JP4883387B2 - 光学積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、界面反射と干渉縞を防止した光学積層体に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)又は陰極管表示装置(CRT)等の画像表示装置における画像表示面は、外部光源から照射された光線による反射を少なくし、その視認性を高めることが要求される。これに対して、光透過性基材に、防眩層または反射防止層を形成させた光学積層体(例えば、反射防止積層体)を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の反射を低減させ視認性を向上させることが一般になされている。
しかしながら、屈折率の差が大きい層を積層させた光学積層体にあっては、互いに重なり合った層の界面において、界面反射および干渉縞が生じることがしばしば見受けられた。特に、画面表示装置の画像表示面において黒色を再現した際に、干渉縞が顕著に発生し、その結果、画像の視認性を低下させ、また画像表示面の美観を損ねるとの指摘がなされている。特に、光透過性基材の屈折率とハードコート層の屈折率が相違する場合、干渉縞の発生が生じ易いとされている。
これに対して、特開2003−75605号公報(特許文献1)では、透明基材フィルム上に、屈折率が1.5〜1.7の中屈折率層、屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層、更に高屈折率層より低い屈折率材料よりなる低屈折率層を、この順で透明基材フィルム側から積層した反射防止ハードコートシートを使用することにより、界面反射および干渉縞等を解消することができるとの提案がなされている。この先行技術は各層を構成する材料自体に着目してなされたものといえる。また、特開2003−205563号公報(特許文献2)によれば、基材の上に、基材を溶解する溶剤を含む樹脂を用いてハードコート層を形成する方法が提案されている。
しかしながら、本発明者らが確認したところ、光透過性基材の上にハードコート層を形成する際に、特定の物性を有する樹脂を用いて事前に薄層を形成させて、光透過性基材との界面状態を改善することにより反射界面および干渉縞を有効に防止することができたとする提案は未だなされていない。
特開2003−75605号公報 特開2003−205563号公報
本発明者等は、本発明時において、光透過性基材とハードコート層の界面に、特定の物性を有する樹脂と、浸透性溶剤とを用いて事前に薄層を形成させることにより、界面反射と干渉縞の発生を有効に防止することができるとの知見を得た。よって、本発明は光透過性基材とハードコート層の界面における界面反射と干渉縞の発生を有効に防止し、機械的強度と、視認性とを向上させた光学積層体の提供を目的とするものである。
従って、本発明による光学積層体は、
光透過性基材の上に、ハードコート層を備えてなるものであって、
前記光透過性基材の上に、重量平均分子量が200以上1000以下であり、かつ、3以下の官能基を有する樹脂と、浸透性溶剤とにより薄層を形成し、
前記薄層の上に、前記ハードコート層が形成されてなるものである。
1.光学積層体
薄膜
本発明による光学積層体は、前記光透過性基材の上に、重量平均分子量が200以上1000以下であり、かつ、3以下(好ましくは1又は2)の官能基を有する樹脂により薄層を形成する。この薄層が形成されることにより、光透過性基材とハードコート層との界面に生じる界面反射と干渉縞の発生を有効に防止することが可能となる。
本発明にあっては、薄層の主要の機能は光透過性基材とハードコート層の界面をなくすものであり、この中には、界面が実質的に存在しないものも含まれる。ここで、「界面が(実質的に)存在しない」とは、二つの層面が重なり合ってはいるが実際に界面が存在しないこと、および屈折率からみて両者の面に界面が存在していないと判断される場合をも含むものをいう。「界面が(実質的に)存在しない」との具体的な基準としては、例えば、光学積層体の断面を、レーザー顕微鏡により観察し、干渉縞が目視される積層体断面には界面が存在し、干渉縞が目視されない積層体断面には界面が存在しないことを測定することにより行うことができる。レーザー顕微鏡は屈折率に違いのあるものを非破壊的に断面観察できるものであることから、屈折率に大きな違いのない素材同士において界面が存在しないとの測定結果が生じる。このことから、屈折率からみても基材とハードコート層の間に界面が存在しないと判断しうる。
本発明にあっては、この「薄層」は薄膜、薄い塗膜等の概念を包含するものである。本発明の好ましい態様によれば、薄層の層厚は、0.001μm以上、50μm以下であり、好ましくは下限が0.01μm以上であり、上限が20μm以下である。
1)樹脂
薄膜形成に使用する樹脂は、その重量平均分子量が200以上1000以下であり、好ましくは下限が220以上であり、上限が900以下のものである。
このような樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエーテル樹脂、多価アルコール、エチレングリコール(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトール(メタ)アクリレートモノステアレート等の(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の混合物が挙げられ、好ましくは、ウレタン樹脂が挙げられる。
これらに属する樹脂の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ビスフェノールFEO変性ジアクリレート、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールビスβ−アクリロイルオキシプロピネート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロール、プロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変成トリアクリレート、N−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラフルフリルメタクリレート、およびそのカプロラクトン変性物などの誘導体、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸等およびこれらの混合物が挙げられる。
樹脂は一または二つの官能基を有するものであるが、このような「官能基」の具体例としては、(メタ)アクリレート系の官能基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、アルコキシル基等およびこれらの混合物が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリレート系の官能基が挙げられる。
2)浸透性溶剤
薄膜を形成する際に、樹脂は浸透性溶剤と混合して使用することができる。本発明にあって、浸透性溶剤とは、光透過性基材に対して浸透性を有する溶剤を主として意味するが、この浸透性溶剤はハードコート層に対して浸透性を有するものであってもよい。浸透性溶剤は、光学積層体の干渉縞を有効に防止する効果を有する。
浸透性溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;またはこれらの混合物が挙げられる。より好ましい浸透性溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
光透過性基材
光透過性基材は、光を透過するものであれば、透明、半透明、無色または有色を問わないが、好ましくは無色透明のものがよい。光透過性基材の具体例としては、ガラス板;トリアセテートセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、アクリル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリエステル;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテル;トリメチルペンテン;ポリエーテルケトン;(メタ)アクリロニトリル等により形成した薄膜等が挙げられる。本発明の好ましい態様によれば、トリアセテートセルロース(TAC)が好ましくは挙げられる。光透過性基材の厚さは、30μm〜200μm程度であり、好ましくは40μm〜200μmである。
ハードコート層
「ハードコート層」とは、JIS5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいう。ハードコート層の膜厚(硬化時)は0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲にあることが好ましい。ハードコート層は樹脂と任意成分とにより形成されてなる。
1)樹脂
樹脂としては、透明性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げら、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー、反応性希釈剤が挙げられ、これらの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジ(又はトリ)アクリレート等が挙げられる。
多官能オリゴマー、多官能ポリマーも好ましく使用できる。例えばウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレートが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類が挙げられる。また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。本発明の好ましい態様によれば、透明基材の材料がTAC等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
2)帯電防止剤および/または防眩剤
本発明によるハードコート層は、帯電防止剤および/または防眩剤を含んでなるものが好ましい。
帯電防止剤(導電剤)
帯電防止層を形成する帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズおよびチタンのアルコキシドのような有機金属化合物およびそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
また、導電性超微粒子が挙げられる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるのものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。微粒子とは、1ミクロン以下の、いわゆるサブミクロンの大きさのものを指し、好ましくは、平均粒径が0.1nm〜0.1μmのものである。
防眩剤
防眩剤は後記する防眩層の項で説明するものと同様であって良い。
3)溶剤
ハードコート層を形成するには、上記成分を溶剤ともに混合したハードコート層用組成物を利用する。溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;またはこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、ケトン類、エステル類が挙げられる。
その他の層
本発明による光学積層体は、上記した通り光透過性基材とその上に形成されてなる薄層とハードコート層とにより基本的には構成されてなる。しかしながら、光学積層体としての機能または用途を加味してハードコート層の上に、下記する一又は二以上の層を形成してもよい。
帯電防止層
帯電防止層は、帯電防止剤と樹脂とを含んでなるものである。帯電防止剤と溶剤はハードコート層の項で説明したのと同様であって良い。帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
樹脂
樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂もしくは電離放射線硬化性化合物(有機反応性ケイ素化合物を含む)を使用することができる。樹脂としては、熱可塑性の樹脂も使用できるが、熱硬化性樹脂を使用することがより好ましく、より好ましくは、電離放射線硬化性樹脂または電離放射線硬化性化合物を含む電離放射線硬化性組成物である。
電離放射線硬化性組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
電離放射線硬化性組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等を挙げることができる。
通常、電離放射線硬化性組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
電離放射線硬化性組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
電離放射線硬化性組成物には、次のような有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。
有機ケイ素化合物の1は、一般式RSi(OR')で表せるもので、RおよびR'は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rの添え字mとOR'の添え字nとは、各々が、m+n=4の関係を満たす整数である。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物に併用し得る有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤である。具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
防眩層
防眩層は、透過性基材とハードコート層または低屈折率層との間に形成されてよい。防眩層は樹脂と防眩剤とにより形成されてよく、樹脂は、ハードコート層の項で説明したものから適宜選択されてよい。
本発明の好ましい態様によれば、防眩層は微粒子の平均粒径をR(μm)とし、防眩層凹凸のの十点平均粗さをRz(μm)とし、防眩層の凹凸平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をθaとした場合に、下記数式:
30≦Sm≦600
0.05≦Rz≦1.60
0.1≦θa≦2.5
0.3≦R≦15
を全て同時に満たすものが好ましい。
また、本発明の別の好ましい様態によれば、微粒子と透明樹脂組成物の屈折率をそれぞれ、n1、n2とした場合に、△n=│n1−n2│<0.1を満たすものであり、かつ、防眩層内部のヘイズ値が55%以下である防眩層が好ましい。
防眩剤
防眩剤としては微粒子が挙げられ、その形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられる。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、無機系であればシリカビーズ、有機系であればプラスチックビーズが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、透明樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
防眩層用組成物を調整する際に沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤を添加することにより、樹脂ビーズの沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μm程度のシリカビーズが挙げられる。
防眩層の膜厚(硬化時)は0.1〜100μm、好ましくは0.8〜10μmの範囲にあることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
低屈折率層
低屈折率層は、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有する樹脂、低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂から構成され、屈折率が1.46以下の、やはり30nm〜1μm程度の薄膜、または、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムの化学蒸着法もしくは物理蒸着法による薄膜で構成することができる。フッ素樹脂以外の樹脂については、帯電防止層を構成するのに用いる樹脂と同様である。
低屈折率層は、より好ましくは、シリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体で構成することができる。このシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体は、具体的には、フッ化ビニリデンが30〜90%、ヘキサフルオロプロピレンが5〜50%(以降も含め、百分率は、いずれも質量基準)を含有するモノマー組成物を原料とした共重合により得られるもので、フッ素含有割合が60〜70%であるフッ素含有共重合体100部と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物80〜150部とからなる樹脂組成物であり、この樹脂組成物を用いて、膜厚200nm以下の薄膜であって、且つ耐擦傷性が付与された屈折率1.60未満(好ましくは1.46以下)の低屈折率層を形成する。
低屈折率層を構成する上記のシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体は、モノマー組成物における各成分の割合が、フッ化ビニリデンが30〜90%、好ましくは40〜80%、特に好ましくは40〜70%であり、又ヘキサフルオロプロピレンが5〜50%、好ましくは10〜50%、特に好ましくは15〜45%である。このモノマー組成物は、更にテトラフルオロエチレンを0〜40%、好ましくは0〜35%、特に好ましくは10〜30%含有するものであってもよい。
上記のモノマー組成物は、上記のシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体の使用目的および効果が損なわれない範囲において、他の共重合体成分が、例えば、20%以下、好ましくは10%以下の範囲で含有されたものであってもよく、このような、ほかの共重合成分の具体例として、フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモ−3,3−ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等のフッ素原子を有する重合性モノマーを例示することができる。
以上のようなモノマー組成物から得られるフッ素含有共重合体は、そのフッ素含有割合が60〜70%であることが必要であり、好ましいフッ素含有割合は62〜70%、特に好ましくは64〜68%である。フッ素含有割合が、このような特定の範囲であることにより、フッ素含有重合体は、溶剤に対して良好な溶解性を有し、かつ、このようなフッ素含有重合体を成分として含有することにより、種々の基材に対して優れた密着性を有し、高い透明性と低い屈折率を有すると共に十分に優れた機械的強度を有する薄膜を形成するので、薄膜の形成された表面の耐傷性等の機械的特性を十分に高いものとすることができ、極めて好適である。
このフッ素含有共重合体は、その分子量がポリスチレン換算数平均分子量で5,000〜200,000、特に10,000〜100,000であることが好ましい。このような大きさの分子量を有するフッ素含有共重合体を用いることにより、得られるフッ素系樹脂組成物の粘度が好適な大きさとなり、従って、確実に好適な塗布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることができる。フッ素含有共重合体は、それ自体の屈折率が1.45以下、特に1.42以下、更に1.40以下であるものが好ましい。屈折率が1.45を越えるフッ素含有共重合体を用いた場合には、得られるフッ素系塗料により形成される薄膜が反射防止効果の小さいものとなる場合がある。
このほか、低屈折率層は、SiOからなる薄膜で構成することもでき、蒸着法、スパッタリング法、もしくはプラズマCVD法等により、またはSiOゾルを含むゾル液からSiOゲル膜を形成する方法によって形成されたものであってもよい。なお、低屈折率層は、SiO以外にも、MgFの薄膜や、その他の素材でも構成し得るが、下層に対する密着性が高い点で、SiO薄膜を使用することが好ましい。上記の手法のうち、プラズマCVD法によるときは、有機シロキサンを原料ガスとし、他の無機質の蒸着源が存在しない条件で行なうことが好ましく、また、被蒸着体をできるだけ低温度に維持して行なうことが好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
空隙を有する無機系の微粒子の具体例としては、特開2001−233611号公報で開示されている技術を用いて調製したシリカ微粒子が好ましくは挙げられる。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
塗膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラムおよび表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子、または断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。
防汚層
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよく、好ましくは低屈折率層が形成された光透過性基材の一方の面と反対の面側に防汚層が設けられてなるものが好ましい。防汚層は、反射防止積層体に対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。
防汚層用剤の具体例としては、分子中にフッ素原子を有する電離放射線硬化型樹脂組成物への相溶性が低く、低屈折率層中に添加することが困難とされるフッ素系化合物および/またはケイ素系化合物、分子中にフッ素原子を有する電離放射線硬化型樹脂組成物および微粒子に対して相溶性を有するフッ素系化合物および/またはケイ系化合物が挙げられる。
2.光学積層体の製造方法
液体組成物の調整
帯電防止層、薄層、ハードコート層等用の各液体組成物は、一般的な調製法に従って、先に説明した成分を混合し分散処理することにより調整されてよい。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等で適切に分散処理することが可能となる。
塗工
光透過性基材表面、帯電防止層の表面への各液体組成物の塗布法の具体例としては、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
3.光学積層体の用途
本発明による光学積層体は、ハードコート積層体として、好ましくは反射防止積層体(防眩性積層体としての利用を含む)として利用される。また、本発明による光学積層体は、透過型表示装置に利用される。特に、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用される。とりわけ、CRT、液晶パネルなどのディスプレイの表面に用いられる。
本発明の内容を下記の実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。
薄層用組成物の調製
下記組成に従って混合し濾過し薄層用組成物を調製した。
薄膜用組成物1
ポリエチレングリコールジアクリレート 10重量部
(重量平均分子量302;「M240」;東亜合成社製)
重合開始剤 0.4重量部
(イルガキュアー184)
酢酸メチル 15重量部
薄膜用組成物2
イソシアヌル酸変性EO変性トリアクリレート 10重量部
(重量平均分子量300;M315;東亞合成社製)
重合開始剤 0.4重量部
(イルガキュアー184)
メチルエチルケトン 15重量部
ハードコート層用組成物の調製
下記組成に従って混合し濾過してハードコート層用組成物を調製した。
ハードコート層用組成物1
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10重量部
(日本化薬社製)
重合開始剤 0.4重量部
(イルガキュアー184)
トルエン 10重量部
ハードコート層用組成物2
多官能ウレタンアクリレート 10重量部
(日本合成社製:UV1700B)
重合開始剤 0.4重量部
(イルガキュアー184)
トルエン 10重量部
光学積層体の調製
実施例1
薄膜用組成物1を該基材にセルローストリアセテートフィルム(厚み80μm)の片面に、WET重量15g/m(乾燥重量6g/m)を塗布し、50℃にて30秒乾燥し、紫外線100mJ/cmを照射した硬化させた。その後、ハードコート層用組成物2をWET重量15g/m(乾燥重量6g/m)を塗布し、50℃にて30秒乾燥し、紫外線100mJ/cmを照射した硬化させた。
実施例2
実施例1において、厚みが40μmのセルローストリアセテートフィルムを使用し、薄層用組成物1を薄膜層用組成物2に、ハードコート層用組成物1をハードコート層用組成物2に、代えた以外は実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
比較例1
実施例1において、薄層を形成しない以外は、実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
比較例2
実施例1において、薄層用組成物1の調製において、酢酸メチルをトルエンに代えた以外は実施例1と同様にして光学積層体を調製した。
評価試験
実施例および比較例で調製した学積層体について下記の評価試験を行い、その結果を表1に記載した。
評価1:干渉縞有無試験
光学積層体のハードコート層と逆の面に、裏面反射を防止するための黒色テープを貼り、ハードコート層の面から光学積層体を目視しで観察し、下記評価基準にて評価した。
評価基準
評価◎:干渉縞の発生はなかった。
評価×:干渉縞の発生があった。
評価2:界面有無試験
共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS-NT:ライカ社製:倍率「500〜1000倍」)にて、光学積層体の断面を透過観察し、界面の有無を判断し下記の評価基準で判断した。具体的には、ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に、湿式の対物レンズを使用し、かつ、光学積層体の上に屈折率1.518のオイルを約2ml乗せて観察し判断した。オイルの使用は、対物レンズと光学積層体との間の空気層を消失させるために用いた。
評価基準
評価◎:界面が観察されなかった(注1)。
評価×:界面が観察された(注2)。
注1および注2
注1:本発明による実施例の全ては図1に示す通り、油面(上層)/ハードコート層(下層)の界面のみが観察され、ハードコート層と光透過性基材との界面は観察されなかった。
注2:比較例の全ては、図2に示す通り、油面(上層)/ハードコート層(中層)/光透過性基材(下層)とのそれぞれの層の境に界面が観察された。
表1
評価1 評価2
実施例1 ◎ ◎
実施例2 ◎ ◎
比較例1 × ×
比較例2 × ×
本発明による光学積層体の断面のレーザー顕微鏡写真である。 比較例による光学積層体の断面のレーザー顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 光透過性基材の上に、ハードコート層を備えてなる光学積層体であって、
    前記光透過性基材の上に、樹脂と浸透性溶剤とを含む組成物により薄膜を形成し、
    前記薄層の上に、前記ハードコート層が形成されてなり、
    前記光透過性基材がセルローストリアセテートであり、
    前記樹脂が、(A)ポリエチレングリコールジアクリレートのみ、または(B)イソシアヌル酸EO変性トリアクリレートのみからなり、
    前記浸透性溶剤が酢酸メチルまたはメチルエチルケトンであり、
    前記ハードコート層が、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性ジアクリレート、イソシアヌル酸変性トリアクリレート、ウレタンアクリレート、およびウレタンメタクリレートからなる群から選択される1以上の化合物を含む組成物の硬化物である、光学積層体。
  2. 前記ハードコート層が帯電防止剤および/または防眩剤を含んでなる、請求項に記載の光学積層体。
  3. 前記ハードコート層の上に、帯電防止層、防眩層、低屈折率層、防汚層またはこれらの二種以上の層を形成してなる、請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 反射防止積層体として利用される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光学積層体。
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