JP2009274324A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】同じ膜厚のハードコート層で、より高い硬度及び耐擦傷性(特に、鉛筆硬度)が得られる層構成を有する積層体を提供する。
【解決手段】基材上に、異なる含有量で金属酸化物粒子を含有する硬化性組成物を硬化させてなる互いに接して積層された2層の硬化膜層を有し、
該硬化膜層のうちの基材に近い層が、1〜50重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子を含有する第1の硬化膜層であり、該第1の硬化膜層に接して積層される層が、10〜85重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子を含有する第2の硬化膜層であり、
該第2の硬化膜層の粒子含有量は該第1の硬化膜層の粒子含有量より多く、該第2の硬化膜層の膜厚と該第1の硬化膜層の膜厚との比が、70:30〜10:90の範囲内であり、該第2の硬化膜層の膜厚が0.5〜10μmの範囲内であることを特徴とする積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、特に2層のハードコート層を有する積層体に関する。
近年、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等の各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コ−ティング材及び反射防止膜用コート材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、表面滑り性、低カール性、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、硬化性組成物として優れた塗工性を有し、硬化膜とした場合に、高硬度及び耐擦傷性、あるいは、さらに表面滑り性にも優れるという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。表面滑り性を付与する方法として、例えば、特許文献1には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル重合体のアクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、光重合開始剤、無機粒子及び末端反応性ポリジメチルシロキサンからなる光硬性樹脂組成物を、光硬化型のコ−ティング材料として用いることが提案されている。しかし、このような組成物を用いた硬化物は、表面滑り性に一定の改良が認められるものの、硬度及び耐擦傷性については必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
また、反射防止膜等の光学部品におけるハードコート層による積層体の耐擦傷性を改善するために、これを形成するための硬化性組成物や、層構成が種々検討されてきた(例えば、特許文献2等)。このようなハードコート層形成用硬化性組成物を硬化させて得られる硬化膜に必要とされる硬度を持たせるためには、これまでは通常12〜20μmの膜厚を必要としていた。
特開平11−124514号公報 特開2006−58574号公報
ハードコート層の膜厚を薄くできれば、硬化時に生じる硬化収縮を抑制することができ、反射防止膜等の製造工程における巻き取り工程での取り扱いが容易となり、また、巻き取りによって生じるクラック等の傷を減らすことができるため、製造効率を高めることができるという利点がある。
そこで、本発明は、同じ膜厚のハードコート層で、より高い硬度及び耐擦傷性(特に、鉛筆硬度)が得られる層構成を有する積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するため、鋭意研究した結果、従来は、4Hの鉛筆硬度を得るためには12μm程度の膜厚を必要とする金属酸化物粒子を含有する硬化性組成物であっても、金属酸化物粒子含量の異なる2種類の硬化性組成物からなる2層の硬化膜層を形成することにより、各硬化性組成物を硬化させた膜と同等の膜厚であっても、より高い鉛筆硬度を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の積層体が提供される。
1.基材上に、異なる含有量で金属酸化物粒子を含有する硬化性組成物を硬化させてなる互いに接して積層された2層の硬化膜層を有し、
該硬化膜層のうちの基材に近い層が、1〜50重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子を含有する第1の硬化膜層であり、該第1の硬化膜層に接して積層される層が、10〜85重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子を含有する第2の硬化膜層であり、
該第2の硬化膜層の粒子含有量は該第1の硬化膜層の粒子含有量より多く、該第2の硬化膜層の膜厚と該第1の硬化膜層の膜厚との比が、70:30〜10:90の範囲内であり、該第2の硬化膜層の膜厚が0.5〜10μmの範囲内であることを特徴とする積層体。
2.前記第2の硬化膜層の金属酸化物粒子含有量が50〜80重量%の範囲内であることを特徴とする上記1に記載の積層体。
3.前記第2の硬化膜層の膜厚と前記第1の硬化膜層の膜厚との比が、60:40〜15:85の範囲内であることを特徴とする上記1又は2に記載の積層体。
4.前記硬化性組成物が、下記成分(A)〜(C):
(A)金属酸化物粒子
(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(C)有機溶剤
を含有することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の積層体。
5.前記(A)金属酸化物粒子の数平均粒子径が1〜200nmの範囲内であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記(A)金属酸化物粒子が、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされていることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の積層体。
7.前記(A)金属酸化物粒子が、シリカを主成分とする粒子であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の積層体。
8.前記重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることを特徴とする上記6又は7に記載の積層体。
9.前記重合性不飽和基を有する化合物(Ab)が、さらに下記式(11)
Figure 2009274324
[一般式(11)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]で示される基を有する上記6〜8のいずれかに記載の積層体。
10.前記硬化性組成物がさらに、(D)放射線重合開始剤を含有することを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、各種基材の表面に、膜厚を薄くしても、優れた耐擦傷性と高い硬度を与える硬化膜層を有する積層体を提供することができる。
本発明によれば、硬化時に生じる硬化収縮が抑制された硬化膜層を有し、反射防止膜等の製造工程における巻き取り工程での取り扱いが容易となり、また、巻き取りによって生じるクラック等の傷の発生が低減された積層体を提供することができる。
I.先ず、本発明の積層体の構成について、図面を参照しながら説明する。
本発明の積層体は、少なくとも、基材10、第1の硬化膜層14及び第2の硬化膜層16を有する。本発明の積層体において、第1の硬化膜層14は基材10に近い側に位置し、第2の硬化膜層16は基材10から遠い側に位置する必要がある。
第1の硬化膜層14及び第2の硬化膜層16がこれに接して積層されて設けられている必要があるが、基材10と第1の硬化膜層14との間、及び第2の硬化膜層16の外側に、積層体の使用目的に応じて各種の層を設けることができる。例えば、積層体が反射防止膜である場合、基材10と第1の硬化膜層14との間には、例えば、帯電防止層等を設けてもよい。第2の硬化膜層16の外側には、例えば、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層等を設けてもよい。なお、第1の硬化膜層14及び第2の硬化膜層16は、各層を別々の工程で形成してもよいし、1の塗布工程で層内の粒子濃度に勾配を持たせて形成してもよい。
第1の硬化膜層14及び第2の硬化膜層16は、金属酸化物粒子20を異なる含有量で含有する硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層である。
第2の硬化膜層16は、10〜85重量%の範囲内、好ましくは40〜75重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子20を含有する。金属酸化物粒子の含有量が10重量%未満であると、膜表面に十分な硬度を与えることができないため鉛筆硬度が悪化するおそれがあり、85重量%を超えると膜表面の粒子の破壊により鉛筆硬度が低下するおそれがある。
第1の硬化膜層14は、1〜50重量%の範囲内、好ましくは10〜45重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子20を含有している。金属酸化物粒子の含有量が1重量%未満であると、ハードコートが変形しやすくなるため鉛筆硬度が悪化するおそれがあり、50重量%を超えると、ハードコートにより基材が折れ曲がり、鉛筆硬度が悪化するおそれがある。
但し、第2の硬化膜層16の金属酸化物粒子の含有量は、第1の硬化膜層14の金属酸化物粒子の含有量より多い必要がある。これは、表面に近い層により多くの金属酸化物を含有することで、硬く変形の少ない層で受けた圧力を、硬度が低い層が分散又は緩和することで硬度が得られるものと考えられる。
第2の硬化膜層16と第1の硬化膜層14との膜厚の比(T:T)は、70:30〜10:90の範囲内であり、60:40〜10:90の範囲内であることが好ましく、40:60〜15:85の範囲内であることがより好ましい。第2の硬化膜層16と第1の硬化膜層14との膜厚比(T:T)が70:30〜10:90の範囲外になると、鉛筆硬度が悪化するおそれがある。
また、2つの硬化膜層のうち、第2の硬化膜層の膜厚(T)は、0.5〜10μmの範囲内である。該膜厚が上記範囲を外れると、十分な硬度が得られない。それは、Tが0.5μmより薄いと、第2の硬化膜層を設置した効果が十分に発現せず、Tが10μmより厚いと、第2の硬化膜層の影響が大きくなり、第2の硬化膜層と第1の硬化膜層の2層を形成したことによる効果が低くなるからと考えられる。
2つの硬化膜層の合計の膜厚(T+T)は、1〜30μmの範囲内であることが好ましく、2〜25μmの範囲内であることがより好ましく、3〜20μmの範囲内であることがさらに好ましい。合計の膜厚が1μm未満では、十分な硬度が得られないおそれがある。また、合計の膜厚が30μmを超えていては、巻き取りの際にクラック等の傷が生じるおそれがある。
第2の硬化膜層形成用硬化性組成物又は第1の硬化膜層形成用硬化性組成物を硬化させてなるそれぞれ1層のみからなる硬化膜層の場合には、十分な鉛筆硬度は得られないが、第2の硬化膜層16及び第1の硬化膜層14の2層を上記所定の膜厚で形成した場合には、高い鉛筆硬度が得られる。
本発明で用いる第2の硬化膜層形成用硬化性組成物と第1の硬化膜層形成用硬化性組成物の構成成分は、金属酸化物粒子の含有量のみが異なるものであってもよいし、金属酸化物粒子の種類及びバインダーモノマー等の種類及び配合量が異なるものであってもよい。
II.次に、本発明の積層体の2層の硬化膜層を形成するための硬化性組成物について以下説明する。本発明においては、下記組成を有する硬化性組成物を用いることが好ましいが、下記硬化性組成物に限定されるものではない。
1.硬化性組成物
硬化性組成物は、下記の成分(A)〜(E)を含み得る。これらの成分のうち、(A)〜(C)は必須成分であり、(D)〜(E)は必要に応じて添加することのできる任意成分である。
(A)金属酸化物粒子
(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(C)有機溶剤
(D)重合開始剤
(E)その他の添加剤
これらの成分について以下説明する。
(A)金属酸化物粒子
金属酸化物粒子は、数平均粒子径が1〜200nmの範囲内であることが好ましく、30〜100nmの範囲内であることがより好ましい。数平均粒子径が1nm未満であると、硬化膜の硬度が低下するおそれがあり、200nmを超えるとヘイズが増加するおそれがある。ここで、金属酸化物粒子の数平均粒子径は透過型電子顕微鏡で測定した粒子100個の粒子径の平均値である。
本発明で用いる硬化性組成物には、数平均粒子径の異なる複数種の金属酸化物粒子を使用することも好ましい。この場合、数平均粒子径が30nm以上の粒子と、1nm以上30nm未満の粒子を配合することが好ましい。数平均粒子径が1nm以上30nm未満の金属酸化物粒子を配合することにより、得られる硬化膜の耐擦傷性、特にスチールウール耐性がより改善される。
粒子を構成する金属酸化物としては、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミナ、錫、インジウム等の金属の酸化物が挙げられ、屈折率等の特性に応じて適宜選択できる。
(A)金属酸化物粒子は、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされていることが好ましい。重合性不飽和基を有する有機化合物によって表面変性がなされた、金属酸化物粒子を使用することにより、より高い硬度を有する硬化膜を得ることができる。
本発明においては、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされた、金属酸化物粒子(Aa)を用いることが好ましい。
硬化性組成物に用いる成分(A)は、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理された、数平均粒子径が1〜200nmの金属酸化物粒子(Aa)、即ち、表面に重合性不飽和基を有する粒子(以下、「反応性粒子」又は「反応性粒子(Aab)」という)であることが好ましい。このような反応性粒子(Aab)を含有させることにより、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化膜の硬度及び耐擦傷性を向上させることができる。
(Aa)金属酸化物粒子
本発明で用いる金属酸化物粒子としては、公知のものを使用することができる。また、その形状は、球状でも不定形のものでもよく、例えばシリカ粒子の場合、通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。
また、透過型電子顕微鏡法で求めた金属酸化物粒子の数平均粒子径は30〜200nmであることがさらに好ましく、40〜80nmであることが特に好ましい。金属酸化物粒子の数平均粒子径が30nm未満であると、硬化膜の硬度が低下するおそれがある。
シリカ粒子を使用する場合、固形分が10〜40重量%、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。
また、金属酸化物粒子の分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカ粒子(Aa)の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製MEK−ST−L、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL等を挙げることができる。
(Ab)重合性不飽和基を有する有機化合物
反応性粒子(Aab)の製造に用いられる有機化合物(Ab)は、重合性不飽和基、好ましくはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、さらに、下記一般式(11)に示す基を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
Figure 2009274324
[一般式(11)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
[1]エチレン性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれるエチレン性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基を好適例として挙げることができる。
このエチレン性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
[2]前記式(11)に示す基
有機化合物に含まれる前記式(11)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(11)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や高屈折率層等の隣接層との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
[3]シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Hb)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。このようなシラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、シリカ粒子と結合する構成単位である。
[4]好ましい態様
有機化合物(Hb)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(12)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2009274324
式(12)中、R21、R22は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
[(R21O)22 3−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
23は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
24は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
25は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基である。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
式(12)で示される化合物の具体例として、下記式(13)又は下記式(14)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009274324
[式(13)及び(14)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。「Me」は、メチル基を示す。]
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。典型的には、式(13)で示される化合物と式(14)で示される化合物の混合物が得られる。
(Aab)反応性粒子
有機化合物(Ab)を金属酸化物粒子(Aa)と混合し、加水分解させ、両者を結合させる。得られる反応性粒子(Aab)中の有機重合体成分、即ち加水分解性シランの加水分解物及び縮合物の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることができる。
金属酸化物粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子(Aab)を100重量%として、好ましくは、0.01重量%以上であり、さらに好ましくは、0.1重量%以上、特に好ましくは、1重量%以上である。金属酸化物粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01重量%未満であると、組成物中における反応性粒子(Aab)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(Aab)製造時の原料中のシリカ粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99重量%であり、さらに好ましくは、10〜98重量%である。反応性粒子(Aab)を構成する金属酸化物粒子(Aa)の含有量は、反応性粒子(Aab)の65〜95重量%であることが好ましい。
本発明の積層体を構成する第2の硬化膜層を形成するための硬化性組成物は、金属酸化物粒子を、硬化性組成物中の有機溶剤を除く固形分全量を100重量%としたときに、10〜85重量%、好ましくは40〜75重量%含有する。
本発明の積層体を構成する第1の硬化膜層を形成するための硬化性組成物は、金属酸化物粒子を、硬化性組成物中の有機溶剤を除く固形分全量を100重量%としたときに、1〜50重量%、好ましくは10〜45重量%含有する。
ここで、硬化性組成物中の成分(A)が反応性粒子(Aab)である場合、硬化膜層中の金属酸化物粒子の含有量には、有機化合物(Ab)の結合量を含まない。
(B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、多官能(メタ)アクリレート化合物という)は、硬化性組成物を硬化して得られる硬化物の硬度及び耐擦傷性を高めるために用いられる。
成分(B)としては、分子内に少なくとも3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。(メタ)アクリロイル基が3個以上の化合物としては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を例示することができる。また、ポリイソシアネート化合物に、水酸基と(メタ)アクリロイルを含有する化合物を反応させたウレタン(メタ)アクリレートを例示することができる。
これらの多官能性モノマーの市販品としては、例えば、SA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、TPA−320、TPA−330、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬(株)製)、ASF−400(以上、新日鐵化学(株)製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子(株)製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
これらのうち、分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)が特に好ましい。尚、本発明の組成物には、分子内に4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることがさらに好ましい。かかる4個以上の化合物としては、上記に例示されたテトラ(メタ)アクリレート化合物、ペンタ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサ(メタ)アクリレート化合物等の中から選択することができ、これらのうちジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが特に好ましい。上記の化合物は、各々1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これら多官能(メタ)アクリレート化合物はフッ素原子を含んでいてもよい。このような化合物の例として、パーフルオロ―1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタン―1,6−ジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタンジオールと2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートとの付加物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(B)成分の配合量については、特に制限されるものではないが、組成物中の(Aa)及び(C)溶剤を除いた成分全量を100重量%としたときに、上記(Ab)及び(B)成分の合計量が70〜99.99重量%となるように配合することが好ましく、80〜99.9重量%がさらに好ましい。
(C)有機溶剤
本発明で用いる硬化性組成物は、有機溶剤を含有し、かつ、有機溶剤全量を100重量%としたときに、メチルイソブチルケトン(MIBK)の割合が50重量%以上であることが好ましく、50〜100重量%であることがより好ましく、65〜90重量%であることがさらに好ましい。メチルイソブチルケトンの割合を50重量%以上とすることにより、塗膜の硬度をより高めることができる。
メチルイソブチルケトン以外の有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族類等から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。これらの内、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましく、より好ましくはメチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、t-ブタノールの一種単独又は二種以上の組み合わせである。
メチルイソブチルケトンを含む(C)有機溶剤の合計の配合量については特に制限されるものではないが、固形分100重量部に対し、100〜100,000重量部とするのが好ましい。この理由は、配合量が100重量部未満となると、硬化性組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、配合量が100,000重量部を超えると、硬化性組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
(D)放射線重合開始剤
本発明で用いる放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製ルシリン TPO、8893UCB社製ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
本発明において必要に応じて用いられる放射線(光)重合開始剤(D)の含有量は、組成物中の(Aa)金属酸化物粒子と(C)溶剤を除く成分全量を100重量%としたときに、0.01〜30重量%配合することが好ましく、0.1〜20重量%がさらに好ましい。0.01重量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、30重量%を超えると、硬化物としたときに内部まで硬化しないことがある。更に、同様の理由から(D)成分の配合量の上限は、(C)溶剤を除いた成分全体量の20重量%を超えない配合量とすることが好ましい。
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて放射線(光)重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
(E)添加剤
本発明で用いる硬化性組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、光増感剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、顔料、染料、スリップ剤等の添加剤をさらに含有させることも好ましい。
熱重合開始剤は、熱により活性種を発生する化合物であり、活性種としてラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
本発明で用いる硬化性組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコ−ト、フローコ−ト、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
本発明で用いる硬化性組成物は、(C)有機溶剤を含有し、塗膜の厚さを調節するために、有機溶剤の配合量を調整することにより、組成物の粘度を調節することができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
本発明で用いる硬化性組成物は、熱及び/又は放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の積層体は、前記第1の硬化膜層形成用硬化性組成物及び第2の硬化膜層形成用硬化性組成物をこの順で、順次、種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cm2であり、より好ましくは、0.1〜2J/cm2である。また、好ましい電子線の照射条件は、加速電圧は10〜300kV、電子密度は0.02〜0.30mA/cm2であり、電子線照射量は1〜10Mradである。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。「部」及び「%」は、特に断らない限り、「重量部」及び「重量%」を意味する。また、本発明において「固形分」とは、組成物から溶剤等の揮発成分を除いた部分を意味し、具体的には、組成物を所定温度のホットプレート上で1時間乾燥して得られる残渣物(不揮発成分)を意味する。
(製造例1)
重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン23.0部、ジブチルスズジラウレート0.5部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート60.0部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40重量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)202.0部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで有機化合物(Ab)を得た。
(製造例2)
反応性シリカ粒子((Aab)成分)の製造
製造例1で製造した組成物9.36部(重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)を7.28部含む)、シリカ粒子分散液(Aa)(シリカ濃度31%、日産化学製MEKゾル)98.07部、イオン交換水0.13部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.45部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子の分散液を得た。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35.7%であった。また、分散液を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、77.7%であった。
このシリカ系粒子の平均粒子径は、40nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(製造例3)
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学株式会社製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%との混合物。このうち、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートが反応に関与する。)93部を、10℃で1時間かけて滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、多官能アクリレート(B−1)とした。
(製造例4)
製造例2で製造した反応性粒子(Aab)109.36部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.06部、Irg184 0.9部、メチルイソブチルケトン60.0部をフラスコに入れ室温で30分間攪拌し均一な混合液を得た。この混合液を、真空エバポレーターを用いて80hPaの減圧度で重量が100.0部になるまで減圧濃縮し、金属酸化物粒子含量が60重量%である硬化性組成物(表2中では、「組成物P」と表す)を得た。
(製造例5〜7)
下記表1に示す組成とした他は、製造例3と同様にして金属酸化物粒子含量の異なる各硬化性組成物(表2中では、「組成物Q」〜「組成物S」と表す)を得た。
Figure 2009274324
表1中の商品名は次のものを表す。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
Irg 184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
実施例1
製造例5で製造した硬化性組成物(金属酸化物粒子含量39重量%)をTAC基材上に10ミルのバーコーターを用いて塗工し、膜厚が5μmの塗膜を得た。これを80℃のオーブンに1分間入れ、乾燥を行った。この後フィルムを、窒素雰囲気中で高圧水銀灯を用いて100mJ/cmの照射スピードで3回高圧水銀ランプコンベアに通し合計300mJ/cmを照射して硬化を行った。次いで、得られた硬化膜上に、製造例6で製造した硬化性組成物(金属酸化物粒子含量73重量%)を同様に塗工し、膜厚が1μmの塗膜を得た。これを80℃のオーブンに1分間入れ、乾燥を行った。この後フィルムを、窒素雰囲気中で高圧水銀灯を用いて100mJ/cmの照射スピードで3回高圧水銀ランプコンベアに通し合計300mJ/cmを照射して硬化を行った。これにより、合計膜厚が6μmの2層の硬化膜層を有する積層体を得た。
実施例2〜5及び比較例1〜8
上層及び下層に使用した組成物、各膜厚を表2および表3のように変えた以外は実施例1と同様にして2層の硬化膜層を有する積層体を得た。
<積層体の特性評価>
上記実施例及び比較例で得られた各積層体について、鉛筆硬度の評価を行った。
上記実施例及び比較例で製造した硬化フィルムをガラス板上に両端をセロハンテープで貼り付け、このフィルムを鉛筆硬度試験機で300g荷重の条件で硬度5Hの鉛筆を用いて5回試験を行った。鉛筆硬度の傷を計数し、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
AA: 傷0本
A : 傷1本
B : 傷2本〜傷3本
C : 傷4本〜傷5本














































Figure 2009274324
Figure 2009274324
表2及び、表3の結果から、金属酸化物粒子含量の異なる2層の硬化膜層を特定の比率で形成することにより、各組成物から得られる同膜厚の硬化膜より高い鉛筆硬度が得られることがわかる。
本発明の積層体は、高硬度及び耐擦傷性を有するので、CD、DVD、MO等の記録用ディスク、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材、又は、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜等として特に好適に用いることができる。
また、本発明の積層体は、従来のものと同レベルの硬度を保持しつつ膜厚を低減することができるので、硬化収縮が小さく、積層体の巻き取り工程におけるクラック等の発生を抑制することができ、製造効率を高めることができる。
図1は、本発明の積層体の基本的な構造を示す模式図である。
符号の説明
1 積層体
10 基材
14 第1の硬化膜層
16 第2の硬化膜層
20 金属酸化物粒子
第2の硬化膜層の膜厚
第1の硬化膜層の膜厚

Claims (9)

  1. 基材上に、異なる含有量で金属酸化物粒子を含有する硬化性組成物を硬化させてなる互いに接して積層された2層の硬化膜層を有し、
    該硬化膜層のうちの基材に近い層が、1〜50重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子を含有する第1の硬化膜層であり、該第1の硬化膜層に接して積層される層が、10〜85重量%の範囲内の含有量で金属酸化物粒子を含有する第2の硬化膜層であり、
    該第2の硬化膜層の粒子含有量は該第1の硬化膜層の粒子含有量より多く、該第2の硬化膜層の膜厚と該第1の硬化膜層の膜厚との比が、70:30〜10:90の範囲内であり、該第2の硬化膜層の膜厚が0.5〜10μmの範囲内であることを特徴とする積層体。
  2. 前記第2の硬化膜層の膜厚と前記第1の硬化膜層の膜厚との比が、60:40〜10:90の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記硬化性組成物が、下記成分(A)〜(C):
    (A)金属酸化物粒子
    (B)分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物
    (C)有機溶剤
    を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記(A)金属酸化物粒子の数平均粒子径が1〜200nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記(A)金属酸化物粒子が、重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)によって表面処理がなされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記(A)金属酸化物粒子が、シリカを主成分とする粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記重合性不飽和基を有する有機化合物(Ab)が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることを特徴とする請求項6又は7に記載の積層体。
  8. 前記重合性不飽和基を有する化合物(Ab)が、さらに下記式(11)
    Figure 2009274324
    [一般式(11)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]で示される基を有する請求項6〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記硬化性組成物がさらに、(D)放射線重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体。
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