JP2004309932A - 表示素子用基材、表示パネル、表示装置及び表示素子用基材の製造方法 - Google Patents

表示素子用基材、表示パネル、表示装置及び表示素子用基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、耐擦傷性及びガスバリア性に優れた表示素子用基材、及び、その製造方法を提供する。さらに前記表示素子用基材を用いて表示パネル、及び、表示装置を作製する。
【解決手段】表示素子用基材101は、ポリカーボネート基材1の少なくとも一面に、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層2を介してガスバリア層3を設けてなり、前記ハードコート層2と前記ポリカーボネート基材3の境界部には移行部2’が形成されており、この部分でハードコート層2はポリカーボネート基材に溶着している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL表示装置等の表示装置に用いられる透明性及びガスバリア性に優れた表示素子用基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL表示装置や液晶表示装置等のいわゆるフラットディスプレイは省スペース化、薄型化が可能であり、CRTに代わり普及しつつある。フラットディスプレイの表示素子を支持、密封又は被覆する基板の素材には、一般に透明性、機械的強度、耐熱性が必要であり、加えて、表面の平滑性と高度なガスバリア性が要求される。特に表示装置の発光や光の変調に関与する物質を、酸素や湿気、とりわけ湿気の影響から遮断するのに充分なガスバリア性が必要とされる。
【0003】
これらの多面的な要求特性を満たす素材として、従来はガラス板が多用されていたが、表示装置の軽量化及び薄型化、さらに最近では曲面等の非平坦面に適合し得るようにフレキシブル化の要求があり、プラスチック製の板状、シート状又はフィルム状基材を用いる検討が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プラスチック基材の中でもポリカーボネート基材は、透明性及び耐熱性に優れていることから表示素子用基材として期待されるが、傷付き易く、また、ポリカーボネート基材の表面は平滑性が充分でないことが多い。そのため、これを表示素子用基材として用いるためにはハードコート層で被覆して保護すると共に、表面の平坦性を高めることが望まれる。しかしながらポリカーボネート基材は、他の層に対する密着性が概して良好ではないため、光又は熱硬化性樹脂組成物をポリカーボネート基材上に塗布し、硬化させてハードコート層を形成しようとしても、通常では充分な密着性が得られず、ハードコート層がポリカーボネート基材から部分的に浮いて平坦性を損ねたり、或いは、剥落しやすい。
【0005】
またポリカーボネート基材は、他のプラスチック製基材と同様に、それ自体はガラス基板よりもガスバリア性が劣っており、表示素子用基板に要求されるガスバリア性を満足させることができない。そのためポリカーボネート基材上に、上記ハードコート層を介してガスバリア層を形成することが考えられる。しかし、ガスバリア層の下地となるハードコート層がポリカーボネート基材に対して充分な密着性を有していない場合には、ガスバリア層にとっても下地の平坦性が損なわれる結果となり、ガスバリア性が損なわれる。特に、ポリカーボネート基材として可撓性をもつポリカーボネートフィルムを用いる場合には、生産工程においてハードコート層を設けたポリカーボネートの連続フィルムを巻き取り又は巻き戻し、或いは、ハードコート層を備えた表示素子用基材を含む表示パネルを曲面等の非平坦面に適合させることが可能であるが、このようなフィルムの変形を伴う加工を行なう場合には、ハードコート層がポリカーボネートフィルムから非常に浮き易くなるため、ガスバリア性が著しく損なわれるおそれがある。
【0006】
眼鏡のレンズや高速道路の遮蔽版等のポリカーボネート成形体を被覆するハードコート剤として、シロキサン系材料が市販されている。しかしながら、シロキサン系ハードコート剤は高価であるため、より安価で密着性にも優れたハードコート材料が望まれる。
【0007】
本発明は上記実情を鑑み成し遂げられたものであり、透明性、耐熱性、耐擦傷性及びガスバリア性に優れた表示素子用基材、その製造方法、当該表示素子用基材を用いて作製した表示パネル、及び、当該パネルを用いて組み立てた表示装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために提供される本発明に係る第一の表示素子用基材は、ポリカーボネート基材の少なくとも一面に、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を介してガスバリア層を設けてなる表示素子用基材であって、前記ハードコート層が前記ポリカーボネート基材に溶着していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る第二の表示素子用基材は、ポリカーボネート基材の少なくとも一面に、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を介してガスバリア層を設けてなる表示素子用基材であって、前記ハードコート層は、前記ポリカーボネート基材の表面に、光又は熱硬化性樹脂組成物をポリカーボネート基材を溶解可能な溶剤に溶解又は分散させてなるハードコート層用塗工液を塗工し、硬化させることにより形成したものであることを特徴とする。
【0010】
ポリカーボネート基材は耐熱性及び透明性が高いが、傷付き易く且つ隣接層との密着性が概して良くない。そこで、本発明に係る表示素子用基材では、ポリカーボネート基材に、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を溶着する。このハードコート層は密着性が高く且つ安価であり、耐熱性及び透明性が高いポリカーボネート基材の耐擦傷性及び表面平滑性を向上させ、さらに該ハードコート層がガスバリア層にとって平滑性の高い下地を提供してガスバリア性も向上させる。
【0011】
従って、本発明に係る表示素子用基材は、透明性及び耐熱性に優れ、耐擦過性及びガスバリア性にも優れ、表示装置の軽量化、薄膜化、大面積化を図ることができる。
【0012】
また、ポリカーボネート基材は可撓性が高く、加工容易性にも優れているので、基材の形態としては基板だけでなく、比較的薄いシートや可撓性に富むフィルムを用いることが可能であり、薄型の又は曲面にも適用可能なフレキシブルな表示素子用基材が得られ、しかも、フィルム状の巻き取り可能な基材を用いて表示素子用基材を高速で連続生産することが可能である。
【0013】
ポリカーボネート基材と、これに溶着したハードコート層の境界部には、ポリカーボネート基材を形成するポリカーボネートとハードコート層を形成する光又は熱硬化性樹脂組成物の混合物が硬化した移行層が形成されている。ハードコート層は、この移行層の部分でポリカーボネート基材に溶着しているので、密着性が高い。
【0014】
前記ハードコート層は、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましく、特に、アクリル系紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。紫外線硬化性樹脂組成物は、光照射により速やかに硬化するので連続生産に適しており、且つ、照射時にポリカーボネート基材が変色や損傷を起こし難いので好ましい。アクリル系化合物は安価であるため特に好適である。
【0015】
本発明に係る表示素子用基材のガスバリア層としては、気相成長法により形成された金属酸化物層が透明性に優れており、好ましい。
【0016】
次に、本発明に係る表示パネルは、前記本発明に係る表示素子用基材を少なくとも1枚含む2枚の基材を対向させ、両者の間に表示素子を封入したことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る表示パネルは、パネル作製の過程で加熱工程を経ても、或いは、パネル作製後に環境温度の変化に曝されても変色やガスバリア性の低下を起こさず、充分な透明性と非常に優れたガスバリア性を備えている。
【0018】
さらに、可撓性の高いポリカーボネート基材を用いてフレキシブルな表示パネルを作製し、曲面等にも適用することができる。
【0019】
前記表示パネルは、表示素子用基材のガスバリア性皮膜が形成されている面を内側に向けて相手基材と対向させることより、ガスバリア性皮膜形成面を外側に向ける場合と比べて高いガスバリア性が得られる。
【0020】
次に、本発明によれば、上記表示パネルを用いて耐久性に優れ、美しい表示性能を長期間維持できる表示装置が得られる。本発明は、非常に厳しいガスバリア性が要求される有機EL表示装置にも適用可能であり、ダークスポットの発生を防止することができる。
【0021】
また、本発明に係る表示素子用基材の製造方法は、ポリカーボネート基材の表面に、光又は熱硬化性樹脂組成物を前記ポリカーボネート基材を溶解可能な溶剤に溶解又は分散させてなるハードコート層用塗工液を塗工し、硬化させることにより、ポリカーボネート基材の表面に溶着したハードコート層を形成し、さらに該ハードコート層の上にガスバリア層を形成することを特徴とする。
【0022】
ポリカーボネート基材を溶解可能な溶剤を含有するハードコート層用塗工液をポリカーボネート基材上に塗布すると、該塗工液の塗膜は、ポリカーボネート基材の表面を僅かに溶解させながら乾燥が進行し、基材と塗膜の境界部に基材の材質であるポリカーボネートと光又は熱硬化性樹脂組成物が混合した薄い層が形成される。この塗膜が光照射又は加熱により硬化すると、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層と共に、前記境界部に移行層が形成される。硬化後のハードコート層は、移行層の部分でポリカーボネート基材に溶着するので、優れた密着性が得られる。
【0023】
溶剤のSP値を5〜20の範囲とすることにより、ポリカーボネート基材に対して適度な溶解性が得られるので好ましい。溶剤としては、ケトン類及び芳香族系溶剤のなかから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る表示素子用基材は、ポリカーボネート基材の少なくとも一面に、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を介してガスバリア層を設けてなる表示素子用基材であって、前記ハードコート層が前記ポリカーボネート基材に溶着していることを特徴とする。この表示素子用基材は、EL表示装置や液晶表示装置等のフラットディスプレイに代表される表示装置の表示素子を支持、密封又は被覆する等の目的で用いられる。
【0025】
図1に表示素子用基材の一例を示す。表示素子用基材101は、ポリカーボネート基材1の一面側に、当該基材に近い側からハードコート層2及びガスバリア層3を順次積層した層構成である。また、ポリカーボネート基材1とハードコート層2の境界部には、ポリカーボネート基材の材質であるポリカーボネートとハードコート層の材料である光又は熱硬化性樹脂組成物の混合物が硬化した移行層2’が形成されている。ハードコート層2は、この移行層2’の部分でポリカーボネート基材1に溶着しており、ポリカーボネート基材1とハードコート層2の界面は明確でない。移行層を適切な厚さに形成することによって、透明性を損なわずに、充分な密着性が得られる。
【0026】
移行層は、基材とハードコート層の間の切削強度が急峻に変化する部分として捉えられる場合には、そのような切削強度の異なる部分を移行層の厚さとして測定すればよい。例えば、ダイプラウィンテス社製サイカスNN型装置を用いて、ハードコート層表面からポリカーボネートに向けて15度の入射角度で切削し、ハードコート層、移行層、ポリカーボネートにおける切削強度の差から、移行層の厚さを求めることができる。
【0027】
ポリカーボネート基材1は、プラスチックの中でも耐熱性、透明性に優れていることから、本発明においてガラス基板の代わる支持体として用いられる。ポリカーボネート基材1としては、耐熱性、透明性だけでなく、平滑性、強度等の諸性能を考慮して種々のポリカーボネート又はグレードを用いることができる。耐熱性に関しては、金属酸化物層を形成したり、表示素子を形成する等の製造途中での加熱工程や、表示装置の使用時の温度上昇に耐えられるものであることが必要である。また、表示装置のタイプにもよるが、基材が表示装置の観察者側に位置する場合には、表示される画像の視認性を充分に確保できるだけの透明性が求められる。
【0028】
ポリカーボネートの中でも、下記式(A)〜(I)で表されるビスフェノールから誘導される繰返し単位をもつものは、特に耐熱性及び透明性が高い反面、他のポリカーボネートと比べて隣接層との密着性が得られ難いが、本発明においては、これらのポリカーボネートを用いる場合でも、充分な密着性を得ることができる。
【0029】
【化1】
Figure 2004309932
【0030】
(式(A)において、R及びRは相互に独立して水素、ハロゲン、好ましくは塩素または臭素、C1−8アルキル、C5−6シクロアルキル、C6−10アリール、好ましくはフェニル、及びC7−12アラルキル、好ましくはフェニル−C1−4−アルキル、特にベンジルを表わし、mは4〜7、好ましくは4または5の整数であり、R及びRは各Xに対して個々に選ぶことができ、かつ相互に独立して水素またはC1−6アルキルを表わし、そしてXは炭素であり、但し少なくとも1個の原子X、R及びRは共にアルキルである)
【0031】
【化2】
Figure 2004309932
【0032】
【化3】
Figure 2004309932
【0033】
【化4】
Figure 2004309932
【0034】
(式(B)〜(I)において、R、R、R及びRは、相互に独立して水素またはメチル基を表す。)
ポリカーボネート基材の厚みは、通常、1〜200μm程度であり、適宜変更できる。本発明においては、支持体の軽量化、薄型化、さらには、表示パネルのフレキシブル化等を図る観点から、或いは、生産工程において巻き取り巻き戻しが可能で連続生産の能率を向上させる観点から、可撓性のあるポリカーボネートシート又はポリカーボネートフィルムを用いるのが好ましい。
【0035】
ポリカーボネート基材は、最終製品の表面の平滑性を高め、また、ハードコート層を均一に形成するために表面の平滑性が高いものが好ましく、平均粗さ(Ra)が5nm以下であるものが好ましい。下限は特にないが、実用上、0.01nm以上であることが一般的である。必要に応じて、基材フィルムの両面、又は、少なくともハードコート層を設ける側を研摩し、平滑性を向上させておくとよい。
【0036】
基材フィルムの少なくともハードコート層を設ける側には、接着性向上のための公知の種々の処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、プラズマ処理又はプライマー層の積層等のいずれか一つ又は幾つかを組合わせて行うことができる。
【0037】
接着性向上のための処理のうちプライマー層2は、ハードコート層の接着力を向上させて製品の耐久性を向上させることに加え、基材表面の平滑性を向上させ、金属酸化物層を均一に形成する効果も得られる。
【0038】
プライマー層としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、ポリエステル又はアクリル等の樹脂からなるごく薄い、0.1〜5μm程度の厚みの層を形成する。通常、プライマー層の材料となる樹脂の溶剤溶液を基材上に塗付し、乾燥させることによりプライマー層を形成できる。なお、後述するオーバーコート層を形成する樹脂を、プライマー層の材料として用いてもよい。
【0039】
ハードコート層2は、光又は熱硬化性樹脂組成物を、前記ポリカーボネート基材を溶解可能な溶剤に溶解又は分散させてなるハードコート層用塗工液を用いて形成する。ポリカーボネート基材の傷付きを防止するために、ハードコート層のバインダー成分としては、硬化反応により強固な被覆を形成できる光又は熱硬化性化合物を用いる。また、ハードコート層を基材に溶着して高い密着性を得るために、塗工液の溶剤として、ポリカーボネート基材を溶解可能な溶剤を用いる。
【0040】
光硬化性樹脂組成物の塗膜は光照射により速やかに硬化するので、塗布後短時間のうちに基材を巻き取ることができ、連続生産に適している。また、塗膜中に溶剤が長い時間残留する場合にはポリカーボネート基材の表面が過度に溶解して白化や平坦性の喪失等の損傷を起こす可能性があるが、光硬化性樹脂組成物の塗膜は光照射により速やかに硬化して塗膜内に溶剤を閉じ込めるので、上記したようなポリカーボネート基材の損傷を防ぐことができる。従って、熱硬化性樹脂組成物よりも光硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。また、光硬化性樹脂組成物の中でも、紫外線硬化性樹脂組成物は、照射時にポリカーボネート基材が変色や損傷を起こし難いので好ましい。
【0041】
光硬化性樹脂組成物のバインダー成分としては、アクリル系化合物等のエチレン性不飽和結合を有する化合物に代表される光ラジカル重合性の化合物や、エポキシ樹脂のような光カチオン重合性の化合物が安価であることから好適であり、アクリル系化合物は特に好適である。
【0042】
アクリル系化合物としては、エチレン性不飽和結合を含むアクリル基を1分子中に少なくとも1つ有する化合物を用いる。アクリル基を1分子中に2つ以上有する多官能アクリル系化合物は、架橋密度を高められるので好ましい。具体的には、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタヘキサアクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート、或いは、これらのラジカル重合性モノマーが重合したオリゴマーを例示することができる。
【0043】
アクリル系化合物と組み合わせる光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、チウラム化合物類、フルオロアミン化合物等を用いることができる。より具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケトン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン等を例示できる。これらは市販品にも存在し、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンはイルガキュアー 184(Irgacure 184)の商品名でチバスペシャルティーケミカルズ(株)から入手できる。
【0044】
光ラジカル重合開始剤の中でも、紫外線照射によりラジカルを発生させる開始剤を用いることで紫外線硬化性樹脂組成物が得られる。上記光ラジカル重合開始剤の中で、紫外線照射によりラジカルを発生させる開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のモノアシルホスフィンオキシドあるいはビスアシルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;並びにキサントン類等が挙げられる。
【0045】
これらの光ラジカル重合開始剤は単独で使用することも、安息香酸系、アミン系等の光重合開始促進剤と組み合わせて使用することもできる。これら開始剤の好ましい配合割合は、樹脂組成物全体に対して0.1重量%以上35重量%以下で、より好ましくは、1重量%以上10重量%以下である。
【0046】
エポキシ化合物としては、エポキシ基を一分子内に少なくとも一つ、好ましくは二つ以上有する化合物を用いることができる。好ましいエポキシ化合物としては、一分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂(多官能エポキシ樹脂)、又は、グリシジルメタクリレートを含む1種以上の単量体を重合させて得られるグリシジル基を一分子内に2つ以上有する重合体(グリシジル基含有重合体)を挙げることができる。
【0047】
多官能エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0048】
グリシジル基含有重合体は、グリシジルメタクリレートを単独で又は他の不飽和単量体と重合させて得られるものであり、好ましくはランダム共重合体である。グリシジルメタクリレートと共重合させる不飽和単量体の具体例としては、例えば、フェノール型エポキシアクリレート(ナガセ化工、DA−141)、1,6−ヘキサンジオール型アクリレート(ナガセ化工、DA−212)、アリルアルコール型アクリレート(ナガセ化工、DA−111)、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられる。製膜性の点からは、グリシジル基含有重合体のポリスチレン換算した重量平均分子量が3,000〜100,000程度であることが好ましい。グリシジル基含有重合体として用いられる化合物の詳しい製造方法は、例えば特開平2001−350010号公報等に記載されている。
【0049】
エポキシ化合物と組み合わせる光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、混合配位子金属塩等を用いることができる。紫外線照射によりカチオンを発生させる開始剤としては、例えば、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示され、更に具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
一方、熱硬化性樹脂組成物のバインダー成分としては、例えば、上記したエポキシ化合物を用いることができる。エポキシ化合物と組み合わせる硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、触媒型硬化剤等の硬化剤を用いることができる。
【0051】
この中で酸無水物系硬化剤としては具体的に、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸無水物等を挙げることができる。
【0052】
また、エポキシ化合物の硬化剤としては、ブロック化カルボキシル基を有する化合物(ブロックカルボン酸)を用いるのが好ましい。ブロックカルボン酸は、カルボン酸のカルボキシル基をビニルエーテル等のブロック剤を用いてブロック(キャップ)した化合物であり、例えば下記式(1)又は式(2)で表される官能基を有する化合物を用いることができる。
【0053】
【化5】
Figure 2004309932
【0054】
(式中、R、R、R、R’、R’及びR’は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アルカリール基などの有機基である。R及びRは、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アルカリール基などの有機基である。これらの有機基は適当な置換基を有していてもよい。Y及びY’はそれぞれ酸素原子またはイオウ原子である。RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成していてもよい。また、R’、R’、R’及びY’は、それらがそれぞれ対応しているR、R、R及びYと同じであってもよい。)
光又は熱硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を達成するために必要なハードコート層本来の機能を確保できる範囲内において、バインダー成分として非硬化反応性の高分子成分を配合しても良い。非硬化反応性の高分子成分としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を用いることができる。
【0055】
光又は熱硬化性樹脂組成物のバインダー成分及びその他の成分を溶解又は分散させる溶剤としては、前記ポリカーボネート基材を溶解できる溶剤を用いる。用いるポリカーボネート基材の種類に合わせて溶剤の種類及び組み合わせを変えて溶解性を適宜調節することによって、ハードコート層用塗工液の塗膜を基材上で乾燥及び硬化させる時間で、丁度適切な厚さの移行層を形成することができるようになる。ポリカーボネート基材に対する溶剤の溶解性が弱すぎる場合には、ハードコート層の充分な密着性が得られず、溶解性が強すぎる場合には基材表面の溶解が進み過ぎるため白化して透明性を損なったり、表面の平滑性が失われる。
【0056】
通常は、溶剤のSP値を5〜20の範囲とすることにより、ポリカーボネート基材に対して適度な溶解性が得られるので、基材の損傷を招かずに密着性を充分に向上させることができる。適度な溶剤としては、例えば、アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、シクロヘキセン、シクロヘキサノン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、などのケトン類、エステル類、炭化水素類などが挙げられる。
【0057】
バインダー成分として多官能アクリル系化合物又はエポキシ化合物を用いて紫外線硬化性樹脂組成物を調製する場合の配合割合は、光硬化性樹脂組成物中に固形分ベースで1〜50重量%、特に、10〜20重量%とすることが好ましい。
【0058】
光又は熱硬化性樹脂組成物を塗工液の形態に調製した場合の固形分濃度は、前記基材溶解性をもつ溶剤を用いて、通常1〜50重量%に調節する。
【0059】
ハードコート層用塗工液は、前記光又は熱硬化性樹脂組成物の配合成分と、基材溶解性をもつ溶剤を、混合し、振とう器、分散器、超音波分散装置等の通常の手段で溶解又は分散することにより調製することができる。
【0060】
このようにして調製されたハードコート層用塗工液をポリカーボネート基材上に塗布すると、該塗工液の塗膜は、ポリカーボネート基材の表面を僅かに溶解させながら乾燥が進行し、基材と塗膜の境界部に基材の材質であるポリカーボネートと光又は熱硬化性樹脂組成物が混合した薄い層が形成される。この塗膜が光照射又は加熱により硬化すると、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層と共に、前記境界部に移行層が形成される。硬化後のハードコート層は、移行層の部分でポリカーボネート基材に溶着するので、優れた密着性が得られる。
【0061】
ハードコート層用塗工液に用いる溶剤の種類及び組成を変えて基材に対する溶解性を調節することにより、一般的な乾燥及び硬化のための条件及び時間で適切な厚さの移行層を形成することが可能である。紫外線等の光硬化性樹脂組成物の塗工液を用いる場合には、例えば、ポリカーボネート基材上にハードコート層用塗工液をロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、ビードコーター法等の通常の手段で基材上に塗布し、50〜100℃で1分〜15分間乾燥した後、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光源を用い、300mJの照射エネルギーで硬化させることにより、密着性に優れたハードコート層が得られる。
【0062】
ハードコート層2の塗工量は、硬化後厚みが通常0.1〜10μm、好ましくは1〜5μmとなるようにする。ハードコート層2が薄すぎると、ポリカーボネート基材を充分に保護することができず、厚すぎるとポリカーボネート基材を保護する効果が頭打ちになると共に、表示素子用基材の可撓性が損なわれる場合がある。
【0063】
また、移行層2’の厚みは、ハードコート層2と比べて非常に薄く、通常0.1nm〜50nm程度である。移行層2’が薄すぎると溶着による密着性が充分に得られず、厚すぎると白化や平滑性の喪失等の基材損傷が起きる。
【0064】
ガスバリア層3は、ガスバリア性、透明性及び密着性に優れた材料を用いて形成することができる。例えば、SiOx、Al、ITO、酸化処理を行ったSiN、又は、これらの混合物等、透明性を有する種々の金属酸化物で形成することができるが、耐熱性と透明性の点で特にSiOx(シリカ)が好ましい。金属酸化物層の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法又はイオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、又は、めっきやゾル−ゲル法等の液層成長法等によって形成することができ、通常は、気相成長法により形成する。このうち、金属酸化物層の形成時におけるポリカーボネート基材1に対する熱の影響が比較的軽く、生産速度が速く、均一な薄膜層を得やすい点では、化学的気相成長法(CVD)が好ましいが、耐熱性の高い基材を選択する等の方法で基材への熱の影響を除けば、物理的気相成長法(PVD)も好ましい。金属酸化物層の厚みは、通常、50〜1000nm、好ましくは100〜500nmである。本発明においては、耐熱性の高いポリカーボネート基材を用いるので、気相成長法による基材の熱的損傷が起き難いという利点がある。
【0065】
このようにして図1に示す表示素子用基材101が得られる。特に、基材として可撓性があるポリカーボネートのフィルム又はシートを用い、紫外線等の光硬化性樹脂組成物のハードコート層用塗工液を用いる場合には、ポリカーボネート基材をロールストックから繰り出し、該基材上に上記した塗工手段によりハードコート層用塗工液を連続塗工し、乾燥及び光照射による硬化を行ってハードコート層を速やかに形成し、基材を巻き取って中間品のロールストックとし、このロールストックを他所に適宜保管又は移送して再び繰り出してガスバリア層を形成し、得られた表示素子用基材を再び巻き取ってロールストックとすることができ、能率良く連続生産を行なうことが可能である。
【0066】
この表示素子用基材101を2枚以上重ねて貼り合わせたものを表示素子用基材として用いてもよい。図2は、図1の表示素子用基材101を2枚、ガスバリア層を形成した側を対向させ、接着剤層4を介して貼り合わせた表示素子用基材102を示したものである。表示素子用基材同士の積層は、向き合う接着面の一方又は双方の素材を利用して熱融着させる等の方法で行うこともできるが、接着剤を用いるのが確実である。
【0067】
接着剤層4に用いる接着剤は特に限定されず、公知のものを種々用いることができる。具体的には、ポリウレタン系の接着剤を使用して形成することができ、より好ましくはエポキシ基、アミノ基、OH基等の官能基を有したものを用いることが好ましい。
【0068】
本発明に係る表示素子用基材は、ハードコート層の密着性に優れていることから、表示素子用基材を作成する途中、当該表示素子用基材を用いて表示パネルを作成する途中、及び、当該表示パネルを用いて表示装置を作成する途中において巻き取られたり、湾曲されたり、或いは、最終製品の形態において曲面等の非平坦面の形状に適用される場合であっても、該ハードコート層が剥離せず、且つ、ハードコート層の表面平滑性を維持してガスバリア層の密着性も向上させるので、ポリカーボネート基材の傷付きが充分に防止されると共に、ガスバリア性にも優れている。
【0069】
密着性の評価試験としては、JIS A5422に規定されるセロハンテープ剥離試験と、JIS K5400に規定される鉛筆硬度試験があるが、本発明においては、表示素子用基材に設けられるハードコート層の密着性を、上記セロハンテープ剥離試験において100/100、また、上記鉛筆硬度試験において3Hとすることができる。
【0070】
また、本発明の表示素子用基材に設けられる、SiOx蒸着層等の気相成長法によるガスバリア層は、その密着性を、上記セロハンテープ剥離試験において100/100、また、上記鉛筆硬度試験において3Hとすることができる。
【0071】
本発明の表示素子用基材は、ガスバリア性が非常に高く、酸素透過率を、10−3cc/m・day・atm(23℃、ドライ(0%Rh))、及び、水蒸気透過率を、10−5g/m・day・atm(37.8℃、100%Rh)とすることができる。
【0072】
また、本発明の表示素子用基材は、その作製途中にポリカーボネート基材の表面がハードコート層用塗工液によって一時的に溶解するが、溶剤の溶解性を適切に調節することによって、ポリカーボネート基材の優れた透明性を低下させずに維持することができ、具体的には全光線透過率を90%以上とすることができる。
【0073】
本発明に係る表示素子用基材は、有機EL表示素子や液晶表示素子等の表示素子を支持、被覆又は密封等するための基材として用いられ、典型的には、本発明の表示素子用基材を1枚含む2枚の基材を対向させ、両者の間に表示素子を封入することにより、液晶パネルを作製することができる。
【0074】
図3は、図1の表示素子用基材101同士を、各々のガスバリア層を形成した側を内側に向けて相手基材と対向させて、その間に有機EL素子9を封入した表示パネルの一例(201)である。本発明に係る表示素子用基材は、図3に示すようにガスバリア層を形成した面を内側にして用いることで、ガスバリア層形成面を外側に向ける場合と比べて高いガスバリア性が得られる。なお、本発明の表示素子用基材101と、単なるガラス基板等の本発明に属さない表示素子用基材を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
図3において有機EL素子9は、透明電極層5、正孔注入層6、発光材料層7、正極層8が順次積層した構成をとる。ただし、有機EL素子9は、種々の公知の構成とすることができる。また、対向する表示素子用基材101a、101bの周縁部にはシール部10が形成されており、これにより有機EL素子9が基材の間に封入される。有機EL素子9の各層は、公知の材料、公知の方法で形成できる。例えば、一方の表示素子用基材101aのガスバリア層を形成した側に、気相成長法によって透明電極層5であるITO膜を形成し、その上に正孔注入層6、及び発光層7を、それぞれの塗工液を塗布、乾燥することで形成し、その上に気相成長法によってAgからなる正極層8を形成することで有機EL素子9を形成する。次いで、表示素子用基材101aの周囲に、接着剤を塗布し、もう1枚の表示素子用基材101bを重ね合わせてシール部10を形成することで有機EL素子9を封入し、表示パネル201が得られる。そして、得られた表示パネル201を用いて有機EL表示装置を組み立てることができる。
【0076】
なお、本発明の表示素子用基材及び表示パネルは、有機EL素子以外の表示素子にも好適に適用することができる。
【0077】
【実施例】
(1)ハードコート樹脂の調製
100mLのガラス製サンプル管瓶に、20重量部のPET30(日本化薬製ペンタエリスリトールトリアクリレート)と、20重量部のトルエン−メチルエチルケトン(重量比で1:1の混合比)混合溶媒を混合し、ハンドシェイクにより均一な溶液(A液)を得た。得られた溶液中に、光重合開始剤であるイルガキュア184(チバスペシャルティ・ケミカルズ(株)製)をA液中のPET30の重量に対して5重量%添加した(B液)。
【0078】
(2)ガスバリア性フィルムの作製
基材フィルムとして、ポリカーボネートフィルム(バイエル(株)製、商品名;「バイホールLP202」、厚み;200μm)を用い、片面に上記B液をグラビア印刷法により塗工し、120℃の温度で熱風乾燥を行った後、80W/cm、2灯の高圧水銀灯で8cm離した距離から、30秒間紫外線を照射し、膜厚が0.1μmのハードコート層を形成した。次に、巻き取り式の真空蒸着装置を用い、この基材のプライマー面に、プラズマCVD法によって酸化珪素膜を形成した。プラズマCVD装置としては、周波数90kHzの低周波電源を備える平行平板型プラズマCVD装置(アネルバ製、PED−401)を使用した。成膜条件としては、原料ガスにはヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)ガス(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン(株)、SH200、0.65CSt)1.5sccm、酸素ガス(太陽東洋酸素(株)、純度99.9999%以上)15sccm、ヘリウムガス30sccmを用い、投入電力250W、成膜圧力33.325Pa(250mTorr)で、成膜時間を調整して膜厚が20nmとなるまで成膜した。なお、sccmは、standard cubic cm per minuteの略である。
【0079】
得られたガスバリア性フィルムについて、酸素ガス透過率測定と水蒸気透過率測定を行ってガスバリア性を評価した。酸素ガス透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用い、23℃、ドライ(0%Rh)の条件で測定した。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定した。ガスバリア性の評価基準は、酸素ガス透過率(OTR)が0.5cc/m/day以下であり、且つ水蒸気透過率(WVTR)が0.5g/m/day以下とした。
【0080】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明は、耐熱性及び透明性が高いポリカーボネート基材に密着性が高く且つ安価なハードコート層を形成して耐擦傷性及び表面平滑性を向上させ、さらに該ハードコート層がガスバリア層にとって平滑性の高い下地を提供してガスバリア性も向上するので、表示素子用基材の支持体として用いることができる。
【0081】
従って、本発明に係る表示素子用基材は、透明性及び耐熱性に優れ、耐擦過性及びガスバリア性にも優れ、表示装置の軽量化、薄膜化、大面積化を図ることができる。
【0082】
また、ポリカーボネート基材は可撓性が高く、加工容易性にも優れているので、基材の形態としては基板だけでなく、比較的薄いシートや可撓性に富むフィルムを用いることが可能であり、薄型の又は曲面にも適用可能なフレキシブルな表示素子用基材が得られ、しかも、フィルム状の巻き取り可能な基材を用いて表示素子用基材を高速で連続生産することが可能である。特に、ハードコート層を光硬化性樹脂組成物の塗工液を用いて形成する場合には、ハードコート層を速やかに形成することができるので、連続生産に非常に適している。
【0083】
本発明に係る表示パネルは、上記本発明に係る表示素子用基材を用いて表示素子を封入したものであり、パネル作製の過程で加熱工程を経ても、或いは、パネル作製後に環境温度の変化に曝されても変色やガスバリア性の低下を起こさず、充分な透明性と非常に優れたガスバリア性を備えている。
【0084】
さらに、可撓性の高いポリカーボネート基材を用いてフレキシブルな表示パネルを作製し、曲面等にも適用することができる。
【0085】
そして、本発明によれば、上記表示パネルを用いて耐久性に優れ、美しい表示性能を長期間維持できる表示装置が得られる。本発明は、非常に厳しいガスバリア性が要求される有機EL表示装置にも適用可能であり、ダークスポットの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表示素子用基材の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る表示素子用基材の別の例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る表示素子用基材を用いた表示素子の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
101、102…表示素子用基材
201…有機EL表示パネル
1…基材
2…ハードコート層
2’…移行層
3…ガスバリア層
4…接着剤層
5…透明電極層
6…正孔注入層
7…発光材料層
8…正極層
9…有機EL素子
10…シール部

Claims (14)

  1. ポリカーボネート基材の少なくとも一面に、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を介してガスバリア層を設けてなる表示素子用基材であって、前記ハードコート層が前記ポリカーボネート基材に溶着していることを特徴とする、表示素子用基材。
  2. ポリカーボネート基材の少なくとも一面に、光又は熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を介してガスバリア層を設けてなる表示素子用基材であって、前記ハードコート層は、前記ポリカーボネート基材の表面に、光又は熱硬化性樹脂組成物をポリカーボネート基材を溶解可能な溶剤に溶解又は分散させてなるハードコート層用塗工液を塗工し、硬化させることにより形成したものであることを特徴とする、表示素子用基材。
  3. 前記ポリカーボネート基材と前記ハードコート層の境界部に、ポリカーボネート基材を形成するポリカーボネートとハードコート層を形成する光又は熱硬化性樹脂組成物の混合物が硬化した移行層が形成されている、請求項1又は2に記載の表示素子用基材。
  4. 前記ハードコート層が紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる、請求項1乃至3のいずれかに記載の表示素子用基材。
  5. 前記ハードコート層がアクリル系紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる、請求項4に記載の表示素子用基材。
  6. 前記ガスバリア層が気相成長法により形成された金属酸化物層である、請求項1乃至5のいずれかに記載の表示素子用基材。
  7. 前記請求項1乃至5のいずれかに記載の表示素子用基材を少なくとも1枚含む2枚の基材を対向させ、両者の間に表示素子を封入したことを特徴とする、表示パネル。
  8. 前記表示素子用基材のガスバリア層が形成されている面を内側に向けて相手基材と対向させることを特徴とする、請求項7に記載の表示パネル。
  9. 請求項7又は8に記載の表示パネルを用いて作製した表示装置。
  10. ポリカーボネート基材の表面に、光又は熱硬化性樹脂組成物を前記ポリカーボネート基材を溶解可能な溶剤に溶解又は分散させてなるハードコート層用塗工液を塗工し、硬化させることにより、ポリカーボネート基材の表面に溶着したハードコート層を形成し、さらに該ハードコート層の上にガスバリア層を形成することを特徴とする、表示素子用基材の製造方法。
  11. 前記ハードコート層用塗工液の溶剤は、SP値が5〜20であることを特徴とする、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記溶剤は、ケトン類及び芳香族系溶剤のなかから選ばれる少なくとも1種からなる、請求項10又は11に記載の製造方法。
  13. 前記ハードコート層用塗工液が紫外線硬化性樹脂組成物を含有する、請求項10乃至12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 前記ハードコート層用塗工液がアクリル系紫外線硬化性樹脂組成物を含有する、請求項13に記載の製造方法。
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