JP7069686B2 - 膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体及び固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、膜電極接合体とこの膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池に関する技術である。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて、触媒を含む電極で水の電気分解の逆反応を起こさせ、熱と同時に電気を生み出す発電システムである。この発電システムは、従来の発電方式と比較して高効率で低環境負荷、低騒音などの特徴を有し、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。燃料電池は、用いるイオン伝導体の種類によってタイプがいくつかあり、プロトン伝導性高分子膜を用いた電池は、固体高分子形燃料電池と呼ばれる。
燃料電池の中でも固体高分子形燃料電池は、室温付近で使用可能なことから、車載用電源や家庭据置用電源などへの使用が有望視されており、近年、様々な研究開発が行われている。固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面に一対の電極触媒層を配置させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAと称すことがある)を、一対のセパレータ板で挟持した電池である。
一方のセパレータ板には、一対の電極の一方に水素を含有する燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されており、他方のセパレータ板には、一対の電極の他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成されている。
ここで、燃料ガスが供給される電極を燃料極、酸化剤ガスが供給される電極を空気極とする。これらの電極は、高分子電解質と白金系の貴金属などの触媒を担持したカーボン粒子とを積層してなる電極触媒層、及びガス通気性と電子伝導性とを兼ね備えたガス拡散層を備えている。また、これらの電極は、ガス拡散層がセパレータと対向するように配置されている。
電極触媒層に対しては、燃料電池の出力密度を向上させるため、ガス拡散性を高める取り組みがなされてきた。電極触媒層中の細孔は、セパレータ板からガス拡散層を通じた先に位置し、複数の物質を輸送する通路の役割を果たす。燃料極は、酸化還元の反応場である三相界面に燃料ガスを円滑に供給するだけでなく、生成したプロトンを高分子電解質膜内で円滑に伝導させるための水を供給する機能を果たす。空気極は、酸化剤ガスの供給と共に、電極反応で生成した水を円滑に除去する機能を果たす。
固体高分子形燃料電池では、燃料極及び空気極における物質輸送の妨げにより発電反応が停止する、いわゆる「フラッディング」と呼ばれる現象を防止するため、これまで排水性を高める構成が検討されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4を参照)。
また、固体高分子形燃料電池の実用化に向けての課題は、出力密度や耐久性の向上などが挙げられるが、最大の課題は低コスト化(コスト削減)である。
この低コスト化の手段の一つに、加湿器の削減が挙げられる。膜電極接合体の中心に位置する高分子電解質膜には、パーフルオロスルホン酸膜や炭化水素系膜が広く用いられている。そして、優れたプロトン伝導性を得るためには飽和水蒸気圧雰囲気に近い水分管理が必要とされており、現在、加湿器によって外部から水分供給を行っている。そこで、低消費電力やシステムの簡略化のために、加湿器を必要としないような、低加湿条件下であっても、十分なプロトン伝導性を示す高分子電解質膜の開発が進められている。
しかしながら、排水性を高めた電極触媒層では、低加湿条件下において高分子電解質がドライアップするため、電極触媒層構造の最適化を行い、保水性を向上させる必要がある。これまで、低加湿条件下における燃料電池の保水性を向上させるため、例えば、電極触媒層とガス拡散層の間に、湿度調整フィルムを挟み込む方法が考案されている。
例えば、特許文献5には、導電性炭素質粉末とポリテトラフルオロエチレンから構成された湿度調整フィルムが、湿度調節機能を示してドライアップを防止する方法が記載されている。
特許文献6には、高分子電解質膜と接する触媒電極層の表面に溝を設ける方法が記載されている。この方法では、触媒電極層の表面に0.1~0.3mmの幅を有する溝を形成することで、低加湿条件下における発電性能の低下を抑制している。
特開2006-120506号公報 特開2006-332041号公報 特開2007-87651号公報 特開2007-80726号公報 特開2006-252948号公報 特開2007-141588号公報
特許文献5及び6に記載された方法によれば、電極触媒層の排水性を高める(電極反応で生成した水の除去を阻害しない)と同時に、電極触媒層の低加湿条件下での保水性を改善することが期待できる。しかし、これらの方法で得られた電極触媒層を用いた燃料電池には、低加湿条件下での発電性能や耐久性の点で改善の余地がある。また、これらの方法は煩雑であり、電極触媒層の製造コストが高いという問題点もある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、電極反応で生成した水の除去を阻害せずに、低加湿条件下での保水性が改善され、また、低加湿条件下でも高い発電性能と耐久性を示す燃料電池用膜電極接合体を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様によれば、高分子電解質膜を一対の電極触媒層で狭持した膜電極接合体であって、上記一対の電極触媒層の少なくとも一方の電極触媒層は、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と、繊維状物質と、高分子電解質とを有すると共に、下記(1)式で表される繊維状物質の比率が、上記高分子電解質膜から膜厚方向に離れるにつれて連続的若しくは断続的に小さくなっていることを特徴とする。
(繊維状物質の比率)
={(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)} ・・・(1)
本発明の一態様によれば、電極反応で生成した水の除去などを阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下でも高い発電特性を示す電極触媒層を備える膜電極接合体とすることができる。この結果、本発明の一態様によれば、高い発電特性を備える固体高分子形燃料電池とすることができた。
本発明の実施形態の膜電極接合体を模式的に示す分解斜視図である。 図1の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池の構造を模式的に示す分解斜視図である。
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、本発明は、以下に記載の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
<第1の実施形態>
まず第1の実施形態について説明する。
〔膜電極接合体〕
まず、本実施形態に係る膜電極接合体11について説明する。
図1に示すように、膜電極接合体11は、高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1を高分子電解質膜1の上下各面から狭持する電極触媒層2(図1中、上側に示す)及び電極触媒層3(図1中、下側に示す)とを備える。
ここで、以下の説明では、繊維状物質の比率は、下記(2)式で表される値とする。この繊維状物質の比率は、例えば、高分子電解質膜1と対向する面と平行な各断面での繊維状物質の比率で規定する。
(繊維状物質の比率)
={(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)} ・・・(2)
一対の電極触媒層2,3の少なくとも一方の電極触媒層は、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と、繊維状物質と、高分子電解質とを有すると共に、繊維状物質の比率が、高分子電解質膜1から膜厚方向に離れるにつれて連続的若しくは断続的に小さくなっている。
繊維状物質は、平均繊維長が1μm以上15μm以下の導電性繊維であることが好ましい。本実施形態では、繊維状物質として、平均繊維長が1μm以上15μm以下の導電性繊維を使用するとする。
例えば、一対の電極触媒層2,3の少なくとも一方の電極触媒層は、繊維状物質の比率の異なる二層以上の電極触媒部を積層することで構成され、その積層された二層以上の電極触媒部は、高分子電解質膜1から離れた電極触媒部ほど繊維状物質の比率が小さくなるように設定する。この場合、繊維状物質の比率が、高分子電解質膜1から膜厚方向に離れるにつれて断続的に小さくなるように設定される。
このとき、上記電極触媒層の厚さ方向における、繊維状物質の比率の最も大きい値を繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が、1.5以上25以下の範囲内とすることが好ましい。
図1には、電極触媒層が二層で構成される場合を例示している。また、図1では、一対の電極触媒層2,3の両方を二層で構成した場合を例示しているが、片方の電極触媒層だけが二層構成でもよい。
触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と、平均繊維長が1μm以上15μm以下の繊維状物質と、高分子電解質とを有する構成(以下、(a)構成とも呼ぶ)を有する電極触媒層2、3は、高い結晶性の繊維状物質の絡み合いによって、耐久性低下の起因となる電極触媒層のクラック発生を抑制するなど、高い耐久性と機械特性が得られる。繊維状物質の平均繊維長が1μmに満たない場合は、繊維状物質の絡み合いが弱いため、機械特性が低下する場合がある。また、繊維状物質の平均繊維長が15μmを超える場合は、繊維状物質の絡み合いが強いため、インクとして分散できない場合がある。
また、電極触媒層における繊維状物質の比率が大きいほど、繊維状物質によって形成される細孔が増加(疎な構造)する。一方、繊維状物質の比率が小さいほど、繊維状物質によって形成される細孔が減少する(密な構造)。そして、本実施形態の膜電極接合体11にあっては、外側(高分子電解質膜1から離れた側)に位置する電極触媒部2a(又は3a)の構造を、内側である高分子電解質膜側の電極触媒部2b(又は3b)と比較して繊維状物質の比率を小さくして密な構造とし、内側に位置する電極触媒部2b(又は3b)の構造を外側である電極触媒部2a(又は3a)と比較して繊維状物質の比率を大きくして疎な構造となっている。この結果、本実施形態にあっては、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立することができる。
電極触媒層の膜厚方向における繊維状物質の比率の最も大きい値を繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が、1.5以上25以下の範囲内であることが好ましい。
電極触媒層2、3における、電極触媒層の厚さ方向における繊維状物質の比率の最も大きい値を示す電極触媒部2b(又は3b)の繊維状物質の比率を、繊維状物質の比率の最も小さい値を示す電極触媒部2a(又は3a)の繊維状物質の比率で除した値が1.5に満たない場合は、繊維状物質によって電極触媒層の形成される細孔の差が小さく、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立することが困難となる場合がある。この場合、プロトン伝導性が低下する場合がある。また、上記の除した値が25を超える場合は、繊維状物質によって形成される細孔の差が過剰に大きくなり、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立することが困難となる場合がある。
〔固体高分子形燃料電池〕
次に、図2を用いて、実施形態の膜電極接合体11を備えた固体高分子形燃料電池12について説明する。
図2に示すように、固体高分子形燃料電池12は、膜電極接合体11の電極触媒層2と対向するように配置される空気極側のガス拡散層4と、電極触媒層3と対向するように配置される燃料極側のガス拡散層5とを備える。電極触媒層2とガス拡散層4とは、空気極(カソード)6を形成する。電極触媒層3とガス拡散層5とは、燃料極(アノード)7を形成する。
また、導電性及び不透過性を有する材料よりなる一組のセパレータ10a、10bが、ガス拡散層4及び5の外側にそれぞれ配置される。一組のセパレータ10a、10bは、ガス流通用のガス流路8a、8bと、冷却水流通用の冷却水流路9a、9bとを備える。
燃料極7側のセパレータ10bのガス流路8bからは、燃料ガスとして例えば水素ガスが供給される。一方、空気極6側のセパレータ10aのガス流路8aからは、酸化剤ガスとして例えば酸素ガスが供給される。燃料ガスの水素と、酸化剤ガスの酸素とを触媒の存在下で電極反応させることにより、燃料極と空気極の間に起電力を生じさせることができる。
固体高分子形燃料電池12は、一組のセパレータ10a、10bに、高分子電解質膜1と、2つの電極触媒層2、3と、ガス拡散層4,5とが狭持されている。固体高分子形燃料電池12は単セル構造の燃料電池であるが、固体高分子形燃料電池12を、セパレータ10a又はセパレータ10bを介して複数のセルを積層して固体高分子形燃料電池としても良い。
本実施形態に係る膜電極接合体11にあっては、高分子電解質膜1の両面に形成される電極触媒層2、3のうち、一方の電極触媒層のみを繊維状物質の比率が内側である上記高分子電解質膜から外側である電極触媒層表面に向かって減少している電極触媒層とする場合には、その電極触媒層は、電極反応により水が発生する空気極(カソード)側に配置されることが好ましい。
〔膜電極接合体の製造方法〕
次に、上記構成(a)を有する膜電極接合体11の製造方法の一例を説明する。
上記構成(a)を有する膜電極接合体11は、下記の第一工程、第二工程及び第三工程を含む方法で製造される。
第一工程は、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子、繊維状物質、高分子電解質、および溶媒を含む触媒インクを製造する工程である。第一工程では、繊維状物質の比率が異なる少なくとも二種類の触媒インクを作製する。
第二工程は、触媒インクを塗布する基材がガス拡散層もしくは転写シートの場合、基材の上に、上記繊維状物質の比率が一番小さい触媒インクから上記繊維状物質の比率が一番大きい触媒インクに向けて、順番に塗布・乾燥させることによって、上記基材上に細孔容積が順次変化する多層構造の電極触媒層2、3を形成する。また、触媒インクを塗布する基材が高分子電解質膜の場合には、基材の上に、上記繊維状物質の比率が一番大きい触媒インクから上記繊維状物質の比率が一番小さい触媒インクに向けて、順番に塗布・乾燥させることによって、上記基材上に細孔容積が順次変化する多層構造の電極触媒層2、3を形成する。基材が高分子電解質膜の場合には、第二工程を行うことで、第三工程も実施される。
第三工程では、上記基材がガス拡散層もしくは転写シートの場合に、上記基材上に形成された電極触媒層を高分子電解質膜の面に積層する。
膜電極接合体の製造方法の第二工程において、二層以上の電極触媒層を形成するにあっては、必要に応じて塗膜中の溶媒を除去する乾燥工程が設けられる。
このとき、一層目の触媒インクを基材上に塗布し塗膜を形成したあと塗膜を乾燥して一層目の電極触媒層を形成し、二層目の触媒インクを一層目の電極触媒層上に塗布した後、塗膜を乾燥して二層目の電極触媒層を形成することにより多層構造の電極触媒層を形成することができる。
また、一層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し乾燥工程を行わず、続けて二層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し、これらの塗膜を乾燥して、多層構造の電極触媒層を形成することもできる。
また、一層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し、塗膜を乾燥して塗膜中に溶媒の一部を残して半乾燥状態とした後、二層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し、これらの塗膜を乾燥して多層構造の電極触媒層を形成することもできる。このようにすることで、繊維状物質の比率を膜厚方向に沿って連続的に変化させることができる。
膜電極接合体の製造方法において、塗膜を乾燥する乾燥工程は必要に応じて変更することができる。
〔詳細説明〕
以下、膜電極接合体11及び固体高分子形燃料電池12について、更に、詳細に説明する。
高分子電解質膜1としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を用いることができる。フッ素系高分子電解質膜の例として、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)等を用いることができる。
また、炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。特に、高分子電解質膜1として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
電極触媒層2,3は、触媒インクを用いて高分子電解質膜1の両面に形成される。電極触媒層2,3用の触媒インクは、触媒担持粒子と高分子電解質と溶媒を含む。また、電極触媒層2,3の少なくとも一方に用いる触媒インクは、触媒担持粒子、繊維状物質、高分子電解質、および溶媒を含み、カーボン粒子に対する繊維状物質の質量比の異なる二種類の組成を用いる。
触媒インクに含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜1と同様の材料を用いることができ、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質の例として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質を用いることができる。特に、フッ素系高分子電解質として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
本実施形態で用いる触媒(以下、触媒粒子あるいは触媒と称すことがある)としては、白金族元素、金属、その金属の合金や酸化物、複酸化物等を用いることができる。白金族元素としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムがある。金属としては、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム若しくはアルミニウム等が例示できる。なお、ここでいう複酸化物とは2種類の金属からなる酸化物のことをいう。
触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた1種又は2種以上の金属である場合、電極反応性に優れ、電極反応を効率良く安定して行うことができる。触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた1種又は2種以上の金属である場合、電極触媒層2,3を備えた固体高分子形燃料電池12が高い発電特性を示すので好ましい。
また、上述した触媒粒子の平均粒子径は、0.5nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上5nm以下がより好ましい。ここで、平均粒子径とは、カーボン粒子などの担体に担持された触媒であれば、X線回折法から求めた平均粒子径である。また、担体に担持されていない触媒であれば、粒度測定から求めた算術平均粒子径である。触媒粒子の平均粒子径が0.5nm以上20nm以下の範囲にある場合、触媒の活性及び安定性が向上するため好ましい。
上述の触媒を担持する電子伝導性の粉末(担体)としては、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであれば限定されるものではないが、カーボンブラックやグラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンを用いることができる。
カーボン粒子の平均粒子径は、10nm以上1000nm以下程度が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましい。ここで、平均粒子径とは、SEM像から求めた平均粒子径である。カーボン粒子の平均粒子径が10nm以上1000nm以下の範囲にある場合、触媒の活性及び安定性が向上するため好ましい。電子伝導パスが形成されやすくなり、また、2つの電極触媒層2,3のガス拡散性や触媒の利用率が向上するため好ましい。
繊維状物質としては、導電性繊維を用いることができる。導電性繊維としては、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維を例示できる。気相成長炭素繊維の例として、昭和電工社製VGCF(登録商標)等を用いることができる。また、高分子電解質を繊維状に加工した電解質繊維でもよい。電解質繊維を用いることでプロトン伝導性を向上することができる。これらの繊維状物質は、1種のみを単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよく、導電性繊維と電解質繊維を一緒に用いても良い。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒物質担持粒子や高分子電解質を浸食することがなく、高分子電解質を流動性の高い状態で溶解又は微細ゲルとして分散できるものあれば特に限定されるものではない。しかしながら、溶媒には、揮発性の有機溶媒が少なくとも含まれていることが望ましい。触媒インクの分散媒として使用される溶媒の例として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ペンタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール等の極性溶剤等を用いることができる。また、溶媒は、上述の材料のうち2種以上を混合させた混合溶媒を用いても良い。
また、触媒インクの分散媒として使用される溶媒として、低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高いため、低級アルコールを用いる場合は、水との混合溶媒にするのが好ましい。更に、高分子電解質となじみが良い水(親和性が高い水)が含まれていても良い。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限されるものではない。
触媒物質担持粒子を分散させるために、触媒インクに分散剤が含まれていても良い。分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等を挙げることができる。
アニオン界面活性剤の例として、アルキルエーテルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルカノイルザルコシン、アルカノイルグルタミン酸塩、アシルグルタメート、オレイン酸・N-メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成リン酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホサクシネート、スルホコハク酸ジアルキル塩、1,2-ビス(アルコキシカルボニル)-1-エタンスルホン酸塩、アルキルスルホネート、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネート-ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホネート、アルカノイルメチルタウリド、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸型界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、アルキルポリエトキシ硫酸塩、ポリグリコールエーテルサルフェート、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、硫酸化油、高度硫酸化油等の硫酸エステル型界面活性剤、リン酸(モノ又はジ)アルキル塩、(モノ又はジ)アルキルホスフェート、(モノ又はジ)アルキルリン酸エステル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、アルキルエーテルホスフェート、アルキルポリエトキシ・リン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、リン酸アルキルフェニル・ポリオキシエチレン塩、アルキルフェニルエーテル・ホスフェート、アルキルフェニル・ポリエトキシ・リン酸塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニル・エーテルホスフェート、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のリン酸エステル型界面活性剤等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の例として、ベンジルジメチル{2-[2-(P-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1-ヒドロキシエチル-2-牛脂イミダゾリン4級塩、2-ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等が挙げられる。
両性界面活性剤の例として、ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3-[ω-フルオロアルカノイル-N-エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、N-[3-(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の例として、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル等が挙げられる。
上述した界面活性剤の中でも、スルホン酸型の界面活性剤は、カーボンの分散効果、分散剤の残存による触媒性能の変化等を考慮すると、分散剤として、好適に用いることができる。スルホン酸型の界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩等が例示できる。
触媒インク中の高分子電解質の量を多くすると細孔容積は一般に小さくなる。一方、触媒インク中のカーボン粒子の量を多くすると、細孔容積は大きくなる。また、分散剤を使用すると、細孔容積は小さくなる。
また、触媒インクは必要に応じて分散処理が行われる。触媒インクの粘度と、触媒インクに含まれる粒子のサイズとを、触媒インクの分散処理の条件によって制御することができる。分散処理は、様々な装置を採用して行うことができる。特に、分散処理の方法は限定されるものではない。例えば、分散処理としては、ボールミルやロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理等が挙げられる。また、遠心力で攪拌を行うホモジナイザー等を採用しても良い。細孔容積は、分散時間が長くなるのに伴い、触媒担持粒子の凝集体が破壊されて小さくなる。
触媒インク中の固形分含有量は、多すぎると触媒インクの粘度が高くなるため、電極触媒層2及び3の表面にクラックが入りやすくなる。一方、触媒インク中の固形分含有量が、少なすぎると成膜レートが非常に遅く、生産性が低下してしまう。したがって、触媒インク中の固形分含有量は、1質量%(wt%)以上50質量%以下であることが好ましい。また、固形分は、触媒物質担持粒子と高分子電解質からなるが、固形分のうち、触媒物質担持粒子の含有量を多くすると、同じ固形分含有量でも粘度は高くなる。一方、固形分のうち、触媒物質担持粒子の含有量を少なくすると、同じ固形分含有量でも粘度は低くなる。したがって、固形分に占める触媒物質担持粒子の割合は10質量%以上80質量%以下が好ましい。また、触媒インクの粘度は、0.1cP以上500cP以下(0.0001Pa・s以上0.5Pa・s以下)程度が好ましく、5cP以上100cP以下(0.005Pa・s以上0.1Pa・s以下)がより好ましい。また触媒インクの分散時に分散剤を添加することで、粘度の制御をすることもできる。
また、触媒インクに造孔剤が含まれていても良い。造孔剤は、電極触媒層の形成後に除去することで、細孔を形成することができる。酸やアルカリ、水に溶ける物質や、ショウノウ等の昇華する物質、熱分解する物質等を挙げることができる。造孔剤が、温水で溶ける物質であれば、発電時に発生する水で取り除いても良い。
酸やアルカリ、水に溶ける造孔剤としては、酸可溶性無機塩類、アルカリ水溶液に可溶性の無機塩類、酸又はアルカリに可溶性の金属類、水溶性無機塩類、水溶性有機化合物類等が挙げられる。酸可溶性無機塩類としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。アルカリ水溶液に可溶性の無機塩類としては、アルミナ、シリカゲル、シリカゾル等が挙げられる。酸又はアルカリに可溶性の金属類としては、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、鉄等の酸又はアルカリに可溶性の金属類が挙げられる。水溶性無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム等が挙げられる。水溶性有機化合物類としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。また、上述した造孔剤は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いても良いが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
触媒インクを基材上に塗布する塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法等を採用することができる。
電極触媒層2,3の製造に用いる基材としては、転写シートを用いることができる。
基材として用いられる転写シートとしては、転写性が良い材質であれば良く、例えば、フッ素系樹脂を用いることができる。フッ素系樹脂としては、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いることができる。また、高分子シート、高分子フィルムを転写シートとして用いることができる。高分子シート、高分子フィルムの材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等を用いることができる。また、基材として転写シートを用いた場合には、高分子電解質膜1に溶媒除去後の塗膜である電極膜を接合した後に転写シートを剥離し、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2,3を備える膜電極接合体11とすることができる。
ガス拡散層4,5としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質を用いることができる。例えば、ガス拡散層4,5として、カーボンクロス、カーボンペーパー、不織布等のポーラスカーボン材を用いることができる。
セパレータ10(10a,10b)としては、カーボンタイプあるいは金属タイプのもの等を用いることができる。なお、ガス拡散層4,5とセパレータ10(10a,10b)はそれぞれ一体構造となっていても良い。また、セパレータ10(10a,10b)もしくは電極触媒層2,3が、ガス拡散層4,5の機能を果たす場合は、ガス拡散層4,5は省略しても良い。固体高分子形燃料電池12は、ガス供給装置、冷却装置等、その他付随する装置を組み立てることにより製造することができる。
以下に、本実施形態における固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法について具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態は下記の実施例及び比較例によって制限されるものではない。
以上のように、本実施形態の膜電極接合体は、高分子電解質膜を一対の電極触媒層で狭持した膜電極接合体であって、電極触媒層は、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と、繊維状物質と、高分子電解質を備え、且つ、繊維状物質の平均繊維長は1μm以上、15μm以下であり、上記電極触媒層において{(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)}で表される繊維状物質の比率が、内側である高分子電解質膜から外側である電極触媒層表面に向かって連続的若しくは断続的に減少していると共に、電極触媒層が、繊維状物質の比率の異なる少なくとも二層の電極触媒部を積層してなり、電極触媒層の厚さ方向における繊維状物質の比率の最も大きい値を繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が、1.5以上25以下の範囲内であることを特徴とするものである。
この構成によれば、触媒電極層の厚さ方向における繊維状物質の比率を改善し、外側から高分子電解質膜に向かって厚さ方向に繊維状物質の比率を増加させることで、外側から高分子電解質膜に向かって電極触媒層の構造を密から疎な構造へと変化し、反応ガスの拡散性、電極反応で生成した水の除去などを阻害せずに、電極触媒層の保水性を高めることができる。
更に、従来の湿度調整フィルムの適用や、電極触媒層表面への溝の形成による低加湿化への対応と異なり、界面抵抗の増大による発電特性の低下が見られず、従来の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池に比べ、本発明の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池は、低加湿条件下でも高い発電特性を示すという顕著な効果を奏する。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の膜電極接合体の基本構成は、上記第1の実施形態と同様である。ただし、使用する繊維状物質が異なる。
第2の実施形態で使用する繊維状物質は、プロトン伝導性能を有する繊維からなる。
プロトン伝導性能を有する繊維は、例えばパーフルオロスルホン酸系ポリマーを有機溶媒に溶解し、エレクトロスピニング法を用いて繊維化することにより形成される。パーフルオロスルホン酸系ポリマーは、1種のみを単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。
第2の実施形態の繊維状物質の平均繊維径は、1μm以下であることが好ましい。繊維状物質の平均繊維径を1μm以下にすることにより、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と繊維状物質との接触面積を増やすことが可能になり、燃料電池の発電性能を一層向上させることができる。なお、直径が1μmより大きい場合は、繊維状物質の繊維間隔が狭くなり、触媒担持粒子を十分に充填することができず、必要な発電能力を確保することができないおそれがある。
第2の実施形態の繊維状物質の平均繊維径は50nm以上であることが好ましい。当該直径が50nmより小さい場合は、繊維状物質の強度が十分得られず、繊維状物質のプロトン伝導性能が低下してしまうおそれがある。
また、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と、平均繊維径が50nm以上1μm以下のプロトン伝導性能を有する繊維状物質と、高分子電解質とを有する構成(以下、(A)構成とも呼ぶ)を有する電極触媒層2、3は、高い結晶性の繊維状物質の絡み合いによって、耐久性低下の起因となる電極触媒層のクラック発生を抑制するなど、高い耐久性と機械特性が得られる。
繊維状物質の平均繊維径が50nmに満たない場合は、繊維状物質の絡み合いが弱いため、機械特性が低下する場合がある。また、繊維状物質の平均繊維径が1μmを超える場合は、繊維状物質の絡み合いが強いため、インクとして分散できない場合がある。
本実施形態では、上記電極触媒層の厚さ方向における、繊維状物質の比率の最も大きい値を繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が、1.3以上26以下の範囲内とすることが好ましい。
電極触媒層2、3における、電極触媒層の厚さ方向における繊維状物質の比率の最も大きい値を示す電極触媒部2b(又は3b)の繊維状物質の比率を、繊維状物質の比率の最も小さい値を示す電極触媒部2a(又は3a)の繊維状物質の比率で除した値が1.3に満たない場合は、繊維状物質によって電極触媒層の形成される細孔の差が小さく、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立することが困難となる場合がある。この場合、プロトン伝導性が低下する場合がある。また、上記の除した値が26を超える場合は、繊維状物質によって形成される細孔の差が過剰に大きくなり、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立することが困難となる場合がある。
その他の構成及びその構成による作用効果は、第1の実施形態と同様である。
また製造方法についても、第1の実施形態と同様の製造方法を採用すればよい。
以上のように、本実施形態の膜電極接合体は、高分子電解質膜を一対の電極触媒層で狭持した膜電極接合体であって、電極触媒層は、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と、プロトン伝導性能を有する繊維状物質と、高分子電解質を備え、且つ、繊維状物質の平均繊維径は50nm以上、1μm以下であり、上記電極触媒層において{(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)}で表される繊維状物質の比率が、内側である高分子電解質膜から外側である電極触媒層表面に向かって連続的若しくは断続的に減少していると共に、電極触媒層が、繊維状物質の比率の異なる少なくとも二層の電極触媒部を積層してなり、電極触媒層の厚さ方向における繊維状物質の比率の最も大きい値を繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が、1.3以上26以下の範囲内であることを特徴とするものである。
この構成によれば、触媒電極層の厚さ方向における繊維状物質の比率を改善し、外側から高分子電解質膜に向かって厚さ方向に繊維状物質の比率を増加させることで、外側から高分子電解質膜に向かって電極触媒層の構造を密から疎な構造へと変化し、反応ガスの拡散性、電極反応で生成した水の除去などを阻害せずに、電極触媒層の保水性を高めることができる。
更に、従来の湿度調整フィルムの適用や、電極触媒層表面への溝の形成による低加湿化への対応と異なり、界面抵抗の増大による発電特性の低下が見られず、従来の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池に比べ、本発明の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池は、低加湿条件下でも高い発電特性を示すという顕著な効果を奏する。
「第1の実施例」
まず、第1の実施形態に基づく実施例について説明する。
〔触媒インクの調整〕
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、平均繊維長が1.5μmである繊維状物質と、イオン交換容量が1.4meq/gである高分子電解質を含む25質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで30分間の分散処理を行い、第一の触媒インクを作製した。第一の触媒インクは、繊維状物質の比率が0.2の組成比として、カーボン粒子と繊維状物質と高分子電解質との配合比を質量比で1:0.2:1.2とした。
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、平均繊維長が1.5μmである繊維状物質と、イオン交換容量が1.4meq/gである高分子電解質を含む25質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで30分間の分散処理を行い、第二の触媒インクを作製した。第二の触媒インクは、{(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)}で示される繊維状物質の比率が1.2の組成比として、カーボン粒子と繊維状物質と高分子電解質との配合比を質量比で1:1.2:2.2とした。
各触媒インクの溶媒は、超純水と1-プロパノールの体積比で1:1とした。また、各触媒インクにおける固形分含有量は、それぞれ8質量%となるように調整した。
これにより、上記電極触媒層の厚さ方向における上記繊維状物質の比率の最も大きい値を上記繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が6.0となる触媒インクを得た。
〔電極触媒層の形成〕
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートの基材に対し、作製した第一の触媒インクをドクターブレード法で塗布し、大気雰囲気中70℃で2分間乾燥させた。その後、同様にしてその上に第二の触媒インクを塗布し、大気雰囲気中80℃で10分間乾燥させることで二層構造の電極触媒層を作製した。第一の触媒インクと第二の触媒インクの単位面積あたりの塗布量は、質量比で1:4とした。触媒インクの塗布量は、燃料極(アノード)として白金担持量0.05mg/cmになり、空気極(カソード)として白金担持量0.2mg/cmになるように調整し、電極触媒層を形成した。
〔膜電極接合体の作製〕
電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmに打ち抜き、高分子電解質膜1の両面に配置させ、転写温度140℃、転写圧力5.0×10Paの条件でホットプレスを行い、膜電極接合体11を得た。
<比較例>
〔触媒インクの調整〕
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、平均繊維長が1.5μmである繊維状物質と、高分子電解質溶液としてイオン交換容量が1.4meq/gである高分子電解質を含む25質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで30分間の分散処理を行い、触媒インクを作製した。触媒インクは、{(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)}で示される繊維状物質の比率が1の組成比として、カーボン粒子と繊維状物質と高分子電解質との配合比を質量比で1:1:2とした。触媒インクの溶媒は、超純水と1-プロパノールの体積比で1:1とした。また、触媒インクにおける固形分含有量は、それぞれ8質量%となるように調整した。
これにより、触媒インクが得られた。この触媒インクは、実施例における第一の触媒インクと第二の触媒インクの全ての成分を、第一の触媒インクと第二の触媒インクの質量比が1:4になるように一度に混合し、分散して得られたものである。
〔電極触媒層の形成〕
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートの基材に対し、作製した触媒インクをドクターブレード法で塗布し、大気雰囲気中80℃で10分間乾燥させた。触媒インクの塗布量は、燃料極(アノード)として白金担持量0.05mg/cmになり、空気極(カソード)として白金担持量0.2mg/cmになるように調整し、電極触媒層を形成した。
〔膜電極接合体の作製〕
それぞれの電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmにそれぞれ打ち抜き、この電極触媒層を高分子電解質膜の両面に配置させ、転写温度140℃、転写圧力5.0×10Paの条件でホットプレスを行い、膜電極接合体を得た。
<評価>
〔発電特性〕
実施例及び比較例で得られた各膜電極接合体を挟持するように、ガス拡散層としてカーボンペーパーを貼りあわせて、発電評価セル内に設置し、燃料電池測定装置を用いて電流電圧測定を行った。測定時のセル温度は80℃とし、運転条件は以下に示す高加湿と低加湿を採用した。また、燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスとして空気を用い、利用率一定による流量制御を行った。なお、背圧は50kPaとした。
〔運転条件〕
条件1(高加湿):相対湿度 アノード100%RH、カソード100%RH
条件2(低加湿):相対湿度 アノード30%RH、カソード30%RH
〔測定結果〕
実施例で作製した膜電極接合体は、比較例で作製した膜電極接合体よりも、低加湿の運転条件下で優れた発電性能を示した。また、実施例で作製した膜電極接合体は、低加湿の運転条件下においても、高加湿の運転条件下と同等レベルの発電性能であった。特に電流密度0.5A/cm付近の発電性能が向上した。実施例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて0.22V高い発電特性を示した。
実施例で作製した膜電極接合体と比較例で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、実施例の膜電極接合体は保水性が高まり、低加湿の運転条件下における発電特性が、高加湿の運転条件下と同等の発電特性を示すことが確認された。
また、高加湿の運転条件下では、実施例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて0.19V高い発電特性を示した。
実施例で作製した膜電極接合体と比較例で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、実施例で作製した膜電極接合体では、反応ガスの拡散性が高く、電極反応で生成した水の除去等を阻害していないことが確認された。
「第2の実施例」
次に、第2の実施形態に基づく実施例について説明する。
〔触媒インクの調整〕
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、エレクトロスピニング法を用いて繊維化した平均繊維径100nmである繊維状物質と、イオン交換容量が1.4meq/gである高分子電解質を含む25質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで30分間の分散処理を行い、第一の触媒インクを作製した。第一の触媒インクは、{(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)}で示される繊維状物質の比率が0.1の組成比として、カーボン粒子と繊維状物質と高分子電解質との配合比を質量比で1:0.1:0.4とした。
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、エレクトロスピニング法を用いて繊維化した平均繊維径100nmである繊維状物質と、イオン交換容量が1.4meq/gである高分子電解質を含む25質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで30分間の分散処理を行い、第二の触媒インクを作製した。第二の触媒インクは、{(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)}で示される繊維状物質の比率が0.6の組成比として、カーボン粒子と繊維状物質と高分子電解質との配合比を質量比で1:0.6:0.4とした。
各触媒インクの溶媒は、超純水と1-プロパノールの体積比で1:1とした。また、各触媒インクにおける固形分含有量は、それぞれ8質量%となるように調整した。
これにより、上記電極触媒層の厚さ方向における上記繊維状物質の比率の最も大きい値を上記繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が.0となる触媒インクを得た。
〔電極触媒層の形成〕
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートの基材に対し、作製した第一の触媒インクをドクターブレード法で塗布し、大気雰囲気中70℃で2分間乾燥させた。その後、同様にしてその上に第二の触媒インクを塗布し、大気雰囲気中80℃で10分間乾燥させることで二層構造の電極触媒層を作製した。第一の触媒インクと第二の触媒インクの単位面積あたりの塗布量は、質量比で1:4とした。触媒インクの塗布量は、燃料極(アノード)として白金担持量0.05mg/cmになり、空気極(カソード)として白金担持量0.2mg/cmになるように調整し、電極触媒層を形成した。
〔膜電極接合体の作製〕
電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmに打ち抜き、高分子電解質膜1の両面に配置させ、転写温度120℃、転写圧力5.0×10Paの条件でホットプレスを行い、膜電極接合体11を得た。
<比較例>
〔触媒インクの調整〕
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、エレクトロスピニング法を用いて繊維化した平均繊維径100nmである繊維状物質と、高分子電解質溶液としてイオン交換容量が1.4meq/gである高分子電解質を含む25質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで30分間の分散処理を行い、触媒インクを作製した。触媒インクは、{(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)}で示される繊維状物質の比率が1の組成比として、カーボン粒子と繊維状物質と高分子電解質との配合比を質量比で5:1:2とした。触媒インクの溶媒は、超純水と1-プロパノールの体積比で1:1とした。また、触媒インクにおける固形分含有量は、それぞれ8質量%となるように調整した。
これにより、触媒インクが得られた。この触媒インクは、実施例における第一の触媒インクと第二の触媒インクの全ての成分を、第一の触媒インクと第二の触媒インクの質量比が1:4になるように一度に混合し、分散して得られたものである。
〔電極触媒層の形成〕
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートの基材に対し、作製した触媒インクをドクターブレード法で塗布し、大気雰囲気中80℃で10分間乾燥させた。触媒インクの塗布量は、燃料極(アノード)として白金担持量0.05mg/cmになり、空気極(カソード)として白金担持量0.2mg/cmになるように調整し、電極触媒層を形成した。
〔膜電極接合体の作製〕
それぞれの電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmにそれぞれ打ち抜き、この電極触媒層を高分子電解質膜の両面に配置させ、転写温度120℃、転写圧力5.0×10Paの条件でホットプレスを行い、膜電極接合体を得た。
<評価>
〔発電特性〕
実施例及び比較例で得られた各膜電極接合体を挟持するように、ガス拡散層としてカーボンペーパーを貼りあわせて、発電評価セル内に設置し、燃料電池測定装置を用いて電流電圧測定を行った。測定時のセル温度は80℃とし、運転条件は以下に示す高加湿と低加湿を採用した。また、燃料ガスとして水素を、酸化剤ガスとして空気を用い、利用率一定による流量制御を行った。なお、背圧は50kPaとした。
〔運転条件〕
条件1(高加湿):相対湿度 アノード100%RH、カソード100%RH
条件2(低加湿):相対湿度 アノード30%RH、カソード30%RH
〔測定結果〕
実施例で作製した膜電極接合体は、比較例で作製した膜電極接合体よりも、低加湿の運転条件下で優れた発電性能を示した。また、実施例で作製した膜電極接合体は、低加湿の運転条件下においても、高加湿の運転条件下と同等レベルの発電性能であった。特に電流密度0.5A/cm付近の発電性能が向上した。実施例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて0.18V高い発電特性を示した。
実施例で作製した膜電極接合体と比較例で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、実施例の膜電極接合体は保水性が高まり、低加湿の運転条件下における発電特性が、高加湿の運転条件下と同等の発電特性を示すことが確認された。
また、高加湿の運転条件下では、実施例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて0.15V高い発電特性を示した。
実施例で作製した膜電極接合体と比較例で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、実施例で作製した膜電極接合体では、反応ガスの拡散性が高く、電極反応で生成した水の除去等を阻害していないことが確認された。
1…高分子電解質膜
2…電極触媒層
2a…繊維状物質の比率が小さい電極触媒部
2b…繊維状物質の比率が大きい電極触媒部
3…電極触媒層
3a…繊維状物質の比率が小さい電極触媒部
3b…繊維状物質の比率が大きい電極触媒部
4…ガス拡散層
5…ガス拡散層
6…空気極(カソード)
7…燃料極(アノード)
8、8a、8b…ガス流路
9、9a、9b…冷却水流路
10、10a、10b…セパレータ
11…膜電極接合体
12…固体高分子形燃料電池

Claims (3)

  1. 高分子電解質膜を一対の電極触媒層で狭持した膜電極接合体であって、
    上記一対の電極触媒層の少なくとも一方の電極触媒層は、触媒が担持されたカーボン粒子からなる触媒担持粒子と、繊維状物質と、高分子電解質とを有すると共に、下記(1)式で表される繊維状物質の比率が、上記高分子電解質膜から膜厚方向に離れるにつれて連続的若しくは断続的に小さくなっており、
    上記繊維状物質は、平均繊維径が50nm以上1μm以下のプロトン伝導性能を有する繊維であり、
    上記電極触媒層の上記膜厚方向における上記繊維状物質の比率の最も大きい値を上記繊維状物質の比率の最も小さい値で除した値が、1.3以上26以下の範囲内であることを特徴とする膜電極接合体。
    (繊維状物質の比率)
    ={(繊維状物質の質量)/(触媒物質が担持されたカーボン粒子中のカーボン粒子の質量)} ・・・(1)
  2. 上記電極触媒層は、上記繊維状物質の比率の異なる二層以上の電極触媒部を積層することで構成され、その積層された二層以上の電極触媒部は、上記高分子電解質膜から離れた電極触媒部ほど上記繊維状物質の比率が小さいことを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。
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