JP4022833B2 - スルホン酸基含有ポリマー及びその用途 - Google Patents

スルホン酸基含有ポリマー及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、新規な構造のスルホン酸基含有ポリマーと該ポリマーの組成物、該ポリマーを用いたイオン交換膜、膜/電極接合体、燃料電池に関する。
近年、エネルギー効率や環境性に優れた新しい発電技術が注目を集めている。中でも高分子固体電解質膜を使用した固体高分子形燃料電池はエネルギー密度が高く、また、他の方式の燃料電池に比べて運転温度が低いため起動、停止が容易であるなどの特徴を有するため、電気自動車や分散発電などの電源装置としての開発が進んできている。
高分子固体電解質膜には通常プロトン伝導性のイオン交換膜が使用される。高分子固体電解質膜にはプロトン伝導性以外にも、燃料の水素などの透過を防ぐ燃料透過抑止性や機械的強度などの特性が必要である。このような高分子固体電解質膜としては、例えば米国デュポン社製ナフィオン(登録商標)に代表されるようなスルホン酸基を導入したパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを含む膜が知られている。しかしながら、パーフルオロカーボンスルホン酸系イオン交換膜などのフッ素系イオン交換膜は、燃料電池に使用した場合、運転条件によっては有害なフッ酸が排気ガス中へ混入することや、廃棄時に環境へ大きな負荷を与えることなどの問題も有している。
パーフルオロカーボンスルホン酸系イオン交換膜は、燃料電池の電解質膜としてバランスのよい特性を示すものの、コストや性能などで、より優れた膜を得るために、炭化水素系イオン交換膜の開発が盛んに行われている。
多くの炭化水素系イオン交換膜には、ポリイミドやポリスルホンなどの耐熱性ポリマーに、スルホン酸基などのイオン性基を導入したポリマーが用いられている。(例えば特許文献1を参照)
一般に炭化水素系イオン交換膜では、パーフルオロカーボンスルホン酸系イオン交換膜と同等のプロトン伝導性を発現させるためには、より多くのイオン性基を導入する必要がある。しかしながら、イオン性基の量が多くなると、水による膨潤性が大きくなり、吸湿時において、寸法変化や、物理特性の低下、などの問題の原因となる。そのため、ポリマーの構造を改良し、より膨潤性を抑制した炭化水素系イオン交換膜もある。(例えば特許文献2を参照)
しかしながら、膨潤性を小さくしようとすると、しばしば物理的な耐久性や電極触媒層との接合性が、低下してしまうといった問題が起こることがあった。
特表2004−509224号公報 特開2004−149779号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、膨潤性はそのままで、物理耐久性と電極触媒層との接合性が改良されたイオン交換膜及び、それに用いることができる新規スルホン酸基含有ポリマー、及び該イオン交換膜及び/又は該スルホン酸基含有ポリマーを用いた膜/電極接合体と燃料電池、該スルホン酸基含有ポリマー組成物の提供を課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
1.下記化学式1〜4;
Figure 0004022833
[化学式1〜4において、YはH又は1価の陽イオンを、 及びZ はO原子又はS原子の少なくとも1種を、Z 及びZ はS原子、−C(CH −基、−C(CF −基、及びシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を、n1〜n4それぞれはポリマー1分子中の化学式1〜4で表されるそれぞれの構造の単位数で1以上の整数を表す。]
で表される全ての構造を必須の繰り返し構造単位として有し、0.5g/dLのN−メチルピロリドン溶液の30℃における対数粘度が0.1dL/g以上であることを特徴とするスルホン酸基含有ポリマー。
.ポリマー1分子中の化学式1〜4で表される繰り返し構造単位それぞれの数n1〜n4が、数式2及び3を満たすことを特徴とする上記1に記載のスルホン酸基含有ポリマー。
0.05≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.7 (数式2)
0.01≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.95 (数式3)
.上記1又は2のいずれかに記載のポリマーを用いたイオン交換膜。
.ポリマー1分子中の化学式1〜4で表される繰り返し構造単位それぞれの数n1〜n4が、下記数式4及び5を満たし、ダイレクトメタノール燃料電池に用いることを特徴とする上記3に記載のイオン交換膜。
0.05≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.5 (数式4)
0.05≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.95 (数式5)
.ポリマー1分子中の化学式1〜4で表される繰り返し構造単位それぞれの数n1〜n4が、下記数式6及び7を満たし、水素を燃料とする固体高分子形燃料電池に用いることを特徴とする上記3に記載のイオン交換膜。
0.3≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.7 (数式6)
0.01≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.25 (数式7)
.上記3〜5のいずれかに記載のイオン交換膜を用いた膜/電極接合体。
.電極触媒層に、上記1又は2のいずれかに記載のポリマーを用いたことを特徴とする膜/電極接合体。
.上記6又は7に記載の膜/電極接合体を用いた燃料電池。
.上記1又は2のいずれかに記載のポリマーを含む組成物。
本発明による新規スルホン酸基含有ポリマー又は該組成物から得られるイオン交換膜は、従来の炭化水素系イオン交換膜に比べて、燃料電池として用いた場合に、高い耐久性と高出力を可能にするという優れた効果を有している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、下記化学式1〜4で表される全ての構造を必須の繰り返し単位として有することを特徴とするスルホン酸基含有ポリマーである。
Figure 0004022833
[化学式1〜4において、Xは−S(=O)−基又は−C(=O)−基を、YはH又は1価の陽イオンを、Z1〜Z、Z4〜Zはそれぞれ独立してO又はS原子のいずれかを、Z、Zはそれぞれ独立して、O原子、S原子、−C(CH−基、−C(CF−基、−CH−基、シクロヘキシル基のいずれかを、Ar 及びAr はそれぞれ独立して、スルホン基、カルボニル基、スルホニル基、ホスフィン基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基からなる群より選ばれる1種以上の基を有する芳香族基を、n1〜n4はポリマー1分子中の化学式1〜4で表される繰り返し構造単位それぞれの数で1以上の整数を表す。]
化学式1〜4で表される繰り返し単位は、それぞれランダムに結合していてもよいし、同じ繰り返し単位が連続して結合していてもよい。また、その場合、全ての種類の繰り返し単位が連続して結合していてもよいし、一部の種類のみが連続して結合していてもよい。
Xは−S(=O)2−基又は−C(=O)−基を表すが、−S(=O)2−基であると、溶媒への溶解性が高まるため好ましい。また、−C(=O)−基であると、ポリマーに光架橋性を付与することが可能になるため好ましい。
YはH又は1価の陽イオンを表すが、燃料電池のプロトン交換膜として用いる場合には、YはHであることが好ましい。また、溶解、成型、製膜などの加工においては、YがHであるよりも1価の陽イオンであるほうが、スルホン酸基の熱安定性が高まるため好ましい。1価の陽イオンとしては、Na、K、Liなどのアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオン、第四級アミン塩などが例として挙げることができ、Na、K、Liなどのアルカリ金属イオンが好ましい。アルカリ金属塩となっているスルホン酸基は、硫酸、塩酸、過塩素酸などの強酸又はその水溶液でポリマーを処理することによって、スルホン酸基に変換することができる。スルホン酸基を有するポリマーは高いプロトン伝導性を示し、プロトン交換樹脂や、プロトン交換膜として用いることができる。中でもプロトン交換膜は、固体高分子形燃料電池の電解質として用いることができ、本発明のポリマーを用いると優れた性能を有する燃料電池を得ることができる。
1〜Z2、Z4〜Z5はそれぞれ独立してO又はS原子のいずれかを表す。Z1、Z2、Z4、Z5がいずれもO原子であると、モノマーのコストや毒性が高くならず、重合における着色などが起こりにくいため好ましい。O原子よりもS原子であるほうが、耐酸化性が高くなる。Z3、Z6はそれぞれ独立して、O原子、S原子、−C(CH32−基、 −C(CF32−基、−CH2−基、シクロヘキシル基のいずれかを表す。中でもO原子、S原子、−C(CH32−基、−C(CF32−基、シクロヘキシル基であることが好ましく、O原子及びS原子がより好ましい。
1〜Z6のうち、少なくともZ3及びZ6がいずれもS原子であることが耐酸化性の面で好ましく、さらにZ2及びZ5がS原子であるとより好ましい。全てS原子であると、さらに好ましい。
化学式3及び化学式4におけるAr1及びAr2は、電子吸引性基を有する芳香族基であることが好ましい。電子吸引性基の例としては、スルホン基、カルボニル基、スルホニル基、ホスフィン基、シアノ基、トリフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基、ニトロ基、ハロゲン基などが挙げられ、シアノ基、スルホン基、カルボニル基が好ましい。さらに、Ar1及びAr2は下記化学式5〜8で表される構造から選ばれる一種以上の基であることが好ましい。化学式5の構造であると、溶媒への溶解性が高まるため好ましい。また、化学式6の構造であると、ポリマーに光架橋性を付与することが可能になるため好ましい。また、化学式7又は8の構造であると、ポリマーの膨潤性が小さくなるため好ましい。化学式5〜8の中でも、化学式7又は8の構造が好ましく、化学式8の構造が最も好ましい。
Figure 0004022833
分子中における、化学式1〜4でそれぞれ表される繰り返し構造、及びその他の繰り返し構造のモル比は、数式1〜3を満たすことが好ましい。その他の繰り返し構造は、特に限定されるものではないが、例えば、ホスホン酸基やリン酸基などを含むようなものであると、耐酸化性が向上して好ましい。また、メチル基などのアルキル基や、アリル基、エチニル基、マレイミド基などの架橋性を有する基を含むものであると、ポリマーに架橋性を付与してイオン交換膜の耐久性や強度などを向上させることができるため好ましい。
0.05≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.7 (数式2)
0.01≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.95 (数式3)
化学式1〜4で表される繰り返し単位における、スルホン酸基を含む繰り返し単位の好ましい範囲は数式2で表される、(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)は、0.05〜0.7の範囲であることが好ましい。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)は、0.05よりも低いと充分なイオン伝導性を得ることができず、0.7よりも高いと膨潤性が著しく大きくなったり、水溶性になったりして、イオン交換膜としての使用が困難になるため好ましくない。
化学式1〜4で表される繰り返し単位における、化学式2及び化学式4で表される構造について、その合計の割合の好ましい範囲は数式3で表される。(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)は、0.01〜0.95の範囲であることが好ましいが好ましい。(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)は、0.01よりも小さいと、充分な改善効果を得ることができず、0.95よりも大きいと膜の膨潤性が大きくなるため好ましくない。
本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、イオン交換樹脂や、イオン交換膜、吸湿樹脂、吸湿膜、透湿膜、電解膜などに用いることができ、特にイオン交換膜として用いることが好ましい。さらに、本発明のスルホン酸基含有ポリマーを用いたイオン交換膜は、スルホン酸基をスルホン酸型にすることでプロトン交換膜として用いることができ、燃料電池用プロトン交換膜に特に適している。また、本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、イオン交換膜などを、電極、触媒と接合する際に、接着剤として用いることにも適している。
本発明のイオン交換膜を、燃料としてメタノール水溶液を直接用いるダイレクトメタノール燃料電池のプロトン交換膜として用いる場合には、下記数式4及び5を満たしていることが好ましい。
0.05≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.5 (数式4)
0.05≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.95 (数式5)
数式4において、(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)は0.05〜0.9の範囲であることが好ましい。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)が、0.05よりも小さいと充分なプロトン伝導性が得られず、燃料電池の出力が低くなり好ましくない。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)が、0.5よりも大きいとメタノールが膜を透過する量が大きくなりすぎて燃料電池の出力が低下してしまうため好ましくない。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)のより好ましい範囲は0.07〜0.4である。また、燃料として用いるメタノール水溶液の濃度が低い場合には(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)が大きいほうが、プロトン伝導性が大きくなるため、燃料電池の出力が高くなる。一方、高濃度のメタノール水溶液を用いる場合には、(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)が小さいほうが、メタノールの透過に伴う出力の低下を抑制することができ、燃料電池の出力を大きくすることができる。
数式5において、(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)は0.05〜0.95の範囲であることが好ましい。(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)が、0.05より小さいと電極や触媒とイオン交換膜を接合する際に、接合不良が起きやすくなり、0.95より大きいと膨潤性が大きくなりすぎるため好ましくない。(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)の、より好ましい範囲は0.2〜0.8の範囲である。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)が0.2よりも小さい場合には、(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)は0.4〜0.8の範囲であることが好ましい。また、(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)の値が0.2よりも大きい場合には、(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)は0.1〜0.5の範囲であることが好ましい。
本発明のイオン交換膜を、燃料として水素を用いる燃料電池のプロトン交換膜として用いる場合には、下記数式6及び7を満たしていることが好ましい。
0.3≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.7 (数式6)
0.01≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.25 (数式7)
数式6において、(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)は0.3〜0.7の範囲であることが好ましい。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)が0.3よりも小さいと充分なプロトン伝導性が得られず、燃料電池の出力が低くなり好ましくない。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)が、0.7よりも大きいと膜の膨潤性が大きくなりすぎて破損や出力低下などが起きやすくなり、好ましくない。(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)のより好ましい範囲は0.35〜0.7であり、さらに好ましくは0.4〜0.5の範囲である。
数式7において、(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)は0.01〜0.25の範囲であることが好ましい。(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)が、0.01より小さいと電極や触媒とイオン交換膜を接合する際に、接合不良が起きやすくなり、0.25より大きいと膨潤性が大きくなりすぎるため好ましくない。(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)の、より好ましい範囲は0.1〜0.2の範囲である。
本発明のイオン交換膜は、電極や触媒を接合して膜/電極接合体とすることができる。また、本発明のイオン交換膜以外の膜に対して、電極や触媒との接着剤として、本発明のスルホン酸基含有ポリマーを用いることができる。本発明のスルホン酸基含有ポリマーを接着剤として用いる場合には、化学式1及び2におけるYがHであって、スルホン酸基が酸型であることが好ましい。スルホン酸基が陽イオンと塩を形成している状態で用いる場合には、接合後、酸処理によってスルホン酸基を酸型にすることもできる。
本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、適当な溶媒に溶解、分散して組成物として用いることもできる。用いることのできる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホンアミド、N−モルフォリンオキサイドなどの非プロトン性有機極性溶媒や、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、アセトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒などの極性溶媒、及びこれらの有機溶媒の混合物、並びに水との混合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリマー溶液の濃度は0.1〜50重量%の範囲が好ましい。溶液から、膜、繊維などを成型する場合には、濃度が5〜50重量%の範囲にあることがより好ましく、10〜40重量%の範囲がさらに好ましい。溶液を接着剤として用いる場合には、濃度が0.1〜20重量%の範囲であるとより好ましい。溶液を接着剤として用いる場合には、Pt、Pt−Ruなどの触媒を担持したカーボン粒子や、フッ素樹脂など、他の成分を含んでいてもよい。
本発明のおけるスルホン酸基含有ポリマーにおいて、好ましい構造の具体例である化学式9A〜9BJを以下に示すが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
Figure 0004022833
Figure 0004022833
Figure 0004022833
Figure 0004022833
Figure 0004022833
化学式9A〜9BJの中でも、化学式9A、9C、9E、9J、9M、9N、9BE、9BFが、プロトン伝導性と耐膨潤性に優れるため好ましく、化学式9A、9C、9Eがさらに好ましく、化学式9Aが最も好ましい。また、化学式9BCで表される構造であると、ポリマーの耐酸化性が向上するため好ましい。また、化学式9BDで表される構造であると、ポリマーが架橋性を有するため、物理特性や耐久性を高めることができる。
上記化学式9A〜9BJにおいて、n、m、o、p、qは下記数式8〜10を満たすことが好ましい。
Figure 0004022833
数式8において、(n+m+o+p)/(n+m+o+p+q)は、0.9〜1.0の範囲であることが好ましい。(n+m+o+p)/(n+m+o+p+q)は、0.95〜1.0の範囲であることがより好ましく、0.96〜1.0の範囲であることがさらに好ましい。qが0でない場合には、(q)/(n+m+o+p+q)が0.001〜0.04の範囲であることがより好ましい。
数式9において、(n+m)/(n+m+o+p)は、0.05〜0.7の範囲であることが好ましい。(n+m)/(n+m+o+p)が、0.05よりも低いと充分なイオン伝導性を得ることができず好ましくない。(n+m)/(n+m+o+p)が、0.7よりも高いと、膨潤性が著しく大きくなったり、水溶性になったりして、イオン交換膜としての使用が困難になるため好ましくない。
数式10において、(m+p)/(n+m+o+p)は、0.01〜0.95の範囲であることが好ましい。(m+p)/(n+m+o+p)が0.01よりも小さいと、充分な改善効果を得ることができず好ましくなく、0.95よりも大きいと膜の膨潤性が大きくなるため好ましくない。
本発明のスルホン酸基含有ポリマーにおいて、化学式2及び4で表される繰り返し構造が、ポリマーの柔軟性を高め、変形に対する破壊しにくくなったりすることや、ガラス転移温度が低下することによって電極との接合性が高まることなどの効果をもたらしている。また、化学式1及び3で表される繰り返し構造は、ポリマー全体の膨潤性を小さくしたり、メタノール透過性を小さくしたりする効果をもたらしている。
本発明のイオン交換膜を、燃料としてメタノール水溶液を直接用いるダイレクトメタノール燃料電池のプロトン交換膜として用いる場合には、下記数式8、11及び12を満たしていることが好ましい。
Figure 0004022833
数式8において、(n+m+o+p)/(n+m+o+p+q)は、0.9〜1.0の範囲であることが好ましい。(n+m+o+p)/(n+m+o+p+q)は、0.95〜1.0の範囲であることがより好ましく、0.96〜1.0の範囲であることがさらに好ましい。qが0でない場合には、(q)/(n+m+o+p+q)が0.001〜0.04の範囲であることがより好ましい。
数式11において、(n+m)/(n+m+o+p)は、0.05〜0.5の範囲であることが好ましい。(n+m)/(n+m+o+p)が、0.05よりも小さいと充分なプロトン伝導性が得られず、燃料電池の出力が低くなり好ましくない。(n+m)/(n+m+o+p)が、0.5よりも大きいとメタノールが膜を透過する量が大きくなりすぎて燃料電池の出力が低下してしまうため好ましくない。(n+m)/(n+m+o+p)のより好ましい範囲は0.07〜0.4である。また、燃料として用いるメタノール水溶液の濃度が低い場合には(n+m)/(n+m+o+p)が大きいほうが、プロトン伝導性が大きくなるため、燃料電池の出力が高くなる。一方、高濃度のメタノール水溶液を用いる場合には(n+m)/(n+m+o+p)が小さいほうが、メタノールの透過に伴う出力の低下を抑制することができ、燃料電池の出力を大きくすることができる。
数式12において、(m+p)/(n+m+o+p)の値は0.05〜0.95の範囲であることが好ましい。(m+p)/(n+m+o+p)が、0.05より小さいと電極や触媒とイオン交換膜を接合する際に、接合不良が起きやすくなり、0.95より大きいと膨潤性が大きくなりすぎるため好ましくない。(m+p)/(n+m+o+p)のより好ましい範囲は0.2〜0.8の範囲である。(n+m)/(n+m+o+p)の値が0.25よりも小さい場合には、(m+p)/(n+m+o+p)は0.4〜0.8の範囲であることが好ましい。また(n+m)/(n+m+o+p)の値が0.25よりも大きい場合には、(m+p)/(n+m+o+p)は0.1〜0.5の範囲であることが好ましい。
本発明のイオン交換膜を、燃料として水素を用いる燃料電池のプロトン交換膜として用いる場合には、下記数式8、13及び14を満たしていることが好ましい。
Figure 0004022833
数式8において、(n+m+o+p)/(n+m+o+p+q)は、0.9〜1.0の範囲であることが好ましい。(n+m+o+p)/(n+m+o+p+q)は、0.95〜1.0の範囲であることがより好ましく、0.96〜1.0の範囲であることがさらに好ましい。qが0でない場合には、(q)/(n+m+o+p+q)が0.001〜0.04の範囲であることがより好ましい。
数式13において、(n+m)/(n+m+o+p)は、0.3〜0.7の範囲であることが好ましい。(n+m)/(n+m+o+p)が、0.3よりも小さいと充分なプロトン伝導性が得られず、燃料電池の出力が低くなり好ましくない。(n+m)/(n+m+o+p)が、0.7よりも大きいと膜の膨潤性が大きくなりすぎて破損や出力低下などが起きやすくなり、好ましくない。(n+m)/(n+m+o+p)のより好ましい範囲は0.35〜0.7であり、より好ましくは0.4〜0.5の範囲である。
数式14において、(m+p)/(n+m+o+p)の値は0.01〜0.25の範囲であることが好ましい。(m+p)/(n+m+o+p)が、0.01より小さいと電極や触媒とイオン交換膜を接合する際に、接合不良が起きやすくなり、0.25より大きいと膨潤性が大きくなりすぎるため好ましくない。(m+p)/(n+m+o+p)の、より好ましい範囲は0.1〜0.2の範囲である。
本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、化学式10〜13で表される化合物を必須成分として含むモノマーの混合物から芳香族求核置換反応により重合することができる。
Figure 0004022833

化学式10〜13において、Xは−S(=O)2−基又は−C(=O)−基を、YはH又は1価の陽イオンを、Z7及びZ10は、それぞれ独立してCl原子、F原子、I原子、Br原子、ニトロ基のいずれかを、Z8及びZ11は、それぞれ独立してOH基、SH基、−O−NH−C(=O)−R基、−S−NH−C(=O)−R基のいずれかを[Rは芳香族又は脂肪族の炭化水素基を表す。]、Z9は、O原子、S原子、−C(CH32−基、 −C(CF32−基、−CH2−基、シクロヘキシル基のいずれかを、Ar3は分子中に、スルホン基、カルボニル基、スルホニル基、ホスフィン基、シアノ基、トリフルオロメチル基などのパーフルオロアルキル基、ニトロ基、ハロゲン基などの電子吸引性基を有する芳香族基を表す。
化学式10で表される化合物の具体例としては、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホブチル−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、及びそれらのスルホン酸基が1価陽イオン種との塩になったもの等が挙げられる。1価陽イオン種としては、ナトリウム、カリウムや他の金属種や各種アミン類等でも良く、これらに制限されるわけではない。化学式10で表される化合物のうち、スルホン酸基が塩になっている化合物の例としては、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホン酸カリウム4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸カリウム4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸カリウム4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホン酸カリウム4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸カリウム4,4’−ジフルオロジフェニルケトンなどを挙げることができる。
化学式11で表される化合物の具体例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−チオビスベンゼンチオール、4,4’−オキシビスベンゼンチオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどを挙げることができ、4,4’−チオビスベンゼンチオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが好ましい。
化学式11で表される構造のモノマーが、ポリマーの柔軟性を高め、変形に対する破壊しにくくなったりすることや、ガラス転移温度が低下することによって電極との接合性が高まることなどの効果をもたらしている。
化学式12で表される化合物としては、同一芳香環にハロゲン、ニトロ基などの求核置換反応における脱離基と、それを活性化する電子吸引性基を有する化合物を挙げることができる。具体例としては、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロビフェニル等が挙げられるがこれらに制限されることなく、芳香族求核置換反応に活性のある他の芳香族ジハロゲン化合物、芳香族ジニトロ化合物、芳香族ジシアノ化合物なども使用することができる。
化学式13で表される化合物の例としては、4,4’−ビフェノール、4、4’−ジメルカプトビフェノールなどを挙げることができ、4,4’−ビフェノールが好ましい。
上述の芳香族求核置換反応において、化学式10〜13で表される化合物とともに他の各種活性化ジハロゲン芳香族化合物やジニトロ芳香族化合物、ビスフェノール化合物、ビスチオフェノール化合物をモノマーとして併用することもできる。
その他のビスフェノール化合物又はビスチオフェノール化合物の例としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ハイドロキノン、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、フェノールフタレイン等が、挙げられるが、この他にも芳香族求核置換反応によるポリアリーレンエーテル系化合物の重合に用いることができる各種芳香族ジオール又は各種芳香族ジチオールを使用することもでき、上記の化合物に限定されるものではない。
本発明におけるスルホン酸基含有ポリマーを芳香族求核置換反応により重合する場合、化学式10〜13で表される構造の化合物と、必要に応じて他の活性化ジハロゲン芳香族化合物やジニトロ芳香族化合物や芳香族ジオール類又は芳香族ジチオール類を加えて、塩基性化合物の存在下で反応させることで重合体を得ることができる。モノマー中の、反応性のハロゲン基又はニトロ基と、反応性のヒドロキシ基及びチオール基のモル比は任意のモル比にすることで、得られるポリマーの重合度を調整することができるが、0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましく、0.95〜1.05の範囲であることが好ましく、1であると高重合度のポリマーを得ることができるため最も好ましい。
重合は、0〜350℃の温度範囲で行うことができるが、50〜250℃の範囲であることが好ましい。0℃より低い場合には、十分に反応が進まない傾向にあり、350℃より高い場合には、ポリマーの分解も起こり始める傾向がある。反応は、無溶媒下で行うこともできるが、溶媒中で行うことが好ましい。使用できる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホランなどを挙げることができるが、これらに限定されることはなく、芳香族求核置換反応において安定な溶媒として使用できるものであればよい。これらの有機溶媒は、単独でも2種以上の混合物として使用されても良い。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられるが、芳香族ジオール類や芳香族ジメルカプト化合物を活性なフェノキシド構造になしうるものであれば、これらに限定されず使用することができる。塩基性化合物は、ビスフェノール化合物及びビスチオフェノール化合物の総和に対して100モル%以上の量を用いると良好に重合することができ、好ましくはビスフェノール化合物又はビスチオフェノール化合物の総和に対して105〜125モル%の範囲である。ビスフェノール化合物又はビスチオフェノール化合物の量が多くなりすぎると、分解などの副反応の原因となるので好ましくない。
また、上記重合反応において、塩基性化合物を用いずに、ビスフェノール化合物又はビスチオフェノール化合物を、イソシアネート化合物と反応させてカルバモイル化したものと、活性化ジハロゲン芳香族化合物やジニトロ芳香族化合物とを直接反応させることもできる。
芳香族求核置換反応においては、副生物として水が生成する場合がある。この際は、重合溶媒とは関係なく、トルエンなどを反応系に共存させて共沸物として水を系外に除去することもできる。水を系外に除去する方法としては、モレキュラーシーブなどの吸水材を使用することもできる。芳香族求核置換反応を溶媒中で行う場合、得られるポリマー濃度として5〜50重量%の範囲となるようにモノマーを仕込むことが好ましい。5重量%よりも少ない場合は、重合度が上がりにくい傾向がある。一方、50重量%よりも多い場合には、反応系の粘性が高くなりすぎ、反応物の後処理が困難になる傾向がある。重合反応終了後は、反応溶液より蒸発によって溶媒を除去し、必要に応じて残留物を洗浄することによって、所望のポリマーが得られる。また、反応溶液を、ポリマーの溶解度が低い溶媒中に加えることによって、ポリマーを固体として沈殿させ、沈殿物の濾取によりポリマーを得ることもできる。また副生する塩類を濾過によって取り除いてポリマー溶液を得ることもできる。
また、本発明におけるスルホン酸基含有ポリマーは、後で述べる方法により測定したポリマー対数粘度が0.1dL/g以上であることが好ましい。対数粘度が0.1dL/gよりも小さいと、イオン交換膜として成形したときに、膜が脆くなりやすくなる。対数粘度は、0.3dL/g以上であることがさらに好ましい。一方、対数粘度が5dL/gを超えると、ポリマーの溶解が困難になるなど、加工性での問題が出てくるので好ましくない。なお、対数粘度を測定する溶媒としては、一般にN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどの極性有機溶媒を使用することができるが、これらに溶解性が低い場合には濃硫酸を用いて測定することもできる。
本発明におけるスルホン酸基含有ポリマーのイオン交換容量は、0.1meq/g以上であることが好ましいが、3.5meq/g以下であることがさらに好ましい。イオン交換容量が小さくなるとプロトン伝導性が低下するため好ましくない。イオン交換容量が大きくなると、プロトン伝導性は増大するが、同時に膜が膨潤したり、水に溶解してしまったりする問題が起きやすくなる。本発明におけるスルホン酸基含有ポリマーのイオン交換容量は、0.5〜3.5meq/gの範囲にあることがより好ましく、1.0〜2.5meq/gの範囲であることがさらに好ましい。
本発明におけるイオン交換膜は任意の厚みにすることができるが、10μm以下だと所定の特性を満たすことが困難になるので10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、300μm以上になると製造が困難になるため、300μm以下であることが好ましい。
本発明におけるスルホン酸基含有ポリマーは、単体として使用することができるが、他のポリマーとの組み合わせによる樹脂組成物として使用することもできる。これらのポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン12などのポリアミド類、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル類、ポリメチルアクリレート、ポリアクリル酸エステル類などのアクリレート系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンやジエン系ポリマーを含む各種ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、酢酸セルロース、エチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリアリレート、アラミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾールなどの芳香族系ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などの熱硬化性樹脂等、特に制限はない。ポリベンズイミダゾールやポリビニルピリジンなどの塩基性ポリマーとの樹脂組成物は、ポリマー寸法性の向上のために好ましい組み合わせといえる、これらの塩基性ポリマー中に、さらにスルホン酸基を導入しておくと、組成物の加工性がより好ましいものとなる。これら樹脂組成物として使用する場合には、本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、樹脂組成物全体の50質量%以上100質量%未満含まれていることが好ましい。より好ましくは70質量%以上100質量%未満である。本発明のスルホン酸基含有ポリマーの含有量が樹脂組成物全体の50重量%未満の場合には、この樹脂組成物を含むイオン交換膜のスルホン酸基濃度が低くなり良好なイオン伝導性が得られない傾向にあり、また、スルホン酸基を含有するユニットが非連続相となり伝導するイオンの移動度が低下する傾向にある。なお、本発明の組成物は、必要に応じて、例えば酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、粘着付与剤、可塑剤、架橋剤、粘度調整剤、静電気防止剤、抗菌剤、消泡剤、分散剤、重合禁止剤、などの各種添加剤を含んでいても良い。
本発明のイオン交換膜は、本発明のスルホン酸基含有イオン交換樹脂を含む組成物から、押し出し、圧延又はキャストなど任意の方法で得ることができる。中でも適当な溶媒に溶解した溶液から成形することが好ましい。溶液から成形体を得る方法は従来から公知の方法を用いて行うことができる。例えば、加熱、減圧乾燥、化合物を溶解する溶媒と混和することができる化合物非溶媒への浸漬等によって、溶媒を除去し成形体を得ることができる。溶媒が、有機溶媒の場合には、加熱又は減圧乾燥によって溶媒を留去させることが好ましい。この際、必要に応じて他の化合物と複合された形で成形することもできる。溶解挙動が類似する化合物と組み合わせた場合には、良好な成形ができる点で好ましい。このようにして得られた成形体中のスルホン酸基は陽イオン種との塩の形のものを含んでいても良いが、必要に応じて酸処理することによりフリーのスルホン酸基に変換することもできる。
本発明におけるスルホン酸基含有ポリマー及びその樹脂組成物からイオン交換膜を成形する手法として最も好ましいのは、溶液からのキャストであり、キャストした溶液から上記のように溶媒を除去してイオン交換膜を得ることができる。当該溶液としてはN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を用いた溶液や、場合によってはアルコール系溶媒等も挙げることができる。溶媒の除去は、乾燥によることがイオン交換膜の均一性からは好ましい。また、化合物や溶媒の分解や変質を避けるため、減圧下できるだけ低い温度で乾燥することもできる。また、溶液の粘度が高い場合には、基板や溶液を加熱して高温でキャストすると溶液の粘度が低下して容易にキャストすることができる。キャストする際の溶液の厚みは特に制限されないが、10〜2000μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは50〜1500μmである。溶液の厚みが10μmよりも薄いとイオン交換膜としての形態を保てなくなる傾向にあり、2000μmよりも厚いと不均一な膜ができやすくなる傾向にある。溶液のキャスト厚を制御する方法は公知の方法を用いることができる。例えば、アプリケーター、ドクターブレードなどを用いて一定の厚みにしたり、ガラスシャーレなどを用いてキャスト面積を一定にしたりして溶液の量や濃度で厚みを制御することができる。キャストした溶液は、溶媒の除去速度を調整することでより均一な膜を得ることができる。例えば、加熱する場合には最初の段階では低温にして蒸発速度を下げたりすることができる。また、水などの非溶媒に浸漬する場合には、溶液を空気中や不活性ガス中に適当な時間放置しておくなどして化合物の凝固速度を調整することができる。イオン交換膜として使用する場合、膜中のスルホン酸基は金属塩になっているものを含んでいても良いが、適当な酸処理によりフリーのスルホン酸に変換することもできる。この場合、硫酸、塩酸、等の水溶液中に加熱下あるいは加熱せずに膜を浸漬処理することで行うことも効果的である。
本発明の膜/電極接合体は、本発明のイオン交換膜を電極と接合することによって得ることができる。この接合体の作製方法としては、従来から公知の方法を用いて行うことができ、例えば、電極表面に接着剤を塗布しイオン交換膜と電極とを接着する方法又はイオン交換膜と電極とを加熱加圧する方法等がある。この中でも本発明におけるスルホン酸基含有ポリマー及びその樹脂組成物を主成分とした接着剤を電極表面に塗布して接着する方法が好ましい。イオン交換膜と電極との接着性が向上し、また、イオン交換膜のプロトン伝導性を損なうことが少なくなると考えられるためである。
本発明の燃料電池は、本発明のイオン交換膜又は膜/電極接合体を用いて作製することができる。本発明のイオン交換膜は、固体高分子形燃料電池に適している。ポリマー中のスルホン酸基量を調整することによって、メタノールを燃料とするダイレクトメタノール型燃料電池や、水素を燃料とする燃料電池にも用いることができる。また、ジメチルエーテル、水素。ギ酸など他の物質を燃料として用いる燃料電池にも好適に用いることができ、電解膜、分離膜など、イオン交換膜として公知の任意の用途に用いることができる。
以下本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
対数粘度:ポリマー粉末を0.5g/dLの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/cで評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
プロトン伝導性:自作測定用プローブ(テトラフルオロエチレン樹脂製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、25℃の水中又は80℃95%の恒湿恒温槽に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
メタノール透過性:イオン交換膜の液体燃料透過速度はメタノールの透過速度として、以下の方法で測定した。25℃に調整した5M(モル/リットル)のメタノール水溶液に24時間浸漬したイオン交換膜をH型セルに挟み込み、セルの片側に100mLの5Mメタノール水溶液を、他方のセルに100mLの超純水(18MΩ・cm)を注入し、25℃で両側のセルを撹拌しながら、イオン交換膜を通って超純水中に拡散してくるメタノール量を、ガスクロマトグラフを用いて測定することで算出した(イオン交換膜の面積は、2.0cm2)。得られたメタノール透過速度とサンプルの膜厚から、メタノール透過係数を求めた。
水素を燃料とする燃料電池(PEFC)の発電評価: デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液に、市販の40%Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社 燃料電池用触媒 TEC10V40E)と、少量の超純水及びイソプロパノールを加えた後、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が0.5mg/cm2になるように均一に塗布・乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作製した。上記の電極触媒層付きガス拡散層の間に、イオン交換膜を、電極触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレス法により130℃、2MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んでセル温度80℃で、アノード及びカソードにそれぞれ75℃で加湿した水素と空気を供給して発電特性を評価した。開始直後における電流密度が0.5A/cm2における出力電圧を初期特性とした。また、耐久性評価として、1時間に1回の割合で開回路電圧を測定しつつ上記の条件で連続運転を行った。開回路電圧が開始直後の値よりも10%以上低下したときの時間を耐久時間とした。耐久性評価は1000時間を上限として行った。
ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)の発電評価:Pt/Ru触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC61E54)に少量の超純水及びイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液(品番:SE−20192)を、Pt/Ru触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1になるように加えた。次いで撹拌してアノード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、ガス拡散層となる東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が2mg/cm2になるようにスクリーン印刷により塗布乾燥して、アノード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。また、Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社TEC10V40E)に少量の超純水及びイソプロピルアルコールを加えて湿らせた後、デュポン社製20%ナフィオン(登録商標)溶液(品番:SE−20192)を、Pt触媒担持カーボンとナフィオンの重量比が2.5:1となるように加え、撹拌してカソード用触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、撥水加工を施した東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が1mg/cm2となるように塗布・乾燥して、カソード用電極触媒層付きカーボンペーパーを作製した。上記2種類の電極触媒層付きカーボンペーパーの間に、膜試料を、電極触媒層が膜試料に接するように挟み、ホットプレス法により180℃、8MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込み、燃料電池発電試験機(株式会社東陽テクニカ製)を用いて発電試験を行った。発電は、セル温度40℃で、アノード及びカソードにそれぞれ40℃に調整した高純度空気ガス(80ml/min)と、5mol/Lのメタノール水溶液(1.5ml/min)とを供給しながら行った。電流密度が0.02A/cm2における出力電圧と、電流遮断法で測定した抵抗値を測定した。
イオン交換容量:100℃で1時間乾燥し、窒素雰囲気下室温で一晩放置した試料の重量をはかり、水酸化ナトリウム水溶液と撹拌処理した後、塩酸水溶液による逆滴定でイオン交換容量を求めた。
軟化温度:5mm幅の酸型の膜を、チャック幅10mmで、50℃から250℃まで2℃/分で加熱しながら、10Hzの動歪を与えて動的粘弾性を、Rheogel E−4000(東機産業株式会社製)を用いて測定した。E’が大きく低下する変曲点の温度を軟化温度とした。
<実施例1>
3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(略号:S−DCDPS)6.9499g(14.15mmol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)9.7340g(56.59mol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)6.5860g(35.37mmol)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド(略号: BPS)7.7199g(35.37mmol)、炭酸カリウム10.7542g(77.82mmol)、乾燥したモレキュラーシーブ3−A 7gを200ml四つ口フラスコに計り取り、窒素を流した。80mlのN−メチル−2−ピロリドン(略号:NMP)を入れて、150℃で30分撹拌した後、反応温度を195−200℃に上昇させて系の粘性が十分上がるのを目安に反応を続けた(約10時間)。放冷の後、沈降しているモレキュラーシーブを除いて水中にストランド状に沈殿させた。得られたポリマーは、沸騰水中で1時間洗浄した後、乾燥した。ポリマーの対数粘度は1.08dL/gを示した。重水素化ジメチルスルホキシド中室温で測定した1H−NMRスペクトルを図1に示した。ポリマー7gをNMP28gに溶解し、ホットプレート上ガラス板に約400μm厚にキャストして80℃で0.5時間、120℃で0.5時間、150℃で0.5時間加熱した後、窒素雰囲気の150℃のオーブン中で1時間乾燥し、ガラス板からフィルムを剥離した。得られたフィルムは室温の純水に1日浸漬した後、2mol/Lの硫酸水溶液に2時間浸漬した。その後、洗浄水が中性になるまでフィルムを純水で洗浄し、空気中に放置して乾燥して、イオン交換膜を得た。得られたイオン交換膜について評価を行った。
<実施例2>
BPSの代わりに、4,4’−チオビスベンゼンチオール(略号:TBT)4.6054g(18.39mmol)を用い、BPの量を9.7472g(52.35mmol)に変更した他は実施例1と同様にしてイオン交換膜を作製し評価を行った。
<実施例3〜6>
S−DCDPS、DCBN、BPS、BPの量を変更した他は実施例1と同様にしてイオン交換膜を作製し評価を行った。
<実施例7>
BPSの代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(略号:BPA)8.0743g(35.37mmol)を用いた他は実施例1と同様にしてイオン交換膜を作製し評価を行った。
<実施例8>
BPSの代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(略号:BPF)11.8919g(35.37mmol)を用いた他は実施例1と同様にしてイオン交換膜を作製し評価を行った。
<実施例9〜12>
各モノマーのモル比を変更した他は、実施例1と同様にしてイオン交換膜を作製し評価を行った。
<実施例13>
BPSの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(略号:BPH)9.4915g(35.37mmol)を用いた他は実施例1と同様にしてイオン交換膜を作製し評価を行った。
<比較例1>
構造が公知であり、S−DCDPS、BP、及びDCBNを、S−DCDPSとDCBNのモル比が16:84で、S−DCDPSとDCBNのモル数の合計がBPのモル数と等しくなるように重合することによって得られる下記化学式14のスルホン酸基含有ポリマーを用いた他は、実施例1と同様にして、イオン交換膜を作製し評価を行った。
Figure 0004022833
<比較例2>
構造が公知であり、S−DCDPS、BP、及びDCBNを、S−DCDPSとDCBNのモル比が20:80で、S−DCDPSとDCBNのモル数の合計がBPのモル数と等しくなるように重合することによって得られる下記化学式15のスルホン酸基含有ポリマーを用いた他は、実施例1と同様にして、イオン交換膜を作製し評価を行った。
Figure 0004022833
<比較例3>
構造が公知であり、S−DCDPS、BP、及びDCBNを、S−DCDPSとDCBNのモル比が50:50で、S−DCDPSとDCBNのモル数の合計がBPのモル数と等しくなるように重合することによって得られる下記化学式16のスルホン酸基含有ポリマーを用いた他は、実施例1と同様にして、イオン交換膜を作製し評価を行った。
Figure 0004022833
<比較例4>
構造が公知であり、S−DCDPS、BP、及び4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを、S−DCDPSと4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのモル比が50:50で、S−DCDPSと4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのモル数の合計がBPのモル数と等しくなるように重合することによって得られる下記化学式17のスルホン酸基含有ポリマーを用いた他は、実施例1と同様にして、イオン交換膜を作製し評価を行った。
Figure 0004022833
<比較例5>
市販のイオン交換膜であるナフィオン(登録商標)112について各種評価を行った。
<比較例6>
市販のイオン交換膜であるナフィオン(登録商標)117について各種評価を行った。
実施例及び比較例のイオン交換膜の評価結果を表1に示す。
Figure 0004022833
表1より、本発明における、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)用のイオン交換膜(実施例1〜3、5、7〜13)は、比較例のイオン交換膜(比較例1〜2、6)に対して、軟化温度が低くなることで接合性が向上し、抵抗値が低下することで高い出力電圧が得られていることが明らかである。また、既存のイオン交換膜であるナフィオン(登録商標)117(比較例6)に対しては、メタノール透過性が大幅に小さく、耐メタノール透過性に優れたイオン交換膜であることが明らかである。
また、水素を燃料とする燃料電池(PEFC)用のイオン交換膜(実施例4、6)は、比較例のイオン交換膜(比較例3〜4)のイオン交換膜に対して、初期電圧は同等であるのにもかかわらず、耐久時間が大幅に向上しており、耐久性に優れたイオン交換膜であることが明らかである。また既存のイオン交換膜であるナフィオン(登録商標)112(比較例5)に匹敵する耐久性を示し、かつ同等以上の初期電圧を示すことから、フッ酸の発生が少なく、また廃棄時の環境負荷の少ない炭化水素系イオン交換膜として、充分に優れた特性を有していることは明らかである。これらのことから、本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、燃料電池用イオン交換膜に用いることによってその特性を大きく改善することができ、産業界に寄与すること大である。
本発明における実施例1で合成したポリマーを、VARIAN社製GEMINI−200を用いて、重水素化ジメチルスルホキシド中室温で測定した1H−NMRスペクトルである。 本発明における実施例2で合成したポリマーを上記と同様にして測定した1H−NMRスペクトルである。 本発明における実施例3で合成したポリマーを上記と同様にして測定した1H−NMRスペクトルである。 本発明における実施例4で合成したポリマーを上記と同様にして測定した1H−NMRスペクトルである。 本発明における実施例1で得られたRheogel E−4000(東機産業株式会社製)を用いて測定したイオン交換膜の動的粘弾性特性を示す。
符号の説明
NMP:ポリマーに不純物として含まれている重合溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンに由来するシグナル
DMSO:重水素化ジメチルスルホキシド中のジメチルスルホキシドに由来するシグナル
2O:ポリマーに吸着した水に由来するシグナル

Claims (9)

  1. 下記化学式1〜4
    Figure 0004022833
    [化学式1〜4において、YはH又は1価の陽イオンを、 及びZ はO原子又はS原子の少なくとも1種を、Z 及びZ はS原子、−C(CH −基、−C(CF −基、及びシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を、n1〜n4それぞれはポリマー1分子中の化学式1〜4で表されるそれぞれの構造の単位数で1以上の整数を表す。]
    で表される全ての構造を必須の繰り返し構造単位として有し、かつ0.5g/dLのN−メチルピロリドン溶液の30℃における対数粘度が0.1dL/g以上であることを特徴とするスルホン酸基含有ポリマー。
  2. ポリマー1分子中の化学式1〜4で表される繰り返し構造単位それぞれの数n1〜n4が、数式2及び3を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスルホン酸基含有ポリマー。
    0.05≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.7 (数式2)
    0.01≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.95 (数式3)
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載のポリマーを用いたイオン交換膜。
  4. ポリマー1分子中の化学式1〜4で表される繰り返し構造単位それぞれの数n1〜n4が、下記数式4及び5を満たし、ダイレクトメタノール燃料電池に用いることを特徴とする請求項3に記載のイオン交換膜。
    0.05≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.5 (数式4)
    0.05≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.95 (数式5)
  5. ポリマー1分子中の化学式1〜4で表される繰り返し構造単位それぞれの数n1〜n4が、下記数式6及び7を満たし、水素を燃料とする固体高分子形燃料電池に用いることを特徴とする請求項3に記載のイオン交換膜。
    0.3≦(n1+n2)/(n1+n2+n3+n4)≦0.7 (数式6)
    0.01≦(n2+n4)/(n1+n2+n3+n4)≦0.25 (数式7)
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載のイオン交換膜を用いた膜/電極接合体。
  7. 電極触媒層に、請求項1又は2のいずれかに記載のポリマーを用いたことを特徴とする膜/電極接合体。
  8. 請求項6又は7のいずれかに記載の膜/電極接合体を用いた燃料電池。
  9. 請求項1又は2のいずれかに記載のポリマーを含む組成物。
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