JP2009197210A - エーテル化合物および潤滑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材への定着性が高く、かつ塗膜としたときの表面の摩擦係数が低いエーテル化合物および潤滑剤を提供する。
【解決手段】(X−)Yで表される化合物および該化合物を含む潤滑剤。XはHOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)−であり、Yは下式(Y−1)で表される基であり、dは1〜200の整数である。
[化1]
Figure 2009197210

【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑剤等として有用なエーテル化合物に関する。
ペルフルオロ化されたポリエーテル構造を有する化合物(以下、PFPEと記す。)は、磁気記録媒体の表面に適用する潤滑剤等として用いられている(非特許文献1)。
該潤滑剤としては、従来から分子の末端に2つのCHOH基を有するPFPEが汎用されている。
また、潤滑剤等として有用なPFPEまたはその組成物として、本出願人は下記のものを提案している。
(1)3つのCHOH基を有するPFPE、または2つのCHOH基と1つのCF基とを有するPFPE(特許文献1)。
(2)分子量の異なる2種のPFPEを含むエーテル組成物(特許文献2)。
近年、磁気記録媒体の記録密度の増大に伴い、磁気記録媒体と記録素子との間の空隙の狭化および磁気記録媒体の回転の高速化が進んでいる。そのため、磁気記録媒体の表面に塗布される潤滑剤の使用環境は、より厳しいものとなっている。そこで、該潤滑剤には、下記のことが要求されている。
(i)磁気記録媒体の高速化に伴い、磁気記録媒体への定着性が高いこと。
(ii)磁気記録媒体に記録素子が接触した際の衝撃を分散するために、塗膜としたときの表面の摩擦係数が低いこと。
しかし、従来提案されてきたPFPEは、上記の要求に対して、充分な性能を発揮するものではなかった。
「月刊トライボロジ」、1995年、第99巻、11月号、p.37−38 国際公開第2005/068534号パンフレット 国際公開第2007/013412号パンフレット
本発明は、基材への定着性が高く、かつ塗膜としたときの表面の摩擦係数が低いエーテル化合物および潤滑剤を提供する。
本発明のエーテル化合物は、下式(A)で表される化合物である。
(X−)Y ・・・(A)。
ただし、Xは、下式(X2)で表される基であり、Yは、下式(Y−1)で表される基(ただし、dは、1〜200の整数である。)である。
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)− ・・・(X2)。
Figure 2009197210
本発明の潤滑剤は、式(A)で表される化合物を含むことを特徴とする。
本発明の潤滑剤は、式(A)で表される化合物、および、式(A)で表される化合物以外の含フッ素エーテル化合物を含むものであってもよい。
式(A)で表される化合物以外の含フッ素エーテル化合物は、下式(A16)で表される化合物であることが好ましい。
(X−)Y ・・・(A16)。
ただし、Xは、下式(X1)で表される基であり、Yは、前記式(Y−1)で表される基(ただし、dは、1〜200の整数である。)である。
HOCHCFO(CFCFO)− ・・・(X1)。
化合物(A)の量は、潤滑剤中に0.1〜100質量%であることが好ましい。
本発明のエーテル化合物は、基材への定着性が高く、かつ塗膜としたときの表面の摩擦係数が低い。
本発明の潤滑剤は、基材への定着性が高く、かつ塗膜としたときの表面の摩擦係数が低い。
本明細書においては、式(A)で表される化合物を化合物(A)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
また、式(X2)で表される基を基(X2)と記す。他の式で表される基も同様に記す。
本発明のエーテル化合物は、化合物(A)である。
(X−)Y ・・・(A)。
は、基(X2)である。基(X2)は、水酸基を2つ有するため、基材への定着性の向上に寄与する。特に、高湿環境下および長期の使用条件下における密着性およびその耐久性の点で優れる。
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)− ・・・(X2)。
dは、3〜100の整数が好ましく、5〜50の整数がより好ましい。
1分子中に複数の基(X2)が存在する場合、それぞれdの数が同一である基であってもよく、dの数が異なる基であってもよい。
Yは、基(Y−1)である。基(Y−1)を有する化合物は、安価に入手可能なジグリセリンを出発原料とするため製造しやすい。また、基(Y−1)自体が化学的に安定な構造であり、かつ、化合物の結晶性を低下させる構造である利点を有する。さらに基(Y−1)に結合する基(X2)としてほぼ同一の基(X2)を有する化合物(A)が得やすい利点がある。
Figure 2009197210
化合物(A)は、国際公開第2005/068534号パンフレットに記載の方法によって化合物(A16)を得た後、化合物(A16)のOH基に、2,3−エポキシ−1−プロパノールを反応させることにより製造できる。
化合物(A16)と2,3−エポキシ−1−プロパノールとの反応は、水酸基と2,3−エポキシ−1−プロパノールとの反応で用いられる公知の反応条件にしたがって実施できる。本発明においては、化合物(A16)中のOH基の全てに2,3−エポキシ−1−プロパノールを反応させることが好ましいことから、化合物(A16)中のOHの総モル量に対する2,3−エポキシ−1−プロパノール量は、0.9〜1.2倍モルとするのが好ましく、0.95〜1.05倍モルとするのが好ましい。また反応においてはアルコキシド化触媒を存在させるのが好ましい。アルコキシド化触媒としては、アルカリ金属アルコキシドが好ましく、t−ブトキシカリウムが特に好ましい。アルコキシド化触媒の量は、化合物(A16)中の水酸基の総モル量に対し0.2〜1.2倍モルとするのが好ましく、0.5〜1.0倍モルとするのが好ましい。
反応においては反応溶媒を存在させるのが好ましい。反応溶媒はこれらを溶解または懸濁する溶媒が好ましく、アルコキシド化触媒の溶解性の点からアルコール類が特に好ましい。さらに、アルコキシド化触媒としては、アルカリ金属アルコキシドを用いる場合には、アルカリ金属アルコキシドのアルコキシド部分が共通する構造であるアルコール類を用いるのが好ましい。たとえば、t−ブトキシカリウムを用いる場合には、アルコール類としてt−プチルアルコールを用いるのが好ましい。
反応の温度は、50〜80℃が好ましい。反応時間は、2〜24時間が好ましい。反応時間が長すぎる、または、反応条件が厳しすぎると、2,3−エポキシ−1−プロパノールが2モル以上付加した生成物を生じるおそれがある。よって、1モル付加反応が終了した後は、速やかに後処理を行い、反応生成物を得るのが好ましい。後処理としては、希塩酸水溶液で中和する方法が好ましく、該中和により、反応を停止させうる。
本発明の潤滑剤は、化合物(A)を含む潤滑剤である。
本発明の潤滑剤は、化合物(A)のみからなっていても、化合物(A)と化合物(A)以外の化合物(以下、他の化合物とも記す。)からなっていてもよい。化合物(A)の量は、潤滑剤中に0.1〜100質量%が好ましく、1〜90質量%が特に好ましい。
他の化合物としては、含フッ素エーテル化合物が好ましい。すなわち、本発明の潤滑剤としては、化合物(A)の1種からなる、または、化合物(A)と化合物(A)以外の含フッ素エーテル化合物(以下、他の含フッ素エーテル化合物とも記す。)の1種または2種以上からなる、のが好ましい。
他の含フッ素エーテル化合物としては、化合物(A)中の基(X2)の一部または全部が、下記基(X1)である化合物が挙げられる。ただし、dは、1〜200の整数であり、3〜100の整数が好ましく、5〜50の整数がより好ましい。
HOCHCFO(CFCFO)− ・・・(X1)。
化合物(A)中の基(X2)の一部または全部が、下記基(X1)である化合物としては、下記化合物(A13)、下記化合物(A14)、下記化合物(A15)および下記化合物(A16)が挙げられる(以下、これら4つの化合物をまとめて化合物(A13)〜(A16)と記す。)。
(X−)(X−)Y ・・・(A13)、
(X−)(X−)Y ・・・(A14)、
(X−)(X−)Y ・・・(A15)、
(X−)Y ・・・(A16)。
ただし、Xは、基(X2)であり、Xは、基(X1)であり、Yは、基(Y−1)である。
1分子中に基(X1)または基(X2)が複数存在する場合、それぞれdの数が同一である基であってもよく、dの数が異なる基であってもよい。
化合物(A13)、化合物(A14)、および化合物(A15)は、化合物(A)の製造工程において、化合物(A)とともに生成しうる化合物である。
他の含フッ素エーテル化合物の別の例としては、末端にCF基を有する含フッ素エーテル化合物であり、化合物(A)の基(X2)の一部または全部が、末端にCF基を有する基に変わった化合物であり、残余の基(X2)が存在する場合においては、該基(X2)の一部または全部が、前記基(X1)に変わっていてもよい化合物が挙げられる。
末端にCF基を有する含フッ素エーテル化合物としては、下記化合物(A2)、下記化合物(A3)および下記化合物(A4)が挙げられる。
(X−)Y−Z ・・・(A2)、
(X−)Y(−Z) ・・・(A3)、
X−Y(−Z) ・・・(A4)。
ただし、Xは、基(X1)または基(X2)であり、Yは、基(Y−1)であり、Zは、基(Z)である。
CF(CFO(CFCFO)− ・・・(Z)。
基(X)について:
1分子中に複数の基(X)が存在する場合、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。基(X)のうち少なくとも1つは基(X2)であることが好ましく、すべての基(X)が基(X2)であることが特に好ましい。
基(Z)について:
sは、0〜19の整数であり、0〜15の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましい。
gは、3〜200の整数であり、3〜100の整数が好ましく、3〜70の整数がより好ましく、5〜50の整数が特に好ましい。
基(Z)が同一の基であるとは、sの数が同一であり、gの数は同一であっても異なってもよい基をいう。基(Z)は同一の基からなるのが好ましい。
基(Z)は、摩擦係数の低下に寄与する基であり、CF基の分子的な自由度が高くなる点から、ある程度の鎖長を有することが好ましく、基(Z1)、基(Z2)または基(Z3)がより好ましい。
CFO(CFCFO)− ・・・(Z1)、
CF(CFO(CFCFO)− ・・・(Z2)、
CF(CFO(CFCFO)− ・・・(Z3)。
他の含フッ素エーテル化合物の別の例としては、潤滑剤(以下、他の潤滑剤という。)として使用されうる公知ないしは周知含フッ素エーテル化合物である。
他の潤滑剤としては、本発明者によるWO2004/035656号パンフレット、WO2005/068534号パンフレット、WO2007/013412号パンフレット、WO2006/011387号パンフレット等に記載される含フッ素エーテル化合物および潤滑剤が挙げられる。
また末端にOH基を有する他の潤滑剤、末端に紫外線吸収基を有する他の潤滑剤として、つぎの例が挙げられる。
<末端にOH基を有する他のPFPEの例>
FOMBLIN Z−DiOL、FOMBLIN Z−TetraOL、DEMNUM SA等。
<末端に紫外線吸収基を有する他のPFPEの例>
FOMBLIN Z−DIAC、FOMBLIN Z−DEAL、FOMBLIN AM2001、FOMBLIN Z−DISOC、DEMNUM SH、MorescoA20H等。
さらに、他の潤滑剤としては、数平均分子量が1000〜10000であるものを用いるのが好ましい。
本発明の潤滑剤が、化合物(A)を主たる潤滑成分として用いる場合の化合物(A)の量は、潤滑剤中に50〜100質量%であるのが好ましく、70〜100質量%であるのが特に好ましい。
また、本発明の潤滑剤が、他の潤滑剤を主たる潤滑成分とし、これに化合物(A)を添加することにより用いる場合の化合物(A)量は特に限定されず、通常の場合には、潤滑剤中に0.1質量%以上とするのが好ましく、0.1〜50質量%とするのが特に好ましい。
潤滑剤が他の含フッ素エーテル化合物を含む場合の該化合物としては、化合物(A16)が好ましい。また化合物(A16)とともに、少量の化合物(A13)〜(A15)および化合物(A2)〜(A4)を含むのが好ましい。これらの化合物は、それぞれ1種または2種以上の化合物からなっていてもよく、化合物(A13)〜(A16)および化合物(A2)〜(A4)はそれぞれ1種の化合物からなるのが好ましい。
他の含フッ素エーテル化合物の具体例を説明する。ただし、式中の記号の意味は前記と同じ意味を示す。
化合物(A2)としては、化合物(A21)または化合物(A22)が好ましい。
{HOCHCFO(CFCFO)−}Y−(OCFCFO(CFCF ・・・(A21)、
{HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)−}Y−(OCFCFO(CFCF ・・・(A22)。
化合物(A3)としては、化合物(A31)または化合物(A32)が好ましい。
{HOCHCFO(CFCFO)−}Y{−(OCFCFO(CFCF ・・・(A31)、
{HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)−}Y{−(OCFCFO(CFCF ・・・(A32)。
化合物(A4)としては、化合物(A41)または化合物(A42)が好ましい。
HOCHCFO(CFCFO)−Y{−(OCFCFO(CFCF ・・・(A41)、
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)−Y{−(OCFCFO(CFCF ・・・(A42)。
化合物(A2)としては、化合物(A2−1a)および/または化合物(A2−1b)から選ばれる化合物が好ましく、化合物(A3)としては、化合物(A3−1a)〜化合物(A3−1d)から選ばれる化合物が好ましく、化合物(A4)としては、化合物(A4−1a)および/または化合物(A4−1b)から選ばれる化合物が好ましい。
Figure 2009197210
ただし、式中のXおよびZは、前記と同じ意味を示す。
さらに、本発明の潤滑剤が、末端にCF基を有する化合物を含む場合には、潤滑剤中のCF基とOH基との割合を調節するこことにより、潤滑剤の摩擦係数と定着率を変化させうる。たとえば、本発明者らの知見によれば、末端にCF基を有する化合物の割合が大になるとブリードアウトしやすくなる傾向がある。また末端にCF基を有する化合物が少ないと潤滑財の摩擦係数が大になる傾向がある。
本発明の潤滑剤が、他の含フッ素エーテル化合物を含む場合において、該化合物は、少なくとも末端に1以上の水酸基を有する化合物であるのが好ましい。たとえば、化合物(A5)を含まないのが好ましい。化合物(A5)は、ブリードアウトの原因となりうるだけでなく、潤滑剤として塗布した場合に、潤滑剤の膜圧の低下の原因となりうる。化合物(A5)を含まないとは、全く含まれていないか、含まれていたとしても、高速液体クロマトグラフィ(以下、HPLCと記す。)で定量する含有量が2.0質量%以下であることを意味する。
Y(−Z) ・・・(A5)。
本発明の潤滑剤が化合物(A5)を含まない場合には、ブリードアウトを抑制でき、基材に対する潤滑剤の定着性を高くできる。化合物(A5)は、後述する精製方法により潤滑剤から除去することが好ましい。
本発明の潤滑剤の数平均分子量(以下、Mnと記す。)は、500〜1000000が好ましく、500〜100000がより好ましく、1000〜20000が特に好ましい。
本発明の潤滑剤の分子量分布(以下、Mw/Mnと記す。)は、1.01〜1.5が好ましく、1.01〜1.25がより好ましい。
MnおよびMw/Mnが該範囲にあれば、粘度が低く、蒸発成分が少なく、溶媒に溶解した際の均一性に優れる。
Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、GPCと記す。)により測定される。Mw/Mnは、GPCにより測定されたMnおよびMw(質量平均分子量)から求める。
他の含フッ素エーテル化合物の好ましい態様であり、かつ化合物(A)の製造原料でもある化合物(A16)は、国際公開第2005/068534号パンフレットに記載の方法における製造原料を化合物(A16)に対応する化学構造を有する原料に変更することにより製造できる。
具体的には、国際公開第2005/068534号パンフレットに記載する、エステル化、液相フッ素化、エステル分解反応によって末端がCOFである化合物を得る。つぎに、(方法1−1)該末端がCOFである化合物を、アルコール類または水と反応させて末端をエステルまたはカルボン酸とした後に還元することによる方法;または(方法1−2)該末端がCOFである化合物を、アルコール類とエステル交換することにより末端をエステル化した後に還元することによる方法または水と反応させて末端をエステルまたはカルボン酸とした後に還元することによる方法;により製造できる。このうち、本発明の化合物においては、方法1−2に記載するエステル交換による方法を採用するのが、生産効率の点から好ましい。
また、化合物(A16)を製造する際の生成物は、化合物(A16)以外の化合物を副生成物として含む反応生成物であってもよい。たとえば、化合物(A16)を、液相フッ素化反応を経る方法により製造する場合で、かつ液相フッ素化反応の条件が厳しい場合、分子の末端の切断反応が起こり、基(Z)と基(X1)を併有する化合物が生成することがある。
これらの副生成物を含むままで2,3−エポキシ−1−プロパノールを反応させた場合には、基(X1)のみを有する化合物からは、基(X2)のみを有する化合物とともに、基(Z)と基(X1)を併有する化合物の基(X1)に、2,3−エポキシ−1−プロパノールが反応することにより、基(Z)と基(X2)を併有する化合物(A2)〜(A4)が生成する。また、2,3−エポキシ−1−プロパノールが一部の基(X1)にのみ反応した場合には、基(X1)と基(X2)を併有する化合物と、基(Z)と基(X2)と基(X1)を併有する化合物も生成しうる。
なお、液相フッ素化反応におけるフッ素ガス濃度が高濃度になると、基(Z)の生成割合が高くなる傾向があるため、化合物(A5)の生成を抑制したい場合には、フッ素ガス濃度は5.0〜50体積%が好ましく、10〜30体積%がより好ましい。
反応により生成した生成物は、必要により精製工程を行い、不用な化合物を精製により除くことが好ましい。
精製方法としては、イオン吸着ポリマーによって金属不純物、陰イオン不純物等を除去する方法、超臨界抽出法、カラムクロマトグラフィ法が挙げられ、これらを組み合わせた方法が好ましい。
本発明の潤滑剤の使用においては、該潤滑剤を溶媒に溶解または分散させた溶媒組成物として用いることが好ましい。
溶媒としては、ペルフルオロアミン類(ペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等。)、ペルフルオロアルカン類(バートレルXF(デュポン社製)等。)またはヒドロフルオロエーテル類(AE−3000(旭硝子社製)等。)が好ましく、オゾン破壊係数が低い点から、ヒドロフルオロエーテル類がより好ましい。
溶媒組成物は、溶液、懸濁液または乳化液のいずれであってもよく、溶液が好ましい。
溶媒組成物中の本発明の潤滑剤の濃度は、0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましい。
溶媒組成物には、本発明の潤滑剤および溶媒以外の成分(以下、他の成分と記す。)が含まれていてもよい。
溶媒組成物を潤滑剤として用いる場合の他の成分としては、ラジカルスカベンジャー(たとえば、X1p(Dow Chemicals社製)等。)等が挙げられる。
溶媒組成物は、所望の性能を達成できないおそれがあることから、金属イオン類、陰イオン類、水分、低分子極性化合物等を含まないことが好ましい。
金属イオン類(Na、K、Ca、Al等。)は、陰イオンと結合してルイス酸触媒を生成し、PFPEの分解反応を促進する場合がある。陰イオン類(F、Cl、NO、NO、PO、SO、C等。)および水分は、基材の表面を腐食させる場合がある。よって、溶媒組成物中の含水率は、2000ppm以下が好ましい。低分子極性化合物(アルコール類;樹脂から溶出する可塑剤等。)は、基材と塗膜との接着性を低減させる場合がある。
本発明の潤滑剤を、磁気ディスク用の潤滑剤として用いる場合には、公知の潤滑剤の使用方法を適用できる。たとえば、磁気ディスク用の基板表面への塗布方法としては、ロールコート法、キャスト法、ディップコート法(浸漬法)、スピンコート法、水上キャスト法、ダイコート法、ラングミュア・プロジェット法、真空蒸着法等が挙げられ、ディップコート法、スピンコート法または真空蒸着法が好ましい。
基板としては、NiPメッキされた基板(アルミニウム、ガラス等。)上に、下地層、記録層、カーボン保護膜を順に有するものが挙げられる。
カーボン保護膜の厚さは、5.0nm以下が好ましく、カーボン保護膜の平均表面粗さ(Ra)は、2.0nm以下が好ましい。
潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成させた磁気ディスクにおいては、吸着処理を行い、潤滑剤をカーボン保護膜の表面に強固に吸着させるのが好ましい。
吸着処理としては、加熱処理、赤外線照射処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が挙げられ、加熱処理または紫外線照射処理が好ましく、加熱処理がより好ましい。さらに、吸着処理後の磁気ディスクを、付着物の除去、余剰の潤滑剤の除去を目的に、フッ素系溶媒にて洗浄してもよい。
吸着処理後の潤滑剤塗膜の表面は、高い撥水性を有することから、たとえ高温、高湿度下に置いたとしても、水分の磁気ディスク内部への侵入が防止され、長期間にわたり高い潤滑性を維持できる。
本発明の潤滑剤においては、吸着処理後の定着率は、60%以上となりうる。該定着率は、65%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。
また、本発明の潤滑剤で処理した磁気ディスクの表面における水の接触角(室温)は、80°以上になりうる。該接触角は、85°以上が特に好ましい。
本発明の潤滑剤から形成される塗膜の厚さは、記録密度の向上の点、耐久性の点から、5.0nm以下が好ましく、3.0nm以下がより好ましく、2.0nm以下が特に好ましい。
本発明の潤滑剤は、磁気ディスク用基板以外の潤滑剤として用いてもよい。
本発明の潤滑剤から得られた塗膜は、透明であり、屈折率が低く、または耐熱性もしくは耐薬品性に優れる。また、塗膜は、高い潤滑性を保持し、かつ自己修復性を有する。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。例1〜15は製造中間体の合成例および評価例であり、例16〜20は本発明の化合物(A)および潤滑剤の合成例および評価例である。
なお、実施例において、
テトラメチルシランをTMS、
CClFCClFをR−113、
ジクロロペンタフルオロプロパンをR−225、
CClFCClFCFOCFCClFをCFE−419、
ヘキサフルオロイソプロピルアルコールをHFIP、
イソプロピルアルコールをIPAと略記する。
また、実施例における分析は、それぞれ室温(25℃)にて行った。
(NMR分析)
H−NMR(300.4MHz)の基準物質としては、TMSを用いた。
19F−NMR(282.7MHz)の基準物質としては、CFClを用いた。
溶媒としては、特に記載しない限り、R−113を用いた。
(HPLC分析)
組成物に含まれる化合物の組成比を、HPLC装置(島津製作所社製、Prominence)を用い、下記の条件にて測定した。具体的には、分析1サイクルにて、移動相中のHFIPの濃度を0%から100%に徐々に増加させ、組成物に含まれる化合物を、OH基の数の少ない化合物から順に分離し、質量比を分析した。
分析カラム:順相系シリカゲルカラム(ワイエムシー社製、SIL−gel)、
移動相:R−225(旭硝子社製、アサヒクリンAK−225G)およびHFIP、
移動相流速:1.0mL/分、
カラム温度:37℃、
検出器:蒸発光散乱検出器。
(GPC分析)
特開2001−208736号公報に記載の方法にしたがって、下記の条件にてGPCによりMnおよびMwを測定し、Mw/Mnを求めた。
移動相:R−225(旭硝子社製、アサヒクリンAK−225SECグレード1)とHFIPとの混合溶媒(R−255/HFIP=99/1体積比)、
分析カラム:PLgel MIXED−Eカラム(ポリマーラボラトリーズ社製)を2本直列に連結したもの、
分子量測定用標準試料:Mw/Mnが1.1未満であり、分子量が2000〜10000のペルフルオロポリエーテルの4種およびMw/Mnが1.1以上であり、分子量が1300のペルフルオロポリエーテルの1種、
移動相流速:1.0mL/分、
カラム温度:37℃、
検出器:蒸発光散乱検出器。
(接触角)
潤滑剤塗膜の表面における接触角は、接触角計(Face社製、CA−X)を用いて測定した。潤滑剤塗膜の表面に、約2μLの水滴またはヘキサデカンを5滴置き、接触角を測定し、5つの値の平均値を求めた。
(摩擦係数)
潤滑剤塗膜の表面の摩擦係数は、摩擦測定器(Heidon社製、Tribogear)を用いて測定した。接触子としてはφ10mmのSUS球を用い、荷重2g、回転数25rpmにて測定した。
(付着性試験)
摩擦係数測定試験後の接触子表面を光学顕微鏡で観察した。接触部4箇所を確認し、潤滑剤付着の有無を確認し、つぎの基準で評価した。○は、付着が認められない;△は、1〜3箇所に付着がある;×は、4箇所に付着がある。
(金属イオン分析)
各画分の1.0gについて、灰化−誘導結合プラズマ質量分析法により金属イオンの含有量を測定した。
(陰イオン分析)
各画分の1.0gおよび超純水の30gを、あらかじめ希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄したポリテトラフルオロエチレン製のボトルに投入し、24時間攪拌して調製した試料について、水抽出−イオンクロマトグラフ法により陰イオンの含有量を測定した。
(含水率)
各画分の含水率を、カールフィッシャー電量滴定法にて測定した。
〔例1〕
国際公開第2005/068534号パンフレットの実施例の例11に記載の方法において、ポリオキシエチレングリセロールエーテル(日本油脂社製、ユニオックスG1200)を、ジグリセリン開始ポリオキシエチレングリセロールエーテル(坂本薬品工業社製、SC−E1500)に変更した以外は、同様に反応を実施した。ジグリセリン開始ポリオキシエチレングリセロールエーテルに、FCOCF(CF)OCFCF(CF)O(CFFを反応させ、室温で液体の化合物(B−1)を得た。NMR分析の結果、化合物(B−1)の(h+i+j+k)の平均値は37.0であり、Rは−CF(CF)OCFCF(CF)OCFCFCFであり、Mnは2600であり、Mw/Mnは1.15であった。
Figure 2009197210
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):3.4〜3.8,4.5。
19F−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):−76.0〜−81.0,−81.0〜−82.0,−82.0〜−82.5,−82.5〜−85.0,−128.0〜−129.2,−131.1,−144.7。
〔例2〕
国際公開第2005/068534号パンフレットの実施例の例2−1に記載の方法において、R−113をCFE−419に変更し、液相に吹き込むガスに含まれるフッ素ガス濃度を20体積%から、10体積%に変更した以外は同様に液相フッ素化反応を行った。生成物は、化合物(C−1)を主成分とし、化合物(B−1)の水素原子の99.9モル%以上がフッ素原子に置換された組成物(c−2)であった。
組成物(c−2)において測定したNMRスペクトルは以下のとおりである。
Figure 2009197210
H−NMR δ(ppm):5.9〜6.4。
19F−NMR δ(ppm):−55.8,−77.5〜−86.0,−88.2〜−92.0,−120.0〜−139.0,−142.0〜−146.0。
〔例3〕
国際公開第2005/068534号パンフレットの実施例の例3に記載の方法にしたがって、組成物(c−2)においてエステル分解反応を行い、化合物(D−1)を主成分とする組成物(d−2)を得た。
Figure 2009197210
〔例4〕
〔例4−1〕
国際公開第2005/068534号パンフレットの実施例の例4−1に記載の方法にしたがって、組成物(d−2)とエタノールを反応させることによるエステル化反応を行った。化合物(E−1)を主成分とする組成物(e−2)を得た。該組成物(e−2)を例5の反応に用いた。
〔例4−2〕
国際公開第2005/068534号パンフレットの実施例の例4−2に記載の方法にしたがって、組成物(d−2)とエタノールを反応させることによるエステル交換反応を行い、化合物(E−1)を主成分とする組成物を得た。
Figure 2009197210
〔例5〕
国際公開第2005/068534号パンフレットの実施例の例5に記載の方法において、組成物(e−2)の還元反応を行い、化合物(A16−1)を主成分とする組成物(a−2)を得た。
NMR分析およびHPLC分析からは、得られた組成物(a−2)中には、
3つのOH基末端と1つのCF基末端を有する化合物(A21−1a)および化合物(A21−1b)から選ばれる少なくとも1種(以下、化合物(A21−1)と記す。)、
2つのOH基末端と2つのCF基末端を有する化合物(A31−1a)、化合物(A31−1b)、化合物(A31−1c)および化合物(A31−1d)から選ばれる少なくとも1種(以下、化合物(A31−1)と記す。)、および
1つのOH基末端と3つのCF基末端を有する化合物(A41−1a)および化合物(A41−1b)から選ばれる少なくとも1種(以下、化合物(A41−1)と記す。)が含まれていることが示された。
Figure 2009197210
組成物(a−2)のNMRスペクトルのパターン:
H−NMR δ(ppm):3.94。
19F−NMR δ(ppm):−54.0,−80.1,−88.2〜−90.5,−135.0〜−139.0。
組成物(a−2)について、NMR分析により、分子の末端のOH基と、分子の末端のCF基の比を求めた結果、CF/(OH+CF)値=(8/(92+8)=0.08であった。分子の末端のOH基と、分子の末端のCF基の比は、19F−NMRのCF基のフッ素原子に由来する−54.0〜−56.0ppm付近のピーク面積と、−CFCHOH基のCF基のフッ素原子に由来する−75.0〜-81.0ppm付近のピーク面積との比により求めた。
また、GPC分析により求めた組成物(a−2)のMnは2500、Mw/Mnは1.12であった。HPLCにより求めた組成比(質量比)は、化合物(A41−1)が1%、化合物(A31−1)が3%、化合物(A21−1)が24%、化合物(A16−1)が72%であり、化合物(A51−1)は含まれていなかった。
Figure 2009197210
〔例6〕
組成物(a−2)を下記のカラムクロマトグラフィ法により精製した。
粒状シリカゲル(エスアイテック社製、MS−Gel D75−120A)をR−225で希釈したものを、直径150mm、長さ500mmのカラムに充填し、高さ100mmのシリカゲル充填相を形成した。
組成物(a−2)の300gをシリカゲル充填相に投入した後、抽出溶媒(R−225とIPAとの混合溶媒)を用い、抽出溶媒中のIPAの濃度を徐々に高めながら分画操作を行い、画分(p1−1)〜(p1−5)を得た。抽出溶媒の量、抽出溶媒中のIPA濃度および画分の量を表1に示す。このうち画分(p1−4)を用いて、さらに精製を行うことにした。
Figure 2009197210
各画分について、HPLC分析およびGPC分析を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009197210
カラムクロマトグラフィ法による抽出では、極性の低い画分に化合物(A31−1)および化合物(A41−1)の割合が多く、極性の高いIPAの画分に化合物(A16−1)および化合物(A21−1)の割合が多くなっていることから、末端の水酸基数の影響を受けた溶出パターンとなった。
〔例7〕
画分(p1−4)を下記の超臨界抽出法により精製した。
入口および出口を有する肉厚のステンレス容器(内径φ33mm×深さ45mm)、超臨界二酸化炭素流体送液ポンプ(日本分光社製、SCF−201)、自動圧力調整弁(日本分光社製、880−81)、通常のカラムクロマトグラフィに用いるカラムオーブンを備えた装置を用意した。
画分(p1−4)の70gを容器内に注入し、超臨界二酸化炭素を液化二酸化炭素換算流量5.0cc/分で流した。容器内の温度を60℃に固定し、容器内の圧力を時間経過で変化させて、各圧力段階で分画し、画分(p2−1)〜(p2−7)を得た。容器内の圧力、該圧力の保持時間および画分の量を表3に示す。
Figure 2009197210
各画分について、HPLC分析、NMR分析およびGPC分析を行った。結果を表4に示す。超臨界抽出法による抽出では、分子量の影響を受け、分子量の少ないものから順に抽出された。
Figure 2009197210
各画分について、R−225、CF(CFH)CFCF(デュポン社製、バートレルXF)およびCFHCFOCHCF(旭硝子社製、AE−3000)に対する溶解性を調べた。画分の濃度が1質量%になるように画分と溶媒とをそれぞれ混合し、目視にて溶解性を確認した。結果、各画分は、すべて溶媒に溶解した。
〔例8〜11(参考例)〕
カーボンをターゲットとして用い、Ar雰囲気中で高周波マグネトロンスパッタにより、磁気ディスク用ガラスブランクス(旭硝子社製、2.5”ブランクス)にDLCを蒸着させてカーボン保護膜を製膜し、模擬ディスクを作製した。Arのガス圧は、0.003Torrであり、スパッタ中の投入電力密度は、ターゲット面積あたり3W/cmであった。カーボン保護膜の厚さは、30nmとした。カーボン保護膜の表面の水接触角は、40゜であった。
例7で得た画分(p2−1)、画分(p2−3)、画分(p2−4)、および画分(p2−5)を、それぞれバートレルXFで希釈して、画分の濃度が0.01質量%の溶媒組成物を調製した。
該溶媒組成物に模擬ディスクを30秒間浸漬し、6mm/秒の一定速度で引き上げた。溶媒組成物が塗布された模擬ディスクを恒温炉にて100℃で1時間熱処理し、潤滑剤塗膜を形成した。潤滑剤塗膜が形成されたディスクをバートレルXFに30秒浸漬して洗浄した。洗浄前後において潤滑剤塗膜の厚さをエリプソメータにて測定し、定着率を求めた。また、潤滑剤塗膜の表面の接触角、摩擦係数を測定し、付着性を評価した。結果を表5に示す。
〔例12〜14(参考例)〕
画分(p1−4)を、例7で得た画分(p2−6)、ソルベイ社製FOMBLIN Z−TetraOL(下記化合物(F1)、i/ii=1.0である。Mn:3000、Mw/Mn=1.23)、同FOMBLIN Z−Diol(下記化合物(F2)、i/ii=1.0である。Mn:4000、Mw/Mn=1.1)に変更したこと以外は、例8と同様にして模擬ディスクの表面に潤滑剤塗膜を形成し、例8と同様にして評価した。結果を表5に示す。
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFO)(CFCFO)ii−CFCHOCHCH(OH)CHOH ・・・(F1)。
HOCHCFO(CFO)(CFCFO)ii−CFCHOH ・・・(F2)。
Figure 2009197210
〔例15(参考例)〕
画分(p2−1)、画分(p2−3)、画分(p2−4)および画分(p2−5)について、金属イオン分析、陰イオン分析および含水率測定を行った。
〔例16〕
例1〜7を繰り返し行い、画分(p2−3)を収集し、100g以上の画分(p2−3)を得た。
窒素雰囲気下の丸底フラスコ(250mL)に、画分(p2−3)の100g、および2−メチル−2−プロパノールの100gを投入し、均一混合するまで撹拌した。丸底フラスコに、出口が20℃に保持され、かつ窒素ガスで置換された還流管を設置した。
つぎに、t−ブトキシドカリウムの10gを丸底フラスコに投入し、70℃に加熱して30分間撹拌した。さらに内温を70℃に保持して、2,3−エポキシ−1−プロパノールの6.6gを2時間かけて滴下し、12時間撹拌した。丸底フラスコを25℃に冷却し、窒素ガスで置換してから、0.2g/Lの塩酸の50mLを滴下して2層分離液を得た。該液の有機層を回収し、R−225の50mLを加えた溶液を、重曹水の500mLで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水してから、エバポレーターで溶媒を留去し、25℃で液体の薄黄色の組成物(a−4)の100.4gを得た。
組成物(a−4)について、NMR分析およびHPLC分析を行った。
画分(p2−3)中のCFCHOH基(以下、基(x−1)と記す。)の98モル%が、CFCHOCHCH(OH)CHOH基(以下、基(x−2)と記す。)に変換されたことが確認された。
組成物(a−4)中には、
すべての末端が基(x−2)に変換された化合物(A−1)、
1つの基(x−1)が残存した化合物(A13−1a)および化合物(A13−1b)から選ばれる少なくとも1種(以下、化合物(A13−1)と記す。)、
3つの基(x−2)と1つのCF基末端を有する化合物(A22−1a)、および
化合物(A22−1b)、
から選ばれる少なくとも1種(以下、化合物(A22−1)と記す。)が含まれていることが確認された。
Figure 2009197210
組成物(a−4)のNMRスペクトルのパターン:
H−NMR δ(ppm):3.5〜3.8、3.8〜4.0、4.0〜4.1。
19F−NMR δ(ppm):−54.0〜56.0,−75.0〜−81.0,−88.2〜−90.5,−135.0〜−139.0。
またGPC分析により求めた組成物(a−4)のMnは2500、Mw/Mnは1.13であった。HPLCにより求めた組成比(質量比)は、化合物(A−1)が67%、化合物(A13−1)が18%、化合物(A22−1)が15%であった。
〔例17〕
組成物(a−4)を、例7と同様の超臨界抽出法により精製し、画分(p3−1)〜(p3−3)を得た。容器内の圧力、該圧力の保持時間および画分の量を表6に示す。
Figure 2009197210
各画分について、HPLC分析およびGPC分析を行った。結果を表7に示す。また、画分(p3−3)について、NMR分析を行った。
Figure 2009197210
画分(p3−3)のNMRスペクトルのパターン:
H−NMR δ(ppm):3.5〜3.8、4.0〜4.1。
19F−NMR δ(ppm):−54.0〜56.0,−75.0〜−79.0,−88.2〜−90.5,−135.0〜−139.0。
各画分について、R−225、CF(CFH)CFCF(デュポン社製、バートレルXF)およびCFHCFOCHCF(旭硝子社製、AE−3000)に対する溶解性を調べた。画分の濃度が1質量%になるように画分と溶媒とをそれぞれ混合し、目視にて溶解性を確認した。結果、各画分は、すべて溶媒に溶解した。
さらに、得られた画分(p3−1)〜(p3−3)について金属イオン分析、陰イオン分析および含水率測定を測定した結果を表8に示す。画分(a−4)は、超臨界抽出を行う前の画分である。
Figure 2009197210
〔例18〜20(実施例)〕
画分(p1−4)を、例17で得た画分(p3−1)、画分(p3−2)および画分(p3−3)に変更する以外は、例8と同様にして模擬ディスクの表面に潤滑剤塗膜を形成し、例8と同様にして評価した。
得られた潤滑剤塗膜は、定着率が約80%以上となり、摩擦係数が約2以下となり、付着性試験は全てにおいて良好な結果を示した。また、高温高湿炉(60℃、80%湿度)に12時間保管した後も、付着性の劣化は見られなかった。模擬ディスクの表面の水に対する接触角が約85度以上であり、ヘキサデカンに対する接触角は約60度以上であった。
本発明のエーテル化合物は、潤滑剤等として有用である。

Claims (5)

  1. 下式(A)で表される化合物。
    (X−)Y ・・・(A)。
    ただし、
    は、下式(X2)で表される基であり、
    Yは、下式(Y−1)で表される基(ただし、dは、1〜200の整数である。)である。
    HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)− ・・・(X2)。
    Figure 2009197210
  2. 下式(A)で表される化合物を含む、潤滑剤。
    (X−)Y ・・・(A)。
    ただし、
    は、下式(X2)で表される基であり、
    Yは、下式(Y−1)で表される基(ただし、dは、1〜200の整数である。)である。
    HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)− ・・・(X2)。
    Figure 2009197210
  3. 式(A)で表される化合物、および、式(A)で表される化合物以外の含フッ素エーテル化合物を含む、請求項2に記載の潤滑剤。
  4. 式(A)で表される化合物以外の含フッ素エーテル化合物が、下式(A16)で表される化合物である、請求項3に記載の潤滑剤。
    (X−)Y ・・・(A16)。
    ただし、
    は、下式(X1)で表される基であり、
    Yは、前記式(Y−1)で表される基(ただし、dは1〜200の整数である。)である。
    HOCHCFO(CFCFO)− ・・・(X1)。
  5. 化合物(A)の量が、潤滑剤中に0.1〜100質量%である、請求項2〜4のいずれかに記載の潤滑剤。
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