JP2008140608A - 膜−電極接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電性能及び発電耐久性に優れた触媒層を有する膜−電極接合体を提供する。
【解決手段】イオン伝導膜と、該イオン伝導膜の両面に、それぞれ触媒粒子及び高分子電解質とを含むアノード電極とカソード電極とを有する膜−電極接合体であって、
アノード電極、カソード電極の少なくも一方において、電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V1)に対して、イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向から厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V2)の比率(V2/V1)が85%以上100%未満であることを特徴とする膜
−電極接合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子型燃料電池などに用いられる、電極−固体高分子膜接合体に関するものである。
燃料電池は、発電を担う反応の起こるアノードおよびカソード電極と、アノードおよびカソード電極間のイオン伝導体となる電解質とがセパレータで挟まれたセルをユニットとして構成されている。
上記電極は、実際に電気化学反応場となり、さらに表面には、通常、ガス拡散の促進および集電を行う電極基材が接合されている。たとえば、固体高分子型燃料電池のアノード電極では、電極表面で燃料ガスが反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは電解質のプロトン交換膜へと伝導する。一方、カソード電極では、電極表面で酸化ガスと、電解質から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。
したがって、アノード電極には、電子電導性およびプロトン電導性が良好なことが要求され、カソード電極には、電子電導性およびプロトン電導性が良好であるとともに、生成した水を効率よく排出することも要求されている。電子伝導性およびプロトン伝導性を良好にするためには電極中のカーボン間および電解質が連続につながった構造が必要となる。
電極ペーストを基材に塗布して形成される従来の電極においては、電極ペーストの粘度、組成、組成種、基材種などに依存して、電極の厚み方向に組成分布ができることがある。具体的には、電極基材側の電極が緻密になる傾向にある。このため、電極での反応に分布が生じてしまうが、従来の電極は、このような現象を考慮していないために、反応効率に影響を及ぼすガス拡散性または水の排出、および電子伝導性またはプロトン伝導性との両立が充分とはいえなかった。
また、電極中の電解質分布・細孔容積を制御した例として、特開2001−319663公報(特許文献1)、WO01/022514(特許文献2)では、電極の厚さ方向の電
解質量を、ガス拡散層側を小、プロトン交換膜側を大に制御することで、ガス拡散層側電極のガス拡散性が良好となり、発電性能が向上すると記載されている。しかし、電解質量の傾斜範囲が記載されておらず、かつ、電極中の電解質量の分布を実際に確認した記載がないため、電解質量の傾斜による効果が不明確である。さらに、プロトン交換膜側の電極中の電解質量を大きくしすぎると、細孔容積が小さくなるため、プロトン交換膜側の電極層でガス拡散性・排水性不足、電子伝導経路の切断がおこる可能性がある、一方、ガス拡散層側の電極中の電解質量を小にすると、ガス拡散層側の電極触媒層でプロトン交換膜からガス拡散層までのプロトン伝導経路の連続性が不十分となる可能性がある。したがって、従来技術では、触媒層中の電解質分布や細孔容積分布を十分に制御できていないために、発電性能・発電耐久性が十分ではなかった。
特開2001−319663公報 WO01/022514
本発明の課題は、上記のような従来技術における課題を背景としてなされたものであっ
て、発電性能及び発電耐久性が向上した電極を有する膜−電極接合体を提供することにある。
本発明者らは、発電性能及び発電耐久性を向上させる方法について鋭意検討したところ、膜−電極接合体における電極中の厚み方向での細孔容積、及び高分子電解質の分布状態が発電性能及び発電耐久性に大きく影響を与える要因の一つであることを見出し、それぞれの厚み方向での分布状態の範囲を規定し、電極の厚み方向で均質になるよう近づけること、さらには必要に応じて高分子電解質として耐熱性の高いスルホン酸基を有するポリアリーレンを用いることで高温度領域でも発電性能、及び発電耐久性がさらに向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば下記[1]〜[8]の膜−電極接合体およびその製造方法が提供されて、本発明の目的が達成される。
[1]イオン伝導膜と、該イオン伝導膜の両面に、それぞれ触媒粒子及び高分子電解質とを
含むアノード電極とカソード電極とを有する膜−電極接合体であって、
アノード電極、カソード電極の少なくも一方において、電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V1)に対して、イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向から厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V2)の比率(V2/V1)が、85%以上100%未満であることを特徴とする膜
−電極接合体。
[2]上記電極は、電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分ま
での電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量(W1)に対して、イオン伝導膜側から厚み方向
に、全電極重量の50%分までの電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(W2)の比率
(W2/W1)が、100%より大きく130%以下であることを特徴とする[1]の膜−電極接合体。
[3]アノード電極とカソード電極のうち少なくとも一方が電極は複数の層で形成されてな
ることを特徴とする[1]または[2]の膜−電極接合体。
[4]上記イオン伝導膜、アノード電極、カソード電極の少なくも一方に用いられる高分子
電解質が、イオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導成分を有さないポリマーセグメント(B)が共有結合しているブロック共重合体であることを特徴とする[1]〜[3]の膜−電極接合体。
[5]上記イオン伝導膜、アノード電極、カソード電極の少なくとも一方に用いられる高分
子電解質を形成する主鎖骨格が芳香環を結合基で共有結合させた構造を有することを特徴とする[1]〜[4]の膜−電極接合体。
[6]上記イオン伝導膜、アノード電極、カソード電極の少なくとも一方に用いられる高分
子電解質が下記一般式(1)で表される構造を含むスルホン酸基含有ポリアリーレンであることを特徴とする[1]〜[5]の膜−電極接合体。
Figure 2008140608
[式(1)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−
(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示し、Zは、独立に直接結合、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−C(CH32−、−O−または−S−を示し、Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し
、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−CON
H−、−COO−、−(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16
は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全部がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R20は含窒素複素環基を示す。qは1〜5の整数を示し、pは0〜4の整数を示す。x、y、zは、x+y+z=100mol%とした場合のモル比を示す。][7]アノード電極、カソード電極の少なくとも一方に、撥水剤として、
(A)ポリフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する含フッ素共重合体、および/または
(B)フッ素含有オレフィン系単量体由来の下記一般式(2)で表される構造単位と、ビニルエーテル系単量体由来の下記一般式(3)で表される構造単位とを有する含フッ素共重合体を:
Figure 2008140608
[式(2)中、X1はフッ素原子、フルオロアルキル基または−OW1で表される基(W1
はアルキル基またはフルオロアルキル基を示す。)を示す。]
Figure 2008140608
[式(3)中、X2は水素原子またはメチル基を示し、X3は−(CH2hOW2で表され
る基(W2はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、グリシジル基またはフルオロアルキル
基を示し、hは0〜2の整数を示す。)、−OCOW3で表される基(W3はアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはグリシジル基を示す。)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基を示す。]
を含むことを特徴とする[1]〜[6]の膜−電極接合体。
[8]アノード電極とカソード電極のうち少なくとも一方が電極は複数の層から形成され、
複数の層から形成される電極が、前記(V2/V1)が85%以上100%未満であること[1]〜[7]の膜−電極接合体。
[9]イオン伝導膜上に、高分子電解質と触媒粒子を含む電極ペーストを少なくとも2回以上塗布する膜-電極接合体の製造方法であって、1層目に使用する電極ペースト中の高分子
電解質/触媒粒子の重量比(P2)に対して、2層目以上に使用する電極ペースト中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P1)の比率(P1/P2)が110%以上、400%以下で
あることを使用することを特徴とする膜-電極接合体の製造方法。
本発明の膜−電極接合体は、電極中の厚み方向での細孔容積、及び高分子電解質の分布状態を、厚み方向で均質になるよう近づけることにより、高温度領域でも発電性能、及び発電耐久性がさらに向上することができる。したがって、本発明の膜−電極接合体を用いれば、優れた発電特性を発揮する燃料電池が得られる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
[I.膜-電極接合体]
(1)膜-電極接合体の構成
本発明の膜−電極接合体は、イオン伝導膜と、該イオン伝導膜の両面に備え、それぞれ触媒粒子及び高分子電解質とを含むアノード電極とカソード電極とを有する膜−電極接合体である、この膜-電極接合体では、アノード電極、カソード電極の少なくとも一方にお
いて、厚み方向での細孔容積が均質であることを特徴とする。これらの電極は、電気化学反応場となり、さらに表面には、通常、ガス拡散の促進および集電を行う電極基材が接合される。
具体的には、図1に示されるように、アノード電極、カソード電極の少なくも一方において、電極表面(電極基材との接合面)からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V1)に対して、イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V2)の比率(V2/V1)が8
5%以上100%未満であることを特徴とする。
より好ましくは上記比率(V2/V1)が90%〜99%である。上記比率内であると、
電極の厚み方向における細孔容積の局所的な分布によるガス拡散性、排水性、プロトン伝導性、電子伝導性の両立不足が解消され、電極の厚み方向全体に渡って効率良く反応が進行するため、十分な発電性能、及び発電耐久性を得ることができる。
電極の細孔容積は、水銀圧入法により測定できる。細孔容積(V1)、細孔容積(V2)はともに、0.05〜2.0ml/g-(電極)の範囲にあることが好ましい。
細孔容積が上記範囲を超えて大きすぎると、機械的特性が低下する傾向にある。また、電子伝導及びプロトン伝導経路が切断され、発電性能が低下する恐れがある。一方、上記範囲未満で小さいとガスの拡散性や水の排出性が悪く、発電性能が低下することがある。電極中の細孔容積は、後述する電極ペーストの調製条件、具体的には、攪拌方法、ビーズ攪拌の場合はビーズ径やビーズ量、攪拌時間、高分子電解質の量、炭素繊維の量などによって、変化する。一般的に、高分子電解質の量が多いと細孔容積は小さくなり、一方、少なくなると細孔容積が大きくなる。
V1は、0.08〜2.0ml/g-(電極)の範囲にあることが好ましく、さらには、0.15〜1.5ml/g-(電極)の範囲にあることが望ましい。またV2は0.07〜1.8ml/g-(電極)の範囲にあることが好ましく、さらには、0.10〜1.3ml/g-(電極)の範囲にあることが望ましい。この範囲にあれば耐湿性を高くすることができる。
V2を測定するために、イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極を、電極表面(電極基材との接合面)からイオン伝導膜側への厚み方向で全電極重量の50%分までを均一に削りとることにより、作製する。この電極の細孔容積(V2)を水銀圧入法により測定したのち、全電極の細孔容積からV2を差し引くことで、V1を求めることができる。
本発明ではアノード電極、カソード電極のいずれかが上記細孔容積を満足していればよく、好適にはカソード電極が満足していることが望ましい。
さらに、アノード電極、カソード電極の少なくとも一方において、厚み方向で高分子電解質/触媒粒子の重量比が均質に分布することが好ましい。具体的には、電極表面(電極
基材との接合面)からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(W1)に対して、イオン伝導膜側から電極表面への
厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(W2
)の比率(W2/W1)が、100%よりも大きく、130%以下であるが好ましい。より好ましくは101〜120%の比率である。上記比率であると、電極の厚み方向における高分子電解質の局所的な分布によるガス拡散性、排水性、プロトン伝導性、電子伝導性の両立不足が解消され、電極の厚み方向全体に渡って効率良く反応が進行するため、十分な発電性能、及び発電耐久性を得ることができる。また、電極の厚み方向で高分子電解質が上記範囲内で存在することで、上記の電極の単位面積辺りの細孔容積も上記範囲内に調整することができる。
W1は、0.05〜1.9の比率にあることが好ましく、さらには、0.1〜1.5の比率にあることが望ましい。またW2は0.1〜2.3の比率にあることが好ましく、さらに
は、0.2〜1.9の比率にあることが望ましい。この範囲にあればイオン伝導性を十分に確保でき、且つ耐湿性を高くすることができる。
W1およびW2を測定する場合は、電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極をメスで面方向に均一に削りとり、削り取ったものを採取する。採取したものが、電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極となる。また、イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極は、前記電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極を削り取ったのち、同様の方法で、さらにイオン伝導膜側に向かってイオン伝導膜のコンタミしない限界までメスで削り取り、削り取ったものを採取して、イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極とする。これら
の電極を蛍光X線装置で測定し、電極中の高分子電解質固有の原子(例えば、スルホン酸由来の硫黄原子)と触媒粒子由来の原子(例えば、白金原子)の強度を求め、(高分子電解質固有の原子/触媒粒子由来の原子)の強度比を算出しする。それぞれの電極のその強
度比を用いて、電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(W1)、およびイオン伝導膜側から電極表面
への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量比
(W2)を求め、比率(W2/W1)を算出する。
アノード電極とカソード電極のうち少なくとも一方が電極は複数の層で形成されていてもよい。
具体的には、V1およびW1が特定の範囲にある層と、V2およびW2が特定の範囲にある層との複数層からなり、V2/V1、W2/W1が前記した比率となるものが好ましい。
(2)膜-電極接合体の製造方法
本発明に係る膜―電極接合体の具体的な製造方法の一つとしては、例えばイオン伝導膜上に、ある電極ペーストを塗布し乾燥して電極1を形成し、さらにその上に電極1中の触媒粒子/高分子電解質の重量比に対して、その重量比がより大きい電極ペーストを塗布し
乾燥して電極2を形成する方法を挙げることができる。このように積層された電極を得た後、ガス拡散層をホットプレスで圧着することができる。
また、例えば撥水処理されたカーボンペーパー(ガス拡散層)上に、ある電極ペーストを塗布して電極3を形成した後、さらにその上に電極3の触媒粒子の重量に対する高分子電解質の重量の比に対して、その重量比が大きい電極ペーストを塗布し乾燥して電極4を形成する方法を用いてもよい。このように積層された電極を得た後、イオン伝導膜上にホットプレスし、電極をイオン伝導膜上に形成できる。
また、例えば転写基材であるポリテトラフルオロエチレン膜上に、ある電極ペーストを塗布し乾燥して電極5を形成し、さらにその上に電極5の触媒粒子の重量に対する高分子電解質の重量の比に対して、その重量比が大きい電極ペーストを塗布し乾燥して電極6を形成して、ホットプレスしてイオン交換膜へ転写する方法を挙げることができる。
本発明に係る膜-電極接合体の製造方法は、好ましくは、イオン伝導膜上に、高分子電
解質と触媒粒子を含む電極ペーストを少なくとも2回以上塗布する膜-電極接合体の製造方法であって、1層目に使用する電極ペースト中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P2)に対して、2層目以上に使用する電極ペースト中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P1)の比率(P1/P2)が110%以上、400%以下である。好ましくは、120%以上
、300%以下である。このような構成とすることで、電極中の前記した高分子電解質/
触媒粒子の重量比(W2およびW1)の比率(W1/W2)を、前記した範囲におさめることが
できるだけではなく、電極の厚み方向の細孔容積、及び高分子電解質/触媒粒子の重量比
の分布を電極ペーストの1回のみと塗布に比べて、大幅に均質化できる。
この理由は明確ではないものの、1種類のペーストで1層のみで電極を形成すると、触媒粒子と高分子電解質の塗布基材への濡れ性の違いや、それぞれの比重の違いなどにより、電極の厚み方向で細孔容積、及び高分子電解質/触媒粒子の重量比に分布ができると考
えている。このため、2種以上の濃度の異なるペーストを使用することで、この問題が解消し、均一な細孔容積、重量比の電極が形成できると考えられる。特に、イオン交換膜へ電極ペーストを1回塗布のみの場合、電極表面に対して膜側の高分子電解質/触媒粒子比が大きくなる傾向にあるため、電極ペーストを塗布する際に、あらかじめ膜側(1層目)に
塗布する高分子電解質/触媒粒子比を電極表面側(2層目)よりも小さくすることで、高分子電解質/触媒粒子比を電極全体で比較的均質化できるものと考えられる。
また、電極ペースト中の触媒粒子として、触媒担持カーボンを用いた場合、塗布基材側へ最初に塗布される電極ペースト中の(高分子電解質/触媒粒子中のカーボン)の重量比
は0.1〜2.0、より好ましくは0.2〜1.6であり、2回目以降に塗布される電極ペーストの(高分子電解質/触媒粒子中のカーボン)の重量比は0.3〜2.5、より好
ましくは0.4〜2.0である。
1回目、及び2回目以降に塗布される電極ペースト中の高分子電解質/触媒粒子中のカ
ーボンの重量比が、上記範囲の比率であれば、電極の厚み方向での細孔容積、及び高分子電解質の分布を比較的に均質な分布状態に制御でき、十分な発電性能、及び発電耐久性を得ることができる。
このような異なる触媒粒子に対する高分子電解質の重量比を持つ電極ペーストの積層は、何回繰り返してもよいが、通常は2〜5回、好ましくは2〜4回、さらに好ましくは2〜3回である。
電極中の細孔容積は、電極ペーストの調製条件に依存し、攪拌方法(機器)、ビーズ攪拌の場合はビーズ径やビーズ量、攪拌時間、高分子電解質の量、炭素繊維の量などによって、変化する。一般的に、高分子電解質の量が多いと細孔容積は小さくなり、一方、少なくなると細孔容積が大きくなる。
塗布方法
上記ペーストの塗布方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などがあり、他の基材(転写基材)上に塗布して電極をいったん形成した後、電極基材またはイオン伝導膜に転写してもよい。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、または表面を離型剤処理したガラス板や金属板なども用いることができる。
電極基材としては、燃料電池に一般に用いられる電極基材が特に限定されることなく用いられる。例えば、導電性物質を主たる構成材とする多孔質導電シートなどが挙げられ、この導電性物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛および膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。導電性物質の形態は繊維状または粒子状など特に限定されないが、繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートとしては、織布または不織布いずれの構造も使用可能である。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法などの方法で製造されたものが特に限定されること無く用いられる。また無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートは編物であっても構わない。
これらの布帛として特に炭素繊維を用いる場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化または黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工をした後に炭化または黒鉛化した不織布、耐炎化糸または炭化糸または黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましい。例えば、東レ製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが好ましく用いられる。
多孔質導電シートには、導電性向上のために補助剤としてカーボンブラックなどの導電性粒子や、炭素繊維などの導電性繊維を添加することも好ましい実施態様である。これらが拡散層にも相当する。
塗布された塗膜の厚さ(すなわち触媒電極の厚さ)としては特に制限されるものではないが、触媒として担持された金属が、コーティングの単位表面積当り、0.05〜4.0mg/cm2、好ましくは0.1〜2.0mg/cm2の範囲にあることが望ましい。
この範囲にあれば充分に高い触媒活性が発揮され、また、効率的にプロトンを取り出すことができる。電極を重ね無塗りした際の各電極の触媒として担持された金属は、コーティングの単位表面積当り、0.05〜3.0mg/cm2、好ましくは0.1〜2.0mg/cm2の範囲にあることが望ましい。上記範囲未満であると、重ね塗りした効果が小さく、一方、上記範囲を超えると電極の厚みが厚くなり、ひび割れが起こることがあり、機械的強度が十分でなくなる。
上記ホットプレスの条件は、温度が30℃〜200℃、好ましくは40℃〜180℃であり、圧力が5〜300kg/cm2、好ましくは10〜180kg/cm2であり、時間が30秒〜60分間、好ましくは1分間〜30分間である。上記範囲内の条件でホットプレスを行うことにより、電極層と膜の接合性が良好となる。
また、上記電極上にカーボンペーパーなどのガス拡散層を接合する場合は、上記と同様のホットプレス条件により、電極とガス拡散層とを接合することができる。
(3)拡散層
必要に応じて、電極表面にはガス拡散層が設けられていてもよい。
拡散層としては、撥水処理したカーボンペーパーなどの多孔質導電シートが挙げられ、拡散層には、導電性向上のために補助剤としてカーボンブラックなどの導電性粒子や、炭素繊維などの導電性繊維が添加されていてもよい。なお、拡散層は前記電極基材もその機能を有するので必ずしも設けていなくとも良い。
[II.電極]
(1)電極の構成
本願発明の電極は、前述の膜-電極接合体の製造方法において述べたように、原則とし
て、電極ペーストをイオン伝導膜等に塗布し乾燥して製造される。以下、電極ペーストについて詳述する。
(2)電極ペースト
本発明で使用される電極ペーストとしては、例えば触媒粒子、高分子電解質および必要に応じて撥水剤などを有機溶剤中に分散させ、従来公知の方法で混練することにより調製される。
各成分の混合順序は特定に限定されないが、例えば全ての成分を混合して一定時間攪拌を行うか、分散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤を添加して一定時間攪拌を行うことが好ましい。また、必要に応じて、有機溶媒や水の量を調整して、組成物の粘度を調整してもよい。
以下に、電極ペーストに含まれる成分について説明する。
(i)触媒粒子
触媒粒子は、触媒がカーボン、金属酸化物の担体に担持されたもの、または、触媒の単体からなる。
触媒としては、白金または白金合金が用いられる。白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。このような白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、コバルト、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズから選ばれる1種以上と白金との合金が好
ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
触媒は、単体でも、担体に担持された状態でも、いずれも触媒粒子を形成している。
上記触媒を担持する担体としては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。また、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
これらのカーボンの形態としては、粒子状のほか、繊維状も用いることができる。また、カーボンに担持される触媒の量としては、有効に触媒活性が発揮できる量であれば特に制限されるものではないが、担持量がカーボン重量に対して、0.1〜9.0g-metal/g-carbon、好ましくは0.25〜2.4g-metal/g-carbonの範囲である。
また、担体としては、カーボンの他に、金属酸化物、たとえば、チタニア、酸化亜鉛、シリカ、セリア、アルミナ、アルミナスピネル、マグネシア、ジルコニアなどであってもよい。
(ii)高分子電解質
高分子電解質は、前記触媒を担持したカーボンを結着させるバインダー成分として働くとともに、アノード側では触媒上の反応によって発生したイオンをイオン伝導膜へ効率的に供給させ、またカソード側ではイオン伝導膜から供給されたイオンを触媒へ効率的に供給させる。
本発明で用いられる高分子電解質は特に限定されないが、スルホン酸基、もしくはリン酸基からなるイオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導成分を有さないポリマーセグメント(B)が共有結合しているブロック共重合体が好適である。より好ましくは、該共重合体を形成する主鎖骨格が芳香環を結合基で共有結合させた構造を有するポリアリーレンであり、特に好ましくは、下記一般式(A)で表される構造単位と、下記一般式(B)で表される構造単位とを含む下記一般式(C)で表されるスルホン酸基を有するポリアリーレンである。このようなポリアリーレンを使用すると、より耐熱性の高く、機械的強度の高い電極を形成することができる。
まず本発明に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンについて具体的に説明する。
スルホン酸基含有ポリアリーレンとしては、好ましくは、スルホン酸基を有するポリマーセグメント(A)と、イオン伝導成分を有しないポリマーセグメント(B)と、含窒素複素環基を側鎖に有するセグメント(C)が共有結合しているブロック共重合体であり、特に好ましくは、下記一般式(A)で表される構成単位(以下、「構成単位(A)」または「スルホン酸ユニット」ともいう。)と、下記一般式(B)で表される構成単位(以下、「構成単位(B)」または「疎水性ユニット」ともいう。)と、下記一般式(C)で表される構成単位(以下、「構成単位(C)」または「塩基性ユニット」ともいう。)を含む下記一般式(D)で表されるスルホン酸基を有するポリアリーレンである。
構成単位(A)(スルホン酸ユニット)
Figure 2008140608
上記式(A)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−
、−(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示す。これらの中では、−CO−および−SO2−が好ましい。
Zは、独立に直接結合、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−C(CH32−、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合および−O−が好ましい。
Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜
12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示す。芳香族基としては、たとえば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの中では、フェニル基およびナフチル基が好ましい。また、Arは、−SO3H、
−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3Hで表される置換基を少なくとも1個有していることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上有することが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
上記構成単位(A)の好ましい構造としては、上記式(A)において、
(1)m=0、n=0であり、Yが−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有
するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として2個の−SO3Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−O(CH24SO3Hを有するフェニル基である構造
などを挙げることができる。
構成単位(B)(疎水性ユニット)
Figure 2008140608
上記式(B)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数を示す。)、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−、シクロヘキシリデン基、
フルオレニリデン基、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合、−CO−、−SO2−、−CR’2−、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基および−O−が好ましい。なお、R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全部
がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示す。
上記R1〜R16におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
上記構成単位(B)の好ましい構造としては、上記式(B)において、
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレ
ニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であ
り、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレ
ニリデン基であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニト
リル基である構造などが挙げられる。
構成単位(C)(塩基性ユニット)
Figure 2008140608
式中、Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なく
とも1種の構造を示し、R20は含窒素複素環基を示す。qは1〜5の整数を示し、pは0〜4の整数を示す。
含窒素複素環基としては特に限定されるものではないが、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン
、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリンからなる含窒素複素環化合物およびこれらの誘導体からなる群から選ばれる化合物から誘導される少なくとも1種の基を示し、また併用してもよい。
(高分子電解質の構造)
Figure 2008140608
上記式(D)中、A、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、r、s、tおよびR1〜R16は、上記式(A)および(B)および(C)中で定義した通りであり、xおよびyおよ
びzは、x+y+z=100モル%とした場合のモル比を示す。
構成単位(B)および(C)は任意成分であり、重合体中の(A)を除いた残りが構成単位(B)および(C)の量に相当する。また、(B)、(C)が含まれていなくともよい。この構成単位(B)を含んでいると、分子量の調整や、上記各繰り返し単位の含有量や、イオン交換量の調整などを行いやすくなるとともに熱水中での膨潤や溶出を抑制したものや、熱的、化学的に安定な重合体を得ることができる。構成単位(C)を含むことで、含窒素複素環基の働きにより高温条件下でのスルホン酸基の安定性が向上し、その結果耐熱性が向上する。含窒素複素環式芳香族化合物の窒素原子は、塩基性を有するため、スルホン酸基との間でイオン的な相互作用を形成する。これによって、スルホン酸基の安定性を高め、高温条件下でのスルホン酸基の脱離が抑制される。また、同様に高温条件下でスルホン酸基に由来するポリマー分子間の架橋反応をも抑制することができる。含窒素複素環式芳香族化合物は、プロトン伝導性を損なわず、これらの効果を発現できる適度な強さの塩基性を有する化合物である。
上記のイオン交換容量は、構造単位(A)、構成単位(B)および構成単位(C)の種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。このため重合時に構成単位(A)〜(C)を誘導する前駆体(モノマー・オリゴマー)の仕込み量比、種類を変えればイオン交換容量を調整することができる。フッ素含量0〜40%の高分子電解質のイオン交換容量は、低すぎると燃料電池内でのプロトン伝導能が発現できず充分な出力が得られない。一方、高すぎると燃料電池内で発生する熱水により、溶解や膨潤により細孔を塞ぎ、触媒への反応性ガスの到達を妨げ、発電出力が低下するといった問題がある。好ましくは、0.5〜3.0meq/gであり、より好ましくは0.8〜2.8meq/gである。
また、式(A)で表される繰り返し構成単位(すなわちxのユニット)に対する、すなわち[ ]xのユニットに対する、式(C)で表される繰り返し構成単位、すなわち[
]zのユニットの割合(z/x)の割合は、0.001モル%〜50モル%であり、好ましくは
、0.1モル%〜30モル%であり、さらに好ましくは、1モル%〜25モル%である。
重合体の分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
<スルホン化ポリアリーレンの製造方法>
高分子電解質を構成するスルホン酸基を有する重合体(スルホン化ポリアリーレン)の製造には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法)
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法と同様に、下記一般式(A’)で表されるモノマー、下記一般式(B’)で表されるモノマーおよび下記一般式(C’)で表されるモノマーを共重合させ、スルホン酸エステル基を有する重合体を製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
モノマー(A’)
Figure 2008140608
Xは塩素原子、臭素原子および−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置
換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。
Y,Z,Ar,m,n、kは一般式(A)と同じであり、Rは炭素数4〜12のアルキル基を示す。
一般式(A’)で表される化合物の具体的な例としては、下記一般式で表される化合物、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
Figure 2008140608
Figure 2008140608
一般式(A’)で表される化合物において、スルホン酸エステル構造は、通常、芳香族環のメタ位に結合している。
モノマー(B’)
モノマー(B’)は下記式(B’)で表される。
Figure 2008140608
R’およびR”は塩素原子、臭素原子および−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル
基、フッ素置換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。
1〜R16、A、B、D、s、tおよびrは前記一般式(B)と同じである。
モノマー(B’)の具体例としては、一般式(B’)におけるrが0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−
クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物において塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
また、一般式(B’)におけるrが1の場合、下記に挙げる化合物および特開2003
−113136号公報に記載の化合物を挙げることができる。
Figure 2008140608
一般式(B’)におけるrがr≧2の場合、例えば下記に示す構造の化合物を挙げることができる。
Figure 2008140608
モノマー(C’)
モノマー(C’)としては下記式(C’)で表される。
Figure 2008140608
Xは塩素原子または臭素原子、−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置
換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。
Y、Z、R20、pおよびqは前記一般式(C)と同じである。
モノマー(C)の具体例として、下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2008140608
Figure 2008140608
さらに、塩素原子が臭素原子に置き換わった化合物、塩素原子や臭素原子の結合位置の異なる異性体を挙げることができる。また−CO−結合が、−SO2−結合に置き換わっ
た化合物を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
モノマー(C’)を合成する方法としては、例えば下記一般式(4)で表される化合物と、含窒素複素環化合物とを、求核置換反応させる方法を挙げることができる。
Figure 2008140608
式中、X、Y、pおよびqは、一般式(C’)で示した定義と同一である。X’はハロゲン原子を示す。フッ素原子または塩素原子であることが好ましく、フッ素原子がより好ましい。
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、2,4−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−2’−フルオロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,5−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,6−ジクロロフェニル−4’−フルオロフェニルスルホン、2,4−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン、2,4−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン、2,4−ジクロロフェニル−2’−フルオロフェニルスルホン。これらの化合物のうち2,5−ジクロロ−4’−フルオロベンゾフェノンが好ましい。
含窒素複素環化合物は、活性水素を有するものであり、この活性水素と一般式(4)で表される化合物のX’で表される基を置換反応させる。
活性水素を有する含窒素複素環化合物としては、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリミジン、ピリタジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、2−ヒドロキシピリミジン、2−メルカプトピリジン、3−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトベンズチアゾールなどを挙げることができる。
これらの化合物のうち、ピロール、イミダゾール、インドール、カルバゾール、ベンズオキサゾール、ベンズイミダゾールが好ましい。
一般式(4)で表される化合物と活性水素を有する含窒素複素環化合物との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒を用いる。反応を促進するために、アルカリ金属、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、アルカリ金属炭酸塩などを用いる。一般式(2)で表される化合物と、活性水素を有する含窒素複素環化合物との比率は、等モルもしくは活性水素を有する含窒素複素環化合物を過剰に加えて反応させる。具体的には、活性水素を有する含窒素複素環化合物は一般式(4)で表される化合物の1〜3倍モル、特に1〜1.5倍モル使用することが好ましい。
反応温度は0℃〜300℃で、10℃〜200℃が好ましい。反応時間は15分〜100時間、好ましくは1時間〜24時間である。
生成物は再結晶などの方法で精製して用いることが好ましい。
スルホン化ポリアリーレンの重合
前記重合体を得るためはまず上記モノマー(A')、モノマー(C')および必要に応じてもモノマー(B')を共重合させ、前駆体を得る。
この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(
以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)
、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合
条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物および条件を採用することができる。
たとえば、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好適に使用され、また、配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフ
ィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2,2′−ビピリジンなどが好適に使用される。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2′ビピリジン)が好適に使用される。還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。「塩」としては、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。反応には重合溶媒を使用してもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドンなどが好適に使用される。
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。この範囲にあれば、触媒活性が高く、また分子量も高く重合することが可能である。触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。かかる範囲であれば、重合速度を上げる効果が充分となる。重合溶媒中におけるモノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。また、重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜100℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
次いで、得られた重合体を加水分解して、構成単位中のスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換する。
加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに
対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法などにより行うことができる。
(B法)
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A’)で表される骨格を有し、かつスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記モノマー(B')と、上記モノマー(C')を共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
B法において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
(C法)
一般式(A)において、Arが−O(CH2)hSO3Hまたは−O(CF2)hSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−606254号公報に
記載の方法と同様に、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーと、上記一般式(C)で表される構造単位となるモノマーを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(C法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。具体的には、2,5−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンをあげることができる。またこれらの化合物のヒドロキシル基をテトラヒドロピラニル基などで保護した化合物をあげることができる。またヒドロキシル基がチオール基にかわったもの、塩素原子が、臭素原子、ヨウ素原子におきかわったものもあげることができる。
(C法)前駆体の重合体(スルホン酸基を有さない)に、特開2005-60625号公報
に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。例えば、前駆体の重合体のヒドロキシル基と、プロパンスルトン、ブタンスルトンなどを反応させることで導入することができる。
アノード電極、カソード電極の少なくとも一方には、撥水剤が含まれていることが望ましい。
(撥水剤)
撥水剤は、水分をはじいて電極の耐水性を高めるものであり、撥水剤を含んでいると電極の撥水性および保水性が高くなり、低湿および高湿のいずれの条件においても良好な発電性能を得ることができる。 本発明で用いられる撥水剤としては、
(A)ポリフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する含フッ素共重合体(以下「含フッ素共重合体(a)」という。)、及び、
(B)フッ素含有オレフィン系単量体由来の下記一般式(5)で表される構造単位(以下「構造単位(5)」ともいう。)と、ビニルエーテル系単量体由来の下記一般式(6)で表される構造単位(以下「構造単位(6)」ともいう。)とを有する含フッ素共重合体(以下「含フッ素共重合体(b)」という。)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
Figure 2008140608
式(5)中、X1はフッ素原子、フルオロアルキル基または−OW1で表される基(W1
はアルキル基またはフルオロアルキル基を示す。)を示す。
Figure 2008140608
式(6)中、X2は水素原子またはメチル基を示し、X3は−(CH2hOW2で表され
る基(W2はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、グリシジル基またはフルオロアルキル
基を示し、hは0〜2の整数を示す。)、−OCOW3で表される基(W3はアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはグリシジル基を示す。)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基を示す。
以下、上記含フッ素共重合体(a)および(b)について、より具体的に説明する。
<含フッ素共重合体(a)>
上記含フッ素共重合体(a)は、ポリフルオロアルキル基(以下「Rf基」と記す。)
を含有する(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する。
ここで、Rf基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基をい
う。Rf基の炭素数は1〜20が好ましく、特に4〜16が好ましい。Rf基は、直鎖構造または分岐構造のいずれでもよく、分岐構造である場合には、分岐部分がRf基の末端部
分に存在することが好ましい。Rf基の炭素原子の一部は、エーテル性の酸素原子または
チオエーテル性のイオウ原子に置換されていてもよい。さらにRf基は、フッ素原子以外
の他のハロゲン原子(例えば、塩素原子等)を含んでいてもよい。
また、Rf基は、電極への撥水性付与のしやすさの点で、アルキル基の水素原子の全て
がフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基が好ましい。
上記含フッ素共重合体(a)は、Rf基含有(メタ)アクリレートから誘導される。か
かるRf基含有(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(7)で表される化合物が好
ましい。
CH2=C(R)COO−Q−Rf ・・・(7)
式(7)中、Rは水素原子またはメチル基を示す。Qは2価の有機基を示し、好ましくはアルキレン基およびアルキレン基を含む2価の有機基であり、より好ましくはアルキレン基である。具体的には、−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2N(CH3)CO−、−CH2CH2N(CH3)SO2−、−CH(CH2Cl)CH2OCH2CH2N(CH3)SO2−などが好ましい。
fは、前述したようにパーフルオロアルキル基が好ましく、特にCn2n+1−(nは4〜16、好ましくは6〜12の整数を示す。)で表される直鎖構造のパーフルオロアルキル基が好ましい。
上記式(7)で表されるRf基含有(メタ)アクリレートとしては、たとえば、
CH2=CRCOOCH2CH2f
CH2=CRCOOCH(CH3)CH2f
CH2=CRCOOCH2CH2N(CH3)CORf
CH2=CRCOOCH2CH2N(C25)CORf
CH2=CRCOOCH2CH2N(C37)CORf
CH2=CRCOOCH2CH2N(CH3)SO2f
CH2=CRCOOCH2CH2N(C25)SO2f
CH2=CRCOOCH2CH2N(C37)SO2f
CH2=CRCOOCH(CH2Cl)CH2OCH2CH2N(CH3)SO2f
などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記Rf基含有(メタ)アクリレートは、1種単独で用いても、2種以上を併用しても
よい。また、Rf基の炭素数の異なる化合物を2種以上併用してもよい。
上記含フッ素共重合体(a)は、重合体中のフッ素含有量を調節する等の目的で、Rf
基含有(メタ)アクリレート以外の単量体(以下「その他の単量体」という。)に由来する重合単位を含有することが好ましい。
上記その他の単量体としては、ラジカル重合性の不飽和結合を有する単量体が好ましい。具体的には、塩化ビニル、ステアリル(メタ)アクリレート、エチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、ハロゲン化ビニルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、ポリシロキサンを有する(メタ)アクリレート、N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。これらの中では、(撥水性向上の観点から)塩化ビニルおよびステアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記含フッ素共重合体(a)における、Rf基含有(メタ)アクリレート由来の重合単
位は、該重合体(a)の25〜100%重量、好ましくは30〜85重量%の範囲で含有することが望ましい。Rf基含有(メタ)アクリレート由来の重合単位の含有量が上記範
囲内にあることにより、電極の撥水性および保水性のバランスに優れ、低湿および高湿のいずれの条件においても良好な発電性能を得ることができる。
上記含フッ素共重合体(a)は、上記Rf基含有(メタ)アクリレート及び必要に応じ
てその他の単量体を用いて、公知もしくは周知の重合方法や条件を適宜採用して製造することができる。
重合方法としては、たとえば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合などが挙げられる。また、ラジカル重合反応に加えて、放射線重合反応、光重合反応などの重合反応によって製造することもできる。特に、ラジカル重合反応を用いた乳化重合法が好ましい。
乳化重合法を適用する場合には、単量体及び界面活性剤などを水の存在下で乳化させた後、撹拌して重合させる方法が好ましく採用される。また、ホモジナイザー等の乳化機を用いて、単量体、界面活性剤および水などを予め乳化した後、撹拌下に重合させる方法も好ましく採用される。
重合開始剤としては、有機酸過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等の各種の重合開始剤が好ましい。また、界面活性剤としては、陰イオン性、陽イオン性、両性またはノニオン性の各種界面活性剤を用いることができる。
本発明で用いられる含フッ素共重合体(a)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜100,000、特に好ましくは10,000〜100,000である。含フッ素共重合体(a)のMnが上記範囲よりも低いと、電極への撥水性付与が困難となり、高湿条件において良好な発電性能を得ることが困難となる傾向にある。一方、含フッ素共重合体(a)のMnが上記範囲を超えると、電極ペーストの粘度が著しく上昇して電極の作製が困難となる傾向にある。
<含フッ素共重合体(b)>
上記含フッ素共重合体(b)は、上記構造単位(5)と上記構造単位(6)とを含み、
好ましくは水酸基を含有する単量体由来の構造単位(以下「水酸基含有構造単位」ともいう。)をさらに含む。
上記構造単位(5)中のX1におけるフルオロアルキル基としては、たとえば、トリフ
ルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基などの炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。W1におけるアルキル基としては、たとえば、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。W1におけるフルオロアルキル基としては、X1におけるフルオロアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記構造単位(6)中のX3におけるアルコキシカルボニル基としては、メトキシカル
ボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。上記構造単位(6)中のW2におけ
るフルオロアルキル基としては、上記構造単位(5)中のX1におけるフルオロアルキル
基と同様のものが挙げられる。上記構造単位(6)中のW2及びW3におけるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基などの炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。また、W2およびW3におけるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基などが挙げられる。
上記構造単位(5)となりうるフッ素含有オレフィン系単量体としては、少なくとも1個の重合性の不飽和二重結合基と、少なくとも1個のフッ素原子を有する化合物を挙げることができる。具体的には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロオレフィン類;
一般式 CF2=CF−O−W1(W1は前記と同様である。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテルもしくはフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテル類;
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類などを挙げることができる。
上記フッ素含有オレフィン系単量体は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。上記フッ素含有オレフィン系単量体の中では、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルパーフルオロビニルエーテル及びパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)が好ましく、これらを組み合わせて使用することがより好ましい。
上記含フッ素共重合体(b)における構造単位(5)の含有量は、20〜70モル%、好ましくは25〜60モル%、さらに好ましくは30〜55モル%である。構造単位(5)の含有量が上記範囲よりも低いと、電極の排水性が劣る傾向にあるため、高湿条件にて良好な発電性能が得られない場合がある。一方、上記範囲を超えると、得られる含フッ素共重合体(b)の有機溶剤への溶解性が著しく低下し、均一な電極ペーストの作製が困難となる場合がある。
上記構造単位(6)となりうるビニルエーテル系単量体としては、たとえば、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニル
エーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有化合物などを挙げることができる。
上記含フッ素共重合体(b)における構造単位(6)の含有量は、5〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは20〜50モル%である。構造単位(6)の含有量が上記範囲よりも低いと、電極中の保水性が劣る傾向にあるため、低湿条件において良好な発電性能が得られない場合がある。一方、上記範囲を超えると、電極の排水性が劣る傾向にあるため、高湿条件において良好な発電性能が得られない場合がある。
上記水酸基含有構造単位となりうる水酸基を含有する単量体としては、たとえば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;アリルアルコール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。これらの化合物は、1種単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
上記含フッ素共重合体(b)中の水酸基含有構造単位の含有量は、5〜70モル%、好ましくは10〜60モル%、さらに好ましくは20〜50モル%である。水酸基含有構造単位の含有量が上記範囲よりも低いと、電極中の保水性が劣る傾向にあるため、低湿条件において良好な発電性能が得られない場合がある。一方、上記範囲を超えると、電極の排水性が劣る傾向にあるため、高湿条件において良好な発電性能が得られない場合がある。
上記含フッ素共重合体(b)の製造に際して、上記水酸基を含有する単量体を用いる場合、重合反応における収率を高める観点から、上記ビニルエーテル系単量体として、アルキルビニルエーテル類、シクロアルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類またはカルボキシル基含有化合物を用いることが好ましい。特に、含フッ素共重合体(B)中に共重合されるフッ素含量を高める観点から、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の低分子量単量体が好ましい。
上記含フッ素共重合体(b)中のフッ素含量は、30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%である。フッ素含量が上記範囲より低いと、電極の撥水性が低下し、高湿条件において良好な発電性能が得られない場合があり、一方、フッ素含量が上記範囲を超えると、電極の保水性が低下し、低湿条件において良好な発電性能が得られない場合がある。なお、上記フッ素含量は、フッ素原子の重量をアリザリコンプレクソン法で測定したものである。
上記含フッ素共重合体(b)のMnは、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤としてゲルパーミエーションクロマトグラフィティー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値
で、5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000、更に好ましくは10,000〜100,000である。Mnが上記範囲より小さいと電極の撥水性が低下し、高湿条件において良好な発電性能が得られない場合があり、一方、上記範囲を超えると電極ペーストの粘度が高くなり、電極の作製が困難となる場合がある。
上記含フッ素共重合体(b)を製造する重合様式としては、ラジカル重合開始剤の存在下、乳化、懸濁、塊状または溶液重合法のいずれでもよく、回分式、半連続式または連続式の操作を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ基含有ポリシロキサンを使用できるが、他のラジカル開始剤も併用することもできる。
前記併用することができる他のラジカル重合開始剤としては、たとえば、
アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;過酸化水素、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキ
サイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパー
オキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;tert-ブチ
ルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類
;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;パーフルオロエチルアイオダイド、パーフルオロプロピルアイオダイド、パーフルオロブチルアイオダイド、(パーフルオロブチル)エチルアイオダイド、パーフルオロヘキシルアイオダイド、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアイオダイド、パーフルオロヘプチルアイオダイド、パーフルオロオクチルアイオダイド、2−(パーフルオロオクチル)エチルアイオダイド、パーフルオロデシルアイオダイド、2−(パーフルオロデシル)エチルアイオダイド、ヘプタフルオロ−2−ヨードプロパン、パーフルオロ−3−メチルブチルアイオダイド、パーフルオロ−5−メチルヘキシルアイオダイド、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアイオダイド、パーフルオロ−7−メチルオクチルアイオダイド、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアイオダイド、パーフルオロ−9−メチルデシルアイオダイド、2−(パーフルオロ−9−メチルデシル)エチルアイオダイド、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアイオダイド、1H,H,5H−オクタフルオロペンチルアイオダイド、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアイオダイド、テトラフルオロ−1,2−ジヨードエタン、オクタフルオロ−1,4−ジヨードブタン、ドデカフルオロ−1,6−ジヨードヘキサン等のヨウ素含有フッ素化合物などを挙げることができる。
また、上記ラジカル重合開始剤には、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等の無機還元剤、ナフテン酸コバルト、ジメチルアニリン等の有機還元剤を併用することができる。
上記含フッ素共重合体(b)の製造は、溶剤を用いた溶剤系で重合させることが好ましい。前記溶剤としては、たとえば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらに必要に応じてアルコール類、脂肪族炭化水素類などを混合して使用することもできる。
形成された電極中の上記触媒粒子は20〜90重量%、好ましくは40〜85重量%の割合で含有され、上記高分子電解質は、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の割合で含有される。また、必要に応じて用いられる撥水剤は、電極中に0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の割合で含有され、分散剤は0〜10重量%、好ましくは0〜
3重量%の割合で含有され、炭素繊維は0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の割合で含有されることが望ましい(なお、これらの合計を100重量%とする)。
触媒粒子の割合が、上記範囲よりも低いと、電極反応率が低下することがあり、上記範囲を超えると、プロトン伝導性効率が低下する恐れがあるとともに、電極中に発電性能に十分な細孔容積を確保できない傾向にある。高分子電解質の割合が、上記範囲よりも低いと、プロトン伝導度が低下する傾向にあるとともに、バインダーとしての役割を果たせなくなり電極を形成できないことがあり、一方、上記範囲を超えると、電極中の細孔容積が減少する傾向にある。撥水剤の割合が上記範囲内にあると、電極中の湿潤状態を適切に維持でき、発電出力が向上する。
分散剤の割合が上記範囲内にあると、保存安定性に優れた電極ペーストが得られるとともに、分散性に優れた電極が得られる。炭素繊維が上記範囲内にあると、細孔容積が適度に確保され、排水性が良好になり発電出力が向上する。
(iii)有機溶剤および水
前記電極ペーストの調製には通常、有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、特に限定されることはないが、好ましくは、沸点(b.p.)が75〜250℃、かつ-O-、-OH、-CO-、-SO-、-SO2-、-COO-、-CONR-(Rは、水素原子、炭化水素基)からなる基を少なくと
も1種類以上有する有機溶剤を用いることができる。
上記有機溶剤の沸点が上記範囲未満であると、電極ペーストの乾燥性が速く、ダイのノズルが詰まり易い等の現象により、塗工時の生産性が低下することがあり、一方、上記有機溶媒の沸点が上記範囲を越えると、溶媒の除去が困難となり、電極中の細孔が閉塞し、発電性能が低下することがある。
上記有機溶剤の具体例としては、エタノール(b.p.78.3℃)、n−プロピルアルコール(b.p.97℃)、2−プロパノール(b.p.82.4℃)、2−メチル−2−プロパノール(b.p.82.5℃)、2−ブタノール(b.p.99.5℃)、n−ブチルアルコール(b.p.117℃)、2−メチル−1−プロパノール(b.p.108℃)、1−ペンタノール(b.p.138℃)、2−ペンタノール(b.p.119℃)、3−ペンタノール(b.p.115℃)、2−メチル−1−ブタノール(b.p.129℃)、3−メチル−1−ブタノール(b.p.131℃)、2−メチル−2−ブタノール(b.p.102℃)、3−メチル−2−ブタノール(b.p.112℃)、2,2−ジメチル1−プロパノール
(b.p.113℃)、シクロヘキサノール(b.p.161℃)、1−ヘキサノール(b.
p.157℃)、2−メチル−1−ペンタノール(b.p.148℃)、2−メチル−2−
ペンタノール(b.p.121℃)、4−メチル−2−ペンタノール(b.p.132℃)、2−エチル−1−ブタノール(b.p.147℃)、1−メチルシクロヘキサノール(b.
p.156)、2−メチルシクロヘキサノール(b.p.168℃)、3−メチルシクロヘ
キサノール(b.p.168℃)、4−メチルシクロヘキサノール(b.p.171℃)、1−オクタノール(bp.195℃)、2−オクタノール(b.p.180℃)、2−エチル−1−ヘキサノール(b.p.184℃)、ジオキサン(b.p.101℃)、ブチルエーテル(b.p.140℃)、フェニルエーテル(b.p.187℃)、イソペンチルエーテル(b.p.173℃)、1,2−ジメトキシエタン(b.p.85.2℃)、ジエトキシエタン(b.p.102℃)、ビス(2−メトキシエチル)エーテル(b.p.160℃)、ビス(2−エトキシエチル)エーテル(b.p.189℃)、シネオール(b.p.176℃)、ベンジルエチルエーテル(b.p.185℃)、アニソール(b.p.154℃)、フェネトール(b.p.170℃)、アセタール(b.p.104℃)、メチルエチルケトン(b.p.79.6℃)、2−ペンタノン(b.p.102℃)、3−ペンタノン(b.p.102℃)、シクロペンタノン(b.p.131℃)、シクロヘキサノン(b.p.156℃)、2−ヘキサノン(b.p.128℃)、4−メチル−2−ペンタノン(b.p.117℃、)、2−ヘ
プタノン(b.p.151℃)、2,4−ジメチル−3−ペンタノン(b.p.125℃)、
2−オクタノン(b.p.173℃)、γーブチロラクトン(b.p.204℃)、酢酸−n−ブチル(b.p.126℃)、酢酸イソブチル(b.p.126℃)、酢酸sec-ブチル(b.p.112℃)、酢酸ペンチル(b.p.150℃)、酢酸イソペンチル(b.p.142℃)、3−メトキシブチルアセタート(b.p.173℃)、酪酸メチル(b.p.102℃)、酪酸エチル(b.p.121℃)、乳酸メチル(b.p.145℃)、乳酸エチル(b.p.155℃)、乳酸ブチル(b.p.185℃)、2−メトキシエタノール(b.p.125℃)、2−エトキシエタノール(b.p.136℃)、2−(メトキシメトキシ)エタノール(b.p.168℃)、2−イソプロポキシエタノール(b.p.142℃)、1−メトキシ−2−プロパノール(b.p.120℃)、1−エトキシ−2−プロパノール(b.p.132℃)、ジメチルスルホキシド(b.p.189℃)、N−メチルホルムアミド(b.p.185℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(b.p.153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(b.p.178℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(b.p.166℃)、N−メチ
ル−2−ピロリドン(b.p.202℃)、テトラメチル尿素(b.p.177.5℃)などを挙げることができ、これらは1種類以上を組み合わせて用いることもできる。
上記電極ペーストは、必要に応じて水を含んでいてもよい。水としては、蒸留水、イオン交換水等を挙げることができる。水の添加により、電極ペースト調製時の発熱を低減する効果がある。
また、前記有機溶媒および水の除去は、乾燥温度20℃〜180℃、好ましくは50℃〜160℃、乾燥時間5分〜600分、好ましくは30分〜400分で行う。必要に応じて、水浸漬により除去することもできる。水浸漬温度5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
有機溶媒の使用量は、該ペースト全体を100重量%とした場合に、5〜95重量%、好ましくは15〜90重量%であり、必要に応じて用いられる水の使用量は、0〜70重量%、好ましくは2〜30重量%である。
有機溶媒の使用量が上記範囲内にあると、組成物がペースト状となりハンドリングに好適である。水の使用量が上記範囲内にあると、電極ペースト調製時の発熱を効率的に低減できる。
(iv)分散剤
電極ペーストには、さらに任意で分散剤が含まれていてもよい。
分散剤は、電極ペーストの分散性、保存安定性および流動性を向上させるために添加され、これによって電極形成時のペースト塗工に際し、生産性が向上する。
上記分散剤としては、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のアニオン界面活性剤、
ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキ
シ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラ
デシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、
ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等のカチオン界面活性剤、およびジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ωーフルオロアクカノイルーN−エチルアミノ]ー1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]ーN,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤、およびヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、
ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル、等の非イオン界面活性剤、およびラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等の両性界面活性剤などを挙げることができ、これらは1種類以上を組み合わせて用いることもでき、好ましくは、塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性もしくは、カチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは、分子量5千〜3万の界面活性剤である。
(v)炭素繊維
さらに、電極ペーストは、必要に応じて炭素繊維を含んでいてもよい。本発明で用いられる炭素繊維としては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、好ましくは、気相成長炭素繊維が用いられる。電極ペースト炭素繊維が含まれていると電極の細孔容積が増大し、ガスの拡散性が向上し、また、生成する水によるフラッディング現象を改善でき、発電性能が向上させることが可能となる。
[III.イオン伝導膜]
本発明の膜−電極接合体を構成するイオン伝導膜としては、特に限定されず、公知のイオン伝導膜を用いることができるが、該イオン伝導膜を構成する成分としては、前記例示した高分子電解質が好ましい。この高分子電解質のイオン交換容量は、0.3〜5.0meq/g、好ましくは0.5〜4.0meq/gの範囲にあることが望ましい。
上記高分子電解質を用いたイオン伝導膜は、たとえば、前記電極ペーストで用いられる有機溶媒と同様の有機溶媒を用いてイオン伝導膜形成用の組成物を調製し、この組成物を基材上に流延してフィルム状に成形するキャスティング法などにより製造することができる。なお、前記組成物は、高分子電解質および有機溶媒以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを含んでもよい。
上記組成物中のポリマー濃度は、高分子電解質の分子量にもよるが、通常、5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。ポリマー濃度が前記範囲よりも低いと、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすくなる傾向にあり、一方、上記範囲を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
上記組成物の溶液粘度は、共重合体の分子量や、ポリマー濃度にもよるが、通常、2,
000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sであ
る。溶液粘度が上記範囲よりも低いと、加工中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがあり、一方、上記範囲を超えると、高粘度過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
上記組成物は、たとえば、上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法、例えばウエーブローター、ホモジナイザー、ディスパーサー、ペイントコンディショナー、ボールミルなどの混合機を用いて混合することにより調製することができる。
上記基材としては、通常の溶液キャスティング法に用いられる基材であれば特に限定されず、たとえばプラスチック製や金属製などの基材が用いられ、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの熱可塑性樹脂からなる基材が用いられる。また、上記電極を基材として用いることもできる。
上記キャスティング法による製膜後、30〜160℃、好ましくは50〜150℃の温度で、3〜180分、好ましくは5〜120分間乾燥することにより、高分子電解質膜を得ることができる。その乾燥膜厚は、通常、10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。乾燥後、膜中に溶媒が残存する場合は、必要に応じて、水抽出により脱溶媒することもできる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、スルホン酸当量、分子量、および細孔容積、白金原子(触媒粒子に由来の原子)/硫黄原子(スルホン化ポリアリーレンに由来の原子)の強度比
、燃料電池の作成及び発電性能、及び発電耐久性の評価は以下のようにして求めた。
1.スルホン酸当量
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
2.分子量の測定
スルホン酸基を有しないポリアリーレンの分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。
3.電極の細孔容積
イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極を、電極表面(電極基材との接合面)からイオン伝導膜側への厚み方向で全電極重量の50%分
までを均一に削りとった。この電極の細孔容積(V2)を水銀圧入法により測定した。
一方、あらかじめ全電極の細孔容積を同様に水銀圧入法により測定しておき、電極の細孔容積から、V2を差し引くことで、電極表面(電極基材との接合面)からイオン伝導膜側への厚み方向で全電極重量の50%分までの電極の細孔容積(V1)を求め、(V2/V1)
を算出した。
4.白金原子/硫黄原子の強度比
電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極は、膜―電極接合体において電極表面側からメスで全電極重量の50%分を電極の面方向に均一に削りとり、それを採取した(W1を測定)。
また、イオン伝導膜側から電極方面への厚み方向に、全電極重量の50%分の電極は、前記電極を同様の方法で、さらにイオン伝導膜側に向かってイオン伝導膜がコンタミしない限界までメスで削り取り、それを採取した(W2を測定)。これらの電極を蛍光X線装置(スペクトリス社製 MagiX PRO)で測定し、電極中の高分子電解質固有の原子(スルホン酸由来の硫黄原子)と触媒粒子由来の原子(白金原子)の強度を求め、硫黄原子/白金原子(S/Pt)の強度比(W2/W1)を算出した。その強度比を用いて、高分子電解
質/触媒粒子の重量比の指標とした。
[スルホン化ポリフェニレンエーテルの合成]
本発明に係るスルホン酸基含有芳香族系ポリマーとして好ましく用いられるスルホン化ポリアリーレンの合成例について示す。本発明は以下の合成例に特に限定されるものではないが、これらのスルホン化ポリアリーレンを電極中イオン伝導性基含有ポリマー、若しくはイオン交換膜として用いた場合、良好な発電特性を示す燃料電池を得ることができる。
[合成例1](1)疎水性ユニットの合成
攪拌機、温度計、Dean−Stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル48.8g(284mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン89.5g(266mmol)、炭酸カリウム47.8g(346mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346mL、トルエン173mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean−Stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean−Stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、3時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル9.2g(53mmol)を加え、さらに5時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的物109gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は9,500であった。得られた化合物は式(I)で表されるオリゴマーで
あることを確認した。
Figure 2008140608
(2)塩基性ユニットの合成
2,5-ジクロロ-4'-(1−イミダゾリル)ベンゾフェノンの合成
Figure 2008140608
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管を取り付けた2L三口フラスコに、2,5-ジクロロ-4’-フルオロベンゾフェノン150.7g(0.560mol)、イミダゾール 114
.4g(1.68mol)、炭酸カリウム100.6g(0.728mol)、N,N’−ジメチルアセトアミド 840mlを量りとった。反応溶液を、窒素雰囲気下オイルバスを
用いて110℃で2時間加熱した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、反応液を室温まで放冷した。その後、反応液を3Lの水に徐々に加え、生成物を凝固させ、ろ過した。ろ過により得られた生成物をTHF(1.2L)で溶かし、トルエン(4
L)を加えた後、水層が中性になるまで食塩水により洗浄した。有機層を硫酸マグネシウ
ムにより乾燥させた後、エバポレーターにより溶媒を留去した。粗収量180gであった。80℃に加熱したトルエン1Lとメタノール20mlの混合溶媒を用いて再結晶単離操作を行い、白色固体の(III)を155g、収率87%で得た。
(3)スルホン化ポリアリーレンの合成
乾燥したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)540mLを、3−(2,5−ジ
クロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.0g(336ミリモル)と、(合成例1)で合成した疎水性ユニット(I)40.7g(5.6ミリモル)、塩基性
ユニット(III)の2,5−ジクロロ−4’−(1−イミダゾリル)ベンゾフェノン6.
71g(16.8ミリモル)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3ミリモル)、トリフェニルホスフィン35.9g(137ミリモル)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3ミリモル)、亜鉛53.7g(821ミリモル)の混合物中に窒素下で加えた。
反応系を撹拌下に加熱し(最終的には79℃まで加温)、3時間反応させた。反応途中で系中の粘度上昇が観察された。重合反応溶液をDMAc730mLで希釈し、30分撹拌し、セライトを濾過助剤に用い、濾過した。
濾液の一部をメタノールに注ぎ、凝固させた。ネオペンチル基で保護されたスルホン酸誘導体からなる共重合体のGPCによる分子量は、Mn=58000、Mw=135,3
00であった。
前記濾液をエバポレーターで濃縮し、濾液に臭化リチウム43.8g(505モル)を加え、内温110℃で7時間、窒素雰囲気下で反応させた。反応後、室温まで冷却し、アセトン4Lに注ぎ、凝固した。凝固物を濾集、風乾後、ミキサーで粉砕し、1N塩酸1500mLで攪拌しながら洗浄を行った。濾過後、生成物は洗浄液のpHが5以上となるまで、イオン交換水で洗浄後、80℃で一晩乾燥し、目的のスルホン化ポリマー23.0gを得た。この脱保護後のスルホン化ポリマーの分子量は、Mn=60000、Mw=175000であった。このポリマーのイオン交換容量は2.4meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンは、構造式(IV)で表される化合物である。
Figure 2008140608
[実施例1]
<イオン伝導膜の調製>
攪拌子を入れた50mlのスクリュー管に、合成例1で得られたスルホン化ポリアリーレン(II)を4.5g、N―メチル−2−ピロリドン15.3g、メタノールを10.2gをとり、室温で4時間攪拌した。この溶液を、ペットフィルム上にドクターブレードを用いてキャストし、恒温槽を用いて、60℃で1時間、120℃で1時間乾燥し、溶媒を留去した。乾燥後、ペットフィルムから剥がし、厚さ50μmの高分子電解質膜を得た。以下の評価では、この膜を用い発電評価を行った。
<アノード電極ペーストの調製>
50mLのポリボトルに直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:50重量%担持、田中貴金属工業株式会社製)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)4.28g、N−メチル−2−ピロリドン12.47g、を加え、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、アノード電極ペーストAを得た。
<カソード電極ペーストの調製1>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)3.23g、N−メチル−
2−ピロリドン12.47g、気相法炭素繊維((昭和電工社製「VGCF」)0.49、ヘキサフルオロプロピレン及びヒドロキシエチルビニルエーテルを含む単量体を用いて製造された含フッ素共重合体Bのメチルエチルケトン溶液(固形分15重量%)0.8g
からなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソード電極ペーストBを得た。
<カソード電極ペーストの調製2>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)5.38g、N−メチル−
2−ピロリドン12.47g、気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.49、ヘキサフルオロプロピレン及びヒドロキシエチルビニルエーテルを含む単量体を用いて製造された含フッ素共重合体Bのメチルエチルケトン溶液(固形分15重量%)1.33g
からなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソード電極ペーストCを得た。
<電極の作製>
上記の様に調製したイオン伝導膜の片面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて上記アノード電極ペーストAをドクターブレードにて塗布し、また上記アノード電極ペーストAを塗布していない面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて、ドクターブレードにてカソード電極ペーストBを塗布した上に、カソード電極ペーストCを塗布した。これを120℃で60分間乾燥することにより、アノード電極Aの白金塗布量が0.30mg/cm、またカソード電極Bの白金塗布量が0.25mg/cm2、カソ
ード電極Cの白金塗布量が0.25mg/cm2になるアノード電極Aとカソード電極B
Cを形成した。
1層目に使用するカソード電極ペーストB中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P2)に対して、2層目に使用するカソード電極ペーストC中の高分子電解質/触媒粒子の重量
比(P1)の比率(P1/P2)は167%であった。
<燃料電池の作製>
上記アノード電極Aとカソード電極BCが各面に形成された電解質膜を、それぞれのアノード電極Aとカソード電極BCに接するように2枚の撥水処理を施したカーボンペーパーで挟み、圧力30kg/cm2下、160℃×15minの条件でホットプレス成形し
て、膜−電極接合体を作製した。得られた電極−膜接合体を2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の評価用燃料電池を作製し
た。
[実施例2]
<アノード電極ペーストの調製>
実施例1と同様にしてアノード電極ペーストAを得た。
<カソード電極ペーストの調製1>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)4.00g、N−メチル−
2−ピロリドン12.47g、気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.82g、ヘキサフルオロプロピレン及びヒドロキシエチルビニルエーテルを含む単量体を用いて製造された含フッ素共重合体Bのメチルエチルケトン溶液(固形分15重量%)1.07g、からなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソー
ド電極ペーストDを得た。
<カソード電極ペーストの調製2>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)4.62g、N−メチル−
2−ピロリドン12.47g、気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.49g、ヘキサフルオロプロピレン及びヒドロキシエチルビニルエーテルを含む単量体を用いて製造された含フッ素共重合体Bのメチルエチルケトン溶液(固形分15重量%)1.07gからなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソード
電極ペーストEを得た。
<電極の製造>
上記のようにして得られたアノード電極ペーストDおよびカソード電極ペーストD、Eを用いる(最初にカソード電極ペーストDを塗布した上に、カソード電極ペーストEを塗
布)以外は、実施例1と同様にして、アノード電極Aおよびカソード電極DEを形成した。
1層目に使用するカソード電極ペーストD中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P2)に対して、2層目に使用するカソード電極ペーストE中の高分子電解質/触媒粒子の重量
比(P1)の比率(P1/P2)は116%であった。
<燃料電池の作製>
上記のようにして得られたアノード電極Aおよびカソード電極DEを用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用燃料電池を作製した。
[実施例3]
<アノード電極ペーストの調製1>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:50重量%担持、田中貴金属工業株式会社製)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)3.23g、N−メチル−2−ピロリドン12.47gからなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、アノード電極ペーストFを得た。
<アノード電極ペーストの調製2>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:50重量%担持、田中貴金属工業株式会社製)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)5.38g、N−メチル−2−ピロリドン12.47gからなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、アノード電極ペーストGを得た。
<カソード電極ペーストの調製1>
実施例1と同様にしてカソード電極ペーストBを得た。
<カソード電極ペーストの調製2>
実施例1と同様にしてカソード電極ペーストCを得た。
<電極の作製>
上記の様に調製したイオン伝導膜の片面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて上記アノード電極ペーストFをドクターブレードにて塗布し、その上にアノード電極ペーストGを塗布した。また上記アノード電極ペーストF,Gを塗布していない面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて、ドクターブレードにてカソード電極ペーストBを塗布した上に、カソード電極ペーストCを塗布した。これを120℃で60分間乾燥することにより、アノード電極Fの白金塗布量が0.15mg/cm2、アノード電極
Gの白金塗布量が0.15mg/cm2、またカソード電極Bの白金塗布量が0.25m
g/cm2、カソード電極Cの白金塗布量が0.25mg/cm2になるアノード電極FGとカソード電極BCを形成した。
1層目に使用するアノード電極ペーストF中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P2)に対して、2層目に使用するアノード電極ペーストG中の高分子電解質/触媒粒子の重量
比(P1)の比率(P1/P2)は167%であった。
<燃料電池の作製>
上記のようにして得られたアノード電極FGおよびカソード電極BCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用燃料電池を作製した。
[比較例1]
<アノード電極ペーストの調製>
実施例1と同様にしてアノード電極ペーストAを得た。
<カソード電極ペーストの調製>
実施例2と同様にしてカソード電極ペーストEを得た。
<電極の作製>
上記の様に調製したイオン伝導膜の片面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて上記アノード電極ペーストAをドクターブレードにて塗布し、また上記アノード電極ペーストAを塗布していない面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて、ドクターブレードにてカソード電極ペーストEを塗布した。これを120℃で60分間乾燥することにより、アノード電極Aの白金塗布量が0.30mg/cm2、またカソード電極
Eの白金塗布量が0.50mg/cm2になるアノード電極Aとカソード電極Eを形成し
た(ともに1層のみ)。
<燃料電池の作製>
上記のようにして得られたアノード電極Aおよびカソード電極Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用燃料電池を作製した。
[比較例2]
<アノード電極ペーストの調製>
実施例1と同様にしてアノード電極ペーストAを得た。
<カソード電極ペーストの調製1>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)1.09g、N−メチル−
2−ピロリドン12.47g、気相法炭素繊維((昭和電工社製「VGCF」)0.49、ヘキサフルオロプロピレン及びヒドロキシエチルビニルエーテルを含む単量体を用いて製造された含フッ素共重合体Bのメチルエチルケトン溶液(固形分15重量%)0.27gからなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソード
電極ペーストHを得た。
<カソード電極ペーストの調製2>
直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れた50mLのポリ瓶に、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、田中貴金属工業株式会社製「TEC10E50E」)1.51g、蒸留水0.88g、合成例1のポリマー(IV)のN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分15重量%)7.50g、N−メチル−
2−ピロリドン12.47g、気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.49、ヘキサフルオロプロピレン及びヒドロキシエチルビニルエーテルを含む単量体を用いて製造された含フッ素共重合体Bのメチルエチルケトン溶液(固形分15重量%)1.86g
からなる混合物を入れ、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソード電極ペーストIを得た。
<電極の作製>
上記の様に調製したイオン伝導膜の片面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて上記アノード電極ペーストAをドクターブレードにて塗布し、また上記アノード電極ペーストAを塗布していない面に、5cm×5cmの開口を有するマスクを用いて、ドクターブレードにてカソード電極ペーストHを塗布した上に、カソード電極ペーストIを塗
布した。これを120℃で60分間乾燥することにより、アノード電極Aの白金塗布量が0.30mg/cm2、またカソード電極Hの白金塗布量が0.25mg/cm2、カソード電極Iの白金塗布量が0.25mg/cm2になるアノード電極Aとカソード電極HI
を形成した。
1層目に使用するカソード電極ペーストH中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P2)に対して、2層目に使用するカソード電極ペーストI中の高分子電解質/触媒粒子の重量
比(P1)の比率(P1/P2)は688%であった。
<燃料電池の作製>
上記のようにして得られたアノード電極Aおよびカソード電極HIを用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用燃料電池を作製した。
[評価]
実施例1〜3、比較例1〜4で得られた燃料電池の評価方法について示す。
評価1
温度を80℃に保ち、アノード極とカソード極を湿度40%RH及び80%RHの条件で、水素及び空気を2気圧(背圧0.2MPa一定の条件で)供給し、電流密度0.2A
/cm2及び0.8A/cm2での端子間電圧を測定した。結果を表1に示す。
評価2
評価1を測定後、燃料電池の温度を120℃に保ち、湿度40%RHの条件で、耐久評価を行った。水素及び空気を2気圧(背圧0.2MPa一定の条件で)供給し、電流密度
を0.2A/cm2に維持した時のときの端子間電圧が0.3V以下になるまでの時間を
測定した。結果を表2に示す。
Figure 2008140608
Figure 2008140608
図1は、本発明の係る電極における細孔容積および重量分布評価を説明するための模式図を示す。

Claims (9)

  1. イオン伝導膜と、該イオン伝導膜の両面に、それぞれ触媒粒子及び高分子電解質とを含むアノード電極とカソード電極とを有する膜−電極接合体であって、
    アノード電極、カソード電極の少なくも一方において、電極表面からイオン伝導膜側への厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V1)に対して、イオン伝導膜側から電極表面への厚み方向から厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の細孔容積(V2)の比率(V2/V1)が85%以上100%未満であることを特徴とする膜
    −電極接合体。
  2. 上記電極は、表面から厚み方向に、全電極重量の50%分までの電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(W1)に対して、イオン伝導膜側から厚み方向に、全電極重量の50
    %分までの電極中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(W2)の比率(W2/W1)が、100%より大きく、130%以下であることを特徴とする請求項1に記載の膜−電極接合体。
  3. アノード電極とカソード電極のうち少なくとも一方が電極は複数の層で形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の膜−電極接合体。
  4. 上記イオン伝導膜、アノード電極、カソード電極の少なくも一方に用いられる高分子電解質が、イオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)とイオン伝導成分を有さないポリマーセグメント(B)が共有結合しているブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膜−電極接合体。
  5. 上記イオン伝導膜、アノード電極、カソード電極の少なくとも一方に用いられる高分子電解質を形成する主鎖骨格が芳香環を結合基で共有結合させた構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜−電極接合体。
  6. 上記イオン伝導膜、アノード電極、カソード電極の少なくとも一方に用いられる高分子電解質が下記一般式(1)で表される構造を含むスルホン酸基含有ポリアリーレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の膜−電極接合体。
    Figure 2008140608
    [式(1)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−
    (CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示し、Zは、独立に直接結合、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−C(CH32−、−O−または−S−を示し、Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し
    、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
    AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−SO−、−CON
    H−、−COO−、−(CF2i−(iは1〜10の整数を示す。)、−(CH2j−(jは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水
    素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16
    は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全部がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
    Zは直接結合または、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
    −(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、R20は含窒素複素環基を示す。qは1〜5の整数を示し、pは0〜4の整数を示す。x、y、zは、x+y+z=100mol%とした場合のモル比を示す。]
  7. アノード電極、カソード電極の少なくとも一方に、撥水剤として、
    (A)ポリフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来の構造単位を有する含フッ素共重合体、 および/または
    (B)フッ素含有オレフィン系単量体由来の下記一般式(2)で表される構造単位と、ビニルエーテル系単量体由来の下記一般式(3)で表される構造単位とを有する含フッ素共重合体を:
    Figure 2008140608
    [式(2)中、X1はフッ素原子、フルオロアルキル基または−OW1で表される基(W1
    はアルキル基またはフルオロアルキル基を示す。)を示す。]
    Figure 2008140608
    [式(3)中、X2は水素原子またはメチル基を示し、X3は−(CH2hOW2で表され
    る基(W2はアルキル基、ヒドロキシアルキル基、グリシジル基またはフルオロアルキル
    基を示し、hは0〜2の整数を示す。)、−OCOW3で表される基(W3はアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはグリシジル基を示す。)、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基を示す。]
    を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の膜−電極接合体。
  8. アノード電極とカソード電極のうち少なくとも一方が電極は複数の層から形成され、複数の層から形成される電極の前記(V2/V1)が85%以上100%未満であることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の膜−電極接合体。
  9. イオン伝導膜上に、高分子電解質と触媒粒子を含む電極ペーストを少なくとも2回以上
    塗布する膜-電極接合体の製造方法であって、1層目に使用する電極ペースト中の高分子
    電解質/触媒粒子の重量比(P2)に対して、2層目以上に使用する電極ペースト中の高分子電解質/触媒粒子の重量比(P1)の比率(P1/P2)が110%以上、400%以下で
    あることを使用することを特徴とする膜-電極接合体の製造方法。
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