JP2006236757A - 膜電極接合体用高分子電解質膜、その製造方法、膜電極接合体および燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体用高分子電解質膜、その製造方法、膜電極接合体および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高分子電解質膜と電極との接合性を改善するものであり、特にイオン交換容量の低い炭化水素系高分子電解質膜において、その特性は維持しながら、電極との接合性を改善できる高分子電解質膜を提供する。
【解決手段】 高分子電解質膜の少なくとも片面側に、前記高分子電解質膜ポリマーのイオン交換容量よりも大きなイオン交換容量を持つ電解質膜形成性ポリマーからなる凸部が形成された膜電極接合体用高分子電解質膜であって、前記凸部が前記高分子電解質膜を基準にして0.01〜30μmの高さで、かつ密度が100個/mm2以上であることを特徴とする膜電極接合体用高分子電解質膜。
【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池用の高分子電解質膜、高分子電解質膜と電極の接合体に関するものである。
近年、エネルギー効率や環境性に優れた新しい発電技術が注目を集めている。中でも固体高分子電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池やダイレクトメタノール型燃料電池はエネルギー密度が高く、また、他の方式の燃料電池に比べて運転温度が低いため起動、停止が容易であるなどの特徴を有し、電源装置・エネルギーデバイスとしての開発が進んできている。このような固体高分子電解質膜(高分子電解質膜、ポリマー電解質膜又は電解質膜とも記載)としては、例えば米国デュポン社製ナフィオン(登録商標)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜が知られている。
燃料電池の基本素子である高分子電解質膜と電極の接合体は、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜の両側に一対の電極、即ち負極触媒層および正極触媒層がそれぞれ接合した状態で構成されている。たとえば負極触媒層および正極触媒層は、いずれも触媒である白金微粒子や白金ルテニウム微粒子などを表面に分散させたカーボン粉末とプロトン伝導性を有するパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーなどとを混合させて作製した層からなる。また、両触媒層の外側にはガス拡散層と呼ばれる、燃料電池の反応種である水素、メタノール、空気などの供給をスムーズに行わせるための層が配置され、さらにその外側には、セパレータと呼ばれる、燃料電池の反応種をそこまで導くための溝などが形成された集電板として働く部材が配置されている。
一般的な高分子電解質膜と電極の接合体の作製方法としては、ガス拡散層上に形成させた触媒層を、触媒層側がパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー電解質膜と接するように挟み込んだ状態で、加熱・加圧することにより接合する方法や、フィルム状の基材の上に白金を担持させたカーボンや白金とルテニウムの合金を担持させたカーボンとパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーなどの均一な混合層を形成させたものを作製し、これをパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー電解質膜の上に熱転写することにより作製するデカール法と呼ばれる方法が知られている。
触媒層と高分子電解質膜を接合の際には、温度・圧力・時間をコントロールすることで、デバイス性能に悪影響のない条件が採用されるが、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜は、ガラス転移温度が低いために高温では使用できない欠点がある。また、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー膜は、モノマーコストが高いこと、ポリマー合成時の制御が容易ではないこと、合成設備の材質が制限されることなどによりポリマーが高価である欠点があり、さらに、ダイレクトメタノール型燃料電池に応用する場合には、フッ素とメタノールの親和性が強いために、メタノール透過性が高く、性能を引き出せないという欠点がある。このため、より安価でメタノール透過性の低い、非フッ素系の炭化水素系高分子電解質膜に注目が集まっている。
非フッ素系芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入した炭化水素系の高分子電解質膜が種々検討され、ポリアリールエーテルスルホンをスルホン化したもの(例えば、非特許文献1)、ポリエーテルエーテルケトンをスルホン化したもの(例えば、特許文献1)、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリアリーレン(例えば、特許文献2)、スルホン化ポリアリールエーテルスルホン系化合物(例えば、特許文献3)などが検討されている。
特開平6−93114号公報 特開2004−285118号公報 米国特許出願公開第2002/0091225号明細書 ジャーナル・オブ・メンブラン・サイエンス(Journal of Membrane Science)、(オランダ)1993年、83巻、P.211−220
ところが、このような耐熱性や化学的安定性、あるいはメタノールに代表されるような液体燃料の透過抑止性を高めた芳香族系の炭化水素系ポリマーは、電極との接合性において、ポリマーのイオン交換容量が高い場合は、ホットプレスなどによる電極との接合化は比較的容易であるが、イオン交換容量が低い場合には、見かけ上は接合化しても実際の燃料電池としては炭化水素系ポリマー電解質膜の物性から予想されるよりも著しく低い性能しか得られないことが判明した。
このため、接合性の欠点を改善する方法として、触媒を含んだ層と高分子電解質膜を圧着するに際し、触媒層および高分子電解質膜の圧着面の少なくとも一方に、予め高分子電解質膜の良溶媒を塗布した後、圧着する手法(特許文献4)や炭化水素系の高分子電解質膜の上に触媒物質とプロトン伝導性ポリマーを含むインクをスプレーにより直接塗布した後、溶媒を揮発させて触媒層を形成させる手法などが示されている(特許文献5)。
しかしながら、このような接合方法は、一般的に用いられるホットプレスによる方法に比べて煩雑な手法であることから、より簡便な方法が求められている。
特開2004−253267号公報 特開2004−319139号公報
本発明は、このような事情によりなされたもので、高分子電解質膜と電極との接合性を改善しようとするものであり、高分子電解質膜の中でも炭化水素系高分子電解質膜の、特にイオン交換容量の低い炭化水素系高分子電解質膜において、その特性は維持しながら、電極との接合性を改善できる高分子電解質膜を提供することを課題とする。
上記課題を達成するために、本発明者は、高分子電解質膜の酸性官能基量(その指標としてのイオン交換容量)を低く抑えた高分子電解質膜の優れた特性は維持した状態で、電極との接合性を改善しうる高分子電解質膜の発明に至ったものであり、本発明は、下記の構成を有する。
(1) 高分子電解質膜の少なくとも片面側に、前記高分子電解質膜のイオン交換容量よりも大きなイオン交換容量を持つ電解質膜形成性ポリマーからなる凸部が形成された膜電極接合体用高分子電解質膜であって、前記凸部が前記高分子電解質膜を基準にして0.01〜30μmの高さで、かつ密度が100個/mm2以上であることを特徴とする膜電極接合体用高分子電解質膜である。
(2) 前記凸部の高さ方向の断面形状が円形、略円形、楕円形、山形、四角形、台形、星形、これらの複合形のいずれか又はこれらが混在した形状であることを特徴とする(1)に記載の膜電極接合体用高分子電解質膜である。
(3) 前記高分子電解質膜のイオン交換容量が0.1〜2.0meq/gの範囲にあり、前記凸部のイオン交換容量が、少なくとも前記高分子電解質膜のイオン交換容量よりも大きく、かつ0.8〜3.5meq/gの範囲にあることを特徴とする(1)に記載の膜電極接合体用高分子電解質膜である。
(4) 前記凸部による前記高分子電解質膜の被覆率が、前記高分子電解質膜の面積に対して25〜95%であることを特徴とする(1)に記載の膜電極接合体用高分子電解質膜である。
(5) 前記高分子電解質が炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の膜電極接合体用高分子電解質膜である。
(6) 基材としての高分子電解質膜の少なくとも片面側に電解質膜形成性ポリマーからなる凸部を形成させるに際し、前記高分子電解質膜上に電解質膜形成性ポリマーの溶液又は分散液を噴霧又はスクリーン印刷で付与するか又は離形性支持体上に前記電解質膜形成性ポリマーの溶液又は分散液を噴霧又はスクリーン印刷で付与後、前記高分子電解質膜上に転写することにより凸部を形成させることを特徴とする膜電極接合体用高分子電解質膜の製造方法である。
(7) (1)〜(5)のいずれかに記載の膜電極接合体用高分子電解質膜と、少なくとも触媒を含む電極とが接合された膜電極接合体である。
(8) (7)に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池である。
本発明によれば、基材となる高分子電解質膜表面に、該高分子電解質膜よりイオン交換容量が大きい電解質膜形成性ポリマーからなる凸部を形成することによって、電極との親和性を改善することが可能となり、また、電解質膜表面に凸部が形成されることにより、電極界面における表面積増加に伴って接触抵抗を下げる効果が得られ、親和性向上効果と接合界面積の増大による抵抗低減効果により、膜電極接合体の抵抗が改善される。また凸部によるアンカー効果によって電極との接合性が改善され、電極が剥がれにくくなり、耐久性に優れた燃料電池を製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の膜電極接合体用高分子電解質膜は、基材としての高分子電解質膜の少なくとも片面側に、該高分子電解質膜のイオン交換容量よりも大きなイオン交換容量を持つ電解質膜形成性ポリマーからなる凸部が形成されてなる高分子電解質膜である。なお、以下に本発明においては、凸部が形成される前の高分子電解質膜を基材高分子電解質膜、凸部が形成されてなる高分子電解質膜を接合用高分子電解質膜と表記する。
まず、基材高分子電解質膜上に形成された凸部について説明する。
該凸部は、基材高分子電解質膜表面を基準にして高さが0.01〜30μmであり、該凸部の密度(数)が100個/mm2以上である。
凸部は偏在せずに斑なく点在している時に良好な効果を示すが、少なくとも100個/mm2以上の凸部がランダムに、あるいは規則的に形成されていることが好ましい。凸部が100個/mm2よりも少ない場合においても、前記接合性の改善効果が幾分現れるが、長時間発電を行うと電池としての抵抗が増大する傾向がある。1000個/mm2よりも多い方が望ましい。上限はとくに限定されないが、1000000個/mm2より多いと凸部の重なりが多くなり、斑が大きくなる傾向がある。より好ましくは、2500個以上700000個/mm2以下の範囲である。
凸部の高さは、基材高分子電解質膜の表面を基準にして0.01〜30μmの範囲の高さが必要であるが、好ましくは0.01〜15μm、より好ましくは0.01〜10μmである。30μmよりも高い突起の場合、電極と接合した際に基材高分子電解質膜と電極の界面に隙間ができやすくなり、0.01μmよりも低い突起の場合、凸部形成による効果は小さくなる傾向がある。
凸部の高さの測定は、SEMなどの断面観察により測ることが可能である。また、凸部の高さと個数は、3次元形状測定装置(マイクロマップ社製、TYPE550など)を用いても算出することが可能である。
前記凸部の高さ方向の断面形状とは、凸部を横から見た場合の輪郭の形状であり、例えば、円形、略円形、楕円形、山形、四角形、台形、星形、これらの複合形のいずれか又はこれらが混在した形状を挙げることができる。これらの形状の例を図5、図6に示した。
これらの形状であることによっても、膜と電極との接合性が改善される。またこれらの形状は単一層である必要はなく、重なって形成されていても良い。
また、凸部を俯瞰形状で表現すると、扁平な形に薄く伸びた突起や、円盤状に盛り上がった突起、一部が球状に盛り上がった突起、楕円型の突起、先端が比較的とがった部分や角を有する突起、それらがいびつに連なった突起、それらがつぶされたような突起、山脈状突起などとして認めることができる。これらの形状の例を図3、図4に示した。
さらに、印刷法や転写などの制御した被覆方法によれば、四角形や台形や三角形や長方形などに代表されるような、特に限定されない幾何学的な形状とすることやこれらの突起を規則的に配列させることも可能である。
さらには、複数の被覆工程を有するプロセスにおいて、比較的大きな突起を形成した表面を形成させ、その後の工程で、さらに、より小さな突起を形成させる工程を持つなどの方法も効果的である。
本発明の膜電極接合体用電解質膜において、凸部の電解質膜形成性ポリマーのイオン交換容量は、基材高分子電解質膜のイオン交換容量よりも大きなイオン交換容量を持つことが必要であり、基材高分子電解質膜のイオン交換容量が0.1〜2.0meq/gの範囲、好ましくは、0.3〜1.5meq/gの範囲で、かつ凸部のイオン交換容量が0.8〜3.5meq/gの範囲、好ましくは1.3〜2.5meq/gの範囲にあるとき、接合性改善効果が大きい。
前記イオン交換容量の小さな基材高分子電解質膜のイオン交換容量が0.1meq/gよりも小さいと高分子電解質膜としてのプロトン伝導性が小さすぎるので、燃料電池用の高分子電解質膜として使用することは困難であり、一方、2.0meq/gを超える場合、水やメタノールなどに対する膨潤性が増すことから燃料電池に使用するには適さなくなる傾向にある。一方、凸部形成用ポリマーのイオン交換容量が0.8meq/gよりも小さいと、接合性の改善効果が不十分であり、抵抗を下げる効果が小さくなる傾向にあり、3.5meq/gよりも大きいと、物理・化学的安定性が悪くなるため、燃料電池用高分子電解質膜として使用することに適さなくなる傾向にある。よりイオン交換容量の大きなポリマーを凸部形成ポリマーとして利用することにより、高分子電解質膜と電極との接合性が大きく改善される。
すなわち、基材高分子電解質膜のイオン交換容量が0.1〜2.0meq/gの範囲にあることによって、水やメタノールに対する耐膨潤性に優れて膜の形態安定性を発現させ、基材高分子電解質膜よりイオン交換容量が大きい電解質膜形成性ポリマーからなる凸部を形成することによって接合性を改善し、形態安定性と接合性とを両立させることが可能となる。
また、前記凸部による基材高分子電解質膜上の被覆率は、凸部形成後の接合用高分子電解質膜を真上から見て視野中の接合用高分子電解質膜を平面とみなした場合に、該平面中に占める凸部に基づくみかけの面積の割合(%)を言う。
前記凸部の基材高分子電解質膜上における被覆率の求め方は特に限定されないが、接合用高分子電解質膜上面から撮影した電子顕微鏡写真から求める方法が簡便である。別の手法として、フィルム表面に存在する凸部の表面積を、3次元形状測定装置(マイクロマップ社製、TYPE550など)を用いても算出することも可能である。
基材高分子電解質膜が、イオン交換容量の大きいポリマーで完全に覆われると、表面ポリマーの影響で基材高分子電解質膜の特性も変化してしまうが、不連続的に部分的に覆われた場合には、意外にも基材高分子電解質膜の特性はそのままに維持した状態で電極との接合性を改善することができる。
本発明者らの実験によれば、例えば、メタノール透過性を例に取ると、電解質膜形成性ポリマーで完全に被覆すると、内部の基材高分子電解質膜単独よりも厚みが増加したにもかかわらず、内部の高分子電解質膜単独の場合よりも、メタノール透過性が高くなってしまう結果を得ている。従って、凸部のみかけ面積率は25〜95%が好ましく、より好ましくは40〜90%の範囲であり、さらに好ましくは50〜85%の範囲である。25%未満では、接合性が低い傾向があり、95%を超えると、メタノール透過性が高くなってしまう傾向がある。
凸部形成による電極との接合性改善効果は、表面積増加による界面抵抗の低減とアンカー効果によると考えられる。凸部形成によって、高分子電解質膜としての表面積が増大すると、見かけの単位面積当たりの界面抵抗を下げる効果が大きくなる。
実際の表面積の増加は、例えばSEMやAMFによる高分子電解質膜の断面形状や表面の状態から容易に観察することができる。またマイクロマップなどの表面観察も有効である。さらには吸着を利用した測定なども可能である。例えば表面観察で凹凸の形成が認められる場合、表面積が増大したことがわかる。
凸部形成後の表面積として、ラフネスファクター(実際の表面積/見かけの表面積)で見ると、ラフネスファクターは1.05以上あることが好ましく、より好ましくは1.1以上であり、さらに好ましくは、1.3以上である。1.05未満では表面積増加の効果はあまり期待できない。一方、ラフネスファクターが100を超えるようなものは電極と接合したときの界面に隙間ができやすいので好ましくない傾向にある。
なお、凸部形成前の基材高分子電解質膜としてはなるべく平坦なものが好ましい。厚みにばらつきがあると性能に斑が発生する傾向にあり、電流が集中的に流れ、その箇所で劣化が加速されるなどの問題も見受けられる。
本発明における基材高分子電解質膜(以下、単に高分子電解質膜と表記することがある)を形成するポリマー及び前記高分子電解質膜上に凸部を形成する電解質膜形成性ポリマーとしては、プロトン伝導性ポリマーで高分子電解質膜を形成できるポリマーであれが特に限定されないが、炭化水素系のプロトン伝導性ポリマーが好ましく、さらには芳香族炭化水素系のプロトン伝導性ポリマーが好ましく、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリパラフェニレン、ポリアリーレン系ポリマー、ポリフェニルキノキサリン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリイミド等の構成成分の少なくとも1種を含むポリマーに、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、およびそれらの誘導体の少なくとも1種が導入されているポリマーが挙げられる。側鎖または主鎖いずれに前記酸性官能基が含まれていても良い。例えば、側鎖に酸性官能基が含まれる例として、特開2002−298868号公報や、特開2004−285118号公報、特開2004−285116号公報などの芳香環に酸性官能基が導入されたものなども挙げられる。なお、ここでいうポリスルホン、ポエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等は、その分子鎖にスルホン結合、エーテル結合、ケトン結合を有しているポリマーの総称であり、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンスルホンなどを含むとともに、特定のポリマー構造に限定するものではない。また、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーも使用可能である。さらに上記ポリマーには架橋を可能とする成分が含まれていても良く、任意の段階で架橋することも可能である。また、熱架橋、ラジカル架橋、放射線架橋など公知の方法を取ることもできる。
上記酸性基を含有するポリマーのうち、芳香環上にスルホン酸基を持つポリマーは、上記例のような骨格を持つポリマーに対して適当なスルホン化剤を反応させることにより得ることができる。このようなスルホン化剤としては、例えば、芳香族環含有ポリマーにスルホン酸基を導入する例として報告されている、濃硫酸や発煙硫酸を使用するもの(例えば、Solid State Ionics,106,P.219(1998))、クロル硫酸を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.295(1984))、無水硫酸錯体を使用するもの(例えば、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,22,P.721(1984)、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.,23,P.1231(1985))等が有効である。これらの試薬を用い、それぞれのポリマーに応じた反応条件を選定することにより実施することができる。また、特許第2884189号に記載のスルホン化剤等を用いることも可能である。
また、上記ポリマーは、重合に用いるモノマーの中の少なくとも1種にイオン交換性官能基を含むモノマーを用いて合成することもできる。例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物から合成されるポリイミドにおいては、芳香族ジアミンの少なくとも1種にスルホン酸基含有ジアミンを用いて酸性化含有ポリイミドとすることが出来る。芳香族ジアミンジオールと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズオキサゾール、芳香族ジアミンジチオールと芳香族ジカルボン酸から合成されるポリベンズチアゾールの場合は、芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種にスルホン酸基含有ジカルボン酸やホスホン酸基含有ジカルボン酸を使用することにより酸性基含有ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールとすることが出来る。芳香族ジハライドと芳香族ジオールから合成されるポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどは、モノマーの少なくとも1種にスルホン酸基含有芳香族ジハライドやスルホン酸基含有芳香族ジオールを用いることで合成することが出来る。この際、スルホン酸基含有ジオールを用いるよりも、スルホン酸基含有ジハライドを用いる方が、重合度が高くなりやすいとともに、得られたポリマーの熱安定性が高くなるので好ましい。
なお、本発明における高分子電解質膜を形成するためのポリマーは、スルホン酸基含有ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルケトン系ポリマーなどのポリアリーレンエーテル系化合物やスルホン酸基含有のポリアリーレン系化合物であることがより好ましい。
例えば、下記一般式(1)で示される構成成分を含むポリマーがより好ましい。
Figure 2006236757
ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは/および1価のカチオン種、Zは芳香環を結合する任意の結合様式が選択できるが、直接結合、エーテル結合または/およびチオエーテル結合(OまたはS)が好ましい。さらにZはエーテル結合である方が好ましい。
さらに、下記一般式(2)で示される構成成分を含む物がより好ましい。
Figure 2006236757
ただし、Ar’は2価の芳香族基、Zは芳香環を結合する任意の結合様式が選択されるが、直接結合、エーテル結合または/およびチオエーテル結合(OまたはS)が好ましい。さらにZはエーテル結合である方が好ましい。
上記一般式(2)で示される構成成分は、下記一般式(3)で示される構成成分であることが好ましい。
Figure 2006236757
ただし、Ar’は2価の芳香族基、Zは芳香環を結合する任意の結合様式が選択されるが、直接結合、エーテル結合または/およびチオエーテル結合(OまたはS)が好ましい。さらにZはエーテル結合である方が好ましい。
また、スルホン酸基を含有するポリマーにおいては、上記一般式(1)、さらには一般式(2)や(3)で示される以外の構造単位が含まれていてもかまわない。このとき、上記一般式(1)または一般式(2)や(3)で示される以外の構造単位は50重量%以下であることが好ましい。50質量%以下とすることにより、ポリマーの特性を活かした高分子電解質膜とすることができる。
また、スルホン酸基を含有するポリマーにおいては、下記一般式(4)および一般式(5)で表される化合物をモノマーとして含む芳香族求核置換反応により例えば重合することができる。一般式(4)で表される化合物の具体例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、およびそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったもの等が挙げられる。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限される訳ではない。一般式(5)で表される化合物としては、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、等を挙げることができる。
Figure 2006236757
ただし、Yはスルホン基またはケトン基、Xは1価のカチオン種、Wは塩素またはフッ素を示す。
本発明において、上記2,6−ジクロロベンゾニトリルおよび2,4−ジクロロベンゾニトリルは、異性体の関係にあり、いずれを用いたとしても良好なプロトン伝導性、耐熱性、加工性および寸法安定性を達成することができる。その理由としては両モノマーとも反応性に優れるとともに、小さな繰り返し単位を構成することで分子全体の構造をより硬いものとしていると考えられる。
上述の芳香族求核置換反応において、上記一般式(4)、(5)で表される化合物とともに各種活性化ジフルオロ芳香族化合物やジクロロ芳香族化合物をモノマーとして併用することもできる。これらの化合物例としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロビフェニル等が挙げられるがこれらに制限されることなく、芳香族求核置換反応に活性のある他の芳香族ジハロゲン化合物、芳香族ジニトロ化合物、芳香族ジシアノ化合物なども使用することができる。
また、上述の一般式(1)で表される構成成分中のArおよび上述の一般式(2)や(3)で表される構成成分中のAr’は、一般には芳香族求核置換重合において上述の一般式(4)、(5)で表される化合物とともに使用されるモノマーより導入される構造である。例えば芳香族ジオール成分モノマーより導入される構造である。このような芳香族ジオールモノマーの例としては、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、4,4’−チオビスベンゼンチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、4,4’−ビフェニルジチオール等があげられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオールを使用することもできる。これら芳香族ジオールは、単独で使用することができるが、複数の芳香族ジオールを併用することも可能である。
スルホン酸基を含有するポリアリーレンエーテル系ポリマーを芳香族求核置換反応により重合する場合、上記一般式(4)および一般式(5)で表せる化合物を含む活性化ジフルオロ芳香族化合物及び/またはジクロロ芳香族化合物と芳香族ジオール類を塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜230℃の温度であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向があり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホランなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられるが、芳香族ジオール類を活性なフェノキシド構造にしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水材を使用することもできる。芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜40重量%となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、40重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。
重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。残留物の除去は、濾過により行うこともできる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。
また、本発明のスルホン酸基を含有するポリアリーレンエーテル系ポリマーは、ポリマー対数粘度が0.1以上であることが好ましい。対数粘度が0.1よりも小さいと、高分子電解質膜として成形したときに、膜が脆くなりやすくなる。還元比粘度は、0.3以上であることがさらに好ましい。一方、還元比粘度が5を超えると、ポリマーの溶解が困難になるなど、加工性での問題が出てくるので好ましくない。なお、対数粘度を測定する溶媒としては、一般にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどの極性有機溶媒を使用することができるが、これらに溶解性が低い場合には濃硫酸を用いて測定することもできる。
なお、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、ラジカル防止剤などの各種添加剤や、電解質膜の特性をコントロールするための貴金属、タングステン酸化合物などの無機化合物や無機―有機のハイブリッド化合物、イオン性液体、などを含んでいても良い。また、可能な範囲で複数のものが混在していても良い。
以上に示したポリマーを、押し出し、圧延またはキャストなど任意の方法で高分子電解質膜とすることができる。中でも適当な溶媒に溶解した溶液から成形することが好ましい。この溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどの非プロトン性極性溶媒や、メタノール、エタノール等のアルコール類や、エーテル類、ケトン類または、それらと水の混合溶媒から適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。溶媒の純度はより高い方が好ましい。これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶液中の化合物濃度は0.1〜50重量%の範囲であることが好ましい。溶液中の化合物濃度が0.1重量%未満であると良好な成形物を得るのが困難となる傾向にあり、50重量%を超えると加工性が悪化する傾向にある。
溶液から成形体を得る方法は従来から公知の方法を用いて行うことができる。高分子電解質膜を成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去して高分子電解質膜を得ることができる。溶媒の除去は、乾燥によることが高分子電解質膜の均一性の観点からは好ましい。また、化合物や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧下でできるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、10〜2500μmであることが好ましい。より好ましくは50〜1500μmである。溶液の厚みが10μmよりも薄いと高分子電解質膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、2500μmよりも厚いと不均一なプロトン交換膜ができやすくなる傾向にある。溶液のキャスト厚を制御する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャスト面積を一定にして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。
キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜を得ることができる。例えば、加熱する場合には最初の段階では低温で行い、後に昇温させる方法がある。また、水などの非溶媒に浸漬する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして化合物の凝固速度を調整することができる。高分子電解質膜は目的に応じて任意の膜厚にすることができるが、プロトン伝導性の面からはできるだけ薄いことが好ましい。具体的には3〜200μmであることが好ましく、5〜150μmであることがさらに好ましい。高分子電解質膜の厚みが3μmより薄いと高分子電解質膜の取扱が困難となり燃料電池を作製した場合に短絡等が起こる傾向にあり、200μmよりも厚いと高分子電解質膜が頑丈となりすぎ、ハンドリングが難しくなる傾向にある。厚み斑は小さい方が好ましい。
高分子電解質膜中のイオン性官能基は一部金属塩になっているものを含んでいても良いが、適当な酸処理により酸型のものに変換した形が好ましい。この際、高分子電解質膜のプロトン伝導率は1.0×10-3S/cm以上であることが好ましい。プロトン伝導率が1.0×10-3S/cm以上である場合には、その高分子電解質膜を用いた燃料電池において良好な出力が得られる傾向にあり、1.0×10-3S/cm未満である場合には燃料電池の出力低下が起こる傾向にある。酸型ポリマーへの変換率としては90%以上あることが好ましい。
酸処理用の酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、などの水溶液を良好に用いることができる。酸処理により必要に応じてナトリウム塩やカリウム塩やリチウム塩などをプロトンに変換した後は、余分な酸や不純物を洗浄することが好まれる。洗浄にはイオン交換水や超純水などの塩成分がなるべく少ないものが好ましい。なお薄い濃度の酸や塩が含まれていてもかまわない。
ダイレクトメタノール型燃料電池用途を考える場合、メタノールクロスオーバーを防ぐ意味では、メタノール透過速度として、0.1〜2.5mmol/m2/sの範囲にあることが好ましく、より好適には、2.0mmol/m2/sよりも小さいことが望ましい。
このようにして得られた高分子電解質膜は、少なくとも一方の面、より好ましくは両方の面に、前記高分子電解質膜よりもイオン交換容量の大きい電解質膜形成性ポリマーによって、凸部を形成されることにより、本発明の膜電極接合体用高分子電解質膜となる。ただし、前述の酸変換操作は凸部を形成した後であってもかまわない。
本発明における基材である高分子電解質膜の上で凸部を形成するポリマーは、上記の高分子電解質膜として用いられるポリマーと同様のプロトン伝導性ポリマーであり、上記のポリマーの中から適宜選択することができ、上記高分子電解質膜のポリマーと同種か又は異種であってもよいが、前記高分子電解質膜のポリマーのイオン交換容量よりも大きなイオン交換容量を持ち、かつ電解質膜形成性を有するポリマーである。これらのポリマーは、複数種のポリマーを混在させることも可能である。
なお、本発明における膜形成性とは、それ単独で製膜できることを意味するが、製膜された膜は、支持体がない状態でも膜の形状をなし、それを安定に取扱える程度に高分子化されてていることが、基材である高分子電解質膜との接着性の点で好ましい。
電解質膜形成性ポリマーによる凸部形成方法としては、電解質膜形成性ポリマーの溶液や微分散液を前記イオン交換容量の小さな高分子電解質膜の上に、噴霧する方法、スクリーンなどによって印刷する方法、熱などで転写する方法などを採用することが可能である。
噴霧方法としては、基材高分子電解質膜に、電解質膜形成性ポリマーを溶媒に溶解もしくは分散させた液を粒子状態で吹き付ける手法がある。この方法においては、溶媒の少なくとも一部は、基材高分子電解質膜に到達するまでに蒸発させる方法を取ることが好ましい。粒子状態で吹き付けることによって、例えば突起を持つ形のポリマーをドット状に形成することが可能であり、また基材高分子電解質膜が溶媒により膨潤変形するという欠点を抑えることが可能である。この観点から、溶媒としては揮発性に優れるものが好ましく、少なくとも溶媒の一部は、基材高分子電解質膜に到達するまでに蒸発することが好ましい。また溶媒の揮発性が高い方がより分散した凸部で表面を被覆することができる。溶媒の揮発性が低いと膜の変形発生によるハンドリング性不良加えて、基材高分子電解質膜の溶解発生の可能性もある。
噴霧液のポリマー濃度としては、0.5〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。ポリマー濃度が薄いほど、細かなドット状粒子として塗布できるのでより好ましい傾向にある。しかしながら0.5重量%よりも薄いと噴霧液量が多量になり好ましくない傾向にある。30重量%を超えると液粘度が高くなりすぎて、微粒子化しにくくなること、スプレーノズルの目詰まりなどの問題が起こりやすい傾向にある。
噴霧方法として、スプレーやインクジェットなどの間接型の噴霧塗布装置を好適に用いることができる。スプレーやノズルの種類などは特に限定されるものではなく、適宜選択できる。噴霧する際の雰囲気は空気中あるいは、空気中に比べて酸素濃度が低い雰囲気下で行うことが安全性の点で好ましい。
基材への処理は、片面処理、両面処理あるいは両面同時処理であってもよい。また、ノズルと基材高分子電解質膜間の距離も適宜選択できる。距離が近いほど一つの凸部が占める面積が拡くなりやすく、遠くなるほど小さい面積になりやすい。噴霧粒子の接着性を高めるために、熱的・機械的あるいは電気的な力を利用することもできる。例えば噴霧塗布後に熱処理やプレス処理を行うこともできるし、電気的な力により粒子を加速することも可能である。
一方、スクリーン印刷方法としては、特に材質は限定されないがスクリーンメッシュを介して電解質膜形成性ポリマーを塗布することが可能である。この際スクリーンメッシュへのポリマー供給量やメッシュの形状を制御する方法によって、任意の凸部を形成することが可能である。この方法によると噴霧スプレー法と比較して、直接電解質膜形成性ポリマーを膜に塗布することから、高分子電解質膜の変形が起きやすい傾向にあるので、乾燥装置と併用することが好ましい。また凸部の形状は、規則的に制御された形態とすることができ、かつ生産速度を向上させることも可能である。
また、各種転写技術により電解質膜形成性ポリマーを用いて凸部を形成する方法を取ることも可能である。広く凸版印刷や凹判印刷や平判印刷や孔判印刷などの手法を採用することが可能である。
電解質膜形成性ポリマーを溶解させる溶媒の種類は特に限定されるものではなく、適宜選択することが可能である。混合溶媒も好ましい例であり、例えば水が含まれていてもよい。完全に有機溶媒の系であると可燃性が高いので危険が増加する傾向があるので水分を含ませることはより好ましい例である。水のみを溶媒とすると揮発性が低いので高分子電解質膜が膨潤しハンドリング性が悪くなる傾向がある。
電解質膜形成性ポリマーを溶解または分散させた組成物としては、沈殿などの分離が無い状態になるよう均一に含有させることが好まれる。そのための手法としては、特に限定されるわけでないが、凸部形成用ポリマーに水を加えて一旦膨潤させた後、他の溶媒を加えると共に、撹拌などに代表される物理的手法で混合したり、加熱する方法や、予め調整した水と他の溶媒の混合溶液を添加することによっても調整することは可能である。均一化させる際の生産性を考慮した場合は前者の方が望ましい方法である。未溶解の状態で残る場合は、濾過などにより未溶解物を取り除くことができる。なお電解質膜形成性ポリマーを含む組成物の調整には、大きなブロック状のポリマーよりも、細かな粉末のように、見かけの表面積が大きいポリマーを使う方が、溶解または分散させやすい傾向にある。ただし細かすぎる場合、溶解または分散させにくくなることもある。また溶媒は、触媒を被毒するような不純物が含まれないように、純度には注意を払うことが好ましい。
凸部形用の電解質膜形成性ポリマーを含む組成物において、該組成物中でのポリマーの存在形態は、溶解(均一に広がった状態)あるいは分散(ポリマーを含む部分と溶媒のみから構成される部分が別々に存在)するか、その中間状態にあるものと考えられる。水と他の溶媒の種類や量の組み合わせによる場合、組成物中でのポリマー形態は変化すると考えられる。水との混合溶媒中では、主として水により膨潤したミセル構造を持ち、そのミセルが他の溶媒中に分散した形を取るものと推定している。また他の溶媒の特性により、有機溶媒とポリマー・水との相溶性が高くなるにつれ、溶解状態に近づくものと推定できる。
また、有機溶媒の種類としては、特に限定されるものではないが、アルコール類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類から選択される有機溶媒や、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミドなどの非プロトン性極性溶媒から選択されることが好ましい(微量に含有される不純物は除く。)。
触媒への被毒性や触媒インクとしての取り扱い性などを考慮すると、炭素数が6以下から構成される溶媒が好ましく、アルコール系溶媒としては、特にエタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトシキエタノールなどは好適に使用できる。またエーテル系溶媒としては、エチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチラールなどは好適に使用できる。またケトン系溶媒としては、ジエチルケトンなどが選択可能である。また、これらに水を加えた系はより良好な例である。
水と他の溶媒との混合溶媒の場合、水の割合としては、1〜70重量%の範囲にあることが好ましい。この際、混合溶媒に占める水分量が70重量%を超えると、高分子電解質膜の変形に繋がることがあり、1重量%より低い場合は、発火などの危険性は高くなる。
凸部形成用のポリマーを溶解または分散した組成物の粘性としては、取り扱い性の観点からニュートン粘性(せん断をかけた時の粘度変化が小さい)を示すものが好ましいが、特に制限されるものではない。粘度としては、E型粘度計で測定した周波数(せん断速度)10(1/s)における粘度で、100Pa・s以下にあることが好ましく、より好ましくは、20Pa・s以下である。粘度が100Pa・sを超えるような場合にはハンドリングが難しくなる傾向にある。
以上のようにして作製した本発明の膜電極接合体用電解質膜は、電極(触媒層、場合によりガス拡散層なども含む)と接合することにより燃料電池用の膜電極接合体(MEA)とすることができる。
本発明の接合体用電解質膜と電極との接合体の製造方法としては、接合体用電解質膜に対して両側から電極の触媒層面が接するように挟み込んだ後、120℃以上などの温度で加熱、加圧するホットプレス法は適切な方法の一つであるが、スプレーやインクジェットなどの手法で電解質膜上に直接触媒層を形成することも可能である。
触媒層と本発明の電解質膜とを接合するホットプレス法として、離形性フィルムシート上に白金微粒子や白金−ルテニウム微粒子を担持した炭素粒子などの触媒成分とプロトン伝導性ポリマーを含有した触媒層を予め形成させた触媒層シートを電解質膜と重ね合わせて、触媒層を熱転写する方法を採用することもできる。
これらのホットプレス温度としては、130℃以上高い温度であることが好ましく、さらに好ましくは160℃以上である。120℃より低い温度で接合する場合は、電極と接合体用電解質膜の接合性が悪く、電極と接合体用電解質膜の間の界面抵抗が大きくなりやすい傾向がある。一方、220℃よりも高い温度で保持しながら加圧すると、電解質膜中に存在する酸性官能基が分解しやすくなる傾向がある。なおホットプレス前に、接合体用電解質膜および/あるいは電極中に水分を含有させることで接着性を向上させることも可能である。また、ホットプレス前後にアニール処理を行うこともできる。
触媒層は、主として触媒とカーボンなどの導電材とバインダーとしてのプロトン伝導性ポリマーから形成される。プロトン伝導性ポリマーの種類は特に限定されるものではないが、前記した電解質膜形成に好適な種類の炭化水素系ポリマーやパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーなどを使用することができる。
触媒の種類は特に限定されるものではなく、公知のものが使用でき、また公知の技術を組み合わせたものも使用できる。電極に使用する触媒としては、耐酸性と触媒活性の観点から適宜選択できるが、白金族系金属およびこれらの合金や酸化物が好まく、複数の種類の触媒を組み合わせて使用することもできる。例えばカソードに白金または白金系合金、アノードに白金または白金系合金や白金とルテニウムの合金を触媒として使用すると高効率発電に好適である。
触媒層とともに電極を構成するガス拡散層の種類は特に限定されるものではなく、公知のものが使用でき、また公知の技術を組み合わせたものも使用できる。
電極中の空孔率は特に制限されるものではない。またフッ素系結着剤やポリプロピレンやポリエチレンなどに代表される疎水性化合物の含浸など、ガス拡散層および触媒層のガス拡散性をコントロールするための手法なども好適に利用できる。
本発明の接合体用電解質膜と電極の接合体を燃料電池に組み込むことによって良好な性能を有する燃料電池を提供できる。燃料電池に使用されるセパレータやガスケットの種類やガスケットと電極との間に配置するシール剤の種類や、空気に代表される酸化ガスの流速・供給方法・流路の構造などや、水素やギ酸やメタノールなど燃料の種類、供給方法、運転方法、運転条件、温度分布、燃料電池の制御方法などは特に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
<電解質膜の膜厚>
電解質膜の厚みは、市販のマイクロメーター(Mitutoyo マイクロメーター 0.001mm)を用いて測定した。室温が20℃で湿度が30±5RH%にコントロールされた測定室内で24時間以上静置した電解質膜を5×5cmの大きさに切断したサンプルに対して、20箇所の厚みを測定し、その平均値を膜厚とした。
<イオン交換容量(酸型)>
イオン交換容量(IEC)としては、イオン交換膜に存在する酸型の官能基量を測定した。まずサンプル調整として、サンプル片(5×5cm)を80℃のオーブンで窒素気流下2時間乾燥し、さらにシリカゲルを充填したデシケータ中で30分間放置冷却した後、乾燥重量を測定した(Ws)。次いで、200mlの密閉型のガラス瓶に、200mlの1mol/l塩化ナトリウム-超純水溶液と秤量済みの前記サンプルを入れ、密閉したまま、室温で24時間攪拌した。次いで、溶液30mlを取り出し、10mMの水酸化ナトリウム水溶液(市販の標準溶液)で中和滴定し、滴定量(T)より下記式を用いて、IECを求めた。
IEC(meq/g)=10T/(30Ws)×0.2
(Tの単位:ml、Wsの単位:g)
<プロトン導電率>
自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、恒温槽に満たした25℃の超純水中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
<メタノール透過速度およびメタノール透過係数>
高分子電解質膜のメタノール透過速度およびメタノール透過係数は、以下の方法で測定した。25℃に調整した5モル/リットルのメタノール水溶液(メタノール水溶液の調整には、市販の試薬特級グレードのメタノールと超純水(18MΩ・cm)を使用)に24時間浸漬した高分子電解質膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5モル/リットルのメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、高分子電解質膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフにより測定することで算出した(高分子電解質膜の面積は、2.0cm2)。
なお具体的には、超純水を入れたセルのメタノール濃度変化速度[Ct](mmol/L/s)より以下の式を用いて算出した。
メタノール透過速度[mmol/m2/s]=(Ct[mmol/L/s]× 0.1[L])/2×10-4[m2
メタノール透過係数[mmol/m/s]=メタノール透過速度[mmol/m2/s]×膜厚[m]
<膨潤性試験>
室温が20℃で湿度が30±5RH%にコントロールされた測定室内で24時間以上静置した高分子電解質膜を5×5cmの大きさに切断しサンプルを準備した。25℃、30重量%のメタノール水溶液にサンプルを浸積し、3時間経過後に取り出した。取り出した直後の濡れた状態で測定した面積(Aw)から下記式により膨潤率を算出した。
膨潤率[%]=(Aw[cm2]−25[cm2])/25[cm2]×100[%]
<SEM観察>
サンプル表面を走査型電子顕微鏡を用いて、表面の凸部形態を観察し、凸部の形状、凸部の密度(数)及び凸部の被覆率(%)を求めた。なお、凸部の密度(数)は、一定面積(0.125mm×0.094mm)で25カ所、測定場所を変えて測定し、1mm2当りに換算した。
また、凸部の高さは、常法により凸部断面を走査型電子顕微鏡で写真撮影し、断面形状を観察することで凸部の高さを測定した。
<発電試験>
デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液3.75mlに、市販の54%白金/ルテニウム触媒担持カーボン2gと、少量の超純水およびイソプロパノールを加え、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1.7mg/cm2になるようにアプリケーターを用いて均一に塗布・乾燥して、アノード用の触媒層付きガス拡散層を作製した。
また、同様の手法で、白金/ルテニウム触媒担持カーボンに替えて市販の40%白金触媒担持カーボンを用いて、別途疎水化した前記カーボンペーパー上に電極触媒層を形成することで、カソード用の触媒層付きガス拡散層を作製した(20%ナフィオン溶液と40%白金触媒担持カーボンの混合比は、重量比で3.75:2。1.1mg−白金/cm2)。
上記2種類の触媒層付きガス拡散層の間に、電解質膜を、触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレスにより加圧、加熱することにより、電解質膜と電極との接合体(MEA)を作製した。このMEAを市販のガスケットに挟み込んだ後、自社製の評価用燃料電池セルに組み込んでセル温度40℃で、アノードに40℃の濃度15重量%のメタノール水溶液を、カソードに乾燥空気をそれぞれ供給しながら、電流密度0.1A/cm2で放電試験を行った際の電圧を調べた。
測定は、運転開始後、3時間後および300時間後の値を代表値として評価した。なおガスケットと電極との間の隙間が大きいと発電性能が低下することから、隙間は可能な限りなくなるよう調整した。
<高分子電解質膜の作製例>
モル比で1.00:2.03:3.04:4.54となるように、3,3'−ジスルホ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩、2,6−ジクロロベンゾニトリル、4,4'−ビフェノール、炭酸カリウムの混合物を調整し、その混合物14.5gをモリキュラーシーブ3.57gと共に100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。溶媒としてはNMPを使用した。156℃で一時間撹拌した後、反応温度を190〜200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約5時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。
得られたポリマーは、沸騰させた超純水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの30%NMP溶液を調整した。水中への沈殿過程〜NMPへの溶解過程を2回繰り返すことにより、ポリマーの洗浄を行った。次いで流延法によってポリマー溶液を薄く引き延ばし、80℃次いで130℃で5時間乾燥することフィルムを作製した。
さらに、2mol/lの硫酸水溶液中に一晩時間浸漬し、水洗5回後、室温で乾燥することで電解質膜1を作製した。また、この際出発原料のモル比を変えることによって、異なるイオン交換容量(酸性官能基量)を有する各種電解質膜も作製した。
高分子電解質膜の物性を表1に示す。なお、比較のために、ナフィオン膜の物性を評価した結果も表1に示す。
Figure 2006236757
表1の高分子電解質膜1〜3およびナフィオン膜は、膜抵抗[Ω・cm2]の値が近似している。電解質膜1〜3は、メタノール透過速度が遅く、膨潤率も低い。膨潤率は電解質膜3が最も小さいので、形態安定性に優れるより良好な膜であることが分かる。
表1の各高分子電解質膜を用いて、MEAを作製し、発電性能を評価した結果を表2に示す。なおナフィオン膜を除き、MEA化時のホットプレス条件は、180℃、40kgf/cm2、3分間プレスすることで実施した。ナフィオン膜については130℃、40kgf/cm2、3分間プレスすることで実施した。ナフィオン膜を180℃でホットプレスした場合は電池が短絡した。プレス機から取り出した接合体は、1kg/cm2の加重下室温まで冷却した後取り出した。
Figure 2006236757
表1からは同等の発電性能が期待できる電解質膜1〜3であったが、実際に良好な発電性能を示したのは電解質膜1のみであった。電解質膜3においては、電流を流そうとすると直ぐに電圧が低下してしまい、発電初期(3時間後)においても0.1A/cm2流すことができなかった。電解質膜1およびナフィオン膜においては、300時間経過後も良好は発電性能を示したが、電解質膜2では電圧低下が観察された。耐膨潤性(寸法安定性)の観点では、電解質膜2および3の方がより良好な高分子電解質膜であるものの、電池性能に反映することができていないことがわかる。
この原因を明らかにするために、表1の高分子電解質膜および、膜厚みを変えて作製した表1と同じ組成の高分子電解質膜および膜厚みの異なるナフィオン膜について、燃料電池を作製し評価した。この際、発電3時間後に電流遮断法により測定した燃料電池の抵抗値[Ω・cm2]を、膜の抵抗値に対してプロットした結果を図1に示す。
図1において、ナフィオン膜と電解質膜1は、ほぼ同じ直線に乗り、良好に接合していることを示している(僅かにナフィオン膜の方が抵抗が小さいので、より良好な接合性を示している。)。よりイオン交換容量の小さい電解質膜2および3の電解質膜においては、電池の抵抗が大きく、良好な接合体となっていないことを示している(特に電解質膜3で顕著)。
そこで、本発明においては、このような接合性を改善するために、各電解質膜に凸部を形成する。
<本発明における凸部の作製例>
高分子電解質膜の作成例に記載した手法により作製した高分子電解質膜(ただしイオン交換容量:1.82meq/g)を、超純水と1,2−ジメトキシエタンの混合溶液(超純水が15重量%)に加え、混合撹拌することによって、前記電解質膜1〜3よりもイオン交換容量の高い電解質膜形成性ポリマーを含む液(ポリマー濃度で3重量%)を得た。得られた液体は、外観上均一な液体であり、E型粘度計でこの粘性を調べると、ニュートン粘性を示した。粘度(30℃)は、約0.1Pa・sであった。得られた液体を絵画用のエアースプレーにより霧状にしてノズルから表1の各高分子電解質膜に噴霧することによって実施例1〜3の高分子電解質膜を作製した。
なお、噴霧塗布を行った際、高分子電解質膜の膨潤による変形はほとんど観察されなかった。このことは、各高分子電解質膜は、単に水を噴霧した場合には、膜が大きく膨潤し、変形してしまう膜であることを確認しているので、本発明における凸部形成過程においては、水を含む混合溶媒は、蒸発速度が速く、噴霧されて各高分子電解質膜に到達する前か到達直後には、その多くが蒸発していることを示している。
このようにして高分子電解質膜の両面に凸部を形成することで、本発明の膜電極接合体用電解質膜を得た。その物性を表3に示す。
Figure 2006236757
表3に示した実施例の凸部を上から見た形状としては、円形、略円形、あるいは楕円形に拡がったり、それがお互いに重なりあったりする像がSEM写真より多く観察された。それ以外にも角を持つ部分なども存在していた(図3、図4参照)。また、断面形状としては、平らな山型の凸状であったり、円形に近い凸部であったり、略円形であったり、三角型に近いものであったり、それらが重なったものなど多様な形態が観察された(図5、図6参照)。
いずれの電解質膜においても、従来品のナフィオン膜(表1)に比べてメタノール透過速度が低く、かつ凸部形成前に比べてさらに透過速度が低下し、よりメタノールの透過を抑えることが可能な膜となっていることがわかる。また膨潤率においても、いずれの電解質膜も従来品のナフィオン膜)に比べて耐膨潤性に優れていることが分かる。
一方、前述の実施例で得られた液をドクターブレードにより、表1の高分子電解質膜に塗布することにより、高分子電解質膜の表面に均一な被覆層が形成された電解質膜を作製した。この電解質膜の物性を表4に示す。なお、この電解質膜では、膜の膨潤による変形が観察された。
Figure 2006236757
表4から、表面を均一に被覆した比較例の高分子電解質膜においては、被覆層が表面に形成されたにもかかわらずメタノールが透過しやすくなり、かつ大きく膨潤性が増加していることがわかる。被覆層の形成が高分子電解質膜全体の物性に悪影響を及ぼし、本発明の電解質膜のように、内部の高分子電解質膜の特性を維持することができないことが分かる。
表3の本発明の膜電極接合体用電解質膜について発電性能を調べた結果を表5に示す。
Figure 2006236757
凸部が形成されていない電解質膜2及び3においては、表2に示されているように、燃料電池として性能を評価すると、初期特性や耐久性において不充分な性能しか得られないが、実施例のいずれの電解質膜も良好な初期特性および耐久性を持つことが確認できた。電解質膜1を用いた実施例1においても、性能の向上が確認できた。なお、図2に燃料電池の抵抗値を、膜の抵抗値に対してプロットした結果を示す(抵抗値の算出には、基材高分子電解質膜の値を用いた)。
また、電解質膜2と同じ組成で厚みの異なる高分子電解質膜に対しても実施例1と同様の手法で凸部を作製した接合用高分子電解質膜(実施例4)の評価結果も図2に示した。
以上のように、本発明の接合用高分子電解質膜は、電極との接合性を大幅に改善でき、かつ、内部の基材高分子電解質膜の性能を良好に維持することが可能であるため、膜電極接合体として燃料電池に使用すると、燃料電池の抵抗を著しく低下でき、燃料電池の性能と耐久性を向上させることができることが分かる。
本発明の膜電極接合体用高分子電解質膜は、膜電極接合体として燃料電池に使用すると、燃料電池の抵抗を著しく低下でき、燃料電池の発電性能と耐久性を向上させることができる。このため、燃料電池の性能向上に貢献できるものである。
従来の高分子電解質膜を用いた場合において、燃料電池の抵抗値[mΩ]を、高分子電解質膜の抵抗値[Ω・cm2]に対してプロットした図である。 各種の高分子電解質膜を用いた場合において、燃料電池の抵抗値[mΩ]を、高分子電解質膜の抵抗値[Ω・cm2]に対してプロットした図である。 本発明の膜電極接合体用高分子電解質膜表面を電子顕微鏡によって観察した際の凸部形状の例を示す模式図である。 本発明の膜電極接合体用高分子電解質膜表面を電子顕微鏡によって観察した際の凸部形状の例を示す模式図である。 本発明の膜電極接合体用高分子電解質膜断面を電子顕微鏡によって観察した際の断面形状の例を示す模式図である。 本発明の膜電極接合体用高分子電解質膜断面を電子顕微鏡によって観察した際の断面形状の例を示す模式図である。
符号の説明
1:凸部
2:電解質膜(基材)

Claims (8)

  1. 高分子電解質膜の少なくとも片面側に、前記高分子電解質膜のイオン交換容量よりも大きなイオン交換容量を持つ電解質膜形成性ポリマーからなる凸部が形成された膜電極接合体用高分子電解質膜であって、前記凸部が前記高分子電解質膜を基準にして0.01〜30μmの高さで、かつ密度が100個/mm2以上であることを特徴とする膜電極接合体用高分子電解質膜。
  2. 前記凸部の高さ方向の断面形状が円形、略円形、楕円形、山形、四角形、台形、星形、これらの複合形のいずれか又はこれらが混在した形状であることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体用高分子電解質膜。
  3. 前記高分子電解質膜のイオン交換容量が0.1〜2.0meq/gの範囲にあり、前記凸部のイオン交換容量が、少なくとも前記高分子電解質膜のイオン交換容量よりも大きく、かつ0.8〜3.5meq/gの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体用高分子電解質膜。
  4. 前記凸部による前記高分子電解質膜の被覆率が、前記高分子電解質膜の面積に対して25〜95%であることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体用高分子電解質膜。
  5. 前記高分子電解質が炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の膜電極接合体用高分子電解質膜。
  6. 基材としての高分子電解質膜の少なくとも片面側に電解質膜形成性ポリマーからなる凸部を形成させるに際し、前記高分子電解質膜上に電解質膜形成性ポリマーの溶液又は分散液を噴霧又はスクリーン印刷で付与するか又は離形性支持体上に前記電解質膜形成性ポリマーの溶液又は分散液を噴霧又はスクリーン印刷で付与後、前記高分子電解質膜上に転写することにより凸部を形成させることを特徴とする膜電極接合体用高分子電解質膜の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかの膜電極接合体用高分子電解質膜と、少なくとも触媒を含む電極とが接合された膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を用いた燃料電池。
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