JP2003294904A - 反射防止層および反射防止材 - Google Patents

反射防止層および反射防止材

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JP2003294904A
JP2003294904A JP2002095357A JP2002095357A JP2003294904A JP 2003294904 A JP2003294904 A JP 2003294904A JP 2002095357 A JP2002095357 A JP 2002095357A JP 2002095357 A JP2002095357 A JP 2002095357A JP 2003294904 A JP2003294904 A JP 2003294904A
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antireflection
hard coat
transparent
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Application number
JP2002095357A
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English (en)
Inventor
Yukimitsu Iwata
行光 岩田
Midori Nakajo
緑 中條
Tomoyuki Maekawa
知之 前川
Seiji Shinohara
誠司 篠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の反射防止層による反射防止性および導
電性がいずれも高く、好ましくは、耐擦傷性や防眩性も
備えた反射防止性フィルムを提供することを課題とする
ものである。 【解決手段】 反射防止材1を、透明基材2、ハードコ
ート層2、金属酸化物の透明導電性超微粒子を含有し、
中屈折率層でもある導電性層4、および低屈折率層5等
を順に積層した構造として課題を解決することができ
た。ハードコート層3は、防眩性付与粒子32を含有
し、上面に凹凸31を有するものであってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレ
イ、CRT(陰極線管)ディスプレイ、プラズマディス
プレイ、もしくはエレクトロルミネッセンスディスプレ
イ等の各種のディスプレイの前面等に適用して使用する
のに適した反射防止材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的なディスプレイを強い外光の当た
る場所で見ようとすると、ディスプレイパネルの前面で
外光が反射するため、見づらい。また、ディスプレイパ
ネルにはごみが付着しやすく、CRTのように、電子ビ
ームが前面に当たっているものでは特に帯電が生じやす
く、接触した人との間で放電し、不快な感じを与える。
またディスプレイの前面は手で触ったり、付着したごみ
を拭う際に傷が付く可能性が大きい。
【0003】そこで、ディスプレイの前面に、透明フィ
ルムにハードコート層と透明導電性層とを設けた反射防
止材を配置して、傷付き防止、帯電防止、および反射防
止を図ることが行なわれている。
【0004】例えば、特開平6−16851に見られる
ように、透明基板上に、導電性フィラーを含有する帯電
防止層、および表面に微細な凹凸が賦型された電離放射
線硬化型樹脂組成物からなる防眩層が順に積層され、さ
らに反射防止層を伴ない得る耐擦傷性防眩フィルムが提
案されており、帯電防止層が含有する導電性フィラーと
しては、酸化錫や酸化チタン等の金属酸化物の粉末、も
しくはフレークが挙げられている。
【0005】しかし、帯電防止効果を十分に発揮しよう
とすると、帯電防止層はできるだけ表面に積層すること
が好ましいが、導電性フィラー、特に、酸化錫や酸化チ
タン等の金属酸化物の粉末、もしくはフレークは、自身
の屈折率が高く、反射防止の目的で最表面に適用するに
は問題がある。むしろ、これらの導電性フィラーを使用
して帯電防止層を構成するには、少なくとも最表面を低
反射層として、低反射層の下層に帯電防止層を含有さ
せ、導電性と共に屈折率も向上させることが好ましい。
【0006】導電性フィラーを使用して帯電防止層を形
成するには、透明塗料中に導電性フィラーを分散させた
塗料組成物を調製し、コーティングによって行なうこと
が好ましいが、導電性フィラーとして、金属酸化物の粉
末もしくはフレークを使用する場合、導電性フィラーの
添加量が、塗料組成物中での良好な分散が得られる範囲
内であると、得られる帯電防止層の導電性、および屈折
率がいずれも不十分となる。屈折率が不十分である点
は、酸化ジルコニウム等の高屈折率の微粒子を併用すれ
ば改善されるものの、導電性に関しては低下してしま
う。また、導電性フィラーの分散状態の向上によっても
屈折率は改善されるものの、それに伴なって、導電性が
低下する傾向が見られる。さらには、各層をできるだけ
薄く形成したい場合には導電性が維持できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明におい
ては、表面の反射防止層による反射防止性および導電性
がいずれも高く、好ましくは、耐擦傷性や防眩性も備え
た反射防止材を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決する手段】本発明においては、表面の反射
防止層に、金属酸化物の針状超微粒子またはアルミニウ
ムドープ酸化亜鉛の球状超微粒子等の透明導電性超微粒
子を、高屈折率および高導電性を発揮させる目的で適用
することにより、反射防止性および帯電防止性のいずれ
も満足することが可能になった。
【0009】第1の発明は、非観察側から、金属酸化物
の透明導電性超微粒子が分散された導電性層、および前
記導電性層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積
層構造を有することを特徴とする反射防止層に関するも
のである。第2の発明は、非観察側から、金属酸化物の
透明導電性超微粒子が分散された導電性層、前記導電性
層よりも屈折率の高い高屈折率層、並びに前記導電性層
および前記高屈折率層よりも屈折率の低い低反射層が積
層された積層構造を有することを特徴とする反射防止層
に関するものである。第3の発明は、第1または第2の
発明において、前記金属酸化物がアンチモンドープ酸化
錫、もしくはアルミニウムドープ酸化亜鉛であることを
特徴とする反射防止層に関するものである。第4の発明
は、第1〜第3いずれかの発明において、前記透明導電
性超微粒子が針状もしくは球状であることを特徴とする
反射防止層に関するものである。第5の発明は、透明基
材上に、第1〜第4いずれかの発明の反射防止層が、非
観察側が前記透明基材側を向いて積層されていることを
特徴とする反射防止材に関するものである。第6の発明
は、前記透明基材上にハードコート層が積層されてお
り、前記ハードコート層上に、第1〜第4いずれかの発
明の反射防止層が、非観察側が前記ハードコート層側を
向いて積層されていることを特徴とする反射防止材に関
するものである。第7の発明は、第6の発明において、
前記ハードコート層は、防眩性付与粒子を含有するもの
であり、かつ、前記反射層側の面に微細な凹凸を有する
ことを特徴とする反射防止材に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の好ましい実施態
様である防眩性機能をも備えた反射防止材の積層構造を
示す断面図である。この実施態様の反射防止材1は、図
1に示すように、透明基材1上に、上面側に凹凸31を
有し、防眩性付与粒子32を含有するハードコート層3
が積層されて防眩性が付与されており、ハードコート層
3上に中屈折率層でもある導電性層4、および低屈折率
層5が順に積層されたものである。本発明においては、
特に、導電性層4を、透明導電性超微粒子が分散された
ものとしたことにより、導電性に基づく帯電防止性が付
与され、また導電性層4は、光学的には中屈折率層であ
るので、低反射層と組合せることにより、反射防止性が
付与されている。なお、ここで言う導電性層4は、低屈
折率層のみとの比較であれば高屈折率層というべきだ
が、導電性と屈折率の両方を向上させようとすると、実
際、1.65程度までしか屈折率が向上せず、他方、導
電性を伴なう必要がない場合には、より高屈折率のもの
を得ることができる(後述の高屈折率層が相当する。)
ので、この導電性層4の屈折率を、中屈折率であるもの
とする。
【0011】中屈折率層でもある導電性層4は、他の層
と組合せることにより、反射防止層の機能を発揮するこ
とができ、図2(a)に示すように、低屈折率層5と積
層し、低屈折率層5側を観察側とすることにより、反射
防止層7aとすることができ、あるいは、図2(b)に
示すように、中屈折率層4、高屈折率層6、および低屈
折率層5を順に積層し、低屈折率層5側を観察側とする
ことにより、反射防止層7bとすることができる。ま
た、反射防止層7aに関しては、中屈折率層、低屈折率
層、中屈折率層、低屈折率層、・・・のように繰り返し
積層することにより、反射防止性を高めることができ、
同様に、反射防止層7bに関しても、中屈折率層4、高
屈折率層6、低屈折率層5、中屈折率層4、高屈折率層
6、低屈折率層5、・・・のように繰り返し積層するこ
とにより、反射防止性を高めることができる。
【0012】反射防止層7aもしくは7bは、低屈折率
層5を観察側にして、種々の対象に積層することによ
り、その対象の表面の反射性を低くすることができる
が、好ましくは、透明フィルム、透明シート、もしくは
透明板等の透明基材に積層することにより、透明性、す
なわち、透視性を有し、かつ反射防止性を有する反射防
止材とすることができる。図3(a)に示すように、透
明基材2上に、中屈折率層4、および低屈折率層5から
なる反射防止層7aが積層された反射防止材1、もしく
は図3(b)に示すように、透明基材2上に、中屈折率
層4、高屈折率層6および低屈折率層5からなる反射防
止層7bが積層された反射防止材1とすることができ
る。
【0013】反射防止層7aもしくは7bは、透明基材
2上に直接に積層されてもよいが、ハードコート層を備
えた透明基材2上に積層すると、より一層、表面の物理
的特性もしくは化学的特性が向上した、特に耐擦傷性が
向上した反射防止材とすることができ、図4(a)に示
すように、透明基材2上にハードコート層3が積層され
ており、ハードコート層3上に、中屈折率層4、および
低屈折率層5からなる反射防止層7aが積層された反射
防止材1、もしくは図4(b)に示すように、透明基材
2上にハードコート層3が積層されており、ハードコー
ト層3上に、中屈折率層4、高屈折率層6および低屈折
率層5からなる反射防止層7bが積層された反射防止材
1とすることができる。
【0014】中屈折率層である導電性層4は本発明にお
ける特徴的な層であり、具体的には透明性樹脂中に金属
酸化物の透明導電性超微粒子が分散したものである。金
属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カ
ッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO2(1.9
5)、Sb25(1.71)、SnO2(1.99
7)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウ
ム錫(1.95)、In23(2.00)、もしくはA
23(1.63)等を挙げることができ、とりわけ、
酸化錫、もしくは酸化亜鉛が好ましく、最も好ましいの
は、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.
0)、もしくはアルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;A
ZO、2.0)である。これらの透明導電性超微粒子と
しては、分散性の点で針状もしくは球状のものを用いる
ことができ、針状のものが導電性の向上効果の点ではよ
り好ましい。ただ、上記の最も好ましいもののうち、ア
ルミニウムドープ酸化亜鉛の場合は球状のものも針状の
ものと同様、導電性の向上効果の点で優れている。
【0015】超微粒子とは、1ミクロン以下の、いわゆ
るサブミクロンの大きさのものを指し、好ましくは、平
均粒径が0.1nm〜0.1μmのものである。針状超
微粒子とは、長軸径としては、0.2μm〜10μm、
より好ましくは0.2μm〜2μm、短軸径としては、
0.01μm〜0.05μm、より好ましくは0.01
μm〜0.02μm程度のものであり、長軸径/短軸径
の比が、好ましくは、10〜50、より好ましくは、2
0〜30のものである。なお、針状超微粒子のアンチモ
ンドープ酸化錫として、市販の針状透明導電材(石原産
業(株)製、商品名;「FS−10P」)を利用するこ
とができる。
【0016】本発明において、上記のような金属酸化物
の透明導電性超微粒子が分散していると、薄片状等の微
粒子を同様に分散させて使用するのにくらべて、少ない
配合量で導電性が向上するので、透明性を維持して、導
電性を向上させることができ、かつ、屈折率の向上も行
なえる利点が生じる。導電性を向上させると、帯電防止
性が向上するが、表面抵抗値で、108〜109Ω/□程
度が好ましい。また、屈折率が向上すると、反射防止層
を構成する他の層との組合せ、即ち、低屈折率層との組
合せ、または、低屈折率層および高屈折率層との組合せ
により、反射防止性が増加するが、可視光(450nm
〜650nm)に対する平均反射率が、2.5%以下で
あることが好ましい。
【0017】中屈折率層である導電性層4を構成する透
明性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もし
くは電離放射線硬化性樹脂もしくは電離放射線硬化性化
合物(有機反応性ケイ素化合物を含む)を使用すること
ができる。透明性樹脂としては、熱可塑性の樹脂も使用
できるが、熱硬化性樹脂を使用することがより好まし
く、もっと好ましいのが、電離放射線硬化性樹脂、もし
くは電離放射線硬化性化合物を含む電離放射線硬化性組
成物である。
【0018】電離放射線硬化性組成物としては、分子中
に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポ
リマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合
したものである。ここで、電離放射線とは、電磁波又は
荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー
量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を
用いる。
【0019】電離放射線硬化性組成物中のプレポリマ
ー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多
価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリ
エステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレー
ト、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレー
ト等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、
エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエ
ーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミ
ンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポ
キシ化合物が挙げられる。
【0020】電離放射線硬化性組成物中のモノマーの例
としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン
系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブ
トキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシ
ブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル
類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタク
リル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタク
リル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル
酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル
酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル
酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリ
ル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不
飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリル
アミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミ
ド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレング
リコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合
物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレン
グリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメ
タクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート
等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチ
オール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチ
ロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロール
プロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトール
テトラチオグリコレート等を挙げることができる。
【0021】通常、電離放射線硬化性組成物中のモノマ
ーとしては、以上の化合物を必要に応じて、1種若しく
は2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性組成
物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマ
ー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/
又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好
ましい。
【0022】電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化さ
せたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モ
ノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレ
ートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性組成
物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶
剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアク
リレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性組成物の
設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、
2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレー
ト、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能
基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げら
れる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙
げられる。
【0023】電離放射線硬化性組成物を塗布し、硬化さ
せたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調
整するため、電離放射線硬化性組成物に、電離放射線照
射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的
な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹
脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ
エステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポ
リ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウ
レタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹
脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好まし
い。
【0024】電離放射線硬化性組成物の塗布後の硬化が
紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重
合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル
重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノ
ン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用
いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場
合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳
香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロ
ン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は
混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放
射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重
量部である。
【0025】電離放射線硬化性組成物には、次のような
有機反応性ケイ素化合物を併用してもよい。
【0026】有機ケイ素化合物の1は、一般式RmSi
(OR’)nで表せるもので、RおよびR’は炭素数1
〜10のアルキル基を表し、Rの添え字mとOR’の添
え字nとは、各々が、m+n=4の関係を満たす整数で
ある。
【0027】具体的には、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラ
ン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブト
キシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ
−tert−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシ
ラン、テトラペンタ−iso−プロポキシシラン、テト
ラペンタ−n−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−
ブトキシシラン、テトラペンタ−sec−ブトキシシラ
ン、テトラペンタ−tert−ブトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メ
チルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、
ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、
ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メ
チルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等
が挙げられる。
【0028】電離放射線硬化性組成物に併用し得る有機
ケイ素化合物の2は、シランカップリング剤である。
【0029】具体的には、γ−(2−アミノエチル)ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエ
チル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−
(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシ
シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリ
ス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメ
チル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニ
ウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジ
クロロシラン等が挙げられる。
【0030】電離放射線硬化性組成物に併用し得る有機
ケイ素化合物の3は、電離放射線硬化性ケイ素化合物で
ある。具体的には、電離放射線の照射によって反応し架
橋する複数の官能基、例えば、重合性二重結合基を有す
る分子量5,000以下の有機ケイ素化合物が挙げら
れ、より具体的には、片末端ビニル官能性ポリシラン、
両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリ
シロキサン、両末端ビニル官能ポリシロキサン、又はこ
れらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、も
しくはビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
【0031】より具体的には、次のような化合物であ
る。
【0032】
【化1】
【0033】その他、電離放射線硬化性組成物に併用し
得る有機ケイ素化合物としては、3−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)ア
クリロキシシラン化合物等が挙げられる。
【0034】導電性層4は、透明性樹脂、好ましくは上
記のような電離放射線硬化性組成物に対し、金属酸化物
の透明導電性超微粒子を、透明性樹脂/金属酸化物の透
明導電性超微粒子=100/20〜100/500の割
合(質量比)で配合し、必要に応じて、光重合開始剤、
および溶剤もしくは希釈剤を配合して、塗布用の組成物
を調製し、この組成物を用いて、公知のコーティング法
により、例えば、透明基材等の被塗布体上に塗布し、塗
布に用いた組成物に応じた手段により塗膜を硬化させて
得ることができる。組成物として電離放射線硬化性組成
物を用いた場合には、その組成により、紫外線もしくは
電子線を選択して照射し、塗膜を架橋硬化させる。この
ようにして得られる導電性層4の厚みは、30nm〜1
μm程度であることが好ましく、また、導電性層4は中
屈折率層でもあるので、その屈折率としては、1.55
〜1.65程度であることが好ましい。
【0035】低屈折率層5は、シリカ、もしくはフッ化
マグネシウムを含有する透明性樹脂、低屈折率樹脂であ
るフッ素系樹脂、シリカ、もしくはフッ化マグネシウム
を含有するフッ素系樹脂から構成され、屈折率が1.4
6以下の、やはり30nm〜1μm程度の薄膜、また
は、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムの化学蒸着法
もしくは物理蒸着法による薄膜で構成することができ
る。フッ素樹脂以外の透明性樹脂については、導電性層
4を構成するのに用いる透明性樹脂と同様である。
【0036】低屈折率層5は、より好ましくは、シリコ
ーン含有フッ化ビニリデン共重合体で構成することがで
きる。このシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体
は、具体的には、フッ化ビニリデンが30〜90%、ヘ
キサフルオロプロピレンが5〜50%(以降も含め、百
分率は、いずれも質量基準)を含有するモノマー組成物
を原料とした共重合により得られるもので、フッ素含有
割合が60〜70%であるフッ素含有共重合体100部
と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物80〜1
50部とからなる樹脂組成物であり、この樹脂組成物を
用いて、膜厚200nm以下の薄膜であって、且つ耐擦
傷性が付与された屈折率1.60未満(好ましくは1.
46以下)の低屈折率層5を形成する。
【0037】低屈折率層5を構成する上記のシリコーン
含有フッ化ビニリデン共重合体は、モノマー組成物にお
ける各成分の割合が、フッ化ビニリデンが30〜90
%、好ましくは40〜80%、特にに好ましくは40〜
70%であり、又ヘキサフルオロプロピレンが5〜50
%、好ましくは10〜50%、特に好ましくは15〜4
5%である。このモノマー組成物は、更にテトラフルオ
ロエチレンを0〜40%、好ましくは0〜35%、特に
好ましくは10〜30%含有するものであってもよい。
【0038】上記のモノマー組成物は、上記のシリコー
ン含有フッ化ビニリデン共重合体の使用目的および効果
が損なわれない範囲において、他の共重合体成分が、例
えば、20%以下、好ましくは10%以下の範囲で含有
されたものであってもよく、このような、ほかの共重合
成分の具体例として、フルオロエチレン、トリフルオロ
エチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジク
ロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモー3,
3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモー3,3−
ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロ
ピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフ
ルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等の
フッ素原子を有する重合性モノマーを例示することがで
きる。
【0039】以上のようなモノマー組成物から得られる
フッ素含有共重合体は、そのフッ素含有割合が60〜7
0%であることが必要であり、好ましいフッ素含有割合
は62〜70%、特に好ましくは64〜68%である。
フッ素含有割合が、このような特定の範囲であることに
より、フッ素含有重合体は、溶剤に対して良好な溶解性
を有し、かつ、このようなフッ素含有重合体を成分とし
て含有することにより、種々の基材に対して優れた密着
性を有し、高い透明性と低い屈折率を有すると共に十分
に優れた機械的強度を有する薄膜を形成するので、薄膜
の形成された表面の耐傷性等の機械的特性を十分に高い
ものとすることができ、極めて好適である。
【0040】このフッ素含有共重合体は、その分子量が
ポリスチレン換算数平均分子量で5,000〜200,
000、特に10,000〜100,000であること
が好ましい。このような大きさの分子量を有するフッ素
含有共重合体を用いることにより、得られるフッ素系樹
脂組成物の粘度が好適な大きさとなり、従って、確実に
好適な塗布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることが
できる。フッ素含有共重合体は、それ自体の屈折率が
1.45以下、特に1.42以下、更に1.40以下で
あるものが好ましい。屈折率が1.45を越えるフッ素
含有共重合体を用いた場合には、得られるフッ素系塗料
により形成される薄膜が反射防止効果の小さいものとな
る場合がある。
【0041】このほか、低屈折率層5は、SiO2から
なる薄膜で構成することもでき、蒸着法、スパッタリン
グ法、もしくはプラズマCVD法等により、またはSi
2ゾルを含むゾル液からSiO2ゲル膜を形成する方法
によって形成されたものであってもよい。なお、低屈折
率層5は、SiO2以外にも、MgF2の薄膜や、その他
の素材でも構成し得るが、下層に対する密着性が高い点
で、SiO2薄膜を使用することが好ましい。上記の手
法のうち、プラズマCVD法によるときは、有機シロキ
サンを原料ガスとし、他の無機質の蒸着源が存在しない
条件で行なうことが好ましく、また、被蒸着体をできる
だけ低温度に維持して行なうことが好ましい。
【0042】高屈折率層6は、透明で高屈折率の微粒子
を分散させた透明性樹脂から構成される。透明性樹脂
は、導電性層4を構成するものとして説明したものと同
じである。透明で高屈折率の微粒子としては、TiO2
(屈折率;2.3〜2.7)、Y23 (屈折率;1.
87)、La23(屈折率;1.95)、もしくはZr
2(屈折率;2.05)等を、用いることができ、こ
れらの高屈折率の透明性の微粒子を透明性樹脂中に分散
させて、屈折率を上げて調整することができる。
【0043】高屈折率層6を形成するには、これらの透
明性樹脂、および高屈折率の透明性の微粒子を用い、導
電性層を形成する際に、塗布用の組成物を調整したとき
と同様にして、高屈折率層形成用の塗料組成物を調製
し、得られた塗料組成物を使用して、塗付し、必要に応
じて行なう乾燥、および電離放射線照射を行なって、高
屈折率層6とすることができる。
【0044】高屈折率層6は、上記の金属酸化物からな
る高屈折率の透明性微粒子以外に、特殊なコーティング
薄膜を有する酸化チタン(TiO2)の微粒子を用いる
こともできる。酸化チタンは、前々段落で記載したよう
に、屈折率が特に高く、かつ無色であるか、もしくはほ
とんど着色していないので、屈折率を調節する上で、非
常に適している。酸化チタンには、ルチル型、アナター
ゼ型、もしくはアモルファス型があるが、中でも屈折率
が高いルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。
【0045】本発明において、反射防止層7aもしくは
7bを適用して反射防止材1とするための透明基材2と
しては、透明性、平滑性を備え、異物の混入のないもの
が好ましく、また、加工上および使用上の理由で機械的
強度があるものが好ましい。さらに、反射防止材1にデ
ィスプレイの熱が伝わって来るような場合には、耐熱性
があるものが好ましい。透明基材2の素材として好まし
いものは、セルロースジアセテート、セルローストリア
セテート(TAC)、セルロースアセテートブチレー
ト、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエー
テルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポ
リメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタ
ール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、
ポリカーボネート、もしくはポリウレタン等の熱可塑性
樹脂のフィルムである。
【0046】写真用乳剤を塗布した写真用フィルムの場
合に、よく用いられるポリエステルや、透明性が高く光
学的に異方性がないので、やはり写真用フィルムによく
用いられるセルローストリアセテート(TAC)等が通
常、好ましい。なお、これらの熱可塑性樹脂のフィルム
はフレキシブルで使いやすいが、取り扱い時も含めて曲
げる必要が全くなく、硬いものが望まれるときは、上記
の樹脂の板やガラス板等の板状のものも使用できる。透
明基材2の厚みとしては、8〜1000μm程度が好ま
しいが、板状のものの場合には、この範囲を超えてもよ
い。なお、透明基材2の特殊な例として、偏光子の両面
を透明プラスチックフィルムでサンドイッチした偏光フ
ィルムがあり得る。
【0047】上記の透明基材2には、その上に形成する
層との接着性の向上のために、通常、行なわれ得る各種
の処理、即ち、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な
処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる
塗料の塗布を予め行なってプライマー層を形成しておい
てもよい。
【0048】ハードコート層3は、反射防止材1の表面
の傷付きが起きないよう、耐擦傷性を向上させるために
有効なものである。傷が付くのは、傷の原因となる物質
との硬度の差によるためであり、場合によっては熱可塑
性の樹脂を樹脂成分とする組成物で構成してもよいが、
一般的には熱硬化性樹脂を樹脂成分とする組成物を硬化
させたもので構成することが好ましく、フレキシブルさ
を備えている点でポリウレタン樹脂等を樹脂成分とする
組成物等を用いて構成することが好ましい。
【0049】さらに一層の効果を望む場合には、電離放
射線硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性化合物を含
む電離放射線硬化性組成物を電離放射線の照射によって
架橋硬化させたもので構成することが好ましく、これら
の素材としては、導電性層4を構成するのに用いるもの
と同様なものを用いることができる。ハードコート層3
のハードさとしては、JIS K5400で示す鉛筆硬
度試験で「H」以上の硬度を示すことが好ましい。
【0050】ハードコート層3は、以上のような組成物
を用いて、公知のコーティング法により、透明基材2上
に塗布し、塗布に用いた組成物に応じた手段により塗膜
を硬化させる。組成物として電離放射線硬化性組成物を
用いた場合には、その組成により、紫外線もしくは電子
線を選択して照射し、塗膜を架橋硬化させる。ハードコ
ート層3の厚みは、好ましくは0.5〜30μm、より
好ましくは3〜15μmである。ハードコート層3の厚
みが薄すぎると、その上に形成する各層の硬度を維持で
きなくなり、また厚すぎると、反射防止材1の全体のフ
レキシブルさを低下させ、また、硬化に時間がかかる
等、生産効率の低下をまねく。
【0051】ハードコート層3の上面は、図1に示すよ
うに凹凸31を形成すると、反射防止材1をディスプレ
イの前面に適用したとき、ディスプレイからの入射光を
散乱させ、反射防止材1の特定の部分の輝度が高くなっ
て不自然な「ぎらつき」を起こすのを緩和させる性質、
防眩性を付与することができる。凹凸31の形成は、ハ
ードコート層3を透明基材2上に塗布形成する際に、凹
凸を有する型付け用フィルムで塗膜を被覆したまま固化
させるか、形成された塗膜に型付け用ロール等の型付け
手段を、必要に応じて加熱しつつ押し付けて行なうか、
あるいは、剥離面に凹凸を有する剥離性基材上にハード
コート層3を塗布形成して転写シートを作成し、その転
写シートを用いて転写する等によればよい。凹凸31の
程度は、凹凸の高低差が0.2〜10μm、ピッチが2
0〜200μm程度がよい。
【0052】ハードコート層3への防眩性の付与は、上
記の型を利用した方法以外に、ハードコート層3に透明
性微粒子を防眩性付与粒子として含有させることによっ
ても行なえる。防眩性付与粒子としては、その屈折率
が、透明性樹脂の屈折率との差が、0.01〜0.5で
あるものが好ましく、具体的な素材としては、プラスチ
ックビーズが好適であり、具体的には、ポリスチレン樹
脂ビーズ(屈折率1.59)、メラミン樹脂ビーズ(屈
折率1.57)、アクリル樹脂ビーズ(屈折率1.4
9)、アクリル−スチレン共重合樹脂ビーズ(屈折率
1.54)、ポリカーボネート樹脂ビーズ、ポリエチレ
ン樹脂ビーズ、ポリ塩化ビニル樹脂ビーズ等が用いら
れ、これら防眩性付与粒子の形状としては球状であるこ
とが好ましい。これら防眩性付与粒子の粒径は、層3形
成の際の塗料組成物中における分散性の確保、および内
部ヘイズの確保の観点から、0.5μm〜7.5μmで
あることが好ましい。
【0053】本発明の反射防止材1には、最上層に防汚
層(図示せず。)を有していてもよい。防汚層は、ディ
スプレイパネルの前面に配置した反射防止材1にごみや
汚れが付着するのを防止し、あるいは、付着しても除去
しやすくするために形成される。具体的には、反射防止
機能を低下させない範囲でフッ素系界面活性剤等の界面
活性剤、フッ素系樹脂を含む塗料、シリコーンオイル等
の剥離剤、もしくはワックス等をごく薄く塗布し、余剰
分を拭い除去しておく。防汚層は、恒久的な層として形
成してもよいが、必要の都度、塗布して形成してもよ
い。防汚層の厚みとしては、1〜20nm程度が好まし
い。
【0054】本発明の反射防止材1は、透視性と外光の
反射防止性が必要なあらゆる部位、場面で使用できるも
のであるが、特に、コンピュータ等に接続して、各種の
表示を行なうディスプレイの前面に適用して、防眩性が
付与されたディスプレイを構成することができる。ここ
で言うディスプレイは、液晶ディスプレイ、CRTディ
スプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、
もしくはLEDディスプレイ等のいずれでもよく、自身
が発光するタイプ、もしくは照明を必要とするタイプで
あることを問わない。また、本発明の反射防止材1をデ
ィスプレイに適用する際に、直接、ディスプレイの表面
に貼る等して固定することにより適用してもよく、もし
くは別の透明板に貼る等して得られた複合体を、ディス
プレイの前面に固定する等して、間接的に適用してもよ
い。
【0055】
【実施例】(実施例1)膜厚80μmのTACフィルム
を透明基材として用い、下記組成の防眩性ハードコート
層形成用塗料組成物を、フィルム上にコーティング用巻
線ロッド(メイヤーズバー)を用いて塗布し、70℃の
オーブン中で1分間加熱乾燥して溶剤分を蒸発させた
後、紫外線を照射線量が100mJになるよう照射して
塗膜を硬化させ、膜厚が5μmの防眩性ハードコート層
(屈折率;1.5)を形成した。なお、以降において、
「部」は質量基準である。 (防眩性ハードコート層形成用塗料組成物) ・ペンタエリスリトールトリアクリレート 50部 (屈折率;1.5、日本化薬(株)製) ・紫外線重合開始剤 2部 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名;イルガキュア 184) ・スチレンビーズ 6部 (屈折率;1.60、平均粒径;5.0μm) ・トルエン 50部
【0056】形成された防眩性ハードコート層上に、下
記の組成の中屈折率層形成用塗料組成物を用い、オーブ
ンの温度を40℃にした以外は、防眩性ハードコート層
の形成と同様にして、膜厚が50nmの中屈折率層(屈
折率;1.65)を形成した。なお、中屈折率層形成用
塗料組成物を調製する際には、各原料をマヨネーズビン
に入れ、これら原料の約4倍量のジルコニアビーズを媒
体として用いてペイントシェーカーで約7時間攪拌し
た。 (中屈折率層形成用塗料組成物) ・ペンタエリスリトールトリアクリレート 12部 (屈折率;1.5、日本化薬(株)製) ・紫外線重合開始剤 2部 (チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名;イルガキュア 184) ・針状ATO 36部 (長軸径;0.2〜2.0μm、短軸径;0.01〜0.02μm、 長軸径/短軸径=20〜30) ・分散剤 1部 ・トルエン 50部
【0057】形成された中屈折率層上に、フッ素樹脂系
低反射層形成用塗料組成物(JSR(株)製、商品名;
「TM086」)を用い、オーブンの温度を40℃、紫
外線の照射線量を200mJにした以外は、防眩性ハー
ドコート層の形成と同様にして、膜厚が100nmの低
屈折率層(屈折率;1.41)を形成し、TACフィル
ム、防眩性ハードコート層、中屈折率層、および低屈折
率層が順に積層された反射防止材を得た。
【0058】(実施例2)中屈折率層形成用塗料組成物
中の針状ATOを36部用いるのに替えて、球状AZO
を36部用いた以外は、実施例1と同様にして、反射防
止材を得た。
【0059】(比較例1)中屈折率層形成用塗料組成物
中の針状ATOを36部用いるのに替えて、通常の微粒
子状ATOを36部用いた以外は、実施例1と同様にし
て、反射防止材を得た。微粒子状ATOの粒子径は0.
05〜0.07μmである。
【0060】(比較例2)中屈折率層形成用塗料組成物
を調製する際の混練時間を10時間として、その他は、
比較例1と同様にして反射防止材を得た。
【0061】上記の各実施例、および各比較例で得られ
た反射防止材の平均反射率(450nm〜650nmの
波長範囲の光の入射に対する平均反射率)、および表面
抵抗率を測定した結果を次の「表1」に示す。
【0062】
【表1】
【0063】上記の「表1」に見られるように、実施例
1および実施例2で得られた反射防止材においては、中
屈折率層の屈折率が高く、従って、平均反射率が低く
(=反射防止性が大きく)、しかも、表面抵抗率が小さ
いので、帯電防止性にも優れている。実施例どうしの比
較では、針状ATOを用いた実施例1のものの方が優れ
ている。これらにくらべ、比較例1のものでは、針状で
はない通常の微粒子状のATOを用いたので、表面抵抗
率については、実施例2のものと同程度であるものの、
中屈折率層の屈折率が上がらず、平均反射率が実施例の
ものにくらべて高い(=反射防止性がより低い)。ま
た、比較例1と同様の素材を用い、中屈折率層形成用の
塗料組成物の調製時間を長くして、微粒子の混練を十分
に行なった比較例2の場合には、中屈折率層の屈折率が
増加し、平均反射率が実施例1のもの程度になるが、表
面抵抗率が大きくなるので、帯電防止性が低下する。従
って、比較例1および比較例2のいずれも、実施例1お
よび実施例2におけるように、反射防止性および帯電防
止性の両方を高めることが実現されていない。
【0064】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、金属酸化物の
透明導電性超微粒子が分散した導電性層および低屈折率
層が組み合わされているので、帯電防止性および反射防
止性が高い反射防止層を提供することができる。請求項
2の発明によれば、金属酸化物の透明導電性超微粒子が
分散した導電性層、高屈折率層、および低屈折率層が組
み合わされているので、帯電防止性および反射防止性が
高い反射防止層を提供することができる。請求項3の発
明によれば、請求項1または請求項2の発明の発明の効
果に加え、帯電防止性および反射防止性がより一層向上
した反射防止層を提供することができる。請求項4の発
明によれば、請求項1〜請求項3いずれかの発明の効果
に加え、透明導電性超微粒子として分散性が優れたもの
を用いているので、帯電防止性および反射防止性が特に
高い反射防止層を提供することができる。請求項5の発
明によれば、請求項1〜請求項4いずれかの発明の反射
防止層を透明基材上に積層したので、種々の対象に適用
しやすい反射防止材を提供することができる。請求項6
の発明によれば、透明基材上にハードコート層が積層さ
れた上に、請求項1〜請求項4いずれかの発明の反射防
止層を積層したので、表面の耐擦傷性が強く、種々の対
象に適用しやすい反射防止材を提供することができる。
請求項7の発明によれば、請求項6の発明の効果に加
え、ハードコート層が防眩性を有しているので、防眩性
をも備えた反射防止材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の反射防止材の積層構造の例を
示す断面図である。
【図2】反射防止層の積層構造の例を示す断面図であ
る。
【図3】透明基材を伴なった反射防止材の積層構造の例
を示す断面図である。
【図4】ハードコート層を伴なった反射防止材の積層構
造の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 反射防止材 2 透明基材 3 ハードコート層(31;凹凸、32;防眩性付与
粒子) 4 導電性層(中屈折率層) 5 低屈折率層 6 高屈折率層 7 反射防止層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前川 知之 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 篠原 誠司 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H091 FA14X FA37X FB04 FB12 FB13 GA02 GA16 LA16 2K009 AA02 AA12 AA15 CC09 DD02 EE03 4F100 AA17C AA25C AA28C AB10C AB22C AJ06 AK01B AK25 AR00B AT00A BA03 BA04 BA05 BA07 BA10B BA10E CA30 DD07E DE01B DE01C DE03C EH46 EJ54 EJ86 GB41 JG01C JN01A JN01C JN06D JN06E JN18D JN18E JN30B

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非観察側から、金属酸化物の透明導電性
    超微粒子が分散された導電性層、および前記導電性層よ
    りも屈折率の低い低反射層が積層された積層構造を有す
    ることを特徴とする反射防止層。
  2. 【請求項2】 非観察側から、金属酸化物の透明導電性
    超微粒子が分散された導電性層、前記導電性層よりも屈
    折率の高い高屈折率層、並びに前記導電性層および前記
    高屈折率層よりも屈折率の低い低反射層が積層された積
    層構造を有することを特徴とする反射防止層。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物がアンチモンドープ酸化
    錫、もしくはアルミニウムドープ酸化亜鉛であることを
    特徴とする請求項1または請求項2記載の反射防止層。
  4. 【請求項4】 前記透明導電性超微粒子が針状もしくは
    球状であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれ
    か記載の反射防止層。
  5. 【請求項5】 透明基材上に、請求項1〜請求項4いず
    れか記載の反射防止層が、非観察側が前記透明基材側を
    向いて積層されていることを特徴とする反射防止材。
  6. 【請求項6】 前記透明基材上にハードコート層が積層
    されており、前記ハードコート層上に、請求項1〜請求
    項4いずれか記載の反射防止層が、非観察側が前記ハー
    ドコート層側を向いて積層されていることを特徴とする
    反射防止材。
  7. 【請求項7】 前記ハードコート層は、防眩性付与粒子
    を含有するものであり、かつ、前記反射層側の面に微細
    な凹凸を有することを特徴とする請求項6記載の反射防
    止材。
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