JP4786397B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱手段により加熱される定着部材と、定着部材に圧接する加圧手段とを有し、加熱された定着部材の熱と加圧手段と定着部材とが圧接する圧力とによって、未定着トナー像を記録体上に定着させる定着装置、並びにこれを備えた画像形成装置に関するものである。
電子写真方式を用いた画像形成装置は、着色粒子としてのトナーを用いて記録体表面にトナー像として顕像化させる作像工程と顕像化されたトナー像を記録体に固着させる定着工程から成る。トナ−は加熱により融解し、冷却により凝固する。定着工程では、このトナ−の性質を利用してトナ−を加熱させることにより融解させ、記録体表面に定着させる。
従来、記録体表面上のトナー像を定着する定着装置として、内部に配置されたハロゲンヒータ等の加熱手段備えるヒートローラと、このヒートローラに対してコイルスプリングなどで押圧され、ヒートローラとの間にニップ部を形成する加圧ローラとを備えるものがある。このような定着装置では、ヒートローラと加圧ローラとの間のニップ部にその表面にトナー画像を担持する記録体を通過させることで、トナー画像を加熱及び加圧して記録体に定着する。
このような定着装置では、定着画質を向上させるために記録体表面上のトナーと接するヒートローラ表面には弾性層が必要であった。しかし、この場合ヒートローラ内部の加熱手段から外部に向かう熱伝導を発生させる際に、弾性層が熱抵抗層となるため、ヒートローラの弾性層を厚くすることに限界があり、弾性層の効果を十分に発揮させるのは困難であった。
このような問題を解決可能な定着装置として、特許文献1に記載の定着装置がある。特許文献1に記載の定着装置は、複数の張架部材に張架されて無端移動し、加熱手段により加熱される定着ベルトを備えている。また、定着ベルトに圧接する加圧手段である加圧ローラを備え、複数の張架部材として、加熱手段である加熱ローラと、加圧ローラと定着ベルトを挟んで対抗しニップ部を形成する定着ローラとを備えている。この定着装置では、加熱ローラで加熱した定着ベルトをニップ部まで無端移動し、ニップ部にトナーを担持する記録体を通過させることで、定着ベルトの熱とニップ部の加圧によって記録体上のトナー像を定着する。加熱ローラと定着ローラとを備え、加熱の機能と加圧の機能とを分離しているため、記録体表面上のトナーと定着ベルトを挟んで対抗する定着ローラに厚い弾性層を用いることができ、高画質なカラー画像が得られるという利点がある。
上述の加熱ローラと定着ローラとを備えた定着装置では、定着ベルトが加熱ローラに巻きかけられた箇所は、定着ベルトの内周面が加熱ローラに接触し加熱ローラから定着ベルトへ熱が移動する加熱領域である。そして、このような定着装置では加熱領域の定着ベルトの無端移動方向下流端の定着ベルトの外周面が定着に適した温度となる程度まで加熱できるよう、定着ベルトを加熱する加熱領域は十分に長く確保されているものが一般的である。加熱領域が十分に長く確保され、定着ベルトの外周面が定着に適した温度となる程度まで定着ベルトを加熱することにより、ニップ部で記録体上のトナーを十分に加熱することができ、良好な定着を行うことができる。
特開2002−49257号公報
しかしながら、定着ベルトの外周面が定着に適した温度となる程度まで定着ベルトを加熱することは、加熱効率が悪い加熱となっている。これは、以下の理由による。
定着ベルト加熱を開始する際、加熱手段と対向する定着ベルトの面(以下、ベルト加熱面と呼ぶ。)に加熱手段から移動した熱が定着ベルトの内部を伝播して、ベルト加熱面の裏面(以下、ベルト非加熱面と呼ぶ)に達するまでは、加熱手段から定着ベルトへ時間あたりに移動する熱量は略一定となる。そして、加熱手段から移動した熱がベルト非加熱面に伝播すると、ベルト非加熱面の温度が上昇し始め、加熱手段と略同じ温度のベルト加熱面の表面温度と、ベルト非加熱面の表面温度との温度差が減少し始める。ベルト加熱面とベルト非加熱面との温度差が減少すると、ベルト加熱面からベルト非加熱面へ熱が移動しにくくなり、加熱手段からベルト加熱面へ時間あたりに移動する熱量が減少する。ベルト非加熱面の温度が上昇するにつれて、加熱手段からベルト加熱面へ時間あたりに移動する熱量が減少していくため、加熱手段から移動した熱がベルト非加熱面に伝播した後の加熱は、加熱効率が悪くなっていく。
そして、従来の定着装置のように、ベルト定着ベルトの外周面が定着に適した温度となる程度まで加熱し続ける場合、定着ベルトの外側の面が定着に適した温度に近づくにつれて、加熱ローラから定着ベルトへ時間あたりに移動する熱量が小さくなり、加熱の効率が悪くなっていく。
加熱の効率が悪い状態で加熱することは、加熱時間を長くすることになる。そして、作像工程の作像スピードに合わせてプロセススピードが決定される場合は、作像スピードにあわせた線速で定着ベルトは無端移動するため、加熱時間を確保するために加熱領域を長く確保する必要が生じる。そして、加熱領域を長く確保するためには、加熱ローラの径を大きくする必要があり、その結果、定着装置の大型化に繋がる。
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、定着不良の発生を抑制し、小型化を図ることができる定着装置、並びにこれを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の張架部材に張架されて無端移動し、加熱手段により加熱される定着ベルトと、該定着ベルトに圧接する加圧手段とを有し、該加熱手段が該定着ベルトを加熱する加熱領域で加熱された該定着ベルトが、該加圧手段が該定着ベルトと圧接する圧接部に無端移動し、該圧接部に未定着トナー像を担持した記録体を通して未定着トナー像を該定着ベルトの熱及び該加圧手段の圧力によって該記録体上に定着させる定着装置において、該定着ベルトの該加熱手段と対向するベルト加熱面の裏側の面であるベルト非加熱面について、該圧接部に該記録体を通過させる通紙時における、該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度と、該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端の該ベルト非加熱面の表面温度との温度差が5[℃]以下であり、該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度よりも該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度の方が高く、該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端の該ベルト加熱面の表面温度は、未定着トナー像の定着に適した定着温度よりも高い温度であり、該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端から該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端まで無端移動する間の、該定着ベルト内での熱伝導によって、該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度が該定着温度となることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端近傍で該ベルト非加熱面の表面温度が上昇し始めることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、複数の張架部材に張架されて無端移動し、加熱手段により加熱される定着ベルトと、該定着ベルトに圧接する加圧手段とを有し、該加熱手段が該定着ベルトを加熱する加熱領域で加熱された該定着ベルトが、該加圧手段が該定着ベルトと圧接する圧接部に無端移動し、該圧接部に未定着トナー像を担持した記録体を通して未定着トナー像を該定着ベルトの熱及び該加圧手段の圧力によって該記録体上に定着させる定着装置において、該圧接部に該記録体を通過させる通紙時における、該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端を通過してから該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端を通過するまでの時間をT[s]、該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端を通過してから該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端を通過するまでの時間をT[s]、該定着ベルトの厚さをD[m]、該定着ベルトの熱拡散率をa[m/s]としたときに、以下の(1)式を満たし、該定着ベルトの該加熱手段と対向するベルト加熱面における該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端の表面温度は、未定着トナー像の定着に適した定着温度よりも高い温度であり、該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端から該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端まで無端移動する間の、該定着ベルト内での熱伝導によって、該ベルト加熱面の裏側の面であるベルト非加熱面における該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端の表面温度が該定着温度となることを特徴とするものである。
Figure 0004786397
なお、熱拡散率a[m/s]は、熱伝導率λ[J/s・m・K]、密度ρ[kg/m]、比熱Cp[J/kg・K]としたときに、以下の(2)式で求まる値である。
a=λ/(ρ・Cp)・・・・・・・(2)
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の定着装置において、上記圧接部の上記定着ベルト無端移動方向上流端の該定着ベルトの外周面の温度が定着に適した温度となっていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の定着装置において、上記圧接部の上記定着ベルト無端移動方向上流端での該定着ベルトの内周面と外周面との表面温度の温度差が5[℃]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の定着装置において、上記加熱手段は上記定着ベルトの内周面を加熱することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の定着装置において、上記加熱手段は、上記定着ベルトを上記加熱領域で張架する加熱ローラであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4または5の定着装置において、上記加熱手段は上記定着ベルトの外周面を加熱することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の定着装置において、上記複数の張架部材として、上記加圧手段と該定着ベルトを挟んで対抗する定着ローラとを備え、上記加圧手段としての加圧ローラを備えることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、像担持体と、像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上のトナー像を記録体上に転写する転写手段と、該転写手段により記録体に転写されたトナー像を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の定着装置を用いることを特徴とするものである。
上記請求項1に記載の構成を備える定着装置においては、加熱領域の上流端のベルト非加熱面の表面温度と、加熱領域の下流端のベルト非加熱面の表面温度との温度差が5[℃]以下となるように設定することにより、加熱手段から定着ベルトのベルト加熱面に移動した熱がベルト非加熱面に伝播する前、または、熱がベルト非加熱面に伝播して間もない状態で加熱手段から定着ベルトへの熱の移動を終了させる。これにより、ベルト非加熱面とベルト加熱面との温度差が小さくなること起因して、加熱領域内で加熱手段からベルト加熱面へ時間あたりに移動する熱量が減少することを防止することができる。そして、ベルト加熱面へ時間あたりに移動する熱量が減少して加熱効率が低下した状態で加熱を行うことを防止できるため、加熱効率が良い状態で定着ベルトの加熱を行うことができる。そして、加熱効率が良い状態で加熱を行うことで加熱時間の短縮を図ることができ、加熱領域を短く設定することができる。
さらに、加熱領域の上流端のベルト非加熱面の表面温度よりも、圧接部の上流端のベルト非加熱面の表面温度の方が高くなるように設定することにより、定着を行う圧接部に定着ベルトが到達する前に加熱手段からの熱をベルト非加熱面に伝播させることができ、加熱手段から定着ベルトに移動した熱を圧接部の上流端からトナーの加熱に用いることができる。
また、上記請求項3に記載の構成を備える定着装置においては、詳細は後述するが、熱拡散率をa[m/s]、定着ベルトを加熱し始めてからの経過時間をT[s]とした際に、加熱した熱が伝播する厚さ(以下、温度浸透厚さという。)は、(a・T)0.5[m]で表すことができる。ここで、一般的には温度浸透厚さは(12a・T)0.5である(参考文献:伝熱工学資料改訂第四版 P6参照)が、プリンタに応用する場合には(a・T)0.5として実用的に問題ない。そして、上記(1)式を満たすように設定することにより、加熱手段からベルト加熱面に移動した熱がベルト非加熱面に伝播する時間を、定着ベルトが加熱領域を通過する時間と同じか、それよりも長くなるように設定することができる。よって、加熱手段から定着ベルトに移動した熱がベルト非加熱面に伝播する前、または、熱がベルト非加熱面に伝播して間もない状態で加熱手段から定着ベルトへの熱の移動を終了させる。これにより、ベルト非加熱面とベルト加熱面との温度差が小さくなることに起因して、加熱領域内で加熱手段からベルト加熱面へ時間あたりに移動する熱量が減少することを防止することができる。そして、加熱手段からベルト加熱面へ時間あたりに移動する熱量が減少して加熱効率が低下した状態で加熱を行うことを防止できるため、加熱効率が良い状態で定着ベルトの加熱を行うことができる。そして、加熱効率が良い状態で加熱を行うことで加熱時間の短縮を図ることができ、加熱領域を短く設定することができる。
さらに、上記(1)式を満たすように設定することで、加熱手段の熱がベルト非加熱面に伝播する時間が、定着ベルトが加熱領域の上流端から圧接部の上流端まで無端移動する時間と同じか、それよりも短くなる。これにより、定着を行う圧接部に定着ベルトが到達する前に、加熱手段からの熱をベルト非加熱面まで伝播させることができ、加熱手段から定着ベルトに移動した熱を圧接部の上流端からトナーの加熱に用いることができる。
請求項1乃至10の発明によれば、加熱手段から定着ベルトに移動した熱を圧接部の上流端からトナーの加熱に用いることにより、定着不良の発生を抑制することができ、加熱領域を短くすることにより、加熱領域のスペースを縮小し、定着装置の小型化を図ることができるという優れた効果がある。
以下、本発明を画像形成装置としてのプリンタ100に適用した実施形態について説明する。
まず、図1を用いてこのプリンタ100の概略について説明する。プリンタ100は、原稿を走査して読み取り、デジタル化して記録体に複写する、いわゆるデジタルカラー複写機としての機能を有している。また、原稿の画像情報を遠隔地と送受信するファクシミリの機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷するいわゆるプリンタの機能も有している。
図1において、プリンタ100の略中央に画像形成部1が設けられている。この画像形成部1の下方には、多段状の給紙部2が配置されている。この給紙部2の各段には、記録体としての普通紙や、OHPシート、第2原図などのシート束を積載した給紙装置としての給紙トレイ21が配設されている。この給紙部2は、必要に応じて別の給紙装置22を増設することができるように構成されている。画像形成部1の図中右側には開閉可能な手差しトレイ120も設けられている。図示のように上部が本体から離れるように移動して開いた状態で、この手差しトレイ120上にシート束を積載可能である。画像形成部1の上方には、原稿を読み取る読取部3が配設されている。また、画像形成部1の左側には、画像が形成されたシートを排紙収納するための排紙収納部4が配設されている。
画像形成部1には、4色のトナー像を個別に形成するための各色の作像部6が、無端状の中間転写ベルト5の外周面に対向するように並列に配置されている。各作像部6は、ドラム状の感光体61を備えている。各感光体61の周囲には、感光体61の表面に帯電処理を行う帯電装置62、画像情報を感光体表面にレーザ光で照射する露光装置7が配置されている。また、感光体61の表面に露光されて形成された静電潜像を可視化するための現像装置63、及び、感光体61上の残留トナーを除去回収するクリーニング装置64が配置されている。
読取部3には、コンタクトガラス31上に載置された原稿(不図示)の読み取り走査を行うための、原稿照明用光源とミラーよりなる読み取り走行体32、33が往復移動自在に配設されている。この読み取り走行体32、33により走査された画像情報は、レンズ34の後方に設置されているCCD35に画像信号として読み込まれる。この読み込まれた画像信号は、デジタル化され画像処理される。画像処理された信号に基づいて、露光装置7内のレーザダイオードLD(不図示)の発光により、感光体61の表面に静電潜像が形成される。LDからの光信号は、公知のポリゴンミラーやレンズを介して感光体61に至る。読取部3の上方には、原稿を自動的にコンタクトガラス31上に搬送するための自動原稿搬送装置36が取り付けられている。
中間転写ベルト5の周囲には、中間転写ベルト5上に形成されたフルカラートナー像を記録体に転写するための転写装置51が配置されている。また、この転写装置51によりフルカラートナー像が記録体に転写された後の、中間転写ベルト5表面に残留しているトナーを除去回収するための中間転写クリーニング装置52が配置されている。
次に、この画像形成装置の作像プロセスについて説明する。図1において、各作像部6では、周知の電子写真プロセスにより、中間転写ベルト5の回転に合わせて、各感光体61上に所定のタイミングで4色のトナー像が形成される。まず、イエロー作像部6Yでは、左端の感光体上に形成されたイエロートナー像が中間転写ベルト5に転写される。
マゼンタ作像部6Mでは、次の感光体上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像の上に重ね合わされて中間転写ベルト5に転写される。シアン作像部6Cでは、更に次の感光体上に形成されたシアントナー像がマゼンタトナー像の上に重ね合わされて中間転写ベルト5に転写される。ブラック作像部6Kでは、右端の感光体上に形成されたブラックトナー像がシアントナー像の上に重ね合わされて中間転写ベルト5に転写される。このように、各感光体上に形成された4色のトナー像が順次重ね合わされて転写されることにより、中間転写ベルト5にフルカラートナー像が形成される。
一方、中間転写ベルト5上へのフルカラートナー像の画像形成動作に平行して、給紙部2の選択された給紙トレイ21から記録体が順次1枚ずつ分離給紙される。すなわち、図示の給紙部2においては、給紙トレイ21に回動可能に支持された底板24上に記録体束が積載されている。この底板24の回動により記録体束の最上位の記録体がピックアップローラ25に当接可能な位置まで上昇する。この最上位の記録体は、ピックアップローラ25の回転により給紙されて、リバースローラ27により1枚に分離される。そして、1枚に分離された最上位の記録体は、給紙ローラ26の回転により、給紙トレイ21から送り出されて、その搬送経路下流側に配置されているレジストローラ23へと搬送される。
上述のようにして分離搬送された記録体は、レジストローラ23のニップに突き当たることにより搬送が一時止められて待機される。レジストローラ23は、中間転写ベルト5上に形成されたフルカラートナー像と、記録体の先端との位置関係が所定の位置になるよう、タイミングをとって回転を開始するように制御される。このレジストローラ23の回転により、待機されている記録体が再び給紙される。これにより、この記録体の所定位置に、転写装置51によって中間転写ベルト5上に形成されたフルカラートナー像が転写される。
このようにしてフルカラートナー像が転写された記録体は、その搬送経路の下流側の定着装置8に送り込まれる。この定着装置8は、転写装置51により転写されたフルカラートナー像をシート上に定着する。定着装置8についての詳細は後述する。フルカラートナー像が定着された記録体は、排紙ローラ41により排紙収納部4に排紙収納される。
ここで、記録体の両面に画像形成を行うときは、分岐部91にて記録体を分岐し、両面装置9を経由させることにより、記録体の表裏を反転させる。この表裏が反転された記録体は、レジストローラ23のニップに突き当たることで、そのスキューが補正された後、上述の片面への画像形成時と同様にして裏面への画像形成が行われる。
次に、定着装置8について説明する。図2は本実施形態に係る定着装置8の概略構成図である。
定着装置8は、図2に示すように加圧手段と対向する張架部材としての定着ローラ81と、加熱手段である張架部材としての加熱ローラ82とに張架され、図中矢印A方向に無端移動する定着ベルト80を備えている。定着ローラ81と対向する位置に、定着ベルト80を挟んで定着ローラ81に圧接し圧接部としての定着ニップNを形成する加圧手段としての加圧ローラ83が有り、加圧ローラ83は適正な加圧力で定着ローラ81に加圧している。
定着ローラ81は不図示の駆動源によって回転駆動され、定着ベルト80を図中の矢印A方向に無端移動し、これによって加熱ローラ82が従動回転する。また上述の駆動源による回転は不図示のギアを介して加圧ローラ83に伝達され、加圧ローラ83が図中の矢印B方向に回転駆動される。
定着装置8では、定着ローラ81及び加熱ローラ82と接触する定着ベルト80のベルト内周面80aが、加熱ローラ82からの熱が移動するベルト加熱面である。また、ベルト内周面80aの裏側となる定着ベルト80のベルト外周面80bが、ベルト内周面80aから熱が伝播し、定着ニップNで記録体である転写紙P上のトナー像を加熱するベルト非加熱面である。そして、ベルト内周面80aが加熱ローラ82に巻きかけられた領域が、加熱ローラ82から定着ベルト80へ熱の移動がなされる加熱領域Hとなる。
加熱領域Hで、加熱ローラ82によって加熱された定着ベルト80が無端移動して、定着ニップNに到達し、定着ニップNにトナー像を担持した記録体である転写紙Pを通過させることで、定着ベルト80の熱と、加圧ローラ83と定着ローラ81との間の圧力により、トナー像を転写紙Pに定着する。
加熱ローラ82の回転軸中心は中空に形成されており、その内部には加熱手段としての加熱ヒータ82Hが内蔵されている。加熱ヒータ82Hによって加熱ローラ82が加熱され、定着ローラ81と加熱ローラ82とにより張架される定着ベルト80が加熱される。また、定着温度を管理するために定着ベルト80の表面温度を検知する定着温度検知手段であるサーミスタ85を備えており、サーミスタ85の検知結果の基づいて加熱ヒータ82Hの動作が制御され、定着ベルト80の温度が定着に適した温度となる。
定着ベルト80としては、例えばポリイミド樹脂などからなる基体層と、この基体上に設けられたフッ素ゴムやシリコンゴムなどからなる弾性層と、この弾性層上に設けられたPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPFA及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂からなる離型層としての表面層とを有する多層構造で耐熱性の高いベルトを用いることができる。
定着ローラ81及び加圧ローラ83は、金属からなる芯金部と、芯金部表面に設けられたシリコンゴムからなる弾性層と、弾性層の表面に積層されたPFAやフッ素樹脂からなる表面層とによって構成されている。
また、加熱ローラ82は、アルミニウム等の金属性の加熱ローラ芯金部82aと、フッ素樹脂からなる離型層としての表層(不図示)により構成されている。加熱ローラ芯金部82aの材質は、熱伝導率が大きいものが好ましいが、他にも鉄、銅、ステンレス等の金属を使用することができる。表層をフッ素樹脂より構成しているのは、加熱ローラ82表面の耐磨耗性を向上させるためである。また、加熱ローラ芯金部82aをアルミニウムにより構成した場合には、その外面にアルマイト処理により酸化アルミニウム層を形成することが好ましい。
このように、弾性層を有する加圧ローラ83と定着ローラ81とが定着ベルト80を介して、圧接することにより、定着ベルト80と加圧ローラ83との当接部である定着ニップ部Nを比較的広く形成することができる。
定着ローラ81と加熱ローラ82とのように、加圧の機能と加熱の機能とを分けて定着ローラ81の内側から加熱する必要がないため、図2に示すように定着ローラ81に厚い弾性層81aを設けることができるので、定着ニップ部Nを広く形成でき、定着ベルト80を転写紙P上のトナー像に対して、より密着させた状態にすることができ、良好な定着を実現することができる。
また、定着装置8には、定着される記録体である転写紙Pを定着ニップNに向けて案内するガイド部材84等が設けられている。さらに、定着ベルト80上には、図示は省略するがオフセット防止用のオイルを塗布するオイル塗布部材、トナーがベルト上に付着した場合に備えてクリーニング部材等を備えるようにしてもよい。
なお、定着装置8では定着ベルト80が定着ローラ81と加熱ローラ82との2つのローラによって張架されているが、それら以外のローラや支持部材を用いて3つ以上の支持部材で張架してもよい。
また、定着ベルト80に適当な所定の張力を与えるため、加熱ローラ82はバネなどの図示しない弾性体によって定着ローラ81から離間させる方向に付勢されている。
図2で示す8a〜8eは、定着ベルト80の定着装置8におけるポジションを示している。8aは、ベルト内周面80aが加熱ローラ82と接触する加熱領域Hの定着ベルト80の無端移動方向下流端である加熱領域出口である。8bは、圧接部である定着ニップNの定着ベルト80の無端移動方向上流端である定着ニップ入口である。8cは、圧接部である定着ニップNの定着ベルト80の無端移動方向下流端である定着ニップ出口である。8dは、ベルト内周面80aが定着ローラ81から分離する定着ローラ分離部である。そして、8eは、ベルト内周面80aが加熱ローラ82と接触する加熱領域Hの定着ベルト80の無端移動方向上流端である加熱領域入口である。
図3は、図2の8a〜8eで示した定着装置8の各ポジションの定着ベルト80の厚さ方向の温度分布を示している。図3(a)〜図3(e)が図2の8a〜8eそれぞれの位置の定着ベルト80の温度分布に対応している。なお、図3において、裏面はベルト内周面80aであり、表面はベルト外周面80bである。
図3に示す温度分布図で、縦軸が定着ベルト80の厚さ方向を位置示し、横軸が各位置における温度を示している。また、図中実線がそれぞれの位置における温度分布であり、破線は実線で温度分布を示したポジションに対して定着ベルト80の無端移動方向の上流側のポジションの温度分布を示している。例えば、図3(a)では実線が加熱領域出口8aにおける定着ベルト80の温度分布を示しており、破線が加熱領域入口8eの温度分布を示している。
定着装置8のように定着ベルト80を備えた定着装置では、定着ニップNを通過し、定着ローラ分離部8dを通過し、加熱領域入口8eに到達した定着ベルト80は、図3(e)の実線で示すようにベルト内周面80aからベルト外周面80bまでの定着ベルト80内部の温度分布が略フラットな状態となっている。
そして、定着ベルト80が加熱ローラ82に巻き掛けられた間にベルト内周面80aが加熱され、その熱がベルト外周面80bまで伝播するとベルト外周面80bの表面温度が上昇し始める。
定着装置8では、加熱ローラ82の表面温度は略一定であり、ベルト外周面80bの温度が上昇し始めるまではベルト外周面80bと加熱ローラ82と略同じ温度のベルト内周面80aとの温度差は略一定であり、加熱ローラ82から定着ベルト80へ時間当りに移動する熱量も略一定である。
そして、加熱ローラ82からの熱がベルト外周面80bまで伝播するとベルト外周面80bの温度が上昇し始め、ベルト外周面80bとベルト内周面80aとの温度差が減少し、ベルト外周面80bからベルト内周面80aへ熱が伝わりにくくなり、加熱ローラ82から定着ベルト80への時間当りの移動する熱量が減少する。時間当りに移動する熱量が減少するため、加熱効率が低下した状態となる。
従来の定着装置のように、ベルト非加熱面が定着に適した温度となるまで加熱する定着装置では、加熱ローラからベルト加熱面に移動した熱がベルト非加熱面まで伝播した以降の加熱は、加熱効率が低い加熱となっていた。
次に、本実施形態の定着装置8の特徴的な構成について説明する。
定着装置8では、加熱領域出口8aと加熱領域入口8eとでのベルト外周面80bの表面温度の温度差が5[℃]以下となるように、この2つのポジションでのベルト外周面80bの表面温度を略一致させている。
加熱領域入口8eから加熱領域出口8aへと定着ベルト80が無端移動している間にベルト外周面80bから空気中への熱の移動が考えられるが、空気中へ時間あたりに移動する熱量は定着装置8全体での熱量の移動に比べると無視できる程度のものである。そして、加熱領域入口8eから加熱領域出口8aへ定着ベルト80が無端移動している間は、ベルト内周面80aは加熱ローラ82と接触し、加熱されている状態である。この状態で、加熱領域出口8aと加熱領域入口8eとでのベルト外周面80bの表面温度が略一致しているため、定着ベルト80が加熱領域Hで加熱されている間は加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱がベルト外周面80bに伝播していない状態である。よって、加熱領域Hで加熱している間、加熱ローラ82から定着ベルト80への時間当りに移動する熱量が減少することがなく、効率良く加熱することができるようになる。
次に、本実施形態の定着装置8での各ポジションでの温度分布について説明する。
図3(a)の実線で示す加熱領域出口8aの定着ベルト80の温度分布について、ベルト内周面80aの温度は加熱ローラ82の表面の温度と略等しくなっている。一方、ベルト外周面80bにはちょうど熱伝導が及んだタイミングとなっており、その表面温度は破線で示す加熱領域入口8eの温度分布のベルト外周面80bの表面温度と略等しい。
加熱領域出口8aを通過した定着ベルト80は、定着ニップ入口8bまで無端移動する間に熱伝導がさらに進み、定着ベルト80の温度分布は図3(b)の実線に示すように、裏面から表面まで温度が略等しい状態となる。
このときの定着ベルト80の温度がトナーを定着させるために適した温度である定着温度となる。言い換えると、定着ニップ入口8bにおいて定着ベルト80の温度が定着に必要な定着温度となるように加熱ローラ82の温度が設定されている。
このように、定着装置8では最も効率良くトナーの定着を行うために、定着ベルト80の温度が定着ニップ入口8bで必要な定着温度になり、且つ、定着ベルト80の内周面と外周面との温度が等しい温度分布となるように、各部材を設定している。
定着ニップNでは、定着ベルト80の外周面の表層において、大きな熱輸送が発生する。これは、トナーを乗せた転写紙Pの温度が低いので熱輸送規模(熱流束)が大きくなるためである。熱流束は大きいが、定着ベルト80が定着ニップNを通過する時間(ニップ時間)は他の伝熱時間に比して短いので、熱伝導が及ぶ範囲は定着ベルト80の表層部に留まる。
これは、図3(c)に示す定着ニップ出口8cの温度分布が、表面のみ冷やされていることからも窺うことができる。
定着ニップNを通過した後、定着ベルト80の内部に熱伝導が進み、定着ローラ81から定着ベルト80が離れる定着ローラ分離部8dでは、図3(d)に示すように定着ベルト80の温度分布はかなり均一化されているが、まだ十分ではない。
この定着ベルト80の温度分布を均一化する熱伝導は定着ベルト80が加熱領域入口8eに到達するまで続き、加熱領域入口8eでは、図3(e)に示すように定着ベルト80の温度分布は均一になっている。加熱領域入口8eに到達した定着ベルト80は加熱領域Hである加熱ローラ82に対する巻き掛け部に至る。加熱ローラ82に巻き掛けられた状態にある間に定着ベルト80の内周面側が加熱される。
加熱領域Hでの加熱により定着ベルト80に移動した熱がベルト外周面80bまで伝播すると、ベルト外周面80bの表面温度が上昇し始める。しかし、ベルト外周面80bの表面温度が上昇しても、加熱ローラ82の温度は略一定となっているので加熱ローラ82と略同じ温度のベルト内周面80aとベルト外周面80bとの温度差が減少する。これにより、ベルト内周面80aからベルト外周面80bへ、定着ベルト80の内部を経て伝播する熱が伝播しにくくなり、加熱ローラ82から定着ベルト80へ時間あたりに移動する熱量が減少し、加熱効率が低下する。
加熱効率が低下した状態で加熱を行うと、多くの熱を定着ベルト80に移動させようとして加熱ローラ82の径を大きくしても熱は入り難くなってしまう。なお、定着ベルト80のベルト外周面80bの表面温度と加熱ローラ82の表面温度とが一致すると、加熱ローラ82から定着ベルト80へ熱が移動しなくなる。
本実施形態の定着装置8では、加熱ローラ82による加熱効率の低下を起こさない様にするために、加熱領域入口8eの定着ベルト80のベルト外周面80bの表面温度と加熱領域出口8aのベルト外周面80bの表面温度とが略一致するように設定する。これにより、加熱領域Hでの加熱により定着ベルト80に移動した熱がベルト外周面80bまで伝播する前に、定着ベルト80が加熱領域Hを通過し、加熱ローラ82から離間することになり、加熱ローラ82による加熱領域Hでの加熱効率を高く維持できる。さらに、加熱領域入口8eのベルト外周面80bの表面温度よりも定着ニップ入口8bのベルト外周面80bの表面温度の温度が高くなるよう設定する。これにより、加熱領域Hでの加熱により定着ベルト80に移動した熱を定着ニップNの入口から定着に寄与させることができる。
定着ベルト80が加熱領域Hを通過する間に、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱が定着ベルト80内部を伝播する厚さよりも、定着ベルト80の厚みが厚くなるように設定することにより、加熱領域Hでの加熱効率を高く維持することができる。
定着ベルト80の熱拡散率をa[m/s]、定着ベルト80が加熱領域Hにおける無端移動方向上流端である加熱領域入口8eを通過してからの経過時間をT[s]とすると、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱が伝播する厚さである温度浸透厚さd[m]は、以下の(3)式で表すことができる。
Figure 0004786397
ここで、熱拡散率をa[m/s]は、熱伝導率λ[J/s・m・K]、密度ρ[kg/m]、比熱Cp[J/kg・K]としたときに、以下の(2)式で求まる値である。
a=λ/(ρ・Cp)・・・・・・・(2)
加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱が、定着ベルト80内部を伝播する厚さよりも、定着ベルト80の厚みが厚くなるように、定着ベルト80の厚みをD[m]とすると、加熱効率を維持するためには、d≦Dを満たせばよく、以下の(4)式が成り立つように設定する。
Figure 0004786397
ここで、加熱領域Hの長さをL[m]、プロセススピードである定着ベルト80の線速をV[m/s]とすると、
=L/V[s]となる。
定着ベルト80の材質及び厚みが予め決定されており、作像工程の作像スピードによりプロセススピードが定められて定着ベルト80の線速が予め決定されている場合、上記()式を満たすTを求めることにより、加熱領域Hの長さをL[m]の範囲の最大値が算出される。算出されたL[m]の最大値よりも加熱領域Hを長くすることは、加熱効率が悪い加熱を行うことになる。上記L[m]を加熱効率が維持される範囲とすることにより、加熱ローラ82の小径化を図ることができる。加熱ローラ82の小型化を図ることにより、定着装置8の小型化を図ることができる。
また、上記(4)式を満たすように定着装置8を設定することにより、加熱領域出口8aでは、ベルト外周面80bまで加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱が伝播していない状態となっているので、加熱領域出口8aと加熱領域入口8eとのベルト外周面80bの表面温度を略一致させることができ、その温度差を5[℃]以下とすることができる。
加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱を、定着ニップ入口8bではトナーの加熱に寄与させるため、上記定着ベルト80が定着ニップ入口8bに到達するまでに、熱はベルト外周面80bに伝播する必要がある。これは、定着ベルト80が加熱領域入口8eを通過してから定着ニップ入口8bに到達するまでの間で、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱が定着ベルト80内を伝播する厚さである温度浸透厚さが、定着ベルト80の厚さよりも大きくなるように設定することで実現することができる。よって、定着装置8は、定着ベルト80が加熱領域入口8eを通過してから定着ニップ入口8bに到達するまでの時間をTとしたときに、以下の(5)式が成り立つように設定する。
Figure 0004786397
これにより、定着ニップNに定着ベルト80が到達する前に加熱ローラ82からの熱を非加熱面まで伝播させることができ、圧接部の上流端で加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱をトナーの加熱に用いることができ、定着不良の発生を抑制することができる。
このとき、定着ニップ入口8bでのベルト外周面80bの表面温度は、加熱領域入口8eでのベルト外周面80bの表面温度よりも高くすることができる。
上記(4)式及び上記(5)式より、定着装置8は、以下の(1)式を満たすように設定する。
Figure 0004786397
定着装置8が上記(1)式を満たすように設定することにより、定着不良の発生を抑制することができ、且つ、加熱領域のスペースを縮小して定着装置の小型化を図ることができる。
上記(3)式について、伝熱工学上では、経過時間T[s]における温度浸透厚さd[m]は、以下の(6)式で表現されることが一般的である。
Figure 0004786397
しかし、本実施形態の定着装置8では、上記(3)式と考えて、上記(4)式を導出している。これは、特許第2909499号に示すように、電子写真の定着では実用的には温度浸透厚さを上記(3)式のように考えることが妥当であるという経験的知見に基づいている。
また、定着装置8では、圧接部である定着ニップNの定着ベルト無端移動方向上流端である定着ニップ入口8bのベルト外周面80bの表面温度が定着に適した温度となるように設定している。定着ベルト80が定着ニップNに入ると定着ベルト80から転写紙Pへ熱が移動するため、定着ニップ入口8bを通過後のベルト外周面80bの表面温度は下がり始める。よって、良好な定着を行うために、定着ニップ入口8bでのベルト外周面80bの表面温度が定着に適した温度となるように設定する。
また、図3(b)に示すように、定着ニップ入口8bでのベルト外周面80bとベルト内周面80aとの表面温度が略等しい状態、ベルト外周面80bとベルト内周面80aとの表面温度差が5[℃]以下となるように設定する。
このように、定着ニップ入口8bでの定着ベルト80の内部の温度勾配がほとんどない状態とすることで、ベルト外周面80bの表面温度に対する定着ベルト80の内部の熱量を最も小さくすることができる。これにより、加熱領域Hで加熱ローラ82から定着ベルト80へ移動する熱量の必要量を小さくすることができ、省電力化を図ることができる。
また、定着装置8では、上記(4)式の範囲を満たす設定の中で、以下の(7)式を満たす設定としている。
Figure 0004786397
上記(7)式のように設定することにより、定着ベルト80は加熱領域出口8aを通過した際に、ベルト外周面80bの表面温度が上昇し始める。
上述したように、定着ベルト80は良好な定着を行うために、定着ニップ入口8bでのベルト外周面80bの表面温度が定着に適した温度となる必要がある。上記(7)式を満たすように、加熱領域出口8a近傍でベルト外周面80bの表面温度が上昇し始めるように設定することにより、定着ベルト80が、加熱領域出口8aを通過し定着ニップ入口8bに到達するまで時間を短縮することができる。これにより、加熱領域出口8aから定着ニップ入口8bまでの距離を短く設定することが可能となり、定着装置8の小型化を図ることができる。また、加熱ローラ82の直径を不要に大きく設定することがなく、加熱効率を高く維持でき、十分な熱量を加熱ローラ82から定着ベルト80に供給することができる。
また、画像形成装置としてのプリンタ100の定着手段として、上述の定着装置8を備えることにより、定着装置8を設置するためにスペースを小さくすることができ、プリンタ100の小型化を図ることができる。
ここで、本実施形態において、定着装置8の構成を特定する数式が記述されているが、物理的に数式を満たす範囲を規定するものではなく、工業的に成しうる範囲においての数式を満たすように設定することにより、定着装置8の小型化を図ることができる。
加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱が定着ベルト80内部を所定の時間で伝播する厚さである温度浸透厚さは、定着ベルト80の熱拡散率a[m/s]と加熱開始からの経過時間T[s]によって決定する。ここで、熱拡散率a[m/s]は、物質固有の物性値であるが、本実施形態の定着装置8では多層構造からなる定着ベルト80を用いている。
本実施形態では、多層構造をなす複数物質を、一つの物質とみなしたものを有効物質と呼び、この有効物質の熱拡散率を定着ベルト80の熱拡散率a[m/s]として、温度浸透厚さを算出する。
以下、有効物質の熱拡散率aの算出方法について説明する。
本説明では、2つの物質(物質A,物質B)を一つの物質にみなしたものを有効物質と呼ぶことにする。
本説明における記号は、以下の物性値を示すものである。
ρ:密度、Cp:比熱、λ:熱伝導率、a:熱拡散率、l:距離(厚さ)、T:温度、ΔT:温度上昇、q:熱流束、Q:熱量、w:奥行き長
また、各記号に沿える添え字は、Aは物質A、Bは物質Bの物性値であることを示しており、Eは多層構造の物質を有効物質Eとみなしたときの、有効物質Eの仮想の物性値であることを示している。
図4は、有効物質の説明図であり、図4(a)は、有効物質の概略説明図であり、図4(b)は、有効物質の温度分布を示すグラフである。
図4(a)に示すように、有効物質Eは、厚さlの物質Aと、厚さlの物質Bからなる多層構造となっており、物質A側の表面温度がT、物質B側の表面温度がTとなるように、有効物質Eの両面で温度差をつけた状態である。このときの、物質Aと物質Bとの境界の温度をTとする。このとき、T<T<Tが成り立っている。
また、物質Aの実際の温度分布T、物質Bの実際の温度分布Tとすると、有効物質Eの仮想温度分布Tは、図4(b)に示すような温度分布となる。
まず、有効物質Eの有効熱伝導率λの導出について説明する。
ここで、物質Aの定常状態での熱伝導方程式は以下の(8)式で示される。
Figure 0004786397
また、物質Bの定常状態での熱伝導方程式は以下の(9)式で示される。
Figure 0004786397

さらに、有効物質Eの定常状態での熱伝導方程式は以下の(10)式で示される。
Figure 0004786397

上記(8)、(9)及び(10)式より、有効物質Eの有効熱伝導率λは、以下の(11)式のように示される。
Figure 0004786397
次に、有効物質Eの有効熱容量(ρ・Cp)の導出について説明する。
物質A、物質BにそれぞれQ、Qの熱量を加えて、両物質ともΔTだけ温度上昇したとすると、各物質に対する熱量の供給は以下の(12)〜(13)式で示すことができる。
=ρ・Cp・(w・l)・ΔT ・・・・・(12)
=ρ・Cp・(w・l)・ΔT ・・・・・(13)
=Q+Q=ρ・Cp・(w・l)・ΔT ・・・・・(14)
上記(12)、(13)及び(14)式より、有効物質Eの有効熱容量ρ・Cpは、以下の(15)式のように示される。
Figure 0004786397
次に、有効物質Eの有効拡散率aの導出について説明する。
一般に熱拡散率と、熱伝導率及び熱容量との関係は以下の(2)式で示される。
a=λ/(ρ・Cp)・・・・・・(2)
したがって、有効熱拡散率aは、以下の(16)式で示される。
=λ/(ρ・Cp)・・・・・・(16)
さらに、上記(16)式に、(11)式及び(15)式を代入することにより、有効熱拡散率aは、以下の(17)式で示される。
Figure 0004786397

以上の説明では、2つの物質からなる多層構造のものを1つの物質とみなした有効物質について述べたが、3つ以上の物質からなる多層構造のものであっても、同様にして、有効物質の物性値を算出することができる。
〔実施例〕
次に、本実施形態の定着装置8の具体的な実施例を示す。
本実施例の定着装置8の各部材の構成は以下のとおりである。
・定着ローラ
芯金:アルミ:φ60[mm]、弾性層:シリコンゴム:厚さ80[mm]、表面層:フッ素樹脂:厚さ100[μm]
・加圧ローラ
芯金:アルミ:φ60[mm]、弾性層:シリコンゴム:厚さ80[mm]、表面層:フッ素樹脂:厚さ100[μm]
・加熱ローラ
芯金:アルミ:φ80[mm]、加熱ヒータ
・定着ベルト
基体層:ポリイミド樹脂:層厚100[μm]、弾性層:シリコンゴム:層厚100[μm]、表面層:PFA:層厚20[μm]
定着ベルト80について、本実施例で用いたポリイミド樹脂の熱拡散率は0.13[mm/s]、シリコンゴムの熱拡散率は0.14[mm/s]、PFAの熱拡散率は0.12[mm/s]であり、3層構造の定着ベルトを有効物質とみなしたときの、有効熱拡散率は0.13[mm/s]となる。
また、定着ベルト80が加熱ローラ82に巻きかかる加熱領域Hの長さが125[mm]で、定着ベルト80の線速が0.4[m/s]である。
本実施例の定着装置8で、加熱ローラ82の表面温度を180[℃]に設定して、定着動作を行ったところ、定着ベルト80のベルト外周面80bの表面温度が、加熱領域入口8eで150[℃]、加熱領域出口8aで151[℃]となり、略一致した。また、定着ニップ入口8bでのベルト外周面80bの温度が168[℃]となり、良好な定着を行うことができた。
定着ベルト80の有効拡散率、加熱領域の長さ及び定着ベルト80の線速より、本実施例の加熱領域Hでの温度浸透厚さは、202[μm]であり、定着ベルト80の厚さ(100+100+20)=220[μm]を下回っている。
従来の定着装置の構成で、本実施例と同様の多層構造の定着ベルトを使用し、同じ定着ベルトの線速のものであって、加熱領域出口でのベルト外周面の温度が168[℃]となるように加熱ローラの表面温度を170[℃]で加熱を行うものであると、加熱領域の長さが150[mm]以上必要となり、加熱ローラの径が95[mm]以上必要となるため、実施例の定着装置8よりも大型化してしまう。
参考構成例
上述の実施形態では、加熱手段として加熱ローラを備え、定着ベルトのベルト内周面を加熱する構成について説明した。定着ベルトの加熱を行う面としては、ベルト内周面に限らずベルト外周面であってもよい。以下、定着ベルトのベルト外周面80bを加熱する参考構成例について説明する。
図5は、参考構成例に係る定着装置8の概略構成図である。
図5に示すように、参考構成例の定着装置8は、実施形態の定着装置8と同様に、定着ベルト80、定着ローラ81及び加圧ローラ83とを備えている。そして、実施形態の定着装置8の加熱ローラ82の代わりに、参考構成例の定着装置8は張架ローラ87とベルト加熱ヒータ88とを備えている。ベルト加熱ヒータ88としては、ハロゲンヒータなどを備え、輻射熱により定着ベルト80に熱量を供給するものを用いることができる。参考構成例の定着装置8は、張架ローラ87とベルト加熱ヒータ88とを備える点以外は、実施形態の定着装置8と共通であるので、共通する点についての説明は省略する。
参考構成例の定着装置8では、ベルト外周面80bがベルト加熱面となり、ベルト内周面80aがベルト非加熱面となり、ベルト加熱ヒータ88とベルト外周面80bが対向する領域が加熱領域Hとなる。
参考構成例の定着装置8においても、加熱領域出口8aと加熱領域入口8eとでのベルト周面80の表面温度の温度差が5[℃]以下となるように、この2つのポジションでのベルト周面80の表面温度を略一致させるように設定する。
すなわち、定着ベルト80が加熱領域Hを通過する間に、ベルト加熱ヒータ88によって定着ベルト80に供給された熱が定着ベルト80内部を伝播する厚さよりも、定着ベルト80の厚みが厚くなるように設定することにより、加熱領域Hでの加熱効率を高く維持することができる。よって、加熱領域Hの長さを短く設定することができ、定着装置8の小型化を図ることができる。
実施形態の定着装置8では、良好な定着を行うために、定着ベルト80は定着ニップ入口8bに到達するまでに、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱が、ベルト非加熱面であるベルト外周面80bまで伝播している必要があった。一方、参考構成例の定着装置8は、トナーに熱を供給するベルト外周面80bがベルト加熱面であるので、定着ベルト80が定着ニップ入口8bに到達するまでにベルト非加熱面であるベルト内周面80aに熱が伝播する必要はない。また、ベルト内周面80aに熱が伝播するものであっても、ベルト内周面80aの表面温度を定着に適した温度まで上昇させる必要はない。
参考構成例の定着装置8では、非加熱面であるベルト内周面80aの表面温度は関係なく、定着ニップNでトナーの定着に必要な熱量を供給できる構成であればよい。よって、参考構成例の定着装置は、実施形態の定着装置8に比べて加熱領域出口8aと定着ニップ入口8bとの距離を短く設定することが可能となり、定着装置8のさらなる小型化を図ることができる。
以上、本実施形態によれば、加熱領域の上流端である加熱領域入口8eの定着ベルト80のベルト非加熱面であるベルト外周面80bの表面温度と、加熱領域の下流端である加熱領域出口8aのベルト外周面80bの表面温度との温度差が5[℃]以下となるように、加熱領域入口8eと加熱領域出口8aとのベルト外周面80bの表面温度が略一致するように設定する。これによって、加熱手段である加熱ローラ82から定着ベルト80のベルト加熱面であるベルト内周面80aに移動した熱がベルト外周面80bに伝播する前、または、熱がベルト外周面80bに伝播して間もない状態で加熱ローラ82から定着ベルト80への熱の移動を終了させる。これにより、ベルト外周面80bとベルト内周面80aとの温度差が小さくなることに起因して、加熱領域H内で加熱ローラ82からベルト内周面80aへ時間あたりに移動する熱量が減少することを防止することができる。そして、ベルト内周面80aへ時間あたりに移動する熱量が減少して加熱効率が低下した状態で加熱を行うことを防止でき、加熱効率が良い状態で定着ベルト80の加熱を行うことができる。よって、効率良く加熱を行うことで加熱時間の短縮を図ることができ、加熱領域Hを短く設定することができる。さらに、加熱領域入口8eのベルト外周面80bの表面温度よりも、圧接部である定着ニップNの上流端である定着ニップ入口8bのベルト外周面80bの表面温度の方が高くなるように設定することにより、定着ニップNに定着ベルト80が到達する前に加熱ローラ82からの熱をベルト外周面80bに伝播させることができ、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱を定着ニップ入口8bからトナーの加熱に用いることができる。このように、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱を定着ニップ入口8bからトナーの加熱に用いることで定着不良の発生を抑制することができ、加熱領域Hを短くすることで加熱領域Hのスペースを縮小し、定着装置8の小型化を図ることができる。
また、定着ベルト80が、加熱領域出口8a近傍で、ベルト外周面80bの表面温度が上昇し始めるように、設定することにより、加熱領域出口8aから定着ニップ入口8bまでの距離を短く設定できるようになり、定着装置8の小型化を図ることができる。
また、上記(1)式を満たすように設定することにより、加熱ローラ82からベルト内周面80aに移動した熱がベルト外周面80bに伝播する時間を、定着ベルト80が加熱領域Hを通過する時間と同じか、それよりも長くなるように設定することができる。よって、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱がベルト外周面80bに伝播する前、または、熱がベルト外周面80bに伝播して間もない状態で加熱ローラ82から定着ベルト80への熱の移動を終了させる。これにより、ベルト外周面80bとベルト内周面80aとの温度差が小さくなることに起因して、加熱領域H内で加熱ローラ82からベルト内周面80aへ時間あたりに移動する熱量が減少することを防止することができる。そして、ベルト内周面80aへ時間あたりに移動する熱量が減少して加熱効率が低下した状態で加熱を行うことを防止でき、加熱効率が良い状態で定着ベルト80の加熱を行うことができる。よって、効率良く加熱を行うことで加熱時間の短縮を図ることができ、加熱領域Hを短く設定することができる。さらに、加熱領域入口8eのベルト外周面80bの表面温度よりも、定着ニップNの上流端である定着ニップ入口8bのベルト外周面80bの表面温度の方が高くなるように設定することにより、定着ニップNに定着ベルト80が到達する前に加熱ローラ82からの熱をベルト外周面80bに伝播させることができ、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱を定着ニップ入口8bからトナーの加熱に用いることができる。このように、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱を定着ニップ入口8bからトナーの加熱に用いることで定着不良の発生を抑制することができ、加熱領域Hを短くすることで加熱領域Hのスペースを縮小し、定着装置8の小型化を図ることができる。
さらに、上記(1)式を満たすように設定することで、加熱ローラ82の熱が非加熱面に伝播する時間が、定着ベルトが加熱領域の上流端から圧接部の上流端まで無端移動する時間と同じか、それよりも短くなる。これにより、定着ニップ入口8bに定着ベルト80が到達する前に加熱ローラ82からの熱をベルト外周面80bまで伝播させることができ、加熱ローラ82から定着ベルト80に移動した熱を定着ニップ入口8bからトナーの加熱に用いることができる。
また、定着ニップ入口8bの定着ベルト80のベルト外周面80bの表面温度が定着に適した温度となるように設定することによって、良好な定着を実現することができる。
また、定着ニップ入口8bの定着ベルト80のベルト内周面80aとベルト外周面80bとの表面温度の温度差が5[℃]以下となるように、表面温度を略一致させることにより、加熱領域Hで加熱ローラ82から定着ベルト80へ移動する熱の必要量を小さくすることができ、省電力化を図ることができる。
また、本実施形態の特徴的な構成は、加熱ローラ82で定着ベルト80のベルト内周面80aを加熱し、定着ローラ81と加圧手段である加圧ローラ83との間で定着ニップNを形成する定着装置8に適用することができる。
また、参考構成例のように、ベルト加熱ヒータ88を備え、定着ベルト80のベルト外周面80bを加熱することにより、加熱領域Hを短く設定できるだけでなく、ベルト非加熱面であるベルト内周面80aに熱が伝播する時間を要さないため、加熱領域出口8aと定着ニップ入口8bとの距離も短く設定することができる。
また、画像形成装置であるプリンタ100の定着手段として、本実施形態の定着装置8を用いることにより、プリンタ100の小型化を図ることができる。
本実施形態に係るプリンタの概略構成図。 同プリンタに係る定着装置の概略構成図。 定着装置の複数のポジションの定着ベルトの厚さ方向の温度分布の概略図。(a)は加熱領域出口の温度分布図、(b)は定着ニップ入口の温度分布図、(c)は定着ニップ出口の温度分布図、(d)は定着ローラ分離部の温度分布図、(e)は加熱領域入口の温度分布図。 2つの物質を一つの物質とみなした有効物質の説明図、(a)は有効物質の概略説明図、(b)は有効物質の温度分布を示すグラフ。 参考構成例の定着装置の概略構成図。
符号の説明
1 画像形成部
2 給紙部
3 読取部
4 排紙収納部
5 中間転写ベルト
6 作像部
7 露光装置
8 定着装置
8a 加熱領域出口
8b 定着ニップ入口
8c 定着ニップ出口
8d 定着ローラ分離部
8e 加熱領域入口
9 両面装置
21 給紙トレイ
22 給紙装置
23 レジストローラ
24 底板
25 ピックアップローラ
26 給紙ローラ
27 リバースローラ
31 コンタクトガラス
41 排紙ローラ
51 転写装置
52 中間転写クリーニング装置
61 感光体
62 帯電装置
63 現像装置
64 クリーニング装置
80 定着ベルト
80a ベルト内周面
80b ベルト外周面
81 定着ローラ
82 加熱ローラ
83 加圧ローラ
84 ガイド部材
85 サーミスタ
87 張架ローラ
88 ベルト加熱ヒータ
100 プリンタ
120 手差しトレイ

Claims (10)

  1. 複数の張架部材に張架されて無端移動し、加熱手段により加熱される定着ベルトと、
    該定着ベルトに圧接する加圧手段とを有し、
    該加熱手段が該定着ベルトを加熱する加熱領域で加熱された該定着ベルトが、該加圧手段が該定着ベルトと圧接する圧接部に無端移動し、該圧接部に未定着トナー像を担持した記録体を通して未定着トナー像を該定着ベルトの熱及び該加圧手段の圧力によって該記録体上に定着させる定着装置において、
    該定着ベルトの該加熱手段と対向するベルト加熱面の裏側の面であるベルト非加熱面について、
    該圧接部に該記録体を通過させる通紙時における、該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度と、該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端の該ベルト非加熱面の表面温度との温度差が5[℃]以下であり、
    該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度よりも該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度の方が高く、
    該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端の該ベルト加熱面の表面温度は、未定着トナー像の定着に適した定着温度よりも高い温度であり、
    該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端から該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端まで無端移動する間の、該定着ベルト内での熱伝導によって、該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端の該ベルト非加熱面の表面温度が該定着温度となることを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端近傍で該ベルト非加熱面の表面温度が上昇し始めることを特徴とする定着装置。
  3. 複数の張架部材に張架されて無端移動し、加熱手段により加熱される定着ベルトと、
    該定着ベルトに圧接する加圧手段とを有し、
    該加熱手段が該定着ベルトを加熱する加熱領域で加熱された該定着ベルトが、該加圧手段が該定着ベルトと圧接する圧接部に無端移動し、該圧接部に未定着トナー像を担持した記録体を通して未定着トナー像を該定着ベルトの熱及び該加圧手段の圧力によって該記録体上に定着させる定着装置において、
    該圧接部に該記録体を通過させる通紙時における、該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端を通過してから該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端を通過するまでの時間をT[s]、
    該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向上流端を通過してから該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端を通過するまでの時間をT[s]、
    該定着ベルトの厚さをD[m]、該定着ベルトの熱拡散率をa[m/s]としたときに、以下の(1)式を満たし、
    該定着ベルトの該加熱手段と対向するベルト加熱面における該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端の表面温度は、未定着トナー像の定着に適した定着温度よりも高い温度であり、
    該定着ベルトが該加熱領域の該定着ベルト無端移動方向下流端から該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端まで無端移動する間の、該定着ベルト内での熱伝導によって、該ベルト加熱面の裏側の面であるベルト非加熱面における該圧接部の該定着ベルト無端移動方向上流端の表面温度が該定着温度となることを特徴とする定着装置。
    Figure 0004786397
    なお、熱拡散率a[m/s]は、熱伝導率λ[J/s・m・K]、密度ρ[kg/m]、比熱Cp[J/kg・K]としたときに、以下の(2)式で求まる値である。
    a=λ/(ρ・Cp)・・・・・・・(2)
  4. 請求項1、2または3の定着装置において、
    上記圧接部の上記定着ベルト無端移動方向上流端の該定着ベルトの外周面の温度が定着に適した温度となっていることを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1、2、3または4の定着装置において、
    上記圧接部の上記定着ベルト無端移動方向上流端での該定着ベルトの内周面と外周面との表面温度の温度差が5[℃]以下であることを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の定着装置において、
    上記加熱手段は上記定着ベルトの内周面を加熱することを特徴とする定着装置。
  7. 請求項6の定着装置において、
    上記加熱手段は、上記定着ベルトを上記加熱領域で張架する加熱ローラであることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項1、2、3、4または5の定着装置において、
    上記加熱手段は上記定着ベルトの外周面を加熱することを特徴とする定着装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6または7の定着装置において、
    上記複数の張架部材として、上記加圧手段と該定着ベルトを挟んで対抗する定着ローラと備え、
    上記加圧手段としての加圧ローラを備えることを特徴とする定着装置。
  10. 像担持体と、像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上のトナー像を記録体上に転写する転写手段と、該転写手段により記録体に転写されたトナー像を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、
    該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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