JP2007079064A - 画像加熱装置 - Google Patents

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Yasuhiro Hayashi
康弘 林
Shigeaki Takada
高田  成明
Daigo Matsuura
大悟 松浦
Ikuo Nakamoto
育生 中本
Keigo Kaji
圭吾 梶
Nobuaki Hara
伸明 原
Makoto Jinzai
誠 陣在
Kazuhiro Hasegawa
和弘 長谷川
Hiroshi Komiyama
宏 小宮山
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Abstract

【課題】 定着ベルトを含む被加熱領域の負担少なく、必要最小限のコイル部材のまま、速やかに温度立ち上げ処理を終了して、起動時等における画像形成開始待ち時間を短縮できる定着装置を提供する。
【解決手段】 電源投入後の温度立ち上げ処理では、定着ローラ3を回転して定着ベルト1を回転させた状態で、定着ローラ3と定着ベルト1とが誘導加熱コイル5を用いて加熱される。一方、加圧ローラ4の中心にはハロゲンランプヒータの加圧ヒータ10が配置され、定着ベルト1とは離間させた状態で、回転する加圧ローラ4が加圧ヒータ10を用いて加熱される。所定の温度範囲に達した後に、画像形成の開始指令があると、加圧ヒータ10をOFFした後に加圧ローラ4が定着ベルトに圧接される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、記録材上の画像を加熱する画像加熱装置に関する。この画像加熱装置としては、記録材に形成された未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を向上させる光沢付与装置等が挙げられる。
定着ベルトを採用して、大口径定着ローラ並みの定着長さを確保し、これにより、高速画像形成へ対応しつつ、起動時等における温度立ち上げ待ち時間の短縮を実現した画像形成装置が実用化されている。また、磁性材料層を形成した定着ローラの外周に、コイル部材を対向配置して、コイル部材に高周波電圧を印加する誘導加熱方式の定着装置が実用化されている。
特許文献1には、誘導加熱方式(Induction Heating:IH方式)を用いて、定着ベルトを加熱する画像形成装置が示される。ここでは、金属層を設けた定着ベルトの内周面に対向させてコイル部材を配置し、コイル部材に印加される高周波電圧の周波数を、温度センサの出力に基づいて調整することにより、定着ベルトの温度立ち上げを行い、その後、所定の定着温度に維持している。
特許文献2には、誘導加熱方式とヒータ加熱方式とを併用して、起動時の温度立ち上げ待ち時間の短縮を実現した画像形成装置が示される。ここでは、加圧ローラが定着ローラと圧接従動して被転写材を搬送する。被転写面に接触する定着ローラの中心にランプヒータを配置し、加圧ローラの外側に配置したコイル部材により、回転する加圧ローラの幅方向の帯状部分を誘導加熱している。
特開平10−69208号公報 特開2004−245902号公報
定着ベルトに被加熱層(磁性材料層や導電材料層)を設けてコイル部材により誘導加熱する場合、コイル部材に投入された電力が薄い定着ベルトに集中して、定着ベルトの速やかな温度上昇が実現される。反面、コイル部材に投入する電力のわずかな変化によっても、熱容量の小さな定着ベルトは、温度が急変するため、一定の定着温度に温度制御することが困難である。
そして、定着ベルトが所定の温度範囲で均一な温度分布に保たれないと、安定した高品質の定着処理を行えないが、定着ベルトは、被転写材と接触して部分的に熱が奪い去られる等、幅方向の位置によって放熱環境が相当に異なる。このため、1個のコイル部材を用いた単純な誘導加熱によって定着ベルトの広い面積を一様な温度分布とすることはさらに困難である。
ところで、定着ベルトは、定着ベルトの部分ごとの定着能力を一定にするため、定着処理に先立たせて、全体がほぼ一様な温度となるように温度立ち上げ処理される。また、定着ベルトを用いた定着処理では、接触した定着ベルトの温度を変化(低下)させないために、定着ベルトに圧接される加圧部材も、その表面温度を、定着ベルトの温度に近い所定範囲に昇温維持している。
しかし、定着ベルトと加圧部材とを圧接して従動回転させた状態で、コイル部材を用いて起動時の温度立ち上げ処理を行うと、定着ベルトの縁が傷む等、定着ベルトを含む機構の寿命が低下する。何故なら、高温域で最適化された定着ベルト等は、低温域では動作が安定しないし、被加熱層として配置した金属層の圧接に伴うひずみが大きくなって疲労し易いからである。
また、定着ベルトの昇温と温度維持とを想定して設計された省電力、小出力のコイル部材だけに頼って、加圧部材を加熱昇温させる場合、加圧部材が必要な定着温度範囲に達するまでに長時間を要する。何故なら、そもそも小出力であることに加えて、熱容量の少ない定着ベルトでは加圧部材への熱流量が少ない、言い換えれば、定着ベルトを介した加圧部材の加熱効率が低いからである。
かと言って、コイル部材とその駆動電源とを大容量化するのは、画像形成装置の部品コスト増や大型化を招くし、そもそも温度立ち上げ処理の終了後は、折角の大容量をもてあますので、懸命な選択肢とは言い難い。
本発明は、定着ベルトを含む被加熱領域の負担少なく、必要最小限のコイル部材のまま、速やかに温度立ち上げ処理を終了して、起動時等における画像形成開始待ち時間を短縮できる定着装置を提供することを目的としている。
本発明の画像加熱装置は、記録材上の画像を加熱する第一の回転体と、前記第一の回転体を電磁誘導発熱させる磁束を発生する磁束発生手段と、前記第一の回転体とニップを形成する第二の回転体と、前記第二の回転体の内部に配置され、前記第二の回転体を加熱するヒータとを有するものである。
本発明の画像加熱装置では、電磁誘導加熱方式により加熱された回転体の熱により記録材上の画像を加熱する画像加熱装置において、電磁誘導加熱による省エネルギー加熱を実現する。更に、画像形成装置等の立ち上げ時において、画像加熱装置を大型化、複雑化せず低コストでウォーミングアップタイムを短縮することができる。
以下、本発明の一実施形態である定着装置と、この定着装置を搭載した画像形成装置とを、添付した図面に基づいて説明する。本発明の定着装置は、本実施形態の定着ベルトと加圧ローラとを圧接/離間させる定着装置には限定されない。それぞれ循環する一対のベルト部材を圧接/離間させる定着装置、定着ローラと加圧ローラとを圧接/離間させる定着装置としても実施可能であり、これらが終始圧接状態で離間を伴わない定着装置としても実施可能である。
また、本実施形態の現像装置50は、本実施形態のカラー電子写真プリンタ100以外の画像形成装置、モノクロ複写機、ファクシミリ、モノクロプリンタ、これらの複合機等で実施されてもよい。
本実施形態の現像装置50およびカラー電子写真プリンタ100は、以下に説明する限定的な構成部材の組み合わせには限定されず、それぞれの代替部材で一部または全部を置き換えた別の実施形態で実現してもよい。
<画像形成装置>
図1は本発明の画像形成装置の一実施形態であるカラー電子写真プリンタの構成の説明図である。
図1に示すように、カラー電子写真プリンタ100は、中間転写ベルト122に一次転写されたトナー像を、二次転写ローラ221で記録材Pに二次転写した後、記録材Pを定着装置50に搬送して、トナー像を記録材Pに定着させる。トナー像が転写/定着される転写媒体であるシートの具体例としては、普通紙、厚紙、トランスペアレントシート、封筒等がある。記録材Pは、給紙カセット223や不図示の給紙トレイを通じて、カラー電子写真プリンタ100に供給される。
カラー電子写真プリンタ100は、Y(イエロ)、M(マジェンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色の現像器113を備えている。制御部60は、定着装置60を含む各部機構を制御して、以下のように画像形成を実行する。
現像器113は、Y(イエロ)の現像ローラ113Y、M(マジェンタ)の現像ローラ113M、C(シアン)の現像ローラ113C、Bk(ブラック)の現像ローラ113Kを有する。現像器113の回転に伴って、それぞれが感光ドラム121へ接触する位置へ移動して、Y(イエロ)、M(マジェンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)のトナーで像担持体121表面の静電潜像を現像する。
感光ドラム121の周囲には、一次帯電器127、現像器113、一次転写器121、クリーニング装置212が配置され、感光ドラム121の回転に伴って次のような手順で静電潜像の形成と現像とを行う。
まず、クリーニング装置212によってクリーニングされた感光ドラム121の表面が一次帯電器127によって一様な帯電状態に帯電される。一様な帯電状態の感光ドラム121の表面に、画像信号によって変調されたレーザービームがレーザスキャナ128によって走査される。走査露光によって感光ドラム121の表面には、順番に、上記各色の静電潜像が形成される。
各色の静電潜像は、現像器113で、各色ごとのトナーを塗布されて各色のトナー像となる。感光ドラム121の表面に形成された最初のトナー像は、一次転写器121によって、中間転写ベルト122に一次転写される。その後、次の色のトナー像が同様な手順で感光ドラム121の表面に形成されて、最初のトナー像と先頭を合わせた状態で、中間転写ベルト122上に重ねられる。残りの2色のトナー像も同様な操作を繰り返して、中間転写ベルト122上に重ね合わせられ、この結果、中間転写ベルト122上にフルカラーのトナー像が形成される。
中間転写ベルト122上に形成されたフルカラーのトナー像は、二次転写ローラ221によって記録材Pに一括して二次転写される。二次転写に先立たせて、給紙カセット223から給紙ローラ224を用いて記録材Pが1枚ずつ送り出される。記録材Pは、レジストローラ対225で斜行を修正されて待機する。レジストローラ対225は、中間転写ベルト122上の転写画像にタイミングを一致させて、二次転写ローラ221と分離ローラ219とのニップへ記録材Pを送り込む。二次転写ローラ221でフルカラーのトナー像を転写された記録材Pは、続いて定着装置50に搬送されて、トナー像を定着される。
<定着装置>
図2は本実施形態の定着装置における構成の説明図、図3は圧接部の長さ方向の温度分布の線図、図4は定着ベルトの幅方向の温度分布の説明図、図5は定着ベルト幅方向における加圧ローラの温度分布の線図である。図4中、(a)は定着ベルト幅方向の発熱量分布、(b)は定着ベルト幅方向の表面温度分布である。図5中、(a)はハロゲンランプヒータの構成の説明図、(b)は定着ベルト幅方向の発熱量分布、(c)は定着ベルト幅方向の表面温度分布である。
図2に示すように、定着ベルト1は、A3サイズシートを搬送可能な380mmの幅に対して内径わずか34mm、電気鋳造法によって製造したニッケルを基層とし、基層の厚みは50μmである。基層の外周には、弾性層として300μmの耐熱性シリコンゴム層が形成されている。耐熱性シリコンゴム層の厚さは、100〜1000μmの範囲で選択可能であるが、定着ベルトの熱容量を小さくしてウォーミングアップタイムを短縮し、かつカラー画像を定着するときに好適な定着画像を得ることを考慮して300μmを選択した。シリコンゴム層は、JIS−A10度の硬度を持ち、熱伝導率は0.8W/mKである。
弾性層(シリコンゴム層)の外周には、表面離型層としてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで形成されている。基層(ニッケル)の内面には、定着ベルト内包物との摺動摩擦を低下させるために、20μmのポリイミド樹脂層を設けた。ポリイミド樹脂層は、フッ素樹脂、ポリアミドイミドなどの樹脂で置き換えてもよく厚みは10〜50μmの厚さに形成すればよい。これらの樹脂層には、ベルト内面の表面粗さを高めて定着ベルト内包物との摺動摩擦を更に低下させるために、低摩擦微粒子を分散させてもよい。
定着ベルト1の基層材料は、ニッケルのほかに、鉄合金や銅、銀など、電源設計応じて磁性材料や導電材料から適宜選択可能である。また、樹脂基層にそれら金属を積層させるなどの構成でも良い。金属層の厚みは、後で説明する誘導加熱コイルに流す高周波電流の周波数と金属層の透磁率・導電率に応じて調整して良く、5〜200μm程度の間で設定すると良い。
定着ベルト1は、ベルトガイド部材2と定着ローラ3とに懸架されている。ここで、定着ベルト1の最小曲率半径は、5mm以上好ましくは8mm以上にしなければならない。このようにしないと、定着ベルト1は、金属板が基層のため、剛性があるので、無理に曲率半径を小さくすると、定着ベルト1のニッケル層が経時で割れる。また、定着ベルト1の定着ローラ3による回転駆動負荷が増大して、定着ベルト1の回転スリップが発生してしまう。
ベルトガイド部材2は、樹脂製であり、本実施形態ではPPS製である。加圧ローラ4との圧接部において、ベルトガイド部材2は、可能な限り後述の定着ローラ3に接近していると良い。これは、圧接部での圧力抜けを防止するためである。ベルトガイド2は、外側に付勢されて、定着ベルト1に対して5kgfの張力を与えている。
また、定着ベルト1の熱をベルトガイド部材2になるべく伝導させないためには、熱伝導率の低い樹脂が好ましい。さらに、定着ベルト1の内面との摩擦抵抗を減らすために、ベルトガイド部材カバー2cを設けている。ベルトガイドカバー2cは、ガラス繊維製のクロスをフッ素樹脂でコーティングしたもので、ベルトガイド2の定着ベルト1の回転方向上流部分にビスで固定されている。ベルトガイドカバー2cは、凹凸を設けて接触面積を減らすよう工夫したポリイミドのシートなどで置き換えても良い。定着ベルト1の内面にシリコンオイル等を塗布して、摩擦抵抗を低減しても良い。
定着ローラ3は、長さ400mm、薄肉の鉄合金製で、誘導加熱コイル5によって、循環する定着ベルト1とともに回転状態で加熱される。定着ローラ3は、長手方向中央部の外径が21mmで、長手方向両端部の径が20mmのローラ部材である。外形にテーパ形状をつけているのは、加圧した時に定着ローラ3が弓状に撓んだ状態で、加圧ローラ4との圧接部に隙間を作らず、長手方向にわたって圧力をほぼ均一に確保するためである。
また、定着ローラ3は、図示しないモータによって駆動されており、定着ローラ3の表面と定着ベルト1内面のポリイミド層との摩擦によって、定着ベルト1は、定着ローラ3に追従して循環する。従って、定着ベルト1をスリップなく回転駆動するためには、定着ベルト1の内面と定着ローラ3との摩擦は大きい方が良い。そのためには、定着ローラ3の表面を荒したり、必要に応じて極薄い耐熱性シリコンゴムなどの摩擦層を設けても良い。また、ベルトガイドカバー2aによって、ベルトガイド2と定着ベルト1との摺動摩擦が小さくなるので、スリップ無く安定して定着ベルト1を循環させることが出来る。
加圧ローラ4は、長さ400mm、鉄合金製の芯金の外周にシリコンゴム層を形成した外径20mmのローラ部材である。芯金の長手方向中央部の径を18mmとする一方で、両端部の径を17mmとし、芯金にテーパ形状をつけている。テーパ形状をつける理由は、定着ローラ3と同様の理由で、加圧した時に加圧ローラ4が撓んでも、定着ローラ3との圧接部の圧力状態を長手方向にわたって均一にするためである。また、定着ベルト1と加圧ローラ4との圧接部において、定着ベルト1のシリコンゴム層を歪ませて、トナー像が形成された記録材(被転写材)Pを、定着ベルト1から剥離容易にするためでもある。
加圧ローラ4の表面には、離型層として、フッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けてある。加圧ローラ4の長手方向中央部における硬度は、約ASK−C80°である。定着ローラ3とベルトガイド部材2とによって内面を支持された定着ベルト1は、加圧ローラ4と圧接して、循環方向に約10mmの圧接部を形成する。加圧ローラ4は、定着ベルト1に対して、20kgfで加圧されている。
圧接部で圧力が無い部分があると、定着ベルト1と記録材Pとが離間してしまったり、定着ベルト1と記録材Pとの速度差によってトナー画像Tが乱れてしまうなどの問題が発生する。しかし、本実施形態の定着装置50では、定着ベルト1の循環方向における圧力分布が図3のようになっており、圧接部では、常に圧力が加わっているので、このような問題が発生しない。加圧ローラ4は、図示しないモータに連結されたカムによって、定着ベルト1に圧接している状態(実線)と、離間している状態(破線)とを選択することができる。この機構によって、定着処理時以外、すなわち、電源OFF時、スリープ状態、温度立ち上げ処理時、および待機時には、加圧ローラ4が定着ベルト1と離間している。
定着ベルト1の加熱源としての誘導加熱コイル5は、誘導加熱コイル5によって磁性体コア9に発生した磁界が、定着ベルト1の金属層以外に漏れないように磁性体シールド6で覆われている。そして、誘導加熱コイル5と磁性体コア6とは、電気絶縁性の樹脂によって一体でモールドされている。
誘導加熱コイル5は、被加熱体である定着ベルト1に近いほど、両者の磁気的な結合が強まり、図示していない誘導加熱コイル5に電力を供給する高周波電源(70:図6参照)の効率が高まる。本実施形態では、誘導加熱コイル5は、1mmの樹脂モールドにより、定着ベルト1と仮に接触しても電気絶縁の状態を保つ。実際には、モールド表面と定着ベルト表面の間には2mmの隙間が形成されているので、定着ベルト1と誘導加熱コイル5との間には、循環方向で略一定な3mmの間隔が確保されている。
図4の(a)に示すように、誘導加熱コイル5によって加熱される定着ベルト1の回転軸方向の発熱分布は均一になる。しかし、定着ベルト1、定着ローラ3、ベルトガイド部材2は、回転軸方向の両端部からの放熱量が多いので、定着ベルト1の表面温度は、図4の(b)に示すように、回転軸方向の両端部で低くなっている。誘導加熱コイル5は、定着ベルト1の幅方向(記録材Pの搬送方向に直交する方向)に沿っての長さが、画像形成に供される最大幅の記録材Pの幅よりも長くなるように形成されている。
誘導加熱コイル5には、最大600Vで20〜50kHzの高周波電流が流されて、定着ベルト1の金属層が誘導発熱する。誘導加熱コイル5は、温度センサ7の検出値に基づいて高周波電流の周波数を変化させて誘導加熱コイル5に入力する電力を制御することにより、定着ベルト1の目標温度である170℃で一定になるように温度調節される。
図2に示すように、温度センサ7は、ベルトガイド2に取り付けられており、定着ベルト1の誘導加熱コイル5による発熱部の内面に接触して、その部分の温度を検出している。定着ベルト1の金属層が発熱するので、図2に示すように温度センサ7を配置すれば、極めて正確に、かつ応答速度早く定着ベルト1の温度を検出可能である。
定着ベルト1は、少なくとも画像形成実行時には、上記モータを含む駆動機構(不図示)によって、定着ローラ3が回転駆動されることで、図2の矢印Xの方向へ、所定の周速度でシワなく循環駆動される。定着ベルト1の循環速度は、画像転写部(二次転写ローラ221:図1)から搬送されてくる未定着トナー像を担持した記録材Pの搬送速度とほぼ同一の周速度に設定してある。本実施形態の場合、定着ベルト1の表面速度が、160mm/secで循環し、フルカラーの画像を1分間にA4サイズ40枚まで定着可能である。定着ベルト1は、記録材の未定着トナー像を担持する面側に接触するように配置され、トナー画像が形成されている側を誘導加熱している。
循環する定着ベルト1は、比較的軽圧で加圧されているので、回転状態にあっても幅方向への寄り移動力が小さい。つまり、定着ベルト1を幅方向にずらそうとする力が小さい。このため、ベルトの幅方向の寄りを規制するための手段としては、定着ベルト1の端部を単純に受け止めるだけのフランジ部材を定着ローラ3設ければ十分である。
加圧ヒータ10は、消費電力300Wのハロゲンランプヒータであり、赤外線を放出して加圧ローラ4の内壁面を加熱する。図5の(a)に示すように、フィラメント10aの巻き密度を変化させて、図5の(b)に示すように、加圧ヒータ10の発熱分布は、中央部に比較して、回転軸方向両端部で高めてある。
その結果、図5の(c)に示すように、加圧ローラ4の回転軸方向の温度分布は、両端部で高くなっている。加圧ヒータ10は、加圧ローラ4の表面温度を検出するための温度センサ11の検出値によって、加圧ローラ4の表面温度が所定の目標温度で一定になるように、ON/OFF制御される。
定着ベルト1を加熱する誘導加熱コイル5に比較して、ハロゲンランプヒータの加圧ヒータ10は、安価、短寿命、電源装置が不要(ON/OFF制御の場合)、発熱分布を任意に設計可能である。そして、図5の(c)に示すような両端部の意図的な温度の高まりによって、図4の(b)に示す定着ベルト1両端部の温度低下を埋め合わせている。後述するように、転写処理の開始に先立たせて加圧ヒータ10はOFFされるが、転写時には記録材P(被転写材)が定着ベルト1の中央部の温度を低下させるので、定着ベルト1の幅方向の温度分布は一様なまま維持される。
このように構成された本実施形態の定着装置50では、以下のように未定着トナー像Tを有する記録材Pがそのトナー像担持面側を定着ベルト1側に向けて導入される。即ち、定着ベルト1が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、圧接部における定着ベルト1と加圧ローラ4との間に、未定着トナー像Tを有する記録材Pが搬送される。圧接部では、未定着トナー像Tを有する記録材Pが定着ベルト1の外周面に密着し、定着ベルト1と一緒に圧接部を挟持搬送されていく。これにより、主に定着ベルト1の熱が付与されるとともに圧接部の加圧力を受けて、未定着トナー像Tが記録材Pの表面に熱圧定着される。圧接部を通った記録材Pは、定着ベルト1の表面が、圧接部の出口部分の変形によって、定着ベルト1の外周面から自己分離されて、定着装置50外へ搬送される。
<温度立ち上げ処理>
図6は誘導加熱コイルと加圧ヒータの制御系のブロック図、図7は温度立ち上げ処理のフローチャート、図8はプリント処理時の加圧ヒータの制御のフローチャート、図9は温度制御の説明図である。図6中、図1の構成部材と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、カラー電子写真プリンタ100(図1)の各部機構を制御して画像形成を実行する制御部60は、不図示のROM、RAM、通信インタフェース等を内蔵してプログラム制御される汎用のマイコン制御装置である。高周波電源70は、温度センサ7の出力に基づいて、誘導加熱コイル5に供給する三角波の周波数を20〜50kHzの範囲で変化させて、定着ベルト1を加熱する電力を調整する。制御部60は、温度センサ7、11の出力に基づいて、高周波電源70とヒータスイッチ71とを制御して、以下のように、温度立ち上げ処理とその後の待機処理とを実行する。
図6を参照して、図7に示すように、電源投入やスリープ状態からの復帰が操作入力されると、制御部60は、加圧ローラ4が加圧状態か否かを確認し(S11)、加圧状態であれば(S11のYES)、加圧ローラ4を離間させる(S12)。
そして、定着ベルト1を循環させた状態で高周波電源70を作動させ(S13)、加圧ローラ4を回転させた状態でヒータ電源71も作動させる(S14)。これにより、誘導加熱コイル5と加圧ヒータ10とを並行して作動させる温度立ち上げ処理が実行され、高周波電源70とヒータ電源71とによって、定着ベルト1の温度と加圧ローラ4の温度とがそれぞれの温度目標範囲に誘導される。
そして、温度センサ7が温度目標範囲に達すると(S15のYES)、温度センサ11が目標温度範囲に達するのを待って(S16のYES)、温度立ち上げ完了と判断する(S17)。そして、定着ベルト1の温度と加圧ローラ4の温度とをそれぞれの温度目標範囲に維持させる待機状態とする(S18)。
図6を参照して、図8に示すように、待機状態でプリント開始操作がされると(S21のYES)、加圧ヒータ10がOFFされて(S23)、加圧ローラ4が定着ベルト1に圧接する(S24)。そして、プリントが開始され(S24)、プリントが完了すると(S25のYES)、加圧ローラ4を離間させて、元の待機状態に復帰する(S27)。
以上のように制御される本実施形態の定着装置50では、プリントの開始から終了までを除く期間、加圧ローラ4と定着ベルト1とが、離間状態で、それぞれ回転、循環する。そして加圧ローラ4と定着ベルト1とが、所定の温度目標範囲に温度維持されているので、最初のプリントから最適な定着処理を実行できる。そして、圧接状態で回転/循環させる場合に比較して、定着ベルト1の縁の傷みや金属層の疲労が少ない。
図6を参照して、図9に示すように、定着装置50の起動と同時に、誘導加熱コイル5には1000Wの電力が入力され、加圧ヒータ10には300Wの電力が入力される。誘導加熱コイル5は、目標温度である170℃を温度センサ(サーミスタ)7が検出すると、検出値に基づいて0〜1000Wの間で入力電力を調節して、目標温度で一定になるよう温度制御される。加圧ヒータ10も、サーミスタ11の検出値に基づいて目標温度である130℃まで加圧ローラ4を昇温させ、その後、ヒータスイッチ71のON/OFFにより温度制御される。定着ベルト1と加圧ローラ4とがそれぞれ目標温度に達するのは、ほぼ同時で、定着装置50の起動開始から約30秒である。
なお、定着装置50の起動中および待機中、加圧ローラ4は、定着ベルト1と離間した状態である。待機中は、図4の(a)に示した誘導加熱コイル5による発熱分布によって、図4の(b)に示したように、定着ベルト1の表面温度は中央部で170℃、端部で150℃になる。また、図5の(b)に示した加圧ヒータ10の発熱分布によって、図5の(c)に示すように、加圧ローラ4の表面温度は中央部で100℃、端部で130℃になる。
その後、プリント開始操作がなされると、カラー電子写真プリンタ100(図1)の定着装置50以外の部分も稼動するので、例えば100V15Aの商用電源を用いた場合、定着装置50で使用が許される電力は800Wに減ってしまう。そこで、効率よく定着するためには、本実施形態のように、発熱効率の高い誘導加熱の利点を最大限に活かし、直接未定着のトナー画像に接触する定着ベルト1を加熱する必要がある。このため、プリント中は800Wの電力を全て誘導加熱コイル5に入力し、加圧ヒータ10はOFF状態にしている。
こうすることで、限られた電力を有効に利用し、高速で効率よく定着することができる。また、プリント開始と共に加圧ローラ4は、定着ベルト1に圧接し、定着ベルト1の温度は、より低温な加圧ローラ4の温度につられて一時的に155℃まで下がるが、その後回復し、再び170℃で制御される。最も温度が低い155℃のときでも、十分に定着強度は保たれている。
また、定着ベルト1の端部の温度は、プリント開始時には160℃で、中央部と比較するとやや低いが、定着後の画像のグロスは中央部と端部で違和感のないレベルになっている。その後、プリントが進むと、中央部170℃に対して、初期の端部温度を160℃と低くしているために、端部は非通紙部の昇温が発生しても180℃程度に抑えることができる。この場合も、定着後の画像のグロスは中央部と端部で違和感のないレベルになっている。
加圧ローラ4の中央部温度は、プリント開始時には100℃であるが、プリントが進むにつれ温度が低下し、約100枚プリントを続けるとほぼ80℃に飽和する。一方、加圧ローラ4の端部温度は130℃であり、中央部との温度差が30℃と大きいが、加圧ローラは直接トナー画像に触れないので定着後の画像のグロスは中央部と端部で違和感のないレベルになっている。
プリントが進むにつれて端部の温度も低下するが非通紙部昇温の影響で中央部ほどには大きく温度低下せず120℃で飽和する。そして、プリントが終了すると、加圧ローラ4は、定着ベルト1から再び離間し、加圧ヒータ10も温度制御を再開する。
比較のため、定着ベルト1の加熱源として、誘導加熱コイル5の代わりにハロゲンランプヒータを定着ローラ3内部に配置した実験を行った。プリント中に800Wをハロゲンランプヒータに入力すると、定着ベルト1の回転軸方向の温度分布は、誘導加熱方式とほぼ同様にすることは出来た。しかし、プリント開始直後の定着ベルト1の温度低下が145℃と誘導加熱方式と比較して10℃も低くなってしまい、定着強度が不足してしまう結果となった。
本実施形態では、定着ベルト1の外側に誘導加熱コイル5を配置したが、定着ベルト1の内部に配置しても差し障り無い。
このように、誘導加熱方式の加熱効率を高めるために、誘導加熱コイル5を被加熱体である定着ベルト1に可能な限り近づけると良いが、その場合、定着ベルト1の回転軸方向の発熱分布を制御するのは困難である。そこで、加圧ローラ4の温度分布を回転軸方向両端部で温度が高くなる温度分布によって、プリント初期の定着ベルト1の両端部の温度が低いことを補って画像光沢を略均一化する。また、多数枚のプリント時には、定着ベルト1の非通紙部昇温を防止しつつ画像光沢を略均一化する。結果、高効率で定着中の電力が少なくて済み、かつ、定着部材の長手方向温度分布は非通紙部昇温が抑制され、画像光沢が均一である高画質な定着装置50及びこれを備えたカラー電子写真プリンタ100を提供できる。
ところで、特許文献1に開示されている加熱装置は、定着中に最も電力が必要な定着ローラの加熱源に誘導加熱方式ではなく効率の低いハロゲンランプヒータを使用しているので、電力を多く必要として効率が悪い。これに対して、本実施形態の定着装置50では、加熱効率が高い誘導加熱方式を採用しているので、高効率で定着中の電力が少なくて済み、かつ、定着ベルト1の幅方向の温度分布が均一で、定着された画像光沢も均一である高画質な定着装置50となっている。また、起動時間も短く、電源投入後、短い時間で画像形成を開始できる。
<別の実施形態>
図10は別の実施形態の定着装置50Bにおける構成の説明図である。別の実施形態は、図2に示す定着装置50における加圧ローラ4の代わりに、加圧ベルト41、加圧ヒータ10の代わりに面状発熱体14を用いており、それ以外の構成は図2に示す定着装置50と同じである。従って、図10中、図2と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明は省略する。
図10に示すように、定着装置50Bでは、面状発熱体14は、図2の加圧ヒータ10と同様に動作し、入力する電力は最大200Wである。面状発熱体14の発熱分布と加圧ベルト41の温度分布も図5の(c)に示すように調整してある。
加圧ベルト41は、75μmの厚みのポリイミドを基層に持ち、表面は離型層としてフッ素樹脂30μmを設けてある。別の実施形態の定着装置50Bの場合、加圧ベルト41単体での回転は出来ないので、加圧ベルト41は、常に定着ベルト1に当接している状態にある。しかし、図2の加圧ローラ4に比べて、加圧ベルト41は熱容量が小さいので、定着装置50B起動時における面状発熱体14への入力電力が200Wと少なくても、約25秒で温度センサ13が目標温度である100℃を検出できる。
一方、励磁コイル5には、1100W入力できるので、約25秒で目標温度である170℃に到達できる。
このように、別の実施形態の定着装置50Bでは、加圧ベルト41と面状発熱体13とを用いることで、更に短い時間で定着装置50Bを起動することが出来る。
なお、図2の定着装置50と同様に、別の実施形態の定着装置50Bでも、図10中、破線で示すように定着ベルト1から加圧ベルト41を離間させて、個別に循環させた状態で温度立ち上げ処理を行ってもよい。
<発明との対応>
本実施形態の定着装置50は、記録材P上の転写画像を加熱する定着ベルト1と、定着ベルト1を電磁誘導発熱させる磁束を発生する誘導加熱コイル5と、定着ベルト1とニップを形成する加圧ローラ4と、加圧ローラ4の内部に配置され、加圧ローラ4を加熱する加圧ヒータ10とを有する。
従って、誘導加熱方式により加熱された定着ベルト1の熱により記録材P上の転写画像を加熱する定着装置50において、誘導加熱による省エネルギー加熱を実現する。更に、カラー静電写真プリンタ100の立ち上げ時において、定着装置50を大型化、複雑化せず低コストでウォーミングアップタイムを短縮することができる。
本実施形態の定着装置50は、定着ベルト1は、加圧ローラ4とのニップにおいて、記録材P上の転写画像が担持されている面と接触する。従って、記録材Pの搬送が高速でも、定着ベルト1との長い接触面を通じて効率的かつムラなく転写画像を加熱できる。
本実施形態の定着装置50は、誘導加熱コイル5の発熱分布は、定着ベルト1の記録材P搬送方向に直交する幅方向に略均一であり、一方、加圧ヒータ10は、記録材P搬送方向に直交する幅方向の中央部よりも端部側の加熱能力が高い。従って、定着処理の開始に先立たせて、定着ベルト1の端部の温度低下を防止でき、幅広い領域で温度分布を均一化して定着品質を一定に確保できる。言い換えれば、温度立ち上げ時の定着ベルト1の縁部分の温度上昇の遅れを相殺して、定着処理開始時における定着ベルト1の幅方向の温度分布のばらつきを少なくして、記録材Pの全面での定着ムラを防止できる。
本実施形態の定着装置50は、記録材Pを加熱する加熱処理に先立ち、誘導加熱コイル5と加圧ヒータ10とを並行的に作動させて定着ベルト1及び加圧ローラ4を加熱し、一方、記録材P上の転写画像を加熱する加熱処理時は、誘導加熱コイル5のみで定着ベルト1及び加圧ローラ4を加熱するように制御する制御部60を有する。従って、加熱処理時には加圧ヒータ10の電力消費を画像形成に割り当てて、速やかな温度立ち上げと画像処理時の省電力とを実現できる。
本実施形態の定着装置50は、加圧ヒータ10は、ハロゲンランプヒータである。従って、誘導加熱コイル5による加熱の温度分布に合わせた相補的な発熱量分布のヒータを容易に実現できる。そして、単純なON/OFF制御で十分に精密な温度維持や温度分布設定が可能であり、誘導加熱コイル5による加熱ムラを相殺する設計も容易である。
本実施形態の定着装置50は、トナー像Tの被転写面に接触して記録材Pを加熱する定着ベルト1と、定着ベルト1に対して圧接/離間が可能に配置された加圧ローラ4とを備える。そして、定着ベルト1を誘導加熱する誘導加熱コイル5と、加圧ローラ4の内側に配置されて前記加圧ローラ4を加熱する加圧ヒータ10と、定着ベルト1と加圧ローラ4とを離間させて定着ベルト1を循環させる。この状態で、誘導加熱コイル5と加圧ヒータ10とにより温度立ち上げ処理を行う制御部60とを備える。
従って、定着ベルト1と加圧ローラ4とを離間して圧接の重荷を除去した状態で温度立ち上げ処理を行うので、高温域で最適化された定着ベルト1を含む被加熱領域の昇温過程における負担や無理が少ない。また、離間して熱伝達をあまり期待できない定着ベルト1には頼らず、自前の加圧ヒータ10によって加圧ローラ4を加熱するから、加圧ローラ4を速やかに適正な温度範囲に誘導できる。
本実施形態の定着装置50は、トナー像Tの被転写面に接触して記録材Pを加熱する定着ベルト1と、定着ベルト1を懸架するローラ部材と、定着ベルト1に圧接従動した状態で記録材Pを挟み込む加圧ローラ4とを備える。そして、定着ベルト1の外側に配置されて、定着ベルト1をローラ部材とともに誘導加熱する誘導加熱コイル5と、加圧ローラ4の内側に配置されて加圧ローラ4を加熱する加圧ヒータ10と、定着ベルト1を循環してローラ部材を回転させる。この状態で、誘導加熱コイル5と加圧ヒータ10とにより温度立ち上げ処理を行う制御部60とを備える。
従って、回転して均等に加熱された定着ローラ3との熱交換を通じて、定着ベルト1の温度分布が平均化される。また、定着ローラ3が熱コンデンサとして定着ベルト1に熱補給を行うので、記録材Pとの頻繁な接触を繰り返しても定着ベルト1の温度変化が少なくて済む。また、定着ベルト1を介した熱伝達に頼らず、自前の加圧ヒータ10によって加圧ローラ4を加熱するから、加圧ローラ4を速やかに適正な温度範囲に誘導できる。
本実施形態の定着装置50は、定着ベルト1と加圧ローラ4とは圧接/離間が可能で、制御部60は、定着ベルト1と加圧ローラ4とを離間させた状態で、温度立ち上げ処理を行う。従って、定着ベルト1と加圧ローラ4とを離間して圧接の重荷を除去した状態で温度立ち上げ処理を行うので、高温域で最適化された定着ベルト1を含む被加熱領域の昇温過程における負担や無理が少ない。
本実施形態の定着装置50は、制御部60は、定着処理の開始に先立たせて、加圧ヒータ10への投入電力を0にまで減少させて加圧ローラ4を定着ベルト1に圧接させる。従って、定着処理時には、加圧ヒータ10の消費電力分を、定着装置50以外のユニットの電力消費に割り当てて、温度立ち上げ処理時と定着処理時との電力消費を平均化できる。
本実施形態の定着装置50は、トナー像Tの被転写面に接触して記録材Pを加熱する定着ベルト1と、定着ベルト1に圧接従動した状態で記録材Pを挟み込む加圧ローラ4とを備える。そして、定着ベルト1の全周の一部分を幅方向にほぼ一様に誘導加熱する誘導加熱コイル5と、加圧ローラ4の内側に配置されて加圧ローラ4を加熱可能な加圧ヒータ10とを有する。また、温度立ち上げ処理が指令されると、誘導加熱コイル5と加圧ヒータ10とを並行的に作動させて定着ベルト1と加圧ローラ4とを加熱し、それぞれ所定の温度範囲に立ち上げて維持させる制御部60とを備える。従って、定着ベルト1および加圧ローラ4を速やかにそれぞれ適正な温度範囲に立ち上げて、温度立ち上げ待ち時間を短縮できる。
本実施形態の定着装置50は、トナー像Tの被転写面に接触して記録材Pを加熱する定着ベルト1と、前記定着ベルト1に対して圧接/離間が可能な加圧ローラ4とを備える。そして、定着ベルト1の全周の一部分を幅方向にほぼ一様に誘導加熱する誘導加熱コイル5と、加圧ローラ4の内側に配置されて加圧ローラ4を加熱可能な加圧ヒータ10と、加圧ローラ4を離間させる。この状態で、誘導加熱コイル5と加圧ヒータ10とを作動させて定着処理を待機し、定着処理が指令されると、加圧ヒータ10への投入電力を減少させて加圧ローラ4を圧接させる制御部60とを備える。従って、定着処理(画像形成)時には、加圧ヒータ10の消費電力分を、定着装置50以外のユニットの電力消費に割り当てて、温度立ち上げ処理時と定着処理時との電力消費を平均化できる。これにより、定着能力を損なうことなく、カラー静電写真プリンタ100の消費電力、定格ワット数を小さくできる。
本実施形態の定着装置50は、トナー像Tの被転写面に接触して記録材Pを加熱する定着ベルト1と、定着ベルト1に圧接従動した状態で記録材Pを挟み込む加圧ローラ4とを備える。そして、循環する定着ベルト1を、記録材Pとの接触領域の上流側で誘導加熱する誘導加熱コイル5と、加圧ローラ4の内側に配置されて、加圧ローラ4の内壁面を輻射加熱するハロゲンランプヒータの加圧ヒータとを備える。ハロゲンランプヒータは、誘導加熱コイル5に比較して小型なので、小口径の加圧ローラ4でも内側に配置して、発熱を無駄なく利用した効率的な昇温を実現できる。また、フィラメント10a(図5の(a))の調整によって、任意の発熱特性を付与できるので、誘導加熱コイル5による加熱ムラを相殺する設計が容易である。
本実施形態のカラー静電写真プリンタ100は、記録材Pの被転写面にトナー像Tを転写する二次転写ローラ221等を有する。また、本実施形態のカラー静電写真プリンタ100は、二次転写ローラ221等によってトナー像Tを転写された記録材Pに高温を作用させてトナー像Tを記録材Pに定着させる定着装置50とを備える。従って、定着ベルト1および加圧ローラ4を速やかにそれぞれ適正な温度範囲に立ち上げて、温度立ち上げ待ち時間を短縮できる。
<その他の実施形態>
本発明の画像加熱装置は、上述した実施形態のような定着装置としての使用に限られず、未定着画像を被記録材に定着する仮定着装置、定着画像を担持した被記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する表面改質装置等の画像加熱装置としても有効に使用することができる。
本発明の画像形成装置の一実施形態であるカラー電子写真プリンタの構成の説明図である。 本実施形態の定着装置における構成の説明図である。 圧接部の長さ方向における温度分布の線図である。 定着ベルト幅方向における温度分布の説明図である。 定着ベルト幅方向における加圧ローラの温度分布の線図である。 誘導加熱コイルと加圧ヒータの制御系のブロック図である。 温度立ち上げ処理のフローチャートである。 プリント処理時の加圧ヒータの制御のフローチャートである。 温度制御の説明図である。 別の実施形態の定着装置における構成の説明図である。
符号の説明
T トナー像
P、S 被転写材(記録材)
1 定着ベルト部材、定着部材(定着ベルト)
3 定着ローラ(ローラ部材)
4、41 加圧部材(加圧ローラ、加圧ベルト)
5 コイル部材(誘導加熱コイル)
10 補助加熱手段(加圧ヒータ、ハロゲンランプヒータ)
60 制御手段(制御部)
50、50B 定着装置
100 画像形成装置
121、122、221 転写手段(感光ドラム、転写ベルト、二次転写ローラ)

Claims (5)

  1. 記録材上の画像を加熱する第一の回転体と、
    前記第一の回転体を電磁誘導発熱させる磁束を発生する磁束発生手段と、
    前記第一の回転体とニップを形成する第二の回転体と、
    前記第二の回転体の内部に配置され、前記第二の回転体を加熱するヒータと、を有することを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記第一の回転体は、前記ニップにおいて、記録材上の画像が担持されている面と接触することを特徴とする請求項1記載の画像加熱装置。
  3. 前記磁束発生手段の発熱分布は、前記第一の回転体の記録材搬送方向に直交する幅方向に略均一であり、
    前記ヒータは、記録材搬送方向に直交する幅方向の中央部よりも端部側の加熱能力が高いことを特徴とする請求項1または2記載の画像加熱装置。
  4. 記録材を加熱する加熱処理に先立ち、前記磁束発生手段と前記ヒータとを並行的に作動させて前記第一及び第二の回転体とを加熱し、一方、記録材上の画像を加熱する加熱処理時は、前記磁束発生手段のみで前記第一及び第二の回転体とを加熱するように制御する制御手段、を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の画像加熱装置。
  5. 前記ヒータはハロゲンランプヒータであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の画像加熱装置。
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