体を得るこ
とを目的としたものである。

【００２４】

【課題を解決するための手段】上記従来の課題を解決す
る為、本発明の真空断熱材パックは、断熱性の優れた芯
材と、前記芯材を被うための多層プラスチックからなる
容器とによって構成される真空断熱材パックにおいて、
前記多層プラスチックの少なくとも一層に、ポリエチレ
ン含有量が２０モル％〜５０モル％のエチレンビニルア
ルコ−ル共重合体樹脂層を設けた真空断熱材パックであ
る。

【００２５】また、本発明の断熱箱体は、断熱性の優れ
た芯材と、前記芯材を被うための多層プラスチックから
なる容器とによって構成される真空断熱材パックにおい
て、前記多層プラスチックの少なくとも一層に、ポリエ
チレン含有量が２０モル％〜５０モル％のエチレンビニ
ルアルコ−ル共重合体樹脂を設けた真空断熱材パックを
内箱と外箱の間に設けた断熱箱体である。

【００２６】

【作用】上記構成によって、容器を構成する多層プラス
チックに適用されているエチレンビニルアルコ−ル共重
合体のポリエチレン含有量が２０モル％〜５０モル％で
あるので、エチレンの優れた成形性とビニルアルコ−ル
の優れたガスバリヤ性を兼ね備えることが可能となる。

【００２７】この結果、真空断熱材パックに適用した場
合において、経時変化による内圧上昇に起因した断熱性
能の著しい悪化が解決される。

【００２８】また、容器を構成する多層プラスチックに
適用されているエチレンビニルアルコ−ル共重合体のポ
リエチレン含有量が２０モル％〜５０モル％であるので
成形性に優れており、容器形状にした場合においても形
状確保が容易となる。

【００２９】この結果、断熱箱体に適用した場合におい
て、壁面との間に隙間が生じることなく取り付けること
が可能となり、隙間が原因で生じる外観変形が解決され
るのである。

【００３０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１、図２を用い
て説明する。

【００３１】図において、１は真空断熱材パックであ
り、硬質ウレタンフォ−ムを粉砕して得た断熱性能の優
れた芯材２と、ブロ−成形によって得られた中空成形体
の容器３とによって構成されている。

【００３２】前記容器３の構成は、最外層４に耐薬品性
に優れた１００μの厚みのポリプロピレン樹脂などから
なる樹脂層５、中層６にガスバリヤ性に優れた１００μ
の厚みのポリエチレン含有量が２０モル％〜５０モル％
のエチレンビニルアルコ−ル樹脂からなる樹脂層７、最
内層８に耐薬品性に優れた１００μの厚みのポリプロピ
レン樹脂などからなる樹脂層９から構成されている。

【００３３】ここで、前記樹脂層７に設けたエチレンビ
ニルアルコ−ル樹脂のポリエチレン含有量を１０，２
０，３５，５０，６０モル％にした場合における初期熱
伝導率、室温３０日後の熱伝導率、５０℃９０％ＲＨ中
３０日後の熱伝導率、および成形性評価結果について
(表１)に示す。

【００３４】なお、熱伝導率の測定はダイナテック社の
Ｋ−マチック熱伝導率測定装置を用い、ＡＳＴＭ−Ｃ５
１８に準拠した方法で１３℃と３５℃との温度差におけ
る熱伝導率を測定した。

【００３５】

【表１】

【００３６】表１から明らかなように、ポリエチレン含
有量が２０〜５０モル％のエチレンビニルアルコ−ル共
重合体を中層に適用した容器からなる真空断熱材パック
の経時劣化度および成形性を見ると次のようなことが言
える。

【００３７】室温および湿度雰囲気下での経時劣化度は
それぞれ０．０００８ｗ／ｍｋと０．００１２ｗ／ｍｋ
であり非常に劣化度が小さく、なおかつ成形性に優れて
いる。

【００３８】これに対し、ポリエチレン含有量が１０モ
ル％の場合の結果を見ると、室温および湿度雰囲気下で
の経時劣化度は０．０００８ｗ／ｍｋと０．００１６ｗ
／ｍｋであり、常温での劣化度は小さいが湿度雰囲気下
での劣化度が非常に大きく、かつ成形性も悪い。

【００３９】湿度雰囲気下での経時劣化度が大きい理由
としては、ポリビニルアルコ−ルの割合が増大すること
によりポリマ−中のＯＨ基の割合が増大し、その結果水
との親和性が強くなることに起因して吸水率が増大す
る。

【００４０】この吸水率増大によりポリマ−の結晶化度
が低下するため、ガスバリヤ性が悪化したと考えられ
る。

【００４１】一方、成形性についてはポリエチレン含有
量が低いため、材料の展延性が低くなり、結果として成
形性が悪化したと考える。

【００４２】また、ポリエチレン含有量が６０モル％の
場合の結果を見ると、室温および湿度雰囲気下での経時
劣化度は０．００１２ｗ／ｍｋと０．００１３ｗ／ｍｋ
であり、湿度雰囲気下での劣化度は小さいが常温での劣
化度が大きいことが判る。

【００４３】これは、ポリエチレン含有量の増大によ
り、ポリビニルアルコ−ル含有量が低減し、湿度雰囲気
下での吸水率が低下する。その結果、室温状態と湿度雰
囲気下での結晶化度に差がなくなり湿度状態化での劣化
度が小さくなる。

【００４４】しかし、初期状態での結晶化度が低いため
室温状態でのガスバリヤ性が悪くなってしまうのであ
る。

【００４５】これらの結果より、ガスバリヤ性と成形性
の両方を満足するためには、ポリエチレン含有量を２０
モル％〜５０モル％の範囲にすることが必要である。

【００４６】また、図において１０は断熱箱体であり、
内箱１１と外箱１２と前記内箱１１と前記外箱１２によ
って形成された空間部１３に真空断熱材パック１４を設
けて構成されている。

【００４７】このような構成からなる前記断熱箱体１０
は、前記真空断熱材パック１４に適用されている容器の
少なくとも一層に、ポリエチレン含有量が２０モル％〜
５０モル％のエチレンビニルアルコ−ル共重合体樹脂を
設けているので、成形性が優れており前記空間部１３に
前記真空断熱材パック１４を設けた時における隙間形成
がなく、これが原因で生じる外観変形といった問題が解
決されるのである。

【００４８】

【発明の効果】以上のように本発明の真空断熱材パック
は、断熱性の優れた芯材と、前記芯材を被うための多層
プラスチックからなる容器とによって構成される真空断
熱材パックにおいて、前記多層プラスチックの少なくと
も一層にポリエチレン含有量が２０モル％〜５０モル％
のエチレンビニルアルコ−ル共重合体樹脂層を設けた真
空断熱材パックであるので、優れた成形性と高いガスバ
リヤ性を有することが可能となり、結果として経時変化
の小さい真空断熱材パックを得ることができるのであ
る。

【００４９】また、本発明の断熱箱体は断熱性の優れた
芯材と、前記芯材を被うための多層プラスチックからな
る容器とによって構成される真空断熱材パックにおい
て、前記多層プラスチックの少なくとも一層に、ポリエ
チレン含有量が２０モル％〜５０モル％のエチレンビニ
ルアルコ−ル共重合体樹脂を設けた真空断熱材パックを
内箱と外箱の間に設けた断熱箱体であるので成形性に優
れており、断熱箱体に適用した場合における隙間形成が
なくこれが原因で生じる外観変形といった問題が解決さ
れるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における真空断熱材パックの
断面図

【図２】本発明の一実施例における断熱箱体の断面図

【図３】従来の真空断熱材パックの断面図

【図４】従来の断熱箱体の要部拡大断面図

【符号の説明】

１真空断熱材パック２芯材３容器

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】断熱性の優れた芯材と、前記芯材を被う
ための多層プラスチックからなる容器とによって構成さ
れる真空断熱材パックにおいて、前記多層プラスチック
の少なくとも一層に、ポリエチレン含有量が２０モル％
〜５０モル％のエチレンビニルアルコ−ル共重合体樹脂
層を設けた真空断熱材パック。
【請求項２】断熱性の優れた芯材と、前記芯材を被う
ための多層プラスチックからなる容器とによって構成さ
れる真空断熱材パックにおいて、前記多層プラスチック
の少なくとも一層に、ポリエチレン含有量が２０モル％
〜５０モル％のエチレンビニルアルコ−ル共重合体樹脂
を設けた真空断熱材パックを内箱と外箱の間に配設した
ことを特徴とする断熱箱体。