JP2011033998A - 像加熱装置 - Google Patents

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Munehito Kurata
宗人 倉田
Daizo Fukuzawa
大三 福沢
Masato Yoshioka
真人 吉岡
Yoshiaki Sato
慶明 佐藤
Toru Imaizumi
徹 今泉
Kuniaki Kasuga
邦章 春日
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Abstract

【課題】ヒータの長手方向における抵抗値分布のバラツキに依らず、長手方向全域に渡ってヒータに記録材への加熱を良好に行わせることを目的とする。
【解決手段】記録材が定着ニップ部に突入するよりも以前における立ち上げ制御初期の1000W電力投入時の、2個のサブサーミスタの検知温度の平均値の上昇速度から、メインサーミスタの検知温度の上昇速度を引いた差△Vが29よりも小さい場合、定着ニップ部で記録材を挟持搬送する時の搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を上げる。
【選択図】図7

Description

本発明は、複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるトナー画像を定着する定着装置等の像加熱装置に関する。定着装置は、電子写真方式、静電記録方式、磁気記録方式等の適時の画像形成プロセスに用いられる。すなわち、定着装置は、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、記録材の面に転写方式若しくは直接方式で目的の画像情報に対応して形成された未定着トナー画像を、記録材面上に永久固着画像として加熱定着処理する方式の装置である。なお、記録材としては、紙、印刷紙、転写材シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム、エレクトロファックス紙、静電記録紙等が挙げられる。ここで、本発明の像加熱装置には、上記定着装置ばかりでなく、未定着画像を記録材上に仮定着させる像加熱装置や、画像を担時した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する像加熱装置等も包含される。
近年では、像加熱装置として、熱容量が小さい定着部材であるスリーブを用いたサーフ方式の定着装置が広く普及してきている。サーフ方式の定着装置は、セラミックヒータと加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性のスリーブを挟ませて定着ニップ部を形成する。そして、この定着ニップ部において、未定着トナー像を形成担持した記録材を、スリーブと加圧ローラの間に搬送導入してスリーブと共に挟持搬送する。このようにすることによって定着ニップ部において、スリーブを介してセラミックヒータの熱を記録材に与え、さらに定着ニップ部の加圧力にて未定着トナー像を記録材に永久固着像として定着させる。上記のような定着装置の場合、スリーブの熱容量を小さくすることができ、ウォームアップタイムの短縮を図ることができる。さらに、近年、大きく普及してきているカラー画像の定着装置においては短いウォームアップタイムによるオンデマンド性と良好な画像を得るという観点とから、弾性層を有するスリーブを用いたサーフ方式の定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記のようなサーフ方式の定着装置においては、加熱体として、一般的に、絶縁基板(セラミック基板)上に抵抗発熱体を形成したセラミックヒータが用いられている。セラミックヒータは、基板、抵抗発熱体、電極、絶縁保護層等から構成される。基板は、チッ化アルミやアルミナ等のセラミックスから成り、抵抗発熱体としては銀パラジウム等が用いられスクリーン印刷等により基板上に形成される。電極を介して抵抗発熱体に電流を流すことによって、抵抗発熱体が単位長さあたり所定の発熱量で発熱する。
特開平11−15303号(特許第3051085号)公報
このような定着装置においては、オンデマンド性を確保するために定着装置の立ち上げ時には、大きな電力が投入されてセラミックヒータが発熱しスリーブを加熱する。その後、スリーブが記録材上の未定着トナー像を定着し得る温度になった時点で、PID制御等のフィードバック制御を用いて温度制御を行う。
しかしながら、セラミックヒータの記録材搬送方向に垂直な方向(以下、記録材の幅方向という。又は、ヒータの長手方向という。)における端部では、抵抗発熱体の末端部から長手方向外側への熱の逃げが大きい。このため、長手方向端部は、長手方向中央部に比
べて温度が低くなる傾向がある。そのため、立ち上げ制御において大きな電力を投入し、スリーブが所定温度になり、目標温度でのPID制御に移行した後、記録材搬送前に熱の逃げが大きい長手方向端部のヒータ温度が、長手方向中央部に比べ低下してしまう場合がある。この結果として、記録材搬送時、特に定着装置が十分に冷えた室温状態(コールド状態)から定着動作が行われた場合の1枚目の搬送初期に、記録材の幅方向端部の定着性が悪化してしまう可能性があった。
上記のような課題を解決するため、長手方向端部の抵抗発熱体の記録材搬送方向の幅(断面積)を、長手方向中央部の抵抗発熱体の幅(断面積)よりも細くし、単位長さあたりの抵抗値を大きくし、長手方向端部の発熱量を大きくするようにしていた。以下、長手方向端部の抵抗発熱体の幅を狭くした領域のことを、端部絞り部という。しかしながら、長手方向の単位長さあたりの抵抗値を所望の値どおりに製造することは非常に困難であり、端部絞り部の単位長さあたりの抵抗値もセラミックヒータの個々である程度のバラツキが生じてしまう。端部絞り部の単位長さあたりの抵抗値を大きくし過ぎると、長手方向端部の温度が高くなり過ぎ、ホットオフセット画像が発生してしまう。そのため、端部絞り部の単位長さあたりの抵抗値はホットオフセット画像が発生しない所定値以下にすることが必要である。このため、セラミックヒータの個々の製造上のバラツキによる端部絞り部の単位長さあたりの抵抗値の上限値は決定できる。しかし、逆に端部絞り部の単位長さあたりの抵抗値の下限値を下回るセラミックヒータを使用した場合には、上記の長手方向端部の定着性の確保は困難になる。このように、セラミックヒータに端部絞り部を単に設けただけでは、長手方向端部の定着性を十分に確保することは困難であった。
本発明は、ヒータの長手方向における抵抗値分布のバラツキに依らず、長手方向全域に渡ってヒータに記録材への加熱を良好に行わせることを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る像加熱装置は、
可撓性のスリーブと、
セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
を備え、
像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における端部には、単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
前記第2温度検知素子は、前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知し、
記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記第2温度検知素子の検知温度の上昇速度から、前記第1温度検知素子の検知温度の上昇速度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする。
上記課題を解決するために本発明に係る像加熱装置は、
可撓性のスリーブと、
セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
を備え、
像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における両端部には、それぞれ単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
前記第2温度検知素子は、前記両端部の前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を、前記両端部のそれぞれで検知するように複数個設けられており、
記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記複数個の第2温度検知素子の検知温度の平均値の上昇速度から、前記第1温度検知素子の検知温度の上昇速度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする。
上記課題を解決するために本発明に係る像加熱装置は、
可撓性のスリーブと、
セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
を備え、
像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における端部には、単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
前記第2温度検知素子は、前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知し、
記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における所定のタイミングでの、前記第2温度検知素子の検知温度から、前記第1温度検知素子の検知温度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする。
上記課題を解決するために本発明に係る像加熱装置は、
可撓性のスリーブと、
セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、
前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
を備え、
像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における両端部には、それぞれ単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
前記第2温度検知素子は、前記両端部の前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を、前記両端部のそれぞれで検知するように複数個設けられており、
記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における所定のタイミングでの、前記複数個の第2温度検知素子の検知温度の平均値から、前記第1温度検知素子の検知温度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする。
上記課題を解決するために本発明に係る像加熱装置は、
可撓性のスリーブと、
セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
を備え、
像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における端部には、単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
前記第2温度検知素子は、前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知し、
記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記第2温度検知素子の検知温度を一定に保つ制御を行ったときの、予め定められた時間から前記第1温度検知素子の検知温度が所定の温度に達するまでの経過時間の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする。
上記課題を解決するために本発明に係る像加熱装置は、
可撓性のスリーブと、
セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
を備え、
像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における両端部には、それぞれ単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
前記第2温度検知素子は、前記両端部の前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を、前記両端部のそれぞれで検知するように複数個設けられており、
記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記複数個の第2温度検知素子の検知温度の平均値を一定に保つ制御を行ったときの、予め定められた時間から前記第1温度検知素子の検知温度が所定の温度に達するまでの経過時間の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする。
本発明によれば、ヒータの長手方向における抵抗値分布のバラツキに依らず、長手方向全域に渡ってヒータに記録材への加熱を良好に行わせることができる。
実施例1に係る画像形成装置の概略構成を示す図 実施例1に係る定着装置の概略構成を示す図 実施例1に係るヒータの概略構成を示す図 実施例1に係る立ち上げ時の温度推移及び投入電力推移を示す図 実施例1に係る端部絞り量115%のヒータの温度推移を示す図 実施例1に係る端部絞り量105%のヒータの温度推移を示す図 実施例1に係る補正を行った場合のヒータの温度推移を示す図 実施例1に係るスリーブの記録材幅方向の温度分布を示す図 実施例1に係る他の補正を行った場合のヒータの温度推移を示す図
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例1>
(1)画像形成装置
図1は本実施例に係る画像形成装置の概略構成を示している。本実施例の画像形成装置は、電子写真方式を用いて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得るカラー画像形成装置である。画像形成装置100は、給紙部121a,121b、オールインワンカートリッジ101(Y、M、C、K各々)、中間転写体127、転写ローラ128、定着装置12等を備えている。オールインワンカートリッジ101(Y、M、C、K各々)は、感光体122、一次帯電手段としての帯電スリーブ123、トナー容器125、現像スリーブ126、がひとつの容器にまとめられている。Y、M、C、K各色において、帯電スリーブ123により帯電された感光体122上に、画像処理部(不図示)が変換した露光時間に基づいてスキャナ部124から露光光を照射し、感光体122上に静電潜像を形成する。この静電潜像を、トナー容器125からのトナーを使って、現像スリーブ126にて感光体122上に単色トナー像を形成する。この単色トナー像を中間転写体127上に4色重
ね合わせることで多色トナー像を形成する。この中間転写体127に形成された多色トナー像を中間転写体127と転写ローラ128とで記録材111と共に挟み込み、加圧することで、記録材111へ多色トナー像を転写する。記録材111は、給紙部121a、121bから搬送ローラ112a、112b、112cによって搬送されてくる。そして最後に、記録材111上の多色トナー像を定着装置12にて定着し、記録材111は排出トレイ(不図示)に排出される。中間転写体127上に残ったトナーはクリーナ129にてクリーニングされ、クリーニングされた廃トナーはクリーナ容器(不図示)に蓄えられる。
(2)定着装置
図2は本実施例に係る像加熱装置の一例である定着装置12の概略構成を示している。定着装置12は、可撓性のスリーブ20を有している。スリーブ20は、ベルト状部材に弾性層を設けてなる円筒状の部材である。スリーブ20の下側には、加圧部材としての加圧ローラ22が配置される。スリーブ20の内側には、加熱体保持部材としての横断面略半円弧状の耐熱性及び剛性を有するヒータホルダ17が配置される。ヒータホルダ17は、加熱体としてのヒータ16を有する。ヒータ16は、ヒータホルダ17の下面にヒータホルダ17の記録材Pの幅方向である長手方向に沿って配設してある。すなわち、ヒータ16の長手方向とは、定着装置12に搬送される記録材Pの幅方向である。スリーブ20は、ヒータホルダ17にルーズに外嵌させてある。加熱体としてのヒータ16は、セラミックヒータを用いており、チッ化アルミからなるセラミック基板上の図1における上側の面に銀パラジウムからなる通電発熱抵抗層(抵抗発熱体)を有している。また、通電発熱抵抗層の長手方向中央部から等距離離れた長手方向両端部には端部絞り部16aが設けられている。ヒータ16の電極部に通電することによって、通電抵抗発熱層が単位長さあたり所定の発熱量で発熱する。ヒータホルダ17は、耐熱性の高い樹脂から成り、ヒータ16を保持すると共にスリーブ20をガイドする役割を果たす。加圧ローラ22は、芯金の周りにシリコーンゴム層を形成し、その上にPFA樹脂チューブを被覆して形成されている。加圧ローラ22は、芯金の長手方向両端部を装置フレーム24の不図示の奥側と手前側の側板間に回転自由に軸受保持させて配設させてある。加圧ローラ22の上側に、ヒータ16、ヒータホルダ17、及びスリーブ20等からなるスリーブユニットをヒータ16側が加圧ローラ22側になるように加圧ローラ22に平行して配置する。そして、ヒータホルダ17の長手方向両端部を不図示の加圧機構によって、片側122.5N、総圧245Nの力で加圧ローラ22の軸線方向に加圧する。これにより、ヒータ16の表面に対し、スリーブ20を介して加圧ローラ22の弾性層をその弾性を抗して所定の押圧力を持って圧接させ、加熱定着に必要な所定幅の定着ニップ部27を形成させている。加圧機構は、圧解除機構も有し、ジャム処理時等に加圧を解除し、記録材Pの除去が容易な構成となっている。定着装置12は、フレーム24に組み付けられた入り口ガイド23及び定着排紙ローラ26を有している。
図3は本実施例に係るヒータ16の長手方向の構成、及び第1温度検知素子としてのメインサーミスタ18、複数個の第2温度検知素子としてのサブサーミスタ19a、19bの長手方向における位置関係を示している。本実施例におけるヒータ16は、チッ化アルミから成る基板の図1における上側の面(以下、裏面と記す)に銀パラジウムから成る通電発熱抵抗層(抵抗発熱体)が形成されている。通電発熱抵抗層は、長手方向中央の搬送基準から左右方向にそれぞれ110mmの長さで形成されている。その長手方向端部には、搬送基準に対し、左右方向にそれぞれ89.5mmの位置から外側に15mmの範囲で端部絞り部16aが設けられている。端部絞り部16aは、長手方向両端部の抵抗発熱体の記録材搬送方向の幅(断面積)を、長手方向中央部の抵抗発熱体の幅(断面積)よりも細くし、単位長さあたりの抵抗値を大きくし、長手方向端部の発熱量を大きくした高抵抗領域である。端部絞り部16aの端部絞り量は、長手方向中央部の単位長さあたりの抵抗値を100%とした場合に、+10%±5%の抵抗値である。この端部絞り量は、製造上
の上限である、端部絞り量115%のヒータ16を使用した場合でも、長手方向端部のホットオフセット画像が発生しないように、110%を所望の値として設計されている。
メインサーミスタ18は、図2に示すように、ヒータ16には非接触に配置され、本実施例ではヒータホルダ17の上方においてスリーブ20の内面に弾性的に当接するように接触させてあり、スリーブ20の内面の温度を検知する。具体的には、スリーブ20の内面の記録材Pの搬送領域のうち搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、その位置のスリーブ内面温度を検知する。サブサーミスタ19a、19bは、本実施例ではヒータ16の裏面に接触させてある。サブサーミスタ19a、19bは、ヒータ16の通電発熱抵抗層の端部絞り部16aの位置、具体的には、長手方向中央部から両端に向かって99mmの位置に配置される。サブサーミスタ19a、19bは、記録材Pの搬送領域のうち搬送可能な最小幅の記録材を搬送する領域外の位置の温度を検知する。このように、サブサーミスタ19a、19bは、少なくとも2つ以上の複数個設けられており、高抵抗領域である端部絞り部16aに対応している。メインサーミスタ18及びサブサーミスタ19a、19bは、制御回路部21に電気的に接続されており、制御回路部21は、メインサーミスタ18若しくはサブサーミスタ19a、19bの温度検知結果を基にヒータ16のへの投入電力の制御を行う。
加圧ローラ22は、モータ等の駆動手段によって矢印の反時計回り方向に所定の周速度で回転駆動される。そして、加圧ローラ22の回転駆動による加圧ローラ22の外面とスリーブ20の外面との定着ニップ部27での圧接摩擦力により、スリーブ20に回転力が作用する。これにより、スリーブ20は、その内面が直接接触したヒータ16の表面を摺動しながら、ヒータホルダ17の周りを矢印の時計周り方向に従動回転する。
記録材の定着処理時には、上記のように加圧ローラ22が回転駆動され、それに伴ってスリーブ20が従動回転する。また、ヒータ16が通電され、ヒータ16が昇温して定着装置12として所定の温度に立ち上げ温調された状態において、定着ニップ部27のスリーブ20と加圧ローラ22との間に未定着トナー像tを担持した記録材Pが入り口ガイド23に沿って導入される。そして、定着ニップ部27において、記録材Pのトナー像担持面がスリーブ20の外面に密着してスリーブ20と一緒に挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、ヒータ16の熱がスリーブ20を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着トナー像tが記録材Pに加熱、加圧されて溶融定着される。定着ニップ部27を通過した記録材Pは、スリーブ20から曲率分離され、定着排紙ローラ26で排出される。
(3)定着温度制御
図4を用いて本実施例における通常の定着装置12の制御シーケンスについて説明する。図4は定着装置の立ち上げから、記録材Pを10枚通紙(搬送)したまでのメインサーミスタ18の検知温度、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値、PID制御の制御目標温度、及び投入電力を示している。本実施例においては、次のようにして立ち上げ制御を行っている。
1…電力1000W投入
2…サブPID制御
3…メインPID制御への切り替え
4…メインPID制御a(前回転温調)
5…メインPID制御b(スリーブ1周分の時間(搬送前温調))
6…メインPID制御c(記録材挟持搬送時(搬送時温調))
以下、各工程を詳細に説明する。
1…電力1000W投入
本実施例の定着装置12は、制御回路部21に電流検知ICを有しており、定着装置12に流れる電流値を測定している。立ち上げ制御初期には、通電によってヒータ16に所定量の電流が流れるように電力が投入される。具体的には、本実施例では、立ち上げ制御初期には、約1000Wの電力が投入される。なお、通電開始とともに実施される加圧ローラ22の回転に伴い、スリーブ20は従動回転しながらヒータ16により加熱される。本工程は、開始時刻t0からサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が250℃に達する時刻t1まで行われる。
2…サブPID制御
サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が時刻t1において250℃に達した後、その温度を維持するようにPID制御を行い、ヒータ16への投入電力を制御する。本工程は、時刻t1からメインサーミスタ18の検知温度が所定の175℃に達する時刻t2まで行われる。
3…メインPID制御への切り替え
時刻t2において、メインサーミスタ18の検知温度がメインPID移行温度Tmc=175℃に達したら、それまでのサブPID制御からメインサーミスタ18の検知温度を基にヒータ16への投入電力を制御するメインPID制御へと切り替える。図4においても、時刻t2において、制御目標温度がサブPID制御の250℃からメインPID制御の180℃へと切り替わっている。
4…メインPID制御a(前回転温調)
時刻t2において、メインPID制御への切り替えが行われた後は、メインサーミスタ18の検知温度を本工程の目標温度Tm2=180℃に保つように投入電力を制御する。本工程は、時刻t2から、記録材Pが定着ニップ部27に突入する時刻t4に対しスリーブ20の1周分の時間前の時刻t3まで行われる。なお、本工程を以下では前回転温調といい、本工程のメインPID制御の目標温度Tm2=180℃を前回転温度という。
5…メインPID制御b(搬送前温調)
前回転温調を行った後、記録材Pが定着ニップ部27へ突入する時刻t4に対しスリーブ1周分の時間前の時刻t3からは、メインPID制御の目標温度をTm3=195℃に切り替える。本工程は、時刻t3から記録材Pが定着ニップ部27へ突入する時刻t4まで、すなわち、スリーブ20が1回転する間のみ行われる。また、時刻t3は、時刻t4から0.31sec前であり、通常、一定時刻である。本工程は、記録材Pが定着ニップ部27に突入する前に次工程の搬送時温度に近い温度で温調することにより、次工程で記録材Pが定着ニップ部27に突入したときには、所定の搬送時温度にすぐに到達できるようにすることが目的である。本実施例では、時刻t3から時刻t4の時間は、スリーブ20の1周分の時間であるが、特にこの時間に制限されるものではない。なお、本工程を以下では搬送前温調といい、本工程のメインPID制御の目標温度Tm3=195℃を搬送前温度という。
6…メインPID制御c(搬送時温調)
記録材Pが定着ニップ部27へ突入する時刻t4からは、メインPID制御の目標温度をTm4=197℃に切り替える。本工程は記録材Pが定着ニップ部27に突入してから、抜けるまで行われる。また、記録材Pが定着ニップ部27へ突入する時刻t4は、オンデマンド性重視の観点から、所定のファーストプリントアウトタイムを満たすように、通常、一定時刻で決定されている。時刻t4は、定着装置12が十分冷えた状態から立ち上げ制御が行われても、記録材Pの定着ニップ部27への突入前にメインサーミスタ18の検知温度が少なくともメインPID移行温度Tmc=175℃に達する時刻である。そして、時刻t4は、続く搬送前温調を経て搬送時温調をすることができる範囲で可能な限り
早い時刻である。時刻t4は、立ち上げ制御開始時刻を時刻0secとすると、約7.3sec後である。なお、本工程を以下では搬送時温調といい、本工程のメインPID制御の目標温度Tm4=197℃を搬送時温度という。
その後、記録材Pの連続搬送が行われる場合には、上記5のメインPID制御b及び6のメインPID制御cが繰り返される。なお、ここでは、普通紙の場合の制御を説明したが、実際には搬送する記録材Pの種類によって、前回転温度Tm2、搬送前温度Tm3、搬送時温度Tm4は変更される。このように、第1温度検知素子若しくは第2温度検知素子(メインサーミスタ18若しくはサブサーミスタ19a、19b)の検知温度を所定の制御温度(Tmc〜Tm4等)に保つように投入電力の制御を行っている。
(4)ヒータ16の端部絞り量のバラツキによる温度推移の違い
図5は本実施例で使用するヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量が上限である115%の場合の立ち上がり時の温度プロファイル(温度推移)を示している。また、図6は本実施例で使用するヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量が下限である105%の場合の立ち上がり時の温度プロファイル(温度推移)を示している。図5及び図6ともに定着装置12が十分冷えていてコールド状態であった場合からの立ち上げ時の温度プロファイルである。端部絞り量115%のヒータ16を用いた場合よりも、端部絞り量105%のヒータ16を用いた場合の方が、同じ電力(ここでは1000W)を投入した場合は、サブPID制御の開始時刻t1は遅くなる。しかし、逆にメインサーミスタ18の検知温度が上昇し易く、サブPID制御開始時刻t1におけるメインサーミスタ18の検知温度が高くなる。かつ、サブPID制御中も相対的にメインサーミスタ18の検知温度は上昇し易いため、メインPID制御へ移行する時刻t2は早くなる。これは、立ち上げ制御において、まず1000Wの電力投入、そしてその後、サブPID制御を行っているためである。長手方向端部の温度が上昇し難い端部絞り量105%のヒータ16を用いた場合の方が、長手方向端部の温度が上昇し易い端部絞り量115%のヒータ16を用いた場合よりも、相対的に長手方向中央部であるメインサーミスタ18の検知温度が上昇し易い。
ところで、メインPID制御への移行時刻t2が早くなると、スリーブ20や加圧ローラ22等の長手方向端部が十分に温まる前に、メインPID制御に移行することになってしまう。その後、熱の逃げがほとんどない長手方向中央部の温度を一定にするメインPID制御が行われるため、逆に熱の逃げの大きい長手方向端部では、記録材Pの定着ニップ部27への突入前に、さらに熱の逃げによって温度が低下してしまう。図6においても時刻t3にかけて、長手方向端部のサブサーミスタ19a、19bの検知温度(の平均値)は下がっている。それに比べ、端部絞り量115%のヒータ16を使用した場合には、メインサーミスタ18の検知温度は相対的に上昇し難く、逆にサブサーミスタ19a、19bの検知温度は上昇し易い。このため、立ち上げ初期の1000W投入時に、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が250℃に到達する時刻t1は早くなり、一方でサブPID制御を経て、メインPID制御に切り替わる時刻t2は遅くなる。よって、メインPID制御へ切り替わった時刻t2ではスリーブ20等の長手方向端部も十分に温まった状態となっている。そのため、メインPID制御に移行した後には、長手方向端部からの熱の逃げの影響を受けるものの、その温度の低下量は小さい。図5においても、時刻t3にかけての長手方向端部のサブサーミスタ19a、19bの検知温度の低下量は小さい。
上記状態から記録材Pが定着ニップ部27へ突入する際、長手方向端部の温度が十分でない端部絞り量105%のヒータ16の場合には、搬送前温度Tm3=195℃及び搬送時温度Tm4=197℃で制御が行われても長手方向端部の温度が十分に昇温しない。特にコールド状態からの立ち上げ後の1枚目の記録材Pにおける長手方向端部の定着性の確
保が難しい。逆に、端部絞り量115%のヒータ16の場合には、長手方向端部の温度の低下が小さいため、搬送前温調及び搬送時温調に切り替わった際の長手方向端部の温度上昇によって長手方向端部の定着性は確保できる。端部絞り量105%のヒータ16の場合には、メインPID制御移行後に長手方向端部におけるスリーブ20等が温まるまで待機することも考えられるが、その場合には定着装置としてのオンデマンド性が大きく損なわれてしまう。
上記のようなヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量のバラツキに伴う長手方向の温度状態によって生じる長手方向端部の定着不良を防止したい。そこで、記録材Pの搬送前に、定着装置12に使用されているヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量を予測し、記録材搬送時の制御温度を変更するようにした。検討の結果、メインサーミスタ18及びサブサーミスタ19a、19bの記録材Pの定着ニップ部27への突入前の温度プロファイルにおいて、以下の2つから、使用されているヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量を予測できることが分かった。
A…1000W電力投入時のメインサーミスタ18とサブサーミスタ19a、19bの温度上昇速度差
B…メインPID制御へ移行する時刻t2
すなわち、上記のA又はBのいずれかの方法により、ヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量を予測する。そして、記録材Pの定着ニップ部27突入時刻t4に対しスリーブ20の1周分前の時刻t3で、メインPID制御の目標温度である、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する。これにより、記録材Pの定着ニップ部27への突入時に長手方向端部の温度も上昇させるようにした。なお、本実施例では、Aの1000W電力投入時のメインサーミスタ18とサブサーミスタ19a、19bの温度上昇速度差を基に搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する例を説明する。また、BのメインPID制御へ移行する時刻t2によって搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する例は実施例2で説明する。
(5)立ち上げ制御初期のメインサーミスタ18とサブサーミスタ19a、19bの温度上昇速度の差を基にした搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更
本実施例では、立ち上げ制御初期の1000W電力投入時のサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の温度上昇速度から、メインサーミスタ18の検知温度の温度上昇速度を引いた差に基いて、ヒータ16の端部絞り量を予測する。そして、記録材Pの定着ニップ部27への突入の時刻t4に対しスリーブ20の1周分の時間さかのぼった時刻t3で、温調の目標温度を変更することによって、記録材Pの定着ニップ部27への突入と共に長手方向端部の温度も上昇させるようにした。
表1にサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の温度上昇速度とメインサーミスタ18の検知温度の温度上昇速度との差、またそのときの温調温度の補正値を示す。表1では、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の温度上昇速度からメインサーミスタ18の検知温度の温度上昇速度を引いた差の値を△V、目標温度の補正値を△Tと表示している。なお、表1では、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が120℃から250℃まで上昇するときの温度上昇速度とそのときのメインサーミスタ18の検知温度の温度上昇速度との差を表している。この差が小さいほど、メインサーミスタ18の温度が相対的に上昇し易い、端部絞り量の小さいヒータ16が使用されていると予測する。そして、端部絞り量の小さいヒータ16である程、長手方向端部の発熱を促すために搬送前温調と搬送時温調の目標温度である搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を上げる方向に変更する。なお、本実施例では、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4が、定着ニップ部27で記録材Pを挟持搬送する時の所定の制御温度に相当する。つまり、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4である所定の制御温度を変更する際の制御目
標値は、所定の制御温度自体である搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4である。
Figure 2011033998
端部絞り量115%のヒータ16の場合には、立ち上げ制御初期の1000W電力投入時には、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が120℃から250℃まで温度上昇するのに2.1秒を要している。このため、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の温度上昇速度は、62℃/秒である。これに対し、メインサーミスタ18の検知温度の温度上昇速度は、そのとき、60℃から129℃まで上昇しており、32.9℃/秒であった。また、端部絞り量105%のヒータ16の場合には、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の温度上昇速度は、同じく120℃から250℃までで2.3秒を要しているため56.5℃/秒である。これに対し、メインサーミスタ18の検知温度の温度上昇速度は、そのとき62℃から142℃まで上昇しており、34.8℃/秒であった。そのため、表1を用いて、サブサーミスタ19a、19bとメインサーミスタ18の温度上昇速度の差を閾値として、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更を行う。サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の温度上昇速度が62℃/秒であり、メインサーミスタ18の検知温度の温度上昇速度が32.9℃/秒である場合には、その差の値は△V=29.1となる。この場合は、端部絞り量115%のヒー
タ16が使用されていると判断できるため、表1に示すように、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更は行わない。つまり、△V=29が閾値となる。逆に、△Vが閾値29よりも小さい△V<29の場合には、端部絞り量が115%より小さいヒータが使用されていると判断できるため、△Vの値に応じて搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を上昇させる側へ変更する。端部絞り量105%のヒータ16の場合には、上記したように差の値は△V=21.7となるため、補正値△Tとして最大の+5(℃)を加える変更を行う。つまり、端部絞り量105%〜115%のヒータ16は、表1を用い、△Vに応じて補正値△Tが0(℃)〜+5(℃)の間で振り分けられる。
図7は表1に基づいた搬送前温度Tm3と搬送時温度Tm4の補正を行った場合の端部絞り量105%のヒータ16の立ち上がり時の温度プロファイル(温度推移)を示している。上記のような搬送前温度Tm3と搬送時温度Tm4の変更を行うことによって、端部絞り量105%のヒータ16を使用した場合でも、記録材Pの定着ニップ部27への突入する時刻t4に対しスリーブ20の1周分の時間前の時刻t3から大きな電力が投入される。このため、記録材Pの定着ニップ部27への突入時刻t4では、ヒータ16の長手方向端部の温度であるサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が十分に上昇している。
また、表1に示すように、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の補正値△Tは、+5(℃)を上限とした。これは、長手方向中央部でホットオフセット等が発生しない範囲とするためである。図8は端部絞り量105%のヒータ16の場合と端部絞り量115%のヒータ16の場合とのそれぞれにおける、1枚目の記録材Pの定着ニップ部27への突入後、スリーブ20の1周分の時間経過後のスリーブ20の長手方向の温度分布を示している。なお、搬送した記録材Pは、本実施例での搬送可能な最大幅であるLTRサイズの記録材である。本実施例の画像形成装置では、記録材に対し、上下左右に5mmの余白部を持って画像を形成するため、図8には画像形成領域も合わせて示してある。測定は、長手方向全域をモニタできるように、NEC社のサーモビューワーを用いて行った。スリーブ20の内面の温度を搬送時温度Tm4=197℃で温調制御した場合には、スリーブ20の表面温度は約185℃となる。図8に示すように、端部絞り量115%のヒータ16
の場合には、端部絞り部16aの効果で長手方向端部の温度が上昇し易いため、長手方向端部の温度は定着性確保には十分な温度であり、ホットオフセットも発生しない範囲内である。これに対し、表1に示したような補正を行わなかった場合の端部絞り量105%ヒータ16の場合には、画像形成領域の長手方向端部の温度が定着性の確保に対してほとんど余裕がない状態である。長手方向中央部に関しては、熱の逃げが小さいことで、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更前でも、適正な温度となっている。これに対し、表1に示す目標温度の変更を行った場合には、図8に示すように、変更前の端部絞り量105%ヒータ16の場合の長手方向の温度分布の形状を保ったまま、全体の温度を上昇させる方向にシフトさせることになる。このとき、表1に示す最大+5℃の温度上昇であるので、図8の破線で示すように、長手方向中央部の温度が適正な温度範囲内に維持しながら、長手方向端部の温度も上昇させることができる。このように、ヒータ16の長手方向における抵抗値分布のバラツキに依らず、長手方向全域に渡ってヒータ16に記録材Pへの加熱を良好に行わせることができる。よって、長手方向全域に渡って、定着性が良く、ホットオフセットが生じない良好な画像を得る制御ができる。つまり、上記のように、立ち上げ制御初期の1000W電力投入時のサブサーミスタ19a、19bとメインサーミスタ18の検知温度の上昇速度差によって、記録材搬送の目標温度を変更する。これによって、定着装置12に使用されているヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量が個々でばらついている場合にも、長手方向端部の定着性に関しても良好な制御ができる。また、逆に長手方向の一部を必要以上に昇温してしまうこともないため、ホットオフセット等の画像不良を発生させることがなく、長手方向全域に渡って良好な画像を提供することができる。
なお、本実施例では、メインサーミスタ18の検知温度の上昇速度と、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の上昇速度と、の差によって、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する例で詳細に説明した。しかし、例えば、サブサーミスタが1つしか設けられていない場合に、メインサーミスタ18の検知温度の上昇速度と、サブサーミスタの検知温度の上昇速度と、の差によって、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更してもよい。また、例えば、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が250℃に達した時刻t1における、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値である250℃と、そのときのメインサーミスタ18の検知温度との差を基にしても良い。すなわち、上記したように端部絞り量105%のヒータ16の場合には、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が250℃となる時刻t1においてメインサーミスタ18の検知温度は142℃である。一方、端部絞り量115%のヒータ16の場合には、時刻t1においてメインサーミスタ18の検知温度は129℃である。このようにサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が250℃に達した時刻t1におけるメインサーミスタ18の検知温度との差を基に使用されているヒータ16の端部絞り量を予測することもできる。また、例えば、サブサーミスタが1つしか設けられていない場合に、サブサーミスタの検知温度が250℃に達した時刻t1におけるメインサーミスタ18の検知温度との差を基に使用されているヒータ16の端部絞り量を予測することもできる。これらの場合には、時刻t1が、記録材Pが定着ニップ部27に突入するよりも以前における所定のタイミングに相当する。
なお、本実施例で説明した制御は、定着装置12が十分室温状態に近い温度まで冷えている状態、つまり、コールド状態からの立ち上げ時にのみ行う。具体的には、プリント開始信号を受けたときのサブサーミスタ19a、19bの検知温度が50℃以下の場合に行う。これは、定着装置12がコールド状態からの記録材搬送の場合が最も長手方向端部の定着性の確保に対して余裕がないためである。
なお、本実施例では、メインサーミスタ18をスリーブ20の内面であって記録材Pの搬送領域のうち搬送可能な最小幅の記録材を搬送する領域内に配置したが、その配置はス
リーブ20の内面に限定されるもではない。メインサーミスタ18は、搬送可能な最小幅の記録材を搬送する領域内であれば、例えば、ヒータ16の裏面に接触配置されたり、スリーブ20に非接触な状態で配置されスリーブ20の表面温度を検知したりする構成としてもよい。また、サブサーミスタ19a、19bに関しても同様であり、記録材Pの搬送領域のうち搬送可能な最小幅の記録材を搬送する領域外となる長手方向領域であるヒータ16の長手方向端部であればよい。サブサーミスタ19a、19bは、例えば、スリーブ20の内面に配置されたり、また、スリーブ20に非接触な状態で配置されその表面温度を検知したりする構成としてもよい。
なお、ヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量を予測した後の、記録材搬送時の温調制御の変更方法としては、ここまで説明してきたように目標温度を変更する方法のほかに、投入電力量を変更することも可能である。すなわち、記録材Pの定着ニップ部27への突入1周分前の時刻t3からの投入電力量を、メインPID制御によって決定され投入される電力に加え、その下地として所定量の電力(以下、オフセット電力)を追加することによって変更することができる。具体的には、表2に示すように、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値の上昇速度と、メインサーミスタ18の検知温度の上昇速度との差の値△Vに基づいて、時刻t3からの投入電力を、メインPID制御の投入電力にオフセット電力P(w)を加える。すなわち、差の値△Vが閾値である29よりも小さいと、投入電力量を変更してオフセット電力P(w)を加える。
Figure 2011033998
図9は表2に基づいた投入電力量の変更を行った場合の端部絞り量105%のヒータ16の立ち上がり時の温度プロファイル(温度推移)を示している。図9によると、投入電力量がオフセット電力によって嵩上げされることにより、特に記録材Pの定着ニップ部27への突入後にメインサーミスタ18の検知温度が搬送時温度に対してオーバーシュートしていることがわかる。本実施例では、搬送時温度Tm4=197℃に対して敢えてオーバーシュートを起こすように制御することによって、結果的に搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の温度変更と同等の効果を得ることができる。すなわち、図9の温度プロファイルに示すように、時刻t3からオフセット電力を加えることにより、ヒータ16の発熱を促し、長手方向中央部の温度が上昇し過ぎない範囲で長手方向端部の温度を上昇させることができる。なお、本例については、時刻t3から制御目標値としての投入電力量に基づいて、時刻t3からの搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更しているともいえる。ただ、直接、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更するのではなく、時刻t3からの投入電力量を変更している。これは、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更量と投入電力量の変更量との関係を予め実験等から求めて搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4と投入電力量とを予め関連付け、投入電力量を変更しているものである。
<実施例2>
(6)メインPID移行の時刻t2を基にした搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更
定着装置12の構成及び温調制御の概略は実施例1と同様であるため割愛する。定着装置12に使用されているヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量に応じて、上記したようにメインPID制御への移行時刻t2が前後にずれる。すなわち、サブPID制御において、ヒータ16の端部絞り量に関係なく、サブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値を250℃に保つ制御を行う。すると、サブPID制御中のメインサーミスタ18の検知温度の上昇速度がヒータ16の端部絞り量によって異なってくる。長手方向端部
の温度が上がり難い端部絞り量105%のヒータ16の場合は、長手方向端部の温度を一定に保つ場合には相対的に長手方向中央部の温度、つまりメインサーミスタ18の検知温度が上昇し易い。逆に端部絞り量115%のヒータ16の場合には、メインサーミスタ18の検知温度は相対的に上昇し難い。そのため、結果的にメインサーミスタ18の検知温度が175℃に達し、サブPID制御からメインPID制御へ切り替わる時刻t2がヒータ16の端部絞り量によって前後にずれる。そのため、本実施例では、メインPID制御への移行時刻t2を基に、使用されているヒータ16の端部絞り量を予測し、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する。ここで、一方のサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値を250℃に保つ制御を行ったときの、予め定めた時点から他方のメインサーミスタ18の検知温度が所定の温度である175℃に達するまでの経過時間が時刻t2に相当する。本例では、予め定めた時刻t0から時刻t2までの経過時間をいう。しかしこれに限られず、カウントを開始する予め定められる時点については任意の時点を適用してもよい。
表3にメインPID制御へ移行する時刻t2、そのときの搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の補正値を示す。なお、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の補正値を△Tと表示する。また、時刻t2は、立ち上げ制御開始時刻t0からの経過時間である。記録材Pの定着ニップ部27への突入時刻t4は、上記したように一定時刻であり、時刻t4=約7.3秒に行われる。メインPID制御への移行が最も遅い、端部絞り量115%のヒータ16を用いた場合には、時刻t4の1.5秒前である時刻t2=5.8秒でメインPID制御へ移行する。逆に端部絞り量105%のヒータ16を用いた場合には、時刻t4の2.5秒前である時刻t2=4.8秒でメインPID制御へ移行する。そのため、表3のように、メインPID制御への移行時刻t2の値によって、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する。すなわち、時刻t2の値が基準値である5.7よりも小さいと、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する。表3に示した、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の補正値△Tは、デフォルトの設定値である、Tm3=195℃、Tm4=197℃に対しての補正値である。なお、補正値△Tは実施例1と同様に+5(℃)を上限としている。これは、実施例1中で説明したようにメインサーミスタ18によるPID制御を行った場合に、長手方向中央部のホットオフセットが発生しない範囲とするためである。
Figure 2011033998
図7は表3に基づいた搬送前温度Tm3と搬送時温度Tm4の変更を行った場合の端部絞り量105%のヒータ16の立ち上がり時の温度プロファイル(温度推移)をも示している。上記のような搬送前温度Tm3と搬送時温度Tm4の変更を行うことによって、端部絞り量105%のヒータ16を使用した場合でも、記録材Pの定着ニップ部27への突入時刻t4に対しスリーブ20の1周分の時間前の時刻t3から大きな電力が投入される。このため、記録材Pの定着ニップ部27への突入時刻t4では、ヒータ16の長手方向端部の温度であるサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値が十分に上昇している。
このように、ヒータ16の長手方向における抵抗値分布のバラツキに依らず、長手方向全域に渡ってヒータ16に記録材Pへの加熱を良好に行わせることができる。よって、長手方向全域に渡って、定着性が良く、ホットオフセットが生じない良好な画像を得る制御
ができる。つまり、上記のように、立ち上げ制御におけるメインPID制御への移行時刻t2によって、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する。これによって、定着装置12に使用されているヒータ16の端部絞り部16aの端部絞り量が個々でばらついている場合にも、長手方向端部の定着性に関しても良好な制御ができる。また、逆に長手方向の一部を必要以上に昇温してしまうこともないため、ホットオフセット等の画像不良を発生させることがなく、長手方向全域に渡って良好な画像を提供することができる。
ここで、立ち上げ制御初期の1000W電力投入区間、それに続く250℃のサブPID制御と続く立ち上げ制御中にヒータ16の端部絞り量の違いによるメインサーミスタ18の検知温度の上昇速度の違いはより顕著になってくる。すなわち、メインPID制御移行のタイミングのような立ち上げ制御終盤においては、ヒータ16の端部絞り量の違いによるメインサーミスタ18の検知温度の上昇速度の違いがより大きくなっている。そのため、メインサーミスタ18の検知温度が175℃に到達する時刻の差、すなわちメインPID制御へ移行する時刻t2のみを検知することにより、比較計算等をすることなく、ヒータ16の端部絞り量の違いを予測することができる。これにより、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更もできる。
なお、本実施例で説明した制御も、定着装置12が十分室温状態に近い温度まで冷えているコールド状態からの立ち上げ時にのみ行う。具体的には、プリント開始信号を受けたときのサブサーミスタ19a、19bの検知温度が50℃以下の場合に行う。これは、定着装置12が冷えたコールド状態からの記録材搬送の場合が最も長手方向端部の定着性の確保に対して余裕がないためである。
なお、本実施例においても、実施例1と同様にメインサーミスタ18の位置はスリーブ20の内面に限定されるものではない。同様にサブサーミスタ19a、19bの位置はヒータ16の裏面に限定されるものではない。また、実施例1と同様に、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の目標温度の変更ではなく、オフセット電力の投入を行って投入電力量を変更しても同様の効果が得られる。
<実施例3>
実施例1,2は、定着装置12が十分冷えたコールド状態からプリント開始が行われた場合の例である。本実施例では、定着装置12の蓄熱具合を考慮した上で、メインPID制御へ移行する時刻t2によって、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する。本実施例においても、定着装置12の構成及び温調制御の概略は同様であるため割愛する。定着装置12が十分温まった状態から立ち上げ制御が行われた場合、メインサーミスタ18の検知温度がメインPID制御に移行する温度に達するタイミングは非常に早くなる。もともと、スリーブ20や加圧ローラ22等の温度が高いためである。
上記のように、例えば、前回の搬送による熱的履歴が残ったもともと定着装置12が温まった状態から立ち上げ制御が行われた場合には、メインPID制御へ移行する時刻t2は、ヒータ16の端部絞り量によるメインPID制御への移行タイミング差を保つ。そして、時刻t2が全体的に早くなる方向へシフトする。このように、メインPID制御へ移行する時刻t2は早くなるものの、スリーブ20等は蓄熱されている状態である。よって、実施例2で示した表3に基づいて目標温度の変更を実施してしまうと、端部絞り部16aによって発熱し易い長手方向端部が必要以上に発熱する場合がある。
本実施例では、プリント開始信号受信時点(時刻t0)でのサブサーミスタ19a、19bの検知温度の平均値(サブサーミスタ温度Tsub)によって、定着装置12の蓄熱具合を予測し、蓄熱具合も搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更に反映させる。これにより、より正確に目標温度を補正することができる。具体的には、表4に示すよう
に、プリント開始信号受信時のサブサーミスタ温度Tsubによって、メインPID制御へ移行した時刻t2と補正温度の関係のテーブルを変更する。
Figure 2011033998
プリント開始信号受信時のサブサーミスタ温度Tsubが160℃より高い場合には、メインPID制御へ移行する時刻t2に寄らず、搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4の変更は行わない。プリント開始信号受信時にサブサーミスタ19a、19bの検知温度が高い場合には、前回の搬送による熱履歴等によって、定着装置12が十分に温まった状態であると判断できるためである。逆に、プリント開始信号受信時のサブサーミスタ温度Tsubが50℃以下の場合には、定着装置12として冷えた状態であると判断し、最大で+5℃の補正を行う。その間の温度であった場合には、表4に従ってメインPID制御へ移行する時刻t2によって補正値の値を変更する。具体的には、プリント開始信号受信時のサブサーミスタ温度Tsubが高い程、補正値が小さくなる。
このように、ヒータ16の長手方向における抵抗値分布のバラツキに依らず、長手方向全域に渡ってヒータ16に記録材Pへの加熱を良好に行わせることができる。よって、長手方向全域に渡って、定着性が良く、ホットオフセットが生じない良好な画像を得る制御ができる。つまり、上記のように、定着装置12の蓄熱具合に応じて、時刻t3での搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する。これによって、定着装置12の蓄熱状態に依らず、より正確な温調制御が可能となる。また、ファーストプリントアウトタイムを早くするために、非プリント動作中も定着装置12を一定の温度に保つ制御であるスタンバイ制御を行っている場合にも適用できる。
なお、本実施例では、定着装置12の蓄熱具合に応じて、メインPID制御の搬送前温度Tm3及び搬送時温度Tm4を変更する例を説明した。しかし、実施例1で説明したように、定着装置12の蓄熱具合に応じて、ヒータ16に投入される投入電力量を変更する構成としても、同様の効果が得られる。
12…定着装置、16…ヒータ、18…メインサーミスタ、19a、19b…サブサーミスタ、20…スリーブ、22…加圧ローラ、27…定着ニップ部

Claims (8)

  1. 可撓性のスリーブと、
    セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
    前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
    を備え、
    像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
    前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における端部には、単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
    前記第2温度検知素子は、前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知し、
    記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記第2温度検知素子の検知温度の上昇速度から、前記第1温度検知素子の検知温度の上昇速度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする像加熱装置。
  2. 可撓性のスリーブと、
    セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
    前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
    を備え、
    像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
    前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における両端部には、それぞれ単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
    前記第2温度検知素子は、前記両端部の前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を、前記両端部のそれぞれで検知するように複数個設けられており、
    記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記複数個の第2温度検知素子の検知温度の平均値の上昇速度から、前記第1温度検知素子の検知温度の上昇速度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする像加熱装置。
  3. 可撓性のスリーブと、
    セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
    前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、
    前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
    を備え、
    像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
    前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における端部には、単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
    前記第2温度検知素子は、前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知し、
    記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における所定のタイミングでの、前記第2温度検知素子の検知温度から、前記第1温度検知素子の検知温度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする像加熱装置。
  4. 可撓性のスリーブと、
    セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
    前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
    を備え、
    像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
    前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における両端部には、それぞれ単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
    前記第2温度検知素子は、前記両端部の前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を、前記両端部のそれぞれで検知するように複数個設けられており、
    記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における所定のタイミングでの、前記複数個の第2温度検知素子の検知温度の平均値から、前記第1温度検知素子の検知温度を引いた差の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする像加熱装置。
  5. 可撓性のスリーブと、
    セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
    前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
    を備え、
    像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定
    の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
    前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における端部には、単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
    前記第2温度検知素子は、前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知し、
    記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記第2温度検知素子の検知温度を一定に保つ制御を行ったときの、予め定められた時点から前記第1温度検知素子の検知温度が所定の温度に達するまでの経過時間の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする像加熱装置。
  6. 可撓性のスリーブと、
    セラミック基板上に抵抗発熱体を有し、前記スリーブの内面に接触するヒータと、
    前記スリーブを介して前記ヒータに圧接する加圧ローラと、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域内に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第1温度検知素子と、
    記録材の搬送領域のうち、搬送可能な最小幅の記録材が搬送される領域外に配置され、前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を検知する第2温度検知素子と、
    を備え、
    像を担持する記録材を、前記スリーブと前記加圧ローラとの間に形成されるニップ部で挟持搬送しつつ、前記第1温度検知素子若しくは前記第2温度検知素子の検知温度を所定の制御温度に保つように投入電力の制御を行い、記録材に担持された像を加熱する像加熱装置であって、
    前記抵抗発熱体において搬送される記録材の幅方向における両端部には、それぞれ単位長さあたりの抵抗値が、最小幅の記録材が搬送される領域内の抵抗発熱体の単位長さあたりの抵抗値よりも高い高抵抗領域があり、
    前記第2温度検知素子は、前記両端部の前記高抵抗領域に対応する前記スリーブ或いは前記ヒータの温度を、前記両端部のそれぞれで検知するように複数個設けられており、
    記録材が前記ニップ部に突入するよりも以前における、前記複数個の第2温度検知素子の検知温度の平均値を一定に保つ制御を行ったときの、予め定められた時点から前記第1温度検知素子の検知温度が所定の温度に達するまでの経過時間の値が閾値よりも小さい場合、前記ニップ部で記録材を挟持搬送する時の前記所定の制御温度を上げることを特徴とする像加熱装置。
  7. 前記所定の制御温度を変更する際の制御目標値は、前記所定の制御温度自体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  8. 前記所定の制御温度を変更する際の制御目標値は、前記所定の制御温度と予め関連付けられた投入電力量であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の像加熱装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017129816A (ja) * 2016-01-22 2017-07-27 キヤノン株式会社 像加熱装置の制御方法、像加熱装置及び画像形成装置
JP7326078B2 (ja) 2019-09-11 2023-08-15 東芝テック株式会社 画像形成装置及び加熱制御方法

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