JP2004281305A - 燃料電池およびその電極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒層および導電性炭素粒子の細孔内部に存在する触媒を有効に利用し、触媒層における活性化分極を低減し、さらにガス拡散層の排水性を高めた触媒層を提供する。
【解決手段】触媒金属を担持した導電性炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質からなる触媒層を有する電極において、前記導電性炭素粒子が比表面積200〜1300m2/gであり、前記導電性炭素粒子に付着している水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが、5ないし100nmの第1の水素イオン伝導性高分子電解質と、100nmを超え1000nmまでの第2の水素イオン伝導性高分子電解質からなる。
【選択図】 図1
【解決手段】触媒金属を担持した導電性炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質からなる触媒層を有する電極において、前記導電性炭素粒子が比表面積200〜1300m2/gであり、前記導電性炭素粒子に付着している水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが、5ないし100nmの第1の水素イオン伝導性高分子電解質と、100nmを超え1000nmまでの第2の水素イオン伝導性高分子電解質からなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭用コジェネレーションシステムなどに使用される高分子電解質型燃料電池、特にその電極および製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることにより、電力と熱とを同時に発生させる電気化学装置である。この燃料電池は、基本的には、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜、および高分子電解質膜の両面に配置された一対の電極からなる。電極は、白金族金属触媒を担持した導電性カーボン粉末を主成分とする触媒層、およびこの触媒層の外面に形成された、通気性と電子導電性を併せ持つ、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーからなるガス拡散層から構成される。
【0003】
供給するガスが外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスとが互いに混合したりしないように、電極の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガスケットが配置される。このシール材やガスケットは、電極及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立てられる。これをMEA(電解質膜−電極接合体)と呼ぶ。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接するMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板が配置される。セパレータ板のMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路が形成される。ガス流路は、セパレータ板と別に設けることもできるが、セパレータ板の表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
これらのMEAとセパレータ板を交互に重ねていき、10〜200セル積層した後、集電板と絶縁板を介して端板でこれを挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な積層電池の構造である。
【0004】
つぎに、高分子電解質型燃料電池の電極について説明する。
前述したように電極は、ガス拡散層と触媒層からなる。ガス拡散層は、撥水処理を施した炭素不織布などの導電性多孔質電極基材で構成されるのが一般的である。また、高分子電解質膜の保湿を目的として、触媒層とガス拡散層との界面に導電性微粒子層を設けることもある。導電性微粒子層は、炭素粒子と、界面活性剤を含んだポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)微粒子の混合物から形成するのが一般的である。この混合物を導電性多孔質基材上に塗布し、つづいて300℃から400℃の温度で焼成して界面活性剤を除去し、ガス拡散層が得られる。この導電性微粒子層は、触媒層と隣接するように配置される。
【0005】
触媒層は、一般的に白金族金属触媒を担持した炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質との混合物で構成されるのが一般的である。現在、水素イオン伝導性高分子電解質は、パーフルオロカーボンスルホン酸が一般的に使用されている。触媒層は、触媒金属を担持した炭素粒子とエタノールなどのアルコール系溶媒あるいは水系溶媒に水素イオン伝導性高分子電解質を溶解ないし分散した液とを混合してインクを調製し、これをスクリーン印刷、スプレー塗工、ロールコーター塗工などで高分子電解質膜、導電性多孔質基材または樹脂フィルム上に形成するのが一般的である。この触媒層は、高分子電解質膜に隣接するように配置される。
【0006】
この触媒層内において、反応ガスの供給路となる細孔部分と、水素イオン伝導性を担う高分子電解質と、電子導電性を担う炭素粒子とが形成するいわゆる三層界面の面積の大きさは、燃料電池の放電性能を左右する重要な因子の一つである。また、触媒層内において、水素イオン伝導性高分子電解質と触媒金属を担持した炭素粒子の形成する細孔部の有する排水性は、燃料電池の経時的安定性を左右する重要な因子の一つである。
【0007】
これまで三相界面を増大させるために各種の提案がなされている。しかしながら従来の技術では、高分子電解質の溶液ないし分散液に、触媒を担持した炭素粒子と、フッ素樹脂等の撥水材または撥水処理された炭素粒子を同時に添加する方法が採られていた。そのため、撥水材や撥水処理された炭素粒子に高分子電解質が多く吸着し、高分子電解質と触媒との接触度合いが不均一となり、電極と高分子電解質膜との界面に十分な反応面積が確保できないという欠点を有していた。これらの課題を解決する手段として、高分子電解質をコロイド化し、触媒粉末に吸着させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
燃料電池の性能を更に向上するためには、三相界面の反応面積を増大させる必要がある。そのための一つの方法として、炭素粒子のアグロメレートの細孔部に存在し、これまで反応に寄与できなかった触媒を有効に利用することが重要になる。
以上に示した発明では、従来用いられる重合度が約1000のパーフルオロカーボンスルホン酸イオノマーを用いた場合であり、触媒層内で触媒金属を高分散させるために比表面積の高い炭素粒子を用いた場合、触媒層の細孔部に存在する触媒を十分に利用できないという欠点を有していた。
【0009】
細孔部に存在する触媒金属を利用する方法としては、触媒層に用いる水素イオン伝導性高分子電解質の分子量あるいは重合度を低くし、細孔部より小さな微粒子として用いる方法が考えられる。しかしながら、分子量あるいは重合度が低い水素イオン伝導性高分子電解質は、炭素粒子との結合力が弱く、また耐熱性も低いため、安定な触媒層を得ることができない。そこで、炭素粒子の流動する乾燥雰囲気中に、分子量または重合度が低い水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を噴霧することにより、水素イオン伝導性高分子電解質を炭素粒子に付着させる方法が提案されている。この方法によると、加熱により水素イオン伝導性高分子電解質の凝集が抑制された複次粒子が得られる。この複次粒子を溶媒に再溶解ないし再分散して触媒層を形成して電極とする方法が提案されている。しかしながら、この方法では複次粒子間の水素イオン伝導性が十分に確保できないという問題があった。
【0010】
燃料電池の性能を向上するためには、触媒と水素イオン伝導性高分子電解質間における活性化分極を低減することが重要である。そのための方法として、触媒近傍にイオン交換容量の高い水素イオン伝導性高分子電解質を存在させる方法がある。しかし、イオン交換容量の高い水素イオン伝導性高分子電解質を用いると、触媒層全体が濡れやすくなり、フラッディングおよび水素イオン伝導性高分子電解質の膨潤によるガス閉塞が発生し、性能低下を生じる。そこで、当量重量(イオン交換基1当量当たりの樹脂量、以下EWで表す)の異なる2種以上の高分子電解質を用いて、触媒反応と排水性を兼ね備えた触媒層を構成する提案がある(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、EWの異なる高分子電解質がランダムに触媒層中に存在すること、および、水素イオン伝導性高分子電解質の凝集を抑制することが考慮されていないため、炭素粒子の細孔部の触媒を有効に利用することができないという問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平08−264190号公報
【特許文献2】
特開平10−284087公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決しようとするもので、炭素粒子の細孔内部の触媒が有効に利用されるとともに、触媒層における活性化分極が低減された燃料電池用電極を提供することを目的とする。
また、本発明は、水素イオン伝導性高分子電解質と触媒とが十分に、かつ均一に接触されて反応面積が増大し、さらに排水性の制御により良好なガス拡散性を保持した触媒層を有し、高い性能を長時間維持できる燃料電池を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池は、水素イオン伝導性高分子電解質膜、および前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む一対の電極を具備する燃料電池であって、前記電極が、触媒金属を担持した導電性炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質からなり、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜に接合された触媒層を有し、前記導電性炭素粒子が比表面積200〜1300m2/gであり、かつ前記導電性炭素粒子に付着している水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが、5ないし100nmの第1の水素イオン伝導性高分子電解質と、100nmを超え1000nmまでの第2の水素イオン伝導性高分子電解質からなることを特徴とする。
【0014】
ここで、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の平均分子量が1万〜30万であり、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の平均分子量が30万〜300万であることが好ましい。
第1の水素イオン伝導性高分子電解質の当量重量(EW)が700〜900g/ewであり、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の当量重量が1000〜2000g/ewであることが好ましい。
第1の水素イオン伝導性高分子電解質、第2の水素イオン伝導性高分子電解質および前記導電性炭素粒子の触媒層中における組成比が、
1)第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が1〜4であり、
2)第1の水素イオン伝導性高分子電解質と前記導電性炭素粒子の重量比が2/5〜4/5であり、
3)第1の水素イオン伝導性高分子電解質および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と前記導電性炭素粒子の重量との比が4/5〜6/5であることが好ましい。
【0015】
本発明は、触媒金属を担持した導電性炭素粒子に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を分散した第1の分散液を付着し、乾燥して第1の水素イオン伝導性高分子電解質を付与した触媒粒子を作製する第1の工程、前記触媒粒子を第2の水素イオン伝導性高分子電解質の第2の分散液と混合して、触媒層用インクを調製する第2の工程、および前記インクを高分子電解質膜または支持シートに塗布、乾燥して触媒層を形成する第3の工程を有する燃料電池用電極の製造方法であって、第1の分散液中に分散している第1の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが5ないし100nmであり、第2の分散液中に分散している第2の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが100nmを超え1000nm以下である燃料電池用電極の製造方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
触媒層において、触媒金属は、より高い分散状態で存在するほどその利用率が向上し、電池性能も向上する。この触媒金属の高分散状態は、担体である炭素粒子に依存する。担体となる炭素粒子には、一般的にヴァルカン、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性炭素粒子が用いられる。触媒金属をより高分散するためには、担体である炭素粒子の比表面積が200m2/g以上1300m2/g以下であることが有効である。好ましくは250m2/g以上800m2/g以下である。比表面積が200m2/g未満では、一次粒子の細孔部が少なく、触媒金属を十分に分散することができない。また、比表面積が1300m2/gを超えると、水素イオン伝導性高分子電解質と接触できないアグロメレートの深部に触媒金属が存在する。
【0017】
触媒担体の炭素粒子は、表面に、カルボキシル基、フェノール性水酸基、キノン基、ラクトン基など酸素を含む官能基を有する炭素粒子を用いることが好ましい。表面にこれら官能基が存在すると、水素イオン伝導性高分子電解質が配置されやすくなる。
【0018】
触媒層に用いられる水素イオン伝導性高分子電解質は、[化1]に示すような構造を有する高分子電解質である。式中Xは水素イオン伝導の働きを担うスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの強酸基である。主鎖を形成するR1はポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロ−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などからなる炭化フッ素系またはポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾールなどの炭化水素系からなる。側鎖を形成するR2はアルキル基、アルキルエーテル基、スチレン基、または炭化フッ素系エーテル基からなる。一般的には[化2]に示すパーフルオロカーボンスルホン酸が用いられる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
[化2]の式において、5≦x≦13.5、y≒1000、m=1、n=2である。
【0022】
本発明の第1の特徴は、触媒層に用いる第1の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズを5nm以上100nm以下とし、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズを100nmを超え1000nmまでとすることである。これを実現するためには、第1の水素イオン伝導性高分子電解質には分子量1万以上30万以下のものを用い、第2の水素イオン伝導性高分子電解質には分子量30万以上300万以下のものを用いる。
ここで、水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片は、図2に示すように、高分子電解質のいくつかの分子がからまりあって塊状になっているもの(図2の(a))、高分子電解質の分子がからまりあっているもの(図2の(b))、および1つの分子で構成されるもの(図2の(c))が代表的なものである。これら単位素片のサイズは、図2のdで表すものとする。図2中7は高分子電解質の主鎖を表し、主鎖にはイオン交換基9を有する側鎖8が結合している。
【0023】
第1の水素イオン伝導性高分子電解質の働きは、炭素粒子のアグロメレートが形成する40nm以下の細孔および炭素粒子の一次粒子における10nm以下の細孔内に配置されることで、触媒利用率を増大することである。第2の水素イオン伝導性高分子電解質の働きは、第1の水素イオン伝導性高分子電解質を配置した炭素粒子を外側から被覆することで第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶出を抑制することである。また、第2の水素イオン伝導性高分子電解質は、分子鎖が長いことから結晶性が高く、分子間の相互作用が強くなり、触媒層を形成したとき水による膨潤が発生しにくくなる。これにより、ガス拡散経路の閉塞が抑制され、安定な電池性能を長期間維持することができる。
【0024】
以上に記した本発明による触媒層の概念を示すモデルを図1に示す。
触媒金属1を担持した導電性炭素粒子2が形成するアグロメレートの40nm以下の細孔内に第1の水素イオン伝導性高分子電解質3が配置され、それを覆うように第2の水素イオン伝導性高分子電解質4が配置される。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、第1の水素イオン伝導性高分子電解質のEWを700g/ew以上900g/ew以下とし、第2の水素イオン伝導性高分子電解質のEWを1000g/ew以上2000g/ew以下とする。これにより、本発明の第1の特徴をさらに有効に用いることができる。
【0026】
触媒層の三相界面において、より円滑な電気化学反応を進めるためには、EWの小さな高分子電解質を触媒近傍に配置することが好ましい。EWの小さい水素イオン伝導性高分子電解質は、言い換えればイオン交換容量が大きく、高い水素イオン伝導性を示すものである。これを第1の水素イオン伝導性高分子電解質に用いることで、触媒層における活性化分極が低減される。ただし、EWが700g/ew未満であると、親水性が強くなり水溶性となるので、燃料電池の発電時に発生する水により溶解してしまうため、触媒層への使用に適さない。また、EWが900g/ewを超えると、期待される水素イオン伝導性を発揮することができない。
【0027】
第2の水素イオン伝導性高分子電解質の働きは、触媒近傍に配置した第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶出を抑制することに加え、触媒粒子間を連結するイオン伝導チャンネルの形成、および十分なガス拡散経路の確保である。EWの大きい水素イオン伝導性高分子電解質を第2の水素イオン伝導性高分子電解質として用いることが好ましい。EWが大きいということは、イオン交換容量が小さく、すなわち高分子電解質骨格の有する撥水性が強くなり、触媒層の排水性が向上する。EWが1100g/ew未満では、高分子電解質は親水性に近いので、排水性効果は期待できない。EWが2000g/ewを超えると、イオン伝導性が低く、イオン伝導チャンネル形成に適さない。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施の形態においては、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が1以上4以下であり、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素微粒子の重量比が2/5以上4/5以下であり、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素微粒子の重量との比が4/5以上6/5以下である。
第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比を1未満とすると、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の量が多くなり、ガス拡散経路の閉塞が発生する。また、導電性炭素微粒子間の電子伝導性を阻害する。前記の重量比が4を超えると、触媒粒子間の十分なイオン伝導性が発揮できない。
【0029】
第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比が2/5未満では、触媒金属を被覆する水素イオン伝導性高分子電解質の量が不足し、触媒金属を有効に利用することができない。また、前記の重量比が4/5を超えると、水素イオン伝導性高分子電解質が厚く被覆され、抵抗値が大きくなる。第1の水素イオン伝導性高分子電解質の重量および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と、導電性炭素粒子の重量との比が4/5以上6/5以下の範囲で最良の特性が示された。
【0030】
本発明のさらに他の好ましい実施の形態においては、あらかじめ第1の水素イオン伝導性高分子電解質を付着した触媒担持粒子を作製し、これに第2の水素イオン伝導性高分子電解質を被覆させる。これにより、電気化学反応に寄与する第1の水素イオン伝導性高分子電解質、並びに、イオン伝導チャンネルとガス拡散チャンネルに寄与する第2の水素イオン伝導性高分子電解質を選択的に触媒層中に配置することができる。本発明による電極の好ましい製造方法において、第1の工程では、触媒金属を担持した炭素粒子を乾燥雰囲気中に流動させ、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないしは分散液を噴霧し、造粒・粉砕と同時に加熱することで触媒金属を担持した炭素粒子の表面および細孔内に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を付与する。この方法によると、溶媒除去時に発生する水素イオン伝導性高分子電解質の凝集作用を抑制することができ、より効果的に炭素粒子の表面および細孔内にある触媒金属近傍に選択的に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を配置することができる。その代表例としてスプレードライ式装置を用いた第1の工程を以下に示す。
【0031】
図3は、触媒粒子に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆するのに用いるスプレードライ式装置の概念図である。容器11は、下部の円筒状容器、上部の径が大きくなるようにテーパーを付された筒部、および上部の円筒状容器が相互に連結されて構成されている。容器11の下部には、ヒータ付きのガス導入管14が設けてあり、ここから容器内を乾燥雰囲気とするために一定温度に制御された窒素ガスが導入される。容器11の下部には、塵埃の侵入を阻止する金属フィルタ15が設けてある。金属フィルタ15の上方には、多数の通気孔を有する造粒プレート16、および造粒プレート上に固定された、中央に衝突ターゲット18を有する攪拌羽根17が回転可能に設けてある。これらの上方の容器壁面には、衝突ターゲット18に向けて圧縮ガスを噴射する一対の圧縮ガス噴射ノズル19が設けられている。容器11の中程には、高圧スプレー13が設けてある。高圧スプレー13は、容器11内の水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を容器内へ噴霧する。容器11の上方には、バグフィルタ20が設けられている。バグフィルタ20内にはポンプ21から供給される圧縮ガスを噴出させるためのパイプ22が挿入されている。適宜ポンプ21からパイプ22を通じてバグフィルタ20内へ圧縮ガスを噴射することにより、バグフィルタの外面に付着した粉末などを払い落とす。容器の上部にはガス排出管23を有する。
【0032】
この装置により触媒粒子に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆するには、まず、容器11内の造粒プレート16上に触媒粒子を入れ、高圧スプレー13から水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を噴霧する。容器11内の触媒粒子は、ガス導入管14から供給される一定温度の窒素ガスにより容器の上方へ吹き上げられる。ガス導入管14から導入された窒素ガスは、ガス流れ方向を示した矢印a、bにしたがって、金属フィルタ15および造粒プレート16から容器内上方へ吹き上がる。造粒プレート16は、流動風量が外周に向かって大きくなるように開孔した通気スリットを有している。この造粒プレート16を通過したガスによる流動風により、容器11に投入された触媒粒子は容器の上方へ流動し、そこで水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を付着され、乾燥される。
水素イオン伝導性高分子電解質を付着されて造粒プレート16の上部に沈降してきた触媒粒子は、回転する造粒プレート16上で造粒される。攪拌羽根17は、高速で回転して、そこに沈降してくる粒子を粉砕する。また、圧縮ガス噴射ノズル19から衝突ターゲット18に向けて間欠的に噴射されるパルスジェットは、流動状態の触媒粒子をジェット粉砕により低次の粒子に粉砕する。系内に導入された窒素ガスは、容器内上方に配置されたバグフィルタ20によって、電極粒子並びに固化した水素イオン伝導性高分子電解質の粉末をフィルトレーションし、窒素ガスのみを排出管23より系外に排出する。
【0033】
この装置により、水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を触媒粒子に噴霧して触媒粒子に付着させ、乾燥させるとともに、適度の粒径に造粒させることができる。すなわち、噴霧された水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液は触媒粒子の表面に付着し、これが乾燥されて溶媒が揮散するから、触媒粒子の表面に水素イオン伝導性高分子電解質のみを均一に付着させることができる。また、粉砕工程が加わることで、高複次粒子が低複次粒子に粉砕されるというように、粒子が細かく粉砕されて、触媒金属部分が表面に現れ、水素イオン伝導性高分子電解質が均一に付着することが可能となる。
また、系内に導入される加熱ガスによって、乾燥と同時に水素イオン伝導性高分子電解質を加熱処理することが可能になる。系内に導入されるガス種は、水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液の溶媒ないし分散媒によって選択する。例えば、可燃性の溶媒を用いた場合には、必要に応じて不活性ガス等により酸素濃度を低減して、触媒の燃焼を防止する。
【0034】
【実施例】
次に本発明の具体例を示す。
《実施例1》
本実施例では、図3の装置を用いて触媒粒子に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した。この触媒粒子に第2の水素イオン伝導性高分子電解質を混合して触媒層用インクを調製した。
まず、平均粒径30nm、比表面積800m2/gのケッチェンブラック(オランダ国、AKZO Chemie社)に、平均粒径約3nmの白金粒子を50重量%担持した。これを空気極側の触媒担持粒子とした。同様のケッチェンブラックECに平均粒径約3nmの白金粒子とルテニウム粒子をそれぞれ25重量%ずつ担持して燃料極側の触媒担持粒子とした。
【0035】
次に、図3の装置を用いて、上の触媒担持粒子の表面に第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶液を噴霧しながら乾燥し、触媒担持粒子の表面に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した。ここで、水素イオン伝導性高分子電解質の水分散液には、約10重量%濃度の平均分子量が10万(平均粒径30nm)、EW900g/ewのパーフルオロカーボンスルホン酸イオノマーを用いた。
詳細な製造条件は、次の通りである;
【0036】
触媒粒子の投入量:40g、
水素イオン伝導性高分子電解質の水分散液の使用量:18.5g、
高圧スプレー13よりの溶液の噴霧速度:2.0g/分、
窒素ガスの温度:110〜150℃、窒素ガス風量:0.06m3/分、
撹拌羽根17の回転速度:300rpm、
パルスジェット19のオン/オフ間隔:1回/12秒。
【0037】
このようにして得た燃料極用および空気極用の触媒粒子は、低次粒子のレベルで、表面に水素イオン伝導性高分子電解質を均一に配置しており、複次粒子の平均粒径は5μmであった。
【0038】
これらの触媒粒子5gを窒素雰囲気中において第2の水素イオン伝導性高分子電解質の水分散液5gと混合し、さらにエチレングリコール6gを加え、遊星ボールミルで混合して、触媒層用インクを調製した。第2の水素イオン伝導性高分子電解質は、平均分子量100万(平均粒径300nm)、EW1200g/ewである。第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比が4/5となるようにした。つぎに、外寸が12cm×12cmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン112)の一方の面に空気極用の白金を担持した触媒粒子を含むインクを、他方の面に燃料極用の白金とルテニウムを担持した触媒粒子を含むインクをそれぞれスクリーン印刷法により塗布し、乾燥して各々の触媒層を形成した。触媒層中に含まれる白金量は0.5mg/cm2、触媒層の平均厚みは20μmになるようにした。
【0039】
ガス拡散層は、次のようにして作製した。まず、外寸6cm×6cm、厚み360μmのカーボンペーパ(東レ(株)製、TGP―H―120)をフッ素樹脂の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製、ネオフロンND1)に含浸した後、乾燥し、380℃で30分加熱することで、撥水性を与えた。このカーボン不織布の一方の面に、導電性カーボン粉末とPTFE微粉末の分散液とを混合したインクを、スクリーン印刷法を用いて塗布することで撥水層を形成した。このとき、撥水層の一部はカーボン不織布の中に埋め込まれていた。
【0040】
つぎに、上記水素イオン伝導性高分子電解質膜の前記触媒層の部分に、前述のカーボンペーパを撥水層の面が触媒層に接するようにホットプレスで接合し、電解質膜−電極接合体(MEA)を作製した。ここで得られたMEAをMEA(A)とする。
【0041】
以上においては、第1の水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した触媒粒子に、第2の水素イオン伝導性高分子電解質とエチレングリコールを混合し、触媒層用のインク塗料を調製した。エチレングリコールの代わりに、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサン、ヘプタンなどを用いても、同様の結果が得られる。
【0042】
《比較例1》
本比較例では、触媒担体の炭素粒子に表面積が58m2/gのアセチレンブラックを用いた他は実施例1と同様の方法で触媒層を作製し、MEAを組み立てた。このMEAをMEA(X)とする。
【0043】
《比較例2》
本比較例では、第1の水素イオン伝導性高分子電解質に第2の水素イオン伝導性高分子電解質と同様の、平均分子量100万(平均粒径300nm)、EW1200g/ewのものを用いた他は実施例1と同様の方法で触媒層を作製し、MEAを組み立てた。このMEAをMEA(Y)とする。
【0044】
《比較例3》
本比較例では、第2の水素イオン伝導性高分子電解質に第1の水素イオン伝導性高分子電解質と同様の、平均分子量が10万(平均粒径30nm)、EW900g/ewのものを用いた他は実施例1と同様の方法で触媒層を作製し、MEAを組み立てた。このMEAをMEA(Z)とする。
【0045】
《実施例2》
本実施例では、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比、並びに第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比を変化させて触媒層を作製し、MEAを組み立てた。ここに用いた第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質は実施例1と同じである。
【0046】
以上の実施例1並びに比較例1、2および3のMEAを単セルに組み、水素80%および二酸化炭素20%の混合ガスを70℃のバブラーを通して燃料極に、空気を70℃のバブラーを通して空気極にそれぞれ供給した。電池温度を70℃、燃料ガス利用率を70%、空気利用率を40%とした。以上の条件で燃料電池の特性評価を行った。その結果を図4に示す。
実施例2のMEAについては、上記と同様の方法で特性評価を行い、電流密度0.2A/cm2の時の電池電圧を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表中P1は第1の水素イオン伝導性高分子電解質の重量、P2は第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量、Cは導電性炭素粒子の重量を表す。
【0049】
図4は各電池の電流−電圧特性を示す。MEA(A)は、MEA(X)およびMEA(Y)と比較して、0A/cm2以上0.2A/cm2以下の低電流密度領域で高い特性を示した。この領域は触媒近傍における活性化分極に由来する領域である。本発明の実施例1によるMEA(A)は、第1の水素イオン伝導性高分子電解質が触媒層の細孔あるいは導電性炭素粒子の細孔内部に入りこむことが可能となり、選択的に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を触媒金属近傍に配置することにより、触媒利用率を増大し、活性化分極を低減することができ、高い電池特性を示すことができたと考えれる。
【0050】
MEA(X)は、担体である導電性炭素粒子が比表面積の小さいアセチレンブラックであるため触媒金属を高分散できず、触媒層が厚くなり、抵抗値が増大することにより、電池性能がMEA(A)より低かったと考えられる。
MEA(Y)は、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の平均粒径が大きく、細孔内部に存在する触媒金属近傍に水素イオン伝導性高分子電解質を配置することができず、活性化分極を十分に低減することができず、MEA(A)より低い電池性能を示したと考えられる。
MEA(Z)は、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の平均粒径が小さく、細孔内部に存在する触媒金属近傍に水素イオン伝導性高分子電解質を配置することができ、活性化分極が十分に低減できた。しかし、第2の水素イオン伝導性高分子電解質のEWが大きく、触媒層が親水性を示し、電流密度が増加するに従い反応生成水により触媒層内が濡れやすくなり、電圧低下が生じたため、MEA(A)より低い電池性能を示したと考えられる。
【0051】
表1から明らかなように、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が1〜4であり、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比が2/5〜4/5であり、第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比が4/5〜6/5であるMEAは、電流密度0.2A/cm2で770V程度の高い特性を示した。
なかでも第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が3、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比が3/5、第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比が4/5であるMEAは、電流密度0.2A/cm2で連続5000時間運転後の電池性能が0.776Vから0.760Vと2.1%減の非常に遅い低下速度であり、電池性能の経時安定性を示した。
これは、第1の水素イオン伝導性高分子電解質による活性化分極の低減効果と第2の水素イオン伝導性高分子電解質による触媒層中での十分なガス拡散経路の確保により、高い電池性能を長時間確保できたことによると考えられる。
【0052】
上述の実施例で用いたパーフルオロスルホン酸イオノマー系高分子電解質に変え、スルホン酸基を有する芳香族系および脂肪族系ポリマーを用いた以外は同一の構成でMEAを作製し、同一の条件で評価したところ、高分子電解質の分子量、重合度、粒子径、ならびに導電性炭素粒子の細孔構造の相関に関して、上述の作用効果と同様の結果を得ることができた。なお、スルホン酸基を有する芳香族系ポリマーおよび脂肪族系ポリマーの代表例として、ポリチオフェニレンスルホン酸とポリアニリンの複合ポリマー、ポリジフェニルアミン、ポリフェニレン誘導体{ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、ポリ(ベンズイミダゾール)―ブタンスルホン酸、ポリ(サイラミン)、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレントリブロックコポリマー、ポリエーテルエーテルケトンを用いた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、2種の異なる水素イオン伝導性高分子電解質をその機能に合わせ選択的に配置することで高い電池性能と長時間の経時安定性を示す燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒層の構成を示すモデル図である。
【図2】高分子電解質の単位素片の例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例で用いた触媒粉末製造装置の構成を示す縦断面略図である。
【図4】本発明の実施例におけるMEAの電流−電圧曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 触媒金属
2 導電性炭素粒子
3 第1の水素イオン伝導性高分子電解質
4 第2の水素イオン伝導性高分子電解質
5 ガス拡散経路
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭用コジェネレーションシステムなどに使用される高分子電解質型燃料電池、特にその電極および製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを、電気化学的に反応させることにより、電力と熱とを同時に発生させる電気化学装置である。この燃料電池は、基本的には、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜、および高分子電解質膜の両面に配置された一対の電極からなる。電極は、白金族金属触媒を担持した導電性カーボン粉末を主成分とする触媒層、およびこの触媒層の外面に形成された、通気性と電子導電性を併せ持つ、例えば撥水処理を施したカーボンペーパーからなるガス拡散層から構成される。
【0003】
供給するガスが外にリークしたり、燃料ガスと酸化剤ガスとが互いに混合したりしないように、電極の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガスケットが配置される。このシール材やガスケットは、電極及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立てられる。これをMEA(電解質膜−電極接合体)と呼ぶ。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接するMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板が配置される。セパレータ板のMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路が形成される。ガス流路は、セパレータ板と別に設けることもできるが、セパレータ板の表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
これらのMEAとセパレータ板を交互に重ねていき、10〜200セル積層した後、集電板と絶縁板を介して端板でこれを挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な積層電池の構造である。
【0004】
つぎに、高分子電解質型燃料電池の電極について説明する。
前述したように電極は、ガス拡散層と触媒層からなる。ガス拡散層は、撥水処理を施した炭素不織布などの導電性多孔質電極基材で構成されるのが一般的である。また、高分子電解質膜の保湿を目的として、触媒層とガス拡散層との界面に導電性微粒子層を設けることもある。導電性微粒子層は、炭素粒子と、界面活性剤を含んだポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)微粒子の混合物から形成するのが一般的である。この混合物を導電性多孔質基材上に塗布し、つづいて300℃から400℃の温度で焼成して界面活性剤を除去し、ガス拡散層が得られる。この導電性微粒子層は、触媒層と隣接するように配置される。
【0005】
触媒層は、一般的に白金族金属触媒を担持した炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質との混合物で構成されるのが一般的である。現在、水素イオン伝導性高分子電解質は、パーフルオロカーボンスルホン酸が一般的に使用されている。触媒層は、触媒金属を担持した炭素粒子とエタノールなどのアルコール系溶媒あるいは水系溶媒に水素イオン伝導性高分子電解質を溶解ないし分散した液とを混合してインクを調製し、これをスクリーン印刷、スプレー塗工、ロールコーター塗工などで高分子電解質膜、導電性多孔質基材または樹脂フィルム上に形成するのが一般的である。この触媒層は、高分子電解質膜に隣接するように配置される。
【0006】
この触媒層内において、反応ガスの供給路となる細孔部分と、水素イオン伝導性を担う高分子電解質と、電子導電性を担う炭素粒子とが形成するいわゆる三層界面の面積の大きさは、燃料電池の放電性能を左右する重要な因子の一つである。また、触媒層内において、水素イオン伝導性高分子電解質と触媒金属を担持した炭素粒子の形成する細孔部の有する排水性は、燃料電池の経時的安定性を左右する重要な因子の一つである。
【0007】
これまで三相界面を増大させるために各種の提案がなされている。しかしながら従来の技術では、高分子電解質の溶液ないし分散液に、触媒を担持した炭素粒子と、フッ素樹脂等の撥水材または撥水処理された炭素粒子を同時に添加する方法が採られていた。そのため、撥水材や撥水処理された炭素粒子に高分子電解質が多く吸着し、高分子電解質と触媒との接触度合いが不均一となり、電極と高分子電解質膜との界面に十分な反応面積が確保できないという欠点を有していた。これらの課題を解決する手段として、高分子電解質をコロイド化し、触媒粉末に吸着させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
燃料電池の性能を更に向上するためには、三相界面の反応面積を増大させる必要がある。そのための一つの方法として、炭素粒子のアグロメレートの細孔部に存在し、これまで反応に寄与できなかった触媒を有効に利用することが重要になる。
以上に示した発明では、従来用いられる重合度が約1000のパーフルオロカーボンスルホン酸イオノマーを用いた場合であり、触媒層内で触媒金属を高分散させるために比表面積の高い炭素粒子を用いた場合、触媒層の細孔部に存在する触媒を十分に利用できないという欠点を有していた。
【0009】
細孔部に存在する触媒金属を利用する方法としては、触媒層に用いる水素イオン伝導性高分子電解質の分子量あるいは重合度を低くし、細孔部より小さな微粒子として用いる方法が考えられる。しかしながら、分子量あるいは重合度が低い水素イオン伝導性高分子電解質は、炭素粒子との結合力が弱く、また耐熱性も低いため、安定な触媒層を得ることができない。そこで、炭素粒子の流動する乾燥雰囲気中に、分子量または重合度が低い水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を噴霧することにより、水素イオン伝導性高分子電解質を炭素粒子に付着させる方法が提案されている。この方法によると、加熱により水素イオン伝導性高分子電解質の凝集が抑制された複次粒子が得られる。この複次粒子を溶媒に再溶解ないし再分散して触媒層を形成して電極とする方法が提案されている。しかしながら、この方法では複次粒子間の水素イオン伝導性が十分に確保できないという問題があった。
【0010】
燃料電池の性能を向上するためには、触媒と水素イオン伝導性高分子電解質間における活性化分極を低減することが重要である。そのための方法として、触媒近傍にイオン交換容量の高い水素イオン伝導性高分子電解質を存在させる方法がある。しかし、イオン交換容量の高い水素イオン伝導性高分子電解質を用いると、触媒層全体が濡れやすくなり、フラッディングおよび水素イオン伝導性高分子電解質の膨潤によるガス閉塞が発生し、性能低下を生じる。そこで、当量重量(イオン交換基1当量当たりの樹脂量、以下EWで表す)の異なる2種以上の高分子電解質を用いて、触媒反応と排水性を兼ね備えた触媒層を構成する提案がある(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、EWの異なる高分子電解質がランダムに触媒層中に存在すること、および、水素イオン伝導性高分子電解質の凝集を抑制することが考慮されていないため、炭素粒子の細孔部の触媒を有効に利用することができないという問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平08−264190号公報
【特許文献2】
特開平10−284087公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決しようとするもので、炭素粒子の細孔内部の触媒が有効に利用されるとともに、触媒層における活性化分極が低減された燃料電池用電極を提供することを目的とする。
また、本発明は、水素イオン伝導性高分子電解質と触媒とが十分に、かつ均一に接触されて反応面積が増大し、さらに排水性の制御により良好なガス拡散性を保持した触媒層を有し、高い性能を長時間維持できる燃料電池を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池は、水素イオン伝導性高分子電解質膜、および前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む一対の電極を具備する燃料電池であって、前記電極が、触媒金属を担持した導電性炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質からなり、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜に接合された触媒層を有し、前記導電性炭素粒子が比表面積200〜1300m2/gであり、かつ前記導電性炭素粒子に付着している水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが、5ないし100nmの第1の水素イオン伝導性高分子電解質と、100nmを超え1000nmまでの第2の水素イオン伝導性高分子電解質からなることを特徴とする。
【0014】
ここで、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の平均分子量が1万〜30万であり、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の平均分子量が30万〜300万であることが好ましい。
第1の水素イオン伝導性高分子電解質の当量重量(EW)が700〜900g/ewであり、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の当量重量が1000〜2000g/ewであることが好ましい。
第1の水素イオン伝導性高分子電解質、第2の水素イオン伝導性高分子電解質および前記導電性炭素粒子の触媒層中における組成比が、
1)第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が1〜4であり、
2)第1の水素イオン伝導性高分子電解質と前記導電性炭素粒子の重量比が2/5〜4/5であり、
3)第1の水素イオン伝導性高分子電解質および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と前記導電性炭素粒子の重量との比が4/5〜6/5であることが好ましい。
【0015】
本発明は、触媒金属を担持した導電性炭素粒子に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を分散した第1の分散液を付着し、乾燥して第1の水素イオン伝導性高分子電解質を付与した触媒粒子を作製する第1の工程、前記触媒粒子を第2の水素イオン伝導性高分子電解質の第2の分散液と混合して、触媒層用インクを調製する第2の工程、および前記インクを高分子電解質膜または支持シートに塗布、乾燥して触媒層を形成する第3の工程を有する燃料電池用電極の製造方法であって、第1の分散液中に分散している第1の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが5ないし100nmであり、第2の分散液中に分散している第2の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが100nmを超え1000nm以下である燃料電池用電極の製造方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
触媒層において、触媒金属は、より高い分散状態で存在するほどその利用率が向上し、電池性能も向上する。この触媒金属の高分散状態は、担体である炭素粒子に依存する。担体となる炭素粒子には、一般的にヴァルカン、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性炭素粒子が用いられる。触媒金属をより高分散するためには、担体である炭素粒子の比表面積が200m2/g以上1300m2/g以下であることが有効である。好ましくは250m2/g以上800m2/g以下である。比表面積が200m2/g未満では、一次粒子の細孔部が少なく、触媒金属を十分に分散することができない。また、比表面積が1300m2/gを超えると、水素イオン伝導性高分子電解質と接触できないアグロメレートの深部に触媒金属が存在する。
【0017】
触媒担体の炭素粒子は、表面に、カルボキシル基、フェノール性水酸基、キノン基、ラクトン基など酸素を含む官能基を有する炭素粒子を用いることが好ましい。表面にこれら官能基が存在すると、水素イオン伝導性高分子電解質が配置されやすくなる。
【0018】
触媒層に用いられる水素イオン伝導性高分子電解質は、[化1]に示すような構造を有する高分子電解質である。式中Xは水素イオン伝導の働きを担うスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの強酸基である。主鎖を形成するR1はポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロ−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などからなる炭化フッ素系またはポリオレフィン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリベンズイミダゾールなどの炭化水素系からなる。側鎖を形成するR2はアルキル基、アルキルエーテル基、スチレン基、または炭化フッ素系エーテル基からなる。一般的には[化2]に示すパーフルオロカーボンスルホン酸が用いられる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
[化2]の式において、5≦x≦13.5、y≒1000、m=1、n=2である。
【0022】
本発明の第1の特徴は、触媒層に用いる第1の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズを5nm以上100nm以下とし、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズを100nmを超え1000nmまでとすることである。これを実現するためには、第1の水素イオン伝導性高分子電解質には分子量1万以上30万以下のものを用い、第2の水素イオン伝導性高分子電解質には分子量30万以上300万以下のものを用いる。
ここで、水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片は、図2に示すように、高分子電解質のいくつかの分子がからまりあって塊状になっているもの(図2の(a))、高分子電解質の分子がからまりあっているもの(図2の(b))、および1つの分子で構成されるもの(図2の(c))が代表的なものである。これら単位素片のサイズは、図2のdで表すものとする。図2中7は高分子電解質の主鎖を表し、主鎖にはイオン交換基9を有する側鎖8が結合している。
【0023】
第1の水素イオン伝導性高分子電解質の働きは、炭素粒子のアグロメレートが形成する40nm以下の細孔および炭素粒子の一次粒子における10nm以下の細孔内に配置されることで、触媒利用率を増大することである。第2の水素イオン伝導性高分子電解質の働きは、第1の水素イオン伝導性高分子電解質を配置した炭素粒子を外側から被覆することで第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶出を抑制することである。また、第2の水素イオン伝導性高分子電解質は、分子鎖が長いことから結晶性が高く、分子間の相互作用が強くなり、触媒層を形成したとき水による膨潤が発生しにくくなる。これにより、ガス拡散経路の閉塞が抑制され、安定な電池性能を長期間維持することができる。
【0024】
以上に記した本発明による触媒層の概念を示すモデルを図1に示す。
触媒金属1を担持した導電性炭素粒子2が形成するアグロメレートの40nm以下の細孔内に第1の水素イオン伝導性高分子電解質3が配置され、それを覆うように第2の水素イオン伝導性高分子電解質4が配置される。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、第1の水素イオン伝導性高分子電解質のEWを700g/ew以上900g/ew以下とし、第2の水素イオン伝導性高分子電解質のEWを1000g/ew以上2000g/ew以下とする。これにより、本発明の第1の特徴をさらに有効に用いることができる。
【0026】
触媒層の三相界面において、より円滑な電気化学反応を進めるためには、EWの小さな高分子電解質を触媒近傍に配置することが好ましい。EWの小さい水素イオン伝導性高分子電解質は、言い換えればイオン交換容量が大きく、高い水素イオン伝導性を示すものである。これを第1の水素イオン伝導性高分子電解質に用いることで、触媒層における活性化分極が低減される。ただし、EWが700g/ew未満であると、親水性が強くなり水溶性となるので、燃料電池の発電時に発生する水により溶解してしまうため、触媒層への使用に適さない。また、EWが900g/ewを超えると、期待される水素イオン伝導性を発揮することができない。
【0027】
第2の水素イオン伝導性高分子電解質の働きは、触媒近傍に配置した第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶出を抑制することに加え、触媒粒子間を連結するイオン伝導チャンネルの形成、および十分なガス拡散経路の確保である。EWの大きい水素イオン伝導性高分子電解質を第2の水素イオン伝導性高分子電解質として用いることが好ましい。EWが大きいということは、イオン交換容量が小さく、すなわち高分子電解質骨格の有する撥水性が強くなり、触媒層の排水性が向上する。EWが1100g/ew未満では、高分子電解質は親水性に近いので、排水性効果は期待できない。EWが2000g/ewを超えると、イオン伝導性が低く、イオン伝導チャンネル形成に適さない。
【0028】
本発明のさらに好ましい実施の形態においては、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が1以上4以下であり、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素微粒子の重量比が2/5以上4/5以下であり、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素微粒子の重量との比が4/5以上6/5以下である。
第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比を1未満とすると、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の量が多くなり、ガス拡散経路の閉塞が発生する。また、導電性炭素微粒子間の電子伝導性を阻害する。前記の重量比が4を超えると、触媒粒子間の十分なイオン伝導性が発揮できない。
【0029】
第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比が2/5未満では、触媒金属を被覆する水素イオン伝導性高分子電解質の量が不足し、触媒金属を有効に利用することができない。また、前記の重量比が4/5を超えると、水素イオン伝導性高分子電解質が厚く被覆され、抵抗値が大きくなる。第1の水素イオン伝導性高分子電解質の重量および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と、導電性炭素粒子の重量との比が4/5以上6/5以下の範囲で最良の特性が示された。
【0030】
本発明のさらに他の好ましい実施の形態においては、あらかじめ第1の水素イオン伝導性高分子電解質を付着した触媒担持粒子を作製し、これに第2の水素イオン伝導性高分子電解質を被覆させる。これにより、電気化学反応に寄与する第1の水素イオン伝導性高分子電解質、並びに、イオン伝導チャンネルとガス拡散チャンネルに寄与する第2の水素イオン伝導性高分子電解質を選択的に触媒層中に配置することができる。本発明による電極の好ましい製造方法において、第1の工程では、触媒金属を担持した炭素粒子を乾燥雰囲気中に流動させ、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないしは分散液を噴霧し、造粒・粉砕と同時に加熱することで触媒金属を担持した炭素粒子の表面および細孔内に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を付与する。この方法によると、溶媒除去時に発生する水素イオン伝導性高分子電解質の凝集作用を抑制することができ、より効果的に炭素粒子の表面および細孔内にある触媒金属近傍に選択的に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を配置することができる。その代表例としてスプレードライ式装置を用いた第1の工程を以下に示す。
【0031】
図3は、触媒粒子に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆するのに用いるスプレードライ式装置の概念図である。容器11は、下部の円筒状容器、上部の径が大きくなるようにテーパーを付された筒部、および上部の円筒状容器が相互に連結されて構成されている。容器11の下部には、ヒータ付きのガス導入管14が設けてあり、ここから容器内を乾燥雰囲気とするために一定温度に制御された窒素ガスが導入される。容器11の下部には、塵埃の侵入を阻止する金属フィルタ15が設けてある。金属フィルタ15の上方には、多数の通気孔を有する造粒プレート16、および造粒プレート上に固定された、中央に衝突ターゲット18を有する攪拌羽根17が回転可能に設けてある。これらの上方の容器壁面には、衝突ターゲット18に向けて圧縮ガスを噴射する一対の圧縮ガス噴射ノズル19が設けられている。容器11の中程には、高圧スプレー13が設けてある。高圧スプレー13は、容器11内の水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を容器内へ噴霧する。容器11の上方には、バグフィルタ20が設けられている。バグフィルタ20内にはポンプ21から供給される圧縮ガスを噴出させるためのパイプ22が挿入されている。適宜ポンプ21からパイプ22を通じてバグフィルタ20内へ圧縮ガスを噴射することにより、バグフィルタの外面に付着した粉末などを払い落とす。容器の上部にはガス排出管23を有する。
【0032】
この装置により触媒粒子に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆するには、まず、容器11内の造粒プレート16上に触媒粒子を入れ、高圧スプレー13から水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を噴霧する。容器11内の触媒粒子は、ガス導入管14から供給される一定温度の窒素ガスにより容器の上方へ吹き上げられる。ガス導入管14から導入された窒素ガスは、ガス流れ方向を示した矢印a、bにしたがって、金属フィルタ15および造粒プレート16から容器内上方へ吹き上がる。造粒プレート16は、流動風量が外周に向かって大きくなるように開孔した通気スリットを有している。この造粒プレート16を通過したガスによる流動風により、容器11に投入された触媒粒子は容器の上方へ流動し、そこで水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を付着され、乾燥される。
水素イオン伝導性高分子電解質を付着されて造粒プレート16の上部に沈降してきた触媒粒子は、回転する造粒プレート16上で造粒される。攪拌羽根17は、高速で回転して、そこに沈降してくる粒子を粉砕する。また、圧縮ガス噴射ノズル19から衝突ターゲット18に向けて間欠的に噴射されるパルスジェットは、流動状態の触媒粒子をジェット粉砕により低次の粒子に粉砕する。系内に導入された窒素ガスは、容器内上方に配置されたバグフィルタ20によって、電極粒子並びに固化した水素イオン伝導性高分子電解質の粉末をフィルトレーションし、窒素ガスのみを排出管23より系外に排出する。
【0033】
この装置により、水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液を触媒粒子に噴霧して触媒粒子に付着させ、乾燥させるとともに、適度の粒径に造粒させることができる。すなわち、噴霧された水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液は触媒粒子の表面に付着し、これが乾燥されて溶媒が揮散するから、触媒粒子の表面に水素イオン伝導性高分子電解質のみを均一に付着させることができる。また、粉砕工程が加わることで、高複次粒子が低複次粒子に粉砕されるというように、粒子が細かく粉砕されて、触媒金属部分が表面に現れ、水素イオン伝導性高分子電解質が均一に付着することが可能となる。
また、系内に導入される加熱ガスによって、乾燥と同時に水素イオン伝導性高分子電解質を加熱処理することが可能になる。系内に導入されるガス種は、水素イオン伝導性高分子電解質の溶液ないし分散液の溶媒ないし分散媒によって選択する。例えば、可燃性の溶媒を用いた場合には、必要に応じて不活性ガス等により酸素濃度を低減して、触媒の燃焼を防止する。
【0034】
【実施例】
次に本発明の具体例を示す。
《実施例1》
本実施例では、図3の装置を用いて触媒粒子に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した。この触媒粒子に第2の水素イオン伝導性高分子電解質を混合して触媒層用インクを調製した。
まず、平均粒径30nm、比表面積800m2/gのケッチェンブラック(オランダ国、AKZO Chemie社)に、平均粒径約3nmの白金粒子を50重量%担持した。これを空気極側の触媒担持粒子とした。同様のケッチェンブラックECに平均粒径約3nmの白金粒子とルテニウム粒子をそれぞれ25重量%ずつ担持して燃料極側の触媒担持粒子とした。
【0035】
次に、図3の装置を用いて、上の触媒担持粒子の表面に第1の水素イオン伝導性高分子電解質の溶液を噴霧しながら乾燥し、触媒担持粒子の表面に水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した。ここで、水素イオン伝導性高分子電解質の水分散液には、約10重量%濃度の平均分子量が10万(平均粒径30nm)、EW900g/ewのパーフルオロカーボンスルホン酸イオノマーを用いた。
詳細な製造条件は、次の通りである;
【0036】
触媒粒子の投入量:40g、
水素イオン伝導性高分子電解質の水分散液の使用量:18.5g、
高圧スプレー13よりの溶液の噴霧速度:2.0g/分、
窒素ガスの温度:110〜150℃、窒素ガス風量:0.06m3/分、
撹拌羽根17の回転速度:300rpm、
パルスジェット19のオン/オフ間隔:1回/12秒。
【0037】
このようにして得た燃料極用および空気極用の触媒粒子は、低次粒子のレベルで、表面に水素イオン伝導性高分子電解質を均一に配置しており、複次粒子の平均粒径は5μmであった。
【0038】
これらの触媒粒子5gを窒素雰囲気中において第2の水素イオン伝導性高分子電解質の水分散液5gと混合し、さらにエチレングリコール6gを加え、遊星ボールミルで混合して、触媒層用インクを調製した。第2の水素イオン伝導性高分子電解質は、平均分子量100万(平均粒径300nm)、EW1200g/ewである。第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比が4/5となるようにした。つぎに、外寸が12cm×12cmの水素イオン伝導性高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン112)の一方の面に空気極用の白金を担持した触媒粒子を含むインクを、他方の面に燃料極用の白金とルテニウムを担持した触媒粒子を含むインクをそれぞれスクリーン印刷法により塗布し、乾燥して各々の触媒層を形成した。触媒層中に含まれる白金量は0.5mg/cm2、触媒層の平均厚みは20μmになるようにした。
【0039】
ガス拡散層は、次のようにして作製した。まず、外寸6cm×6cm、厚み360μmのカーボンペーパ(東レ(株)製、TGP―H―120)をフッ素樹脂の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製、ネオフロンND1)に含浸した後、乾燥し、380℃で30分加熱することで、撥水性を与えた。このカーボン不織布の一方の面に、導電性カーボン粉末とPTFE微粉末の分散液とを混合したインクを、スクリーン印刷法を用いて塗布することで撥水層を形成した。このとき、撥水層の一部はカーボン不織布の中に埋め込まれていた。
【0040】
つぎに、上記水素イオン伝導性高分子電解質膜の前記触媒層の部分に、前述のカーボンペーパを撥水層の面が触媒層に接するようにホットプレスで接合し、電解質膜−電極接合体(MEA)を作製した。ここで得られたMEAをMEA(A)とする。
【0041】
以上においては、第1の水素イオン伝導性高分子電解質を被覆した触媒粒子に、第2の水素イオン伝導性高分子電解質とエチレングリコールを混合し、触媒層用のインク塗料を調製した。エチレングリコールの代わりに、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサン、ヘプタンなどを用いても、同様の結果が得られる。
【0042】
《比較例1》
本比較例では、触媒担体の炭素粒子に表面積が58m2/gのアセチレンブラックを用いた他は実施例1と同様の方法で触媒層を作製し、MEAを組み立てた。このMEAをMEA(X)とする。
【0043】
《比較例2》
本比較例では、第1の水素イオン伝導性高分子電解質に第2の水素イオン伝導性高分子電解質と同様の、平均分子量100万(平均粒径300nm)、EW1200g/ewのものを用いた他は実施例1と同様の方法で触媒層を作製し、MEAを組み立てた。このMEAをMEA(Y)とする。
【0044】
《比較例3》
本比較例では、第2の水素イオン伝導性高分子電解質に第1の水素イオン伝導性高分子電解質と同様の、平均分子量が10万(平均粒径30nm)、EW900g/ewのものを用いた他は実施例1と同様の方法で触媒層を作製し、MEAを組み立てた。このMEAをMEA(Z)とする。
【0045】
《実施例2》
本実施例では、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比、並びに第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比を変化させて触媒層を作製し、MEAを組み立てた。ここに用いた第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質は実施例1と同じである。
【0046】
以上の実施例1並びに比較例1、2および3のMEAを単セルに組み、水素80%および二酸化炭素20%の混合ガスを70℃のバブラーを通して燃料極に、空気を70℃のバブラーを通して空気極にそれぞれ供給した。電池温度を70℃、燃料ガス利用率を70%、空気利用率を40%とした。以上の条件で燃料電池の特性評価を行った。その結果を図4に示す。
実施例2のMEAについては、上記と同様の方法で特性評価を行い、電流密度0.2A/cm2の時の電池電圧を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表中P1は第1の水素イオン伝導性高分子電解質の重量、P2は第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量、Cは導電性炭素粒子の重量を表す。
【0049】
図4は各電池の電流−電圧特性を示す。MEA(A)は、MEA(X)およびMEA(Y)と比較して、0A/cm2以上0.2A/cm2以下の低電流密度領域で高い特性を示した。この領域は触媒近傍における活性化分極に由来する領域である。本発明の実施例1によるMEA(A)は、第1の水素イオン伝導性高分子電解質が触媒層の細孔あるいは導電性炭素粒子の細孔内部に入りこむことが可能となり、選択的に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を触媒金属近傍に配置することにより、触媒利用率を増大し、活性化分極を低減することができ、高い電池特性を示すことができたと考えれる。
【0050】
MEA(X)は、担体である導電性炭素粒子が比表面積の小さいアセチレンブラックであるため触媒金属を高分散できず、触媒層が厚くなり、抵抗値が増大することにより、電池性能がMEA(A)より低かったと考えられる。
MEA(Y)は、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の平均粒径が大きく、細孔内部に存在する触媒金属近傍に水素イオン伝導性高分子電解質を配置することができず、活性化分極を十分に低減することができず、MEA(A)より低い電池性能を示したと考えられる。
MEA(Z)は、第1の水素イオン伝導性高分子電解質の平均粒径が小さく、細孔内部に存在する触媒金属近傍に水素イオン伝導性高分子電解質を配置することができ、活性化分極が十分に低減できた。しかし、第2の水素イオン伝導性高分子電解質のEWが大きく、触媒層が親水性を示し、電流密度が増加するに従い反応生成水により触媒層内が濡れやすくなり、電圧低下が生じたため、MEA(A)より低い電池性能を示したと考えられる。
【0051】
表1から明らかなように、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が1〜4であり、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比が2/5〜4/5であり、第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比が4/5〜6/5であるMEAは、電流密度0.2A/cm2で770V程度の高い特性を示した。
なかでも第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が3、第1の水素イオン伝導性高分子電解質と導電性炭素粒子の重量比が3/5、第1および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と導電性炭素粒子の重量との比が4/5であるMEAは、電流密度0.2A/cm2で連続5000時間運転後の電池性能が0.776Vから0.760Vと2.1%減の非常に遅い低下速度であり、電池性能の経時安定性を示した。
これは、第1の水素イオン伝導性高分子電解質による活性化分極の低減効果と第2の水素イオン伝導性高分子電解質による触媒層中での十分なガス拡散経路の確保により、高い電池性能を長時間確保できたことによると考えられる。
【0052】
上述の実施例で用いたパーフルオロスルホン酸イオノマー系高分子電解質に変え、スルホン酸基を有する芳香族系および脂肪族系ポリマーを用いた以外は同一の構成でMEAを作製し、同一の条件で評価したところ、高分子電解質の分子量、重合度、粒子径、ならびに導電性炭素粒子の細孔構造の相関に関して、上述の作用効果と同様の結果を得ることができた。なお、スルホン酸基を有する芳香族系ポリマーおよび脂肪族系ポリマーの代表例として、ポリチオフェニレンスルホン酸とポリアニリンの複合ポリマー、ポリジフェニルアミン、ポリフェニレン誘導体{ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、ポリ(ベンズイミダゾール)―ブタンスルホン酸、ポリ(サイラミン)、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレントリブロックコポリマー、ポリエーテルエーテルケトンを用いた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、2種の異なる水素イオン伝導性高分子電解質をその機能に合わせ選択的に配置することで高い電池性能と長時間の経時安定性を示す燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒層の構成を示すモデル図である。
【図2】高分子電解質の単位素片の例を示す模式図である。
【図3】本発明の実施例で用いた触媒粉末製造装置の構成を示す縦断面略図である。
【図4】本発明の実施例におけるMEAの電流−電圧曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 触媒金属
2 導電性炭素粒子
3 第1の水素イオン伝導性高分子電解質
4 第2の水素イオン伝導性高分子電解質
5 ガス拡散経路
Claims (5)
- 水素イオン伝導性高分子電解質膜、および前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟む一対の電極を具備する燃料電池であって、前記電極が、触媒金属を担持した導電性炭素粒子と水素イオン伝導性高分子電解質からなり、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜に接合された触媒層を有し、前記導電性炭素粒子が比表面積200〜1300m2/gであり、かつ前記導電性炭素粒子に付着している水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが、5ないし100nmの第1の水素イオン伝導性高分子電解質と、100nmを超え1000nmまでの第2の水素イオン伝導性高分子電解質からなることを特徴とする燃料電池。
- 第1の水素イオン伝導性高分子電解質の平均分子量が1万〜30万であり、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の平均分子量が30万〜300万である請求項1記載の燃料電池。
- 第1の水素イオン伝導性高分子電解質の当量重量が700〜900であり、第2の水素イオン伝導性高分子電解質の当量重量が1000〜2000である請求項1または2記載の燃料電池。
- 第1の水素イオン伝導性高分子電解質、第2の水素イオン伝導性高分子電解質および前記導電性炭素粒子の触媒層中における組成比が、
1)第1の水素イオン伝導性高分子電解質と第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量比が1〜4であり、
2)第1の水素イオン伝導性高分子電解質と前記導電性炭素粒子の重量比が2/5〜4/5であり、
3)第1の水素イオン伝導性高分子電解質および第2の水素イオン伝導性高分子電解質の重量の和と前記導電性炭素粒子の重量との比が4/5〜6/5である請求項1、2または3記載の燃料電池。 - 触媒金属を担持した導電性炭素粒子に第1の水素イオン伝導性高分子電解質を分散した第1の分散液を付着し、乾燥して第1の水素イオン伝導性高分子電解質を付与した触媒粒子を作製する第1の工程、前記触媒粒子を第2の水素イオン伝導性高分子電解質の第2の分散液と混合して、触媒層用インクを調製する第2の工程、および前記インクを高分子電解質膜または支持シートに塗布、乾燥して触媒層を形成する第3の工程を有する燃料電池用電極の製造方法であって、第1の分散液中に分散している第1の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが5ないし100nmであり、第2の分散液中に分散している第2の水素イオン伝導性高分子電解質の単位素片のサイズが100nmを超え1000nm以下である燃料電池用電極の製造方法。
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