JP2021039184A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニップ画像の読取り精度を向上した画像形成装置を提供する。【解決手段】シートに転写された未定着トナー像を、前記定着ニップにおいて熱及び圧力によって定着トナー像としてシートに定着させる定着部と、前記定着部を通過したシートを再び前記定着部に向けて搬送する再搬送部と、前記定着ニップの形状に対応したニップ画像をシートに形成するニップ画像形成処理を実行可能な制御部と、前記ニップ画像を読取る読取部と、を備え、前記制御部は、前記未定着トナー像が前記定着ニップを通過する際の前記加熱部の温度を第1温度に設定し、前記ニップ画像がシートに形成されてから前記読取部が前記ニップ画像を読取るまでに前記ニップ画像が前記定着ニップを通過する際の前記加熱部の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に設定する。【選択図】図5
Description
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
一般に、電子写真方式のプリンタ等の画像形成装置には、シートに転写されたトナー像をシートに定着させる定着装置が設けられている。定着装置は、定着ローラと加圧ローラとを有しており、これら定着ローラ及び加圧ローラによって形成される定着ニップにおいてシートに熱及び圧力が加えられることで、トナー像がシートに定着される。加圧ローラは、耐久劣化によって硬度が低下し、これによって定着ニップの幅が大きくなる。そして、定着ニップからシートに付加される熱が所定の範囲内に収まるように、定着ニップの幅に応じて定着ニップの温度を調整する制御が行われていた。
従来、シートの全体に亘ってベタ画像を形成し、定着ニップがベタ画像を挟持した状態で一定時間定着装置を停止し、ベタ画像の定着ニップによって挟持された部分のみ光沢度の異なるニップ跡を形成する画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。そして、形成したニップ跡をユーザがノギス等で測定することで、定着ニップの幅を把握することができる。
しかしながら、例えばニップ跡が形成されたベタ画像が再び定着装置を通過する場合、ニップ跡のトナーが再び定着装置の熱で溶融され、ニップ跡の境界が不明瞭となる。このため、ニップ跡から定着ニップの幅を測定する際の精度が低下してしまう虞があった。
そこで、本発明は、ニップ画像の読取り精度を向上した画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、画像形成装置において、未定着トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体と共に転写ニップを形成し、前記像担持体に担持された前記未定着トナー像を前記転写ニップにおいてシートに転写する転写部と、第1回転体と、前記第1回転体と共に定着ニップを形成する第2回転体と、前記第1回転体を加熱する加熱部と、を有し、シートに転写された前記未定着トナー像を、前記定着ニップにおいて熱及び圧力によって定着トナー像としてシートに定着させる定着部と、前記定着部を通過したシートを再び前記定着部に向けて搬送する再搬送部と、シートに形成された前記定着トナー像が前記定着ニップによって挟持された状態で前記定着部によるシートの搬送を停止させることで、前記定着ニップの形状に対応したニップ画像をシートに形成するニップ画像形成処理を実行可能な制御部と、前記ニップ画像を読取る読取部と、を備え、前記制御部は、前記未定着トナー像が前記定着ニップを通過する際の前記加熱部の温度を第1温度に設定し、前記ニップ画像がシートに形成されてから前記読取部が前記ニップ画像を読取るまでに前記ニップ画像が前記定着ニップを通過する際の前記加熱部の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に設定する、ことを特徴とする。
また、本発明は、画像形成装置において、未定着トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体と共に転写ニップを形成し、前記像担持体に担持された前記未定着トナー像を前記転写ニップにおいてシートに転写する転写部と、第1回転体と、前記第1回転体と共に定着ニップを形成する第2回転体と、前記第1回転体を加熱する加熱部と、を有し、シートに転写された前記未定着トナー像を、前記定着ニップにおいて熱及び圧力によって定着トナー像としてシートに定着させる定着部と、前記定着部を通過したシートを再び前記定着部に向けて搬送する再搬送部と、シートに形成された前記定着トナー像が前記定着ニップによって挟持された状態で前記定着部によるシートの搬送を停止させることで、前記定着ニップの形状に対応したニップ画像をシートに形成するニップ画像形成処理を実行可能な制御部と、前記ニップ画像を読取る読取部と、を備え、前記制御部は、前記ニップ画像形成処理において、前記定着ニップ以外の前記第1回転体の部分にシートが接触しない状態で、前記定着ニップ及び前記転写ニップによるシートの搬送を停止させる、ことを特徴とする。
本発明によると、ニップ画像の読取り精度を向上することができる。
<第1の実施の形態>
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。画像形成装置としてのプリンタ100は、電子写真方式のフルカラーレーザビームプリンタである。プリンタ100は、図1に示すように、シートPPに画像を形成する画像形成部50と、給送部80と、排出ローラ対20と、再搬送部90と、を有している。画像形成部50は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kと、スキャナユニット7Y,7M,7C,7Kと、定着器30とを備えている。スキャナユニット7Y,7M,7C,7Kは、レーザダイオードを用いたポリゴンスキャナである。
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。画像形成装置としてのプリンタ100は、電子写真方式のフルカラーレーザビームプリンタである。プリンタ100は、図1に示すように、シートPPに画像を形成する画像形成部50と、給送部80と、排出ローラ対20と、再搬送部90と、を有している。画像形成部50は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kと、スキャナユニット7Y,7M,7C,7Kと、定着器30とを備えている。スキャナユニット7Y,7M,7C,7Kは、レーザダイオードを用いたポリゴンスキャナである。
なお、4つのプロセスカートリッジ5Y,5M,5C,5Kは、形成する画像の色が異なること以外は同じ構成である。そのため、プロセスカートリッジ5Yの構成及び画像形成プロセスのみを説明し、プロセスカートリッジ5M,5C,5Kの説明は省略する。
プロセスカートリッジ5Yは、感光ドラム1と、帯電ローラ2及びクリーニングブレード4を収容する廃トナー容器24と、現像ローラ3を収容するトナー容器23と、を有している。感光ドラム1は、アルミシリンダの外周に有機光導電層を塗布して構成され、不図示の駆動モータによって回転する。トナー容器23内のトナーは、負帯電の非磁性一成分トナーである。
また、画像形成部50には、駆動ローラ9及び二次転写対向ローラ10に巻き掛けられた中間転写ベルト8が設けられ、中間転写ベルト8の内側には、一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kが設けられている。駆動ローラ9の近傍には、中間転写ベルト8に残ったトナーを掻き取るクリーニングブレード21が設けられており、クリーニングブレード21によって掻き取られたトナーは、廃トナー容器22に回収される。また、中間転写ベルト8を挟むように、二次転写対向ローラ10に対向して転写部としての二次転写ローラ11が設けられており、中間転写ベルト8及び二次転写ローラ11は、搬送されるシートPPに画像を転写する転写ニップN1を形成している。定着器30については後述する。
給送部80は、プリンタ100の下部に設けられ、シートPPを支持するカセット13と、カセット13に支持されたシートPPを給送するピックアップローラ14と、を有している。また、給送部80は、ピックアップローラ14によって給送されたシートPPを1枚ずつに分離する分離ローラ対15を有している。
ここで、プリンタ100に設けられる各搬送路及びシートを搬送するための構成要素について説明する。プリンタ100は、給送搬送路R1と、給送搬送路R1のシート搬送方向における下流端である分岐点BP1において分岐する排出搬送路R2と、分岐点BP1から延び、合流点BP2において給送搬送路R1に合流する両面搬送路R3と、を有する。
給送搬送路R1には、レジストレーションローラ対16が設けられている。分岐点BP1には、給送搬送路R1から来たシートPPを排出搬送路R2に案内すると共に、排出搬送路R2から来たシートPPを両面搬送路R3に案内する案内部材40が設けられている。
排出搬送路R2には、正逆転可能に構成され、シートPPをスイッチバックして反転搬送可能な排出ローラ対20が設けられている。また、両面搬送路R3には、シートを搬送する搬送ローラ対41,43が設けられている。これら両面搬送路R3及び搬送ローラ対41,43は、定着器30を通過したシートPPを再び定着器30に向けて搬送する再搬送部90を構成している。
再搬送路としての両面搬送路R3に沿った位置かつシート搬送方向において搬送ローラ対41,43の間には、読取部44が設けられている。読取部44は、不図示の発光素子とCIS(Contact Image Sensor)を有しており、シートPPの幅方向における全域を読取り可能に構成されている。読取部44は、シートPPが搬送ローラ対41を通過したタイミングで、シートPPに形成された画像の読取りを開始する。また、読取部44は、搬送されるシートPPの画像を時系列のデジタル画素信号として光電読取りし、読取部44内のメモリにスキャン画像データとして蓄積する。なお、CISに代えて、CMOSセンサやCCDセンサを適用してもよい。
次に、このように構成されたプリンタ100の画像形成動作について説明する。不図示のパソコン等から画像信号がスキャナユニット7Yに入力されると、スキャナユニット7Yから、画像信号に対応したレーザ光がプロセスカートリッジ5Yの感光ドラム1上に照射される。
この時、感光ドラム1は、帯電ローラ2により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット7Yからレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。感光ドラム1に形成された静電潜像は、現像ローラ3により現像され、感光ドラム1上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
同様にして、プロセスカートリッジ5M,5C,5Kの各感光ドラムにもスキャナユニット7M,7C,7Kからレーザ光が照射され、各感光ドラムにマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ6Y,6M,6C,6Kにより中間転写ベルト8に転写され、駆動ローラ9によって矢印A方向に回転する中間転写ベルト8により転写ニップN1まで搬送される。すなわち、像担持体としての中間転写ベルト8は、未定着トナー像を担持する。なお、各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト8上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。また、トナー像の転写後に感光ドラム1に残ったトナーは、クリーニングブレード4によって回収される。
この画像形成プロセスに並行して、給送部80のカセット13に収容されたシートPPは、ピックアップローラ14により送り出され、分離ローラ対15により1枚ずつに分離される。そして、シートPPは、レジストレーションローラ対16により斜行が補正され、転写ニップN1での画像の転写タイミングに合わせて所定の搬送タイミングで搬送される。
シートPPには、二次転写ローラ11に印加された二次転写バイアスによって、転写ニップN1において中間転写ベルト8上のフルカラーの未定着トナー像が転写される。未定着トナー像が転写されたシートPPは、定着器30によって所定の熱及び圧力が付与されて、未定着トナー像が定着トナー像として溶融固着(定着)される。定着器30を通過したシートPPは、案内部材40によって排出搬送路R2に案内され、排出ローラ対20によって排出トレイ45に排出される。
シートの両面に画像を形成する両面印刷ジョブが入力された際には、第1面に画像を形成され定着器30を通過したシートPPは、案内部材40によって排出搬送路R2に案内される。排出搬送路R2に案内されたシートPPは、排出ローラ対20によってまず機外に向けて搬送される。そして、シートPPの後端が分岐点BP1を通過すると、排出ローラ対20は逆転し、排出ローラ対20によって反転されたシートPPは、両面搬送路R3を搬送される。
シートPPは、搬送ローラ対41によって搬送されて合流点BP2において給送搬送路R1に合流する。給送搬送路R1に合流したシートPPは、第1面と同様に第2面に画像が形成され、排出トレイ45に排出される。
〔定着器〕
次に、定着部としての定着器30について詳述する。図2は、定着器30を示す拡大断面図であり、図1に示された定着器30を右方向に90度回転させた状態で表されている。定着器30は、図2に示すように、第1回転体としての定着フィルム31と、第2回転体としての加圧ローラ32と、加熱部としての定着ヒータ33と、ヒータホルダ34と、加圧ステー35と、入口ガイド36と、を有している。
次に、定着部としての定着器30について詳述する。図2は、定着器30を示す拡大断面図であり、図1に示された定着器30を右方向に90度回転させた状態で表されている。定着器30は、図2に示すように、第1回転体としての定着フィルム31と、第2回転体としての加圧ローラ32と、加熱部としての定着ヒータ33と、ヒータホルダ34と、加圧ステー35と、入口ガイド36と、を有している。
定着フィルム31は、基層311の外周面上に弾性層312と表層313が設けられた無端状フィルムによって形成されている。弾性層312は、定着性の向上や光沢度の均一化を目的として、シリコンゴムなどの耐熱性を有する弾性材料によって構成される。表層313は、シートPPとの分離性の向上、トナー像Tのオフセット抑制を目的として、フッ素樹脂等の耐熱性を有する離型性の良い材料で構成される。
加圧ローラ32は、芯軸部321と、少なくとも1層以上の弾性層322と、表層323とを有する。弾性層322は、定着ニップN2のシート搬送方向における幅を確保するために、シリコンゴム或いはフッ素ゴムなど耐熱性を有する弾性材料で構成される。表層323は、トナーや紙粉による汚れを防止するために、フッ素樹脂等の耐熱性を有する離型性の良い材料で構成される。
定着ヒータ33は、定着フィルム31の内周面と接触しながら定着フィルム31を急速加熱する板状発熱体である。定着ヒータ33の温度は、基板の裏面に設けられているサーミスタ331により検知される。そして、サーミスタ331の検知信号に基づいて定着ヒータ33が所定の目標温度になるように通電発熱抵抗層への通電が制御される。
ヒータホルダ34は、定着ヒータ33を保持している。加圧ステー35は、剛性を有する部材で構成され、不図示の加圧手段から受けた加圧力を、ヒータホルダ34を介して加圧ローラ32に付与する。この加圧力により、定着フィルム31と加圧ローラ32との間に所定幅の定着ニップN2が形成される。
加圧ローラ32は、不図示の定着モータによって、矢印RD1方向に回転される。そして、定着フィルム31は、加圧ローラ32の回転に伴い、矢印RD2方向に従動回転する。定着ヒータ33は、急速昇温して定着フィルム31を加熱する。定着ヒータ33が所定の目標温度に制御された状態において、シートPPが入口ガイド36に沿って定着ニップN2に案内され、定着フィルム31と加圧ローラ32とによりシート搬送方向Dに挟持搬送される。その搬送過程において、シートPPには熱と圧力が付与され、未定着のトナー像TがシートPPに定着される。
〔制御系〕
次に、プリンタ100の制御系について説明する。図3に示すように、プリンタ100は、制御部60を有しており、制御部60は、プリンタ100全体を制御するCPUと、ワークメモリであるRAMと、各プログラムが格納されたROMと、を有している。制御部60は、画像形成部50を動作させて、端末から送信されてくる画像情報を基に、シートPPへ画像の印刷を行う。
次に、プリンタ100の制御系について説明する。図3に示すように、プリンタ100は、制御部60を有しており、制御部60は、プリンタ100全体を制御するCPUと、ワークメモリであるRAMと、各プログラムが格納されたROMと、を有している。制御部60は、画像形成部50を動作させて、端末から送信されてくる画像情報を基に、シートPPへ画像の印刷を行う。
制御部60は、定着温調制御部61と、画像読取制御部62と、演算部74と、を有している。定着温調制御部61は、定着器30の定着ヒータ33の温度を、サーミスタ331の検知結果に基づき、所定の温度に制御する。また、画像読取制御部62は、後述する画像分析を行うために、シートPP上の画像をスキャンする時、シートPPが読取部44に到達する前に、読取部44へ読取り指示を出す。
読取部44に蓄積されたスキャン画像データは、画像分析部71によって分析され、後述する定着ニップN2のニップ幅(以下、定着ニップ幅と称する)を測定し、分析結果として出力する。なお、画像分析部71は、制御部60の内部及び外部のいずれに設けられてもよく、CPUを含む制御部60と画像分析部71によって本発明における制御部が構成される。
また、プリンタ100には、ハードディスクドライブであるHDD73が設けられ、HDD73には、システムソフトウェア、画像データ、画像分析部71によるニップ幅の計測結果及び後述する耐久補正に関するテーブルが格納される。なお、HDD73以外に、半導体メモリといった書き込み可能な不揮発性メモリを用いてもよい。
演算部74は、制御パラメータとしての定着温調耐久補正を算出する機能を有しており、HDD73に格納された定着ニップ幅とそれと紐づいた温度補正量から、定着温調の耐久補正量を決定する。制御部60は、ネットワークI/F70を介してLANに接続されており、外部の端末や画像読取装置とプリンタ100との間で画像情報やデバイス情報の入出力を行う。
〔定着温度の耐久補正〕
次に、耐久起因の画像不良の未然予防を目的とした定着温度の耐久補正について説明する。定着器30は耐久に伴い、加圧ローラ32の弾性層322が劣化して定着ニップN2のシート搬送方向Dにおけるニップ幅が広がる。定着ニップ幅が広がると、定着ヒータ33の温度が一定に保たれていても、定着フィルム31からシートPPへの供給熱量が増加してしまう。その結果、未定着トナー像の定着時にトナー像Tに過剰な熱量が付与され、トナー像Tの一部が定着フィルム31に付着してしまう。定着フィルム31に付着したトナーは、定着フィルム31の1回転後にシートPPに定着され、一周前の画像がオフセットしたような画像不良(以降、ホットオフセットと称する)を発生させる。
次に、耐久起因の画像不良の未然予防を目的とした定着温度の耐久補正について説明する。定着器30は耐久に伴い、加圧ローラ32の弾性層322が劣化して定着ニップN2のシート搬送方向Dにおけるニップ幅が広がる。定着ニップ幅が広がると、定着ヒータ33の温度が一定に保たれていても、定着フィルム31からシートPPへの供給熱量が増加してしまう。その結果、未定着トナー像の定着時にトナー像Tに過剰な熱量が付与され、トナー像Tの一部が定着フィルム31に付着してしまう。定着フィルム31に付着したトナーは、定着フィルム31の1回転後にシートPPに定着され、一周前の画像がオフセットしたような画像不良(以降、ホットオフセットと称する)を発生させる。
このホットオフセットを防止するには、定着ニップ幅の変化に応じて定着温度を補正し、シートPPへの供給熱量を一定に保つ必要がある。このためには、定着ニップ幅を正確に把握することが重要である。
例えば、定着器30の積算通紙枚数の情報を取得し、この積算通紙枚数から定着ニップ幅の変化を予測し、定着温度を補正する方法が考えられる。しかしながら、定着ニップ幅の増加量は、通紙される紙の種類や通紙条件によって変化する。なぜなら紙の種類や通紙条件が変わることで定着器30に投入される電力が変わり、加圧ローラ32の弾性層322への熱履歴が変わることで、ゴムの硬度変化も変わるからである。従って、積算通紙枚数に基づいて算出される温度補正量は、実際に必要となる補正量からずれてしまい、ホットオフセットや逆に熱量不足に起因する定着不良が発生してしまう場合があった。
そこで、本実施の形態では、シートPPに形成されたニップ画像から定着ニップ幅を読取部44によって自動で計測する自動計測モードを実行することにより、定着ニップ幅を正確に随時把握している。なお、読取部44は、シートPPに形成されたトナー像を読み取ることによって、シートPPに転写するトナー像の色調を調整したり、画像不良を検知したりする目的で使用されてもよい。特に、本実施の形態では、両面搬送路R3を初めて通過するシートPPに対して、転写ニップN1によって未定着トナー像が転写される第1面に対向するように配置されているため、トナー像を効率的に読み取ることができる。
〔計測パターン〕
次に、上記自動計測モードにおいて定着ニップ幅を計測する為にシートPPに形成される計測パターンについて説明する。図4は、計測パターン300を示す模式図である。計測パターン300は、単色のトナーにより形成されたベタ画像である。この計測パターン300内に、後述する図5のステップS3によって、定着ニップN2の形状に対応したニップ画像IMを形成させる。そして、ニップ画像IMのシート搬送方向Dにおける長さに相当する定着ニップ幅は、定着ニップ幅L3である。
次に、上記自動計測モードにおいて定着ニップ幅を計測する為にシートPPに形成される計測パターンについて説明する。図4は、計測パターン300を示す模式図である。計測パターン300は、単色のトナーにより形成されたベタ画像である。この計測パターン300内に、後述する図5のステップS3によって、定着ニップN2の形状に対応したニップ画像IMを形成させる。そして、ニップ画像IMのシート搬送方向Dにおける長さに相当する定着ニップ幅は、定着ニップ幅L3である。
計測パターンを印字するシートPPのサイズは、例えばA4サイズである。本実施の形態に係るプリンタ100は、印刷可能なシートの最大定型サイズがA4サイズであるA4機である。計測パターン300の幅方向における長さL1は、計測パターンを広範囲で分析できるように、A4サイズのシートに印字可能な最大幅とすることが好ましいが、これに限定されない。また、計測パターン300のシート搬送方向Dにおける長さL2は、当然ながら定着ニップ幅L3よりも大きい(L2>L3)。本実施例では、L1=200mm、L2=40mmに設定されている。
〔自動計測モード〕
次に、自動計測モードの動作について図5のフローチャートを参照しながら説明する。なお、自動計測モードは、外部のPCやプリンタ100の操作部からの明示的な指示により実行可能である。
次に、自動計測モードの動作について図5のフローチャートを参照しながら説明する。なお、自動計測モードは、外部のPCやプリンタ100の操作部からの明示的な指示により実行可能である。
自動計測モードが実行されると、図5に示すように、制御部60は、まずシートPPに定着画像としての計測パターン300を形成する(ステップS1)。すなわち、制御部60は、中間転写ベルト8に形成された単色のベタ画像である計測パターン300を転写ニップN1においてシートPPに転写し、定着ニップN2において該計測パターン300をシートPPに定着させる。この時、定着器30の温調温度は、通常のプリント時と同じ240℃に設定されている。なお、温調温度とは、制御部60によって制御される定着ヒータ33の目標温度である。
次に、制御部60は、シートPPを排出ローラ対20によってスイッチバックさせて両面搬送路R3に搬送させ、再び定着器30へ搬送する(ステップS2)。これは、シートPPの計測パターン300が定着された面を加圧ローラ32に対向させるためである。耐久によって変化する加圧ローラ32の硬度に依らず定着ニップ幅L3を精度良く測定するには、計測パターン300に加圧ローラ32を接触させて、計測パターン300上に加圧ローラ32のニップ跡であるニップ画像IMを形成させる必要がある。
次に、制御部60は、計測パターン300が定着ニップN2によって挟持された状態で定着器30によるシートの搬送を停止させることで、定着ニップN2の形状に対応したニップ画像IMをシートに形成するニップ画像形成処理を実行する(ステップS3)。以下にステップS3のニップ画像形成処理の詳細について述べる。
制御部60は、シートPPを定着器30に進入させ、計測パターン300のシート搬送方向Dにおける略中央が定着ニップN2に挟持されたタイミングで、転写ニップN1及び定着ニップN2におけるシートPPの搬送を停止させる。この時、加圧ローラ32は、定着トナー像としての計測パターン300に接触した状態で停止する。例えば、制御部60は、加圧ローラ32を駆動する定着モータと、駆動ローラ9を駆動する転写モータと、を停止させる。また、駆動ローラ9ではなく、二次転写対向ローラ10を転写モータによって駆動してもよい。また、定着モータと転写モータの2つの駆動源ではなく、1つの駆動源を停止させることによって転写ニップN1及び定着ニップN2におけるシートPPの搬送を停止させてもよい。
そして、制御部60は、シートPPの搬送の停止と共に、定着ヒータ33への電力供給を停止させる。これにより、計測パターン300は、定着フィルム31と加圧ローラ32の余熱により再溶融され、定着ニップN2に挟持された部分が平滑化されてニップ画像IMとなる。その後、定着ヒータ33への電力供給が停止しているために、定着フィルム31と加圧ローラ32の温度は時間経過とともに低下していき、平滑性が維持された状態でニップ画像IMはシートPPに定着される。これにより、シートPPの計測パターン300上に、定着ニップN2の形状に対応した平滑性の高いニップ画像IMが形成される。
その後、制御部60は、定着ヒータ33に電力供給することで温調温度を185℃に到達させた後、転写ニップN1及び定着ニップN2におけるシートPPの搬送を再開させる。計測パターン300は、既にシートPPに定着されている画像なので、転写ニップN1及び定着ニップN2におけるシートPPの搬送の再開後は、計測パターン300のトナーを溶融させる必要がなく、温調温度を低めに設定できる。本実施例では、定着器30内の潤滑剤を溶融させて定着器30がシートPPの搬送を正常に行える範囲で極力低めの温度である185℃に温調温度を設定している。定着器30内の潤滑剤としては、シリコンオイル、フッ素オイル及びフッ素グリース等が適用される。
そして、制御部60は、シートPPを排出ローラ対20によってスイッチバックさせて両面搬送路R3に搬送させ、再び定着器30へ搬送する(ステップS4)。これは、ニップ画像IMが形成されたシートPPの面が読取部44に対向するように、シートPPの表裏を反転させるためである。更に、制御部60は、シートPPを読取部44へ搬送する為に、シートPPを定着器30に再び通過させる(ステップS5)。また、制御部60は、シートPPを読取部44へ搬送する為に、シートPPを排出ローラ対20によってスイッチバックさせて両面搬送路R3に搬送させる(ステップS6)。
制御部60は、シートPP上の計測パターン300に形成されたニップ画像IMを読取部44によって読取り、定着ニップ幅L3を計測する(ステップS7)。以下にステップS7の定着ニップ幅L3の計測動作の詳細について述べる。
ニップ画像IMが形成されたシートPPは、読取部44で計測パターン300が読取られる。読取られた画像データは、RGBのデジタル画素信号から明度情報に変換される。そして、制御部60は、明度が急峻にかわるところをニップ画像IMのシート搬送方向Dにおける境界とし、その境界間の幅を算出することにより定着ニップ幅L3を計測する。
図6(a)に、ニップ画像IMの幅方向における中央部の位置での、シート搬送方向Dにおける明度の分布を示す。図6(a)の縦軸は計測パターン300を測定したときの明度を示し、横軸はシート搬送方向Dの位置を示している。定着ニップ幅L3に対応する領域は、その周囲の領域に対して明度が低くなる。この理由は、定着ニップ幅L3の領域のトナー像が平滑化されることにより、トナー像の表面での散乱光成分が少なくなるからである。
図6(b)は、図6(a)に示した明度を、シート搬送方向Dにおける変化率に変換し、その絶対値を示した図である。ここで、明度のシート搬送方向Dにおける変化率とは、シート搬送方向Dの単位距離当たりの明度の変化量である。具体的には、シート搬送方向Dに12pixel移動したときの明度の変化量から、単位pixel当たりの明度の変化量を算出し、この値を明度のシート搬送方向における変化率としている。そして、明度を変化率で表すことにより、定着ニップ幅L3の境界位置を検出しやすくしている。
本実施例では、変化率の絶対値が閾値=0.2を超える領域の中で、極大値の大きさで上位2つに対応する位置を、定着ニップ幅L3の境界として定義している。そして、この2つの境界の間の長さを定着ニップ幅L3の値とし、制御部60は、ニップ画像IMの幅方向に均等に割り付けた37か所それぞれの位置で定着ニップ幅の値を求めている。なお、本実施例では、閾値=0.2としたが、この値に限るものではない。
そして、制御部60は、定着ニップ幅L3の計測が終了した後、シートPPを機外へ排出させる(ステップS8)。制御部60は、ステップS7においてニップ画像IMに基づいて幅としての定着ニップ幅L3を求め、該定着ニップ幅L3に基づいて定着ヒータ33を制御する。なお、制御部60は、定着ニップ幅L3の情報を定着器30の寿命予測等に用いてもよい。
以上述べたように、本実施例のように読取部44を配置した場合、シートPPにニップ画像IMを形成させた後に、ニップ画像IMを読取部44によって読取る為に、シートPPの表裏を反転させる必要がある。そして、この過程で、シートPPは定着ニップN2において熱を受けることにより、ニップ画像IMの境界が不明瞭となりやすい。ニップ画像IMの境界が不明瞭となると、定着ニップ幅L3を正確に計測することができなくなる。このため、定着器30の温度設定が重要となる。
〔定着器の温度設定〕
次に、図5のステップS5において、シートPPが定着器30の定着ニップN2を通過する際の、定着器30の温度設定について説明する。本実施例では、ステップS5における定着器30の温調温度Teを、ニップ画像IMの形成時(図5のステップS3)と同じ185℃に設定しており、計測パターン300や通常の印刷画像の形成時の温調温度である240℃よりも低く設定している。
次に、図5のステップS5において、シートPPが定着器30の定着ニップN2を通過する際の、定着器30の温度設定について説明する。本実施例では、ステップS5における定着器30の温調温度Teを、ニップ画像IMの形成時(図5のステップS3)と同じ185℃に設定しており、計測パターン300や通常の印刷画像の形成時の温調温度である240℃よりも低く設定している。
言い換えれば、制御部60は、未定着トナー像が定着ニップN2を通過する際の定着ヒータ33の温度を第1温度である240℃に設定している。また、制御部60は、ニップ画像IMがシートPPに形成されてから読取部44がニップ画像IMを読取るまでにニップ画像IMが定着ニップN2を通過する際の定着ヒータ33の温度を第1温度よりも低い第2温度としての185℃に設定している。
このように、温調温度Teを低めの温度に設定する理由を以下に述べる。温調温度Teを比較的低めの温度に設定することによって、計測パターン300を構成するトナーが再溶融されにくくなるので、ニップ画像IMの平滑性を維持することができる。結果、定着ニップ幅L3の領域とそれ以外の領域の明度差を高く維持することで、ニップ画像IMとその他の計測パターン300との境界が明確になり、定着ニップ幅L3を高精度で測定することができる。比較の為に、温調温度Te=185℃のほかに、Te=210℃やTe=255℃のそれぞれの設定において定着ニップ幅L3を読取り、その読取り精度を確認した。
読取り精度の確認は、上記それぞれの温調温度の設定での幅方向における各位置の定着ニップ幅を、図5のステップS7で算出した値と、目視によってノギスを用いて計測した値との差分を比較して行った。ここで、ノギスによって計測した値は、光沢差と濃度差の両方を加味して計測している為、信頼度がより高い真値として扱うことができる。図5のステップS7の算出値とノギスによって計測した値との差分の平方を、幅方向37か所の位置で算出して、その和である平方和Sの大きさを定着ニップ幅の真値からのずれとして評価した。平方和Sは、以下の式(1)より導出される。
図7は、読取部44によって読取られる式(1)のxiに対応する定着ニップ幅を上記の各温調温度でプロットした結果のグラフである。図7に示すグラフから、Te=185℃のプロットに対して、Te=210℃やTe=255℃のプロットは幅方向における各位置間で値がばらつくことが分かった。
このばらつきが小さいほど、平方和Sは小さくなり、平方和Sが小さいほど、定着ニップ幅L3が精度良く測れていることを意味する。上記各温調温度における平方和Sは、以下の表のようになる。
以上述べたように、自動計測モードを有するプリンタ100において、定着ニップN2を再通過する際(図5のステップS5)の温調温度を、通常のトナー像定着動作時における温調温度よりも低くすることにより、ニップ画像IMの境界が明確になる。これにより、読取部44によって読取られたニップ画像IMから定着ニップ幅L3を高精度で測定することができ、定着ニップ幅L3に応じて定着器30の温調温度を適正に制御することができる。このため、定着器30が耐久劣化してもシート上のトナー像に対して適正な熱量を付加することができ、高品位な成果物を得ることができる。
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態のニップ画像形成処理のみを変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態のニップ画像形成処理のみを変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
定着ニップ幅L3の計測精度に関する要因調査を行った結果、ニップ画像形成処理におけるシートの姿勢も計測精度に影響することが分かった。そこで、本実施の形態では、自動計測モードにおいて、ニップ画像形成処理(図5のステップS3)におけるシートの姿勢を安定化させることにより、定着ニップ幅L3の計測精度を向上させることとした。
図8は、ニップ画像形成処理における停止状態のシートの姿勢を、姿勢P1,P2,P3で示している。姿勢P1及び姿勢P2は、定着ニップN2と転写ニップN1に跨った状態のシートの姿勢であり、姿勢P1は、加圧ローラ32の温度が低い場合、姿勢P2は、加圧ローラ32の温度が高い場合を示している。また、姿勢P3は、シートの後端が転写ニップN1を通過した後に停止した状態のシートの姿勢である。
加圧ローラ32の温度が高い場合、加圧ローラ32の弾性層322(図2参照)の熱膨張により加圧ローラ32の外径が増大し、定着ニップN2におけるシートの搬送速度が速くなる。一方、転写ニップN1におけるシートの搬送速度は、常に一定である。このため、転写ニップN1及び定着ニップN2に跨って搬送されているシートの撓み具合は、加圧ローラ32の温度によって変化する。加圧ローラ32の温度が高い時のシートの撓み具合は、図中の姿勢P2で示すように、加圧ローラ32の温度が低い時のシートの姿勢P1と比較して小さくなる。
シートが定着フィルム31に近づくように姿勢を変えると、定着フィルム31とシートとの接触状態が変化する。その結果、トナー像が形成されていないシートの裏面からトナー像Tが形成されたシートの表面に熱が伝達され、トナー像Tがわずかに溶融されるため、ニップ画像IMの境界が不鮮明になる虞がある。これにより、定着ニップ幅L3の測定精度が低下してしまう。
そこで、本実施の形態では、姿勢P3で示すように、シートの後端TPが転写ニップN1を抜けた後、かつ後端TPが定着ニップN2に到達する前にシートの搬送及び定着ヒータ33への電力供給を停止させ、ニップ画像IMを形成している。これにより、シートのコシを利用して、シートの、シート搬送方向における定着ニップN2よりも上流の部分を定着フィルム31から離間させ状態でニップ画像IMを形成することができる。言い換えれば、制御部60は、ニップ画像形成処理において、定着ニップN2以外の定着フィルム31の部分にシートが接触しない状態で、定着ニップN2及び転写ニップN1によるシートの搬送を停止させる。
なお、本実施の形態において、転写ニップN1は、定着ニップN2における定着フィルム31及び加圧ローラ32の接線TLに対して、定着フィルム31と同じ側に位置している。このため、シートの後端TPが転写ニップN1を抜けると、シートのコシによって後端TPが接線TLに近づく方向に移動する。
以下に、本実施の形態による効果について、検証結果を基に説明する。以下の表に、比較例1及び実施例2における定着ニップ幅L3の計測精度の確認として、それぞれの例における平方和Sを示している。比較例1及び実施例2は、自動計測モードを開始した時のサーミスタ331で計測された温度が90℃である。また、比較例1では、ニップ画像形成処理において姿勢P2でシートを停止させ、実施例2では、ニップ画像形成処理において姿勢P3でシートを停止させている。
転写ニップN1と定着ニップN2にシートが挟持されている比較例1においては、自動計測モードの開始時に定着器30が温まっている為、平方和Sが大きくなり、真値からのずれが大きくなっている。一方、実施例2のように転写ニップN1にはシートが挟持されていない状態では、定着器30が温まっていても、境界が明瞭なニップ画像IMを形成することができ、真値からのずれを抑えることができる。
以上示したように、シートの後端TPが転写ニップN1を通過した後にシートを停止させることで、定着ニップ幅L3の計測精度を向上させることができる。そして、定着ニップ幅L3に応じて定着器30の温調温度を適正に制御することができる。このため、定着器30が耐久劣化してもシート上のトナー像に対して適正な熱量を付加することができ、高品位な成果物を得ることができる。
なお、本実施の形態は、フルカラーのプリンタ100における二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ11によって形成される転写ニップN1を例に説明したが、これに限定されない。例えば、モノクロのプリンタにおける感光体と転写ローラとによって形成されるニップをシートの後端が通過した後に、シートを停止させてニップ画像IMを形成してもよい。
<第3の実施の形態>
次いで、本発明の第3の実施の形態について説明するが、第3の実施の形態は、第2の実施の形態のニップ画像形成処理のみを変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
次いで、本発明の第3の実施の形態について説明するが、第3の実施の形態は、第2の実施の形態のニップ画像形成処理のみを変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
図9は、ニップ画像形成処理における停止状態のシートの姿勢を、姿勢P2,P4で示している。姿勢P4は、シートが定着ニップN2と転写ニップN1に跨った状態のシートの姿勢であり、姿勢P2よりも撓んだ姿勢である。
本実施の形態では、シートが転写ニップN1及び定着ニップN2に挟持された状態で、かつ定着ニップN2によるシートの搬送を停止させた後に、転写ニップN1によるシートの搬送を停止させる。これにより、シートの、シート搬送方向における定着ニップN2よりも上流の部分を定着フィルム31から離間させた状態でニップ画像IMを形成することができる。言い換えれば、制御部60は、ニップ画像形成処理において、定着ニップN2以外の定着フィルム31の部分にシートが接触しない状態で、定着ニップN2及び転写ニップN1によるシートの搬送を停止させる。
なお、本実施の形態において、転写ニップN1は、定着ニップN2における定着フィルム31及び加圧ローラ32の接線TLに対して、定着フィルム31と同じ側に位置している。このため、定着ニップN2によるシートの搬送を停止させた後に転写ニップN1によるシートの搬送を停止させると、シートが定着フィルム31から離れる方向に撓む。
以下に、本実施の形態による効果について、検証結果を基に説明する。以下の表に、比較例1及び実施例3における定着ニップ幅L3の計測精度の確認として、それぞれの例における平方和Sを示している。比較例1及び実施例3は、自動計測モードを開始した時のサーミスタ331で計測された温度が90℃である。また、比較例1では、ニップ画像形成処理において姿勢P2でシートを停止させ、実施例3では、ニップ画像形成処理において姿勢P4でシートを停止させている。
比較例1においては、自動計測モードの開始時に定着器30が温まっている為、平方和Sが大きくなり、真値からのずれが大きくなっている。一方、実施例3のように姿勢P2よりも大きな撓みを形成した姿勢P4でシートを停止させることで、定着ニップN2の外部においてシートを定着フィルム31から遠ざけることができる。このため、定着器30が温まっていても定着フィルム31からの熱の影響を抑えて、境界が明瞭なニップ画像IMを形成することができ、真値からのずれを抑えることができる。
<その他の実施形態>
なお、第3の実施の形態では、定着ニップN2によるシートの搬送を停止させた後に転写ニップN1によるシートの搬送を停止させることで、シートを定着フィルム31から遠ざける方向に撓ませていたが、これに限定されない。例えば、定着ニップN2におけるシートの搬送速度を転写ニップN1におけるシートの搬送速度よりも遅くして予めシートを撓ませた状態で、転写ニップN1及び定着ニップN2におけるシートの搬送を同時に停止させてもよい。
なお、第3の実施の形態では、定着ニップN2によるシートの搬送を停止させた後に転写ニップN1によるシートの搬送を停止させることで、シートを定着フィルム31から遠ざける方向に撓ませていたが、これに限定されない。例えば、定着ニップN2におけるシートの搬送速度を転写ニップN1におけるシートの搬送速度よりも遅くして予めシートを撓ませた状態で、転写ニップN1及び定着ニップN2におけるシートの搬送を同時に停止させてもよい。
なお、第1乃至第3の実施の形態は、適宜組み合わせてもよい。また、第2及び第3の実施の形態では、図5のステップS5において、定着器30の温調温度を通常のトナー像定着動作時における温調温度と同様に設定してもよい。
また、既述のいずれの形態においても、読取部44は、両面搬送路R3上に設けなくてもよく、例えば読取部44を排出搬送路R2に設けてもよい。また、本実施の形態で説明した温調温度の具体例は一例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
また、既述のいずれの形態においても、自動計測モードは、ユーザの指示により実行したが、これに限定するものではなく、予め設定したタイミングで、自動で実行させても良い。また、ユーザの指示により自動計測モードを実行する場合、プリンタ100側から、ユーザに実行を促す報知をさせても良い。
また、既述のいずれの形態においても、定着器30は定着フィルム31を有していたが、これに限定されない。例えば、定着フィルム31に代えて、IHヒータやセラミックヒータを内蔵した定着ローラを適用してもよい。
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
8:像担持体(中間転写ベルト)/11:転写部(二次転写ローラ)/30:定着部(定着器)/31:第1回転体(定着フィルム)/32:第2回転体(加圧ローラ)/33:加熱部(定着ヒータ)/44:読取部/60:制御部/90:再搬送部/300:定着トナー像(計測パターン)/L3:幅(定着ニップ幅)/IM:ニップ画像/N1:転写ニップ/N2:定着ニップ/R3:再搬送路(両面搬送路)/TL:接線/TP:後端
Claims (10)
- 未定着トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体と共に転写ニップを形成し、前記像担持体に担持された前記未定着トナー像を前記転写ニップにおいてシートに転写する転写部と、
第1回転体と、前記第1回転体と共に定着ニップを形成する第2回転体と、前記第1回転体を加熱する加熱部と、を有し、シートに転写された前記未定着トナー像を、前記定着ニップにおいて熱及び圧力によって定着トナー像としてシートに定着させる定着部と、
前記定着部を通過したシートを再び前記定着部に向けて搬送する再搬送部と、
シートに形成された前記定着トナー像が前記定着ニップによって挟持された状態で前記定着部によるシートの搬送を停止させることで、前記定着ニップの形状に対応したニップ画像をシートに形成するニップ画像形成処理を実行可能な制御部と、
前記ニップ画像を読取る読取部と、を備え、
前記制御部は、前記未定着トナー像が前記定着ニップを通過する際の前記加熱部の温度を第1温度に設定し、前記ニップ画像がシートに形成されてから前記読取部が前記ニップ画像を読取るまでに前記ニップ画像が前記定着ニップを通過する際の前記加熱部の温度を前記第1温度よりも低い第2温度に設定する、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御部は、前記ニップ画像形成処理において、前記定着ニップ以外の前記第1回転体の部分にシートが接触しない状態で、前記定着ニップ及び前記転写ニップによるシートの搬送を停止させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 未定着トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体と共に転写ニップを形成し、前記像担持体に担持された前記未定着トナー像を前記転写ニップにおいてシートに転写する転写部と、
第1回転体と、前記第1回転体と共に定着ニップを形成する第2回転体と、前記第1回転体を加熱する加熱部と、を有し、シートに転写された前記未定着トナー像を、前記定着ニップにおいて熱及び圧力によって定着トナー像としてシートに定着させる定着部と、
前記定着部を通過したシートを再び前記定着部に向けて搬送する再搬送部と、
シートに形成された前記定着トナー像が前記定着ニップによって挟持された状態で前記定着部によるシートの搬送を停止させることで、前記定着ニップの形状に対応したニップ画像をシートに形成するニップ画像形成処理を実行可能な制御部と、
前記ニップ画像を読取る読取部と、を備え、
前記制御部は、前記ニップ画像形成処理において、前記定着ニップ以外の前記第1回転体の部分にシートが接触しない状態で、前記定着ニップ及び前記転写ニップによるシートの搬送を停止させる、
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御部は、前記ニップ画像形成処理において、シートの後端が前記転写部を抜けた後に前記定着部によるシートの搬送を停止させる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記ニップ画像形成処理において、シートが前記定着ニップ及び前記転写ニップに挟持された状態で、かつ前記定着ニップによるシートの搬送を停止させた後に前記転写ニップによるシートの搬送を停止させる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。 - 前記転写ニップは、前記定着ニップにおける前記第1回転体及び前記第2回転体の接線に対して、前記第1回転体と同じ側に位置している、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。 - 前記第2回転体は、前記ニップ画像形成処理において、前記定着トナー像に接触した状態で停止する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記読取部は、前記再搬送部に設けられシートが通過する再搬送路に沿って配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記読取部は、前記再搬送路を初めて通過するシートに対して、前記転写部によって前記未定着トナー像が転写される第1面に対向するように配置される、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記読取部によって読み取られた前記ニップ画像に基づいてシート搬送方向における前記定着ニップの幅を求め、前記幅に基づいて前記加熱部を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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Cited By (1)
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WO2022190835A1 (ja) | 2021-03-11 | 2022-09-15 | 学校法人帝京大学 | ハロゲン化アルカリ金属の製造方法及びハロゲン化物の製造方法 |
-
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WO2022190835A1 (ja) | 2021-03-11 | 2022-09-15 | 学校法人帝京大学 | ハロゲン化アルカリ金属の製造方法及びハロゲン化物の製造方法 |
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