JP5239247B2 - ハードコート層用硬化性樹脂組成物、及びハードコートフィルム - Google Patents
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Description
また、ハードコート層の表面に凹凸が多数存在すると、ハードコート層に何か硬いものが接触したときに凸部に引っ掛かり、当該凸部に過大な力が加わり、微細な損傷を起こす場合がある。従って、ハードコート層表面の耐擦傷性を向上させるためには、当該ハードコート層表面を平滑にすることが有効である。
しかしながら、表面の平滑性が高いハードコートフィルムを連続帯状の状態で連続して巻き取り、長尺ロールとする場合には、鏡面同士を密着加圧する場合のように、当該ハードコートフィルムのハードコート層側の表面と、当該ハードコートフィルムの基材フィルム側の表面とが重なり合って貼り付いてしまう。貼り付きの強さはロールの外縁部と中心部で相違し、ロールの中心部程大きくなる。このため、当該ハードコートフィルムを用いた製品の製造工程において、当該ハードコートフィルムの繰り出し速度の制御が難しく、また、互いに貼り付いた当該ハードコートフィルム表面を剥がす際に当該ハードコートフィルムが切れる等の問題がある。
しかし、ハードコート層用硬化性樹脂組成物にポリシロキサンビーズを多量に含有させると、当該樹脂組成物からなるハードコート層は、層内の内部散乱増加による透明性の低下、及び、バインダー不足による耐擦傷性の低下を起こす。また、ハードコート層の透明性を損なわずに表面硬度を向上させるために適切な微粒子の粒径と比べて、層表面に微小突起を形成するのに有効な微粒子の粒径の方が大きいため、層の表面硬度を上げるための微粒子を多量に用いても、鏡面同士の密着接合を防止するのに有効な微小突起を形成することは難しい。
すなわち、本発明は、(1)動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径と定義される平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子A、
(2)動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの累積分布50%粒子径と定義される平均一次粒子径が20nm以上300nm以下の有機シリコーン微粒子B、
(3)前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aとの架橋反応性を有する反応性官能基cを3つ以上有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、を含有し、
前記有機シリコーン微粒子Bの含有量が、全固形分に対して0.1〜5.0重量%である、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を提供する。
前記ハードコート層中に、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子と有機シリコーン微粒子Bとを含み、前記有機シリコーン微粒子Bが、前記ハードコート層表面に10nm以上200nm以下の凹凸を形成した、ハードコートフィルムを提供する。
また、本発明に係るハードコートフィルムによれば、当該ハードコートフィルムを連続帯状の状態で連続して巻き取り長尺ロールとした場合に、当該ハードコートフィルムのハードコート層側の表面と、当該ハードコートフィルムの基材フィルム側の表面との貼り付きを防止することができる。
まず、本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、
(1) 平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子A、
(2) 平均一次粒子径が300nm以下の有機シリコーン微粒子B、
(3) 前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、を含有し、
前記有機シリコーン微粒子Bの含有量が、全固形分に対して0.1〜5.0重量%であることを特徴とする。
以下に、本発明について詳細に説明する。
前記反応性無機微粒子Aのコアとなる無機微粒子と、前記有機シリコーン微粒子Bの有する有機基により、当該反応性無機微粒子Aと当該有機シリコーン微粒子Bは分離する傾向がある。また、前記反応性無機微粒子Aの平均一次粒子径を上記の範囲とすることで、当該反応性無機微粒子Aの拡散係数が小さくなるため、ハードコート層用硬化性樹脂組成物に当該反応性無機微粒子Aを含有させると、当該樹脂組成物から成るハードコート層の透明基材フィルム側とは反対側の界面及びその近傍において、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子の密度が最も小さく、当該ハードコート層の透明基材フィルム側の界面又はその近傍において、最も密度が大きい状態とすることができる。このように、当該反応性無機微粒子Aと当該有機シリコーン微粒子Bの分離する傾向、及び当該反応性無機微粒子Aの密度分布に基づく体積排除効果によって、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に含有される有機シリコーン微粒子Bは、ハードコート層の基材フィルム側とは反対側の界面及びその近傍において最も密度が大きい状態となり、当該ハードコート層の表面に所望の凹凸形状を形成し得る当該有機シリコーン微粒子Bの含有量を全固形分に対して0.1〜5.0重量%と少量に抑えることができる。一方、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物に当該有機シリコーン微粒子Bを多量に含有させると、当該樹脂組成物からなるハードコート層は、層内の内部散乱増加による透明性の低下、及び、バインダー不足による耐擦傷性の低下を起こす。
また、当該有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径を上記範囲とすることにより、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成することができる。これに対して、当該有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径が上記範囲を超える場合、ハードコート層の表面形状が粗くなり、表面へイズの上昇により当該ハードコート層の透明性が損なわれ、また、当該ハードコート層表面の凹凸形状が大きくなり、当該ハードコート層表面の平滑性が損なわれ外力の影響を受け易くなり、耐擦傷性の低下を起こす。
したがって、本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物によれば、当該樹脂組成物中に、特定の平均一次粒子径を有する反応性無機微粒子Aと特定の平均一次粒子径を有する有機シリコーン微粒子Bとを含有させることにより、透明性及び耐擦傷性を損なわずに、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを得ることができる。
なお、本発明において耐擦傷性の観点から反応性無機微粒子Aとして反応性シリカ微粒子を用いる場合、当該反応性シリカ微粒子はコアとなる無機微粒子がシリカであるため、シリカビーズとの親和性が高く、当該反応性シリカ微粒子と当該シリカビーズとが凝集した状態の粒子(凝集粒子)を形成し、当該凝集粒子はハードコート層の透明基材フィルム側の界面又はその近傍に偏在する。このため本発明において、上記特許文献1に記載されたシリカビーズを用いても、当該シリカビーズはハードコート層の基材フィルム側とは反対側の界面及びその近傍に偏在することができず、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成することができない。
なお、本明細書中において(メタ)アクリロイルはアクリロイル及びメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表す。また、本願明細書中の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明に用いられる反応性官能基a及び反応性官能基cとしては特に、硬化膜の硬度を向上させる観点から、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
無機微粒子をハードコート層に含有させることにより、透明性を維持しつつハードコート性を向上させることが一般になされている。また、架橋反応性を有する無機微粒子と、硬化性バインダーを架橋反応させ、架橋構造を形成することにより、ハードコート性を更に向上させることができる。反応性無機微粒子Aとは、コアとなる無機微粒子の少なくとも表面の一部に有機成分が被覆し、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する無機微粒子のことである。反応性無機微粒子Aには、1粒子あたりコアとなる無機微粒子の数が2つ以上のものも含まれる。また、反応性無機微粒子Aは、粒子径を小さくすることにより含有量に対して、マトリクス内での架橋点を高めることができる。
本発明においては、十分な耐擦傷性を有するように硬度を著しく向上させることを目的として、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子Aを含有することが好ましい。当該反応性無機微粒子Aは、ハードコート層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
無機微粒子の表面には通常、無機微粒子内ではこの形態で存在できない基を有する。これら表面の基は通常、相対的に反応しやすい官能基である。例えば金属酸化物の場合には、例えば水酸基及びオキシ基、例えば金属硫化物の場合には、チオール基及びチオ基、又は例えば窒化物の場合には、アミノ基、アミド基及びイミド基を有する。
当該被覆している有機成分の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることができる。
なお、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めたものである。まず、示差熱重量分析(DTG)により、有機成分重量を無機成分重量で割った値(有機成分重量/無機成分重量)を測定する。次に、無機成分重量と用いた無機微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前の無機微粒子が真球状であると仮定し、被覆前の無機微粒子の平均粒子径から被覆前の無機微粒子1個当りの体積、及び表面積を計算する。次に、無機成分全体の体積を被覆前の無機微粒子1個当たりの体積で割ることにより、反応性無機微粒子Aの個数を求める。更に、有機成分重量を反応性無機微粒子Aの個数で割ることにより、反応性無機微粒子A1個当たりの有機成分量を求める。最後に、反応性無機微粒子A1個当りの有機成分重量を、被覆前の無機微粒子1個当りの表面積で割ることにより、単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
なお、反応性無機微粒子Aは、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、一次粒子径だけでなく二次粒子径も上記範囲内であれば良い。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性無機微粒子A中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m2以上含まれることが可能で、無機微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)(iii)の無機微粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
(ii)粒子径5nm以上100nm以下の無機微粒子を疎水性ビニルモノマーに分散したモノマーを、親水化された多孔質膜を通して水中に吐出し、無機微粒子が分散したモノマー液滴の水分散体とした後、重合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
(iii)被覆前の無機微粒子に導入する反応性官能基、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
上記(i)の反応性無機微粒子Aを用いる場合には、有機成分含量が少なくても膜強度を向上できるというメリットがある。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aが含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基を無機微粒子表面に反応させることによって、上記(i)の反応性無機微粒子Aの表面に上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aを導入することが可能である。例えば、第1の官能基のほかに、更に重合性不飽和基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
一方で、上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、第2の反応性官能基を含有させ、当該第2の反応性官能基を足掛かりにして、上記(i)の反応性無機微粒子Aの表面に上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aが導入されても良い。例えば、第2の反応性官能基として水酸基及びオキシ基のような水素結合が可能な基(水素結合形成基)を導入し、当該微粒子表面上に導入された水素結合形成基に、更に別の表面修飾化合物の水素結合形成基が反応することにより、上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aを導入されることが好ましい。すなわち、表面修飾化合物として、水素結合形成基を有する化合物と、重合性不飽和基などの上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aと水素結合形成基を有する化合物とを併用して用いることが好適な例として挙げられる。水素結合形成基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを示す旨である。本発明の表面修飾化合物に用いられる水素結合形成基としては、中でもカルボキシル基、水酸基、アミド基が好ましい。
上記(i)の反応性無機微粒子Aに用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中で溶解性又は少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子又は分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH2=CHSi(OOCCH3)3、CH2=CHSiCl3、CH2=CHSi(OC2H5)3、CH2=CH−Si(OC2H4OCH3)3、CH2=CH−CH2−Si(OC2H5)3、CH2=CH−CH2−Si(OOCCH3)3、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N'−(2'−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
上記(ii)の反応性無機微粒子Aを用いる場合には、粒度分布の点から単分散性がより高まり、粗大粒子を含む場合のイレギュラーな性能の発現を抑えられるというメリットがある。
化学式(1)
−Q1−C(=Q2)−NH−
(化学式(1)中、Q1は、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、Q2はO又はSを示す。)
上記(iii)の反応性無機微粒子Aを用いる場合には、有機成分量が高まり、分散性、および膜強度がより高まるというメリットがある。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、当該無機微粒子に導入したい反応性官能基aは、上記バインダー成分Cと反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
[(RaO)mRb 3-mSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
また、Rdは2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記化学式(1)に示す基を含むこともできる。
Y’は反応性官能基を有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基そのものであっても良い。例えば反応性官能基aを重合性不飽和基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
反応性無機微粒子Aの含有量は全固形分に対し、5〜70重量%であることが好ましく、更に10〜50重量%であることが好ましい。5重量%未満の場合、ハードコート層表面の硬度が不十分となる恐れがあり、70重量%超過の場合、ハードコート層と透明基材フィルムの界面の密着性が不十分となる恐れがある。
本明細書において、有機シリコーン微粒子Bは、シロキサン結合を骨格とし有機基を有する高分子化合物(ポリマー微粒子)を表す。有機基としては、異種原子を含む又は含まない炭化水素基のほかポリエーテル基、ポリエステル基、アクリル基、ウレタン基、及びエポキシ基等を例示できる。
有機シリコーン微粒子Bは、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成し、当該ハードコート層表面の貼り付きを防止するために、ハードコート層に含有させる微粒子である。また、有機シリコーン微粒子Bの形状は、略球状、例えば真球状、回転楕円体状等であってもよく、真球状であることがより好ましい。
前記有機シリコーン微粒子Bは、有機部分を有するポリマーであり、ほど良い硬さと弾性を有し、且つ他のハードコート層用硬化性樹脂組成物と適度な親和性を保ちながらも相溶する事がないため塗膜の形成過程で膜表面に偏在することができるからである。
また、前記反応性無機微粒子Aのコアとなる無機微粒子と、前記有機シリコーン微粒子Bの有する有機基により、当該反応性無機微粒子Aと当該有機シリコーン微粒子Bは分離する傾向があるため、ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子を当該ハードコート層の透明基材フィルム側の界面近傍に偏在させることで、当該有機シリコーン微粒子Bを当該ハードコート層の透明基材フィルム側とは反対側の界面近傍に偏在させ、当該ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成することができるからである。
なお、有機シリコーン微粒子Bは、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、一次粒子径だけでなく二次粒子径も上記範囲内であれば良い。
本明細書において、硬化性バインダー系の構成成分とは、バインダー成分Cの他に、必要に応じてバインダー成分C以外の硬化性バインダー成分、ポリマー成分、重合開始剤等の硬化後に後述するハードコート層のマトリクス成分となるものを表す。
〔バインダー成分C〕
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物において、バインダー成分Cは、前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aと架橋反応性を有する反応性官能基cを有し、当該反応性官能基aと当該反応性官能基cが架橋結合し、網目構造が形成される。また、当該バインダー成分Cは、充分な架橋性を得るために、当該反応性官能基cを3つ以上有することが好ましい。当該反応性官能基cとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系化合物以外の例としては、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能又は多官能単量体、或いはビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、芳香族ビニルエーテル、脂肪族ビニルエーテル等のオリゴマー又はプレポリマー等のカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、ラジカル重合性官能基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、等が挙げられ、これらを単独で、又は混合して用いる。1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンは、例えば商品名イルガキュア184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)として入手可能である。また、α-アミノアルキルフェノン類としては、例えば商品名イルガキュア907、369として入手可能である。
カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;またはこれらの混合物が挙げられる。より好ましい溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物は、一般的な調製法に従って、上記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。反応性無機微粒子A及び有機シリコーン微粒子Bが溶剤中に分散された状態で得られる場合には、その分散状態のまま、前記硬化性バインダー系、溶剤を含むその他の成分を適宜加え、混合し分散処理することにより調製される。
本発明によれば、透明基材フィルム上に、前記本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を備えることにより、当該ハードコート層の透明性及び耐擦傷性を損なわずに、当該ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを提供することができる。
前記ハードコート層中に、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子と有機シリコーン微粒子Bとを含み、前記有機シリコーン微粒子Bが、前記ハードコート層表面に10nm以上200nm以下の凹凸を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、前記ハードコート層表面に所望の凹凸形状が形成されるため、前記ハードコートフィルムを連続帯状の状態で連続して巻き取り長尺ロールとした場合に、当該ハードコートフィルムのハードコート層側の表面と、当該ハードコートフィルムの基材フィルム側の表面との貼り付きを防止することができる。
以下、本発明のハードコートフィルムを構成する各層について順に説明する。
透明基材フィルムの材質は、特に限定されないが、ハードコートフィルムに用いられる一般的な材料を用いることができ、例えば、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが挙げられる。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
本発明に用いられるハードコート層は、ハードコート性を付与するための反応性無機微粒子A、ハードコート層表面に凹凸形状を形成し、当該表面の貼り付きを低減するための有機シリコーン微粒子B、及び基材や隣接する層に対する密着性を付与するためのバインダー成分Cを必須成分とする、硬化後にハードコート層のマトリクスを形成する硬化性バインダー系の成分を含有してなり、当該ハードコート層は、直接又は他の層を介して透明基材フィルム上に設けられる。
「ハードコート層」とは、一般にJISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものである。当該硬度は、上記基材フィルムの種類や厚みに依存する値であり、用途や要求性能に合わせて適宜選択されるものであり限定されないが、本発明に用いられるハードコート層は、当該鉛筆硬度試験で更に2H以上、特に3H以上であることが好ましい。また、当該ハードコート層の膜厚は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、更に5μm以上30μm以下であることが、耐擦傷性の観点から好ましい。
また、本発明において、前記ハードコート層表面の凹凸形状は、10nm以上200nm以下であるが、特に好ましくは13nm以上100nm以下である。10nm未満の場合、貼り付き防止効果が無い恐れがあり、200nm超過の場合、透明性を損なう恐れがある。
本発明によるハードコートフィルムは、上記したように透明基材フィルム、ハードコート層により基本的には構成されてなる。しかしながら、ハードコートフィルムとしての機能または用途を加味して、本発明に係るハードコート層の他に、更に下記のような一又は二以上の層を含有していてもよい。また更に、中屈折率層や高屈折率層を含んで形成しても良い。
帯電防止層は、帯電防止剤と樹脂とを含んでなるものである。帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
光硬化性組成物としては、分子中に重合性不飽和基または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。
光硬化性組成物中のプレポリマー、オリゴマー、及びモノマーの例としては、前記ハードコート層で挙げたのと同様のものを用いることができる。
防眩層は、透過性樹脂基材とハードコート層または低屈折率層との間に形成されてよい。防眩層は樹脂と防眩剤とを含んでなるものであり、樹脂は、上記帯電防止層の項で説明したのと同様であってよい。
8R≦Sm≦30R
R<Hmax<3R
1.3≦θa≦2.5
1≦R≦8
全てを同時に満たすものが好ましい。
防眩剤としては微粒子が挙げられ、微粒子の形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
防眩層の膜厚(硬化時)は0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲にあることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
低屈折率層は、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有する樹脂、低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂から構成され、屈折率が1.46以下の、やはり30nm〜1μm程度の薄膜、または、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムの化学蒸着法もしくは物理蒸着法による薄膜で構成することができる。フッ素樹脂以外の樹脂については、帯電防止層を構成するのに用いる樹脂と同様である。
「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよい。防汚層は、ハードコートフィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。
まず、上述のハードコートフィルムの説明において挙げた透明基材フィルムを準備する。次に、本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する。次に、得られたハードコート層用硬化性樹脂組成物を透明基材フィルム上に塗布、乾燥する。
塗布方法は、透明基材フィルム表面にハードコート層形成用樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
また、透明基材フィルム上への塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が1g/m2〜30g/m2の範囲内、特に5g/m2〜25g/m2の範囲内であることが好ましい。
なお、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に均一に分散した反応性無機微粒子A及び有機シリコーン微粒子Bは、上記乾燥工程において、当該反応性無機微粒子Aは透明基材フィルム側の界面近傍に偏在し、当該有機シリコーン微粒子Bは透明基材フィルム側とは反対側の界面近傍に偏在する。
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm2程度である。
加熱する場合は、通常40℃〜120℃の温度にて処理する。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行っても良い。
(1)表面吸着イオン除去
平均一次粒子径50nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスXL:商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B、三菱化学(株)製)400gを用いて3時間イオン交換を行い、次いで、陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA20A、三菱化学(株)製)200gを用いて3時間イオン交換を行った後、洗浄し固形分濃度40重量%の無機微粒子の水分散体を得た。
この時、無機微粒子の水分散体のNa2O含有量は、無機微粒子当たり各7ppmであった。
(2)表面処理(単官能モノマーの導入)
上記(1)の処理を行った無機微粒子の水分散液10gに150mlのイソプロパノール、4.0gの3,6,9−トリオキサデカン酸、及び4.0gのメタクリル酸を加え、30分間撹拌し混合した。
得られた混合液を、60℃で5時間加熱しながら撹拌する事で、無機微粒子表面にメタクリロイル基が導入された無機微粒子分散液を得た。得られた無機微粒子分散液を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸留水、及びイソプロパノールを留去させ、乾固させないようにメチルエチルケトンを加えながら、最終的に残留する水やイソプロパノールを0.1重量%とし、固形分50重量%のシリカ分散メチルエチルケトン溶液を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(1)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=50nmの平均一次粒子径を有していた。
平均一次粒子径90nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスZL:商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を用いた以外は製造例1と同様の方法で反応性無機微粒子A(2)を調製した。このようにして得られた反応性無機微粒子A(2)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=90nmの平均一次粒子径を有していた。
(1)表面吸着イオン除去
製造例1と同様に、表面吸着イオンを除去した無機微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1において、メタクリル酸をジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR399:商品名、サートマー(株)製)に変更した以外は、製造例1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(3)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=52nmの平均一次粒子径を有していた。
平均一次粒子径45nmのシリカゾル(オルガノシリカゾル、OSCAL:商品名、触媒化成工業(株)製、イソプロピルアルコール分散液)をロータリーエバポレーターを用いてイソプロピルアルコールからメチルイソブチルケトンに溶媒置換を行い、シリカ微粒子20重量%の分散液を得た。このメチルイソブチルケトン分散液100重量部に3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを20重量部添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された中実シリカ微粒子20重量%のメチルイソブチルケトン分散液A(4)を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(4)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=45nmの平均一次粒子径を有していた。
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部、ジブチルスズジラウレート0.2部からなる溶液に対し、イソフォロンジイソシアネート20.6部を撹拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱撹拌することで化合物(1)を得た。
平均一次粒子径5nmのシリカゾル(オルガノシリカゾル、OSCAL:商品名、触媒化成工業(株)製、イソプロピルアルコール分散液)をロータリーエバポレーターを用いてイソプロピルアルコールからメチルイソブチルケトンに溶媒置換を行い、シリカ微粒子20重量%の分散液を得た。このメチルイソブチルケトン分散液100重量部に3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを20重量部添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された中実シリカ微粒子20重量%のメチルイソブチルケトン分散液A(6)を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(6)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=6nmの平均一次粒子径を有していた。
(1)ハードコート層用硬化性樹脂組成物の調製
以下の各成分を混合し、溶剤で固形分50重量%に調整し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成>
・UV1700B(商品名、日本合成化学製、10官能、分子量2000):70重量部(固形分量換算値)
・製造例1の反応性無機微粒子A(1)(平均一次粒子径50nm):30重量部(固形分量換算値)
・有機シリコーン微粒子B(パイオニン:商品名、竹本油脂(株)製、平均一次粒子径:300nm):1重量部(固形分量換算値)
・メチルエチルケトン:100重量部
・イルガキュア184(商品名、チバスペシャルティケミカルズ製、ラジカル重合開始剤):0.4重量部
透明基材フィルムとして80μmセルローストリアセテートフィルムを用い、当該基材上に、(1)で調製されたハードコート層用硬化性樹脂組成物をWET重量40g/m2(乾燥重量20g/m2)を塗布した。50℃にて30秒乾燥し、紫外線200mJ/cm2を照射して実施例1のハードコートフィルムを作製した。
実施例1のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例3のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例2で得られた反応性無機微粒子A(2)(平均一次粒子径90nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例5のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例5と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例3で得られた反応性無機微粒子A(3)(平均一次粒子径52nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例7のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例7と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例4で得られた反応性無機微粒子A(4)(平均一次粒子径45nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例9のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例9と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)(平均一次粒子径63nm)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例11のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例11のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例13のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例13と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例6で得られた反応性無機微粒子A(6)(平均一次粒子径6nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例15のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例15と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例5のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを5.0重量部用いた以外は、前記実施例5と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例1のハードコートフィルムの製造において、反応性無機微粒子Aを用いず、平均一次粒子径がd50=40nmの有機シリコーン微粒子B(パイオニン:商品名、竹本油脂(株)製)を31重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例11のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを用いず、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)を31重量部用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)31重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=300nmのシリカビーズ(Quartron PL‐30:商品名、扶桑化学工業(株)製)1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)30.1重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=300nmのスチレン‐アクリルビーズ(MG‐154:商品名、日本ペイント(株)製)0.1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)31重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=70nmのアクリルビーズ(MG‐151:商品名、日本ペイント(株)製)1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)31重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=300nmのウレタンビーズ(アートパール:商品名、根上工業(株)製)1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
上記、各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。その結果を表1に記載する。
(1)鉛筆硬度
得られたハードコートフィルムのハードコート層表面の鉛筆硬度をJISK5600−5−4(1999)に準じて評価した。4Hの鉛筆を用いて、500g荷重で5本線を引きその後のハードコート層の傷の有無を目視し下記の基準にて評価した。
<評価基準>
評価◎:傷は0〜1本であった。
評価○:傷は2〜3本であった。
評価×:傷は4〜5本であった。
(2)ヘイズ
ヘイズメーターHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用い、JIS−K−7105に従って透過法で測定した。
(3)貼り付き
ハードコート層形成面とフィルム面を重ね、40kg/cm2 の荷重をかけ、20分間放置した後、評価を行った。
<評価基準>
評価◎:貼り付かない
評価○:一部貼り付く
評価×:完全に貼り付く
2 ハードコート層
3 ハードコートフィルム
Claims (5)
- (1) 動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの累積分布50%粒子径と定義される平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子A、
(2) 動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径と定義される平均一次粒子径が20nm以上300nm以下の有機シリコーン微粒子B、
(3) 前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aとの架橋反応性を有する反応性官能基cを3つ以上有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、を含有し、
前記有機シリコーン微粒子Bの含有量が、全固形分に対して0.1〜5.0重量%である、ハードコート層用硬化性樹脂組成物。 - 前記反応性無機微粒子Aが、反応性シリカ微粒子である、請求項1に記載のハードコート層用硬化性樹脂組成物。
- 透明基材フィルム上に、前記請求項1又は2に記載のハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を設けてなるハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層中に、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子と有機シリコーン微粒子Bとを含み、前記有機シリコーン微粒子Bが、前記ハードコート層表面に10nm以上200nm以下の凹凸を形成した、ハードコートフィルム。 - 前記ハードコート層の膜厚が、1μm以上100μm以下である、請求項3に記載のハードコートフィルム。
- 前記ハードコートフィルムが、連続帯状の状態で連続して巻き取られた長尺ロールである、請求項3又は4に記載のハードコートフィルム。
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