JP2005139318A - 酸性基含有ポリベンズイミダゾール系化合物を含む組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 特定の構造を有するスルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物と特定の酸性基含有ポリベンズイミダゾール系化合物を含む組成物により、上記特性に優れた高分子電解質膜を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
(1)下記の式(1)で示される構成成分を含むポリベンズイミダゾール系化合物とともに、下記の式(2)および下記の式(3)で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物を含有していることを特徴とする組成物。
ただし、式(1)においては、m1は1から4の整数を表し、R1はイミダゾール環を形成できる4価の芳香族結合ユニットを、R2は2価の芳香族結合ユニットを表し、R1およびR2はいずれも芳香環の単環であっても複数の芳香環の結合体あるいは縮合環であっても良く、安定な置換基を有していても良い。Zは、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を表し、その一部が塩構造となっていても良い。
本発明における酸性基含有ポリベンズイミダゾール系化合物は、下記の式(1)で表される構造を含んでいることを特徴としている。
溶液粘度:ポリベンズイミダゾール系化合物の場合は、ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度で濃硫酸に溶解し、30℃の恒温槽中でオストワルド粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度[ln(ta/tb)]/cで評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。ポリアリーレンエーテル系化合物の場合は、ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度で評価した。
TGA:島津製作所製熱重量測定計(TGA-50)を用い、アルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/minで測定を行った(途中、150℃で30分保持して水分を十分除去する)。
イオン伝導性測定:自作測定用プローブ(ポリテトラフルオロエチレン製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]x膜厚[cm]x抵抗極間勾配[Ω/cm]
メタノール透過速度:イオン交換膜の液体燃料透過速度はメタノールの透過速度として、以下の方法で測定した。25℃に調整した5M(モル/リットル)のメタノール水溶液に24時間浸漬した平均厚み50μmのイオン交換膜(平均厚みが48μmから52μmの範囲に入っているものを平均厚み50μmの膜とする)をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mlの5Mメタノール水溶液を、他方のセルに100mlの超純水(18MΩ・cm)を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量をガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。
発電評価:Pt/Ru触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC61E54)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt/Ru触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1になるように加えた。次いで撹拌してアノード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、ガス拡散層となる東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が2mg/cm2になるようにスクリーン印刷により塗布乾燥して、アノード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC10V40E)に少量の超純水およびイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン溶液(品番:SE−20192)を、Pt触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1となるように加え、撹拌してカソード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、撥水加工を施した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2となるように塗布・乾燥して、カソード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。上記2種類の電極触媒層付きカーボンペーパーの間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により130℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込み、燃料電池発電試験機(株式会社東陽テクニカ製)を用いて発電試験を行った。発電は、セル温度40℃で、アノードおよびカソードにそれぞれ40℃に調整した2mol/lのメタノール水溶液(1.5ml/min)および高純度酸素ガス(80ml/min)を供給しながら行った。
スルホン酸基含有量:窒素雰囲気下で一晩乾燥した試料の重量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量(IEC)を求めた。
吸湿率:乾燥重量を測定したフィルムをガラス中サンプル瓶に入れ、80℃の恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中で湿度条件を設定して1時間放置した。直ちに密栓をして取りだしたサンプルは室温まで冷却した後重量測定し、フィルムの重量増加分として吸湿率を求めた。
引張試験:常態での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIを、水中での引張試験は東洋ボールドウィン製テンシロンUTMIIIを用いて、大きさを揃えて切り出したフィルム片を用いて測定した。
3,3’,4,4‘−テトラアミノジフェニルスルホン(略号:TAS)1.500g(5.389x10-3mole)、2,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸モノナトリウム(略号:STA、純度99%)1.445g(5.389x10-3mole)、ポリリン酸(五酸化リン含量75%)20.48g、五酸化リン16.41gを重合容器に量り取る。窒素を流し、オイルバス上ゆっくり撹拌しながら100℃まで昇温 する。100℃で1時間保持した後、150℃に昇温 して1時間、200℃に昇温 して4時間重合した。重合終了後放冷し、水を加えて重合物を取り出し、家庭用ミキサーを用いてpH試験紙中性になるまで水洗を繰り返した。得られたポリマーは80℃で終夜減圧乾燥した。ポリマーの対数粘度は、1.71を示した。本酸性基含有ポリベンズイミダゾールポリマーをTTS100と称する。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン2ナトリウム塩(略号:S−DCDPS)4.5199g(0.00920mole)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)4.3108g(0.01501mole)、4,4’−ビフェノール4.5086g(0.02421mole)、炭酸カリウム3.8484g(0.02784mole)、モレキュラーシーブ2.61gを100ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。35mlのNMPを入れて、150℃で一時間撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約5時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.12を示した。本スルホン酸基含有ポリアリーレンエーテルポリマーをSPAE−1と称する。得られたSPAE−1ポリマー4gをNMP10gに溶解し、1gのTTS100を10gのNMPに溶解した溶液と混合した。得られた混合液は、ホットプレート上ガラス板に約200μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。得られたフィルムのIRスペクトルを図1に示す。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.034S/cmの値を示し、メタノール透過速度は2.97mmol/m2・secを示した。本フィルムの熱重量測定による3%重量減少温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は369℃であった。1cm角に切り出した本フィルムを100℃熱水に1時間浸漬したが、フィルム形態は良好に保持されていた。80℃で測定した吸湿率は、50%RH,65%RH,80%RH,95%RH条件でそれぞれ5.4%、9.9%、12.0%、21.5%を示した。また、本フィルムの引張り試験結果を、両単独フィルムと比較して表1に示す。とくに、水中において、単独フィルムより弾性率、強度、伸度とも高い良い特性を示すことがわかる。
実施例1において、S−DCDPSとDCBNの混合比を70:30(モル比)として、スルホン酸基含有ポリアリーレンエーテルを合成した。得られたポリマーの対数粘度は0.97を示した。本スルホン酸基含有ポリアリーレンエーテルポリマーをSPAE−2と称する。得られたSPAE−2ポリマー4gをNMP10gに溶解し、1gのTTS100を10gのNMPに溶解した溶液と混合した。得られた混合液は、ホットプレート上ガラス板に約200μm厚にキャストし、フィルム状になるまでNMPを留去した後、水中に一晩以上浸漬した。得られたフィルムは、希硫酸(濃硫酸6ml、水300ml)中で1時間沸騰水処理して塩をはずした後、純水でさらに1時間煮沸することで酸成分を除去した。得られたフィルムのIRスペクトルを図1に示す。本フィルムのイオン伝導性を測定したところ、0.16S/cmの値を示し。本フィルムの熱重量測定による3%重量減少温度(200℃での試料重量を基準にして測定)は363℃であった。1cm角に切り出した本フィルムを100℃熱水に1時間浸漬したが、フィルム形態は良好に保持されていた。80℃で測定した吸湿率は、50%RH,65%RH,80%RH,95%RH条件でそれぞれ8.1%、11.9%、18.6%、36.0%を示した。また、本フィルムの引張り試験結果を、両単独フィルムと比較して表2に示す。とくに、水中において、単独フィルムより高い強度特性を示すことがわかる。
実施例1において、SPAE−1ポリマー粉末を希硫酸処理して酸型スルホン酸ポリマーとしてから、混合フィルムを作製した。両ポリマーの混合溶液も濁りが生じることはなく、実施例1と同様に良好なフィルムを得ることができた。
実施例2で合成したSPAE−2のみでフィルムを作製し、80℃95%RHにおけるイオン伝導度を測定したところ0.0.39S/cmを示した。しかし、1cm角に切り出した本フィルムを100℃熱水に浸漬したところ、フィルムは大きく膨潤し、形態崩れが顕著であった。
実施例1で得られたポリマーから作製したフィルムを用いて、発電評価を実施した。電流密度0.15A/cm2において電圧0.22Vを示し、良好な発電特性を示した。
40%Pt/Ir触媒担持カーボンとナフィオン(登録商標)(EW=1100)を、重量比で2.5:1となるように、Pt/Ir触媒担持カーボンにデュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液を加えることで調整した。次いで、撹拌することでアノード用触媒ペーストを調製した。また、Pt/Ir触媒担持カーボンの代わりに40%Pt触媒担持カーボンを用いて、同様の手法により、カソード用触媒ペーストを調整した。この触媒ペーストを、スクリーン印刷により、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に塗布乾燥して、アノードおよびカソード電極をそれぞれ作製した。両電極間に実施例1で得られたポリマーから作製したフィルムを、電極触媒層が膜試料と接するように挟み、130℃にて4分間、加圧・加熱することにより、電極とイオン交換膜を接合した。この接合体をElectrochem社製の測定セルFC25−02SPに組み込んだ後、アノード側より超純水を流しながら両電極間に電圧を徐々に印加した所、アノード側から酸素ガス、カソード側から水素ガスが発生した。
Claims (15)
- 下記の式(1)で示される構成成分を含むポリベンズイミダゾール系化合物とともに、下記の式(2)および下記の式(3)で示される構成成分を含むポリアリーレンエーテル系化合物を含有していることを特徴とする組成物。
ただし、式(1)においては、m1は1から4の整数を表し、R1はイミダゾール環を形成できる4価の芳香族結合ユニットを、R2は2価の芳香族結合ユニットを表し、R1およびR2はいずれも芳香環の単環であっても複数の芳香環の結合体あるいは縮合環であっても良く、安定な置換基を有していても良い。Zは、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を表し、その一部が塩構造となっていても良い。
ただし、Arは2価の芳香族基、Yはスルホン基またはケトン基、XはHまたは1価のカチオン種を示す。
ただし、Ar’は2価の芳香族基を示す。 - ポリアリーレンエーテル系化合物中に含まれるスルホン酸基量が0.3〜3.5当量/kgであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 酸性基含有ポリベンズイミダゾール系化合物とポリアリーレンエーテル系化合物割合が、重量比で5:95〜50:50であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 請求項1に記載の組成物を含有することを特徴とするイオン伝導膜。
- 平均厚さ50μmの膜を作製し、5Mメタノール水溶液を用いて25℃で測定したメタノール透過速度が7mmol/m2・sec以下の値を示すことを特徴とする請求項8に記載のイオン伝導膜。
- 請求項8に記載のイオン伝導膜と電極とを含有することを特徴とする複合体。
- 請求項10に記載の複合体を含有することを特徴とする燃料電池。
- メタノールを燃料とすることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池。
- 請求項10に記載の複合体を含有することを特徴とする水電解装置。
- 請求項1に記載の組成物を含有することを特徴とする接着剤。
- 請求項1に記載の組成物と溶剤とを含有する溶液を、キャスト厚が10〜1000μmの範囲となるようにキャストする工程と、キャストした溶液を乾燥させる工程とを含むことを特徴とする請求項8に記載のイオン伝導膜の製造方法。
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