JP2010010075A - 固体高分子型燃料電池用電極電解質およびそれを用いた電極ワニス、電極ペースト、膜−電極接合体 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電極電解質およびそれを用いた電極ワニス、電極ペースト、膜−電極接合体 Download PDF

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芳孝 山川
Shingo Takasugi
晋吾 高杉
Yoshiharu Otsuka
巧治 大塚
Shigeo Nakagawa
薫生 中川
Takaki Nakagawa
尊基 中川
Ryuhei Ishimaru
竜平 石丸
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】プロトン伝導性や寸法安定性、機械的特性に優れ、しかも高温下でも高い発電出力を有する固体高分子型燃料電池用電極電解質を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される構造を含むスルホン化ポリアリーレンを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極電解質;
Figure 2010010075

(式(1)中、A,Dは,直接結合または、-CO-、-SO2-、-SO-、-CONH-、-COO-などであり、Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、R1〜R16は、水素原子、フッ素原子、アルキル基などであり、Rは含窒素芳香環構造を含む2価の有機基を示す。Xは、フッ素を除くハロゲン原子を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構成単位を有するポリアリーレンを含む固体高分子型燃料電池用電極電解質、該電解質を含む電極ワニス、電極ペースト、該電極ペーストから形成される固体高分子型燃料電池用電極および該電極を有する膜−電極接合体に関する。
固体高分子型燃料電池は、高出力密度が得られ、低温で作動可能であることから小型軽量化が可能であり、自動車用動力源、定置用発電電源、携帯機器用発電電源などとして実用化が期待されている。
固体高分子型燃料電池はプロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、純水素あるいは改質水素を燃料ガスとして一方の電極(燃料極)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤としてもう一方の電極(空気極)へ供給し、発電を行うものである。
かかる燃料電池の電極は触媒成分が分散した電極電解質から構成され(このため電極は
、電極触媒層ということもある)、燃料極側の電極触媒層は、燃料ガスからプロトンと電
子を発生させ、空気極側の電極触媒層で酸素とプロトンと電子とから水を生成し、固体高分子電解質膜はプロトンをイオン伝導させる。そして、かかる電極触媒層を通して電力が取り出される。
また、かかる燃料電池では、従来、電極触媒層の電解質としてプロトン伝導膜と同様にNafion(商標)に代表されるパーフルオロアルキルスルホン酸系高分子が使用されてきた。この材料は優れたプロトン伝導性を有しているが、非常に高価であり、また分子内にフッ素原子を大量に有していることから、燃焼性が小さく、電極触媒に用いられる白金などの高価な貴金属の回収再利用を非常に困難にしている問題がある。
一方これにかわる材料として、種々の非パーフルオロアルキルスルホン酸系高分子の検討も行われている。特に発電効率の高い、高温条件で用いることを狙い、耐熱性の高い芳香族スルホン酸系高分子を電解質として用いることが試みられている。
たとえば、特開2005−50726号公報(特許文献1)には、スルホン化ポリアリーレン重合体を電極電解質として用いることが開示されており、さらに、特開2004−253267号公報(特許文献2)、特開2006−121051(特許文献3)には、特定のスルホン化ポリアリーレンを用いることが開示されている。
特開2005−50726号公報 特開2004−253267号公報 特開2006−121051号公報
これらのポリアリーレン系(芳香族スルホン酸系)の電解質材料は、前述のような価格的な問題や、触媒金属の回収に関する問題を解決するとともに、その化学構造から高い耐熱性、耐溶剤性、熱水耐性を付与することができるために、Nafionと比較して高い温度・湿度領域での使用、優れたプロトン伝導性、寸法安定性、機械的特性に優れた固体高分子型燃料電池用電極電解質を提供することができる。
しかしながら、従来のポリアリーレン系の電極電解質は、その化学構造に由来する高い耐熱性、溶媒耐性のため、電極電解質としての加工性に乏しい問題がある。具体的には、高い熱変形温度のために膜-電極接合体(MEA)作製時にプロトン伝導膜およびガス拡散層と電極層との熱圧着接合が難しく、また、ポリマーの溶解性は低いために発電特性改良に際し電極層の構造制御するための溶媒の選択範囲が狭いといった問題があった。
特に自動車の車載用燃料電池などのように、高い温度に晒される用途になると、プロトン伝導膜およびガス拡散層と電極層との熱圧着接合が不十分となったり、加工が難しいなどの問題があった。
また、燃料電池自体にも、特に高温下でさらに高い発電出力を有するものが望まれていた。かかる燃料電池では、発電中にセル内で燃料の酸化によって過酸化水素が発生、それによりヒドロキシラジカルなどの活性種が生成するため、それにより電極電解質の分解を引き起こし性能低下の原因となることが知られている。そのため電極電解質の化学劣化に対する耐久性の向上も求められていた。
すなわち、本発明の課題は、前述のような、価格的な問題や、触媒金属の回収に関する問題を解決するとともに、プロトン伝導性や寸法安定性、機械的特性に優れ、しかも高温下でも高い発電出力を有し、かつ、MEA作製時の加工適正性を付与した固体高分子型燃料
電池用電極電解質を提供し、さらに該電解質を含む、電極ワニス、電極ペースト、電極、膜-電極接合体を提供するものである。
このような状況のもと本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、主鎖に含窒素芳香環が導入されていることにより、耐熱性が高く、化学的安定性が向上し、さらに機械的特性にも優れた電極電解質が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]下記式(1)で表される構造を含むスルホン化ポリアリーレンを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極電解質;
Figure 2010010075
(式(1)中、A、Dは、独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−
CONH−、−COO−、−(CF2)a−(aは1〜10の整数である)、−(CH2)b−(bは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基
およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、
Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
Rは、含窒素芳香環構造を含む2価の有機基を示す。
01は、下記式(1a)および上記Rで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構
造を示す。
l、mは、0〜4の整数を示す。
n、pは、各ユニットの組成比を示し、n+p=1である。ただし、n、pはともに0で
はない。qは、正の整数である。
構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
Figure 2010010075
(式(1a)中、Dは上記式(1)と同義である。R1〜R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。mは0〜4の整数を示す。)
[2]前記式(1)中、Rが、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イ
ソオキサゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、1,3,5-トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、インドリジン、イソインドール、3H-インドール、2H-ピロール、1H-インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、シンノリン、プテリジ
ン、カルボリン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジンからなる含窒素芳香環構造およびこれらの誘導体からなる群から選ばれた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を有する[1]の固体高分子型燃料電池用電極
電解質。
[3]前記式(1)中、Rが、1,3,5-トリアジン、ピリジンからなる含窒素芳香環構造およ
びこれらの誘導体からなる群から選ばれた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を有する、[1]または[2]の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
[4]前記式(1)で表される構造が、式(2)で表される、[1]〜[3]の固体高分子型燃料
電池用電極電解質;
Figure 2010010075
(式(2)中、A、R、l、n、pおよびqは、式(1)の場合と同様である。Pは、下記式(3-1)〜(3-3)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、H02は、PおよびRで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合
う構成単位との接続を意味する。)
Figure 2010010075
[5]さらに下記式(A)で表される構成単位を含むことを特徴とする、[5]〜[8]の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
Figure 2010010075
(式(A)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(C
2)a−(aは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なく
とも1種の構造である。Zは、直接結合または、−(CH2)b−(bは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造である。Arは、−SO3Hまたは−O(CH2)cSO3Hまたは−O(CF2)cSO3Hで表さ
れる置換基を有する芳香族基である。cは、1〜12の整数であり、jは、0〜10の整数であり、hは、0〜10の整数であり、kは、1〜4の整数である。各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
[6][1]〜[5]の固体高分子型燃料電池用電極電解質を含むことを特徴とする電極ワニス。
[7][1]〜[5]の固体高分子型燃料電池用電極電解質と触媒粒子を含むことを特徴とする電
極ペースト。
[8][1]〜[5]の固体高分子型燃料電池用電極電解質と触媒粒子とを含むことを特徴とする
固体高分子型燃料電池用電極。
[9][8]の固体高分子型燃料電池用電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。
本発明によれば、安価で、触媒金属の回収が容易であり、プロトン伝導性、寸法安定性、機械的特性、機械的特性、および加工性(プロトン伝導膜・ガス拡散層と電極層の接合
性)に優れ、さらに化学劣化に対する耐久性も改良された固体高分子型燃料電池用電極電
解質、該電解質を含む電極ワニス、電極ペースト、固体高分子型燃料電池用電極、膜−電極接合体が提供され、固体高分子型燃料電池の発電性能向上に寄与する。
以下、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極電解質、電極ワニス、電極ペースト、
電極および膜−電極接合体(MEA)について詳細に説明する。
〔固体高分子型燃料電池用電極電解質〕
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質は、主鎖に含窒素複素環式芳香族基を効率的に導入された構造を含むポリアリーレンを含むことを特徴としている。
なお、本発明の電極電解質は、このようなポリアリーレン単独であっても、従来より電極電解質として公知のものを含んでいても良い。このような構造を有するスルホン化ポリアリーレンは、主鎖に含窒素複素環式芳香族基を含んでいるので、靭性および機械的強度に優れ、プロトン伝導性を損なうことなく、高温下で高いスルホン酸の安定性を向上することができ。このため、かかるポリアリーレンを含む電極電解質は、広範囲な温度、湿度、特に高温下でも発電可能になり、発電出力を向上することができる。また、高温下で使用しても、スルホン酸基が高い安定性を有することから、電池寿命を大幅に向上させた燃料電池を得ることができる。
また、前記ポリアリーレンは、スルホン酸基の導入量を容易に制御することができる。得られるスルホン酸基含有共重合体は、伝導膜として、広い温度範囲にわたって高いプロトン伝導性を有し、脆くなく強度において優れている。
<スルホン化ポリアリーレン>
本発明で使用されるポリアリーレンは、主鎖として含窒素芳香環を有する単量体から構成される構成単位を含む共重合体である。本発明の共重合体は、含窒素芳香環を含む構成単位およびスルホン酸基を有する構成単位とを有する。
含窒素芳香環を含む構成単位
含窒素芳香環を含む構成単位は、下記式(1)で表される構造からなる構成単位である。
Figure 2010010075
式(1)中、A、Dは、独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−
CONH−、−COO−、−(CF2)a−(aは1〜10の整数である)、−(CH2)b−(bは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基
およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。−CR'2として具体的には、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(CCl3)2−、−C(CH2Cl)2−を示す。これ
らのうち、直接結合または、−CO−、−SO2−、−C(CF32−、−C(CR’22−(R’は炭化水素基または環状炭化水素基)、−O−が好ましい。
なお、各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。
Bは独立に酸素原子または硫黄原子である。
1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。このうち、少なくとも1つがニトリル基であることが好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
Rは、含窒素芳香環構造を含む2価の有機基を示す。
含窒素芳香族環構造とは、芳香族環にヘテロ原子として、窒素原子を少なくとも1個含
むものである。また、窒素原子とともに、ヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子を含むものであってもよい。
このようなRとして、具体的には、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、1,3,5-トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、インドリジン、イソインドール、3H-インドール、2H-ピロール、1H-インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、シンノリン、プテリジ
ン、カルボリン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジンからなる群から選ばれた含窒素芳香環構造を含む化合物およびこれらの誘導体の少なくとも1種に由来する構造を有する2価の有機基が挙げられる。Rは、これらの化合物に由来する含窒素芳香環構造が、前記式(1)の主鎖構造に組み込まれていることにより耐熱水性が向上する。
誘導体としては、含窒素芳香環構造に他の置換基を有するものが挙げられ、たとえば、以下の置換基が挙げられる。
Figure 2010010075
A、B、およびR11〜R16は、前記したものと同じものが挙げられる。
Rとしては、1,3,5-トリアジン、ピリジンからなる含窒素芳香環構造が好ましい。また、誘導体となっている場合、下記構造が望ましい。
Figure 2010010075
01は、下記式(1a)および上記Rで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
Figure 2010010075
式(1a)中、Dは上記式(1)と同義である。R1〜R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。これらの基の具体例は前記した通りである。
l、mは、0〜4の整数を示す。
lは1以上が好ましい。
n、pは、各ユニットの組成比を示し、n+p=1である。ただし、n、pはともに0で
はない。
qは、正の整数である。なお、上限は通常100、好ましくは1〜80である。
このような構成単位として具体的には、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010010075
(式(2)中、A、R、l、n、pおよびqは、式(1)の場合と同様である。Pは、下記式(3-1)〜(3-3)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、H02は、PおよびRで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。)
構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
Figure 2010010075
スルホン酸基を有する構成単位
本発明の共重合体は、さらに下記一般式(A)で表されるスルホン酸基を有する構成単
位(スルホン酸ユニット)を含むものである。より好ましくは、式(1)で表される構成
単位と、式(A)で表されるスルホン酸基を有さない構成単位(疎水性ユニット)とを含
み、下記一般式(6)で表される共重合体である。
Figure 2010010075
一般式(A)において、Yは−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち、−CO−、−SO2−が好ましい。構成単位
の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。
Zは直接結合または、−(CH2)l−(lは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、
−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。このうち直接結合、−O−が好ましい。
Arは−SO3Hまたは−O(CH2)hSO3Hまたは−O(CF2)hSO3Hで表される置
換基(hは1〜12の整数を示す)を有する芳香族基を示す。芳香族基として具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの基のうち、フェニル基、ナフチル基が好ましい。芳香族基は前記した−SO3Hまたは
−O(CH2)hSO3Hまたは−O(CF2)hSO3Hで表される置換基で、少なくとも1個置換されていることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上置換していることが好ましい。
jは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、hは0〜10、好ましくは0〜2の整数であり、kは1〜4の整数を示す。
j、hの値とY、Z、Arの構造についての好ましい組み合わせとして、
(1)j=0、h=0であり、Yは−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有
するフェニル基である構造、
(2)j=1、h=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基と
して−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)j=1、h=1、k=1であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが
置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)j=1、h=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基と
して2個の−SO3Hを有するナフチル基である構造、
(5)j=1、h=0であり、Yは−CO−であり、Zは−O−であり、Arが置換基と
して−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造などを挙げることができる。
[スルホン化ポリアリーレンの構造]
本発明で使用されるスルホン化ポリアリーレンは、前記側鎖および主鎖を含むものであり、具体的には、前記一般式(1)、(A)で表される構成単位を含むものであり、下記式(6)で表される。
Figure 2010010075
一般式(6)において、A、B、D、R、Y、Z、Ar、k、j、h、l、m、n、p
、qおよびH01は、前記した通りである。x、yはx+y=100モル%とした場合のモル比を示す。なお、各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。
本発明の重合体は、式(A)で表される構成単位すなわちxのユニットを0.5〜99.9モル%、好ましくは10〜99.5モル%の割合で、式(1)で表される構成単位すなわちsのユニットを0.1〜99.5モル%、好ましくは0.5〜89.5モル%を含有している。
また、式(A)で表される構成単位すなわちxのユニットに対する、式(1)で表される構成単位すなわちyのユニットの割合は、0.001モル%〜50モル%であり、好ま
しくは、0.1モル%〜30モル%であり、さらに好ましくは、1モル%〜25モル%である。
本発明に係る重合体のイオン交換容量は通常0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。イオン交換容量がこの0.3〜5meq/gにあれば、プロトン伝導度が高いために、発電性能が高く、しかも、耐水性にも優れている。
上記のイオン交換容量は、構造単位(1)および構成単位(A)の種類、使用割合、組み合わせを変えることにより、調整することができる。したがって重合時に構成単位(1)および(A)を誘導する前駆体(モノマー・オリゴマー)の仕込み量比、種類を変えれば調整することができる。
概して構造単位(A)が多くなるとイオン交換容量が増え、プロトン伝導性が高くなるが、耐水性が低下する。一方、構造単位(A)が少なくなると、イオン交換容量が小さくなり、耐水性が高まるが、プロトン伝導性が低下する。
構造単位(1)を含んでいると、従来具備していたイオン伝導性や強度などの特性とともに、耐久性が高く、化学的安定性をも向上できる。
本発明は、含窒素芳香環構造を、スルホン酸基を有する側鎖ではなくポリアリーレンの主鎖構造中に導入することによって、高いプロトン伝導性を維持しつつ、耐熱水性と科学
的安定性を改善したものである。
その結果、本発明の共重合体は、スルホン酸基の導入量を容易に制御することができる。得られるスルホン酸基含有共重合体は、伝導膜として、広い温度範囲にわたって高いプロトン伝導性を有し、脆くなく、強度において優れている。
本発明で使用されるスルホン化ポリアリーレンの分子量は、ゲル・パーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)法によって、臭化リチウムおよび燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用いて40℃で測定され、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が0.5万〜50万、好ましくは1万〜40万であり、重量平均分子量(Mw)が1万〜100万、好ましくは2万〜80万である。
[ポリアリーレン系共重合体の製造方法]
スルホン酸基を有するポリアリーレン系重合体の製造には、例えば下記に示すA法、B法、C法の3通りの方法を用いることができる。
(A法)
例えば、特開2004−137444号公報に記載の方法と同様に、下記一般式(A’)で表されるモノマー、下記一般式(B')で表されるモノマーを共重合させ、スルホン酸
エステル基を有する重合体を製造し、このスルホン酸エステル基を脱エステル化して、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換することにより合成することができる。
モノマー(A’)
Figure 2010010075
Xは塩素原子、臭素原子および−OSO2Rb(ここで、Rbはアルキル基、フッ素置
換アルキル基またはアリール基を示す)から選ばれる原子または基を示す。Y,Z,Ar,m,n、kは一般式(A)と同じであり、Raは炭素数4〜12のアルキル基を示す。
一般式(A’)で表される化合物の具体的な例としては、下記一般式で表される化合物、特開2004−137444号公報、特開2004−345997号公報、特開2004−346163号公報に記載されているスルホン酸エステル類を挙げることができる。
Figure 2010010075
Figure 2010010075
一般式(A’)で表される化合物において、スルホン酸エステル構造は、通常、芳香族環のメタ位に結合している。
モノマー(B’)
モノマー(B')は、下記一般式(1')で表される本発明に係る芳香族化合物である。
Figure 2010010075
式(1')中、A、B、D、R1〜R16、R、l、m、n、p、q、およびH01は、前記式(1)と同義である。
Xは、フッ素を除くハロゲン原子を示し、具体的には、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
このような芳香族化合物は、好ましくは下記式(2')で表されるものである
Figure 2010010075
式(2')中、A、X、R、l、n、pおよびqは、式(1')の場合と同様である。
Pは、下記式(3-1)〜(3-3)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、H02は、PおよびRで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
Figure 2010010075
このような芳香族化合物としては、以下のものが例示される。
Figure 2010010075
スルホン化ポリアリーレンの重合方法
本発明で使用されるスルホン化ポリアリーレンを得るためには、まず上記モノマー(A')、モノマー(B')を共重合させ、前駆体を得る。
この共重合は、触媒の存在下に行われるが、この際、使用される触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系であり、この触媒系としては、(1)遷移金属塩および配位子となる化合物
(以下、「配位子成分」という。)、または配位子が配位された遷移金属錯体(銅塩を含む)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
これらの触媒成分の具体例、各成分の使用割合、反応溶媒、濃度、温度、時間等の重合条件としては、特開2001−342241号公報に記載の化合物および条件を採用することができる。
たとえば、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好適に使用され、また、配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフ
ィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2,2′−ビピリジンなどが好適に使用される。さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、塩化ニッケルビス(トリフェニルホスフィン)、塩化ニッケル(2,2′ビピリジン)が好適に使用される。還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マグネシウム、マンガンが好ましい。「塩」としては、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。反応には重合溶媒を使用してもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドンなどが好適に使用される。
触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。この範囲にあれば、触媒活性が高く、また分子量も高く重合することが可能である。触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、モノマーの総計1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。かかる範囲であれば、重合速度を上げる効果が充分となる。重合溶媒中におけるモノマーの総計の濃度は、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜40重量%である。また、本発明の重合体を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜100℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
次いで、得られた重合体を加水分解して、構成単位中のスルホン酸エステル基(−SO3R)をスルホン酸基(−SO3H)に転換する。
加水分解は、(1)少量の塩酸を含む過剰量の水またはアルコールに、上記スルホン酸エステル基を有する重合体を投入し、5分間以上撹拌する方法、(2)トリフルオロ酢酸中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜120℃程度の温度で5〜10時間程度反応させる方法、(3)重合体中のスルホン酸エステル基(−SO3R)1モルに
対して1〜3倍モルのリチウムブロマイドを含む溶液、例えばN−メチルピロリドンなどの溶液中で上記スルホン酸エステル基を有する重合体を80〜150℃程度の温度で3〜10時間程度反応させた後、塩酸を添加する方法などにより行うことができる。
(B法)
例えば、特開2001−342241号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A')
で表される骨格を有するが、スルホン酸基、スルホン酸エステル基を有しないモノマーと、上記モノマー(B')とを共重合させ、この重合体を、スルホン化剤を用いて、スルホ
ン化することにより合成することもできる。
B法において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうるスルホン酸基、またはスルホン酸エステル基を有しないモノマーの具体的な例として、特開2001−342241号公報、特開2002−293889号公報に記載されているジハ
ロゲン化物を挙げることができる。
(C法)
一般式(A)において、Arが−O(CH2)hSO3Hまたは−O(CF2)hSO3Hで表される置換基を有する芳香族基である場合には、例えば、特開2005−606254号公報に記載の方法と同様に、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーと、上記一般式(1)で表される構造単位となりうるモノマー、またはオリゴマーとを共重合させ、次にアルキルスルホン酸またはフッ素置換されたアルキルスルホン酸を導入する方法で合成することもできる。
(C法)において用いることのできる、上記一般式(A)で表される構造単位となりうる前駆体のモノマーの具体的な例として、特開2005−36125号公報に記載されているジハロゲン化物を挙げることができる。具体的には、2,5−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジクロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジクロロ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンをあげることができる。またこれらの化合物のヒドロキシル基をテトラヒドロピラニル基などで保護した化合物をあげることができる。またヒドロキシル基がチオール基にかわったもの、塩素原子が、臭素原子、ヨウ素原子におきかわったものもあげることができる。
(C法)では前駆体の重合体(スルホン酸基を有さない)に、特開2005-60625号
公報に記載の方法で、アルキルスルホン酸基を導入する方法。例えば、前駆体の重合体のヒドロキシル基と、プロパンスルトン、ブタンスルトンなどを反応させることで導入することができる。
<添加剤>
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質は、上記スルホン化ポリマー以外に、酸化防止剤、硫酸、リン酸などの無機酸、リン酸ガラス、タングステン酸、リン酸塩水和物、β-アルミナプロトン置換体、プロトン導入酸化物等の無機プロトン伝導体粒子、カルボ
ン酸を含む有機酸、スルホン酸を含む有機酸、ホスホン酸を含む有機酸、適量の水などを添加されていてもよい。
上記酸化防止剤としては、分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物が好ましい。このような酸化防止剤を含有することにより、電解質としての耐久性をより向上させることができる。
上記ヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(
3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 245)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 259)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン(商品名:IRGANOX 565)、ペンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1035)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート)(商品名:IRGANOX 1076)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(IRGAONOX 1098)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン(商品名:IRGANOX 1330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)−イソシアヌレイト(商品名:IRGANOX 3114)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer G
A-80)などを挙げることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質に添加される添加剤の量は、特に限定されず、電極電解質に要求される酸化耐性、プロトン伝導性、強度および弾性率などに応じて、最適な量を用いればよい。たとえば、上記スルホン化ポリアリーレン100重量部に対して、添加剤の全重量が0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部の範囲で添加することが望ましい。また、添加剤は単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極電解質は、上記した重合体を含むものであればよく、このため、上記重合体のみから構成されるものであっても、さらに他の電解質を含んでいてもよい。他の電解質としては、従来より用いられていたNafion、Flemion、Aciplexに代表されるパーフルオロカーボン重合体、ポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子に、スルホン酸基またはリン酸基を導入したポリマーなどの有機系ポリマーが挙げられる。他の電解質を含む場合、その使用割合は、全電極電解質中に50重量%以下、好適には30重量%以下であることが望ましい。
〔電極ペーストおよび電極ワニス〕
本発明の電極ワニスは上記固体高分子型燃料電池用電極電解質が溶媒中に分散ないし溶解したものであり、電極ペーストは、上記固体高分子型燃料電池用電極電解質、触媒粒子および溶媒を含むペーストであり、これらには必要に応じて分散剤、炭素繊維などの他の成分を含んでいてもよい。
<触媒粒子>
触媒粒子は、触媒が、カーボン、金属酸化物の担体に担持されたもの、または、触媒の単体からなる。
触媒としては、白金または白金合金が用いられる。白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。このような白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、コバルト、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズから選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属との金属間化合物が含有されていてもよい。
触媒は、単体でも、担体に担持された状態でも、触媒粒子を形成している。上記触媒を担持する担体としては、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが、電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。また、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などを用いてもよい。
上記オイルファーネスブラックとしては、キャボット社製「バルカンXC−72」、「バルカンP」、「ブラックパールズ880」、「ブラックパールズ1100」、「ブラックパールズ1300」、「ブラックパールズ2000」、「リーガル400」、ライオン社製「ケッチェンブラックEC」、三菱化学社製「#3150、#3250」などが挙げられる。また、上記アセチレンブラックとしては電気化学工業社製「デンカブラック」などが挙げられる。
これらのカーボンの形態としては、粒子状のほか、繊維状も用いることができる。また、カーボンに担持される触媒の量としては、有効に触媒活性が発揮できる量であれば特に制限されるものではないが、担持量がカーボン重量に対して、0.1〜9.0g-metal/g-carbon、好ましくは0.25〜2.4g-metal/g-carbonの範囲である。
また、担体としては、カーボンの他に、金属酸化物、たとえば、チタニア、酸化亜鉛、シリカ、セリア、アルミナ、アルミナスピネル、マグネシア、ジルコニアなどであってもよい。
<溶媒>
本発明の電極ワニス、電極ペーストに用いられる溶媒としては、上記固体高分子型燃料電池用電極電解質を溶解または分散する溶媒であればよく、特に限定されるものではない。また、1種類単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒等の電極材料と混合してペーストを作製する前に、電極電解質を下記溶媒に溶解したワニスを調製しておくとハンドリングが容易になる。
具体的には、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル1−プロパノール、シクロヘキサノール
、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタールなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタノンなどのケトン類;γー
ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類;ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素などの非プロトン性極性溶媒;トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系溶媒などが挙げられる。
上記溶媒のうち、特に水の混合溶媒系でプロトン伝導膜の貧溶媒であるものが望ましい。上記固体高分子型燃料電池用電極電解質と溶媒系の組み合わせではプロトン伝導膜への電極ペーストが塗工可能なためMEAの大量生産に好適である。水と併用する好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジイソプロピルエーテル、ジ−n
−プロピルエーテル、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、γーブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、3−メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド
、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが好適に使用できる。混合溶媒は、1種の溶媒と水、もしくは複数の溶媒と水を混合しても良い。
<分散剤>
本発明の電極ペーストやワニスには、必要に応じてさらに分散剤を添加してもよい。このような分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としては、たとえば、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成燐酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、たとえば、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、たとえば、ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω−フルオロアクカノイル−N−エ
チルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンス
ルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタインなどが挙げられる。
上記非イオン界面活性剤としては、たとえば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2
型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)
、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記界面活性剤は、1種単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記界面活性剤の中では、好ましくは塩基性基を有する界面活性剤、より好ましくはアニオン性もしくはカチオン性の界面活性剤、さらに好ましくは、分子量5千〜3万の界面活性剤である。
本発明の電極ペーストやワニスに上記分散剤を添加すると、発電特性、保存安定性および流動性に優れ、塗工時の生産性が向上する。
<炭素繊維>
本発明の電極ペーストには、必要に応じてさらに炭素繊維を添加することができる。このような炭素繊維しては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維等を用いることができ、好ましくは、気相成長炭素繊維である。
電極ペーストに炭素繊維を添加すると、電極中の細孔容積が増加することにより、燃料ガスや酸素ガスの拡散性が向上し、また、生成する水によるフラッディング等を改善でき、発電性能が向上する。
<その他の添加物>
本発明の電極ペーストやワニスには、必要に応じてさらに他の成分を添加することができる。たとえば、フッ素系ポリマーやシリコン系ポリマーなどの撥水剤を添加してもよい。撥水剤は生成する水を効率よく排出する効果を奏し、発電性能の向上に寄与する。
<組成>
本発明の電極ペースト全量に対して、触媒粒子の含有量は1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%であり、固体高分子型燃料電池用電極電解質の含有量は0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%であり、溶媒の含有量は50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%である。また、必要に応じて用いられる分散剤の含有量は0〜10重量%、好ましくは0〜2重量%であり、炭素繊維の含有量は0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。なお、上記成分の含有量の合計が、100重量%を超えることはない。
上記触媒粒子の含有量が、1〜20重量%の範囲内であれば電極反応率を高くでき、また電極ペーストの粘度が高すぎることもないので、塗工時に塗りむらの発生も抑制される。
また、上記固体高分子型燃料電池用電極電解質の含有量が、0.5〜30重量%の範囲内であれば、プロトン伝導度が高いものが得られ、かつ、固体高分子型燃料電池用電極電解質自体がバインダーとしての役割を果たすために、電極を容易に作製でき、しかも、電極中の細孔容積を高く維持できる。
上記溶媒の含有量が、50〜95重量%の範囲内にあると、発電に必要な電極中の細孔容積が十分確保できるとともに、ペーストやワニスとしてのハンドリングに好適である。
上記分散剤の含有量が、0〜10重量%の範囲内にあると、保存安定性に優れた電極ペーストや電極ペーストが得られる。
上記炭素繊維の含有量が、0〜20重量%の範囲内にあると、電極中の細孔容積の増加効果が低くなり、上記範囲を超えると、電極反応率が低下することがある。
<ペーストおよびワニスの調製>
本発明の電極ペースト及び電極ワニスは、たとえば、上記各成分を上記含有量となるように混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。
各成分の混合順序は特に限定されないが、たとえば、全ての成分を混合して一定時間攪拌を行うか、分散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤を添加してさらに一定時間攪拌を行うことが好ましい。また、必要に応じて、溶媒の量を調整して、ペーストの粘度を調整してもよい。
〔燃料電池用電極〕
本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極は、上記電極ペーストを転写基材上に塗布し、溶媒を除去することにより得られる。すなわち、本発明の電極は、上記本発明の固体高分子型燃料電池用電極電解質および上記触媒粒子を含む。
上記転写基材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーからなるシート、または、表面を離型剤処理したガラス板、金属板、ポリエチレンテレフタレート(PET)のシートなども用いることができる。
電極ペーストを転写基材上に塗布する方法としては、刷毛塗り、筆塗り、バーコーター塗布、ナイフコーター塗布、ドクターブレード法、スクリーン印刷、スプレー塗布などがある。
また、上記固体高分子型燃料電池用電極電解質を含む電極ペーストを直接、プロトン伝導膜もしくはガス拡散層、カーボンペーパーに塗工してもよい。
〔膜−電極接合体〕
本発明の膜−電極接合体(以下「MEA」ともいう)では、上記電極が固体高分子電解質膜の少なくとも片面に備えられており、上記転写基材上に形成された電極層を、該電解質膜の少なくとも片面、好ましくは両面に転写することにより得られる。
該固体高分子電解質膜としては、プロトン伝導性の固体高分子膜であれば、特に限定されることなく用いることができる。たとえば、Nafion(DuPont社製)、Flemion(旭硝子製)
、Aciplex(旭化成製)などのパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーからなる電解質膜
;パーフルオロアルキルスルホン酸ポリマーに、ポリテトラフルオロエチレンの繊維や多孔質膜と複合化した補強型電解質膜;ポリテトラフルオロエチレングラフトスルホン化ポリスチレンなどの部分フッ素化スルホン化ポリマーからなる電解質膜;スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルニトリル、スルホン化ポリフェニレンエーテル、スルホン化ポリフェニレンスルフィド、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホ
ン化ポリベンズオキサゾール、スルホン化ポリベンズチアゾールなどの芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜;スルホン化ポリスチレン、スルホン酸含有アクリル系ポリマーなどの脂肪族スルホン化ポリマーからなる電解質膜;これらを多孔質膜と複合化した細孔フィリング型電解質膜;ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾールなどのポリマーにリン酸や硫酸などを含浸させた酸含浸型ポリマーからなる電解質膜などが挙げられる。これらの中では、芳香族スルホン化ポリマーからなる電解質膜が好ましい。
また、固体高分子型燃料電池を製造する場合には、優れたプロトン伝導性と熱水耐性、加工性とを有するため、上述した構成単位(1)、と(A)を含むスルホン化ポリアリーレン
から得られる固体高分子型燃料電池用電極電解質と上記固体高分子電解質膜とが好適に用いられる。
上記電極層の電解質膜への転写は、ホットプレス法により行うことができる。ホットプレス法は、カーボンペーパーまたは離型シートに電極ペーストを塗布し、電極ペースト塗布面と電解質膜とを圧着する方法である。ホットプレスは、通常、50〜250℃の温度範囲で1〜180分間、10〜500kg/cm2の圧力をかけて行う。
本発明のMEAを得るための別の方法として、プロトン伝導膜もしくはガス拡散層、カーボンペーパー上に直接、電極層を形成した後、MEAを作製してよい。このとき、塗布や乾燥の順序に特に制限はない。
たとえば、PETフィルム等の基材上に、高分子電解質溶液を塗布して乾燥することにより電解質膜を形成した後、該電解質膜上に上記電極ペーストを塗布し、乾燥して溶媒を除去することにより電極層を形成する。次に、上記基材をはがして、電解質膜のもう一方の面に電極ペーストを塗布し、溶媒を除去することにより、電解質膜の両面に電極層が形成されたMEAが得られる。
電極層の厚さは、特に制限されるものではないが、触媒として担持された金属が、単位面積あたり、0.05〜4.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3.0mg/cm2の範囲で電極層中に存在することが望ましい。この範囲にあれば、十分に高い触媒活性が発揮され、また効率的にプロトンを伝導することができる。
電極層の細孔容積は、0.05〜4.0ml/g、好ましくは0.1〜3.0ml/gの範囲にあることが望ましい。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、得られた電極電解質ポリマーの特性評価は、得られたスルホン化ポリアリーレンをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解し、15重量%NMP溶液を調製した後、ガラス板上にキャストして作製した。膜厚は40μmであった。
(分子量)
上記化合物(D)の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲル・パーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)法によって、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として40℃で測定し、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
上記スルホン化ポリアリーレンの重量平均分子量は、ゲル・パーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)法によって、臭化リチウムおよび燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒として用いて40℃で測定し、ポリスチレン換算の分子量を求め
た。
(イオン交換容量)
得られたスルホン化ポリマーの水洗水がpH4〜6になるまで洗浄して、フリーの残存している酸を除去後、十分に洗浄し、乾燥後、所定量を秤量し、THF/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液にて滴定し、中和点からイオン交換容量を求めた。
[合成例A1:含窒素芳香族構造を有しない芳香族化合物の比較合成例]
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン52.2g(145mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン52.2g(155mmol)、炭酸カリウム27.7g(201mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン180mL、トルエン90mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、4時間攪拌を続けた後、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン17.8g(62mmol)を加え、さらに4時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン150mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2.4Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解し、これをメタノール2.4Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、疎水性ユニット73.5gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は10,000であった。また得られた化合物は、NMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は下記式(V):
Figure 2010010075
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは、19である。
[合成例A2:含窒素芳香族構造を有しない芳香族化合物の比較合成例]
合成例A1で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに4,4'-ジクロロベンゾフェノン38.9g(155mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン48.8g(145mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加4,4'-ジクロロベンゾフェノン12
.9g(58mmol)、を使用し、反応は合成例A1と同様に行った。その結果目的の
重合体 67.5g(93%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は12,000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であった。
得られた重合体は下記式(VI):
Figure 2010010075
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは、23である。
[合成例A3:含窒素芳香族構造を有しない芳香族化合物の比較合成例]
合成例A1で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに2,6-ジクロロベンゾニトリル47.5g(141mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン48.8g(159mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加2,6-ジクロロベンゾニトリル18
.2g(106mmol)を使用し、反応は合成例A1と同様に行った。その結果目的の
重合体 67.5g(93%)を得た。
得られた重合体のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は9,000であった。また、得られた重合体はNMP、THFに可溶であった。
得られた重合体は下記式(VII):
Figure 2010010075
で表される構造を有することが推定される。ここで、qは、20である。
[合成例B1:含窒素芳香族構造を有する芳香族化合物の合成]
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管、冷却管をとりつけた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロピリジン5.39g(36mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン51.9g(154mmol)、炭酸カリウム27.7g(201mmol)をはかりとった。窒素置換後、スルホラン180mL、トルエン90mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、4時間攪拌を続けた後、4,4’−ジクロ
ロジフェニルスルホン31.4g(109mmol)を加え4時間反応させ、4,4’−
ジクロロジフェニルスルホン14.8g(51mmol)を加え、さらに4時間反応させた。
反応液を放冷後、トルエン150mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2.4Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解し、これをメタノール2.4Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的の化合物73.5gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は12,000であった。また得られた化合物は、NMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、NMRによる構造解析の結果、下記式(I):
Figure 2010010075
で表されるオリゴマーであった。ここで、nとpとのモル比率は、nが0.25、pが0.75、繰返し数qは30である。
[合成例B2:含窒素芳香族構造を有する芳香族化合物の合成]
合成例B1で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに4,4'-ジクロロベンゾフェノン29.1g(116mmol)、2,6−ジクロロピリジン5.71g(
39mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパン49.0g(146mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加4,4'-ジクロロベンゾフェノン12.9g(51mmol)、を使
用した他は合成例B1と同様にして芳香族化合物を調製した。その結果目的の化合物 67.5g(93%)を得た。
得られた化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は10,000であった。また、得られた化合物はNMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、1H-NMRによる構造解析の結果、下記式(II):
Figure 2010010075
で表される構造であった。ここで、nは0.25、pは0.75、qは30である。
[合成例B3:含窒素芳香族構造を有する芳香族化合物の合成]
合成例B1で用いた4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの代わりに2,6−ジクロ
ロベンゾニトリル(DBN) 19.9g(0.116mol)、2,6−ジクロロピリジ
ン(DPy)5.71g(39mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(Bis−AF)49.0g(146mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加2,6−ジクロロベンゾニトリル8.9g(51mmol)、を使用した他は合成例B1と同様にして芳香族化合物
を調製した。その結果目的の化合物 60.0g(90%)を得た。
得られた化合物のGPC(THF溶媒)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は15,000であった。また、得られた化合物はNMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、1H-NMRによる構造解析の結果、下記式(III):
Figure 2010010075
で表される構造を有することであった。ここで、nとpとのモル比率は、nは0.25、pは0.75、繰返し数qは35である。図1に、得られた化合物の1H-NMR構造解析結果
を示す。
合成例B3では、組成比を以下のように変化させたものも合成した。(それぞれ合成例B3−1、3−2、3−3という)
Figure 2010010075
[合成例B4:含窒素芳香族構造を有する芳香族化合物の合成]
合成例B3で用いた2,6−ジクロロピリジンの代わりに2,6-ジクロロ‐3‐フェノキシ-s-トリアジン9.34g(39mmol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル 1
9.9g(0.116mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン49.0g(146mmol)、炭酸カリウム26.2g(189mmol)、追加2,6−ジクロロベンゾニトリル8.9g(51mmol)、を使用した他は合成例B1と同様にして芳香族化合物を調製した。反応液を放冷
後、トルエン150mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液を1N塩酸MeOH溶液2.4Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン300mLに溶解し、これをMeOH2.4Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過、乾燥し、目的の化合物55.0g(80%)を得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は12,000であった。また得られた化合物は、NMP、THFに可溶であった。
得られた化合物は、1H-NMRによる構造解析の結果、下記式(IV):
Figure 2010010075
で表される構造を有することであった。ここで、nとpとのモル比率は、nは0.25、pは0.75、繰返し数qは26である。
[実施例1]
(ポリアリーレン共重合体の合成)
合成例B1で得られたオリゴマー 9.06g(0.9mmol)、3−(2,5−ジク
ロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチルエステル 19.7g(49.1mm
ol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド 1.31g(2.0mm
ol)、ヨウ化ナトリウム 0.22g(1.5mmol)、トリフェニルホスフィン 5.25g(20.0mmol)、および亜鉛末 7.84g(120mmol)を300
mLのセパラブルフラスコに加え、乾燥窒素置換した。次いで、N−メチル−2−ピロリ
ドン90mlをフラスコに加え、80℃に加熱し、攪拌しながら4時間重合を行った。
得られた重合溶液をNMPで希釈した後、セライトを濾過助剤に用いて濾過し、濾液を大過剰のメタノール500mlに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して風乾し、さらにNMP 200mlに再溶解し、大過剰のメタノール 1500mlに注いで凝固、析出させた。この凝固物を濾集して真空乾燥し、目的のポリアリーレン共重合体22.7g(90%)を得た。GPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は36,000、重量平均分子量は130,000であった。
(スルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体の合成)
上記重合体20g、リチウムブロマイド 7.5g(スルホン酸エステル基に対して2
当量を攪拌装置、温度計を取り付けた300mlのセパラブルフラスコに加える。次いでN−メチル−2−ピロリドン 160mlを加え、窒素気雰囲気化にて130℃で8時間
攪拌した。得られた溶液を大量のアセトンの中に注ぎ入れ、重合体を沈殿させた。沈殿物を濾過後、10%塩酸水で二回洗浄し、次いで、洗浄水のpHが5になるまでイオン交換水で重合体の洗浄を繰り返した後、乾燥して17g(収率90%)のスルホン酸基含有重合体を得た。このスルホン酸を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は40,000、重量平均分子量は155,000であり、スルホン酸当量は2.22meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式V:
Figure 2010010075
で表される構造を有する。ここで、nとpとのモル比率は、nが0.25、pが0.75であり、繰返し数qは24であり、構成単位(A)の割合rは98.6モル%、構成単位
(1)の割合sは1.4モル%である。
[実施例2]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例B2で得られたオリゴマー 9.04g(0.8mmol)を使用した以外は合成例B1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は43,000、重量平均分子量は162,000であり、スルホン酸当量は2.18meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式VI:
Figure 2010010075
で表される構造を有する。ここで、nとpとのモル比率は、nが0.25、pが0.75、繰返し数qは20であり、構成単位(A)の割合rは98.3モル%、構成単位(1)
の割合sは1.7モル%である。
[実施例3]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例B3−1で得られたオリゴマー 9.04g(0.6mmol)を使用した以外は合成例B1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は57,000、重量平均分子量は190,000であり、スルホン酸当量は2.25meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式VIIで表される構造を有する。式VIIにおいて、nとpとのモル比率は、nが0.25、pが0.75であり、繰返し数qは20であり、構成単位(A)の割合rは98.
9モル%、構成単位(1)の割合sは1.1モル%である。
[実施例4]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例B3−2で得られたオリゴマー9.04g(0.6mmol)を使用した以外は、合成例B1と同様にし
てスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は63,000、重量平均分子量は210,000であり、スルホン酸当量は2.35meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式VIIで表される構造を有する。式VIIにおいて、nとpとのモル比率は、nが0.85、pが0.15、繰返し数qは32であり、構成単位(A)の割合rは99.0モ
ル%、構成単位(1)の割合sは1.0モル%である。
[実施例5]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例B3−3で得られたオリゴマー9.04g(0.6mmol)を使用した以外は、合成例B1と同様にし
てスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は25,000、重量平均分子量は103,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。
得られたスルホン酸基を有するポリマーは下記式VII:
Figure 2010010075
で表される構造を有する。ここで、nとpとのモル比率は、nが0.5、pが0.5であり、繰返し数qは15であり、構成単位(A)の割合rは97.2モル%、構成単位(1)の割合sは2.8モル%である。
[実施例6]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例B4で得られたオリゴマー9.06g(0.9mmol)を使用した以外は、合成例B1と同様にしてス
ルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリス
チレン換算の数平均分子量は25,000、重量平均分子量は103,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式VIII:
Figure 2010010075
で表される構造を有する。ここで、nとpとのモル比率は、nが0.25、pが0.75、繰返し数qは26であり、構成単位(A)の割合rは98.6モル%、構成単位(1)
の割合sは1.4モル%である。
[比較例C1]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例A1で得られたオリゴマー 9.04g(0.9mmol)を使用した以外は合成例B1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は63,000、重量平均分子量は180,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式IX:
Figure 2010010075
で表される構造を有することが推定される。ここで、繰返し数qは18であり、スルホン酸基を含む単位の割合rは98.3モル%、ポリアリーレンを含む単位の割合sは1.7モル%である。
[比較例C2]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例A2で得られたオリゴマー 9.06g(0.8mmol)を使用した以外は合成例B1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は73,000、重量平均分子量は210,000であり、スルホン酸当量は2.20meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式X:
Figure 2010010075
で表される構造を有することが推定される。ここで、繰返し数qは19であり、スルホン酸基を含む単位の割合rは98.6モル%、ポリアリーレンを含む単位の割合sは1.4モル%である。
[比較例C3]
実施例1において、合成例B1で得られたオリゴマーの代わりに、合成例A3で得られたオリゴマー 9.03g(1.0mmol)を使用した以外は合成例B1と同様にしてスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体を製造した。その結果、得られたスルホン酸基を有するポリアリーレンブロック共重合体のGPC(NMP)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量は54,000、重量平均分子量は183,000であり、スルホン酸当量は2.22meq/gであった。得られたスルホン酸基を有するポリマーは、下記式XI:
Figure 2010010075
で表される構造を有することが推定される。ここで、繰返し数qは20、スルホン酸基を含む単位の割合rは98.1モル%、ポリアリーレンを含む単位の割合sは1.9モル%である。
(プロトン伝導膜の評価)
上記実施例1〜6および比較例C1〜C3で得られたプロトン伝導膜を用い、それぞれのスルホン化重合体のスルホン酸当量を求めた。結果を下記実施例7〜12および比較例D1〜D3の評価とともに表2に示す。
[実施例7]
(電極用ペーストの調製)
50mlのガラス瓶に直径10mmのジルコニアボール(商品名:YTZボール、株式会社ニッカトー製)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(Pt:46重量%担持、(田中貴金属工業株式会社製:TEC10E50E)1.51g、蒸留水0.88g、実施例1で合成
したスルホン化重合体の15%水−1,2−ジメトキシエタン溶液(重量比10:90)3.23g、1,2−ジメトキシエタン13.97gを加え、ウエーブローターで60分間攪拌し、粘度50cp(25℃)のペーストを得た。
(ガス拡散層の作製)
カーボンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とを、カーボンブラ
ック:PTFE粒子=4:6の重量比で混合し、得られた混合物をエチレングリコールに均一に分散させたスラリーをカーボンペーパーの片面に塗布し、乾燥させて下地層とし、該下地層とカーボンペーパーとからなる拡散層を作製した。
(ガス拡散電極の作製)
上記で作製した拡散層上に、前記電極用ペーストを白金塗布量が0.5mg/cm2
なるようにドクターブレードを用いて塗布した。これを95℃で10分間加熱乾燥し、ガス拡散電極層を作成した。
(膜−電極接合体の作製)
比較例4で得られたスルホン化ポリマーからなる電解質膜(膜厚30μm)を1枚用意し、上記で作製した一対のガス拡散電極層で挟み、圧力100kg/cm2下で、160
℃×15minの条件でホットプレス成形して、膜−電極接合体を作成した。
[実施例8〜12]
実施例7における電極ペースト作成時のスルホン化ポリマーをそれぞれ実施例2〜6で得られたスルホン化ポリマーに変更した他は実施例7と同様にして、膜−電極接合体を作成した。
[比較例D1〜D3]
実施例5における電極ペースト作成時のスルホン化ポリマーをそれぞれ比較例C1〜C3に変更した他は実施例5と同様にして、膜−電極接合体を作成した。
(電極電解質の化学耐久性評価)
発電試験
上記で得た膜―電極接合体の両側にガス流路を兼ねるセパレータを積層することにより、固体高分子型燃料電池を構成させた。これを単セルとして、一方を酸素極として空気を供給し、一方は燃料極として純水素を供給して発電させた。発電条件は、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量4L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量1L/minで初期発電特性評価を行った。電流密度1.0A/cm2時の出力
電圧を表2に示す。初期特性評価後、セル温度95℃、空気極側相対湿度75%、空気極側流量0.6L/min、燃料極側相対湿度40%、燃料極側流量0.2L/minで、電流密度を0.1A/cm2に保持し、1000時間連続発電を行った。1000時間発
電後、セルを解体し、膜−電極接合体を取り出した。
電極電解質の評価
上記取り出した膜−電極接合体を60℃の温水に12時間程度浸漬し、電解質膜から電極層を剥離した。剥離した電極層の電極部分を金属さじで削り取り、NMPを溶媒として電極電解質を抽出した後、真空乾燥にてNMPを留去して電極電解質を単離した。
単離された電極電解質をそれぞれGPCを用いて分子量測定し、発電試験前後の電解質の分子量を比較、保持率を算出した。保持率は下記式で求めた。
分子量保持率(%)=発電試験後の重量平均分子量/電極電解質に用いたスルホン化重
合体の重量平均分子量×100
得られた結果を表2にまとめた。
Figure 2010010075
表2に示された結果より、実施例7は比較例D1と、実施例8は比較例D2と、実施例9,10,11,12は比較例D3とをそれぞれ対比して、発電試験後の分子量保持率が高
く、化学的安定性に優れることがわかる。
合成例B3−1で得られた芳香族化合物の1H-NMR構造分析データを示す。 合成例B3−2で得られた芳香族化合物の1H-NMR構造分析データを示す。 合成例B3−3で得られた芳香族化合物の1H-NMR構造分析データを示す。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される構造を含むスルホン化ポリアリーレンを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極電解質;
    Figure 2010010075
    (式(1)中、A、Dは、独立に直接結合または、−CO−、−SO2−、−SO−、−
    CONH−、−COO−、−(CF2)a−(aは1〜10の整数である)、−(CH2)b−(bは1〜10の整数である)、−CR'2−(R'は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基
    およびハロゲン化炭化水素基を示す)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を示し、
    Bは独立に酸素原子または硫黄原子であり、
    1〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル
    基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。
    Rは、含窒素芳香環構造を含む2価の有機基を示す。
    01は、下記式(1a)および上記Rで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。
    l、mは、0〜4の整数を示す。
    n、pは、各ユニットの組成比を示し、n+p=1である。ただし、n、pはともに0で
    はない。
    qは、正の整数である。
    各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
    Figure 2010010075
    (式(1a)中Dは上記式(1)と同義である。R1〜R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部またはすべてがハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基、ニトリル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子または基を示す。mは0〜4の整数を示す。)
  2. 前記式(1)中、Rが、ピロール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、1,3,5−トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ブリン、テトラゾール、テトラジン、トリアゾール、カルバゾール、アクリジン、キノキサリン、キナゾリン、インドリジン、イソインドール、3H−インドール、2H−ピロール、1H−インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、シンノリン、プテリジン、カルボリン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、ピロリン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、イソインドリン、キヌクリジンからなる含窒素芳香環構造およびこれらの誘導体からなる群から選ば
    れた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を有することを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
  3. 前記式(1)中、Rが、1,3,5−トリアジン、ピリジンからなる含窒素芳香環構造およびこれらの誘導体からなる群から選ばれた化合物の少なくとも1種に由来する含窒素芳香環構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
  4. 前記式(1)で表される構造が、式(2)で表されることを特徴とする、、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質;
    Figure 2010010075
    (式(2)中、A、R、l、n、pおよびqは、式(1)の場合と同様である。Pは、下記式(3‐1)〜(3‐3)で表される構造から選ばれる少なくとも1種の構造であり、H02は、PおよびRで表される構造より選ばれた少なくとも1種の構造を示す。各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
    Figure 2010010075
  5. さらに下記式(A)で表される構成単位を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質。
    Figure 2010010075
    (式(A)中、Yは、−CO−、−SO2−、−SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)a−(aは1〜10の整数である)、−C(CF3)2−からなる群より選ばれた少な
    くとも1種の構造である。Zは、直接結合または、−(CH2)b−(bは1〜10の整数である)、−C(CH3)2−、−O−、−S−からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造である。Arは、−SO3Hまたは−O(CH2)cSO3Hまたは−O(CF2)cSO3Hで表
    される置換基を有する芳香族基である。cは、1〜12の整数であり、jは、0〜10の整数であり、hは、0〜10の整数であり、kは、1〜4の整数である。各構成単位の端部における単線のうち、一方に置換基が表示されていないものは隣り合う構成単位との接続を意味する。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質を含むことを
    特徴とする電極ワニス。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質と触媒粒子を
    含むことを特徴とする電極ペースト。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池用電極電解質と触媒粒子と
    を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極。
  9. 請求項8に記載の固体高分子型燃料電池用電極を、高分子電解質膜の少なくとも片面に備える膜−電極接合体。
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JP2011090884A (ja) * 2009-10-22 2011-05-06 Honda Motor Co Ltd 固体高分子型燃料電池用膜−電極構造体

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