JP2007293324A - 光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】干渉縞の発現を効果的に抑制ないしは防止しつつ、高い表面硬度を発揮できる光学積層体を提供する。
【解決手段】光透過性基材の上に、少なくとも(1)上記基材に隣接するハードコート層A及び(2)ハードコート層Bが形成されてなる積層体であって、上記基材とハードコート層Aとの界面が実質的に存在しないことを特徴とする光学積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な光学積層体に関する。
陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機又は無機のエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又は液晶ディスプレイ(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射又は像の写り込みによるコントラストの低下、視認性の低下を防止することが要求される。このため、光の散乱原理又は光学干渉の原理を用いて像の写り込み又は反射率を低減する目的で画像表示装置の最表面に、反射防止積層体が設けられることが一般的である。
上記反射防止積層体では、透明材料上にハードコートを形成したり、あるいはハードコート上に所望の機能(例えば、帯電防止性、防汚性、反射防止性等)を付与するためにさらに他の層を形成させることが行われている。
しかし、透明基材上にハードコート等を形成させた場合、透明基材表面の反射光とハードコート表面の反射光とが干渉して、膜厚のムラに起因して干渉縞と呼ばれるムラ模様となって現れ、外観が損なわれるという問題点が生じる。
この問題を解決するためには、光学的にはハードコート層等の厚みを数μm以上に極端に厚くする方法、あるいは100nm程度まで薄くするという方法がある。しかし、前者では、クラックが生じるほか、コストがかかる等の理由で実用性に欠ける。後者では、十分な表面硬度が確保できなくなるという問題がある。
特開2005−107005
従って、本発明の主な目的は、干渉縞の発現を効果的に抑制ないしは防止しつつ、高い表面硬度を発揮できる光学積層体を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、光透過性基材の上に、少なくとも(1)上記基材に隣接するハードコート層A及び(2)ハードコート層Bが形成されてなる積層体であって、上記基材とハードコート層Aとの界面が実質的に存在しないことを特徴とする光学積層体である。
上記ハードコート層Bは、6以上の官能基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物Bを用いて形成されてなるものであることが好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、重量平均分子量1000〜50000であることが好ましい。
上記ハードコート層Aは、重量平均分子量200以上であり、かつ、3以上の官能基を有する化合物Aを含む組成物Aを用いて形成されてなるものであることが好ましい。
上記化合物Aは、(メタ)アクリレート系化合物及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物の少なくとも1種であることが好ましい。
上記組成物Aは、上記基材に対して浸透性又は溶解性を有する溶剤を含むものであることが好ましい。
上記光学積層体は、干渉縞が実質的に存在しないものであることが好ましい。
上記ハードコート層A及び上記ハードコート層Bの鉛筆硬度が4H以上であることが好ましい。
上記ハードコート層Aのビッカース硬度は450N/mm以上であり、ハードコート層Bのビッカース硬度は550N/mm以上であることが好ましい。
上記光学積層体は、1)ハードコート層Aとハードコート層Bとの間、2)ハードコート層Bの上又は3)ハードコート層Aの下に、帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層又はこれらの2種以上の層を形成してなるものであることが好ましい。
上記光学積層体は、反射防止用積層体として用いられるものであることが好ましい。
本発明はまた、光透過性基材の上に組成物Aを塗布してハードコート層Aを形成する工程(1)、及び、上記ハードコート層Aの上に組成物Bを塗布してハードコート層Bを形成する工程(2)を有する光学積層体の製造方法であって、上記組成物Aは、重量平均分子量200以上であり、かつ3以上の官能基を有する化合物A、及び、上記光透過性基材に対して浸透性又は溶解性を有する溶剤を含み、上記組成物Bは、6以上の官能基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含むことを特徴とする光学積層体の製造方法でもある。
本発明の光学積層体は、少なくとも特定の2つのハードコート層の形成により、基材とハードコート層Aとの界面が実質的に存在しない状態を実現することができる。これにより、干渉縞の発生を抑制ないしは防止できるとともに、高い表面硬度を発揮することができる。また、本発明の積層体は、上記構成により、加工時におけるカールも効果的に抑制することができる。
本発明による光学積層体は、ハードコート積層体として、好ましくは反射防止積層体(防眩性積層体としての利用を含む)として好適に用いることができる。また、本発明による光学積層体は、透過型表示装置に利用される。特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサ等のディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、液晶パネル等のディスプレイの表面に好ましく用いられる。
本発明の光学積層体は、光透過性基材の上に、少なくとも(1)上記基材に隣接するハードコート層A及び(2)ハードコート層Bが形成されてなる積層体であって、上記基材とハードコート層Aとの界面が実質的に存在しないことを特徴とする。
なお、本明細書では、アクリレート及びメタクリレートを総称して(メタ)アクリレートをいうことがある。
以下、本発明の光学積層体の各層について説明する。なお、本発明では、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体を、特別な記載がない限り、総称して“樹脂”と表記する。
光透過性基材
光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。特に好ましくは、セルローストリアセテートが挙げられる。
これらの材料は市販品を用いることもできる。例えば、ポリエステル樹脂としては、東洋紡社製の製品名「A−4100」、「A−4300」等が好ましい。また、セルローストリアセテートとしては、富士写真フィルム社製の製品名「TF80UL」、「FT TDY80UL」等が好ましい。
上記光透過性基材は、上記熱可塑性樹脂を柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板を使用することも可能であり、又は、ガラス板の板状体のものを使用してもよい。
その他、上記光透過性基材としては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムを挙げることができる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製のスミライトFS−1700、JSR(株)製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、セルローストリアセテートの代替基材として旭化成ケミカルズ(株)製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
光透過性基材の厚さは、20μm以上300μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以上200μm以下である。光透過性基材が板状体の場合には、これらの厚さを超える厚さ300μm以上5000μm以下であってもよい。基材は、その上にハードコート層、帯電防止層等を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
ハードコート層
本発明における「ハードコート層」とは、JIS5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。
本発明では、少なくとも(1)基材に隣接するハードコート層A及び(2)最表面層としてのハードコート層Bが形成されてなる。ハードコート層Aにより、干渉縞の発生を抑制ないしは防止することができる。また、ハードコート層Aは、積層体のカールも効果的に抑制することができる。ハードコート層Bにより、所定の硬度を確保することができる。このように、2層のハードコート層を有する層構造とすることにより、干渉縞の問題と表面硬度の問題とを一挙に解消することが可能となる。
各ハードコート層の厚みは、所望の特性等に応じて適宜設定できるが、通常は0.1〜100μm、特に0.8〜20μmとなるように形成することが望ましい。
各ハードコード層は、透明性を有する限り制限されない。例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂(電離放射線硬化型樹脂)、溶剤乾燥型樹脂、熱硬化型樹脂等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの樹脂自体は、公知又は市販のものを使用することができる。本発明では、電離放射線硬化型樹脂を用いるのが好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
各ハードコート層の形成にあっては、例えば原料成分を含む組成物(ハードコート層形成用組成物)を用いて形成することができる。より具体的には、原料成分及び必要に応じて添加剤を溶剤に溶解又は分散してなる溶液又は分散液をハードコート層形成用組成物として用い、上記組成物による塗膜を形成し、上記塗膜を硬化させることにより、各ハードコート層をそれぞれ得ることができる。
上記組成物の調製方法は、各成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ニーダー、ミキサー等の公知の装置を使用して混合することができる。
塗膜の形成方法は、公知の方法に従えば良い。例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
得られた塗膜の硬化方法は、上記組成物の内容等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、紫外線硬化型であれば、塗膜に紫外線を照射することにより硬化させれば良い。
各ハードコート層A又はハードコート層Bの形成に用いる組成物A又は組成物Bとしては、透明性を有する上記樹脂の原料成分となるものを用いれば良く、上記樹脂の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルへキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー;ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等の多官能性モノマー等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明では、これらの中でも、エチル(メタ)アクリレート、エチルへキシル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系化合物の少なくとも1種を好適に用いることができる。すなわち、アクリレート化合物及び/又はメタクリレート化合物の少なくとも1種を好適に用いることができる。
組成物A又は組成物Bにおいては、必要に応じて溶剤を用いることができる。溶剤としては、用いる原料成分の種類等に応じて公知の溶剤の中から適宜選択することができる。
例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。より好ましい溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等の少なくとも1種が挙げられる。
特に、組成物Aに用いる溶剤としては、用いる光透過性基材に対して浸透性を有するものを好適に用いることができる。例えば、光透過性基材としてセルロース系樹脂を用いる場合には、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等を好適に用いることができる。
組成物A又は組成物Bで溶剤を用いる場合、溶剤の使用量は、各組成物の固形分含有量が5〜80質量%程度となるように適宜設定すれば良い。
(ハードコート層A)
特に、ハードコート層Aを形成するための組成物Aとしては、原料成分として、重量平均分子量200以上であり、かつ、3以上の官能基を有する化合物(化合物A)を含む組成物(混合物)を用いることが好ましい。このような化合物Aを用いることにより、干渉縞の発生を効果的に抑制することができる。
上記重量平均分子量は、通常は200以上とすれば良いが、好ましくは250以上、より好ましくは300以上、最も好ましくは350以上とする。上記重量平均分子量の上限は限定的ではないが、通常は4万程度とすれば良い。また、上記の官能基の数は、一般的には3以上であるが、好ましくは3を超える数とし、より好ましくは4以上、最も好ましくは5以上とする。上記の官能基の数の上限は限定的ではないが、通常は15程度とすれば良い。
上記化合物Aは、上記の重量平均分子量及び官能基数を有するものであれば良いが、上述のとおり、(メタ)アクリレート系化合物及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物の少なくとも1種を好適に用いることができる。例えば、上記の重量平均分子量及び官能基数を有するポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の少なくとも1種を好ましく用いることができる。
これらは公知又は市販のものを用いることができる。組成物A中における化合物Aの含有割合(固形分)は限定的ではないが、通常は50〜100質量%(特に90〜100質量%)とすれば良い。化合物A以外の成分として、重合開始剤あるいは後記の添加剤のほか、重量平均分子量200未満の化合物等が含まれていても良い。
(ハードコート層B)
特に、ハードコート層Bを形成するための組成物Bとしては、原料成分として、6以上(好ましくは6以上15以下)の官能基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物(混合物)を用いることが望ましい。上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、特に重量平均分子量1000〜50000(好ましくは1500〜40000)のウレタン(メタ)アクリレート系化合物の少なくとも1種を好適に用いることができる。
また、本発明では、上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物に加え、さらに3以上6以下の官能基を有する(メタ)アクリレート系化合物(但し、上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を除く。)を併用することもできる。上記(メタ)アクリレート系化合物としては、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の少なくとも1種を好適に用いることができる。
組成物B中における上記(メタ)アクリレート系化合物及び上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の合計の含有割合(固形分)は限定されないが、通常は10〜100質量%(特に20〜100質量%)とすれば良い。これらの化合物以外の成分として、後記の添加剤のほか、3未満の官能基を有する化合物等が含まれていても良い。
また、上記(メタ)アクリレート系化合物と上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物との割合は限定的ではないが、通常は上記(メタ)アクリレート系化合物と上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物との合計100質量%中、上記(メタ)アクリレート系化合物が0〜90質量%(特に5〜90質量%)とし、上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物が100〜10質量%(特に10〜95質量%)とすることが好ましい。
その他の成分
本発明では、組成物A又は組成物Bには、必要に応じて重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等の添加剤が含まれていても良い。
重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、αーアミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキサントン類等を適用することができる。また、必要に応じて、光増感剤、光重合促進剤を添加する。上記光増感剤、光重合促進剤としては、公知のものであればよく、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジル;ジアセチル;アセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド化合物;α−クロルメチルナフタリン;アントラセン及びヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、チオキサントン、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を挙げることができる。
具体的には、アセトフェノン系光重合開始剤に対し、ベンゾフェノン又はチオキサントン光増感剤を用いることが好ましい。
帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基等のアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系等の両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系等のノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
また、帯電防止剤として、導電性微粒子が挙げられる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。上記微粒子の平均粒径は、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
また、帯電防止剤として、導電性ポリマーが挙げられる。その材料としては特に限定されず、例えば、脂肪族共役系のポリアセチレン、ポリアセン、ポリアズレン、芳香族共役系のポリフェニレン、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、ポリチエニレンビニレン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、これらの導電性ポリマーの誘導体、及び、これらの共役高分子鎖を飽和高分子にグラフト又はブロック共重した高分子である導電性複合体からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。なかでも、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール等の有機系帯電防止剤を使用することがより好ましい。上記有機系帯電防止剤を使用することによって、優れた帯電防止性能を発揮すると同時に、光学積層体の全光線透過率を高めるとともにヘイズ値を下げることも可能になる。また、導電性向上や、帯電防止性能向上を目的として、有機スルホン酸や塩化鉄等の陰イオンを、ドーパント(電子供与剤)として添加することもできる。ドーパント添加効果も踏まえ、特にポリチオフェンは透明性、帯電防止性が高く、好ましい。上記ポリチオフェンとしては、オリゴチオフェンも好適に使用することができる。上記誘導体としては特に限定されず、例えば、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレンのアルキル基置換体等を挙げることができる。
防眩剤としては、例えば各種の微粒子を用いることができる。その形状は、真球状、楕円状等のいずれであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、上記微粒子は無機系又は有機系のものが挙げられる。上記微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものが良い。上記微粒子の具体例としては、有機系であればプラスチックビーズ、無機系であればシリカビーズが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.535)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.52〜1.66)、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。シリカビーズとしては、球状シリカ、不定形シリカ等を挙げることができる。その他、有機・無機複合のシリカ・アクリル複合化合物ビーズ(屈折率1.52)なども用いられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
この場合、沈降防止剤を併用することが好ましい。沈降防止剤を添加することにより、樹脂ビーズの沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μm程度のシリカビーズが挙げられる。
その他の層
本発明の基本層構成として、光透過性基材の上に、少なくともハードコート層A及びハードコート層Bが形成されていれば良い。例えば、光透過性基材上に隣接してハードコート層Aが形成され、ハードコート層Aに隣接してハードコート層Bが形成されてなる3層構造が挙げられる。この場合、本発明積層体の光透過性等を損わない範囲内で、必要に応じて1)ハードコート層Aとハードコート層Bの層間、2)ハードコート層Bの上又は3)ハードコート層Aの下に他の層(帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層、接着剤層、他のハードコート層等)の1層又は2層以上を適宜形成することができる。これらの層は、公知の反射防止用積層体と同様のものを採用することもできる。
(帯電防止層)
帯電防止層は、帯電防止剤及び樹脂を含む組成物により形成できる。この場合、溶剤を使用することもできる。帯電防止剤及び溶剤としては、上述のハードコート層の項で説明したものを使用することができる。帯電防止層の厚さは限定されないが、30nm〜1μm程度とすることが好ましい。
上記樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂もしくは電離放射線硬化性化合物(有機反応性ケイ素化合物を含む)を使用することができる。これらのうち、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂もしくは電離放射線硬化性化合物が好ましい。特に、電離放射線硬化性樹脂及び/又は電離放射線硬化性化合物を用いることが最も好ましい。
電離放射線硬化性化合物は、これを含む電離放射線硬化性組成物として用いることができる。電離放射線硬化性化合物としては、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー及びプレポリマーの少なくとも1種を用いることができる。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
電離放射線硬化性組成物中のプレポリマー又はオリゴマーとしては、例えば不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類;ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類のほか、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
電離放射線硬化性組成物中のモノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルへキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類;エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物;ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアタリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物(例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等)の少なくとも1種を挙げることができる。
通常、電離放射線硬化性組成物中のモノマーとしては、上記化合物を必要に応じて1種又は2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために上記モノマーのプレポリマー又はオリゴマーを5質量%以上とし、上記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95質量%以下とするのが好ましい。
帯電防止層にフレキシビリティーが要求される場合は、モノマー量を減らすか、あるいは官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用することが望ましい。また、帯電防止層に耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性等が要求される場合は、例えば官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使うことが好ましい。ここで、官能基数が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−へキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げられる。官能基数が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基数が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
帯電防止層のフレキシビリティー、表面硬度等の物性を調整するため、必要に応じて、電離放射線照射で硬化しない樹脂を電離放射線硬化性組成物に添加することもできる。上記樹脂として、例えばポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上が挙げられる。この中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の少なくとも1種がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。電離放射線硬化性組成物の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤又は光重合促進剤を添加すれば良い。光重合開始剤として、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、例えばアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等の単独又は2種以上を用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、例えば芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等の単独又は2種以上を用いることができる。光重合開始剤の添加量は、用いる光重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すれば良いが、電離放射線硬化性組成物100質量部に対して0.1〜10質量部程度とすれば良い。
電離放射線硬化性組成物には、必要に応じて反応性の有機ケイ素化合物を併用することができる。例えば、一般式RmSi(OR’)n(但し、R及びR’は、互いに同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキル基を示す。m及びnは、各々がm+n=4の関係を満たす整数を示す。)で示される化合物を用いることができる。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、へキシルトリメトキシシラン等の少なくとも1種が挙げられる。
この場合、電離放射線硬化性組成物に併用し得る有機ケイ素化合物として、シランカップリング剤を必要に応じて併用することができる。シランカップリング剤としては、具体的にはγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等の少なくとも1種が挙げられる。
(防眩層)
防眩層は、例えば透過性基材とハードコート層又は低屈折率層(後記)との間に形成されて良い。防眩層は、樹脂及び防眩剤を含む樹脂組成物から形成されて良い。
上記樹脂としては、ハードコート層の項で説明したものから適宜選択して使用することができる。
防眩剤としては、各種の微粒子を用いることができる。微粒子の平均粒径は限定的ではないが、一般的には0.01〜20μm程度とすれば良い。また、微粒子の形状は、真球状、楕円状等のいずれであっても良く、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、上記微粒子は、無機系又は有機系のものが挙げられる。
上記微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものが良い。微粒子の具体例としては、無機系であればシリカビーズ、有機系であればプラスチックビーズが挙げられる。
プラスチックビーズの具体例としては、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.535)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.52〜1.66)、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物ビーズ(屈折率1.66)ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。シリカビーズとしては、球状シリカ、不定形シリカ等を挙げることができる。その他、有機・無機複合のシリカ・アクリル複合化合物ビーズ(屈折率1.52)なども用いられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
上記微粒子は、その平均粒径をR(μm)とし、防眩層凹凸の十点平均粗さをRz(μm)とし、防眩層の凹凸平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をβaとした場合に、下記数式:
30≦Sm≦600
0.05≦Rz≦1.60
0.1≦θa≦2.5
0.3≦R≦15
を全て満たすものが好ましい。
Sm(μm)とは、この防眩層の凹凸の平均間隔を表し、θa(度)は凹凸部の平均傾斜角を表すものであり、(Rz)は、10点平均粗さを表すものであり、その定義は、表面粗さ測定器:SE−3400/(株)小坂研究所製取り扱い説明書(1995.07.20改訂)に該当するものである。
θaは角度単位であり、傾斜を縦横比率で表したものがΔaである場合、
Δa=tanθa=(各凹凸の極小部と極大部の差(各凸部の高さに相当)の総和/基準長さ)で求められる。基準長さとは、測定機SE−3400で粗さ曲線のカットオフ値λc、実際に触針する評価長さにあたる。
また、本発明の別の好ましい様態によれば、上記微粒子と上記樹脂組成物の屈折率をそれぞれ、n1、n2とした場合に、Δn=|n1−n2|<0.1を満たすし、かつ、防眩層内部のへイズ値が55%以下である防眩層が好ましい。
微粒子の添加量は、用いる微粒子の種類、所望の防眩性等によるが、上記樹脂組成物100質量部に対し、通常は2〜30質量部、好ましくは10〜25質量部程度とすれば良い。
防眩層用組成物を調製する際に沈降防止剤を添加しても良い。沈降防止剤を添加することにより、樹脂ビーズの沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、シリカビーズ等のビーズ類を使用することができる。
ビーズ類の平均粒径は限定されないが、一般的には0.5μm以下とし、好ましくは0.1〜0.25μmとする。
防眩層の膜厚(硬化時)は、一般的には0.1〜100μm程度、特に0.8〜10μmの範囲とすることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
(低屈折率層)
低屈折率層は、外部からの光(例えば、蛍光灯、自然光等)が光学積層体の表面にて反射する際、その反射率を低くするという役割を果たす層である。
低屈折率層は、例えば、防眩層の表面に形成された場合、その屈折率が防眩層より低いものである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。
低屈折率層は、1)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有する材料、2)低屈折率樹脂であるフッ素系材料、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系材料、4)シリカ又はフッ化マグネシウムの薄膜等のいずれかで構成されていてもよい。
上記フッ素系材料とは、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体である。重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基(電離放射線硬化性基)や熱で硬化する極性基(熱硬化極性基)等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。
フッ素原子を含有する電離放射線硬化性基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソールなど)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物などもある。
フッ素原子を含有する熱硬化性極性基を有する重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品などを例示することができる。上記熱硬化性極性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基が好ましく挙げられる。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカなどの無機超微粒子との親和性にも優れている。
電離放射線硬化性基と熱硬化性極性基とを併せ持つ重合性化合物(フッ素系樹脂)としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
フッ素原子を含有する上記重合性化合物の重合体としては、例えば、上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体;などが挙げられる。
また、これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も、上記重合性化合物の重合体として用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサンや、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが例示できる。中でもジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
上記したほか、さらには、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等のイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオール等のフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物;なども、フッ素系材料として用いることができる。
低屈折率層の形成にあっては、例えば原料成分を含む組成物(屈折率層形成用組成物)を用いて形成することができる。より具体的には、原料成分(樹脂等)及び必要に応じて添加剤(例えば、後述の「空隙を有する微粒子」、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等)を溶剤に溶解又は分散してなる溶液又は分散液を、低屈折率層形成用組成物として用い、上記組成物による塗膜を形成し、上記塗膜を硬化させることにより低屈折率層を得ることができる。なお、重合開始剤、防眩剤等の添加剤は、例えば、ハードコート層で上述したものが挙げられる。
溶剤もハードコート層で上述したものが挙げられ、好ましくは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、t−ブタノール、ジエチルケトン、PGME等である。
上記組成物の調製方法は、成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、ハードコート層の形成で上述した公知の装置を使用して混合することができる。
塗膜の形成方法は、公知の方法に従えば良い。例えば、ハードコート層の形成で上述した各種方法を用いることができる。
得られた塗膜の硬化方法は、組成物の内容等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、紫外線硬化型であれば、塗膜に紫外線を照射することにより硬化させれば良い。
上記低屈折率層においては、低屈折率剤として、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。「空隙を有する微粒子」は防眩層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることができる。本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、被膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。この微粒子を使用した低屈折率層は、屈折率を1.30〜1.45に調節することが可能である。
空隙を有する無機系の微粒子としては、例えば、特開2001−233611号公報に記載された方法によって調製されたシリカ微粒子を挙げることができる。特開平7−133105、特開2002−79616号公報、特開2006−106714号公報等に記載された製法によって得られるシリカ微粒子であってよい。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
被膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラム及び表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子又は断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、防眩層に優れた透明性を付与することが可能となる。なお、上記平均粒子径は、動的光散乱法などという方法によって測定した値である。「空隙を有する微粒子」は、上記低屈折率層中にマトリックス樹脂100質量部に対して、通常0.1〜500質量部程度、好ましくは10〜200質量部程度とするのが好ましい。
低屈折率層の形成においては、上記低屈折率層形成用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、好ましくは0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止膜を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ基材に対する密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、防眩層の項で説明したのと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
低屈折率層の膜厚(nm)dは、下記式(I):
=mλ/(4n) (I)
(上記式中、
は低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
また、本発明にあっては、低屈折率層は下記数式(II):
120<n<145 (II)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(防汚層)
防汚層は、光学積層体の最表面に汚れ(指紋、水性又は油性のインキ類、鉛筆等)が付着しにくく、又は付着した場合でも容易に拭取ることができるという役割を担う層である。本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けても良く、特に低屈折率層が形成された光透過性基材の一方の面と反対の両側に防汚層が設けることが好ましい。防汚層の形成により、光学積層体(反射防止用積層体)に対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。低屈折率層がない場合でも、最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けても良い。
防汚層は、一般的には、防汚層用剤及び樹脂を含む組成物により形成することができる。防汚層用剤の具体例としては、分子中にフッ素原子を有する電離放射線硬化型樹脂組成物への相溶性が低く、低屈折率層中に添加することが困難とされるフッ素系化合物及び/又はケイ素系化合物、分子中にフッ素原子を有する電離放射線硬化型樹脂組成物及び微粒子に対して相溶性を有するフッ素系化合物及び/又はケイ素系化合物が挙げられる。これらは公知又は市販のものを使用することができる。
防汚層は、例えばハードコート層Bの上に形成することができる。特に、防汚層が最表面になるように形成することが望ましい。防汚層は、例えばハードコート層B自身に防汚性能を付与することにより代替することもできる。
光学積層体における界面等
本発明の光学積層体は、界面が実質的に存在しない。ここで、「界面が(実質的に)存在しない」とは、1)二つの層面が重なり合ってはいるが実際に界面が存在しないこと、及び2)屈折率からみて両者の面に界面が存在していないと判断される場合をも含むものをいう。「界面が(実質的に)存在しない」との具体的な基準としては、例えば次のようにする。すなわち、光学積層体の干渉縞観察(サンプル裏面に黒テープを貼り、3波長蛍光灯で上から目視観察)により干渉縞が目視される場合には、断面をレーザー顕微鏡により観察すると、界面が確認される。これを「界面が存在する」と認定し、干渉縞観察にて干渉縞が目視で確認できない若しくは、極めて弱い場合には、レーザー顕微鏡観察では、界面が見られない、もしくは極めて薄くしか見えない状態となる。これを「界面が実質的に存在しない」と認定する。
レーザー顕微鏡は、各界面からの反射光を読み取り、非破壊的に断面観察できる。このため、屈折率差がある材料で多層にしたものの断面観察を行い、界面の存在が確認出来無い、若しくは極めて弱い場合は、界面が実質的に存在しないと判断できる。このことから、基材とハードコート層の間に界面が存在しないと判断しうる。
また、本発明の光学積層体は、界面が実質的に存在しないことが好ましい。少なくとも干渉縞が視認されないことが望ましい。
本発明の光学積層体においては、ハードコート層A及びBともに所定の硬度を達成することができる。この場合、ハードコート層Aは、鉛筆硬度4H以上であることが望ましい。ハードコート層Aは、ビッカース硬度は450N/mm以上であることが望ましい。また、ハードコート層Bは、鉛筆硬度4H以上であることが望ましい。ハードコート層Bは、ビッカース硬度は550N/mm以上であることが望ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
<製造例1>
ハードコート層形成用組成物として、下記に示す組成A〜組成Iをそれぞれ調製した。
組成A
・ポリエステルアクリレート(東亞合成社製;M9050、3官能、分子量418): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・メチルエチルケトン(以下、「MEK」という): 10質量部
組成B
・ポリエステルアクリレート(東亞合成社製;M9050、3官能、分子量418): 5質量部
・ウレタンアクリレート(日本化薬社製;DPHA40H、10官能、分子量約7000): 5質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成C
・ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製;M240、2官能、分子量302): 2質量部
・ウレタンアクリレート(日本化薬社製;DPHA40H、10官能、分子量 約7000): 6質量部
・ウレタンアクリレート(荒川化学社製;BS371、10官能以上、分子量 約4万): 2質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成D
・ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製;M240、2官能、分子量302): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成E
・ウレタンアクリレート(日本合成社製;紫光UV3520−TL、2官能、分子量14000): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成F
・ウレタンアクリレート(日本合成社製;紫光UV1700B、10官能、分子量2000): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成G
・ポリエステルアクリレート(東亞合成社製;M9050、3官能、分子量418): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・トルエン: 10質量部
組成H
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製;DPHA、6官能、分子量524): 2.5質量部
・ウレタンアクリレート(日本合成社製;紫光UV1700B、10官能、分子量2000): 2.5質量部
・ウレタンアクリレート(荒川化学社製;BS371、10官能以上、分子量約4万): 2.5質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE127): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成I
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製;DPHA、6官能、分子量524): 2質量部
・ウレタンアクリレート(日本合成社製;紫光UV1700B、10官能、分子量2000): 2質量部
・ウレタンアクリレート(荒川化学社製;BS371、10官能以上、分子量約4万): 3質量部
・表面処理されたコロイダルシリカ: 3質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
<製造例2>
ハードコート層形成用組成物として、下記の組成a〜組成e及び組成a’をそれぞれ調製した。
組成a
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製DPHA、6官能、分子量547): 5質量部
・ウレタンアクリレート(荒川化学社製;BS371、10官能以上、分子量 約4万): 5質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成b
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製PET30、3官能、分子量298): 5質量部
・ウレタンアクリレート(根上工業社製;HDP、10官能、分子量4500): 5質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
組成c
・ウレタンアクリレート(日本合成社製;紫光UV1700B、10官能、分子量2000): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
組成d
・イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(東亞合成社製;M215、2官能、分子量369): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
組成e
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製DPHA、6官能、分子量547): 10質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
組成a’
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製DPHA、6官能、分子量547): 5質量部
・ウレタンアクリレート(荒川化学社製;BS371、10官能以上、分子量 約4万): 5質量部
・防汚剤(日本化薬社製UT3971): 0.5質量部
・重合開始剤(チバスペシャリティ製;IRGACURE184): 0.4質量部
・MEK: 10質量部
<実施例1>
セルローストリアセテートフィルム(厚み80μm)の片面に、下層のハードコート層A形成用組成物として組成Aの樹脂配合物を、湿潤重量26g/m(乾燥重量13g/m)で塗布した。70℃にて60秒乾燥し、紫外線50mJ/cmを照射して下地用のハードコート層Aを形成した。
さらに、ハードコート層Aの上に、上層のハードコート層B形成用組成物として組成aの樹脂配合物を、湿潤重量26g/m(乾燥重量13g/m)で塗布した。70℃にて60秒乾燥し、紫外線200mJ/cmを照射することによりハードコート層Bを形成し、目的とする光学積層体を得た。
<実施例2〜11>
ハードコート層の形成において、下層のハードコート層A形成用組成物、及び、上層のハードコート層B形成用組成物として、それぞれ表1に示す樹脂配合物の組み合せ及び塗工量で各層を形成したほかは、実施例1と同様にして実施例2〜11の光学積層体をそれぞれ得た。
<比較例1〜6>
ハードコート層の形成において、下層のハードコート層A形成用組成物、及び、上層のハードコート層B形成用組成物として、それぞれ表2に示す樹脂配合物の組み合せ及び塗工量で各層を形成したほかは、実施例1と同様にして比較例1〜6の光学積層体を得た。
<試験例1>
各実施例及び比較例で得られた光学積層体について、下記評価基準に基づいて評価した。その結果を表1及び表2に示す。
(1)干渉縞有無試験
光学積層体のハードコート層と逆の面に、裏面反射を防止するための黒色テープを貼り、ハードコート層の面から光学積層体を目視により観察し、下記評価基準にて評価した。
評価基準
評価○:干渉縞の発生はなかった。
評価×:干渉縞の発生があった。
(2)鉛筆硬度試験
鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製したハードコートフィルム(上記光学積層体(以下同じ。))を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆(硬度4H)を用いて、JIS−K−5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い、4.9Nの荷重にて実施した。
評価基準
評価○:傷なし/測定回数=4/5,5/5
評価×:傷なし/測定回数=0/5,1/5,2/5,3/5
(3)カール試験
作製したハードコートフィルムを横×縦=10cm×10cmの大きさにカットし、温度20℃、相対湿度60%環境下にて平板上に静置した際の四隅の浮き上がりを測定し、その平均値をカール高さとした。
評価基準
評価○:25mm以下
評価×:26mmよりも大きい(筒状になり測定不可能の場合も×とした)
(4)クラック試験
作製したハードコートフィルムを10cm×5cmの大きさにカットし、直径16mmの円筒状の金属パイプに巻きつけ、巻きつけ後にフィルムを元の状態に戻し、目視にてクラックの有無を確認した。
評価基準
評価○:クラックなし
評価×:クラックあり
Figure 2007293324
Figure 2007293324
表1及び表2の結果からも明らかなように、本発明では、硬度、耐クラック性等に優れ、干渉縞も認められない積層体を得られることがわかる。
本発明により、干渉縞の発現を効果的に抑制ないし防止しつつ、高い表面硬度を発揮できる光学積層体を得ることができる。本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等に好適に適用することができる。
本発明の実施例で作成された光学積層体の層構成(断面)を示す図である。

Claims (12)

  1. 光透過性基材の上に、少なくとも(1)前記基材に隣接するハードコート層A及び(2)ハードコート層Bが形成されてなる積層体であって、前記基材とハードコート層Aとの界面が実質的に存在しないことを特徴とする光学積層体。
  2. ハードコート層Bが、6以上の官能基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物Bを用いて形成されてなる、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物が重量平均分子量1000〜50000である、請求項2に記載の光学積層体。
  4. ハードコート層Aが、重量平均分子量200以上であり、かつ、3以上の官能基を有する化合物Aを含む組成物Aを用いて形成されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の光学積層体。
  5. 化合物Aが、(メタ)アクリレート系化合物及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物の少なくとも1種である、請求項4に記載の光学積層体。
  6. 組成物Aが、前記基材に対して浸透性又は溶解性を有する溶剤を含む、請求項4又は5に記載の光学積層体。
  7. 干渉縞が実質的に存在しない、請求項1〜6のいずれかに記載の光学積層体。
  8. ハードコート層A及びハードコート層Bの鉛筆硬度が4H以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体。
  9. ハードコート層Aのビッカース硬度が450N/mm以上であり、ハードコート層Bのビッカース硬度が550N/mm以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の光学積層体。
  10. 1)ハードコート層Aとハードコート層Bとの間、2)ハードコート層Bの上又は3)ハードコート層Aの下に、帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層又はこれらの2種以上の層を形成してなる、請求項1〜9のいずれかに記載の光学積層体。
  11. 反射防止用積層体として用いられる、請求項1〜10のいずれかに記載の光学積層体。
  12. 光透過性基材の上に組成物Aを塗布してハードコート層Aを形成する工程(1)、及び、
    前記ハードコート層Aの上に組成物Bを塗布してハードコート層Bを形成する工程(2)を有する光学積層体の製造方法であって、
    前記組成物Aは、重量平均分子量200以上であり、かつ3以上の官能基を有する化合物A、及び、前記光透過性基材に対して浸透性又は溶解性を有する溶剤を含み、
    前記組成物Bは、6以上の官能基を有するウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含む
    ことを特徴とする光学積層体の製造方法。
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