JP2008239671A - 硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

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良介 飯沼
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薫平 小林
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Abstract

【課題】優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び耐擦傷性を有する塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、及びその硬化物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)〜(C):(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされた、シリカを主成分とする数平均粒子径が30nm以上200nm以下の粒子(Aa)、(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつジメチルシロキサン単位を有しない化合物、(C)有機溶剤を含有する硬化性組成物であって、組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、前記(A)成分中のシリカ粒子(Aa)の割合が30質量%以上であり、かつ、前記(C)成分中のメチルエチルケトン(MEK)の割合が50質量%未満である硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、及びその硬化物に関し、さらに詳しくは、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び耐擦傷性を有し、組成により表面滑り性にも優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物及びその硬化物に関する。
近年、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等の各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コ−ティング材及び反射防止膜用コート材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、表面滑り性、低カール性、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、硬化性組成物として優れた塗工性を有し、硬化膜とした場合に、高硬度及び耐擦傷性、あるいは、さらに表面滑り性にも優れるという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。表面滑り性を付与する方法として、例えば、特許文献1には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、光重合開始剤、無機粒子及び末端反応性ポリジメチルシロキサンからなる光硬性樹脂組成物を、光硬化型のコ−ティング材料として用いることが提案されている。しかし、このような組成物を用いた硬化物は、表面滑り性に一定の改良が認められるものの、硬度及び耐擦傷性については必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
特開平11−124514号公報
本発明は、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び耐擦傷性を有する塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、及びその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するため、鋭意研究した結果、(A)特定の有機基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理されている、シリカを主成分とする粒子(Aa)と、(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び(C)有機溶剤を含み、シリカを主成分とする粒子(Aa)の割合及び(C)有機溶剤中の特定の有機溶剤の割合を所定の範囲内とした硬化性組成物を用いれば、上記目的とする諸特性を満足し得る硬化物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、重合性官能基及びジメチルシロキサン単位を有する化合物を少量添加することにより、耐擦傷性を改善できることを見出した。
1.下記成分(A)〜(C):
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされた、シリカを主成分とする数平均粒子径が30nm以上200nm以下の粒子(Aa)
(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつジメチルシロキサン単位を有しない化合物
(C)有機溶剤
を含有する硬化性組成物であって、
該組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、前記(A)成分中のシリカ粒子(Aa)の割合が15質量%以上であり、かつ
前記(C)成分中のメチルエチルケトン(MEK)の割合が50質量%未満である硬化性組成物。
2.前記重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物である上記1に記載の硬化性組成物。
3.前記重合性不飽和基を有する化合物(Ab)が、さらに下記式(11)
Figure 2008239671
[一般式(11)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]で示される基を有する上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.さらに、(D)放射線重合開始剤を含有する上記1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
5.さらに、(E)重合性不飽和基を有する有機化合物(Eb)によって表面処理されていてもよい、シリカを主成分とする数平均粒子径が1nm以上30nm未満の粒子(Ea)を含有する上記1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
6.さらに、(F)重合性官能基及びジメチルシロキサン単位を有する化合物を含有する上記1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
7.前記成分(F)が、さらにウレタン骨格を有し、かつ数平均分子量が1,200〜2,000の範囲内である上記6に記載の硬化性組成物。
8.前記成分(F)の配合量が、組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、0.001〜0.01質量%の範囲内である上記6又は7に記載の硬化性組成物。
9.上記1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、各種基材の表面に、優れた塗工性を有し、耐擦傷性と高い硬度を有する硬化物を与える硬化性組成物、及びその硬化物を提供することができる。
本発明の硬化性組成物及びその硬化物の実施形態について以下説明する。
1.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物(以下、本発明の組成物という)は、下記の成分(A)〜(G)を含み得る。これらの成分のうち、(A)〜(C)は必須成分であり、(D)〜(G)は必要に応じて添加することのできる任意成分である。
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面変性がなされた、シリカを主成分とする数平均粒子径が30nm以上200nm以下の粒子(Aa)
(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつジメチルシロキサン単位を有しない化合物
(C)有機溶剤
(D)重合開始剤
(E)重合性不飽和基を有する有機化合物(Eb)によって表面変性されていてもよい、シリカを主成分とする数平均粒子径が1nm以上30nm未満の粒子(Ea)
(F)重合性官能基及びジメチルシロキサン単位を有する化合物
(G)その他の添加剤
尚、本発明の組成物は、組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、上記(A)成分中のシリカ粒子(Aa)の割合が15質量%以上であり、かつ上記(C)成分中のメチルエチルケトン(MEK)の割合が50質量%未満であることを特徴としている。
本発明の組成物においては、重合性不飽和基を有する有機化合物によって表面変性がなされた、特定の粒径のシリカ粒子を特定量配合することにより、高い硬度を有する硬化膜を与えることができる。
さらに、(F)重合性官能基及びジメチルシロキサン単位を有する化合物を少量添加することにより、耐擦傷性が改善された硬化膜を与えることができる。
これらの成分について以下説明する。
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされた、シリカを主成分とする数平均粒子径が30nm以上200nm以下の粒子(Aa)
本発明で用いる成分(A)は、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理された、数平均粒子径が30nm以上200nm以下のシリカ粒子(Aa)、即ち、表面に重合性不飽和基を有するシリカ粒子(以下、「反応性粒子」又は「反応性粒子(Aab)」という)である。このような反応性粒子(Aab)を含有させることにより、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物の硬度及び耐擦傷性を向上させることができる。
また、本発明の組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、(A)成分中のシリカ粒子(Aa)の割合が15質量%以上であることが必要であり、18質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。シリカ粒子(Aa)の割合が15質量%未満であると、硬化物としたときに高硬度のものを得られないおそれがある。尚、シリカ粒子(Aa)の添加量の上限は、通常75質量%程度であり、65質量%とすることが好ましく、60質量%とすることがより好ましい。75質量%を超えると、成膜性が不十分となるおそれがある。
(Aa)シリカ粒子
本発明で用いるシリカ粒子としては、公知のものを使用することができる。また、その形状は、球状でも不定形のものでもよく、通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。
また、動的光散乱法で求めたシリカ粒子の数平均粒子径は30nm以上であり、30〜200nmであることがさらに好ましく、40〜80nmであることが特に好ましい。シリカ粒子の数平均粒子径が30nm未満であると、硬化膜の硬度が低下するおそれがある。
シリカ粒子としては、固形分が10〜40質量%、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。
また、シリカ粒子の分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカ粒子(Aa)の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製MEK−ST−L、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL等を挙げることができる。
(Ab)重合性不飽和基を有する有機化合物
本発明で用いる成分(A)は反応性シリカ粒子(Aab)である。反応性粒子(Aab)は、シリカ粒子(Aa)を、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)(以下、「有機化合物(Ab)」という)で表面処理することによって得られる。反応性粒子(Aab)の製造に用いられる有機化合物(Ab)は、重合性不飽和基、好ましくはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、さらに、下記一般式(11)に示す基を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
Figure 2008239671
[一般式(11)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
[1]エチレン性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれるエチレン性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基を好適例として挙げることができる。
このエチレン性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
[2]前記式(11)に示す基
有機化合物に含まれる前記式(11)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(11)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や高屈折率層等の隣接層との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
[3]シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Hb)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。このようなシラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、シリカ粒子と結合する構成単位である。
[4]好ましい態様
有機化合物(Hb)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(12)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2008239671
式(12)中、R21、R22は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
[(R21O)22 3−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
23は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
24は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
25は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
式(12)で示される化合物の具体例として、下記式(13)又は下記式(14)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008239671
[式(13)及び(14)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。「Me」は、メチル基を示す。]
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。典型的には、式(13)で示される化合物と式(14)で示される化合物の混合物が得られる。
(Aab)反応性粒子
有機化合物(Ab)をシリカ粒子(Aa)と混合し、加水分解させ、両者を結合させる。得られる反応性粒子(Aab)中の有機重合体成分、即ち加水分解性シランの加水分解物及び縮合物の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱質量分析により求めることができる。
シリカ粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子(Aab)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。シリカ粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子(Aab)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(Aab)製造時の原料中のシリカ粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。反応性粒子(Aab)を構成するシリカ粒子(Aa)の含有量は、反応性粒子(Aab)の65〜95質量%であることが好ましい。
本発明の組成物中における、成分(A)、即ち、反応性シリカ粒子(A)の配合(含有)量は、組成物中の固形分全量を100質量%としたときに、15.5〜85質量%が好ましく、18〜80質量%がより好ましい。成分(A)を15.5〜85質量%の範囲内で含有させることにより、組成物を硬化して得られる硬化物の耐擦傷性を向上させることができる。尚、成分(A)の量は、固形分を意味し、成分(A)が分散液の形態で用いられるときは、その配合量には分散媒の量を含まない。
(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、多官能(メタ)アクリレート化合物という)は、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の硬度及び耐擦傷性を高めるために用いられる。
成分(B)としては、分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。(メタ)アクリロイル基が3個以上の化合物としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を例示することができる。
これらの多官能性モノマーの市販品としては、例えば、SA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、TPA−320、TPA−330、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬(株)製)、ASF−400(以上、新日鐵化学(株)製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子(株)製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらのうち、分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)が特に好ましい。尚、本発明の組成物には、分子内に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることがさらに好ましい。かかる4個以上の化合物としては、上記に例示されたテトラ(メタ)アクリレート化合物、ペンタ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサ(メタ)アクリレート化合物等の中から選択することができ、これらのうちジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールヒドロキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが特に好ましい。上記の化合物は、各々1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これら多官能(メタ)アクリレート化合物はフッ素原子を含んでいてもよい。このような化合物の例として、パーフルオロ―1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタン―1,6−ジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタンジオールと2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートとの付加物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(B)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、本発明の組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、通常5〜70質量%である。この理由は、添加量が5質量%未満となると、硬化性組成物を硬化させてなる硬化物の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、添加量が70質量%を超えると、硬化性組成物の硬化物の硬度が低下するおそれがある。
また、このような理由から、(B)成分の添加量を10〜60質量%とするのがより好ましく、20〜50質量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(C)有機溶剤
本発明の組成物は、有機溶剤を含有し、かつ、有機溶剤全量を100質量%としたときに、メチルエチルケトン(MEK)の割合が50質量%未満であり、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。メチルエチルケトンの割合が50質量%以上になると、塗膜の硬度が低下する。メチルエチルケトンの割合の下限は、特に限定されず、0質量%であってもよい。
尚、メチルエチルケトンは、一般に、前記成分(A)の反応性粒子(Aab)の有機溶剤分散液の分散媒として本発明の組成物に持ち込まれる。
メチルエチルケトン以外の有機溶剤の具体例としては、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族類等から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。これらの内、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましく、より好ましくはメチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、t-ブタノールの一種単独又は二種以上との組み合わせが挙げられる。
メチルエチルケトンを含む(C)有機溶剤の合計の添加量については特に制限されるものではないが、固形分100質量部に対し、100〜100,000質量部とするのが好ましい。この理由は、添加量が100質量部未満となると、硬化性組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、添加量が100,000質量部を超えると、硬化性組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
(D)放射線重合開始剤
本発明で用いる放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
上記化合物のうち、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が好ましく、特にこれら2種の併用が好ましい。上記2種を併用する場合の、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンの配合量は、組成物中の固形分全量を100質量%としたときに、0.1〜3.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜2.7質量%の範囲内であることがより好ましく、0.9質量%程度が特に好ましい。3.0質量%を超えると、イエロー・インデックス(YI)が悪化するおそれがある。
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製ルシリン TPO、8893UCB社製ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
本発明において必要に応じて用いられる放射線(光)重合開始剤(D)の含有量は、組成物中の固形分全量を100質量%としたときに、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、20質量%を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて放射線(光)重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
(E)重合性不飽和基を有する有機化合物(Eb)によって表面処理されていてもよい、シリカを主成分とする数平均粒子径が1nm以上30nm未満の粒子(Ea)
本発明の組成物には、前記成分(A)の表面処理されたシリカ粒子の他に、成分(E)の粒子を配合してもよい。
(1)シリカを主成分とする数平均粒子径が1nm以上30nm未満の粒子(Ea)
本発明の組成物には、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされた、シリカを主成分とする数平均粒子径が30nm以上の粒子(Aa)である反応性粒子(Aab)が必須であるが、さらに、シリカを主成分とする数平均粒子径が1nm以上30nm未満の粒子(Ea)及び/又は重合性不飽和基を有する有機化合物(Eb)によって表面処理がなされた、シリカを主成分とする数平均粒子径が1nm以上30nm未満の粒子(Ea)である反応性粒子(Eab)を配合してもよい。数平均粒子径が1nm以上30nm未満のシリカを主成分とする粒子(E)を配合することにより、本発明の組成物を硬化させてなる硬化物の耐擦傷性、特にスチールウール耐性を改善することができる。
シリカを主成分とする粒子(Ea)としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も、球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。しかし、組成物の屈折率を低減させる観点から中空粒子や多孔質粒子が好ましく、成分(A)及び(E)のいずれか一方又は両方が中空粒子であることが特に好ましい。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。固形分が10〜40質量%のコロイダルシリカが好ましい。好ましい分散媒、市販品については、成分(A)で説明したとおりである。
また、コロイダルシリカ表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1―トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1―トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N―(2−アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)―3アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
シリカを主成分とする粒子(Ea)は、重合性不飽和基を有する有機化合物(Eb)によって表面処理がなされたものであってもよい。かかる表面処理により、UV硬化系アクリルモノマーと共架橋化することができ、耐擦傷性が向上する。重合性不飽和基を有する有機化合物(Eb)としては、前記重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)が好ましい。
(E)成分の配合量は、組成物中の固形分全量を100質量%としたときに、5〜50質量%配合することが好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
尚、(E)成分の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
(F)反応性官能基及びジメチルシロキサン単位を有する化合物
本発明の組成物には、反応性官能基及びジメチルシロキサン単位を有する化合物(以下、成分(F)という)を配合することが好ましい。成分(F)を配合することにより、得られる硬化膜の耐擦傷性(耐スチールウール性)が改善される。成分(F)を配合した本発明の組成物から得られる硬化膜は耐擦傷性に優れているため、特に耐擦傷性を必要とする最表面層としての用途に用いることができる。
本発明で用いる成分(F)の数平均分子量は、100〜100,000の範囲のものが好ましく、100〜3,000の範囲のものがより好ましく、1,200〜2,000の範囲のものがさらに好ましい。
本発明で用いる成分(F)は、その分子中に重合性官能基を有するものである。重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。1分子中の重合性官能基の数は、特に制限されないが、1〜6個程度であることが好ましい。
成分(F)の例としては、例えば、アクリル酸2−(3−{2−[3−(3−ブチル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサニル)−プロポキシ]−エトキシカルボニルアミノ}−4−メチル−ベンジルカルバモイルオキシ)−エチルエステル(後記する製造例4で得られる化合物)等が挙げられ、特に好ましい。
本発明で用いる成分(F)は市販品を用いてもよく、市販品の例としては、例えば、FM0411、FM0711、FM0721、FM0725、FM7711、FM7721、FM7725(以上、チッソ(株)製);Rad2600(TEGO社製)等が挙げられる。
また、上記市販品を化学修飾したものを用いることもできる。化学修飾としては、例えば、上記市販品と、水酸基を有するシリコーン化合物、イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;水酸基を有するシリコーン化合物及びイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いで水酸基を有するシリコーン化合物を反応させる方法等が挙げられる。
(F)成分の配合量は、組成物中の固形分全量を100質量%としたときに、0.0005〜0.05質量%の範囲内であることが好ましく、0.001〜0.01質量%の範囲内であることがさらに好ましい。(F)成分の配合量が0.0005質量%未満では、(F)成分の添加効果が得られないおそれがあり、0.05質量%を超えると、硬度の低下のおそれがある。
(G)添加剤
本発明の組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、シリカ粒子以外の無機粒子、光増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
特に無機粒子は塗膜強度を改善するために有効であり、添加する場合は数平均粒子径1〜100nmの範囲であることが好ましく、球形、数珠状、不定形粒子を用いることができ、かつ内部構造に空隙を有する多孔質、中空粒子も用いることができる。用いることができる無機粒子としては、無機酸化物又はフッ化物が好ましく、例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア、フッ化マグネシウム等が挙げられる。また、これらの無機粒子の表面は任意の有機基で表面変性されていてもよく、(メタ)アクリル基で変性することにより、硬化性組成物との相溶性が向上し、かつ硬化時に他の硬化性組成物と共架橋することが可能となり、硬化膜の耐擦傷性を改良することが可能である。
熱重合開始剤は、熱により活性種を発生する化合物であり、活性種としてラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
本発明の組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコ−ト、フローコ−ト、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
本発明の組成物は、(C)有機溶剤を含有し、塗膜の厚さを調節するために、有機溶剤の添加量を調整することにより、組成物の粘度を調節することができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
本発明の組成物は、熱及び/又は放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の硬化物は、前記硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cm2であり、より好ましくは、0.1〜2J/cm2である。また、好ましい電子線の照射条件は、加速電圧は10〜300kV、電子密度は0.02〜0.30mA/cm2であり、電子線照射量は1〜10Mradである。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。「部」及び「%」は、特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」を意味する。また、本発明において「固形分」とは、組成物から溶剤等の揮発成分を除いた部分を意味し、具体的には、組成物を所定温度のホットプレート上で1時間乾燥して得られる残渣物(不揮発成分)を意味する。
(製造例1)
重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン23.0部、ジブチルスズジラウレート0.5部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート60.0部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)202.0部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで特定有機化合物(S1)を得た。
生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550cm−1の吸収ピーク及びイソシアネート基に特徴的な2260cm−1の吸収ピークが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660cm−1のピーク及びアクリロイル基に特徴的な1720cm−1のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有する特定有機化合物が生成していることを示した。
(製造例2)
反応性シリカ粒子((Aab)成分)の製造
製造例1で製造した組成物9.36部(重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を7.28部含む)、シリカ粒子分散液(Aa)(シリカ濃度31%、日産化学製MEKゾル)98.07部、イオン交換水0.13部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.45部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子の分散液を得た。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35.7%であった。また、分散液を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、77.7%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、40nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(製造例3)
反応性粒子((Eab)成分)の製造
製造例1で製造した組成物9.36部(重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を7.28部含む)、シリカ粒子分散液(Aa)(シリカ濃度31%、新中村化学製MEKゾル)89.69部、イオン交換水0.12部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.36部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子の分散液を得た。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、36.6%であった。また、分散液を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、77.7%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、10nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(実施例1)
製造例2で製造した反応性粒子(Aab)109.36部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.06部、Irg184 0.9部、メチルイソブチルケトン60.0部をフラスコに入れ室温で30分間攪拌し均一な混合液を得た。この混合液を、真空エバポレーターを用いて80hPaの減圧度で質量が100.0部になるまで減圧濃縮し、実施例1に示す組成物を得た。
(実施例2〜4、比較例1〜3)
下記表1に示す組成とした他は、実施例1と同様にして各硬化性組成物を得た。
<硬化膜の製造>
実施例1〜4及び比較例1〜3で製造した各組成物をTAC基材上に30ミルのバーコーターを用いて塗工し、膜厚が12μmの塗膜を得た。これを80℃のオーブンに1分間入れ、乾燥を行った。この後フィルムを、空気中で高圧水銀灯を用いて50mJ/cmの照射スピードで4回高圧水銀ランプコンベアに通し合計200mJ/cmを照射して硬化を行った。
<硬化膜の特性評価>
得られた各硬化膜について、鉛筆硬度の評価を行った。
評価方法は、JIS K5600−5−4に準拠し、ガラス基板上で硬化させた被膜を評価した。評価は、3Hと4Hの硬度でそれぞれ5回実施し、3回以上合格となった場合を「良好」、それ以外を「不可」と表示した。
Figure 2008239671
表1中の商品名は次のものを表す。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
Irg 184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
表1の結果から、特定の粒径の粒子を特定量配合することで、高い硬度を有する硬化膜が得られることがわかる。
(製造例4)
FM0411−TDI+HEAの製造
攪拌機を備えた反応容器に2,4-トリレンジイソシアネート16.6部、ジブチルスズジラウレート0.08部及び2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.02部を仕込み、15℃以下に冷却した。攪拌しながら温度が30℃以下に保たれるようにヒドロキシエチルアクリレート8.7部を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、水酸基当量1,000のα-[3-(2’-ヒドロキシエトキシ)プロピル]−ω-トリメチルシリルオキシポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製サイラプレーンFM-0411)74.7部を添加し20〜55℃で攪拌した。残留イソシアネート量が0.1質量%以下になったときを反応終了とした。得られたポリジメチルシロキサン化合物の数平均分子量(東ソー製 AS-8020を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる、ポリスチレン換算数平均分子量)は1400であった。
(製造例5)
FM0411−PTの製造
攪拌機を備えた反応容器に2,4-トリレンジイソシアネート10.4部、ジブチルスズジラウレート0.08部及び2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.02部を仕込み、15℃以下に冷却した。攪拌しながら温度が30℃以下に保たれるように、これに新中村化学製NKエステルA-TMM-3LM-N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)37.5部を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、水酸基当量1,000のα-[3-(2’-ヒドロキシエトキシ)プロピル]-ω-トリメチルシリルオキシポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製サイラプレーンFM0411)を52.1部添加し20〜55℃で攪拌した。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。得られた生成物の数平均分子量(東ソー製 AS-8020を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる、ポリスチレン換算数平均分子量)を測定したところ、分子量は1600の片末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物の他に、生成物の20質量%のトリレンジイソシアネート1分子とペンタエリスリトールトリアクリレート2分子が反応した化合物が認められた。
(製造例6)
FM4411−PTの製造
攪拌機を備えた反応容器に2,4-トリレンジイソシアナート14.3部、ジブチルスズジラウレート0.08部及び2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.02部を仕込み、15℃以下に冷却した。攪拌しながら温度が30℃以下に保たれるようにヒドロキシエチルアクリレート10.5部を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、水酸基当量1,000のα-[3-(2’-ヒドロキシエトキシ)プロピル]ポリジメチルシロキサン(チッソ(株)製サイラプレーンFM4411)37.3を添加し20〜55℃で攪拌した。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。得られた生成物の数平均分子量東ソー製 AS-8020を用い、ゲルパーミエッションクロマトグラフィーによる、ポリスチレン換算数平均分子量)を測定したところ、分子量は1900の量末端反応性ポリジメチルシロキサン化合物の他に、生成物の20質量%のトリレンジイソシアネート1モルとヒドロキシエチルアクリレート2モルの結合物が認められた。
(実施例5〜22)
下記表2及び3に示す組成とした他は、実施例1と同様にして各硬化性組成物を得た。
各硬化性組成物を硬化させて得られた硬化膜について、鉛筆硬度及び耐擦傷性(耐スチールウール性)の評価を行った。得られた結果を表2及び3に示す。
[鉛筆硬度]
鉛筆硬度の評価方法は、前記した通りである。
[耐擦傷性(耐スチールウール性)]
スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取り付け、硬化膜の表面を荷重1.5kg荷重の条件で30回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。
A:硬化膜に傷が発生しない
B:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められないか、あるいは硬化膜にわずかな細い傷が認められる。
C:硬化膜全面に細く、浅い傷が認められる。
D:硬化膜全面に筋状の傷が認められる。
E:硬化膜の剥離が生じる。
尚、「BC」は、上記評価基準のBとCの中間の評価を意味する。
Figure 2008239671
Figure 2008239671
表2及び3中の略号は下記のものを示す。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
Irg907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
FM0411−TDI+HEA:アクリル酸2−(3−{2−[3−(3−ブチル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサニル)−プロポキシ]−エトキシカルボニルアミノ}−4−メチル−ベンジルカルバモイルオキシ)−エチルエステル;製造例4で製造、分子量1,500、重合性官能基の数:1
FM041−PT:製造例5、分子量1,500、重合性官能基の数:3
FM0711:α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、チッソ(株)製、分子量1,000、重合性官能基の数:1
FM0721:α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、チッソ(株)製、分子量5,000、重合性官能基の数:1
FM0725:α-ブチル-ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、チッソ(株)製、分子量10,000、重合性官能基の数:1
FM7711:α,ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、チッソ(株)製、分子量1,000、重合性官能基の数:2
FM7721:α,ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、チッソ(株)製、分子量5,000、重合性官能基の数:2
FM7725:α,ω-(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、チッソ(株)製、分子量10,000、重合性官能基の数:2
Rad2600:TEGO社製、重合性官能基の数:1
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
表2及び3の結果から、各種の成分(F)を添加することによって、耐擦傷性が改善されることがわかる。
表3の結果から、成分(D)の光重合開始剤として、Irg184単独よりも、これとIrg907とを併用した方が耐擦傷性が向上することがわかる。
本発明の硬化物は、高硬度及び耐擦傷性を有するので、CD、DVD、MO等の記録用ディスク、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材、又は、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜等として特に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 下記成分(A)〜(C):
    (A)重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされた、シリカを主成分とする数平均粒子径が30nm以上200nm以下の粒子(Aa)
    (B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつジメチルシロキサン単位を有しない化合物
    (C)有機溶剤
    を含有する硬化性組成物であって、
    該組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、前記(A)成分中のシリカ粒子(Aa)の割合が15質量%以上であり、かつ
    前記(C)成分中のメチルエチルケトン(MEK)の割合が50質量%未満である硬化性組成物。
  2. 前記重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記重合性不飽和基を有する化合物(Ab)が、さらに下記式(11)
    Figure 2008239671
    [一般式(11)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]で示される基を有する請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. さらに、(D)放射線重合開始剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. さらに、(E)重合性不飽和基を有する有機化合物(Eb)によって表面処理されていてもよい、シリカを主成分とする数平均粒子径が1nm以上30nm未満の粒子(Ea)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. さらに、(F)重合性官能基及びジメチルシロキサン単位を有する化合物を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記成分(F)が、さらにウレタン骨格を有し、かつ数平均分子量が1,200〜2,000の範囲内である請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 前記成分(F)の配合量が、組成物中の全固形分量を100質量%としたときに、0.001〜0.01質量%の範囲内である請求項6又は7に記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
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JP2021130749A (ja) * 2020-02-18 2021-09-09 信越化学工業株式会社 片末端重合性ポリオルガノシロキサン及びその製造方法

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