JP2008122757A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間が安定的かつ確実に短縮化される、定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着部材を加熱するヒータは、温度検知手段の検知結果が所定値(目標温度)よりも小さいときに通電のデューティが100%となり温度検知手段の検知結果が所定値よりも大きいときに通電のデューティが0%となるように所定時間tだけオンオフ制御がおこなわれ、その後に所定のアルゴリズムに基づいて温度検知手段の検知結果から算出される値になるように通電のデューティが可変される可変制御がおこなわれる。
【選択図】図4
【解決手段】定着部材を加熱するヒータは、温度検知手段の検知結果が所定値(目標温度)よりも小さいときに通電のデューティが100%となり温度検知手段の検知結果が所定値よりも大きいときに通電のデューティが0%となるように所定時間tだけオンオフ制御がおこなわれ、その後に所定のアルゴリズムに基づいて温度検知手段の検知結果から算出される値になるように通電のデューティが可変される可変制御がおこなわれる。
【選択図】図4
Description
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、温度検知手段の検知結果に基いてヒータへの通電のデューティを変化させる定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、定着装置における定着部材(加熱手段)の温度を狙いの温度に維持して安定した定着性を確保するために、温度検知手段(温度検出手段)によって検知した定着部材の温度に基づいて、定着部材を加熱するヒータをオンオフ制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。具体的に、温度検知手段による検知温度が所定値(目標制御温度)よりも低い場合にはヒータに対する通電のデューティを100%にして(通電をオンして)、温度検知手段による検知温度が所定値よりも高い場合にはヒータに対する通電のデューティを0%にしている(通電をオフしている。)。このような温度制御方式を、オンオフ制御方式という。
このようなオンオフ制御方式を用いた定着装置は、そのままでは目標制御温度に対する温度リップルが大きくなってしまうために、制御アルゴリズムに比例(Proportional)、積分(Integral)、微分(Derevative)を組み合わせて検知温度と目標制御温度との偏差に応じて複数のパラメータを最適化するPID制御がおこなわれる(例えば、特許文献1参照。)。PID制御では、ヒータに対する通電のデューティを0〜100%の範囲で可変している。
一方、特許文献2等には、装置の立ち上げ時に定着部材の温度(定着温度)がオーバーシュートする不具合を抑止することを目的として、定着温度が目標値よりも低い閾値に達した時点で定着温度制御をPID制御に切替える技術が開示されている。
上述した従来の定着装置は、温度リップルを大きくすることなく、立ち上げ時間を安定的に短くすることが難しかった。
すなわち、オンオフ制御のみを用いた定着装置は、立ち上げ時間が短縮化されるものの、温度リップルが大きくなってしまって出力画像の定着性が安定しなかった。
これに対して、PID制御のみを用いた定着装置は、温度リップルが小さくなるものの、オンオフ制御を用いたものに比べて立ち上げ時間が長くなってしまっていた。
すなわち、オンオフ制御のみを用いた定着装置は、立ち上げ時間が短縮化されるものの、温度リップルが大きくなってしまって出力画像の定着性が安定しなかった。
これに対して、PID制御のみを用いた定着装置は、温度リップルが小さくなるものの、オンオフ制御を用いたものに比べて立ち上げ時間が長くなってしまっていた。
このような問題を解決するために、上述した特許文献2等の技術を応用して、定着温度が閾値(目標値よりも低く設定された値である。)よりも低い場合にはオンオフ制御をおこない、定着温度が閾値に達した時点で定着温度制御をPID制御に切替える方策が考えられる。
しかし、その場合、温度検知手段によって検知される温度(出力値)が大きく変動するときに、定着温度が閾値に達したものと早いタイミングで検知(誤検知)されてしまい、実際の切替タイミングよりも早くPID制御が開始されて立ち上げ時間が短縮化されなくなってしまう可能性がある。
特に、サーモパイル等のように応答性(感度)の高い温度検知手段を用いた場合や、定着ベルトのように周方向の温度偏差が大きくなる定着部材を用いた場合には、温度検知手段によって検知される温度(出力値)が大きく変動するために、上述の問題は無視できないものになる。
しかし、その場合、温度検知手段によって検知される温度(出力値)が大きく変動するときに、定着温度が閾値に達したものと早いタイミングで検知(誤検知)されてしまい、実際の切替タイミングよりも早くPID制御が開始されて立ち上げ時間が短縮化されなくなってしまう可能性がある。
特に、サーモパイル等のように応答性(感度)の高い温度検知手段を用いた場合や、定着ベルトのように周方向の温度偏差が大きくなる定着部材を用いた場合には、温度検知手段によって検知される温度(出力値)が大きく変動するために、上述の問題は無視できないものになる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間が安定的かつ確実に短縮化される、定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材と、前記定着部材を加熱するとともに、通電のデューティが可変されるように構成されたヒータと、前記定着部材の温度を検知する温度検知手段と、を備え、前記ヒータは、前記温度検知手段の検知結果が所定値よりも小さいときに通電のデューティが100%となり前記温度検知手段の検知結果が所定値よりも大きいときに通電のデューティが0%となるように所定時間だけオンオフ制御がおこなわれ、その後に所定のアルゴリズムに基づいて前記温度検知手段の検知結果から算出される値になるように通電のデューティが可変される可変制御がおこなわれるものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記オンオフ制御から前記可変制御に切り替わるときの当該可変制御における通電のデューティの初期値は、前記オンオフ制御がおこなわれているときにも前記可変制御がおこなわれているものと仮定して前記アルゴリズムに基づいて前記温度検知手段の検知結果から算出される変動値であって前記オンオフ制御が終了した時点の値とするものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記オンオフ制御から前記可変制御に切り替わるときの当該可変制御における通電のデューティの初期値は、100%よりも小さく0%よりも大きな固定値とするものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記可変制御を、PID制御、PI制御、I−PD制御、I−P制御、PI−D制御のいずれかとしたものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記定着部材を、複数のローラ部材に張架された定着ベルトとしたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記ヒータは、輻射熱によって前記定着部材を加熱するものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記温度検知手段を、サーモパイルとするものである。
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記オンオフ制御がおこなわれる前記所定時間は、10秒以内に設定されたものである。
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記オンオフ制御は、前記定着部材の温度が前記所定値よりも低い温度に維持された待機状態から稼動状態に装置を立ち上げるときに開始されるものである。
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、前記加圧部材を冷却する冷却手段と、を備えたものである。
また、請求項11記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材を備え、前記加圧部材は、当該加圧手段を直接的に加熱する加熱手段を有さないものである。
また、この発明の請求項12記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、オンオフ制御を所定時間だけおこなった後にPID制御等の可変制御をおこなっているために、目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間が安定的かつ確実に短縮化される、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着部材としての定着ベルト、31は定着装置20に設置された加圧部材としての加圧ローラ、を示す。
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としての複写機の装置本体、2は原稿Dの画像情報を光学的に読み込む原稿読込部、3は原稿読込部2で読み込んだ画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム5上に照射する露光部、4は感光体ドラム5上にトナー像(画像)を形成する作像部、7は感光体ドラム5上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10はセットされた原稿Dを原稿読込部2に搬送する原稿搬送部、12〜14は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、21は定着装置20に設置された定着部材としての定着ベルト、31は定着装置20に設置された加圧部材としての加圧ローラ、を示す。
図1を参照して、画像形成装置における、通常の画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
まず、原稿Dは、原稿搬送部10の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部2上を通過する。このとき、原稿読込部2では、上方を通過する原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、原稿読込部2で読み取られた光学的な画像情報は、電気信号に変換された後に、露光部3(書込部)に送信される。そして、露光部3からは、その電気信号の画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、作像部4の感光体ドラム5上に向けて発せられる。
一方、作像部4において、感光体ドラム5は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム5上に画像情報に対応した画像(トナー像)が形成される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラにより搬送された記録媒体P上に転写される。
その後、感光体ドラム5上に形成された画像は、転写部7で、レジストローラにより搬送された記録媒体P上に転写される。
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部12、13、14のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部12が選択されたものとする。)。
そして、給紙部12に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。
その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラの位置に達する。そして、レジストローラの位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム5上に形成された画像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送経路を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着ベルト21と加圧ローラ31との間に送入されて、定着ベルト21から受ける熱と双方の部材21、24から受ける圧力とによって画像が定着される。画像が定着された記録媒体Pは、定着ベルト21と加圧ローラ31との間(ニップ部である。)から送出された後に、画像形成装置本体1から排出される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2にて、画像形成装置本体1に設置される定着装置20の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置20は、定着ベルト21、定着補助ローラ22、加熱ローラ23、加圧ローラ31、温度センサ40、ガイド板35、等で構成される。
図2に示すように、定着装置20は、定着ベルト21、定着補助ローラ22、加熱ローラ23、加圧ローラ31、温度センサ40、ガイド板35、等で構成される。
ここで、定着部材としての定着ベルト21は、樹脂材料からなるベース層上に、弾性層、離型層が順次積層された多層構造の無端ベルトである。定着ベルト21の弾性層は、フッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性材料で形成されている。定着ベルト21の離型層は、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等で形成されている。定着ベルト21の表層に離型層を設けることにより、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保されることになる。定着ベルト21は、2つのローラ部材(定着補助ローラ22と加熱ローラ23とである。)に張架・支持されて、図2中の矢印方向に走行する。
定着部材として熱容量の低い定着ベルト21を用いることで、装置の昇温特性が向上する。
定着部材として熱容量の低い定着ベルト21を用いることで、装置の昇温特性が向上する。
定着補助ローラ22は、SUS304等の芯金22a上に、フッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性層22bが形成されたローラ部材であって、加圧部材としての加圧ローラ31に定着ベルト21を介して当接してニップ部を形成する。定着補助ローラ22は、図2中の時計方向に回転する。
加熱ローラ23は、金属材料からなる薄肉の円筒体であって、その円筒体の内部にはヒータ25(熱源)が固設されている。
加熱ローラ23のヒータ25は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置20の側板に固定されている。そして、装置本体1の電源部(交流電源)により出力制御されたヒータ25からの輻射熱によって加熱ローラ23が加熱されて、さらに加熱ローラ23によって加熱された定着ベルト21の表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に非接触で対向する温度検知手段としての温度センサ40(サーモパイル)によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。詳しくは、温度センサ40の検知結果に基づいて定められる通電時間だけ、ヒータ25に交流電圧が印加される。このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度(目標制御温度)に調整制御することができる。
加熱ローラ23のヒータ25は、ハロゲンヒータであって、その両端部が定着装置20の側板に固定されている。そして、装置本体1の電源部(交流電源)により出力制御されたヒータ25からの輻射熱によって加熱ローラ23が加熱されて、さらに加熱ローラ23によって加熱された定着ベルト21の表面から記録媒体P上のトナー像Tに熱が加えられる。ヒータ25の出力制御は、定着ベルト21表面に非接触で対向する温度検知手段としての温度センサ40(サーモパイル)によるベルト表面温度の検知結果に基いておこなわれる。詳しくは、温度センサ40の検知結果に基づいて定められる通電時間だけ、ヒータ25に交流電圧が印加される。このようなヒータ25の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度(目標制御温度)に調整制御することができる。
ここで、本実施の形態1では、温度センサ40(温度検知手段)として応答性(感度)の高いサーモパイルが用いられている。これにより、定着温度制御の精度を高めることができる。
なお、本実施の形態1では、ヒータ25の出力制御として、オンオフ制御を所定時間だけおこなった後にPID制御等の可変制御をおこなっている。このヒータ25の制御については、後で詳しく説明する。
なお、本実施の形態1では、ヒータ25の出力制御として、オンオフ制御を所定時間だけおこなった後にPID制御等の可変制御をおこなっている。このヒータ25の制御については、後で詳しく説明する。
また、加圧ローラ31は、主として、芯金32と、芯金32の外周面に接着層を介して形成された弾性層33と、からなる。加圧ローラ31の弾性層33は、フッ素ゴム、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム等の材料で形成されている。なお、弾性層33の表層にPFA等からなる薄肉の離型層を設けることもできる。
そして、加圧ローラ31は、不図示の加圧機構によって定着ベルト21を介して定着補助ローラ22に圧接する。こうして、加圧ローラ31と定着ベルト21との間に、所望のニップ部が形成される。
なお、本実施の形態1では、加圧ローラ31を直接的に加熱するヒータ等の加熱手段を有していない。これにより、定着装置20の高コスト化を防ぐとともに、装置全体の熱消費量が増加するのを防止することができる。
そして、加圧ローラ31は、不図示の加圧機構によって定着ベルト21を介して定着補助ローラ22に圧接する。こうして、加圧ローラ31と定着ベルト21との間に、所望のニップ部が形成される。
なお、本実施の形態1では、加圧ローラ31を直接的に加熱するヒータ等の加熱手段を有していない。これにより、定着装置20の高コスト化を防ぐとともに、装置全体の熱消費量が増加するのを防止することができる。
定着ベルト21と加圧ローラ31との当接部(ニップ部である。)の入口側と出口側には、それぞれ、記録媒体Pの搬送を案内するガイド板35が配設されている。ガイド板35は、定着装置20の側板に固設されている。
また、図示は省略するが、定着ベルト21の外周面に対向する位置であって、ニップ部の出口側近傍には、分離板が配設されている。分離板は、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21の走行に沿って定着ベルト21に巻き付いてしまう不具合を抑止する。
また、図示は省略するが、定着ベルト21の外周面に対向する位置であって、ニップ部の出口側近傍には、分離板が配設されている。分離板は、定着工程後の記録媒体Pが定着ベルト21の走行に沿って定着ベルト21に巻き付いてしまう不具合を抑止する。
上述のように構成された定着装置20は、次のように動作する。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、交流電源からヒータ25に交流電圧が印加(給電)されるとともに、定着ベルト21(定着補助ローラ22、加熱ローラ23)及び加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。
その後、給紙部12〜14から記録媒体Pが給送されて、作像部4にて記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。そして、定着ベルト21による加熱と、定着ベルト21(定着補助ローラ22)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、回転する定着ベルト21及び加圧ローラ31によってそのニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、交流電源からヒータ25に交流電圧が印加(給電)されるとともに、定着ベルト21(定着補助ローラ22、加熱ローラ23)及び加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。
その後、給紙部12〜14から記録媒体Pが給送されて、作像部4にて記録媒体P上に未定着画像が担持される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。そして、定着ベルト21による加熱と、定着ベルト21(定着補助ローラ22)及び加圧ローラ31の押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、回転する定着ベルト21及び加圧ローラ31によってそのニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
以下、本実施の形態1において特徴的な、定着温度制御(ヒータ制御)の方法について説明する。
本実施の形態1における画像形成装置は、ウォームアップ時、待機時、プリント時(通紙時)に、制御回路50によって、温度検知手段としての温度センサ40(サーモパイル)で測定した定着ベルト21の温度に基づいてヒータ25を制御して定着ベルト21が最適の温度になるよう制御している。
本実施の形態1における画像形成装置は、ウォームアップ時、待機時、プリント時(通紙時)に、制御回路50によって、温度検知手段としての温度センサ40(サーモパイル)で測定した定着ベルト21の温度に基づいてヒータ25を制御して定着ベルト21が最適の温度になるよう制御している。
図3は、その制御回路50を示すブロック図である。
図3に示すように、制御回路50には、オンオフ制御をおこなうためのオンオフコントローラ53と、PID制御(可変制御)をおこなうためのPIDコントローラ51及びPWM駆動回路52と、が設けられている。この制御回路50によってヒータ25に対する通電のデューティ(所定の通電時間(制御周期)あたりに点灯するヒータの点灯率である。)が制御される。
オンオフ制御コントローラ53は、温度センサ40(温度検知手段)の検知結果が目標制御温度(所定値)よりも小さいときにデューティが100%となり、温度センサ40の検知結果が目標制御温度よりも大きいときにデューティが0%となるように、ヒータ25に対する通電を制御(オンオフ制御)する。
PIDコントローラ51は、PID制御のアルゴリズム(所定のアルゴリズム)に基づいて、予め定められた目標制御温度と、温度センサ40によって検知された定着ベルト21の温度偏差と、からデューティを算出する。そして、算出されたデューティに基いて、PWM駆動回路52を通じてヒータ25が点灯される。詳しくは、ヒータ25(ハロゲンヒータ)の両端に、制御周期あたりの定格交流電圧を印加する割合が、制御されることになる。
図3に示すように、制御回路50には、オンオフ制御をおこなうためのオンオフコントローラ53と、PID制御(可変制御)をおこなうためのPIDコントローラ51及びPWM駆動回路52と、が設けられている。この制御回路50によってヒータ25に対する通電のデューティ(所定の通電時間(制御周期)あたりに点灯するヒータの点灯率である。)が制御される。
オンオフ制御コントローラ53は、温度センサ40(温度検知手段)の検知結果が目標制御温度(所定値)よりも小さいときにデューティが100%となり、温度センサ40の検知結果が目標制御温度よりも大きいときにデューティが0%となるように、ヒータ25に対する通電を制御(オンオフ制御)する。
PIDコントローラ51は、PID制御のアルゴリズム(所定のアルゴリズム)に基づいて、予め定められた目標制御温度と、温度センサ40によって検知された定着ベルト21の温度偏差と、からデューティを算出する。そして、算出されたデューティに基いて、PWM駆動回路52を通じてヒータ25が点灯される。詳しくは、ヒータ25(ハロゲンヒータ)の両端に、制御周期あたりの定格交流電圧を印加する割合が、制御されることになる。
画像形成装置では、定着部材が所定温度以上に達していないと、記録媒体に定着部材の熱が奪われて、定着部材が温度低下してトナー像に充分な熱量を与えられずに定着不良が生じてしまう。そのため、通紙開始時には定着部材が所定温度以上になっていることが通紙開始の必要条件となる。装置の主電源スイッチがオンされたときや、プリント前のウォーミングアップ動作時等には、少しでも早く装置を立ち上げるために、オンオフ制御がおこなわれる。ところが、上述したようにオンオフ制御は温度リップルが大きくなるため、画像形成装置のウォーミングアップ動作が完了した時点から、通電のデューティを可変(最適化)する可変制御をおこなうことが好ましい。
本実施の形態1では、図4及び図5を参照して、装置の立ち上げが開始されて所定時間tはオンオフ制御がおこなわれて、その後(所定時間t経過後である。)にPID制御(可変制御)がおこなわれる。すなわち、オンオフ制御が決められた時間だけ固定的におこなわれて、その後にPID制御に切替えられる。
したがって、定着温度が閾値(目標値よりも低く設定された値である。)よりも低いときにはオンオフ制御をおこない定着温度が閾値に達した時点で定着温度制御をPID制御に切替える場合と比較して、温度センサ40によって検知される温度(出力値)が大きく変動しても、実際の切替タイミングよりも早くPID制御が開始されて立ち上げ時間が短縮化されてしまうような不具合が発生しない。
したがって、定着温度が閾値(目標値よりも低く設定された値である。)よりも低いときにはオンオフ制御をおこない定着温度が閾値に達した時点で定着温度制御をPID制御に切替える場合と比較して、温度センサ40によって検知される温度(出力値)が大きく変動しても、実際の切替タイミングよりも早くPID制御が開始されて立ち上げ時間が短縮化されてしまうような不具合が発生しない。
図6は、定着温度が閾値に達したときにオンオフ制御からPID制御に切替える場合の不具合を示すグラフである。
図6を参照して、実線に示すように、理想的には定着温度が上昇して定着温度が閾値に達した時点でPID制御に切り替わり立ち上げ時間がL0になる。これに対して、一点鎖線に示すように温度センサによって検知される温度(出力値)が大きく変動してしまうと、定着温度が閾値に達したものと早いタイミングで検知(誤検知)されてしまう(位置Xでの検知である。)。したがって、実際の切替タイミングよりも早くPID制御が開始されて、立ち上げ時間が理想の立ち上げ時間L0よりも長いL1となってしまう。
図6を参照して、実線に示すように、理想的には定着温度が上昇して定着温度が閾値に達した時点でPID制御に切り替わり立ち上げ時間がL0になる。これに対して、一点鎖線に示すように温度センサによって検知される温度(出力値)が大きく変動してしまうと、定着温度が閾値に達したものと早いタイミングで検知(誤検知)されてしまう(位置Xでの検知である。)。したがって、実際の切替タイミングよりも早くPID制御が開始されて、立ち上げ時間が理想の立ち上げ時間L0よりも長いL1となってしまう。
特に、本実施の形態1では、温度センサ40(温度検知手段)として応答性(感度)の高いサーモパイルを用いていて、定着部材として周方向の温度偏差が大きくなる定着ベルト21を用いているために、温度センサ40によって検知される温度(出力値)が大きく変動する。したがって、目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間が安定的かつ確実に短縮化される効果が顕著になる。
また、本実施の形態1における定着装置は、急速に定着部材を加熱する電磁誘導加熱方式(IH方式)のものとは異なり、ヒータ25の輻射熱を利用して定着ベルト21(定着部材)を加熱する加熱方式が用いられている。そのため、温度センサ40によって検知される温度が大きく変動したときに、上述の不具合が特に生じやすい。したがって、目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間が安定的かつ確実に短縮化される効果が顕著になる。
また、本実施の形態1における定着装置は、急速に定着部材を加熱する電磁誘導加熱方式(IH方式)のものとは異なり、ヒータ25の輻射熱を利用して定着ベルト21(定着部材)を加熱する加熱方式が用いられている。そのため、温度センサ40によって検知される温度が大きく変動したときに、上述の不具合が特に生じやすい。したがって、目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間が安定的かつ確実に短縮化される効果が顕著になる。
さらに、本実施の形態1における定着装置は、加圧ローラ31を直接的に加熱する加熱手段が設置されていないために、定着ベルト21の周方向の温度偏差が生じやすい。すなわち、ニップ部において加圧ローラ31に熱が奪われるために、その位置における定着ベルト21の温度が低くなりやすい。このような場合には、温度センサ40によって検知される温度が大きく変動するために、本実施の形態1における定着温度制御をおこなうことで上述した効果が顕著になる。
なお、記録媒体としてコート紙等を用いるときにブリスタ(記録媒体の含有水分が熱膨張することで発生する火ぶくれ現象である。)や波打ちが生じるのを抑止するために加圧ローラ(加圧部材)を冷却する冷却手段を設置した場合には、ニップ部において加圧ローラ31に熱がさらに奪われるために、その位置における定着ベルト21の温度がさらに低くなりやすい。このような場合には、温度センサ40によって検知される温度がさらに大きく変動するために、本実施の形態1における定着温度制御をおこなうことで上述した効果が顕著になる。
なお、記録媒体としてコート紙等を用いるときにブリスタ(記録媒体の含有水分が熱膨張することで発生する火ぶくれ現象である。)や波打ちが生じるのを抑止するために加圧ローラ(加圧部材)を冷却する冷却手段を設置した場合には、ニップ部において加圧ローラ31に熱がさらに奪われるために、その位置における定着ベルト21の温度がさらに低くなりやすい。このような場合には、温度センサ40によって検知される温度がさらに大きく変動するために、本実施の形態1における定着温度制御をおこなうことで上述した効果が顕著になる。
ここで、以上説明した定着温度制御(ヒータ制御)は、定着ベルト21の温度が目標制御温度(所定値)よりも低い温度に維持された待機状態から稼動状態に装置を立ち上げるときにおこなう(オンオフ制御が開始される)ことが好ましい。すなわち、いわゆる朝一の立ち上げ時等よりも、省エネルギーモードからの復帰立ち上げ時におこなうことが好ましい。これは、朝一の立ち上げ時には定着ベルト21の周方向の温度偏差が比較的小さい(一様に低い温度になっている。)のに対して、省エネルギーモードからの復帰立ち上げ時には定着ベルト21の周方向の温度偏差が比較的大きいためである(加圧ローラに当接する部分の温度低下が大きい。)。このような場合には、温度センサ40によって検知される温度が大きく変動するために、上述した効果が顕著になる。
なお、本実施の形態1では、オンオフ制御がおこなわれる所定時間tが10秒以内に設定されている。これにより、オンオフ制御による温度リップルの変動の影響がほとんどなく立ち上げ時間が短くて、操作面、画像品質面からユーザーにとってストレスのない装置を提供することができる。
ここで、本実施の形態1では、図4及び図5に示すように、オンオフ制御からPID制御(可変制御)に切り替わるときのPID制御におけるデューティの初期値が、オンオフ制御がおこなわれているときにもPID制御がおこなわれているものと仮定してそのアルゴリズムに基づいて温度センサ40の検知結果から算出される変動値であってオンオフ制御が終了した時点の値となるように制御している。
なお、図4及び図5において、横軸は時間を示し、縦軸は定着温度とヒータのデューティとを示す。また、グラフMは定着温度の変動を示し、グラフNはヒータのデューティの変動を示す。
なお、図4及び図5において、横軸は時間を示し、縦軸は定着温度とヒータのデューティとを示す。また、グラフMは定着温度の変動を示し、グラフNはヒータのデューティの変動を示す。
以下に、上述の制御の詳細について説明する。
まず、所定時間tが経過したらオンオフ制御からPID制御(可変制御)に単純に切り替える場合の不具合について説明する。
PID制御(可変制御)は、目標温度(目標制御温度)と検知温度(現在値)との偏差に応じて、ある操作量を演算して制御周期ごとにその操作量を加減算させてデューティを決定していく。そのため、オンオフ制御からPID制御に切り替わった時点でのPID制御におけるデューティの初期値は最大値(100%)か最小値(0%)となる。
まず、所定時間tが経過したらオンオフ制御からPID制御(可変制御)に単純に切り替える場合の不具合について説明する。
PID制御(可変制御)は、目標温度(目標制御温度)と検知温度(現在値)との偏差に応じて、ある操作量を演算して制御周期ごとにその操作量を加減算させてデューティを決定していく。そのため、オンオフ制御からPID制御に切り替わった時点でのPID制御におけるデューティの初期値は最大値(100%)か最小値(0%)となる。
具体的に、PID制御に切り替わった時点で定着温度が目標制御温度に達していれば、PID制御におけるデューティの初期値は最小値(0%)となる。これに対して、PID制御に切り替わった時点で定着温度が目標制御温度に達していなければ、PID制御におけるデューティの初期値は最大値(100%)となる。
しかし、定着ベルト21には一定の熱容量があり、入力(ヒータ25に対しての入力電力)に対して出力(温度センサ25の出力)に応答の遅れ(いわゆる、むだ時間である。)があるために、PID制御に切り替わった時点におけるデューティの初期値を最大値又は最小値とするのは好ましくない。
しかし、定着ベルト21には一定の熱容量があり、入力(ヒータ25に対しての入力電力)に対して出力(温度センサ25の出力)に応答の遅れ(いわゆる、むだ時間である。)があるために、PID制御に切り替わった時点におけるデューティの初期値を最大値又は最小値とするのは好ましくない。
それは以下の理由による。
図4を参照して、オンオフ制御時において、定着温度が目標温度以下で、時間−温度の勾配が正値のとき、目標温度より極めて小さい偏差を有している状態でPID制御に切り替わった場合のことを考える。その場合、上述したむだ時間があるものの、オンオフ制御からPID制御に切り替わった瞬間の偏差がきわめて小さいために、制御が切り替わった直後に目標温度に達することになる。PID制御に切り替わったデューティの初期値は、定着温度が目標温度以下であったため最大値(100%)となり、この初期値からPID操作量が加減算されることになる。
オンオフ制御の場合には定着温度が目標温度に達した途端にデューティが最小値(0%)となるが、PID制御の場合にはデューティの初期値を最大値(100%)としてその後のデューティを可変させていくため(破線NQに示すデューティ変動になる。)、目標温度に対してオーバーシュートが生じてしまう(破線MQに示す温度変動になる。)。
図4を参照して、オンオフ制御時において、定着温度が目標温度以下で、時間−温度の勾配が正値のとき、目標温度より極めて小さい偏差を有している状態でPID制御に切り替わった場合のことを考える。その場合、上述したむだ時間があるものの、オンオフ制御からPID制御に切り替わった瞬間の偏差がきわめて小さいために、制御が切り替わった直後に目標温度に達することになる。PID制御に切り替わったデューティの初期値は、定着温度が目標温度以下であったため最大値(100%)となり、この初期値からPID操作量が加減算されることになる。
オンオフ制御の場合には定着温度が目標温度に達した途端にデューティが最小値(0%)となるが、PID制御の場合にはデューティの初期値を最大値(100%)としてその後のデューティを可変させていくため(破線NQに示すデューティ変動になる。)、目標温度に対してオーバーシュートが生じてしまう(破線MQに示す温度変動になる。)。
これに対して、図5を参照して、オンオフ制御時において、定着温度が目標温度以上で、時間−温度の勾配が負値のとき、目標温度より極めて小さい偏差を有している状態でPID制御に切り替わった場合のことを考える。その場合も、上述したむだ時間があるものの、オンオフ制御からPID制御に切り替わった瞬間の偏差がきわめて小さいために、制御が切り替わった直後に目標温度に達することになる。PID制御に切り替わったデューティの初期値は、定着温度が目標温度以上であったため最小値(0%)となり、この初期値からPID操作量が加減算されることになる。
オンオフ制御の場合には定着温度が目標温度以下になった途端にデューティが最小値(100%)となるが、PID制御の場合にはデューティの初期値を最小値(0%)としてその後のデューティを可変させていくため(破線NQに示すデューティ変動になる。)、目標温度に対してアンダーシュートが生じてしまう(破線MQに示す温度変動になる。)。
オンオフ制御の場合には定着温度が目標温度以下になった途端にデューティが最小値(100%)となるが、PID制御の場合にはデューティの初期値を最小値(0%)としてその後のデューティを可変させていくため(破線NQに示すデューティ変動になる。)、目標温度に対してアンダーシュートが生じてしまう(破線MQに示す温度変動になる。)。
本実施の形態1における定着温度制御(ヒータ制御)は、このように所定時間tが経過したらオンオフ制御からPID制御(可変制御)に単純に切り替える場合に生じるオーバーシュートやアンダーシュートを解消するものである。
具体的に、図4を参照して、オンオフ制御をおこなっているときも、温度センサ40の出力値に基いてPID演算をおこない、それによって求められた架空のデューティ(演算値)を装置本体1のメモリに随時更新しながら記憶しておく。図4において、実際に実行されるデューティは太線Nで示し、架空のPID制御にて算出されるデューティ(演算値)は一点鎖線NKで示す。
そして、オンオフ制御からPID制御に切り替わるとき、PID制御に用いるデューティの初期値として架空のデューティの最終値を用いる。図4では、PID制御に切り替わったときのデューティの初期値が約60%となっている。そして、この値を初期値として実際のPID制御がおこなわれデューティの最適化がおこなわれる。これにより、目標温度に対してオーバーシュートが生じることなく、温度追従性が向上することになる。
具体的に、図4を参照して、オンオフ制御をおこなっているときも、温度センサ40の出力値に基いてPID演算をおこない、それによって求められた架空のデューティ(演算値)を装置本体1のメモリに随時更新しながら記憶しておく。図4において、実際に実行されるデューティは太線Nで示し、架空のPID制御にて算出されるデューティ(演算値)は一点鎖線NKで示す。
そして、オンオフ制御からPID制御に切り替わるとき、PID制御に用いるデューティの初期値として架空のデューティの最終値を用いる。図4では、PID制御に切り替わったときのデューティの初期値が約60%となっている。そして、この値を初期値として実際のPID制御がおこなわれデューティの最適化がおこなわれる。これにより、目標温度に対してオーバーシュートが生じることなく、温度追従性が向上することになる。
同様に、図5を参照して、太線Nに示すようにオンオフ制御をおこなっているときも、一点鎖線NKに示すように温度センサ40の出力値に基いてPID演算をおこない架空のデューティ(演算値)を装置本体1のメモリに随時更新しながら記憶しておく。そして、オンオフ制御からPID制御に切り替わるとき、PID制御に用いるデューティの初期値として架空のデューティの最終値を用いる。図5では、PID制御に切り替わったときのデューティの初期値が約50%となっている。そして、この値を初期値として実際のPID制御がおこなわれデューティの最適化がおこなわれる。これにより、目標温度に対してアンダーシュートが生じることなく、温度追従性が向上することになる。
以上説明したように、本実施の形態1においては、オンオフ制御を所定時間tだけおこなった後にPID制御等の可変制御をおこなっているために、目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間を安定的かつ確実に短縮化することができる。
なお、本実施の形態1では、オンオフ制御から切り替える可変制御としてPID制御を用いたが、その他の制御(例えば、PI制御、I−PD制御、I−P制御、PI−D制御等である。)を用いることもできる。
可変制御としてPID制御を用いた場合には、目標制御温度に追従させるような最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてPI制御を用いた場合には、ステップ状の目標制御温度に対して定常偏差を最小にした最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてI−PD制御を用いた場合には、目標温度に対しての過度応答の特性を抑制した最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてI−P制御を用いた場合には、入力外乱の影響を速やかに除去し、安定した最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてPI−D制御を用いた場合には、入力外乱の影響を速やかに除去し、目標温度に素早く追従する最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてPID制御を用いた場合には、目標制御温度に追従させるような最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてPI制御を用いた場合には、ステップ状の目標制御温度に対して定常偏差を最小にした最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてI−PD制御を用いた場合には、目標温度に対しての過度応答の特性を抑制した最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてI−P制御を用いた場合には、入力外乱の影響を速やかに除去し、安定した最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
可変制御としてPI−D制御を用いた場合には、入力外乱の影響を速やかに除去し、目標温度に素早く追従する最適な熱量を供給する制御系の構築が容易となる。
また、本実施の形態1では加圧部材として加圧ローラ31を用いたが、加圧部材として加圧ベルトや加圧パッドを用いてもよい。その場合にも、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図7にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における定着装置でおこなわれる温度制御を示すグラフであって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。本実施の形態2における定着温度制御は、PID制御(可変制御)における通電のデューティの初期値を固定値としている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図7にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における定着装置でおこなわれる温度制御を示すグラフであって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。本実施の形態2における定着温度制御は、PID制御(可変制御)における通電のデューティの初期値を固定値としている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、オンオフ制御を所定時間tだけおこなった後にPID制御等の可変制御をおこなっている。
ここで、本実施の形態2では、オンオフ制御からPID制御に切り替わるときのPID制御におけるデューティの初期値を、100%よりも小さく0%よりも大きな固定値としている。
ここで、本実施の形態2では、オンオフ制御からPID制御に切り替わるときのPID制御におけるデューティの初期値を、100%よりも小さく0%よりも大きな固定値としている。
具体的に、装置本体1のメモリには、PID制御への切替えがおこなわれるときのPID制御におけるデューティの初期値が固定値として記憶されている。この固定値は、100%よりも小さく0%よりも大きな値である。本実施の形態2では、図7の破線を参照して、デューティの初期値(固定値)が約50%に設定されている。
そして、オンオフ制御からPID制御に切り替わるとき、この固定値をPID制御に用いるデューティの初期値として、その後のPID制御がおこなわれデューティの最適化がおこなわれる。これにより、目標温度に対してオーバーシュートやアンダーシュートが生じることなく、温度追従性が向上することになる。
なお、上述したデューティの固定値は、定着温度が目標温度近傍にて飽和するデューティを予め実験等によって確認しておき、その近傍に設定するのが望ましい。
そして、オンオフ制御からPID制御に切り替わるとき、この固定値をPID制御に用いるデューティの初期値として、その後のPID制御がおこなわれデューティの最適化がおこなわれる。これにより、目標温度に対してオーバーシュートやアンダーシュートが生じることなく、温度追従性が向上することになる。
なお、上述したデューティの固定値は、定着温度が目標温度近傍にて飽和するデューティを予め実験等によって確認しておき、その近傍に設定するのが望ましい。
以上説明したように、本実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、オンオフ制御を所定時間tだけおこなった後にPID制御等の可変制御をおこなっているために、目標制御温度に対して定着温度の温度リップルが小さく、立ち上げ時間を安定的かつ確実に短縮化することができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
1 画像形成装置本体(装置本体)、
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 定着補助ローラ(ローラ部材)、
23 加熱ローラ(ローラ部材)、
25 ヒータ、
31 加圧ローラ(加圧部材)、
40 温度センサ(温度検知手段)、
50 制御回路、
51 PIDコントローラ、 52 PWM駆動回路、
53 オンオフコントローラ。
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 定着補助ローラ(ローラ部材)、
23 加熱ローラ(ローラ部材)、
25 ヒータ、
31 加圧ローラ(加圧部材)、
40 温度センサ(温度検知手段)、
50 制御回路、
51 PIDコントローラ、 52 PWM駆動回路、
53 オンオフコントローラ。
Claims (12)
- トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材と、
前記定着部材を加熱するとともに、通電のデューティが可変されるように構成されたヒータと、
前記定着部材の温度を検知する温度検知手段と、を備え、
前記ヒータは、前記温度検知手段の検知結果が所定値よりも小さいときに通電のデューティが100%となり前記温度検知手段の検知結果が所定値よりも大きいときに通電のデューティが0%となるように所定時間だけオンオフ制御がおこなわれ、その後に所定のアルゴリズムに基づいて前記温度検知手段の検知結果から算出される値になるように通電のデューティが可変される可変制御がおこなわれることを特徴とする定着装置。 - 前記オンオフ制御から前記可変制御に切り替わるときの当該可変制御における通電のデューティの初期値は、前記オンオフ制御がおこなわれているときにも前記可変制御がおこなわれているものと仮定して前記アルゴリズムに基づいて前記温度検知手段の検知結果から算出される変動値であって前記オンオフ制御が終了した時点の値とすることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記オンオフ制御から前記可変制御に切り替わるときの当該可変制御における通電のデューティの初期値は、100%よりも小さく0%よりも大きな固定値とすることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記可変制御は、PID制御、PI制御、I−PD制御、I−P制御、PI−D制御のいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、複数のローラ部材に張架された定着ベルトであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ヒータは、輻射熱によって前記定着部材を加熱することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記温度検知手段は、サーモパイルであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記オンオフ制御がおこなわれる前記所定時間は、10秒以内に設定されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
- 前記オンオフ制御は、前記定着部材の温度が前記所定値よりも低い温度に維持された待機状態から稼動状態に装置を立ち上げるときに開始されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、
前記加圧部材を冷却する冷却手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。 - 前記定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材を備え、
前記加圧部材は、当該加圧手段を直接的に加熱する加熱手段を有さないことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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