JP2007048642A - 電極触媒層の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温耐久性に優れるとともに、十分な発電性能を発揮することが可能な電極触媒層の製造方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(A)で表される構成単位、および下記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンと金属触媒が担持されたカーボン粒子を含有した電極触媒層の製造方法において、前記スルホン酸基を有するポリアリーレンが分散媒に分散したコロイド状分散液と、金属触媒が担持されたカーボン粒子とを混合して調製された触媒ペーストを用いて電極触媒層を作製する。
【化1】
Figure 2007048642

【選択図】 なし

Description

本発明は、固体高分子燃料電池などに使用される電極触媒層の製造方法に関するものである。
固体高分子電解質型燃料電池は、一対の触媒層に挟持された高分子電解膜を備える膜−電極接合体を有しており、純水素または改質水素ガスを燃料ガスとして一方の触媒層(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤として他方の触媒層(空気極)へ供給して起電力を得るものである。
電極触媒層の形成方法としては、例えば、水素イオン伝導性の高分子電解質を有機溶剤によって溶解させた溶液中に金属触媒が担持されたカーボン粒子を添加・混合することによって作製された触媒ペーストを、高分子電解質膜の両面に塗布また噴霧し、加熱乾燥で有機溶剤を除去して高分子電解質膜の両面に触媒層を形成後、カーボンペーパーなどのガス拡散層を両面の触媒層に配し、ホットプレスにより触媒層とガス拡散層を接合する方法が挙げられる。
従来、触媒層に用いられる高分子電解質としては、Nafion(登録商標)で代表されるスルホン化パーフルオロ炭化水素系が用いられているが、軟化点が低く、高温耐久性が低いので高温条件下では発電性能が低下するといった問題点があるため、触媒層に用いられる高分子電解質としては、高温耐久性に優れたプロトン伝導性芳香族系ポリマーを用いるのが好ましく、例えば、下記一般式(A)で表される構成単位、および下記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンが用いられる場合がある。
Figure 2007048642
(式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を
有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
Figure 2007048642
(式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH
−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原
子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
前記のスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる高分子電解質と金属触媒が担持されたカーボン粒子からなる電極触媒層を形成するに際して、前述したように、前記のスルホン酸基を有するポリアリーレンからなる高分子電解質を有機溶剤に溶解させた溶液と金属触媒が担持されたカーボン粒子とを混合して調製した触媒ペーストを用いて電極触媒層を形成すると、高温耐久性は優れるものの、例えば高分子電解質による金属触媒の被覆厚が大きくなる傾向にあり、その結果、ガス透過能の低下や、触媒金属と高分子電解質とカーボン粒子により形成される三相界面の減少を招き、十分な発電性能を発揮できないという問題が生じる場合があった。
そこで、本発明者ら上記問題を解決すべく、鋭意検討した結果、電極触媒層を製造するに使用する電極ペーストを、前記一般式(A)で表される構成単位、および前記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンが分散媒に分散したコロイド状分散液と、金属触媒が担持されたカーボン粒子とを混合して調製することで、高温耐久性に優れるとともに、十分な発電性能を発揮することが可能な電極触媒層を製造できること見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)前記一般式(A)で表される構成単位、および前記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンと金属触媒が担持されたカーボン粒子を含有した電極触媒層の製造方法において、前記スルホン酸基を有するポリアリーレンが分散媒に分散したコロイド状分散液と、金属触媒が担持されたカーボン粒子とを混合して調製された触媒ペーストを用いて電極触媒層を作製することを特徴とする電極触媒層の製造方法。
(2)前記コロイド状分散液は、可視光(波長600nm)の透過率が20〜85%の範囲内であることを特徴とする(1)に記載の電極触媒層の製造方法。
(3)前記コロイド状分散液は、沸点が75〜250℃、かつ溶解性パラメータの範囲が7.5〜13(cal/mol)1/2、かつ-O-、-OH、-CO-、-SO-、-SO2-、-COO-、-CONR-(Rは、水素原子、炭化水素基)からなる基を少なくとも1種類以上有する有機溶剤を少なくとも1
種類以上含み、且つ水を含むことを特徴とする(1)および(2)に記載の電極触媒層の製造方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の電極触媒層の製造方法で用いられる触媒ペースト。
本発明によれば、前記一般式(A)で表される構成単位、および前記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンと金属触媒が担持されたカーボン粒子を含有した電極触媒層の製造方法において、高温耐久性に優れるとともに十分な
発電性能を発揮することが可能な電極触媒層の製造方法を提供することができる。
さらには、高温耐久性に優れるとともに十分な発電性能を発揮することが可能な電極触媒層の製造が可能な触媒ペーストを提供することができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
<触媒層>
本発明における触媒層は、触媒を担持したカーボンと前記一般式(A)で表される構成単位、および前記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンを含有していることを特徴とする。
(i)触媒担持カーボン
本発明で用いられる触媒としては、白金、パラジウム、金、ルテニウム、イリジウムなどの貴金属触媒が好ましく用いられる。また、貴金属触媒は、合金や混合物などのように、2種以上の元素が含まれるものであってもよい。
上記触媒を担持するカーボンとしては、電子伝導性と比表面積の大きさの観点から、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましい。
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては、電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
また、上記カーボンとして、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
上記炭素材の形態としては、粒子状のほか繊維状も用いることができる。
上記カーボンに担持される金属触媒の量としては、有効に触媒活性が発揮できる量であれば特に制限されるものではないが、カーボン重量に対する金属触媒担持量が0.1〜9.0g-metal/g-carbon、好ましくは0.25〜2.4g-metal/g-carbonの範囲にあることが望ましい。
(ii)スルホン酸基を有するポリアリーレン
まず本発明に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンについて具体的に説明する。本発明に使用されるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、下記一般式(A)で表されるスルホン酸基を有する構造単位(スルホン酸ユニット)と、下記一般式(B)で表されるスルホン酸基を有さない構造単位(疎水性ユニット)とを含むことが特徴であり、下記一般式(C)で表される重合体である。
<スルホン酸ユニット>
Figure 2007048642
一般式(A)において、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO
−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、−CO−、−SO2−が好ましい。
Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち直接結合、−O−が好ましい。
Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置
換基(pは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。
芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。−SO3
Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基(pは1〜1
2の整数を示す)は、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基であ
る場合には2個以上置換していることが好ましい。
mは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、nは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
m、nの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)m=0、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有す
るフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
を有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
<疎水性ユニット>
Figure 2007048642
一般式(B)において、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO
−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素
基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、
−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。ここで、−CR’2−で表される構造の具体的な例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基、などが挙げられる。
これらのうち、直接結合または、−CO−、−SO2−、−CR’2−(R’は脂肪族炭
化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン
基、フルオレニリデン基、−O−が好ましい。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
s、tは0〜4の整数を示す。rは0または1以上の整数を示し、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
s、tの値と、A、B、D、R1〜R16の構造についての好ましい組み合わせとしては

(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基で
あり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または、−SO2−であ
り、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、
Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子またはニトリル基である構
造が挙げられる。
<ポリマー構造>
Figure 2007048642
一般式(C)において、A、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、r、s、tおよびR1
〜R16は、それぞれ上記一般式(A)および(B)中のA、B、D、Y、Z、Ar、k、m、n、r、s、tおよびR1〜R16と同義である。x、yはx+y=100モル%とした場
合のモル比を示す。
本発明で用いられるスルホン酸基を有するポリアリーレンは、式(A)で表される構造単位すなわちxのユニットを0.5〜100モル%、好ましくは10〜99.999モル%の割合で、式(B)で表される構造単位すなわちyのユニットを99.5〜0モル%、好ましくは90〜0.001モル%の割合で含有している。
<ポリマーの製造方法>
スルホン酸基を有するポリアリーレンの製造には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法)例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法で、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、スルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。(B法)例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法で、上記一般式(A)で表される骨格を有しスルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、この重合体をスルホン化剤を用いて、スルホン化することにより合成することもできる。
(C法)一般式(A)において、Arが−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−60625号公報に記載の方法で、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(A法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸エステル基を有するモノマーの具体的な例として、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
(B法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハ
ロゲン化物を挙げることができる。
(C法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。
また、いずれの方法においても用いられる、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの具体的な例として、
r=0の場合、例えば4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4
−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロ
フェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルが挙げられる。これらの化合物に
おいて塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物などが挙げられる。
r=1の場合、例えば特開2003−113136号公報に記載の化合物を挙げることができる。
r≧2の場合、例えば特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特開2004−346164号公報、特開2005−112985号公報、特願2003−348524、特願2004−211739、特願2004−211740に記載の化合物を挙げることができる。
スルホン酸基を有するポリアリーレンを得るためは、まず、これらの、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、前駆体のポリアリーレンを得ることが必要である。この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩
を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩
」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体的な例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物を挙げることができる。
スルホン酸基を有するポリアリーレンは、この前駆体のポリアリーレンをスルホン酸基を有するポリアリーレンに変換して得ることができる。この方法としては、下記の3通りの方法がある。
(A法)前駆体のスルホン酸エステル基を有するポリアリーレンを、特開2004−137444号公報に記載の方法で脱エステル化する方法。
(B法)前駆体のポリアリーレンを、特開2001−342241号公報に記載の方法でスルホン化する方法。
(C法)前駆体のポリアリーレンに、特開2005−60625号公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。
上記のような方法により製造される、一般式(C)のスルホン酸基を有するポリアリーレンの、イオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。0.3meq/g未満では、プロトン伝導度が低く発電性能が低い。一方、5meq/gを超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
上記のイオン交換容量は、例えば一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(B)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーの種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。
このようにして得られるスルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で、1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
<電極ペースト組成物>
本発明では、前記一般式(A)で表される構成単位、および前記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンと金属触媒が担持されたカーボン粒子を含有した電極触媒層を製造する際に、前記プロトン伝導性芳香族系ポリマーを分散媒に分散させたコロイド状分散液と、金属触媒が担持されたカーボン粒子とを混合して調製された触媒ペーストが使用される。
前記スルホン酸基を有するポリアリーレンのコロイド状分散液は、可視光(波長600nm)の透過率が20〜85%の範囲にあることが好ましく、さらには30〜80%の範囲にあることが好ましい。
可視光(波長600nm)の透過率は紫外・可視分光光度計を用いて測定される。なお、前記スルホン酸基を有するポリアリーレンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶液では、紫外・可視分光光度計を用いて測定した可視光(波長600nm)の透過率の値が95%以上あることから、スルホン酸基を有するポリアリーレン自身による可視光(波長600nm)の吸収はないと考えることができる。従って、スルホン酸基を有するポリアリーレンのコロイド状分散液の透過率が、95%より低くなるということは、コロイド粒子の可視光の散乱によるものと考えることができる。
可視光(波長600nm)の透過率が上記範囲にあるコロイド状分散液を用いて電極触媒層を形成させると、スルホン酸基を有するポリアリーレンによって金属触媒が被覆されることが少なくなり、見かけ上、スルホン酸基を有するポリアリーレンの粒子と電極触媒カーボンとがそれぞれ分散して存在しているので十分なガス拡散能を確保でき、特に高加湿や高電流密度の作動条件において十分な発電性能を発揮することが可能となる。その理由は明確ではないものの、(スルホン酸基を有するポリアリーレンによる金属触媒の被覆厚が大きくなるのが抑制されることで、ガス透過能が増大するとともに、触媒金属とスルホン酸基を有するポリアリーレンとカーボン粒子により形成される三相界面が増加することによるものと考えられる。
可視光(波長600nm)の透過率が20%未満の場合、コロイド状分散液の分散安定性が低下する恐れがある。可視光(波長600nm)の透過率が85%を超えると、スルホン酸基を有するポリアリーレンの少なくとも一部が溶解して金属触媒を被覆してしまい、その被覆厚みによって十分な発電性能を発揮することが難しくなる傾向にある。
スルホン酸基を有するポリアリーレンのコロイド状分散液の分散媒については、該ポリマーとの溶解させないものであれば、特に限定はされないが、沸点が75〜250℃、かつ溶解性パラメータの範囲が7.5〜13(cal/mol)1/2、かつ-O-、-OH、-CO-、-SO-、-SO2-、-COO-、-CONR-(Rは、水素原子、炭化水素基)からなる基を少なくとも1種類以上有
する有機溶剤を少なくとも1種類以上含み、且つ水を含むのが好ましい。
上記有機溶剤と水との混合溶媒を用いることによりスルホン酸基を有するポリアリーレンのコロイド状分散液を調製することが容易となるが、上記有機溶媒の溶解性パラメータ
が上記範囲外であると、コロイド状分散液の調製が困難になる傾向になる。
また、上記有機溶剤の沸点が上記範囲未満であると、触媒ペーストの乾燥性が速く、ダイのノズルが詰まり易い等の現象により、塗工時の生産性が低下することがあり、一方、上記有機溶媒の沸点が上記範囲を越えると、溶媒の除去が困難となり、電極中の細孔が閉塞し、発電性能が低下することがある。
上記有機溶剤の具体例としては、エタノール(bp.78.3、δ 12.92)、n−プロピルアルコール(bp.97、δ11.97)、2−プロパノール(bp.82.4、δ11.50 )、2−メチル−2−プロパノール(bp.82.5、δ11.11)、2−ブタノール(bp.99.5、δ11.11*)、n−ブチルアルコール(bp.117℃、δ 11.30)、2−メチル−1−プロパノール(bp.108℃、δ 11.11*)、1−ペンタノール(bp.138℃、δ 10.96*)、2−ペンタノール(bp
.119℃、δ 10.77*)、3−ペンタノール(bp.115℃、δ 10.77*)、2−メチル−1−ブタノール(bp.129℃、δ 10.77*)、3−メチル−1−ブタノール(bp.131℃、δ 10.77*)、2−メチル−2−ブタノール(bp.102℃、δ 10.58*)、3−メチル−2−ブタノール(bp.112℃、δ 10
.58*)、2,2−ジメチル1−プロパノール(bp.113℃、δ 10.58*)、シクロヘキサノール(bp.161℃、δ 12.44*)、1−ヘキサノール(bp.157℃、δ 10.68*)、2−メチル−1−ペンタノール(bp.148℃、δ 10.
51*)、2−メチル−2−ペンタノール(bp.121℃、δ 10.34*)、4−メ
チル−2−ペンタノール(bp.132℃、δ 10.34*)、2−エチル−1−ブタノール(bp.147℃、δ 10.51*)、1−メチルシクロヘキサノール(bp.156、δ 11.76*)、2−メチルシクロヘキサノール(bp.168℃、δ 11.7
4*)、3−メチルシクロヘキサノール(bp.168℃、δ 11.74*)、4−メチ
ルシクロヘキサノール(bp.171℃、δ 11.74*)、1−オクタノール(bp.195℃、δ 10.28*)、2−オクタノール(bp.180℃、δ 10.14*)、2−エチル−1−ヘキサノール(bp.184℃、δ 10.14*)、ジオキサン(bp.101℃、δ 10.0)、ブチルエーテル(bp.140℃、δ 7.78*)、フェ
ニルエーテル(bp.187℃、δ 12.16)、イソペンチルエーテル(bp.17
3℃、δ 7.63*)、1,2−ジメトキシエタン(bp.85.2、δ7.63 *)、
ジエトキシエタン(bp.102℃、δ 7.63*)、ビス(2−メトキシエチル)エーテル(bp.160℃、δ 8.10*)、ビス(2−エトキシエチル)エーテル(bp.189℃、δ 8.19*)、シネオール(bp.176℃、δ 8.97*)、ベンジルエチルエーテル(bp.185℃、δ 9.20*)、アニソール(bp.154℃、δ 9
.38*)、フェネトール(bp.170℃、δ 9.27*)、アセタール(bp.10
4℃、δ 7.65*)、メチルエチルケトン(bp.79.6、δ 9.27)、2−ペンタノン(bp.102℃、δ 8.30*)、3−ペンタノン(bp.102℃、δ 8.
30*)、シクロペンタノン(bp.131℃、δ 12.81*)、シクロヘキサノン(
bp.156℃、δ 9.88)、2−ヘキサノン(bp.128℃、δ 8.84*)、
4−メチル−2−ペンタノン(bp.117℃、δ 8.68*)、2−ヘプタノン(bp.151℃、δ 8.84*)、2,4−ジメチル−3−ペンタノン(bp.125℃、δ 8.49)、2−オクタノン(bp.173℃、δ 8.81*)、γーブチロラクトン(bp.204、δ 12.78)、酢酸−n−ブチル(bp.126℃、δ 8.46)、
酢酸イソブチル(bp.126℃、δ 8.42)、酢酸sec-ブチル(bp.112℃、
δ 8.51*)、酢酸ペンチル(bp.150℃、δ 8.69*)、酢酸イソペンチル(bp.142℃、δ 8.52*)、3−メトキシブチルアセタート(bp.173℃、δ
8.52*)、酪酸メチル(bp.102℃、δ 8.72*)、酪酸エチル(bp.121℃、δ 8.70*)、乳酸メチル(bp.145℃、δ 12.42*)、乳酸エチル(bp.155℃、δ 10.57)、乳酸ブチル(bp.185℃、δ 11.26*)、
2−メトキシエタノール(bp.125℃、δ 11.98*)、2−エトキシエタノール(bp.136℃、δ 11.47*)、2−(メトキシメトキシ)エタノール(bp.168℃、δ 11.60*)、2−イソプロポキシエタノール(bp.142℃、δ 10
.92*)、1−メトキシ−2−プロパノール(bp.120℃、δ 11.27*)、1
−エトキシ−2−プロパノール(bp.132℃、δ 10.92*)、ジメチルスルホキシド(bp.189℃、δ 12.93)、N−メチルホルムアミド(bp.185℃、
δ 12.93)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp.153℃、δ 12.14)、
N,N−ジエチルホルムアミド(bp.178℃、δ 10.07*)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp.166℃、δ 11.12)、N−メチル−2−ピロリドン(bp.202、δ11.17 )、テトラメチル尿素(bp.177.5、δ 10.6)などを挙
げる
ことができ、これらは1種類以上を組み合わせて用いることもできる。
なお、上記例示中δは溶解性パラメータの値((cal/mol)1/2)を示し、数値の後に「*」を付した値は、Fedorsの計算値(R.F Fedors, Polym. Eng. Sci., 14(2)147(1974)参照)である。
コロイド状分散液における上記有機溶剤と水の割合については特に限定されず、コロイド状分散液の可視光(波長600nm)の透過率が20〜85%の範囲となるになるように任意の割合で使用される。
スルホン酸基を有するポリアリーレンのコロイド状分散液の作製方法については特に限定はされないが、例えば有機溶剤が任意の割合で混合された溶媒とスルホン酸基を有するポリアリーレンを任意の割合で混合・攪拌して作製する方法や、スルホン酸基を有するポリアリーレンを上記有機溶剤に溶解させた溶液に、水および上記有機溶剤を任意の割合で混合・攪拌して作製する方法などを挙げることができる。
触媒ペースト組成物の調製方法は特に限定はされないが、例えばスルホン酸基を有するポリアリーレンのコロイド状分散液に触媒を担持したカーボン粒子を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
上記触媒ペーストにおける有機溶剤の割合は、触媒ペースト組成部中において重量比で5重量%〜95重量%、好ましくは15重量%〜90重量%となることが望ましい。
有機溶剤の使用割合が、上記範囲内にあると、発電に必要な電極中の細孔容積が十分確保できる。また上記範囲にあれば、組成物がペースト状となりハンドリングに好適である。
また、上記触媒ペーストにおける水の割合は触媒ペースト組成部中において重量比で1重量%〜70重量%、さらには、2重量%〜30重量%となることが好ましい。上記水の使用割合が、上記範囲内にあるとコロイド状分散液に金属触媒を担持した触媒粒子を混合したときの発熱を抑制することが可能になる。
また、上記触媒ペースト組成物における触媒が担持されたカーボンの使用割合は、重量比で1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%であることが望ましい。触媒が担持されたカーボンの使用割合が、上記範囲未満であると、電極反応率が低下することがある。また、上記範囲より大きいと、触媒ペーストの粘度が増加し、塗工時に塗りむらが発生することがある。
さらに、上記触媒ペースト組成物中のスルホン酸基を有するポリアリーレンは、重量比で0.5重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜15重量%であることが望ましい。
スルホン酸基を有するポリアリーレンの使用割合が、上記範囲未満であると、バインダーとしての役割を果たせなくなり、触媒電極を形成できない。また、上記範囲より大きいと、触媒電極中の細孔容積が減少する。
<電極触媒層の形成方法>
本発明に係る電極触媒層は、前記スルホン酸基を有するポリアリーレンのコロイド状分散液と触媒を担持したカーボン粒子を混合して調製した触媒ペーストを基材に塗布して作製される。
上記触媒ペーストを用いて電極触媒層を形成させる方法については特に限定はされないが、例えば電極基材、高分子電解質膜上に塗布し、加熱乾燥により溶媒を除去して作製する方法をあげることができる。塗布方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などがあげられる。
上記電極基材としては、燃料電池に一般に用いられる電極基材、たとえば、導電性物質を主たる構成材とする多孔質導電シートなどを、特に限定されることなく用いることができる。
電極触媒層を形成させる基材については、燃料電池に一般に用いられる電極基材が特に限定されることなく用いられる。例えば、導電性物質を主たる構成材とする多孔質導電シートなどが挙げられ、この導電性物質としては、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛および膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。導電性物質の形態は繊維状または粒子状など特に限定されないが、繊維状導電性無機物質(無機導電性繊維)特に炭素繊維が好ましい。無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートとしては、織布または不織布いずれの構造も使用可能である。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法などの方法で製造されたものが特に限定されること無く用いられる。また無機導電性繊維を用いた多孔質導電シートは編物であっても構わない。
これらの布帛として特に炭素繊維を用いる場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化または黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工をした後に炭化または黒鉛化した不織布、耐炎化糸または炭化糸または黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましい。例えば、東レ製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが好ましく用いられる。
多孔質導電シートには、導電性向上のために補助剤としてカーボンブラックなどの導電性粒子や、炭素繊維などの導電性繊維を添加することも好ましい実施態様である。
本発明の触媒層をプロトン伝導膜上に形成する場合、公知のプロトン伝導膜であれば特に制限されるものではないが、上記スルホン酸基を有するポリアリーレンからなるプロトン伝導膜上に形成することが好適である。
また、別の基材(転写基材)上に塗布して触媒層をいったん形成した後、プロトン伝導膜に転写してもよい。この場合の転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のシート、または表面を離型剤処理したガラス板や金属板なども用いることができる。
塗布された塗膜の厚さ(すなわち触媒層の厚さ)としては特に制限されるものではない
ものの、触媒として担持された金属が、コーティングの単位表面積当り、0.05〜4.0mg/cm2、好ましくは0.1〜2.0mg/cm2の範囲にあることが望ましい。
この範囲にあれば充分に高い触媒活性が発揮され、また、効率的にプロトンを取り出すことができる。
こうして形成された導電性シート状の触媒層の細孔容積は、0.1〜3.0ml/g−
(電極触媒層)、好ましくは0.2〜2.0ml/g−(電極触媒層)の範囲にあること
が望ましい。孔容積が上記範囲を超えると、機械的特性が低下する傾向にある。また、電子伝導及びプロトン伝導経路が切断され、発電性能が低下する恐れがある。一方、上記範囲未満であるとガスの拡散性が悪く、発電性能が低下することがある。
また、溶媒の除去は、乾燥温度20℃〜180℃、好ましくは50℃〜160℃、乾燥時間5分〜600分、好ましくは30分〜400分で行う。必要に応じて、水浸漬により除去することもできる。水浸漬温度5℃〜120℃、好ましくは15℃〜95℃、水浸漬時間は1分〜72時間、好ましくは5分〜48時間である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、スルホン酸当量、分子量、および燃料電池の作成及び性能の評価は以下のようにして求めた。
1.スルホン酸当量
得られたスルホン酸基を有する重合体の水洗水が中性になるまで洗浄し、フリーに残存している酸を除いて充分に水洗し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からスルホン酸当量を求めた。
2.分子量の測定
スルホン酸基を有しないポリアリーレンの分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、溶剤として臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。
3.可視光(波長600nm)の透過率測定
スルホン化ポリアリーレンのコロイド状分散液を測定長1cmの石英セルに入れ、紫外・可視分光光度計(日本分光製UVIDEC-660)にセットし、可視光(波長600n
m)の透過率を測定した。
4.燃料電池の作製および発電評価
後述する実施例あるいは比較例で作製した膜-電極接合体を2枚のチタン製の集電体で
挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の燃料電池を組み立てた
燃料電池の温度を80℃に保ち、湿度100%RHで水素および酸素を背圧0.05MPaで供給し、電極触媒層の面積に対して電流密度0.1A/cm2と1.0A/cm2を負荷したときのセル電圧の初期値を測定した。
[合成例1]
2,5−ジクロロ−4’−(4−フェノキシフェノキシ)ベンゾフェノン131.86g(303mmol)、4,4’−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル84.99g(190mmol)、ヨウ化ナトリウム7. 4g(49mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド7.4g(11mmol)、トリフェニルホスフィン29. 8g(113mmol)、亜鉛49. 4g(760mmol)を冷却管
、三方コックを取り付けた三口フラスコに入れ、70℃のオイルバスにつけ、窒素置換後、窒素雰囲気下にN−メチル−2−ピロリドン1,000mlを加え、重合反応を開始した。20時間反応後、N−メチル−2−ピロリドン500mlで希釈し、大過剰の1:10塩酸/メタノール溶液に重合反応液を注ぎ、ポリマーを析出させた。洗浄、ろ過を繰り返し精製し、真空乾燥後、白色の粉末を得た。収量は、174.4g、収率93%であった。また、重量平均分子量は、127,000であった。
得られた重合体150gに対し、濃硫酸1,500mlを加え攪拌し、室温で24時間、スルホン化反応を行った。反応後、大量の純水中に注ぎ、スルホン化ポリマーを析出させた。中性近くになるまでポリマーの水洗浄を続け、ろ過後、スルホン化ポリマーを回収し、90℃で真空乾燥した。スルホン化ポリマーの収量は、185.0gであった。このポリマーのイオン効果容量は2.1meq/gであり、重量平均分子量は189000であった。
〔合成例2〕(1)疎水性ユニットの合成
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル48.8g(284mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン89.5g(266mmol)、炭酸カリウム47.8g(346mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン346mL、トルエン173mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、3時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル9.2g(53mmol)を加え、さらに5時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的物109gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は9,500であった。
得られた化合物は式(I)で表されるオリゴマーであることを確認した。
Figure 2007048642
(2)スルホン化ポリアリーレンの合成
攪拌機、温度計、窒素導入管をとりつけた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.2g(337mmol)、(1)で得られたMn9,500の疎水性ユニット48.7g(5.1mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(137mmol)、亜鉛53.7g(821mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc730mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
得られた溶液を攪拌機、温度計、窒素導入管を取り付けた2Lの三口フラスコに入れた。115℃に加熱攪拌し、臭化リチウム44g(506mmol)を加えた。7時間攪拌後、アセトン5Lに注いで生成物を沈殿させた。ついで、1N塩酸、純水の順で洗浄後、乾燥して目的の重合体122gを得た。得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は135,000であった。得られた重合体は式(II)で表されるスルホン化ポリマーと推定される。このポリマーのイオン交換容量は2.3meq/gであった。
Figure 2007048642
[実施例1]
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、合成例2のスルホン化ポリマー0.58g、純水1.60g、1,2−ジメトキシエタン12.80g、1−プロパノール1.60gの混合物をミックスロータで室温下24時間攪拌し、不溶分や沈殿のないコロイド状分散液16.58gを作製した。得られたコロイド状分散液の可視光(波長600nm)の透過率は50%であった。
次に、コロイド状分散液の入った上記ガラス瓶に白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、(田中貴金属工業株式会社製:TEC10E50E)1.51gを加え、ウエーブロー
ターで30分間攪拌し、合成例2のスルホン化ポリアリーレンを含有した触媒層用ペーストを得た。
上記の方法で得られた触媒層用ペーストを合成例1のポリマーからなる膜厚50μmの両面に、ドクターブレードを用いて塗布し、120℃×1時間の条件で加熱乾燥することで、白金量が0.5mg/cm2になる触媒層を両面に備えた高分子電解質膜を1枚得た
続いて、高分子電解質膜の両面に備えられた触媒層に、撥水化処理されたカーボンペーパー(東レ製)を配置して挟み、圧力100kg/cm2下で、160℃×15minの
条件でポットプレス成形して、膜-電極接合体を作製した。発電評価の結果を表1に示す
[実施例2]
1−プロパノールの代わりにN−メチル−2−ピロリドンを用いた以外は実施例1と同様にして膜-電極接合体を作製した。得られたコロイド状分散液の可視光(波長600n
m)の透過率は65%であった。発電評価の結果を表1に示す。
[比較例1]
コロイド状分散液の代わりに3%N−メチル−2−ピロリドン溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして膜-電極接合体を作製した。発電評価の結果を表1に示す。
[比較例2]
コロイド状分散液の代わりに3%γーブチロラクトン溶液を用いた以外は実施例1と同様にして膜-電極接合体を作製した。発電評価の結果を表1に示す。
Figure 2007048642

Claims (4)

  1. 下記一般式(A)で表される構成単位、および下記一般式(B)で表される構成単位を含むスルホン酸基を有するポリアリーレンと金属触媒が担持されたカーボン粒子を含有した電極触媒層の製造方法において、前記スルホン酸基を有するポリアリーレンが分散媒に分散したコロイド状分散液と、金属触媒が担持されたカーボン粒子とを混合して調製された触媒ペーストを用いて電極触媒層を作製することを特徴とする電極触媒層の製造方法。
    Figure 2007048642
    (式中、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l
    −(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Arは−SO3Hまたは−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を
    有する芳香族基を示す。pは1〜12の整数を示し、mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。)
    Figure 2007048642
    (式中、A、Dは独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH
    −、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−CR'2−(R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原
    子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。s、tは0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。)
  2. 前記コロイド状分散液は、可視光(波長600nm)の透過率が20〜85%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の電極触媒層の製造方法。
  3. 前記コロイド状分散液は、沸点が75〜250℃、かつ溶解性パラメータの範囲が7.5〜13(cal/mol)1/2、かつ-O-、-OH、-CO-、-SO-、-SO2-、-COO-、-CONR-(Rは、水素原子、炭化水素基)からなる基を少なくとも1種類以上有する有機溶剤を少なくとも1種類
    以上含み、且つ水を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電極触媒層の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電極触媒層の製造方法で用いられる触媒ペースト。
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