JP2006278232A - 多孔質電極触媒層およびその製造方法 - Google Patents

多孔質電極触媒層およびその製造方法 Download PDF

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淳司 川井
Kohei Goto
幸平 後藤
Kaoru Fukuda
薫 福田
Ryoichiro Takahashi
亮一郎 高橋
Hiroshi Shinkai
洋 新海
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Abstract

【課題】
ガス拡散性または水の排出と電子伝導性またはプロトン伝導性とを両立することで発電性能が向上させるとともに、機械的特性に優れた多孔質電極触媒層およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る多孔質電極触媒層は、触媒担持カーボン粒子およびイオン伝導成分含有芳香族系ポリマーを含み、細孔容積が0.1〜3.0ml/gであることを特徴とする。このような本発明の多孔質電極触媒層は、触媒担持カーボン粒子、イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーおよびキャスト溶媒を含む電極触媒ペースト組成物を調製し、該電極触媒ペースト組成物を基体上に塗布して薄膜を形成した後、該薄膜を、該キャスト溶媒と相溶する貧溶媒を含む処理溶液に接触処理させることにより製造することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、機械的特性および発電性能に優れた多孔質電極触媒層およびその製造方法に関する。
燃料電池は、発電を担う反応の起こるアノードおよびカソード電極と、アノードおよびカソード電極間のイオン伝導体となる電解質とがセパレータで挟まれたセルをユニットとして構成されている。
上記電極は、ガス拡散の促進および集電を行う電極基材と、実際に電気化学反応場となる電極触媒層とから構成されている。たとえば、固体高分子型燃料電池のアノード電極では、触媒層表面で燃料ガスが反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは電解質のプロトン交換膜へと伝導する。一方、カソード電極では、触媒層表面で酸化ガスと、電解質から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。
したがって、アノード電極には、ガス拡散性、電子電導性およびイオン電導性が良好なことが要求され、カソード電極には、ガス拡散性、電子電導性およびイオン電導性が良好であるとともに、生成した水を効率よく排出することも要求されている。また、電極触媒層には、ガス拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性および水の排出が良好なことが要求されている。ガス拡散性およびカソードでの生成水の排出を良好にするためには空隙を大きくすることが必要であるのに対して、電子伝導性およびプロトン伝導性を良好にするためには触媒層中のカーボン間および電解質が連続につながった構造が必要となる。
このため、従来の電極触媒層においては、ガス拡散性または水の排出と、電子伝導性またはプロトン伝導性との両立は充分とはいえなかった。また、特開2000−353528号公報(特許文献1)には、電極電解質として一般的に用いられるナフィオンを使用した電極触媒層を貧溶媒へ浸漬することで空隙を大きくした例が記載されているが、機械的強度の点で問題があった。
特開2000−353528号公報
本発明の課題は、ガス拡散性または水の排出と、電子伝導性またはプロトン伝導性とを両立することで発電性能が向上させるとともに、機械的特性に優れた多孔質電極触媒層およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における問題点に鑑み鋭意検討した。その結果、触媒担持カーボン粒子、特定のイオン伝導成分含有芳香族系ポリマーおよび溶媒を含む電極触媒ペースト組成物を用いて形成した薄膜を、該溶媒と相溶する貧溶媒に接触処理させることにより、三次元方向に網目状の微多孔質構造が形成され、発電性能および機械的性に優れた多孔質電極触媒層が得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る多孔質電極触媒層は、触媒担持カーボン粒子およびイオン伝導成分含有芳香族系ポリマーを含み、細孔容積が0.1〜3.0ml/gであることを特徴とする。
上記イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーは、下記一般式(A)で表される繰り返し単位と、下記一般式(B)で表される繰り返し単位とを含むスルホン化ポリアリーレンであることが好ましい。
Figure 2006278232
式(A)中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(
CF2q−(qは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示し、Zは独立に直接結合、−(CH2q−、−C(CH32−、−O−または−S−を示し、Arは−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜12の整数を示
す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。
Figure 2006278232
式(B)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−SO
−、−CONH−、−COO−、−(CF2q−、−(CH2q−(qは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン
化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、R1〜R16は、それぞれ独立に
水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。
本発明の多孔質電極触媒層は、温度160℃および圧力50kg/cm2の条件で15
分間圧縮処理した後の細孔容積V1と、圧縮処理前の細孔容積V0との比率[(V1/V0)×100(%)]が60%以上であることが望ましい。
上記本発明の多孔質電極触媒層の製造方法は、触媒担持カーボン粒子、イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーおよびキャスト溶媒を含む電極触媒ペースト組成物を調製し、該電極触媒ペースト組成物を基体上に塗布して薄膜を形成した後、該薄膜を、該キャスト溶媒と相溶する貧溶媒を50重量%以上含む処理溶液に接触処理させることを特徴とする。
上記貧溶媒は、水、炭化水素、または、−O−、−OH、−CO−、−SO2−、−S
3−、−CNおよび−COOR(Rは、水素原子、炭化水素基、または、塩を形成する
陽イオンを示す。)からなる群より選ばれる基を少なくとも1種類以上有する有機溶媒で
あることが好ましい。
本発明の製造方法において、上記処理溶液に接触処理させる薄膜は、キャスト溶媒を20〜95重量%の範囲で含有することが好ましい。
本発明の多孔質電極触媒層は、三次元方向に網目状の微多孔質構造が形成され、ガス拡散性または水の排出と、電子伝導性またはプロトン伝導性との両立に充分な細孔容積を有するとともに、機械的強度にも優れる。そのため、本発明の多孔質電極触媒層を有する燃料電池の発電性能などを向上させることができる。
以下、本発明に係る多孔質電極触媒層およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の多孔質電極触媒層は特定の電極触媒ペースト組成物を用いて形成される。
〔電極触媒ペースト組成物〕
本発明で用いられる電極触媒ペースト組成物は、触媒が担持されたカーボン、イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーおよびキャスト溶媒を含有し、さらに必要に応じて分散剤、炭素繊維および水などを含有してもよい。以下、電極触媒ペースト組成物に含まれる各成分について説明する。
(成分)
(i)触媒を担持したカーボン
本発明で用いられる触媒としては、白金、パラジウム、金、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属触媒が好ましく用いられる。また、貴金属触媒は、合金や混合物などのように、2種以上の元素が含まれるものであってもよい。
上記触媒を担持するカーボンとしては、電子伝導性と比表面積の大きさの観点から、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましい。
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては、電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
また、上記カーボンとして、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
上記炭素材の形態としては、粒子状のほか繊維状も用いることができる。
上記カーボンに担持される金属触媒の量としては、有効に触媒活性が発揮できる量であれば特に制限されるものではないが、カーボン重量に対する金属触媒担持量が0.1〜9.0g-metal/g-carbon、好ましくは0.25〜2.4g-metal/g-carbonの範囲にあることが望ましい。
(ii)イオン伝導成分含有芳香族系ポリマー
本発明で用いられるイオン伝導成分含有芳香族系ポリマーは特に限定されないが、スルホン酸基もしくはリン酸基からなるイオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)と、プロトン伝導成分を有さないポリマーセグメント(B)とが共有結合しているブロック
共重合体が好適である。より好ましくは、該共重合体を形成する主鎖骨格が、芳香環を結合基で共有結合させた構造を有するポリアリーレンである。特に好ましくは、下記一般式(A)で表される繰り返し単位(以下「スルホン酸ユニット(A)」ともいう)と、下記一般式(B)で表される繰り返し単位(以下「疎水性ユニット(B)」ともいう)とを含む下記一般式(C)で表されるスルホン酸基を有するポリアリーレン(「スルホン化ポリアリーレン」ともいう)である。このようなポリアリーレンを使用すると、より耐熱性および機械的強度に優れた電極触媒層を形成することができる。
<スルホン酸ユニット(A)>
Figure 2006278232
上記式(A)において、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−CO
O−、−(CF2q−(qは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示す。これらの中では、−CO−および−SO2−が好ましい。
Zは、独立に直接結合、−(CH2q−、−C(CH32−、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合および−O−が好ましい。
Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜
12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示す。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基などが挙げられ、フェニル基およびナフチル基が好ましい。Arは、−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3Hで表される置換基を、少なくとも1個有していることが必要であり、
ナフチル基の場合には2個以上有していることが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
上記スルホン酸ユニット(A)の好ましい構造としては、
(1)m=0、n=0であり、Yが−CO−、Arが置換基として−SO3Hを有するフ
ェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yが−CO−、Zが−O−、Arが置換基として−SO3
Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yが−CO−、Zが−O−、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yが−CO−、Zが−O−、Arが置換基として2個の−SO3Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH24SO3Hを有するフェニル基である構造などが挙げられる。
<疎水性ユニット(B)>
Figure 2006278232
上記式(B)において、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2
−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2q−、−(CH2q−(qは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−
O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合、−CO−、−SO2−、−CR’2−、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−が好ましい。なお、R’は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100であり、好ましくは1〜80である。
上記疎水性ユニット(B)の好ましい構造としては、
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレ
ニリデン基、Bが酸素原子、Dが−CO−または−SO2−、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子、Dが−CO−または、−SO−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基、フルオレニリ
デン基、Bが酸素原子、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニトリル基である構造
などが挙げられる。
<ポリマー構造>
Figure 2006278232
上記式(C)において、A、B、D、Y、Z、Ar、R1〜R16、k、m、n、r、s
およびtは、それぞれ上記式(A)および(B)中で定義したとおりであり、xおよびyは、x+y=100モル%とした場合のモル比を示す。
本発明で用いられるスルホン化ポリアリーレンは、スルホン酸ユニット(A)(すなわちxのユニット)を0.5〜99.999モル%、好ましくは10〜99.99モル%の割合で、疎水性ユニット(B)(すなわちyのユニット)を99.5〜0.001モル%、好ましくは90〜0.01モル%の割合で含有している。
<スルホン化ポリアリーレンの製造方法>
上記スルホン化ポリアリーレンは、たとえば、以下のA法、B法またはC法により製造することができる。
(A法)たとえば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記スルホン酸ユニット(A)となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記疎水性ユニット(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを共重合させて、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化してスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
(B法)たとえば、特開2001−342241号公報に記載の方法で、上記式(A)で表される骨格を有し、スルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記疎水性ユニット(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを共重合させ、この共重合体をスルホン化剤を用いてスルホン化することにより合成することができる。
(C法)上記式(A)において、Arが−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2p
SO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、たとえば、特願2003−
295974号に記載の方法で、上記スルホン酸ユニット(A)となりうる前駆体のモノマーと、上記疎水性ユニット(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することができる。
(A法)において用いることができる、上記スルホン酸ユニット(A)となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーの具体例は、特開2004−137444号公報、特
開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されている。
(B法)において用いることができる、上記式(A)で表される骨格を有し、スルホン酸基およびスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体例は、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されている。
(C法)において用いることができる、上記スルホン酸ユニット(A)となりうる前駆体のモノマーの具体例は、特願2003−275409号に記載されている。
また、いずれの方法においても用いられる、上記疎水性ユニット(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとしては、以下のものが挙げられる。
r=0の場合、たとえば、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−
クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルなどが挙げられる。また、これらの化合物において、塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物なども挙げられる。
r=1の場合、たとえば、特開2003−113136号公報に記載の化合物を挙げることができる。
r≧2の場合、たとえば、特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特開2004−346164号公報、特願2003−348523号、特願2003−348524号、特願2004−211739号、特願2004−211740号に記載の化合物を挙げることができる。
上記スルホン化ポリアリーレンを得るためは、まず、上記スルホン酸ユニット(A)の前駆体となりうるモノマーと、上記疎水性ユニット(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーとを触媒の存在下で共重合させ、前駆体のポリアリーレンを得ることが必要である。このとき用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系である。この触媒系は、(1)
遷移金属塩および配位子となる化合物(以下「配位子成分」という)、または、配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)と、(2)還元剤とを必須成分とし、さらに、重合
速度を上げるために「塩」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度および時間等の重合条件は、特開2001−342241号公報に記載されている。
上記のようにして得られた前駆体のポリアリーレンを、上記(A法)〜(C法)に記載されているように処理することにより、上記式(C)で表されるスルホン化ポリアリーレンが得られる。
このようにして製造されたスルホン化ポリアリーレンのスルホン酸当量は、通常、0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。スルホン酸当量が上記範囲よりも低いと、プロトン伝導度が低く発電性能が低くなる傾向にあり、上記範囲を超えると、耐水性が低下する傾向にある。
上記スルホン酸当量は、たとえば、上記スルホン酸ユニット(A)の前駆体となりうるモノマーおよび上記疎水性ユニット(B)となりうるモノマーまたはオリゴマーの種類、使用割合、組み合わせを変えることにより調整することができる。
また、上記スルホン化ポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
(iii)キャスト溶媒
本発明で用いられるキャスト溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、シク
ロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ジオキサン、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタール、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノン、γーブ
チロラクトン、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラメチル尿素、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系有機溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール系有機溶媒などを挙げることができる。
上記キャスト溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、ポリマーの溶解性の観点から、好ましくは、水溶性の非プロトン性双極子有機溶媒を含有していること、より好ましくは、水溶性の非プロトン性双極子有機溶媒を10%以上含有していることが望ましい。
上記水溶性の非プロトン性双極子有機溶媒としては、たとえば、ジメチルアセアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ―ブチロラクトンなどが挙げられる。
(iv)分散剤
本発明で用いられる電極触媒ペースト組成物には、必要に応じてさらに分散剤を添加してもよい。このような分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
上記アニオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変
成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、たとえば、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1
,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロ
ライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、たとえば、ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω−フルオロアクカノイルーN−エ
チルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベ
タインなどが挙げられる。
上記非イオン界面活性剤としては、たとえば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記分散剤は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、好ましくは塩基性基を有する界面活性剤であり、より好ましくはアニオン性もしくはカチオン性の界面活性剤であり、さらに好ましくは分子量5千〜3万の界面活性剤であ
る。電極用ペースト組成物に上記分散剤を添加すると、保存安定性および流動性に優れ、塗工時の生産性が向上する。
(v)炭素繊維
本発明で用いられる電極触媒ペースト組成物には、必要に応じてさらに炭素繊維を添加してもよい。このような炭素繊維しては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などを用いることができ、これらの中では気相成長炭素繊維が好ましい。
電極用ペースト組成物にこのような炭素繊維をさらに添加すると、電極触媒層中の細孔容積が増加するため、燃料ガスや酸素ガスの拡散性が向上し、また、生成する水によるフラッディングなどを改善でき、発電性能が向上する。
(vi)水
本発明で用いられる電極触媒ペースト組成物には、必要に応じてさらに水を添加してもよい。水を添加することにより、電極触媒ペースト組成物を調製する際の発熱を低減する効果がある。
(組成)
上記電極触媒ペースト組成物を調製する際に用いられる各成分の使用量は、全成分の使用量の合計を100重量%とした場合、(i)触媒担持カーボンは1〜20重量%、好まし
くは3〜15重量%であり、(ii)イオン伝導成分含有炭化水素系ポリマーは0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%であり、(iii)溶媒は5〜95重量%、好ましくは1
5〜90重量%である。また、必要に応じて用いられる分散剤の使用量は0〜10重量%、好ましくは0〜2重量%であり、炭素繊維の使用量は0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%であり、水の使用量は0〜70重量%、好ましくは2〜30重量%である。
触媒担持カーボンの使用量が、上記範囲よりも少ないと、電極反応率が低下することがあり、上記範囲を超えると、電極ペーストの粘度が増加し、塗工時に塗りむらが発生することがある。イオン伝導成分含有炭化水素系ポリマーの使用量が、上記範囲よりも少ないと、プロトン伝導度が低下する傾向にあるとともに、バインダーとしての役割を果たせなくなり、電極を形成できないことがあり、上記範囲を超えると、電極中の細孔容積が減少する傾向にある。溶媒の使用量が上記範囲内にあると、組成物がペースト状となりハンドリングに好適である。分散剤の使用量が上記範囲内にあると、保存安定性に優れた電極触媒ペーストが得られる。炭素繊維の使用量が、上記範囲内にあると、電極反応率の低下を引き起こさず、電極中の細孔容積の増加効果が得られる。水の使用量が上記範囲内にあると、電極触媒ペースト調製時の発熱を効率的に低減できる。
(組成物の調製)
本発明で用いられる電極触媒ペースト組成物は、たとえば、上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。各成分の混合順序は特に限定されないが、たとえば、全ての成分を混合して一定時間攪拌を行うか、分散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤を添加して一定時間攪拌を行うことが好ましい。また、必要に応じて、有機溶媒の量を調整して、組成物の粘度を調整してもよい。
〔多孔質電極触媒層の製造方法〕
本発明に係る多孔質電極触媒層は、上記電極触媒ペースト組成物を調製し、該組成物を、電極触媒層の電極基材、転写基材またはプロトン伝導膜などの基体上に塗布して薄膜を形成した後、該薄膜を、上記キャスト溶媒と相溶する貧溶媒を含む処理溶液に接触処理さ
せ、乾燥することにより製造することができる。
上記組成物の塗布方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などが挙げられ、他の基材(転写基材)上に塗布して多孔質電極触媒層をいったん形成した後、電極基材またはプロトン伝導膜に転写してもよい。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、または表面を離型剤処理したガラス板や金属板なども用いることができる。
上記電極基材としては、燃料電池に一般に用いられる電極基材、たとえば、導電性物質を主たる構成材とする多孔質導電シートなどを、特に限定されることなく用いることができる。
上記導電性物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛および膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが挙げられる。上記導電性物質の形態は、繊維状または粒子状など特に限定されないが、好ましくは繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)、特に好ましくは炭素繊維である。
無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートとしては、織布または不織布いずれの構造も使用可能である。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など特に限定されることなく用いることができる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法などの方法で製造されたものが、特に限定されることなく用いることができる。また、無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートは編物であってもよい。
このような布帛として特に炭素繊維を用いる場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化または黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工をした後に炭化または黒鉛化した不織布、耐炎化糸、炭化糸または黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましい。たとえば、東レ製カーボンペーパー「TGPシリーズ」、「SOシリーズ」、E−TEK社製カーボンクロスなどが好ましく用いられる。
多孔質導電シートには、導電性向上のために、補助剤としてカーボンブラックなどの導電性粒子や、炭素繊維などの導電性繊維を添加することも好ましい。
本発明の多孔質電極触媒層をプロトン伝導膜上に形成する場合、公知のプロトン伝導膜であれば特に制限されるものではないが、上記イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーからなるプロトン伝導膜上に形成することが好適である。
塗布された塗膜の厚さ(すなわち電極触媒層の厚さ)は特に制限されないが、触媒として担持された金属が、コーティングの単位面積当り、0.05〜4.0mg/cm2、好ましくは0.1〜2.0mg/cm2の範囲にあることが望ましい。この範囲にあれば充分に高い触媒活性が発揮されるとともに、効率的にプロトンを取り出すことができる。
上記電極触媒ペースト組成物の固形分濃度は、目的とする多孔質電極触媒層の細孔径および厚さ、ならびに、加工時の取扱い性に影響する溶液粘度などを考慮して適宜選択されるが、一般的には5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。固形分濃度が、上記範囲よりも低いと、厚膜化し難く、またピンホールが生成しやすい傾向にあり、上記範囲を超えると、溶液粘度が高くなりすぎてフィルム化し難く、また表面平滑性が低下する傾向にある。
上記薄膜と処理溶液との接触処理は、上記キャスト溶媒を20〜95重量%で含有した状態の薄膜を、通常、処理溶液中に浸漬させることにより行う。薄膜中のキャスト溶媒の含有量が上記範囲未満であると、キャスト溶媒と貧溶媒の溶媒置換が十分に行われず、電極触媒層の多孔質化が不十分になる傾向にあり、上記範囲を超えると、厚膜化し難く、またピンホールが生成しやすい傾向にある。
上記貧溶媒は、上記イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーを溶解せず、キャスト溶媒と相溶する溶媒であり、水、炭化水素、または、−O−、−OH、−CO-、−SO2−、−SO3−、−CNおよび−COOR(Rは、水素原子、炭化水素基、または、塩を形成す
る陽イオンを示す。)からなる群より選ばれる基を少なくとも1種有する有機溶媒である
ことが好ましい。
このような貧溶媒としては、たとえば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル1−プロパノール、シクロヘキサノール、ジシクロヘキサノール、1−
ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1.3―ブタンジオール、グリセロール、m−クレゾール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチルラクテート、n―ブチルラクテート、ジアセトンアルコール、ジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、アセタール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−
3−ペンタノン、2−オクタノン、アセトフェノン、メシチルオキサイド、ベンズアルデヒド、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、メタクリル酸メチル、酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、酢酸2−エトキシエチル、酢酸2−(2エトキシエトキシ)エチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジメチルジエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルサルフィド、アセトニトリル、ブチロニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピオン酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸などが挙げられる。
上記貧溶媒は、1種単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、上記キャスト溶媒との関係から適宜選択することができる。本発明で好適に用いられる貧溶媒としては、分子内にアルコキシカルボニル基を有する炭素鎖の炭素数が1〜7の有機溶媒、分子内にエーテル結合を有する炭素鎖の炭素数が3〜5の有機溶媒、分子内にカルボニル基を有する炭素鎖の炭素数が4〜8の有機溶媒および分子内にカルボキシル基を有する炭
素鎖の炭素数が1〜6の有機溶媒が挙げられる。
上記接触処理に用いられる処理溶液は、上記貧溶媒を50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上含有することが好ましい。貧溶媒の含有量が低いと、十分な多孔質化が達成されない傾向にある。
薄膜を処理溶液中に浸漬する際の条件は、貧溶媒の種類などによって異なるが、一般的には、浸漬時間が1〜120分、好ましくは5〜60分であり、処理温度が10〜80℃、好ましくは20〜40℃である。
また、上記薄膜と処理溶液との接触処理は、スプレー法によって処理溶液を微粒子状態で噴霧することにより行うこともできる。この場合の処理条件は、貧溶媒の種類などによって異なるが、一般的には、接触時間が1〜120分、好ましくは5〜60分であり、処理温度が10〜80℃、好ましくは20〜40℃である。
上記のようにして処理溶液に浸漬させて得られた薄膜を、通常10〜180℃、好ましくは20〜140℃で、3〜180分間、好ましくは5〜120分間乾燥することにより、溶媒が除去もしくは低減された多孔質電極触媒層膜を得ることができる。
このようにして得られる本発明の多孔質電極触媒層は、細孔径が0.02μm〜5μm、好ましくは0.05μm〜3μmである。細孔径が上記範囲を超えると、機械的特性が低下する傾向にあるとともに、電子伝導およびプロトン伝導経路が切断され、発電性能が低下する恐れがある。一方、細孔径が上記範囲未満であると、水の排出性が悪く、発電性能が低下する傾向にある。
また、本発明の多孔質電極触媒層の細孔容積は、0.1〜3.0ml/g−電極触媒層、好ましくは0.2〜2.0ml/g−電極触媒層、より好ましくは0.5〜2.0ml/g−電極触媒層である。細孔容積が上記範囲を超えると、機械的特性が低下する傾向にあるとともに、電子伝導およびプロトン伝導経路が切断され、発電性能が低下する恐れがある。一方、細孔容積が上記範囲未満であると、水の排出性が悪く、発電性能が低下することがある。
また、本発明の多孔質電極触媒層は、温度160℃および圧力50kg/cm2の条件
で15分間圧縮処理した前後の細孔容積の保持率、すなわち [(圧縮処理後の細孔容積V1/圧縮処理前の細孔容積V0)×100(%)]が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。細孔容積保持率が低いと、充分な機械的強度が得られず、長時間の使用によって性能が大幅に低下することがある。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、スルホン酸当量、分子量、電極触媒薄膜中のキャスト溶媒量、細孔容積の測定、ならびに、燃料電池の作製および性能の評価は、以下のようにして行った。
1.スルホン酸当量
得られたスルホン化ポリマーの水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を充分に除去して乾燥した後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
2.分子量の測定
スルホン酸基を有しないポリアリーレンの分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。
3.電極触媒薄膜中のキャスト溶媒量測定
電極触媒薄膜中のキャスト溶媒量(重量%)は下記式により求めた。
電極触媒薄膜中のキャスト溶媒量(重量%)={(貧溶媒処理直前の電極触媒薄膜の重量)−(キャスト溶媒乾燥後の多孔質電極触媒層の重量)}/(貧溶媒処理直前の電極触媒薄膜の重量)×100
4.細孔容積の測定
水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法により、得られた多孔質電極触媒層の細孔容積を測定した。また、多孔質電極触媒層の機械的強度の指標として、圧力50kg/cm2
、160℃×15minの条件で圧縮処理した多孔質電極触媒層の細孔容積を測定し、圧縮処理前後における細孔容積の保持率(%)を求めた。
5.燃料電池の作製および性能の評価
合成例1のポリマーからなる膜厚50μmの膜を1枚用意し、これを2枚の撥水処理カーボンペーパー上に形成された電極触媒層で挟み、圧力100kg/cm2下、160℃
×15minの条件でポットプレス成形して膜−電極接合体を作製した。次に、作製した膜−電極接合体を2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の評価用燃料電池を作製した。
このようにして作製した燃料電池の温度を80℃に保ち、湿度100%RHで水素および酸素を2気圧で供給し、電流密度0.1A/cm2および1.0A/cm2のときの端子間電圧を測定した。
〔合成例1〕
(1)疎水性ユニットを有するオリゴマーの合成
撹拌羽根、温度計および窒素導入管を取り付けた500mLの3口フラスコに、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン17.8g(50.0mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15.1g(45.0mmol)、炭酸カリウム8.1g(58.5mol)、スルホラン117gおよびトルエン40gを入れ、窒素雰囲気下、130℃で撹拌した。トルエンとの共沸により水分を取り除いた後、トルエンを系外に取り除き、195℃で7時間撹拌した。反応溶液を100℃まで冷やしてから、1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン5.34g(15.0mmol)を加え、再度195℃で3時間撹拌した。その後、トルエンにより希釈し、セライト濾過により固形分を取り除いた。濾液をメタノール/濃塩酸溶液(メタノール2.0L/濃塩酸0.2L)に注ぎ、反応物を凝固させた。吸引濾過により固体を濾過し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、風乾した。これをテトラハイドロフランに再溶解し、メタノール3.0Lに注ぎ、反応物を凝固させた。吸引濾過により固体を濾過し、得られた固体を風乾して、さらに真空乾燥することにより目的の化合物22.1gを得た(収率75%)。GPC(ポリスチレン換算)で求めた生成物の数平均分子量(Mn)は8,000、重量平均分子量(Mw)は14,000であった。得られた化合物は下記式(I)で表わされるオリゴマー(以下「オリゴマー(I)」ともいう)であることを確認した。
Figure 2006278232
(2)スルホン化ポリアリーレンの合成
撹拌羽根、温度計および窒素導入管を取り付けた500mLの3口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル31.6g(78.7mmol)、オリゴマー(I)14.1g(1.76mmol)、トリフェニルホスフィン8.39g(32.0mmol)、亜鉛12.6g(192mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド2.09g(3.2mmol)およびヨウ化ナトリウム0.36g(2.4mmol)をはかりとった。40℃に加熱したオイルバスにフラスコをつけ、2時間真空乾燥した。内部を数回乾燥窒素置換した後、脱水したジメチルアセトアミド100mLを加え、重合を開始した。反応温度が90℃を超えないように制御しながら、3時間重合を続けた。反応終了後、ジメチルアセトアミドを360g加えて希釈し、セライト濾過により不溶分を取り除き、固形分含量が12%となるように濃縮した。
得られた濃縮液を、撹拌羽根、温度計および窒素導入管を取り付けた1Lの3口フラスコに入れ、さらに臭化リチウム15.1g(173mmol)を加え、120℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液をアセトン4Lに注ぎ、反応物を凝固させた。次いで、1N塩酸、純水の順に洗浄後、吸引濾過により固体を濾過し、得られた固体を乾燥することにより目的の重合体30.0gを得た(収率87%)。GPC(ポリスチレン換算)で求めた生成物のMnは102,000、Mwは320,000であった。得られたポリマーは、下記式(II)で表わされるスルホン化ポリアリーレン(以下「ポリマー(II)」ともいう)と推定され、このポリマー(II)のスルホン酸当量は2.1meq/gであった。
Figure 2006278232
〔実施例1〕
<ペーストAの調製>
50mlのポリボトルに直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(田中貴金属工業株式会社製、Pt:48重量%担持)1.53g、蒸留水0.88g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)12.47g、合成例1で得られたポリマー(II)の15wt%NMP溶液4.59g、気相法炭素繊維(商品名:VGCF、昭和電工株式会社製)0.4gおよび分散剤(商品名:DA234、楠本化成株式会社製)0.028gを加え、ウエーブロー
ターで60分間攪拌しペーストAを得た。
<多孔質電極触媒層Aの製造>
得られたペーストAを撥水処理されたカーボンペーパー(東レ製)にドクターブレードにより塗布し、Pt量が0.5mg/cm2となる電極触媒薄膜を形成した。その直後に、処理溶液として貧溶媒である酢酸-n-ブチルに25℃で30分間浸漬し、120℃で60分間乾燥することにより多孔質電極触媒層Aを得た。電極触媒薄膜中のキャスト溶媒量、得られた多孔質電極触媒層Aの細孔容積、該触媒層Aの圧縮処理後の細孔容積保持率(%)および燃料電池の性能評価の結果を表1に示す。
〔実施例2〕
<多孔質電極触媒層Bの製造>
実施例1において、処理溶液として酢酸-n-ブチルの代わりにトルエンを用いたこと以外は同様にして多孔質電極触媒層Bを得た。電極触媒薄膜中のキャスト溶媒量、得られた多孔質電極触媒層Bの細孔容積、該触媒層Bの圧縮処理後の細孔容積保持率(%)および燃料電池の性能評価の結果を表1に示す。
〔比較例1〕
<電極触媒層Cの製造>
実施例1において、処理溶液との接触処理を行なわなかったこと以外は同様にして電極触媒層Cを製造した。得られた電極触媒層Cの細孔容積、該触媒層Cの圧縮処理後の細孔容積保持率(%)および燃料電池の性能評価の結果を表1に示す。
〔比較例2〕
<多孔質電極触媒層Dの製造>
実施例1において、処理溶液として酢酸-n-ブチルの代わりに酢酸-n-ブチル/NMP混合溶媒(重量比:20/80)を用いたこと以外は同様にして作業を行った結果、浸漬
中に電極触媒層が溶解したので評価は中止した。
〔比較例3〕
<ペーストBの調製>
50mlのポリボトルに直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:48重量%担持)1.53g、蒸留水0.88g、NMP11.86g、20.6wt%Nafion溶液(Du Pont社製)(水:アルコール=10:90)5.20g、気相法炭素繊維(商品名:VGC
F、昭和電工株式会社製)0.4gおよび分散剤(商品名:DA234、楠本化成株式会社製)0.028gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌しペーストBを得た。
<多孔質電極触媒層Eの製造>
得られたペーストBを撥水処理されたカーボンペーパー(東レ製)にドクターブレードにより塗布し、Pt量が0.5mg/cm2となる電極触媒薄膜を形成した。その直後に、処理溶液として貧溶媒である酢酸-n-ブチルに25℃で30分間浸漬し、120℃で60分間乾燥することことにより、多孔質電極触媒層Eを製造した。電極触媒薄膜中のキャスト溶媒量、得られた多孔質電極触媒層Eの細孔容積、該多孔質電極触媒層Eの圧縮処理後の細孔容積保持率(%)および燃料電池の性能評価の結果を表1に示す。
Figure 2006278232
表1に示すように、本発明の多孔質電極触媒層(実施例1および2)は、発電性能に優れるとともに、圧縮前後における細孔容積の保持率が高いことから、機械的強度にも優れており、細孔のつぶれによるガス拡散性、水排出性の低下が抑えられ、濃度過電圧の上昇を抑制することができる。よって、長時間の発電における性能低下を抑制することができる。

Claims (6)

  1. 触媒担持カーボン粒子およびイオン伝導成分含有芳香族系ポリマーを含み、細孔容積が0.1〜3.0ml/gであることを特徴とする多孔質電極触媒層。
  2. 上記イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーが、下記一般式(A)で表される繰り返し単位と、下記一般式(B)で表される繰り返し単位とを含むスルホン化ポリアリーレンであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質電極触媒層。
    Figure 2006278232
    [式(A)中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、
    −(CF2q−(qは1〜10の整数を示す。)または−C(CF32−を示し、
    Zは独立に直接結合、−(CH2q−、−C(CH32−、−O−または−S−を示し、Arは−SO3H、−O(CH2pSO3Hまたは−O(CF2pSO3H(pは1〜12
    の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し、
    mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。]
    Figure 2006278232
    [式(B)中、AおよびDは、それぞれ独立に直接結合、−CO−、−SO2−、−SO
    −、−CONH−、−COO−、−(CF2q−、−(CH2q−(qは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン
    化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、
    Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、
    1〜R16は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくはすべて
    がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、
    sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。]
  3. 温度160℃および圧力50kg/cm2の条件で15分間圧縮処理した後の細孔容積
    1と、圧縮処理前の細孔容積V0との比率[(V1/V0)×100(%)]が60%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質電極触媒層。
  4. 触媒担持カーボン粒子、イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーおよびキャスト溶媒を含む電極触媒ペースト組成物を調製し、
    該電極触媒ペースト組成物を基体上に塗布して薄膜を形成した後、
    該薄膜を、該キャスト溶媒と相溶する貧溶媒を50重量%以上含む処理溶液に接触処理させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載されている多孔質電極触媒層の製
    造方法。
  5. 上記貧溶媒が、水、炭化水素、または、−O−、−OH、−CO−、−SO2−、
    −SO3−、−CNおよび−COOR(Rは、水素原子、炭化水素基、または、塩を形成
    する陽イオンを示す。)からなる群より選ばれる基を少なくとも1種類以上有する有機溶
    媒であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質電極触媒層の製造方法。
  6. 上記処理溶液に接触処理させる薄膜が、キャスト溶媒を20〜95重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項4または5に記載の多孔質電極触媒層の製造方法。
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