JP2008152153A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリント動作終了後に定着部材の温度がオーバーシュートしてしまう不具合が生じることのない、定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリント動作後に、プリント動作時の目標温度(プリント時目標温度)よりも低い温度を駆動停止後の目標温度(待機時目標温度)として定着部材の温度が調整制御される。このような待機モード(待機時)において、プリント動作後に定着部材の駆動速度が減速されて、その後に定着部材が駆動停止するように制御される。
【選択図】図3

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、定着ベルトを用いたベルト定着方式の定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、定着部材として定着ベルトを用いた定着装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等において、ベルト定着方式の定着装置は、ヒータ(加熱手段)が内設された加熱ローラ、加熱ローラ等の複数のローラ部材に張架・支持された定着ベルト、定着ベルトを介してローラ部材に圧接してニップ部を形成する加圧ローラ、等で構成される。そして、定着ベルトと加圧ローラとの間(ニップ部である。)に記録媒体が搬送されて、記録媒体上のトナー像が定着される。このようなベルト定着方式の定着装置は、ローラ定着方式のものに比べて定着部材を低熱容量化できるために、装置の立ち上がり時間を短縮化できるものとして知られている。
また、特許文献1等には、トナー種類やトナー像の解像度に応じて、定着ベルトの駆動速度を可変する技術が開示されている。
一方、特許文献2等には、非接触型の温度検知手段(温度センサ)を用いた定着装置であって、制御上の目標温度に対するオーバーシュートや落ち込みを軽減することを目的として、目標温度を所定時間ごとに可変する技術が開示されている。
特開2002−49272号公報 特開2005−37446号公報
上述した従来のベルト定着方式の定着装置は、プリント動作終了後に定着部材の温度がオーバーシュート(過昇温)してしまう場合があった。
これは以下の理由によるものである。
定着ベルトは、熱容量が小さいために、加熱位置(加熱ローラに巻装された位置である。)の温度が最も高く、それ以外の位置の温度は低下しやすい。すなわち、定着ベルトは、加熱位置を頂点とする周方向(駆動方向)の温度分布(温度差)を有している。
さらに、ヒータ(加熱手段)に対向する加熱ローラの内周面と、定着ベルト表面と、には比較的大きな温度勾配(温度差)が生じてしまう。
これらの温度分布や温度勾配は、プリント動作中には定着ベルトの熱が記録媒体に奪われるために、さらに大きなものになる。そして、このような状態で、プリント動作後に定着ベルトを駆動停止して待機モード(プリント動作時の目標温度よりも低い目標温度にて定着ベルトの温度調整をおこなう制御である。)に入ると、熱平衡により加熱ローラの熱が定着ベルトに移動する。また、駆動停止時に定着ベルトの温度が待機時目標温度より低くなっている場合には、さらにヒータが点灯するのでその加熱分も加わり、定着ベルトの温度は目標温度よりも大幅に高くなってしまう(オーバーシュートしてしまう)。
このようにオーバーシュートが発生してしまうと、定着装置の構成部品に繰返しヒートサイクルがかかることになって、定着ベルトや定着補助ローラのゴム層が熱劣化したり、多層構造のローラ部材の接着層が剥離したり、加熱ローラが金属疲労したりしてしまう等の二次的な不具合が生じてしまう場合がある。
このような問題を解決するために、プリント終了後に定着ベルトを空駆動する方策も考えられる。しかし、その場合、定着ベルトを空駆動する駆動速度が速いと、かえって定着ベルトの放熱が促進されて、上述した温度分布や温度勾配が大きくなってしまう可能性がある。
一方、上述した特許文献1等の技術は、トナー種類やトナー像の解像度に応じて定着ベルトの駆動速度を可変することで良好な定着性を得ようとするものであって、上述した問題を直接的に解決するものではない。
また、上述した特許文献2等の技術は、非接触型の温度検知手段を用いた定着装置に特有の問題を解決するものであって、上述した問題を直接的に解決するものではない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、プリント動作終了後に定着部材の温度がオーバーシュートしてしまう不具合が生じることのない、定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材と、前記定着部材の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知温度に基いて前記定着部材を加熱する加熱手段と、を備え、プリント動作後に前記定着部材の駆動速度が減速されてその後に前記定着部材が駆動停止するように制御されるとともに、プリント動作時の目標温度よりも低い温度を駆動停止後の目標温度として前記定着部材の温度が調整制御されるものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記プリント動作後の前記定着部材の駆動速度の減速が多段階でおこなわれるように制御されるものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記プリント動作後の前記定着部材の駆動速度の減速がおこなわれているときに、前記加熱手段による前記定着部材の加熱が停止するように制御されるものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、プリント動作後に前記定着部材の駆動速度が減速されて、前記温度検知手段の検知温度が前記駆動停止後の目標温度に達したときに前記定着部材が駆動停止するように制御されるものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、プリント動作後に前記定着部材の駆動速度が減速されて、所定時間が経過したときに前記定着部材が駆動停止して、そのときの前記温度検知手段の検知温度を前記駆動停止後の目標温度の初期値として、その後に前記駆動停止後の目標温度が前記初期値から標準値に近づくように制御されるものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記定着部材は、複数のローラ部材によって張架された定着ベルトであって、前記加熱手段は、前記複数のローラ部材のうち少なくとも1つのローラ部材を加熱するものである。
また、この発明の請求項7記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、プリント動作後の待機モードにおいて定着部材の駆動速度を減速してその後に定着部材を駆動停止しているために、プリント動作終了後に定着部材の温度がオーバーシュートしてしまう不具合が生じることのない、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図5にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着部材としての定着ベルト、31は定着装置20に設置された加圧部材としての加圧ローラ、を示す。
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時(プリント動作時)の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラにより搬送された記録媒体P上に転写される。
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラの位置に達する。そして、レジストローラの位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ベルト21と加圧ローラ31との間に送入されて、定着ベルト21から受ける熱と双方の部材21、24から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着された記録媒体Pは、定着ベルト21と加圧ローラ31との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置20は、定着ベルト21、定着補助ローラ22、加熱ローラ23、加圧ローラ31、温度センサ40(温度検知手段)、ガイド板35、等で構成される。
ここで、定着部材としての定着ベルト21は、樹脂材料からなるベース層上に、弾性層、離型層が順次積層された多層構造の無端ベルトである。定着ベルト21の弾性層は、フッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性材料で形成されている。定着ベルト21の離型層は、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等で形成されている。定着ベルト21の表層に離型層を設けることにより、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保されることになる。定着ベルト21は、2つのローラ部材(定着補助ローラ22と加熱ローラ23とである。)に張架・支持されて、図2中の矢印方向に走行する。
定着部材として熱容量の低い定着ベルト21を用いることで、装置の昇温特性が向上する。
定着補助ローラ22は、SUS304等の芯金22a上に、フッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性層22bが形成されたローラ部材であって、加圧部材としての加圧ローラ31に定着ベルト21を介して当接してニップ部を形成する。定着補助ローラ22は、その両端軸部が定着装置20の側板に軸受を介して回転自在に固設されていて、駆動部によって図2中の時計方向に回転駆動される。
なお、本実施の形態1における駆動部は、定着補助ローラ22の回転速度を可変できるように構成されている。すなわち、定着ベルト21、定着補助ローラ22、加熱ローラ23、加圧ローラ31の駆動速度を可変できるように構成されている。
加熱ローラ23は、アルミニウム、鉄等の金属材料からなる薄肉の円筒体であって、その円筒体の内部には加熱手段としてのヒータ25(熱源)が固設されている。
加熱ローラ23のヒータ25は、ハロゲンヒータやカーボンヒータであって、その両端部が定着装置20の側板に固定されている。そして、装置本体1の交流電源(不図示である。)により出力制御されたヒータ25からの輻射熱によって加熱ローラ23が加熱されて、さらに加熱ローラ23によって加熱された定着ベルト21の表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に対向する温度検知手段としての温度センサ40によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。詳しくは、温度センサ40の検知結果に基づいて定められる通電時間だけ、ヒータ25に交流電圧が印加される。このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の目標温度(定着目標温度)に調整制御することができる。
なお、本実施の形態1では、温度センサ40(温度検知手段)として接触型のサーミスタを用いたが、温度センサ40として非接触型のサーモパイルを用いることもできる。
また、加圧ローラ31は、主として、芯金32と、芯金32の外周面に接着層を介して形成された弾性層33と、からなる。加圧ローラ31の弾性層33は、フッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の材料で形成されている。なお、弾性層33の表層にPFA等からなる薄肉の離型層を設けることもできる。
そして、加圧ローラ31は、不図示の加圧機構によって定着ベルト21を介して定着補助ローラ22に圧接する。こうして、加圧ローラ31と定着ベルト21との間に、所望のニップ部が形成される。
なお、装置の立ち上がり時間をさらに短縮化するために、加圧ローラ31の内部にヒータを設置することもできる。
定着ベルト21と加圧ローラ31との当接部(ニップ部である。)の入口側と出口側には、それぞれ、記録媒体Pの搬送を案内するガイド板35が配設されている。ガイド板35は、定着装置20の側板に固設されている。
また、図示は省略するが、定着ベルト21の外周面に対向する位置であって、ニップ部の出口側近傍には、分離板が配設されている。分離板は、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21の走行に沿って定着ベルト21に巻き付いてしまう不具合を抑止する。
上述のように構成された定着装置20は、次のように動作する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、交流電源からヒータ25に交流電圧が印加(給電)されるとともに、定着ベルト21(定着補助ローラ22、加熱ローラ23)及び加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動(通常の駆動速度による回転駆動である。)が開始される(ウォーミングアップである。)。
その後、制御部がプリント要求を受けると、プリント動作が実行される。すなわち、給紙部12〜14から記録媒体Pが給送されて、作像部4にて記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。そして、定着ベルト21による加熱と、定着ベルト21(定着補助ローラ22)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、回転する定着ベルト21及び加圧ローラ31によってそのニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
そして、プリント動作が終了すると、定着装置20は待機モードに入って、次のプリント動作に備えることになる(待機状態になる。)。すなわち、温度センサ40の検知温度に基いたヒータ25(交流電源)の制御によって、定着ベルト21の温度が、プリント動作時の目標温度(プリント時目標温度)よりも低い目標温度(待機時目標温度)になるように調整制御される。
以下、本実施の形態1において特徴的な、定着装置20の制御について説明する。
本実施の形態1では、図3を参照して、プリント動作が終了して上述した待機モードに入ったときに、まず、定着ベルト21(定着補助ローラ22)の駆動速度が減速される。なお、本実施の形態1では、このときの定着ベルト21の駆動速度が、プリント動作時の駆動速度(通常速度)の1/3に設定されている。
そして、定着ベルト21の低速度での駆動(装置の空駆動)が所定時間おこなわれた後に、定着ベルト21の駆動を停止する。
このような制御をおこなうことで、加熱ローラ23の内周面から定着ベルト21表面にかけての温度勾配が低減されるとともに、定着ベルト21の周方向の温度分布も温度差が小さくなって、オーバーシュートの発生が抑止される。
詳しくは、従来の制御では、図4に示すように、プリント動作(プリント時)から待機モード(待機時)に移行するときに、即座に定着ベルト21が駆動停止されていたために、待機モードの初期にオーバーシュートが生じていた(図4中のS部である。)。
これは、図5に示すように、ヒータ25に対向する加熱ローラ23の内周面と定着ベルト21表面とに比較的大きな温度勾配(温度差)が生じてしまうためである。すなわち、プリント動作直後に定着ベルト21を駆動停止して待機モードに入ると、定着ベルト21は熱容量が小さいために、熱平衡により加熱ローラ31の熱が定着ベルト21に移動して(図5中のW部の熱が矢印方向に移動して)、定着ベルト21の温度が加熱位置で局所的に過昇温してしまう。
また、定着ベルト21を駆動停止すると、加熱位置を頂点とする定着ベルト21の周方向の温度分布(温度差)も大きくなってしまう。
これに対して、本実施の形態1では、待機モードに入ったときに、所定時間だけ定着ベルト21を低速度で駆動しているために、加熱ローラ23の熱が定着ベルト21の周方向に均一に分散されることになる。これにより、図3に示すように、プリント動作から待機モードに移行したとき(低速駆動時である。)、定着ベルト21表面の温度変動は比較的緩やかなものになり、オーバーシュートの発生が抑止される。このとき、プリント終了後であって定着ベルト21の熱が記録媒体Pに奪われることがなくヒータ25の点灯率も下がるので、定着ベルト21の周方向の温度分布も比較的高低差のないものになる。
その後(低速駆動後)、定着ベルト21の駆動を停止したときに、図3中のA部に示すように、加熱ローラ23からの熱によって定着ベルト21の温度は若干上昇するものの、その上昇温度は待機時目標温度やプリント時目標温度に対してそれ程大きなものではない。
なお、本実施の形態1では、待機モード時の定着ベルト21の駆動速度を低速化しているために、定着ベルト21の駆動速度を通常速度にする場合に比べて、定着装置20の構成部品の機械的寿命が向上することになる。
以上説明したように、本実施の形態1においては、プリント動作後の待機モードにおいて定着ベルト21(定着部材)の駆動速度を減速してその後に定着ベルト21を駆動停止しているために、プリント動作終了後に定着ベルト21の温度がオーバーシュートしてしまう不具合が抑止される。
なお、本実施の形態1では加圧部材として加圧ローラ31を用いたが、加圧部材として加圧ベルトや加圧パッドを用いてもよい。さらに、ニップ部が記録媒体の搬送方向に複数形成される定着装置であっても、本発明を適用することができる。それらの場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態1では、定着ベルト21を2つのローラ部材22、23によって張架・支持したが、定着ベルト21を3つ以上のローラ部材によって張架・支持することもできる。
また、本実施の形態1では、加熱手段としてヒータ25を用いたヒータ加熱方式の定着装置に対して本発明を適用したが、加熱手段として励磁コイルによって電磁誘導加熱される加熱ローラ23を用いた電磁誘導加熱方式の定着装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図6にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図6は、実施の形態2における制御をおこなったときの、定着部材21の温度変動を示すグラフであって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。
本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、プリント動作後の待機モード時に、定着ベルト21の低速度での駆動(装置の空駆動)が所定時間おこなわれて、その後に定着ベルト21の駆動が停止される。
ここで、本実施の形態2では、プリント動作後の定着ベルト21の駆動速度の減速が多段階でおこなわれる。具体的に、プリント動作直後の定着ベルト21の駆動速度は、プリント動作時の駆動速度(通常速度)の1/2に設定している。その後、定着ベルト21の駆動速度は、プリント動作時の駆動速度(通常速度)の1/3、1/4と漸減されて、駆動停止される。
このような制御をおこなうことで、画像形成装置が高速機であって記録媒体Pの搬送速度が速くて、定着ベルト21から記録媒体Pに奪われる熱量が多くなってしまっても、オーバーシュートの発生を確実に抑止することができる。すなわち、定着ベルト21の駆動速度が速いときには、一度に大きな減速(例えば、通常速度→1/4低速度への減速である。)をおこなうと、減速をおこなった時点でオーバーシュートが発生してしまう。これに対して、本実施の形態2では、プリント終了後に定着ベルト21の駆動速度を徐々に減速しているために、先に図5で説明した温度勾配を徐々に小さくすることができて、オーバーシュートが防止される。
さらに、本実施の形態2では、プリント動作後の定着ベルト21の駆動速度の減速がおこなわれているときに、ヒータ25(加熱手段)による定着ベルト21の加熱が停止するように制御している。すなわち、待機モードにおける低速駆動時にヒータ25が消灯される。
このような制御をおこなうことで、加熱ローラ23や定着ベルト21の熱伝導率が小さい場合等のように、定着ベル21表面の熱が奪われていても加熱ローラ23内周面の熱が定着ベルト21表面に伝わる速度が遅いときであっても、オーバーシュートの発生を確実に抑止することができる。
加熱ローラ23や定着ベルト21の熱伝導率が小さい場合等には、駆動速度の減速により定着ベルト21表面の温度が下がりにくくなっていても、上述した温度勾配が高くなってしまう。すなわち、プリント動作後の空駆動中に定着ベルト21表面(温度センサ40の当接部)が目標温度以下になって、ヒータ25により加熱されると、温度センサ40の温度検知に応答遅れがあることにより、加熱ローラ23が必要以上に加熱されて定着ベルト21表面との温度勾配が大きくなりオーバーシュートが生じてしまう。
これに対して、本実施の形態2では、待機モードにおける低速駆動時にヒータ25を消灯しているために、加熱ローラ23は加熱されないので、加熱ローラ23内周面から定着ベルト21表面にかけて速やかに温度平衡状態となり、オーバーシュートを防止することができる(図6のA部を参照できる。)。
以上説明したように、本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、プリント動作後の待機モードにおいて定着ベルト21(定着部材)の駆動速度を減速してその後に定着ベルト21を駆動停止しているために、プリント動作終了後に定着ベルト21の温度がオーバーシュートしてしまう不具合が抑止される。
実施の形態3.
図7にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図7は、実施の形態3における制御をおこなったときの、定着部材21の温度変動を示すグラフであって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。
本実施の形態3でも、前記実施の形態1と同様に、プリント動作後の待機モード時に、定着ベルト21の低速度での駆動(装置の空駆動)がおこなわれて、その後に定着ベルト21の駆動が停止される。また、本実施の形態3でも、前記実施の形態2と同様に、待機モードにおける低速駆動時にヒータ25が消灯される。
ここで、本実施の形態3では、図7を参照して、プリント動作後に定着ベルト21の駆動速度が減速されて、温度センサ40(温度検知手段)の検知温度が待機時目標温度(駆動停止後の目標温度)に達したときに定着ベルト21が駆動停止するように制御している。すなわち、定着ベルト21の温度が待機時目標温度に達するのをトリガーとして、待機モードにおいて低速駆動から駆動停止に切り替えられる。
このような制御をおこなうことにより、低速駆動時にヒータ25が消灯された状態で低速駆動が長時間おこなわれた場合等であって、温度センサ40の検知温度が待機時目標温度よりも大きく下回ってしまったときであっても、その直後の温度制御による急激な昇温によりオーバーシュートが発生してしまう不具合を抑止することができる。
すなわち、本実施の形態3では、待機モードにおける低速駆動は、定着ベルト21の温度が待機時目標温度に達するまでしかおこなわれないために、駆動停止時の定着ベルト21の温度と待機時目標温度とがほぼ等しくなって、上述した問題が解消される。
以上説明したように、本実施の形態3においても、前記各実施の形態と同様に、プリント動作後の待機モードにおいて定着ベルト21(定着部材)の駆動速度を減速してその後に定着ベルト21を駆動停止しているために、プリント動作終了後に定着ベルト21の温度がオーバーシュートしてしまう不具合が抑止される。
実施の形態4.
図8にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図8は、実施の形態4における制御をおこなったときの、定着部材21の温度変動を示すグラフであって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。
本実施の形態4でも、前記実施の形態1と同様に、プリント動作後の待機モード時に、定着ベルト21の低速度での駆動(装置の空駆動)がおこなわれて、その後に定着ベルト21の駆動が停止される。
ここで、本実施の形態4では、図8を参照して、プリント動作後に定着ベルト21の駆動速度が減速されて、所定時間tが経過したときに定着ベルト21が駆動停止される。そして、駆動停止時の温度センサ40の検知温度を待機時目標温度(駆動停止後の目標温度)の初期値として、その後に待機時目標温度(駆動停止後の目標温度)が初期値から標準値に徐々に近づくように(漸減するように)制御する。すなわち、比較的短い時間だけ低速駆動をおこなった後に駆動停止して、その後の待機時目標温度を一時的に駆動停止時の実測温度と同一にして、その後に徐々に待機時目標温度を標準値(予め定められた目標温度である。)に近づけていく。
このような制御をおこなうことにより、プリント動作後の定着ベルト温度が待機時目標温度から大きく離れていて前記実施の形態3における制御を繰り返しおこなうことにより低速回転時の累積駆動時間が長くなってしまう場合に生じる定着装置の短寿命化を抑止することができる。すなわち、本実施の形態4では、待機モードにおける低速駆動は所定時間tだけしかおこなわれないために、定着装置20が必要以上に長時間空駆動されることがなくなり、定着装置の短寿命化を抑止することができる。
また、所定時間tの低速駆動後に駆動停止したときに、温度センサ40の検知温度が待機時目標温度(標準値)よりも大きく下回ってしまっても、駆動停止時の検知温度を暫定的な待機時目標温度(初期値)とすることにより見かけ上双方の温度差がなくなって、その直後の温度制御による急激な昇温によりオーバーシュートが発生してしまう不具合を抑止することができる。
ここで、待機時目標温度が標準値より低すぎる場合は、次のプリント動作時にファーストプリント時間が遅くなってしまう。また、待機時目標温度が標準値より高すぎる場合は、待機モード時の機内温度が高くなって、機内のセンサ等が耐熱温度を超えて故障してしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態4における制御では、待機時目標温度を初期値から標準値(狙いの待機時目標温度)にまで徐々に変化させて、目標温度と実温との差が大きくならないようにしている。したがって、装置の寿命を短くすることなく、プリント動作後のオーバーシュートを防止することができる。
以上説明したように、本実施の形態4においても、前記各実施の形態と同様に、プリント動作後の待機モードにおいて定着ベルト21(定着部材)の駆動速度を減速してその後に定着ベルト21を駆動停止しているために、プリント動作終了後に定着ベルト21の温度がオーバーシュートしてしまう不具合が抑止される。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 定着装置を示す構成図である。 実施の形態1における制御をおこなったときの、定着部材の温度変動を示すグラフである。 従来の定着部材の温度変動を示すグラフである。 加熱ローラ内周面と定着ベルト表面との温度勾配を示すグラフである。 この発明の実施の形態2における制御をおこなったときの、定着部材の温度変動を示すグラフである。 この発明の実施の形態3における制御をおこなったときの、定着部材の温度変動を示すグラフである。 この発明の実施の形態4における制御をおこなったときの、定着部材の温度変動を示すグラフである。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)、
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 定着補助ローラ(ローラ部材)、
23 加熱ローラ(ローラ部材)、
25 ヒータ(加熱手段)、
31 加圧ローラ(加圧部材)、
40 温度センサ(温度検知手段)、 P 記録媒体。

Claims (7)

  1. トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材と、
    前記定着部材の温度を検知する温度検知手段と、
    前記温度検知手段の検知温度に基いて前記定着部材を加熱する加熱手段と、
    を備え、
    プリント動作後に前記定着部材の駆動速度が減速されてその後に前記定着部材が駆動停止するように制御されるとともに、プリント動作時の目標温度よりも低い温度を駆動停止後の目標温度として前記定着部材の温度が調整制御されることを特徴とする定着装置。
  2. 前記プリント動作後の前記定着部材の駆動速度の減速が多段階でおこなわれるように制御されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記プリント動作後の前記定着部材の駆動速度の減速がおこなわれているときに、前記加熱手段による前記定着部材の加熱が停止するように制御されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. プリント動作後に前記定着部材の駆動速度が減速されて、前記温度検知手段の検知温度が前記駆動停止後の目標温度に達したときに前記定着部材が駆動停止するように制御されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. プリント動作後に前記定着部材の駆動速度が減速されて、所定時間が経過したときに前記定着部材が駆動停止して、そのときの前記温度検知手段の検知温度を前記駆動停止後の目標温度の初期値として、その後に前記駆動停止後の目標温度が前記初期値から標準値に近づくように制御されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記定着部材は、複数のローラ部材によって張架された定着ベルトであって、
    前記加熱手段は、前記複数のローラ部材のうち少なくとも1つのローラ部材を加熱することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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