JP2018060714A - 燃料電池用電極触媒層の製造方法、触媒インクの製造方法、触媒インク、及び燃料電池用電極触媒層 - Google Patents

燃料電池用電極触媒層の製造方法、触媒インクの製造方法、触媒インク、及び燃料電池用電極触媒層 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な製造工程でコスト増加を抑制しつつ電極触媒層の発電性能を向上させる。
【解決手段】触媒担持粒子を第一の高分子電解質溶液と共に溶媒に分散させて第一の触媒インクを作製し、第一の触媒インクに、イオン交換容量が、第一の高分子電解質溶液に含まれる第一の高分子電解質のイオン交換容量よりも小さい第二の高分子電解質を含む第二の高分子電解質溶液を加えて分散させて第二の触媒インクを作製し、第二の触媒インクを転写シートに塗布し、乾燥処理後の第二の触媒インクを電極触媒層の形成対象領域上に転写して電極触媒層2、3を形成する。電極触媒層2、3は、触媒担持粒子近傍にイオン交換容量がより大きい第一の高分子電解質が存在し、第一の高分子電解質よりも触媒担持領域から離れた位置に、イオン交換容量がより小さい第二の高分子電解質が存在するため、電極反応で生成される水の保水性と反応ガスの拡散性とを共に向上させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池用電極触媒層の製造方法、触媒インクの製造方法、触媒インク、及び燃料電池用電極触媒層に関する。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて、触媒を含む電極で水の電気分解の逆反応を起こさせ、熱と同時に電気を生み出す発電システムである。この発電システムは、従来の発電方式と比較して高効率で低環境負荷、低騒音等の特徴を有し、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。用いるイオン伝導体の種類によってタイプがいくつかあり、プロトン伝導性高分子膜を用いた電池は、固体高分子形燃料電池と呼ばれる。
燃料電池の中でも固体高分子形燃料電池は、室温付近で使用可能なことから、車載用電源や家庭据置用電源等への使用が有望視されており、近年、様々な研究開発が行われている。
固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面に一対の電極触媒層を配置させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAと称すことがある)を、一対のセパレータ板で挟持した電池である。一方のセパレータ板には、電極の一方に水素を含有する燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されており、他方のセパレータ板には、電極の他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成されている。
ここで、燃料ガスが供給される電極を燃料極、酸化剤ガスが供給される電極を空気極とする。これら電極は、高分子電解質と白金系の貴金属等の触媒物質を担持したカーボン粒子とを積層してなる電極触媒層、及びガス通気性と電子伝導性とを兼ね備えたガス拡散層を備えている。また、これらの電極は、ガス拡散層がセパレータ板と向かい合うように配置されている。
ところで、電極触媒層に対しては、燃料電池の出力密度を向上させるためガス拡散性を高める取り組みがなされてきた。電極触媒層中の細孔は、セパレータ板からガス拡散層を通じた先に位置し、複数の物質を輸送する通路の役割を果たす。また、燃料極は、酸化還元の反応場である三相界面に燃料ガスを円滑に供給するだけでなく、生成したプロトンを高分子電解質膜内で円滑に伝導させるための水を供給する機能を果たす。空気極は、酸化剤ガスの供給と共に、電極反応で生成した水を円滑に除去する機能を果たす。固体高分子形燃料電池では、燃料極及び空気極における物質輸送の妨げにより発電反応が停止する、いわゆる「フラッディング」と呼ばれる現象を防止するため、これまで排水性を高める構成が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
また、固体高分子形燃料電池の実用化に向けての課題として、出力密度や耐久性の向上等が挙げられるが、最大の課題は低コスト化(コスト削減)である。
この低コスト化の手段の一つに、加湿器の削減が挙げられる。膜電極接合体の中心に位置する高分子電解質膜には、パーフルオロスルホン酸膜や炭化水素系膜が広く用いられている。そして、優れたプロトン伝導性を得るためには飽和水蒸気圧雰囲気に近い水分管理が必要とされており、現在、加湿器によって外部から水分供給を行っている。そこで、低消費電力やシステムの簡略化のために、加湿器を必要としないような、低加湿条件下であっても十分なプロトン伝導性を示す高分子電解質膜の開発が進められている。
しかしながら、排水性を高めた電極触媒層では、低加湿条件下において高分子電解質がドライアップするため、電極触媒層構造の最適化を行い、保水性を向上させる必要がある。これまで、低加湿条件下における燃料電池の保水性を向上させるため、例えば、電極触媒層とガス拡散層との間に、湿度調整フィルムを挟み込む方法が考案されている。
例えば、特許文献5には、導電性炭素質粉末とポリテトラフルオロエチレンから構成された湿度調整フィルムが、湿度調節機能を示してドライアップを防止する方法が考案されている。
また、特許文献6には、高分子電解質膜と接する触媒電極層の表面に溝を設ける方法が考案されている。触媒電極層の表面に0.1mm以上0.3mm以下の幅を有する溝を形成することで、低加湿条件下における発電性能の低下を抑制する方法が考案されている。
特開2006−120506号公報 特開2006−332041号公報 特開2007−87651号公報 特開2007−80726号公報 特開2006−252948号公報 特開2007−141588号公報
しかしながら、これらの特許文献に記載された電極触媒層の発電性能では不十分であり、発電性能のさらなる向上が望まれている。また、これら電極触媒層は、製造方法が煩雑でありコストが高いという問題があった。
本発明は上記問題に着目してなされたものであり、簡易な製造工程で且つ、コストの増加を伴うことなく電極触媒層の発電性能をより向上させることの可能な、燃料電池用電極触媒層の製造方法、触媒インクの製造方法、触媒インク、及び燃料電池用電極触媒層を提供することを目的としている。
本発明の一態様によれば、触媒担持粒子を第一の高分子電解質溶液と共に溶媒に分散させて第一の触媒インクを作製する工程と、第一の触媒インクに、イオン交換容量が、第一の高分子電解質溶液に含まれる第一の高分子電解質のイオン交換容量よりも小さい第二の高分子電解質を含む第二の高分子電解質溶液を加えて分散させて第二の触媒インクを作製する工程と、第二の触媒インクを基材に塗布し、乾燥処理後の第二の触媒インクを電極触媒層の形成対象領域上に転写して電極触媒層を形成する工程と、を備える燃料電池用電極触媒層の製造方法、が提供される。
本発明の一態様によれば、反応ガスの拡散性を高めると共に、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下でも高い発電特性を示す燃料電池用電極触媒層を効率良く経済的に容易に製造することができる。
本発明を適用した膜電極接合体の構造の一例を模式的に示す分解斜視図である。 本発明を適用した固体高分子形燃料電池の構造の一例を模式的に示す分解斜視図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る燃料電池用電極触媒層について図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、各図面は説明を容易にするために適宜誇張して表現している。
さらに、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、本発明は、以下に記載の一実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれ得る。
〔膜電極接合体〕
まず、本発明の一実施形態に係る触媒インクを用いて形成した燃料電池用電極触媒層を有する膜電極接合体11について説明する。
図1は、膜電極接合体11の構成の一例を模式的に示す分解斜視図である。
図1に示すように、膜電極接合体11は、高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1をその両側から狭持する燃料電池用電極触媒層としての電極触媒層2(図1中、上側に示す)及び電極触媒層3(図1中、下側に示す)と、を備える。また、膜電極接合体11において、2つの電極触媒層2及び3の少なくとも一方が、触媒担持粒子と高分子電解質とを備える。
このように構成された膜電極接合体11では、従来の湿度調整フィルムの適用や、電極触媒層表面への溝の形成によって低加湿化を図る場合と異なり、界面抵抗の増大による発電特性の低下を抑制することができる。そのため、従来の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池に比べて、膜電極接合体11を備える固体高分子形燃料電池は、低加湿条件下でも高い発電特性を示すという顕著な効果を奏すことができる。
〔固体高分子形燃料電池〕
次に、膜電極接合体11を用いた固体高分子形燃料電池12について説明する。
図2は、固体高分子形燃料電池12を模式的に示す分解斜視図である。
固体高分子形燃料電池12は、膜電極接合体11の電極触媒層2と対向するように配置される空気極側のガス拡散層4と、電極触媒層3と対向するように配置される燃料極側のガス拡散層5とを備える。電極触媒層2とガス拡散層4とは空気極(カソード)6を形成する。電極触媒層3とガス拡散層5とは燃料極(アノード)7を形成する。また、導電性及び不透過性を有する材料よりなる一組のセパレータ10(10a、10b)が配置され、セパレータ10aは、ガス拡散層4の膜電極接合体11とは逆側に配置され、セパレータ10bはガス拡散層5の膜電極接合体11とは逆側に配置される。セパレータ10a及び10bのそれぞれには、一方の面にガス流通用のガス流路8a、8bが形成され、他方の面に冷却水流通用の冷却水流路9a、9bが形成され、ガス流路8a、8bとガス拡散層4、5とが対向するように配置される。
燃料極7側のセパレータ10bのガス流路8bからは、燃料ガスとして例えば水素ガスが供給される。一方、空気極6側のセパレータ10aのガス流路8aからは、酸化剤ガスとして例えば酸素ガスが供給される。燃料ガスとしての水素ガスと、酸化剤ガスとしての酸素ガスとを触媒の存在下で電極反応させることにより、燃料極7と空気極6との間に起電力を生じさせることができる。
図2に示す固体高分子形燃料電池12は、一組のセパレータ10a及び10b間に、高分子電解質膜1と、2つの電極触媒層2、3と、ガス拡散層4及び5とが狭持された単セル構造の燃料電池である。ここでは、固体高分子形燃料電池12として、単セル構造の燃料電池を用いているが、セパレータ10a又は10bを介して複数のセルを積層して固体高分子形燃料電池を構成してもよい。
〔電極触媒層の製造方法〕
次に、本実施形態に係る膜電極接合体11の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る膜電極接合体11の製造方法は、以下の各工程を含む。
(第一工程) 触媒を担持した粒子(触媒担持粒子)と第一の高分子電解質溶液とを溶媒に分散させて第一の触媒インクを作製した後、さらに、この第一の触媒インクに第二の高分子電解質溶液を分散させて、第二の触媒インクを形成する工程
(第二工程) 第二の触媒インクを基材に塗布して、空気極(カソード)6の一部である電極触媒層と、燃料極(アノード)7の一部である電極触媒層と、を形成する工程
(第三工程) 電極触媒層及び電極触媒層を、これら電極触媒層の形成対象領域である高分子電解質膜1上に転写し、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2及び3を積層して膜電極接合体11を形成する工程
なお、第一工程は触媒インクの形成工程に対応し、第二工程は電極触媒層の形成工程に対応し、第三工程は膜電極接合体の形成工程に対応する。
第一工程における触媒インクの形成工程において、第一の高分子電解質溶液に含まれる第一の高分子電解質のイオン交換容量は、第二の高分子電解質溶液に含まれる第二の高分子電解質のイオン交換容量よりも大きい。
触媒インクの形成工程において、まず第一の高分子電解質溶液を、触媒担持粒子と共に溶媒に加えることで、第一の高分子電解質が触媒担持粒子に近接した位置に存在する。そして、第一の触媒インクの状態において、さらに第二の高分子電解質溶液を加えると、触媒担持粒子の近傍には第一の高分子電解質が既に存在するため、第二の高分子電解質は触媒担持粒子に接近することなく、第一の高分子電解質より触媒担持粒子から離れた位置に存在することになる。
そして、第一の高分子電解質溶液に含まれる第一の高分子電解質のイオン交換容量は、第二の高分子電解質溶液に含まれる第二の高分子電解質のイオン交換容量よりも大きいことから、触媒担持粒子に近接する高分子電解質(つまり第一の高分子電解質)のイオン交換容量は大きいため、低加湿条件下でも電極反応で生成した水を保持することができる。一方、触媒担持粒子から離れた位置に存在する高分子電解質(つまり第二の高分子電解質)のイオン交換容量は触媒担持粒子の近傍の高分子電解質に比較して小さいため、電極反応で生成した水を円滑に除去することができ、第一の高分子電解質溶液に比較して反応ガスの拡散性を高めることができる。つまり、低加湿条件下における燃料電池の保水性を確保しつつ、反応ガスの拡散性を維持することができる。
第一工程における第一の高分子電解質溶液に含まれる第一の高分子電解質のイオン交換容量は、0.9meq/g以上3.0meq/g以下の範囲内であることが好ましい。第一の高分子電解質のイオン交換容量が0.9meq/gに満たない場合は、触媒担持粒子に近接する高分子電解質における水の保持が困難となり、触媒活性が低下する場合がある。また、第一の高分子電解質のイオン交換容量が3.0meq/gを超える場合は、触媒担持粒子に近接する高分子電解質が水を過剰に保持し、反応ガスの拡散性の確保が困難となる場合がある。
第一工程における第二の高分子電解質溶液に含まれる第二の高分子電解質のイオン交換容量は、0.8meq/g以上2.8meq/g以下の範囲内であることが好ましい。第二の高分子電解質のイオン交換容量が0.8meq/gに満たない場合は、触媒担持粒子に近接しない高分子電解質(つまり、第二の高分子電解質)における水の保持が困難となり、プロトン伝導性が低下する場合がある。また、第二の高分子電解質のイオン交換容量が3.0meq/gを超える場合は、触媒担持粒子に近接しない高分子電解質が水を過剰に保持し、反応ガスの拡散性の確保が困難となる場合がある。
〔詳細〕
以下、膜電極接合体11及び固体高分子形燃料電池12についてさらに詳細に説明する。
高分子電解質膜1としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を用いることができる。フッ素系高分子電解質膜の例として、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。特に、高分子電解質膜1として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
また、電極触媒層2及び3は、触媒インクを用いて高分子電解質膜1の両面に形成される。電極触媒層2及び3のうちの少なくとも一方を形成する触媒インクは、少なくとも高分子電解質及び溶媒を含み、この高分子電解質及び溶媒を含む触媒インクとして、第一工程で作製した触媒インクを用いる。
以下、第一工程で作製した触媒インクについて説明する。
触媒インクに含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜1と同様の材料を用いることができ、フッ素系高分子電解質又は炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質の例として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質を用いることができる。特に、フッ素系高分子電解質として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
触媒インクに含まれる触媒物質(以下、触媒粒子あるいは触媒と称すことがある)としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム若しくは、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、酸化物若しくは複酸化物等を用いることができる。なお、ここでいう複酸化物とは2種類の金属からなる酸化物のことをいう。
触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた一種又は二種以上の金属である場合、電極反応性に優れ、電極反応を効率良く安定して行うことができる。触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた一種又は二種以上の金属である場合、電極触媒層2及び3を備えた固体高分子形燃料電池12が高い発電特性を示すので好ましい。
また、上述した触媒粒子の平均粒子径は、0.5nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上5nm以下がより好ましい。ここで、平均粒子径とは、カーボン粒子等の担体に担持された触媒であれば、X線回折法から求めた平均流径である。また、担体に担持されていない触媒であれば、粒度測定から求めた算術平均流径である。触媒粒子の平均粒子径が0.5nm以上20nm以下の範囲にある場合、触媒の活性及び安定性が向上するため好ましい。
上述の触媒物質を担持する電子伝導性の粉末としては、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであれば限定されるものではないが、カーボンブラックやグラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンを用いることができる。
カーボン粒子の平均粒子径は、10nm以上1000nm以下程度が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましい。ここで、平均粒子径とは、SEM(Scanning Electron Microscope 走査電子顕微鏡)像から求めた平均粒子径である。カーボン粒子の平均粒子径が10nm以上1000nm以下の範囲にある場合、触媒の活性及び安定性が向上するため好ましい。電子伝導パスが形成されやすくなり、また、2つの電極触媒層2及び3のガス拡散性や触媒の利用率が向上するため好ましい。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒担持粒子や高分子電解質を浸食することがなく、高分子電解質を流動性の高い状態で溶解又は微細ゲルとして分散できるものあれば特に限定されるものではない。しかしながら、溶媒には、揮発性の有機溶媒が少なくとも含まれていることが望ましい。触媒インクの分散媒として使用される溶媒の例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等の極性溶剤等を用いることができる。また、溶媒は、上述の材料のうち二種以上を混合させた混合溶媒を用いても良い。
また、触媒インクの分散媒として使用される溶媒として、低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高いため、低級アルコールを用いる場合は、水との混合溶媒にするのが好ましい。さらに、高分子電解質となじみが良い水(親和性が高い水)が含まれていても良い。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限されるものではない。
触媒担持粒子を分散させるために、触媒インクに分散剤が含まれていても良い。分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等を挙げることができる。
アニオン界面活性剤の例として、アルキルエーテルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルカノイルザルコシン、アルカノイルグルタミン酸塩、アシルグルタメート、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成リン酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホサクシネート、スルホコハク酸ジアルキル塩、1,2−ビス(アルコキシカルボニル)−1−エタンスルホン酸塩、アルキルスルホネート、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネート−ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホネート、アルカノイルメチルタウリド、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸型界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、アルキルポリエトキシ硫酸塩、ポリグリコールエーテルサルフェート、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、硫酸化油、高度硫酸化油等の硫酸エステル型界面活性剤、リン酸(モノ又はジ)アルキル塩、(モノ又はジ)アルキルホスフェート、(モノ又はジ)アルキルリン酸エステル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、アルキルエーテルホスフェート、アルキルポリエトキシ・リン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、リン酸アルキルフェニル・ポリオキシエチレン塩、アルキルフェニルエーテル・ホスフェート、アルキルフェニル・ポリエトキシ・リン酸塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニル・エーテルホスフェート、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のリン酸エステル型界面活性剤等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の例として、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等が挙げられる。
両性界面活性剤の例として、ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω−フルオロアルカノイル−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の例として、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル等が挙げられる。
上述した界面活性剤の中でも、アルキルベンゼンスルホン酸、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸型の界面活性剤は、カーボンの分散効果、分散剤の残存による触媒性能の変化等を考慮すると、分散剤として、好適に用いることができる。
触媒インク中の高分子電解質の量を多くすると細孔容積は一般に小さくなる。一方、触媒インク中のカーボン粒子の量を多くすると、細孔容積は大きくなる。また、分散剤を使用すると、細孔容積は小さくなる。
また、触媒インクは必要に応じて分散処理が行われる。触媒インクの粘度と、触媒インクに含まれる粒子のサイズとを、触媒インクの分散処理の条件によって制御することができる。分散処理は、様々な装置を採用して行うことができる。特に、分散処理の方法は限定されるものではない。例えば、分散処理としては、ボールミルやロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理等が挙げられる。また、遠心力で攪拌を行うホモジナイザー等を採用しても良い。細孔容積は、分散時間が長くなるのに伴い、触媒担持粒子の凝集体が破壊されて小さくなる。
触媒インク中の固形分含有量は、多すぎると触媒インクの粘度が高くなるため、電極触媒層2及び3の表面にクラックが入りやすくなる。一方、触媒インク中の固形含有量が、少なすぎると成膜レートが非常に遅く、生産性が低下してしまう。したがって、触媒インク中の固形含有量は、1質量%(wt%)以上50質量%以下であることが好ましい。また、固形分は、触媒担持粒子と高分子電解質からなるが、固形分のうち、触媒担持粒子の含有量を多くすると、同じ固形分含有量でも粘度は高くなる。一方、固形分のうち、触媒担持粒子の含有量を少なくすると、同じ固形分含有量でも粘度は低くなる。したがって、固形分に占める触媒担持粒子の割合は10質量%以上80質量%以下が好ましい。また、触媒インクの粘度は、0.1cP以上500cP以下(0.0001Pa・s以上0.5Pa・s以下)程度が好ましく、5cP以上100cP以下(0.005Pa・s以上0.1Pa・s以下)がより好ましい。また触媒インクの分散時に分散剤を添加することで、粘度の制御をすることもできる。
また、触媒インクに造孔剤が含まれていても良い。造孔剤は、電極触媒層の形成後に除去することで、細孔を形成することができる。酸やアルカリ、水に溶ける物質や、ショウノウ等の昇華する物質、熱分解する物質等を挙げることができる。造孔剤が、温水で溶ける物質であれば、発電時に発生する水で取り除いても良い。
酸やアルカリ、水に溶ける造孔剤としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の酸可溶性無機塩類、アルミナ、シリカゲル、シリカゾル等のアルカリ水溶液に可溶性の無機塩類、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、鉄等の酸又はアルカリに可溶性の金属類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム等の水溶性無機塩類、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の水溶性有機化合物類等が挙げられる。また、上述した造孔剤は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いても良いが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
触媒インクを基材上に塗布する塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法等を採用することができる。
電極触媒層2及び3の製造に用いる基材としては、転写シートを用いることができる。
基材として用いられる転写シートとしては、転写性が良い材質であれば良く、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂を用いることができる。また、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等の高分子シート、高分子フィルムを転写シートとして用いることができる。また、基材として転写シートを用いた場合には、高分子電解質膜1に溶媒除去後の塗膜である電極膜を接合した後に転写シートを剥離することで、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2及び3を備える膜電極接合体11とすることができる。
ガス拡散層4及び5としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質を用いることができる。例えば、ガス拡散層4及び5として、カーボンクロス、カーボンペーパー、不織布等のポーラスカーボン材を用いることができる。
セパレータ10(10a、10b)としては、カーボンタイプ或いは金属タイプのもの等を用いることができる。なお、ガス拡散層4及び5とセパレータ10(10a、10b)はそれぞれ一体構造となっていても良い。また、セパレータ10(10a、10b)又は電極触媒層2及び3が、ガス拡散層4及び5の機能を果たす場合は、ガス拡散層4及び5は省略しても良い。固体高分子形燃料電池12は、ガス供給装置、冷却装置等、その他付随する装置を組み立てることにより製造することができる。
以下に、本実施形態における固体高分子形の燃料電池用電極触媒層の製造方法について具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態は下記の実施例及び比較例によって制限されるものではない。
<実施例>
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、第一の高分子電解質溶液としてイオン交換容量が1.2meq/gであるフッ素系高分子電解質からなる第一の高分子電解質を含む、20質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで10分間の分散処理を行った。次に、第二の高分子電解質溶液としてイオン交換容量が1.0meq/gであるフッ素系高分子電解質からなる第二の高分子電解質を含む、20質量%高分子電解質溶液を混合し、遊星型ボールミルで20分間の分散処理を行った。調整した触媒インクの出発原料の組成比は、カーボン担体:第一の高分子電解質:第二の高分子電解質を質量比で1:0.2:0.8とした。触媒インクの溶媒は、超純水と1−プロパノールを体積比で1:1とした。また、触媒インクにおける固形分含有量は、第二の高分子電解質溶液を混合した時点で10質量%となるように調整した。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートの基材に対し、調整した触媒インクをドクターブレード法で塗布し、大気雰囲気中80℃で乾燥させた。触媒インクの塗布量は、燃料極(アノード)7の一部となる電極触媒層3では白金担持量0.1mg/cmとし、空気極(カソード)6の一部をなす電極触媒層2では白金担持量0.3mg/cmとなるようにそれぞれ調整した。アノード7の一部となる電極触媒層3と、カソード6の一部となる電極触媒層2を形成した基材を5cm×5cmにそれぞれ打ち抜き、高分子電解質膜1上に転写温度130℃、転写圧力5.0×10Paの条件で転写して膜電極接合体11を形成した。
<比較例>
〔触媒インクの調整〕
担持密度50質量%である白金担持カーボン触媒と、第一の高分子電解質溶液としてイオン交換容量が1.2meq/gであるフッ素系高分子電解質からなる第一の高分子電解質を含む、20質量%高分子電解質溶液と、第二の高分子電解質溶液としてイオン交換容量が1.0meq/gであるフッ素系高分子電解質からなる第二の高分子電解質を含む、20質量%高分子電解質溶液とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで30分間の分散処理を行った。調整した触媒インクの出発原料の組成比は、カーボン担体:第一の高分子電解質:第二の高分子電解質を質量比で1:0.2:0.8とした。触媒インクの溶媒は、超純水と1−プロパノールを体積比で1:1とした。また、触媒インクにおける固形分含有量は10質量%となるように調整した。膜電極接合体を形成する方法は、実施例と同じにした。
<評価>
〔発電特性〕
実施例及び比較例で作製した膜電極接合体11を挟持するように、ガス拡散層4及び5としてカーボンペーパーを貼りあわせ、発電評価用の発電評価セル内に設置した。燃料電池測定装置を用いて、セル温度80℃とし、以下に示す2つの運転条件で電流電圧測定を行った。燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を用い、利用率一定による流量制御を行った。なお、背圧は50kPaとした。
〔運転条件〕
1.フル加湿:相対湿度 アノード100%RH、カソード100%RH
2.低加湿:相対湿度 アノード30%RH、カソード30%RH
〔測定結果〕
実施例で作製した膜電極接合体11は、比較例で作製した膜電極接合体よりも、低加湿の運転条件下で優れた発電性能を示した。また、実施例で作製した膜電極接合体11は、低加湿の運転条件下においても、フル加湿の運転条件下と同等レベルの発電性能であった。特に電流密度0.5A/cm付近の発電性能が向上した。実施例で作製した膜電極接合体11の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて0.16V高い発電特性を示した。実施例で作製した膜電極接合体11と、比較例で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、実施例の膜電極接合体11は保水性が高まり、低加湿の運転条件下における発電特性が、フル加湿の運転条件下と同等の発電特性を示すことが確認された。
また、フル加湿の運転条件下では、実施例で作製した膜電極接合体11の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて0.12V高い発電特性を示した。実施例で作製した膜電極接合体11と、比較例で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、反応ガスの拡散性、電極反応で生成した水の除去等を阻害していないことが確認された。
<まとめ>
本実施形態は、低加湿条件下で高い発電特性を示す膜電極接合体11を備えてなる固体高分子形燃料電池12に関するものである。
本実施形態に係る膜電極接合体11の電極触媒層2、3において、触媒担持粒子に近接する高分子電解質のイオン交換容量は、触媒担持粒子に近接しない高分子電解質のイオン交換容量よりも大きい。
本実施形態に係る電極触媒層の製造方法で製造された膜電極接合体は、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下でも高い発電特性を示す。また、本実施形態に係る電極触媒層の製造方法は、上述したような膜電極接合体を効率良く経済的に容易に製造することができる。
つまり、触媒担持粒子と第一の高分子電解質溶液とを溶媒に分散させた後、さらに、第二の高分子電解質溶液を分散させて触媒インクを形成し、この触媒インクを用いて電極触媒層を形成するだけで、上述の膜電極接合体を製造することができる。したがって、複雑な製造工程を伴うことなく製造することができると共に、上述の手順で作成した電極触媒層を用いることで保水性及び反応ガスの拡散性を共に向上させることができるため、例えば加湿器等の特別な手段を設けることなく運用することができ、コスト削減を図ることができる。
なお、上記実施形態において、高分子電解質膜1の両面に形成される電極触媒層2及び3のうち、一方の電極触媒層2又は3のみを、前記第一工程により作製した触媒インクを用いた電極触媒層としてもよい。一方の電極触媒層2又は3のみを、第一工程により作製した触媒インクを用いた電極触媒層とする場合、この電極触媒層を、電極反応により水が発生する空気極(カソード)側に配置することが好ましい。ただし、低加湿条件下における高分子電解質の水分保持の点から、高分子電解質膜1の両面に形成されることが、より好ましい。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
1…高分子電解質膜
2…電極触媒層
3…電極触媒層
4…ガス拡散層
5…ガス拡散層
6…空気極(カソード)
7…燃料極(アノード)
8、8a、8b…ガス流路
9、9a、9b…冷却水流路
10、10a、10b…セパレータ
11…膜電極接合体
12…固体高分子形燃料電池

Claims (5)

  1. 触媒担持粒子を第一の高分子電解質溶液と共に溶媒に分散させて第一の触媒インクを作製する工程と、
    前記第一の触媒インクに、イオン交換容量が、前記第一の高分子電解質溶液に含まれる第一の高分子電解質のイオン交換容量よりも小さい第二の高分子電解質を含む第二の高分子電解質溶液を加えて分散させて第二の触媒インクを作製する工程と、
    前記第二の触媒インクを基材に塗布し、乾燥処理後の前記第二の触媒インクを電極触媒層の形成対象領域上に転写して電極触媒層を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする燃料電池用電極触媒層の製造方法。
  2. 前記第一の高分子電解質のイオン交換容量は0.9meq/g以上3.0meq/g以下であり、前記第二の高分子電解質のイオン交換容量は0.8meq/g以上2.8meq/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極触媒層の製造方法。
  3. 燃料電池用電極触媒層を形成するための触媒インクの製造方法であって、
    触媒担持粒子を第一の高分子電解質溶液と共に溶媒に分散させて第一の触媒インクを作製し、
    前記第一の触媒インクに、イオン交換容量が、前記第一の高分子電解質溶液に含まれる第一の高分子電解質のイオン交換容量よりも小さい第二の高分子電解質を含む第二の高分子電解質溶液を加えて分散させて、前記燃料電池用電極触媒層を形成するための第二の触媒インクを作製することを特徴とする触媒インクの製造方法。
  4. 燃料電池用電極触媒層を形成するための触媒インクであって、
    触媒担持粒子と高分子電解質とを含み、
    前記高分子電解質のうち前記触媒担持粒子に近接する領域に存在する高分子電解質のイオン交換容量は、前記領域に存在する高分子電解質よりも前記触媒担持粒子から離れた位置に存在する高分子電解質よりイオン交換容量が大きいことを特徴とする触媒インク。
  5. 触媒担持粒子と高分子電解質とを含み、
    前記高分子電解質のうち前記触媒担持粒子に近接する領域に存在する高分子電解質のイオン交換容量は、前記領域に存在する高分子電解質よりも前記触媒担持粒子から離れた位置に存在する高分子電解質よりイオン交換容量が大きいことを特徴とする燃料電池用電極触媒層。
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