JP2005008878A - 活性エネルギー線硬化性被覆用組成物及びプラスチック成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】コロイダルシリカが凝集することなく、リサイクル使用が可能な被覆用組成物であって、透明性、耐磨耗性及び表面潤滑性に優れた硬化物からなる被膜を形成することができる被覆用組成物及び該被覆用組成物の硬化物からなる被膜を有するプラスチック成形品の提供。
【解決手段】活性エネルギー線硬化性の重合性単量体(A)、潤滑性付与剤(B)、活性エネルギー線重合開始剤(C)、コロイダルシリカ(D)及び沸点が100℃以上200℃以下の1又は2以上の化合物からなる有機溶媒(E)を含有する被覆用組成物及び該組成物の硬化物からなる被膜を有するプラスチック成型品。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線の照射により硬化し、長期にわたって優れた耐磨耗性及び表面潤滑性を発現し、透明性に優れた被膜を与える活性エネルギー線硬化性の被覆用組成物、及びプラスチック基材の表面に該被覆用組成物の硬化物からなる被膜を有するプラスチック成形品に関する。
従来よりハードコートの分野ではその耐擦傷性を向上させる目的で活性エネルギー線硬化性の化合物にコロイダルシリカ等の無機フィラーを分散させる例は多数見られる(たとえば、特許文献1参照。)。また、ハードコート層形成用組成物としてハードコート層に表面潤滑性を付与しうる成分(潤滑性付与剤)を含む組成物がある(特許文献2参照)。
しかし、上記文献に記載のハードコート層形成用組成物は、組成物中の溶剤の種類によっては、組成物中のコロイダルシリカが凝集し、均一なハードコート層が得られないことがあった。また、組成物のリサイクル使用が困難であるということもあった。
特開平10−81839号公報(特許請求の範囲) 特開2002−245672号公報(請求項1)
本発明は、組成物中のコロイダルシリカが凝集することなく、組成物のリサイクル使用が可能であり、形成される硬化物からなる被膜が透明性に優れ、かつ長期に渡って優れた耐磨耗性及び表面潤滑性を発現する被覆用組成物及び該被覆用組成物の硬化物からなる被膜を有するプラスチック成形品を提供することを目的とする。
本発明は、下記の手段を提供するものである。
(1)活性エネルギー線硬化性の重合性単量体(A)100質量部、潤滑性付与剤(B)0.01〜10質量部、活性エネルギー線重合開始剤(C)0.1〜10質量部、コロイダルシリカ(D)0.1〜500質量部(固形分換算)及び沸点が100℃以上200℃以下の1又は2以上の化合物からなる有機溶媒(E)を含有する被覆用組成物。
ただし、前記潤滑性付与剤(B)は、下記式1〜5で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−1)、下記式6〜8で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−2)及び活性エネルギー線硬化性の官能基(b−3)を有する。
−(SiRO)− ・・・式1
−(CFCFO)− ・・・式2
−(CFCF(CF)O)− ・・・式3
−(CFCFCFO)− ・・・式4
−(CFO)− ・・・式5
(式1中、R、Rは独立に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基又はフェニル基のいずれかであり、mは1〜1000の整数である。式2〜5中、n、p、q及びrはそれぞれ1〜100の整数である。)
−R− ・・・式6
−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)− ・・・式7
−(C(=O)C2uO)− ・・・式8
(式6中、Rは炭素数6〜20のアルキレン基である。式7中、xは0〜100、yは0〜100であって、5≦x+y≦100を満たす整数である。式8中、uは3〜5の整数であり、tは1〜20の整数である。)
(2)前記有機溶媒(E)を構成する2以上の化合物の各沸点の差は30℃以内である(1)に記載の被覆用組成物。
(3)前記有機溶媒(E)を構成する化合物がエステル系化合物である(1)又は(2)に記載の被覆用組成物。
(4)前記有機溶媒(E)を構成する化合物が酢酸ペンチルである(1)又は(2)に記載の被覆用組成物。
(5)プラスチック基材の表面上に、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の被覆用組成物の硬化物からなる厚さ0.1〜50μmの被膜を有するプラスチック成形品。
本発明の被覆用組成物は、被覆用組成物からのコロイダルシリカの凝集を防ぐことができ、被覆用組成物のリサイクル使用が可能である。硬化物からなる被膜は、有機溶媒が残存することなく、耐摩耗性が損なわれることはない。被覆用組成物から形成される硬化物からなる被膜は透明性に優れ、かつ長期に渡って優れた耐磨耗性及び表面潤滑性を発現する。
本明細書において、アクリロイル基及びメタクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基といい、アクリレート及びメタクリレートを総称して(メタ)アクリレートといい、アクリル酸及びメタクリル酸を総称して(メタ)アクリル酸という。
本発明の被覆用組成物において、活性エネルギー線硬化性の重合性単量体(A)(以下、重合性単量体(A)と記す。)は、後述する活性エネルギー線開始剤の存在下で、活性エネルギー線を照射することで重合反応を開始する単量体であり、具体的には、重合性官能基としてアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能性重合性単量体(a−1)(以下、「単量体(a−1)」と記す。)と、後述する単官能性重合性単量体(a−2)に代表される他の重合性単量体を包括的に表している。ただし、本明細書においては、後述する潤滑性付与剤(B)に該当する化合物は、重合性単量体(A)に該当するとはみなさない。
本発明における単量体(a−1)は、特開平10−81839号公報の段落番号0013〜0052に記載された多官能性化合物(a)に相当する。すなわち、活性エネルギー線により重合しうる重合性官能基として、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能性の重合性単量体である。
本発明における単量体(a−1)としては、高度な耐磨耗性を発現させる観点から重合性官能基を分子中に3個以上有し、1官能基あたりの分子量が100以下であるものが特に好ましい。
このような条件を満たす単量体(a−1)としては、例えば、ペンタエリスリトールやその多量体であるポリペンタエリスリトールと、ポリイソシアネートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、の反応生成物であるアクリルウレタンであり、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上、より好ましくは4〜20個、有する多官能性化合物、又は、ペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールの水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ポリイソシアネートと、の反応生成物であるアクリルウレタンであり、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上、より好ましくは4〜20個、有する多官能性化合物が挙げられる。
また、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレート又はイソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ペンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとは、ペンタエリスリトール又はポリペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのポリエステルをいい、好ましくは(メタ)アクリロイル基を4〜20個有する。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート。また、イソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートとは、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート又はトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートの1モルに、1〜6モルのカプロラクトン又はアルキレンオキシドを付加して得られる化合物と、(メタ)アクリル酸とのポリエステルをいい、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2〜3個有する。
本発明の被覆用組成物は、重合性単量体(A)として、単量体(a−1)以外の重合性単量体を含んでもよい。単量体(a−1)以外の重合性単量体(A)としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能性重合性単量体(以下、「単量体(a−2)」と記す。)又は(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基を1個以上有する化合物がある。しかし、(メタ)アクリロイル基以外の重合性官能基は、活性エネルギー線による硬化性が充分でないことが多く、また入手も容易でないことから、単量体(a−1)以外の重合性単量体(A)としては、単量体(a−2)が好ましい。
単量体(a−2)としては、一般式CH=C(R)COOC2z+1(Rは水素原子又はメチル基であり、zは1〜13の整数である。C2z+1は直鎖構造でも分岐構造でもよい。)で表されるアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−スルホン酸ナトリウムエトキシ(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレートなどが挙げられる。
本発明において、被覆用組成物に含まれる重合性単量体(A)の総質量中、単量体(a−1)が20〜100質量%であることが好ましく、特に50〜100質量%が好ましい。被覆用組成物に含まれる重合性単量体(A)のうち、単量体(a−1)の割合がこの範囲であると、被覆用組成物の硬化物からなる被膜の耐磨耗性が特に優れており好ましい。
本発明における潤滑性付与剤(B)について説明する。本発明の被覆用組成物は、重合性単量体(A)100質量部に対して、潤滑性付与剤(B)を0.01〜10質量部含有する。潤滑性付与剤(B)の好ましい含有量は0.1〜5質量部である。潤滑性付与剤(B)の量がこの範囲にあると、被覆用組成物を基材表面に塗布した際に、硬化前の塗膜の透明性を損なうことなく潤滑性付与剤(B)が塗膜表面に偏析する。このため、硬化物からなる被膜の透明性が損なわれず、かつ該被膜表面が表面潤滑性に優れる。また、潤滑性付与剤(B)の量がこの範囲であれば、被覆用組成物の硬化性が低下せず、また硬化させた際に潤滑性付与剤(B)が被膜表面に固定されて存在するため、硬化物からなる被膜の透明性が損なわれず、かつ該被膜表面は長期にわたって優れた表面潤滑性を発現する。
潤滑性付与剤(B)は、下記式1〜5で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−1)、下記式6〜8で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−2)及び活性エネルギー線硬化性の官能基(b−3)を有する。
−(SiRO)− ・・・式1
−(CFCFO)− ・・・式2
−(CFCF(CF)O)− ・・・式3
−(CFCFCFO)− ・・・式4
−(CFO)− ・・・式5
(式1中、R、Rは独立に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基又はフェニル基のいずれかであり、mは1〜1000の整数である。式2〜5中、n、p、q及びrはそれぞれ1〜100の整数である。)
−R− ・・・式6
−(CHCHO)−(CHCH(CH)O)− ・・・式7
−(C(=O)C2uO)− ・・・式8
(式6中、Rは炭素数6〜20のアルキレン基である。式7中、xは0〜100、yは0〜100であって、5≦x+y≦100を満たす整数である。式8中、uは3〜5の整数であり、tは1〜20の整数である。)。
上記式1〜5で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−1)(以下、「部位(b−1)」と記す。)は、被覆用組成物の硬化物からなる被膜に潤滑性を発現する機能を有する。
上記式1中、R、Rは、シロキサン単位毎に同一でも異なっていてもよい。上記式1に該当する部分としては、ポリジメチルシリコーンユニット、ポリメチルフェニルシリコーンユニット、ポリジフェニルシリコーンユニット、R及び/又はRがRCHCHCH−(Rはポリフルオロアルキル基)で表されるポリフルオロアルキルシリコーンユニット等が好ましい。式1中、mは、1〜1000の整数であり、より好ましくは1〜500の整数である。mが上記の範囲であると、硬化物からなる被膜が表面潤滑性に優れる。
上記において、R基とは、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。このようなR基については、具体的には例えば特開2000−282015号公報の段落番号0009〜0015に記載されている。
上記式2〜5中、n、p、q及びrとしてはそれぞれ、1〜100の整数であり、より好ましくは5〜100の整数である。
潤滑性付与剤(B)は、部位(b−1)として上記式1〜5で表される部分のうちいずれか1つを有していてもよく、又は同一分子内に2種以上を有していてもよい。また、本発明の被覆用組成物は、潤滑性付与剤(B)として、異なる部位(b−1)を有する潤滑性付与剤(B)を複数種併用してもよい。
式6〜8で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−2)(以下、「部位(b−2)」と記す。)は、重合性単量体(A)との相溶性を発現する機能を有する。潤滑性付与剤(B)の部位(b−1)は、樹脂マトリクスとの親和性が低いため、被覆用組成物を硬化した際に樹脂マトリクスの表面にブリードアウトしやすく、硬化物からなる被膜の透明性を損ないやすいという傾向を有する。
本発明の被覆用組成物における潤滑性付与剤(B)は、部位(b−2)が重合性単量体(A)との相溶性に優れるため、被覆用組成物において樹脂マトリクスをなす重合性単量体(A)との相溶性の差が大きい部位(b−1)を有するにもかかわらず、重合性単量体(A)に対して適度な相溶性を有する。潤滑性付与剤(B)が重合性単量体(A)に対して適度な相溶性を有するため、被覆用組成物を基材に塗布した際に、硬化前の塗膜の透明性を損なうことなしに、潤滑性付与剤(B)が該塗膜の表面に偏析する。このため硬化物からなる被膜の透明性も損なわれない。
上記した式6で表される部分は、炭素数が6〜20のアルキレン基であり、直鎖構造又は分岐構造である。炭素数が該範囲にあると、潤滑性付与剤(B)の重合性単量体(A)に対する相溶性が適切であり、かつ該基の結晶性が強すぎないため、硬化物からなる被膜の表面潤滑性及び透明性に優れる。アルキレン基の炭素数が6未満であると、被覆用組成物中の他の成分に対する相溶性が低いため、硬化前の塗膜の透明性が損なわれるおそれがある。これは、硬化後の被膜の透明性が損なわれることを意味する。一方、炭素数が20超であると、部位(b−2)の結晶性が強くなるため、やはり硬化物からなる被膜の透明性が損なわれるおそれがある。
上記した式7で表される部分は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム共重合体、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体、エチレンオキシド単独重合体、プロピレンオキシド単独重合体を表す。重合度を示すx、yとしては、xは0〜100、yは0〜100であって、5≦x+y≦100を満たす整数である。また、x、yとしては、xは0〜80、yは0〜80であって、5≦x+y≦80を満たす整数であることがより好ましい。ただし、x、yは、部位(b−2)における各モノマーの重合度の最大値をもって表現される。x、yが該範囲であると、潤滑性付与剤(B)が、重合性単量体(A)に対して適度な相溶性を有し、硬化物からなる被膜が表面潤滑性及び透明性に優れる。x+yが100超であると、潤滑性付与剤(B)の重合性単量体(A)に対する相溶性が高くなりすぎ、潤滑性付与剤(B)が塗膜表面に偏析しにくくなり、硬化物からなる被膜が表面潤滑性を充分に発現できないおそれがある。一方、x+yが5未満であると、潤滑性付与剤(B)の重合性単量体(A)に対する相溶性が低くなり、硬化物からなる被膜の透明性が損なわれるおそれがあり好ましくない。
上記した式8で表される部分は、ラクトンの開環重合体を表す。ラクトンモノマーの炭素数であるuは、入手のしやすさから1〜5が好ましい。また、重合度を示すtとしては、1〜20の整数であることが好ましい。ただし、tは、部位(b−2)におけるラクトンモノマーの重合度の最大値をもって表現される。tが該範囲であると、部位(b−2)の結晶性が抑えられ、硬化物からなる被膜の透明性に優れる。
潤滑性付与剤(B)は、部位(b−2)として上記式6〜8で表される部分のうちいずれか1つを有していてもよく、又は同一分子内に2種以上を有していてもよい。また、本発明の被覆用組成物は、潤滑性付与剤(B)として、異なる部位(b−2)を有する潤滑性付与剤(B)を複数種併用してもよい。
潤滑性付与剤(B)において、活性エネルギー線硬化性の官能基(b−3)(以下、「官能基(b−3)」と記す。)とは、ラジカル反応性を有する官能基であればよく、具体的には(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、ハロゲン置換基、メルカプト基等が好ましく挙げられる。
潤滑性付与剤(B)が、官能基(b−3)を有することにより、被覆用組成物が活性エネルギー線の照射によって硬化する際に、官能基(b−3)も硬化反応を起こし、被覆用組成物の硬化物の樹脂マトリクスをなす重合性単量体(A)と共有結合する。これにより、潤滑性付与剤(B)は、被覆用組成物の硬化物からなる被膜の表面に固定されて存在し、被膜の表面から潤滑性付与剤(B)が揮散しないため好ましい。したがって、硬化物からなる被膜の表面は、長期にわたって表面潤滑性を発現する。
潤滑性付与剤(B)は、その分子内に上記した潤滑性を発現する部位(b−1)、重合性単量体(A)との相溶性に優れる部位(b−2)及び官能基(b−3)を併せ持っている。潤滑性付与剤(B)における各部位の結合形態は、特に制限されない。潤滑性付与剤(B)における各部位の結合形態としては、具体的には以下の例が好ましく挙げられる。
1.直鎖型。部位(b−1)、部位(b−2)及び官能基(b−3)が直線状に連結されたタイプ。
該直鎖型の製造において、部位(b−1)を形成する原料化合物としては、部位(b−1)を有し末端が水酸基変成された化合物が挙げられ、例えば、ポリジメチルシリコーン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレンオキサイド等のポリマーの末端が水酸基で変成された化合物等が好ましく挙げられる。
上記部位(b−1)を有し末端が水酸基変成された化合物の水酸基に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ラクトン等のモノマーを重合させることで、部位(b−1)に隣接して、部位(b−2)が構築できる。又は、部位(b−2)としてポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリマーを2官能イソシアネート等を用いてウレタン結合によって部位(b−1)に連結することもできる。
ここまでの操作では、部位(b−2)の末端は水酸基である。これに官能基(b−3)を導入する方法としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド等を用いてエステル結合により導入する方法、2−(メタ)アクリル酸エチルイソシアネートを用いてウレタン結合により導入する方法、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を2官能イソシアネートを介してウレタン結合により導入する方法等が好ましく挙げられる。
また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリマーの片末端があらかじめ(メタ)アクリロイル基変性されているものを用いて、部位(b−1)の末端水酸基との間で、2官能イソシアネート等を用いてウレタン結合させることにより、部位(b−1)に隣接して一度に部位(b−2)、官能基(b−3)を連結する方法も好ましく挙げられる。
2.共重合型。部位(b−1)を有するラジカル重合性のマクロマーと部位(b−2)を有するラジカル重合性のマクロマーを用意し、これらのマクロマーを共重合させた後、官能基(b−3)を導入するタイプ。
部位(b−1)を有するマクロマーとしては、例えば、ポリジメチルシリコーン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレンオキシド等のポリマーの片末端が(メタ)アクリロイル基で変性された化合物等が挙げられる。
部位(b−2)を有するマクロマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリマーの片末端が(メタ)アクリロイル基変性された化合物、ラクトンの開環重合体の片末端が(メタ)アクリロイル基変性されているもの等が好ましく挙げられる。
官能基(b−3)は、上記2種類のマクロマーを共重合した後にその末端に導入する方法が挙げられる。たとえば、上記2種のマクロマーの(メタ)アクリロイル基が付加していない方の末端の水酸基を、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド等を用いてエステル化する方法、2−メタアクリル酸エチルイソシアネートを用いてウレタン結合により結合せしめる方法が好ましく挙げられる。
又は、上記2種類のマクロマーと共に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を共重合せしめ、その後に(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロリド等を用いてエステル化する方法、2−メタアクリル酸エチルイソシアネートを用いてウレタン結合により結合せしめる方法も挙げられる。
本発明の被覆用組成物は、上記した潤滑性付与剤(B)以外に公知の潤滑性付与剤を含んでもよい。このような公知の潤滑性付与剤としては、たとえばフッ素系潤滑性付与剤、脂肪酸エステルワックスに代表される脂肪酸エステル系潤滑性付与剤が挙げられる。公知の潤滑性付与剤を含める場合、潤滑性付与剤(B)と公知の潤滑性付与剤との合計質量100質量部に対して50質量部以下、好ましくは30質量部以下含有させる。
本発明の被覆用組成物は、上記の構成に加えて、活性エネルギー重合開始剤(C)を重合性単量体(A)の100質量部に対して0.1〜10質量部含有し、0.2〜8質量部含有するのが好ましい。活性エネルギー線重合開始剤(C)の量が該範囲にあると、硬化性が充分であり、硬化の際に全ての活性エネルギー線重合開始剤(C)が分解するため好ましい。
ここでいう活性エネルギー線重合開始剤(C)とは、公知の光重合開始剤を広く含む。
公知の光重合開始剤の具体例としては、アリールケトン系光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシルオキシムエステル類等)、含硫黄系光重合開始剤(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類等)、アシルホスフィンオキシド類(たとえば、アシルジアリールホスフィンオキシド等)、その他の光重合開始剤がある。該光重合開始剤は2種以上併用してもよい。また、光重合開始剤はアミン類などの光増感剤と組み合わせて使用してもよい。具体的な光重合開始剤としては、例えば以下のような化合物があるがこれらのみに限定されるものではない。
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン。
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラキス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4',4”−ジエチルイソフタロフェノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2(o−エトキシカルボニル)オキシム、α−アシルオキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。
4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド。
本発明の被覆用組成物は、上記の構成に加えて、重合性単量体(A)の100質量部に対して、コロイダルシリカ(D)を固形分として0.1〜500質量部含有する。コロイダルシリカ(D)は、分散媒中にコロイド状に分散した無水ケイ酸の超微粒子である。コロイダルシリカ(D)の固形分としての含有量は重合性単量体(A)の100質量部に対して0.1〜300質量部が好ましく、10〜200質量部が特に好ましい。当該範囲であると、硬化後の被膜において、耐磨耗性が充分であり、ヘイズが生じにくく、かつ、外力によるクラック等を生じにくい。
コロイダルシリカ(D)のシリカ粒子の平均粒径は特に限定されないが、硬化物からなる皮膜の高い透明性を発現させるためには、1〜1000nmが好ましく、1〜200nmがより好ましく、1〜50nmが特に好ましい。
またコロイダルシリカ(D)は分散媒に対する分散安定性を向上させるために、粒子表面が加水分解性シラン化合物の加水分解物で修飾されたものを使用することもできる。ここで「加水分解物で表面が修飾された」とは、コロイダルシリカ粒子の表面の一部又は全部のシラノール基にシラン化合物の加水分解物が物理的又は化学的に結合した状態にあり、これにより表面特性が改質されていることを意味する。なお、加水分解物の縮合反応が進んだものが同様に結合しているシリカ粒子も含まれる。この表面修飾はコロイダルシリカ粒子存在下にシラン化合物の加水分解性基の一部若しくは全部の加水分解又は加水分解と縮合反応を生じせしめることにより容易に行いうる。
加水分解性シラン化合物としては、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基などの官能性基を有する有機基とアルコキシ基などの加水分解性基及び/又は水酸基とがケイ素原子に結合しているシラン化合物が好ましい。たとえば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好ましく挙げられる。
コロイダルシリカ(D)の分散媒として、通常、各種の分散媒が用いられているが、本発明の被覆用組成物におけるコロイダルシリカ(D)の分散媒は、後述する有機溶媒(E)を構成する一部となる。
本発明の被覆用組成物は、上記の構成に加えて、有機溶媒(E)を含有する。有機溶媒(E)は、沸点が100℃以上200℃以下の1又は2以上の化合物からなる。本発明の被覆用組成物においては、重合性単量体(A)、潤滑性付与剤(B)、活性エネルギー線重合開始剤(C)及びコロイダルシリカ(D)が、有機溶媒(E)に溶解又は分散されている。
沸点が低い溶媒は揮発分が多いため、コロイダルシリカ(D)が被覆用組成物から凝集しやすく、また、被覆用組成物をリサイクル使用する場合、環境上、コスト上問題があり、好ましくない。したがって、本発明の被覆用組成物における有機溶媒(E)の沸点は100℃以上であり、より好ましくは110℃以上である。
一方、沸点が高すぎると、乾燥工程の条件が厳しくなり、また、硬化物からなる被膜に有機溶媒が残存しやすく、硬化物からなる被膜の硬度が低下し耐磨耗性が劣るため好ましくない。したがって、本発明の被覆用組成物における有機溶媒(E)の沸点は200℃以下であり、より好ましくは170℃以下である。
被覆用組成物をスピンコートやフローコート等の液歩留まりの低いコート方法を用いてコートする際、被覆用組成物を回収して使用すること(リサイクル)が要求される。ここで、沸点が大きく異なる複数の成分からなる有機溶媒を使用した場合、各成分の沸点及び蒸気圧が異なることから、回収した被覆用組成物における有機溶媒の各成分比率は初期のものとは相違する。回収ごとに有機溶媒の各成分比率を初期のものに調整することは、プロセス上煩雑となる。したがって、本発明の被覆用組成物における有機溶媒(E)は、2以上の化合物で構成される場合は各沸点の差は30℃以内であることが好ましい。
本発明における有機溶媒(E)を構成する化合物としては、下記に例示されたものが挙げられ、当該化合物を単独で使用する、又は2以上の化合物を組み合わせて使用することができる。
シクロブタンメタノール、シクロペンタンメタノール、2−メチルシクロプロパンメタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、n−ブチルアルコール、3−メチル−1−ブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘキサノール、5−メチル−2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート。
メトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸メチル、ジメトキシ酢酸メチル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸メチル、2−クロロアセト酢酸メチル、トリメチル酢酸メチル、アセト酢酸エチル、トリメチル酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸イソペンチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸n−ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸フェニル。
シクロペンタノール、1−エチニル−1−シクロペンタノール、3−メチルシクロペンタノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2,6−ジメチルシクロヘキサノール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、cis−4−メチルシクロヘキサノール、trans−4−メチルシクロヘキサノール、trans−2−メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール。
3,3−ジメチル−2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、3,5−ジメチル−4−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、3−オクタノン、2−オクタノン、5−ノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロドデカノン。
ジブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、1,4−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、N−ジメチルホルムアミド、トルエン、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン。
有機溶媒(E)は、重合性単量体(A)、潤滑性付与剤(B)及び活性エネルギー線重合開始剤(C)に対する溶解能及びコロイダルシリカ(D)に対する分散能が優れているものが、被覆用組成物の均一性が保持されるため好ましい。このような性質をもつものとして、エステル系化合物が好ましい。エステル系化合物の中でも揮発性と乾燥性のバランスを考慮して適切な沸点を有することから、酢酸ペンチル(酢酸イソペンチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル)が特に好ましい。酢酸ペンチルは各異性体を単独で用いてもよく、酢酸ペンチル各異性体の混合物である一般に「酢酸アミル」と称せられる市販品を用いてもよい。なお、本発明において異性体は別の化合物として扱う。
被覆組成物における有機溶剤(E)の含有量は、重合性単量体(A)とコロイダルシリカ(D)の固形分の合計に対して質量で100倍以下が好ましく、特に50倍以下が好ましい。当該倍率が100倍超であると硬化物からなる皮膜の膜厚を確保することが困難になる。
本発明の被覆用組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料(有機着色顔料、無機顔料)、着色染料、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、分散剤、防汚性付与剤、指紋除去性付与剤、導電性微粒子、帯電防止剤、防曇剤、カップリング剤からなる群から選ばれる1種以上の機能性配合剤を含めてもよい。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などが挙げられる。
本発明の被覆用組成物は、プラスチック基材にディッピング法、スピンコート法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法で塗布し、有機溶剤を含む組成物の場合は乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる。
なお、活性エネルギー線としては、特に180〜500nmの波長を有する紫外線が経済的に好ましい。
活性エネルギー線源としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の紫外線照射装置が使用できる。
活性エネルギー線の照射時間は、重合性単量体(A)の種類、活性エネルギー線重合開始剤(C)の種類、被膜の厚さ、活性エネルギー線源等の条件により適宜変えうる。通常は0.1〜60秒間照射することにより目的が達成される。さらに硬化反応を完結させる目的で、活性エネルギー線照射後加熱処理することもできる。
本発明の被覆用組成物の硬化物からなる被膜の厚さは、0.1〜50μmである。所望により種々の厚さを採用でき、0.2〜20μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。被膜の厚さが該範囲にあると、耐磨耗性が充分となり、被膜深部の硬化も充分となるため好ましい。
本発明の組成物の硬化物からなる被膜は、上記の特性を有するため、該被膜を形成するプラスチック基材の材質としては、透明性を有するプラスチック材料、耐磨耗性に劣るプラスチック材料、動摩擦係数が大きいプラスチック材料が好ましく、具体的には例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂等が挙げられる。
以下、本発明を実施例(例1、2、5、6、7)、比較例(例3、4、8、9)に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されない。
また、実施例において使用した原料等について以下に記す。
[原料化合物]
(1)重合性単量体(A)
A1:水酸基含有ジペンタエリスリトールポリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートを反応させて得られた1分子あたりの平均アクリロイル基数が15で分子量2300のアクリルウレタン。
(2)潤滑性付与剤(B)
B1:撹拌機及び冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、チタンテトライソブトキサイド(80mg)、片末端に水酸基を有するジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、商品名「X−22−170BX」、水酸基価は18.5。)(100g)及びε−カプロラクトン(25g)を入れ、150℃にて5時間撹拌し、ジメチルシリコーンオイルの片末端にε−カプロラクトンが開環付加した、白色ワックス状の化合物を得た。カプロラクトンの平均重合度は6.6であった。
得られた化合物を室温に冷却し、酢酸ブチル(50g)及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(250mg)を加え、30分間撹拌した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(5.05g)を加えて、室温でさらに24時間撹拌し、末端がメタクリロイル基で修飾された潤滑性付与剤(B1)を得た。数平均分子量は、約3750であった。
B2:以下においてテトラメチルシランをTMS、CClFCFCHClFをR−225、CClFCClFをR−113と記す。
(工程1) 温度計、撹拌機、還流管及び温度調節機を備えた内容量200mLのフラスコに、市販のポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル
(CHO(CHCHO)n+1H、n≒7.3(平均値))(25.0g)、R−225(20.0g)、フッ化ナトリウム(1.2g)及びピリジン(1.6g)を入れ、内温を10℃以下に保ちながら激しく撹拌して、窒素ガスをバブリングさせた。さらに
FCOCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF(46.6g)を、内温を5℃以下に保ちながら3時間かけて滴下した。その後、50℃で12時間、さらに室温で24時間撹拌して粗液を得た。得られた粗液を減圧濾過し、ろ液を減圧乾燥機で50℃、666.5Paの条件下12時間乾燥した。ここで得た粗液をR−225(100mL)に溶解し、飽和重曹水(1000mL)で3回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相に硫酸マグネシウム(1.0g)を加え、12時間撹拌した。加圧濾過により硫酸マグネシウムを除去し、エバポレーターでR−225を留去し、室温で液状の化合物(56.1g)を得た。H−NMR、19F−NMR分析の結果、得られたポリマーは、CHO(CHCHO)n+1COCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCF(nは前記と同じ。)で表される化合物であることを確認した。
(工程2) 内容量3Lのハステロイ製反応器に、R−113(1560g)を入れて撹拌し、25℃に保った。反応器のガス出口には、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、及び−20℃に保持した冷却器を直列に設置した。なお、−20℃に保持した冷却器からは凝集した液を反応器に戻すための液体返送ラインを設置した。窒素ガスを1時間吹き込んだ後、窒素ガスで10%に希釈したフッ素ガス(以下、「10%フッ素ガス」と記す。)を、流量24.8L/hで1時間吹き込んだ。
次に、10%フッ素ガスを同じ流量で吹き込みながら、工程1で得た生成物(27.5g)をR−113(1350g)に溶解させた溶液を30時間かけて注入した。内温40℃に変更して、10%フッ素ガスを同じ流量で吹き込みながら、工程1で得た生成物の6.7%R−113溶液(12mL)を注入した。続けて、ベンゼンを1%溶解したR−113溶液(6mL)を注入した。さらに、10%フッ素ガスを同じ流量で1時間吹き込んだ後、窒素ガスを1時間吹き込んだ。
反応終了後、減圧乾燥にて、60℃で6時間溶媒を留去した後、室温で液体の生成物(45.4g)を得た。NMR分析の結果CFO(CFCFO)n+1COCF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFで表される化合物が主たる生成物であることを確認した。
(工程3) スターラーチップを投入した300mLの丸底フラスコを充分に窒素置換した後、メタノール(36.0g)、フッ化ナトリウム(5.6g)及びR−225(50.0g)を入れ、工程2で得た生成物(43.5g)を滴下した後、室温でバブリングしながら激しく撹拌した。なお、丸底フラスコ出口は窒素シールした。
8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、過剰のメタノール及び反応副生物を留去した。24時間後、室温で液体の生成物(26.8g)を得た。NMR分析の結果、CFO(CFCFO)CFCOOCHで表される化合物が主たる生成物であることを確認した。
(工程4) スターラーチップを投入した300mLの丸底フラスコを充分に窒素置換した。2−プロパノール(30.0g)、R−225(50.0g)及びテトラヒドロホウ酸ナトリウム(4.1g)を加えて、工程3で得た生成物(26.2g)をR−225(30.0g)に希釈して滴下し、室温で激しく撹拌した。なお、丸底フラスコ出口は窒素シールした。
8時間後、冷却管に真空ポンプを設置して系内を減圧に保ち、溶媒を留去した。24時間後、1Lの丸底フラスコに移し、R−225(100g)を投入し、撹拌しながら0.2モル/L塩酸水溶液(500g)を滴下した。滴下後、6時間撹拌を維持した。有機相を蒸留水(500g)で3回洗浄し、有機相を回収した。さらに、回収した有機相に硫酸マグネシウム(1.0g)を加え、12時間撹拌を行った。その後、加圧濾過を行って硫酸マグネシウムを除去し、エバポレーターでR−225を留去し、室温で液状物質(24.8g)を得た。NMR分析の結果、CFO(CFCFO)CFCHOHで表される化合物が主たる生成物であることを確認した。
(工程5) 撹拌機及び冷却管を装着した200mLの4つ口フラスコに、チタンテトライソブトキサイド(16mg)、CFO(CFCFO)CFCHOH(20g)及びε−カプロラクトン(5g)を加え、150℃で5時間加熱し、CFO(CFCFO)CFCHOHの末端に、ε−カプロラクトンが開環付加した白色ワックス状の化合物を得た。分子量は1250であり、カプロラクトンの重合度数は約2.2個であった。
続いて1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(12g)及び2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(12mg)を加え、30分間撹拌した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(3.1g)を加え室温で更に24時間撹拌し、反応を完結せしめた。その後、減圧下40℃で溶剤の1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンを留去し、末端がメタクリロイル基で修飾された潤滑性付与剤(B2)を得た。分子量は1400であった。
(3)活性エネルギー線重合開始剤(C)
C1:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン。
(4)コロイダルシリカ(D)
D1:酢酸イソペンチル分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、平均粒径11nm。)(100質量部)に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(2.5質量部)を加えて、80℃にて5時間撹拌した後、12時間室温にて熟成して得られた、メルカプトシランの加水分解縮合物を表面に有するコロイダルシリカ。
D2:メチルエチルケトン(以下「MEK」と表記する。)分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、平均粒径11nm。)(100質量部)に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(2.5質量部)を加えて、70℃にて5時間撹拌した後、12時間室温にて熟成して得られた、メルカプトシランの加水分解縮合物を表面に有するコロイダルシリカ。
D3:エチレングリコールモノエチルエーテル(以下「セロソルブ」と表記する。)分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、平均粒径11nm。)(100質量部)に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(2.5質量部)を加えて、80℃にて5時間撹拌した後、12時間室温にて熟成して得られた、メルカプトシランの加水分解縮合物を表面に有するコロイダルシリカ。
D4:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と表記する。)分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、平均粒径13nm。)(100質量部)に、3−メタクリロイルオキシトリメトキシシラン(2.5質量部)を加えて、80℃にて5時間撹拌した後、12時間室温にて熟成して得られた、メタクリロイルオキシシランの加水分解縮合物を表面に有するコロイダルシリカ。
D5:酢酸n−ブチル分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、平均粒径13nm。)(100質量部)に、3−メタクリロイルオキシトリメトキシシラン(2.5質量部)を加えて、80℃にて5時間撹拌した後、12時間室温にて熟成して得られた、メタクリロイルオキシシランの加水分解縮合物を表面に有するコロイダルシリカ。
D6:イソプロパノール(以下「IPA」と表記する。)分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30質量%、平均粒径11nm。)(100質量部)に、3−メタクリロイルオキシトリメトキシシラン(2.5質量部)を加えて、70℃にて5時間撹拌した後、12時間室温にて熟成して得られた、メタクリロイルオキシシランの加水分解縮合物を表面に有するコロイダルシリカ。
[例1]
撹拌機及び冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、重合性単量体(A1)(80g)、潤滑性付与剤(B1)(1.0g)、活性エネルギー線重合開始剤(C1)(4.0g)、熱重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(1.0g)及び有機溶媒(E)として酢酸イソペンチル(130.0g)を入れ、常温及び遮光の状態で、1時間撹拌して均一化した。
続いて、撹拌しながら、コロイダルシリカ(D1)(75.0g)をゆっくりと加え、さらに常温及び遮光の状態で1時間撹拌して均一化し、被覆用組成物(Q1)を得た。
厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネート樹脂製シート(100mm×100mm)からなる基材の表面に、得られた被覆用組成物(Q1)をスピンコータを用いて塗工(2000rpm×10秒)し、90℃の熱風循環オーブン中で1分間保持して乾燥せしめ、被膜を形成した。次いで、高圧水銀ランプを用いて1200mJ/cm(波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量。以下同じ。)の紫外線を照射して、該被膜を硬化せしめて、膜厚1.2μmの硬化物層を形成し、基材の表面に硬化物からなる被膜を有するサンプル1を得た。
[例2]
例1における酢酸イソペンチル(130.0g)を酢酸n−ペンチル(130.0g)に変更する以外は、例1と同様にして被覆用組成物(Q2)を調製し、この(Q2)を用いて例1と同様の手順でサンプル2を得た。
[例3]
例1におけるコロイダルシリカ(D1)(75.0g)をコロイダルシリカ(D2)(75.0g)に変更し、更に酢酸イソペンチル(130.0g)をMEK(130.0g)に変更する以外は、例1と同様にして被覆用組成物(Q3)を調製し、この(Q3)を用いて例1と同様の手順でサンプル3を得た。
[例4]
撹拌機及び冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、重合性単量体(A1)(80g)、潤滑性付与剤(B1)(1.0g)、活性エネルギー線重合開始剤(C1)(4.0g)、熱重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(1.0g)及び有機溶媒(E)の一成分としてクレゾール(65.0g)を入れ、常温及び遮光の状態で、1時間撹拌して均一化した。
続いて、撹拌しながら、コロイダルシリカ(D3)(75.0g)をゆっくりと加え、さらに常温及び遮光の状態で1時間撹拌して均一化した。そして、有機溶媒(E)の一成分としてジブチルエーテル(以下「DBE」と表記する。)(65.0g)を加えて、常温及び遮光の状態で1時間撹拌して被覆用組成物(Q4)を得た。
そして、例1と同様の手順にて膜厚1.2μmの硬化物層を形成し、基材の表面に硬化物からなる被膜を有するサンプル4を得た。
[例5]
例1におけるコロイダルシリカ(D1)(75.0g)をコロイダルシリカ(D4)(75.0g)に変更し、更に酢酸イソペンチル(130.0g)をPGMEA(130.0g)に変更する以外は、例1と同様にして被覆用組成物(Q5)を調製し、この(Q5)を用いて例1と同様の手順でサンプル5を得た。
[例6]
例1におけるコロイダルシリカ(D1)(75.0g)をコロイダルシリカ(D5)(75.0g)に変更し、更に酢酸イソペンチル(130.0g)を酢酸ブチル(130.0g)に変更する以外は、例1と同様にして被覆用組成物(Q6)を調製し、この(Q6)を用いて例1と同様の手順でサンプル6を得た。
[例7]
例1におけるコロイダルシリカ(D1)(75.0g)をコロイダルシリカ(D5)(75.0g)に変更し、潤滑性付与剤(B1)(1.0g)を潤滑性付与剤(B2)(0.2g)に変更し、更に酢酸イソペンチル(130.0g)を酢酸ブチル(130.0g)に変更する以外は、例1と同様にして被覆用組成物(Q7)を調製し、この(Q7)を用いて例1と同様の手順でサンプル7を得た。
[例8]
例1におけるコロイダルシリカ(D1)(75.0g)をコロイダルシリカ(D6)(75.0g)に変更し、更に酢酸イソペンチル(130.0g)を酢酸ブチル(130.0g)に変更する以外は、例1と同様にして被覆用組成物(Q8)を調製し、この(Q8)を用いて例1と同様の手順でサンプル8を得た。
[例9]
例1におけるコロイダルシリカ(D1)(75.0g)をコロイダルシリカ(D6)(75.0g)に変更し、潤滑性付与剤(B1)(1.0g)を潤滑性付与剤(B2)(0.2g)に変更し、更に酢酸イソペンチル(130.0g)を酢酸ブチル(130.0g)に変更する以外は、例1と同様にして被覆用組成物(Q9)を調製し、この(Q9)を用いて例1と同様の手順でサンプル9を得た。
[初期ヘイズ]
サンプルについて、4ヵ所のヘイズ(%)をヘイズメータで測定し、その平均値を算出した。
[耐磨耗性]
ISO9352における耐磨耗試験法により、2つのCS−10F磨耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ500回転させた時のヘイズをヘイズメータにて測定した。ヘイズの測定は磨耗輪のサイクル軌道の4ヶ所で行い、平均値を測定した。耐磨耗性は、(磨耗試験後ヘイズ)−(初期ヘイズ)の値(%)を示す。
[密着性]
サンプル表面に剃刀により1mm間隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個のます目を作り、市販のセロハンテープ(ニチバン社製)をよく密着させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被膜が剥離せずに残存した碁盤目の数(個)を表した。
[表面潤滑性]
初期サンプル及び耐湿試験後(60℃、湿度95%の雰囲気で7日間保存した後)のサンプルについて、サンプルの表面の動摩擦係数を以下の手順で測定した。動摩擦係数は、下記の条件において、荷重を水平に移動するのに必要な滑り片の重さ(g)を測定し「該重さ/荷重」として求めた。
試験パッド:セルロース製の不織布(旭化成社製、商品名「ベンコット」)、
荷重:500g(接触面積50mm×100mm)、
移動距離:20mm、
移動速度:10mm/分、
試験環境:25℃、相対湿度45%。
[リサイクル性]
各例において、100枚の同一サンプルをスピンコーターにて作成した。その際、基板に塗布されず、振り落とされた被覆用組成物を回収した。サンプル1枚に1gの被覆用組成物を注ぎ、約0.9gの被覆用組成物を回収した。初期及び回収した被覆用組成物の固形分及び溶媒組成を分析した。溶媒組成はガスクロマトグラフィー法により同定した。さらに回収した被覆組成物におけるシリカ凝集物の有無を確認した。
Figure 2005008878
Figure 2005008878
表1記載の評価項目においては、例4は耐磨耗性が著しく低いが、これは上記乾燥工程で被膜中に溶媒の成分であるクレゾールが残存し、被膜を可塑化しているためである。
表2より、以下のことがわかる。Q3は単一溶媒系であるが、低沸点のため揮発分が多く、コロイダルシリカの凝集が生じ、被覆用組成物のリサイクル使用は困難である。また、Q4は、溶媒に高沸点の化合物を含み、溶媒を構成する化合物の各沸点及び蒸気圧の違いから溶媒組成が初期と変わっており、初期の組成に戻すことはプロセス上煩雑であり、被覆用組成物のリサイクル使用は事実上困難である。Q8、Q9は、溶媒に低沸点の化合物を含み、コロイダルシリカの凝集が生じ、被覆用組成物のリサイクル使用は困難である。一方、Q1、Q2、Q5、Q6、Q7についてはコロイダルシリカの凝集も見られず、固形分の再調整のみで被覆用組成物のリサイクル使用が可能であった。
基材の表面に本発明の被覆用組成物の硬化物からなる被膜を有する成形品は、自動車用樹脂窓の昇降部位、ディスプレイ、光ディスク等として好適である。

Claims (5)

  1. 活性エネルギー線硬化性の重合性単量体(A)100質量部、潤滑性付与剤(B)0.01〜10質量部、活性エネルギー線重合開始剤(C)0.1〜10質量部、コロイダルシリカ(D)0.1〜500質量部(固形分換算)及び沸点が100℃以上200℃以下の1又は2以上の化合物からなる有機溶媒(E)を含有する被覆用組成物。
    ただし、前記潤滑性付与剤(B)は、下記式1〜5で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−1)、下記式6〜8で表される部分からなる群から選択される少なくとも1つを有する部位(b−2)及び活性エネルギー線硬化性の官能基(b−3)を有する。
    −(SiRO)− ・・・式1
    −(CFCFO)− ・・・式2
    −(CFCF(CF)O)− ・・・式3
    −(CFCFCFO)− ・・・式4
    −(CFO)− ・・・式5
    (式1中、R、Rは独立に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8の含フッ素アルキル基又はフェニル基のいずれかであり、mは1〜1000の整数である。式2〜5中、n、p、q及びrはそれぞれ1〜100の整数である。)
    −R− ・・・式6
    −(CHCHO)−(CHCH(CH)O)− ・・・式7
    −(C(=O)C2uO)− ・・・式8
    (式6中、Rは炭素数6〜20のアルキレン基である。式7中、xは0〜100、yは0〜100であって、5≦x+y≦100を満たす整数である。式8中、uは3〜5の整数であり、tは1〜20の整数である。)
  2. 前記有機溶媒(E)を構成する2以上の化合物の各沸点の差は30℃以内である請求項1に記載の被覆用組成物。
  3. 前記有機溶媒(E)を構成する化合物がエステル系化合物である請求項1又は2に記載の被覆用組成物。
  4. 前記有機溶媒(E)を構成する化合物が酢酸ペンチルである請求項1又は2に記載の被覆用組成物。
  5. プラスチック基材の表面上に、請求項1〜4のいずれか一つに記載の被覆用組成物の硬化物からなる厚さ0.1〜50μmの被膜を有するプラスチック成形品。
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