JP2005036018A - 硬化性組成物およびその硬化膜 - Google Patents

硬化性組成物およびその硬化膜 Download PDF

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Jiro Ueda
二朗 上田
Nobuyasu Shinohara
宣康 篠原
Isao Nishiwaki
功 西脇
Takayoshi Tanabe
隆喜 田辺
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Abstract

【課題】各種基材の表面に、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度および耐擦傷性を有し、透明性に優れ、組成によりさらに滑り性付与成分のブリードアウトが発生せず、表面滑り性及びその持続性にも優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物とその硬化膜を提供すること。
【解決手段】(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子と、重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有する有機化合物とを結合させてなる反応性粒子、(B)2以上の重合性不飽和基を有する有機化合物、および(C)(B)以外の両末端反応性ポリシロキサン化合物を含有することを特徴とする硬化性組成物を用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性組成物、およびその硬化膜に関し、さらに詳しくは、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度および耐擦傷性を有し、透明性に優れ、組成によりさらに滑り性付与成分のブリードアウトが発生せず、表面滑り性及びその持続性にも優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物およびその硬化膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等の各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コ−ティング材および反射防止膜用コート材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、表面滑り性、低カール性、密着性、透明性、耐薬品性および塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
【0003】
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、硬化性組成物として優れた塗工性を有し、硬化膜とした場合に、高硬度および耐擦傷性を有し、透明性に優れ、さらに経時的にも安定した表面滑り性にも優れるという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。
表面滑り性を付与する方法として、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、光重合開始剤、無機粒子および末端反応性ポリジメチルシロキサンからなる光硬性樹脂組成物を、光硬化型のコ−ティング材料として用いることが提案されている(特許文献1)。しかし、このような組成物を用いた硬化物は、表面滑り性に一定の改良が認められるものの、表面滑り性の経時変化が大きく、また滑り性付与成分のブリードアウトが発生する場合がある。硬度および耐擦傷性については必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−124514号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度および耐擦傷性を有し、透明性に優れ、組成によりさらに滑り性付与成分のブリードアウトが発生せず、表面滑り性及びその持続性にも優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、およびその硬化膜を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため、鋭意研究した結果、(A)特定の元素の酸化物粒子と、特定の有機基を有する有機化合物を反応させてなる反応性粒子、(B)2以上の重合性不飽和基を有する有機化合物、および(C)重合可能な基を有する両末端反応性ポリシロキサン化合物を含有する硬化性組成物を用いれば、上記諸特性を満足し得る硬化膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子(A1)と、分子内に重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有する有機化合物(A2)とを反応させてなる反応性粒子(以下、「反応性粒子(A)」ということがある)、ならびに(B)2以上の重合性不飽和基を有する有機化合物(以下、「重合性有機化合物(B)」ということがある)、さらに、(C)(B)成分以外の両末端反応性ポリシロキサン化合物(以下、「両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)」ということがある)を含有することを特徴とする硬化性組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記の硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる反応性粒子(A)は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子(A1)と、分子内に重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有する有機化合物(A2)とを反応させることにより得られる。
【0010】
反応性粒子(A)の製造に用いられる酸化物粒子(A1)は、得られる硬化性組成物の硬化膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子である。
【0011】
これらの酸化物粒子(A1)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニアおよび酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。さらには、酸化物粒子(A1)は、粉体状または溶剤分散ゾルとして用いるのが好ましい。溶剤分散ゾルとして用いる場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
【0012】
酸化物粒子(A1)の数平均粒子径は、0.001μm〜2μmが好ましく、0.003μm〜1μmがさらに好ましく、0.005μm〜0.5μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを超えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、硬化膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
【0013】
ケイ素酸化物粒子(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製メタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
【0014】
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末および溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製ニードラール等を挙げることができる。
【0015】
酸化物粒子(A1)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状であり、好ましくは、球状である。酸化物粒子(A1)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これら酸化物粒子(A1)の使用形態は、乾燥状態の粉末、または水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、上記の酸化物の溶剤分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性を要求する用途においては酸化物の有機溶剤分散ゾルの利用が好ましい。
【0016】
本発明に用いられる有機化合物(A2)は、分子内に重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有する有機化合物である。
有機化合物(A2)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
【0017】
有機化合物(A2)に含まれる加水分解性シリル基とは、シラノール基または加水分解によってシラノール基を生成する基である。シラノール基を生成する基としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した基を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基またはアリールオキシ基が結合した基、すなわち、アルコキシシリル基またはアリールオキシシリル基を含有する有機化合物が好ましい。ここでアルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、アリールオキシ基としては、炭素数6〜18のアリールオキシ基が好ましい。
シラノール基またはシラノール基を生成する基は、縮合反応または加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(A1)と結合する構成単位である。
【0018】
有機化合物(A2)は、重合性不飽和基および加水分解性シリル基に加えて、さらに、下記式(1)で表される基を有する有機化合物が好ましい。
【0019】
【化3】
Figure 2005036018
【0020】
[式(1)中、Xは、NH、O(酸素原子)、またはS(イオウ原子)を示し、Yは、OまたはSを示す。]
【0021】
前記式(1)で表される基は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、および[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、単独でまたは2種以上有していてもよい。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基に加えて、[−O−C(=S)−NH−]基および[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを有することが好ましい。
前記式(1)で表される基は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性および耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
【0022】
有機化合物(A2)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【0023】
【化4】
Figure 2005036018
【0024】
[式(3)中、R、RおよびRのうち少なくとも一つはヒドロキシ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を示し、残余は水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。Rは炭素数1〜12の脂肪族または芳香族構造を有する2価の有機基を示し、Rは2価の有機基を示し、R10は(q+1)価の有機基を示し、Zは活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を有する1価の有機基を示し、qは1〜20の整数を示す]
【0025】
式(3)中、R、RおよびRで示されるアルコキシ基およびアルキル基としては炭素数1〜8のものが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等が好ましい。またアリールオキシ基およびアリール基としては炭素数6〜18のものが挙げられ、フェノキシ基、キシリルオキシ基、フェニル基、キシリル基等が好ましい。R(R)(R)Si−で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基またはトリエトキシシリル基等が好ましい。
【0026】
としては、その構造中に鎖状、分岐状または環状構造を含んでいてもよい。そのような構造単位として、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、メチルプロピレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の炭素数1〜12の脂肪族基;シクロヘキシレン等の炭素数3〜12の脂環式基;フェニレン、2−メチルフェニレン、3−メチルフェニレン、ビフェニレン等の炭素数6〜12の芳香族基等を挙げることができる。これらの中で好ましい例はメチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等である。
【0027】
としては分子量14〜1万、特に分子量76〜500の2価の有機基が好ましい。これらの有機基としては、脂肪族または芳香族構造を有する2価の有機基が挙げられ、その構造として鎖状、分岐状または環状構造を含んでいてもよい。そのような構造単位として、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン、1−(メチルカルボキシル)−ペンタメチレン等の鎖状構造の骨格を有する2価の有機基;イソフォロン、シクロヘキシルメタン、メチレンビス(4−シクロヘキサン)、水添ジエニルメタン、水添キシレン、水添トルエン等の脂環式構造の骨格を有する2価の有機基;およびベンゼン、トルエン、キシレン、パラフェニレン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ナフタレン等の芳香環構造の骨格を有する2価の有機基から選ぶことができる。
【0028】
10としては(q+1)価の直鎖状、分岐状の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基が挙げられる。より具体的には、R記載の2価の有機基の他、2−エチル−2−メチレンプロピレン等の3価の有機基、イソシアヌル骨格を有する3価の有機基、2,2−ジメチレンプロピレン等の置換アルキレン等の4価の有機基、ジペンタエリスリトール由来のアルキレン等の6価の有機基が挙げられ、このうちエチレン、2−エチル−2−メチレンプロピレン、イソシアヌル骨格を有する3価の有機基、2,2−ジメチレンプロピレン等の置換アルキレン、ジペンタエリスリトール由来のアルキレンが好ましい。
【0029】
Zとしては、例えばアクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタンジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基等を例示することができる。これらのうち、アクリロキシ基、メタクリロキシ基およびビニル基がより好ましい。
【0030】
また、qは、好ましくは1〜20の整数であり、さらに好ましくは1〜10の整数、特に好ましくは1〜5の整数である。
【0031】
これらの有機化合物(A2)は、例えば、特開平9−100111号公報に記載の方法により製造することができる。
【0032】
反応性粒子は、酸化物粒子(A1)と有機化合物(A2)とを反応させて得られる。酸化物粒子(A1)と有機化合物(A2)とを反応させる方法としては、酸化物粒子(A1)と有機化合物(A2)を水を含む有機溶剤の存在下に混合し、加水分解・縮合反応を一度に行う方法、予め有機化合物(A2)を水を含む有機溶剤の存在下で加水分解処理した後、酸化物粒子(A1)と縮合反応させる方法、或いは酸化物粒子(A1)と有機化合物(A2)を水、有機溶剤、ならびに他の成分、例えば、分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物、ラジカル重合開始剤等の存在下に混合し、加水分解・縮合反応を一度に行う方法が挙げられる。これらの方法により酸化物粒子(A1)表面のケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、有機化合物(A2)分子中のケイ素原子が酸素原子を介して結合することにより、酸化物粒子(A1)と有機化合物(A2)とが化学的に結合した反応性粒子(A)が得られる。
【0033】
酸化物粒子(A1)がシリカ粒子であり、有機化合物(A2)がシラノール基またはシラノール基を生成する基を有する有機化合物(A2)である場合には、これらを水または水を含む有機溶剤の存在下に混合後、水または有機溶剤を減圧または常圧下で留去することにより、シリカ粒子と有機化合物(A2)とがシリルオキシ基を介して結合してなる重合反応性シリカ粒子を製造することができる。この反応は例えば特開平9−100111号公報の記載に基いて行うことができる。
【0034】
酸化物粒子(A1)と反応させる有機化合物(A2)の量は、反応性粒子(A)(酸化物粒子(A1)および有機化合物(A2)の合計)を100重量%として、好ましくは0.01重量%以上であり、さらに好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは1重量%以上である。酸化物粒子(A1)に結合した有機化合物(A2)の結合量が0.01重量%未満であると、組成物中における反応性粒子(A)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(A)製造時の原料中の酸化物粒子(A1)の配合割合は、好ましくは5〜99重量%であり、さらに好ましくは10〜98重量%である。
【0035】
反応性粒子(A)の硬化性組成物中における含有量は、組成物[反応性粒子(A)、重合性有機化合物(B)および両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)の合計]を100重量%として、5〜85重量%が好ましく、10〜80重量%がさらに好ましい。5重量%未満であると、硬化物としたときに高硬度のものを得られないことがあり、85重量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。
なお、反応性粒子(A)の含有量は、固形分を意味し、反応性粒子(A)が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その含有量には溶剤の量を含まない。
【0036】
上記の組成物に、重合開始剤(D)を配合し、光照射および/または加熱により重合させて硬化物を製造する。
反応性粒子(A)と重合性有機化合物(B)および両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)を配合した硬化性組成物の硬化物は、高硬度で、耐擦傷性に加えて表面滑り性に優れた塗膜(被膜)を形成する。
【0037】
本発明に用いられる重合性有機化合物(B)は、組成物の成膜性を高めるために好適に用いられる。重合性有機化合物(B)としては、分子内に重合性不飽和基を2以上含むものであれば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。このうち、(メタ)アクリルエステル類が好ましい。
【0038】
(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類、およびこれらの水酸基へのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、およびオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0039】
ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコ−ルジビニルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジビニルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジビニルエ−テル等を挙げることができる。
【0040】
このような重合性有機化合物(B)の市販品としては、例えば、東亞合成(株)製アロニックスM−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
【0041】
本発明に用いられる、重合性有機化合物(B)の含有量は、組成物全体を100重量%として、10〜90重量%であることが好ましく、15〜80重量%がさらに好ましい。10重量%未満または90重量%を超えると、硬化物としたときに高硬度のものを得られないことがある。
【0042】
両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)は、両末端に重合可能な基を有する(B)成分以外の両末端反応性ポリシロキサン化合物であれば特に制限はないが、入手がしやすい点からポリジメチルシロキサン化合物が好ましい。ポリジメチルシロキサン化合物としては重合可能な基を有し、さらにジメチルシロキサン構造を2つ以上有する化合物であれば特に限定されない。ポリシロキサン鎖と重合可能な基の間には、適宜スペーサー構造を有していても良い。好ましいスペーサー構造としては、例えば、下記式(4)で示す構造を含むスペーサーを挙げることができる。
【化5】
Figure 2005036018
【0043】
本発明の硬化性組成物に用いられる両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)が有する重合可能な基としては、特に制限はないが、例えば、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基等の重合性不飽和基;2,3−エポキシプロピルオキシ基、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ基置換アルキルまたはアルコキシ基等が挙げられる。このうち、アクリロキシ基およびメタクリロキシ基が放射線硬化性を付与する点から好ましい。また、(C)成分の両末端の重合可能な基は、同一構造の基でもよいし、異なる構造の基であってもよい。
【0044】
両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)のGPC法によるポリスチレン換算数平均分子量は、800〜15000であることが好ましく、特に、1000〜7000の範囲が好ましい。数平均分子量が800未満であると、これを含有する組成物の硬化物の表面滑り性が十分でない場合があり、数平均分子量が15000を超えると、それを含有する組成物は塗工性に劣る場合がある。
【0045】
両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)としては、下記式(2)
【0046】
【化6】
Figure 2005036018
【0047】
(式中、Rは各々独立してアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有する有機基を示し、Rは各々独立して(n+1)価の有機基を示し、RおよびRは各々独立してメチル基またはフェニル基を示し、nは各々独立して1〜3、kは1〜150の数を示す)で表される化合物が好ましい。
【0048】
式(2)中、Rとしては、アクリロキシ基、メタクリロキシ基の他、グリシジル(メタ)アクリレート基等の(メタ)アクリル酸エステル基、ベンジルアクリレート等の(メタ)アクリル酸フェニル基等が挙げられ、組成物を硬化した後の表面特性等において、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基等の重合性不飽和基が好ましく、アクリロキシ基が特に好ましい。
【0049】
としては(n+1)価の有機基が好ましく、その分子量は他の成分との相溶性の点から28〜14000、特に28〜5000が好ましい。好ましいRとしてはウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合等を有してもよい脂肪族または芳香族構造を有する有機基、又はこのような脂肪族と芳香族の両方を有する有機基が挙げられる。ここで、脂肪族構造としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン、1−(メチルカルボキシル)−ペンタメチレン等の鎖状構造、また、イソフォロン、シクロヘキシルメタン、メチレンビス(4−シクロヘキサン)、水添ジエニルメタン、水添キシレン、水添トルエン等の脂環式構造が挙げられ、芳香族構造としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、パラフェニレン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ナフタレン等の芳香環構造が挙げられる。
【0050】
さらに、Rがウレタン結合を有することにより、(C)成分とその他の成分との相溶性を良くし、硬化性組成物の塗工性を高めるので好ましい。ウレタン結合は1つでも良いが、2つ以上のウレタン結合を含んでいてもよい。特に好ましいRとしては、下記式(5)の構造が挙げられる。
【0051】
【化7】
Figure 2005036018
【0052】
にウレタン結合を有する式(2)の化合物は、例えば、ポリイソシアネートと、両末端に水酸基を有する反応性シリコーン化合物、および水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造できる。
【0053】
この目的に適したポリイソシアネートのうち、ジイソシアネートとしては例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2、5(または6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。これらのうち特に、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合せて用いられる。
【0054】
化合物(C)におけるポリジメチルシロキサン構造は、例えば、両末端に水酸基を有するシリコーン化合物を用いて導入される。
かかるシリコーン化合物としては、その両末端に、例えば3−(2′−ヒドロキシエトキシ)プロピル基、3−(2′,3′−ジヒドロキシプロピルオキシ)プロピル基、3−(2′−エチル−2′−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシ)プロピル基、3−(2′−ヒドロキシ−3′−イソプロピルアミノ)プロピル基等の有機基を有するシリコーン化合物が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合せて用いられる。
【0055】
上記の如き両末端に水酸基を有するシリコーン化合物は、例えば、チッソ(株)製サイラプレーンFM−4411、FM−4421、FM−4425等の市販品としても入手することができる。
【0056】
また、前記式(2)のRとして好ましい(メタ)アクリロイル基は、本発明で用いられる化合物(C)に放射線硬化性を付与するために必要である。(メタ)アクリロイル基は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートをポリイソシアネートと反応させることで導入される。
【0057】
このような水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(6)または(7)
【0058】
【化8】
Figure 2005036018
【化9】
Figure 2005036018
【0059】
(式中、R11は水素原子またはメチル基を示し、mは1〜15の数を示す)
で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も使用することができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合せて用いられる。
【0060】
上記2つ以上のウレタン結合を有する化合物(C)を得るための反応としては、例えば、水酸基を有するシリコーン化合物、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;上記シリコーン化合物およびポリイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いで上記シリコーン化合物を反応させる方法等が挙げられる。水酸基を有するシリコーン化合物および水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基当量とポリイソシアネートのイソシアネート当量がほぼ一致するように反応させることが好ましい。
【0061】
また、上記反応の出発物質にポリオールを加えることにより、ポリジメチルシロキサン構造と(メタ)アクリロイル基の間にポリウレタンポリオール等の構造を導入することができる。
ポリウレタンポリオール構造を有する化合物(C)を得るための反応としては、例えば水酸基を有するシリコーン化合物、ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;ポリオール、およびポリイソシアネートを反応させ、次いで上記シリコーン化合物および水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ポリイソシアネート、上記シリコーン化合物および水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法;ポリイソシアネートおよび上記シリコーン化合物を反応させ、次いでポリオールを反応させ、最後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させ、最後に上記シリコーン化合物を反応させる方法等が挙げられる。
【0062】
ここで用いられるポリオールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等が用いられ、これらのポリオールは、2種以上を併用することもできる。これらのポリオールにおける構造単位の結合様式は、特に制限されず、ランダム結合、ブロック結合、グラフト結合のいずれであってもよい。
【0063】
具体的には、ポリエーテルジオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオール等が挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフランとブテン−1−オキシドとエチレンオキシドの3元共重合体等を挙げることができる。また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミンなどの環状イミン類;β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸類;あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルジオールを使用することもできる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
【0064】
ポリエステルジオールとしては、多価アルコールと多塩基酸とを反応させて得られるポリエステルジオール等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等が挙げられる。多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。これらのポリエステルジオールの市販品としては、(株)クラレ製クラポールP−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000等として入手できる。
【0065】
また、ポリカーボネートジオールとしては、例えばポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネート等が挙げられる。市販品としては、日本ポリウレタン(株)製DN−980、981、982、983、米国PPG製PC−8000、BASF社製PC−THF−CD等として入手できる。
【0066】
さらにポリカプロラクトンジオールとしては、ε−カプロラクトンとジオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。上記ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。これらのポリカプロラクトンジオールの市販品としては、ダイセル化学工業(株)製プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL等を挙げることができる。
【0067】
上記以外のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、β−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ヒマシ油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ジオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等が挙げられる。
ポリオールの好ましい分子量は、ポリスチレン換算数平均分子量で通常50〜15,000であり、特に好ましくは100〜8,000である。
【0068】
両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)の市販品としては、チッソ(株)製サイラプレーンFM−7711、FM−7721、FM7725等を挙げることができる。
【0069】
本発明に用いられる両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)の含有量は、組成物全体を100重量%として、0.1〜5重量%であることが好ましく、特に、0.3〜2重量%の範囲が好ましい。両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)の含有量が0.1重量%未満であると硬化物の表面滑り性が不十分な場合があり、添加量が5重量%を超えると、はじきなどの塗工性不良になる場合がある。
なお、本発明の組成物中には、反応性粒子(A)、重合性有機化合物(B)および両末端反応性ポリシロキサン(C)の外に、必要に応じて、これら(B)成分、(C)成分以外の、分子内に重合性不飽和基を1つ有する化合物を含有させてもよい。
【0070】
本発明の組成物においては、反応性粒子(A)、重合性有機化合物(B)、および、両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)以外の配合成分として、(D)ラジカル重合開始剤(以下、「ラジカル重合開始剤(D)」ということがある)を配合することが好ましい。
このようなラジカル重合開始剤(D)としては、例えば、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物(熱重合開始剤)、および放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物(放射線(光)重合開始剤)等の、汎用されているものを挙げることができる。
【0071】
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
【0072】
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバスペシャルティケミカルズ(株)製イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製ルシリン TPO、8893UCB社製ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
【0073】
本発明において必要に応じて用いられるラジカル重合開始剤(D)の含有量は、組成物全体100重量部に対して、0.01〜20重量部配合することが好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、20重量部を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
【0074】
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて放射線(光)重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0075】
本発明の組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状または3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコ−ト、フローコ−ト、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。
これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
【0076】
本発明の組成物は、塗膜の厚さを調節するために、溶剤で希釈して用いることができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
【0077】
本発明の組成物は、熱および/または放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式およびイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベ−タ線およびガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独でまたは2種以上を同時にまたは一定期間をおいて照射することができる。
【0078】
本発明の硬化膜は、前記硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、熱および/または放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線または電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加速電圧は10〜300kV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
【0079】
本発明の硬化膜は、高硬度および耐擦傷性を有するとともに、組成により、表面滑り性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有しているので、CD、DVD、MO等の記録用ディスク、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材、または、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜等として特に好適に用いられる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる制限を受けるものではない。なお、以下において、部、%は特に記載しない限り、それぞれ重量部、重量%を示す。
また、本発明において「固形分」とは、組成物から溶剤等の揮発成分を除いた部分を意味し、具体的には、組成物を所定温度のホットプレート上で1時間乾燥して得られる残渣物(不揮発成分)を意味する。
【0081】
[有機化合物(A2)の合成]
合成例1 (A2−1)
乾燥空気下、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部とジブチルスズジラウレート0.2部との混液に対し、イソホロンジイソシアネート20.6部を撹拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間撹拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱撹拌することで有機化合物(A2−1)を得た。生成物中の残存イソシアネ−ト量を分析したところ0.1%以下であった。
【0082】
[反応性粒子(A)の製造]
以下、反応性粒子(A)の製造例を、製造例1及び製造例2に示す。
製造例1 (A−1)
合成例1で合成した有機化合物(A2−1)8.7部、シリカ粒子(A1−1)ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST、数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%)91.3部(シリカ粒子として27部)、イオン交換水0.1部の混合液を、60℃、3時間撹拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.4部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで反応性粒子(A)分散液(分散液(A−1))を得た。この分散液(A−1)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35%であった。
【0083】
製造例2 (A−2)Zr粒子製造例
合成例1で合成した有機化合物(A2−1)2.1部、ジルコニア粒子(A2−1)ゾル(メチルエチルケトンジルコニアゾル、数平均粒子径0.01μm、ジルコニア濃度30%)97.9部(ジルコニア粒子として29部)、イオン交換水0.1部の混合液を、60℃、3時間撹拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.0部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱撹拌することで反応性粒子(A)分散液(分散液(A−2))を得た。この分散液(A−2)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、31%であった。
【0084】
[両末端反応性ポリシロキサン化合物(C)の合成]
以下、合成例2および合成例3に化合物(C)の合成例を示す。
合成例2(C−1)
撹拌機を備えた反応容器にトリレンジイソシアネート23.0部、ジブチルスズジラウレート0.08部および2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02部を仕込み、15℃以下に冷却した。撹拌しながら温度が30℃以下に保たれるようにヒドロキシエチルアクリレート16.8部を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、水酸基当量1,000のα、ω−[3−(2′−ヒドロキシエトキシ)プロピル]ポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製サイラプレーンFM−4411)を60.1部を添加し20〜55℃で撹拌した。残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時を反応終了とした。得られた生成物の数平均分子量(東ソー製 AS−8020を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算数平均分子量を測定。以下、同じ。)を測定したところ、分子量は1900の両末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物の他に、生成物の20重量%のトリレンジイソシアネート1モルとヒドロキシエチルアクリレート2部の結合物が認められた。この手法により得られた液状の両末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物をC−1とする。
【0085】
合成例3(C’−1)
攪拌機を備えた反応容器にイソホロンジイソシアネート16.6部、ジブチルスズジラウレート0.08部および2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02部を仕込み、15℃以下に冷却した。攪拌しながら温度が30℃以下に保たれるようにヒドロキシエチルアクリレート8.7部を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、水酸基当量1,000のα−[3−(2′−ヒドロキシエトキシ)プロピル]、ω−トリメチルシリルオキシポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0411)を74.7部を添加し20〜55℃で攪拌した。残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時を反応終了とした。得られたポリジメチルシロキサン化合物の数平均分子量は1400であった。この手法により得られた液状の末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物をC’−1とする。
【0086】
[組成物の調製例]
以下、本発明の組成物の調製例を実施例1〜7で示す。
実施例1
製造例1で製造した分散液(A−1)141.0部(反応性粒子49.35部、分散媒メチルエチルケトン(MEK))、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B−1)46.06部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(D−1)2.87部、および2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパノン−1(D−2)1.72部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)63.93部を50℃で2時間撹拌することで均一な溶液を得た。この溶液をロータリーエバポレーターを用いて液量が163.93部になるまで減圧濃縮した後、合成例2で製造した両末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物(C−1)0.60部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)28.93部、メチルエチルケトン(MEK)3.21部、を50℃で30分撹拌することで均一な溶液の組成物を得た。この組成物の固形分含量を実施例1と同様に求めたところ、51%であった。
この組成物の各成分の配合量比を表1に示す。
【0087】
【表1】
Figure 2005036018
表1中、反応性粒子(A)および酸化物粒子(A1)の数値は、各粒子分散ゾルの仕込量中に含まれる不揮発成分含有量の重量部を示す。
表1中の略称の内容を下記に示す。
A−1:製造例1で製造した反応性粒子(A)分散液
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
C−1:合成例2で製造した両末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物(C)
C−2:α、ω−[3−(2′−メタクリル)プロピル]ポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製サイラプレーンFM−7711)
C’−1:合成例3で製造した末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物(C)。C’−1は、片末端にのみ重合可能な基としてアクリロイル基を有する以外はC−2と同じ構造である。
C’−2:ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製DC57)。C’−2は、重合可能な基を有しないポリシロキサン化合物である。
C’−3:ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製東レ・ダウコーニング・シリコーン社製DC190)。C’−3は、重合可能な基を有しないポリシロキサン化合物である。
D−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
D−2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン
MEK:メチルエチルケトン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0088】
実施例2、3、5、6及び7
表1に示す組成に従い、実施例1と同様の操作により、各実施例の組成物を得た。
【0089】
実施例4
製造例2で製造した分散液(A−2)256.5部(反応性粒子76.95部、分散媒メチルエチルケトン(MEK))、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B−1)18.56部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(D−1)2.81部、および2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパノン−1(D−2)1.68部、メチルイソブチルケトン(MIBK)96.49部を50℃で2時間撹拌することで均一な溶液を得た。この溶液をロータリーエバポレーターを用いて液量が176.87部になるまで減圧濃縮した後、合成例2で製造した両末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物(C−2)0.50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)19.22部を50℃で30分撹拌することで均一な溶液の組成物を得た。この組成物の固形分含量を実施例1と同様に求めたところ、51%であった。
【0090】
比較例1〜3
表1に示す組成に従い、実施例1と同様の操作により、比較例1〜3の組成物を得た。
【0091】
[硬化性組成物、およびその硬化被膜の評価]
本発明の組成物の効果を明らかにするため、上記組成物の塗工性の評価、および上記組成物を用いて塗布、乾燥、光照射して得られた硬化被膜の評価を行った。以下にその評価方法を示す。また、評価結果を表2に示す。
(1)塗布、乾燥、硬化条件
実施例1〜7および比較例1〜3で得られた組成物を、基材上にバーコーターを用いて乾燥膜厚5μmになるように塗布した後、80℃の熱風式乾燥機中で3分間乾燥し、コンベア式水銀ランプを用いて1J/cmの光量で照射して硬化被膜を得た。この硬化被膜を用いて、鉛筆硬度、基材との密着性、耐スチールウール(SW)擦傷性、および表面滑り性を評価した。その結果を表2に示す。
なお、基材は、鉛筆硬度の評価の場合にはガラスを、また基材との密着性、耐スチールウール(SW)擦傷性、および表面滑り性の評価の場合には厚さが188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡エステル(株)製 PETフィルム A4300)をそれぞれ用いた。
【0092】
(2)評価法
《鉛筆硬度》
JIS K5400に準拠し、ガラス基板上で硬化させた被膜を評価した。
【0093】
《基材との密着性》
PETフィルム上で硬化させた被膜をJIS K5400における碁盤目セロハンテ−プ剥離試験に準拠し、1mm角、計100個の碁盤目における残膜率(%)で評価した。
《耐スチールウール(SW)擦傷性》
PETフィルム上で硬化させた被膜について、テスター産業(株)製 学振型耐磨耗試験機を、500g荷重をかけた#0000スチールウールにて30往復し、試験した塗膜面の傷つき状態を目視にて評価した。傷がない場合を○、傷がある場合を×とした。
《表面滑り性》
PETフィルム上で硬化させた被膜について、新東科学(株)製 表面性試験機に曲率半径4mmの鉄球を取り付けて100gの荷重をかけ、引っ張り速度300mm/minで引っ張ったときの応力から硬化塗膜表面の動摩擦係数を計算して表面滑り性の評価とした。
また、硬化被膜を80℃のオーブン中で保管し、150、300及び500時間後に取り出して表面滑り性を測定し、表面滑り性の経時安定性評価を行った。《硬化被膜の外観》
得られた硬化被膜の外観および透明性を目視にて観察し、ブリードアウト又は白濁が見られない場合を○、見られる場合を×とした。
【0094】
【表2】
Figure 2005036018
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、各種基材の表面に、優れた塗工性を有し、耐擦傷性と高い硬度を有し、かつ、組成によりブリードアウトすること無く表面滑り性及びその持続性にも優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、およびその硬化膜を提供することができる。

Claims (7)

  1. (A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモンおよびセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子(A1)と、分子内に重合性不飽和基および加水分解性シリル基を有する有機化合物(A2)とを反応させてなる粒子(以下、「反応性粒子」という。)、
    (B)2以上の重合性不飽和基を有する重合性有機化合物、ならびに、
    (C)両末端に重合可能な基を有する(B)成分以外の両末端反応性ポリシロキサン化合物、を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記(A2)成分が、重合性不飽和基および加水分解性シリル基に加えて、下記式(1)に示す基を有する有機化合物である請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 2005036018
    [式(1)中、Xは、NH、O(酸素原子)またはS(イオウ原子)を示し、Yは、OまたはSを示す。]
  3. (C)両末端反応性ポリシロキサン化合物が、下記式(2)で表される化合物である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
    Figure 2005036018
    (式中、Rは各々独立してアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有する有機基を示し、Rは各々独立して(n+1)価の有機基を示し、RおよびRは各々独立してメチル基またはフェニル基を示し、nは各々独立して1〜3、kは1〜150の数を示す)
  4. (C)両末端反応性ポリシロキサン化合物が、重合性不飽和基とウレタン結合を有するポリジメチルシロキサン化合物である請求項1〜3のいずれか一に記載の硬化性組成物。
  5. 式(2)で表される(C)両末端反応性ポリシロキサン化合物において、Rがアクリロキシ基である請求項3に記載の硬化性組成物。
  6. 前記(A)、(B)および(C)各成分の含有量が下記のとおりであることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
    (A)反応性粒子 5〜85重量%、
    (B)重合性有機化合物 10〜90重量%、
    (C)両末端反応性ポリシロキサン化合物 0.1〜5重量%。
  7. 請求項1〜6のいずれか一に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。
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