JP5239247B2 - ハードコート層用硬化性樹脂組成物、及びハードコートフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ディスプレイ等の表面を保護する目的等で使用される、ハードコートフィルムのハードコート層を形成するための硬化性樹脂組成物、及び当該硬化性樹脂組成物を用いたハードコート層を備えたハードコートフィルムに関する。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。これに対して、基材フィルムにハードコート(HC)層を設けたハードコートフィルムや、更に反射防止性や防眩性等光学機能を付与したハードコートフィルム(光学積層体)を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。
樹脂被膜に無機微粒子を含有させて当該樹脂被膜の表面硬度を上げて耐擦傷性を向上させることが一般に知られている。例えば、特許文献1には、ハードコートフィルムの復元性を目的として、(粒径が10〜700nmの範囲の)ポリシロキサンビーズを塗膜内部に充填させたハードコート層用硬化性樹脂組成物からなるハードコートフィルムが提案されている。
また、ハードコート層の表面に凹凸が多数存在すると、ハードコート層に何か硬いものが接触したときに凸部に引っ掛かり、当該凸部に過大な力が加わり、微細な損傷を起こす場合がある。従って、ハードコート層表面の耐擦傷性を向上させるためには、当該ハードコート層表面を平滑にすることが有効である。
しかしながら、表面の平滑性が高いハードコートフィルムを連続帯状の状態で連続して巻き取り、長尺ロールとする場合には、鏡面同士を密着加圧する場合のように、当該ハードコートフィルムのハードコート層側の表面と、当該ハードコートフィルムの基材フィルム側の表面とが重なり合って貼り付いてしまう。貼り付きの強さはロールの外縁部と中心部で相違し、ロールの中心部程大きくなる。このため、当該ハードコートフィルムを用いた製品の製造工程において、当該ハードコートフィルムの繰り出し速度の制御が難しく、また、互いに貼り付いた当該ハードコートフィルム表面を剥がす際に当該ハードコートフィルムが切れる等の問題がある。
このような鏡面同士の密着接合を防止する手段として、貼り合わされる鏡面の一方又は両方に微小突起を、鏡面の平滑性を損なわない程度の適度な分布密度で設けることが考えられる。上記特許文献1に記載されたポリシロキサンビーズのような無機微粒子をハードコート層用硬化性樹脂組成物中に多量に含有させ、当該樹脂組成物を用いてハードコート層を形成すると、ハードコート層の表面が微粒子により部分的に押し上げられるので、微小突起を形成することができると考えられる。
しかし、ハードコート層用硬化性樹脂組成物にポリシロキサンビーズを多量に含有させると、当該樹脂組成物からなるハードコート層は、層内の内部散乱増加による透明性の低下、及び、バインダー不足による耐擦傷性の低下を起こす。また、ハードコート層の透明性を損なわずに表面硬度を向上させるために適切な微粒子の粒径と比べて、層表面に微小突起を形成するのに有効な微粒子の粒径の方が大きいため、層の表面硬度を上げるための微粒子を多量に用いても、鏡面同士の密着接合を防止するのに有効な微小突起を形成することは難しい。
特開2002−107503号公報
上記実情に鑑み、本発明は、透明性及び耐擦傷性を損なわずに、表面に所望の凹凸形状を付与したハードコート層を形成可能なハードコート層用硬化性樹脂組成物、及び当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物を用いたハードコートフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に、特定の平均一次粒子径を有する反応性無機微粒子Aと特定の平均一次粒子径を有する有機シリコーン微粒子Bとを含有させることにより、透明性及び耐擦傷性を維持しつつ、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを得ることができるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(1)動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径と定義される平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子A、
(2)動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの累積分布50%粒子径と定義される平均一次粒子径が20nm以上300nm以下の有機シリコーン微粒子B、
(3)前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aとの架橋反応性を有する反応性官能基cを3つ以上有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、を含有し、
前記有機シリコーン微粒子Bの含有量が、全固形分に対して0.1〜5.0重量%である、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明によれば、ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に、平均一次粒子径が上記範囲の反応性無機微粒子Aを含有させることにより、平均一次粒子径が上記範囲の有機シリコーン微粒子Bの含有量を透明性及び耐擦傷性を損なわない程度の少量で、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを得ることができる。また、前記硬化性バインダー系に含有される反応性無機微粒子Aの反応性官能基aと硬化性バインダー成分Cの反応性官能基cが、架橋結合を形成するため、高いハードコート性を有するハードコートフィルムを得ることができる。
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物においては、前記反応性無機微粒子Aが、反応性シリカ微粒子であることが好ましい。
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物においては、前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基a、及び、前記バインダー成分Cの反応性官能基cが、重合性不飽和基であることが好ましい。
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物においては、前記バインダー成分Cが、前記反応性官能基cを3つ以上有する化合物であることが好ましい。
また、本発明に係るハードコートフィルムにおいては、透明基材フィルム上に、前記本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を備えることにより、当該ハードコート層の透明性及び耐擦傷性を損なわずに、当該ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを提供することができる。
本発明に係るハードコートフィルムにおいては、透明基材フィルム上に、前記本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を設けてなるハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層中に、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子と有機シリコーン微粒子Bとを含み、前記有機シリコーン微粒子Bが、前記ハードコート層表面に10nm以上200nm以下の凹凸を形成した、ハードコートフィルムを提供する。
本発明によれば、前記ハードコート層表面に所望の凹凸形状が形成されるため、前記ハードコートフィルムを連続帯状の状態で連続して巻き取り長尺ロールとした場合に、当該ハードコートフィルムのハードコート層側の表面と、当該ハードコートフィルムの基材フィルム側の表面との貼り付きを防止することができる。
本発明に係るハードコートフィルムにおいては、前記ハードコート層の膜厚が、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明に係るハードコートフィルムは、連続帯状の状態で連続して巻き取りロール状の長尺フィルムの形態で用いるのに適している。
本発明によれば、ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に、平均一次粒子径が上記範囲の反応性無機微粒子Aを含有させることにより、平均一次粒子径が上記範囲の有機シリコーン微粒子Bの含有量を透明性及び耐擦傷性を損なわない程度の少量で、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを得ることができる。また、前記硬化性バインダー系に含有される反応性無機微粒子Aの反応性官能基aと硬化性バインダー成分Cの反応性官能基cが、架橋結合を形成するため、高いハードコート性を有するハードコートフィルムを得ることができる。
また、本発明に係るハードコートフィルムによれば、当該ハードコートフィルムを連続帯状の状態で連続して巻き取り長尺ロールとした場合に、当該ハードコートフィルムのハードコート層側の表面と、当該ハードコートフィルムの基材フィルム側の表面との貼り付きを防止することができる。
本発明は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物、当該硬化性樹脂組成物を用いたハードコートフィルムに関するものである。以下、ハードコート層用硬化性樹脂組成物、及びハードコートフィルムについて順に説明する。
I.ハードコート層用硬化性樹脂組成物
まず、本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、
(1) 平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子A、
(2) 平均一次粒子径が300nm以下の有機シリコーン微粒子B、
(3) 前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aとの架橋反応性を有する反応性官能基cを有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、を含有し、
前記有機シリコーン微粒子Bの含有量が、全固形分に対して0.1〜5.0重量%であることを特徴とする。
本発明によれば、ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に、平均一次粒子径が上記範囲の反応性無機微粒子Aを含有させることにより、平均一次粒子径が上記範囲の有機シリコーン微粒子Bの含有量を透明性及び耐擦傷性を損なわない程度の少量で、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを得ることができる。また、前記硬化性バインダー系に含有される反応性無機微粒子Aの反応性官能基aと硬化性バインダー成分Cの反応性官能基cが、架橋結合を形成するため、高いハードコート性を有するハードコートフィルムを得ることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
前記反応性無機微粒子Aのコアとなる無機微粒子と、前記有機シリコーン微粒子Bの有する有機基により、当該反応性無機微粒子Aと当該有機シリコーン微粒子Bは分離する傾向がある。また、前記反応性無機微粒子Aの平均一次粒子径を上記の範囲とすることで、当該反応性無機微粒子Aの拡散係数が小さくなるため、ハードコート層用硬化性樹脂組成物に当該反応性無機微粒子Aを含有させると、当該樹脂組成物から成るハードコート層の透明基材フィルム側とは反対側の界面及びその近傍において、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子の密度が最も小さく、当該ハードコート層の透明基材フィルム側の界面又はその近傍において、最も密度が大きい状態とすることができる。このように、当該反応性無機微粒子Aと当該有機シリコーン微粒子Bの分離する傾向、及び当該反応性無機微粒子Aの密度分布に基づく体積排除効果によって、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に含有される有機シリコーン微粒子Bは、ハードコート層の基材フィルム側とは反対側の界面及びその近傍において最も密度が大きい状態となり、当該ハードコート層の表面に所望の凹凸形状を形成し得る当該有機シリコーン微粒子Bの含有量を全固形分に対して0.1〜5.0重量%と少量に抑えることができる。一方、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物に当該有機シリコーン微粒子Bを多量に含有させると、当該樹脂組成物からなるハードコート層は、層内の内部散乱増加による透明性の低下、及び、バインダー不足による耐擦傷性の低下を起こす。
また、当該有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径を上記範囲とすることにより、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成することができる。これに対して、当該有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径が上記範囲を超える場合、ハードコート層の表面形状が粗くなり、表面へイズの上昇により当該ハードコート層の透明性が損なわれ、また、当該ハードコート層表面の凹凸形状が大きくなり、当該ハードコート層表面の平滑性が損なわれ外力の影響を受け易くなり、耐擦傷性の低下を起こす。
したがって、本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物によれば、当該樹脂組成物中に、特定の平均一次粒子径を有する反応性無機微粒子Aと特定の平均一次粒子径を有する有機シリコーン微粒子Bとを含有させることにより、透明性及び耐擦傷性を損なわずに、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを得ることができる。
なお、本発明において耐擦傷性の観点から反応性無機微粒子Aとして反応性シリカ微粒子を用いる場合、当該反応性シリカ微粒子はコアとなる無機微粒子がシリカであるため、シリカビーズとの親和性が高く、当該反応性シリカ微粒子と当該シリカビーズとが凝集した状態の粒子(凝集粒子)を形成し、当該凝集粒子はハードコート層の透明基材フィルム側の界面又はその近傍に偏在する。このため本発明において、上記特許文献1に記載されたシリカビーズを用いても、当該シリカビーズはハードコート層の基材フィルム側とは反対側の界面及びその近傍に偏在することができず、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成することができない。
以下、このような本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物の各構成について順に詳細に説明する。
なお、本明細書中において(メタ)アクリロイルはアクリロイル及びメタクリロイルを表し、(メタ)アクリレートはアクリレート及びメタクリレートを表す。また、本願明細書中の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本明細書中の反応性官能基a及び反応性官能基cには、光硬化性官能基及び熱硬化性官能基が含まれる。光硬化性官能基とは、光照射により重合反応やまたは架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基を意味し、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、あるいは、光二量化を経て進行する付加重合または縮重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。また、本明細書中の熱硬化性官能基とは、加熱によって同じ官能基同士または他の官能基との間で重合反応または架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基を意味し、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基等を例示することができる。
本発明に用いられる反応性官能基a及び反応性官能基cとしては特に、硬化膜の硬度を向上させる観点から、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
本明細書中において平均一次粒子径は、溶液中の当該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均一次粒子径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
<反応性無機微粒子A>
無機微粒子をハードコート層に含有させることにより、透明性を維持しつつハードコート性を向上させることが一般になされている。また、架橋反応性を有する無機微粒子と、硬化性バインダーを架橋反応させ、架橋構造を形成することにより、ハードコート性を更に向上させることができる。反応性無機微粒子Aとは、コアとなる無機微粒子の少なくとも表面の一部に有機成分が被覆し、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する無機微粒子のことである。反応性無機微粒子Aには、1粒子あたりコアとなる無機微粒子の数が2つ以上のものも含まれる。また、反応性無機微粒子Aは、粒子径を小さくすることにより含有量に対して、マトリクス内での架橋点を高めることができる。
本発明においては、十分な耐擦傷性を有するように硬度を著しく向上させることを目的として、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子Aを含有することが好ましい。当該反応性無機微粒子Aは、ハードコート層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物微粒子などが挙げられる。金属微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等を用いても良い。
硬度が高い点からは、シリカ、酸化アルミニウムが好ましい。また、相体的に高屈折率層とするためには、ジルコニア、チタニア、酸化アンチモン等の膜形成時に屈折率が高くなる微粒子を適宜選択して用いることができる。同様に、相対的に低屈折率層とするためには、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物微粒子などの膜形成時に屈折率が低くなる微粒子を適宜選択して用いることができる。更に、帯電防止性、導電性を付与したい場合には、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ等を適宜選択して用いることができる。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
無機微粒子の表面には通常、無機微粒子内ではこの形態で存在できない基を有する。これら表面の基は通常、相対的に反応しやすい官能基である。例えば金属酸化物の場合には、例えば水酸基及びオキシ基、例えば金属硫化物の場合には、チオール基及びチオ基、又は例えば窒化物の場合には、アミノ基、アミド基及びイミド基を有する。
本発明に係る反応性無機微粒子Aは、コアとなる無機微粒子がシリカである反応性シリカ微粒子であることが、耐擦傷性の観点から好ましい。
また、本発明に係る反応性無機微粒子Aは、中空粒子のような粒子内部に空孔や多孔質組織を有する粒子よりも、粒子内部に空孔や多孔質組織を有しない中実粒子を用いることが好ましい。中空粒子では、当該粒子内部に空孔や多孔質組織を有するため、中実粒子に比べ硬度が低く、また、中空粒子は見かけ上の比重(中空部を含めて平均化した単位体積当たりの質量)が中実粒子に比べて小さく、ハードコート層の透明基材フィルム側とは反対側界面(いわゆる空気界面側)に存在する中空粒子が増加しやすい。反応性無機微粒子Aの体積排除効果により、有機シリコーン微粒子Bをいわゆる空気界面側に偏在させる観点からも、反応性無機微粒子Aとしては、空気界面側に偏在しやすい中空粒子よりも中実粒子を用いることが好ましい。したがって、反応性無機微粒子Aは、硬度が高く、中空粒子に比べ比重が大きい中実粒子を用いることが好ましい。
本発明に用いられる反応性無機微粒子Aは、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する。ここで、有機成分とは、炭素を含有する成分である。また、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆されている態様としては、例えば金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基にシランカップリング剤等の有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様のほか、例えば金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基に水素結合等の相互作用により有機成分を付着させた態様や、ポリマー粒子中に1個又は2個以上の無機微粒子を含有する態様などが含まれる。
当該被覆している有機成分は、無機微粒子同士の凝集を抑制し、且つ無機微粒子表面への反応性官能基数を多く導入して膜の硬度を向上させる点から、粒子表面のほぼ全体を被覆していることが好ましい。このような観点から、無機微粒子を被覆している前記有機成分は、反応性無機微粒子A中に1.00×10−3g/m以上含まれることが好ましい。無機微粒子表面に有機成分を付着乃至結合させた態様においては、無機微粒子を被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子A中に2.00×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、反応性無機微粒子A中に3.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。ポリマー粒子中に無機微粒子を含有する態様においては、無機微粒子を被覆している前記有機成分が、反応性無機微粒子A中に3.50×10−3g/m以上含まれることが更に好ましく、反応性無機微粒子A中に5.50×10−3g/m以上含まれることが特に好ましい。
当該被覆している有機成分の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることができる。
なお、単位面積当りの有機成分量は、以下の方法により求めたものである。まず、示差熱重量分析(DTG)により、有機成分重量を無機成分重量で割った値(有機成分重量/無機成分重量)を測定する。次に、無機成分重量と用いた無機微粒子の比重から無機成分全体の体積を計算する。また、被覆前の無機微粒子が真球状であると仮定し、被覆前の無機微粒子の平均粒子径から被覆前の無機微粒子1個当りの体積、及び表面積を計算する。次に、無機成分全体の体積を被覆前の無機微粒子1個当たりの体積で割ることにより、反応性無機微粒子Aの個数を求める。更に、有機成分重量を反応性無機微粒子Aの個数で割ることにより、反応性無機微粒子A1個当たりの有機成分量を求める。最後に、反応性無機微粒子A1個当りの有機成分重量を、被覆前の無機微粒子1個当りの表面積で割ることにより、単位面積当たりの有機成分量を求めることができる。
反応性無機微粒子Aの平均一次粒子径は、透明性を損なわずに硬度を向上させる観点から5nm以上100nm以下であるが、特に好ましくは10nm以上70nm以下である。また、透明性を損なうことなく、樹脂のみを用いた場合の復元率を維持しつつ、硬度を向上させる点から、無機微粒子は粒径分布が狭く、単分散であることが好ましい。
なお、反応性無機微粒子Aは、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、一次粒子径だけでなく二次粒子径も上記範囲内であれば良い。
少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する反応性無機微粒子Aを調製する方法としては、当該無機微粒子に導入したい反応性官能基aにより、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。
中でも、本発明においては、被覆している有機成分が反応性無機微粒子A中に、被覆前の無機微粒子の単位面積当たり1.00×10−3g/m以上含まれることが可能で、無機微粒子同士の凝集を抑制し、膜の硬度を向上させる点から、以下の(i)(ii)(iii)の無機微粒子のいずれかを適宜選択して用いることが好ましい。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
(ii)粒子径5nm以上100nm以下の無機微粒子を疎水性ビニルモノマーに分散したモノマーを、親水化された多孔質膜を通して水中に吐出し、無機微粒子が分散したモノマー液滴の水分散体とした後、重合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
(iii)被覆前の無機微粒子に導入する反応性官能基、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
化学式(1)
−Q−C(=Q)−NH−
(化学式(1)中、Qは、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示す。)
以下、上記本発明において好適に用いられる反応性無機微粒子Aを順に説明する。
(i)飽和又は不飽和カルボン酸、当該カルボン酸に対応する酸無水物、酸塩化物、エステル及び酸アミド、アミノ酸、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、アミン、β‐ジカルボニル化合物、シラン、及び官能基を有する金属化合物よりなる群から選択される1種以上の分子量500以下の表面修飾化合物の存在下、分散媒としての水及び/又は有機溶媒の中に無機微粒子を分散させることにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
上記(i)の反応性無機微粒子Aを用いる場合には、有機成分含量が少なくても膜強度を向上できるというメリットがある。
上記(i)の反応性無機微粒子Aに用いられる上記表面修飾化合物は、カルボキシル基、酸無水物基、酸塩化物基、酸アミド基、エステル基、イミノ基、ニトリル基、イソニトリル基、水酸基、チオール基、エポキシ基、第一級、第二級及び第三級アミノ基、Si−OH基、シランの加水分解性残基、又はβ−ジカルボニル化合物のようなC−H酸基等の、分散条件下において上記無機微粒子の表面に存在する基と化学結合可能な官能基を有する。ここでの化学結合は、好ましくは、共有結合、イオン結合又は配位結合が含まれるが、水素結合も含まれる。配位結合は錯体形成であると考えられる。例えば、ブレンステッド又はルイスに従う酸性/塩基反応、錯体形成又はエステル化が、上記表面修飾化合物の官能基と無機微粒子表面の基の間で生じる。上記(i)の反応性無機微粒子Aに用いられる上記表面修飾化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記表面修飾化合物は通常、無機微粒子の表面の基との化学結合に関与できる少なくとも1つの官能基(以下、第1の官能基という)に加えて、当該官能基を介して上記表面修飾化合物に結びついた後に、無機微粒子に新たな特性を付与する分子残基を有する。分子残基又はその一部は疎水性又は親水性であり、例えば無機微粒子を安定化、融和化、又は活性化させる。
例えば、疎水性分子残基としては、不活性化又は反発作用をもたらす、アルキル、アリール、アルカリル、アラルキル又はフッ素含有アルキル基等が挙げられる。親水性基としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はポリエステル基等が挙げられる。
反応性無機微粒子Aが後述のバインダー成分Cと反応できるように表面に導入される反応性官能基aは、当該バインダー成分Cに応じて、適宜選択される。当該反応性官能基aとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aが含まれる場合には、上記表面修飾化合物中に含まれる第1の官能基を無機微粒子表面に反応させることによって、上記(i)の反応性無機微粒子Aの表面に上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aを導入することが可能である。例えば、第1の官能基のほかに、更に重合性不飽和基を有する表面修飾化合物が、好適なものとして挙げられる。
一方で、上記表面修飾化合物の上記分子残基中に、第2の反応性官能基を含有させ、当該第2の反応性官能基を足掛かりにして、上記(i)の反応性無機微粒子Aの表面に上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aが導入されても良い。例えば、第2の反応性官能基として水酸基及びオキシ基のような水素結合が可能な基(水素結合形成基)を導入し、当該微粒子表面上に導入された水素結合形成基に、更に別の表面修飾化合物の水素結合形成基が反応することにより、上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aを導入されることが好ましい。すなわち、表面修飾化合物として、水素結合形成基を有する化合物と、重合性不飽和基などの上記バインダー成分Cと反応できる反応性官能基aと水素結合形成基を有する化合物とを併用して用いることが好適な例として挙げられる。水素結合形成基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシジル基、アミド基、といった官能基、もしくはアミド結合を示すものである。ここで、アミド結合とは、−NHC(O)や>NC(O)−を結合単位に含むものを示す旨である。本発明の表面修飾化合物に用いられる水素結合形成基としては、中でもカルボキシル基、水酸基、アミド基が好ましい。
上記(i)の反応性無機微粒子Aに用いられる上記表面修飾化合物は500以下、より好ましくは400、特に200を超えない分子量を有する。このような低分子量を有するため、無機微粒子表面を急速に占有し、無機微粒子同士の凝集を妨げることが可能であると推定される。
上記(i)の反応性無機微粒子Aに用いられる上記表面修飾化合物は、表面修飾のための反応条件下で好ましくは液体であり、分散媒中で溶解性又は少なくとも乳化可能であるのが好ましい。中でも分散媒中で溶解し、分散媒中で離散した分子又は分子イオンとして一様に分布して存在することが好ましい。
飽和又は不飽和カルボン酸としては、1〜24の炭素原子を有しており、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、琥珀酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びステアリン酸、並びに対応する酸無水物、塩化物、エステル及びアミド、例えばカプロラクタム等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸を用いると、重合性不飽和基を導入することができる。
好ましいアミンの例は、化学式Q3−nNH(n=0,1又は2)を有するものであり、残基Qは独立して、1〜12、特に1〜6、特別好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びブチル)、並びに6〜24の炭素原子を有するアリール、アルカリル又はアラルキル(例えば、フェニル、ナフチル、トリル及びベンジル)を表す。また、好ましいアミンの例としては、ポリアルキレンアミンが挙げられ、具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トルイジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンである。
好ましいβ−ジカルボニル化合物は4〜12、特に5〜8の炭素原子を有するものであり、例えば、ジケトン(アセチルアセトンなど)、2,3−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸、アセト酢酸−C−C−アルキルエステル(アセト酢酸エチルエステルなど)、ジアセチル及びアセトニルアセトンが挙げられる。
アミノ酸の例としては、β−アラニン、グリシン、バリン、アミノカプロン酸、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
好ましいシランは、少なくとも1つの加水分解性基又はヒドロキシ基と、少なくとも1つの非加水分解性残基を有する加水分解性オルガノシランである。ここで加水分解性基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基及びアシルオキシ基が挙げられる。非加水分解性残基としては、反応性官能基aを有する及び/又は反応性官能基aを有しない非加水分解性残基が用いられる。また、フッ素で置換されている有機残基を少なくとも部分的に有するシランを使用しても良い。
用いられるシランとしては特に限定されないが、例えば、CH=CHSi(OOCCH、CH=CHSiCl、CH=CHSi(OC、CH=CH−Si(OCOCH、CH=CH−CH−Si(OC、CH=CH−CH−Si(OOCCH、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N'−(2'−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、ビス−(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン及び3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
官能基を有する金属化合物としては、元素周期表の第1群III〜V及び/又は第2群II〜IVからの金属Mの金属化合物が挙げられる。ジルコニウム及びチタニウムのアルコキシド、M(OR)(M=Ti、Zr)、(式中、OR基の一部はβ−ジカルボニル化合物又はモノカルボン酸などの錯生成剤により置換される。)が挙げられる。重合性不飽和基を有する化合物(メタクリル酸など)が錯生成剤として使用される場合には、重合性不飽和基を導入することができる。
分散媒として、水及び/又は有機溶媒が好適に使用される。特に好ましい分散媒は、蒸留された(純粋な)水である。有機溶媒として、極性及び非極性及び非プロトン性溶媒が好ましい。それらの例として、炭素数1〜6の脂肪族アルコール(特にメタノール、エタノール、n−及びi−プロパノール及びブタノール)等のアルコール、アセトン及びブタノン等のケトン類、酢酸エチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピランなどのエーテル類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;スルホラン及びジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類及びスルホン類;及びペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン等の脂肪族(任意にハロゲン化された)炭化水素類が挙げられる。これらの分散媒は混合物として使用することができる。
分散媒は、蒸留(任意に減圧下)により容易に除去できる沸点を有することが好ましく、沸点が200℃以下、特に150℃以下の溶媒が好ましい。
(i)の反応性無機微粒子Aの調製に際し、分散媒の濃度は、通常40〜90、好ましくは50〜80、特に55〜75重量%である。分散液の残りは、未処理の無機微粒子および上記表面修飾化合物から構成される。ここで、無機微粒子/表面修飾化合物の重量比は、100:1〜4:1とすることが好ましく、更に50:1〜8:1、より更に25:1〜10:1とすることが好ましい。
(i)の反応性無機微粒子Aの調製は、好ましくは室温(約20℃)〜分散媒の沸点で行われる。特に好ましくは、分散温度は50〜100℃である。分散時間は、特に使用される材料のタイプに依存するが、一般に数分から数時間、例えば1〜24時間である。
(ii)粒子径5nm以上100nm以下の無機微粒子を疎水性ビニルモノマーに分散したモノマーを、親水化された多孔質膜を通して水中に吐出し、無機微粒子が分散したモノマー液滴の水分散体とした後、重合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
上記(ii)の反応性無機微粒子Aを用いる場合には、粒度分布の点から単分散性がより高まり、粗大粒子を含む場合のイレギュラーな性能の発現を抑えられるというメリットがある。
本発明に用いられる反応性無機微粒子Aは、少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する無機微粒子であるため、(ii)のタイプの反応性無機微粒子Aを製造する際の重合に用いられる疎水性ビニルモノマー中には、反応性官能基aを有するものであるか、或いは後から所望の反応性官能基aを導入可能とする別の反応性官能基を有するものを少なくとも含有させる。例えば、疎水性ビニルモノマーに予めカルボキシル基を有するものを使用し、重合させた後、当該カルボキシル基にグリシジルメタクリレートを反応させて、重合性不飽和基を導入することが挙げられる。
疎水性ビニルモノマーの具体例を挙げると、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(ポリ)エチレングリコールのモノあるいはジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールのモノあるいはジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールのモノ−あるいはジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのモノ−、ジ−あるいはトリ−(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテートなどのアリル化合物;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン化合物。さらに、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、グリシジルメタクリレート、ビニルピリジン、ジエチルアミノエチルアクリレート、N−メチルメタクリルアミド、アクリロニトリルなどの反応性官能基含有モノマーが挙げられる。これらのなかでアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など水溶性の高いモノマーはモノマー全体としての水溶解度が高くなって水中油滴型モノマーエマルジョンができなくなることのない範囲で使用できる。
(ii)で用いられる無機微粒子は粒子径が小さいことと、疎水性ビニルモノマーによく分散することが必要である。ここで用いられる無機微粒子の粒子径は100nm以下であり、好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。また、無機微粒子が疎水性ビニルモノマーとなじみが悪いときは、無機微粒子表面を予め表面処理することが好ましい。当該表面処理には顔料分散剤を無機微粒子表面に吸着させる分散剤処理、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等によるカップリング剤処理あるいはカプセル重合等によるポリマーコート処理など既知の方法を適用することができる。
(ii)においては無機微粒子を分散した疎水性ビニルモノマーを水中に乳化するために、親水化された多孔質膜を通して水中に吐出する。この多孔質細孔は平均細孔径0.01〜5μmでかつ均一な孔径であり、さらに膜の表裏を貫通するものである必要がある。膜の材質としてはガラスが好ましく、具体例としては火山灰シラスを主原料として焼成した SiO2−Al23−B23−CaO系のガラスを熱処理でミクロ相分離させ、ホウ酸に富む相を酸で溶解除去して得る多孔質ガラス(SPGと称される)が好ましい。
(ii)においては、多孔質膜を通して無機微粒子を含有する疎水性ビニルモノマーを押し出す水相には、モノマー液滴の安定剤として界面活性剤あるいは水溶性高分子を存在させる必要がある。安定化剤がないと膜を通して吐出したモノマー液滴は互いに融合して幅広い粒径分布となる。好ましい安定化剤としては、モノマー液滴が1μm程度以上の場合はポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子系の安定化剤がよく、これに少量のアニオン系界面活性剤あるいは非イオン系乳化剤を添加することも好ましい。例えばラウリル硫酸ナトリウムを乳化剤、1−ヘキサデカノールを共乳化剤とする組み合わせは液滴表面に強く吸着し安定化効果が大きく、(ii)における安定化剤として特に好ましい。
(ii)において、乳化された無機微粒子を含むモノマー液滴の水分散体を重合するには、主に油溶性ラジカル開始剤を使用する。油溶性ラジカル開始剤として使用できる開始剤を例示すると、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤、ベンゾイルペルオキシド、2、4−ジクロルベンゾイルペルオキシドなどの芳香物過酸化物、イソブチルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルペルオキシ)ジカーボネートなどの脂肪族系過酸化物が挙げられる。これらは乳化の前にあらかじめモノマー相に溶解して使用することができる。また、ハイドロキノン、塩化鉄などの水溶性ラジカル重合禁止剤を添加しても良い。
(iii)被覆前の無機微粒子に導入する反応性官能基、下記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物と、コアとなる無機微粒子としての金属酸化物微粒子とを結合することにより得られる、表面に反応性官能基を有する無機微粒子。
化学式(1)
−Q−C(=Q)−NH−
(化学式(1)中、Qは、NH、O(酸素原子)、またはS(硫黄原子)を示し、QはO又はSを示す。)
上記(iii)の反応性無機微粒子Aを用いる場合には、有機成分量が高まり、分散性、および膜強度がより高まるというメリットがある。
まず、被覆前の無機微粒子に導入したい反応性官能基、上記化学式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を含む化合物(以下、反応性官能基修飾加水分解性シランという場合がある。)について説明する。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、当該無機微粒子に導入したい反応性官能基aは、上記バインダー成分Cと反応可能なように適宜選択すれば特に限定されない。上述したような重合性不飽和基を導入するのに適している。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランにおいて、上記化学式(1)に示す基[−Q−C(=Q)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1種を併用することが好ましい。前記化学式(1)に示す基[−Q−C(=Q)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与することが可能になると考えられる。
また、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基としては、ケイ素原子上にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等を有する基を挙げることができ、アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基が好ましい。シラノール基又は、加水分解によってシラノ−ル基を生成する基は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、金属酸化物微粒子と結合することができる。
上記反応性官能基修飾加水分解性シランの好ましい具体例としては、例えば、下記化学式(2)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 0005239247
化学式(2)中、R、Rは同一でも異なっていてもよいが、水素原子又はCからCのアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここでmは1、2又は3である。
[(RO) 3-mSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
はCからC12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。そのような有機基としては例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。これらのうち好ましい例は、メチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
また、Rは2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合、さらには前記化学式(1)に示す基を含むこともできる。
eは(n+1)価の有機基であり、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Y’は反応性官能基を有する1価の有機基を示す。上述のような反応性官能基そのものであっても良い。例えば反応性官能基aを重合性不飽和基から選択する場合、(メタ)アクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、(メタ)アクリルアミド基等を挙げることができる。また、nは好ましくは1〜20の正の整数であり、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
本発明で用いられる反応性官能基修飾加水分解性シランの合成は、例えば特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。すなわち、例えば重合性不飽和基を導入したい場合、(イ)メルカプトアルコキシシランと、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応可能な活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(ロ)分子中にアルコキシシリル基及びイソシアネート基を有する化合物と、活性水素基含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(ハ)分子中に重合性不飽和基及びイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応により直接合成することもできる。
(iii)の反応性無機微粒子Aの製造においては、反応性官能基修飾加水分解性シランを別途加水分解操作を行った後、これと無機微粒子を混合し、加熱、攪拌操作を行う方法、もしくは反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を無機微粒子の存在下に行う方法、また、他の成分、例えば多価不飽和有機化合物、単価不飽和有機化合物、放射線重合開始剤等の存在下、無機微粒子の表面処理を行う方法を選ぶことができるが、反応性官能基修飾加水分解性シランの加水分解を無機微粒子の存在下行う方法が好ましい。(iii)の反応性無機微粒子Aを製造する際、その温度は、通常20℃以上150℃以下であり、また処理時間は5分〜24時間の範囲である。
加水分解反応を促進するため、触媒として酸、塩もしくは塩基を添加してもよい。酸としては有機酸および不飽和有機酸;塩基としては3級アミンまたは4級アンモニウムヒドロキシドが好適な物として挙げられる。これら酸もしくは塩基触媒の添加量は反応性官能基修飾加水分解性シランに対して0.001〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。
反応性無機微粒子Aとしては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子を用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点から微粒子を溶剤分散ゾルとしたものを用いることが好ましい。
反応性無機微粒子Aの含有量は全固形分に対し、5〜70重量%であることが好ましく、更に10〜50重量%であることが好ましい。5重量%未満の場合、ハードコート層表面の硬度が不十分となる恐れがあり、70重量%超過の場合、ハードコート層と透明基材フィルムの界面の密着性が不十分となる恐れがある。
<有機シリコーン微粒子B>
本明細書において、有機シリコーン微粒子Bは、シロキサン結合を骨格とし有機基を有する高分子化合物(ポリマー微粒子)を表す。有機基としては、異種原子を含む又は含まない炭化水素基のほかポリエーテル基、ポリエステル基、アクリル基、ウレタン基、及びエポキシ基等を例示できる。
有機シリコーン微粒子Bは、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成し、当該ハードコート層表面の貼り付きを防止するために、ハードコート層に含有させる微粒子である。また、有機シリコーン微粒子Bの形状は、略球状、例えば真球状、回転楕円体状等であってもよく、真球状であることがより好ましい。
本発明において、ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成するための微粒子として、上記有機シリコーン微粒子Bに限定した理由は以下の通りである。
前記有機シリコーン微粒子Bは、有機部分を有するポリマーであり、ほど良い硬さと弾性を有し、且つ他のハードコート層用硬化性樹脂組成物と適度な親和性を保ちながらも相溶する事がないため塗膜の形成過程で膜表面に偏在することができるからである。
また、前記反応性無機微粒子Aのコアとなる無機微粒子と、前記有機シリコーン微粒子Bの有する有機基により、当該反応性無機微粒子Aと当該有機シリコーン微粒子Bは分離する傾向があるため、ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子を当該ハードコート層の透明基材フィルム側の界面近傍に偏在させることで、当該有機シリコーン微粒子Bを当該ハードコート層の透明基材フィルム側とは反対側の界面近傍に偏在させ、当該ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成することができるからである。
本発明に用いられる有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径は透明性を維持する観点から20nm以上300nm以下であるが、特に好ましくは30nm以上200nm以下である。20nm未満の場合、貼り付き防止に効果がある凹凸が形成できない恐れがあり、300nm超過の場合、透明性を損なう恐れがある。
なお、有機シリコーン微粒子Bは、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、一次粒子径だけでなく二次粒子径も上記範囲内であれば良い。
本発明に用いられる有機シリコーン微粒子Bの具体例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、及び表面の一部をアクリルポリマー等で被覆したもの等が挙げられる。
上記有機シリコーン微粒子Bは、電離放射線硬化型樹脂との親和性が低く、当該有機シリコーン微粒子Bの拡散速度が大きいこと、及び、上述した反応性無機微粒子Aの密度分布に基づく体積排除効果によって、ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子を当該ハードコート層の透明基材フィルム側の界面近傍に偏在させることで、当該有機シリコーン微粒子Bを当該ハードコート層の透明基材フィルム側とは反対側の界面近傍に偏在させることができる。したがって、後述するバインダー成分Cとして電離放射線硬化型樹脂を用いた場合、当該有機シリコーン微粒子Bは、ハードコート層の透明基材フィルム側とは反対側の界面近傍に偏在し、当該ハードコート層表面に所望の凹凸形状を形成することができる。
上記有機シリコーン微粒子Bの含有量は全固形分に対し、0.1〜5.0重量%であるが、特に好ましくは0.5〜3重量%である。0.1重量%未満の場合、微量過ぎて効果が発現されない恐れがあり、5.0重量%超過の場合、ハードコート層の透明性及び耐擦傷性を低下させる。
<硬化性バインダー系>
本明細書において、硬化性バインダー系の構成成分とは、バインダー成分Cの他に、必要に応じてバインダー成分C以外の硬化性バインダー成分、ポリマー成分、重合開始剤等の硬化後に後述するハードコート層のマトリクス成分となるものを表す。
〔バインダー成分C〕
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物において、バインダー成分Cは、前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aと架橋反応性を有する反応性官能基cを有し、当該反応性官能基aと当該反応性官能基cが架橋結合し、網目構造が形成される。また、当該バインダー成分Cは、充分な架橋性を得るために、当該反応性官能基cを3つ以上有することが好ましい。当該反応性官能基cとしては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合及びエポキシ基等が挙げられる。
バインダー成分Cとしては、塗膜した時に光が透過する透光性のものが好ましく、その具体例としては、紫外線または電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂など、塗工時に固形分を調整するための溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物、または熱硬化型樹脂の三種類が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂の具体例としては、(メタ)アクリレート基等のラジカル重合性官能基を有する化合物、例えば、(メタ)アクリレート系のオリゴマー、プレポリマー、或いは単量体(モノマー)が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリレート系オリゴマー又はプレポリマーとしては、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリル酸エステルから成るオリゴマー又はプレポリマーが挙げられる。又、(メタ)アクリレート系単量体としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリレート系化合物以外の例としては、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能又は多官能単量体、或いはビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、芳香族ビニルエーテル、脂肪族ビニルエーテル等のオリゴマー又はプレポリマー等のカチオン重合性官能基を有する化合物が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤または光重合促進剤として増感剤を添加することができる。
光重合開始剤の具体例としては、ラジカル重合性官能基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、等が挙げられ、これらを単独で、又は混合して用いる。1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンは、例えば商品名イルガキュア184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)として入手可能である。また、α-アミノアルキルフェノン類としては、例えば商品名イルガキュア907、369として入手可能である。
カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられる。
光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は一般的に例示されるものが利用される。溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。好ましい熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、2,6−キシレノールの重合体)、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類)、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン)、ゴム又はエラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム)等が好ましい。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等をさらに添加して使用することができる。
<その他の成分>
溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;またはこれらの混合物が挙げられる。より好ましい溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物は、更に帯電防止剤、防眩剤を含有していても良い。また、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等の各種添加剤が混合されていても良い。帯電防止剤及び/又は防眩剤を含む場合には、本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物は、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる。
<樹脂組成物の調製>
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物は、一般的な調製法に従って、上記成分を混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。反応性無機微粒子A及び有機シリコーン微粒子Bが溶剤中に分散された状態で得られる場合には、その分散状態のまま、前記硬化性バインダー系、溶剤を含むその他の成分を適宜加え、混合し分散処理することにより調製される。
本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物における固形分の濃度としては、特に限定されるものではないが、通常5重量%〜40重量%の範囲内、特に15重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
II.ハードコートフィルム
本発明に係るハードコートフィルムは、透明基材フィルム上に、前記本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を備えることを特徴とする。
本発明によれば、透明基材フィルム上に、前記本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を備えることにより、当該ハードコート層の透明性及び耐擦傷性を損なわずに、当該ハードコート層表面に所望の凹凸形状を付与したハードコートフィルムを提供することができる。
また、本発明に係るハードコートフィルムは、透明基材フィルム上に、ハードコート層を設けてなるハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層中に、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子と有機シリコーン微粒子Bとを含み、前記有機シリコーン微粒子Bが、前記ハードコート層表面に10nm以上200nm以下の凹凸を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、前記ハードコート層表面に所望の凹凸形状が形成されるため、前記ハードコートフィルムを連続帯状の状態で連続して巻き取り長尺ロールとした場合に、当該ハードコートフィルムのハードコート層側の表面と、当該ハードコートフィルムの基材フィルム側の表面との貼り付きを防止することができる。
図1は、本発明のハードコートフィルムの一例を示す断面図である。尚、図1において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。図1に示す例では、透明基材フィルム1の一方の表面側に、前記本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層2が積層されており、当該ハードコート層2の表面には、凹凸形状が形成されている。
以下、本発明のハードコートフィルムを構成する各層について順に説明する。
<透明基材フィルム>
透明基材フィルムの材質は、特に限定されないが、ハードコートフィルムに用いられる一般的な材料を用いることができ、例えば、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが挙げられる。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
セルロースアシレートの具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられ、より具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS-1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Taconic社製の Topers(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ-1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。アクリレート系ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリルとはアクリル、メタクリル又はその両方の混合系を意味する。ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
透明基材フィルムの厚さは、20μm以上300μm以下、好ましくは30μm以上200μm以下である。本発明においては、透明基材フィルム上にハードコート層を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行なってもよい。
<ハードコート層>
本発明に用いられるハードコート層は、ハードコート性を付与するための反応性無機微粒子A、ハードコート層表面に凹凸形状を形成し、当該表面の貼り付きを低減するための有機シリコーン微粒子B、及び基材や隣接する層に対する密着性を付与するためのバインダー成分Cを必須成分とする、硬化後にハードコート層のマトリクスを形成する硬化性バインダー系の成分を含有してなり、当該ハードコート層は、直接又は他の層を介して透明基材フィルム上に設けられる。
「ハードコート層」とは、一般にJISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものである。当該硬度は、上記基材フィルムの種類や厚みに依存する値であり、用途や要求性能に合わせて適宜選択されるものであり限定されないが、本発明に用いられるハードコート層は、当該鉛筆硬度試験で更に2H以上、特に3H以上であることが好ましい。また、当該ハードコート層の膜厚は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、更に5μm以上30μm以下であることが、耐擦傷性の観点から好ましい。
また、本発明において、前記ハードコート層表面の凹凸形状は、10nm以上200nm以下であるが、特に好ましくは13nm以上100nm以下である。10nm未満の場合、貼り付き防止効果が無い恐れがあり、200nm超過の場合、透明性を損なう恐れがある。
<その他の層>
本発明によるハードコートフィルムは、上記したように透明基材フィルム、ハードコート層により基本的には構成されてなる。しかしながら、ハードコートフィルムとしての機能または用途を加味して、本発明に係るハードコート層の他に、更に下記のような一又は二以上の層を含有していてもよい。また更に、中屈折率層や高屈折率層を含んで形成しても良い。
(1)帯電防止層
帯電防止層は、帯電防止剤と樹脂とを含んでなるものである。帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有する且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
また、前記帯電防止剤の他の例としては、導電性微粒子が挙げられる。当該導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。前記導電性微粒子の平均粒子径は、0.1nm〜0.1μmであることが好ましい。かかる範囲内であることにより、前記導電性微粒子をバインダーに分散した際、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成可能な組成物が得られる。
帯電防止層に含まれる樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは光硬化性樹脂もしくは光硬化性化合物(有機反応性ケイ素化合物を含む)を使用することができる。樹脂としては、熱可塑性の樹脂も使用できるが、熱硬化性樹脂を使用することがより好ましく、より好ましくは、光硬化性樹脂または光硬化性化合物を含む光硬化性組成物である。
光硬化性組成物としては、分子中に重合性不飽和基または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。
光硬化性組成物中のプレポリマー、オリゴマー、及びモノマーの例としては、前記ハードコート層で挙げたのと同様のものを用いることができる。
通常、光硬化性組成物中のモノマーとしては、必要に応じて、1種若しくは2種以上を混合して用いるが、光硬化性組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
(2)防眩層
防眩層は、透過性樹脂基材とハードコート層または低屈折率層との間に形成されてよい。防眩層は樹脂と防眩剤とを含んでなるものであり、樹脂は、上記帯電防止層の項で説明したのと同様であってよい。
本発明の好ましい態様によれば、防眩層は微粒子の平均粒子径をR(μm)とし、防眩層の凹凸の凸部分の鉛直方向での基材面からの最大値をHmax(μm)とし、防眩層の凹凸平均間隔をSm(μm)とし、凹凸部の平均傾斜角をθaとした場合に、下記式:
8R≦Sm≦30R
R<Hmax<3R
1.3≦θa≦2.5
1≦R≦8
全てを同時に満たすものが好ましい。
また、本発明の別の好ましい様態によれば、微粒子と透明樹脂組成物の屈折率をそれぞれ、n1、n2とした場合に、Δn=|n1−n2|<0.1を満たすものであり、且つ、防眩層内部のヘイズ値が55%以下である防眩層が好ましい。
(防眩剤)
防眩剤としては微粒子が挙げられ、微粒子の形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、樹脂組成物100重量部に対し、2〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。
防眩層用組成物を調整する際に沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤を添加することにより、防眩剤の沈殿を抑制し、溶媒内に均一に分散させることができるからである。沈降防止剤の具体例としては、平均粒子径が0.5μm以下、好ましくは0.1〜0.25μm程度のシリカビーズが挙げられる。
防眩層の膜厚(硬化時)は0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmの範囲にあることが好ましい。膜厚がこの範囲にあることにより、防眩層としての機能を十分に発揮することができる。
(3)低屈折率層
低屈折率層は、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有する樹脂、低屈折率樹脂であるフッ素系樹脂、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムを含有するフッ素系樹脂から構成され、屈折率が1.46以下の、やはり30nm〜1μm程度の薄膜、または、シリカ、もしくはフッ化マグネシウムの化学蒸着法もしくは物理蒸着法による薄膜で構成することができる。フッ素樹脂以外の樹脂については、帯電防止層を構成するのに用いる樹脂と同様である。
低屈折率層は、より好ましくは、シリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体で構成することができる。このシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体は、具体的には、フッ化ビニリデンが30〜90%、ヘキサフルオロプロピレンが5〜50%(以降も含め、百分率は、いずれも重量基準)を含有するモノマー組成物を原料とした共重合により得られるもので、フッ素含有割合が60〜70%であるフッ素含有共重合体100部と、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物80〜150部とからなる樹脂組成物であり、この樹脂組成物を用いて、膜厚200nm以下の薄膜であって、且つ耐擦傷性が付与された屈折率1.60未満(好ましくは1.46以下)の低屈折率層を形成する。
このほか、低屈折率層は、SiOからなる薄膜で構成することもでき、蒸着法、スパッタリング法、もしくはプラズマCVD法等により、またはSiOゾルを含むゾル液からSiOゲル膜を形成する方法によって形成されたものであってもよい。なお、低屈折率層は、SiO以外にも、MgFの薄膜や、その他の素材でも構成し得るが、下層に対する密着性が高い点で、SiO薄膜を使用することが好ましい。
本発明の低屈折率層の好ましい態様によれば、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。
「空隙を有する微粒子」は低屈折率層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることを可能とする。「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、塗膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。
(4)防汚層
本発明の好ましい態様によれば、低屈折率層の最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよい。防汚層は、ハードコートフィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。
防汚剤の具体例としては、分子中にフッ素原子を有する光硬化性樹脂組成物への相溶性が低く、低屈折率層中に添加することが困難とされるフッ素系化合物および/またはケイ素系化合物、分子中にフッ素原子を有する光硬化性樹脂組成物および微粒子に対して相溶性を有するフッ素系化合物および/またはケイ系化合物が挙げられる。
以下、本発明のハードコートフィルムの製造方法について説明する。
まず、上述のハードコートフィルムの説明において挙げた透明基材フィルムを準備する。次に、本発明に係るハードコート層用硬化性樹脂組成物を準備する。次に、得られたハードコート層用硬化性樹脂組成物を透明基材フィルム上に塗布、乾燥する。
塗布方法は、透明基材フィルム表面にハードコート層形成用樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
また、透明基材フィルム上への塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が1g/m〜30g/mの範囲内、特に5g/m〜25g/mの範囲内であることが好ましい。
乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、更にはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。例えば、溶媒としてケトン系溶剤を用いる場合は、通常室温〜80℃、好ましくは40℃〜60℃の範囲内の温度で、20秒〜3分、好ましくは30秒〜1分程度の時間で乾燥工程が行われる。
なお、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物中に均一に分散した反応性無機微粒子A及び有機シリコーン微粒子Bは、上記乾燥工程において、当該反応性無機微粒子Aは透明基材フィルム側の界面近傍に偏在し、当該有機シリコーン微粒子Bは透明基材フィルム側とは反対側の界面近傍に偏在する。
次に、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥させた塗膜に対し、当該硬化性樹脂組成物に含まれる反応性官能基に応じて、光照射及び/又は加熱して塗膜を硬化させることにより、当該硬化性樹脂組成物の構成成分中に含まれる、前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aと前記バインダー成分Cの反応性官能基cが架橋結合し、当該硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が形成される。また、当該硬化性樹脂組成物の構成成分中の有機シリコーン微粒子Bが固定されて、ハードコート層の表面に所望の凹凸形状が形成され、本発明のハードコートフィルムが得られる。
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm程度である。
加熱する場合は、通常40℃〜120℃の温度にて処理する。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行っても良い。
ハードコートフィルムの貼り付き防止効果は、ロール・トゥ・ロールのプロセスに用いるようなロール状の長尺フィルムの場合及び枚葉フィルムの場合のいずれにおいても発揮されるが、本発明においては、長尺フィルムの形態で、ロール状に巻き取った時のロール中心付近の強い貼り付きに対しても優れた貼り付き防止の効果を発揮する。したがって、本発明に係るハードコートフィルムは、連続帯状の状態で連続して巻き取りロール状の長尺フィルムの形態で用いるのに適している。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は特に特定しない限り重量部を表す。
(製造例1:反応性無機微粒子A(1)の調製)
(1)表面吸着イオン除去
平均一次粒子径50nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスXL:商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B、三菱化学(株)製)400gを用いて3時間イオン交換を行い、次いで、陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA20A、三菱化学(株)製)200gを用いて3時間イオン交換を行った後、洗浄し固形分濃度40重量%の無機微粒子の水分散体を得た。
この時、無機微粒子の水分散体のNaO含有量は、無機微粒子当たり各7ppmであった。
(2)表面処理(単官能モノマーの導入)
上記(1)の処理を行った無機微粒子の水分散液10gに150mlのイソプロパノール、4.0gの3,6,9−トリオキサデカン酸、及び4.0gのメタクリル酸を加え、30分間撹拌し混合した。
得られた混合液を、60℃で5時間加熱しながら撹拌する事で、無機微粒子表面にメタクリロイル基が導入された無機微粒子分散液を得た。得られた無機微粒子分散液を、ロータリーエバポレーターを用いて蒸留水、及びイソプロパノールを留去させ、乾固させないようにメチルエチルケトンを加えながら、最終的に残留する水やイソプロパノールを0.1重量%とし、固形分50重量%のシリカ分散メチルエチルケトン溶液を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(1)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=50nmの平均一次粒子径を有していた。
(製造例2:反応性無機微粒子A(2)の調製)
平均一次粒子径90nmの水分散コロイダルシリカ(スノーテックスZL:商品名、日産化学工業(株)製、pH9〜10)を用いた以外は製造例1と同様の方法で反応性無機微粒子A(2)を調製した。このようにして得られた反応性無機微粒子A(2)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=90nmの平均一次粒子径を有していた。
(製造例3:反応性無機微粒子A(3)の調製)
(1)表面吸着イオン除去
製造例1と同様に、表面吸着イオンを除去した無機微粒子の水分散液を得た。
(2)表面処理(多官能モノマーの導入)
製造例1において、メタクリル酸をジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR399:商品名、サートマー(株)製)に変更した以外は、製造例1と同様の手法で表面処理を行った。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(3)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=52nmの平均一次粒子径を有していた。
(製造例4:反応性無機微粒子A(4)の調製)
平均一次粒子径45nmのシリカゾル(オルガノシリカゾル、OSCAL:商品名、触媒化成工業(株)製、イソプロピルアルコール分散液)をロータリーエバポレーターを用いてイソプロピルアルコールからメチルイソブチルケトンに溶媒置換を行い、シリカ微粒子20重量%の分散液を得た。このメチルイソブチルケトン分散液100重量部に3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを20重量部添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された中実シリカ微粒子20重量%のメチルイソブチルケトン分散液A(4)を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(4)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=45nmの平均一次粒子径を有していた。
(製造例5:反応性無機微粒子A(5)の調製)
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部、ジブチルスズジラウレート0.2部からなる溶液に対し、イソフォロンジイソシアネート20.6部を撹拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱撹拌することで化合物(1)を得た。
窒素気流下、メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製、商品名、メタノール溶剤コロイダルシリカ分散液(数平均粒子径50nm、シリカ濃度30%))88.5部(固形分26.6部)、上記で合成した化合物(1)8.5部、p−メトキシフェノール0.01部の混合液を、60℃、4時間撹拌した。続いて、この混合溶液に化合物(2)としてメチルトリメトキシシラン3部を添加し、60℃、1時間撹拌した後、オルト蟻酸メチルエステル9部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで架橋性無機微粒子を得た。このようにして得られた反応性無機微粒子A(5)は、上記粒度分析計により測定した結果、d50=63nmの平均一次粒子径を有していた。
(製造例6:反応性無機微粒子A(6)の調製)
平均一次粒子径5nmのシリカゾル(オルガノシリカゾル、OSCAL:商品名、触媒化成工業(株)製、イソプロピルアルコール分散液)をロータリーエバポレーターを用いてイソプロピルアルコールからメチルイソブチルケトンに溶媒置換を行い、シリカ微粒子20重量%の分散液を得た。このメチルイソブチルケトン分散液100重量部に3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを20重量部添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された中実シリカ微粒子20重量%のメチルイソブチルケトン分散液A(6)を得た。
このようにして得られた反応性無機微粒子A(6)は、日機装(株)社製Microtrac粒度分析計により測定した結果、d50=6nmの平均一次粒子径を有していた。
<実施例1>
(1)ハードコート層用硬化性樹脂組成物の調製
以下の各成分を混合し、溶剤で固形分50重量%に調整し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を調製した。
<ハードコート層用硬化性樹脂組成物の組成>
・UV1700B(商品名、日本合成化学製、10官能、分子量2000):70重量部(固形分量換算値)
・製造例1の反応性無機微粒子A(1)(平均一次粒子径50nm):30重量部(固形分量換算値)
・有機シリコーン微粒子B(パイオニン:商品名、竹本油脂(株)製、平均一次粒子径:300nm):1重量部(固形分量換算値)
・メチルエチルケトン:100重量部
・イルガキュア184(商品名、チバスペシャルティケミカルズ製、ラジカル重合開始剤):0.4重量部
(2)ハードコートフィルムの作製
透明基材フィルムとして80μmセルローストリアセテートフィルムを用い、当該基材上に、(1)で調製されたハードコート層用硬化性樹脂組成物をWET重量40g/m(乾燥重量20g/m)を塗布した。50℃にて30秒乾燥し、紫外線200mJ/cmを照射して実施例1のハードコートフィルムを作製した。
<実施例2>
実施例1のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例3>
実施例1のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例4>
実施例3のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例5>
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例2で得られた反応性無機微粒子A(2)(平均一次粒子径90nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例6>
実施例5のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例5と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例7>
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例3で得られた反応性無機微粒子A(3)(平均一次粒子径52nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例8>
実施例7のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例7と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例9>
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例4で得られた反応性無機微粒子A(4)(平均一次粒子径45nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例10>
実施例9のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例9と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例11>
実施例1のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)(平均一次粒子径63nm)を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例12>
実施例11のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例13>
実施例11のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例14>
実施例13のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを0.1重量部用いた以外は、前記実施例13と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例15>
実施例2のハードコートフィルムの製造において、製造例6で得られた反応性無機微粒子A(6)(平均一次粒子径6nm)を用いた以外は、前記実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例16>
実施例15のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bの平均一次粒子径をd50=40nmとした以外は、前記実施例15と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例17>
実施例5のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを5.0重量部用いた以外は、前記実施例5と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例1>
実施例1のハードコートフィルムの製造において、反応性無機微粒子Aを用いず、平均一次粒子径がd50=40nmの有機シリコーン微粒子B(パイオニン:商品名、竹本油脂(株)製)を31重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例2>
実施例11のハードコートフィルムの製造において、有機シリコーン微粒子Bを用いず、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)を31重量部用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例3>
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)31重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=300nmのシリカビーズ(Quartron PL‐30:商品名、扶桑化学工業(株)製)1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例4>
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)30.1重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=300nmのスチレン‐アクリルビーズ(MG‐154:商品名、日本ペイント(株)製)0.1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例5>
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)31重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=70nmのアクリルビーズ(MG‐151:商品名、日本ペイント(株)製)1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例6>
実施例11のハードコートフィルムの製造において、製造例5で得られた反応性無機微粒子A(5)31重量部と、有機シリコーン微粒子Bの変わりに、平均一次粒子径がd50=300nmのウレタンビーズ(アートパール:商品名、根上工業(株)製)1重量部を用いた以外は、前記実施例11と同様にしてハードコートフィルムを得た。
〔評価方法〕
上記、各実施例、及び比較例に対して、以下の点を評価した。その結果を表1に記載する。
(1)鉛筆硬度
得られたハードコートフィルムのハードコート層表面の鉛筆硬度をJISK5600−5−4(1999)に準じて評価した。4Hの鉛筆を用いて、500g荷重で5本線を引きその後のハードコート層の傷の有無を目視し下記の基準にて評価した。
<評価基準>
評価◎:傷は0〜1本であった。
評価○:傷は2〜3本であった。
評価×:傷は4〜5本であった。
(2)ヘイズ
ヘイズメーターHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用い、JIS−K−7105に従って透過法で測定した。
(3)貼り付き
ハードコート層形成面とフィルム面を重ね、40kg/cm2 の荷重をかけ、20分間放置した後、評価を行った。
<評価基準>
評価◎:貼り付かない
評価○:一部貼り付く
評価×:完全に貼り付く
Figure 0005239247
本発明に係るハードコートフィルムの基本的な層構成を示す図である。 本発明に係るハードコートフィルムを長尺ロール状に巻き取った状態の概略図である。
符号の説明
1 透明基材フィルム
2 ハードコート層
3 ハードコートフィルム

Claims (5)

  1. (1) 動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの累積分布50%粒子径と定義される平均一次粒子径が5nm以上100nm以下であり、少なくとも表面の一部を有機成分で被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基aを表面に有する反応性無機微粒子A、
    (2) 動的光散乱法で測定し且つ粒子径分布を累積分布で表したときの50%粒子径と定義される平均一次粒子径が20nm以上300nm以下の有機シリコーン微粒子B、
    (3) 前記反応性無機微粒子Aの反応性官能基aとの架橋反応性を有する反応性官能基cを3つ以上有するバインダー成分Cを含み、系内における硬化反応性も有する硬化性バインダー系、を含有し、
    前記有機シリコーン微粒子Bの含有量が、全固形分に対して0.1〜5.0重量%である、ハードコート層用硬化性樹脂組成物。
  2. 前記反応性無機微粒子Aが、反応性シリカ微粒子である、請求項1に記載のハードコート層用硬化性樹脂組成物。
  3. 透明基材フィルム上に、前記請求項1又は2に記載のハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層を設けてなるハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層中に、当該ハードコート層のマトリクスと架橋結合した無機微粒子と有機シリコーン微粒子Bとを含み、前記有機シリコーン微粒子Bが、前記ハードコート層表面に10nm以上200nm以下の凹凸を形成した、ハードコートフィルム。
  4. 前記ハードコート層の膜厚が、1μm以上100μm以下である、請求項3に記載のハードコートフィルム。
  5. 前記ハードコートフィルムが、連続帯状の状態で連続して巻き取られた長尺ロールである、請求項3又は4に記載のハードコートフィルム。
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